(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】改善された低温R値を有するポリオールブレンド及び硬質フォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20230801BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20230801BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20230801BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20230801BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08K5/101
C08K5/20
C08L67/02
C08G18/42 008
(21)【出願番号】P 2020555373
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 US2019026253
(87)【国際公開番号】W WO2019199629
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カプラン, ウォーレン, エー.
(72)【発明者】
【氏名】キュイ, ゼンファ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォレク, サラ
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0240785(US,A1)
【文献】特開2007-51280(JP,A)
【文献】特開2004-75982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0232956(US,A1)
【文献】特表2012-505941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0201716(US,A1)
【文献】特表2015-512453(JP,A)
【文献】特表2019-518855(JP,A)
【文献】国際公開第2017/220332(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0233571(US,A1)
【文献】特表2005-514238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0118761(US,A1)
【文献】特開平5-186678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G、C08K、C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
90~99重量%の(a)150~400mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有す
る芳香族ポリエステルポリオール、及び
1~10重量%の(b)C
8~C
18脂肪酸エステル及びC
8~C
18脂肪酸アミドからなる群から選択され
る脂肪酸誘導体
を含
み、
成分(b)が、メチルソイエート、メチルオレエート、メチルパルミテート、メチルミリステート、メチルラウレート、エチルソイエート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ヘキシルラウレート、スクロースモノオレエート、スクロースモノラウレート、メチルカプレート/メチルカプリレートの混合物、メチルラウレート/メチルミリステートの混合物、メチルラウレート、メチルパルミテート/メチルステアレート/メチルオレエートの混合物、PEG-400ジオレエート、PEG-600ジオレエート、PEG-400ジイソステアレート、PEG-400ジラウレート、PEG-400ジソイエート、PEG-600ジラウレート若しくはこれらの混合物から選ばれるC
8
~C
18
脂肪酸エステル、又はN,N-ジメチルラウラミド、N,N-ジエチルラウラミド、N,N-ジメチルミリスタミド、N,N-ジメチルコカミド、N,N-ジメチルパルミタミド若しくはこれらの混合物から選ばれるC
8
~C
18
脂肪酸アミドである、ブレンド。
【請求項2】
芳香族ポリエステルポリオールが、160~350mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項3】
芳香族ポリエステルポリオールが、200~300mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、請求項1に記載のブレンド。
【請求項4】
芳香族ポリエステルポリオールが、芳香族ポリエステルポリオールの量に対して最大20重量%の疎水性物質と部分的にエステル交換された、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項5】
芳香族ポリエステルポリオールの量に対して0.5~15重量%の非イオンアルコキシル化界面活性剤を更に含む、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項6】
芳香族ポリエステルポリオールが、1つ又は複数のフタレート系化合物又は組成物及び1つ又は複数のグリコールからの反復単位を有する、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項7】
芳香族ポリエステルポリオールが、無水フタル酸及びジエチレングリコールからの反復単位を有する、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項8】
92~98重量%の芳香族ポリエステルポリオール及び2~8重量%の脂肪酸誘導体を含む、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項9】
成分(b)が、C
