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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019190033
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021065067
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹本 雅昭
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-075244(JP,A)
【文献】特開2019-129576(JP,A)
【文献】特開2011-172375(JP,A)
【文献】特開2018-129944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状をなすロータコアと、前記ロータコアの回転軸方向において同ロータコアを貫通する態様で延設されるとともに液体冷媒が供給される冷却通路と、前記回転軸方向において前記ロータコアを間に挟むように配置された一対のエンドプレートと、前記回転軸方向において前記エンドプレートを貫通して前記冷却通路の内外を連通する放出孔と、前記ロータコアおよび前記エンドプレートの外周に配置される円筒状のステータコアと、前記ステータコアに巻回されるとともに同ステータコアから前記回転軸方向に突出した部分であるコイルエンドを有するステータコイルと、を備えた回転電機であって、
前記エンドプレートにおける前記放出孔の周縁を含む特定部分が、同特定部分よりも外周側の部分に対して前記ロータコアから離間する方向に膨出した形状をなしており、
前記放出孔の前記回転軸方向における配設位置が前記コイルエンドの前記回転軸方向における配設範囲に含まれており、
前記エンドプレートは、各部の板厚が同一になっている、回転電機。
【請求項2】
前記特定部分における前記ロータコアから遠い側の外面のうち、前記放出孔よりも外周側の部分の少なくとも一部が、前記外周側に向かうに連れて前記ロータコアから離れる態様で傾斜した傾斜面をなしている
請求項1に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体冷媒が供給される冷却通路がロータコアの内部に設けられた回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の回転電機では、上記冷却通路が、ロータコアの回転軸方向において同ロータコアを貫通する態様で延設されている。この回転電機では、ロータコアの内部を流れる液体冷媒としてのオイルとの熱交換を通じて、同ロータコアが冷却される。
【0003】
また上記回転電機では、冷却通路内のオイルが同冷却通路の回転軸方向における端部からロータコアの外部に放出される。このオイルは、ロータコアの回転に伴い発生する遠心力によって外周側に飛散して、同ロータコアの外周側に配置されるステータ、詳しくはステータコアに巻回されたステータコイルにおける同ステータコア外面から回転軸方向に突出した部分であるコイルエンドにかかる。上記回転電機では、このようにしてステータコイルにかかるオイルとの熱交換を通じて、同ステータコイルが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-182375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記回転電機では、冷却通路の回転軸方向における端部からロータコアの外部に放出されたオイルは主に、同ロータコアの回転軸方向における外面を伝い流れる等して、同外面の近傍を外周側に流れるようになる。そのため、このオイルは、ステータコアから回転軸方向に突出した部分であるコイルエンドに対して、その突出方向における基端側に偏った状態でかかるようになる。こうした回転電機の構造は、オイルによってステータコイルを効率良く冷却する上では、好ましくない。
