(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】反射型液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20230801BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20230801BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20230801BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230801BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20230801BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230801BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20230801BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G02F1/133 580
G02F1/133 550
G02F1/1368
G02F1/1343
G09F9/00 304Z
G09F9/35
G09F9/30 349Z
G09G3/36
G09G3/20 670L
G09G3/20 624C
G09G3/20 680G
(21)【出願番号】P 2021209230
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2017166723の分割
【原出願日】2017-08-31
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 隆行
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-085619(JP,A)
【文献】特開2015-114375(JP,A)
【文献】特開2010-078942(JP,A)
【文献】特開2008-040130(JP,A)
【文献】特開2008-256821(JP,A)
【文献】特開2008-170536(JP,A)
【文献】特開2007-065076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133
G02F 1/1368
G02F 1/1343
G09F 9/00
G09F 9/35
G09F 9/30
G09G 3/36
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
温度センサと、を備え、
前記温度センサは、行列状に区画された複数の画素配置領域のうち一又は複数の領域に形成されており、
前記各画素は、
共通電極、反射電極及びそれらの間に封入された液晶により構成された液晶表示素子と、
前記反射電極に対し、表示させる画像に応じた電圧を印加する回路部と、
を有し、
前記温度センサを覆うようにダミー液晶表示素子が形成されており、
前記温度センサは
、前記各画素が画像を表示している期間の温度を前記回路部と異なる配線により任意の時間にリアルタイムに出力可能に設けられている、
反射型液晶表示装置。
【請求項2】
前記温度センサは、平面視して矩形状に設けられた前記複数の画素配置領域のうち、外周辺に沿って設けられた複数の領域の何れかに形成されている、
請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
【請求項3】
前記ダミー液晶表示素子の反射電極は、前記ダミー液晶表示素子に隣接する前記画素に設けられた液晶表示素子の反射電極と短絡するように形成されている、
請求項1又は2に記載の反射型液晶表示装置。
【請求項4】
前記温度センサは、平面視して矩形状に設けられた前記複数の画素配置領域のうち、外周辺に沿って設けられた複数の領域に形成され、
前記ダミー液晶表示素子の反射電極は、平面視して前記複数の画素配置領域を囲む額縁電極と短絡するように形成されている、
請求項1又は2に記載の反射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型液晶表示装置に関し、例えば画素の温度を精度良く計測するのに適し
た反射型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置における中間調表示方式の1つとして、サブフレーム駆動方式が知られて
いる。時間軸変調方式の一種であるサブフレーム駆動方式では、所定の期間(例えば、動
画の場合には1画像の表示単位である1フレーム)を複数のサブフレームに分割し、表示
すべき階調に応じたサブフレームの組み合わせにより画素を駆動する。表示される階調は
、所定の期間に占める画素の駆動期間の割合によって決まり、この割合は、サブフレーム
の組み合わせによって特定される。
【0003】
サブフレーム駆動方式が採用された液晶表示装置の中には、各画素が、マスターラッチ
及びスレーブラッチと、液晶表示素子と、複数のスイッチングトランジスタと、によって
構成されているものがある。
【0004】
この画素では、マスターラッチの入力端子に1ビットの第1のデータが第1のスイッチ
ングトランジスタを通して印加され、行走査線を介して印加される行選択信号がアクティ
ブになると、第1のスイッチングトランジスタがオン状態になり、第1のデータがマスタ
ーラッチに書き込まれる。
【0005】
全ての画素に設けられたマスターラッチへのデータの書き込みが完了すると、そのサブ
フレーム期間内において、全ての画素に設けられた第2のスイッチングトランジスタがオ
ン状態になる。それにより、全ての画素に設けられたマスターラッチのデータが一斉に読
み出されてスレーブラッチに書き込まれるとともに、当該スレーブラッチに書き込まれた
データが液晶表示素子の画素電極に印加される。各サブフレーム期間において、全ての画
素に対して同様の処理が行われる。その結果、各画素は、1フレームを構成する複数のサ
ブフレームの組み合わせにより所望の階調表示を行うことができる。
【0006】
なお、1フレームを構成する複数のサブフレームの期間は、それぞれ同一又は異なる所
定の期間に予め割り当てられている。例えば、各画素において、最大階調表示を行う(白
を表示させる)場合には1フレームを構成する複数のサブフレームの全てにおいて表示を
行い、最小階調表示を行う(黒を表示させる)場合には1フレームを構成する複数のサブ
フレームの全てにおいて表示を行わず、それ以外の階調表示を行う場合には、表示する階
調に応じて表示するサブフレームを選択する。この従来からの手法を採用した液晶表示装
置は、階調を示すデジタルデータを入力データとしており、また、2段ラッチ構成のデジ
タル駆動方式を採用している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、液晶表示装置には、画素の温度を検出するための温度センサが設けられるの
が一般的である。液晶表示装置をプロジェクター素子として使用する場合、高輝度なラン
プ光を液晶表示素子に入射するため、液晶表示素子が高温になり誤動作する場合がある。
このため、温度センサによって検出された画素の温度に基づいて冷却用ファンの回転数を
制御することにより、当該液晶表示素子の温度が一定に保たれる。特許文献1の構成にも
、温度センサが設けられていると考えられる。
【0009】
しかしながら、一般的に、画素の表面は、画像を表示するためのガラスによって覆われ
ており、かつ、画素の裏面は、画素を放熱するためのヒートシンクが取り付けられている
ため、画素近傍に温度センサを設置することができない。ここで、画素の温度とヒートシ
ンクの温度との間には、-5℃~+5℃の温度誤差がある。そのため、特許文献1の構成
では、画素の温度を精度良く計測することができない、という問題があった。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、画素の温度を精度良く計測することが可能な
反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様にかかる反射型液晶表示装置は、複数の画素と、温度センサと、を備え
、前記温度センサは、行列状に区画された複数の画素配置領域のうち一又は複数の領域に
形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画素の温度を精度良く計測することが可能な反射型液晶表示装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかる液晶表示装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す液晶表示装置に設けられた画素の具体的構成を示す回路図である。
