(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】抗PSMA抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230801BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230801BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230801BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230801BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230801BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230801BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230801BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230801BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230801BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230801BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230801BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230801BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230801BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230801BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K31/7088
A61K35/17
A61K39/395 P
A61K39/395 T
A61K48/00
A61P35/00
A61P43/00
C07K16/28
C07K16/46
C07K19/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62
C12N15/63 Z
G01N33/574 A
(21)【出願番号】P 2019505127
(86)(22)【出願日】2017-04-12
(86)【国際出願番号】 US2017027154
(87)【国際公開番号】W WO2017180713
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518365684
【氏名又は名称】オリマブス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,アイチー
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユエヘン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】上條 肇
【審判官】牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-530243(JP,A)
【文献】特表2008-529556(JP,A)
【文献】PNAS,2003,Vol.100,No.22,p.12590-12595
【文献】Molecular Cancer Therapeutics,2015,Vol.14,No.12,Suppl.2,A193
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
CAPlus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(i)配列番号9(LCDR1)、配列番号13または配列番号41(LCDR2)および配列番号17(LCDR3)を含む、軽鎖領域;および
(ii)配列番号25または45(HCDR1)、配列番号29(HCDR2)、および配列番号33または49(HCDR3)を含む重鎖領域であって、前記HCDRのセットが、配列番号25、29および33、配列番号45、29および33ならびに配列番号45、29および49からなる群から選択される、重鎖領域
を含む、抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記軽鎖領域が配列番号5、7、11、15、19、39、43、61、63、65、67および69の配列の1以上を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記重鎖領域が配列番号21、23、27、31、35、47、51、53、55、57、59および68の配列の1以上を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが配列番号3および37の配列の1以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgD、IgEからなる群から選択されるか、またはIgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgAまたはIgEの免疫グロブリン定常ドメインおよび/または可変ドメインを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、(i)組換え抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体の混合物、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、または(ii)細胞毒性剤、薬物、成長阻害剤、毒素、放射性同位体またはナノ粒子にコンジュゲートする、請求項1~5のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
同じ抗原上または異なる抗原上にある2つ以上の異なるエピトープに結合し、前記エピトープの1つが、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)上にあり、請求項1~6のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖領域または重鎖領域を含む、多重特異性抗体。
【請求項8】
単離されたキメラ抗原レセプター(CAR)であって、前記CARが、請求項1~7のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、膜貫通ドメイン、および1つ以上の刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、単離されたキメラ抗原レセプター(CAR)。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、または請求項8に記載のCARをコードする、単離された核酸分子。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項11】
請求項10に記載のベクターを含む培養宿主細胞。
【請求項12】
組成物であって、前記組成物は、請求項1~7のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、請求項8に記載のCAR、請求項9に記載の核酸分子、請求項10に記載のベクター、または請求項11に記載の宿主細胞を含み、前記組成物は、好ましくは薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、組成物。
【請求項13】
被験体におけるPSMAの発現に関連する疾患の治療に用いられる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
哺乳動物においてPSMAの発現に関連する疾患の存在を診断するための薬剤の製造における請求項1~6のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項15】
ヒトを除く被験体におけるPSMAの発現に関連する疾患を画像化する方法であって、この方法が、請求項1~6のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを適用する工程を含み、抗体または抗体フラグメントが、試薬に作動可能に連結されている方法。
【請求項16】
前記試薬が、光活性化可能な薬剤、フルオロフォア、放射性同位体、生物発光タンパク質、生物発光ペプチド、蛍光タグ、蛍光タンパク質、蛍光ペプチド、イメージングコントラスト、酵素、核磁気共鳴活性試薬またはナノ粒子である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PSMA発現に関連する疾患が、増殖性疾患、好ましくは癌、より好ましくは前立腺癌である、請求項13に記載の組成
物。
【請求項18】
前記PSMA発現に関連する疾患が、増殖性疾患、好ましくは癌、より好ましくは前立腺癌である、請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記PSMA発現に関連する疾患が、増殖性疾患、好ましくは癌、より好ましくは前立腺癌である、請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年4月13日に出願された米国仮出願第62/321975号に対する優先権を主張する。本出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
男性のうち14%が、一生の間に前立腺癌と診断されていることが示されている。2012年には、280万人もの人が前立腺癌であると診断されており、死亡率は、10万人当たり21.4人である。しかしながら、手術、放射線療法、化学療法およびアンドロゲン除去療法などの現在の手法は、それらの末期癌に対する効果は限定的である。これまでのところ、根治手術が、依然として前立腺癌の主要な治療法である。したがって、出現しているプレシジョン・メディシン、特に腫瘍ターゲティング抗体に基づく薬は、前立腺治療の転帰を改善することが期待されている。
【0003】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、前立腺上皮細胞に特異的なマーカーとして確認されており(Horoszewicz,J.S.ら、(1987)Anticancer Res、7(5B):927-35;Israeli,R.S.ら、(1993)Cancer Res、53(2):227-30;Israeli,R.S.ら、(1994)Cancer Res、54(7):1807-11;Wright,G.L.,Jr.ら、(1995)Urol Oncol、1(1):18-28;Troyer,J.K.ら、(1995)Int J Cancer、62(5):552-8;Sokoloff,R.L.ら、(2000)Prostate、43(2):150-7)、前立腺癌を標的とするプレシジョン・メディシンを開発するための基礎を担っている。組織学的研究により、ほとんど全ての前立腺癌がPSMAを発現することが示され(Bostwick,D.G.ら、(1998)Cancer、82(11):2256-61;Kusumi,T.ら、(2008)Pathol Int、58(11):687-94;Mannweiler,S.ら、(2009)Pathol Oncol Res、15(2):167-72;Ananias,H.J.ら、(2009)Prostate、69(10):1101-8)、悪性度が高い癌、または転移、またはアンドロゲン除去療法に耐性のある癌は、通常、さらに多くのPSMAを発現する(Ananias,H.J.ら、(2009)Prostate,69(10):1101-8;Wright,G.L.,Jr.ら、(1995)Urol Oncol、1(1):18-28;Wright,G.L.,Jr.ら、(1996)Urology、48(2):326-34;Sweat,S.D.ら、(1998)Urology,52(4):637-40)。PSMAは、前立腺特異的マーカーであると考えられていたが、後の研究では、腸細胞、腎近位尿細管および唾液腺も低レベルのPSMAを発現することが示された(Troyer,J.K.ら、(1995)Int J Cancer,62(5):552-8)。なお、正常組織でのPSMA発現レベルは、腫瘍における発現レベルよりも100~1000倍低く(Sokoloff,R.L.ら、(2000)Prostate、43(2):150-7)、これらの正常組織は、通常、血中の抗体に容易に接近することはできず(Troyer,J.K.ら、(1995)Int J Cancer、62(5):552-8)、これは、PSMAを標的とするイメージングおよび治療の安全性をさらに保証するものであった。
【0004】
PSMAは、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼであり(Pinto,J.T.ら、(1996)Clin Cancer Res、2(9):1445-51)、前立腺癌におけるその機能は、明らかになっていない。しかし、高いPSMA発現は、癌の高浸潤に関係があることが明らかにされている。したがって、PSMAを標的としたイメージングおよび治療は、前立腺癌の診断および処置の転帰をかなり改善するであろう。前立腺に加え、PSMAは、多くの固形腫瘍における新生血管でも高度に発現する一方、正常な血管には存在しない(Sokoloff,R.L.ら、(2000)Prostate、43(2):150-7)。したがって、PSMAは、前立腺癌のためだけではなく、他の固形腫瘍の新血管形成を標的とする治療のための理想的なマーカーでもある。
【0005】
抗体は、腫瘍細胞上で発現される腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原を特異的に認識することができるという点で、腫瘍標的化のための最も効率的なツールであり、早期腫瘍検出、抗体薬物コンジュゲートおよび放射線療法、癌治療のためのキメラ抗原受容体T細胞またはNK細胞療法のための光学イメージング、PET、SPECTまたはMRIイメージングへの道筋をつけるものである。残念ながら、現在市販されているPSMA抗体はない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、癌の治療のためのPSMAを標的とする組成物および方法の必要性が当該分野において存在する。本発明は、この満たされていない必要性を満たすものである。
【0007】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばより良く理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、図面には現在好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、図面に示された実施形態の正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、gy1 scFvがPSMA+細胞に特異的に結合することを示すグラフである。PSMA上のScFv gy1結合を、フローサイトメトリーを用い、LNCap FGC細胞で試験した。簡潔には、LNCap FGC細胞をベルセン溶液で剥離し、PBSで洗浄し、氷上で1時間、FACS緩衝液で3倍に希釈したgy1含有酵母上清とともにインキュベートした。細胞を冷PBSで3回洗浄し、次いで、暗室で、FACS緩衝液中の1:200希釈抗V5-Alexa647と共に氷上で1時間インキュベートした。冷PBSで3回洗浄することにより、結合していない抗V5-Alexa647を除去し、次いで細胞を8μlのビアプローブ(via-probe)(BD biosciences)を含有する300μlのFACSに再懸濁した。LNCap FGC細胞上のGy1結合は、フローサイトメトリーを用いて検出され、ここでは、生きた細胞のみがゲートされ、分析された。フローサイトメトリーコントロールには、(1)染色されていない細胞と、(2)抗V5-Alexa647で染色した細胞が含まれる。実線の灰色の線は染色されていない細胞を表す。点線の黒い線は、抗V5-Alexa647で染色した細胞を表す。実線の黒い線は、gy1 scFvで染色し、次いで抗V5-Alexa647で染色した細胞を示す。
【
図2】
図2は、gy1 scFvがLnCap細胞上の抗原結合に有意に内在化されたことを実証する実験の結果を示す。LnCap FGC細胞を2枚の48ウェルプレートに播種した。翌日、100μlのgy1 scFv含有酵母上清を、室温で1時間、200μlの容量(100μlの上清+100μlの細胞培地)中の4μlの抗V5-Alexa467と共にプレインキュベートした。次いで、細胞を培地で1回洗浄し、200μlのgy1含有培地(100μlの新鮮な培地+100μlのプレインキュベーションしたgy1-色素培地)と共に37℃および4℃でそれぞれ1時間、暗室でインキュベートした。コントロールとして、細胞を両方の温度について同じ濃縮抗V5-Alexa467とともにインキュベートした。冷PBSで2回洗浄した後、200μlのトリプシンをウェルに加えて細胞表面タンパク質をRTで30分間消化した。次いで、500μlの培地を各ウェルに添加してトリプシン処理を停止させ、細胞を2回洗浄し、次いでフローサイトメトリー分析のためにFACS緩衝液を含むビアプローブに懸濁させた。左のパネルは、4℃のインキュベートされた細胞を表し、右のパネルは、37℃のインキュベートされた細胞を表す。灰色の実線は、単純培地のみを用いてインキュベートした細胞を表す。黒色の点線は、抗V5-Alexa647と共にインキュベートした細胞を表す。一方、黒色の実線は、予め作成しておいたgy1-抗V5-Alexa647と共にインキュベートした細胞を表す。
【
図3】
図3は、gy1 scFvに対する親和性を測定する実験の結果を示す。Gy1 scFv親和性を捕捉ELISAを用いて測定した。簡単に説明すると、抗Flag抗体(Sigma)を、ELISAプレートに、4℃で一晩、PBS中でコーティングした。プレートを洗浄し、PBSTMでブロッキングし、3個ずつ、3倍に順次希釈したgy1 scFvと共にインキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、ビオチン化PSMAと共にインキュベートし、結合をストレプトアビジン-HRPで検出し、TMB、次いで停止バッファーを用いて比色展開により分析した。OD450での吸光度を測定し、GraphPad Prismソフトウェアを用いて親和性を計算した。
【
図4A】
図4は、
図4A~
図4Cを含み、大腸菌におけるgy1 scFv発現の実験結果を示す。gy1 scFvを、0.05mM IPTGで誘発させたベクターpET302を用い、30℃で4時間、大腸菌BL21中で発現させた。ソニケーターを用いて大腸菌細胞を溶解し、HisTrp HPカラムを用いてgy1タンパク質を精製した。
図4A:SDS-PAGEは、誘発された大腸菌における可溶性gy1発現を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない全細胞溶解物;レーン3~5:誘発された細胞溶解物、全細胞(3)、上清(4)および沈殿(5)。
図4B:SDS-PAGEは、精製されたgy1タンパク質を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン3:細胞溶解物の誘発された上清、レーン4:精製されたgy1 scFv。
図4C:ウェスタンブロット分析は、抗His6 Abによる精製gy1組換えタンパク質を確認する。レーン1:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン2:細胞溶解物の誘発された上清、レーン3:精製されたgy1 scFv。
【
図4B】
図4は、
図4A~
図4Cを含み、大腸菌におけるgy1 scFv発現の実験結果を示す。gy1 scFvを、0.05mM IPTGで誘発させたベクターpET302を用い、30℃で4時間、大腸菌BL21中で発現させた。ソニケーターを用いて大腸菌細胞を溶解し、HisTrp HPカラムを用いてgy1タンパク質を精製した。
図4A:SDS-PAGEは、誘発された大腸菌における可溶性gy1発現を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない全細胞溶解物;レーン3~5:誘発された細胞溶解物、全細胞(3)、上清(4)および沈殿(5)。
図4B:SDS-PAGEは、精製されたgy1タンパク質を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン3:細胞溶解物の誘発された上清、レーン4:精製されたgy1 scFv。
図4C:ウェスタンブロット分析は、抗His6 Abによる精製gy1組換えタンパク質を確認する。レーン1:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン2:細胞溶解物の誘発された上清、レーン3:精製されたgy1 scFv。
【
図4C】
図4は、
図4A~
図4Cを含み、大腸菌におけるgy1 scFv発現の実験結果を示す。gy1 scFvを、0.05mM IPTGで誘発させたベクターpET302を用い、30℃で4時間、大腸菌BL21中で発現させた。ソニケーターを用いて大腸菌細胞を溶解し、HisTrp HPカラムを用いてgy1タンパク質を精製した。
図4A:SDS-PAGEは、誘発された大腸菌における可溶性gy1発現を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない全細胞溶解物;レーン3~5:誘発された細胞溶解物、全細胞(3)、上清(4)および沈殿(5)。
図4B:SDS-PAGEは、精製されたgy1タンパク質を示す。レーン1:マーカー;レーン2:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン3:細胞溶解物の誘発された上清、レーン4:精製されたgy1 scFv。
図4C:ウェスタンブロット分析は、抗His6 Abによる精製gy1組換えタンパク質を確認する。レーン1:誘発されていない細胞溶解物の上清;レーン2:細胞溶解物の誘発された上清、レーン3:精製されたgy1 scFv。
【
図5】
図5は、大腸菌発現gy1 scFvがPSMA+細胞に特異的に結合することを示す実験結果を示す。フローサイトメトリーを用いて、大腸菌発現gy1 scFvのPMSA陽性および陰性細胞への結合を調べた。前立腺癌細胞、LNCaP、C4-2、PC3-PSMA+およびPC3-PSMA-細胞をVersene溶液で剥離させ、100nMのgy1またはコントロールscFv NCP1を用い、4℃で30分間インキュベートし、その後、洗浄し、FITCコンジュゲート化マウス抗6His IgG(AbD Serotec;Bio-Rad)と共に、暗室で、4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。並行して、PSMAタンパク質発現は、PEコンジュゲート抗PSMAモノクローナル抗体によって検出された。
【
図6】
図6は、細胞ELISAによる大腸菌が発現したgy1 scFvの親和性を再確認する実験結果を示す。PSMA陽性細胞株C4-2について大腸菌発現gy1 scFvの親和性を測定した。簡単に説明すると、96ウェルプレートで培養したC4-2を4%パラホルムアルデヒドで固定し、3%H
2O
2および6%ウシ血清アルブミンで順次ブロックした。次に、細胞を連続希釈した3倍のgy1およびコントロールscFv NCP1とともに8100nMから0.005nMまで37℃で1時間インキュベートした。細胞結合は、HRPコンジュゲートマウス抗6Hisで検出され、比色シグナルは、TMBによって発色させ、停止バッファーによって停止した。450nmの吸光度を用いて、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いてgy1親和性を計算した。
【
図7】
図7は、gy1 scFvが抗原結合に内在化され得ることを実証する実験の結果を示す。前立腺癌細胞、すなわちLnCap、C4-2、PC3-PSMA+、およびPC3-PSMA-について、抗原結合時のGy1内在化を調べた。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nM gy1またはNCP1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化gy1をFITC結合マウス抗6His IgGによって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図8A】
図8は、
図8Aおよび
図8Bを含み、gy1の細胞内トラフィッキングを視覚化する実験の結果を示す。
図8A:C4-2細胞をgy1 scFvと共に4時間インキュベートし、次いで抗6His IgGおよびFITC結合二次抗体で検出した。エンドソーム、リソソーム、ERおよびゴルジ体およびDAPI(青色)の異なる細胞オルガネラマーカー(RFP標識、赤色)を用いて、オルガネラおよび核を同時染色した。
図8B:gy1とゴルジ体およびERのマーカーの共局在化を、1時間、2時間、4時間および6時間の異なるインキュベーション時間についてさらに研究した。
【
図8B】
図8は、
図8Aおよび
図8Bを含み、gy1の細胞内トラフィッキングを視覚化する実験の結果を示す。
図8A:C4-2細胞をgy1 scFvと共に4時間インキュベートし、次いで抗6His IgGおよびFITC結合二次抗体で検出した。エンドソーム、リソソーム、ERおよびゴルジ体およびDAPI(青色)の異なる細胞オルガネラマーカー(RFP標識、赤色)を用いて、オルガネラおよび核を同時染色した。
図8B:gy1とゴルジ体およびERのマーカーの共局在化を、1時間、2時間、4時間および6時間の異なるインキュベーション時間についてさらに研究した。
【
図9】
図9は、PC3-PSMA+/PC3-PSMA-マウスモデルを用いた検証実験の結果を示す。PSMA陽性および陰性の異種移植ヌードマウスモデルを、ルシフェラーゼ発現PC3-PSMA+およびPC3-PSMA-細胞を用いて確立した。異種移植腫瘍モデルは、各マウスの右股関節に0.1mL PBS中の5x10
6個のホタルルシフェラーゼ発現PC3-PSMA+またはPC3-PSMA-細胞を注射することによって発色させた。接種の2週間後、腫瘍組織を単離し、H&Eおよび免疫組織化学染色を行い、組織形態およびPSMA発現レベルを確認した。
【
図10】
図10は、IRDye800cw標識がgy1のPSMA結合を妨害しないことを実証する実験の結果を示す。赤色色素IRDye800cw標識gy1 scFvの結合親和性を、非標識gy1を陽性コントロールとして用いてPC3-PSMA+細胞について評価した。この結果は、色素標識がgy1のPSMA結合を妨害しないことを示した。
【
図11】
図11は、前立腺腫瘍モデルにおけるgy1 scFvの動的生体内分布を評価する実験の結果を示す。PC3
-PSMA
+/PC3
-PSMA-異種移植ヌードマウスにおけるgy1 scFvの動的分布を、0.2μmol/kgのIRDye800cw標識gy1 scFvを尾の静脈に注射した後、Xenogen IVIS Kinetic撮像システムを用い、励起波長745nmで試験した。前立腺腫瘍組織を同定するために、生物発光イメージング(BLI)を取得した(左)。IRDye800cw標識gy1の分布を、各群の同じマウスの示された時点でモニターした。代表的な結果を示した。
【
図12】
図12は、gy1 scFvのin vivo PSMAターゲティングを示す。注射6時間後、gy1 scFvは最良の腫瘍局在シグナルを示す。PSMA陽性腫瘍または陰性腫瘍を有する2群のマウスがここに示されている。
【
図13A】
図13は、
図13Aおよび
図13Bを含み、静脈注射の12時間後のマウス器官におけるgy1 scFv生体内分布を評価した実験の結果を示す。
図13A:注射12時間後、マウスを屠殺し、組織および器官を採取した。種々のマウス器官におけるIRDye800cw標識gy1の生体内分布を、Xenogen IVISキネティックイメージングシステムを用いて分析した。1、脳;2、肺;3、心臓;4、肝臓;5、脾臓;6、腎臓;7、小腸;8、骨;9、PC3-PSMA+またはPC3-PSMA-腫瘍組織、10、筋肉。
図13B:IVISソフトウェアによって測定された腫瘍および異なる器官におけるIRDye800cwシグナル強度を用いて、異なる器官の蛍光定量化を研究した。バー、平均値;エラーバー、SD;n=5;
**P<0.01。
【
図13B】
図13は、
図13Aおよび
図13Bを含み、静脈注射の12時間後のマウス器官におけるgy1 scFv生体内分布を評価した実験の結果を示す。
図13A:注射12時間後、マウスを屠殺し、組織および器官を採取した。種々のマウス器官におけるIRDye800cw標識gy1の生体内分布を、Xenogen IVISキネティックイメージングシステムを用いて分析した。1、脳;2、肺;3、心臓;4、肝臓;5、脾臓;6、腎臓;7、小腸;8、骨;9、PC3-PSMA+またはPC3-PSMA-腫瘍組織、10、筋肉。
図13B:IVISソフトウェアによって測定された腫瘍および異なる器官におけるIRDye800cwシグナル強度を用いて、異なる器官の蛍光定量化を研究した。バー、平均値;エラーバー、SD;n=5;
**P<0.01。
【
図14A】
図14は、
図14Aおよび
図14Bを含み、PSMAb発現および親和性を測定する実験結果を示す。
図14A:精製PSMAbのSDS-GAGE。レーン1:抗体精製前のCHO細胞上清;レーン2:変性された精製PSMAb;レーン3:非変性精製PSMAb。
図14B:PSMAbの親和性測定。PSMA陽性細胞株C4-2でPSMAb親和性を測定した。簡単に説明すると、96ウェルプレートで培養したC4-2を4%パラホルムアルデヒドで固定し、3%H
2O
2および6%ウシ血清アルブミンで順次ブロックした。次いで、細胞を、連続して3倍に希釈したPSMAbと共に、100nMから0.19pMまで、37℃で1時間インキュベートした。細胞結合をHRP結合マウス抗ヒトIgG Fc Abで検出し、比色シグナルをTMBにより発色させ、STOP緩衝液で停止させた。450nmでの吸光度を用いて、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて親和性を計算した。
【
図14B】
図14は、
図14Aおよび
図14Bを含み、PSMAb発現および親和性を測定する実験結果を示す。
図14A:精製PSMAbのSDS-GAGE。レーン1:抗体精製前のCHO細胞上清;レーン2:変性された精製PSMAb;レーン3:非変性精製PSMAb。
図14B:PSMAbの親和性測定。PSMA陽性細胞株C4-2でPSMAb親和性を測定した。簡単に説明すると、96ウェルプレートで培養したC4-2を4%パラホルムアルデヒドで固定し、3%H
2O
2および6%ウシ血清アルブミンで順次ブロックした。次いで、細胞を、連続して3倍に希釈したPSMAbと共に、100nMから0.19pMまで、37℃で1時間インキュベートした。細胞結合をHRP結合マウス抗ヒトIgG Fc Abで検出し、比色シグナルをTMBにより発色させ、STOP緩衝液で停止させた。450nmでの吸光度を用いて、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて親和性を計算した。
【
図15】
図15は、PSMAbがPSMA+細胞株に特異的に結合することを示す実験結果を示す。PSMA陽性および陰性細胞に対するPSMAbの結合を、フローサイトメトリーを用いて調べた。上段:陰性コントロールIgG(灰色)。PSMAb(黒色);下段:陰性コントロールIgG(灰色)。陽性コントロール抗体LNI-17(黒色)。
【
図16】
図16は、PC3-PSMA+細胞上のPSMAb結合が組換えPSMAタンパク質によってブロックされることを示す実験結果を示す。2nMの濃度のPSMAbを、それぞれ0、2、6および10nMの組換えPSMA、または10nMのコントロールタンパク質BSAと共にRTで2時間プレインキュベートし、次いでPC3-PSMA+細胞と共にインキュベートした。PC3-PSMA+細胞上のPSMAb結合に対するブロッキング効果をフローサイトメトリーにより研究した。陰性コントロール:灰色実線;PSMAb 2nM:黒色実線;10nM BSAによってブロックされたPSMAb 2nM:灰色の破線;2nMのPSMAによってブロックされたPSMAb 2nM:黒い点線;6nMのPSMAによってブロックされたPSMAb 2nM:黒い破線;10nMのPSMAによってブロックされたPSMAb 2nM:灰色の点線。
【
図17A】
図17は
図17A~
図17Dを含み、PSMAbのPSMA特異的内在化を試験する実験の結果を示す。前立腺癌細胞、すなわちC4-2(
図17A)、PC-3(
図17B)、LnCap(
図17C)およびDU-145(
図17D)細胞についてPSMAb内部移行を調べた。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAbまたはコントロールヒトIgG1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図17B】
図17は
図17A~
図17Dを含み、PSMAbのPSMA特異的内在化を試験する実験の結果を示す。前立腺癌細胞、すなわちC4-2(
図17A)、PC-3(
図17B)、LnCap(
図17C)およびDU-145(
図17D)細胞についてPSMAb内部移行を調べた。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAbまたはコントロールヒトIgG1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図17C】
図17は
図17A~
図17Dを含み、PSMAbのPSMA特異的内在化を試験する実験の結果を示す。前立腺癌細胞、すなわちC4-2(
図17A)、PC-3(
図17B)、LnCap(
図17C)およびDU-145(
図17D)細胞についてPSMAb内部移行を調べた。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAbまたはコントロールヒトIgG1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図17D】
図17は
図17A~
図17Dを含み、PSMAbのPSMA特異的内在化を試験する実験の結果を示す。前立腺癌細胞、すなわちC4-2(
図17A)、PC-3(
図17B)、LnCap(
図17C)およびDU-145(
図17D)細胞についてPSMAb内部移行を調べた。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAbまたはコントロールヒトIgG1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図18A】
図18は、
図18A~
図18Cを含み、PSMAbによって標的とされるin vivo PSMAを観察する実験結果を示す。腫瘍標的化の効率およびPSMAbの術中光学イメージングの可能性を、IRDye800CW標識PSMAbを用いて研究した。50μgの標識PSMAb/マウスを、PC3-PSMA+(
図18A)またはPC3-PSMA-(
図18B)異種モデルに、尾の静脈に注射し、PSMAbの生体内分布を、4時間目、24時間目、30時間目、48時間目、54時間目、102時間目、126時間目、174時間目に、Xenogen IVIS Kinetic撮像システムを用いてモニタリングした。注射48時間後の各群の4匹のマウスの画像を
図18Cに示した。in vivo光学イメージングは、PSMAbが全身に急速に拡散したことを示しており、注射後24時間から腫瘍組織において検出することができ、次いで、体内から徐々に排泄されたが、PSMA+腫瘍では特異的に保持されているが、PSMA-腫瘍では特異的に保持されていなかった。
【
図18B】
図18は、
図18A~
図18Cを含み、PSMAbによって標的とされるin vivo PSMAを観察する実験結果を示す。腫瘍標的化の効率およびPSMAbの術中光学イメージングの可能性を、IRDye800CW標識PSMAbを用いて研究した。50μgの標識PSMAb/マウスを、PC3-PSMA+(
図18A)またはPC3-PSMA-(
図18B)異種モデルに、尾の静脈に注射し、PSMAbの生体内分布を、4時間目、24時間目、30時間目、48時間目、54時間目、102時間目、126時間目、174時間目に、Xenogen IVIS Kinetic撮像システムを用いてモニタリングした。注射48時間後の各群の4匹のマウスの画像を
図18Cに示した。in vivo光学イメージングは、PSMAbが全身に急速に拡散したことを示しており、注射後24時間から腫瘍組織において検出することができ、次いで、体内から徐々に排泄されたが、PSMA+腫瘍では特異的に保持されているが、PSMA-腫瘍では特異的に保持されていなかった。
【
図18C】
図18は、
図18A~
図18Cを含み、PSMAbによって標的とされるin vivo PSMAを観察する実験結果を示す。腫瘍標的化の効率およびPSMAbの術中光学イメージングの可能性を、IRDye800CW標識PSMAbを用いて研究した。50μgの標識PSMAb/マウスを、PC3-PSMA+(
図18A)またはPC3-PSMA-(
図18B)異種モデルに、尾の静脈に注射し、PSMAbの生体内分布を、4時間目、24時間目、30時間目、48時間目、54時間目、102時間目、126時間目、174時間目に、Xenogen IVIS Kinetic撮像システムを用いてモニタリングした。注射48時間後の各群の4匹のマウスの画像を
図18Cに示した。in vivo光学イメージングは、PSMAbが全身に急速に拡散したことを示しており、注射後24時間から腫瘍組織において検出することができ、次いで、体内から徐々に排泄されたが、PSMA+腫瘍では特異的に保持されているが、PSMA-腫瘍では特異的に保持されていなかった。
【
図20】
図20は、MC-VC-PAB-MMAEおよびMC-VC-PAB-MMAEを示す一組の模式図である。
【
図21】
図21は、PSMAb-ADCがPSMA+細胞に効率的に結合したままであることを示す実験結果を示す。フローサイトメトリーを用いて、PSMAb複合体のDM1、MMAEまたはMMAFとのPSMA特異的結合を、PC-3(上)およびC4-2細胞(下)について調べた。
【
図22A】
図22は、
図22Aおよび
図22Bを含み、PSMAb-ADCがPSMA+細胞によって効率的に取り込まれることを実証する実験結果を示す。DM1とのPSMAbコンジュゲートのPSMA特異的内在化を、PC-3細胞(
図22A)およびC4-2細胞(
図22B)について研究した。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAb-ADCまたはコントロールヒトIgG1-ADCと37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図22B】
図22は、
図22Aおよび
図22Bを含み、PSMAb-ADCがPSMA+細胞によって効率的に取り込まれることを実証する実験結果を示す。DM1とのPSMAbコンジュゲートのPSMA特異的内在化を、PC-3細胞(
図22A)およびC4-2細胞(
図22B)について研究した。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた細胞を、200nMのPSMAb-ADCまたはコントロールヒトIgG1-ADCと37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、内在化PSMAbをFITC結合抗ヒトIgG Fc抗体によって検出した。核をDAPIで染色した。内在化は、共焦点イメージングシステムの下で観察された。
【
図23A】
図23は、
図23A~
図23Cを含み、PSMAb ADCのPSMA特異的細胞傷害性を評価する実験の結果を示す。PSMAbに基づくADCの細胞傷害性を、PSMA-細胞株PC-3およびPSMA+細胞株C4-2で評価した。簡潔には、C4-2およびPC-3細胞を、10%FBS、2000細胞/200mL/ウェルを有するDMEM培地中96ウェルプレートに播種した。次の日に、細胞密度は約20~30%であり、培地を、それぞれの濃度で3個ずつ、333.33nM、133.33nM、66.67nM、33.33nM、6.67nM、3.33nM、0.67nM、0.33nM、0.067nM、0.0067nM、0.00067nMおよび0.000067nMの濃度でPSMAb-DM1、PSMAb-MMAEまたはPSMAb-MMAFを含む新しい培地と交換した。各ウェルについて同じ薬物濃度で培地を毎日交換した。4日間のインキュベーション後、製造元のプロトコルに従ってalamarBlueキットを用いて細胞生存率を評価した。C4-2細胞上のPSMAb-DM1(
図23A)、PSMAb-MMAE(
図23B)およびPSMAb-MMAF(
図23C)について計算したIC50は、それぞれ0.12nM、0.59nMおよび0.92nMであった。
【
図23B】
図23は、
図23A~
図23Cを含み、PSMAb ADCのPSMA特異的細胞傷害性を評価する実験の結果を示す。PSMAbに基づくADCの細胞傷害性を、PSMA-細胞株PC-3およびPSMA+細胞株C4-2で評価した。簡潔には、C4-2およびPC-3細胞を、10%FBS、2000細胞/200mL/ウェルを有するDMEM培地中96ウェルプレートに播種した。次の日に、細胞密度は約20~30%であり、培地を、それぞれの濃度で3個ずつ、333.33nM、133.33nM、66.67nM、33.33nM、6.67nM、3.33nM、0.67nM、0.33nM、0.067nM、0.0067nM、0.00067nMおよび0.000067nMの濃度でPSMAb-DM1、PSMAb-MMAEまたはPSMAb-MMAFを含む新しい培地と交換した。各ウェルについて同じ薬物濃度で培地を毎日交換した。4日間のインキュベーション後、製造元のプロトコルに従ってalamarBlueキットを用いて細胞生存率を評価した。C4-2細胞上のPSMAb-DM1(
図23A)、PSMAb-MMAE(
図23B)およびPSMAb-MMAF(
図23C)について計算したIC50は、それぞれ0.12nM、0.59nMおよび0.92nMであった。
【
図23C】
図23は、
図23A~
図23Cを含み、PSMAb ADCのPSMA特異的細胞傷害性を評価する実験の結果を示す。PSMAbに基づくADCの細胞傷害性を、PSMA-細胞株PC-3およびPSMA+細胞株C4-2で評価した。簡潔には、C4-2およびPC-3細胞を、10%FBS、2000細胞/200mL/ウェルを有するDMEM培地中96ウェルプレートに播種した。次の日に、細胞密度は約20~30%であり、培地を、それぞれの濃度で3個ずつ、333.33nM、133.33nM、66.67nM、33.33nM、6.67nM、3.33nM、0.67nM、0.33nM、0.067nM、0.0067nM、0.00067nMおよび0.000067nMの濃度でPSMAb-DM1、PSMAb-MMAEまたはPSMAb-MMAFを含む新しい培地と交換した。各ウェルについて同じ薬物濃度で培地を毎日交換した。4日間のインキュベーション後、製造元のプロトコルに従ってalamarBlueキットを用いて細胞生存率を評価した。C4-2細胞上のPSMAb-DM1(
図23A)、PSMAb-MMAE(
図23B)およびPSMAb-MMAF(
図23C)について計算したIC50は、それぞれ0.12nM、0.59nMおよび0.92nMであった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、癌を処置するための組成物および方法に関する。本発明は、一部には、PSMAの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体フラグメントの発見に基づく。したがって、本発明は、PSMAに結合する抗体または抗体フラグメントを含む組成物を提供する。本発明の例示的な組成物には、抗体、抗体フラグメント、二重特異性抗体、抗体-薬物コンジュゲート、PSMAターゲティング造影剤、キメラ抗原レセプター、キメラ抗原レセプターを発現する細胞などが含まれる。
【0010】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。
【0011】
本明細書で使用される場合、以下の用語はそれぞれ、この章においてそれに関連する意味を有する。
【0012】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書では、冠詞の文法的な目的語の1つまたは1つより多いもの(すなわち、少なくとも1つ)を指すために用いられる。例として、「ある要素(an element)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0013】
量、時間的な持続時間などのような測定可能な値を指すときに本明細書で使用する「約」という用語は、このような変化は、開示された方法を実施するのに適切であるため、特定の値から±20%、±10%、±5%、±1%、または±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0014】
範囲:本開示全体で、本発明の様々な態様を、ある範囲の形式で示すことができる。範囲の形式の記載は、便宜上のものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能な部分範囲および個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、6を含むと考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0015】
説明
本発明は、癌を処置および予防するための組成物および方法を提供する。特定の実施形態では、組成物は、PSMAの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む。本発明は、PSMAに結合する抗体フラグメントの発見に基づく。フラグメントは、抗体ライブラリーを発現する酵母ディスプレイ系において同定された。本明細書に記載される場合、本発明で提供される抗体フラグメントは、前立腺癌および他の固形腫瘍の新生血管系において見出されるPSMAを標的とする治療用および診断用の組成物を配合するために使用される。一実施形態では、組成物は抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であり、抗体または抗体フラグメントは、薬物を腫瘍位置に向かわせる。一実施形態では、組成物は二重特異性抗体であり、二重特異性抗体は、PSMAに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントと、T細胞抗原(例えばCD3)に結合する第二の抗体または抗体フラグメントを含む。一実施形態では、組成物は、PSMAに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含むキメラ抗原受容体である。一実施形態では、本発明は、抗体または抗体フラグメント、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体をコードする、単離された核酸を含む。一実施形態では、本発明は、抗体または抗体フラグメント、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体を発現するように改変された細胞を含む。
【0016】
本発明は、癌(前立腺癌を含むがこれに限定されない)を処置または予防するための方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、PSMAに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む有効量の組成物を被験体に投与することを含む。例えば、一実施形態では、この方法は、抗体または抗体フラグメント、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体を被験体に投与することを含む。一実施形態では、この方法は、抗体または抗体フラグメント、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸を含む有効量の組成物を被験体に投与することを含む。一実施形態では、この方法は、抗体または抗体フラグメント、二重特異性抗体またはキメラ抗原受容体を発現するように改変された細胞を被験体に投与することを含む。
【0017】
本発明は、PSMAに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む標的造影剤を被験体に投与することを含む被験体において癌を検出するための方法を提供する。抗体または抗体フラグメントは、限定されるものではないが、PET、SPECT、MRIまたは光学イメージングを含む様々な撮像様式において使用される標的造影剤を提供するために、任意の造影剤にコンジュゲートすることができる。
【0018】
組成物
本明細書に記載される場合、本発明は、PSMAに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む組成物を提供する。本発明は、大きな酵母ディスプレイヒトscFvライブラリーの構築および高親和性抗PSMA scFvの単離に基づく。単離されたscFvのPSMAに対する親和性は、9×10-10nMと測定された。さらに、その機能性を増加させるscFvのいくつかの突然変異が生成された。scFvの全長抗体への変換は、その親和性を1×10-10nMまで増加させた。
【0019】
ハイブリドーマ技術は、モノクローナル抗体調製のための従来のよく開発された方法である。しかしながら、マウス由来の抗体は、ヒトにおけるその適用を大きく妨げる。ヒト化はネズミ抗体の免疫原性を部分的に低下させる可能性があり、ヒト化抗体は現在臨床で広く使用されているが、抗体の抗原結合活性を維持するために一定のレベルのネズミアミノ酸が必要であるためヒト化が決して100%に達することができないことから、免疫原性に関連する副作用は、依然として患者の約50%に上る。J591は、ほぼ3nMの親和性を有し、研究およびいくつかの臨床試験に広く使用されてきたヒト化PSMAである(McDevitt,M.R.ら、(2000)Cancer Res,60(21):6095-100)。したがって、完全ヒト抗体は、臨床用途にとって最も望ましいものである。
【0020】
ヒトマウスおよび異種マウストランスジェニックマウスは、従来のハイブリドーマ法による完全ヒト抗体の開発のために、Medarex/GenPharm InternationalおよびAbgenixによって開発された。PSMA Development Company,LLC(Progenics Pharmaceuticals,Inc.)は、異種マウスを使用し、親和性がそれぞれ1×10-9nM、7.9×10-10nM、5.1×10-10nMおよび2.1×10-10nMの4種類の完全ヒト抗-PSMA抗体を開発した(米国特許8470330号)。
【0021】
トランスジェニックマウスと比較して、抗体ライブラリーは、完全ヒト抗体調製のために、より簡便かつ同等に効率的である。その根拠は、末梢血単核細胞(PBMC)を健常または特定のドナーから単離し、mRNAを抽出し、抗体の可変領域を増幅し、単鎖抗体(scFv)またはFabフォーマットに組み立て、分子生物学的戦略によってファージまたは酵母表面に提示することである。抗体ライブラリーの利点は、ライブラリーのサイズが十分に大きい限り、高親和性抗体を容易に単離できることである。ライブラリーがヒトB細胞から構築される場合、誘導される抗体は100%ヒト起源であり、臨床適用のための免疫原性の問題を有さない。
【0022】
複雑な構造および4つの鎖間ジスルフィド結合を有する構造のために、全長抗体は、大腸菌または酵母によって発現されにくい。したがって、最も頻繁に表示される抗体フォーマットは、scFvおよびFabである。scFvは、重鎖および軽鎖の可変領域のみを含み、Fabは軽鎖定常領域および重鎖の第一定常領域も含む。場合によっては、Fv、scFv、FabまたはscFv-Fcのような小さな抗体フラグメントと比較して、完全長抗体は最も安定な構造、最長循環時間、最高親和性、標識または修飾に対する最良耐性を有し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介しうる。したがって、全長抗体は、臨床では最も一般的なフォーマットである。
【0023】
抗体ライブラリーを使用するための戦略は、最初にscFvまたはFabなどの抗体フラグメントを発見し、次いでそれを全長抗体に変換することである。多くのscFvまたはFabは、機能を損なうことなく完全長抗体に首尾よく変換することができるが、いくつかのフラグメント抗体は、一旦完全長抗体に変換されると親和性を失う(Schirrmann,T.ら、Molecules,(2011)16(1):412-26;Baker,K.P.ら、(2003)Arthritis Rheum,48(11):3253-65;Thie,H.ら、(2011)PLoS One,6(1):e15921)、これは定常領域の添加の結果として、結合部位の立体配座変化に起因する可能性がある。scFvに関して、鎖間リンカーは、全長抗体に変換されるときに除去され、したがって抗原結合親和性を損なういくつかのscFvにおける抗原結合配座に寄与し得る。したがって、高親和性scFvまたはFabは、高親和性完全抗体誘導体を保証し得ない。それぞれの変換は、固有のケースと考えられ、実験によって確認される必要がある。
【0024】
一実施形態では、本発明は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を含む組成物を提供する。ADCは、抗原特異的毒性送達のために抗体をアーム化するためのプラットフォーム戦略である。原理的には、抗体を標的とする抗体(通常は腫瘍ターゲティング抗体)を超毒性薬物と結合させて、腫瘍細胞を標的様式で選択的に殺し、正常組織を守ることである。ADCで使用される薬物は主に2つの種類に分類され、1つは、マイクロチューブリン阻害剤、例えば、オーリスタチン(MMAE、MMAF)(Stephan,J.P.ら、(2008)Bioconjug Chem,19(8):1673-83;Younes,A.ら、(2010)N Engl J Med,363(19):1812-21;Okeley,N.M.ら、(2010)Clin Cancer Res,16(3):888-970)およびメイタンシノイド(DM1およびDM4)(Lambert,J.M.ら、(2014).J Med Chem,57(16):6949-64;Bender,B.ら、(2014)AAPS J,16(5):994-1008;Raufi,A.,A.S.Ebrahimら、(2013)Cancer Manag Res,5:225-33)であり、他の種類は、二本鎖DNA開裂剤、例えば、カリケアマイシンである。このような超毒性のために、化学療法剤として単独で使用することはできないが、副作用を軽減し治療効果を高めるために抗体と結合させる必要がある。
【0025】
一実施形態では、本発明は、二重特異性抗体を含む組成物を提供する。二重特異性モノクローナル抗体(BsMAb、BsAb)は、新規抗体を用いて強力な抗腫瘍の武器を作製するための別の戦略である。BsAbは、2つの異なるモノクローナル抗体のフラグメントから構成され、結果的に2つの異なるタイプの抗原に結合する人工タンパク質である。この手法の最も広く使用されている用途は、癌免疫療法であり、BsMAbsは、(CD3などの受容体を用いて)細胞毒性細胞に同時に結合し、腫瘍細胞などを標的として破壊するように操作されている(Muller Dら、(2010)BioDrugs,24(2):89-98;Chames P1ら、(2009)MAbs,1(6):539-47)。二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE)およびDual-Affinity Re-Targeting(DART)は、小さなフラグメントBsAbの例であり、種々のこれより大きなBsAb、例えば、ノブ・イン・ホールIgG、CrossMab、TrioMab、DVD Igも開発されている(Kontermann REら、(2015)Drug Discov Today,20(7):838-47)。BsAbにおいて、一方のアームはT細胞またはNK細胞の活性化抗体、例えば抗CD3または抗CD16抗体であってもよく、他方のアームは腫瘍標的抗体であってもよく、または両方のアームが、腫瘍成長の相乗的阻害のための異なる腫瘍マーカーを標的とする。
【0026】
一実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む組成物を提供する。例えば、特定の実施形態では、組成物は、CARを発現するように遺伝子改変された細胞である。例えば、特定の実施形態では、本発明は、T細胞またはNK細胞が腫瘍細胞上の特定のタンパク質(抗原)を認識することを可能にする、その表面にCARを産生するように遺伝子操作されたT細胞またはNK細胞を提供する。scFvは、そのような工学のために最も頻繁に使用される受容体であり、癌治療のための臨床でうまく使用されている(Grupp SAら、(2013)N Engl J Med,368(16):1509-18;Porter DLら、(2011)N Engl J Med,365(8):725-33)。scFvは、ヒンジおよび膜貫通ドメインを介してシグナル伝達細胞内ドメインに融合される。そのような分子は、その標的のscFvによる認識に応答してT細胞またはNK細胞の活性化を引き起こす。このようなCARを発現するT細胞またはNK細胞は、標的抗原を発現する標的細胞を認識して殺す。いくつかのCARが腫瘍関連抗原に対して開発されており、このようなCARを発現するT細胞を用いる養子移入手法は、現在、様々な癌の治療のための臨床試験中である。
【0027】
抗体
一実施形態では、本発明は、PSMAの細胞外部分に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む組成物を提供する。例えば、一実施形態では、抗体または抗体フラグメントが結合するPSMAの細胞外部分は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、「エピトープ」という用語は、抗体に結合する抗原の領域を指す。エピトープは、領域への第1抗体の結合が、第2抗体または他の二価分子がこの領域に結合するのを妨げる、第1抗体によって認識される抗原の領域である。この領域は、抗体の種類によって選択的に認識される1つ以上の特定のコア配列を包含する。一般に、エピトープは、連続または非連続のアミノ酸配列によって形成され得る局所的表面構造によって構成される。
【0029】
別の実施形態では、「選択的に認識する」、「選択的に結合する」または「選択的に認識される」という用語は、エピトープに対する抗体または他の二価分子の結合が、例えば、ELISAおよび低温置換アッセイなどの当該技術分野で知られ、本明細書に記載される技術によって決定される場合、無関係のエピトープに対する二価分子の結合よりも、またはエピトープに対する無関係の二価分子の結合よりも、少なくとも2倍を超え、好ましくは、2~5倍を超え、最も好ましくは5倍を超えることを意味する。
【0030】
いくつかの実施形態では、用語「抗体」は、抗体の天然の生物学的形態を構成する構造を指す。ヒトおよびマウスを含むほとんどの哺乳類では、この形態はテトラマーであり、2つの免疫グロブリン鎖の2つの同一の対からなり、それぞれの対が、1つの軽鎖と1つの重鎖を有しており、各軽鎖が、免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖が、免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2、Cγ3およびCγ4を有している。各対において、軽鎖および重鎖の可変領域(VLおよびVH)は共に抗原への結合を担っており、定常領域(CL、Cγ1、Cγ2、Cγ3およびCγ4、特にCγ1、Cγ2およびCγ3)は、抗体エフェクター機能を担っている。いくつかの哺乳動物、例えばラクダおよびラマでは、全長抗体は、免疫グロブリンドメインVH、Cγ2およびCγ3を含む2つの重鎖のみからなることができる。本明細書において「免疫グロブリン(Ig)」とは、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。免疫グロブリンとしては、限定されないが、抗体が挙げられる。免疫グロブリンは、全長抗体、抗体フラグメント、およびVH、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、VLおよびCLを含むがこれらに限定されない個々の免疫グロブリンドメインを含むが、これらに限定されない多数の構造形態を有し得る。
【0031】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、インタクトな抗体を異なる「クラス」に割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主要な種類のインタクトな抗体があり、これらのいくつかはさらに、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2などの「サブクラス」(アイソタイプ)に分けられてもよい。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は、周知である。
【0032】
いくつかの実施形態では、「抗体」または「抗原結合フラグメント」という用語はそれぞれ、インタクトな分子、所望の標的と特異的に相互作用することができるFab、scFv-Fc二価分子、F(ab’)2およびFvなどのその機能性フラグメントを指す。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、以下のものを含む。
【0033】
