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  • 特許-水中撮影装置及び水中撮影方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】水中撮影装置及び水中撮影方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20230801BHJP
   G01N 21/954 20060101ALI20230801BHJP
   E21D 9/13 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G02B23/24 C
G01N21/954 Z
E21D9/13 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019178502
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056340
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】宮内 賢治
(72)【発明者】
【氏名】草川 圭斗
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-043115(JP,U)
【文献】特開平01-041846(JP,A)
【文献】特開昭63-289520(JP,A)
【文献】特開昭59-210409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/24-23/26
G01N 21/84-21/958
E21D 1/00-9/14
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G03B 17/04-17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置であって、
前端に前記水中カメラが固定されたロッド部と、
前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、
前記カバー部の周面に形成された注水口と、
前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、
前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、
前記ロッド部を前記カバー部に対して相対的に前後方向に移動させることで、前記水中カメラの全体が前記カバー部の中空部に収容された収容状態と、前記水中カメラの前方側の一部もしくは全部が前記カバー部の前端から突出した突出状態とを切り換え可能であることを特徴とする水中撮影装置。
【請求項2】
前記カバー部には、前記注水口から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射するノズルが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の水中撮影装置。
【請求項3】
水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置であって、
前端に前記水中カメラが固定されたロッド部と、
前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、
前記カバー部の周面に形成された注水口と、
前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、
前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、
前記風船には、前記注水口から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射する開口が形成されていることを特徴とする水中撮影装置。
【請求項4】
前端に水中カメラが固定されたロッド部と、
前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、
前記カバー部の周面に形成された注水口と、
前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、
前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、前記水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置を用いて、泥水式シールド掘削機のチャンバー内を撮影する水中撮影方法であって、
隔壁を貫通して配設され、止水栓によって止水された状態の配管に、前記水中撮影装置が挿入可能な開口を有し、前記カバー部の外周との間に介在して前記チャンバー内の泥水を止水する泥水止水パッキンが内周に取り付けられた挿入用延長管を接続する接続工程と、
前記挿入用延長管に前記水中撮影装置を前端側から挿入した後、前記止水栓を開ける挿入工程と、
前記配管を経由して前記水中撮影装置の前端を前記チャンバー内に移動させる移動工程と、
前記注水口から清水を注入することで、前記風船を膨らませて撮影箇所に当接させる注水工程と、を有することを特徴とする水中撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で対象物を撮影する水中撮影装置及び水中撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管矢板の継手等、管内を検査するため、カメラを内包する透明な風船を所定の深度まで管内に挿入した後、風船内に水を充填して風船を膨脹させることにより、カメラ周囲の泥水等の濁水を排除する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によると、泥水の影響を受けることなく水中撮像を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-201717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、泥水等の泥水が充満した環境では、泥水中の障害物を視認することができないため、カメラを撮影箇所に導く過程で、カメラが障害物に接触してしまい、精密部品であるカメラが破損する虞があった。