8~C
14脂肪酸アミドである、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項10】
25℃で5,000cP未満の粘度を有する、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項11】
透明で均一である、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項12】
チオエーテルポリオール;ヒドロキシル基を含有するポリエステルアミド、ポリアセタール及び脂肪族ポリカーボネート;アミン末端ポリエーテル;アミン開始ポリオール;ポリエーテルポリオール;マンニッヒポリオール;非芳香族ポリエステルポリオール;グラフト分散ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールを更に含む、請求項
1に記載のブレンド。
【請求項13】
水、触媒、フォーム安定化界面活性剤、ポリイソシアネート、発泡剤及び請求項
1に記載のブレンドの反応生成物を含む、硬質PU又はPU-PIRフォーム。
【請求項14】
発泡剤がn-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
13に記載のPU又はPU-PIRフォーム。
【請求項15】
40°Fで測定したフォームの初期R値が、75°Fで測定したフォームの初期R値を満たすか又はこれを上回る、請求項
14に記載の硬質PU又はPU-PIRフォーム。
【請求項16】
75°Fと40°Fとで測定したフォームの初期R値間の差が、脂肪酸誘導体の非存在下で調製された同様のフォームの初期R値間の差より少なくとも5%大きい、請求項
14に記載の硬質PU又はPU-PIRフォーム。
【請求項17】
請求項
13に記載の硬質PU-PIRフォームを含む、屋根又は壁用途の断熱ボード。
【請求項18】
成分(b)が、N,N-ジメチルラウラミド、N,N-ジエチルラウラミド、N,N-ジメチルミリスタミド、N,N-ジメチルコカミド、N,N-ジメチルパルミタミド又はこれらの混合物から選ばれるC
8
~C
18
脂肪酸アミドである、請求項1に記載のブレンド。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は芳香族ポリエステルポリオールブレンド及び前記ブレンドから製造された硬質フォームに関する。
【0002】
[発明の背景]
硬質ポリウレタン(PU)又はポリウレタン変性ポリイソシアヌレート(PU-PIR)スプレーフォーム及びフォームボードは(とりわけ)屋根、壁、パイプ及び電化製品を断熱するために広く用いられている。断熱性能の1つの尺度は「R値」であり、R値は、熱の流れに抵抗する断熱材の能力に関係しており、値が高ければ高いほど、断熱力が高いことを示している。評価された温度勾配の平均温度が低下すると、PU又はPU-PIRフォームのR値は改善するであろう。歴史的に、これは、前の世代の発砲剤、例えばCFC、HCFC等に当てはまった。しかし、残念なことに、ペンタン異性体又はその混合物で発泡させたPU-PIRフォームはこの傾向に完全に追随していない。実際に、平均温度が75°Fから40°Fに低下すると、R値の低下がしばしば認められる。
【0003】
脂肪酸誘導体、例えば、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドは脂肪及び油から得られる。脂肪酸誘導体は、一般に、溶剤、洗剤、燃料成分として、及びパーソナルケア用途の成分として用いられる。脂肪酸誘導体は、ウレタン用途のポリオールを製造するための疎水性反応物として用いられることもある(例えば、米国特許第4,608,432号、第4,644,048号及び第5,922,779号を参照のこと)。しかし、脂肪酸誘導体と芳香族ポリエステルポリオールとの単純なブレンドは、一見したところ、硬質PU又はPU-PIRフォームの製造に用いられていない。
【0004】
オゾン層破壊及び地球温暖化問題に関する環境規制は、硬質ポリウレタンフォーム断熱業界で用いられる発泡剤の徹底的な評価をもたらした。ハロゲン化発泡剤(HCFC、HFC、HFO等)は、低温及び高温でフォームを効率的に断熱するが、低沸点炭化水素発泡剤と比較した場合、コストがかかるか、又は他の欠点を有する傾向がある。過去10年間で、ペンタンは、ポリイソシアヌレート断熱ボード業界内で好ましい発泡剤になった。硬質PU-PIRフォームの発泡剤としてのペンタン異性体の欠点は、低温で観察される断熱性能の低下である。理想的には、PU-PIRフォームは、昼夜の温度変化にかかわらず、温暖気候と寒冷気候の両方において一貫して優れた断熱性能を提供する。したがって、業界は、現在のペンタン発泡硬質フォームを変性して、低温で改善された断熱性能を提供する方法から利益を得るであろう。
【0005】
[発明の概要]
一態様において、本発明は、芳香族ポリエステルポリオール及び脂肪酸誘導体を含むブレンドに関する。ブレンドは、90~99重量%の芳香族ポリエステルポリオール、並びにC8~C18脂肪酸エステル及びC8~C18脂肪酸アミドからなる群から選択される1~10重量%の脂肪酸誘導体を含む。ポリエステルポリオールは、150~400mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。
【0006】
本発明は、水、触媒、フォーム安定化界面活性剤、ポリイソシアネート、発泡剤及びポリエステルポリオール/脂肪酸誘導体のブレンドの反応生成物を含む、硬質PU又はPU-PIRフォームを含む。好ましい態様において、発泡剤は、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン又はこれらの混合物である。
【0007】