【0006】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステータコイルを効率良く冷却することのできる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための回転電機は、円筒状をなすロータコアと、前記ロータコアの回転軸方向において同ロータコアを貫通する態様で延設されるとともに液体冷媒が供給される冷却通路と、前記回転軸方向において前記ロータコアを間に挟むように配置された一対のエンドプレートと、前記回転軸方向において前記エンドプレートを貫通して前記冷却通路の内外を連通する放出孔と、前記ロータコアおよび前記エンドプレートの外周に配置される円筒状のステータコアと、前記ステータコアに巻回されるとともに同ステータコアから前記回転軸方向に突出した部分であるコイルエンドを有するステータコイルと、を備えた回転電機であって、前記エンドプレートにおける前記放出孔の周縁を含む特定部分が、同特定部分よりも外周側の部分に対して前記ロータコアから離間する方向に膨出した形状をなしており、前記放出孔の前記回転軸方向における配設位置が前記コイルエンドの前記回転軸方向における配設範囲に含まれている。
【0008】
上記構成によれば、エンドプレートの特定部分、すなわち膨出した形状の膨出部に形成された放出孔を介して、ロータコアの冷却通路内の液体冷媒が同ロータコアの外部に放出されるようになる。そのため、上記液体冷媒は、エンドプレートの膨出部よりも外周側においては主に、同エンドプレートの外面から離れた位置、すなわちロータコアから離れた位置において外周側に飛散するようになる。したがって液体冷媒を、コイルエンドの回転軸方向における配設範囲のうちの上記ステータコイル側の端部にかけるのではなく、同配設範囲の中央に近い部分を中心に広い範囲にわたってかけることが可能になる。これにより、コイルエンドと液体冷媒との熱交換が効率よく行われるようになるため、ステータコイルを効率良く冷却することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の電動機の側断面図。
図2】ロータコアおよびエンドプレートの図1における2矢視図。
図3】エンドプレートの図2の3-3線に沿った側端面図。
図4】エンドプレートの膨出部およびその周辺を拡大して示す側断面図。
図5】変形例のエンドプレートの膨出部およびその周辺を拡大して示す側断面図。
図6】変形例のエンドプレートの膨出部およびその周辺を拡大して示す側断面図。
図7】変形例のエンドプレートの膨出部およびその周辺を拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、回転電機の一実施形態について説明する。
図1に示すように、回転電機としての電動機10は永久磁石界磁式の同期モータであり、固定子としてのステータ11や、回転子としてのロータ12、それらステータ11およびロータ12を収容するケース13を有している。
【0011】
ステータ11は、ステータコア20やステータコイル21を有している。ステータコア20は、中心孔を有する円板状の電磁鋼板が複数枚積層された積層構造の略円筒状をなしており、ケース13の内部に固定されている。ステータコイル21は、上記ステータコア20における中心孔の周囲に巻回されている。ステータコイル21は、上記ロータ12の回転軸Lの延びる方向(以下、回転軸L方向)における両端において、ステータコア20の外面から回転軸L方向に突出した部分、いわゆるコイルエンド22を有している。各コイルエンド22は、ステータコア20の中心孔の周囲において円環状で突出している。
【0012】
ロータ12は、ロータコア30と回転軸であるロータシャフト31とを有している。ロータコア30は、中心孔を有する円板状の電磁鋼板が複数枚積層された積層構造の略円筒状をなしている。本実施形態の電動機10では、ロータコア30の回転軸L方向における両端面とステータコア20の回転軸L方向における両端面とが略同一面において延びている。ロータシャフト31はロータコア30の中心孔32に挿通された状態で同ロータコア30と一体になっている。ロータシャフト31はケース13に回転可能に支持されている。ロータ12は、ステータコア20の内周面がロータコア30の外周面に沿って延びる態様で、ステータ11の内周側に配置されている。
【0013】
ロータ12は、回転軸L方向においてロータコア30を間に挟むように配置された一対のエンドプレート40を有している。各エンドプレート40は、中心孔を有する円板状をなしてロータコア30の外面を覆うように設けられている。各エンドプレート40は、板厚が一定の金属板材を用いたプレス加工を通じて形成されている。したがって、エンドプレート40の各部の板厚は略同一になっている。
【0014】