【
図3】
図2に示す画素に設けられた第1データ保持部を構成するインバータの具体的構成を示す回路図である。
【
図5】
図1に示す液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図6】液晶の印加電圧(RMS電圧)と液晶のグレースケール値との関係を示す図である。
【
図7】
図1に示す液晶表示装置に設けられたダミー画素の温度センサ部分の具体的構成を示す回路図である。
【
図8】
図1に示す液晶表示装置に設けられたダミー画素の概略断面図である。
【
図9】
図1に示す液晶表示装置に設けられたダミー画素の温度センサ部分の概略平面図である。
【
図10】
図1に示す液晶表示装置の画素配置領域に配置された複数の画素及びダミー画素のそれぞれに用いられている反射電極の概略平面図である。
【
図11】実施の形態2にかかる液晶表示装置の画素配置領域に配置された複数の画素及びダミー画素のそれぞれに用いられている反射電極の概略平面図である。
【
図12】実施の形態3にかかる液晶表示装置の画素配置領域に配置された複数の画素及びダミー画素のそれぞれに用いられている反射電極の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る反射型液晶表示装置10を示すブロック図である。
図1に示すように、反射型液晶表示装置10は、画像表示部11と、タイミングジェネ
レータ13と、垂直シフトレジスタ14と、データラッチ回路15と、水平ドライバ16
と、を備える。水平ドライバ16は、水平シフトレジスタ161と、ラッチ部162と、
レベルシフタ/画素ドライバ163と、により構成される。
【0016】
画像表示部11は、行列状に区画された複数の画素配置領域のそれぞれに規則的に配置
された複数の画素12を有する。ここで、複数の画素配置領域のうちの一部(紙面の左下
)の領域には、画素12の代わりにダミー画素12dが配置されている。ダミー画素12
dは、ダミー液晶表示素子及び回路部によって構成され、その回路部において、画素12
の温度を検出するための温度センサS1が形成されている。温度センサS1により検出さ
れた画素12の温度に基づいて冷却用ファンの回転数を制御することにより、画素12の
温度が一定に保たれる。ダミー画素12dの詳細については、後述する。
【0017】
複数の画素12は、垂直シフトレジスタ14に一端が接続されて行方向(X方向)に延
在するm本(mは2以上の自然数)の行走査線g1~gmと、レベルシフタ/画素ドライ
バ163に一端が接続されて列方向(Y方向)に延在するn本(nは2以上の自然数)の
列データ線d1~dnと、がそれぞれ交差する複数の交差部に二次元マトリクス状に配置
されている。画像表示部11内の全ての画素12は、一端がタイミングジェネレータ13
に接続されたトリガ線trig,trigbに共通接続されている。
【0018】
なお、正転トリガパルス用トリガ線trigが伝送する正転トリガパルスTRIと、反
転トリガパルス用トリガ線trigbが伝送する反転トリガパルスTRIBとは、常に逆
論理値の関係(相補的な関係)にある。
【0019】
タイミングジェネレータ13は、上位装置20から出力された垂直同期信号Vst、水
平同期信号Hst、及び、基本クロックCLK等の外部信号を入力信号として受け取り、
これら外部信号に基づいて、交流化信号FR、VスタートパルスVST、Hスタートパル
スHST、クロック信号VCK,HCK、ラッチパルスLT、及び、トリガパルスTRI
,TRIB等の各種の内部信号を生成する。
【0020】
交流化信号FRは、1サブフレーム毎に極性反転する信号であり、画像表示部11を構
成する画素12内の液晶表示素子の共通電極に、後述する共通電極電圧Vcomとして供
給される。
【0021】
スタートパルスVSTは、後述する各サブフレームの開始タイミングで出力されるパル
ス信号であり、このスタートパルスVSTによって、サブフレームの切替わりが制御され
る。
【0022】
スタートパルスHSTは、水平シフトレジスタ161の開始タイミングで当該水平シフ
トレジスタ161に対して出力されるパルス信号である。
【0023】
クロック信号VCKは、垂直シフトレジスタ14における1水平走査期間(1H)を規
定するシフトクロックであり、クロック信号VCKのタイミングで垂直シフトレジスタ1
4がシフト動作を行う。
【0024】
クロック信号HCKは、水平シフトレジスタ161におけるシフトクロックであり、3
2ビット幅でデータをシフトさせるための信号である。
【0025】
ラッチパルスLTは、水平シフトレジスタ161が水平方向の1行の画素数分のデータ
をシフトし終わったタイミングで出力されるパルス信号である。
【0026】
正転トリガパルスTRI及び反転トリガパルスTRIBは、それぞれトリガ線trig
,trigbを介して、画像表示部11内の全ての画素12に供給されるパルス信号であ
る。
【0027】
ここで、正転トリガパルスTRI及び反転トリガパルスTRIBは、あるサブフレーム
期間において、画像表示部11内の全ての画素12内の第1データ保持部にデータが書き
込まれた後にタイミングジェネレータ13から出力される。それにより、そのサブフレー
ム期間において、画像表示部11内の全ての画素12内の第1データ保持部に保持された
データが、それぞれ対応する画素12内の第2データ保持部に一斉に転送される。
【0028】
垂直シフトレジスタ14は、各サブフレームの開始タイミングで供給されるVスタート
パルスVSTをクロック信号VCKに従って転送し、行走査信号を行走査線g1~gmに
対して1H単位で順次排他的に供給する。それにより、画像表示部11の最も上にある行
走査線g1から最も下にある行走査線gmにかけて、行走査線が1本ずつ1H単位で順次
選択されていく。
【0029】
データラッチ回路15は、図示しない外部回路から供給される1サブフレーム単位の3
2ビット幅のデータを、上位装置20からの基本クロックCLKに基づいてラッチした後
、基本クロックCLKに同期して水平シフトレジスタ161へ出力する。
【0030】
なお、反射型液晶表示装置10は、映像信号の1フレームを、その映像信号の1フレー
ム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームに分割し、これらサブフレームの組み
合わせにて階調表示を行っている。そのため、上記の外部回路は、各画素の階調を示す階
調データを、複数のサブフレームに対応する複数の1ビットのサブフレームデータに変換
している。さらに、上記の外部回路は、同じサブフレームに属する32画素分のサブフレ
ームデータをまとめて32ビット幅のデータとしてデータラッチ回路15に供給している
。
【0031】
水平シフトレジスタ161は、1ビットシリアルデータの処理系としてみた場合、タイ
ミングジェネレータ13から1Hの初期に供給されるスタートパルスHSTによりシフト
を開始し、データラッチ回路15から供給される32ビット幅のデータをクロック信号H
CKに同期してシフトする。
【0032】
ラッチ部162は、水平シフトレジスタ161が画像表示部11の1行分の画素数nと
同じnビット分のデータをシフトし終わると、タイミングジェネレータ13から供給され
るラッチパルスLTに同期して、水平シフトレジスタ161から並列に供給されるnビッ
ト分のデータ(即ち、n画素分のサブフレームデータ)をラッチし、レベルシフタ/画素
ドライバ163のレベルシフタへ出力する。なお、ラッチ部162のデータ転送が終了す
ると、タイミングジェネレータ13からスタートパルスHSTが再び出力され、水平シフ
トレジスタ161はクロック信号HCKに従ってデータラッチ回路15からの32ビット
幅のデータのシフトを再開する。
【0033】
レベルシフタ/画素ドライバ163のレベルシフタは、ラッチ部162から転送された
1行のn画素に対応するn個のサブフレームデータの信号レベルを液晶駆動電圧振幅まで
レベルシフトする。レベルシフタ/画素ドライバ163の画素ドライバは、レベルシフト
後の1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータをn本の列データ線d1~dnに
並列に出力する。
【0034】
水平ドライバ16は、1水平走査期間において、データ書き込み対象として選択されて
いる行の画素に向けたサブフレームデータの出力と、次の1水平走査期間にデータ書き込
み対象として選択される行の画素のためのサブフレームデータのシフトと、を並行して行
っている。そして、ある水平走査期間において、1行のn画素に対応するn個のサブフレ
ームデータが、データ信号としてそれぞれn本の列データ線d1~dnに並列に、かつ、
一斉に出力される。
【0035】
画像表示部11を構成する複数の画素12のうち、垂直シフトレジスタ14からの行走
査信号により選択された1行のn個の画素12は、レベルシフタ/画素ドライバ163か