驚くべきことに、我々は、芳香族ポリエステルポリオールと少ない割合の容易に入手できる脂肪酸誘導体とのブレンドを用いることにより、硬質フォーム、特に、ペンタン発泡フォームの低温R値を大幅に改善できることを見出した。幾つかの態様において、40°Fで測定したフォームの初期R値は、75°Fで測定したフォームの初期R値を満たすか、又はこれを上回る。他の態様において、75°Fと40°Fとで測定したフォームの初期R値間の差は、脂肪酸誘導体の非存在下で調製された同様のフォームの初期R値の差より少なくとも5%大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ステパンポール(STEPANPOL)(登録商標)PS-2352ポリエステルポリオール及び2.5~7.5重量%のステポソール(STEPOSOL)(登録商標)C-65脂肪酸メチルエステル添加剤を用いて製造した硬質フォームの初期R値対平均温度を示すプロットである(表5のデータ)。発泡剤は、50%イソペンタン/50%n-ペンタンである。
【0009】
[発明の詳細な説明]
(A.芳香族ポリエステルポリオールブレンド)
一態様において、本発明は、芳香族ポリエステルポリオール及び脂肪酸誘導体を含むブレンドに関する。本明細書で使用する「ブレンド」は、成分の未反応混合物を意味する。好ましくは、ブレンドはまた、透明で均一である。
【0010】
(1.芳香族ポリエステルポリオール)
ポリオールブレンドは芳香族ポリエステルポリオールを含む。好適な芳香族ポリエステルポリオールは、周知であり、多くが市販されている。ポリエステルポリオールは、任意選択で幾つかの脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸)内容物と共に、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体、とりわけ、1つ又は複数のフタレート系化合物又は組成物(例えば、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、DMTボトム、無水フタル酸、イソフタル酸等)、及び1つ又は複数のグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等)から製造され得る。1つの好ましい態様において、芳香族ポリエステルポリオールは、無水フタル酸及びジエチレングリコールからの反復単位を含む。
【0011】
市販の芳香族ポリエステルポリオールとしては、ステパンポール(登録商標)マークの下でStepan社から入手できる製品、特に、ステパンポール(登録商標)PSシリーズの製品、例えば、ステパンポール(登録商標)PS-1812、ステパンポール(登録商標)PS-1912、ステパンポール(登録商標)PS-1952、ステパンポール(登録商標)PS-2002、ステパンポール(登録商標)PS-2080、ステパンポール(登録商標)PS-2352、ステパンポール(登録商標)PS-2412、ステパンポール(登録商標)PS-2520、ステパンポール(登録商標)PS-2602、ステパンポール(登録商標)PS-3021、ステパンポール(登録商標)PS-3422、ステパンポール(登録商標)PS-3524等が挙げられる。好適な芳香族ポリエステルポリオールは、Huntsman(テロール(TEROL)(登録商標)ポリオール)及びINVISTA(テレート(TERATE)(登録商標)ポリオール)からも入手できる。
【0012】
芳香族ポリエステルポリオールは、ASTM E-222で測定したとき、150~400mgKOH/g、160~350mgKOH/g、又は幾つかの態様において、200~300mgKOH/g若しくは230~250mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。幾つかの態様において、ポリオールは、280~1100g/mol又は300~700g/molの数平均分子量を有する。芳香族ポリエステルポリオールは、好ましくは、5mgKOH/g未満、2mgKOH/g未満又は1mgKOH/g未満の酸価を有する。ポリオールは、25℃で25,000cP未満、25℃で10,000cP未満又は25℃で5,000cP未満の粘度を有する。幾つかの態様において、粘度は25℃で100cP~10,000cP又は25℃で500cP~5,000cPの範囲内である。
【0013】
幾つかの態様において、芳香族ポリエステルポリオール/脂肪酸誘導体のブレンドは、芳香族ポリエステルポリオールの量に対して0.5~15重量%、好ましくは1~10重量%の非イオンアルコキシル化界面活性剤を含む。これらの態様において、界面活性剤は、ブレンド成分として含まれる。場合によっては、非イオン界面活性剤の包含は、Bサイド成分の透明で均一な混合を確実にする一助となり得る。好適な非イオンアルコキシル化界面活性剤としては、例えば、アルコキシル化アルキルフェノール及び脂肪アルコールアルコキシレート、とりわけ、アルキルフェノールエトキシレート及び脂肪アルコールエトキシレートが挙げられる。他の好適な非イオンアルコキシル化界面活性剤は、その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,922,779号に記載されている。
【0014】
幾つかの態様において、芳香族ポリエステルポリオールは、当技術分野で公知のように、芳香族ポリエステルポリオールの量に対して0.1~20重量%、好ましくは0.2~10重量%の疎水性物質と部分的エステル交換される(その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,608,432号、第4,644,027号、第4,644,048号、第4,722,803号及び第5,922,779を参照のこと)。これらの態様において、芳香族ポリエステルポリオールは芳香族ジカルボン酸又は誘導体、1つ又は複数のグリコール、及び疎水性物質の反応生成物である。これらの芳香族ポリエステルポリオールは、総称して「自己相容性ポリオール」として公知である。硬質フォーム配合物の「B-サイド」成分、特に芳香族ポリエステルポリオール、脂肪酸誘導体、任意の他のポリオール、水、界面活性剤、触媒、難燃剤、及び発泡剤を組み合わせ、混合した後、ポリイソシアネートと前記成分とを組み合わせた場合、疎水性物質は均一な混合を確実にする一助となる。
【0015】