図2に示すように、ロータコア30には、回転軸L方向に貫通する磁石収容孔33が複数(本実施形態では、16個)設けられている。これら磁石収容孔33は、ロータコア30の周囲方向に間隔を置いて並ぶ態様で配置されている。各磁石収容孔33の内部には、永久磁石14が収容されて固定されている。本実施形態のロータコア30では、図2中において二点鎖線で囲まれた2つの磁石収容孔33に挿入して固定される一対の永久磁石14によって、電動機10の各磁極が構成される。このロータコア30は磁極数が8極、すなわち極対数が4個のものである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のロータ12は、液体冷媒としてのオイルをロータ12の内部に流すための通路として、ロータシャフト31の内部に形成された第1通路51や、上記ロータコア30の内部に形成された第2通路52および第3通路53を有している。本実施形態では、第2通路52が冷却通路に相当する。
【0016】
本実施形態の電動機10では、ロータシャフト31として中空構造のものが採用されている。そして、上記第1通路51としては、ロータシャフト31の内部において回転軸L方向に延びるスペースが利用されている。本実施形態では、電動機10の運転に際してロータ12に供給されるオイルは先ず、第1通路51の内部に流入するようになっている。
【0017】
また図1および図2に示すように、前記第2通路52としては、ロータコア30を回転軸L方向において貫通する貫通孔が設けられている。第2通路52は、ロータコア30の周囲方向に間隔を置いて並ぶ態様で複数(本実施形態では、8個)設けられている。第2通路52は、隣合う磁極に挟まれた位置に1つずつ設けられている。
【0018】
本実施形態の電動機10は、ロータコア30内の第2通路52の回転軸L方向の両端が、一対のエンドプレート40によって塞がれた構造になっている。各エンドプレート40における第2通路52に対応する位置、詳しくはロータ12を回転軸L方向から見て第2通路52と重なる位置には、回転軸L方向において断面円形状で貫通する放出孔41が形成されている。放出孔41は、1枚のエンドプレート40に8個ずつ、合計16個設けられている。各放出孔41は回転軸L方向においてエンドプレート40を貫通して、第2通路52の内部とロータコア30の外部とを連通している。
【0019】
図2および図3に示すように、エンドプレート40における上記ロータ12を回転軸L方向から見て第2通路52と重なる部分や放出孔41の周縁を含む特定部分(以下、膨出部43)は、膨出部43以外の部分に対して、ロータコア30から離間する方向に膨出した形状をなしている。膨出部43の外形は、全ての角が丸められた形状であって、図2に示すように回転軸L方向から見て略四角形状をなしており、図3に示すように回転軸Lと直交する方向から見て断面略台形状をなしている。また、膨出部43の頂壁44の外面は回転軸Lと直交する方向に延びている。本実施形態では、こうした膨出部43が1枚のエンドプレート40に8箇所ずつの合計16箇所に設けられている。
【0020】
図4に示すように、本実施形態の電動機10では、放出孔41の回転軸L方向における配設位置が、コイルエンド22の回転軸L方向における配設範囲ARに含まれている。詳しくは、回転軸L方向における配設位置が上記膨出部43の頂壁44の外面とコイルエンド22の上記配設範囲ARにおける回転軸L方向の中央CNとで一致するように、膨出部43の膨出形状が定められている。そして、そうした膨出部43の頂壁44の外面において上記放出孔41は開口している。
【0021】
図1に示すように、第3通路53は、ロータコア30の径方向において、ロータシャフト31内の第1通路51とロータコア30の第2通路52とを連通する態様で延びている。詳しくは、一対のエンドプレート40の一方(図1の左側)には、ロータコア30から離間する方向に突出する突条をなす突条部45が複数(本実施形態では、8つ)設けられている。これら突条部45は、エンドプレート40の径方向において各膨出部43の内周側の端部から中心孔まで延びている。第3通路53は、上記突条部45の内面とロータコア30の外面との間に区画形成されている。
【0022】
以下、本実施形態の電動機10による作用について説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動機10では、ロータ12に供給されるオイルは先ず、ロータシャフト31内の第1通路51に流入するようになる。そして、このオイルは第1通路51、第3通路53、第2通路52の順に流れた後、エンドプレート40の膨出部43に設けられた放出孔41を通じて第2通路52の外部、すなわちロータ12の外部に放出される。本実施形態の電動機10では、第1通路51、第2通路52および第3通路53をオイルが流れる際に、オイルとロータ12における各通路51~53の内壁との熱交換を通じて、同ロータ12が冷却される。