ら一斉に出力された1行分のn個のサブフレームデータをn本の列データ線d1~dnを
介してサンプリングして各画素12内の後述する第1データ保持部に書き込む。
【0036】
画素12の詳細については後述するが、画素12では、記憶部SM1に保持された入力
データの反転データが反射電極PEに印加される。つまり、画素12は、レベルシフタ/
画素ドライバ163から供給された入力データを反転する機能を有している。
【0037】
(画素12の具体的構成)
続いて、画素12の具体的構成について説明する。
図2は、画素12の具体的構成を示す回路図である。
【0038】
図2に示すように、画素12は、行走査線g1~gmの何れか(以下、行走査線gと称
す)と、列データ線d1~dnの何れか(以下、列データ線dと称す)と、が交差する交
差部分に設けられている。
【0039】
画素12は、SRAMセル201と、DRAMセル202と、液晶表示素子LCと、を
備える。SRAMセル201は、第1スイッチであるスイッチSW1と、第1データ保持
部である記憶部SM1と、により構成されている。DRAMセル202は、第2スイッチ
であるスイッチSW2と、第2データ保持部である記憶部DM2と、により構成されてい
る。液晶表示素子LCは、離間対向配置された光反射特性を有する画素電極である反射電
極PEと、光透過性を有する共通電極CEとの間の空間に、液晶LCMが充填封入された
公知の構造である。
【0040】
(SRAMセル201の構成)
スイッチSW1は、例えばNチャネルMOS型トランジスタ(以下、NMOSトランジ
スタという)MN1により構成されている。スイッチSW1を構成するNMOSトランジ
スタMN1では、ソースが記憶部SM1の入力端子(ノードa)に接続され、ドレインが
列データ線dに接続され、ゲートが行走査線gに接続されている。
【0041】
記憶部SM1は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータIN
V11,INV12からなる自己保持型メモリである。より具体的には、インバータIN
V11の入力端子は、インバータINV12の出力端子及びスイッチSW1を構成するN
MOSトランジスタMN1のソースに接続されている。インバータINV12の入力端子
は、スイッチSW2及びインバータINV11の出力端子に接続されている。
【0042】
図3は、インバータINV11の具体的構成を示す回路図である。
図3に示すように、インバータINV11は、直列接続されたPチャネルMOS型トラ
ンジスタ(以下、PMOSトランジスタという)MP11及びNMOSトランジスタMN
11を有し、それぞれのゲートに供給された入力信号を反転してそれぞれのドレインから
出力する公知のCMOSインバータである。同じく、インバータINV12は、直列接続
されたPMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12を有し、それぞ
れのゲートに供給された入力信号を反転してそれぞれのドレインから出力する公知のCM
OSインバータである。
【0043】
ここで、インバータINV11,INV12の駆動能力は異なる。具体的には、記憶部
SM1を構成するインバータINV11,INV12のうち、スイッチSW1から見て入
力側となるインバータINV11内のトランジスタMP11,MN11の駆動能力は、ス
イッチSW1から見て出力側となるインバータINV12内のトランジスタMP12,M
N12の駆動能力よりも大きい。それにより、列データ線dからスイッチSW1を介して
記憶部SM1にデータが伝搬しやすくなり、一方で、スイッチSW2を介して記憶部DM
2から記憶部SM1にデータが伝搬しにくくなる。
【0044】
さらに、スイッチSW1を構成するNMOSトランジスタMN1の駆動能力は、インバ
ータINV12を構成するNMOSトランジスタMN12の駆動能力よりも大きい。それ
により、例えば、列データ線d上でHレベルを示すデータを記憶部SM1に記憶させる場
合、列データ線dからスイッチSW1を介して記憶部SM1の入力端子(ノードa)に流
れる電流が、記憶部SM1の入力端子からNMOSトランジスタMN12を介して接地電
圧端子GNDに流れる電流よりも大きくなるため、データを正確に記憶部SM1に記憶さ
せることができる。
【0045】
(DRAMセル202の構成)
スイッチSW2は、並列接続されたNMOSトランジスタMN2及びPMOSトランジ
スタMP2からなる公知のトランスミッションゲートである。より具体的には、NMOS
トランジスタMN2及びPMOSトランジスタMP2では、それぞれのソースが記憶部S
M1の出力端子に共通接続され、それぞれのドレインが記憶部DM2の入力端子及び液晶
表示素子LCの反射電極PEに共通接続されている。そして、NMOSトランジスタMN
2のゲートは、正転トリガパルス用トリガ線trigに接続され、PMOSトランジスタ
MP2のゲートは、反転トリガパルス用トリガ線trigbに接続されている。
【0046】
例えば、スイッチSW2は、トリガ線trigを介して供給される正転トリガパルスが
Hレベル(トリガ線trigbを介して供給される反転トリガパルスがLレベル)の場合
にオン状態となり、記憶部SM1から読み出されたデータを記憶部DM2及び反射電極P
Eへ転送する。また、スイッチSW2は、トリガ線trigを介して供給される正転トリ
ガパルスがLレベル(トリガ線trigbを介して供給される反転トリガパルスがHレベ
ル)の場合にオフ状態となり、記憶部SM1の記憶データの読み出しは行わない。
【0047】
スイッチSW2は、公知のトランスミッションゲートであるため、オン状態において接
地電圧GNDから電源電圧VDDまでの広範囲の電圧を転送することができる。より具体
的には、記憶部SM1からトランジスタMN2,MP2のソースに印加される電圧が接地
電圧GNDレベル(Lレベル)の場合、PMOSトランジスタMP2のソース・ドレイン
が導通しない代わりに、NMOSトランジスタMN2のソース・ドレインは低抵抗で導通
することができる。一方、記憶部SM1からトランジスタMN2,MP2のソースに印加
される電圧が電源電圧VDDレベル(Hレベル)の場合、NMOSトランジスタMN2の
ソース・ドレインが導通しない代わりに、PMOSトランジスタMP2のソース・ドレイ
ンは低抵抗で導通することができる。このように、スイッチSW2では、トランスミッシ
ョンゲートのソース・ドレインが低抵抗で導通することができるため、オン状態において
接地電圧GNDから電源電圧VDDまでの広範囲の電圧を転送することができる。
【0048】
記憶部DM2は、容量C1により構成されている。容量C1には、例えば、配線間で容
量を形成するMIM(Metal Insulator Metal)容量、基板-ポリ
シリコン間で容量を形成するDiffusion容量、又は、2層ポリシリコン間で容量
を形成するPIP(Poly Insulator Poly)容量等を用いることがで
きる。
【0049】
スイッチSW2がオンすると、記憶部SM1に記憶されたデータが読み出され、スイッ
チSW2を介して、記憶部DM2内の容量C1及び反射電極PEへ転送される。それによ
り、記憶部DM2に記憶されたデータが書き換えられる。
【0050】
ここで、スイッチSW2がオンしている場合、容量C1に保持されたデータは記憶部S
M1を構成するインバータINV12の入力ゲートにも影響を与える。しかしながら、イ
ンバータINV11の駆動能力をインバータINV12の駆動能力より大きくしているた
め、インバータINV12が容量C1のデータの影響を受ける前に、インバータINV1
1が容量C1のデータを書き換えてしまう。したがって、容量C1の保持データによって
記憶部SM1のデータが意図せず書き換えられてしまうことはない。
【0051】
このように、本実施の形態に係る反射型液晶表示装置10は、SRAMセル及びDRA
Mセルを1つずつ備えた画素12を用いることにより、SRAMセルを2つ備えた画素を
用いる場合よりも、画素を構成するトランジスタの数を少なくして、画素の小型化を実現
している。
【0052】
本実施の形態では、スイッチSW2がPMOSトランジスタMP2及びNMOSトラン
ジスタMN2により構成される場合について説明したが、これに限られない。スイッチS
W2は、PMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN2の何れか一つが設
けられた構成に適宜変更可能である。その場合、トリガ線trig,trigbの一方の
みが設けられることとなる。
【0053】
なお、反射型液晶表示装置10は、画素を構成するトランジスタの数を少なくすること
で画素の小型化を実現できるだけでなく、以下に説明するように記憶部SM1,DM2及
び反射電極PEを素子の高さ方向に有効に配置することによっても画素の小型化を実現す
ることができる。以下、
図4を用いて、詳細に説明する。
