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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】スリーブ及びその設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
E04G15/06 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020511049
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2019013867
(87)【国際公開番号】W WO2019189689
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2018066544
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518110671
【氏名又は名称】安徳 博満
(73)【特許権者】
【識別番号】512008451
【氏名又は名称】浅野 美希
(73)【特許権者】
【識別番号】514328399
【氏名又は名称】Naruki Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】安徳 博満
(72)【発明者】
【氏名】浅野 美希
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-049845(JP,U)
【文献】特開2009-144465(JP,A)
【文献】特許第5917155(JP,B2)
【文献】特開平11-280254(JP,A)
【文献】特開昭63-165623(JP,A)
【文献】特開2001-271490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造体に貫通孔を形成するためのスリーブであって、
伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップとによって構成されており、
前記スリーブ本体の端部と前記キャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、
前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けたことを特徴とするスリーブ。
【請求項2】
コンクリート構造体に貫通孔を形成するためのスリーブであって、
伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップと、このキャップを型枠に取り付けるための係止バーと、によって構成されており、
前記スリーブ本体の端部と前記キャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、
前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けたことを特徴とするスリーブ。
【請求項3】
前記スリーブ本体を、外スリーブと内スリーブによって構成し、それら両スリーブが重なることで伸縮する構造としたことを特徴とする請求項1又は2記載のスリーブ。
【請求項4】
前記外スリーブのキャップを取り付ける端部の径と、前記内スリーブのキャップを取り付ける端部の径を同一としたことを特徴とする請求項3記載のスリーブ。
【請求項5】
前記係合手段が、
前記スリーブ本体の端部内側に設けた凹形状ないし開口と、前記キャップ周面に設けた突起であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のスリーブ。
【請求項6】
前記スリーブ本体の端部外側に、釘を打つための釘用ピースを、着脱自在に取り付けることができるようにしたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のスリーブ。
【請求項7】
前記キャップに、前記係止バーにスライドして係合する係合部を形成したことを特徴とする請求項2記載のスリーブ。
【請求項8】
前記係合部が、前記キャップの端部開口の径方向に差し渡すように形成されていることを特徴とする請求項7記載のスリーブ。
【請求項9】
前記スリーブ本体に、作業方向ないし作業手順を示す表示を付したことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のスリーブ。
【請求項10】
前記取外し手段は、作業者が指を挿入して引き出すためのリングを備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のスリーブ。
【請求項11】
請求項2記載のスリーブの設置方法であって、
前記係止バーのうち、最初に型枠に取り付けた係止バーにレーザ墨出装置を取り付ける工程,
取り付けたレーザ墨出装置による墨出しを行って、前記型枠に対する他方の係止バーの取付位置を決める工程,
決めた取付位置に、他方の係止バーを取り付ける工程,
