(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】基礎形成方法及び基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20230801BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E02D27/01 Z
E02D27/00 B
(21)【出願番号】P 2020103008
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正裕
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-146303(JP,U)
【文献】特開2004-339728(JP,A)
【文献】特開平11-181883(JP,A)
【文献】特開平06-041978(JP,A)
【文献】特開2010-019042(JP,A)
【文献】米国特許第05505033(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
E04B 1/24
1/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を形成し、前記床面上に設けられる設置物を固定する基礎形成方法であって、
前記床面に沿う位置に配置される接地部を設ける工程と、
前記設置物を固定可能な固定部材を前記接地部の下面側に設ける工程と、
上下方向に延在する棒状部材の下部に、上下方向に対して交差する方向に延在する板状部材を移動不能に設ける工程と、
前記棒状部材の上部を前記固定部材の下部に連結させる工程と、
所定の前記床面の高さまでコンクリートを打設する工程と、
を備え
、
前記接地部には上下方向に貫通している第1穴部が設けられ、
前記固定部材には少なくとも上方に向かって開口している第2穴部が設けられ、
前記下面側に設ける工程では、前記第1穴部及び前記第2穴部に対して上下方向に延在する挿入部材を挿入して前記挿入部材と前記接地部及び前記固定部材とを着脱可能に連結させ、
前記打設する工程の後に、前記挿入部材を脱離させる工程と、
前記脱離させる工程の後に、前記接地部の前記第1穴部の上部を覆うカバー部材を設ける工程と、をさらに備える、
基礎形成方法。
【請求項2】
前記第2穴部には、前記挿入部材と螺合可能な第1雌ねじ部が設けられ、
前記挿入部材は、前記第1雌ねじ部と螺合可能な第1雄ねじ部を有し、
前記固定部材には、少なくとも下方に向かって開口している第2雌ねじ部が設けられ、
前記棒状部材は、前記第2雌ねじ部と螺合不能な本体部、及び前記本体部の上方に設けられ、前記第2雌ねじ部と螺合可能な第2雄ねじ部を有する、請求項
1に記載の基礎形成方法。
【請求項3】
前記打設する工程の後に、前記接地部の上面において前記設置物を設ける工程をさらに備える、請求項
1又は2に記載の基礎形成方法。
【請求項4】
前記下面側に設ける工程では、前記接地部に対して複数の前記固定部材及び複数の前記挿入部材が設けられ、前記挿入部材のそれぞれと前記接地部及び複数の前記固定部材のそれぞれとを着脱可能に連結させ、
複数の前記挿入部材のうち、少なくとも1つの前記挿入部材は、前記設置物の固定に使われる、請求項
1~3の何れか一項に記載の基礎形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎形成方法及び基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動倉庫等に最適な建屋の基礎構造について開示されている。特許文献1に記載の基礎構造において、複数個のゲージプレートがアンカーフレーム上に長手方向に所定間隔離間してスペーサを介して設置され、ゲージプレートには、4本のアンカーボルトがナットを介して取り付けられている。基礎コンクリートが打設された後、ゲージプレート上に柱がベースプレートを介して建て付けられる。ベースプレートは、アンカーボルト及びナットを介してゲージプレートに取り付けられる。アンカーボルトは、基礎コンクリート、ゲージプレート及びベースプレートに対して上方に突出するように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の上方に突出したアンカーボルトは、柱等の設置物の建て付けに必要であるため、アンカーボルトにおける折損又は破断等の不具合の発生を抑制する必要があった。このため、作業者は、例えば、重機とアンカーボルトとを干渉させないようにする等、アンカーボルト周辺の作業を慎重に行う必要があった。このため、設置物を建て付けるまでの施工性が悪化するという問題が生じていた。したがって、アンカー効果を確保しつつ、施工性を向上させることができる基礎形成方法及び基礎構造が求められていた。
【0005】
従って、本発明は、アンカー効果を確保しつつ、施工性を向上させることができる基礎形成方法及び基礎構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る基礎形成方法は、床面を形成し、床面上に設けられる設置物を固定する基礎形成方法であって、床面に沿う位置に配置される接地部を設ける工程と、設置物を固定可能な固定部材を接地部の下面側に設ける工程と、上下方向に延在する棒状部材の下部に、上下方向に対して交差する方向に延在する板状部材を移動不能に設ける工程と、棒状部材の上部を前記固定部材の下部に連結させる工程と、所定の床面の高さまでコンクリートを打設する工程と、を備える。
【0007】
この基礎形成方法では、接地部の下面側に固定部材が設けられ、棒状部材が固定部材の下部に設けられ、板状部材が棒状部材の下部に設けられる。その状態で、所定の床面の高さまでコンクリートが打設される。接地部に対して、設置物を固定可能な固定部材を接地部の下面側に設けることができるため、接地部から上方に突出している部材を減らすことができる。また、コンクリート内では、棒状部材及び板状部材が配置された状態となる。従って、板状部材によるコンクリートに対するアンカー効果を確保することができる。また、板状部材が棒状部材の下部に移動不能に設けられることで、板状部材が棒状部材に設けられた後で板状部材の位置が変わることが抑えられるため、接地部に対するアンカー効果を担保することができる。したがって、設置物を設けるときに、アンカー効果を確保しつつ、施工性を向上させることができる。
【0008】
一実施形態に係る基礎形成方法においては、接地部には上下方向に貫通している第1穴部が設けられ、固定部材には少なくとも上方に向かって開口している第2穴部が設けられ、下面側に設ける工程では、第1穴部及び第2穴部に対して上下方向に延在する挿入部材を挿入して接地部及び固定部材と連結させてもよい。この場合、挿入部材により、固定部材は、その上部が接地部に連結した状態で設けられる。これにより、より容易に接地部に対して固定部材、棒状部材及び板状部材を設けることができる。
【0009】