(1)完全な抗体を酵素パパインで消化してインタクトな軽鎖および1つの重鎖の一部を生じることによって産生することができる、抗体分子の一価抗原結合フラグメントを含むフラグメントであるFab;
(2)抗体全体をペプシンで処理し、次いで還元して完全な軽鎖および重鎖の一部を得ることによって得ることができる抗体分子のフラグメントであるFab’;抗体分子当たり2つのFab’フラグメントが得られる;
(3)その後の還元を行わず、抗体全体を酵素ペプシンで処理することにより得ることができる抗体のフラグメント;F(ab’)2は、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持された2つのFab’フラグメントのダイマーである(Fab’)2;
(4)Fv、軽鎖の可変領域および2本鎖として発現される重鎖の可変領域を含む遺伝子操作されたフラグメント;および
(5)軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含み、遺伝的に融合した単鎖分子として適切なポリペプチドリンカーによって連結された遺伝子操作分子である、単鎖抗体(SCAまたはscFv)。
【0034】
(6)scFv-Fcは、IgGなどの免疫グロブリン(Ig)およびFc領域からのヒンジ領域と一本鎖Fv(scFv)を融合することによって作製される。
【0035】
一実施形態では、本明細書で提供される抗体は、モノクローナル抗体である。別の実施形態では、本明細書で提供される抗原結合フラグメントは、一本鎖Fv(scFv)、二重特異性抗体、タンデムscFv、scFv-Fc二価分子、Fab、Fab’、FvまたはF(ab’)2である。
【0036】
一実施形態では、用語「二価分子」または「BV」は、同時に2つの別個の標的に結合することができる分子を指す。二価分子は、2つの結合ドメインを有するもの、結合ドメインを2つだけ有するものに限定されず、多価分子であってもよく、または結合した一価分子からなる分子であってもよい。二価分子の結合ドメインは、同じ標的上に位置するか、または異なる種に由来する標的上に位置する同じエピトープまたは異なるエピトープを選択的に認識することができる。結合ドメインは、ジスルフィド結合、ペプチド架橋、アミド結合、および当技術分野で公知の他の天然または合成結合で接続していてもよい(Spatolaら、「Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins」、B. Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p. 267 (1983)(一般的な総説);Morley,J. S.,「Trends Pharm Sci」(1980) pp. 463-468(一般的な総説);Hudsonら、Int J Pept Prot Res (1979) 14,177-185;Spatolaら、Life Sci (1986) 38,1243-1249;Hann,M.M.,J Chem Soc Perkin Trans I (1982) 307-314;Almquistら、J Med Chem (1980) 23,1392-1398;Jennings-Whiteら、Tetrahedron Lett (1982) 23,2533;Szelkeら、European Application EP 45665;Chemical Abstracts 97,39405 (1982);Holladay,ら、Tetrahedron Lett (1983) 24,4401-4404;and Hruby,V. J.,Life Sci (1982) 31,189-199)。
【0037】
本発明は、大きな酵母ディスプレイヒトscFvライブラリーから単離された抗PSMA抗体または抗体フラグメントを提供する。一実施形態では、その抗原結合フラグメントは高親和性抗PSMA scFv gy1であり、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0038】
一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4を含む。
【0039】
一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH CDR1を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーを含む。
【0040】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1と示されるscFvを含む抗体フラグメントを含む。一実施形態では、gy1は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、gy1は、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。一実施形態では、gy1は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1;配列番号25のアミノ酸配列を含むVH CDR1;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーを含む。
【0041】
一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、1つ以上の突然変異を含む。例えば、一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2を含み、ここで、配列番号39は、配列番号11に関してV→A点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2を含み、ここで、配列番号41は、配列番号13に関してG→E点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4を含み、ここで、配列番号43は、配列番号19に関してV→A点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1を含み、ここで、配列番号45は、配列番号25に関してS→F点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3を含み、ここで、配列番号47は、配列番号31に関してI→V点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含み、ここで、配列番号49は、配列番号33に関してD→G点変異を含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4を含み、ここで、配列番号51は、配列番号35に関してG→E点変異を含む。
【0042】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-stと示されるscFvを含む抗体フラグメントを含む。一実施形態では、gy1-stは、配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2と、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1と、配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4とを含む。一実施形態では、gy1-stは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1;配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3;配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーを含む。
【0043】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-2と示されるscFvを含む抗体フラグメントを含む。一実施形態では、gy1-2は、配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2と、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4と、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1と、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3とを含む。一実施形態では、gy1-2は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2;配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3;配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2;配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーを含む。
【0044】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-3と示されるscFvを含む抗体フラグメントを含む。一実施形態では、gy1-3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1と、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3とを含む。一実施形態では、gy1は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーを含む。
【0045】
一実施形態では、本明細書に記載のscFvは、別のフラグメント抗体または全長抗体へと操作され、フラグメント抗体は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、scFv-Fc、scFv-CH2、scFv-CH3、または完全抗体を指す。
【0046】
一実施形態では、組成物は、本明細書に記載のscFvを含む抗体を含む。例えば、一実施形態では、組成物は、gy1-2 scFvを含む抗体を含む。一実施形態では、gy1-2 scFvを含む抗体は、本明細書ではPSMAbとして示される。一実施形態では、抗体は、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一実施形態では、抗体は、シグナルペプチドを有する重鎖を含み、シグナルペプチドを有する重鎖は、配列番号53のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、重鎖シグナルペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号59の重鎖定常領域を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態では、抗体は、シグナルペプチドを有する軽鎖を含み、シグナルペプチドを有する軽鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、軽鎖シグナルペプチドは、配列番号63のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗体は、配列番号67の軽鎖定常領域を含む。
【0047】
所望の配列アラインメントを達成するために使用され得る配列アラインメント方法は、いくつかの実施形態では、当業者に理解されるように、ペアワイズアラインメント方法またはマルチシーケンスアラインメント方法にのみ限定されない。配列アラインメントは、様々なテキストベースのファイル形式で保存することができる。一実施形態では、これは、特定の実施形態では、READSEQ、EMBOSSおよびBioPerl、BioRubyなどの変換プログラムおよびプログラミングパッケージを使用して、任意のフォーマット、例えばFASTAまたはGenBank、SwissProt、EntrezおよびEMBLフォーマットを変換することによって達成される。当業者には理解されるように、当業者は、任意のプログラムまたは記憶媒体を使用して必要に応じて配列を変換、修正、スコア付け、更新および/または格納できることを理解されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、用語「配列アラインメント」は、核酸またはアミノ酸配列のアラインメントを実施して容易にプローブし、評価し、数学的および統計的計算を行い、その結果を得るために使用される、当業者に理解される任意のプログラムまたは方法の使用を含む。一実施形態では、配列または構造のアラインメントのための方法は当業者に周知であり、当業者に理解されるように、配列および構造相同性に基づくアラインメントを含む。
【0049】
一実施形態では、用語「相同性」、「相同体」または「相同」は、配列同一性、または構造同一性、または機能同一性をいう。用語「相同性」および他の類似の形態を用いることにより、核酸またはペプチドのいずれかの分子が類似して機能し、かつ/または配列同一性を含み、かつ/または構造的に保存され、参照配列は、本発明の一部とみなされるべきである。別の実施形態では、用語「相同性」、「相同体」または「相同な」は、いずれの場合であっても、言及されている配列が、アミノ酸配列または核酸配列のいずれであっても、示された配列と少なくとも86%の対応性を示すことを示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と少なくとも90%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と少なくとも92%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と少なくとも95%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と少なくとも95%またはさらに大きな対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と少なくとも97%またはさらに大きな対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と97%~100%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と100%の対応性を示す。同様に、一実施形態では、特定の配列への対応性に関する言及は、本明細書に定義されるようなその配列に対する直接的な対応性および相同性の両方を含む。したがって、一実施形態では、用語「非相同性」は、アミノ酸配列または核酸配列が、示された配列と85%以下の対応性を示すことを意味する。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と75%以下の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と65~74%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と55~64%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と45~54%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と35~44%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と35~44%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と15~34%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と5~14%の対応性を示す。別の実施形態では、アミノ酸配列または核酸配列は、示された配列と0.1~4%の対応性を示す。別の実施形態では、用語「非相同性」は、用語「低配列類似性」と相互に置き換え可能に用いることができる。
【0050】
一実施形態では、軽鎖は、上に列挙されているか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超えるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0051】
一実施形態では、軽鎖は、上に列挙されているか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超えるFR1、FR2、およびFR3配列を含む。
【0052】
一実施形態では、重鎖は、上に列挙されているか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超えるCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0053】
一実施形態では、重鎖は、上に列挙されているか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超えるFR1、FR2、およびFR3配列を含む。
【0054】
一実施形態では、完全抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の種類のうちの1つである。別の実施形態では、gy1 scFvを、IgG1完全抗体になるように操作した。
【0055】
一実施形態では、完全抗体は、ラムダ、カッパの定常領域またはこれらから変異したものを有する。別の実施形態では、gy1 scFvは、CL2定常領域を用い、完全抗体になるように操作された。
【0056】
一実施形態では、重鎖は、配列番号59の定常領域を含むか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超える配列を含む。
【0057】
一実施形態では、軽鎖は、配列番号67の定常領域を含むか、または例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸の変異、欠失または挿入により、相同性が70%を超え、例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超える配列を含む。
【0058】
一実施形態では、シグナルペプチドと可変領域との間、重鎖および/または軽鎖の可変領域と定常領域との間にリンカーペプチドが存在してもよく、または存在していなくてもよい。このようなリンカーペプチドの一例は、制限酵素部位によってコードされる。
【0059】
一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、酵母細胞表面に提示される。別の実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、ナノ粒子表面にコーティングされる。別の実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、哺乳動物細胞(例えば、T細胞、NK細胞または他のヒト細胞または他の哺乳動物細胞)の表面に提示される。別の実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、酵母、大腸菌または哺乳動物細胞によって、分泌タンパク質として産生される。
【0060】
一実施形態では、用語「結合する」または「~に結合している」または文法上の同等語は、互いに親和性を有する構成を指す。「特異的結合」は、結合が2つの分子間で選択的である場合である。特異的結合の特定の例は、抗体と抗原との間に生じるものである。典型的には、解離定数(KD)が約1×10-5M未満または約1×10-6M未満または1×10-7M未満である場合、特異的結合を、非特異的結合と区別することができる。特異的結合は、例えば、ELISA、免疫沈降、共沈、化学的架橋の有無にかかわらず、ツーハイブリッドアッセイなどによって検出することができる。適切なコントロールを用いて、「特異的」結合と「非特異的」結合を区別することができる。
【0061】
一実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、1nM範囲内のKdで、その標的に結合する。別の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、0.1nM範囲内のKdで、その標的に結合する。別の実施形態では、gy1 scFvはKd=1.165nMの親和性を有し、IgG1完全抗体PSMAbは、Kd=0.1nMの親和性を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、修飾を有する。修飾は、本明細書において以下にさらに定義されるものである。いくつかの実施形態では、修飾は、N末端修飾である。別の実施形態では、修飾は、C末端修飾である。別の実施形態では、修飾は、タンパク質の中央部にある。一実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントの分泌可能な形態は、免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域への結合を可能にするN末端修飾を含む。別の実施形態では、Igヒンジ領域は、免疫グロブリンヒンジ領域由来であるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、修飾は、抗体または抗体フラグメントに対する直接的な修飾である。他の実施形態では、修飾は、1つ以上の他のペプチド、タンパク質、化学物質、炭水化物、またはさらには二次抗体によって架橋された間接的な修飾である。
【0063】
本発明に包含されるさらなる翻訳後修飾には、例えば、N結合またはO結合炭水化物鎖、N末端またはC末端のプロセシング、アミノ酸骨格への化学的部分の結合、N-結合型またはO-結合型の炭水化物鎖の化学的修飾、および原核生物の宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失を含む。
【0064】
一実施形態では、用語「ポリペプチド」は、一般に、本発明の抗体、抗原結合フラグメントまたはバリアントをいう。
【0065】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、アミノ酸置換を含む。一実施形態では、アミノ酸置換は、保存的である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。別の実施形態では、アミノ酸置換は、天然のポリペプチドと比較して、突然変異したポリペプチドの活性を高め、保存的なものではない。
【0066】
本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、当該分野で周知のような任意の合成または組換えプロセスによって製造することができる。本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、当該分野で公知の技術によって生物物理学的特性または生物学的特性を変化させるために、さらに修飾されてもよい。例えば、ポリペプチドは、プロテアーゼに対するその安定性を増加させるために、またはその天然の受容体に対するその親油性、溶解性または結合親和性を改変するために修飾されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗体フラグメントは、抗体のタンパク質加水分解によって、またはフラグメントをコードするDNAの大腸菌または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養物または他のタンパク質発現システム)での発現によって調製され得る。抗体フラグメントは、いくつかの実施形態では、従来の方法による全抗体のペプシン消化またはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントは、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって産生され、F(ab’)2と表される5Sフラグメントを提供し得る。このフラグメントは、ジスルフィド結合の切断から生じるスルフヒドリル基のためのチオール還元剤および場合によりブロッキング基を用いて3.5S Fab’一価フラグメントを生成するためにさらに切断することができる。あるいは、ペプシンを用いる酵素的切断は、2つの一価Fab’フラグメントおよびFcフラグメントを直接産生する。これらの方法は、例えば、Goldenberg、米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号およびそこに含まれる参考文献に記載されており、これらの特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。Porter,R.R.,Biochem.J.,73:119-126,1959も参照のこと。フラグメントが、インタクトな抗体によって認識される抗原に結合する限り、一価の軽鎖-重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、または他の酵素的、化学的、または遺伝子技術など、抗体を切断する他の方法も使用され得る。
【0068】
一実施形態では、本発明のポリペプチド、抗体またはタンパク質の「バリアント」は、1つまたは複数のアミノ酸によって、参照ポリペプチド、抗体またはタンパク質に対して変更されるアミノ酸配列をいう。本発明において、ポリペプチドのバリアントは、参照されるタンパク質の抗体結合特性を保持している。別の実施形態では、「バリアント」は、本発明の抗原結合フラグメントを指す。さらに別の実施形態では、バリアントは、標的またはマーカーに対する特異性を保持する抗原結合フラグメントのバリアントである。バリアントは、置換アミノ酸が、類似の構造的特性または化学的特性(例えば、ロイシンとイソロイシンとの置換)を有する、「保存的」変化を有していてもよい。別の実施形態では、バリアントは、1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基での保存的アミノ酸置換を有する。別の実施形態では、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものであり、他の実施形態では、その反対の場合は「非保存的置換」と呼ばれる。類似の変化を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷をもたない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。あるいは、飽和突然変異誘発などのコード配列の全部または一部に突然変異をランダムに導入し、得られた突然変異体を生物活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされたタンパク質は日常的に発現され、コードされたタンパク質の機能的および/または生物学的活性は、本明細書に記載の技術を用いて、または当技術分野で公知の技術を日常的に改変することによって、決定することができる。類似の軽微な変化はまた、アミノ酸の欠失または挿入、またはその両方を含み得る。どのアミノ酸残基が免疫学的反応性を消失させることなく置換、挿入または欠失され得るかを決定するための指針は、当該分野で周知のコンピュータープログラム、例えばDNASTARソフトウェアを用いて見出すことができる。
【0069】
一実施形態では、用語「フレームワーク領域」または「FR」は、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。フレームワーク領域は正確に定義されている。例えば、Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Dept.Health and Human Services、National Institutes of Health、USA(第5版、1991)を参照。各可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3およびFR4として識別される4つのFRを有する。いくつかの実施形態では、「FR」はまた、CDR領域の外側つまり抗体の可変領域内の抗体分子の認識要素として作用する、抗原と直接相互作用する領域を除く、CDR領域に隣接または隣接するアミノ酸残基を含む抗体可変領域を指す。一実施形態では、用語「フレームワーク領域」は、CDRによって分割されているフレームワークの各ドメインを意味することを意図している。いくつかの実施形態では、異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体の結合された重鎖および軽鎖のフレームワーク領域は、抗原への適切な結合のためにCDRを配置および整列させる働きをする。
【0070】
一実施形態では、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる非連続抗原結合部位を含むアミノ酸残基をいう。他の実施形態では、用語「CDR」は、Kabatら、J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabatら、Sequences of protein of immunological interest.(1991)、ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、MacCallumら、J.Mol.Biol.262:732-745(1996)に記載されているような領域を含むだろう。可変ドメインのCDRのアミノ酸は、配列可変性に基づいて、Kabatによって最初に定義され、抗体のアミノ酸残基についてKabatの番号付システムを用いて、ヒト重鎖可変ドメイン(VH)におけるアミノ酸残基31-35B(H1)、50-65(H2)および95-102(H3)、およびヒト軽鎖可変ドメイン(VL)におけるアミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)および89-97(L3)からなる。Kabatら、sequences of proteins of immunological interest,US Dept.Health and Human Services,NIH,USA(第5版、1991)を参照。ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)は、可変ドメイン領域の三次元構造ループ内に含まれる残基に基づき、CDRの別の定義を示し、抗原結合活性にとって重要であることを発見した。Chothiaらは、ヒト重鎖可変ドメイン(VH)のアミノ酸残基26-32(H1)、52-56(H2)および95-102(H3)と、ヒト軽鎖可変ドメイン(VL)のアミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)および89-97(L3)とからなるものとしてCDRを定義した。KabatとChothiaのCDRの定義を合わせると、CDRは、Kabatの番号付システムに基づき、ヒトVHのアミノ酸残基26-35B(H1)、50-65(H2)および95-102(H3)と、ヒトVLのアミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)および89-97(L3)とからなる。
【0071】
いくつかの実施形態では、抗体またはその重鎖または軽鎖に関して使用される場合の「可変領域」は、抗原結合を分子に与え、定常領域ではない抗体のアミノ末端部分を意味することを意図する。この用語は、可変領域全体の結合機能の全ての一部を維持するその機能性フラグメントを含むことが意図されている。したがって、用語「ヘテロマー可変領域結合フラグメント」は、少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその機能性フラグメントを組み立ててヘテロマー複合体を形成することを意味する。異種可変領域結合フラグメントには、例えば、Fab、F(ab)2、Fv、一本鎖Fv(scfv)などの機能性フラグメントが含まれる。このような機能性フラグメントは、当業者に周知である。したがって、ヘテロマー可変領域の機能性フラグメントを記載する際にこれらの用語を使用することは、当業者に周知の定義に対応することを意図している。このような用語は、例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);Molec.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers,R.A.(編集),New York:VCH Publisher,Inc.);Hustonら、Cell Biophysics,22:189-224(1993);PluckthunおよびSkerra,Meth.Enzymol.,178:497-515(1989)、Day,E.D.,Advanced Immunochemistry,Second Ed.,Wiley-Liss,Inc.,New York,N.Y.(1990)に記載されている。
【0072】
1つの実施形態では、本発明のポリペプチドは、単離されたポリペプチドのアイソフォームである。一実施形態では、「アイソフォーム」は、同じタンパク質またはポリペプチドの別のアイソフォームとわずかな相違しかない、本発明のタンパク質またはポリペプチドなどの分子の態様を指す。一実施形態では、アイソフォームは、異なるが関連する遺伝子から産生され、または別の実施形態では、選択的スプライシングによって同じ遺伝子から生じる。別の実施形態では、アイソフォームは、単一の核酸多型によって引き起こされる。
【0073】
一実施形態では、本発明の単離されたポリペプチドは、天然タンパク質のフラグメントである。一実施形態では、「フラグメント」は、全長タンパク質またはポリペプチドよりも短いか、またはより少ないアミノ酸を含むタンパク質またはポリペプチドを指す。別の実施形態では、フラグメントとは、全長核酸よりも短いか、またはより少ない核酸を含む核酸を指す。別の実施形態では、フラグメントは、N末端フラグメントである。別の実施形態では、フラグメントは、C末端フラグメントである。1つの実施形態では、本発明のフラグメントは、タンパク質、ペプチド、または核酸の内在する部分である。別の実施形態では、フラグメントは、タンパク質、ペプチド、または核酸の機能的に内在する部分である。別の実施形態では、フラグメントは、タンパク質、ペプチド、または核酸の中の機能的に内在する部分である。別の実施形態では、フラグメントは、N末端の機能性フラグメントである。一実施形態では、フラグメントは、C末端の機能性フラグメントである。
【0074】
一実施形態では、「機能性フラグメント」という用語は、天然または野生型抗体またはポリペプチドの改変版であるにもかかわらず、野生型と比較してある程度の生物学的活性を維持するフラグメントを指す。この活性度は、「活性」がその天然の生物物理学的特性または生化学的特性、例えば結合能力、親和性、半減期などを指す野生型と比較して中程度から高い範囲に及ぶ可能性がある。
【0075】
一実施形態では、本発明の単離されたポリペプチドは、本発明のポリペプチドの誘導体を含む。「誘導体」は、いくつかの実施形態では、問題となるタンパク質の天然配列の全長部分より短いものを指すと理解されるべきである。いくつかの実施形態では、「誘導体」は、非天然配列、すなわち問題の天然タンパク質の一部を形成しない配列を(その末端におよび/または前記配列自体内に)さらに含むことができる。「誘導体」という用語はまた、天然のタンパク質またはそのフラグメントのアミノ残基側鎖に化学基を結合させることによって産生される分子種をその範囲内に含み、前記化学基は、天然のタンパク質中の天然に存在するアミノ酸残基の一部を形成しない。
【0076】
抗体および抗体フラグメントを作製する方法は、当技術分野で公知である。(例えば、本明細書に参考として組み込まれるHarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988を参照。)
抗体は、本発明の抗PSMAエピトープを含むPSMAまたはPSMAのペプチドフラグメントのような標的抗原によるマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、霊長類、ヒトおよびニワトリを含む様々な動物の免疫化によって産生され得る。一実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、動物の免疫化の前に精製される。一実施形態では、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、当技術分野で公知の方法、例えばゲル濾過、イオン交換、アフィニティークロマトグラフィーなどによって精製することができる。アフィニティークロマトグラフィーまたは既知の多くの他の技術当技術分野では、血清、腹水、またはハイブリドーマ上清からポリクローナルまたはモノクローナル抗体を単離するために使用することができる。
【0077】
「精製された」とは、モノクローナル抗体が、モノクローナル抗体に通常付随する少なくともいくつかのタンパク質から分離され、好ましくはタンパク質以外の全ての細胞物質から分離されることを意味する。
【0078】
さらに、本発明の抗体の化学的に修飾された誘導体は、ポリペプチドの溶解性、安定性およびin vivoまたはin vitro循環時間の増加、または免疫原性の低下などのさらなる利点を提供することができる(米国特許第4,179,337号)。誘導体化のための化学的部分は、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどから選択することができる。抗体は、分子内のランダムな位置で、または分子内の所定の位置で修飾されてもよく、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の結合した化学的部分を含み得る。
【0079】
ポリマーは、任意の分子量を有していてもよく、分岐していてもよく、または分岐していなくてもよい。ポリエチレングリコールの場合、取り扱いおよび製造の容易さのために、好ましい分子量は約1kDa~約100kDaである(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの調製において、いくつかの分子が、記載された分子量よりも大きいか、ある場合は小さいことを示す)。所望の治療プロファイル(例えば、所望の持続放出の持続時間、生物学的活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または不足およびポリエチレングリコールの他の既知の効果)に依存して、他の大きさを使用してもよい。例えば、ポリエチレングリコールは、平均分子量が約200、500、1000、1500、2000、2560、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000または100,000kDaであってもよい。
【0080】
上述のように、ポリエチレングリコールは、分岐構造を有していてもよい。分枝ポリエチレングリコールは、例えば、米国特許第5,643,575号;Morpurgoら、Appl.Biochem.Biotechnol.56:59-72(1996);Vorobjevら、Nucleosides Nucleic acids 18:2745-2750(1999);およびCalicetiら、Bioconjug.Chem.10:638-646(1999)に記載され、それぞれの開示は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0081】
ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、抗体の機能性ドメインまたは抗原性ドメインへの影響を考慮して抗体に結合されるべきである。当業者には利用可能な多くの付着方法が存在する。例えば、本明細書に参考として組み込まれるEP 0 401 384号(PEGをG-CSFにカップリングすること)。Malikら、Exp.Hematol.20:1028-1035(1992)も参照(トレシルクロリドを用いたGM-CSFのペグ化を報告している)。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノまたはカルボキシル基のような反応性基を介してアミノ酸残基を介して共有結合されていてもよい。反応性基は、活性化されたポリエチレングリコール分子が結合し得る基である。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、例えば、リジン残基およびN末端アミノ酸残基を含み得る。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基を含んでいてもよい。スルフヒドリル基はまた、ポリエチレングリコール分子を結合させるための反応性基として使用され得る。治療目的のためには、N末端またはリジン基での結合などのアミノ基での結合が好ましい。
【0082】
上に示唆したように、ポリエチレングリコールは、いくつかのアミノ酸残基のいずれかへの結合を介して、タンパク質、例えば抗体に結合することができる。例えば、ポリエチレングリコールは、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン残基への共有結合を介してタンパク質に連結され得る。1つ以上の反応化学を使用し、ポリエチレングリコールを、タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはシステイン)またはタンパク質の1種類より多いアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、およびこれらの組合せ)と接続してもよい。
【0083】
核酸
一実施形態では、本発明は、本発明の抗体をコードする核酸配列(抗体フラグメントまたはそのバリアントを含むか、またはそれらからなる分子を含む)を含むか、またはそれからなるポリ核酸を提供する。本発明は、高ストリンジェンシー下でハイブリダイズするか、またはその代わりに、中程度または低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(例えば、上に定義した通り)で、本発明の抗体、またはそのフラグメントまたはバリアントをコードするポリ核酸配列を有する核酸に相補的なポリ核酸にハイブリダイズするポリ核酸も包含する。
【0084】
別の実施形態では、当該分野で公知の任意の方法によって、ポリ核酸が得られ、ポリ核酸の核酸配列が決定される。あるいは、抗体をコードするポリ核酸(抗体フラグメントまたはそのバリアントを含むか、またはそれらからなる分子を含む)は、適切な供給源由来の核酸から生成される。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが利用可能ではないが、抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、特定の種の天然のまたは最適化されたコドンにおいて化学的に合成され得るか、本発明の抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞などの、抗体cDNAライブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞から単離された核酸、好ましくはポリA+RNAから生成されたcDNAライブラリー)配列の3’末端および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCR増幅、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴ核酸プローブ(例えば、抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローン)を用いたクローニングによって行うことができる。次いで、PCRによって生成された増幅された核酸を、当技術分野で周知の任意の方法を用いて複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、「核酸」という用語は、ポリ核酸、またはデオキシリボ核酸(DNA)などのオリゴ核酸、ならびに必要に応じてリボ核酸(RNA)またはその模倣物を指す。この用語はまた、等価物として、核酸類似体から作製されたRNAまたはDNAの類似体を含み、記載される実施形態に適用可能であるように、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリ核酸を含むと理解されるべきである。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(骨格)結合からなるオリゴ核酸、ならびに同様に機能する非天然部分を有するオリゴ核酸を含む。このような修飾または置換されたオリゴ核酸は、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での安定性の増加などの望ましい特性のために、しばしば天然型よりも好ましい。
【0086】
当業者には理解されるように、タンパク質またはペプチドをコードする核酸配列または遺伝子のフラグメントまたは誘導体は、野生型遺伝子または配列全体と同じ様式で依然として機能し得る。同様に、核酸配列の形態は、これらの変化にもかかわらず、同じ生物学的効果を示す野生型機能を保持する、タンパク質またはペプチドまたはそのフラグメントをコードする野生型配列と比較して変動を有することができる。これらはそれぞれ、本発明の別個の実施形態を表す。
【0087】
本発明の核酸は、当該分野で周知のような任意の合成または組換えプロセスによって産生され得る。本発明による核酸は、当該分野で公知の技術によって生物物理学的または生物学的特性を変化させるためにさらに修飾され得る。例えば、核酸は、ヌクレアーゼに対するその安定性を増加させるために(例えば、「エンドキャッピング」)、またはコドン最適化によって発現レベルを増加させるため、またはその親油性、溶解性、または相補的配列に対する結合親和性を改変するために改変することができる。
【0088】
特定の目的を達成するために核酸を改変する方法は、例えば、当該技術分野では、Sambrookら(1989)に開示されている。さらに、本発明の核酸配列は、目的のタンパク質をコードしない核酸配列の1つ以上の部分を含んでいてもよい。本発明はさらに、本明細書に記載の配列によってコードされるものと同様のタンパク質をコードするが、遺伝コードまたは対立遺伝子変異の縮重のためにそれらのコドン配列が異なり(アミノ酸変化を生じる場合も生じない場合もある本明細書中に記載される天然の塩基変化)、同様に本発明のタンパク質をコードしうるDNA配列をさらに提供する。点変異またはそれによってコードされるポリペプチドの活性、半減期または産生を増強するための誘導された修飾(挿入、欠失および置換を含む)によって引き起こされるDNA配列の変化も本発明に包含される。
【0089】
本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメントをコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴ核酸プローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。一旦単離されると、DNAは発現ベクターに入れられ、免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、酵母細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクションされる組換え宿主細胞における抗体の合成を得ることができる。抗体の組換え産生を以下にさらに詳細に記載する。
【0090】
一実施形態では、組成物は、配列番号3のアミノ酸配列を含むscFv gy1をコードする核酸分子を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号2を含む核酸分子を含む。
【0091】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、軽鎖をコードする核酸配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL FR1をコードする核酸配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL CDR1をコードする核酸配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL FR2をコードする核酸配列は、配列番号10のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL CDR2をコードする核酸配列は、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL FR3をコードする核酸配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL CDR3をコードする核酸配列は、配列番号16のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VL FR4をコードする核酸配列は、配列番号18のヌクレオチド配列を含む。
【0092】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、重鎖をコードする核酸配列は、配列番号20のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH FR1をコードする核酸配列は、配列番号22のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH CDR1をコードする核酸配列は、配列番号24のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH FR2をコードする核酸配列は、配列番号26のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH CDR2をコードする核酸配列は、配列番号28のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH FR3をコードする核酸配列は、配列番号30のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH CDR3をコードする核酸配列は、配列番号32のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、VH FR4をコードする核酸配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーをコードする核酸配列を含む。例えば、一実施形態では、scFvリンカーをコードする核酸配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0093】
例えば、一実施形態では、核酸分子は、gy1をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号3のアミノ酸配列を含むgy1をコードする。例えば、一実施形態では、gy1をコードする核酸配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、gy1をコードする核酸は、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列と、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列とを含む。例えば、一実施形態では、軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含み、重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号20のヌクレオチド配列を含む。
【0094】
一実施形態では、gy1をコードする核酸分子は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号25のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0095】
例えば、一実施形態では、VL FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含み;VL CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含み;VL FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号10のヌクレオチド配列を含み;VL CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12のヌクレオチド配列を含み;VL FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;VL CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16のヌクレオチド配列を含み;VL FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号18のヌクレオチド配列を含み;VH FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22のヌクレオチド配列を含み;VH CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号24のヌクレオチド配列を含み;VH FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド配列を含み;VH CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド配列を含み;VH FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド配列を含み;VH CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号32のヌクレオチド配列を含み;VH FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を含み;scFvリンカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0096】
一実施形態では、核酸分子は、1つ以上の突然変異を含む抗体または抗体フラグメントをコードする。例えば、一実施形態では、核酸分子は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号39は、配列番号11に関してV→A点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VL FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号38のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号41は、配列番号13に関してG→E点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VL CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号43は、配列番号19に関してV→A点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VL FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号42のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号45は、配列番号25に関してS→F点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VH CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号44のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号47は、配列番号31に関してI→V点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VH FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号46のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号49は、配列番号33に関してD→G点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VH CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号48のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、配列番号51は、配列番号35に関してG→E点変異を含む。例えば、一実施形態では、変異体VH FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号50のヌクレオチド配列を含む。
【0097】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-stと示されるscFvを含む抗体フラグメントをコードする核酸分子を含む。一実施形態では、gy1-stをコードする核酸分子は、配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列と、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列と、配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列とを含む。一実施形態では、gy1-stをコードする核酸分子は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号39のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号51のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、VL FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含み;VL CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含み;VL FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号38のヌクレオチド配列を含み;VL CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12のヌクレオチド配列を含み;VL FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;VL CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16のヌクレオチド配列を含み;VL FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号18のヌクレオチド配列を含み;VH FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22のヌクレオチド配列を含み;VH CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号44のヌクレオチド配列を含み;VH FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド配列を含み;VH CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド配列を含み;VH FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド配列を含み;VH CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号32のヌクレオチド配列を含み;VH FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号50のヌクレオチド配列を含み;scFvリンカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0098】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-2と示されるscFvを含む抗体フラグメントをコードする核酸分子を含む。例えば、一実施形態では、gy1-2をコードする核酸分子は、配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列;および配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列;例えば、一実施形態では、gy1-2をコードする核酸分子は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号41のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号43のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1をコードするヌクレオチド配列; 配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号47のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号33のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列;および 配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、VL FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含み;VL CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含み;VL FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号10のヌクレオチド配列を含み;VL CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチド配列を含み;VL FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;VL CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16のヌクレオチド配列を含み;VL FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号42のヌクレオチド配列を含み;VH FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22のヌクレオチド配列を含み;VH CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号44のヌクレオチド配列を含み;VH FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド配列を含み;VH CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド配列を含み;VH FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号46のヌクレオチド配列を含み;VH CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号32のヌクレオチド配列を含み;VH FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を含み;scFvリンカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0099】