【0005】
特に、泥水式シールド工法において、カッター等の確認のため、泥水(濁水)が充満しているチャンバー内で水中撮影を行う場合、隔壁を介して行うことになる。この場合、隔壁に設けられた配管の止水栓を開けてカメラを挿入することになるが、止水を考慮しながら、カメラの挿入を行うことは困難である。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消し、濁水が充満した環境でも水中カメラを撮影箇所に安全に導くことができる水中撮影装置及び水中撮影方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水中撮影装置は、水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置であって、前端に前記水中カメラが固定されたロッド部と、前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、前記カバー部の周面に形成された注水口と、前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、前記ロッド部を前記カバー部に対して相対的に前後方向に移動させることで、前記水中カメラの全体が前記カバー部の中空部に収容された収容状態と、前記水中カメラの前方側の一部もしくは全部が前記カバー部の前端から突出した突出状態とを切り換え可能であることを特徴とする。
さらに、本発明の水中撮影装置において、前記カバー部には、前記注水口から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射するノズルが取り付けられていても良い。
また、本発明の中撮影装置は、水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置であって、前端に前記水中カメラが固定されたロッド部と、前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、前記カバー部の周面に形成された注水口と、前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、前記風船には、前記注水口から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射する開口が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の水中撮影方法は、前端に水中カメラが固定されたロッド部と、前記水中カメラを覆う筒状のカバー部と、前記カバー部の周面に形成された注水口と、前記カバー部の前記注水口よりも後方側の内周に取り付けられ、前記ロッド部を前後方向に移動可能に支持すると共に、前記カバー部の内周と前記ロッド部の外周との間に介在して前記注水口から注入された清水を止水する清水止水パッキンと、前記カバー部の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船と、を具備し、前記水中カメラによって水中を撮影する水中撮影装置を用いて、泥水式シールド掘削機のチャンバー内を撮影する水中撮影方法であって、隔壁を貫通して配設され、止水栓によって止水された状態の配管に、前記水中撮影装置が挿入可能な開口を有し、前記カバー部の外周との間に介在して前記チャンバー内の泥水を止水する泥水止水パッキンが内周に取り付けられた挿入用延長管を接続する接続工程と、前記挿入用延長管に前記水中撮影装置を前端側から挿入した後、前記止水栓を開ける挿入工程と、前記配管を経由して前記水中撮影装置の前端を前記チャンバー内に移動させる移動工程と、前記注水口から清水を注入することで、前記風船を膨らませて撮影箇所に当接させる注水工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバー部で覆われた状態で水中カメラを移動させることができるため、濁水が充満した環境でも水中カメラ3を撮影箇所に安全に導くことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る水中撮影装置の構成例を示す側断面図である。
図2図1に示す水中撮影装置による側壁の撮影例を説明する説明図である。
図3図1に示す水中撮影装置による水底部の撮影例を説明する説明図である。
図4図1に示す水中撮影装置によるチャンバー内の撮影例を説明する説明図である。
図5図1に示す水中撮影装置によるチャンバー内の撮影例を説明する説明図である。
図6】本発明に係る水中撮影装置の他の構成例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態の水中撮影装置1は、図1を参照すると、ロッド部2、水中カメラ3と、カバー部4と、止水パッキン5と、風船6と、を備えている。図1において、(a)には撮影箇所への移動時の水中撮影装置1が、(b)には撮影時の水中撮影装置1がそれぞれ示されている。
【0011】
ロッド部2の前端には、水中カメラ3が固定されている。そして、ロッド部2は、固定された水中カメラ3を一体化して前後方向(軸方向)に移動可能な軸強度を有する鋼管、ファイバー管等の中空部を有する管部材である。ロッド部2の中空部には、水中カメラ3への電力の供給や、水中カメラ3から出力される映像信号の伝送に用いられるケーブル7が配線されている。
【0012】
水中カメラ3は、防水構造を有したビデオカメラやスチルカメラである。そして、水中カメラ3は、カバー部4の内周面と間隔をおいて、カバー部4の中空部に収容可能な大きさで構成されている。なお、水中カメラ3とカバー部4の内周面との間隔を確保するセンターライザ等の間隔保持部材を設けても良い。この場合、水中カメラ3やロッド部2に設け、水中カメラ3とカバー部4の内周面との接触を防止できる。
【0013】