一実施形態に係る基礎形成方法においては、第2穴部には、挿入部材と螺合可能な第1雌ねじ部が設けられ、挿入部材は、第1雌ねじ部と螺合可能な第1雄ねじ部を有し、固定部材には、少なくとも下方に向かって開口している第2雌ねじ部が設けられ、棒状部材は、第2雌ねじ部と螺合不能な本体部、及び本体部の上方に設けられ、第2雌ねじ部と螺合可能な第2雄ねじ部を有してもよい。コンクリートが適切に打設されていない場合等、固定部材はコンクリート内で回転可能に設けられる可能性がある。このため、挿入部材の第1雄ねじ部を固定部材の第1雌ねじ部に対して螺合させるために回転させるとき、固定部材と挿入部材とが共に同一方向に回転する(共回りが生じる)可能性がある。棒状部材は、本体部の上方に第2雄ねじ部を有しているため、固定部材が挿入部材により回転した場合であっても固定部材の第2雌ねじ部が棒状部材に螺合する位置を第1雄ねじ部が設けられた位置までとすることができる。すなわち、固定部材が本体部の位置まで下方に移動することが抑制される。これにより、棒状部材により固定部材と挿入部材とが共に回転し続ける動き(共回り)を抑制することができる。
【0010】
一実施形態に係る基礎形成方法においては、下面側に設ける工程では、挿入部材と接地部及び固定部材とを着脱可能に連結させ、打設する工程の後に、挿入部材を脱離させる工程と、脱離させる工程の後に、接地部の第1穴部の上部を覆うカバー部材を設ける工程と、をさらに備えてもよい。この場合、挿入部材が脱離されるため、接地部の上方に大きく突出している部材を減らすことができ、床面における施工性を向上させることができる。また、カバー部材が接地部の第1穴部の上部を覆うことで、仮止めボルト40が脱離された後において、第1穴部内に物体が侵入することを抑制することができる。
【0011】
一実施形態に係る基礎形成方法においては、打設する工程の後に、接地部の上面において設置物を設ける工程をさらに備えてもよい。この場合、床面における施工性が向上しているため、設置物をより容易に設けることができる。
【0012】
一実施形態に係る基礎形成方法においては、下面側に設ける工程では、接地部に対して複数の固定部材及び複数の挿入部材が設けられ、挿入部材のそれぞれと接地部及び複数の固定部材のそれぞれとを着脱可能に連結させ、複数の挿入部材のうち、少なくとも1つの挿入部材は、設置物の固定に使われてもよい。この場合、接地部及び複数の固定部材を連結させる複数の挿入部材のうち、少なくとも1つの挿入部材は設置物の固定に使われる。設置物の固定に使われる挿入部材が設けられることで、設置物を接地部上に設けるときの目印又はガイドとすることができ、設置物をより容易に設けることができる。また、設置物の固定に使われる挿入部材が設けられることで、各部材を固定する部材の種類及び数の増加を抑制することができる。
【0013】
本発明の他の側面に係る基礎構造は、床面を形成し、床面上に設けられる設置物を固定する基礎構造であって、床面に沿って配置される接地部と、接地部の下面側において設置物を固定可能な固定部材と、上下方向に延在し、その上部が固定部材の下部に連結可能な棒状部材と、上下方向に対して交差する方向に延在し、棒状部材の下部に移動不能に設けられる板状部材と、所定の床面の高さまで打設されるコンクリート部と、を備える。
【0014】
この基礎構造によれば、上述の基礎形成方法と同様な作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンカー効果を確保しつつ、施工性を向上させることができる基礎形成方法及び基礎構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基礎構造の断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る基礎構造の平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る基礎構造の部分断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る基礎形成方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る基礎形成方法の一部のフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図4に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図4に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図5に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
【
図11】
図11は、別の変形例に係る基礎構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
一実施形態の基礎構造が用いられる設置物を含む構造システムについて説明する。
図1は、一実施形態に係る基礎構造の断面図である。
図2は、一実施形態に係る基礎構造の平面図である。
図1及び
図2に示されるように、構造システム100は、基礎構造1と、設置物2とを備えている。構造システム100は、複数の基礎構造1と、複数の設置物2とを備えていてもよい。以下では、構造システム100が1つの基礎構造1と、1つの設置物を備えている態様を説明する。以下の説明では、3次元空間の直交座標系における各軸方向をX方向、Y方向及びZ方向という。そのうち、X方向は水平な一方向であり、Y方向はX方向に交差する水平な一方向であり、Z方向は上下方向(鉛直方向)である。
【0019】
基礎構造1は、基準面Pと、基準面Pより上方に位置する床面Q付近との間に設けられる。基準面Pは、例えば、砕石が敷かれ、転圧され、捨てコンクリート(捨てコン)が打設されることで形成される平面である。床面Qは、後述のコンクリート50が基準面P上に打設されることで形成される平面である。基準面P及び床面Qは、例えば、X方向及びY方向に延在する面である。設置物2は、床面Q上に設けられている。基礎構造1は、設置物2の位置ずれ、転倒、引き抜きを抑制するように設置物2に接続している。構造システム100は、床面Qを形成し、床面Q上に設けられる設置物2を固定する基礎構造1を形成するシステムである。構造システム100は、例えば床面Qが設けられる際に、基準面P上に基礎構造1を設ける場合に利用することができる。構造システム100は、例えば、ある土地の基準面P上に設けられ、建物内に複数の柱を有する自動倉庫を設ける場合に適用される。
【0020】
設置物2は、例えば、延在部60、平板部62及び複数の支持部64を有している。延在部60は、床面Qの上方に設けられた平板部62上に設けられる構造物の全部又は一部である。延在部60は、例えば、Z方向に延在している直方体状の部位である。延在部60は、例えば、Z方向に延在する柱脚である。延在部60には、例えば、床面Qの上方において、X方向及びY方向に延在し、物品を載置可能な棚部が設置される。
【0021】
平板部62は、例えば床面Qに沿って延在している板状の部位である。平板部62は、例えば、ベースプレートである。平板部62の下面は、後述の接地部5の上面5bに接続している。平板部62の上面は、延在部60のX方向及びY方向に延在している面に固定されている。平板部62には、その上面及び下面をZ方向に貫通している複数の第4穴部63が設けられる。各第4穴部63のZ方向の断面は、例えば、円形を呈する。
【0022】
複数の支持部64は、例えば、Z方向に延在している板状の部位である。各支持部64は、延在部60のZ方向に延在している面と平板部62の上面とにそれぞれ固定されている。各支持部64は、例えば、延在部60及び平板部62に対して溶接により固定されている。各支持部64は、延在部60が平板部62に対して傾かないように支持(補強)する機能を有する。
【0023】