好適な部分的にエステル交換された疎水性物質は、1つ又は複数の実質的に非極性の部分を含有し、実質的に非水溶性であり、一般に、少なくとも1つのカルボン酸基、カルボン酸エステル基又はヒドロキシル基を含む。好適な疎水性物質としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセリド(例えば、脂肪及び天然油)、脂肪アルコール、アルキルフェノール等が挙げられる。脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等及びこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、脂肪酸メチルエステル、例えば、メチルラウレート、メチルパルミテート、メチルオレエート等が挙げられる。脂肪アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール等が挙げられる。天然油としては、例えば、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、トール油、獣脂等が挙げられる。アルキルフェノールとしては、例えば、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられる。
【0016】
自己相容性ポリオールを使用するのが有利であるか否かは、芳香族ポリエステルポリオールの性質、脂肪酸誘導体の性質、芳香族ポリエステルポリオールと脂肪酸誘導体の相対的比率、発泡剤の性質及び量、並びに当業者の裁量内にある他の要因を含む、多くの要因に依存する。
【0017】
他の芳香族ポリエステルポリオールがブレンドに含まれていてもよい。好適な芳香族ポリエステルポリオールの更なる例については、その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,359,022号、第5,922,779号、第4,608,432号、第4,644,048号及び第4,722,803号を参照のこと。
【0018】
幾つかの態様において、芳香族ポリエステルポリオールと共に他のポリオールタイプを含むことが望ましい場合もある。例としては、チオエーテルポリオール;ヒドロキシル基を含有するポリエステルアミド、ポリアセタール及び脂肪族ポリカーボネート;アミン末端ポリエーテル;アミン開始ポリオール;ポリエーテルポリオール;マンニッヒポリオール;非芳香族ポリエステルポリオール;グラフト分散ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
(2.脂肪酸誘導体)
ポリオールブレンドは脂肪酸誘導体を含む。ブレンドに好適な脂肪酸誘導体としては、C8~C18脂肪酸のエステル(「脂肪酸エステル」)及びC8~C18脂肪酸のアミド(「脂肪酸アミド」)が挙げられる。脂肪酸エステルと脂肪酸アミドとの混合物が使用できる。好適な脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドは周知である。これらは、自然発生の脂肪及び油から公知の方法により合成され得る。多くは、Stepan社及び他の業者から市販されている。
【0020】
脂肪酸アルキルエステル、特にC8~C18脂肪酸及びC1~C6アルコールからの脂肪酸エステル、より特に脂肪酸メチルエステルは、容易に入手でき、幾つかの態様においては好ましい。例としては、メチルソイエート、メチルオレエート、メチルリシノレート(ヒマシ油由来)、メチルパルミテート、メチルミリステート、メチルラウレート、エチルソイエート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ヘキシルラウレート等が挙げられる。
【0021】
幾つかの態様において、C8~C18脂肪酸及び糖ベースのアルコールからのエステルが使用できる。例としては、ソルビタンモノオレエート、スクロースモノオレエート、スクロースモノラウレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート等が挙げられる。
【0022】
市販の脂肪酸メチルエステルとしては、例えば、ステポソール(登録商標)マークの下で入手できるエステル、例えば、ステポソール(登録商標)C-25(メチルカプレート/メチルカプリレートの混合物、C8~C18)、ステポソール(登録商標)C-42(メチルラウレート/メチルミリステートの混合物、C12~C14)、ステポソール(登録商標)C-48(メチルラウレート、C12)及びステポソール(登録商標)C-65(メチルパルミテート/メチルステアレート/メチルオレエートの混合物、C16~C18)が挙げられる。
【0023】
好適なC8~C18脂肪酸エステルはまた、ポリエチレングリコールから製造されるジエステルを含む。好ましいジエステルにおいて、中心のPEG部分は、200~2,000g/mol又は250~1,000g/molの範囲内の分子量を有する。PEGジエステルは、対応するポリエチレングリコール及びC8~C18脂肪酸(又はトリグリセリドを含む好適な脂肪酸誘導体)から周知の方法により簡単に合成される。例としては、PEG-400ジオレエート、PEG-600ジオレエート、PEG-400ジリシノレート、PEG-400ジイソステアレート、PEG-400ジラウレート、PEG-400ジソイエート、PEG-600ジラウレート等が挙げられる。幾つかのPEGジエステルは、Oleon(ラジアサーフ(RADIASURF)(商標)マークの下で)、Hallstar(ホールスター(HALLSTAR)(登録商標)マークの下で)又は他の業者から市販されている。
【0024】