カバー部4は、水中カメラ3を覆う円筒であり、後端側の内周には止水パッキン5が取り付けられていると共に、前端の開口を塞ぐように風船6が取り付けられている。例えば、風船6の口をカバー部4の前端開口を覆うように被せて、結束ベルト等のリング状の結束具で取り付けることができる。なお、カバー部4は、水中カメラ3を覆う筒状であれば、多角筒状や楕円筒状等であっても良く、断面形状に制限はない。
【0014】
カバー部4の止水パッキン5の取り付け位置よりも前方側周面には、注水口41が形成されている。従って、注水口41からカバー部4の中空部に向けて清水を注入することで、図1(b)に示すように、カバー部4の前端開口に取り付けられた風船6が膨らませることができる。なお、風船6は、膨らんだ状態で、撮影箇所と水中カメラ3との間に介在しても撮影の支障にならない程度の透明度を有する材質(例えば、ラテックスや特殊透明フィルム)で構成されている。
【0015】
止水パッキン5は、ロッド部2が挿入可能な開口を有するドーナッツ形状であり、カバー部4の内周面とロッド部2の外周面との間に介在し、カバー部4の後端側を止水すると共に、ロッド部2を前後方向に移動可能に支持するロッド支持部として機能する。従って、ロッド部2をカバー部4に対して相対的に前後方向に移動させることで、図1(a)に示すように、水中カメラ3の全体がカバー部4の中空部に収容された収容状態と、図1(b)に示すように、水中カメラ3の前方側の一部もしくは全部がカバー部4から突出した突出状態とを切り換え可能になっている。
【0016】
次に、水中撮影装置1を用いた濁水中の撮影方法について図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は、側壁の撮影例を、図3は、水底部の撮影例をそれぞれ示す。なお、本実施形態において、濁水とは、撮影箇所と水中カメラ3との間に介在することで撮影の支障になる程度の透明度を有する水であり、清水とは、撮影箇所と水中カメラ3との間に介在しても撮影の支障にならない程度の透明度を有する水である。
【0017】
まず、図2(a)及び図3(a)に示すように、収容状態の水中撮影装置1を前端側から濁水に沈め、風船6が取り付けられた前端を撮影箇所の近傍に移動させる。収容状態では、水中カメラ3の全体がカバー部4の中空部に収容されているため、障害物への水中カメラ3の接触が防止される。なお、撮影箇所までの移動中は、注水口41を解放しておくと良い。この場合には、水圧によって風船6が萎んでカバー部4の前端開口に押し込まれた状態となり、風船6が濁水中の障害物に接触することを防止できる。
【0018】
次に、注水口41からカバー部4の中空部に向けて清水を注入することで、図2(b)及び図3(b)に示すように、風船6を膨らませて、風船6を撮影箇所に当接させる。
【0019】
次に、ロッド部2をカバー部4に対して相対的に前方向に移動させ、水中カメラ3の前方側の一部もしくは全部がカバー部4から突出した突出状態に切り換える。突出状態では、水中カメラ3の前方側の一部もしくは全部がカバー部4から突出し、広範囲が撮影可能となる。なお、水中カメラ3の撮影方向には、特に制限はなく、例えば、図2に示すように、側方側であっても良く、図3に示すように、前方側であっても良い。また、水中カメラ3の撮影方向を撮影箇所との位置関係に応じて適宜設定可能に構成するとさらに良い。
【0020】
これにより、水中カメラ3と撮影箇所との間に介在する濁水が清水に置換された状態で撮影可能になる。
【0021】
次に、本実施形態の水中撮影装置1を用いて、泥水式シールド掘進機のチャンバー内を撮影する撮影方法について図4及び図5を参照して詳細に説明する。
【0022】
泥水式シールド掘進機のチャンバー11は、カッター12と隔壁13との間の泥水(濁水)を充満させる空間である。従って、チャンバー11の内部(カッター12の消耗状態等)を確認するためには、泥水(濁水)を抜き取ったチャンバー11内に人が侵入して直接確認を行っていた。
【0023】
本実施形態の水中撮影装置1を用いることで、チャンバー11の内部から泥水(濁水)を抜き取ることなく撮影が可能になる。チャンバー11の内部の撮影には、隔壁13を貫通して配設された既設配管14(例えば、注水用の配管)を用いる。
【0024】
まず、図4(a)に示すように、既設配管14に設けられた止水栓15を閉じた状態で、内周に止水パッキン16が取り付けられた挿入用延長管17を接続する。止水パッキン16は、水中撮影装置1(カバー部4)が挿入可能な開口を有するドーナッツ形状であり、挿入用延長管17の内周面とカバー部4の外周面との間に介在し、挿入用延長管17の解放端側を止水すると共に、カバー部4を前後方向に移動可能に支持するカバー支持部として機能する。また、挿入用延長管17には、排水栓18が設けられている。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、水中撮影装置1を前端側から挿入用延長管17に挿入した後、既設配管14の止水栓15を開ける。なお、止水栓15は、例えば、孔の空いた球形の弁体(ボール弁)によって流路を開閉するボールバルブで構成され、止水栓15を開けることで、カバー部4が貫通可能な一直線の流路が形成される。なお、水中撮影装置1の挿入時には、風船6をカバー部4の前端開口に押し込んだ状態で行うと、風船6が止水パッキン16に挟まることを防止できる。
【0026】
また、既設配管14への挿入用延長管17の接続は、挿入用延長管17に水中撮影装置1を前端側から挿入した状態で行うようにしても良い。この場合には、風船6を取り外した状態の水中撮影装置1を挿入用延長管17の止水パッキン16側から挿入した後に、風船6をカバー部4に取り付けることで、風船6が止水パッキン16に挟まることを防止できる。
【0027】
図4及び図5に示す水中撮影装置1のカバー部4には、排水栓42が設けられている。排水栓42は、例えば、ボールバルブで構成され、排水栓42を開けることで、カバー部4の周面を貫通する流路が形成される。
【0028】
次に、図5(a)に示すように、水中撮影装置1を押し込み、風船6が取り付けられた前端を既設配管14経由でチャンバー11内の撮影箇所の近傍に移動させる。なお、撮影箇所までの移動中は、注水口41や排水栓42を解放しておくと良い。この場合には、水圧によって風船6が萎んでカバー部4の前端開口に押し込まれた状態が維持され、風船6が既設配管14の止水栓15に絡まることを防止できる。