【0054】
(画素12の断面構造)
図4は、画素12の要部を示す概略断面図である。また、
図4では、容量C1が配線間
で容量を形成するMIMにより構成された場合を例に説明する。
【0055】
図4に示すように、シリコン基板100上にはNウエル101及びPウエル102が形
成されている。
【0056】
Nウエル101上には、スイッチSW2のPMOSトランジスタMP2、及び、インバ
ータINV11のPMOSトランジスタMP11が形成されている。より具体的には、N
ウエル101上には、PMOSトランジスタMP2,MP11のそれぞれのソースとなる
共通拡散層、及び、ドレインとなる2つの拡散層が形成され、共通拡散層と2つの拡散層
との間のチャネル領域上には、PMOSトランジスタMP2,MP11のそれぞれのゲー
トとなるポリシリコンがゲート酸化膜を介して形成されている。
【0057】
Pウエル102上には、スイッチSW2のNMOSトランジスタMN2、及び、インバ
ータINV11のNMOSトランジスタMN11が形成されている。より具体的には、P
ウエル102上には、NMOSトランジスタMN2,MN11のそれぞれのソースとなる
共通拡散層、及び、ドレインとなる2つの拡散層が形成され、共通拡散層と2つの拡散層
との間のチャネル領域上には、NMOSトランジスタMN2,MN11のそれぞれのゲー
トとなるポリシリコンがゲート酸化膜を介して形成されている。
【0058】
なお、Nウエル上の活性領域(拡散層及びチャネル領域)と、Pウエル上の活性領域と
、の間には、素子分離酸化膜103が形成されている。
【0059】
トランジスタMP2,MP11,MN2,MN11の上方には、層間絶縁膜105をメ
タル間に介在させて第1メタル106、第2メタル108、第3メタル110、MIM電
極112、第4メタル114、及び、第5メタル116が積層されている。
【0060】
第5メタル116は、画素毎に形成される反射電極PEを構成している。
【0061】
トランジスタMN2,MP2の各ドレインを構成する各拡散層は、コンタクト118、
第1メタル106、スルーホール119a、第2メタル108、スルーホール119b、
第3メタル110、スルーホール119c、第4メタル114、及び、スルーホール11
9eを介して、第5メタル116に電気的に接続されている。さらに、トランジスタMN
2,MP2の各ドレインを構成する各拡散層は、コンタクト118、第1メタル106、
スルーホール119a、第2メタル108、スルーホール119b、第3メタル110、
スルーホール119c、第4メタル114、及び、スルーホール119dを介してMIM
電極112に電気的に接続されている。即ち、スイッチSW2を構成するトランジスタM
N2,MP2の各ソースは、反射電極PE及びMIM電極112に電気的に接続されてい
る。
【0062】
反射電極PE(第5メタル116)は、その上面に形成された保護膜であるパッシベー
ション膜(PSV)117を介して、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されて
いる。反射電極PEと共通電極CEとの間には、液晶LCMが充填封止されている。反射
電極PE、共通電極CE、及び、それらの間の液晶LCMによって液晶表示素子LCが構
成される。
【0063】
ここで、MIM電極112は、第3メタル110上に層間絶縁膜105を介して形成さ
れている。このMIM電極112、第3メタル110、及び、それらの間の層間絶縁膜1
05によって容量C1が構成される。そのため、スイッチSW1,SW2及び記憶部SM
1が、第1,2層配線である第1メタル106及び第2メタル108と、トランジスタと
、を用いて形成されるのに対し、記憶部DM2は、それらの上層である第3メタル110
及びMIM電極112を用いて形成されることとなる。つまり、スイッチSW1,SW2
及び記憶部SM1と、記憶部DM2とは、それぞれ異なる層にて形成されることとなる。
【0064】
図示しない光源からの光は、共通電極CE及び液晶LCMを透過して反射電極PE(第
5メタル116)に入射して反射され、元の入射経路を逆進して共通電極CEを通して出
射される。
【0065】
このように、反射型液晶表示装置10は、第5層配線である第5メタル116を反射電
極PEとして用い、第3層配線である第3メタル110を記憶部DM2の一部として用い
、第1,2層配線である第1メタル106及び第2メタル108とトランジスタとを記憶
部SM1等として用いることで、記憶部SM1、記憶部DM2及び反射電極PEを高さ方
向に有効に配置することが可能になるため、画素をさらに小型化することができる。それ
により、例えば、3μm以下のピッチの画素を電源電圧3.3Vのトランジスタで構成で
きる。この3μm以下のピッチの画素を用いることで、対角の長さ0.55インチの横方
向4000画素、縦方向2000画素の液晶表示パネルを実現できる。
【0066】
(反射型液晶表示装置10の動作)
次に、
図5を用いて、反射型液晶表示装置10の動作について説明する。
図5は、反射型液晶表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。
【0067】
前述したように、反射型液晶表示装置10では、垂直シフトレジスタ14からの行走査
信号により、行走査線g1~gmが1本ずつ1H単位で順次選択されていくため、画像表
示部11を構成する複数の画素12には、選択された行走査線に共通に接続された1行の
n個の画素単位でデータが書き込まれる。そして、画像表示部11を構成する複数の画素
12の全てにデータが書き込まれると、その後、トリガパルスTRI,TRIBに基づき
、全ての画素12のデータが一斉に読み出される(より具体的には、全ての画素12内の
記憶部SM1のデータが一斉に記憶部DM2及び反射電極PEに転送される)。
【0068】
図5の(A)は、各画素12に記憶されるサブフレームデータの変化を示している。な
お、縦軸が行番号を表し、横軸が時間を表している。
図5の(A)に示すように、サブフ
レームデータの境界線は右下がりとなっている。これは、行番号の大きな画素ほどサブフ
レームデータが遅れて書き込まれることを表している。この境界線の一端から他端までの
期間がサブフレームデータの書き込み期間に相当する。なお、B0b,B1b,B2bは
、それぞれビットB0,B1,B2のサブフレームデータの反転データを示している。
【0069】
図5の(B)は、トリガパルスTRIの出力タイミング(立ち上がりタイミング)を示
している。なお、トリガパルスTRIBは、常にトリガパルスTRIを論理反転した値を
示すため、省略されている。
図5の(C)は、反射電極PEに印加されるサブフレームデ
ータのビットを模式的に示している。
図5の(D)は、共通電極電圧Vcomの値の変化
を示している。
図5の(E)は、液晶LCMに印加される電圧の変化を示している。
【0070】
まず、行走査信号により選択された画素12では、スイッチSW1がオンするため、水
平ドライバ16から列データ線dに出力されたビットB0の正転サブフレームデータが、
スイッチSW1によりサンプリングされて記憶部SM1に書き込まれる。同様にして、画
像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB0の正転サブフ
レームデータが書き込まれる。その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対し
てHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給
される(時刻T1)。
【0071】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶さ
れているビットB0の正転サブフレームデータがスイッチSW2を通して記憶部DM2に
一斉に転送されて保持されるとともに、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極
PEに印加される。ここで、
図5の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビ
ットB0の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の正転サブ
フレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなってから(時刻T1
)、次に再びHレベルとなるまで(時刻T2)の1サブフレーム期間である。
【0072】
ここで、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわちHレベルのときには反射電
極PEには電源電圧VDD(ここでは3.3V)が印加され、ビット値が「0」、すなわ
ちLレベルのときには反射電極PEには接地電圧GND(0V)が印加される。一方、共
