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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】柱梁接合構造及び柱梁接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20230801BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E04B1/26 G
E04B1/58 505L
E04B1/58 508L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019181919
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2020079545
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2018187725
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1) 刊行物名:日本経済新聞 2019年7月19日付朝刊,第015頁 発行日:2019年7月19日 公開者:株式会社日本経済新聞社 (2) 刊行物名:建設通信新聞 2019年7月23日付朝刊,第1面、第3面 発行日:2019年7月23日 公開者:株式会社日刊建設通信新聞社 (3) 刊行物名:日刊建設工業新聞 2019年7月23日付朝刊,第1面、第3面 発行日:2019年7月23日 公開者:株式会社日刊建設工業新聞社 (4) 刊行物名:日刊工業新聞 2019年7月24日付朝刊,第24面 発行日:2019年7月24日 公開者:株式会社日刊工業新聞社 (5) 刊行物名:日刊木材新聞 2019年7月24日付朝刊,第1面 発行日:2019年7月24日 公開者:株式会社日刊木材新聞社 (6) 刊行物名:木材建材ウイクリー 2019年7月29日付 No.2216号,第7頁 発行日:2019年7月29日 公開者:株式会社日刊木材新聞社 (7) ウェブサイトの掲載日:2019年7月23日 ウェブサイトのアドレス:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20190723_1.html (8) ウェブサイトの掲載日:2019年7月18日 ウェブサイトのアドレス:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47473960Y9A710C1TJ3000/ (9) ウェブサイトの掲載日:2019年7月23日 ウェブサイトのアドレス:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1197525.html (10) ウェブサイトの掲載日:2019年8月5日 ウェブサイトのアドレス:https://www.housenews.jp/house/16560 (11) ウェブサイトの掲載日:2019年8月6日 ウェブサイトのアドレス:https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00154/00626/?ST
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 靖彦
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特許第6395013(JP,B1)
【文献】実開平06-006505(JP,U)
【文献】実開平05-062603(JP,U)
【文献】特開平10-219849(JP,A)
【文献】特開平05-148896(JP,A)
【文献】特開2015-014154(JP,A)
【文献】特開2015-014155(JP,A)
【文献】国際公開第2010/134033(WO,A1)
【文献】特開2010-116773(JP,A)
【文献】特開2010-024690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
前記柱は、
柱内側木質板材と、
前記柱内側木質板材を両面から挟む一対の柱外側木質板材と、
各々の前記柱外側木質板材を前記柱内側木質板材と共に各々挟む一対の柱最外側木質板材と、
を有し、
前記梁は、
梁内側木質板材と、
前記梁内側木質板材を両面から挟む一対の梁外側木質板材と、
を有し、
前記梁内側木質板材は、前記柱内側木質板材により左梁内側木質板材と右梁内側木質板材とに分断されており、
前記柱外側木質板材は、前記梁外側木質板材により上柱外側木質板材と下柱外側木質板材とに分断されて柱と梁とが接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁外側木質板材は、長手方向と交差する高さ方向に沿う繊維方向の比率が15~100%である、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項3】
請求項1に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁外側木質板材は、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板を積層して接着したLVLである、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項4】
請求項1に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁外側木質板材は、繊維方向が長手方向に沿う単板と、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板とを積層して接着したLVB、LVLB種、合板、又は、繊維方向が交差するようにLVLを積層したLVL積層体であり、
前記柱内側木質板材、前記柱外側木質板材、前記柱最外側木質板材、及び、前記梁内側木質板材は、繊維方向がそれぞれの長手方向に沿っている、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の柱梁接合構造であって、
前記梁外側木質板材は、長手方向に隣り合う第1板材と第2板材を有し、
前記第1板材と前記第2板材とがフィンガージョイント接合されている、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の柱梁接合構造であって、
互いに隣り合う前記柱に各々接合されている前記梁間には、介装梁が接合されており、
前記介装梁は、繊維方向が長手方向に沿う介装梁内側木質板材と、前記介装梁内側木質板材を両面から挟み繊維方向が長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材と、を有し、
前記一対の介装梁外側木質板材は、前記介装梁内側木質板材よりも長手方向に突出する一対の介装梁外側突出部を有し、
前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記梁内側木質板材が前記一対の梁外側木質板材よりも突出する梁内側突出部を有しており、
前記一対の介装梁外側突出部により両側から挟まれた前記梁内側突出部と、前記介装梁外側突出部とが接合されている、
または、
前記介装梁内側木質板材は、前記一対の介装梁外側木質板材よりも長手方向に突出する介装梁内側突出部を有し、
前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記一対の梁外側木質板材が前記梁内側木質板材よりも突出する一対の梁外側突出部を有しており、
前記一対の梁外側突出部により両側から挟まれた前記介装梁内側突出部と、前記一対の梁外側突出部とが接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の柱梁接合構造の柱梁接合方法であって、