基礎構造1は、接地部5と、固定部材10と、棒状部材20と、板状部材30と、固定用ボルト44と、コンクリート50とを有している。基礎構造1は、下部フレーム70と、中部フレーム80と、1対の受け部81と、上部フレーム90とをさらに有している。基礎構造1は、各部材の設置の過程において用いられる仮止めボルト40(挿入部材の一例、
図3参照)と、カバー部材43(
図3参照)とをさらに有している。なお、
図1におけるコンクリート50の断面位置は、下部フレーム70、中部フレーム80、及び1対の受け部81を見やすくするため、これらの部材よりもX方向における正側の位置に設定されている。
【0024】
固定部材10、棒状部材20、板状部材30及び固定用ボルト44により構成される構造物は、例えば、設置物2に対するアンカーボルトである。接地部5と、固定部材10と、棒状部材20と、板状部材30と、仮止めボルト40と、固定用ボルト44と、下部フレーム70と、中部フレーム80と、1対の受け部81と、上部フレーム90とは、例えば、鉄等の金属により形成されている。基礎構造1は、例えば、1つの接地部5に対して、複数の固定部材10と、複数の棒状部材20と、複数の板状部材30と、複数の固定用ボルト44とを有している。基礎構造1は、1つの接地部5に対して、複数の仮止めボルト40と、複数のカバー部材43とをさらに有している。以下では、特別の記載がない場合は、それぞれ1つの部材について説明する。
【0025】
接地部5は、床面Qに沿って配置されている。接地部5は、例えば、X方向及びY方向に延在している板状の部材である。接地部5は、例えば、テンプレートである。接地部5の下面5aの一部は、例えば、コンクリート50が打設されることで形成された床面Qに接している。接地部5の当該部位には、Z方向に貫通している複数の第1穴部6が設けられる。各第1穴部6のZ方向の断面は、例えば、円形を呈する。平板部62が設けられるとき、接地部5の上面5bは、平板部62の下面と接続する。接地部5上に平板部62が設けられた場合、各第1穴部6と各第4穴部63とがZ方向において連通する。接地部5の下面5aの他の部分は、例えば上部フレーム90の上面に接続している。
【0026】
固定部材10は、接地部5の下面5a側において設置物2を固定可能な部材である。固定部材10は、例えば、Z方向に延在している筒状の部材である。固定部材10は、例えば、高ナット(ロングナット)である。固定部材10には、少なくとも上方に向かって開口している第2穴部11が設けられる。第2穴部11のZ方向の断面は、例えば、円形を呈する。第2穴部11には、仮止めボルト40及び固定用ボルト44と螺合可能な第1雌ねじ部12が設けられる。第1雌ねじ部12は、固定部材10内の上部に設けられる。これにより、固定部材10には、少なくとも上方に向かって開口している第1雌ねじ部12が設けられるような構成となる。固定部材10の上端は、例えば、接地部5の下面5aに接触又は密着する。
【0027】
固定部材10には、少なくとも下方に向かって開口している第3穴部13が設けられる。第3穴部13のZ方向の断面は、例えば、円形を呈する。第3穴部13には、棒状部材20の上部と螺合可能な第2雌ねじ部14が設けられる。第2雌ねじ部14は、固定部材10内の下部に設けられる。なお、第1雌ねじ部12は、Z方向における固定部材10の半分の長さより長くてもよい。また、第2雌ねじ部14は、Z方向における固定部材10の半分の長さより長くてもよい。第1雌ねじ部12及び第2雌ねじ部14は、それぞれねじ切られた溝を有する部位である。
【0028】
第2穴部11及び第3穴部13は、例えば、Z方向において連通している。第2穴部11及び第3穴部13が連通している場合、例えば、固定部材10内において、第1雌ねじ部12のねじ切られた溝と第2雌ねじ部14のねじ切られた溝とは連続している。すなわち、固定部材10より長く、固定部材10に螺合可能な雄ねじが挿入された場合、固定部材10に螺合することにより当該雄ねじが固定部材10を上下方向に貫通することができる。
【0029】
棒状部材20は、Z方向に延在し、その上部が固定部材10の下部に連結可能な部材である。棒状部材20は、第2雌ねじ部14と螺合不能な本体部21と、本体部21の上方に設けられ、第2雌ねじ部14と螺合可能な第2雄ねじ部22とを有する。本体部21は、例えば、Z方向に延在している棒状の部位である。例えば、本体部21は、固定部材10の第3穴部13内に入り込まないような構造を有している。例えば、本体部21の側面(Z方向に沿っている面)にはねじ切られた溝が設けられておらず、平滑な面となっている。例えば、X方向及びY方向において、本体部21と第2雄ねじ部22との境界部である本体部21の上端部の大きさは、第2雄ねじ部22の大きさ、及び第2雌ねじ部14の開口の大きさに比べて大きい。
【0030】
第2雄ねじ部22は、本体部21の上端から上方に向かって延在している棒状の部位である。第2雄ねじ部22は、棒状部材20の上部においてねじ切られた溝を有する部位である。第2雄ねじ部22は、Z方向において、棒状部材20の上端から所定の長さの位置までねじ切られた溝を有しており、第2雌ねじ部14と螺合可能となっている。当該所定の長さとは、例えば、第2雌ねじ部14のZ方向の長さ以下である。
【0031】
板状部材30は、Z方向に対して交差する方向に延在し、棒状部材20の下部に移動不能に設けられる部材である。ここでの棒状部材20の下部とは、固定部材10に連結する棒状部材20の上部より下方の部位を指す。板状部材30は、棒状部材20の下部に移動不能に設けられることで、コンクリート50に対しアンカー効果を発揮する。ここで、アンカー効果とは、外部から基礎構造1に対して引張力又は剪断力が作用した場合に、板状部材30がコンクリート50に当接し、当該引張力又は当該剪断力に対する抵抗力を発揮する作用により得られる効果を指す。当該効果は、例えば、基礎構造1又は設置物2が、分離、浮遊、移動及び転倒することを抑制することができることを指す。詳しくは後述する。
【0032】
板状部材30は、例えば、X方向及びY方向に延在している円環状の部材である。X方向及びY方向において、板状部材30の開口の大きさは、本体部21の断面の大きさ以上である。板状部材30は、例えば、棒状部材20の本体部21の下部に固定される。板状部材30は、例えば、棒状部材20の本体部21に対して少なくともZ方向に移動不能になるように固定される。板状部材30は、例えば、棒状部材20の本体部21に対してX方向、Y方向及びZ方向に移動不能になるように固定される。板状部材30は、例えば、本体部21に対して溶接により固定される。板状部材30は、棒状部材20と共に一体的に形成されてもよく、削り出しにより棒状部材20と共に形成されてもよい。
【0033】
板状部材30が棒状部材20から脱離することを抑制するため、基礎構造1は、補強部材31を備えていてもよい。補強部材31は、Z方向に対して交差する方向に延在し、棒状部材20に移動不能に設けられている部材である。補強部材31は、例えば、X方向及びY方向に延在している円盤状の部材である。補強部材31は、例えば、板状部材30の直下であり、本体部21の下部に移動不能に固定されている。補強部材31の上面は、板状部材30の下面に近接又は接触している。例えば、補強部材31は、板状部材30に移動不能に固定される。X方向及びY方向において、補強部材31の大きさは、本体部21の断面の大きさ以上である。X方向及びY方向において、例えば、補強部材31の外径は、板状部材30の外径以下である。補強部材31は、例えば、棒状部材20の本体部21に対して少なくともZ方向に移動不能になるように固定される。補強部材31は、例えば、棒状部材20の本体部21に対してX方向、Y方向及びZ方向に移動不能になるように固定される。補強部材31は、例えば、棒状部材20と共に一体的に形成される。補強部材31は、例えば、ボルトの頭部である。なお、補強部材31は、削り出しにより棒状部材20と共に形成されてもよく、本体部21に対して溶接により固定されてもよい。補強部材31は、例えば、板状部材30と同一の手法により棒状部材20及び板状部材30と共に一体的に形成される。なお、棒状部材20に対して板状部材30のみが設けられ、補強部材31は設けられなくてもよい。