好適な脂肪酸アミドは、アンモニア又はアミン、とりわけ第2級アミン、例えば、ジメチルアミン又はジエチルアミンとC8~C18脂肪酸(又はトリグリセリドを含む、好適な脂肪酸誘導体)との名目上反応生成物である。アミンは、好ましくはC1~C10アルキル基を有する。幾つかの態様において、脂肪酸アミドはC8~C18脂肪酸のN,N-ジアルキルアミド、好ましくはN,N-ジメチルアミドである。例としては、N,N-ジメチルラウラミド、N,N-ジエチルラウラミド、N,N-ジメチルミリスタミド、N,N-ジメチルコカミド、N,N-ジメチルパルミタミド等が挙げられる。市販の脂肪酸アミドとしては、ホールコミド(登録商標)マークの下でStepanから入手できるアミド、例えば、ホールコミド(登録商標)M8-10、ホールコミド(登録商標)M10及びホールコミド(登録商標)M12-14等が挙げられる。脂肪酸アミドは、Kao Chemicals、Croda及び他の業者からも入手できる。
【0025】
脂肪酸誘導体は、芳香族ポリエステルポリオールブレンドの量に対して1~10重量%の範囲内の量で用いられる。好ましい態様において、脂肪酸誘導体は、芳香族ポリエステルポリオールブレンドの量に対して2~8重量%、又は2.5~7.5重量%の量で用いられる。
【0026】
本発明のブレンドは、芳香族ポリエステルポリオールと脂肪酸誘導体とを任意の順番で及び任意の所望の手段を用いて混合することにより製造され得る。典型的には、ポリオールと脂肪酸誘導体とを単に組み合わせて、均一な混合物が得られるまで20℃~65℃で混合する。非イオンアルコキシル化界面活性剤の包含は、良好な均一性を得るのに有用であり得る。
【0027】
(B.硬質フォーム配合物)
芳香族ポリエステルポリオールブレンドは、硬質ポリウレタン(PU)及びポリウレタン変性ポリイソシアヌレート(PU-PIR)フォームを製造するのに有用である。フォームは、水、触媒、フォーム安定化界面活性剤、ポリイソシアネート、発泡剤及び本発明のポリエステルポリオール/脂肪酸誘導体のブレンドの反応生成物である。
【0028】
(1.水)
本発明に従って製造される硬質PU及びPU-PIRフォームは、反応物として水を含む。用いられる水の量は、ポリイソシアネートの量、所望の指数、ポリエステルポリオールの性質及び量、脂肪酸誘導体の性質及び量、どの触媒、界面活性剤及び発泡剤を使用するか、並びに他の要因を含む、幾つかの要因に依存する。一般に、水は、硬質フォーム配合物中のポリエステルポリオールの量に対して0.1~3重量%、0.2~1重量%又は0.3~0.7重量%の範囲内の量で用いられる。
【0029】
(2.触媒)
使用に好適な触媒としては、イソシアネートと水との反応を触媒する化合物(「発泡触媒」)及びウレタン、尿素又はイソシアヌレート連結の形成を触媒する化合物(「PU触媒」、「PIR触媒」又は「三量体化触媒」)が挙げられる。
【0030】
アミン触媒は、一般に、第3級アミン又はアルカノールアミン、及び希釈剤、典型的にはグリコール、例えば、ジプロピレングリコールとこれらの混合物である。例としては、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジエタノールアミン、N-エチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、1,4-ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例としては、ポリキャット(POLYCAT)(登録商標)5又はポリキャット(登録商標)8(Evonik)及びニアックス(NIAX)(登録商標)A-1又はニアックス(登録商標)A-99(Momentive)が挙げられる。
【0031】
他の触媒としては、カルボキシレート(例えば、カリウムアセテート、カリウムオクトエート)、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジラウレート、第一スズオクトエート)、第4級アンモニウム化合物(例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド)等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
好適な触媒はEvonik(テゴアミン(TEGOAMIN)(登録商標)アミン触媒、コスモス(KOSMOS)(登録商標)金属触媒、ダブコ(DABCO)(登録商標)TMR触媒、ダブコ(登録商標)K-15触媒及びポリキャット(登録商標)触媒)、Huntsman(ジェフキャット(JEFFCAT)(登録商標)触媒)、King Industries(K-キャット(K-KAT)(登録商標)触媒)Momentive(ニアックス(登録商標)触媒)、Galata Chemicals(ホムレズ(FOMREZ)(登録商標)有機スズ触媒)等から入手できる。
【0033】
(3.フォーム安定化界面活性剤)
PU及びPU-PIRフォームの製造での使用に好適なフォーム安定化界面活性剤は、周知である。例としては、Evonik、Dow-Chemical、Siltech、Momentive Performance Materials等から市販されている製品が挙げられる。したがって、好適なフォーム安定化界面活性剤としては、テゴスタブ(TEGOSTAB)(登録商標)Bシリコーン界面活性剤(Evonik)、シルスタブ(SILSTAB)(登録商標)シリコーン界面活性剤(Siltech)、ボラサーフ(VORASURF)(商標)界面活性剤(Dow)、ニアックス(登録商標)界面活性剤(Momentive)等が挙げられる。多くの好適なフォーム安定化界面活性剤は、ポリシロキサン又は他のケイ素系界面活性剤である。一般に、界面活性剤は、独立気泡硬質フォームの製造を可能にする一助となるであろう。
【0034】
(4.発泡剤)
使用に好適な発泡剤は周知であり、脂肪族又は脂環式C4~C6炭化水素、水、モノ及びポリカルボン酸、並びにこれらの塩、第3級アルコール、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハロゲン化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)等、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な発泡剤の更なる例については、その教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,359,022号を参照のこと。
【0035】