前記柱内側木質板材と、前記梁内側木質板材と、を接合する内側木質板材接合ステップと、
前記梁内側木質板材に前記梁外側木質板材を重ねて接合する梁外側木質板材接合ステップと、
前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材を前記柱内側木質板材に重ねると共に前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材を前記梁外側木質板材に当接させて接合する柱外側木質板材接合ステップと、
前記柱最外側木質板材を、前記上柱外側木質板材と前記下柱外側木質板材とに亘らせると共に前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材に重ねて接合する柱最外側木質板材接合ステップと、
を有することを特徴とする柱梁接合方法。
【請求項8】
柱と梁とが接合されている柱梁接合構造であって、
前記柱は、
柱内側木質板材と、
前記柱内側木質板材を両面から挟む一対の柱外側木質板材と、
を有し、
前記梁は、
梁内側木質板材と、
前記梁内側木質板材を両面から挟む一対の梁外側木質板材と、
を有し、
前記柱内側木質板材は、前記梁内側木質板材により上柱内側木質板材と下柱内側木質板材とに分断されており、
前記梁外側木質板材は、前記柱外側木質板材により左梁外側木質板材と右梁外側木質板材とに分断されて柱と梁とが接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項9】
請求項8に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁内側木質板材は、長手方向と交差する高さ方向に沿う繊維方向の比率が15~100%である、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項10】
請求項8に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁内側木質板材は、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板を積層して接着したLVLである、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項11】
請求項8に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁内側木質板材は、繊維方向が長手方向に沿う単板と、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単版とを積層して接着したLVB、LVLB種、合板、又は、繊維方向が交差するようにLVLを積層したLVL積層体であり、
前記柱内側木質板材、前記柱外側木質板材、及び、前記梁外側木質板材は、繊維方向がそれぞれの長手方向に沿っている、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項12】
請求項8乃至請求項11の何れかに記載の柱梁接合構造であって、
前記梁内側木質板材は、長手方向に隣り合う第1板材と第2板材を有し、
前記第1板材と前記第2板材とがフィンガージョイント接合されている、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項13】
請求項8乃至請求項12の何れかに記載に記載の柱梁接合構造であって、
互いに隣り合う前記柱に各々接合されている前記梁間には、介装梁が接合されており、
前記介装梁は、繊維方向が長手方向に沿う介装梁内側木質板材と、前記介装梁内側木質板材を両面から挟み繊維方向が長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材と、を有し、
前記介装梁内側木質板材は、前記一対の介装梁外側木質板材よりも長手方向に突出する介装梁内側突出部を有し、
前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記一対の梁外側木質板材が前記梁内側木質板材よりも突出する一対の梁外側突出部を有しており、
前記一対の梁外側突出部により両側から挟まれた前記介装梁内側突出部と、前記一対の梁外側突出部とが接合されている、
または、
前記一対の介装梁外側木質板材は、前記介装梁内側木質板材よりも長手方向に突出する一対の介装梁外側突出部を有し、
前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記梁内側木質板材が前記一対の梁外側木質板材よりも突出する梁内側突出部を有しており、
前記一対の介装梁外側突出部により両側から挟まれた前記梁内側突出部と、前記一対の介装梁外側突出部とが接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項14】
請求項8乃至請求項13の何れかに記載の柱梁接合構造の柱梁接合方法であって、
前記柱外側木質板材と、前記梁外側木質板材と、を接合して柱梁外側接合木質板材を製造する柱梁外側接合木質板材製造ステップと、
前記柱梁外側接合木質板材に、前記梁内側木質板材を重ねて接合する梁内側木質板材接合ステップと、
前記上柱内側木質板材及び前記下柱内側木質板材を、前記柱梁外側接合木質板材の前記柱外側木質板材に重ねると共に前記梁内側木質板材に当接させて接合する柱内側木質板材接合ステップと、
前記柱梁外側接合木質板材に接合された前記上柱内側木質板材、前記下柱内側木質板材、及び、前記柱梁外側接合木質板材に、前記柱梁外側接合木質板材とは異なる他の柱梁外側接合木質板材を重ねて接合する柱梁外側接合木質板材接合ステップと、
を有することを特徴とする柱梁接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱と梁とを接合する柱梁接合構造及び柱梁接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱と梁とを接合する柱梁接合構造としては、例えば、木材や集成材などからなる柱部材と梁部材とを、柱部材の上部と梁部材の端部間に、それぞれ、金属製の接合部材を介してドリフトピンがねじ込まれて直角に接合されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。木材や集成材などの柱部材や梁部材は、長手方向を木の繊維方向に沿わせて製造されている。すなわち、繊維方向が上下方向に沿う柱部材の側面と、柱部材と直交する水平方向に繊維方向が沿う梁部材の端面とが接合部材を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-97483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
木材や集成材などからなる柱部材や梁部材は、繊維方向には強度・剛性が高いが、繊維方向以外は、強度・剛性が低い。このため、上記従来の柱梁接合構造のように、繊維方向が上下方向に沿う柱部材の側面に、柱部材と直交する水平方向に繊維方向が沿う梁部材を接合すると、梁の曲げモーメントにより柱部材の側面に支圧が作用し、梁部材の端が柱部材の側面にめり込むなどして柱部材が損傷を受ける虞がある。また、柱部材の側面に設けたガセットプレート等の鉄板を介して梁部材とドリフトピン等により接合すると、鉄板に設けた開口とドリフトピン等との間に生じる隙間により、初期剛性が低く、残留変形が生じやすい。このため、強度・剛性の高い仕口の実現が難しいという課題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造及び柱梁接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の柱梁接合構造は、柱と梁とが接合されている柱梁接合構造であって、前記柱は、柱内側木質板材と、前記柱内側木質板材を両面から挟む一対の柱外側木質板材と、各々の前記柱外側木質板材を前記柱内側木質板材と共に各々挟む一対の柱最外側木質板材と、を有し、前記梁は、梁内側木質板材と、前記梁内側木質板材を両面から挟む一対の梁外側木質板材と、を有し、前記梁内側木質板材は、前記柱内側木質板材により左梁内側木質板材と右梁内側木質板材とに分断されており、前記柱外側木質板材は、前記梁外側木質板材により上柱外側木質板材と下柱外側木質板材とに分断されて柱と梁とが接合されていることを特徴とする。