【0034】
次に、
図3を参照して、仮止めボルト40、カバー部材43及び固定用ボルト44について説明する。
図3は、一実施形態に係る基礎構造の部分断面図である。
図3の(A)は、仮止めボルト40及び仮止めボルト40の周辺の部材の断面図である。
図3の(A)に示される仮止めボルト40は、基礎構造1の各部材を設置する過程において、接地部5に対して固定部材10を設けるときに用いられる。仮止めボルト40は、Z方向に延在する部材である。仮止めボルト40は、接地部5の第1穴部6及び固定部材10の第2穴部11に対して挿入されることで、接地部5及び固定部材10と連結する。仮止めボルト40は、例えば、頭部ありのボルトである。
【0035】
仮止めボルト40は、第1雌ねじ部12と螺合可能な第1雄ねじ部41と、第1雄ねじ部41の上部に設けられる第1当接部42とを有する。第1雄ねじ部41と第1当接部42とは、例えば、一体的に形成されている。第1雄ねじ部41は、接地部5の上方から第1穴部6及び第2穴部11の順に挿入され、所定の方向に回転させられることで、第2穴部11の第1雌ねじ部12と螺合する。第1雄ねじ部41は、Z方向において、第1穴部6の長さ、及び、第1雌ねじ部12と第1雄ねじ部41とが螺合可能な長さを足し合わせた長さを少なくとも有する。仮止めボルト40は、当該所定の方向とは逆の方向に回転させられることで、接地部5及び固定部材10から脱離することができる。これにより、仮止めボルト40は、接地部5及び固定部材10に対して着脱可能に連結することができる。
【0036】
第1雄ねじ部41が固定部材10の第1雌ねじ部12に螺合したとき、第1当接部42は、接地部5の上面5bに当接する。X方向及びY方向において、第1当接部42の大きさは、第1穴部6の大きさより大きい。X方向及びY方向において、第1当接部42は、例えば、円形を呈する。第1当接部42は、例えば、薄い円盤状を呈する。第1当接部42のZ方向の長さは、例えば、第1当接部42のX方向及びY方向における径より小さい。第1雄ねじ部41は、例えば、第1当接部42の下面の一部に固定されており、第1当接部42の下面から下方に延在している。第1雄ねじ部41が固定されていない第1当接部42の下面の部分は、接地部5の上面5bに当接する。仮止めボルト40が接地部5の上面5bの上方から第1穴部6及び第2穴部11の順に挿入され、第1雄ねじ部41が第1雌ねじ部12と螺合するとき、第1当接部42が接地部5の上面5bと接触することで、第1雄ねじ部41の下方への移動が抑制される。また、接地部5の上面5bから突出している第1当接部42は薄く形成されているため、接地部5の上面5b上における作業時の障害となることを抑制している。
【0037】
図3の(B)は、カバー部材43及びカバー部材43の周辺の部材の断面図である。
図3の(B)に示されるカバー部材43は、基礎構造1の各部材を設置する過程において、例えば固定部材10がコンクリート50内に設けられた後に第1穴部6を覆うために用いられる。基礎構造1では、接地部5から仮止めボルト40が脱離された箇所において、接地部5の第1穴部6の上部を覆うようにカバー部材43が設けられる。カバー部材43は、X方向及びY方向に延在するシート状の部材である。X方向及びY方向において、カバー部材43の大きさは、第1穴部6の大きさより大きい。カバー部材43は、第1穴部6を覆うように接地部5の上面5bに接着される。カバー部材43は、例えば、プラスチックシールである。カバー部材43は、第4穴部63を覆うように平板部62に接着され、平板部62の第4穴部63の上部を覆ってもよい。
【0038】
図3の(C)は、固定用ボルト44及び固定用ボルト44の周辺の部材の断面図である。
図3の(C)に示される固定用ボルト44は、基礎構造1の各部材を設置する過程において、接地部5に対して設置物2を設けるときに用いられる。固定用ボルト44は、接地部5上に設置物2の平板部62が設けられ、第1穴部6及び第4穴部63が連通したときに用いられる。固定用ボルト44は、Z方向に延在する部材である。固定用ボルト44は、平板部62の第4穴部63、接地部5の第1穴部6及び固定部材10の第2穴部11に対して挿入されることで、平板部62、接地部5及び固定部材10と連結する。固定用ボルト44は、例えば、頭部ありのボルトである。
【0039】
固定用ボルト44は、第1雌ねじ部12と螺合可能な固定用雄ねじ部45と、固定用雄ねじ部45の上部に設けられる固定用当接部46とを有する。固定用雄ねじ部45と固定用当接部46とは、例えば、一体的に形成されている。固定用雄ねじ部45は、平板部62の上方から第4穴部63、第1穴部6及び第2穴部11の順に挿入され、所定の方向に回転させられることで、第2穴部11の第1雌ねじ部12と螺合する。固定用雄ねじ部45は、Z方向において、第4穴部63の長さ、第1穴部6の長さ、及び、第1雌ねじ部12と第1雄ねじ部41とが螺合可能な長さを足し合わせた長さを少なくとも有する。固定用雄ねじ部45は、当該所定の方向とは逆の方向に回転させられることで、平板部62、接地部5、及び固定部材10から脱離することができる。これにより、固定用ボルト44は、平板部62、接地部5及び固定部材10に対して着脱可能に連結することができる。
【0040】
固定用雄ねじ部45が固定部材10の第1雌ねじ部12に螺合したとき、固定用当接部46は、平板部62の上面に当接する。X方向及びY方向において、固定用当接部46の大きさは、第4穴部63の大きさより大きい。X方向及びY方向において、固定用当接部46は、例えば、円形を呈する。固定用当接部46は、例えば、薄い円盤状を呈する。固定用当接部46のZ方向の長さは、例えば、固定用当接部46のX方向及びY方向における径より小さい。固定用雄ねじ部45は、例えば、固定用当接部46の下面の一部に固定されており、固定用当接部46の下面から下方に延在している。固定用雄ねじ部45が固定されていない固定用当接部46の下面の部分は、平板部62の上面に当接する。固定用ボルト44が平板部62の上面の上方から第4穴部63、第1穴部6及び第2穴部11の順に挿入され、固定用雄ねじ部45が第1雌ねじ部12と螺合するとき、固定用当接部46が平板部62の上面と接触することで、固定用雄ねじ部45の下方への移動が抑制される。また、平板部62の上面から突出している固定用当接部46は薄く形成されているため、平板部62の上面上における作業時の障害となることを抑制している。
【0041】
再び
図1及び
図2を参照する。下部フレーム70は、基準面P上に設けられる枠体である。下部フレーム70は、第1下部材71、1対の第2下部材72、ボルト73及びナット74を有する。第1下部材71は、例えば、Y方向に延在する部材である。第1下部材71のY方向の断面は、L字状を呈する。すなわち、第1下部材71は、X方向及びY方向に延在する第1板状部位と、Y方向及びZ方向に延在する第2板状部位とから構成される。第1下部材71の第1板状部位は、基準面Pに接するように設けられる。