通電極CEには、接地電圧GND及び電源電圧VDDに制限されることなく、自由な電圧
が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、Hレベルの正転トリガパル
スTRIの入力に同期して共通電極電圧Vcomが所定電圧に切り替わるように制御され
る。本例では、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電
極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図5(D)に示すように、0Vよりも液晶の閾
値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0073】
液晶表示素子LCは、反射電極PEの印加電圧と共通電極電圧Vcomとの差電圧の絶
対値である液晶LCMの印加電圧に応じた階調表示を行う。したがって、ビットB0の正
転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T1~T2)
では、液晶LCMの印加電圧は、
図5(E)に示すように、サブフレームデータのビット
値が「1」のときは3.3V+Vtt(=3.3V-(-Vtt))となり、サブフレー
ムデータのビット値が「0」のときは+Vtt(=0V-(-Vtt))となる。
【0074】
図6は、液晶の印加電圧(RMS電圧)と液晶のグレースケール値との関係を示す。
図6を参照すると、グレースケール値曲線は、黒のグレースケール値が液晶の閾値電圧
VttのRMS電圧に対応し、かつ、白のグレースケール値が液晶の飽和電圧Vsat(
=3.3V+Vtt)のRMS電圧に対応するようにシフトされる。グレースケール値を
液晶応答曲線の有効部分に一致させることが可能である。したがって、液晶表示素子LC
は上記のように液晶LCMの印加電圧が(3.3V+Vtt)のときは白を表示し、+V
ttのときは黒を表示する。
【0075】
図5に戻り、液晶表示素子LCがビットB0の正転サブフレームデータを表示している
サブフレーム期間(時刻T1~T2)において、画像表示部11を構成する全ての画素1
2の記憶部SM1に対するビットB0の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始さ
れる。そして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビット
B0の反転サブフレームデータが書き込まれると、その後、画像表示部11を構成する全
ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTR
IB)が同時に供給される(時刻T2)。
【0076】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶さ
れているビットB0の反転サブフレームデータがスイッチSW2を通して記憶部DM2に
一斉に転送されて保持されるとともに、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極
PEに印加される。ここで、
図5の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビ
ットB0の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の反転サブ
フレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなってから(時刻T2
)、次に再びHレベルとなるまで(時刻T3)の1サブフレーム期間である。ここで、ビ
ットB0の反転サブフレームデータはビットB0の正転サブフレームデータと常に逆論理
値の関係にあるため、ビットB0の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」、ビ
ットB0の正転サブフレームデータが「0」のときは「1」である。
【0077】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PE
に印加されるサブフレーム期間中、
図5(D)に示すように、3.3Vよりも液晶の閾値
電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB0の反転サブフレームデー
タが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T2~T3)では、液晶LCMの
印加電圧は、サブフレームデータのビット値が「1」のときは-Vtt(=3.3V-(
3.3V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは-3.3
V-Vtt(=0V-(3.3V+Vtt))となる。
【0078】
例えば、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「1」であった場合には続
いて印加されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値は「0」となる。このと
き、液晶LCMの印加電圧は、-(3.3V+Vtt)となり、ビットB0の正転サブフ
レームデータが印加されたときと比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる
。そのため、画素12は、ビットB0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビ
ットB0の正転フレームデータが印加されたときと同様に、白を表示する。また、ビット
B0の正転サブフレームデータのビット値が「0」であった場合には続いて印加されるビ
ットB0の反転サブフレームデータのビット値は「1」となる。このとき、液晶LCMの
印加電圧は、-Vttとなり、ビットB0の正転サブフレームデータが印加されたときと
比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる。そのため、画素12は、ビット
B0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビットB0の正転フレームデータが
印加されたときと同様に、黒を表示する。
【0079】
したがって、画素12は、
図5の(E)に示すように、時刻T1~T3の2サブフレー
ム期間中、ビットB0とビットB0の相補ビットB0bとで同じ階調を表示するとともに
、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの
焼き付きを防止することができる。
【0080】
続いて、液晶表示素子LCがビットB0の反転サブフレームデータを表示しているサブ
フレーム期間(時刻T2~T3)において、全ての画素12の記憶部SM1に対するビッ
トB1の正転サブフレームデータの書き込みが順次開始される。そして、画像表示部11
の全画素12の記憶部SM1に対してビットB1の正転サブフレームデータが書き込まれ
ると、その後、画像表示部11を構成するすべての画素12に対してHレベルのトリガパ
ルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T3)。
【0081】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶さ
れているビットB1の正転サブフレームデータがスイッチSW2を通して記憶部DM2に
一斉に転送されて保持されるととともに、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電
極PEに印加される。ここで、
図5の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2による
ビットB1の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の正転サ
ブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなってから(時刻T
3)、次に再びHレベルとなるまで(時刻T4)の1サブフレーム期間である。
【0082】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電極PE
に印加されるサブフレーム期間は、
図5(D)に示すように、0Vよりも液晶の閾値電圧
Vttだけ低い電圧に設定される。したがって、ビットB1の正転サブフレームデータが
反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T3~T4)では、液晶LCMの印加
電圧は、
図5(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは3.