例えば、一実施形態では、組成物は、本明細書中でgy1-3と示されるscFvを含む抗体フラグメントをコードする核酸分子を含む。一実施形態では、gy1-3をコードする核酸分子は、配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列と、配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列とを含む。一実施形態では、gy1は、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号9のアミノ酸配列を含むVL CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号13のアミノ酸配列を含むVL CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号15のアミノ酸配列を含むVL FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号17のアミノ酸配列を含むVL CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号19のアミノ酸配列を含むVL FR4をコードするヌクレオチド配列;配列番号23のアミノ酸配列を含むVH FR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR1をコードするヌクレオチド配列;配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号29のアミノ酸配列を含むVH CDR2をコードするヌクレオチド配列;配列番号31のアミノ酸配列を含むVH FR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号49のアミノ酸配列を含むVH CDR3をコードするヌクレオチド配列;配列番号35のアミノ酸配列を含むVH FR4をコードするヌクレオチド配列;および配列番号37のアミノ酸配列を含むscFvリンカーをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、VL FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含み;VL CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のヌクレオチド配列を含み;VL FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号10のヌクレオチド配列を含み;VL CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12のヌクレオチド配列を含み;VL FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含み;VL CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号16のヌクレオチド配列を含み;VL FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号18のヌクレオチド配列を含み;VH FR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22のヌクレオチド配列を含み;VH CDR1をコードするヌクレオチド配列は、配列番号44のヌクレオチド配列を含み;VH FR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号26のヌクレオチド配列を含み;VH CDR2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号28のヌクレオチド配列を含み;VH FR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド配列を含み;VH CDR3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号48のヌクレオチド配列を含み;VH FR4をコードするヌクレオチド配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を含み;scFvリンカーをコードするヌクレオチド配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0100】
一実施形態では、組成物は、PSMAbをコードする核酸分子を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、シグナルペプチドを有する重鎖をコードするヌクレオチド配列を含み、シグナルペプチドを有する重鎖は、配列番号53のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号59の重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、シグナルペプチドを有する軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含み、シグナルペプチドを有する軽鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号63のアミノ酸配列を含む軽鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号67の軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、シグナルペプチドを有する重鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号52のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、重鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号54のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号56のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号58のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、シグナルペプチドを有する軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、配列番号60のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、軽鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号62のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号64のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号66のヌクレオチド配列を含む。
【0101】
本発明は、本明細書に記載の1つ以上のヌクレオチド配列と相同性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子を包含する。例えば、特定の実施形態では、核酸分子は、本飯愛書に記載するヌクレオチド配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、82%以上、85%以上、87%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の相同性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0102】
本発明はさらに、様々なタンパク質発現系を用いて抗PSMA抗体または抗体フラグメントの組換えタンパク質を発現または産生する方法を提供する。
【0103】
一実施形態では、本発明はまた、抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸分子がin vitro、ex vivoまたはin vivoで組換えDNA技術によって導入された形質転換細胞およびその子孫を提供する。真核生物または原核生物の形質転換細胞は、精製または腫瘍の診断または治療のような様々な目的のためのin situで、または分泌発現のために組換え抗体または抗体フラグメントを産生するために使用され得る。形質転換された細胞は増殖され、導入された核酸は転写されるか、またはコードされたタンパク質が発現される。子孫細胞は、複製中に生じる突然変異が存在する可能性があるため、親細胞と同一ではない可能性があることが理解される。形質転換された細胞には、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物(例えば、ヒトを含む哺乳類)細胞などの原核細胞および真核細胞が含まれるが、これらに限定されない。細胞は、培養物中、細胞内、組織内または器官内に存在するか、または被験体に存在し得る。
【0104】
典型的には、細胞形質転換はベクターを用いる。「ベクター」という用語は、遺伝子操作のために、例えば、核酸の挿入または組み込みによって操作可能なプラスミド、ウイルス、例えば、ウイルスベクター、または当該技術分野で知られる他のベクター(すなわち、「クローニングベクター」)を指すか、または挿入されたポリ核酸を転写または翻訳するために使用可能な、プラスミド、ウイルス、例えば、ウイルスベクター、または当該技術分野で知られる他のベクター(すなわち、「発現ベクター」)を指す。このようなベクターは、発現制御エレメントと作動可能に連結された抗体をコードする核酸を含む核酸を導入し、in vitro(例えば、溶液または固相)、細胞またはin vivoで発現させるのに有用である。
【0105】
一実施形態では、発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移され、その後、トランスフェクションされた細胞は、従来の技術によって培養されて、本発明の抗体または抗原結合フラグメントを産生する。したがって、本発明は、本発明の抗体(例えば、抗体全体、その重鎖または軽鎖、またはその一部、または一本鎖抗体、またはそのフラグメントもしくはバリアント)をコードするポリ核酸を含む宿主細胞を含み、異種プロモーターに作動可能に連結されている。他の実施形態では、抗体分子全体の発現のために、免疫グロブリン分子全体の発現のために、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターが宿主細胞において共発現される。
【0106】
種々の宿主-発現ベクター系を利用して、本発明の抗体分子を発現させることができる。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を産生し、続いて精製することができる媒体を表すが、適切な核酸コード配列で形質転換またはトランスフェクトされたときに本発明の抗体分子をin situで発現し得る細胞も表す。これらには、抗体フラグメントまたはそのバリアント(一本鎖抗体)を発現するように操作されたバクテリオファージ粒子、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌、枯草菌)などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia));抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたか、または抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター)を含む組換え発現構築物を含む哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293,3T3、NS0細胞);ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、CMVプロモーターまたはEF1プロモーター)が挙げられる。好ましくは、組換え抗体分子の発現のために、大腸菌などの細菌細胞、より好ましくは真核細胞が、特に組換え抗体分子全体の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと共に、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体の有効な発現系である(Foeckingら、Gene 45:101(1986);Cockettら、Bio/Technology 8:2(11990);B ebbingtonら、Bio/Techniques 10:169(1992);KeenおよびHale,Cytotechnology 18:207(1996))。これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
細胞または宿主発現ベクターを形質転換するために使用されるベクターは、一般に、細胞内での増殖のために少なくとも複製起点を含む。転写および翻訳を容易にするために、ベクター内に存在する本明細書に記載の発現制御エレメントを含む制御エレメントが含まれる。「発現制御エレメント」という用語は、少なくともその存在が発現に影響を及ぼすことができる1つ以上の成分を含むことが意図され、プロモーターまたはエンハンサー以外の成分、またはプロモーターまたはエンハンサーに追加する成分、例えばリーダー配列および融合パートナー配列を含むことができ、多重遺伝子の作製のための配列内リボソーム進入部位(IRES)要素、または多シストロン性、メッセージ、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にする遺伝子の正確なリーディングフレームの維持、目的の遺伝子の転写物の適切なポリアデニル化を提供するためのポリアデニル化シグナル、終止コドンなどが含まれる。
【0108】
ベクターは、選択マーカーを含んでいてもよい。当技術分野で知られているように、「選択マーカー」は、遺伝子を含む細胞の選択を可能にする遺伝子を意味する。「陽性選択」とは、選択マーカーを含む細胞のみが陽性選択に曝されると生存するプロセスをいう。薬物耐性は、陽性選択マーカーの一例である。マーカーを含む細胞は、選択薬剤を含有する培地中で生存し、マーカーを含まない細胞は死滅する。そのようなマーカーには、G418に対する抵抗性を付与するneo、ハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygr、またはプロマイシンに対する耐性を付与するpuroなどの薬剤耐性遺伝子が含まれる。他の陽性選択マーカー遺伝子には、マーカーを含む細胞の同定またはスクリーニングを可能にする遺伝子が含まれる。これらの遺伝子には、蛍光タンパク質(GFP)、lacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ遺伝子、およびCD8などの表面マーカーが含まれる。
【0109】
ベクターには陰性選択マーカーを含めることができる。「陰性選択」とは、陰性選択マーカーを含む細胞を、適切な陰性選択剤に曝露すると死滅させるプロセスをいう。例えば、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)遺伝子(Wiglerら、Cell 11:223(1977))を含む細胞は、薬物ガンシクロビル(GANC)に感受性である。同様に、gpt遺伝子は、細胞を6-チオキサンチンに感受性にする。
【0110】
哺乳動物発現系はさらに、in vivoおよびex vivo発現のために特異的に設計されたベクターを含む。このような系としては、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる(米国特許第5,604,090号)。AAVベクターは、ヒトおよびマウスにおいて、治療上の利益のために十分なレベルで第IX因子の発現を提供することが以前に示されている(Kayら、Nat.Genet.24:257(2000);Nakaiら、Blood 91:4600(1998))。アデノウイルスベクター(米国特許第5,700,470号、第5,731,172号および第5,928,944号)、ヘルペス単純ウイルスベクター(米国特許第5,501,979号)およびレトロウイルス(例えば、レンチウイルスベクターは、分割する細胞および分割しない細胞、泡末ウイルスを感染させるのに有用である)ベクター(米国特許第5,624,820号、同第5,693,508号、同第5,665,577号、同第6,013,516号および同第5,674,703号およびWIPO公開WO92/05266号およびWO92/14829号)およびパピローマウイルスベクター(例えば、ヒトおよびウシパピローマウイルス)は、全て遺伝子治療に使用されてきた(米国特許第5,719,054号)。ベクターには、サイトメガロウイルス(CMV)系ベクターも含まれる(米国特許第5,561,063号)。腸管の細胞に遺伝子を効率的に送達するベクターが開発されており、また使用されてもよい(例えば、米国特許第5,821,235号、同第5,786,340号および同第6,110,456号)。酵母では、相同組換えを介して染色体への外来核酸配列の組み込みを容易にするベクターが当該分野で公知であり、使用することができる。挿入された核酸がより通常のベクター(例えば、約12kbより大きい)には大きすぎる場合、酵母人工染色体(YAC)が典型的に使用される。
【0111】
一実施形態では、本発明における使用のためのファージミドベクターには、本発明の抗体/抗体鋳型/FRライブラリーの製造に適した当技術分野で利用可能な任意のものが含まれ、ファージミドベクターpCB04、pIT1、pIT2、CANTAB 6、pComb 3 HSが挙げられる。フィラメント状ベクターおよびファージミド構築の方法は、例えば、それぞれ本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,054,312号、米国特許第6,803,230号を参照されたい。細胞質バクテリオファージまたは溶解ファージとして知られている非糸状バクテリオファージベクターを含むバクテリオファージディスプレイシステムもまた、例えば、米国特許第5,766,905号に記載されている。
【0112】
本発明で使用するのに適した細菌発現構築物には、pCAL、pUC、pET、pETBlue(登録商標)(Novagen)、pBAD、pLEX、pTrcHis2、pSE280、pSE380、pSE420(Invitrogen)、pKK223-2 )、pTrc99A、pKK223-3、pRIT2T、pMC1871、pEZZ18(Pharmacia)、pBluescript II SK(Stratagene)、pALTER-Ex1、pALTER-Ex2、pGEMEX(Promega)、pFivE(MBI)、pQE(Qiagen)構築物、およびそれらの誘導体、ならびに当該分野で公知の他のものが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、構築物はまた、ウイルス、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、またはバクテリオファージを含み得る。
【0113】
核酸を含む様々な組成物を細胞に導入するためのリポソームの使用は、当業者に知られている。(例えば、米国特許第4,844,904号、同第5,000,959号、同第4,863,740号および同第4,975,282号を参照)。国際公開第94/20078号パンフレットおよび米国特許第6,096,291号明細書に記載されている天然ポリマー、または天然ポリマーの誘導体もしくは加水分解物を含む担体は、ポリペプチドおよびポリ核酸などの分子の粘膜送達に適しており、ピペラジンをベースとする両親媒性カチオン性脂質も知られている(例えば、米国特許第5,861,397号を参照)。カチオン性脂質系も知られている。(例えば、米国特許第5,459,127号を参照。)したがって、細胞または組織へのin vitro、in vivoおよびex vivoでの送達のウイルスおよび非ウイルスベクター手段が含まれる。
【0114】
一実施形態では、核酸配列は、発現制御配列の機能を確実にするために「作動可能に連結される」、すなわち配置され得る。これらの発現構築物は、典型的には、エピソームとして、または細胞の染色体DNAの不可欠な部分として細胞内で複製可能であり、発現に使用されるそれぞれの原核生物株についての適切な複製起点を含み得る。一般に、発現構築物は、所望の核酸配列で形質転換された細菌細胞の検出および/または選択を容易にする、例えばテトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性またはクロラフェニコール耐性などの選択マーカーを含む(例えば、米国特許第4,704,362号を参照)。しかしながら、これらのマーカーは、排他的ではなく、当業者に知られているように、多数の他のマーカーを使用することができる。本発明の別の実施形態では、発現構築物は、陽性選択マーカーおよび陰性選択マーカーの両方を含む。
【0115】
同様に、転写産物の同定を容易にするために、発現構築物内にレポーター遺伝子を組み込むことができる。したがって、本発明の一実施形態では、利用されるレポーター遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよび蛍光タンパク質からなる群から選択される。
【0116】
原核生物プロモーター配列は、コードされたポリ核酸配列の発現を調節し、本発明のいくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリ核酸に作動可能に連結される。本発明のさらなる実施形態では、これらのプロモーターは構成性または誘導性のいずれかであり、本発明のポリペプチドの高レベルおよび低レベルの発現の手段を与え、いくつかの実施形態では、本発明の複数のポリペプチドの制御された発現のために、いくつかの実施形態では、融合タンパク質として発現される。
【0117】
T7プロモーター系、ラクトースプロモーター系、チロプシン(Trp)プロモーター系、Trc/Tacプロモーター系、β-ラクタマーゼプロモーター系、tetAプロモーター系、アラビノース制御プロモーター系、ファージT5プロモーター、またはファージラムダ由来のプロモーター系を使用することができ、本発明の実施形態を含む。プロモーターは、典型的には発現を任意にオペレーター配列で制御し、例えば転写および翻訳を開始および完了させるためのリボソーム結合部位配列を含み得る。さらなる実施形態によれば、ベクターはまた、発現制御配列、プロモーターの転写活性を調節し得るエンハンサー、プロモーターに隣接するインサートのクローニングを容易にするための適切な制限部位、およびRNAスプライス部位のような他の必要なプロセシング部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列、ならびに挿入された核酸の発現を促進し得る任意の他の配列を含む。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のポリ核酸、ベクター、抗体および/またはそのフラグメントの使用方法、および/またはそれを含む組成物の治療、阻害または予防を含む。
【0119】
PSMAの検出
本明細書で提供される抗体、抗原結合フラグメント、または組成物は、診断または治療の手順で使用され得ることが当業者に理解される。
【0120】
一実施形態では、被験体における腫瘍の存在または癌の増殖を診断する方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、本方法は、本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメントを含む組成物で被験体から単離された組織試料をサンプリングすることを含み、それにより、前記抗体または抗原結合フラグメントの組織試料への特異的結合が、被験体における腫瘍または癌の成長を含む。別の実施形態では、この方法は、抗体または抗原結合フラグメントに特異的に結合するが、抗体または抗原結合フラグメントのその標的への結合に拮抗しない二次試薬を検出することをさらに含む。別の実施形態では、「二次試薬」は、光活性化可能な試薬、フルオロフォア、放射性同位元素、生物発光タンパク質、生物発光ペプチド、蛍光タグ、蛍光タンパク質、または蛍光ペプチドである。
【0121】
一実施形態では、用語「癌」および「癌性」は、一実施形態では、典型的には調節されていない細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか、または記載する。癌の例としては、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫(リポ肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、腺癌、メラノーマ、および白血病またはリンパ性悪性腫瘍が挙げられる。
【0122】
一実施形態では、「癌」という用語は、卵巣癌、乳癌、グリア芽細胞腫、胃腸癌を含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、癌は、前立腺癌である。
【0123】
別の実施形態では、「サンプリング」は、抗体または抗原結合フラグメントと複合体化またはコンジュゲートし、抗体が標的に特異的に結合するとき検出可能な「シグナル」を放出する、二次試薬の検出を可能にする検出アッセイを用いて試料を試験または分析する工程を指す。別の実施形態では、検出は、免疫学的アッセイ(例えば、免疫組織化学、ELISAなど)または顕微鏡画像化などの当技術分野で通常使用されるアッセイを使用して行われるが、これらに限定されない。
【0124】
一実施形態では、「標識された」という用語は、スクリーン中での検出を可能にするために付着された1つ以上の元素、同位体、または化学化合物を有する本発明の抗体を指す。一般に、標識は、以下の3つのクラスに分けられる。(a)免疫標識、抗体によって認識される融合パートナーとして組み込まれるエピトープであってもよい。(b)同位体標識、放射性同位体または重同位体であってもよい。(c)低分子標識、蛍光染料および比色染料、または他の標識方法が可能なビオチンなどの分子を含んでいてもよい。一実施形態では、本発明の抗体は、ビオチンで標識される。他の関連する実施形態では、本発明のビオチン化抗体は、例えば造影剤として、または1つ以上のリガンド分子を同定する手段として使用することができる。別の実施形態では、標識は、一旦抗体または抗原結合フラグメントに結合すると、検出または可視化され得るナノ粒子であり得る。標識は、任意の位置で化合物に取り込まれてもよく、タンパク質発現中にin vitroまたはin vivoで取り込まれてもよい。
【0125】
一実施形態では、本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメントおよび二次試薬によって形成されるコンジュゲートは、種々の用途、例えば、限定されないが、フローサイトメトリー、ELISA、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学、膜アッセイ、および本明細書で記載されるか、または当該技術分野で一般的に適用される診断方法および治療方法で使用される。
【0126】
異常なPSMA発現を伴う腫瘍の画像化
一実施形態では、本発明の組成物は、標的抗原、タンパク質または他の分子の不適切な発現を伴う疾患を有する被験体に投与される。例えば、一実施形態では、PSMAに結合する抗体または抗体フラグメントを含む組成物を投与して、被験体におけるPSMAの存在、存在量、位置またはそれらの組合せを検出する。本発明の範囲内では、これは、例えば、存在するタンパク質の量の変化、タンパク質の局在化、翻訳後修飾、コンフォメーション状態、変異体または病原体タンパク質の存在などに起因して、異常なタンパク質によって特徴付けられる疾患および障害同様に、疾患または障害は、多糖類およびガングリオシドを含むがこれらに限定されない変化分子によって特徴付けられ得る。過剰レベルは、分子レベルでの過剰発現、作用部位での長期または蓄積された出現、または正常と比較したタンパク質の活性の増加を含むが、これに限定されない原因に起因し得る。この定義には、タンパク質の減少を特徴とする疾患および障害が含まれる。この減少は、分子レベルでの発現の減少、作用部位での発現の短縮または減少、タンパク質の突然変異形態、または正常と比較したタンパク質の活性の低下を含むが、これに限定されない任意の原因に起因し得る。このようなタンパク質の過剰量または減少は、タンパク質の正常な発現、出現または活性と比較して測定することができ、前記測定は、本発明の抗体の開発および/または臨床試験において重要な役割を果たす可能性がある。
【0127】
一実施形態では、本発明の抗体または抗体フラグメントは、被験体に投与された場合、前立腺癌細胞などの腫瘍細胞上に発現された抗原と結合する。別の実施形態では、被験体に投与される本発明の抗体または抗体フラグメントは、固形腫瘍(例えば、PSMA陽性の新生血管を有する腫瘍)の新生血管で発現する抗原に結合し、限定されないが、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、胃癌、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、メラノーマ、神経膠腫などを含む。
【0128】
一実施形態では、PSMA含有腫瘍を撮像する方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、本方法は、二次試薬に作動可能に連結された本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメントを適用する工程を含む。別の実施形態では、前立腺または他のタイプの固形腫瘍は、抗体または抗原結合フラグメントがその標的に結合した後に可視化され得る。さらに別の実施形態では、二次試薬は、光活性化可能な試薬、フルオロフォア、放射性同位元素、生物発光タンパク質、生物発光ペプチド、蛍光タグ、蛍光タンパク質、または蛍光ペプチドである。二次試薬の非限定的な例を以下に示す。
【0129】
一実施形態では、検出可能な標識またはこれに付着した二次試薬としては、限定されないが、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート(FITC)、シアニン色素など)、アフィニティー標識(例えば、ビオチン、アビジン、プロテインAなど)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)、または同位体標識(例えば、124I)または抗体の検出および単離を可能にする任意の他のそのような検出可能な部分が挙げられる。
【0130】
変化した可変領域の集団内の結合種の同定のための検出方法は、直接的または間接的であり得、例えば、発光、放射性同位元素、比色色素および蛍光色素の測定を含み得る。直接検出には、結合した抗原またはリガンドの量を評価するための中間体または二次測定手順なしで操作する方法が含まれる。そのような方法は、一般に、例えば、放射性、発光性または蛍光性部分によって標識されたリガンドを使用する。これとは対照的に、間接的な検出には、中間または二次測定手順によって操作する方法が含まれる。これらの方法は、一般に、抗原またはリガンドと特異的に反応する分子を使用し、それ自体、直接的に標識され得るか、または二次試薬によって検出され得る。例えば、リガンドに特異的な抗体は、リガンドに特異的な第1抗体と相互作用することができる二次抗体を用いて、直接検出するための上記の検出方法を用いて再び検出することができる。間接的方法は、酵素標識による検出をさらに用いることができる。さらに、触媒抗体のスクリーニングの特定の例については、基質の消失または生成物の出現を、結合親和性または触媒活性の間接的測定として用いることができる。
【0131】
特定の実施形態では、本発明の抗体は、近赤外染料で標識される。例えば、本発明の抗体は、IRDye800CWまたはインドシアニングリーン(ICG)で標識することができる。
【0132】
特定の実施形態では、本発明の抗体は、放射性金属イオン(111In、177Lu、90Y、166Ho、153Sm、215Biおよび225Acを含むがこれらに限定されない)をポリペプチドに結合させるのに有用な大環状キレート剤に結合する。好ましい実施形態では、本発明の抗体に結合した大環状キレート化剤に関連する放射性金属イオンは111Inである。別の好ましい実施形態では、本発明の抗体ポリペプチドに結合した大環状キレート化剤に関連する放射性金属イオンは90Yである。特定の実施形態では、大環状キレート化剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N”’-四酢酸(DOTA)である。特定の実施形態では、大環状キレート化剤は、quadrature-(5-イソチオシアナト-2-メトキシフェニル)-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸である。他の特定の実施形態では、DOTAは、リンカー分子を介して本発明の抗体に結合される。DOTAのような大環状キレート化剤をポリペプチドに結合させるために有用なリンカー分子の例は、当該分野で一般的に知られている。例えば、その全体が本明細書に参考として組み込まれる、DeNardoら、Clin Cancer Res.4(10):2483-90,1998;Petersonら、Bioconjug.Chem.10(4):553-7,1999;およびZimmermanら、Nucl.Med.Biol.26(8):943-50,1999を参照。加えて、米国特許第5,652,361号および第5,756,065号は、抗体とコンジュゲートし得るキレート化剤、およびそれらを作製および使用する方法を開示しており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
治療の方法
本発明はまた、前記抗体または抗原結合フラグメントで前記腫瘍細胞を標的化する工程を含む被験体におけるPSMA発現癌を治療する方法を提供する。
【0134】
特定の実施形態では、この方法は、抗体または抗体フラグメントを含む組成物を被験体に投与することを含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、毒素、放射性同位体、ナノ粒子または生物活性ペプチドである、生物学的に活性な薬剤またはそのような薬剤の組合せに作動可能に連結される。
【0135】
一実施形態では、本発明は、PSMA高発現細胞を、抗体または抗原結合フラグメントで標的化する工程を含む被験体において、異常なPSMA発現を伴う固形腫瘍、例えば、新生血管に高いPSMA発現を伴う前立腺癌または固形腫瘍を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、この方法は、高PSMA発現に関連する腫瘍を有する被験体に、抗体または抗体フラグメントを含む組成物を投与することを含む。一実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、毒素、放射性同位体、ナノ粒子または生物活性ペプチドである、生物学的に活性な薬剤またはそのような薬剤の組合せに作動可能に連結される。これらの腫瘍には、限定されないが、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、胃癌、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、メラノーマ、神経膠腫などが含まれる。
【0136】
一実施形態では、被験体の腫瘍を阻害または抑制する方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、本方法は、有効量の本発明の抗体または抗原結合フラグメントを投与する工程を含む。
【0137】
別の実施形態では、被験体における固形腫瘍の進行を遅らせる方法が本明細書において提供される。さらに別の実施形態では、本方法は、有効量の本発明で提供される抗体または抗原結合フラグメントを被験体に投与することを含む。別の実施形態では、被験体は、固形腫瘍の脈管構造に対する免疫応答をもたらし、それにより、被験体における固形腫瘍の進行を遅延させる。
【0138】
一実施形態では、「作動可能に連結された」という用語は、分子および配列の適切な機能または発現を確実にするように、2つ以上の分子または配列の配置/連結を指す。
【0139】
一実施形態では、用語「治療的有効量」は、所与の状態および投与レジメンに対して治療効果を提供する量を指す。本発明において、治療効果は、腫瘍増殖、浸潤、拡がり、転移または再発の予防または抑制、好ましくは腫瘍負荷の軽減または患者転帰の改善である。
【0140】
一実施形態では、「予防するまたは治療する」という用語は、症状の発症の遅延、症状の重症度の軽減、急性発作の重症度の軽減、症状の数の減少、症状の潜伏期間の短縮、症状の改善、二次症状の軽減、二次感染の減少、患者の生存の延長、疾患への再発の予防、再発エピソードの数または頻度の減少、症候性エピソード間の待ち時間の増加、寛解を誘発し、寛解を促し、回復を加速し、または代替治療への有効性を増強するか、または抵抗性を減少させるために使用される。一実施形態では、「治療する」とは、治療処置および予備的または予防的手段の両方を指し、目的は、上記の標的病理学的状態または障害を予防または軽減することである。
【0141】
別の実施形態では、「症状」は、上記の疾患または病的状態の症状である。
【0142】
別の実施形態では、本明細書で提供される方法は、タンパク質分解阻害剤、医薬担体、希釈剤、およびアジュバントをさらに含む。
【0143】
一実施形態では、本発明の組成物は、本発明のポリペプチド、抗体または抗原結合フラグメントを、単独でまたはいくつかの実施形態では、第2の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて含む。一実施形態では、「薬学的に活性な薬剤」という用語は、示された目的を満たす任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的に活性な薬剤には、化学療法薬、放射線療法薬、血管新生阻害薬、腫瘍イメージングプローブ、免疫モジュレーターまたは任意の他の腫瘍療法および/またはイメージング薬剤/薬剤などが含まれる。
【0144】
別の実施形態では、被験体の腫瘍の治療のための本発明の生物学的に活性な薬剤および抗体または抗原結合性フラグメントを送達する方法が本明細書に提供される。別の実施形態では、本方法は、生物学的に活性な薬剤と抗体または抗原結合フラグメントとを同時に投与する工程を含む。別の実施形態では、この方法は、生物学的に活性な薬剤と抗体または抗原結合フラグメントを別々に投与する工程を含む。
【0145】
一実施形態では、本明細書で提供される抗体または抗原結合フラグメント自体は、「生物学的に活性」であり、修飾後、特に標的抗原への結合において、対応する親抗体の生物学的作用または増強作用を発揮することができる調節、特に抗原媒介シグナル伝達の阻害、および抗原媒介疾患の予防または治療の観点から、リガンドの受容体への結合を阻害することができる。用語「生物学的に活性な」は、当業者であれば理解されるように、本明細書中に記載される生物学的に活性な薬剤のいずれかに関して使用される場合、予防的、診断的または治療的効果をもたらすことができる様式で免疫応答を調節する薬剤の能力を指す。いくつかの実施形態では、当業者なら理解されるだろうが、この生体活性を達成するために使用される薬剤としては、限定されないが、サイトカイン、酵素、ケモカイン、放射性同位体、酵素的に活性な毒素、治療ナノ粒子または化学療法剤が挙げられる。
【0146】
代替の実施形態では、抗体のポリペプチドは、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(ADEPT)を使用するために、それらの意図された目的で酵素に機能するように接合されるか、または機能的に連結される。ADEPTは、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤)を活性抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体またはFc融合体をコンジュゲートまたは作動可能に連結することによって使用され得る。ADEPTに有用なイムノコンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞傷害性形態に変換するようにプロドラッグに作用することができる任意の酵素が含まれる。本明細書で提供される改変された分子の他のさらなる改変も本明細書中に企図される。例えば、ポリペプチド/抗体は、種々の非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーの1つと結合していてもよい。
【0147】
別の実施形態では、本明細書で提供される抗体/ポリペプチドは、1つ以上の免疫調節剤とともに投与される。そのような薬剤は、1種以上のサイトカインの産生を増加または減少させ、自己抗原提示をアップレギュレートまたはダウンレギュレートし、MHC抗原をマスクし、または1種以上のタイプの免疫細胞の増殖、分化、移動または活性化状態を促進し得る。免疫調節剤としては、限定されないが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、インドメタシン、ケトララク、オキサプロジン、ナブメントン、スリンダク、トルメチン、ロフェコキシブ、ナプロキセン、ケトプロフェンおよびナブメトン;ステロイド(例えば、グルココルチコイド、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロキシコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリムシノロン、アズルフィジンエイコサノイド、例えば、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエン;および局所ステロイド、例えば、アントラリン、カルシポトリエン、クロベタゾールおよびタザロテン);サイトカイン、例えば、TGFb、IFNa、IFNb、IFNg、IL-2、IL-4、IL-10;サイトカイン、ケモカインまたは受容体アンタゴニスト、例えば抗体、可溶性受容体およびBATFに対する受容体-Fc融合物、B7、CCR2、CCR5、CD2、CD3、CD4、CD6、CD7、CD8、CD11、CD14、CD15、CD17、CD18、CD2O、CD23、CD28、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD52、CD64、CD80、CD86、CD147、CD152、補因子(C5、D)CTLA4、エオタキシン、Fas、ICAM、ICOS、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IFNAR、IgE、IL-1、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5R、IL-6、IL-8、IL-9、IL-12、IL-13、IL-13R1、IL-15、IL-18R、IL-23、インテグリン、LFA-1、LFA-3、MHC、セレクチン、TGF-β、TNF-α、TNF-β、TNF-R1、T細胞受容体、例えば、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、PD1抗体(OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)、KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ)またはPD-L1抗体(デュルバルマブ、MPDL3280A);異種抗-リンパ球グロブリン;他の免疫調節分子、例えば、2-アミノ-6-アリール-5置換ピリミジン、MHC結合ペプチドおよびMHCフラグメントの抗イディオタイプ抗体、アザチオプリン、ブレキナール、ブロモクリプチン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、D-ペニシラミン、デオキシスペルグアリン、FK506、グルタルアルデヒド、金、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、マロノニトリロアミド(例えば、レフルノミド)、メトトレキサート、ミノサイクリン、ミゾリビン、マイコフェノレートモフェチル、ラパマイシンおよびスルファササジンが挙げられる。
【0148】
代替の実施形態では、本発明の抗体は、サイトカインとともに投与される。本明細書で使用する「サイトカイン」は、細胞間仲介物質として別の細胞に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-αおよびβ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-ベータなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF-αおよびTGF-βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF)インスリン様増殖因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロンアルファ、ベータ、およびガンマのようなインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);顆粒球-CSF(G-CSF)インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1alpha、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えば、TNF-αまたはTNF-β;およびLIFおよびキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書中で使用される場合、サイトカインという用語には、天然供給源または組換え細胞培養由来のタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
【0149】
化学療法剤または他の細胞毒性剤をプロドラッグとして投与することができる。「プロドラッグ」という用語は、親薬物と比較して腫瘍細胞に対して細胞傷害性が低く、酵素的に活性化され得るか、またはより活性な親形態に変換され得る、薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体の形態を指す。例えば、Wilman,1986,Biochemical Society Transactions,615th Meeting Belfast,14:375-382;およびStellaら、「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」,Directed Drug Delivery,Borchardtら(編集):247-267,Humana Press,1985を参照。本明細書で提供される組成物および方法で使用することができるプロドラッグには、限定されないが、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫酸塩含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは場合により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシンおよびより活性な細胞傷害性遊離薬物に変換され得る他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。本明細書で提供される組成物および方法の抗体/ポリペプチドとともに使用するためにプロドラッグ形態に誘導体化され得る細胞傷害性薬物の例には、前述の化学療法剤のいずれかが含まれるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗体/ポリペプチドと上記で特定した生物学的活性剤、すなわちサイトカイン、酵素、ケモカイン、放射性同位体、酵素的に活性な毒素または化学療法剤との任意の組合せを適用することができる。別の実施形態では、抗体/ポリペプチドは、生物学的に活性な薬剤と作動可能に連結され、本明細書に記載の方法で使用されるか、またはここに提供される抗体/ポリペプチドは、生物学的に活性な薬剤と組み合わせて、所望の予防効果、診断効果または治療効果を達成するために別々に投与される(すなわち、コンジュゲートしない)。
【0151】
PSMA標的化抗体薬物コンジュゲート
一実施形態では、本発明は、細胞毒性剤、例えば、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物または動物由来の酵素的に活性な毒素、またはこれらのフラグメント)または放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)にコンジュゲートした抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。1つの特定の実施形態では、薬物には、メイタンシノイド、オーリスタチン、ドラスタチンおよびカリケアミシンなどのチューブリン阻害剤およびDNA切断試薬が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本発明は、ADCを使用する方法をさらに提供する。一態様では、ADCは、上記のPSMA抗体または細胞傷害性薬剤または検出可能な薬剤に共有結合した抗体フラグメントのいずれかを含む。
【0152】
細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤、すなわち癌の治療において腫瘍細胞を死滅または抑制するための薬物の局所送達のための抗体コンジュゲートの使用(SyrigosおよびEpenetos(1999)Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-DuvazおよびSpringer(1997)Adv.Drg Del.Rev.26:151-172;米国特許第4,975,278号)によって、薬物部分を腫瘍に標的送達し、細胞内に蓄積させることができ、これらのコンジュゲートしていない薬剤の全身投与によって、正常細胞と、除外されることを求めている腫瘍細胞に受け入れられないレベルの毒性が生じる場合がある(Baldwinら、(1986)Lancet pp.(1986年3月15日):603-05;Thorpe,(1985)「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」,Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical applications,A.Pincheraら(編集),pp.475-506)。最小の毒性で最大限の有効性が求められる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方が、これらの戦略において有用であると報告されている(Rowlandら、(1986)Cancer Immunol.Immunother.,21:183-87)。これらの方法で使用される薬物は、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキセートおよびビンデシンを含む(Rowlandら、(1986)、前出)。抗体-毒素コンジュゲートに使用される毒素としては、細菌毒素、例えば、ジフテリア毒素、植物毒素、例えば、リシン、低分子毒素、例えば、ゲルダナマイシン(Mandlerら(2000)Jour.of the Nat.Cancer Inst.92(19):1573-1581;Mandlerら、(2000)Bioorganic & Med.Chem.Letters 10:1025-1028;Mandlerら、(2002)Bioconjugate Chem.13:786-791)、マイタンシノイド(EP 1391213号;Liuら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623)およびカリケアマイシン(Lodeら(1998)Cancer Res.58:2928;Hinmanら(1993)Cancer Res.53:3336-3342)が挙げられる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含む機構によって、細胞傷害性および細胞増殖抑制効果に影響を及ぼし得る。いくつかの細胞傷害性薬物は、大きな抗体またはタンパク質受容体リガンドにコンジュゲートした場合、不活性または低活性である傾向がある。
【0153】
抗体薬物コンジュゲートの例は、正常および異常なBリンパ球の表面に見出されるCD20抗原に対して指向するマウスIgG1カッパモノクローナル抗体およびチオウレアリンカーキレート化剤によって結合する111Inまたは90Y放射性同位体から構成される抗体-放射性同位体コンジュゲートであるZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン、Biogen/Idec)である(Wisemanら(2000)Eur.Jour.Nucl.Med.27(7):766-77;Wisemanら、(2002)Blood 99(12):4336-42;Witzigら、(2002)J.Clin.Oncol.20(10):2453-63;Witzigら、(2002)J.Clin.Oncol.20(15):3262-69)。
【0154】
さらに、カリケアマイシンに結合したヒトCD33抗体から構成される抗体薬物コンジュゲートMYLOTARG(商標)(ゲムツヅマブオゾガマイシン、Wyeth Pharmaceuticals)が、2000年に急性骨髄性白血病の治療のために承認された(Drugs of the Future(2000)25(7):686;米国特許第4,970,198号;第5,079,233号;第5,585,089号;第5,606,040号;第5,693,762号;第5,739,116号;第5,767,285号;第5,773,001号)。
【0155】
最後に、ドラスタチンの合成アナログであるモノメチルオーリスタチンE(MMAE)などのオーリスタチンペプチドを、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌腫上のLewis Yに特異的)およびcAC10(血液悪性腫瘍上のCD30に特異的)にコンジュゲートした(Doroninaら(2003)Nature Biotechnology 21(7):778-784)。cAC10は治療薬開発中である。
【0156】
さらに、ADCの生成に有用な化学療法剤が本明細書に記載されている。使用可能な酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosaに由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。例えば、1993年10月28日公開のWO93/21232を参照されたい。放射性コンジュゲート抗体の産生のために、様々な放射性核種が利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reが挙げられる。抗体と細胞毒性剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン 2,6-ジイソシアネート)およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を用いて作られる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら(1987)Science、238:1098に記載されているように調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性核酸を抗体に結合させるための例示的なキレート剤である(WO94/11026号)。
【0157】
抗体と、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン、トリコテセン、およびCC1065などの1つ以上の低分子毒素と、毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体とのコンジュゲートも本明細書において企図される。
【0158】
メイタンシノイド:
メイタンシノイド薬物部分としての使用に適したメイタンシノイド化合物は当該分野で周知であり、遺伝子工学技術を用いて製造された既知の方法で天然物から単離されてもよく(Yu et al(2002)PNAS 99:7968-7973を参照のこと)、または、公知の方法に従って合成的に調製されたメイタンシノールおよびメイタンシノール類縁体でもよい。
【0159】
例示的なメイタンシノイド薬物部分には、以下のような修飾芳香環を有するものが含まれる:C-19-デクロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサマイトシンP2のリチウムアルミニウムヒドリド還元により調製);C-20-ヒドロキシ(またはC-20-デメチル)+/-C-19-デクロロ(米国特許第4,361,650号および第4,307,016号)(ストレプトマイセスまたはアクチノミセスを用いる脱メチル化またはLAHを用いた脱塩素化によって調製される)、C-20-デメトキシ、C-20-アシルオキシ(-OCOR)、+/-デクロロ(米国特許第4,294,757号)(塩化アシルを用いたアシル化により調製)、他の位置に修飾を有するもの。
【0160】
例示的なメイタンシノイド薬物部分はまた、以下のような修飾を有するものを含む:C-9-SH(米国特許第4,424,219号)(メイタンシノールとH2SまたはP2S5との反応によって調製);C-14-アルコキシメチル(デメトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号)、C-14-ヒドロキシメチルまたはアシロキシメチル(CH2OHまたはCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(Nocardiaから調製);C-15-ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの変換によって調製);C-15-メトキシ(米国特許第4,313,946号および第4,315,929号)(Trewia nudlfloraから単離された);C-18-N-デメチル(米国特許第4,362,663号および第4,322,348号)(ストレプトマイセス(Streptomyces)によるメイタンシノールの脱メチル化によって調製);4,5-デオキシ(米国特許第4,371,533号)(三塩化チタン/LAH還元メイタンシノールにより調製)。
【0161】
メイタンシノイドを含有するADC、その製造方法、およびそれらの治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020号;第5,416,064号;第6,441,163号および欧州特許第EP 0 425 235 B1号に開示され、その開示は、本明細書に参考として組み込まれる。Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623(1996)は、ヒト結腸直腸癌に指向するモノクローナル抗体C242に結合したDM1と呼ばれるメイタンシノイドを含むADCを記載していた。コンジュゲートは、培養された結腸癌細胞に対して高い細胞傷害性であることが見出され、in vivo腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chariら、Cancer Research 52:127-131(1992)は、メイタンシノイドがジスルフィドリンカーを介して、ヒト結腸癌細胞株上の抗原に結合するマウス抗体A7に結合した、またはHER-2/neu癌遺伝子に結合する別のマウスモノクローナル抗体TA.1に結合するADCを記載している。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞傷害性を、細胞あたり3×105のHER-2表面抗原を発現するヒト乳癌細胞株SK-BR-3についてin vitroで試験した。薬物コンジュゲートは、遊離メイタンシノイド薬物と同様の程度の細胞傷害性を達成したが、これは抗体分子当たりメイタンシノイド分子の数を増加させることによって増加させることができた。A7-メイタンシノイドコンジュゲートは、マウスにおいて全身細胞傷害性が低かった。