【0006】
このような柱梁接合構造によれば、柱と梁との接合部において、柱が梁を分断している部位(所謂、柱勝ち)と、梁が柱を分断している部位(所謂、梁勝ち)が混在しているため、初期剛性が高く、残留変形が生じにくい。これにより、梁の端が柱の側面にめり込むことを抑制でき、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0007】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁外側木質板材は、長手方向と交差する高さ方向に沿う繊維方向の比率が15~100%であることが望ましい。
【0008】
このような柱梁接合構造によれば、梁外側木質板材の繊維方向の少なくとも一部が、柱外側木質板材の長手方向(繊維方向)と同じ方向になる。このため、梁の曲げモーメントは、柱外側木質板材の分断されている部位に、分断している梁外側木質板材から柱に支圧として作用するので、梁の端が柱にめり込むなどの損傷は生じ難い。このとき、梁外側木質板材からの支圧が作用する部位は柱の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。また、梁外側木質板材の全ての繊維方向が長手方向に沿っている場合と比べて、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めることができる。
【0009】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁外側木質板材は、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板を積層して接着したLVLであってもよい。
【0010】
このような柱梁接合構造によれば、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性をより高めることができる。
【0011】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁外側木質板材は、繊維方向が長手方向に沿う単板と、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板とを積層して接着したLVB、LVLB種、合板、又は、繊維方向が交差するようにLVLを積層したLVL積層体であり、前記柱内側木質板材、前記柱外側木質板材、前記柱最外側木質板材、及び、前記梁内側木質板材は、繊維方向がそれぞれの長手方向に沿っていてもよい。
【0012】
このような柱梁接合構造によれば、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めるとともに、ボルト、綴り材、ドリフトピン等を打ち込んだ際に、割れにくくすることができる。また、一対の柱外側木質板材に挟まれている柱内側木質板材、及び、柱最外側木質板材は、繊維方向が一対の柱外側木質板材と同じなので、柱の高い強度を確保することが可能であり、仕口の強度・剛性を高めることができる。
【0013】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁外側木質板材は、長手方向に隣り合う第1板材と第2板材を有し、前記第1板材と前記第2板材とがフィンガージョイント接合されていることが望ましい。
【0014】
このような柱梁接合構造によれば、梁外側木質板材の長手方向の長さを所望の長さにすることができる。
【0015】
かかる柱梁接合構造であって、互いに隣り合う前記柱に各々接合されている前記梁間には、介装梁が接合されており、前記介装梁は、繊維方向が長手方向に沿う介装梁内側木質板材と、前記介装梁内側木質板材を両面から挟み繊維方向が長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材と、を有し、前記一対の介装梁外側木質板材は、前記介装梁内側木質板材よりも長手方向に突出する一対の介装梁外側突出部を有し、前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記梁内側木質板材が前記一対の梁外側木質板材よりも突出する梁内側突出部を有しており、前記一対の介装梁外側突出部により両側から挟まれた前記梁内側突出部と、前記介装梁外側突出部とが接合されている、または、前記介装梁内側木質板材は、前記一対の介装梁外側木質板材よりも長手方向に突出する介装梁内側突出部を有し、前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記一対の梁外側木質板材が前記梁内側木質板材よりも突出する一対の梁外側突出部を有しており、前記一対の梁外側突出部により両側から挟まれた前記介装梁内側突出部と、前記一対の梁外側突出部とが接合されていることを特徴とする。
【0016】
このような柱梁接合構造によれば、間隔がより広い柱間に梁を掛け渡すことが可能である。
【0017】
また、上記柱梁接合構造の柱梁接合方法であって、前記柱内側木質板材と、前記梁内側木質板材と、を接合する内側木質板材接合ステップと、前記梁内側木質板材に前記梁外側木質板材を重ねて接合する梁外側木質板材接合ステップと、前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材を前記柱内側木質板材に重ねると共に前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材を前記梁外側木質板材に当接させて接合する柱外側木質板材接合ステップと、前記柱最外側木質板材を、前記上柱外側木質板材と前記下柱外側木質板材とに亘らせると共に前記上柱外側木質板材及び前記下柱外側木質板材に重ねて接合する柱最外側木質板材接合ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
このような柱梁接合方法によれば、柱と梁とを容易に接合することが可能である。また、梁の曲げモーメントは、柱外側木質板材の分断されている部位に、分断している梁外側木質板材から柱の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁の端が柱にめり込むなどの損傷は生じ難いように柱と梁とを接合することが可能である。また、柱及び梁を構成する木質板材を施工現場で積層しつつ柱梁をなすように接合することが可能なので、工場等にて接合した部材を現場に搬入する必要がない。また、大型のクレーン等が必要ないため容易に接合することが可能である。
【0019】
また、このように接合された柱梁の接合部は、梁外側木質板材からの支圧が作用する部位は柱の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。また、梁の一対の梁外側木質板材は一対の柱外側木質板材を分断しているので、柱と梁との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。このため、仕口の強度・剛性をより高く柱と梁とを接合することが可能である。
【0020】
また、かかる目的を達成するために本発明の柱梁接合構造は、柱と梁とが接合されている柱梁接合構造であって、前記柱は、柱内側木質板材と、前記柱内側木質板材を両面から挟む一対の柱外側木質板材と、を有し、前記梁は、梁内側木質板材と、前記梁内側木質板材を両面から挟む一対の梁外側木質板材と、を有し、前記柱内側木質板材は、前記梁内側木質板材により上柱内側木質板材と下柱内側木質板材とに分断されており、前記梁外側木質板材は、前記柱外側木質板材により左梁外側木質板材と右梁外側木質板材とに分断されて柱と梁とが接合されていることを特徴とする。