【0042】
第1下部材71の第1板状部位は、Y方向の両端部にそれぞれボルト73が上方から嵌入可能な穴部を有する。ボルト73は、当該穴部に挿入され、基準面Pに対し嵌入される。ナット74は、ボルト73に上方から螺合する。第1下部材71は、Z方向において基準面Pとナット74とに挟み込まれることで固定される。
【0043】
各第2下部材72は、例えば、Z方向に延在する部材である。各第2下部材72のZ方向の断面は、L字状を呈する。すなわち、各第2下部材72は、X方向及びZ方向に延在する第3板状部位と、Y方向及びZ方向に延在する第4板状部位とから構成される。1対の第2下部材72の第4板状部位は、第1下部材71の第2板状部位のY方向の両端部にそれぞれ固定される。
【0044】
中部フレーム80は、下部フレーム70の1対の第2下部材72に固定されて設けられる枠体である。中部フレーム80は、例えば、Y方向に延在する部材である。中部フレーム80のY方向の断面は、L字状を呈する。すなわち、中部フレーム80は、X方向及びY方向に延在する第1中部位と、Y方向及びZ方向に延在する第2中部位とから構成される。中部フレーム80の第2中部位は、1対の第2下部材72の第4板状部位に固定される。Z方向において、中部フレーム80は、1対の第2下部材72の所定の位置に設けられる。
【0045】
1対の受け部81は、中部フレーム80上に固定されて設けられる枠体である。各受け部81は、例えば、X方向に延在し、X方向に向かって開口している矩形筒状の部材である。1対の受け部81は、例えば、中部フレーム80の第1中部位上において、1対の第2下部材72の間に互いに離間して設けられる。
【0046】
上部フレーム90は、1対の受け部81上に固定されて設けられる枠体である。上部フレーム90は、例えば、X方向及びY方向に延在している。上部フレーム90のY方向の両端部は、下方に向かって屈曲し、下方に向かって同一の長さだけ延在している。上部フレーム90のY方向の両端部のそれぞれは、1対の受け部81のそれぞれの上面に固定される。上部フレーム90のX方向及びY方向に延在している面(上面)の上には、接地部5が固定される。接地部5は、例えば、上部フレーム90の上面よりY方向に長く延在している。
【0047】
コンクリート50は、基準面Pから所定の床面Qの高さまで打設される。接地部5、固定部材10、棒状部材20、板状部材30、下部フレーム70、中部フレーム80、1対の受け部81、上部フレーム90及び鉄筋(不図示)が基準面P上に設けられた後に、コンクリート50は、打設される。コンクリート50は、例えば、流動性コンクリートである。コンクリート50が打設されることで、接地部5、固定部材10、棒状部材20、板状部材30、下部フレーム70、中部フレーム80、1対の受け部81、上部フレーム90及び鉄筋がコンクリート50内に固定される。
【0048】
ここで、板状部材30は、固定部材10及び棒状部材20により床面Qから所定の深さ以下に配置され、板状部材30の上面及び下面を含む周囲にコンクリート50が打設されている。固定部材10及び棒状部材20に対して引張力(床面Qから上方に引き抜く力)又は剪断力が作用した場合に、棒状部材20に対して移動不能に設けられた板状部材30が打設されたコンクリート50に当接することで、固定部材10、棒状部材20及び板状部材30は、当該引張力及び当該剪断力に対して抵抗することができる。このように、固定部材10、棒状部材20、板状部材30、固定用ボルト44、及びコンクリート50が引張力や剪断力に抵抗することによって、アンカー効果を発揮し、コンクリート50に取り付けられた基礎構造1及び設置物2が分離、浮遊、移動及び転倒することを抑制することができる。
【0049】
また、板状部材30が棒状部材20に移動不能に設けられることにより、コンクリート50が打設されるときにコンクリート50から受ける力で棒状部材20に対する設置位置が移動することが抑制される。これにより、基礎構造1ごとに棒状部材20に対する板状部材30の位置が変化しないため、各基礎構造1におけるアンカー効果及び品質を適切に担保することができる。さらに、上記と同様の理由により、板状部材30は、補強部材31と離間した状態でのコンクリート50の固結を抑制することができる。
【0050】
次に、床面Qを形成し、床面Q上に設けられる設置物2を固定する基礎形成方法について説明する。
図4は、一実施形態に係る基礎形成方法のフローチャートである。
図5は、一実施形態に係る基礎形成方法の一部のフローチャートである。
図4に示される基礎形成方法は、
図5に示される基礎形成方法の一部を含む。例えば、
図4に示される基礎形成方法のフローチャートは、基礎構造1及び設置物2を設ける対象の区画に対して、砕石が敷かれ、転圧された後に開始される。基礎形成方法では、まず、砕石上に捨てコンクリートが打設される(ステップS1)。捨てコンクリートが打設されることで、基準面Pが形成される。なお、基礎形成方法は、ステップS1の前に対象の区画に対して、砕石を敷き、転圧する工程を含んでもよい。例えば、対象の区画に対して捨てコンクリートの打設が完了したとき、次の工程に移行する。
【0051】
続いて、基準面P上に下部フレーム70(下フレーム)が設置される(ステップS2)。当該工程において、下部フレーム70の第1下部材71と1対の第2下部材72とが固定されてもよいし、当該工程の前に工場等で予め第1下部材71と1対の第2下部材72とが固定された状態で基準面P上に持ち込まれてもよい。
図6は、
図4に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
図6に示されるように、第1下部材71は、ボルト73及びナット74により基準面P上に固定される。例えば、1対の第2下部材72が第1下部材71を介して基準面P上に固定されたとき、次の工程に移行する。
【0052】
続いて、基準面P上に下鉄筋が設置される(ステップS3)。下鉄筋は、例えば、対象の区画に設置された下部フレーム70の第1下部材71の上方に設けられる。例えば、対象の区画に対する下鉄筋の配筋が完了したとき、次の工程に移行する。
【0053】
続いて、下部フレーム70に対して中部フレーム80(中フレーム)が設置される(ステップS4)。
図7は、
図4に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
図7に示されるように、中部フレーム80は、下部フレーム70の1対の第2下部材72の所定の位置に固定される。例えば、対象の区画に設置された下部フレーム70に対して中部フレーム80が固定されたとき、次の工程に移行する。
【0054】
続いて、中部フレーム80に対して1対の受け部81が設置される(ステップS5)。1対の受け部81は、中部フレーム80の所定の位置に固定される。例えば、対象の区画に設置された中部フレーム80に対して1対の受け部81が固定されたとき、次の工程に移行する。
【0055】
続いて、基準面P上に上鉄筋が設置される(ステップS6)。上鉄筋は、例えば、対象の区画に設置された中部フレーム80の上方に設けられる。上鉄筋の一部は、例えば、対象の区画に設置された1対の受け部81の間に設けられてもよい。例えば、対象の区画に対する上鉄筋の配筋が完了したとき、次の工程に移行する。
【0056】
続いて、設置工程を実施する(ステップS7)。ステップS7の設置工程の詳細は、
図5に示される。