ペンタン発泡剤、すなわち、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が好ましい。実際に、我々は、脂肪酸誘導体の包含が、低温R値を増加させることにより広範囲の断熱能力を可能にすることを見出した。低温R値に関しては、高い値を得るには、シクロペンタンがC5発泡剤の中で最も有効であると思われる。しかし、シクロペンタンは、n-ペンタン又はイソペンタンよりも高価であり得、フォームの寸法安定性に悪影響を与える可能性があり、したがって、コストと性能とのトレードオフがあり得る。特定のC5発泡剤(又は組み合わせ)及び使用に好ましい量は、全体的なコスト、所望されるフォームの密度、フォームの特性、加工についての考察及び当業者の裁量内にある他の要因を含む多くの要因に依存する。
【0036】
(5.ポリイソシアネート)
使用に好適なポリイソシアネートは周知であり、多くが、Dow Chemical(パピ(PAPI)(商標)、イソネート(ISONATE)(登録商標)及びボロネート(VORONATE)(商標)マークの下で)、Evonik(ベスタナト(VESTANAT)(登録商標))、BASF(ルプラネート(LUPRANATE)(登録商標))、Covestro(モンジュール(MONDUR)(登録商標)及びデスモジュール(DESMODUR)(登録商標))、Huntsman(ルビネート(RUBINATE)(登録商標))並びにポリウレタン中間体の他の業者から市販されている。使用に好適なポリイソシアネートは、2.0~3.0の範囲内の平均NCO官能性を有する。ポリイソシアネートは芳香族又は脂肪族であり得る。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はポリマージイソシアネート(p-MDI)等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化MDI、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチル又はテトラメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。2.3~3.0の範囲内のNCO官能性を有する、芳香族ポリイソシアネート、とりわけポリマーMDIが好ましい。好適なポリマーMDIとしては、例えば、ルプラネート(登録商標)M-10(平均NCO官能性=2.3)及びルプラネート(登録商標)M-20(平均NCO官能性=2.7)、BASFの製品並びにモンジュール(登録商標)489(変性ポリマーMDI、平均NCO官能性=2.9、Covestroの製品)が挙げられる。様々なポリイソシアネートの混合物が使用できる。二量体化及び三量体化ポリイソシアネートが使用できる。幾つかの態様において、芳香族ポリイソシアネート、例えば、p-MDIが好ましい。
【0037】
硬質フォームは、広範な指数範囲にわたって配合され得る。本明細書で使用する「指数」は、イソシアネートとヒドロキシル当量との比に100を乗じたものを意味する。硬質PUフォームは、比較的低い指数、例えば、90~150で製造され、硬質PU-PIRフォームは、通常比較的高い指数、例えば180~350で製造される。
【0038】
(6.他のフォーム成分)
硬質PU又はPU-PIRフォームは、難燃剤、顔料、充填剤、反応希釈剤、抗酸化剤、耐衝撃性改良剤等、及びこれらの組み合わせを含む、他の成分を含み得る。好適な難燃添加剤としては、リン、臭素、ホウ素又はこれらの元素の組み合わせを含有する、固体又は液体化合物が挙げられる。例としては、臭素化フタレートジオール、アンモニウムポリホスフェート、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、トリス(β-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート等が挙げられる。トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェートは特に好ましい。
【0039】
硬質PU又はPU-PIRフォームは、任意の所望の技術を用いて製造され得る。実験室規模の調製については、「Bサイド」成分(ポリエステルポリオール、脂肪酸誘導体、水、発泡剤、界面活性剤、触媒、難燃剤)を組み合わせ、十分に混合する。次いで、ポリイソシアネート(「Aサイド」)を急速に混合しながら添加し、十分にブレンドされた反応混合物を好適な容器又は金型に注入し、独立気泡硬質フォームを形成するのに有効な条件下で硬化する。硬質フォームのパイロット規模又は商業規模の生産は通常、機械混合、高圧衝突混合等を用いてBサイド成分とAサイド成分とを組み合わせ、反応混合物をコンベアシステム、例えば、積層コンベアに供給することを含む。所望される場合、フォームは製造後に後硬化されてもよい。フォームのR値は、ASTM C-518又は他の標準的な試験方法により決定され得る。
【0040】
我々は、特に、ペンタン発泡剤を用いた場合、低温R値が、硬質フォーム配合物中に少ない割合の脂肪酸誘導体を含むことで増加できることを見出した。以下の表1~7に示すように、様々な脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びPEGジエステルが、芳香族ポリエステルポリオール/脂肪酸誘導体のブレンドの量に対して1~10重量%で含まれる場合、脂肪酸誘導体の非存在下で40°Fで測定した初期R値と比較して、40°Fで測定した初期R値を増加させるのに有効である。顕著には、脂肪酸誘導体の存在下で40°Fで測定した値は、通常脂肪酸誘導体の存在下で75°Fで測定した値を上回る。
【0041】
以下の表において、40°Fと75°Fで測定した初期R値間の差を求め、この値を75°Fで測定した初期R値で割る。結果に100を乗じると、表2~6に示す初期R値の改善%が得られる。例えば、表2において、対照R値は6.44-6.74=-0.3、次いで、75°F対40°FでのR値の低下は-0.3/6.74×100=-4.5%となる。対照的に、5重量%のイソプロピルミリステートを添加すると、7.45-6.68=0.77となり、次いで、75°F対40°FでのR値の増加は0.77/6.68×100=+11.5%となる。