【0029】
次に、排水栓42を閉じた状態で、注水口41からカバー部4の中空部に向けて清水を注入することで、図5(b)に示すように、風船6を膨らませて、風船6を撮影箇所に当接させる。なお、カバー部4の中空部が清水で満たされるまで、排水栓42を開けた状態にしてカバー部4の中空部からエアを排気させ、その後に排水栓42を閉じるようにしても良い。この場合、清水のみで風船6をスムーズに膨らませることができる。なお、カバー部4の中空部からエアを排気させる際には、カバー部4を回転させて排水栓42をカバー部4の上側に位置させると良い。また、排水栓42とは異なるエア抜き用に排気栓を別途設けるようにしても良い。
【0030】
次に、ロッド部2をカバー部4に対して相対的に前方向に移動させ、水中カメラ3の前方側の一部もしくは全部がカバー部4から突出した突出状態に切り換える。突出状態では、水中カメラ3の前方側の一部もしくは全部がカバー部4から突出し、広範囲が撮影可能となる。
【0031】
これにより、チャンバー11に泥水(濁水)が充満していても、水中カメラ3と撮影箇所との間に介在する泥水(濁水)を清水に置換した状態で撮影可能になる。
【0032】
撮影終了後は、図5(b)に示すように、カバー部4の下側に位置させた排水栓42を開け、風船6内の清水を排水する。これにより、水中撮影装置1を既設配管14から引き抜くことができる。そして、止水栓15を閉じた後、排水栓18を開けて、カバー部4と挿入用延長管17との間から泥水(濁水)を排出する。これにより、水中撮影装置1を挿入用延長管17から引き抜くことができ、挿入用延長管17を既設配管14から取り外す。
【0033】
図6には、撮影箇所に清水を噴射する機能を備えた水中撮影装置1a、1bが示されている。水中撮影装置1aは、図6(a)を参照すると、上述の水中撮影装置1の構成に加え、注水口41から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射するノズル8がカバー部4に取り付けられている。これにより、ノズル8から噴射される清水で撮影箇所を洗浄することができる。例えば、チャンバー11内でカッター12を観察する場合、ノズル8から噴射される清水によってカッター12に付着した泥を除去することができ、カッター12の状態を正確に観察することが可能になる。
【0034】
また、水中撮影装置1bは、図6(b)を参照すると、注水口41から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射する開口61が形成された風船6aが、カバー部4の前端の開口を塞ぐように取り付けられている。これにより、開口61から噴射される清水で撮影箇所を洗浄することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態は、水中カメラ3によって水中を撮影する水中撮影装置1であって、前端に水中カメラ3が固定されたロッド部2と、水中カメラ3を覆う筒状のカバー部4と、カバー部4の周面に形成された注水口41と、カバー部4の注水口41よりも後方側の内周に取り付けられ、ロッド部2を前後方向に移動可能に支持すると共に、カバー部4の内周とロッド部2の外周との間に介在して注水口41から注入された清水を止水する止水パッキン5(清水止水パッキン)と、カバー部4の前端の開口を塞ぐように取り付けられた風船6とを備えている。
この構成により、カバー部4で覆われた状態で水中カメラ3を移動させることができるため、濁水が充満した環境でも水中カメラ3を撮影箇所に安全に導くことができる。
【0036】
さらに、本実施形態は、ロッド部2をカバー部4に対して相対的に前後方向に移動させることで、水中カメラ3の全体がカバー部4の中空部に収容可能である。
この構成により、全体がカバー部4の中空部に収容された収容状態で水中カメラ3を移動させることができるため、濁水が充満した環境でも水中カメラ3を撮影箇所にさらに安全に導くことができる。
【0037】
さらに、本実施形態において、カバー部4には、注水口41から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射するノズル8が取り付けられている。
この構成により、ノズル8から噴射される清水で撮影箇所を洗浄することができる。
【0038】
さらに、本実施形態において、風船6には、注水口41から注水された清水を撮影箇所に向けて噴射する開口61が形成されている。
この構成により、開口61から噴射される清水で撮影箇所を洗浄することができる。
【0039】
また、本実施形態は、水中撮影装置1、1a、1bを用いて、泥水式シールド掘削機のチャンバー11内を撮影する水中撮影方法であって、隔壁13を貫通して配設され、止水栓15によって止水された状態の既設配管14(配管)に、水中撮影装置1、1a、1b(カバー部4)が挿入可能な開口を有し、カバー部4の外周との間に介在してチャンバー11内の泥水を止水する止水パッキン16(泥水止水パッキン)が内周に取り付けられた挿入用延長管17を接続する接続工程と、入用延長管17に水中撮影装置1、1a、1b(カバー部4)を前端側から挿入した後、止水栓15を開ける挿入工程と、既設配管14経由で水中撮影装置1、1a、1b(カバー部4)の前端をチャンバー11内に移動させる移動工程と、注水口41から清水を注入することで、風船6を膨らませて撮影箇所に当接させる注水工程とを有する。
この構成により、チャンバー11に泥水(濁水)が充満していても、水中カメラ3をチャンバー11内に安全に導くことができ、水中カメラ3と撮影箇所との間に介在する泥水(濁水)を清水に置換した状態で撮影可能になる。
【0040】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0041】
1、1a、1b 水中撮影装置
2 ロッド部
3 水中カメラ
4 カバー部
5 止水パッキン
6、6a 風船
7 ケーブル
8 ノズル
11 チャンバー
12 カッター
13 隔壁
14 既設配管
15 止水栓
16 止水パッキン
17 挿入用延長管
18、42 排水栓
41 注水口
61 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6