図5に示されるように、設置工程では、まず、板状部材30を棒状部材20の下部に移動不能に設ける(ステップS10:移動不能に設ける工程)。板状部材30は、棒状部材20の本体部21の下部に移動不能に固定される。補強部材31は、例えば、板状部材30の固定の後に棒状部材20の本体部21の下部、かつ、板状部材30の下方に固定される。移動不能に設ける工程(ステップS10)は、設置工程(ステップS7)の中で行われなくてもよく、設置工程(ステップS7)が実施される前に予め工場等で行われてもよい。
【0057】
続いて、棒状部材20の上部を固定部材10の下部に連結(接続)させる(ステップS12:連結させる工程)。棒状部材20の第2雄ねじ部22は、固定部材10の第2雌ねじ部14に下方から挿入され、所定の方向に回転することで第2雌ねじ部14と螺合する。
【0058】
続いて、接地部5を設ける(ステップS14:接地部を設ける工程)。本実施形態の接地部5は、基礎形成方法の開始前に、予め工場等で上部フレーム90に固定されているとする。
図8は、
図5に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
図8に示されるように、上部フレーム90は、1対の受け部81上に固定される。例えば、基準面Pから上部フレーム90の上面までの長さが、基準面Pから床面Qの高さとなる。接地部5は、上部フレーム90の上面に固定されているため、接地部5は床面Qに沿う位置に配置されることになる。なお、ステップS14の段階では、まだ床面Qは形成されていない。従って、床面Qに沿う位置に配置される状態とは、後の工程において床面Qが形成される予定の位置に配置されることを意味する。例えば、接地部5が下部フレーム70、中部フレーム80、1対の受け部81及び上部フレーム90を介して基準面P上に固定されたとき、次の工程に移行する。なお、本実施形態の接地部5に設けられた第1穴部6の数は、例えば、2つである。
【0059】
続いて、固定部材10を接地部5の下面5a側に設ける(ステップS16:下面側に設ける工程)。
図9は、
図5に示される基礎形成方法が実施されている基礎構造の斜視図である。
図9に示すように、接地部5に対して複数の固定部材10及び複数の仮止めボルト40が設けられる。この工程では、複数の仮止めボルト40のそれぞれと、接地部5及び複数の固定部材10のそれぞれとが着脱可能に連結(接続)する。例えば、2つの第1穴部6及び2つの第2穴部11に対して2つの仮止めボルト40をそれぞれ挿入して所定の方向に回転させることで各第1雌ねじ部12と螺合させる。これにより、仮止めボルト40は、接地部5及び固定部材10と連結する。このとき、各仮止めボルト40は、所定の方向とは逆の方向に回転させることで、各第1雌ねじ部12との螺合を解除することができる。以上により、この工程では、複数の仮止めボルト40のそれぞれと、接地部5及び複数の固定部材10のそれぞれとが着脱可能に連結する。
【0060】
続いて、所定の床面Qの高さまでコンクリート50を打設する(ステップS18:打設する工程)。この工程では、コンクリート50が、基準面Pから床面Qの高さまで打設される(
図1参照)。対象の区画に対してコンクリート50の打設が完了したとき、次の工程に移行する。棒状部材20に板状部材30が移動不能に設けられた状態でコンクリート50が打設されることで、外部から基礎構造1に引張力又は剪断力が作用した場合に、板状部材30がコンクリート50に当接することで、アンカー効果を発揮することができる。
【0061】
続いて、打設する工程(ステップS18)の後に、仮止めボルト40を脱離させる(ステップS20:脱離させる工程)。この工程は、コンクリート50が打設され、コンクリート50が所定の期間、養生されて固着(固結)した後に実施される。このとき、仮止めボルト40は、第1穴部6及び第2穴部11から脱離させる。これにより、対象の区画内外での作業において、仮止めボルト40の第1当接部42に引っ掛かる等の事象が生じにくくなり、仮止めボルト40の折損又は作業の遅れの発生等を抑制することができる。
【0062】
続いて、脱離させる工程(ステップS20)の後に、カバー部材43を用いて接地部5の第1穴部6の上部を覆う(ステップS22:カバー部材を設ける工程)。先の脱離させる工程(ステップS20)において仮止めボルト40が脱離された第1穴部6が、カバー部材43により覆われる対象となる。これにより、上方から第1穴部6及び第2穴部11内に物体(異物)が侵入することを抑制することができる。
【0063】
続いて、カバー部材を設ける工程(ステップS22)の後に、カバー部材43を脱離させる(ステップS24)。この工程は、後述の設置物を設ける工程の前に行われる。これにより、第1穴部6及び第2穴部11に対して上方から固定用ボルト44を挿入可能な状態とすることができる。
【0064】
続いて、接地部5の上面5bにおいて設置物2を設ける(ステップS26:設置物を設ける工程)。少なくとも本工程(ステップS26)の実施前において、予め工場等で延在部60、平板部62及び支持部64は固定されているとする。設置物2は、平板部62の下面が接地部5の上面5bに接するように設けられる。
【0065】
続いて、平板部62の第4穴部63の位置が第1穴部6の直上に位置するように設置物2(平板部62)の位置を調整する。続いて、固定用ボルト44を、第4穴部63、第1穴部6及び第1雌ねじ部12に対して上方から挿入する。固定用ボルト44の固定用雄ねじ部45を第1雌ねじ部12に螺合させ、固定用ボルト44の固定用当接部46を平板部62に当接させる。以上の工程により、基礎構造1と設置物2とを固定させることができる。
【0066】
以上のように、本実施形態の基礎形成方法及び基礎構造1は、アンカー効果を確保しつつ、施工性を向上させることができる。下面側に設ける工程(ステップS16)において、接地部5に対して固定部材10及び棒状部材20を接地部5の下面5a側に設けることができるため、接地部5から上方に突出している部材を減らすことができる。また、打設する工程(ステップS18)において、コンクリート50内では、棒状部材20及び板状部材30が配置された状態となる。従って、板状部材30によるコンクリート50に対するアンカー効果を確保することができる。また、移動不能に設ける工程(ステップS10)において、板状部材30が棒状部材20の下部に移動不能に設けられることで、板状部材30が棒状部材20に設けられた後で板状部材の位置が変わることが抑えられるため、接地部5又は設置物2に対するアンカー効果を担保することができる。
【0067】
また、仮止めボルト40により、固定部材10は、その上部が接地部5に連結した状態で設けられる。これにより、より容易に接地部5に対して固定部材10、棒状部材20及び板状部材30を設けることができる。
【0068】