【0021】
このような柱梁接合構造によれば、柱と梁との接合部において、柱が梁を分断している部位(所謂、柱勝ち)と、梁が柱を分断している部位(所謂、梁勝ち)が混在しているため、初期剛性が高く、残留変形が生じにくい。これにより、梁の端が柱の側面にめり込むことを抑制でき、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0022】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁内側木質板材は、長手方向と交差する高さ方向に沿う繊維方向の比率が15~100%であることが望ましい。
【0023】
このような柱梁接合構造によれば、梁内側木質板材の繊維方向の少なくとも一部が、柱内側木質板材の長手方向(繊維方向)と同じ方向になる。このため、梁の曲げモーメントは、柱内側木質板材の分断されている部位に、分断している梁内側木質板材から柱に支圧として作用するので、梁の端が柱にめり込むなどの損傷は生じ難い。このとき、梁内側木質板材からの支圧が作用する部位は柱の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。また、梁内側木質板材の全ての繊維方向が長手方向に沿っている場合と比べて、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めることができる。
【0024】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁内側木質板材は、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単板を積層して接着したLVLであってもよい。
【0025】
このような柱梁接合構造によれば、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性をより高めることができる。
【0026】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁内側木質板材は、繊維方向が長手方向に沿う単板と、繊維方向が長手方向と交差する高さ方向に沿う単版とを積層して接着したLVB、LVLB種、合板、又は、繊維方向が交差するようにLVLを積層したLVL積層体であり、前記柱内側木質板材、前記柱外側木質板材、及び、前記梁外側木質板材は、繊維方向がそれぞれの長手方向に沿っていてもよい。
【0027】
このような柱梁接合構造によれば、柱の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めるとともに、ボルト、綴り材、ドリフトピン等を打ち込んだ際に、割れにくくすることができる。また、柱内側木質板材を挟んでいる一対の柱外側木質板材は、繊維方向が柱内側木質板材と同じなので、柱の高い強度を確保することが可能であり、仕口の強度・剛性を高めることができる。
【0028】
かかる柱梁接合構造であって、前記梁内側木質板材は、長手方向に隣り合う第1板材と第2板材を有し、前記第1板材と前記第2板材とがフィンガージョイント接合されていることが望ましい。
【0029】
このような柱梁接合構造によれば、梁内側木質板材の長手方向の長さを所望の長さにすることができる。
【0030】
かかる柱梁接合構造であって、互いに隣り合う前記柱に各々接合されている前記梁間には、介装梁が接合されており、前記介装梁は、繊維方向が長手方向に沿う介装梁内側木質板材と、前記介装梁内側木質板材を両面から挟み繊維方向が長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材と、を有し、前記介装梁内側木質板材は、前記一対の介装梁外側木質板材よりも長手方向に突出する介装梁内側突出部を有し、前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記一対の梁外側木質板材が前記梁内側木質板材よりも突出する一対の梁外側突出部を有しており、前記一対の梁外側突出部により両側から挟まれた前記介装梁内側突出部と、前記一対の梁外側突出部とが接合されている、または、前記一対の介装梁外側木質板材は、前記介装梁内側木質板材よりも長手方向に突出する一対の介装梁外側突出部を有し、前記梁は、前記柱とは反対側の端部に、前記梁内側木質板材が前記一対の梁外側木質板材よりも突出する梁内側突出部を有しており、前記一対の介装梁外側突出部により両側から挟まれた前記梁内側突出部と、前記一対の介装梁外側突出部とが接合されていることを特徴とする。
【0031】
このような柱梁接合構造によれば、間隔がより広い柱間に梁を掛け渡すことが可能である。
【0032】
また上記柱梁接合構造の柱梁接合方法であって、前記柱外側木質板材と、前記梁外側木質板材と、を接合して柱梁外側接合木質板材を製造する柱梁外側接合木質板材製造ステップと、前記柱梁外側接合木質板材に、前記梁内側木質板材を重ねて接合する梁内側木質板材接合ステップと、前記上柱内側木質板材及び前記下柱内側木質板材を、前記柱梁外側接合木質板材の前記柱外側木質板材に重ねると共に前記梁内側木質板材に当接させて接合する柱内側木質板材接合ステップと、前記柱梁外側接合木質板材に接合された前記上柱内側木質板材、前記下柱内側木質板材、及び、前記柱梁外側接合木質板材に、前記柱梁外側接合木質板材とは異なる他の柱梁外側接合木質板材を重ねて接合する柱梁外側接合木質板材接合ステップと、を有することを特徴とする。
【0033】
このような柱梁接合方法によれば、柱と梁とを容易に接合することが可能である。また、梁の曲げモーメントは、柱内側木質板材の分断されている部位に、分断している梁内側木質板材から柱の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁の端が柱にめり込むなどの損傷は生じ難いように柱と梁とを接合することが可能である。また、柱及び梁を構成する木質板材を施工現場で積層しつつ柱梁をなすように接合することが可能なので、工場等にて接合した部材を現場に搬入する必要がない。また、大型のクレーン等が必要ないため容易に接合することが可能である。
【0034】
また、このように接合された柱梁の接合部は、梁内側木質板材からの支圧が作用する部位は柱の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。また、梁の梁内側木質板材は柱内側木質板材を分断しているので、柱と梁との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。このため、仕口の強度・剛性をより高く柱と梁とを接合することが可能である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造及び柱梁接合方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態に係る柱梁接合構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る柱梁接合構造を示す横断面図である。
図3】第1実施形態に係る柱梁接合構造の構成を示す分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係る柱梁接合構造において隣り合う柱に設けられている梁間に接合される介装梁との接合構造を示す斜視図である。
図5】第1実施形態の柱梁接合構造における柱と梁の接合方法を示す図である。
図6】梁外側木質板材21の構成例の説明図である。
図7】第2実施形態に係る柱梁接合構造を示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係る柱梁接合構造を示す横断面図である。