【0162】
例示的なメイタンシノイドの実施形態は、DM1(ここで、波線は、抗体薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す)である。
【0163】
【0164】
オーリスタチンおよびドラスタチン:
いくつかの実施形態では、ADCは、ドラスタチンまたはドロスタチンペプチド類似体および誘導体に結合した本発明の抗体、オーリスタチンを含む(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、ならびに核および細胞分裂を妨害することが示されており(Woykeら、(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5,663,149号)および抗真菌活性を有する(Pettitら、(1998)Antimicrob.Agents Chemother.42:2961-2965)。ドラスタチンまたはオーリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合することができる(WO 02/088172号)。
【0165】
典型的なオーリスタチンの実施形態には、N末端結合したモノメチルオーリスタチン薬物部分DEおよびDFを含み、「Senterら、Proceedings of the American Association for Cancer Research,Volume 45,Abstract Number 623(2004年3月28日に発表)に開示され、米国特許出願公開第2005/0238649号に記載され、その開示は、その全体が参考として本明細書に明示的に組み込まれる。
【0166】
様々なリンカー成分を有するMMAEおよびMMAFを使用するADCが開示されている(US2005/0238649号、US08968742号)。
【0167】
例示的なオーリスタチンの実施形態は、MMAE(ここで、波線は、抗体薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す)である。
【0168】
【0169】
別の例示的なオーリスタチンの実施形態は、MMAFであり、波線は、抗体薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す(US2005/0238649号)。
【0170】
【0171】
典型的には、ペプチド系の薬物部分は、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメント間にペプチド結合を形成することによって調製することができる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学分野でよく知られている液相合成法に従って調製することができ(E.SchroderおよびK.Lubke,「The Peptides」,volume 1,pp 76-136,1965,Academic Press)。オーリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、以下の方法に従って調製することができる。米国特許第5,635,483号;米国特許第5,780,588号;Pettitら(1989)J.Am.Chem.Soc.111:5463-5465;Pettitら(1998)Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit,G.R.ら、Synthesis,1996,719-725;Pettitら(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.15:859-863;およびDoronina(2003)Nat Biotechnol 21(7):778-784。
【0172】
カリケアマイシン:
他の実施形態では、ADCは、1つ以上のカリケアマイシン分子に結合した本発明の抗体を含む。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で二本鎖DNA切断を生成することができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号および第5,877,296号を参照(全てAmerican Cyanamid Companyに対するもの)。使用することができるカリケアマイシンの構造類似体には、限定されるものではないが、γ1I、α2I、α3I、N-アセチル-γ1I、PSAGおよびθ1Iが挙げられる(Hinmanら、Cancer Research 53:3336-3342(1993),Lodeら、Cancer Research 58:2925-2928(1998)およびAmerican Cyanamidに対する上述の米国特許)。抗体がコンジュゲートされ得る別の抗腫瘍薬は、葉酸拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシンおよびQFAの両方は、細胞内作用部位を有し、形質膜を容易には通過しない。したがって、抗体媒介内在化によるこれらの薬剤の細胞取り込みは、それらの細胞傷害効果を大きく増強する。
【0173】
その他の細胞傷害性薬剤:
本発明の抗体にコンジュゲートすることができる他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチンおよび5-フルオロウラシル(これらの薬剤のファミリーは、まとめて、米国特許第5,053,394号、第5,770,710号に記載されるLL-E33288複合体として知られる)およびエスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)が挙げられる。
【0174】
使用可能な酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosaに由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。例えば、1993年10月28日公開のWO93/21232号を参照されたい。
【0175】
本発明は、抗体と、核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼまたはデオキシリボヌクレアーゼ;DNaseなどのDNAエンドヌクレアーゼ)との間に形成されるADCをさらに企図する。
【0176】
腫瘍の選択的破壊のために、抗体は高度に放射性の原子を含んでいてもよい。放射性コンジュゲート抗体の産生のために、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体が挙げられる。コンジュゲートが検出に使用される場合、それはシンチグラフィー研究のための放射性原子、例えばtc99mまたはI123、またはヨウ素のような核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られている)のためのスピンラベル、例えば、ヨウ素123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄である。
【0177】
放射標識または他の標識は、既知の方法でコンジュゲートに組み込むことができる。例えば、ペプチドは生合成されてもよく、または例えば水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を用いた化学的アミノ酸合成によって合成されてもよい。tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111のような標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合することができる。イットリウム-90は、リジン残基を介して結合することができる。IODOGEN法(Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49-57)を使用してヨウ素-123を組み込むことができる。「免疫シンチグラフィーにおけるモノクローナル抗体」(Chatal,CRC Press 1989)には、他の方法が詳細に記載されている。
【0178】
PSMA標的化抗体-薬物複合体化合物:
本発明は、とりわけ、薬物の標的送達のための抗体-薬物コンジュゲート化合物を提供する。本発明者らは、抗体-薬物コンジュゲート化合物がPSMAを発現する細胞に対して強力な細胞傷害性および/または細胞増殖抑制活性を有するという発見を行った。抗体-薬物コンジュゲート化合物は、少なくとも1つの薬物単位に共有結合した抗体単位を含む。薬物単位は、直接またはリンカー単位(-LU-)を介して共有結合させることができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲート化合物は、以下の式を有する:
Ab-(LU-D)p
またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物;ここで、
Abは、抗体単位、例えば、gy1またはPSMAbのような本発明の完全抗体またはその抗体フラグメントに由来する変異したバリアントであり、
(LU-D)は、リンカー単位-薬物単位部分であり、ここで、
LU-は、リンカー単位であり;
-Dは、標的細胞に対して細胞増殖抑制活性または細胞傷害活性を有する薬物ユニットであり;
pは、1~20の整数である。
【0180】
いくつかの実施形態では、pは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の範囲である。いくつかの実施形態では、pは、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4または2~3の範囲である。他の実施形態では、pは、1、2、3、4、5または6である。いくつかの実施形態では、pは、2または4である。
【0181】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲート化合物は、以下の式を有する:
Ab-(Aa-Ww-Yy-D)p
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、ここで、
Abは、抗体単位、例えば、gy1またはPSMAbのような本発明の完全抗体またはその抗体フラグメントに由来する変異したバリアントであり、
-Aa-Ww-Yy-は、リンカー単位(LU)であり;
-A-は、伸張ユニットであり、
aは、0または1であり、
各-W-は、独立して、アミノ酸単位であり、
wは、0~12の整数であり、
-Y-は、自己犠牲スペーサ単位であり、
yは、0、1または2であり;
-Dは、標的細胞に対して細胞増殖抑制活性または細胞傷害活性を有する薬物ユニットであり;
pは、1~20の整数である。
【0182】
いくつかの実施形態では、aは0または1であり、wは0または1であり、yは0、1または2である。いくつかの実施形態では、aは0または1であり、wは0または1であり、yは0または1である。いくつかの実施形態では、pは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の範囲である。いくつかの実施形態では、pは、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4または2~3の範囲である。他の実施形態では、pは、1、2、3、4、5または6である。いくつかの実施形態では、pは、2または4である。いくつかの実施形態では、wがゼロでない場合、yは、1または2である。いくつかの実施形態では、wが1~12である場合、yは1または2である。いくつかの実施形態では、wは2~12であり、yは1または2である。いくつかの実施形態では、aは1であり、wおよびyは0である。
【0183】
複数の抗体を含む組成物では、薬物負荷量は、抗体当たりの薬物分子の平均数pで表される。薬物負荷は、抗体1個当たり1~20個の薬物(D)の範囲であり得る。コンジュゲート反応の準備における抗体あたりの薬物の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、およびHPLCなどの従来の手段によって特徴付けられ得る。pの観点からの抗体-薬物複合体の定量的分布も決定することができる。いくつかの例では、他の薬物が添加された抗体-薬物コンジュゲートからのpが特定の値である同種抗体-薬物コンジュゲートの分離、精製および特性決定は、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段によって達成されてもよい。例示的な実施形態では、pは、2~8である。
【0184】
抗体-薬物コンジュゲート化合物の生成は、当業者に公知の任意の技術によって達成することができる。簡潔に述べると、抗体-薬物コンジュゲート化合物は、抗体単位としてのgy1またはその突然変異型バリアント、抗体単位として本発明の完全抗体または抗体フラグメント、および場合によっては薬物と結合剤とを結合するリンカーを含む。好ましい実施形態では、抗体は、本明細書の他の箇所に記載されるように、gy1または点変異を有するそのバリアントに由来する抗体または抗体フラグメントである。結合剤への薬物および/またはリンカーの共有結合のために、多数の異なる反応が利用可能である。これは、多くは、結合剤のアミノ酸残基(例えば、抗体分子、リジンのアミン基を含む)、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基および芳香族アミノ酸の種々の部分の反応によって達成される。共有結合の最も一般的に使用される非特異的な方法の1つは、化合物のカルボキシ(またはアミノ)基を抗体のアミノ(またはカルボキシ)基に結合させるカルボジイミド反応である。さらに、化合物のアミノ基を抗体分子のアミノ基に結合するために、ジアルデヒドまたはイミドエステルのような二官能性薬剤が使用されている。結合剤への薬物の付着のためにも利用可能であるのは、シッフ塩基反応である。この方法は、グリコールまたはヒドロキシ基を含有する薬物の過ヨウ素酸酸化を含み、したがってアルデヒドを形成し、その後アルデヒドを結合剤と反応させる。付着は、結合剤のアミノ基を有するシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートは、薬物を結合剤に共有結合させるためのカップリング剤として使用することもできる。他の技術は当業者に知られており、本発明の範囲内である。
【0185】
特定の実施形態では、リンカーの前駆体である中間体を、適切な条件下で薬物と反応させる。特定の実施形態では、反応性基は、薬物および/または中間体に使用される。薬物と中間体または誘導体化薬物との間の反応の生成物は、適切な条件下で完全な抗体または抗体フラグメントに由来するgy1またはそのバリアントと引き続き反応する。
【0186】
PSMAターゲットCAR-TまたはCAR-NK
T細胞をB細胞悪性腫瘍などの癌細胞上の適切な細胞表面分子に向け直すことに依存するキメラ抗原受容体(CAR)修飾自己T細胞(CART)療法を使用する最近の開発は、免疫の力を利用して、B細胞性悪性腫瘍および他の癌を治療することができる有望な結果を示す(例えば、Sadelainら、Cancer Discovery 3:388-398(2013)を参照されたい)。マウス由来のCART19(すなわち、「CTL019」)の臨床結果は、CLLならびに小児ALLにおいて苦しんでいる患者において完全な寛解を確立することの有望性を示している(例えば、Kalosら、Sci Transl Med 3:95ra73 2011)、Porterら、NEJM 365:725-733(2011)、Gruppら、NEJM 368:1509-1518(2013))。遺伝的に改変されたT細胞上のキメラ抗原レセプターが標的細胞を認識して破壊する能力に加えて、成功する治療的T細胞療法は、時間の経過とともに増殖し、持続し、白血病細胞エスケープをさらにモニタリングする能力を有する必要がある。エネルギー、抑制または枯渇の結果であるかどうかにかかわらず、T細胞の可変性は、CAR形質転換T細胞の性能に影響を及ぼすが、熟練した実務者はこの時点で制御が制限される。効果的であるためには、CARで形質転換された患者のT細胞は、CARの抗原に応答して増殖する能力を持続し、維持する必要がある。全ての患者のT細胞は、ネズミscFvを含むCART19でこれを行うことができることが示されている(例えば、Gruppら、NEJM 368:1509-1518(2013)参照)。
【0187】
本発明は、操作されたT細胞をPSMA陽性腫瘍細胞に向け直して、認識させ、死滅させるキメラ抗原受容体(CAR)構築物に組み込まれたPMSAに結合する完全ヒト抗体フラグメント(例えば、scFv)を提供することによって、患者の免疫応答を制御することに取り組む。
【0188】
したがって、一態様では、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離された核酸分子に関し、CARは、PSMA結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む抗体または抗体フラグメントを含む例えば共刺激ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。一実施形態では、CARは、本明細書に記載の完全ヒト抗PSMA結合ドメイン、本明細書に記載の膜貫通ドメイン、および本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、補助刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメイン)を含む。
【0189】
一実施形態では、コードされたヒト抗PSMA結合ドメインは、本明細書に記載の完全ヒト抗PSMA結合ドメインの1つまたは複数の(例えば3つ全ての)軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)、および/または完全ヒト抗PSMA結合ドメインの1つ以上(例えば、3つ全て)の重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)を含み、例えば1つまたは複数の、例えば3つのLC CDRおよび/または1つまたは複数の、例えば3つ全てのHC CDRを含む完全ヒト抗PSMA結合ドメインを含む。一実施形態では、コードされた軽鎖可変領域は、本明細書に記載された1つ、2つ、3つ、または4つ全てのフレームワーク領域を含む。一実施形態では、コードされた重鎖可変領域は、以下に記載された1つ、2つ、3つ、または4つ全てのフレームワーク領域を含む。一実施形態では、コードされた完全ヒト抗PSMA結合ドメインは、以下に記載されるヒト軽鎖可変領域および/または以下に記載されるヒト重鎖可変領域を含む。一実施形態では、コードされた抗PSMA結合ドメインは、以下に記載されるアミノ酸配列の軽鎖および重鎖を含むscFvである。一実施形態では、抗PSMA結合ドメイン(例えば、scFv)は、以下に提供される軽鎖可変領域のアミノ酸配列、または以下に記載されるアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列の少なくとも1つ、2つまたは3つの修飾(例えば、置換)を有するが30、20または10個以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および/または以下に提供される重鎖可変領域のアミノ酸配列、または以下に記載されるアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列の少なくとも1つ、2つまたは3つの修飾(例えば、置換)を有するが、30,20または10個以下の改変(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施形態では、コードされたヒト抗PSMA結合ドメインは、以下に記載される配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態では、ヒト抗PSMA結合ドメインをコードする核酸配列は、以下に記載される配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態では、コードされたヒト抗PSMA結合ドメインはscFvであり、軽鎖可変領域はリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーを介して重鎖可変領域に結合される。一実施形態では、コードされたヒト抗PSMA結合ドメインは、(Gly4-Ser)nリンカーを含み、ここでnは1,2,3,4,5または6であり、好ましくは3または4である。別の実施形態では、コードされたヒト抗PSMA結合ドメインは、配列番号37に記載のリンカー配列を含む。scFvの軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、例えば、軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域または重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域のいずれかの方向であり得る。
【0190】
特定の実施形態では、抗PSMA結合ドメインは、本明細書の他の場所に記載される抗体または抗体フラグメントを含む。例えば、ある実施形態では、抗PSMA結合ドメインは、本明細書の他の箇所に記載されるように、gy1、gy1-st、gy1-2、gy1-3またはPSMAbを含む。
【0191】
例えば、特定の実施形態では、抗PSMA結合ドメインは、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号68および配列番号69のうち1つ以上を含む。
【0192】
例えば、特定の実施形態では、抗PSMA結合ドメインは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64および配列番号66の1つ以上のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0193】
一実施形態では、コードされた膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD27、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。一実施形態では、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号75のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、コードされた膜貫通ドメインは、配列番号75、または配列番号75のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列の少なくとも1,2または3個の修飾(例えば、置換)を有するが、20,10または5個以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、膜貫通ドメインをコードする核酸配列は、配列番号74の配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。
【0194】
一実施形態では、コードされた抗PSMA結合ドメインは、ヒンジ領域、例えば本明細書に記載のヒンジ領域によって膜貫通ドメインに連結される。一実施形態では、コードされるヒンジ領域は、配列番号73のアミノ酸配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態では、ヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号72の配列、またはその95~99%を識別する配列を含む。
【0195】
一実施形態では、核酸分子は、補助刺激ドメインをコードする配列をさらに含む。一実施形態では、共刺激ドメインは、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質から得られる機能性シグナル伝達ドメインである。一実施形態では、コードされた共刺激ドメインは、配列番号77の配列を含む。一実施形態では、コードされた共刺激ドメインは、配列番号77のアミノ酸配列または配列番号77のアミノ酸配列に対して95~99%の同一性を有する配列の少なくとも1,2または3個の修飾(例えば、置換)を有するが、20,10または5個以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号76の配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態では、単離された核酸分子は、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする配列をさらに含む。一実施形態では、コードされる細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能性シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能性シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態では、コードされた機能的CD3ゼータ細胞内シグナルドメインは、配列番号79の配列を含む。一実施形態では、コードされた共刺激ドメインは、配列番号79のアミノ酸配列または配列番号79のアミノ酸配列に対して95~99%の同一性を有する配列の少なくとも1、2または3個の修飾(例えば、置換)を有するが、20、10または5個以下の修飾(例えば、置換)を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号78の配列、またはその95~99%の同一性を有する配列を含む。別の実施形態では、CAR共構造は、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)からなる群から選択される2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含んでいてもよい。
【0196】
別の態様では、本発明は、リーダー配列、例えば本明細書中に記載されるリーダー配列、例えば配列番号71のリーダー配列を含むCAR構築物をコードする核酸分子;本明細書に記載のヒト抗PSMA結合ドメイン、例えば、本明細書に記載のLC CDR1、LC CDR2、LC CDR3、HC CDR1、HC CDR2およびHC CDR3を含むヒト抗PSMA結合ドメイン、例えば、ヒト配列番号1から配列番号69までに列挙された配列を有する抗PSMA結合ドメイン、またはそれらの95~99%の同定を有する配列;例えば配列番号73の本明細書に記載のヒンジ領域;本明細書に記載の膜貫通ドメイン、例えば、配列番号75を含む膜貫通ドメイン;および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態では、コードされた細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメイン、例えば本明細書に記載された共刺激ドメイン、例えば配列番号77の配列を有する4-1BB共刺激ドメイン、および/または一次シグナル伝達ドメイン、本明細書に記載の一次シグナル伝達ドメイン、例えば、配列番号79の配列を有するCD3ゼータ刺激ドメインを含む。一実施形態では、CAR構築物をコードする単離された核酸分子は、配列番号71の核酸配列によってコードされるリーダー配列、またはそれに対して95~99%の同一性を有する配列を含む。
【0197】
別の実施形態では、CARは、配列番号81のアミノ酸配列、またはそれに対して95~99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態では、CARは、配列番号80またはそれと95~99%の同一性を有する配列を含むヌクレオチド配列によってコードされる。
【0198】
本発明は、本明細書に記載のCARをコードする本発明の核酸配列を発現する単離された宿主細胞を提供する。一実施形態では、宿主細胞はT細胞である。本発明のT細胞は、培養T細胞、例えば、初代T細胞、または培養T細胞株由来のT細胞、または哺乳動物から得たT細胞など、任意のT細胞であってもよい。哺乳動物から得られた場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織もしくは体液を含むがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。T細胞は濃縮されていても精製されていてもよい。T細胞は、好ましくはヒトT細胞(例えば、ヒトから単離されたもの)である。T細胞は、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞(例えば、Th)およびTh2細胞、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤細胞、記憶T細胞、ナイーブT細胞などが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞またはCD4+T細胞である。T細胞株は、例えば、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)およびGerman Collection of Microorganisms and Cell Culture(DSMZ)から入手可能であり、例えばJurkat細胞(ATCC TIB-152)、Sup-Tl細胞(ATCC CRL-1942)、RPMI 8402細胞(DSMZ ACC-290)、カルパス(Karpas)45細胞(DSMZ ACC-545)およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0199】
別の実施形態では、宿主細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、自然免疫系において役割を果たす細胞傷害性リンパ球の一種である。NK細胞は、大きな顆粒リンパ球として定義され、Bリンパ球およびTリンパ球をも生じる共通のリンパ球前駆細胞から分化した第3の種類の細胞を構成する(例えば、Immunobiology、5th ed、Janewayら、編、Garland Publishing、New York、NY(2001))。NK細胞は、骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃腺、および胸腺において分化および成熟する。成熟後、NK細胞は、特有の細胞傷害性顆粒を有する大きなリンパ球として循環に入る。NK細胞は、例えば、いくつかの腫瘍細胞およびウイルス感染細胞などのいくつかの異常な細胞を認識して死滅させることができ、細胞内病原体に対する本来の免疫防御に重要であると考えられている。T細胞に関して上述したように、NK細胞は、培養されたNK細胞、例えば、初代NK細胞、または培養されたNK細胞株由来のNK細胞、または哺乳動物から得られるNK細胞など、任意のNK細胞であってもよい。哺乳動物から得られた場合、NK細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、または他の組織もしくは体液を含むがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。NK細胞は濃縮されていても精製されていてもよい。NK細胞は、好ましくはヒトNK細胞(例えば、ヒトから単離されたもの)である。NK細胞株は、例えば、NK-92細胞(ATCC CRL-2407)、NK92MI細胞(ATCC CRL-2408)およびそれらの誘導体を含むAmerican Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から入手可能である。
【0200】
別の態様では、本発明は、CAR発現細胞、例えばCART細胞の集団を提供する。いくつかの実施形態では、CAR発現細胞の集団は、異なるCARを発現する細胞の混合物を含む。例えば、一実施形態では、CART細胞の集団は、本明細書に記載の抗PSMA結合ドメインを有するCARを発現する第1の細胞と、異なる抗PSMA結合ドメインを有するCARを発現する第2の細胞、例えば、第1の細胞によって発現されるCARにおける抗PSMA結合ドメインとは異なる、本明細書に記載のPSMA結合ドメインとを含んでいてもよい。別の例として、CAR発現細胞の集団は、例えば本明細書に記載のような抗PSMA結合ドメインを含むCARを発現する第1の細胞、およびPSMA以外の標的(例えば、PSCA)に対する抗原結合ドメインを含むCARを発現する第2の細胞を含むことができる。一実施形態では、CAR発現細胞の集団は、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第1細胞と、二次シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第2細胞を含む。
【0201】
別の態様では、本発明は、集団中の少なくとも1つの細胞が、本明細書に記載の抗PSMAドメインを有するCARおよび別の薬剤を発現する第2細胞、例えば、CAR発現細胞を含む。例えば、一実施形態では、薬剤は、阻害性分子を阻害する薬剤であり得る。阻害性分子は、例えば、いくつかの実施形態では、免疫エフェクター応答を賦与するCAR発現細胞の能力を低下させることができる。阻害性分子の例には、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRβが含まれる。一実施形態では、阻害分子を阻害する薬剤は、細胞に陽性シグナルを提供する第2のポリペプチド(例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン)に関連する第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む。一実施形態では、薬剤は、PD1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160,2B4およびTGFRベータなどの阻害性分子、またはこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの細胞外ドメインの1つ)である第1のポリペプチド、および本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の41BB、CD27またはCD28)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)である第2のポリペプチドを含む。一実施形態では、薬剤は、PD1の第1のポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部)および本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインの第2のポリペプチド(例えば、記載のCD28シグナル伝達ドメインおよび/または本明細書に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む。
【0202】
本発明はまた、本明細書に記載の1つ以上のCAR構築物をコードする核酸分子を提供する。一態様では、核酸分子はメッセンジャーRNA転写物として提供される。一態様では、核酸分子はDNA構築物として提供される。
【0203】
所望の分子をコードする核酸配列は、例えば遺伝子を発現する細胞からライブラリーをスクリーニングすること、それを含むことが知られているベクターから遺伝子を誘導すること、標準的な技術を使用して、それを含有する細胞および組織から直接単離することによって、得ることができる。あるいは、目的の遺伝子をクローン化するのではなく、合成的に作製することができる。
【0204】
また、本発明は、本発明のDNAが挿入されたベクターを提供する。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、導入遺伝子の長期間の安定した組み込みおよび娘細胞へのその伝播を可能にするので、長期間の遺伝子導入を達成するのに適したツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入することができるという点で、マウス白血病ウイルスのようなオンコレトロウイルス由来のベクターよりも付加的な利点を有する。それらはまた、低い免疫原性の付加的利点を有する。
【0205】
別の実施形態では、本発明の所望のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。別の実施形態では、CARをコードする核酸の発現は、睡眠の美容、クリスピー、CAS9およびジンクフィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを使用して達成することができる。以下、本明細書に参考として組み込まれる、Juneら、2009 Nature Reviews Immunology 9.10:704-716を参照のこと。
【0206】
要約すると、CARをコードする天然または合成の核酸の発現は、典型的には、CARポリペプチドまたはその一部をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結し、その構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。このベクターは、真核生物の複製および組込みに適している可能性がある。典型的なクローニングベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、および所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含む。
【0207】
本発明の発現構築物はまた、標準的な遺伝子送達プロトコルを用いて、核酸免疫化および遺伝子治療のために使用され得る。遺伝子送達のための方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号に記載されており、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。別の実施形態では、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
【0208】
核酸は、多くの種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルスおよびコスミドを含むが、これらに限定されないベクターにクローニングすることができる。特に関心のあるベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクターおよび配列決定ベクターが含まれる。
【0209】
さらに、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供されてもよい。ウイルスベクター技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら、2012、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、1-4巻、Cold Spring Harbor Press、NY)および他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載される。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されない。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物体において機能する複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択可能なマーカーを含む(例えば、WO 01/96584号;WO 01/29058号;および米国特許第6,326,193号)。
【0210】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のための多くのウイルス系システムが開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達システムのための便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、ベクターに挿入され、当該分野で公知の技術を用いてレトロウイルス粒子中にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスを単離し、in vivoまたはex vivoのいずれかで被験体の細胞に送達することができる。多くのレトロウイルス系が当該分野で公知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。多くのアデノウイルスベクターが当該分野で公知である。一実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。
【0211】
さらなるプロモーターエレメント、例えばエンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位の下流に機能的エレメントを含むように数多くのプロモーターが示されているが、開始部位の上流30~110bpの領域に位置する。プロモーター要素間の間隔はしばしば柔軟であり、その結果、要素が互いに逆転したり動いたりすると、プロモーター機能が維持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーターエレメント間の間隔は、活性が低下し始める前に50bp離れて増加することができる。プロモーターに依存して、個々の要素は、転写を活性化するために協同的にまたは独立して機能することができるようである。
【0212】
哺乳動物T細胞においてCARトランス遺伝子を発現することができるプロモーターの例は、EF1aプロモーターである。天然のEF1aプロモーターは、リボソームへのアミノアシルtRNAの酵素送達の原因となる伸長因子-1複合体のアルファサブユニットの発現を促進する。EF1aプロモーターは、哺乳動物発現プラスミドに広く用いられており、レンチウイルスベクターにクローニングされたトランス遺伝子からのCAR発現を促進するのに有効であることが示されている。例えば、Miloneら、Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)を参照。一態様では、EF1aプロモーターは、配列番号100として提供される配列を含む。
【0213】
プロモーターの別の例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。しかし、他の構成的プロモーター配列、例えば、限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVエプスタイン-バーウイルス即時型早期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子-1aプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターが挙げられるが、これに限定されるものではないヒト遺伝子プロモーターも使用されうる。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターもまた、本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、そのような発現が所望される場合に作動可能に連結されるポリヌクレオチド配列の発現をオンにすることができる分子スイッチ、または発現が望ましくない場合に発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例には、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
CARポリペプチドまたはそのタンパク質の発現を評価するために、細胞に導入される発現ベクターは、ウイルスベクターを介してトランスフェクションまたは感染しようとした細胞集団からの発現細胞の同定および選択を容易にするための選択マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子のいずれかまたは両方を含むこともできる。他の態様では、選択マーカーを別個のDNAフラグメント上に保持し、共トランスフェクション手順に用いることができる。選択可能なマーカーおよびレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にするために、適切な調節配列に隣接していてもよい。有用な選択マーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
【0215】
レポーター遺伝子は、潜在的にトランスフェクトされた細胞を同定するため、および調節配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物または組織に存在しないか、またはレシピエント生物または組織によって発現されない遺伝子であり、その発現が、いくつかの容易に検出可能な性質、例えば酵素活性によって明らかになるポリペプチドをコードする。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の適切な時点でアッセイされる。適切なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリホスファターゼまたは緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含むことができる(例えば、Ui-Teiら、2000 FEBS Letters 479:79-82)。適切な発現系は周知であり、公知の技術を用いて調製するか、または商業的に入手することができる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小5’フランキング領域を有する構築物がプロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動転写を調節する能力について薬剤を評価するために使用され得る。
【0216】
遺伝子を細胞に導入し発現させる方法は、当技術分野で公知である。発現ベクターとの関連で、ベクターは宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母または昆虫細胞に当該分野の任意の方法によって容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的または生物学的手段によって宿主細胞に移入することができる。
【0217】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが含まれる。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を産生するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrookら、2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1-4,Cold Spring Harbor Press,NY)を参照のこと。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
【0218】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法には、DNAおよびRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照のこと。
【0219】
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段には、巨大分子複合体、ナノカプセル、微小球、ビーズ、および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質系システムなどのコロイド分散系が含まれる。in vitroおよびin vivoでの送達媒体として使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的ナノ粒子または他の適切なサブミクロンサイズの送達系を用いたポリヌクレオチドの送達のような、核酸の最先端の標的送達の他の方法が利用可能である。
【0220】
非ウイルス送達システムが利用される場合、送達ビヒクルの例はリポソームである。核酸の宿主細胞への導入(in vitro、ex vivoまたはin vivo)のために、脂質製剤の使用が企図されている。別の態様では、核酸は脂質と会合していてもよい。脂質と会合した核酸は、リポソームの脂質二重層内に点在するリポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に会合した連結分子を介してリポソームに結合され、リポソームに捕捉されるリポソームと複合体化し、脂質を含む溶液に分散させ、脂質と混合し、脂質と組合せ、脂質中の懸濁液として含有し、ミセルに含有または複合化した、またはそうでなければ脂質と会合する。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二層構造、ミセル、または「崩壊」構造で存在し得る。それらは単に溶液中に散在していてもよく、サイズまたは形状が一様でない凝集物を形成する可能性がある。脂質は、天然または合成の脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質には、細胞質に天然に存在する脂肪滴、ならびに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコールおよびアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体を含む化合物のクラスが含まれる。
【0221】
使用に適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)はSigma、St.Louis、MOから得ることができる。ジセチルリン酸(「DCP」)はK&Kラボラトリーズ(Plainview、NY)から得ることができる。コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから得ることができる。ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids、Inc. (バーミンガム、アラバマ州)から得ることができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムはメタノールよりも容易に蒸発するので、唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、密閉された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される多様な単層および多重層脂質媒体を包含する一般用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を有する小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。多重層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。リン脂質を過剰の水溶液中に懸濁させると、それらは自然に形成される。脂質成分は、閉鎖構造の形成前に自己再構成を受け、脂質二重層の間に水および溶質を閉じ込める(Ghoshら、1991 Glycobiology 5:505-10)。しかしながら、通常の小胞構造とは異なる構造を溶液中で有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとることができ、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在することができる。また、リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0222】
外因性核酸を宿主細胞に導入するか、または本発明の阻害剤に細胞を曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞における組換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが実施され得る。このようなアッセイには、例えば、サザンおよびノザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRのような当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISAおよびウェスタンブロット)または本発明の範囲内にある薬剤を同定するための本明細書に記載のアッセイによって、特定のペプチドの存在または非存在を検出するなどの「生化学」アッセイが含まれる。
【0223】
本発明は、CARをコードする核酸分子を含むベクターをさらに提供する。一態様では、CARベクターは、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に直接的に形質導入され得る。一態様では、ベクターは、クローニングまたは発現ベクター、例えば、限定されないが、1つまたは複数のプラスミド(例えば、発現プラスミド、クローニングベクター、ミニサークル、ミニベクター、2分染色体)、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクター構築物を含むベクターである。一態様では、ベクターは、哺乳動物T細胞においてCAR構築物を発現することができる。一態様では、哺乳動物T細胞は、ヒトT細胞である。
【0224】
T細胞の供給源
拡大および遺伝子改変の前に、T細胞の供給源が被験体から得られる。用語「被験体」は、免疫応答が誘発され得る生物(例えば、哺乳動物)を含むことを意図する。被験体の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が含まれる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む多くの供給源から得ることができる。本発明の特定の態様では、当技術分野で利用可能な任意の数のT細胞株を使用することができる。本発明の特定の態様において、T細胞は、Ficoll(商標)分離のような、当業者に公知の任意の数の技術を使用して、被験体から採取された血液の単位から得ることができる。1つの好ましい態様では、個体の循環血液由来の細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス生成物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および血小板を含むリンパ球を含有する。一態様では、アフェレーシスによって収集された細胞を洗浄して、血漿画分を除去し、その後の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れることができる。本発明の一態様では、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。別の態様では、洗浄溶液はカルシウムを欠いており、マグネシウムを欠いていてもよく、または全てではないにしても多くの二価陽イオンを欠いていてもよい。カルシウムの不在下での最初の活性化工程は、活性化を拡大させる可能性がある。当業者であれば容易に理解されるように、洗浄工程は、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー、Baxter CytoMate、またはHaemonetics Cell Saver 5)を用いて、製造元の指示に従って行った。洗浄後、細胞は、種々の生体適合性緩衝液、例えば、Ca非含有、Mg非含有PBS、PlasmaLyte A、または緩衝液を含むまたは含まない他の生理食塩水などに再懸濁することができる。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁することができる。
【0225】
一態様では、T細胞は、赤血球を溶解し、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離または向流遠心分離による単球の枯渇により末梢血リンパ球から単離される。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+およびCD45RO+T細胞のようなT細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離することができる。例えば、一態様では、T細胞を単離するのに十分な時間所望のT細胞の陽性選択のために、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3×28)共役ビーズとのインキュベーションにより単離される。一態様では、時間は約30分である。さらなる態様では、時間は、30分~36時間またはそれ以上の範囲であり、その間の全ての整数値である。さらなる態様では、時間は、少なくとも1、2、3、4、5または6時間である。さらに別の好ましい態様では、時間は10~24時間である。一態様では、インキュベーション時間は24時間である。腫瘍組織または免疫無防備状態の個体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する場合など、他の細胞タイプと比較してT細胞が少ない任意の状況において、より長いインキュベーション時間を用いてT細胞を単離することができる。さらに、より長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕捉効率を増加させる可能性がある。したがって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させる時間を単純に短縮または延長することにより、および/またはT細胞に対するビーズの比を増加または減少させることにより(T細胞の亜集団を優先的に選択することができる)培養開始時またはプロセス中の他の時点で、またはその逆に投与することができる。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比率を増加または減少させることによって、T細胞の亜集団を、培養開始時または他の所望の時点で優先的に選択することができる。当業者であれば、本発明の文脈において複数回の選択を用いることもできることを認識するであろう。特定の態様では、選択手順を実行し、活性化および拡張プロセスにおいて「選択されていない」細胞を使用することが望ましい場合がある。「選択されていない」細胞は、さらなる回の選択を受けることもできる。
【0226】
陰性選択によるT細胞集団の富化は、陰性選択細胞に特有の表面マーカーに向けられた抗体の組合せによって達成することができる。1つの方法は、負に選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに向けられたモノクローナル抗体のカクテルを用いる負の磁気免疫接着またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。例えば、陰性選択によるCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。特定の態様では、典型的にはCD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、およびFoxP3+を発現する制御性T細胞を豊富にするか、または積極的に選択することが望ましい場合がある。あるいは、ある態様では、T制御細胞は、抗C25結合ビーズまたは他の同様の選択方法によって枯渇される。
【0227】
一実施形態では、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムB、およびパーフォリン、または他の適切な分子、例えば他のサイトカインのうちの1つ以上を発現するT細胞集団を選択することができる。細胞発現をスクリーニングする方法は、例えば、PCT公開番号:WO 2013/126712に記載された方法によって決定することができる。
【0228】
陽性または陰性選択による所望の細胞集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズのような粒子)の濃度を変えることができる。特定の態様では、細胞およびビーズの最大限の接触を確実にするために、ビーズおよび細胞が一緒に混合される(例えば、細胞の濃度を増加させる)体積を有意に減少させることが望ましい場合がある。例えば、一態様では、20億個の細胞/mlの濃度が使用される。一態様では、10億個の細胞/mlの濃度が使用される。さらなる態様では、1億個の細胞/mlを超える細胞が使用される。さらなる態様では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万個の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらに一態様では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億個の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様において、1億2500万個または1億5000万個の細胞/mlの濃度が使用され得る。高濃度を使用すると、細胞収量、細胞活性化、および細胞拡張が増加する可能性がある。さらに、高い細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞、または腫瘍細胞が多数存在するサンプル(例えば、白血病の血液、腫瘍組織など)をより効率的に捕捉することを可能にする。そのような細胞の集団は、治療上の価値を有する場合があり、そして得るのが望ましいであろう。例えば、高濃度の細胞を使用することにより、通常より弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択が可能になる。