【0023】
電動機10の運転時には、ロータ12の回転に伴って同ロータ12内のオイルに遠心力が作用する。そのため、図4中に白抜きの矢印で示すように、エンドプレート40の放出孔41からロータ12の外部に放出されたオイルは、上記遠心力によって外周側、詳しくは回転軸Lと直交する方向に飛散するようになる。このオイルは、ロータ12の外周側に配置されたステータ11のコイルエンド22にかかる。本実施形態の電動機10では、コイルエンド22にかかるオイルと同コイルエンド22との熱交換を通じて、コイルエンド22、ひいてはステータコイル21が冷却される。
【0024】
本実施形態の電動機10では、ロータ12の外部にオイルを放出する放出孔41が、エンドプレート40の膨出部43の頂壁44の外面において開口している。そのため、放出孔41から放出されたオイルは、膨出部43の頂壁44の外面に沿って外周側に流れた後に、図4中に矢印Aで示すように同頂壁44の外周側の端部で同頂壁44の外面を離れて、エンドプレート40の外面から離れた位置、すなわちロータコア30から離れた位置において外周側に飛散するようになる。
【0025】
しかも、本実施形態の電動機10では、放出孔41が開口している膨出部43の頂壁44の外面とコイルエンド22の上記配設範囲ARにおける回転軸L方向の中央CNとで、回転軸L方向における配設位置が同一になっている。そのため、エンドプレート40の膨出部43の頂壁44の外面を離れて外周側に飛散するオイルは、コイルエンド22に対して上記中央CNにあたる部分を中心にかかるようになる。
【0026】
このように本実施形態によれば、冷却用のオイルを、コイルエンド22の上記配設範囲ARにおける上記ステータコア20側の端部付近にかけるのではなく、同配設範囲ARにおける回転軸L方向の中央CNにあたる部分を中心に広い範囲にわたってかけることができる。これにより、コイルエンド22とオイルとの熱交換が効率よく行われるようになる。
【0027】
通常、コイルエンド22における上記ステータコア20側の端部(以下、基端部)付近には、ステータコイル21とステータコア20との絶縁のために、絶縁シートなどの絶縁部材が設けられている。そのため、コイルエンド22の基端部付近においては、上記絶縁部材に遮られることによって、コイルエンド22とオイルとの熱交換がなされ難くなっている。本実施形態では、そうしたコイルエンド22の基端部にオイルをかけるのではなく、同コイルエンド22の配設範囲ARにおける回転軸L方向の中央CN付近にオイルをかけることができる。こうしたことからも、コイルエンド22とオイルとの熱交換が効率よく行われるようになる。
【0028】
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)回転軸L方向における配設位置が、ロータ12の外部にオイルを放出する放出孔41が開口している膨出部43の頂壁44の外面とコイルエンド22の上記配設範囲ARにおける回転軸L方向の中央CNとで一致している。これにより、コイルエンド22とオイルとの熱交換が効率よく行われるようになるため、同コイルエンド22、ひいてはステータコイル21を効率良く冷却することができるようになる。
【0029】
(2)板厚が一定のエンドプレート40を、プレス加工を通じて容易に形成することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0030】
・エンドプレート40を各部の板厚が異なる形状に形成してもよい。
・膨出部43の頂壁44の外面における前記放出孔41よりも外周側の部分の少なくとも一部を、外周側に向かうに連れてロータコア30から離れる態様で傾斜した傾斜面にしてもよい。そうした膨出部の一例を図5に示す。図5に示す例では、膨出部63の頂壁64の外面の略全体が、外周側に向かうに連れてロータコア30から離れる態様で傾斜した傾斜面になっている。
【0031】
こうした構成によれば、放出孔61から放出されたオイルを、膨出部63の頂壁64の外面、すなわち傾斜面に沿って流すことによって、ロータコア30から離間する方向に向かわせることができる。これにより、オイルの流れが膨出部63の傾斜面の外周側の端部に到達したときに同膨出部63の外面から剥離し易くなる。そのため、オイルを膨出部63の外面から離間させて外周側に飛散させることができるようになる。したがって、オイルがエンドプレート60の膨出部63よりも外周側において同エンドプレート60の外面を伝って流れてしまうといった好ましくない状況になることが抑えられるようになる。これにより、「放出孔61からロータ12の外部に放出されたオイルをコイルエンド22の配設範囲ARの中央CNを中心に広い範囲にわたってかける」といった構成を好適に実現することができる。