図9】第2実施形態に係る柱梁接合構造の構成を示す分解斜視図である。
図10】第2実施形態に係る柱梁接合構造において隣り合う柱に設けられている梁間に接合される介装梁との接合構造を示す斜視図である。
図11】第2実施形態の柱梁接合構造における柱と梁の接合方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
===第1実施形態===
以下、本発明に係る柱梁接合構造及び柱梁接合方法を、図を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る柱梁接合構造を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る柱梁接合構造を示す横断面図である。図3は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の構成を示す分解斜視図である。
【0038】
第1実施形態の柱梁接合構造により接合される柱1及び梁2は、図1図2に示すように、断面が略矩形状をなし、製材、集成材、LVL等の板状をなす3枚または5枚の木質板材が積層され、積層されている積層方向に、例えばシネジック株式会社製パネリード(登録商標)ビス等の綴り材3が貫入されて一体化されている。尚、図面では、積層された木質板材を綴る全ての綴り材及び柱と梁とを接合する全ての綴り材を示すと図面が不明瞭となるため綴り材3は一部のみを示すものとする。
【0039】
以下の説明においては、柱1を構成する5枚の木質板材のうちの真ん中に配置される木質板材を柱内側木質板材10と称し、柱内側木質板材10を両面から挟む一対の木質板材を柱外側木質板材11と称し、一対の柱外側木質板材11を柱内側木質板材10とともに挟む木質板材を柱最外側木質板材12と称することとする。また、梁2を構成する3枚の木質板材のうちの真ん中に配置される木質板材を梁内側木質板材20と称し、梁内側木質板材20を両面から挟む一対の木質板材を梁外側木質板材21と称することとする。第1実施形態においては、柱1を構成する5枚の木質板材及び梁2を構成する3枚の木質板材はいずれも、複数の単板の繊維方向を揃えて積層し接着した単板積層材であり、各木質板材にはLVLが使用されている。
【0040】
なお、柱1や梁2を構成している各木質板材(木材)は、異方性の強い材料であり、繊維方向には強度・剛性が高く、繊維方向以外は、強度・剛性が低いことが知られている。例えば、カラマツの120Eの板材の場合、繊維方向の圧縮強度が30N/mm(日本建築学会「木質構造設計規準・同解説」の第406頁の資料表3.1参照)であるのに対し、繊維方向と直交する方向(直交方向)の圧縮強度は3N/mm(「木質構造設計規準・同解説」の第405頁の資料表2.6参照)である。すなわち、この場合、繊維方向の圧縮強度は、直交方向の圧縮強度の約10倍である。
【0041】
また、以下の説明においては、柱1が鉛直に立てられている状態で、上下となる方向を上下方向、柱1を構成する木質板材が積層されている方向を柱積層方向、柱積層方向と直交する水平方向を柱幅方向として示す。また、図面において、貫入されている綴り材3を示す場合には、太い破線で示すものとする。また、各木質板材の繊維方向を、各々の木質板材表面に矢印にて示している。
【0042】
まず、本発明に係る柱梁接合構造の第1実施形態を、鉛直に立てられた柱1に対し、柱幅方向に沿って柱1の両側に梁2が接合されている柱梁接合構造を例に挙げて説明する。
【0043】
柱幅方向に沿って柱1の両側に2本の梁2が接合される場合には、図1図3に示すように、柱1を構成する柱内側木質板材10、一対の柱外側木質板材11及び一対の柱最外側木質板材12はいずれも繊維が上下方向に沿っている。柱1を構成する柱内側木質板材10には、梁2が接合される位置に、水平方向及び柱内側木質板材10の面内方向に沿って貫通する柱開孔10aが形成されている。
【0044】
梁2を構成する梁内側木質板材20は、繊維方向が梁2の長手方向に沿っており、一対の梁外側木質板材21は、繊維方向が梁2の長手方向と直交する高さ方向に沿っている。ここで、梁外側木質板材21の繊維方向を高さ方向に沿わせているのは、梁2の曲げモーメントが、柱1の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁2の端部が柱1にめり込むなどの損傷を生じ難くするためである。また、柱1の鉛直方向の荷重に対しての強度・剛性を高めるためである。なお、繊維方向を高さ方向に沿うようにすることで、材長(長手方向の長さ)が不足する場合、2つのLVL材(第1板材、第2板材に相当)をフィンガージョイントにより接合して用いればよい(図2図3図6参照)。
【0045】
梁内側木質板材20は、矩形状に切断された一方の端面が、柱内側木質板材10の側面に当接されており、梁2の長手方向に沿い、梁内側木質板材20と柱内側木質板材10とに亘る鋼棒4により接合されている。このため、柱内側木質板材10により分断されている2つの梁内側木質板材20(左梁内側木質板材200と右梁内木質板材201)には、柱1側の端面から梁2の長手方向に沿う梁開孔20aが各々設けられており、柱内側木質板材10には、柱内側木質板材10の柱幅方向に沿う柱開孔10aが設けられている。
【0046】
梁開孔20aと柱開孔10aとは、柱内側木質板材10と2つの梁内側木質板材20が接合されたときに、繋がる位置に設けられており、鋼棒4は、梁開孔20aと柱開孔10aとに亘るように配置されて接着剤により接着されている。本実施形態においては、柱内側木質板材10を幅方向に貫通し両側に突出する鋼棒4の両端側の部位が、柱内側木質板材10の両側に接合される2つの梁内側木質板材20に挿通されて接着されている。
【0047】
一対の梁外側木質板材21は、柱内側木質板材10の両側に接合された2つの梁内側木質板材20と積層方向に重ねられるとともに、綴り材3により柱内側木質板材10及び2つの梁内側木質板材20と接合されている。このとき、一対の梁外側木質板材21のフィンガージョイントにより接合されている、長手方向における中央部が、柱内側木質板材10の幅方向における中央に位置するように配置されている。また、一対の梁外側木質板材21と梁内側木質板材20とが接合された梁2における、柱1とは反対側の端部は、梁内側木質板材20が一対の梁外側木質板材21よりも突出する梁内側突出部2aを有している。
【0048】
一対の柱外側木質板材11は、梁外側木質板材21により、上側に配置される上柱外側木質板材11aと下側に配置される下柱外側木質板材11bとに分断されている。上柱外側木質板材11a及び下柱外側木質板材11bは、いずれも柱内側木質板材10と積層方向に重ねられるとともに、上柱外側木質板材11aは、下面が梁外側木質板材21の上面に当接されており、下柱外側木質板材11bは、上面が梁外側木質板材21の下面に当接されて、綴り材3により柱内側木質板材10と接合されている。
【0049】
一対の柱最外側木質板材12は、柱内側木質板材10と接合された上柱外側木質板材11aから下柱外側木質板材11bに亘って積層方向に重なると共に、上柱外側木質板材11a、下柱外側木質板材11b、及び、梁外側木質板材21と綴り材3により接合されている。すなわち、一対の柱最外側木質板材12は、柱内側木質板材10とともに上柱外側木質板材11a、下柱外側木質板材11b、及び、梁外側木質板材21を挟んで接合されている。
【0050】
第1実施形態の柱梁接合構造によれば、柱内側木質板材10を両面から挟む一対の柱外側木質板材11が、柱内側木質板材10を両面から挟む一対の梁外側木質板材21に分断された状態で、柱1と梁2とが接合されている。すなわち、柱1と梁2との接合部において、柱1が梁2を分断している部位(所謂、柱勝ち)と、梁2が柱1を分断している部位(所謂、梁勝ち)が混在している。このため、初期剛性が高く、残留変形が生じにくい。よって、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0051】