【0229】
関連する態様では、より低い濃度の細胞を使用することが望ましい場合がある。T細胞および表面の混合物(例えば、ビーズなどの粒子)を有意に希釈することによって、粒子と細胞との間の相互作用が最小限に抑えられる。これは、粒子に結合する所望の抗原を大量に発現する細胞を選択する。例えば、CD4+T細胞は、より高いレベルのCD28を発現し、CD8+T細胞よりも希薄濃度でより効率的に捕捉される。一態様では、使用される細胞の濃度は5×10e6/mlである。他の態様において、使用される濃度は、約1×105/ml~1×106/ml、およびその間の任意の整数値であり得る。
【0230】
他の態様において、細胞は、2~10℃または室温で様々な速度で様々な時間長のローテーター上でインキュベートすることができる。
【0231】
刺激のためのT細胞はまた、洗浄工程後に凍結され得る。理論に拘束されないことを望むが、凍結およびその後の解凍工程は、顆粒球およびある程度は細胞集団の単球を除去することにより、より均一な生成物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程の後、細胞を凍結溶液中に懸濁させることができる。多くの凍結溶液およびパラメータが当該分野で公知であり、この状況において有用であるが、一方の方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含むPBS、または10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSO、または31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン、および7.5%DMSOまたは他の適切な細胞凍結培地、例えばHespanおよびPlasmaLyte Aを含有する場合、細胞を1℃/分の速度で-80℃まで凍結させ、液体窒素貯蔵タンクの気相中に保存する。他の凍結方法を使用してもよく、-20℃または液体窒素中で制御されずに直ちに凍結される方法を用いてもよい。
【0232】
特定の態様では、凍結保存された細胞を解凍し、本明細書に記載のように洗浄し、室温で1時間静置してから本発明の方法を用いて活性化させる。
【0233】
本明細書に記載されているような拡張された細胞が必要とされる前の時間における被験体由来の血液サンプルまたはアフェレーシス産物の採集も本発明の文脈において企図される。このように、増殖させる細胞の供給源は、必要な任意の時点で収集することができ、T細胞などの所望の細胞は、例えば本明細書に記載されるものを含むT細胞療法から利益を得るいくつかの疾患または状態のためのT細胞療法での後の使用のために単離され、凍結されることができる。一態様では、血液サンプルまたはアフェレーシスは、一般に健康な被験体から採取される。特定の態様では、血液サンプルまたはアフェレーシスは、疾患を発症する危険性があるが、まだ疾患を発症していない一般に健康な被験体から採取され、その後の使用のために目的の細胞が単離され、凍結される。特定の態様では、T細胞は、後に拡大され、凍結され、使用され得る。特定の態様では、本明細書に記載される特定の疾患の診断直後であるが、いずれかの治療の前に、患者からサンプルを収集する。さらなる態様では、細胞は、任意の数の関連する治療様式の前に被験体からの血液サンプルまたはアフェレーシスから単離され、治療様式には、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、免疫抑制剤などの薬剤、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノラート、およびFK506などの免疫抑制剤、抗体、またはCAMPATH、抗CD3抗体、サイトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228および照射のような他の免疫抑制剤による治療を含むがこれらに限定されない。
【0234】
本発明のさらなる態様では、T細胞は、被験体に機能性T細胞を残す治療の直後の患者から得られる。これに関して、ある種の癌治療、特に患者が通常治療から回復している期間の治療の直後に、免疫系に損傷を与える薬物による治療後、得られるT細胞の質は最適であり得るまたはex vivoで増殖する能力が改善され得る。同様に、本明細書に記載の方法を用いたex vivo操作後、これらの細胞は、生着の増強およびin vivo拡大のための好ましい状態であり得る。したがって、本発明の文脈内では、この回復期の間に、T細胞、樹状細胞、または造血系統の他の細胞を含む血液細胞を収集することが企図される。さらに、特定の態様では、動員(mobilization)(例えば、GM-CSFを用いた動員)およびコンディショニングレジメンを使用して、再集合、再循環、再生および/または特定の細胞型の拡大が好ましい治療後の定義された時間枠を作成することができる。例示的な細胞種には、T細胞、B細胞、樹状細胞、および免疫系の他の細胞が含まれる。
【0235】
T細胞の活性化と拡大
T細胞は、一般に、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041;および米国特許出願公開第20060121005号に記載されている。
【0236】
一般に、本発明のT細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤と、T細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドとを接触させることによって増殖させることができる。特に、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメント、または表面に固定化された抗CD2抗体との接触、またはプロテインキナーゼC活性化剤と(例えば、ブリオスタチン)をカルシウムイオノフォアと組合せとの接触によるなど、本明細書に記載されるように刺激され得る。T細胞の表面上の補助分子の共刺激のために、補助分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の増殖を刺激するために適切な条件下で、T細胞の集団を抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。CD4+T細胞またはCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するための、抗CD3抗体および抗CD28抗体。抗CD28抗体の例としては、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone、ブザンソン、フランス)が挙げられ、これを、当該技術分野で一般的に知られている他の方法として使用することができる(Bergら、Transplant Proc.30(8):3975-3977,1998;Haanenら、J.Exp.Med.190(9):13191328,1999;Garlandら、J.Immunol.Meth.227(1-2):53-63,1999)。
【0237】
特定の態様では、一次刺激シグナルおよびT細胞の共刺激シグナルは、異なるプロトコルによって提供され得る。例えば、各シグナルを提供する薬剤は、溶液中に存在していてもよいし、表面に結合していてもよい。表面に結合される場合、薬剤は同じ表面に(すなわち、「シス」形成において)または分離された表面で(すなわち、「トランス」形成において)結合され得る。あるいは、一方の薬剤を表面に結合させ、他方の薬剤を溶液に結合させることができる。一態様では、共刺激シグナルを提供する薬剤は細胞表面に結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤は溶液または表面に結合される。特定の態様では、両方の薬剤を溶液状態にすることができる。1つの態様において、薬剤は可溶性形態であり得、次いで、Fc受容体を発現する細胞または薬剤に結合する抗体または他の結合剤などの表面に架橋され得る。この観点で、例えば、本発明においてT細胞を活性化し、増殖させる際に使用することが企図されている人工抗原提示細胞(aAPC)について、米国特許出願公開第20040101519号および第20060034810号を参照のこと。
【0238】
一態様では、2つの薬剤は、同じビーズに、すなわち「シス」で、または別個のビーズに、すなわち「トランス」で、ビーズ上に固定化される。一例として、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントであり、共刺激シグナルを提供する薬剤は、抗CD28抗体またはその抗原結合フラグメントであり、両方の薬剤が同等の分子量で同じビーズに共固定化される。一態様では、CD4+T細胞増殖およびT細胞増殖のためにビーズに結合した各抗体の1:1の比が使用される。本発明の特定の態様において、ビーズに結合した抗CD3:CD28抗体の比は、1:1の比を用いて観察された増殖と比較してT細胞増殖の増加が観察されるように使用される。1つの特定の態様では、1:1の比を用いて観察された膨張と比較して、約1~約3倍の増加が観察される。一態様では、ビーズに結合したCD3:CD28抗体の比は、100:1~1:100の範囲であり、その間の全ての整数値である。本発明の一態様では、より多くの抗CD28抗体が抗CD3抗体よりも粒子に結合しており、すなわちCD3:CD28の比が1未満である。本発明の特定の態様では、ビーズに結合した抗CD28抗体と抗CD3抗体の比は2:1より大きい。一態様では、ビーズに結合した抗体の1:100のCD3:CD28比が使用される。一態様では、ビーズに結合した抗体の1:75のCD3:CD28比が使用される。さらなる態様では、ビーズに結合した抗体の1:50のCD3:CD28比が使用される。一態様では、ビーズに結合した抗体の1:30CD3:CD28比が使用される。1つの好ましい態様では、ビーズに結合した抗体の1:10のCD3:CD28比が使用される。一態様では、ビーズに結合した抗体の1:3のCD3:CD28比が使用される。さらに一つの態様では、ビーズに結合した抗体の3:1のCD3:CD28比が使用される。
【0239】
細胞に対する粒子の1:500~500:1の比およびその間の任意の整数値を用いて、T細胞または他の標的細胞を刺激することができる。当業者であれば容易に理解できるように、細胞に対する粒子の比は、標的細胞に対する粒子の大きさに依存し得る。例えば、小さなビーズは数個の細胞にしか結合できず、大きなビーズは多くの細胞に結合することができる。特定の態様では、細胞対粒子の比は1:100~100:1の範囲内であり、さらなる態様では、比は1:9~9:1を含み、その間の任意の整数値を含み、T細胞を刺激するために使用することもできる。T細胞刺激を引き起こすT細胞に対する抗CD3および抗CD28に結合した粒子の比率は、上述のように様々であってもよいが、特定の好ましい値としては、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1および15:1が挙げられ、1つの好ましい比率は、T細胞あたり少なくとも1:1の粒子比率である。一態様では、細胞に対する粒子の比が1:1以下である。1つの特定の態様では、好ましい粒子:細胞比は1:5である。さらなる態様において、細胞に対する粒子の比は、刺激の日に応じて変化させることができる。例えば、1つの態様において、細胞に対する粒子の比は、最初の日に1:1から10:1であり、そして追加の粒子は、最終比で、毎日またはその後1日おきに最大10日間、細胞に添加される1:1~1:10(添加日の細胞数に基づく)である。1つの特定の態様では、細胞に対する粒子の比は、刺激の第1日に1:1であり、刺激の第3日および第5日に1:5に調節される。一態様では、粒子は、1日目に1:1、刺激の3日目および5日目に1:5の最終比まで毎日または1日おきに添加される。一態様では、細胞に対する粒子の比は、刺激の第1日に2:1であり、刺激の第3および第5日に1:10に調節される。一態様では、粒子は、1日目に1:1、刺激の3日目および5日目に1:10の最終比まで毎日または1日おきに添加される。当業者は、様々な他の比が本発明での使用に適していることを理解するであろう。特に、比は、粒径および細胞の大きさおよび種類に依存して変化する。1つの態様では、使用のための最も典型的な比は、最初の日に1:1、2:1および3:1の近傍にある。
【0240】
本発明のさらなる態様において、T細胞などの細胞を薬剤被覆ビーズと組み合わせ、続いてビーズおよび細胞を分離し、次いで細胞を培養する。別の態様では、培養の前に、薬剤でコーティングされたビーズおよび細胞は分離されずに一緒に培養される。さらなる態様では、ビーズおよび細胞は、磁力のような力の適用によって最初に濃縮され、細胞表面マーカーのライゲーションが増加し、それによって細胞刺激が誘導される。
【0241】
一例として、細胞表面タンパク質は、抗CD3および抗CD28が結合した常磁性ビーズ(3×28ビーズ)をT細胞と接触させることによって連結され得る。一態様では、細胞(例えば、104~109T細胞)およびビーズ(例えば、1:1の比のDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ)を緩衝液、例えばPBSカルシウムおよびマグネシウムのような二価カチオンを含まない)と合わせる。再度、当業者は、任意の細胞濃度を使用することができることを容易に理解することができる。例えば、標的細胞は、サンプル中で非常にまれであり、サンプルの0.01%のみを含むか、または試料全体(すなわち、100%)が目的の標的細胞を含み得る。したがって、任意の細胞数は、本発明の文脈内にある。特定の態様では、細胞と粒子の最大限の接触を確実にするために、粒子および細胞が一緒に混合される(すなわち、細胞の濃度を増加させる)体積を有意に減少させることが望ましい場合がある。例えば、一態様では、約20億個の細胞/mlの濃度が使用される。一態様では、1億個の細胞/mlを超える細胞が使用される。さらなる態様では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらに一態様では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億個の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様において、1億2500万個または1億5000万個の細胞/mlの濃度が使用され得る。高濃度を使用すると、細胞収量、細胞活性化、および細胞拡張が増加する可能性がある。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞のような目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞のより効率的な捕捉を可能にする。そのような細胞の集団は、治療上の価値を有し得、特定の態様において得ることが望ましいであろう。例えば、高濃度の細胞を使用することにより、通常より弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択が可能になる。
【0242】
本発明の1つの態様において、混合物は、数時間(約3時間)~約14日間またはその間の任意の時間単位の整数値で培養され得る。一態様では、混合物を21日間培養することができる。本発明の一態様では、ビーズおよびT細胞を約8日間一緒に培養する。一態様では、ビーズおよびT細胞を2~3日間一緒に培養する。T細胞の培養時間が60日以上になるように、いくつかのサイクルの刺激もまた望まれ得る。T細胞培養に適切な条件には、血清(例えば、ウシ胎仔またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβおよびTNF-αまたは任意のもの(例えば、当業者に公知の細胞の成長のための他の添加剤を含みうる適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX-vivo 15(Lonza))が含まれる。細胞増殖のための他の添加剤には、界面活性剤、プラスマネート、およびN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤が含まれるが、これらに限定されない。培地には、添加アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンを含むRPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15およびX-Vivo 20、Optimizerを含むことができ、T細胞の成長および増殖に十分な量の血清(または血漿)または所定のホルモンセットおよび/またはサイトカインの量を補充することができる。ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質は、被験体に注入される細胞の培養物ではなく、実験的培養物にのみ含まれる。標的細胞は、例えば適切な温度(例えば、37℃)および大気(例えば、空気+5%CO2)などの増殖を支持するのに必要な条件下で維持される。
【0243】
様々な刺激時間に曝露されたT細胞は、異なる特性を示し得る。例えば、典型的な血液またはアフェレーシス末梢血単核細胞産物は、細胞傷害性または抑制性T細胞集団(TC、CD8+)よりも大きいヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3およびCD28受容体を刺激することによるT細胞のex vivoでの拡大では、約8~9日前にTH細胞が主になり、約8~9日後にT細胞集団がますます多くの集団を含み、T細胞集団は、TC細胞の大きな集合を含む。したがって、治療の目的に応じて、主にTH細胞を含むT細胞集団を被験体に注入することが有利であり得る。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されている場合、このサブセットをより大きく拡大することが有益であり得る。
【0244】
さらに、CD4およびCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーは大きく変化するが、大部分は、細胞拡張プロセスの過程で再現可能に変化する。したがって、そのような再現性は、特定の目的のために活性化されたT細胞産物を調整する能力を可能にする。
【0245】
PSMA CARが構築されると、抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激がない場合にT細胞増殖を維持する能力、適切なin vitroおよび動物モデルにおける抗癌活性などの分子の活性を評価するために様々なアッセイが使用されうる。PSMA CARの効果を評価するためのアッセイは、以下にさらに詳細に記載される
一次T細胞におけるCAR発現のウェスタンブロット分析を用いて、モノマーおよびダイマーの存在を検出することができる。例えば、Miloneら、Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照のこと。非常に簡単に説明すると、CARを発現するT細胞(CD4+およびCD8+T細胞の1:1混合物)を10日間以上in vitroで増殖させ、続いて還元条件下で溶解およびSDS-PAGEを行う。完全長TCR-ζ細胞質ドメインおよび内因性TCR-ζ鎖を含むCARは、TCR-ζ鎖に対する抗体を用いたウェスタンブロッティングによって検出される。同じT細胞サブセットを非還元条件下でのSDS-PAGE分析に使用して、共有結合性のダイマー形成の評価を可能にする。
【0246】
抗原刺激後のCAR+T細胞のin vitro拡大は、フローサイトメトリーによって測定することができる。例えば、CD4+およびCD8+T細胞の混合物をαCD3/αCD28aAPCで刺激し、続いて分析すべきプロモーターの制御下でGFPを発現するレンチウイルスベクターで形質導入する。例示的なプロモーターには、CMV IE遺伝子、EF-1α、ユビキチンC、またはホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターが含まれる。
【0247】
再刺激がない場合の持続的なCAR+T細胞拡大も測定することができる。例えば、Miloneら、Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照のこと。簡単に述べると、0日目にαCD3/αCD28被覆磁気ビーズで刺激し、1日目に示されたCARで形質導入した後、Coulter Multisizer III粒子計数器を用いて培養の8日目に平均T細胞量(fl)を測定する。
【0248】
PSMA標的二重特異性抗体
天然の抗体とは異なり、二重特異性抗体(BsAb)は、2つの異なる腫瘍抗原、すなわち1つは腫瘍細胞上の抗原で他方はエフェクター細胞上の抗原を標的とする二重特異性を有し、免疫細胞を腫瘍部位に効率的に補充してそれらを活性化して腫瘍細胞を特異的に殺すことができる人工抗体である。前者の例、すなわち2つの異なる腫瘍関連抗原を標的とするBsAbは、Her2とVEGFに同時に結合するbH1である(Bostrom J1ら、2009,Science 323:1610-4)か、またはErBb2/ErBb3を二重に標的化する二重特異性scFvと同時に結合する(Robinson MKら、2008,Br J Cancer 99:1415-25)。2つの腫瘍関連抗原は、両方が腫瘍細胞で発現することができ、または1方が腫瘍細胞で、他方は腫瘍細胞関連細胞、例えば腫瘍微小環境細胞、例えば、線維芽細胞、血管細胞、内皮細胞、周皮細胞または腫瘍微小環境内の免疫細胞(マクロファージ、B細胞、T細胞など)で発現することもできる。後者の例、すなわち、1つの腫瘍関連抗原および免疫不安定抗原を標的とするBsAbは、Her2、CD19またはCD123などの腫瘍抗原を標的とする一方のアームと、CD3またはCD16などの免疫活性化可能な抗原を標的とする他方のアームを有し、腫瘍細胞およびT細胞、NK細胞またはマクロファージなどの免疫細胞に関与することができるBsAbである(Kontermann REら、2015、Drug Discovery Today 20:838-847)。
【0249】
抗CD3抗体を含むBsAbは、T細胞および腫瘍細胞と共に繋がり、腫瘍細胞(Muller and Kontermann、BioDrugs 2010; 24:89-98、Baeuerle and Reinhardt 2009、Cancer Research 96:4941)活性化T細胞を死滅させる。Blinatumomab(Bargouら、Science 2008,321:974-976)は、CD19およびCD3を標的とすることによって細胞傷害性を誘導するBiTEと命名された一本鎖抗体構築物である。他の抗体フラグメントに基づくT細胞が関与する二重特異性物質が記載されている(Mooreら、2011,Blood 117:4542-4551,Baeuerleら、Current opinion in Molecular Therapeutics 2009,11:22-30)。BiTE(商標)フォーマットは、2つの異なる抗体由来の可変ドメインを連結する二重特異性一本鎖抗体構築物である。しかしながら、ブリナツモマブは、in vivoでの半減期が低く、生産および安定性の点で製造が困難である。したがって、T細胞を腫瘍細胞に標的化することができ、改善された製造可能性を有する、改善された二重特異性抗体が必要とされている。
【0250】
BsAbは、化学的架橋、ハイブリドーマ技術または遺伝的方法によって生成され得るハイブリッドタンパク質である。化学架橋法では、2種類のモノクローナル抗体およびそのフラグメントを還元体により解離させ、一価抗体およびそのフラグメントを生成させた。得られたBsAbは、異なる親抗体由来の2つの一価抗体およびそのフラグメントの化学的架橋によって構築される。この戦略は、BsAbを大量に迅速に生産するために使用することができるが、架橋中にBsAbを不活性化することがあり、製品の均質性を保証することは困難である。BsAbの産生のための別の戦略は、1つのモノクローナル抗体を分泌する確立されたハイブリドーマ細胞株を他の抗原で免疫化した脾臓細胞に融合させるハイブリドーマ技術または2つの異なるモノクローナル抗体を分泌する2つの確立されたハイブリドーマ細胞株を融合させてハイブリッドハイブリドーマを作製する。前者の結果のハイブリドーマは、二量体ハイブリドーマおよび四量体ハイブリドーマと呼ばれる。一般に、ハイブリドーマ技術によって産生されたBsAbは、高い生物活性を維持する。しかしながら、この手順は退屈で時間がかかり、BsAbを同時に生成される他の非活性かつ望ましくない抗体から単離することは容易ではない。これらのBsAbフォーマットは、予測可能な別の問題に直面した。BsAbに含まれる大きすぎるサイズおよびマウス成分は患者において免疫原性であり、臨床でこれらのBsAbの再使用を妨げるヒト抗マウス抗体(HAMA)の産生を誘導する。さらに、BsAbのこれらの形式の製造および精製は高価であり、これはクリニックでのBsAbの適用を制限する。これらの伝統的な方法を遺伝子組換え手法に置き換えることは、この分野における進歩を加速させる。小分子抗体の技術に基づいて、遺伝子工学によるBsAbの生産は、プロセスの安定性、大規模生産、低コストおよび使い易さなど、上述のものよりも利点がある。遺伝子工学は、2つの異なる種類のscFvを連結することにより様々な小分子BsAb形式の開発に繋がった。異なるリンクによって分類される3種類のBsAbフォーマットがある。(1)ミニ抗体は、オリゴマー化ドメイン(例えば、FosまたはJun転写因子由来のロイシンジッパーモチーフ)とともに2つのscFvフラグメントを連結することによって組み立てられたヘテロダイマーである。(2)二重特異性抗体は、両方とも、同じ鎖からのV-ドメイン間の対形成を可能にするには短すぎる短いリンカーによって接続された2つの単鎖VH1-VL2およびVH2-VL1によって構築される非共有結合性の二量体である。したがって、各鎖のみが抗原に結合することはできないが、2つの鎖(VH1-VL2およびVH2-VL1)の同時発現は、2種類の抗原に結合し得るヘテロ二量体ダイアボディの集合をもたらす。(3)ScBsAb:異なる特異性を有する2つの異なるscFvを連結するためにインターリンカーを用い、単一のポリペプチドとしてScBsAbを宿主細胞で発現させた。scFv内の2つのドメイン間のイントラリンカーはしばしば(Gly4Ser)3である。2つのscFv間のインターリンカーに関しては、それを設計するための2つの戦略がある。異種可変領域間の誤った結合を回避する目的で、インターリンカーは、しばしば、Gly4Serのような10未満のアミノ酸残基の短いペプチドリンカーである。もう一つの戦略は、インターリンカーのために長いリンカーを選択することである。言い換えれば、インターリンカーを設計するために最も重要なことは、可変ドメイン間の適切な対合とタンパク質の折りたたみを保証し、生物学的活性および安定性を維持するBsAbの形成をもたらすことである。精製を容易にし、血漿半減期を延長するためのいくつかの新規な特性が導入されるべきである。
【0251】
BsAb媒介免疫療法は、腫瘍の臨床的生物療法において有望な役割を果たす。BsAbによって媒介される腫瘍死滅効果は、免疫系を刺激することに基づいており、腫瘍に非常に特異的であり、MHC制限がない。したがって、BsAb介在療法は、手術、放射線療法および化学療法などの伝統的方法の相補性である。BsAbは、腫瘍を治癒するだけでなく、免疫系を刺激して、長期にわたり免疫保護を提供し、維持する。マウスおよび臨床の実験結果に基づき、治験用途で調製された最適なBsAbは、以下のような少なくとも5つの特徴を有する。(1)高い特異性および親和性を有する関連腫瘍抗原を標的とする。(2)BsAbが腫瘍抗原に結合するときにのみ、エフェクター細胞-細胞毒性細胞に対する因子の引き金となるように結合し、架橋を生じることができる。(3)BsAbは、腫瘍部位での白血球の対応する群によって選択的に産生される、効果的な細胞毒性および炎症を促進することができる。(4)BsAbは、繰り返し使用した後のヒト抗マウス応答の誘発を最小限にするためにヒト化されなければならない。最後に、(5)BsAbは、腫瘍に浸透するほど十分に小さいだけではなく、十分な時間、血中に保持されるのに十分なほど大きくなければならない。
【0252】
上記の点に基づいて、Tリンパ球、NK細胞、単球、巨大痛、好中球、LAK細胞(リンホカイン活性化細胞傷害性細胞)およびTIL細胞(腫瘍浸潤リンパ球)などを含む多数の種類の免疫エフェクター細胞を誘発し、異なる腫瘍細胞を標的とする多数のBsAbが開発されてきた。T細胞は、免疫応答の主要な特異的細胞として一般に認識されている。全ての成熟T細胞の表面上に発現されるCD3は、T細胞の共通の表面マーカーである。CD3はTCRに非共有結合的に結合し、TCR-CD3複合体全体を形成し、抗原刺激に対する免疫応答に関与する。現在、CD3は免疫エフェクター細胞上の表面トリガー分子であり、最も広く、効果的に使用されている。BsAb内の抗CD3抗体がT細胞表面上のCD3分子に結合すると、腫瘍細胞を殺すために以下のような多くの作用が生じる。これらの作用には、(1)T細胞の増殖および分化が含まれる。まず、BsAbは残りのT細胞を活性化し、早熟エフェクターT細胞に由来するTh細胞およびTc細胞をCD4+またはCD8+で得ることができる。第二に、BsAbは、腫瘍細胞を攻撃し殺すエフェクターT細胞に増殖し、分化するために多数の記憶細胞を活性化することができる。エフェクター細胞の数は、腫瘍排除の速度に直接関係している。(2)サイトカインの放出:BsAbによって活性化されたCD4+Th細胞は、大量のIL-2を分泌することができる。IL-2は、自己分泌におけるTh細胞の増殖を刺激するだけでなく、傍分泌において未処理のCD8+T細胞を活性化してTc細胞になり、Tc細胞の細胞傷害性の拡大をもたらす。さらに、IL-2は、T細胞を活性化するための共刺激シグナルである。したがって、IL-2は、BsAb媒介性免疫作用において重要な役割を果たす。TNF-αおよびIFN-γなどのいくつかの他のサイトカインは、T細胞活性化の過程で産生され、細胞間の培地を介して「スタンバイ」腫瘍細胞の増殖を阻害することによって「スタンバイ」効果を生じさせることができる。(3)細胞毒性:in vitro実験は、BsAb、CD8+Tcによって媒介されることが腫瘍細胞と直接相互作用し、顆粒エキソサイトーシスによって細胞毒性物質を放出し、標的腫瘍細胞を溶解することを示すが、通常これは腫瘍細胞の標的化に続いて4-6時間以内に急速に行われる。細胞傷害性物質の主要成分は、パーフォリンおよびセリンイースターゼまたはグランザイムである。パーフォリンは原形質膜を攻撃してイオンチャネルを形成し、イオンと水が多く侵入し、細胞の溶解と壊死を引き起こし、一方でグランザイムは細胞内のDNaseを活性化することができるリンホトキシンに類似しており、核DNAの溶解を引き起こし、標的細胞のアポトーシスをもたらす。
【0253】
現在、Fvフラグメントは、完全抗原結合部位を有する最小単位(抗体全体の約1/6)、Fcドメインの非存在、低免疫原性、血管の壁および固形腫瘍への侵入容易性が含まれる。しかし、VHドメインとVLドメインとの間の共有結合は生成することができないため、Fvは不安定であり、生体内で解離しやすい。Fvフラグメントの安定性を改善するために、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドイントラリンカーを用いて、いわゆるScFvを形成する。イントラリンカーは、一般に、(Gly4Ser)3のような長さが15アミノ酸残基の短い柔軟なペプチドである。本発明の一実施形態では、前記イントラリンカーを抗CD3 ScFvに使用し、異なるイントラリンカーを抗PSMA scFvに使用する。
【0254】
標準的なIgGフォーマットを有する二重特異性抗体は、4つの異なるポリペプチド鎖を含むため、産生が困難であり得る。より小さく、より容易に産生される二重特異性分子の有効性は、非ホジキンリンパ腫において臨床的に証明されている。例えば、Bargouら、(2008),Science 321(5891):974-977を参照。
【0255】
連続した静脈内注入による長期投与を使用して、この小さな一本鎖分子の生体内半減期が短いため、これらの結果を達成した。したがって、類似の治療効力を保持し、産生するのが容易であり、より長い半減期を含む好ましい薬物動態学的特性を有する二重特異性治療薬に対する必要性が当該分野において存在する。
【0256】
本明細書に記載の二重特異性Fc(Bs-Fc)は、2つの異なるタンパク質に結合することができ、抗体のFc領域またはその一部を含む。Bs-Fcは、Fc領域を欠く二重特異性単鎖分子と比較して好ましい薬物動態学的特性を有することができる。Bs-Fcによって結合された1つのタンパク質は、T細胞、NK細胞、好中球、またはマクロファージなどの免疫エフェクター細胞上で発現されてもよく、他のタンパク質は、標的細胞、例えば、癌細胞、病原体に感染した細胞、または線維症を引き起こす線維芽細胞のような疾患を媒介する細胞である。本明細書に記載のBs-Fc分子は、標的細胞の存在下での免疫エフェクター細胞の活性化および/または免疫エフェクター細胞の存在下での標的細胞の死滅を誘発することができる。
【0257】
一態様では、本明細書で提供されるのは、(a)式V1-L1-V2-L2-V3-L3-V4-L4-Fcを有するポリペプチド鎖を含むことができるBs-Fc(
図25A~
図25D)ここで、FcはFcポリペプチド鎖であり、ここでV1、V2、V3およびV4は異なるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン可変領域であり、L1、L2、L3およびL4はリンカーであり、L2および/またはL4は存在しても存在しなくてもよい(
図25A);または(b)式Fc-L4-V1-L1-V2-L2-V3-L3-V4を有するポリペプチド鎖であって、FcがFcポリペプチド鎖であり、V1、V2、V3およびV4がそれぞれ免疫グロブリン可変領域L1、L2、L3およびL4がリンカーであり、L2および/またはL4が存在しても存在しなくてもよく、Fcのジスルフィド結合がN末端(
図25C)またはC末端(
図25D)に存在し得る。Bs-Fcは、免疫エフェクター細胞による標的細胞タンパク質を提示する標的細胞の細胞溶解を媒介し、免疫エフェクター細胞による標的細胞タンパク質を提示しない細胞の細胞溶解を媒介せず、および/またはBs-Fcは標的細胞および免疫エフェクター細胞に結合することができる。第1および第2のポリペプチド鎖中のFcポリペプチド鎖は、ヒトIgG Fcポリペプチド鎖であってもよい。V1は、重鎖可変(VH)領域であってもよく、V2は、軽鎖可変(VL)領域であってもよい。代替の実施形態では、V1は、VL領域であってもよく、V2は、VH領域であってもよい。V3およびV4は、それぞれVH領域およびVL領域であってもよく、またはV3およびV4は、それぞれVL領域およびVH領域であってもよく、
図25Bは一例を示す。L1およびL3は、少なくとも15アミノ酸長であってもよく、L2は、存在する場合、12アミノ酸長未満であってもよい。V1およびV2は、それらがIgGおよび/またはscFv抗体の一部である場合、標的細胞または免疫エフェクター細胞に結合することができ、V3およびV4は、それらがIgGおよび/またはscFv抗体の一部である場合、標的細胞または免疫エフェクター細胞に結合することができる。
【0258】
本発明において、Gly4 Serインターリンカーによって連結され、操作されたIgG4 Fcに融合された一本鎖二重特異性抗体(ScBsAb)は循環寿命を延長するように構築された。
【0259】
本発明の一実施形態では、ScBsAbの2つのscFvのうちの1つが抗CD3 scFvであった。本発明の一実施形態では、抗CD3 scFvは、配列番号82に示される核酸配列と、配列番号83に示されるアミノ酸配列を有する、OKT3抗体に由来していた。本発明の一実施形態では、抗CD3 scFvは、配列番号88に示される核酸配列と、配列番号89に示されるアミノ酸配列を有する、ヒト化OKT3抗体に由来していた。
【0260】
一実施形態では、ScBsAbの他のscFvは、PSMAを標的とする。一実施形態では、抗PSMA scFvは、本明細書の他の箇所に記載されるように、gy1、gy1-st、gy1-2またはgy1-3である。例えば、一実施形態では、BsAbのPSMA結合部分は、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49および配列番号51のうち1つ以上を含む。特定の実施形態では、BsAbのPSMA結合部分は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48および配列番号50のうち1つ以上のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0261】
本発明の一実施形態では、ScBsAb中の抗PSMA scFvは、記載されるgy1またはgy1バリアントと90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列を有する。
【0262】
ScBsAbの循環寿命を延ばすために、サイズは、糸球体濾過の分子量カットオフ、すなわち約60kDaを超えるように増加させなければならない(Pisal DSら、2010、J Pharm Sci.99:2557-2575)。タグまたは融合タンパク質の中で、Fcは、目的のタンパク質のサイズを拡大するだけでなく、新生児Fc受容体(FcRn)との相互作用によって循環時間を延長するため、完全である。したがって、本発明の一実施形態では、FcドメインがScBsAbに融合された。本発明の別の実施形態では、IgG4 FcをScBsAbに融合させた。
【0263】
CD3上のBsAbの結合は、これらの機能を介してT細胞の枯渇を引き起こすので、ADCCおよびCDC機能はBsAbにおいて望ましくない。IgG4はC1qに結合しないので、CDCは存在しない。さらに、IgG4は、FcγRIIbの阻害に対して比較的高い親和性を保持しながら、FcγRを活性化する親和性が低く、したがってIgG4は非常に弱いADCCを有する。ADCCを完全に排除するために、Fc受容体へのIgG4の結合を阻害するために、N297をA297に変異させた。しかし、FcRnへのIgG結合はFcグリコシル化に依存しないので、N297A変異は、IgG4 Fc融合タンパク質の半減期に影響しない。本発明の一実施形態では、N297A変異IgG4 FcをScBsAbに融合させて循環寿命を延長する。核酸およびアミノ酸配列を配列番号96および97に示した。
【0264】
ヒンジ領域のS228とIgG4のCH3のR409の両方が、IgG4のFabアーム交換(FAE)に必要であり、これは治療的IgG4抗体ナタリズマブで観察されるような生理学的条件で起こる。そこで、FAEを避けるために、ScBsAbとFcの間にIgG1ヒンジを使用した。IgG1ヒンジの使用のもう一つの利点は、IgG1ヒンジがIgG4(12aa)より長い(15アミノ酸)ので、より柔軟であるということである。ジスルフィド結合のミスマッチを避けるために、CLを用いたFab形成に関与するC220はA(C220A)に変異させている。したがって、本発明の一実施形態では、ScBsAbとFcとの間のリンカーはIgG1ヒンジであり;別の具体的な実施形態では、ScBsAbとFcとの間のリンカーは、C220Aが付加されたIgG1ヒンジであり、その核酸配列およびアミノ酸配列は、配列番号94および95に示される。
【0265】
本発明の一実施形態では、ScBsAb発現のための発現ベクターは、以下の5つの選択肢から選択される発現カセットを有する:
カセット1:(Kozak)-SP-MCS-G4S-scFv2-mIgG1ヒンジ-mIgG4 Fc
カセット2:SP-MCS-G4S-scFv2-mIgG1ヒンジ-mIgG4 Fc
カセット3:(Kozak)-SP-scFv1-G4S-scFv2-mIgG1ヒンジ-mIgG4 Fc
カセット4:SP-scFv1-G4S-scFv2-mIgG1ヒンジ-mIgG4 Fc
カセット5:scFv1-G4S-scFv2-mIgG1ヒンジ-mIgG4 Fc
(略称:SP:シグナルペプチド;MCS:マルチクローンサイト;mIgG1ヒンジ:変異IgG1ヒンジ;mIgG4 Fc:変異IgG4 Fc)
一実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号99をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の特定の一実施形態では、組成物は、配列番号98をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0266】
一実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号101をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の特定の一実施形態では、組成物は、配列番号100をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0267】
一実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号103のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、組成物は、配列番号103をコードするヌクレオチド配列を含む。本発明の特定の一実施形態では、組成物は、配列番号102をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0268】
一実施形態では、抗PSMAおよび抗CD3 ScBsAbは、配列番号105のアミノ酸、またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0269】
一実施形態では、抗PSMAおよび抗CD3 ScBsAbは、配列番号106のアミノ酸、またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0270】
一実施形態では、抗PSMAおよび抗CD3 ScBsAbは、配列番号108のアミノ酸、またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0271】
一実施形態では、抗PSMAおよび抗CD3 ScBsAbは、配列番号109のアミノ酸、またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0272】
一実施形態では、BsAb発現ベクターは、配列番号104の核酸配列、または配列番号105のアミノ酸配列をコードする核酸配列またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0273】
一実施形態では、BsAb発現ベクターは、配列番号107の核酸配列、または配列番号108のアミノ酸配列をコードする核酸配列またはそれに対して90%、91%、92%、93%、94%または95%を超える相同性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0274】
ネズミ抗体に由来するほとんどのネズミ抗体またはBsAbについては、ネズミ抗体によって誘発されたヒト抗マウス抗体(HAMA)の問題は、臨床での反復使用および用量を強く制限する。マウス抗体は、それらの異種性を最小化するためにヒト化されなければならない。これは、臨床で使用される抗体の調製のための緊急事態である。本発明で使用される抗PSMA ScBsAbにおけるCD3分子に対するscFvはヒト化scFvであり、PSMA scFvはBsAbの免疫原性を有意に最小限に抑え、癌治療の全結果を改善する完全ヒト抗体である。
【0275】
併用療法
本明細書に記載の抗体、抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体を含む組成物は、他の公知の薬剤および療法と組み合わせて使用することができる。本明細書中で使用されるように、「組合せ」とは、2つ(またはそれ以上)の異なる処置が、障害による被験体の苦痛の経過中に被験体に送達されることを意味し、例えば、2つ以上の処置は、障害が診断された後、障害が治癒または排除される前、または治療が他の理由で中止される前に投与される。いくつかの実施形態では、1つの治療の送達は、投与に関して重複するように、第2の送達が開始されたときにもなお継続している。これは、本明細書では「同時」または「同時送達」と呼ばれることがある。他の実施形態では、一方の治療の送達は、他方の治療の送達が始まる前に終了する。どちらの場合もいくつかの実施形態では、併用投与のために、治療がより効果的である。例えば、第2の治療がより効果的である、例えば、第2の治療のより少ない量で同等の効果が見られ、または第2の治療が、第1の治療の存在なしで投与された場合よりも、もしくは第1の治療で見られる類似の状況よりも、より大きい程度で症状を減少させる。いくつかの実施形態では、症状の低下または障害に関連する他のパラメータが、他の治療の不存在下で送達される1つの治療で観察されるものよりも大きくなるような送達が行われる。2つの処理の効果は、部分的に相加的、完全に相加的、または相加的よりも大きいことがある。送達は、送達される第1の治療の効果が、第2の送達が送達されたときに依然として検出可能なものであり得る。
【0276】
本明細書に記載の抗体、抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体および少なくとも1つのさらなる治療剤を含む組成物は、同時に、同じまたは別々の組成物で、または逐次投与することができる。逐次投与の場合、本明細書に記載のCAR発現細胞を最初に投与し、追加の薬剤を2回投与してもよいし、投与順序を逆にしてもよい。
【0277】
さらなる態様では、本明細書に記載の抗体、抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体を含む組成物は、手術、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノラート、およびFK506などの免疫抑制剤、抗体、またはCAMPATH、抗CD3抗体または他の抗体療法などの免疫除去剤、サイトキン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および照射、ペプチドワクチン、例えば、Izumotoら、2008 J Neurosurg 108:963-971などと組み合わせた処置レジメンで使用されうる。
【0278】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体、抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体を含む組成物は、化学療法剤と組み合わせて使用することができる。例示的な化学療法剤には、抗アンドロゲン(アンドロゲンアンタゴニスト)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン)、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン、メルファラン、イフォスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ)、代謝拮抗物質(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えばフルダラビン))、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘発TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えばアクラシノマイシンA、グリオトキシンまたはボルテゾミブ)、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えば、レナリドマイド)などの免疫調節薬が挙げられる。
【0279】
併用療法に組み合わせて使用するために考慮される一般的な化学療法剤としては、(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射剤(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアビニシド(Cytosar-U(登録商標)、シタラビンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、デカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(Actinomycin D、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射剤(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テキサシチン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、(イデアマイシン(登録商標))、イフォスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、ミロタルグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(Yttrium90/MX-DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロサン20カルムスチンインプラント(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(HyCamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))を含むが、これらに限定されるものではない。
【0280】
例示的な抗アンドロゲン(アンドロゲンアンタゴニスト)剤には、ビカルタミド、ゴセレリンアセテートSR Depoが含まれる。
【0281】
例示的なアルカリ化剤としては、限定されないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキル誘導体、アルキルスルフォネート、ニトロソウレアおよびトリアゼン、ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil Nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標)、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標) Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標)、イフォスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(アルケカン(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブルマン(Amedel(登録商標)、 Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexylen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロマイド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標)、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が挙げられる。さらなる例示的なアルキル化剤としては、限定されないが、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロマイド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-D、Cosmegen(登録商標)としても知られている);メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタード、Alkeran(登録商標)としても知られている);アルテレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、ヘキシレン(Hexylen)(登録商標)としても知られている);カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)およびMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNU、CeeNU(登録商標)としても知られている);シスプラチン(CDDP、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQとしても知られている);クロラムブシル(ロイケラン(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミド、DTIC-Dome(登録商標)としても知られている);アルテレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、ヘキシレン(Hexylen)(登録商標)としても知られている);イフォスファミド(Ifex(登録商標));プレドニムスチン;プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムチンおよび塩酸メクロレタミン)、ムスタルゲン(Mustargen)(登録商標)としても知られている);ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド、TESPAおよびTSPA、Thioplex(登録商標)としても知られている);シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、 Revimmune(登録商標));およびベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))が挙げられる。
【0282】
例示的なmTOR阻害剤には、例えば、テムシロリムス;(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコントタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィン酸塩が挙げられる(AP23573およびMK8669としても知られ、PCT公開WO03/064383号);エベロリムス(Afinitor(登録商標)またはRAD001);ラパマイシン(AY22989、シロリムス(登録商標));シマピモド(CAS164301-51-3);(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055)、2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-(PF04691502、CAS 1013101-36-4);およびN2-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパラチルL-セリン内塩(SF1126、CAS 936487-67-1)、およびXL765を含むが、これらに限定されない。
【0283】
例示的な免疫調節剤には、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドマイド(CC-5013、Revlimid(登録商標));サリドマイド(Thalomid(登録商標))、アクチミド(CC4047);およびIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2およびインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS 951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)が挙げられる。
【0284】
例示的なアントラサイクリンとしては、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(レノキサン(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウオリビシン、ダウノマイシン、塩酸ルビドマイシン、セラビジン(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノルビシンクエン酸リポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンが挙げられる。
【0285】
例示的なビンカアルカロイドには、例えば、ビノレルビンタータレート(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標))、ビンブラスチン(ビンブラスチン硫酸、ビンカロイコブラスチンおよびVLB、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標)としても知られている);およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられる。
【0286】
例示的なプロテオソーム阻害剤には、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カリフォルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド)、マリゾミブ(NPI-0052);クエン酸イクザミブ(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)が挙げられる。
【0287】
例示的なGITRアゴニストには、例えば、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)、例えば米国特許第6,111,090号、欧州特許第090505B1号、米国特許第8,586,023号、PCT公開番号:WO2010/003118および2011/090754に記載のGITR融合タンパク質、または例えば、米国特許第7,025,962号、欧州特許第1947183B1号、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、欧州特許第1866339号、PCT公開番号:WO2011/028683、PCT公開番号:2013/039954、PCT公開番号:WO2005/007190、PCT公開番号:WO2007/133822、PCT公開番号:WO2005/055808、PCT公開番号:WO99/40196、PCT公開番号:WO2001/03720、PCT公開番号:WO99/20758、PCT公開番号:WO2006/083289、PCT公開国際公開第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号、およびPCT公開番号:WO2011/051726に記載の抗GITR抗体が挙げられる。
【0288】
一実施形態では、被験体に、裸の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体の投与に伴う副作用を軽減または改善する薬剤を投与することができる。
【0289】
一実施形態では、被験体に、裸の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体の活性を増強する薬剤を投与することができる。例えば、一実施形態では、薬剤は、阻害性分子を阻害する薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、抑制された分子、例えばプログラムされた死1(PD1)は、免疫エフェクター応答を賦与するCAR発現細胞の能力を低下させることができる。阻害性分子の例には、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRβが含まれる。例えばDNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害による阻害分子の阻害は、裸の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体の性能を最適化することができる。実施形態では、阻害性核酸、例えば阻害性核酸、例えばdsRNA、例えばsiRNAまたはshRNAを用いて、CAR発現細胞または二重特異性Ab反応細胞における阻害分子の発現を阻害することができる。一実施形態では、阻害剤はshRNAである。一実施形態では、阻害シグナルの阻害剤は、例えば、阻害性分子に結合する抗体または抗体フラグメントであり得る。例えば、薬剤は、PD1、PD-L1、PD-L2またはCTLA4に結合する抗体または抗体フラグメント(例えば、イピリムマブ(MDX-010およびMDX-101とも呼ばれ、Yervoy(登録商標)として市販される; Bristol (Myers Squibb);トレメリムマブ(Tremelimumab)(以前はチシリムマブとして知られているファイザー(Pfizer)から入手可能なIgG2モノクローナル抗体、CP-675,206)であってもよい。一実施形態では、薬剤は、TIM3に結合する抗体または抗体フラグメントである。一実施形態では、薬剤は、LAG3に結合する抗体または抗体フラグメントである。
【0290】