また、打設する工程(ステップS18)においてコンクリート50が適切に打設されていない場合等、固定部材10はコンクリート50内で回転可能に設けられる可能性がある。このため、仮止めボルト40の第1雄ねじ部41を固定部材10の第1雌ねじ部12に対して脱離させるために回転させるとき、固定部材10と仮止めボルト40とが共に同一方向に回転する(共回りが生じる)可能性がある。また、固定用ボルト44の固定用雄ねじ部45を固定部材10の第1雌ねじ部12に対して螺合させるために回転させるとき、固定部材10と固定用ボルト44とが共に同一方向に回転する(共回りが生じる)可能性がある。ここで、棒状部材20は、本体部21の上方に第2雄ねじ部22を有しており、本体部21が固定部材10の第3穴部13に入り込まない構成となっている。このため、固定部材10が仮止めボルト40又は固定用ボルト44により回転した場合であっても、固定部材10の第2雌ねじ部14が棒状部材20に螺合する位置を第2雄ねじ部22が設けられた位置までとすることができる。すなわち、固定部材10が本体部21の位置まで下方に移動することが抑制される。また、固定部材10が仮止めボルト40又は固定用ボルト44により回転したとき、固定部材10の第2雌ねじ部14が棒状部材20から脱離する方向(上方)に移動しようとするおそれもある。当該事象が生じた場合であっても、固定部材10は、各フレームにより固定された接地部5の下面5aに接触又は密着しているため、固定部材10の上方への移動が抑制される。これにより、棒状部材20により固定部材10と、仮止めボルト40又は固定用ボルト44とが共に回転し続ける動き(共回り)を抑制することができる。
【0069】
また、脱離させる工程(ステップS20)により、仮止めボルト40が脱離されるため、接地部5の上方に大きく突出している部材を減らすことができ、床面Qにおける施工性を向上させることができる。また、カバー部材を設ける工程(ステップS22)において、カバー部材43が接地部5の第1穴部6の上部を覆うことで、脱離させる工程(ステップS20)において仮止めボルト40が脱離された後に、第1穴部6内に物体(異物)が侵入することを抑制することができる。設置物を設ける工程(ステップS26)において、床面Qにおける施工性が向上しているため、設置物2をより容易に設けることができる。
【0070】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。接地部5には第1穴部6が設けられなくてもよい。このとき、固定部材10は、例えば、X方向及びY方向において接地部5に連続する位置に溶接等により固定されていてもよい。また、固定部材10には第2雌ねじ部14が設けられなくてもよく、棒状部材20は第2雄ねじ部22を有さなくてもよい。このとき、棒状部材20は、固定部材10に溶接等により固定されていてもよい。棒状部材20は、固定部材10に一体的に形成されていてもよい。
【0071】
基礎形成方法において、例えば、仮止めボルト40を脱離させた後にすぐに設置物2を設置する場合等では、脱離させる工程(ステップS20)を実施した後に、カバー部材を設ける工程(ステップS22)及びカバー部材を脱離させる工程(ステップS24)が実施されなくてもよい。
【0072】
平板部62の第4穴部63の数、接地部5の第1穴部6の数、及び接地部5に対して設けられる固定部材10の数、棒状部材20の数、板状部材30の数、仮止めボルト40の数、及び固定用ボルト44の数は、2つずつに限定されず、それぞれ1つ又は3つ以上であってもよい。接地部5の第1穴部6及び平板部62の第4穴部63は、それぞれねじ切られた溝があってもよい。このとき、仮止めボルト40の第1雄ねじ部41、及び固定用ボルト44の固定用雄ねじ部45は、第1穴部6及び第4穴部63と螺合することができる。これにより、より強固に接地部5に対し固定部材10を固定させることができ、より強固に設置物2を基礎構造1に固定させることができる。また、この場合、接地部5と固定部材10とを固定させるときに仮止めボルト40の代わりに固定用ボルト44を設けても、第1当接部42が接地部5の上面5bに当接していなくても接地部5と固定部材10とを固定させることができる。このとき、固定用ボルト44は挿入部材の一例として機能する。これにより、基礎構造1における部材の数及び種類を減らすことができる。
【0073】
固定部材10は接地部5の下面5aより上方に突き出ていてもよい。このとき、Z方向において、第1穴部6の断面の大きさは、固定部材10の断面の大きさより大きくてもよい。固定部材10の上端は接地部5の上面5bと同一の位置にあってもよいし、固定部材10の上端が接地部5の上面5bより上方に突出していてもよい。板状部材30は、Z方向に対して直交する平面に沿った部材でなくてもよく、コンクリート50に対してアンカー効果が発揮できる形状であればよい。
【0074】
図4に示される基礎形成方法のフローチャートは、ステップS1,S2,S3,S4,S5,S6のいずれかの後に開始されてもよい。基礎形成方法は、ステップS1~S6のいずれかを含まなくてもよい。基礎形成方法は、ステップS7のみを含み、
図5に示されるステップS10から開始されてもよい。接地部5が上部フレーム90に固定されていない場合、上部フレーム90を設置する工程は設置工程(ステップS7)の前に行われてもよい。このとき、接地部を設ける工程(ステップS14)は、接地部5を上部フレーム90の上面に固定させる。移動不能に設ける工程(ステップS10)、連結させる工程(ステップS12)、接地部を設ける工程(ステップS14)、及び下面側に設ける工程(ステップS16)が実施される順番は、それぞれ前後してもよい。複数の基礎構造1及び複数の設置物2が設置される場合、
図4及び
図5に示される基礎形成方法の各工程(ステップ)は、すべての基礎構造1及び設置物2において同時に行われる必要はなく、各基礎構造1又は各設置物2において実施される工程は異なっていてもよい。
【0075】
[変形例1]
図10は、変形例に係る基礎構造の断面図である。上述の実施形態と同一の構造及び機能を有する部材又は部位については、同一の名称及び符号を記載する。
図10に示されるように、変形例に係る構造システム100Aは、基礎構造1Aと設置物2とを備える。基礎構造1Aは、接地部5と、固定部材10Aと、棒状部材20Aと、板状部材30と、固定用ボルト44と、コンクリート50とを有している。基礎構造1Aは、下部フレーム70と、中部フレーム80と、1対の受け部81と、上部フレーム90とをさらに有している。基礎構造1Aは、各部材の設置の過程において用いる仮止めボルト40及びカバー部材43を有している。なお、
図10におけるコンクリート50の断面位置は、下部フレーム70、中部フレーム80、及び1対の受け部81を見やすくするため、これらの部材よりもX方向における正側の位置に設定されている。
【0076】
固定部材10Aは、例えば、パイプ式ターンバックルである。固定部材10Aには、第2穴部11Aと第3穴部13Aとが形成されている。第2穴部11Aには、その上部に第1雌ねじ部12が設けられている。第3穴部13Aには、その下部に第2雌ねじ部14が設けられている。変形例の固定部材10Aは、例えば、実施形態の固定部材10に比べて、第2穴部11から第1雌ねじ部12を除いた第1部位15と、第3穴部13Aから第2雌ねじ部14を除いた第2部位16とが形成されている点で、相違する。例えば、Z方向において、固定部材10Aの長さは固定部材10の長さに比べて長い。なお、実施形態の固定部材10にも、第1部位15又は第2部位16に相当する部位が形成されていてもよい。
【0077】
固定部材10Aは、第2穴部11Aと第3穴部13Aとの間には、Z方向に延在している箱状の境界部17Aを有する。境界部17Aは、第2穴部11Aの下側、かつ、第3穴部13Aの上側に設けられ、第2穴部11A及び第3穴部13Aの開口の全部又は一部を閉塞している。これにより、仮止めボルト40の第1雄ねじ部41、固定用ボルト44の固定用雄ねじ部45又は棒状部材20の第2雄ねじ部22が、固定部材10Aと螺合する長さをそれぞれ適切に確保することができる。なお、実施形態の固定部材10にも、境界部17Aに相当する部位が形成されていてもよい。境界部17Aは箱状ではなく、板状であってもよい。