【0042】
以下の実施例は本発明を単に例示するものであり、当業者は、本発明の精神及び特許請求の範囲の範囲内の多くの変形形態を認識するであろう。
【0043】
(ポリエステルポリオール)
ステパンポール(登録商標)PS-2352:240mgKOH/gの名目ヒドロキシル価及び2.5mgKOH/g未満の酸価を有する相容性芳香族ポリエステルポリオール(別名「ポリオールA」)。
ポリオールB:240mgKOH/gの名目ヒドロキシル価及び2.5mgKOH/g未満の酸価を有する混酸の相容性芳香族ポリエステルポリオール。
ポリオールC:260mgKOH/gの名目ヒドロキシル価及び2.5mgKOH/g未満の酸価を有する相容化剤を含まない芳香族ポリエステルポリオール。
【0044】
(脂肪酸誘導体)
ステポソール(登録商標)C-25:メチルカプレート/メチルカプリレートの混合物(C8~C10)。
ステポソール(登録商標)C-42:メチルラウレート/メチルミリステートの混合物(C12~C14)。
ステポソール(登録商標)C-65:メチルパルミテート/メチルステアレート/メチルオレエートの混合物(C16~C18)。
ステポソール(登録商標)SB-D:ダイズ油系メチルエステル。
イソプロピルミリステート。
イソプロピルパルミテート。
ホールコミド(登録商標)M8-10:N,N-ジメチルカプラミド/N,N-ジメチルカプリルアミドの混合物。
ホールコミド(登録商標)M12-14:N,N-ジメチルラウラミド/N,N-ジメチルミリスタミドの混合物。
PEG-400ジソイエート。
PEG-400ジオレエート。
PEG-400ジラウレート。
(ステポソール(登録商標)及びホールコミド(登録商標)組成物はStepan社の製品である。)
【0045】
(硬質フォーム配合物)
ポリエステルポリオール、100部(重量)
脂肪酸誘導体、2.5~7.5部
フィロール(FYROL)(商標)PCF、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、ICL、12.5部
水、0.3部
テゴスタブ(登録商標)B84506界面活性剤、Evonik、3.0部
ポリキャット(登録商標)5 第3級アミン触媒、Evonik、0.28部
ニアックス(商標)触媒K-ZERO G、Momentive、3.6部
ポリキャット(登録商標)46触媒、Evonik、0.45部
発泡剤(C5化合物又はC5混合物)、24部
モンジュール(登録商標)489、変性ポリマーMDI、Covestro、174部
【0046】
標準的な手動混合技術を用いたフォームの製造後、フォームを周囲条件下で24時間放置させ、切断し、初期R値をASTM C-518に従って測定する。
【0047】
【0048】
表1の対照例は、C5発泡剤がn-ペンタン又はn-ペンタンとイソペンタンとの混合物である場合、75°Fではなく40°Fで測定したときの初期R値の低下を示している。理想的には、低温でR値の低下が見られない。この影響は、一般により高価なイソペンタン/シクロペンタンのブレンドでは見られない。5重量%のステポソール(登録商標)C-42脂肪酸メチルエステルが芳香族ポリエステルポリオール(ステパンポール(登録商標)PS-2352)と共に含まれる場合、40°F初期R値は、C5発泡剤又は組み合わせのいずれかで増加する。驚くべきことに、40°Fでの増加した初期R値は、75°Fでの対応する増加した初期R値をも上回る。
【0049】
【0050】
表2は、ステパンポール(登録商標)PS-2352と共に5重量%でブレンド添加剤として様々な脂肪酸誘導体を用いた結果、及び得られた硬質フォームの初期R値に対するそれらの影響を比較している。各例において、C5発泡剤は、75%イソペンタン/25%n-ペンタンである。表に示すように、40°F初期R値は、75°F初期R値と比較した場合、5重量%の列挙された脂肪酸誘導体のいずれか(脂肪酸エステル、PEGジエステル、及び脂肪酸アミド)を用いた場合、しばしば劇的に改善する。添加剤なし(対照例)の場合、40°F初期R値は、75°Fで測定した初期R値と比較して低下する。良好な低温初期R値を維持しながらC5発泡剤を使用する能力は、CFC、HCFC又はHFO代替物の代わりにC5発泡剤を使用する柔軟性を硬質フォーム配合物に付与する。
【0051】
【0052】
表3は、ステパンポール(登録商標)PS-2352と共に5重量%でブレンド添加剤として様々な脂肪酸誘導体を用いた結果、及び発泡剤がイソペンタンである場合の得られた硬質フォームの初期R値に対するそれらの影響を比較している。表に示すように、対照例において40°Fでの初期R値に大きな低下は見られない。しかし、5重量%の脂肪酸誘導体の包含は、多くの場合で、一般に40°F初期R値を大幅に増加させる。
【0053】
【0054】
表4は、発泡剤が70%イソペンタン/30%シクロペンタンである場合もやはり同様の結果が認められたことを示している。40°F対75°Fでの初期R値の低下はほとんど又は全く見られないが、5重量%の脂肪酸誘導体が硬質フォーム配合物に含まれる場合、低温R値の明らかな改善が見られる。
【0055】
【0056】
表5及び対応する
図1は、ステパンポール(登録商標)PS-2352ポリエステルポリオール及び50%イソペンタン/50%n-ペンタンを用いて配合された硬質フォームにおいてステポソール(登録商標)C-65添加剤の量を2.5重量%から7.5重量%まで変動した場合の影響を示している。低温初期R値の改善は、2.5重量%の添加剤でも顕著であり、とりわけ添加剤あり及びなしで製造されたフォームの75°F初期R値と40°F初期R値との間の差が認められる。値は、7.5重量%の添加剤のレベルまで増加し続ける。
【0057】
【0058】