PD1は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含むCD28受容体ファミリーの阻害性メンバーである。PD1は、活性化されたB細胞、T細胞および骨髄細胞上で発現される(Agataら、1996 Int.Immunol 8:765-75)。PD1、PD-L1およびPD-L2の2つのリガンドは、PD1に結合するとT細胞活性化をダウンレギュレートすることが示されている(Freemanら、2000 J Exp Med 192:1027-34;Latchmanら、2001 Nat Immunol 2:261-8;Carterら、2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1はヒトの癌に豊富に存在する(Dongら、2003 J Mol Med 81:281-7;Blankら、2005 Cancer Immunol.Immunother 54:307-314;Konishiら、2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD-L1との局所的相互作用を阻害することによって逆転させることができる。PD1、PD-L1およびPD-L2の抗体、抗体フラグメントおよび他の阻害剤は、当技術分野において利用可能であり、本明細書に記載のPSMA標的化裸抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体と組み合わせて使用してもよい。例えば、ニボルマブ(BMS-936558またはMDX1106;Bristol-Myers Squibbとも呼ばれる)は、PD1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。Nivolumab(クローン5C4)およびPD1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8,008,449号およびWO2006/121168号に記載されている。ピジリズマブ(CT-011; Cure Tech)は、PD1Pidilizumabに結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体であり、他のヒト化抗PD1モノクローナル抗体はWO2009/101611号に開示されている。ラムブロリズマブ(MK03475;Merckとも呼ばれる)は、PD1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。Lambrolizumabおよび他のヒト化抗PD1抗体は、米国特許第8,354,509号およびWO2009/114335号に記載されている。MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。PD-L1に対するMDPL3280Aおよび他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号および米国公開第20120039906号に記載されている。他の抗PD-L1結合剤としては、YW243.55.S70(重鎖および軽鎖可変領域はWO2010/077634の配列番号20および21に示される)およびMDX-1105(BMS-936559とも呼ばれる。例えば、WO2007/005874に開示されている抗PD-L1結合剤)である。AMP-224(B7-DCIg;Amplimmune;例えばWO2010/027827号およびWO2011/066342号に開示されている)は、PD1とB7-H1との間の相互作用をブロックするPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。他の抗PD1抗体には、とりわけ、AMP514(Amplimmune)、例えば、米国特許第8,609,089号、米国特許出願公開第2010028330号、および/または米国特許出願公開第20120114649号に記載されている。
【0291】
いくつかの実施形態では、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、例えば、第1のドメインおよび第2のドメインを含む融合タンパク質であってもよく、第1のドメインは阻害性分子またはそのフラグメントであり、第2のドメインは陽性シグナルに関連するポリペプチド、例えば、本明細書に記載の細胞外シグナル伝達ドメインを含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、陽性シグナルに関連するポリペプチドは、CD28、CD27、ICOS、例えばCD28、CD27および/またはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または一次シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載のCD3ゼータを含む。一実施形態では、融合タンパク質は、CARを発現したのと同じ細胞によって発現される。別の実施形態では、融合タンパク質は、細胞、例えば、抗PSMA CARを発現しないT細胞によって発現される。
【0292】
製剤および投与経路
本発明の抗体、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体は、広範囲の製品に用途を見出すことができる。一実施形態では、本発明の抗体、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体は、治療剤、診断剤または研究試薬である。一実施形態では、本発明の抗体ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体は、治療剤である。いくつかの実施形態では、本発明の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体は、産業用途に使用される。本発明の抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルである抗体組成物での使用を見出すことができる。本発明の抗体は、アゴニスト、アンタゴニスト、中和剤、阻害剤、または刺激剤であってもよい。一実施形態では、本発明の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、または二重特異性抗体は、標的抗原を有する標的細胞、例えば癌細胞を死滅させるために使用される。代替の実施形態では、本発明の抗体は、標的抗原を遮断、拮抗または作動させるために使用される。代替の実施形態では、本発明の抗体は、標的抗原を遮断、拮抗または作動させ、標的抗原を有する標的細胞を死滅させるために使用される。別の実施形態では、標的細胞は、腫瘍細胞またはその新生血管系である。一実施形態では、血管新生は血管新生において重要な役割を果たし、本明細書で提供される抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞または二重特異性抗体の標的であるとも考えられる。
【0293】
本発明はさらに、適切な包装材料に包装された医薬製剤を含む、本発明の1つ以上の組成物を含むキットを提供する。別の実施形態では、キットは、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメント、Car TまたはCar NK細胞、またはその二重特異性抗体をコードする核酸を含む。さらなる実施形態では、キットは、発現制御エレメントをさらに含む核酸;発現ベクター;ウイルス発現ベクター;アデノ随伴ウイルス発現ベクター;アデノウイルス発現ベクター;およびレトロウイルス発現ベクターを含む。さらに別の実施形態では、キットは、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメント、例えばCar TまたはCar NK細胞を発現する細胞を含む。
【0294】
さらなる実施形態では、キットは、抗体または二重特異性抗体または抗体、その抗原結合フラグメントまたはそれらの二重特異性抗体をコードする核酸をin vitro、in vivoまたはex vivoで細胞内で発現させるための説明書を含むラベルまたはパッケージングインサートを含む。さらに別の実施形態では、キットは、本発明の抗体または抗体フラグメント、ADC、CAR発現細胞、またはその二重特異性抗体(例えば、喘息を有するかまたは喘息を有するリスクを有する被験体)をin vivoまたはex vivoで治療するための説明書を含むラベルまたはパッケージングインサートを含む。
【0295】
本明細書で使用される場合、用語「包装材料」は、キットの構成要素を収容する物理的構造を指す。包装材料は、成分を無菌的に維持することができ、そのような目的に一般的に使用される材料(例えば、紙、コルゲートファイバー、ガラス、プラスチック、フォイル、アンプルなど)で作ることができる。ラベルまたはパッケージングインサートは、例えば、本発明の方法を実施する(例えば、風邪を治療する)適切な書面による指示を含むことができる。したがって、本発明のキットは、本発明の方法においてキット成分を使用するための説明書をさらに含むことができる。
【0296】
説明書は、本明細書に記載の本発明の方法のいずれかを実施するための説明書を含むことができる。したがって、本発明の医薬組成物は、被験体への投与のための説明書とともに容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。説明書には、満足のいく臨床的エンドポイントまたは起こり得る有害症状の徴候、またはヒト被験体に使用するために食品医薬品局によって要求される追加情報がさらに含まれてもよい。
【0297】
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、ワクチンの一部として投与される。いくつかの実施形態では、ワクチンという用語は、任意の免疫調節組成物を包含するものと理解され、このようなワクチンは、本発明のポリペプチドに加えて、アジュバント、抗原、免疫調節化合物、またはこれらの組合せを含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、(A)アルミニウム化合物(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ヒドロキシリン酸アルミニウム、オキシ水酸化物、オルトリン酸塩、硫酸塩など)を含むが、これらに限定されない。[例えば、参考文献の第8章および第9章参照。96])、または異なるアルミニウム化合物の混合物であり、化合物は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶質、非晶質など)をとり、吸着が好ましい;(B)MF59(5%スクアレン、0.5%Tween80、および0.5%Span85、マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化);(C)リポソーム;(D)追加の洗剤がないかもしれないISCOM;(E)サブミクロンエマルジョンにミクロ流動化されるかまたはより大きい粒径のエマルジョンを生成するためにボルテックスされた10%スクアラン、0.4%Tween80,5%プルロニックブロックポリマーL121およびthr-MDPを含有するSAF;(F)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノホスホリル脂質A(MPL)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))を含有するRibi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem);(G)Stimulon(商標)としても知られているQuilAまたはQS21などのサポニンアジュバント;(H)キトサン;(I)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(J)インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)、インターフェロン(例えば、インターフェロン-γ)マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子などのサイトカイン;(K)モノホスホリルリピドA(MPL)または3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)];(L)3dMPLと例えばQS21および/または水中油型エマルジョンとの組合せ;(M)CpGモチーフを含む)(すなわち、少なくとも1つのCG二三リン酸を含み、5-メチルシトシンが場合によりシトシンの代わりに使用される)オリゴヌクレオチド;(N)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル;(O)オクトキシノールまたはポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤と、オクトキシノールのような少なくとも1種の追加の非イオン性界面活性剤との組合せ;(P)免疫刺激性オリゴ核酸(例えば、CpGオリゴ核酸)およびサポニン;(O)免疫刺激剤および金属塩の粒子;(R)サポニンおよび水中油型エマルジョン;(S)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL12(場合により+ステロール);(T)大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(「LT」)、またはその解毒された突然変異体、例えばK63またはR72突然変異体;(U)コレラ毒素(「CT」)、またはジフテリア毒素(「DT」)またはいずれかの解毒変異体;(V)二本鎖RNA;(W)モノホスホリルリピドA模倣物、例えばアミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えばRC-529);(X)ポリホスファゼン(PCPP);(Y)エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェアのような生体接着剤、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体のような粘膜接着剤。
【0299】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物の投与は、病的な状態の重篤度を下げることを意図している。「病的な状態の重篤度を下げる」という用語は、本明細書に開示された方法、化合物および組成物を介した任意の減少が本発明に包含されるとみなされるべきである。重症度の低下は、一実施形態では、生存の強化、または別の実施形態では疾患の進行の停止、または別の実施形態では疾患の進行の遅延を含み得る。
【0300】
一実施形態では、投薬は、投与された分子/化合物またはそれを含む組成物に対する細胞応答性に依存する。一般に、上記の目的に利用される用量は変化するが、当業者であれば決定されるように、所望の効果を発揮するのに有効な量である。本明細書で使用する「薬学的に有効な量」という用語は、患者における症状または他の所望の表現型において所望の緩和を生じる、本明細書に記載の化合物の量を指す。
【0301】
本発明の一実施形態では、化合物の濃度は、治療される状態の性質、患者の状態、投与経路および組成物の個々の忍容性を含む様々な要因に依存する。
【0302】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物のいずれかは、本明細書に記載の任意の形態または実施形態の化合物を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物のいずれかは、本明細書に記載される任意の形態または実施形態の本質的に化合物からなる。いくつかの実施形態では、「含む」という用語は、本発明の化合物のような、示された活性薬剤の包含、ならびに他の活性薬剤、および薬学的に許容される担体、賦形剤、皮膚軟化剤、製薬業界で知られている。
【0303】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載のポリペプチド/ポリ核酸/ベクターから本質的になるであろう。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる」という用語は、特定の種類の薬剤の有効成分のみが示された有効成分である組成物を指すが、指示された治療効果に直接関与する他の化合物が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる」という用語は、特定の機構を標的とする、または特定の経路を介して作用する唯一の活性成分が示された有効成分である組成物を指すが、指示された薬剤の治療効果、例えば、指示された薬剤に関連するがそれには直接関与しない作用機序を有する。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる」という用語は、有効成分のみが示された有効成分である組成物を指すが、製剤を安定化、保存などするためであるが、示された有効成分の治療効果に直接関与しない他の化合物が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、「本質的に~からなる」という用語は、活性成分の放出を促進する成分を指し得る。いくつかの実施形態では、「含む」という用語は、活性成分および薬学的に許容される担体または賦形剤を含有する組成物を指す。
【0304】
特定の場合における活性化合物の実際の量は、利用される特定の化合物、処方される特定の組成物、適用様式、および治療される特定の状態および生物によって変化することは理解されよう。所与の宿主の投薬量は、例えば対象化合物と公知の薬剤との差異的な活性の慣習的な比較(例えば、適切な従来の薬理学的プロトコルによる)などの従来の考慮を用いて決定することができる。
【0305】
一実施形態では、本発明の化合物は、一時的な状態の急性治療のために急性投与されるか、または慢性的に、特に進行性、再発性または変性疾患の場合に慢性投与され得る。1つの実施形態では、本発明の1つ以上の化合物は、同時に投与されてもよく、または別の実施形態では、それらは、互い違いに投与されてもよい。一実施形態では、互い違いの様式は、疾患のステージまたは段階によって決定され得る。
【0306】
非経口ビヒクル(皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内注射用)には、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルおよび固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充剤、リンガーデキストロースに基づくものなどの電解質補充剤などが含まれる。例は、界面活性剤および他の薬学的に許容されるアジュバントの添加の有無にかかわらず、水および油のような滅菌液体である。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールは、特に注射液のための好ましい液体担体である。油の例は、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油および魚肝油などの石油、動物、植物または合成起源のものである。
【0307】
一実施形態では、投与経路は、非経口であってもよく、またはそれらの組合せであってもよい。別の実施形態では、前記経路は眼内、結膜、局所、経皮、皮内、皮下、腹腔内、静脈内、動脈内、膣、直腸、腫瘍内、肝臓、粘膜、筋肉内、血管内、エアロゾル)、鼻吸引(スプレー)、鼻腔内(滴下)、舌下、経口、エアロゾルまたは座薬またはそれらの組合せである。一実施形態では、投与レジメンは、治療される状態の正確な性質、状態の重症度、患者の年齢および一般的な身体状態、体重、および個々の患者の応答などの要因に基づいて、熟練した臨床医によって決定される。
【0308】
鼻腔内投与または吸入による適用のために、適切な担体の存在下で混合およびエアロゾル化または噴霧された化合物の溶液または懸濁液による。このようなエアロゾルは、本明細書に記載の任意の薬剤を含むことができる。
【0309】
非経口適用のためには、注射剤、滅菌溶液、好ましくは油性または水性溶液、ならびに坐剤および浣腸剤を含む懸濁剤、乳剤またはインプラントが特に適している。アンプルは、便利な単位用量である。このような坐剤は、本明細書に記載の任意の薬剤を含み得る。
【0310】
徐放または直接放出組成物は、例えばリポソームまたは活性化合物が示差的に分解可能なコーティング、例えばマイクロカプセル化、複数のコーティングなどによって保護されているものなど、処方することができる。そのような組成物は、即時放出または徐放のために製剤化されうる。また、新しい化合物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物を例えば注射用製剤の調製に使用することも可能である。
【0311】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体は、水性または非水性の溶液、懸濁液、乳濁液または油であり得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および注入可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。
【0312】
水性担体には、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液(生理食塩水および緩衝媒体を含む)が含まれる。油の例は、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油および魚肝油などの石油、動物、植物または合成起源のものである。
【0313】
一実施形態では、本発明の方法の組成物または本発明の方法で使用される組成物は、単独で、または組成物中に投与することができる。別の実施形態では、活性化合物と有害に反応しない非経口、経腸(例えば、経口)または局所適用に適した薬学的に許容される有機または無機担体物質を混合する本発明の組成物を使用することができる。一実施形態では、適切な薬学的に許容される担体は、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、白色パラフィン、グリセロール、アルギネート、ヒアルロン酸、コラーゲン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含むが、これらに限定されるものではない。別の実施形態では、薬学的調製物は滅菌されてもよく、所望であれば、活性化合物と有害に反応しない、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤、香味剤および/または芳香物質などの補助剤と混合してもよい。別の実施形態では、それらを、必要に応じて他の活性剤、例えばビタミンと組み合わせることもできる。
【0314】
医薬組成物には、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」担体、希釈剤または賦形剤が含まれる。一実施形態では、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」という用語は、安全であり、本発明で使用するための有効量の少なくとも1つの化合物の所望の投与経路の適切な送達を提供する任意の製剤を指す。この用語は、pHが、化合物の安定性および投与経路に従って、pH4.0からpH9.0の範囲の特定の所望の値に維持される、緩衝化された製剤の使用をも指す。この用語には、薬学的投与に適合する溶媒(水性または非水性)、溶液、エマルジョン、分散媒、コーティング、等張および吸収促進または遅延剤が含まれる。このような製剤は、液体、エマルジョン、懸濁液、シロップまたはエリキシル、または固体形態;錠剤(被覆または非被覆)、カプセル(硬または軟)、粉末、顆粒、結晶またはマイクロビーズに含有させることができる。補充活性化合物(例えば、防腐剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤)も組成物に組み込むことができる。
【0315】
本発明の薬学的組成物は、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミドおよびイフォスファミド)、アジリジン(例えば、チオテパ)、アルキルスルフォネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチンおよびストレプトゾシン)、白金錯体(例えば、カルボプラチンおよびシスプラチン)、非古典的アルキル化剤(例えば、ダカルバジンおよびテモゾラミド)、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、プリン類似体(例えば、フルダラビンおよびメルカプトプリン)、アデノシン類似体(例えば、クラドリビンおよびペントスタチン)、ピリミジン類似体 (例えば、フルオロウラシル(単独でまたはロイコボリンとの組合せで)およびゲムシタビン)、置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシンおよびドキソルビシン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド)、微小管薬剤(例えば、ドセタキセルおよびパクリタキセル)、カンプトテシン類似体(例えば、イリノテカンおよびトポテカン)、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-2およびインターフェロン-α)、モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブおよびベバシズマブ)、組換え毒素および免疫毒素(例えば、組換えコレラ毒素-BおよびTP-38)、癌遺伝子療法、物理療法(例えば、温熱療法、放射線療法および外科手術)および癌ワクチン、テロメラーゼに対するワクチン)の1つ以上を含んでいてもよい。
【0316】
本発明の組成物(例えば、抗体および二重特異性分子)は、補体と共に投与することもできる。したがって、本発明の範囲内には、ヒト抗体、多重特異性または二重特異性分子および血清または補体を含む組成物がある。これらの組成物は、補体がヒト抗体、多重特異性分子または二重特異性分子のすぐ近くに位置する点で有利である。あるいは、ヒト抗体、本発明の多重特異性または二重特異性分子および補体または血清を別々に投与することができる。
【0317】
医薬組成物は、特定の局所または全身投与経路に適合するように製剤化することができる。したがって、医薬組成物は、特定の経路による投与に適した担体、希釈剤、または賦形剤を含む。本発明の組成物の投与経路の特定の非限定的な例は、吸入または鼻腔内送達である。追加の経路には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が含まれる。
【0318】
非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度調整剤が挙げられる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。
【0319】
注射用医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与のためには、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい。流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。抗菌剤および抗真菌剤には、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが含まれる。等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどのポリアルコールを組成物に含めることができる。吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことは、注射用組成物の吸収を延長させることができる。
【0320】
滅菌注射溶液は、必要な量の活性化合物を、適切な溶媒中に上記成分の1つまたは組合せと共に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、上記のような塩基性分散媒および他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法には、例えば、真空乾燥および凍結乾燥が含まれ、有効成分と予め滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0321】
経粘膜または経皮投与のためには、バリアに浸透するのに適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、当該分野において一般的に知られており、例えば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレー、吸入装置(例えば、アスピレーター)または座薬の使用によって達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当該分野で一般的に知られている軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに配合される。
【0322】
本発明の抗体(部分配列および修飾形態ならびにそれらをコードする核酸を含む)は、制御放出製剤またはモノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質のような身体からの迅速な排出を防ぐ担体で調製することができる。組成物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを用いて送達されて、局所的または全身的持続送達または制御放出を達成することもできる。
【0323】
エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることができる。リポソーム懸濁液(抗体またはウイルスコートタンパク質を用いて細胞または組織に標的化されたリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法に従って、例えば、米国特許第4,522,811号に記載される方法に従って調製することができる。
【0324】
本発明の方法における投与のための組成物に適した追加の医薬製剤は、当技術分野で公知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.;およびPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993)を参照)。薬学的処方物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で包装することができる。本明細書で使用される「投薬単位形態」は、治療される被験体のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、医薬担体または賦形剤と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。
【0325】
本明細書で提供される医薬組成物は、主に、ヒトへの投与に適した医薬組成物に関するものであるが、当業者であれば、そのような組成物は、一般にあらゆる動物の投与に適していると理解される。組成物を種々の動物に投与するのに適したものにするためにヒトに投与するのに適した医薬組成物の改変は十分に理解されており、通常の熟練した獣医学の薬理学者は、このような改変を、あるとしてもわずかな実験で設計し、実施することができる。本発明の医薬組成物の投与が企図される被験体には、ヒトおよび他の霊長類、ならびに他の哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。
【0326】
本明細書に記載のポリペプチドに対する配列、構造的または機能的相同性を示す任意の手段によって自然にまたは合成的に得られたいずれのアミノ酸配列も本発明の一部と考えられることを理解されたい。
【0327】
一実施形態では、「約」という用語は、±5%、別の実施形態では±10%、または別の実施形態では±15%、または別の実施形態では±20%を意味する。
【0328】
「被験体」という用語は、一実施形態では、ある状態またはその後遺症またはその症状の治療を必要とする、ヒトを含む哺乳動物を意味する。被験体は、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、およびマウスおよびヒトを含むことができる。「被験体」という用語は、あらゆる面で、健常な個体を除外するものではない。
【0329】
任意の刊行物、特許出願または発行された特許への言及は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれているとみなされるべきであることを理解されたい。
【0330】
化合物の有効性を決定する手段として、治療化合物によって調節される特定の活性を測定するための任意のアッセイを用いることができ、一実施形態では、化合物の最適負荷量、別の実施懈怠では、時間および投与量、別の実施形態では、またはそれらの組合せを用いることができる。
【実施例】
【0331】
実験例
本発明は、以下の実験例を参照しつつ、さらに詳細に記載される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、特記しない限り、限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されるものと決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意のおよび全ての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0332】
さらなる説明がない限り、当業者は、前述の説明および以下の実施例を使用して、本発明を作製および利用し、特許請求の範囲に記載の方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘し、決して本開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0333】
実施例1:酵母ディスプレイのヒトscFvライブラリーのパニング
1×1011酵母ディスプレイの未処理ヒトscFvライブラリーを構築し、ヒトPSMAの細胞外ドメインをR&D systemsから購入した。ライブラリーパニングの方法は以前に記載されている(Zhaoら、J Immunol Methods.2011;363(2):221-32)。簡潔には、組換えPSMAタンパク質をビオチン化し、誘導酵母ディスプレイscFvライブラリーとインキュベートし;PSMA結合酵母細胞を、ストレプトアビジン(SA)結合マイクロビーズおよびフローサイトメトリー活性化細胞選別(FACS)を用いて単離し;scFv遺伝子を、単離された酵母細胞から増幅させ、分泌発現酵母株YVH10にクローニングし;個々の分泌scFv発現を96ウェルプレートで誘導し、PSMA結合クローンをハイスループットELISAによって同定した。
【0334】
PSMA組換えタンパク質のビオチン化
PSMA組換えタンパク質緩衝液を、PBSに対して4℃で透析してPBSに変え、濃度を0.5mg/mlに調整した。EZ-Link Sulfo-NHS-ビオチン試薬(10mM;冷水に溶解)(life technologies)をPSMA組換えタンパク質と最終モル比1:20(タンパク質:ビオチン)に混合した。PSMA組換えタンパク質混合物を4℃で2時間インキュベートした。未反応の遊離ビオチン試薬を透析により除去し、ビオチン化タンパク質を等分し、-80℃で保存した。
【0335】
磁気ビーズを用いた酵母ディスプレイscFvライブラリーパニング
酵母ディスプレイscFvライブラリーを-80℃から解凍し、3000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、酵母細胞を、12L SD-CAA培地に再び懸濁させた(1リットルのSD-CAA培地は、5gのカザミノ酸、1.7gのアンモニウムSO4およびアミノ酸を含まない酵母窒素塩基、5.3gの硫酸アンモニウム、10.2gのNa2HPO4・7H2O、8.6gのNaH2PO4・H2Oおよび20gのデキストロースを含んでいる)。細胞を200rpmでロッキングしながら30℃で一晩培養した。翌日、酵母細胞を、3000rpmで5分間遠心分離することによって回収し、適切な量を12L S-CAA-GRD誘導培地に、最終濃度がOD600=0.5になるように再懸濁させ(1リットルのS-CAA-GRDは、5gのカザミノ酸、1.7gのアンモニウムSO4およびアミノ酸を含まない酵母窒素塩基、5.3gの硫酸アンモニウム、10.2gのNa2HPO4・7H2O、8.6gのNaH2PO4・H2O、1gのデキストロース、20gのガラクトースおよび20gのラフィノースを含んでいる)、20℃で一晩誘導した。誘導酵母細胞を3000rpmで5分間遠心分離して回収し、2LのPBE緩衝液(PBE緩衝液は2mM EDTAおよび0.5%BSAを含むPBS緩衝液)で2回洗浄し、最後に200mLのPBEに再懸濁した。細胞を室温(RT)で1.5時間、次いで4℃で0.5時間、40μgのビオチン化PSMAタンパク質と共にインキュベートした。以下の工程は、4℃で、または氷上で行った。3000rpmで5分間遠心分離することによって細胞を収穫し、2LのPBEで2回洗浄し、200mlのPBEに再懸濁した。次に、2mlのストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を細胞に添加し、1時間ゆっくりと揺動させながらインキュベートした。1リットルのPBEを細胞に添加し、溶液をボルテックスして細胞を単一細胞に分離し、70μmのストレーナーを用いて濾過した。16個のMiltenyi LSカラムをPSMA結合酵母細胞単離に使用した。簡潔には、7mLの染色した細胞懸濁液をカラムに添加した。各7mLの細胞がカラムに入り、流れが停止した後、カラムから磁石を取り出し、直ちに磁石に戻した。これにより、カラム内の鉄ビーズが再配列され、物理的にビーズ間に閉じ込められた細胞が通過することが可能になる。カラムを磁石に戻し、洗浄緩衝液1mlを加え、洗浄液が流れた後、さらに7mLの細胞をカラムに加えた。各細胞のローディングの間にカラム除去手順を繰り返した。全ての細胞をカラムに充填したら、カラムを3mLの洗浄緩衝液で洗浄した。この洗浄は、カラムの空隙体積中の細胞を除去する。カラムを磁石から取り出し、直前に交換した。洗浄を2回繰り返した。カラムの滴下が止まったら、カラムを磁石から取り出し、7mLの洗浄バッファーを加えた。プランジャーを使用して、残りの細胞を全て15mLコニカルチューブに押し出した。
【0336】
収穫した細胞をさらに2つの新しいカラムに入れて、非特異的細胞をさらに除去した。3000rpmで5分間遠心分離することにより、最終的に溶出した細胞を回収した。細胞をSD-CAAプレート上に広げ、30℃で2日間培養した。1回目の磁気選別から合計2.5×107個のクローンを得た。細胞をこすり落とし、第2回の磁気選別のために誘導した。アリコートを-80℃で10%グリセロールを含むSD-CAAに保存した。
【0337】
5×109個の第1ラウンド磁気選別酵母細胞を20℃で一晩誘導するために200mlのS-CAA-GRD培地に接種した。翌日、2.5×109個の誘導細胞を3000rpmで5分間遠心分離して回収し、15mlのPBEで2回洗浄した。細胞を3mlのPBEに再懸濁し、RTで1.5時間、次いで4℃で30分間、3μgのビオチン化PSMAタンパク質と共にインキュベートした。以下の工程は、全て4℃で、または氷上で行った。インキュベーション後、細胞を3000rpmで5分間遠心分離することによってペレット化し、次いで15mlのPBEで3回洗浄した。細胞を再度ペレット化し、3mlのPBEに再懸濁し、4℃で1時間、50μlの抗ビオチン抗体結合マイクロバッドと共にインキュベートした。細胞をPBEで1回洗浄し、PBE15mlに再懸濁し、70μmのストレーナーで濾過し、上記のように1つのMiltenyi Macs LSカラムを用いてPSMA結合酵母細胞を単離した。2回目の磁気選別により、5.1×106個のクローンが生じた。
【0338】
PSMA特異的酵母集団をさらに濃縮するために、3回目の磁気選別を行った。簡単に説明すると、20℃で一晩、50mlのS-CAA-GRD中に1×109個の細胞を誘導し、5×108個の細胞をさらにパニングするために採取した。細胞を15mlのPBEで2回洗浄し、3mlのPBEに再懸濁し、続いて1μgのビオチン化PSMAタンパク質と室温で1.5時間、次いで4℃で30分間インキュベートした。以下の工程は、全て4℃で、または氷上で行った。インキュベーション後、細胞を3000rpmで5分間遠心分離することによってペレット化し、次いで15mlのPBEで3回洗浄した。細胞を再びペレット化し、3mlのPBEに再懸濁し、4℃で1時間、50μlのストレプトアビジンコンジュゲートマイクロバッドと共にインキュベートした。細胞をPBEで1回洗浄し、PBE15mlに再懸濁し、70μmのストレーナーで濾過し、上記のように1つのMiltenyi Macs LSカラムを用いてPSMA結合酵母細胞を単離した。3回目の磁気選別により、1×107個のクローンが生じた。
【0339】
フローソーティングを使用した酵母ディスプレイscFvライブラリーパニング
3回目の磁気選別から得られた酵母細胞をさらに3回のフローソーティングに供した。全ての遠心分離は3000rpmで5分間行い、全ての工程は4℃で行った。3回目の磁気選別から単離された2×109個の細胞を20℃で100mlのS-CAA-GRD培地中で一晩誘導し、そこから1×108個の細胞を1回目のフローソーティングのために採取した。細胞をペレット化し、15mlのPBEで2回洗浄し、次いで1mlのPBEに再懸濁し、ビオチン化PSMAタンパク質0.2μgと共に室温で1.5時間、次いで4℃で30分間インキュベートした。細胞をPBEで3回洗浄した後、4℃、1mlのPBE中、50μlの抗V5-Alexa647(AbD Stereo)および50μlのストレプトアビジン-PE(SA-PE)(BD biosciences)と1時間暗室でインキュベートした。染色後、細胞を15mlのPBEで3回洗浄し、フローサイトメトリーによるフロー選別のために1mlのPBEに再懸濁した。ここで、Alexa647およびPEの二重陽性細胞をPSMA結合集団として選別した。また、並行して設定した染色コントロールには、(1)染色していないコントロール、(2)抗V5-Alexa647染色のみ、(3)SA-PE染色のみを含んでいた。1.2×106個の二重陽性細胞を選別し、30℃で2日間、SD-CAAプレート上で培養した。
【0340】
第1のフローソーティングから単離した細胞を、第2および第3のフローソーティングにさらに供した。サンプル調製は、第2のフローソーティングにおいて、染色の代わりに50ngのビオチン化PSMAタンパク質および抗ビオチン-FITC(Abcam)を用いた以外は、第1のフローソーティングと同様であった。3回目のフローソーティングでは、ビオチン化PSMAタンパク質はさらに2ngに減少し、SA-PEをPSMA結合の検出に使用した。最後に、第2および第3のフローソーティングで1×106および2×104個の細胞(集団の上位0.1%)を選別した。
【0341】
実施例2:個々の抗PSMAクローンの同定
豊富なディスプレイscFvライブラリーの分泌scFvライブラリーへの変換
ディスプレイEBY100細胞中のscFv遺伝子を有するプラスミドを抽出し、分泌scFv発現のためにscFv遺伝子フラグメントを増幅して分泌ベクターpYS1にクローニングし、酵母株YVH10に形質転換した。
【0342】
酵母プラスミド抽出キット(Zymo Research)のプロトコルに従い、第3のフロー選別中に選別した上位0.1%集団の拡大後に酵母プラスミドを抽出し、以下のプライマーを用いてscFv遺伝子フラグメントをPCRによって増幅した。順方向:5’-GACTACAAGGACGACGATGAC-3’(配列番号111)、および逆方向:5’-AGTAGAATCAAGACCTAGTAGAGGG-3’(配列番号112)。次いで、増幅されたscFv遺伝子フラグメントを精製し、Sfi I/Not I線状化分泌scFv発現ベクターpYS1と共に酵母株YVH10に同時形質転換した。scFv遺伝子/ベクターのモル比は3:1であり、形質転換には1μgのベクターを用いた。YVH10コンピテント細胞の調製および形質転換は以前に記載されている(Zhaoら、J Immunol Methods.2011;363(2):221-32)。形質転換細胞をSD-CCA-Trp(SD-CAA+0.008%トリプトファン)上で30℃で2日間培養した。
【0343】
PSMA結合scFvクローンの同定
384の分泌scFvクローンを選び取り、SD-CAA-Trpで培養し、可溶性scFvの発現をS-CAA-GRD-Trp中で、96ウェルディープウェルプレートで20℃で2日間誘導した。PSMA結合scFvをELISAを用いて同定した。簡単に説明すると、ELISAプレートを4℃で一晩50μl/ウェルの1μg/mlの抗Flag抗体(Sigma)でコーティングし、PBST(0.05%Tween20を含むPBS)で2回洗浄し、PBSTM(5%乾燥ミルク(Biorad)を含むPBST)中で、室温で2時間インキュベートした。次いで、PBSTMで1:1希釈した希釈したの上清含有100μlのscFvと共に1時間室温でインキュベートし、PBSTで6回洗浄し、次いでPBSTM中の0.4μg/ml、50ml/ウェルのビオチン化PSMAタンパク質と共に室温で1時間インキュベートした。上記のように6回洗浄した後、プレートを100μlの1:1000希釈したストレプトアビジン-HRP(BD Biosciences)と共にPBSTM中、室温で1時間インキュベートし、再び6回洗浄し、TMB(KPL)および停止バッファーをプレートと共に順次インキュベートし、比色アッセイを行った。吸光度をOD450で測定した。分析した384のクローンのうち、260は陽性シグナルを示した(OD450値はバックグラウンド値の2倍より大きい)。96個の無作為に選んだクローンを、PSMA結合についてさらに分析した。結果は、全てがPSMAに特異的に結合するが、コントロールタンパク質Fc(ヒトIgG1 Fc組換えタンパク質)には結合しなかったことを示し、その中で、30クローンをプラスミド抽出のために採取し、scFvフラグメントをPCR増幅し、Qiagen PCR精製キットを用いて精製した後に配列決定した。PCRプライマーは、順方向:CTATTGCCAGCATTGCTGC(配列番号113)、逆方向:ATAGGGACCTAGACTTCAGG(配列番号114);配列決定プライマーは、順方向:CCTTCTACTCCTCCTACACC(配列番号115)、逆方向:GGAGGGCGTGAATGTAAGC(配列番号116)である。配列決定は、全てのクローンが配列番号2、配列番号4および配列番号20に示されるようなほぼ同じscFv配列、すなわちgy1を有し、配列番号38、40、42、44、46、48および50に点変異を有していた。
【0344】
実施例3:抗PSMA scFv
酵母ディスプレイライブラリーパニングは、PSMAの組換え細胞外ドメインを使用し、生細胞表面上に発現されたものとは異なるコンフォメーションを有し得る。したがって、gy1 scFvの細胞表面上に発現されたネイティブコンホーメーションPSMAへの結合能および抗原結合時の内在化を評価することが必要である。
【0345】
細胞表面上に発現されたPSMAへのgy1 scFvの結合
PSMA上のscFv gy1結合を、フローサイトメトリーを用いてLNCap FGC細胞で調べた。簡潔には、LNCap FGC細胞を、5%CO
2を含む37℃の10%FBSを含むRPMI 1640培地で培養した。細胞をPBSで洗浄し、0.02%のVersene緩衝液(1.37MのNaCl、26.8mMのKCl、80.7mMのNa
2HPO
4、14.7mMのKH
2PO
4、5.4mMの二ナトリウムEDTA、0.2%D-グルコース)を用いたインキュベーションによって剥離した。細胞をPBSで1回洗浄し、FACS(PBS含有0.2%FBS)緩衝液で3倍に希釈したgy1含有酵母上清と共に1時間氷上でインキュベートした。細胞を冷PBSで3回洗浄し、次いで、暗室で、FACS緩衝液中の1:200希釈抗V5-Alexa647と共に氷上で1時間インキュベートした。非結合抗V5-Alexa647を、冷PBSで3回洗浄して除去し、次いで、細胞を8μlのビアプローブ(BD biosciences)を含む300μlのFACSに再懸濁した。LNCap FGC細胞上のGy1結合は、フローサイトメトリーを用いて検出され、ここでは、生きた細胞のみがゲートされ、分析された。フローサイトメトリーコントロールには以下のものが含まれる:(1)FACSバッファーを含むビアプローブに再懸濁した死細胞。死細胞は、-80℃および37℃で2サイクル凍結融解することにより調製し;(2)死細胞を、ビアプローブを用いずに、FACSバッファーに再懸濁させ;(3)ビアプローブで細胞を染色せず、(4)ビアプローブのみを用いて抗V5-Alexa647を染色した。結果は、gy1 scFvがLn-Cap FGC細胞に有意に結合することができることを示した(
図1)。
【0346】
内在化
内在化は、薬剤を選択的に腫瘍細胞に送達するために使用される場合、抗体の前提条件である。ADC、免疫毒素およびナノメディシンの発生のためのgy1の可能性を評価するために、gy1内在化をフローサイトメトリーを用いて調べた。フローサイトメトリーは、内在化アッセイのための共焦点への単純な代替物である。その根拠は、内在化が37℃では非常に効率的であるが、4℃では起こらない能動的プロセスであるということである。色素標識抗体をそれぞれ37℃および4℃で細胞とインキュベートすると、抗体分子は細胞表面に結合し、その一部は37℃で内在化する。抗体は内在化が起こらないため、4℃でのみ細胞表面に結合する。次いで、トリプシンを用いて、色素標識抗体を含む全ての細胞表面タンパク質を除去する。細胞内の陽性の色素シグナルは内部移行が起こったことを示し、陰性の色素シグナルは内部移行が起こらなかったことを示す。
【0347】
簡潔に言うと、LnCap FGC細胞を2枚の48ウェルプレートに播種した。翌日、100μlのgy1 scFv含有酵母上清を、室温で1時間、200μlの容量(100μlの上清+100μlの細胞培地)中の4μlの抗V5-Alexa467と共にプレインキュベートした。次いで、細胞を培地で1回洗浄し、200μlのgy1含有培地(100μlの新鮮な培地+100μlのプレインキュベーションしたgy1-色素培地)と共に37℃および4℃でそれぞれ1時間、暗室でインキュベートした。コントロールとして、細胞を両方の温度について同じ濃縮抗V5-Alexa467とともにインキュベートした。冷PBSで2回洗浄した後、200μlのトリプシンをウェルに加えて細胞表面タンパク質をRTで30分間消化した。次いで、500μlの培地を各ウェルに添加してトリプシン処理を停止させ、細胞を2回洗浄し、次いでフローサイトメトリー分析のためにFACS緩衝液を含むビアプローブに懸濁させた。死細胞コントロールも、上述のように設定した。
【0348】
フローサイトメトリーの結果は、gy1 scFvを4℃でLn-Cap FGC細胞とともにインキュベートすると、抗体は細胞表面にしか結合できないことを示した。インキュベーションが37℃であった場合、gy1 scFvは細胞に結合するだけでなく、顕著に内在化し(
図2)、gy1抗体または抗体フラグメントを用いたPSMAの標的化した薬物送達の基礎となった。
【0349】
アフィニティー測定
SD-CAA-Trp培地で培養した可溶性gy1発現YVH10クローンを500mlまでスケールアップし、次いで細胞をペレット化し、同じ容量のYEPD-GRD-Trp誘導培地(YEPD培地は、ペプトン20g/L、酵母抽出物10g/L、デキストロース20g/Lを含む)に再懸濁させた。YEPD-GRD-Trpは、1g/Lのデキストロース、20g/Lのガラクトースおよび20g/Lのラフィノースおよび0.008%のトリプトファンを含むYEPD培地であり、20℃で4日間scFv発現を誘導する。scFvはC末端に6xHisタグを有するので、ニッケルカラムを用いてscFvを精製した。上清を0.45μmフィルターで濾過し、同じ容積のEQバッファー(0.3M NaCl、0.05Mリン酸バッファー、pH8.0)と混合することによってpHを8.0に調節し、5カラム容積のEQバッファーで平衡化したHisTrp HPカラム(GE healthcare)に入れた。カラムを10カラム容量の洗浄バッファー(10mMイミダゾールを含むEQバッファー)で洗浄し、scFvを溶出バッファー(250mMイミダゾールを含むEQバッファー)で溶出した。次いでscFvを遠心フィルターユニット(Amico)で濃縮し、イミダゾールを透析によりPBSで除去した。等分したscFvを-80℃で保存した。
【0350】
捕捉ELISAを用い、gy1 scFvの親和性を測定した。scFvのN末端およびC末端にFlagタグおよびV5タグが存在するので、これらのタグに対する抗体を用いてELISAアッセイのscFvを捕捉した。簡単に説明すると、抗Flag抗体(Sigma)を、ELISAプレートに、1μg/ml、50μl/ウェルで、4℃で一晩、PBS中でコーティングした。プレートをPBSTで2回洗浄し、PBSTMで、室温で2時間かけてブロッキングし、3個ずつ、3倍に順次希釈したgy1 scFvと共にインキュベートし、これは、100nMから開始し、PBSTM中0.137nMまで、室温で1時間かけて行った。プレートをPBSTで6回洗浄し、次いでPBSTM中の0.5μg/mlのビオチン化PSMAと共に室温でさらに1時間インキュベートした。6回洗浄した後、プレートをPBSTM中の1:1000希釈ストレプトアビジン-HRP(BD Bioscience)と共に室温で30分間インキュベートした。プレートを6回再度洗浄し、TMBと共に室温で20分間インキュベートし、比色反応を停止バッファーで停止させ、吸光度をOD450で読み取った。親和性は、GraphPad Prismソフトウェアを用いて計算し、Kd=1.165nMであった(
図3)。
【0351】
実施例4:大腸菌におけるGy1発現および精製
酵母で発現される組換えタンパク質のグリコシル化は、通常、免疫原性の問題を引き起こし、その臨床的適用を制限する可能性がある。この潜在的な問題を克服するために、大腸菌におけるgy1 scFvの原核生物発現が追求された。gy1遺伝子を増幅し、原核生物発現ベクターpET302(pET302-gy1と命名)にクローニングした後、大腸菌BL21に形質転換し、0.05mMイソプロピル-1-チオ-b-ガラクトピラノシド(IPTG)によって、30℃で4時間発現させた。ソニケーターを用いて大腸菌細胞を溶解し、次いで、上記のようにHisTrp HPカラムを用いてgy1タンパク質を精製した(
図4)。抗HER2 scFv(NCP1と命名)を同じ方法で発現および精製し、陰性コントロールとして使用した。
【0352】
フローサイトメトリーを用いて、大腸菌発現gy1 scFvのPMSA陽性細胞および陰性細胞への結合を調べた。簡単に言うと、前立腺癌細胞、LNCaP、C4-2、PC3-PSMA+およびPC3-PSMA-細胞をVersene溶液(1.37MのNaCl、26.8mMのKCl、80.7mMのNa
2HPO
4、14.7mMのKH
2PO
4、5.4mMのEDTA二ナトリウム、0.2%のD-グルコース)で剥離させ、1×10
6細胞/mlの密度でPBSに再懸濁し、細胞はPBSで洗浄し、100nMのgy1またはコントロールscFv NCP1を用い、4℃で30分間インキュベートし、その後、洗浄し、FITCコンジュゲート化マウス抗6His IgG(AbD Serotec;Bio-Rad)と共に、暗室で、4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。並行して、PSMAタンパク質発現は、PEコンジュゲート化市販抗PSMAモノクローナル抗体(Biolegend、CA、USA)によって検出された。結果は、大腸菌発現gy1がPSMA陽性細胞のみに結合できるが、陰性細胞は結合しないことを示した(
図5)。
【0353】
実施例5:細胞ELISAによるgy1親和性測定
細胞表面PSMAに対する大腸菌発現gy1 scFvの結合親和性を評価するために、PSMA陽性C4-2細胞を、96ウェルプレートに5×10
4/ウェルで播種し、一晩培養した。翌日、細胞を4%パラホルムアルデヒドで20分間固定した後、3%H
2O
2で20分間処理して内因性ペルオキシダーゼをブロックし、続いて6%ウシ血清アルブミンで30分間室温でブロッキングした。3倍連続希釈したgy1およびコントロールscFv NCP1を8100nMから0.005nMまで添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞をPBSTで洗浄し、HRP結合マウス抗6His抗体(AbD Serotec、Bio-Rad、オックスフォード、UK)と共に室温で1時間インキュベートした。3,3’、5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、eBioscience、CA、USA)を加えて比色シグナルを発色させ、15分間1M H
2SO
4でインキュベートすることにより停止させた。Sunriseマイクロプレートリーダー(Tecan、Groedig、Austria)を用いて450nmで吸光度を測定し、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて結合曲線を分析した。gy1親和性は、1部位結合双曲線方程式の非線形回帰分析を用いて計算した。大腸菌発現scFv gy1の親和性は、Kd=4.134nMとして計算した(
図6)。
【0354】
実施例6:共焦点イメージングを用いたgy1内在化アッセイ
大腸菌発現gy1 scFvを用いて、共焦点イメージングを用いた内在化を研究した。50%コンフルエンスでカバースリップ上で増殖させた前立腺細胞(すなわち、LnCap、C4-2、PC3-PSMA
+およびPC3-PSMA
-)を、200nM gy1またはNCP1と37℃で2時間インキュベートした。細胞を洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで20分間固定した。内在化gy1は、FITC結合マウス抗6His IgG(AbD Serotec; Bio-Rad)によって検出された。次いで、細胞を4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)で染色して核を可視化した。最後に、細胞をPBSで洗浄し、スライド上に載せ、レーザー走査共焦点顕微鏡(FluoView FV1000、Olympus)で観察した。結果は、強い蛍光シグナルが、PSMA陽性細胞株LNCaP、C4-2およびPC3-PSMA+の細胞質において観察され得ることを示した。PSMA陰性PC3-PSMA細胞では、蛍光シグナルは検出されない(
図7)。これらの結果は、gy1がPSMA陽性細胞に効果的に内在化され得ることをさらに実証した。
【0355】
内在化後のgy1の細胞内輸送を調べるために、C4-2細胞におけるエンドソーム、リソソーム、ゴルジ体およびER(赤色蛍光)を含む特定の細胞小器官とのgy1(緑色蛍光)の共局在を調べるために免疫蛍光染色を行った。細胞オルガネラの染色は、CellLight(登録商標)Lysosomes-RFP、CellLight(登録商標)Endosomes-RFP、CellLight(登録商標)Golgi-RFPおよびCellLight(登録商標)ER-RFPを含め、CellLight(登録商標)Reagents(Invitrogen Life technologies,CA,USA)を用い、製造業者のプロトコルに従って行われた。細胞画像は、共焦点顕微鏡(FluoView FV1000、オリンパス)を走査するレーザーによって捕捉された。結果は、4時間のインキュベーション後、gy1がエンドソームおよびリソソームに優勢に蓄積したことを示し(
図8Aの黄色蛍光)、gy1がエンドソーム-リソソーム経路を介して標的細胞に内在化することを示唆した。インキュベーション時間の異なる期間について、gy1およびGolgiまたはERのシグナル間に重複はなかった(
図8B)。
【0356】
内在化タンパク質は、主に2つの輸送経路を有する。1つはエンドソームからリソソームへと直接的に入り、もう1つはゴルジ体からERへと向かう。これは逆行性の移動と呼ばれ、輸送のリサイクルによく使われる。gy1がゴルジ装置またはERと同時染色することにより、gy1が第2の経路を使用するかどうかをさらに調べた。結果は、異なる時点でインキュベートしても、gy1の内部移行後に第2の輸送経路の可能性を排除し、gy1とGolgiまたはERとの間で共局在は観察されないことを示した(
図8B)。
【0357】
実施例7:gy1によるin vivo腫瘍標的化
in vivoでのPSMA標的化のためのgy1の能力および効率を評価し、gy1系の手術中の光学イメージングの実行可能性を評価するために、PSMA陽性および陰性の異種移植ヌードマウスモデルを、ルシフェラーゼ発現PC3-PSMA+およびPC3-PSMA-細胞を用いて確立した。異種移植腫瘍モデルは、各マウスの右股関節に0.1mL PBS中の5x10
6個のホタルルシフェラーゼ発現PC3-PSMA+またはPC3-PSMA-細胞を注射することによって発達させた。接種の2週間後、腫瘍組織を単離し、H&Eおよび免疫組織化学染色を行い、組織形態およびPSMA発現レベルを確認した。結果は、PSMAがPC3-PSMA+前立腺癌組織において検出され得るが、PC3-PSMA-前立腺癌組織において検出され得ないことを示した(
図9)。ルシフェラーゼ発現はまた、Xenogen IVISキネティックイメージングシステム(
図11、左パネル)による両方の異種移植モデルにおいて確認された。このPSMA陽性および陰性の前立腺癌異種移植片マウスモデルをgy1標的評価に使用した。
【0358】
in vivo光学イメージング研究のために、タンパク質/染料比1:20で、1mg/mlの濃度で、gy1およびNCP1タンパク質を、製造業者の指示に従い、IRDye800cwラベリングキット(Li-Cor Biosciences、ネブラスカ、USA)を用い、IRDye800で標識した。余分な色素を透析により除去した。フローサイトメトリー分析(
図10)により、色素標識は、PC3-PSMA+細胞上で確認されたgy1のPSMA結合親和性を妨害しなかった。各マウスについて、0.2μmol/kgのIRDye800標識gy1またはNCP1を静脈内に注射し、マウスを指示された時点で麻酔し、Xenogen IVIS Kineticイメージングシステムで、励起波長745nmで、IRDye800蛍光をリアルタイムの様式でモニタリングした。同一照明設定(1秒露出、f/ストップ=2)を全ての画像に使用した。生体内全身近赤外蛍光イメージング(FLI)と並行して、12時間処理した各群の5匹のマウスを屠殺し、異なる組織を単離し、それらの蛍光強度を分析した。蛍光強度は、Living Imageソフトウェアを用いて計算し、光束(p/s/cm
2/sr)として示した。
【0359】