【0078】
棒状部材20Aは、本体部21Aと、第2雄ねじ部22とを有する。例えば、Z方向において、変形例の本体部21Aの長さは、実施形態の本体部21の長さに比べて第1部位15及び第2部位16の分だけ短く形成されている。板状部材30は、本体部21Aに固定されている。板状部材30は、固定部材10Aの下部に固定されていてもよい。基礎構造1Aにおいて、固定部材10Aが設けられることにより、板状部材30がアンカー効果を発揮するためのZ方向の長さ、すなわち板状部材30に対するコンクリート50のかぶり厚を十分に確保することができる。変形例に係る基礎構造1Aは、基礎構造1と同一の作用及び効果を有する。
【0079】
[変形例2]
図11は、別の変形例に係る基礎構造の断面図である。上述の実施形態と同一の構造及び機能を有する部材又は部位については、同一の名称及び符号を記載する。
図11に示されるように、変形例に係る構造システム100Bは、基礎構造1Bと設置物2とを備える。基礎構造1Bは、接地部5と、固定部材10と、棒状部材20と、板状部材30と、固定用ボルト44と、突出型ボルト47(挿入部材の一例)と、コンクリート50とを有している。基礎構造1Bは、下部フレーム70と、中部フレーム80と、1対の受け部81と、上部フレーム90とをさらに有している。基礎構造1Bは、各部材の設置の過程において用いる仮止めボルト40及びカバー部材43を有している。なお、
図11におけるコンクリート50の断面位置は、下部フレーム70、中部フレーム80、及び1対の受け部81を見やすくするため、これらの部材よりもX方向における正側の位置に設定されている。
【0080】
まず、突出型ボルト47の構成について説明する。
図11に示される突出型ボルト47は、基礎構造1の各部材を設置する過程において、接地部5に対して固定部材10を設けるとき、及び接地部5に対して設置物2を設けるときの双方で用いられる。突出型ボルト47は、Z方向に延在する部材である。突出型ボルト47は、第1雌ねじ部12と螺合可能な突出型雄ねじ部48と、突出型雄ねじ部48に螺合するナット49とを有する。突出型雄ねじ部48は、例えば、棒状のボルトである。第1雄ねじ部41は、Z方向において、ナット49の長さ、第4穴部63の長さ、第1穴部6の長さ、及び、第1雌ねじ部12と第1雄ねじ部41とが螺合可能な長さを足し合わせた長さを少なくとも有する。突出型ボルト47は、当該所定の方向とは逆の方向に回転させられることで、平板部62、接地部5及び固定部材10から脱離することができる。これにより、突出型ボルト47は、平板部62、接地部5及び固定部材10に対して着脱可能に連結することができる。
【0081】
突出型雄ねじ部48が固定部材10の第1雌ねじ部12に螺合したとき、ナット49は、突出型雄ねじ部48に上方から螺合することで平板部62の上面、又は接地部5の上面5bに当接する。X方向及びY方向において、ナット49の大きさは、第4穴部63及び第1穴部6の大きさより大きい。X方向及びY方向において、ナット49は、例えば、六角ナットである。ナット49の下面が平板部62の上面又は接地部5の上面5bに接触しているとき、突出型雄ねじ部48は、例えば、ナット49より上方に突出している。
【0082】
次に、突出型ボルト47を用いて基礎構造1B及び設置物2を設置する過程を説明する。
図11に示されるように、設置物2に対して1つの突出型ボルト47が設けられる場合を説明する。実施形態の基礎形成方法と同一の工程は、説明を省略する。下面側に設ける工程(ステップS16)において、突出型雄ねじ部48を接地部5の第1穴部6及び固定部材10の第2穴部11に対して挿入し、ナット49を接地部5の上面5bに向けて突出型雄ねじ部48と螺合させることで、突出型ボルト47は、接地部5及び固定部材10と連結する。
【0083】
脱離させる工程(ステップS20)においては、仮止めボルト40と、突出型ボルト47のうちナット49とが脱離される。このとき、例えば、突出型ボルト47の突出型雄ねじ部48は脱離されない。また、脱離させる工程(ステップS20)を実施した後において、突出型雄ねじ部48が脱離されていない第1穴部6に対しては、カバー部材を設ける工程(ステップS22)及びカバー部材を脱離させる工程(ステップS24)が実施されない。なお、脱離させる工程(ステップS20)において、突出型雄ねじ部48が脱離されてもよい。
【0084】
設置物を設ける工程(ステップS26)において、接地部5の上方に突出している突出型ボルト47の突出型雄ねじ部48を、平板部62に設けられた一方の第4穴部63に挿入させることで、設置物2を接地部5の上面5bに設ける。平板部62を突出型雄ねじ部48に沿って下方に移動させることで、平板部62を接地部5の上面5b上に適切に位置させることができる。続いて、仮止めボルト40が挿入されていた第1穴部6の位置を、平板部62の他方の第4穴部63の位置に合わせる。続いて、固定用ボルト44を、当該第4穴部63、当該第1穴部6及び第1雌ねじ部12に対して上方から挿入させる。固定用ボルト44の固定用雄ねじ部45を第1雌ねじ部12に螺合させ、固定用ボルト44の固定用当接部46を平板部62に当接させる。また、突出型ボルト47の突出型雄ねじ部48にナット49を螺合させる。以上の工程により、基礎構造1と設置物2とを固定させることができる。
【0085】
以上のように、変形例に係る基礎形成方法において、下面側に設ける工程(ステップS26)では、接地部5に対して複数の固定部材10及び複数の挿入部材が設けられ、複数の挿入部材のそれぞれと接地部5及び複数の固定部材10のそれぞれとを着脱可能に連結させ、複数の挿入部材のうち、少なくとも1つの挿入部材は、設置物2の固定に使われてもよい。この場合、基礎構造1Bにおいて、接地部5及び複数の固定部材10を連結させる複数の挿入部材のうち、少なくとも1つの挿入部材は突出型ボルト47として設置物2の固定に使われる。設置物2の固定に使われる突出型ボルト47が設けられることで、設置物2を接地部5上に設けるときの目印又はガイドとすることができ、設置物2をより容易に設けることができる。また、設置物2の固定に使われる突出型ボルト47が設けられることで、各部材を固定する部材の種類及び数の増加を抑制することができる。
【0086】
基礎構造1Bにおいて、接地部5に対して設けられたすべての挿入部材が、設置物2の固定に使われてもよい。すなわち、接地部5に設けられたすべての第1穴部6に対して突出型ボルト47を挿入させてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1B…基礎構造、2…設置物、5…接地部、5a…下面、5b…上面、6…第1穴部、10,10A…固定部材、11,11A…第2穴部、12…第1雌ねじ部、13,13A…第3穴部、14…第2雌ねじ部、15…第1部位、16…第2部位、17A…境界部、20,20A…棒状部材、21,21A…本体部、22…第2雄ねじ部、30…板状部材、31…補強部材、40…仮止めボルト(挿入部材の一例)、41…第1雄ねじ部、42…第1当接部、43…カバー部材、44…固定用ボルト、45…固定用雄ねじ部、46…固定用当接部、47…突出型ボルト(挿入部材の一例)、48…突出型雄ねじ部、49…ナット、50…コンクリート、60…延在部、62…平板部、63…第4穴部、64…支持部、70…下部フレーム、80…中部フレーム、81…受け部、90…上部フレーム、100,100A,100B…構造システム、P…基準面、Q…床面。