を含むことを特徴とするスリーブの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や梁などのコンクリート構造体に、各種配管・配線類を挿通する貫通孔を形成するためのスリーブ及びその設置方法に関し、更に具体的には、スリーブの施工性や識別性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートの建造物には、壁や梁などの部分に、各種配管や配線(ケーブル)類を通すための貫通孔が形成される。このような貫通孔は、通常、所定幅ないし長さの型枠の内面間にスリーブ(鞘管)を取り付け、その後、コンクリートを打設することにより形成される。前記貫通孔の長さは、必ずしも一定ではないため、前記スリーブの長さを調節可能とすることで貫通孔の長さに対応することを目的とした伸縮可能なスリーブが提案されている。また、前記型枠の内面に予めスリーブを固定するための受具を取り付けることによって、スリーブの設置作業を効率良く行うことを目的とした技術も提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、外スリーブと、該外スリーブ内に挿入可能な内スリーブとを有してなり、伸長時に前記外スリーブと内スリーブとの離脱を防止する係止手段を備えた建築工事用スライドスリーブが開示されている。また、下記特許文献2には、スリーブに外嵌する上方を開放した円弧状の立上がり片を形成した受け具本体の外周に釘孔を設けた突出片を複数個設け、内周にはスリーブに掛止する抜け防止用のアンカー片をそれぞれ設けたことを特徴とする設備工事用スリーブ受け具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-105226号公報
【文献】特開平9-291700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの背景技術に対し、本件発明者は、より施工性に優れ、コンクリート構造体の仕上がりが良好であるとともに、スリーブ内へのコンクリートの侵入防止に適したコンクリート貫通孔用スリーブを提案している(特許第5917155号)。これによれば、軸方向に伸縮可能に重なり合うそれぞれ1つ以上の内筒と外筒からなるスリーブ本体の両端内側に、一方の端部が前記型枠内面に当接可能な一対の固定保持具を、凹凸形状の嵌合により着脱可能に連結するとともに、前記固定保持具の外周面に設けた溝に一部が収容される弾性を有する気密体を、前記スリーブ本体の両端内面に密着させている。このようにすることで、型枠への取り付けや取り外しを容易にして施工性の改善を図るなどの優れた効果が得られる。
【0006】
しかしながら、スリーブ本体と、両端の固定保持具との連結が強固であることから、スリーブ内の止水性ないし気密性は良好に保たれるものの、取り外しに多少の時間を必要とする。また、特に床用スリーブにおいては、打設したコンクリートによってスリーブが隠されてしまうため、墨出しなどの方法でスリーブの位置を特定する必要があるが、スリーブの位置を簡便に特定できれば、好都合である。加えて、スリーブには、空調用,配管用,電気配線用など、各種あるが、それらを識別できると、更に好都合である。
【0007】
本発明は、以上のような点に着目したもので、その目的は、短時間で設置することができる施工性に優れたスリーブを提供することである。他の目的は、スリーブの用途を簡便に識別することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスリーブは、コンクリート構造体に貫通孔を形成するためのスリーブであって、伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップとによって構成されており、前記スリーブ本体の端部と前記キャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けたことを特徴とする。
【0009】
他の発明のスリーブは、コンクリート構造体に貫通孔を形成するためのスリーブであって、伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップと、このキャップを型枠に取り付けるための係止バーと、によって構成されており、前記スリーブ本体の端部と前記キャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けたことを特徴とする。前記発明に対し、係止バーを介してキャップを型枠に取り付けるようにしたものである。
【0010】
主要な形態の一つによれば、前記スリーブ本体を、外スリーブと内スリーブによって構成し、それら両スリーブが重なることで伸縮する構造としたことを特徴とする。他の形態によれば、前記外スリーブのキャップを取り付ける端部の径と、前記内スリーブのキャップを取り付ける端部の径を同一としたことを特徴とする。他の形態によれば、前記係合手段が、前記スリーブ本体の端部内側に設けた凹形状ないし開口と、前記キャップ周面に設けた突起であることを特徴とする。更に他の形態によれば、前記スリーブ本体の端部外側に、釘を打つための釘用ピースを、着脱自在に取り付けることができるようにしたことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記キャップに、前記係止バーにスライドして係合する係合部を形成したことを特徴とし、前記係合部が、前記キャップの端部開口の径方向に差し渡すように形成されていることを特徴とする。更には、前記スリーブ本体に、作業方向ないし作業手順を示す表示を付したことを特徴とする。更には、前記取外し手段は、作業者が指を挿入して引き出すためのリングを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の床用のスリーブは、コンクリート構造体の床面に貫通孔を形成するためのスリーブであって、伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップとによって構成されており、下側のキャップには、その周面と前記スリーブ本体の端部との間に係合手段が設けられており、前記係合手段を開放するための取外し手段が端面に設けられており、上側のキャップには、その内側に、前記スリーブの用途を示す情報が記録された識別タグが設けられたことを特徴とする。