【0032】
上記膨出部の他の例を図6に示す。図6に示す例では、膨出部73の頂壁74の外面における外周側の端部に、周囲方向に延びる凹溝76が形成されている。この膨出部73では、凹溝76の内面における外周側の部分が、外周側に向かうに連れてロータコア30から離れる態様で傾斜した傾斜面になっている。
【0033】
・膨出部43の外周側の端部に、同外周側に突出する形状の庇部を設けてもよい。そうした庇部の一例を図7に示す。図7に示す例では、膨出部83の頂壁84の外周側の端部が外周側に延長されて突出した形状をなしており、その突出した部分が庇部87を構成している。なお、この庇部87は、膨出部83になる部分をプレス加工によって形成した後に、同部分を頂壁84に当たる部分側(図7の右側)から所定量だけ押し潰す加工を施すといった手順で形成することができる。
【0034】
上記構成によれば、放出孔81から放出されてエンドプレート80の外面に沿って流れるオイルが膨出部83の外周側の端部に形成された庇部87によって邪魔されるようになる。これにより、オイルがエンドプレート80の膨出部83よりも外周側において同エンドプレート80の外面を伝って流れてしまうといった好ましくない状況になることが抑えられる。しかも上記構成によれば、放出孔81から放出されてエンドプレート80の膨出部83の外面に沿って流れたオイルを、同膨出部83の外周側の端部に設けられた庇部87の突端においてエンドプレート80の外面から離間させて、外周側に飛散させることができる。これにより、放出孔81からロータ12の外部に放出されたオイルをコイルエンド22の配設範囲ARの中央CNを中心に広い範囲にわたってかけるといった構成を、好適に実現することができるようになる。
【0035】
・第2通路52を間に挟む一対の膨出部43のうちの一方のみに放出孔41を形成するようにしてもよい。
・放出孔41の形成位置は、同放出孔41が膨出部43の外面において開口する位置であれば、任意に変更可能である。放出孔41の形成位置が外周側の位置になるほど、放出孔41から放出されるオイルをコイルエンド22の適正な部位に精度よく当てることができるようになる。
【0036】
・膨出部43の膨出形状を、同膨出部43の頂壁44の外面の回転軸L方向における配設位置とコイルエンド22の前記中央CNの回転軸L方向における配設位置とがずれた位置になるように定めてもよい。要は、放出孔41の回転軸L方向における配設位置がコイルエンド22の回転軸L方向における配設範囲ARに含まれていればよい。
【0037】
・膨出部43の形成位置は、同膨出部43の内部とロータコア30の第2通路52とが連通される位置であれば、任意に変更可能である。
・エンドプレート40における膨出部43の配設範囲は任意に変更可能である。例えば上記実施形態における8つの膨出部43(図2参照)を繋ぐように、エンドプレート40の中心孔の周囲において円環状で膨出する態様で、膨出部を配設するようにしてもよい。その他、上記実施形態における8つの膨出部43を繋いだ部分を含むエンドプレート40の内周側の部分全体が膨出する態様で、膨出部を配設することも可能である。これら構成では、一枚のエンドプレートの膨出部に1つ以上の放出孔を形成することにより、全ての第2通路内のオイルを同放出孔からロータの外部に放出することができる。したがって、放出孔の形成位置や形成数の設定の自由度を高くすることができる。
【0038】
・第3通路53を、ロータコア30の内部において延びる態様で設けるようにしてもよい。
・上記実施形態にかかる回転電機は、磁極数が8極の回転電機に限らず、任意の磁極数(2極、4極、6極、10極、12極など)の回転電機に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10…電動機、11…ステータ、12…ロータ、13…ケース、14…永久磁石、20…ステータコア、21…ステータコイル、22…コイルエンド、30…ロータコア、31…ロータシャフト、32…中心孔、33…磁石収容孔、40,60,80…エンドプレート、41,61,81…放出孔、43,63,73,83…膨出部、44,64,74,84…頂壁、45…突条部、51…第1通路、52…第2通路、53…第3通路、76…凹溝、87…庇部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7