3V+Vtt(=3.3V-(-Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「
0」のときは+Vtt(=0V-(-Vtt))となる。
【0083】
続いて、液晶表示素子LCがビットB1の正転サブフレームデータを表示しているサブ
フレーム期間(時刻T3~T4)において、画像表示部11を構成する全ての画素12の
記憶部SM1に対するビットB1の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始される
。そして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB1
の反転サブフレームデータが書き込まれると、その後、画像表示部11を構成する全ての
画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB
)が同時に供給される(時刻T4)。
【0084】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶さ
れているビットB1の反転サブフレームデータがスイッチSW2を通して記憶部DM2に
一斉に転送されて保持されるとともに、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極
PEに印加される。ここで、
図5の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビ
ットB1の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の反転サブ
フレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなってから(時刻T4
)、次に再びHレベルとなるまで(時刻T5)の1サブフレーム期間である。ここで、ビ
ットB1の反転サブフレームデータはビットB1の正転サブフレームデータと常に逆論理
値の関係にある。
【0085】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極PE
に印加されるサブフレーム期間中、
図5(D)に示すように、3.3Vよりも液晶の閾値
電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB1の反転サブフレームデー
タが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T4~T5)では、液晶LCMの
印加電圧は、サブフレームデータのビット値が「1」のときは-Vtt(=3.3V-(
3.3V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは-3.3
V-Vtt(=0V-(3.3V+Vtt))となる。
【0086】
これにより、画素12は、
図5の(E)に示すように、時刻T3~T5の2サブフレー
ム期間中、ビットB1とビットB1の相補ビットB1bとで同じ階調を表示するとともに
、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの
焼き付きを防止することができる。ビットB2以降についても同様の動作が繰り返される
。
【0087】
このようにして、反射型液晶表示装置10は、複数のサブフレームの組み合わせにて階
調表示を行っている。
【0088】
なお、ビットB0と相補ビットB0bの各表示期間は同じ第1のサブフレーム期間であ
り、また、ビットB1と相補ビットB1bの各表示期間も同じ第2のサブフレーム期間で
あるが、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間とは同一であるとは限らない
。ここでは、一例として第2のサブフレーム期間は第1のサブフレーム期間の2倍に設定
されている。また、
図5(E)に示すように、ビットB2と相補ビットB2bの各表示期
間である第3のサブフレーム期間は、第2のサブフレーム期間の2倍に設定されている。
他のサブフレーム期間についても同様のことが言える。システムの仕様等に応じて、各サ
ブフレーム期間の長さ、及び、サブフレーム数を任意に設定することができる。
【0089】
(ダミー画素12d及びそれに設けられた温度センサS1の詳細な説明)
続いて、ダミー画素12d及びそれに設けられた温度センサS1の詳細について説明す
る。上記のように、ダミー画素12dは、ダミー液晶表示素子及び回路部によって構成さ
れ、その回路部において、画素12の温度を検出するための温度センサS1が形成されて
いる。
【0090】
ダミー画素12d(換言すると、温度センサS1)は、平面視して矩形状に設けられた
複数の画素配置領域のうちの一部の領域に、画素12の代わりに配置(形成)されている
。
図1の例では、ダミー画素12d(換言すると、温度センサS1)は、平面視して矩形
状に設けられた複数の画素配置領域のうち、角部に位置する一つの領域(紙面の左下の角
部の領域)に、画素12の代わりに配置されている。
【0091】
図7は、温度センサS1の具体的構成を示す回路図である。
図7に示すように、温度センサS1は、例えば、PNP型バイポーラトランジスタのベ
ース電極及びコレクタ電極間を短絡することによって構成されたPN接合ダイオードであ
る。例えば、上位装置20は、PN接合ダイオードのアノード及びカソード(PNP型バ
イポーラトランジスタのエミッタ-コレクタ)間に定電流を流し、そのときの両電極間の
電位差を計測することにより、画素12の温度を算出することができる。ここで、温度セ
ンサS1は、画素12に隣接して設けられているため、画素12の温度を精度良く、かつ
、リアルタイムに検出することができる。
【0092】
(ダミー画素12dの断面構造)
図8は、ダミー画素12dの要部を示す概略断面図である。
図8に示すダミー画素12dは、
図4に示す画素12と比較して、第1メタル106以
下の下層において異なる構造を有し、それ以外では、基本的には同一構造となっている。
【0093】
温度センサS1は、第1メタル106以下の下層において形成されている。
まず、温度センサS1に用いられるPNP型バイポーラトランジスタは、Nウエル10
1、Pウエル102、及び、拡散電極P1,N1,P2によって形成されている。具体的
には、Nウエル101上に形成されたP型拡散電極P1及びN型拡散電極N1は、それぞ
れエミッタ電極(P1)及びベース電極(N1)として用いられ、Pウエル102上に形
成されたP型拡散電極P2は、コレクタ電極(P2)として用いられる。ここで、エミッ
タ電極P1とベース電極N1とは、Nウエル101を介してPN接合され、コレクタ電極
P2とベース電極N1とは、Pウエル102及びNウエル101を介してPN接合されて
いる。係る構成により、PNP型バイポーラトランジスタが形成される。また、ベース電
極N1及びコレクタ電極P2間は、コンタクト118及び第1メタル106を介して短絡
される。係る構成により、PN接合ダイオード、即ち、温度センサS1が形成される。P
N接合ダイオードのアノード及びカソード(エミッタ電極P1及びコレクタ電極P2)は
、何れもコンタクト118、第1メタル101、ボンディングワイヤ(不図示)等を介し
て、外部の上位装置(不図示)20に接続される。
【0094】
(温度センサS1の平面構造)
図9は、温度センサS1に用いられるPNP型バイポーラトランジスタの各電極の概略
平面図である。
【0095】
図9に示すように、温度センサS1に用いられるPNP型バイポーラトランジスタの各
電極は、1つの画素配置領域内に形成されている。具体的には、エミッタ電極として用い
られるP型拡散電極P1と、ベース電極として用いられるN型拡散電極N1と、コレクタ
電極として用いられるN型拡散電極P2とが、1つの画素配置領域内に形成されている。
なお、このPNP型バイポーラトランジスタのベース電極N1及びコレクタ電極間を、第
1メタル106等を介して短絡することにより、PN接合ダイオードが構成される。PN
接合ダイオードのアノード及びカソード(エミッタ電極P1及びコレクタ電極P2)は、
何れもコンタクト118、第1メタル106、ボンディングワイヤ(不図示)等を介して
、上位装置(不図示)20に接続されている。
【0096】