結果は、gy1標識されたIRDye800が1時間後に全身に急速に拡散し、2時間から腫瘍組織で検出され得ることを示した。次に、gy1と標識されたIRDye800を体から徐々に除去したが、PSMA陽性腫瘍組織にはまだ特異的に保持されたが、PSMA陰性腫瘍組織には特異的に保持されなかった(
図11、右パネル、
図12)。注射後6時間で腫瘍における最高シグナル/バックグラウンド比が得られ、腫瘍内のシグナルは24時間後にほとんど検出されなかった。各群の5匹のマウスを、gy1注射の12時間後に屠殺し、さらなる生体分布評価のために異なる組織を収集した。FLIデータと一致して、PC3-PSMA+群の腫瘍組織において最も強い蛍光シグナルが検出され、腎臓、肝臓および脾臓では比較的弱いシグナルが検出され、他の組織では無視できるシグナルしか検出されない。PC3-PSMA-群では、腫瘍組織において明らかな蛍光シグナルは検出されない(
図13Aおよび
図13B)。これらのデータは、gy1が、術中の光学イメージング、PETイメージング、ナノメディシンおよび抗体薬物コンジュゲートのようなgy1を用いたPSMAターゲティングイメージングおよび治療戦略の開発を促進する、in vivoでPSMA陽性腫瘍組織を特異的に標的化および分布させることができることを示唆した。
【0360】
実施例8:完全抗体へのgy1 scFvの操作
配列番号40/41,42/43,44/45,46/47(gy1-2)の突然変異を有するGy1 scFvを、それぞれ重鎖および軽鎖の両方のためのシグナルペプチドおよび定常領域を移植することによって完全抗体に操作した。抗体生殖系列データベースの配列分析により、IGHV3-30-3*02およびIGLV1-50*01シグナルペプチド、およびIgG1およびCL1定常領域がそれぞれ重鎖および軽鎖について選択された。重鎖および軽鎖の核酸およびアミノ酸配列を配列番号52/53および60/61に示し、成熟した重鎖および軽鎖(シグナルペプチド切断後)の配列を配列番号68および69に示す。操作された完全抗体はPSMAbと命名された。重鎖および軽鎖の核酸配列をCHO細胞発現のためにコドン最適化し、合成し、ベクターpcDNA3にそれぞれクローン化した。組換えPSMAbは、製造者のプロトコル(life technologiesのFreeStyle(商標)CHO発現システム)に従って、懸濁CHO細胞(CHO-S)への1:4の比の重鎖および軽鎖発現ベクターの一時的同時トランスフェクションによって発現された。発現7日後、上清を回収し、HiTrap rProtein A FFカラム(GE healthcare life sciences)を用いてPSMAbを精製した。簡単に説明すると、上清を同量のブイファーA(20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)と混合し、0.45μm膜を通して濾過し、5カラム容量の緩衝液Aで平衡化したHiTrap rProtein A FFカラムに適用した。カラムを10カラム容量の緩衝液Aで洗浄し、抗体を緩衝液B(0.1Mクエン酸、pH3.5)で溶出し、緩衝液C(1.0Mトリス-HCl pH9.0)で中和した。抗体を透析によりPBSに緩衝液に変更し、等分し、-80℃で保存した(
図14A)。
【0361】
実施例9:PSMAb完全抗体の特性決定
アフィニティー測定
陰性コントロールとしてPSMAbの代わりにコントロールヒトIgG1(Sigma)を用い、HRP結合抗ヒトIgG Fc Ab(1:20000、Abcam)を二次抗体として用いた以外は、実施例5に記載したように、ELISAでPSMAbの親和性を測定した。PSMAbの3倍系列希釈は、100nMから開始して0.19pMに下げた。計算されたPSMAbの親和性は0.1nMである(
図14B)。
【0362】
細胞結合およびブロッキングアッセイ
細胞表面上に発現されたPSMAへのPSMAbの結合は、いくつかの前立腺細胞株、すなわちPSMA+細胞C4-2、LNCaP、PC-3-PSMA+およびPSMA-細胞PC-3およびDU-145についてフローサイトメトリーによって研究されている。簡単に説明すると、3回洗浄した後、分離した細胞をまずPSMAb、陰性コントロールヒトIgG(Sigma)または陽性コントロール抗体LNI-17(Biolegend)と共にインキュベートし、次いで1:20希釈PE結合二次抗体(Biolegend)でインキュベートした。フローサイトメトリーにより細胞結合シグナルを検出した。結果は、PSMAbはPSMA陽性細胞のみに結合することができるが、LNI-17染色によって確認されるPSMA発現レベルと一致する陰性細胞は結合できないことを示した(
図15)。
【0363】
PSMA+細胞へのPSMAbの結合がPSMA特異的であることをさらに確認するために、組換えPSMAタンパク質またはコントロールタンパク質BSAを用いてブロッキングアッセイを実施した。細胞とのインキュベーションの前に、2nMの濃度のPSMAbを、2,6および10nMの組換えPSMA、またはコントロールとして10nMのBSAと一緒に室温で2時間プレインキュベートしたことを除いて、上記のフローサイトメトリーを用いてPC3-PSMA+細胞でブロッキングアッセイを試験した。結果は、PSMA組換えタンパク質が、同じ濃度の抗体、すなわち2nMでも、PSMAbのPC3-PSMA+細胞への結合を完全にブロックすることができることを示した(
図16)。
【0364】
PSMAbの内在化
前立腺癌細胞C4-2、LNCaP、PC-3およびDU-145について、実施例6に記載したように、ただし、コントロールヒトIgG1を陰性コントロールとして使用し、二次抗体は、FITCコンジュゲート化抗ヒトIgG Fc抗体(1:50、Santa Cruz biotechnology,USA)にして、PSMAbの内在化を試験した。結果は、PSMAbが選択的かつ効果的にPSMA陽性細胞に内在化できることを示した(
図17)。
【0365】
実施例10:PSMAbのin vivo腫瘍標的化
腫瘍標的の効率およびPSMAbの術中光学イメージングの可能性を評価するために、PSMAbを近赤外色素IRDye800CWで標識し、50μg標識PSMAb/マウスをPC3-PSMA+またはPC3-PSMA-異種移植片に尾静脈注射したPSMAbのリアルタイム生体内分布を、実施例7に記載したように、Xenogen IVISキネティックイメージングシステムを用いてモニターした。in vivo光学撮像は、PSMAbが全身に急速に拡散し、注射後24時間から腫瘍組織で検出され、その後、PSMA+腫瘍では特異的に保持されているがPSMA-腫瘍では特異的に保持されている間に徐々に体から除去されたことを示した(
図18A~
図18C)。良好なシグナル/バックグラウンド比が注射後48時間で観察された(
図18A~
図18C)。scFvと比較して、完全抗体は、より長い循環時間を有し、したがって光学イメージングのためのより良いシグナル/バックグラウンド比を有する。
【0366】
実施例11:DM1抗体薬物結合
PSMA標的化ADCを開発するために、PSMAbを安定リンカーSMCCを介してDM1と結合させた(
図19)。簡単には、PSMAbを50mMリン酸カリウム、50mM NaCl、2mM EDTA、pH7.2に緩衝液交換し、濃度を4mg/mlに調整した。SMCC-DM1(Concortis Biosystems)をDMAに溶解して最終濃度10mMとした。各容量の抗体溶液に、0.43%容量のDMAを加え、混合し、次に2.67%容量の10mM SMCC-DM1を加える。DMAの最終濃度は3%(v/v)であり、薬物/Ab比は10:1である。溶液を混合しながら室温で3時間進行させ、次いで透析により緩衝液をPBSに交換した。コンジュゲートの252および280nmでの吸光度に基づいて、上記のように3.3で薬物/Abコンジュゲート比を測定した(US 20060088539 A1号)。
【0367】
実施例12:MMAEおよびMMAF抗体薬物結合
PSMA標的化ADCを開発するために、PSMAbを切断可能なリンカーMc-vc-PABを介してそれぞれMMAEおよびMMAFとコンジュゲートさせた(
図20)。抗体濃度は、0.025Mホウ酸ナトリウムpH8、0.025M NaCl、1mM DTPA中で8mg/mlに調整し、2.75モル当量のTCEPにより部分的に37℃で2時間還元した。次いで、混合物を0℃に冷却し、抗体濃度を5.625mg/mlに調整し、冷アセトニトリルに溶解した0.25容量の700mM MC-vc-PAB-MMAEおよびMC-vc-PAB-MMAFと混合し、反応を氷上で30分間継続させた。過剰のMC-vc-PAB-MMAEまたはMC-vc-PAB-MMAFをシステイン(1mM最終濃度)でクエンチした。抗体薬物コンジュゲートを、PD-10カラムを用いて記載されているように精製した(Kevin J.Hamblettら、2004,Clin Cancer Res,10;7063)。記載されているように、250および280nMでの吸光度の比を測定することにより、抗体あたり3.5および3.03のMMAEおよびMMAFについて薬物負荷を決定する(Kevin J. Hamblettら、2004、Clin Cancer Res、10;7063)。
【0368】
実施例13:PSMAbは薬物結合後のPSMA結合および内在化能力を保持する
DM1、MMAEまたはMMAFと結合させた後、PSMA結合およびPSMAb薬物コンジュゲートの内在化を、上記のフローサイトメトリーおよび共焦点イメージングによってそれぞれ評価した。結果は、PSMAb薬物コンジュゲートの抗原結合および内在化が十分に保持されていることを示した(
図21および
図22)。
【0369】
実施例14:PSMAb抗体薬物コンジュゲートのPSMA特異的細胞傷害性
PSMAbに基づくADCの細胞傷害性を、PSMA-細胞系PC-3およびPSMA+細胞系C4-2で評価した。簡潔には、C4-2およびPC-3細胞を、10%FBS、2000細胞/200mL/ウェルを有するDMEM培地中96ウェルプレートに播種した。次の日に、細胞密度は約20~30%であり、培地を、それぞれの濃度で3個ずつ、333.33nM、133.33nM、66.67nM、33.33nM、6.67nM、3.33nM、0.67nM、0.33nM、0.067nM、0.0067nM、0.00067nMおよび0.000067nMの濃度でPSMAb-DM1、PSMAb-MMAEまたはPSMAb-MMAFを含む新しい培地と交換した。各ウェルについて同じ薬物濃度で培地を毎日交換した。4日間のインキュベーション後、製造元のプロトコルに従ってalamarBlue(Invitrogen)キットを用いて細胞生存率を評価した。結果は、PSMAb-DM1、PSMAb-MMAEおよびPSMAb-MMAFは、PC-3細胞に対して毒性がないが、C4-2細胞に対して用量依存性の毒性を有し、PSMAb-DM1、PSMAb-MMAEおよびPSMAb-MMAFについてそれぞれ0.12nM、0.59nMおよび0.92nMのIC50を有していた(
図23)。
【0370】
実施例15:PSMA-ADCはPSMA+細胞のアポトーシスを特異的に誘導する
PSMA特異的細胞死滅におけるPSMAb ADCの機構をさらに調べるために、PSMAb ADC誘導アポトーシスをPC-3およびC4-2細胞で調べた。簡単に言うと、PC-3およびC4-2細胞を6ウェルプレートに2×10
5/2ml培地/ウェルの密度で播種し、一晩培養した。翌日、培地を交換し、2ml培地中、細胞をPSMAb-ADCと共に、50μg/ml、20μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0.01μg/mlおよび0.001μg/mlの濃度でインキュベートした。50mg/mlの濃度のヒトIgGおよびPSMAbをコントロールとして使用した。48時間のインキュベーション後、細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、製造者の指示に従ってAnnexin-V/PI(Roche)で染色した。アポトーシスは、早期アポトーシスを示すアネキシンV(+)/PI(-)および後期アポトーシスを示すアネキシンV(+)/PI(+)の二重陽性染色を有するフローサイトメトリーを用いて検出された。総アポトーシスは、早期アポトーシスおよび後期アポトーシスの合計である。結果は、PSMAb-DM1が主に後期アポトーシスおよびPSMAb-MMAEを誘導した一方で、3つのPSMAbに基づくADCS、すなわちPSMAb-DM1、PSMAb-MMAE、およびPSMAb-MMAFの全てが早期アポトーシスおよび後期アポトーシスの効率的誘導を可能にし、PSMAb-MMAFは主に早期アポトーシスを誘導した(
図24)。
【0371】
実施例16:配列
配列番号1 PSMAの細胞外ドメイン:
KSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVHNLTKELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYSISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLQDFDKSNPIVLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSKAWGEVKRQIYVAAFTVQAAAETLSEVA
配列番号2 gy1 scFv核酸配列:
CAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGTCACCGTCCTAGGCGGATCCTCTAGGTCAAGTTCCAGCGGCGGCGGTGGCAGCGGAGGCGGCGGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATCCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACTTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号3 gy1 scFvアミノ酸配列:
QSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYGNTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKVTVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGSTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSS
配列番号4 gy1 VL核酸配列:
CAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGTCACCGTCCTA
配列番号5 gy1 VLアミノ酸配列:
QSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYGNTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKVTVL
配列番号6 gy1 VLフレーム領域1(FR1)核酸配列:
CAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGC
配列番号7 gy1 VLフレーム領域1(FR1)アミノ酸配列:
QSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGS
配列番号8 gy1 VL CDR1核酸配列:
AGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCAT
配列番号9 gy1 VL CDR1アミノ酸配列:
SSNIGAGSH
配列番号10 gy1 VLフレーム領域2(FR2)核酸配列:
GTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTAT
配列番号11 gy1 VLフレーム領域2(FR2)アミノ酸配列:
VHWYQQVPGTAPKLLIY
配列番号12 gy1 VL CDR2核酸配列:
GGAAACACC
配列番号13 gy1 VL CDR2アミノ酸配列:
GNT
配列番号14 gy1 VLフレーム領域3(FR3)核酸配列:
AATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGT
配列番号15 gy1 VLフレーム領域3(FR3)アミノ酸配列:
NRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYC
配列番号16 gy1 VL CDR3領域核酸配列:
GCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATA
配列番号17:
ATWDDSLNGVI
配列番号18:
TTCGGCGGAGGGACCAAGGTCACCGTCCTA
配列番号19 gy1 VLフレーム領域4(FR4)アミノ酸配列:
FGGGTKVTVL
配列番号20 gy1 VH核酸配列:
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATCCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACTTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号21 gy1 VHアミノ酸配列:
EVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGSTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSS
配列番号22 gy1 VHフレーム領域1(FR1)核酸配列:
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCT
配列番号23 gy1 VHフレーム領域1(FR1)アミノ酸配列:
EVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAAS
配列番号24 gy1 VH CDR1核酸配列:
GGATCCACCCTCAGTGGCTATGCT
配列番号25 gy1 VH CDR1アミノ酸配列:
GSTLSGYA
配列番号26 gy1 VHフレーム領域2(FR2)核酸配列:
ATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTT
配列番号27 gy1 VHフレーム領域2(FR2)アミノ酸配列:
MHWVRQAPGKGLEWVAV
配列番号28 gy1 VH CDR2領域核酸配列:
ATATCATATGATGGAAGCAATAAA
配列番号29 gy1 VH CDR2領域アミノ酸配列:
ISYDGSNK
配列番号30 gy1 VHフレーム領域3(FR3)核酸配列:
TACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGT
配列番号31 gy1 VHフレーム領域3(FR3)アミノ酸配列:
YYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYC
配列番号32 gy1 VH CDR3領域核酸配列:
GCTAAAGGCCTTACTTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATC
配列番号33 gy1 VH CDR3領域アミノ酸配列:
AKGLTWGLGDNDALDI
配列番号34 gy1 VHフレーム領域4(FR4)核酸配列:
TGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号35 gy1 VHフレーム領域4(FR4)アミノ酸配列:
WGPGTTVTVSS
配列番号36 gy1 scFvリンカー核酸配列:
GGCGGATCCTCTAGGTCAAGTTCCAGCGGCGGCGGTGGCAGCGGAGGCGGCGGT
配列番号37 gy1 scFvリンカーアミノ酸配列:
GGSSRSSSSGGGGSGGGG
配列番号38 点変異を有するgy1 VLフレーム領域2(FR2)核酸配列:
GTACACTGGTACCAGCAGGCTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTAT
配列番号39 点変異を有するgy1 VLフレーム領域2(FR2)アミノ酸配列:
VHWYQQAPGTAPKLLIY (V=>A)
配列番号40 点変異を有するgy1 VL CDR2核酸配列:
GAAAACACC
配列番号41 点変異を有するgy1 VL CDR2アミノ酸配列:
E N T (G=>E)
配列番号42 点変異を有するgy1 VLフレーム領域4(FR4)核酸配列:
TTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTA
配列番号43 点変異を有するgy1 VLフレーム領域4(FR4)アミノ酸配列:
F G G G T K A T V L (V=>A)
配列番号44
GGATTCACCCTCAGTGGCTATGCT
配列番号45 点変異を有するgy1 VH CDR1アミノ配列:
G F T L S G Y A (S=>F)
配列番号46:
TACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGT
配列番号47 点変異を有するgy1 VHフレーム領域3(FR3)アミノ酸配列
Y Y A D S V K G R F T V S R D N S K N T L F L Q M N S L R P E D T A V Y Y C (I=>V)
配列番号48 点変異を有するgy1 VH CDR3領域核酸配列:
GCTAAAGGCCTTACTTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGGTATC
配列番号49 点変異をgy1 VH CDR3領域有するアミノ酸配列:
A K G L T W G L G D N D A L G I (D=>G)
配列番号50:
TGGGGCCCCGAGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号51 点変異を有するgy1 VHフレーム領域4(FR4)アミノ酸配列:
W G P E T T V T V S S (G=>E)
配列番号52 PSMAb重鎖核酸配列:
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTTTTCCTCGTTGCTCTTTTAAGAGGTGTCCAGTGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACCTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA
配列番号53 PSMAb重鎖アミノ酸配列:
M E F G L S W V F L V A L L R G V Q C E V Q L V E S G G A L A K P G G S L R L S C A A S G F T L S G Y A M H W V R Q A P G K G L E W V A V I S Y D G S N K Y Y A D S V K G R F T V S R D N S K N T L F L Q M N S L R P E D T A V Y Y C A K G L T W G L G D N D A L D I W G P G T T V T V S S A S T K G P S V F P L A P S S K S T S G G T A A L G C L V K D Y F P E P V T V S W N S G A L T S G V H T F P A V L Q S S G L Y S L S S V V T V P S S S L G T Q T Y I C N V N H K P S N T K V D K K V E P K S C D K T H T C P P C P A P E L L G G P S V F L F P P K P K D T L M I S R T P E V T C V V V D V S H E D P E V K F N W Y V D G V E V H N A K T K P R E E Q Y N S T Y R V V S V L T V L H Q D W L N G K E Y K C K V S N K A L P A P I E K T I S K A K G Q P R E P Q V Y T L P P S R D E L T K N Q V S L T C L V K G F Y P S D I A V E W E S N G Q P E N N Y K T T P P V L D S D G S F F L Y S K L T V D K S R W Q Q G N V F S C S V M H E A L H N H Y T Q K S L S L S P G K
配列番号54 PSMAb重鎖シグナルペプチド核酸配列:
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTTTTCCTCGTTGCTCTTTTAAGAGGTGTCCAGTGT
配列番号55 PSMAb重鎖シグナルペプチドアミノ酸配列:
M E F G L S W V F L V A L L R G V Q C
配列番号56 PSMAb重鎖可変領域核酸配列:
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACCTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号57 PSMAb重鎖可変領域アミノ酸配列:
E V Q L V E S G G A L A K P G G S L R L S C A A S G F T L S G Y A M H W V R Q A P G K G L E W V A V I S Y D G S N K Y Y A D S V K G R F T V S R D N S K N T L F L Q M N S L R P E D T A V Y Y C A K G L T W G L G D N D A L D I W G P G T T V T V S S
配列番号58 PSMAb重鎖定常領域核酸配列:
GCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGGGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
配列番号59 PSMAb重鎖定常領域アミノ酸配列:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号60 PSMAb軽鎖核酸配列:
ATGGCCTGGTCTCCTCTCCTCCTCACTCTCCTCGCTCACTGCACAGGGTCCTGGGCCCAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGAAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTAGGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTATCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCATGA
配列番号61 PSMAb軽鎖アミノ酸配列:
M A W S P L L L T L L A H C T G S W A Q S V L T Q P P S V S G A P G Q S V I I S C T G S S S N I G A G S H V H W Y Q Q V P G T A P K L L I Y E N T N R P S G V P D R F S G S K S G T S G S L A I T G L Q P E D E A D Y Y C A T W D D S L N G V I F G G G T K A T V L G Q P K A A P S V T L F P P S S E E L Q A N K A T L V C L I S D F Y P G A V T V A W K A D S S P V K A G V E T T T P S K Q S N N K Y A A S S Y L S L T P E Q W K S H R S Y S C Q V T H E G S T V E K T V A P T E C S
配列番号62 PSMAb軽鎖シグナルペプチド核酸配列:
ATGGCCTGGTCTCCTCTCCTCCTCACTCTCCTCGCTCACTGCACAGGGTCCTGGGCC
配列番号63 PSMAb軽鎖シグナルペプチドアミノ酸配列:
M A W S P L L L T L L A H C T G S W A
配列番号64 PSMAb軽鎖可変領域核酸配列:
CAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGAAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTA
配列番号65 PSMAb軽鎖可変領域アミノ酸配列:
Q S V L T Q P P S V S G A P G Q S V I I S C T G S S S N I G A G S H V H W Y Q Q V P G T A P K L L I Y E N T N R P S G V P D R F S G S K S G T S G S L A I T G L Q P E D E A D Y Y C A T W D D S L N G V I F G G G T K A T V L
配列番号66 PSMAb軽鎖定常領域核酸配列:
GGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTATCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCA
配列番号67 PSMAb軽鎖定常領域アミノ酸配列:
G Q P K A A P S V T L F P P S S E E L Q A N K A T L V C L I S D F Y P G A V T V A W K A D S S P V K A G V E T T T P S K Q S N N K Y A A S S Y L S L T P E Q W K S H R S Y S C Q V T H E G S T V E K T V A P T E C S
配列番号68 シグナルペプチドを含まないPSMAb重鎖アミノ酸配列:
E V Q L V E S G G A L A K P G G S L R L S C A A S G F T L S G Y A M H W V R Q A P G K G L E W V A V I S Y D G S N K Y Y A D S V K G R F T V S R D N S K N T L F L Q M N S L R P E D T A V Y Y C A K G L T W G L G D N D A L D I W G P G T T V T V S S A S T K G P S V F P L A P S S K S T S G G T A A L G C L V K D Y F P E P V T V S W N S G A L T S G V H T F P A V L Q S S G L Y S L S S V V T V P S S S L G T Q T Y I C N V N H K P S N T K V D K K V E P K S C D K T H T C P P C P A P E L L G G P S V F L F P P K P K D T L M I S R T P E V T C V V V D V S H E D P E V K F N W Y V D G V E V H N A K T K P R E E Q Y N S T Y R V V S V L T V L H Q D W L N G K E Y K C K V S N K A L P A P I E K T I S K A K G Q P R E P Q V Y T L P P S R D E L T K N Q V S L T C L V K G F Y P S D I A V E W E S N G Q P E N N Y K T T P P V L D S D G S F F L Y S K L T V D K S R W Q Q G N V F S C S V M H E A L H N H Y T Q K S L S L S P G K
配列番号69 シグナルペプチドを含まないPSMAb軽鎖アミノ酸配列:
Q S V L T Q P P S V S G A P G Q S V I I S C T G S S S N I G A G S H V H W Y Q Q V P G T A P K L L I Y E N T N R P S G V P D R F S G S K S G T S G S L A I T G L Q P E D E A D Y Y C A T W D D S L N G V I F G G G T K A T V L G Q P K A A P S V T L F P P S S E E L Q A N K A T L V C L I S D F Y P G A V T V A W K A D S S P V K A G V E T T T P S K Q S N N K Y A A S S Y L S L T P E Q W K S H R S Y S C Q V T H E G S T V E K T V A P T E C S
配列番号70 CD8aリーダー核酸配列:
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCG
配列番号71 CD8aリーダーアミノ酸配列:
MALPVTALLLPLALLLHAARP
配列番号72 CD8aヒンジ核酸配列:
ACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGAT
配列番号73 CD8aヒンジアミノ酸配列:
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD
配列番号74 CD8a膜貫通ドメイン核酸配列
ATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGC
配列番号75 CD8a膜貫通ドメインアミノ酸配列:
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC
配列番号76 4-1 BB細胞内ドメイン(ICD)核酸配列:
AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTG
配列番号77 4-1 BB細胞内ドメイン(ICD)アミノ配列:
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
配列番号78 CD3ゼータ核酸配列
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACAAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC
配列番号79 CD3ゼータアミノ酸配列:
RVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
配列番号80 gy1-2 CAR構築物核酸配列:
ATGGCCTTACCAGTGACCGCCTTGCTCCTGCCGCTGGCCTTGCTGCTCCACGCCGCCAGGCCGTCTAGACAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGAAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTAGGCGGATCCTCTAGGTCAAGTTCCAGCGGCGGCGGTGGCAGCGGAGGCGGCGGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACCTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAAGATCCACCACGACGCCAGCGCCGCGACCACCAACACCGGCGCCCACCATCGCGTCGCAGCCCCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCGTGCCGGCCAGCGGCGGGGGGCGCAGTGCACACGAGGGGGCTGGACTTCGCCTGTGATATCTACATCTGGGCGCCCTTGGCCGGGACTTGTGGGGTCCTTCTCCTGTCACTGGTTATCACCCTTTACTGCAAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCTAA
配列番号81 gy1-2 CAR構築物アミノ酸配列
MALPVTALLLPLALLLHAARPSRQSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYENTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKATVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGFTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSSRSTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
配列番号82 mOKT3マウスscFv核酸配列:
CAGGTGCAGCTGCAGCAGAGCGGCGCGGAACTGGCGCGCCCGGGCGCGAGCGTGAAAATGAGCTGCAAAGCGAGCGGCTATACCTTTACCCGCTATACCATGCATTGGGTGAAACAGCGCCCGGGCCAGGGCCTGGAATGGATTGGCTATATTAACCCGAGCCGCGGCTATACCAACTATAACCAGAAATTTAAAGATAAAGCGACCCTGACCACCGATAAAAGCAGCAGCACCGCGTATATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAAGATAGCGCGGTGTATTATTGCGCGCGCTATTATGATGATCATTATTGCCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACCCTGACCGTGAGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCCAGATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGCGATTATGAGCGCGAGCCCGGGCGAAAAAGTGACCATGACCTGCAGCGCGAGCAGCAGCGTGAGCTATATGAACTGGTATCAGCAGAAAAGCGGCACCAGCCCGAAACGCTGGATTTATGATACCAGCAAACTGGCGAGCGGCGTGCCGGCGCATTTTCGCGGCAGCGGCAGCGGCACCAGCTATAGCCTGACCATTAGCGGCATGGAAGCGGAAGATGCGGCGACCTATTATTGCCAGCAGTGGAGCAGCAACCCGTTTACCTTTGGCAGCGGCACCAAACTGGAAATTAACCGC
配列番号83 mOKT3マウスscFvアミノ酸配列:
QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINR
配列番号84 mOKT3 VH核酸配列:
CAGGTGCAGCTGCAGCAGAGCGGCGCGGAACTGGCGCGCCCGGGCGCGAGCGTGAAAATGAGCTGCAAAGCGAGCGGCTATACCTTTACCCGCTATACCATGCATTGGGTGAAACAGCGCCCGGGCCAGGGCCTGGAATGGATTGGCTATATTAACCCGAGCCGCGGCTATACCAACTATAACCAGAAATTTAAAGATAAAGCGACCCTGACCACCGATAAAAGCAGCAGCACCGCGTATATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAAGATAGCGCGGTGTATTATTGCGCGCGCTATTATGATGATCATTATTGCCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACCCTGACCGTGAGCAGC
配列番号85 mOKT3 VHアミノ酸配列:
QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSS
配列番号86 mOKT3 VL核酸配列:
CAGATTGTGCTGACCCAGAGCCCGGCGATTATGAGCGCGAGCCCGGGCGAAAAAGTGACCATGACCTGCAGCGCGAGCAGCAGCGTGAGCTATATGAACTGGTATCAGCAGAAAAGCGGCACCAGCCCGAAACGCTGGATTTATGATACCAGCAAACTGGCGAGCGGCGTGCCGGCGCATTTTCGCGGCAGCGGCAGCGGCACCAGCTATAGCCTGACCATTAGCGGCATGGAAGCGGAAGATGCGGCGACCTATTATTGCCAGCAGTGGAGCAGCAACCCGTTTACCTTTGGCAGCGGCACCAAACTGGAAATTAACCGC
配列番号87 mOKT3 VLアミノ酸配列:
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINR
配列番号88 hOKT3ヒト化scFv核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGGCGGCGTGGTGCAGCCGGGCCGCAGCCTGCGCCTGAGCTGCAAAGCGAGCGGCTATACCTTTACCCGCTATACCATGCATTGGGTGCGCCAGGCGCCGGGCAAAGGCCTGGAATGGATTGGCTATATTAACCCGAGCCGCGGCTATACCAACTATAACCAGAAAGTGAAAGATCGCTTTACCATTAGCACCGATAAAAGCAAAAGCACCGCGTTTCTGCAGATGGATAGCCTGCGCCCGGAAGATACCGGCGTGTATTTTTGCGCGCGCTATTATGATGATCATTATTGCCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACCCTGACCGTGAGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGATATTCAGATGACCCAGAGCCCGAGCAGCCTGAGCGCGAGCGTGGGCGATCGCGTGACCATTACCTGCAGCGCGAGCAGCAGCGTGAGCTATATGAACTGGTATCAGCAGACCCCGGGCAAAGCGCCGAAACGCTGGATTTATGATACCAGCAAACTGGCGAGCGGCGTGCCGAGCCGCTTTAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGATTATACCTTTACCATTAGCAGCCTGCAGCCGGAAGATATTGCGACCTATTATTGCCAGCAGTGGAGCAGCAACCCGTTTACCTTTGGCCAGGGCACCAAACTGCAGATTACCCGC
配列番号89 hOKT3ヒト化scFvアミノ酸配列:
QVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISTDKSKSTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITR
配列番号90 hOKT3 VH核酸配列:
CAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGGCGGCGTGGTGCAGCCGGGCCGCAGCCTGCGCCTGAGCTGCAAAGCGAGCGGCTATACCTTTACCCGCTATACCATGCATTGGGTGCGCCAGGCGCCGGGCAAAGGCCTGGAATGGATTGGCTATATTAACCCGAGCCGCGGCTATACCAACTATAACCAGAAAGTGAAAGATCGCTTTACCATTAGCACCGATAAAAGCAAAAGCACCGCGTTTCTGCAGATGGATAGCCTGCGCCCGGAAGATACCGGCGTGTATTTTTGCGCGCGCTATTATGATGATCATTATTGCCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACCCTGACCGTGAGCAGC
配列番号91 hOKT3 VHアミノ酸配列:
QVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISTDKSKSTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSS
配列番号92 hOKT3 VL核酸配列:
GATATTCAGATGACCCAGAGCCCGAGCAGCCTGAGCGCGAGCGTGGGCGATCGCGTGACCATTACCTGCAGCGCGAGCAGCAGCGTGAGCTATATGAACTGGTATCAGCAGACCCCGGGCAAAGCGCCGAAACGCTGGATTTATGATACCAGCAAACTGGCGAGCGGCGTGCCGAGCCGCTTTAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGATTATACCTTTACCATTAGCAGCCTGCAGCCGGAAGATATTGCGACCTATTATTGCCAGCAGTGGAGCAGCAACCCGTTTACCTTTGGCCAGGGCACCAAACTGCAGATTACCCGC
配列番号93 hOKT3 VLアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITR
配列番号94変異IGG1ヒンジ核酸配列:
GAGCCCAAATCTGCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCA
配列番号95 変異したIgG1ヒンジアミノ酸配列:
EPKSADKTHTCPPCP
配列番号96 変異したIgG4 Fc(N297A)核酸配列:
GCACCTGAGTTCCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCGCTAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
配列番号97 変異したIgG4 Fc(N297A)アミノ酸配列:
APEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号98 変異したIgG1ヒンジ-IgG4 Fc核酸配列:
GAGCCCAAATCTGCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAGTTCCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCGCTAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAA
配列番号99 変異したIgG1ヒンジ-IgG4 Fcアミノ酸配列:
EPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号100 scFv1 MCS-G4S-hOKT3 scFv-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセット核酸配列:
ACTAGTGCCACCATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTCTTCCTGGTGGCTATCTTGAAGGGTGTCCAGTGTGAATTCAAGCTTTCTAGAAGCGCTGCTAGCGGTGGAGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGGTGCAGTCAGGGGGGGGAGTCGTGCAGCCCGGTCGGTCTCTGCGTCTGTCTTGTAAGGCATCCGGTTATACTTTTACCAGGTACACAATGCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCTATATCAACCCATCCAGGGGCTACACCAACTATAATCAGAAGGTGAAGGACCGGTTCACCATCTCTACAGATAAGAGCAAGTCTACAGCCTTTCTGCAGATGGACTCCCTGAGACCTGAGGATACCGGCGTGTACTTCTGCGCTCGCTACTATGACGATCATTACTGTCTGGACTATTGGGGCCAGGGCACCACACTGACAGTGTCCAGCGGAGGAGGAGGCTCCGGAGGAGGAGGCAGCGGCGGCGGCGGCTCTGACATCCAGATGACCCAGAGCCCATCTTCCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATCACATGCTCCGCCTCCTCCTCCGTGTCCTACATGAACTGGTATCAGCAGACACCCGGCAAGGCCCCTAAGAGATGGATCTACGATACCTCCAAGCTGGCCTCCGGAGTGCCCTCTCGCTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGCACAGACTATACCTTTACAATCAGCTCTCTGCAGCCTGAGGATATCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCATTCACCTTTGGCCAGGGCACAAAGCTGCAGATCACCAGGCTCGAGCCAAAGAGCGCCGACAAGACCCACACATGCCCCCCTTGTCCAGCTCCCGAGTTTCTGGGCGGCCCATCCGTGTTCCTGTTTCCACCCAAGCCCAAGGATACACTGATGATCAGCCGGACCCCAGAGGTGACATGCGTGGTGGTGGACGTGTCTCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTTGCTTCTACATACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCATCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTATAAGTGCAAGGTGTCCAATAAGGGCCTGCCTTCTTCCATCGAGAAGACAATCAGCAAGGCTAAGGGACAGCCTCGCGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCTCCATCTCAGGAGGAGATGACAAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTATCCCTCCGACATCGCTGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCTGAGAACAATTACAAGACCACACCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCTCTTTCTTTCTGTATAGCAGACTGACCGTGGATAAGTCTCGCTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCTCCTGTTCCGTGATGCACGAGGCACTGCACAACCACTACACTCAGAAATCACTGTCACTGTCCCTGGGCAAGTAGGCGGCCGC
配列番号101 scFv1 MCS-G4S-hOKT3 scFv-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセットアミノ酸配列:
MEFGLSWVFLVAILKGVQC-MCS-QVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISTDKSKSTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号102 scFv1 MCS-G4S-mOKT3 scFv-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセット核酸配列:
ACTAGTGCCACCATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTCTTCCTGGTGGCTATCTTGAAGGGTGTCCAGTGTGAATTCAAGCTTTCTAGAAGCGCTGCTAGCGGTGGAGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGCAGCAGAGCGGTGCCGAACTGGCCCGTCCCGGAGCAAGCGTGAAAATGTCCTGTAAAGCAAGTGGCTATACCTTCACCAGGTACACAATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCAGGACAGGGCCTGGAGTGGATCGGCTATATCAACCCCTCTAGGGGCTACACAAACTATAATCAGAAGTTCAAGGACAAGGCCACCCTGACCACCGATAAGTCCAGCTCTACAGCTTACATGCAGCTGTCCAGCCTGACCAGCGAGGACTCTGCCGTGTACTATTGCGCTAGATACTATGACGATCATTACTGTCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACACTGACAGTGTCTTCCGGAGGAGGAGGCAGCGGAGGAGGAGGCTCTGGCGGCGGCGGCTCCCAGATCGTGCTGACCCAGTCCCCAGCTATCATGTCCGCCTCCCCTGGAGAGAAGGTGACCATGACATGCAGCGCCAGCTCTTCCGTGTCTTACATGAATTGGTATCAGCAGAAGTCCGGCACAAGCCCTAAGAGATGGATCTACGACACCTCTAAGCTGGCCTCCGGAGTGCCAGCTCACTTTCGCGGCTCCGGCAGCGGCACCTCTTATTCCCTGACAATCAGCGGCATGGAGGCTGAGGATGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCATCAAATCCTTTCACCTTCGGTTCAGGGACAAAACTGGAGATCAATAGGCTCGAGCCAAAGAGCGCCGACAAGACCCACACATGCCCCCCTTGTCCAGCTCCCGAGTTTCTGGGCGGCCCATCCGTGTTCCTGTTTCCACCCAAGCCCAAGGATACACTGATGATCAGCCGGACCCCAGAGGTGACATGCGTGGTGGTGGACGTGTCTCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTTGCTTCTACATACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCATCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTATAAGTGCAAGGTGTCCAATAAGGGCCTGCCTTCTTCCATCGAGAAGACAATCAGCAAGGCTAAGGGACAGCCTCGCGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCTCCATCTCAGGAGGAGATGACAAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTATCCCTCCGACATCGCTGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCTGAGAACAATTACAAGACCACACCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCTCTTTCTTTCTGTATAGCAGACTGACCGTGGATAAGTCTCGCTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCTCCTGTTCCGTGATGCACGAGGCACTGCACAACCACTACACTCAGAAATCACTGTCACTGTCCCTGGGCAAGTAGGCGGCCGC
配列番号103 scFv1 MCS-G4S-mOKT3 scFv-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセットアミノ酸配列:
MEFGLSWVFLVAILKGVQC-MCS-QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号104 抗PSMA&hOKT3二重特異性Ab抗体核酸配列(gy1-2):
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTCTTCCTGGTGGCTATCTTGAAGGGTGTCCAGTGTGAATTCCAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGAAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTAGGCGGATCCTCTAGGTCAAGTTCCAGCGGCGGCGGTGGCAGCGGAGGCGGCGGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACCTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCGGTGGAGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGGTGCAGTCAGGGGGGGGAGTCGTGCAGCCCGGTCGGTCTCTGCGTCTGTCTTGTAAGGCATCCGGTTATACTTTTACCAGGTACACAATGCACTGGGTGCGGCAGGCTCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCTATATCAACCCATCCAGGGGCTACACCAACTATAATCAGAAGGTGAAGGACCGGTTCACCATCTCTACAGATAAGAGCAAGTCTACAGCCTTTCTGCAGATGGACTCCCTGAGACCTGAGGATACCGGCGTGTACTTCTGCGCTCGCTACTATGACGATCATTACTGTCTGGACTATTGGGGCCAGGGCACCACACTGACAGTGTCCAGCGGAGGAGGAGGCTCCGGAGGAGGAGGCAGCGGCGGCGGCGGCTCTGACATCCAGATGACCCAGAGCCCATCTTCCCTGTCCGCCAGCGTGGGCGATAGAGTGACCATCACATGCTCCGCCTCCTCCTCCGTGTCCTACATGAACTGGTATCAGCAGACACCCGGCAAGGCCCCTAAGAGATGGATCTACGATACCTCCAAGCTGGCCTCCGGAGTGCCCTCTCGCTTCTCTGGCTCCGGCAGCGGCACAGACTATACCTTTACAATCAGCTCTCTGCAGCCTGAGGATATCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCATTCACCTTTGGCCAGGGCACAAAGCTGCAGATCACCAGGCTCGAGCCAAAGAGCGCCGACAAGACCCACACATGCCCCCCTTGTCCAGCTCCCGAGTTTCTGGGCGGCCCATCCGTGTTCCTGTTTCCACCCAAGCCCAAGGATACACTGATGATCAGCCGGACCCCAGAGGTGACATGCGTGGTGGTGGACGTGTCTCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTTGCTTCTACATACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCATCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTATAAGTGCAAGGTGTCCAATAAGGGCCTGCCTTCTTCCATCGAGAAGACAATCAGCAAGGCTAAGGGACAGCCTCGCGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCTCCATCTCAGGAGGAGATGACAAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTATCCCTCCGACATCGCTGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCTGAGAACAATTACAAGACCACACCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCTCTTTCTTTCTGTATAGCAGACTGACCGTGGATAAGTCTCGCTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCTCCTGTTCCGTGATGCACGAGGCACTGCACAACCACTACACTCAGAAATCACTGTCACTGTCCCTGGGCAAGTAG
配列番号105 抗PSMA&hOKT3二重特異性Abアミノ酸配列(gy1-2):