また、柱外側木質板材11の繊維方向と、梁外側木質板材21の繊維方向とは、同じ方向である。このため、梁2の曲げモーメントは、柱外側木質板材11の分断されている部位に、分断している梁外側木質板材21から柱1の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁2の端が柱1にめり込むなどの損傷は生じ難い。このとき、梁外側木質板材21からの支圧が作用する部位は柱1の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。また、梁外側木質板材21の繊維方向が長手方向に沿っている場合と比べて、柱1の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めることができる。
【0052】
また、梁2の一対の梁外側木質板材21は一対の柱外側木質板材11を分断して、上柱外側木質板材11aの下面が梁外側木質板材21の上面に、下柱外側木質板材11bの上面が梁外側木質板材21の下面に、それぞれ当接されているので、柱1と梁2との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。更に、一対の柱外側木質板材11に挟まれている柱内側木質板材10、及び、柱最外側木質板材12は、繊維方向が一対の柱外側木質板材11と同じなので、柱の高い強度を確保することが可能である。このため、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0053】
図4は、第1実施形態に係る柱梁接合構造において隣り合う柱1に設けられている梁2間に接合される介装梁5との接合構造を示す斜視図である。
第1実施形態の柱梁接合構造により梁2が接合された柱1が、適宜間隔を隔てて複数設けられており、互いに隣り合う柱1に各々接合されている梁2間には、図4に示すように、介装梁5が接合される。介装梁5は、繊維方向が当該介装梁5の長手方向に沿う介装梁内側木質板材50と、介装梁内側木質板材50を両面から挟み繊維方向が当該介装梁5の長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材51と、を有している。
【0054】
介装梁5は、一対の介装梁外側木質板材51が介装梁内側木質板材50よりも介装梁5の長手方向に突出する介装梁外側突出部51aを有している。そして、梁2と介装梁5とは、介装梁外側突出部51aにより梁内側突出部2aが両側から挟まれた状態で綴り材3により接合されている。
【0055】
すなわち、柱1と接合される梁2は、梁外側木質板材21の繊維方向が柱1の繊維方向と同じ方向を向いているので、柱1と梁2との仕口が高い強度・剛性を備えており、互いに隣り合う柱1と接合された梁2間に接合される介装梁5は、介装梁内側木質板材50及び介装梁内側木質板材50を両面から挟む一対の介装梁外側木質板材51が、いずれも梁に適した水平方向に沿っているので、介装梁5を掛け渡すことにより、隣り合う柱1の間隔を広くすることが可能である。本実施形態においては、介装梁5が有する一対の介装梁外側突出部51aにより梁内側突出部2aが両側から挟まれた状態で綴り材3により接合されている梁2と介装梁5との接合構造を例に挙げて説明したが、これに限らず、一対の梁外側突出部により介装梁内側突出部が両側から挟まれた状態で綴り材により接合されていても構わない。
【0056】
図5は、第1実施形態の柱梁接合構造における柱1と梁2の接合方法を示す図である。
第1実施形態の柱梁接合構造の柱梁接合方法は、図5に示すように、まず、施工現場において、柱内側木質板材10の面内方向となる柱幅方向に設けられている柱開孔10aに鋼棒4を柱幅方向における一方側から挿通させて両側に各々突出させ、この柱開孔10aと、2本の梁2の梁内側木質板材20の梁開孔20aとに接着剤を注入した状態で、梁開孔20a内に鋼棒4を挿入しつつ各梁内側木質板材20を柱内側木質板材10に当接させる(内側木質板材接合ステップS1)。このとき、柱開孔10aと2つの梁開孔20aとが繋がった空間を形成し、空間内には梁内側木質板材20と柱内側木質板材10とに亘る鋼棒4が収容され接着剤により接着される。梁内側木質板材20と柱内側木質板材10とに亘って内在する鋼棒4の接着により2つの梁内側木質板材20と柱内側木質板材10とが仮接合される。この状態で、柱内側木質板材10の繊維方向は上下方向に沿い、梁内側木質板材20の繊維方向は水平方向に沿っている。
【0057】
次に、柱内側木質板材10と2つの梁内側木質板材20とが仮接合された2つの梁内側木質板材20に梁外側木質板材21を積層方向に重ね、柱積層方向から綴り材3を貫入して柱内側木質板材10及び2つの梁内側木質板材20と梁外側木質板材21とを接合する(梁外側木質板材接合ステップS2)。接合された梁内側木質板材20における柱内側木質板材10とは反対側の端部は、梁外側木質板材21における柱内側木質板材10とは反対側の端部よりも突出している。
【0058】
次に、接合された梁外側木質板材21の上面に、上柱外側木質板材11aの下面を当接させると共に当該上柱外側木質板材11aを柱内側木質板材10と積層方向に重ねて配置し、梁外側木質板材21の下面に、下柱外側木質板材11bの上面を当接させると共に当該下柱外側木質板材11bを柱内側木質板材10と積層方向に重ねて配置し、積層方向から綴り材3を貫入して柱内側木質板材10と上柱外側木質板材11a及び下柱外側木質板材11bとを接合する(柱外側木質板材接合ステップS3)。このとき、梁外側木質板材21の繊維方向は、上下方向に沿っているので、柱内側木質板材10、上柱外側木質板材11a、及び、下柱外側木質板材11bの繊維方向と一致している。
【0059】
次に、柱内側木質板材10と接合された上柱外側木質板材11a及び下柱外側木質板材11bの、柱内側木質板材10とは反対側に、上柱外側木質板材11aから下柱外側木質板材11bに亘るように柱最外側木質板材12を上柱外側木質板材11a及び下柱外側木質板材11bに重ね合わせて配置し、積層方向から綴り材3を貫入して柱最外側木質板材12と上柱外側木質板材11a、下柱外側木質板材11b、及び、梁外側木質板材21とを接合する(柱最外側木質板材接合ステップS4)。
【0060】
柱外側木質板材接合ステップS3及び柱最外側木質板材接合ステップS4を、仮接合された柱内側木質板材10と2つの梁内側木質板材20とにおける両面側にて、行うことにより第1実施形態の柱梁接合構造となる。このとき、製造工程の順序は、柱内側木質板材10の一方の面側にて、梁外側木質板材接合ステップS2、柱外側木質板材接合ステップS3、柱最外側木質板材接合ステップS4を順に行った後に、柱内側木質板材10の他方の面側にて、梁外側木質板材接合ステップS2、柱外側木質板材接合ステップS3、柱最外側木質板材接合ステップS4を順に行ってもよいし、或いは、内側木質板材接合ステップS1の後に、柱内側木質板材10の両面側にて梁外側木質板材接合ステップS2、柱外側木質板材接合ステップS3を順に行った後に、柱内側木質板材10の両面側にて柱最外側木質板材接合ステップS4を行ってもよい。
【0061】
第1実施形態の柱梁接合方法によれば、柱1と梁2とを容易に接合することが可能である。また、梁2の曲げモーメントは、上柱外側木質板材11aの下面及び下柱外側木質板材11bの上面が当接された梁外側木質板材21から柱1の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁2の端が柱1にめり込むなどの損傷が生じ難いように柱1と梁2とを接合することが可能である。
【0062】