なお、温度センサS1から上位装置20に向けてチップのパッドまで延びる2本の配線
は、互いに隣接した状態で並行に配線されることが好ましい。それにより、ノイズが発生
した場合でも、2本の配線のそれぞれに同程度の大きさのノイズが発生するため、2本の
配線間の電位差の測定時にそれらのノイズはキャンセルされる。その結果、温度センサS
1を用いた本構成は、より精度良く画素12の温度を計測することができる。
【0097】
図9の例では、温度センサS1がダイオード接続されたPNP型バイポーラトランジス
タである場合について説明したが、これに限られない。温度センサS1は、ダイオード接
続されたNPN型バイポーラトランジスタであってもよいし、一般的なダイオードであっ
てもよい。
【0098】
ダミー画素12dの第2メタル以上の上層のパターン形状は、基本的には画素12のパ
ターン形状と同様である。そのため、基板上部から入射される光のうち、反射電極PE(
第5メタル116)の間隙から基板内に侵入する光の量は、画素12と同程度となる。そ
れにより、ダミー画素12d内に設けられた温度センサS1は、画素内部に入射される光
の量も画素12と同じ環境にして温度検出することができるため、画素12の温度をより
正確に検出することが可能となる。つまり、本構成は、ヒートシンク上に貼り付けられた
温度センサを用いて温度計測した場合と比較して、より精度良く画素12の温度を計測す
ることができる。
【0099】
なお、絵柄の違いによって表示パターンが変化すると、
図1に示すタイミングジェネレ
ータ13、垂直シフトレジスタ14、水平ドライバ16等の各回路ブロックの動作内容が
表示パターンに応じて変化するため、各回路ブロックの消費電流も表示パターンに応じて
変化する。ここで、消費電流が増大した回路ブロックでは、IRドロップが発生し、電源
電圧が降下したり、接地電圧が持ち上がったりする可能性がある。このIRドロップの発
生箇所は表示パターンに応じて変化するため、電源電圧及び接地電圧が変動する箇所も表
示パターンに応じて変化してしまう。したがって、複数の画素により構成されるパネルを
取り囲む領域の空きスペースに温度センサを取り付けた場合、そのIRドロップの影響を
受けてしまい、精度良くかつリアルタイムに画素12の温度を計測することができない。
【0100】
それに対し、本実施の形態の反射型液晶表示装置は、画素配置領域内に温度センサS1
を配置することにより、画素12を駆動するための周辺回路の影響を受けることなく、画
素12と同じ環境で温度検出することができるため、精度良くかつリアルタイムに画素1
2の温度を計測することができる。
【0101】
(ダミー液晶表示素子LCdの断面構造)
図8に戻り、説明を続ける。ダミー画素12dの回路部の上層には、画素12の場合と
同様に、反射電極PE、PSV117、液晶LCM、及び、共通電極CEが順に形成され
、それらにより、ダミー液晶表示素子LCdが構成されている。ここで、ダミー液晶表示
素子LCdの反射電極PEは、ダミー画素12dと隣接する画素12に設けられた液晶表
示素子LCの反射電極PEに接続されている。以下、具体的に説明する。
【0102】
(画素12及びダミー画素12dの平面構造)
図10は、複数の画素12及びダミー画素12dのそれぞれに用いられている反射電極
PEの一部を示す概略平面図である。
【0103】
図10の例では、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、角部に位
置する領域に、ダミー画素12dが配置され、それ以外の複数の領域に、複数の画素12
が配置されている。また、複数の画素配置領域の周辺領域には額縁電極が配置されている
。なお、額縁電極には、複数の画素12及びダミー画素12dのそれぞれの共通電極CE
と共に、交流化信号FRが共通電極電圧Vcomとして供給される。それにより、額縁電
極と共通電極CEとの間の電位差が0Vとなるため、額縁電極には黒が表示される。
【0104】
ここで、ダミー画素12dに設けられたダミー液晶表示素子LCdの反射電極PEは、
ダミー画素12dと隣接する画素12(紙面上、ダミー画素12dの一つ上の画素12)
に設けられた液晶表示素子LCの反射電極PEに接続されている。なお、ダミー画素12
dの反射電極PEと、それより下層の回路部との間は、コンタクトやスルーホールのパタ
ーンを調整することで電気的に分離されている。そのため、ダミー画素12dの反射電極
PEと、隣接する画素12の反射電極PEと、には、同電圧が印加されるようになってい
る。
【0105】
それにより、ダミー画素12dには、当該ダミー画素12dに接続された隣接画素12
の絵柄(画像)と同じ絵柄が表示されることになる。しかしながら、例えば4K×2K解
像度のパネルの場合、角部の一つのダミー画素12dのみ隣接画素12の絵柄と同じ絵柄
が表示されるにすぎないため、それによる画面全体の画像の乱れは無視できる程度に小さ
い。また、全画面黒表示、又は、全画面白表示を行ったとしても、1画素のみ光る輝点や
黒点になることもない。さらに、この場合、不良として認識されるのは1ラインおき横線
の場合であるが、ダミー画素12dは、画面の角部の1画素のみであるため、ほとんど認
識されることはない。
【0106】
なお、ダミー画素12dとそれに接続される隣接画素12とは、反射電極間を直接ショ
ートさせる場合に限られず、下層のメタル、スルーホール、コンタクトなどを介してショ
ートさせてもよい。この場合、ダミー画素12dの反射電極PEの形状を、画素12の反
射電極PEの形状と同じにすることができるため、ダミー画素12dと画素12とで開口
率を同じにすることができる。
【0107】
また、ダミー画素12dが画面の角部に配置されているため、温度センサS1から上位
装置20に向けてチップのパッドまで延びる2本の配線の引き回しが容易である。
【0108】
本実施の形態では、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、角部に
位置する領域にダミー画素12dが配置された場合を例に説明したが、これに限られない
。ダミー画素12dは、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、外周
辺に沿って設けられた領域の何れかに配置されてもよい。この場合、温度センサS1から
上位装置20に向けてチップのパッドまで延びる2本の配線の引き回しが容易である。あ
るいは、ダミー画素12dは、温度センサS1による温度検出精度を向上させるため、平
面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、内部領域の何れかに配置されて
もよい。
【0109】
また、本実施の形態では、複数の画素配置領域のうちの一つの領域にダミー画素12d
が配置された場合を例に説明したが、これに限られない。ダミー画素12dは、複数の画
素配置領域のうちの複数の領域に配置されてもよい。それにより、温度センサS1の面積
を大きくすることができるため、温度センサS1による温度検出精度を向上させることが
できる。以下、実施の形態2において詳細に説明する。
【0110】
<実施の形態2>
図11は、実施の形態2にかかる液晶表示装置における、複数の画素12及びダミー画
素12dのそれぞれに用いられている反射電極PEの一部を示す概略平面図である。
【0111】
図11の例では、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、互いに隣
接する2×2(合計4個分)の画素配置領域のそれぞれに4個のダミー画素12dが配置
され、それ以外の複数の領域に、複数の画素12が配置されている。
【0112】
なお、温度センサS1は、4個のダミー画素12dのそれぞれに形成された4個のPN
P型バイポーラトランジスタを並列接続することにより構成されてもよいし、4個のダミ
ー画素12dの回路部に拡大形成された1個のPNP型バイポーラトランジスタにより構
成されてもよい。複数のダミー画素12dが配置される場合、1つのダミー画素12dが
配置される場合よりも高い自由度で温度センサS1用のPN接合ダイオードを形成するこ
とが可能となる。複数のダミー画素12dを配置して、複数の温度センサS1を並列接続
したり、1つの大きな温度センサS1を配置したりすることにより、測定温度の精度を向