MEFGLSWVFLVAILKGVQCEFQSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYENTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKATVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGFTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSSASGGGGSQVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISTDKSKSTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号106 シグナルペプチドを含まない抗PSMA&hOKT3二重特異性Abアミノ酸配列(gy1-2)
EFQSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYENTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKATVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGFTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSSASGGGGSQVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISTDKSKSTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号107 抗PSMA&mOKT3二重特異性Ab抗体核酸配列(gy1-2):
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTCTTCCTGGTGGCTATCTTGAAGGGTGTCCAGTGTGAATTCCAGTCTGTGCTGACTCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGTGTCATTATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTCTCATGTACACTGGTACCAGCAGGTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGAAAACACCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGGTTCCCTGGCCATCACTGGACTCCAGCCTGAGGATGAGGCTGATTATTATTGTGCAACATGGGATGACAGTCTGAATGGTGTAATATTCGGCGGAGGGACCAAGGCCACCGTCCTAGGCGGATCCTCTAGGTCAAGTTCCAGCGGCGGCGGTGGCAGCGGAGGCGGCGGTGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGCCCTGGCCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCCTCAGTGGCTATGCTATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATCATATGATGGAAGCAATAAATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCGTCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTTTCTGCAAATGAACAGCCTGAGACCTGAGGACACGGCTGTGTACTATTGTGCTAAAGGCCTTACCTGGGGACTCGGTGACAATGATGCTCTCGATATCTGGGGCCCCGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCGGTGGAGGTGGATCCCAGGTCCAGCTGCAGCAGAGCGGTGCCGAACTGGCCCGTCCCGGAGCAAGCGTGAAAATGTCCTGTAAAGCAAGTGGCTATACCTTCACCAGGTACACAATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCAGGACAGGGCCTGGAGTGGATCGGCTATATCAACCCCTCTAGGGGCTACACAAACTATAATCAGAAGTTCAAGGACAAGGCCACCCTGACCACCGATAAGTCCAGCTCTACAGCTTACATGCAGCTGTCCAGCCTGACCAGCGAGGACTCTGCCGTGTACTATTGCGCTAGATACTATGACGATCATTACTGTCTGGATTATTGGGGCCAGGGCACCACACTGACAGTGTCTTCCGGAGGAGGAGGCAGCGGAGGAGGAGGCTCTGGCGGCGGCGGCTCCCAGATCGTGCTGACCCAGTCCCCAGCTATCATGTCCGCCTCCCCTGGAGAGAAGGTGACCATGACATGCAGCGCCAGCTCTTCCGTGTCTTACATGAATTGGTATCAGCAGAAGTCCGGCACAAGCCCTAAGAGATGGATCTACGACACCTCTAAGCTGGCCTCCGGAGTGCCAGCTCACTTTCGCGGCTCCGGCAGCGGCACCTCTTATTCCCTGACAATCAGCGGCATGGAGGCTGAGGATGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCATCAAATCCTTTCACCTTCGGTTCAGGGACAAAACTGGAGATCAATAGGCTCGAGCCAAAGAGCGCCGACAAGACCCACACATGCCCCCCTTGTCCAGCTCCCGAGTTTCTGGGCGGCCCATCCGTGTTCCTGTTTCCACCCAAGCCCAAGGATACACTGATGATCAGCCGGACCCCAGAGGTGACATGCGTGGTGGTGGACGTGTCTCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAATGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTTGCTTCTACATACCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGCTGCATCAGGATTGGCTGAACGGCAAGGAGTATAAGTGCAAGGTGTCCAATAAGGGCCTGCCTTCTTCCATCGAGAAGACAATCAGCAAGGCTAAGGGACAGCCTCGCGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCTCCATCTCAGGAGGAGATGACAAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTATCCCTCCGACATCGCTGTGGAGTGGGAGAGCAATGGCCAGCCTGAGAACAATTACAAGACCACACCCCCTGTGCTGGACAGCGATGGCTCTTTCTTTCTGTATAGCAGACTGACCGTGGATAAGTCTCGCTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCTCCTGTTCCGTGATGCACGAGGCACTGCACAACCACTACACTCAGAAATCACTGTCACTGTCCCTGGGCAAGTAG
配列番号108 抗PSMA&mOKT3二重特異性Ab抗体アミノ酸配列(gy1-2):
MEFGLSWVFLVAILKGVQCEFQSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYENTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKATVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGFTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSSASGGGGSQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号109 抗PSMA&mOKT3二重特異性Ab抗体アミノ酸配列(gy1-2):
EFQSVLTQPPSVSGAPGQSVIISCTGSSSNIGAGSHVHWYQQVPGTAPKLLIYENTNRPSGVPDRFSGSKSGTSGSLAITGLQPEDEADYYCATWDDSLNGVIFGGGTKATVLGGSSRSSSSGGGGSGGGGEVQLVESGGALAKPGGSLRLSCAASGFTLSGYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTVSRDNSKNTLFLQMNSLRPEDTAVYYCAKGLTWGLGDNDALDIWGPGTTVTVSSASGGGGSQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINRLEPKSADKTHTCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号110 EF1aプロモーター配列:
CGTGAGGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAGCGCACATCGCCCACAGTCCCCGAGAAGTTGGGGGGAGGGGTCGGCAATTGAACCGGTGCCTAGAGAAGGTGGCGCGGGGTAAACTGGGAAAGTGATGTCGTGTACTGGCTCCGCCTTTTTCCCGAGGGTGGGGGAGAACCGTATATAAGTGCAGTAGTCGCCGTGAACGTTCTTTTTCGCAACGGGTTTGCCGCCAGAACACAGGTAAGTGCCGTGTGTGGTTCCCGCGGGCCTGGCCTCTTTACGGGTTATGGCCCTTGCGTGCCTTGAATTACTTCCACCTGGCTGCAGTACGTGATTCTTGATCCCGAGCTTCGGGTTGGAAGTGGGTGGGAGAGTTCGAGGCCTTGCGCTTAAGGAGCCCCTTCGCCTCGTGCTTGAGTTGAGGCCTGGCCTGGGCGCTGGGGCCGCCGCGTGCGAATCTGGTGGCACCTTCGCGCCTGTCTCGCTGCTTTCGATAAGTCTCTAGCCATTTAAAATTTTTGATGACCTGCTGCGACGCTTTTTTTCTGGCAAGATAGTCTTGTAAATGCGGGCCAAGATCTGCACACTGGTATTTCGGTTTTTGGGGCCGCGGGCGGCGACGGGGCCCGTGCGTCCCAGCGCACATGTTCGGCGAGGCGGGGCCTGCGAGCGCGGCCACCGAGAATCGGACGGGGGTAGTCTCAAGCTGGCCGGCCTGCTCTGGTGCCTGGCCTCGCGCCGCCGTGTATCGCCCCGCCCTGGGCGGCAAGGCTGGCCCGGTCGGCACCAGTTGCGTGAGCGGAAAGATGGCCGCTTCCCGGCCCTGCTGCAGGGAGCTCAAAATGGAGGACGCGGCGCTCGGGAGAGCGGGCGGGTGAGTCACCCACACAAAGGAAAAGGGCCTTTCCGTCCTCAGCCGTCGCTTCATGTGACTCCACGGAGTACCGGGCGCCGTCCAGGCACCTCGATTAGTTCTCGAGCTTTTGGAGTACGTCGTCTTTAGGTTGGGGGGAGGGGTTTTATGCGATGGAGTTTCCCCACACTGAGTGGGTGGAGACTGAAGTTAGGCCAGCTTGGCACTTGATGTAATTCTCCTTGGAATTTGCCCTTTTTGAGTTTGGATCTTGGTTCATTCTCAAGCCTCAGACAGTGGTTCAAAGTTTTTTTCTTCCATTTCAGGTGTCGTGA
例示的な実施形態
本開示の他の箇所に記載された実施形態に加えて、本発明の例示的な実施形態としては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0372】
1.抗体または抗体フラグメントを含む組成物であって、前記抗体または抗体フラグメントが、以下のうち1つ以上を含む組成物:
(a)配列番号7のアミノ酸配列および配列番号7に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域FR1;
(b)配列番号9のアミノ酸配列および配列番号9に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
(c)配列番号11、配列番号11に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号39、配列番号39に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域FR2;
(d)配列番号13、配列番号13に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号41、配列番号41に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
(e)配列番号15のアミノ酸配列および配列番号15に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域FR3;
(f)配列番号17のアミノ酸配列および配列番号17に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(g)配列番号19、配列番号19に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号43、配列番号43に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域FR4;
(h)配列番号23のアミノ酸配列および配列番号23に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR1;
(i)配列番号25、配列番号25に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号45、配列番号45に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
(j)配列番号27のアミノ酸配列および配列番号27に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR2;
(k)配列番号29のアミノ酸配列および配列番号29に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
(l)配列番号31、配列番号31に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号47、配列番号47に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR3;
(m)配列番号33、配列番号33に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号49、配列番号49に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
(n)配列番号35、配列番号35に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号51、配列番号51に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域FR4;
(o)配列番号37のアミノ酸配列および配列番号37に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むリンカードメイン。
【0373】
2.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む実施形態1に記載の組成物。
【0374】
3.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号3のアミノ酸配列を含む実施形態1に記載の組成物。
【0375】
4.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号39、配列番号45および配列番号51を含む実施形態1に記載の組成物。
【0376】
5.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号41、配列番号43、配列番号45および配列番号47を含む実施形態1に記載の組成物。
【0377】
6.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号45および配列番号49を含む実施形態1に記載の組成物。
【0378】
7.抗体または抗体フラグメントを含む組成物であって、前記抗体または抗体フラグメントが、以下のうち1つ以上を含む組成物:
(a)配列番号55のアミノ酸配列および配列番号55に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖シグナルペプチド;
(b)配列番号57のアミノ酸配列および配列番号57に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(c)配列番号59のアミノ酸配列および配列番号59に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域;
(d)配列番号63のアミノ酸配列および配列番号63に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖シグナルペプチド;
(e)配列番号65のアミノ酸配列および配列番号65に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号67のアミノ酸配列および配列番号67に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域。
【0379】
8.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む実施形態7に記載の組成物。
【0380】
9.前記抗体または抗体フラグメントが、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む実施形態7に記載の組成物。
【0381】
10.前記抗体またはその抗体フラグメントが、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgD、IgEからなる群から選択されるか、またはIgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgAsec、IgAまたはIgEの免疫グロブリン定常ドメインおよび/または可変ドメインを含む、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
【0382】
11.前記抗体または抗原結合フラグメントが、ラムダ、カッパまたはそのバリアントの部分軽鎖定常領域または全軽鎖定常領域を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
【0383】
12.前記抗体または抗体フラグメントが、組換え抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0384】
13.前記抗体または抗体フラグメントが、モノクローナル抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0385】
14.前記抗体または抗体フラグメントが、ポリクローナル抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0386】
15.前記抗体または抗体フラグメントが、モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体の混合物である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0387】
16.前記抗体または抗体フラグメントが、ヒト抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0388】
17.前記抗体または抗体フラグメントが、ヒト化抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0389】
18.前記抗体または抗体フラグメントが、キメラ抗体である、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0390】
19.抗体または抗体フラグメントをコードする単離された核酸分子を含む組成物であって、前記単離された核酸分子が、以下のうち1つ以上を含む組成物:
(a)配列番号7のアミノ酸配列および配列番号7に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域FR1をコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号9のアミノ酸配列および配列番号9に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR1をコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号11、配列番号11に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号39、配列番号39に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域FR2をコードするヌクレオチド配列;
(d)配列番号13、配列番号13に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号41、配列番号41に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR2をコードするヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列;
(e)配列番号15のアミノ酸配列および配列番号15に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域FR3をコードするヌクレオチド配列;
(f)配列番号17のアミノ酸配列および配列番号17に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR3をコードするヌクレオチド配列;
(g)配列番号19、配列番号19に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号43、配列番号43に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域FR4をコードするヌクレオチド配列;
(h)配列番号23のアミノ酸配列および配列番号23に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域FR1をコードするヌクレオチド配列;
(i)配列番号25、配列番号25に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号45、配列番号45に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR1をコードするヌクレオチド配列;
(j)配列番号27のアミノ酸配列および配列番号27に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域FR2をコードするヌクレオチド配列;
(k)配列番号29のアミノ酸配列および配列番号29に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR2をコードするヌクレオチド配列;
(l)配列番号31、配列番号31に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号47、配列番号47に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域FR3をコードするヌクレオチド配列;
(m)配列番号33、配列番号33に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号49、配列番号49に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR3をコードするヌクレオチド配列;
(n)配列番号35、配列番号35に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号51、配列番号51に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域FR4をコードするヌクレオチド配列;
(o)配列番号37のアミノ酸配列および配列番号37に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、リンカードメインをコードするヌクレオチド配列。
【0391】
20.前記単離された核酸分子が、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列と、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態19に記載の組成物。
【0392】
21.前記単離された核酸分子が、配列番号3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、実施形態19に記載の組成物。
【0393】
22.前記単離された核酸分子が、配列番号39をコードするヌクレオチド配列と、配列番号45をコードするヌクレオチド配列と、配列番号51をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態19に記載の組成物。
【0394】
23.前記単離された核酸分子が、配列番号41をコードするヌクレオチド配列と、配列番号43をコードするヌクレオチド配列と、配列番号45をコードするヌクレオチド配列と、配列番号47をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態19に記載の組成物。
【0395】
24.前記単離された核酸分子が、配列番号45をコードするヌクレオチド配列と、配列番号49をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態19に記載の組成物。
【0396】
25.抗体または抗体フラグメントをコードする単離された核酸分子を含む組成物であって、前記単離された核酸分子が、以下のうち1つ以上を含む、組成物:
(a)配列番号6のヌクレオチド配列および配列番号6に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖可変領域FR1をコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号8のヌクレオチド配列および配列番号8に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖CDR1をコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号10、配列番号10に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号38、配列番号38に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖可変領域FR2をコードするヌクレオチド配列;
(d)配列番号12、配列番号12に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号40、配列番号40に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖CDR2をコードするヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列;
(e)配列番号14のヌクレオチド配列および配列番号14に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖可変領域FR3をコードするヌクレオチド配列;
(f)配列番号16のヌクレオチド配列および配列番号16に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖CDR3をコードするヌクレオチド配列;
(g)配列番号18、配列番号18に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号42、配列番号42に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖可変領域FR4をコードするヌクレオチド配列;
(h)配列番号22のヌクレオチド配列および配列番号22に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖可変領域FR1をコードするヌクレオチド配列;
(i)配列番号24、配列番号24に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号44、配列番号44に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖CDR1をコードするヌクレオチド配列;
(j)配列番号26のヌクレオチド配列および配列番号26に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖可変領域FR2をコードするヌクレオチド配列;
(k)配列番号28のヌクレオチド配列および配列番号28に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖CDR2をコードするヌクレオチド配列;
(l)配列番号30、配列番号30に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号46、配列番号46に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖可変領域FR3をコードするヌクレオチド配列;
(m)配列番号32、配列番号32に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号48、配列番号48に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖CD3をコードするヌクレオチド配列;
(n)配列番号34、配列番号34に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列、配列番号50、配列番号50に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖可変領域FR4をコードするヌクレオチド配列;
(o)配列番号36のヌクレオチド配列および配列番号36に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択されるリンカードメインをコードするヌクレオチド配列。
【0397】
26.前記単離された核酸分子が、配列番号4のヌクレオチド配列と、配列番号20のヌクレオチド配列とを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0398】
27.前記単離された核酸分子が、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、実施形態25に記載の組成物。
【0399】
28.前記単離された核酸分子が、配列番号38のヌクレオチド配列と、配列番号44のヌクレオチド配列と、配列番号50のヌクレオチド配列とを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0400】
29.前記単離された核酸分子が、配列番号40のヌクレオチド配列と、配列番号42のヌクレオチド配列と、配列番号44のヌクレオチド配列と、配列番号46のヌクレオチド配列とを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0401】
30.前記単離された核酸分子が、配列番号44のヌクレオチド配列と、配列番号48のヌクレオチド配列とを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0402】
31.抗体または抗体フラグメントをコードする単離された核酸分子を含む組成物であって、前記単離された核酸分子が、以下のうち1つ以上を含む組成物:
(a)配列番号55のアミノ酸配列および配列番号55に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号57のアミノ酸配列および配列番号57に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号59のアミノ酸配列および配列番号59に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列;
(d)配列番号63のアミノ酸配列および配列番号63に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)配列番号65のアミノ酸配列および配列番号65に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列;
(f)配列番号67のアミノ酸配列および配列番号67に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列。
【0403】
32.前記単離された核酸分子が、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態31に記載の組成物。
【0404】
33.前記単離された核酸分子が、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列と、配列番号61のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列とを含む、実施形態31に記載の組成物。
【0405】
34.抗体または抗体フラグメントをコードする単離された核酸分子を含む組成物であって、前記単離された核酸分子が、以下のうち1つ以上を含む組成物:
(a)配列番号54のヌクレオチド配列および配列番号54に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号56のヌクレオチド配列および配列番号56に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列;
(c)配列番号58のヌクレオチド配列および配列番号58に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列;
(d)配列番号62のヌクレオチド配列および配列番号62に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(e)配列番号64のヌクレオチド配列および配列番号64に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列;
(f)配列番号66のヌクレオチド配列および配列番号66に対して約90%を超える相同性を有するヌクレオチド配列からなる群から選択される軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列。
【0406】
35.前記単離された核酸分子が、配列番号52のヌクレオチド配列と、配列番号60のヌクレオチド配列とを含む、実施形態34に記載の組成物。
【0407】
36.前記組成物が、前記単離された核酸分子を含むベクターである、実施形態19~35のいずれかに記載の組成物。
【0408】
37.前記ベクターが、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターからなる群から選択される、実施形態36に記載の組成物。
【0409】
38.前記組成物が、前記抗体または抗体フラグメントを含む細胞である、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物。
【0410】
39.前記組成物が、前記単離された核酸分子を含む細胞である、実施形態19~35のいずれかに記載の組成物。
【0411】
40.前記細胞が、ファージ、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、またはCHO、HEK293、またはPER.C6などの哺乳動物細胞である、実施形態38~39のいずれかに記載の組成物。
【0412】
41.前記細胞が、in vitro発現系またはin vivo発現系、例えば、タンパク質発現のための操作された動物である、実施形態38~40のいずれかに記載の組成物。
【0413】
42.PSMAの発現に関連する疾患を有する被験体を治療する方法であって、有効量の実施形態1~41のいずれかに記載の組成物を被験体に投与することを含む方法。
【0414】
43.前記組成物は、生物学的に活性な薬剤に対して、共有結合または非共有結合によって操作可能に連結した抗体または抗体フラグメントを含む抗体薬物コンジュゲートであり、前記薬物は、毒素、放射性同位体、ナノ粒子、酵素、生物活性ペプチドまたはヌクレオチドである、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物。
【0415】
44.前記抗体薬剤コンジュゲートが、以下の式を有する、実施形態43の組成物:
Ab-(LU-D)p
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、ここで、
Abは、抗体または抗体フラグメントであり;
(LU-D)は、リンカー単位-薬物単位部分であり、ここで、
LU-は、リンカー単位であり;
-Dは、毒素、放射性同位体、ナノ粒子、酵素、生物活性ペプチドまたはヌクレオチドを表す薬物単位であり;
pは、1~20の整数である。
【0416】
45.前記抗体薬剤コンジュゲートが、以下の式を有する、実施形態43の組成物:
Ab-(Aa-Ww-Yy-D)p
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、ここで、
Abは、抗体または抗体フラグメントであり;
-Aa-Ww-Yy-は、リンカー単位(LU)であり;
-A-は、伸張ユニットであり、
aは、0または1であり、
各-W-は、独立して、アミノ酸単位であり、
wは、0~12の整数であり、
-Y-は、自己犠牲スペーサ単位であり、
yは、0、1または2であり;
-Dは、毒素、放射性同位体、ナノ粒子、酵素、生物活性ペプチドまたはヌクレオチドを表す薬物単位であり;
pは、1~20の整数である。
【0417】
46.前記毒素、放射性同位体、ナノ粒子、生物活性ペプチドまたはヌクレオチドは、以下の式を有する担体を介して間接的に抗体または抗体フラグメントに標識されている、実施形態43に記載の組成物:
Ab-{担体-(LU-D)p}n
または
Ab-{担体-(Aa-Ww-Yy-D)p}n
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、ここで、
Abは、抗体または抗体フラグメントであり;
(LU-D)は、リンカー単位-薬物単位部分であり、ここで、
LU-は、リンカー単位であり;
-Aa-Ww-Yy-は、リンカー単位(LU)であり;
-A-は、伸張ユニットであり、
aは、0または1であり、
各-W-は、独立して、アミノ酸単位であり、
wは、0~12の整数であり、
-Y-は、自己犠牲スペーサ単位であり、
yは、0、1または2であり;
-Dは、毒素、放射性同位体、ナノ粒子、酵素、生物活性ペプチドまたはヌクレオチドを表す薬物単位であり;
pは、1~20の整数であり、
担体は、ポリマー、PEG、ペプチド、糖、化合物または薬物単位との間接抗体コンジュゲートのための薬物単位(複数可)を保持するために使用されているヌクレオチドであり、
Nは、1~20の整数である組成物。
【0418】
47.前記リンカーが、開裂可能であるか、または開裂不能であり、安定であるか、または酸に不安定である、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0419】
48.前記リンカーが、ペプチド、ポリマー、PEG、糖、化合物、ヌクレオチドである、実施態様43~46のいずれかに記載の組成物。
【0420】
49.前記リンカーが、SMCC、MC、MP、val-cit(VC)、ala-phe、PAB、SPP、SPDB、SIAB、MC-vc、MC-vc-PAB、ヒドラゾンまたはマレイミドカプロイルである、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0421】
50.前記毒素が、メイタンシノイド、オーリスタチン、カリケアマイシン、ドラスタチン、ドキソルビシンまたはこれらの組合せ、例えば、DM1、DM4、MMAE、MMAF、ドラスタチン10、ドラスタチン15、カリケアマイシンまたはドキソルビシンである、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0422】
51.前記毒素が、サポリン、ジフテリア毒素、ジフテリア毒素A、シュードモナス外毒素、シュードモナス外毒素PE38、カスパーゼ-3、カスパーゼ-9、グランザイムB、リンパ毒素、パーフォリン、アポトーシス誘導因子、DNAse、DNAse A、シトクロムC、ボツリヌス、アンギオゲニン、コリシン、リシンA、またはこれらの組合せの部分的な単位または全毒素である、実施態様43~46のいずれかに記載の組成物。
【0423】
52.前記放射性同位体は、α、β、γまたはポジトロン線を発する、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0424】
53.前記放射性同位体が、モリブデン-99、テクネチウム-99m、ビスマス-213、クロム-51、コバルト-60、銅-64、ジスプロシウム-165、エルビウム-169、ホルミウム-166、ヨウ素-125、イリジウム-192、鉄-59、ルテチウム-177、パラジウム-103、リン-32、カリウム-42、レニウム-186、レニウム-188、サマリウム-153、セレニウム-75、ナトリウム-24(15h)、ストロンチウム-89、キセノン-133、イッテルビウム-169、イットリウム-90、炭素-11、窒素-13、酸素-15、コバルト-57、ガリウム-67、インジウム-111、ヨウ素-123、ヨウ素-131、クリプトン-81m、ルビジウム-82、ストロンチウム-92、タリウム-201、ロジウム-86、ロジウム-188、銅-67、臭素-77、鉛-212、ラジウム-224、ラジウム-223Ra、臭素-76、ヨウ素-124、イットリウム-86、テクネチウム-94m、ガリウム-68、ガリウム-66、銅-60、ジルコニウム-89、炭素-11、窒素-13、酸素-15、フッ素-18、ルビジウム-82からなる群から選択される、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0425】
54.前記ナノ粒子が、イメージングプローブ、イメージングコントラスト、遺伝子、薬物、プレドラッグまたはこれらの組合せを含有する、診断、治療またはセラノスティックである、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0426】
55.前記生物活性ペプチドが、アルファインターフェロン、ベータインターフェロン、ガンマインターフェロン、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-8、インターロイキン-10、インターロイキン-12、インターロイキン-15、インターロイキン-18、インターロイキン-21、インターロイキン-23、ガンマTNF、ベータTGF、GM-CSF、G-CSFなどのサイトカイン、またはいくつかのサイトカインの組合せである、実施形態43~46のいずれかに記載の組成物。
【0427】
56.前記組成物は、同じ抗原上または異なる抗原上にある2つ以上の異なるエピトープに結合する多重特異性抗体を含み、エピトープの1つがヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)上にある、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物。
【0428】
57.前記多重特異性抗体が、二重特異性抗体である、実施形態56に記載の組成物。
【0429】
58.前記二重特異性抗体が、以下を含む、実施形態57に記載の組成物:
(a)以下の式:Vl-Ll-V2-L2-V3-L3-V4-L4-Fcを有するアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖;ここで、Fcは、ヒトIgG Fcポリペプチド鎖であり;VI、V2、V3およびV4のうちの2つは免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域であり、他の2つは免疫グロブリン軽鎖可変(VL)領域であり;LI、L2、L3およびL4は、リンカーであり;L2は、存在しても存在しなくてもよく;L4は、C220での突然変異を有するIgG1ヒンジであり;
(b)以下の式:Fc-L4-Vl-Ll-V2-L2-V3-L3-V4を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖;ここで、Fcは、ヒトIgG Fcポリペプチド鎖であり;Fcのジスルフィド結合は、FcのN末端またはC末端にあってもよく;VI、V2、V3およびV4のうちの2つはVH領域であり、他の2つはVL領域であり;LI、L2、L3およびL4は、リンカーであり;L2は、存在しても存在しなくてもよく;L4は、C220での突然変異を有するIgG1ヒンジであり;
(c)以下の式:標的部分-L4-Fcを有するアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖;ここで、Fcは、ヒトIgG Fcポリペプチド鎖であり;L4は、C220での突然変異を有するIgG1ヒンジであり;または
(d)以下の式:Fc-L4-標的部分を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド鎖;ここで、Fcは、ヒトIgG Fcポリペプチド鎖であり;L4は、C220での突然変異を有するIgG1ヒンジであり;
二重特異性抗体が標的細胞および免疫エフェクター細胞に結合し、および/または免疫エフェクター細胞による標的細胞の細胞溶解を媒介し、
二重特異性抗体がダイマーである。
【0430】
59.(a)または(b)のFcポリペプチド鎖がIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fcポリペプチド鎖である、実施形態58に記載の組成物。
【0431】
60.(a)または(b)のFcポリペプチド鎖が、L234A、L235A、N297Aの1つ以上の突然変異を有するIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fcポリペプチド鎖である、実施形態58に記載の組成物。
【0432】
61.(a)または(b)のFcポリペプチド鎖が、L234A、L235A、N297Aの1つ以上の突然変異を有するIgG4 Fcである、実施形態58に記載の組成物。
【0433】
62.前記L4が、C220A、C220G、C220SのようなC220での突然変異を有するIgG1ヒンジである、実施形態58に記載の組成物。
【0434】
63.前記二重特異性抗体が、第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含み、第2の抗原結合領域が、ヒトCD3上のエピトープに結合し、第1の抗原結合領域が、抗体または抗原フラグメントを含み、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)上のエピトープに結合する実施形態58~62のいずれかに記載の組成物。
【0435】
64.前記二重特異性抗体が、二価、三価または四価である、実施形態58~62のいずれかに記載の組成物。
【0436】
66.二重特異性抗体が、タンデムscFv(taFvまたはscFv2)、ダイアボディ、dAb2A/HH2、ノブ・イン・ホール誘導体、SEED-lgG、ヘテロFc-scFv、Fab-scFv、scFv-Jun/Fos、Fab’-Jun/Fos、トリボディ、DNL-F(ab)3、scFv3-CH1/CL、Fab-scFv2、IgG-scFab、IgG-scFv、scFv-IgG、scFv2-Fc、F(ab’)2-scFv2、scDB-Fc、scDb-CH3、Db-Fc、scFv2-H/L、DVD-lg、tandAb、scFv-dhlx-scFv、dAb2-lgG、dAb-IgG、dAb-Fc-dAb、およびこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態58~62のいずれかに記載の組成物。
【0437】
67.二重特異性抗体が、ダイアボディまたはトリボディである、実施形態58~62のいずれかに記載の組成物。
【0438】
68.二重特異性抗体が、第1の抗原結合領域と第2の抗原結合領域を含み、第2の抗原結合領域がヒトCD3上のエピトープに結合し、第1の抗原結合領域がヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)上のエピトープに結合し、第2の抗原結合領域が、以下からなる群から選択される、実施形態58~67のいずれかの組成物:
(a)配列番号85のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域(VH)と、配列番号87の配列を含むVL領域とを含む抗体、および
(b)配列番号91の配列を含む可変重鎖領域(VH)と、配列番号93の配列を含む可変軽鎖(VL)領域とを含む抗体。
【0439】
69.第2の抗原結合領域(ヒトCD3)の抗体または抗原結合領域が、以下からなる群より選択される、実施形態68に記載の組成物:
(a)配列番号83のアミノ酸配列を含む抗体または抗原結合領域、および
(b)配列番号89のアミノ酸配列を含む抗体または抗原結合領域。
【0440】
70.二重特異性抗体が、配列番号101のアミノ酸配列または配列番号103のアミノ酸配列をコードするシグナルペプチド-scFv1-MCS-scFv2-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセットを含む、実施形態68に記載の組成物。
【0441】
71.二重特異性抗体が、配列番号100の核酸配列または配列番号102の核酸配列をコードするシグナルペプチド-scFv1-MCS-scFv2-IgG1ヒンジ-IgG4 Fc発現カセットを含む、実施形態68に記載の組成物。
【0442】
72.前記二重特異性抗体が、(a)配列番号105のアミノ酸配列;(b)配列番号106のアミノ酸配列;(c)配列番号108のアミノ酸配列;(d)配列番号109のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態56~71のいずれかに記載の組成物。
【0443】
73.前記二重特異性抗体が、(a)配列番号:104の核酸配列;(b)配列番号107の核酸配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態56~71のいずれかに記載の組成物。
【0444】
74.実施形態56~73のいずれかに記載の二重特異性抗体をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを含む組成物。
【0445】
75.前記ベクターが、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターからなる群から選択される、実施形態74に記載の組成物。
【0446】
76.前記組成物が、ベクターを含む細胞である、実施形態74のいずれかに記載の組成物。
【0447】
77.前記細胞が、ファージ、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞またはCHO、HEK293、PER.C6などの哺乳類細胞、またはヒト由来の任意の細胞である、実施形態76に記載の組成物。
【0448】
78.前記細胞が、in vitro発現系またはin vivo発現系、例えば、タンパク質発現のための操作された動物である、実施形態76~77のいずれかに記載の組成物。
【0449】
79.組成物が単離されたキメラ抗原レセプター(CAR)を含み、CARが抗体または抗体フラグメント、膜貫通ドメイン、および1つ以上の刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物。
【0450】
80.CARが、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択される膜貫通ドメインを含む、実施形態79に記載の組成物。
【0451】
81.前記膜貫通ドメインが、配列番号75、および配列番号75に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施例80に記載の組成物。
【0452】
82.抗体または抗体フラグメントが、ヒンジ領域によって膜貫通ドメインに連結されている、実施形態79に記載の組成物。
【0453】
83.前記ヒンジ領域が、配列番号73を含む群から選択されるアミノ酸配列と、配列番号73と約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列とを含む、実施形態82に記載の組成物。
【0454】
84.1以上の共刺激ドメインをさらに含む、実施形態79に記載の組成物。
【0455】
85.1つまたは複数の共刺激ドメインが、OX40、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質から得られる機能性シグナル伝達ドメインである、実施形態84に記載の組成物。
【0456】
86.前記共刺激ドメインが、配列番号77からなる群から選択されるアミノ酸配列と、配列番号77と約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列とを含む、実施形態84または85に記載の組成物。
【0457】
87.細胞内シグナル伝達ドメインが、4-1BBの機能性シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能性シグナル伝達ドメインを含む、実施形態79に記載の組成物。
【0458】
88.前記細胞内シグナル伝達ドメインが、配列番号77、配列番号77に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列、配列番号79、配列番号79に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態87に記載の組成物。
【0459】
89.リーダー配列をさらに含む、実施形態79に記載の組成物。
【0460】
90.前記リーダー配列が、配列番号71を含む、実施形態89に記載の組成物。
【0461】
91.CARが、配列番号81、および配列番号81に対して約90%を超える相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施例79に記載の組成物。
【0462】
92.前記組成物が、CARをコードする単離された核酸分子を含み、CARが、抗体または抗体フラグメント、膜貫通ドメイン、および1つ以上の刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態19~35のいずれかに記載の組成物。
【0463】
93.前記組成物が、CARをコードする核酸分子を含むベクターである、実施形態92に記載の組成物。
【0464】
94.前記ベクターが、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターからなる群から選択される、実施形態93に記載の組成物。
【0465】
95.前記ベクターが、プロモーターをさらに含む、実施形態93に記載の組成物。
【0466】
96.前記プロモーターが、EF-1プロモーターである、実施形態95に記載の組成物。
【0467】
97.前記EF-1プロモーターが、配列番号110の配列を含む、実施形態96に記載の組成物。
【0468】
98.前記組成物が、CARをコードする単離された核酸分子を含む細胞を含み、CARが、抗体または抗体フラグメント、膜貫通ドメイン、および1つ以上の刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態92に記載の組成物。
【0469】
99.前記細胞が、ヒトT細胞である、実施形態98に記載の組成物。
【0470】
100.前記T細胞が、CD8+T細胞である、請求項99に記載の組成物。
【0471】
101.実施態様93-97のいずれかの組成物を用い、T細胞に形質導入することを含む、細胞を作製する方法。
【0472】
102.PSMAの発現に関連する疾患を有する被験体を治療する方法であって、有効量の実施態様79~100のいずれかに記載の組成物を被験体に投与することを含む方法。
【0473】
103.前記組成物が、自己T細胞である、実施形態102に記載の方法。
【0474】
104.前記組成物が、同種異系T細胞である、実施形態102に記載の方法。
【0475】
105.PSMAの発現に関連する疾患を有する被験体を治療する方法であって、有効量の実施形態43~55のいずれかに記載の組成物を被験体に投与することを含む方法。
【0476】
106.PSMAの発現に関連する疾患を有する被験体を治療する方法であって、有効量の実施形態56~78のいずれかに記載の組成物を被験体に投与することを含む方法。
【0477】
107.哺乳動物においてPSMAの発現に関連する疾患の存在を診断する方法であって、この方法が、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物を含む組成物を用い、前記哺乳動物から単離された組織サンプルをサンプリングすることを含み、前記組織サンプルに対する抗体または抗体フラグメントの特異的な結合が、前記哺乳動物におけるPSMAの発現に関連する疾患の存在の指標となる方法。
【0478】
108.薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、化学療法薬、他の治療薬またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~41のいずれかに記載の組成物。
【0479】
109.薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、化学療法薬、他の治療薬またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態43~55のいずれかに記載の組成物。
【0480】
110.薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、化学療法薬、他の治療薬またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態56~78のいずれかに記載の組成物。
【0481】
111.薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、化学療法薬、他の治療薬またはこれらの組合せをさらに含む、実施形態79~100のいずれかに記載の組成物。
【0482】
112.被験体におけるPSMAの発現に関連する疾患を画像化する方法であって、この方法が、実施形態1~18のいずれかに記載の組成物を適用する工程を含み、抗体または抗体フラグメントが、試薬に作動可能に連結されている方法。
【0483】
113.前記試薬が、光活性化可能な薬剤、フルオロフォア、放射性同位体、生物発光タンパク質、生物発光ペプチド、蛍光タグ、蛍光タンパク質、蛍光ペプチド、イメージングコントラスト、酵素、核磁気共鳴活性試薬またはナノ粒子である、実施形態112に記載の方法。
【0484】
114.PSMA発現に関連する疾患が、癌または悪性腫瘍などの増殖性疾患または前立腺癌などの前癌状態、または腫瘍細胞または血管新生のときにPSMAの高い発現を伴う他の固形腫瘍から選択されるか、またはPSMAの発現に関連する非癌に関連する徴候であり、固形腫瘍としては、悪性上皮腫瘍、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(脂肪肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、悪性腺腫、白血病または悪性リンパ増殖性障害、特に、例えば、肉腫、卵巣癌、乳癌、膠芽腫、胃癌、直腸癌、直腸結腸癌、肺癌、肝臓癌、甲状腺癌、リンパ腫、鼻咽頭癌、上顎洞癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌が挙げられる、実施形態42、102、105~107および112に記載の方法。
【0485】
本明細書で引用した各特許、特許出願および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、特定の実施形態を参照しつつ開示されたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および本発明の変形形態が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような実施形態および同等の全ての変形を含むと解釈されることが意図される。
【配列表】