また、柱1及び梁2を構成する木質板材10、11、12、20、21、を施工現場で積層しつつ柱梁をなすように接合することが可能なので、工場等にて接合した部材を現場に搬入する必要がない。また、大型のクレーン等が必要ないため容易に接合することが可能である。また、このように接合された柱梁の接合部は、梁2の一対の梁外側木質板材21が一対の柱外側木質板材11における上柱外側木質板材11aの下面及び下柱外側木質板材11bの上面に当接されているので、柱1と梁2との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。このため、仕口の強度・剛性をより高く柱1と梁2とを接合することが可能である。
【0063】
なお、前述の実施形態では、梁外側木質板材21がLVLで構成されており、繊維方向が全て高さ方向に沿っていたが、これには限られず、少なくとも一部の繊維方向が高さ方向に沿っていればよい。
【0064】
図6は、梁外側木質板材21の構成例の説明図である。なお、図6に示す単板は、円柱形状の木材を、皮をむく要領で薄くむいていく手法(桂剥き)により形成されている。そして、複数の単板を積層して接着している。このとき単板の向きの設定により、図6に示すようなLVL、LVB、LVLB種、合板が形成される。また、図6に示すように、薄いLVLを、向きを変えて(繊維方向を直交させて)積層してもよい(LVL積層体に相当)。
【0065】
このような部材を用いて梁外側木質板材21を構成してもよい(図6の下段参照)。長手方向の長さが足りない場合は、前述の本実施形態のように2つの部材(第1板材、第2板材に相当)を長手方向に並べてフィンガージョイントにより繋いで使用すればよい。図6において、合板、及び、LVL(B種)のたて向きの場合には、フィンガージョイントすることなく梁外側木質板材21が形成されている。
【0066】
梁外側木質板材21において、繊維方向が長手方向に沿う部位と、繊維方向が直交方向(高さ方向)に沿う部位が混在していることにより、例えば、ボルト、綴り材、ドリフトピン等を打ち込んだ際に割れにくくなる。また、少なくとも一部(具体的には15%以上)の繊維方向を高さ方向に沿わせることで、繊維方向が全て長さ方向に沿っている場合と比べて、梁2の曲げモーメントを梁外側木質板材21から柱1の繊維方向に支圧として作用させやすい。また、柱1の鉛直方向の荷重に対する強度・剛性を高めることができる。
【0067】
また、梁外側木質板材21は、上述したものには限られず、例えば、ラミナを同方向に積層した集成材や、ラミナを直交させて積層したCLTなどを用いてもよい。
【0068】
===第2実施形態===
次に、本発明に係る柱梁接合構造の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る柱梁接合構造を示す斜視図である。図8は、第2実施形態に係る柱梁接合構造を示す横断面図である。図9は、第2実施形態に係る柱梁接合構造の構成を示す分解斜視図である。
【0069】
第2実施形態の柱梁接合構造においては、図7図9に示すように、柱6を構成する3枚の木質板材のうちの真ん中に配置される木質板材を柱内側木質板材60と称し、柱内側木質板材60を両面から挟む一対の木質板材を柱外側木質板材61と称することとする。また、梁7を構成する3枚の木質板材のうちの真ん中に配置される木質板材を梁内側木質板材70と称し、梁内側木質板材70を両面から挟む一対の木質板材を梁外側木質板材71と称することとする。第2実施形態においては、柱6を構成する3枚の木質板材及び梁7を構成する3枚の木質板材はいずれも、複数の単板の繊維方向を揃えて積層し接着した単板積層材であり、各木質板材にはLVLが使用されている。
【0070】
第2実施形態の柱梁接合構造においては、柱6を構成する柱内側木質板材60、一対の柱外側木質板材61はいずれも繊維が上下方向に沿っている。柱6を構成する柱外側木質板材61には、梁7が接合される位置に、水平方向及び柱外側木質板材61の面内方向に沿って貫通する柱開孔61aが形成されている。
【0071】
梁7を構成する梁内側木質板材70は、繊維方向が当該梁7の長手方向と直交する高さ方向に沿っており、一対の梁外側木質板材71は、繊維方向が梁7の長手方向に沿っている。なお、梁内側木質板材70としては、第1実施形態の梁外側木質板材21と同様に、LVLを繊維方向が高さ方向に沿うように配置している。繊維方向を高さ方向に沿うようにすることで材長(長手方向の長さ)が不足する場合、2つのLVL材(第1板材、第2板材に相当)をフィンガージョイントにより接合して用いればよい(図6図8図9参照)。
【0072】
一対の梁外側木質板材71は、矩形状に切断された一方の端面がそれぞれ、柱外側木質板材61の側面に当接されており、梁7の長手方向に沿い、梁外側木質板材71と柱外側木質板材61とに亘る鋼棒4により接合されている。このため、柱外側木質板材61により分断されている2つの梁外側木質板材71(左梁外側木質板材710及び右梁外側木質板材711)には、柱6側の端面から梁7の長手方向に沿う梁開孔71aが各々設けられており、柱外側木質板材61には、柱外側木質板材61の幅方向に沿う柱開孔61aが設けられている。
【0073】
梁開孔71aと柱開孔61aとは、柱外側木質板材61と梁外側木質板材71が接合されたときに、繋がる位置に設けられており、鋼棒4は、梁開孔71aと柱開孔61aとに亘るように配置されて接着剤により接着されている。第2実施形態においては、柱外側木質板材61を幅方向に貫通し両側に突出する鋼棒4の両端側の部位が、柱外側木質板材61の両側に接合される2つの梁外側木質板材71に挿通されて接着されている。ここで、一対の梁外側木質板材71と柱外側木質板材61とが接合された部材が柱梁外側接合木質板材700に相当する。
【0074】
一対の柱外側木質板材61と一対の梁外側木質板材71との間に設けられる梁内側木質板材70は、柱外側木質板材61の両側に接合された2つの梁外側木質板材71と積層方向に重ねられるとともに綴り材により柱外側木質板材61及び2つの梁外側木質板材71と接合されている。このとき、梁内側木質板材70のフィンガージョイントにより接合されている、長手方向における中央部が、柱内側木質板材60の幅方向における中央に位置するように配置されている。また、一対の梁外側木質板材71と梁内側木質板材70とが接合された梁7における、柱6とは反対側の端部は、一対の梁外側木質板材71が梁内側木質板材70よりも突出する梁外側突出部7aを有している。
【0075】
一対の柱内側木質板材60は、梁内側木質板材70により、上側に配置される上柱内側木質板材60aと下柱内側木質板材60bとに分断されている。上柱内側木質板材60a及び下柱内側木質板材60bは、いずれも柱外側木質板材61と積層方向に重ねられるとともに、上柱内側木質板材60aの下面が梁内側木質板材70の上面に、下柱内側木質板材60bの上面が梁内側木質板材70の下面にそれぞれ当接されて、綴り材3により一対の柱外側木質板材61と接合されている。
【0076】
第2実施形態の柱梁接合構造によれば、柱6と梁7との接合部において、柱6が梁7を分断している部位(所謂、柱勝ち)と、梁7が柱6を分断している部位(所謂、梁勝ち)が混在している。このため、初期剛性が高く、残留変形が生じにくい。よって、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0077】
また、柱内側木質板材60の繊維方向と梁内側木質板材70の繊維方向とは、同じ方向である。このため、梁7の曲げモーメントは、柱内側木質板材60の分断されている部位に、分断している梁内側木質板材70から柱6の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁7の端が柱6にめり込むなどの損傷は生じ難い。このとき、梁内側木質板材70からの支圧が作用する部位は柱6の全幅なので、支圧が作用する部位をより広く確保することが可能である。
【0078】