上させることが可能となる。
【0113】
また、複数の画素配置領域の周辺領域には額縁電極が配置されている。なお、額縁電極
には、複数の画素12及び4個のダミー画素12dのそれぞれの共通電極CEと共に、交
流化信号FRが共通電極電圧Vcomとして供給される。それにより、額縁電極と共通電
極CEとの間の電位差が0Vとなるため、額縁電極には黒が表示される。
【0114】
ここで、2×2の画素配置領域のそれぞれに配置された合計4個のダミー画素12dの
反射電極PEは、それぞれ、隣接する4個の画素12の反射電極PEに接続されている。
なお、ダミー画素12dの反射電極PEと、それより下層の回路部との間は、コンタクト
やスルーホールのパターンを調整することで電気的に分離されている。そのため、ダミー
画素12dの反射電極PEと、隣接する画素12の反射電極PEと、には、同電圧が印加
されるようになっている。
【0115】
それにより、4個のダミー画素12dには、それらに接続された4個の隣接画素12の
絵柄と同じ絵柄(画像)が表示されることになる。しかしながら、例えば4K×2K解像
度のパネルの場合、4個のダミー画素12dのみ隣接画素12の絵柄と同じ絵柄が表示さ
れるにすぎないため、それによる画面全体の画像の乱れは無視できる程度に小さい。また
、全画面黒表示、又は、全画面白表示を行ったとしても、4画素のみ光る輝点や黒点にな
ることもない。
【0116】
また、
図11の例では、4個のダミー画素12dの反射電極PEは、共通の隣接画素1
2の反射電極PEに接続されるのではなく、それぞれ異なる隣接画素12の反射電極PE
に接続されている。それにより、4個のダミー画素12dには、それぞれ異なる隣接画素
12の絵柄(画像)が表示されるため、画面全体の画像の乱れをより分かりにくくするこ
とができる。
【0117】
なお、ダミー画素12dとそれに接続される隣接画素12とは、反射電極間を直接ショ
ートさせる場合に限られず、下層のメタル、スルーホール、コンタクトなどを介してショ
ートさせてもよい。この場合、ダミー画素12dの反射電極PEの形状を、画素12の反
射電極PEの形状と同じにすることができるため、ダミー画素12dと画素12とで開口
率を同じにすることができる。
【0118】
本実施の形態では、互いに隣接する2×2の合計4個のダミー画素12dが配置された
場合について説明したが、これに限られない。許容される範囲内で任意の数のダミー画素
12dが配置されてよい。また、複数のダミー画素12dは、互いに隣接している必要も
ない。
【0119】
<実施の形態3>
図12は、実施の形態3にかかる液晶表示装置における、複数の画素12及びダミー画
素12dのそれぞれに用いられている反射電極PEの一部を示す概略平面図である。
【0120】
図12の例では、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、外周辺の
一辺に沿って配置された複数の領域のそれぞれに複数のダミー画素12dが配置され、そ
れ以外の複数の領域に、複数の画素12が配置されている。
【0121】
なお、温度センサS1は、複数のダミー画素12dのそれぞれに形成された複数のPN
P型バイポーラトランジスタを並列接続することにより構成されてもよいし、複数のダミ
ー画素12dの回路部に拡大形成された1個のPNP型バイポーラトランジスタにより構
成されてもよい。複数のダミー画素12dが配置される場合、1つのダミー画素12dが
配置される場合よりも高い自由度で温度センサS1用のPN接合ダイオードを形成するこ
とが可能となる。複数のダミー画素12dを配置して、複数の温度センサS1を並列接続
したり、1つの大きな温度センサS1を配置したりすることにより、測定温度の精度を向
上させることが可能となる。
【0122】
また、複数の画素配置領域の周辺領域には額縁電極が配置されている。なお、額縁電極
には、複数の画素12及び複数のダミー画素12dのそれぞれの共通電極CEと共に、交
流化信号FRが共通電極電圧Vcomとして供給される。それにより、額縁電極と共通電
極CEとの間の電位差が0Vとなるため、額縁電極には黒が表示される。
【0123】
ここで、全体画面の外周辺の一辺に沿って配置された複数のダミー画素12dの反射電
極PEは、何れも額縁電極に接続されている。なお、ダミー画素12dの反射電極PEと
、それより下層の回路部との間は、コンタクトやスルーホールのパターンを調整すること
で電気的に分離されている。そのため、ダミー画素12dの反射電極PE及び額縁電極に
は、同電圧が印加されるようになっている。
【0124】
それにより、全体画面の外周辺の一辺に沿って配置された複数のダミー画素12dには
、ダミーの絵柄(画像)が表示される代わりに、額縁電極と同じ黒が表示されることにな
る。しかしながら、これら複数のダミー画素12dによって表示される黒は、額縁電極に
よって表示される黒と連続しているため、画面全体の画像のうち画素一列分の画像が表示
されなくなるにすぎず、同じ絵柄が表示される等の画像の乱れはない。
【0125】
なお、ダミー画素12dの反射電極PEと、それに接続される額縁電極とは、直接ショ
ートさせる場合に限られず、下層のメタル、スルーホール、コンタクトなどを介してショ
ートさせてもよい。この場合、ダミー画素12dの反射電極PEの形状を、画素12の反
射電極PEの形状と同じにすることができるため、ダミー画素12dと画素12とで開口
率を同じにすることができる。
【0126】
本実施の形態では、平面視して矩形状に設けられた複数の画素配置領域のうち、外周辺
の一辺に沿って一列分の複数のダミー画素12dが配置された場合について説明したが、
これに限られない。許容される範囲内で任意の列分の複数のダミー画素12dが配置され
てもよい。また、外周辺の一辺に限られず、2辺以上のそれぞれに沿って複数のダミー画
素12dが配置されてもよい。
【0127】
以上のように、上記実施の形態1~3にかかる反射型液晶表示装置は、複数の画素配置
領域のうちの一部に、温度センサS1を有するダミー画素12dを配置することにより、
精度良くかつリアルタイムに画素12の温度を計測することができる。また、上記実施の
形態1~3にかかる反射型液晶表示装置は、ダミー画素12dの回路部を用いて温度セン
サを形成することができ、温度センサを個別に用意して設置する必要が無いため、温度セ
ンサの材料費や設置コストを削減することができる。
【0128】
なお、ダミー画素12dの反射電極PEと、画素12の反射電極PE又は額縁電極と、
の接続手段は、上記した内容に限られず、趣旨を逸脱しない範囲で任意の接続手段を用い
ることができる。
【符号の説明】
【0129】
10 液晶表示装置
11 画像表示部
12 画素
12d ダミー画素
13 タイミングジェネレータ
14 垂直シフトレジスタ
15 データラッチ回路
16 水平ドライバ
20 上位装置
100 シリコン基板
101 Nウエル
102 Pウエル
103 素子分離酸化膜
105 層間絶縁膜
106 第1メタル
108 第2メタル
110 第3メタル
112 MIM電極
114 第4メタル
116 第5メタル
117 パッシベーション膜(PSV)
118 コンタクト
119a~119e スルーホール
161 水平シフトレジスタ
162 ラッチ部
163 レベルシフタ/画素ドライバ
164 ラッチ回路
1641~1643 ラッチ回路群
201 SRAMセル
202 DRAMセル
d1~dn 列データ線
dL,dM,dR 列データ線群
g1~gm 行走査線
trig,trigb トリガ線
BF1 バッファ
C1 容量
CE 共通電極
D1L,D1bL,D2L,D2bL 遅延バッファ
D1R,D1bR,D2R,D2bR 遅延バッファ
DM2 記憶部
INV11,INV12 インバータ
IV1 インバータ
IV21,IV22 インバータ
LC 液晶表示素子
LCd ダミー液晶表示素子
LCM 液晶
MN1,MN2 NMOSトランジスタ
MN11,MN12 NMOSトランジスタ
MN21,MN22 NMOSトランジスタ
MP2 PMOSトランジスタ
MP11,MP12 PMOSトランジスタ
MP21,MP22 PMOSトランジスタ
PE 反射電極
S1 温度センサ
SM1 記憶部
SW1,SW2 スイッチ
SW21,SW22 スイッチ