表6は、ステパンポール(登録商標)PS-2352ポリエステルポリオール及び50%イソペンタン/50%n-ペンタンを用いて配合された硬質フォームにおいてPEG-400ジソイエート添加剤の量を2.5重量%から7.5重量%まで変動した場合の影響を示している。ステポソール(登録商標)C-65の場合と同様に、低温初期R値の改善は、2.5重量%の添加剤でも顕著であり、初期R値は、7.5重量%の添加剤のレベルまで増加する。やはり、添加剤あり及びなしで製造されたフォームの75°F初期R値と40°F初期R値との間の差が認められる。
【0059】
【0060】
表7は、他のポリエステルポリオールが、硬質フォームの製造において脂肪酸誘導体と組み合わせられた場合、同様の影響を与えることを示している。ポリオールAはステパンポール(登録商標)PS-2352、相容性芳香族ポリエステルポリオールである。ポリオールBは、混酸の相容性芳香族ポリエステルポリオールであり、ポリオールCは相容化剤を含まない芳香族ポリエステルポリオールである。いずれの場合も、5重量%のステポソール(登録商標)C-65又はPEG-400ジソイエート添加剤のいずれかとブレンドした場合、低温初期R値は、添加剤の包含により増加する。
【0061】
先行の実施例は、例示としてのみ意味される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義する。
(付記1)
(a)150~400mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、90~99重量%の芳香族ポリエステルポリオール、及び
(b)C
8
~C
18
脂肪酸エステル及びC
8
~C
18
脂肪酸アミドからなる群から選択される1~10重量%の脂肪酸誘導体
を含む、ブレンド。
(付記2)
芳香族ポリエステルポリオールが、160~350mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、付記1に記載のブレンド。
(付記3)
芳香族ポリエステルポリオールが、200~300mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する、付記1に記載のブレンド。
(付記4)
芳香族ポリエステルポリオールが、芳香族ポリエステルポリオールの量に対して最大20重量%の疎水性物質と部分的にエステル交換された、付記1~3のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記5)
芳香族ポリエステルポリオールの量に対して0.5~15重量%の非イオンアルコキシル化界面活性剤を更に含む、付記1~4のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記6)
芳香族ポリエステルポリオールが、1つ又は複数のフタレート系化合物又は組成物及び1つ又は複数のグリコールからの反復単位を有する、付記1~5のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記7)
芳香族ポリエステルポリオールが、無水フタル酸及びジエチレングリコールからの反復単位を有する、付記1~6のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記8)
92~98重量%の芳香族ポリエステルポリオール及び2~8重量%の脂肪酸誘導体を含む、付記1~7のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記9)
C
8
~C
18
脂肪酸エステルが、ポリエチレングリコールのジエステルであり、前記ポリエチレングリコールが、200~1000g/molの範囲内の数平均分子量を有する、付記1~8のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記10)
脂肪酸誘導体が、C
8
~C
18
脂肪酸エステルである、付記1~8のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記11)
C
8
~C
18
脂肪酸エステルが、C
8
~C
18
脂肪酸メチルエステルである、付記10に記載のブレンド。
(付記12)
C
8
~C
18
脂肪酸アミドが、C
8
~C
14
脂肪酸アミドである、付記1~8のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記13)
25℃で5,000cP未満の粘度を有する、付記1~12のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記14)
透明で均一である、付記1~13のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記15)
チオエーテルポリオール;ヒドロキシル基を含有するポリエステルアミド、ポリアセタール及び脂肪族ポリカーボネート;アミン末端ポリエーテル;アミン開始ポリオール;ポリエーテルポリオール;マンニッヒポリオール;非芳香族ポリエステルポリオール;グラフト分散ポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールを更に含む、付記1~14のいずれか一項に記載のブレンド。
(付記16)
水、触媒、フォーム安定化界面活性剤、ポリイソシアネート、発泡剤及び付記1~15のいずれか一項に記載のブレンドの反応生成物を含む、硬質PU又はPU-PIRフォーム。
(付記17)
発泡剤がn-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物からなる群から選択される、付記16に記載のPU又はPU-PIRフォーム。
(付記18)
40°Fで測定したフォームの初期R値が、75°Fで測定したフォームの初期R値を満たすか又はこれを上回る、付記17に記載の硬質PU又はPU-PIRフォーム。
(付記19)
75°Fと40°Fとで測定したフォームの初期R値間の差が、脂肪酸誘導体の非存在下で調製された同様のフォームの初期R値間の差より少なくとも5%大きい、付記17に記載の硬質PU又はPU-PIRフォーム。
(付記20)
付記16~19のいずれか一項に記載の硬質PU-PIRフォームを含む、屋根又は壁用途の断熱ボード。