また、梁7の梁内側木質板材70は柱内側木質板材60を分断して、上柱内側木質板材60aの下面が梁内側木質板材70の上面に、下柱内側木質板材60bの上面が梁内側木質板材70の下面にそれぞれ当接されているので、柱6と梁7との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。更に、柱内側木質板材60を挟んでいる一対の柱外側木質板材61は、繊維方向が柱内側木質板材60と同じなので、柱6の高い強度を確保することが可能である。このため、仕口の強度・剛性が高い柱梁接合構造を提供することが可能である。
【0079】
図10は、第2実施形態に係る柱梁接合構造において隣り合う柱6に設けられている梁7間に接合される介装梁8との接合構造を示す斜視図である。
第2実施形態の柱梁接合構造により梁7が接合された柱6が、適宜間隔を隔てて複数設けられており、互いに隣り合う柱6に各々接合されている梁7間には、図10に示すように、介装梁8が接合される。介装梁8は、繊維方向が当該介装梁8の長手方向に沿う介装梁内側木質板材80と、介装梁内側木質板材80を両面から挟み繊維方向が当該介装梁8の長手方向に沿う一対の介装梁外側木質板材81と、を有している。
【0080】
介装梁8は、介装梁内側木質板材80が一対の介装梁外側木質板材81よりも介装梁8の長手方向に突出する介装梁内側突出部80aを有している。そして、梁7と介装梁8とは、梁外側突出部7aにより介装梁内側突出部80aが両側から挟まれた状態で綴り材3により接合されている。
【0081】
すなわち、柱6と接合される梁7は、梁内側木質板材70の繊維方向が柱6の繊維方向と同じ方向を向いているので、柱6と梁7との仕口が高い強度・剛性を備えており、互いに隣り合う柱6と接合された梁7間に接合される介装梁8は、介装梁内側木質板材80及び介装梁内側木質板材80を両面から挟む一対の介装梁外側木質板材81が、いずれも梁に適した水平方向に沿っているので、介装梁8を掛け渡すことにより、隣り合う柱6の間隔を広くすることが可能である。本実施形態においては、梁7が有する一対の梁外側突出部7aにより介装梁内側突出部80aが両側から挟まれた状態で綴り材3により接合されている梁7と介装梁8との接合構造を例に挙げて説明したが、これに限らず、一対の介装梁外側突出部により梁内側突出部が両側から挟まれた状態で綴り材により接合されていても構わない。
【0082】
図11は、第2実施形態の柱梁接合構造における柱6と梁7の接合方法を示す図である。
第2実施形態の柱梁接合構造の柱梁接合方法は、図11に示すように、まず、施工現場において、柱外側木質板材61の面内方向となる柱幅方向に設けられている柱開孔61aに鋼棒4を柱幅方向における一方側から挿通させて両側に各々突出させ、この柱開孔61aと、2本の梁7の梁外側木質板材71の梁開孔71aとに接着剤を注入した状態で、梁開孔71a内に鋼棒4を挿入しつつ各梁外側木質板材71を柱外側木質板材61に当接させて柱梁外側接合木質板材700を製造する(柱梁外側接合木質板材製造ステップS11)。このとき、柱開孔61aと2つの梁開孔71aとが繋がった空間を形成し、空間内には梁外側木質板材71と柱外側木質板材61とに亘る鋼棒4が収容され接着剤により接着される。梁外側木質板材71と柱外側木質板材61とに亘って内在する鋼棒4の接着により2つの梁外側木質板材71と柱外側木質板材61とが仮接合される。この状態で、柱外側木質板材61の繊維方向は上下方向に沿い、梁外側木質板材71の繊維方向は水平方向に沿っている。このとき、柱梁外側接合木質板材700は、2つ製造しておく。
【0083】
次に、製造した2つの柱梁外側接合木質板材700のうちの一方の、2つの梁外側木質板材71に梁内側木質板材70を積層方向に重ね、柱積層方向から綴り材3を貫入して柱外側木質板材61及び2つの梁外側木質板材71と梁内側木質板材70とを接合する(梁内側木質板材接合ステップS12)。接合された状態で梁外側木質板材71における、柱外側木質板材61とは反対側の端部は、梁内側木質板材70における、柱内側木質板材60とは反対側の端部よりも突出している。
【0084】
次に、接合された梁内側木質板材70の上面に、上柱内側木質板材60aの下面を当接させると共に当該上柱内側木質板材60aを柱外側木質板材61と積層方向に重ねて配置し、梁内側木質板材70の下面に、下柱内側木質板材60bの上面を当接させると共に当該下柱内側木質板材60bを柱外側木質板材61と積層方向に重ねて配置し、積層方向から綴り材3を貫入して柱外側木質板材61と上柱内側木質板材60a及び下柱内側木質板材60bとを接合する(柱内側木質板材接合ステップS13)。このとき、梁内側木質板材70の繊維方向は、上下方向に沿っているので、柱外側木質板材61、上柱内側木質板材60a、及び、下柱内側木質板材60bの繊維方向と一致している。
【0085】
次に、柱梁外側接合木質板材製造ステップS11にて製造した2つの柱梁外側接合木質板材700のうちの他方の、2つの梁外側木質板材71を梁内側木質板材70と積層方向に重ね、柱外側木質板材61を上柱内側木質板材60a、及び、下柱内側木質板材60bと積層方向に重ね、柱積層方向から綴り材3を貫入して柱外側木質板材61及び2つの梁外側木質板材71と梁内側木質板材70、上柱内側木質板材60a、及び、下柱内側木質板材60bとを接合する(柱梁外側接合木質板材接合ステップS14)ことにより第2実施形態の柱梁接合構造となる。
【0086】
第2実施形態の柱梁接合方法によれば、柱6と梁7とを容易に接合することが可能である。また、梁7の曲げモーメントは、上柱内側木質板材60aの下面及び下柱内側木質板材60bの上面が当接された梁内側木質板材70から柱6の長手方向(繊維方向)に支圧として作用するので、梁7の端が柱6にめり込むなどの損傷が生じ難いように柱6と梁7とを接合することが可能である。
【0087】
また、柱6及び梁7を構成する木質板材60、61、70、71を施工現場で積層しつつ柱梁をなすように接合することが可能なので、工場等にて接合した部材を現場に搬入する必要がない。また、大型のクレーン等が必要ないため容易に接合することが可能である。また、このように接合された柱梁の接合部は、梁7の梁内側木質板材70が柱内側木質板材60における上柱内側木質板材60aの下面及び下柱内側木質板材60bの上面に当接されているので、柱6と梁7との接合部は、初期剛性が高く、残留変形が生じない。このため、仕口の強度・剛性をより高く柱6と梁7とを接合することが可能である。
【0088】
尚、第1及び第2実施形態の柱梁接合構造に、上記梁2、7と交差する柱の積層方向に沿う梁9を接合する場合には、例えば、図4図10に示すように、柱1、6に当接させてガセットプレート91をボルト等により接合し、スリット9aが設けられた積層方向に沿う梁9に綴り材3を貫入させてガセットプレート91を介して柱1、6と接合しても構わない。
【0089】
また、第1実施形態と同様に、梁内側木質板材70を、LVB、LVLB種、合板、LVLの重ね合わせ(LVL積層体)などで構成してもよい(図6参照)。この場合も、高さ方向に沿う繊維方向の比率が15~100%であればよい。
【0090】
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0091】
1 柱、2 梁、2a 梁内側突出部、5 介装梁、6 柱、7 梁、8 介装梁、
10 柱内側木質板材、11 柱外側木質板材、11a 上柱外側木質板材、
11b 下柱外側木質板材、12 柱最外側木質板材、20 梁内側木質板材、
21 梁外側木質板材、50 介装梁内側木質板材、51 介装梁外側木質板材、
51a 介装梁外側突出部、60 柱内側木質板材、60a 上柱内側木質板材、
60b 下柱内側木質板材、61 柱外側木質板材、70 梁内側木質板材、
71 梁外側木質板材、80 介装梁内側木質板材、80a 介装梁突出部、
81 介装梁外側木質板材、200 左梁内側木質板材、201 右梁内木質板材、
700 柱梁外側接合木質板材、710 左梁外側木質板材、711 右梁外側木質板材
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11