【0012】
他の発明の床用のスリーブは、コンクリート構造体の床面に貫通孔を形成するためのスリーブであって、伸縮可能なスリーブ本体と、その両端に設けられるキャップとによって構成されており、下側のキャップには、その周面と前記スリーブ本体の端部との間に係合手段が設けられており、前記係合手段を開放するための取外し手段が端面に設けられており、上側のキャップは、周囲が前記スリーブ本体とテーパ面で接触することを特徴とする。
【0013】
主要な形態の一つによれば、前記スリーブ本体の内側に、前記キャップの下端が当接するストッパを設けたことを特徴とする。また、前記キャップが、前記スリーブ本体に入射した光が床面に透過するように、透明ないし透光性を有することを特徴とする。あるいは、前記キャップに、蛍光性ないし蓄光性を付与したことを特徴とする。他の形態によれば、前記スリーブ本体と前記キャップとの間に、気密性を保持するためのOリングを介在させたことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記キャップの表面に、当該スリーブの用途ないし種類を示す表示を施したことを特徴とする。更には、前記キャップの表面に、滑り止めを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明のスリーブの設置方法は、前記係止バーのうち、最初に型枠に取り付けた係止バーにレーザ墨出装置を取り付ける工程,取り付けたレーザ墨出装置による墨出しを行って、前記型枠に対する他方の係止バーの取付位置を決める工程,決めた取付位置に、他方の係止バーを取り付ける工程,を含むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スリーブ本体の端部とキャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けることとしたので、短時間で設置することができ、施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1の全体構成を示す斜視図である。
図2】前記実施例1の主要部の作用を示す図である。
図3】前記実施例1のスリーブの施工手順を示す図である。
図4】本発明の実施例2の全体構成を示す斜視図である。
図5】本発明の実施例3を示す図である。
図6】本発明の実施例4の全体構成を示す斜視図である。
図7】前記実施例4で施工時に使用するレーザ墨出装置を示す図である。
図8】前記レーザ墨出装置による施工手順を示す図である。
図9】前記実施例4のスリーブの施工手順を示す図である。
図10】本発明の実施例5を示す図である。
図11】本発明の実施例6を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
最初に、図1図3を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1には、本実施例のスリーブ10の全体が示されており、スリーブ本体100と、その両端のキャップ200とによって構成されている。スリーブ本体100は、内スリーブ110と、外スリーブ150によって構成されており、内スリーブ110と外スリーブ150は、取付領域120,160と、重なり領域130,170があり、それらの境界にリング状の突起112,152がそれぞれ設けられている。重なり領域130,170は、径が異なっており、両者が重なるようになっている。取付領域120,160の径は異なっていてもよいが、同一径とすることで、同一のキャップ200を使用することができる。
【0019】
内スリーブ110,外スリーブ150の取付領域120,160は、先端にフランジ122,162が形成されており、その付近に、適宜の間隔で、開口124,164が形成されている。図示の例では、内スリーブ110,外スリーブ150の周方向であって、120度の角度で等間隔となる位置に、開口124,164が形成されている。
【0020】
前記内スリーブ110,外スリーブ150には、作業方向及び作業手順を示す表示MA~MDが付されている。表示MAの矢印及び表示MBの数字は、第1番目に、内スリーブ110,外スリーブ150を引き伸ばすことを示している。表示MCの矢印及び表示MDの数字は、第2番目に、内スリーブ110,外スリーブ150を回転させることを示している。
【0021】
次に、キャップ200について、主要断面を示す図2も参照しながら説明する。キャップ200は、上述した内スリーブ110,外スリーブ150の取付領域120,160の内側に嵌まり込む形状となっており、端面210には、円形開口212が等間隔で形成されており、また、開口212から周面方向に向かうスリット状開口214が形成されている。図示の例では、3組の円形開口212,スリット状開口214が、周方向に等間隔で形成されている。一方、キャップ200の周面220には、その一部を切り欠いて、突起222が形成されている。突起222は、前記スリット状開口214に対応する位置に、それぞれ形成されている。なお、図示の例では、突起222が、二つの突出形状によって形成されているが、連続する一つの突出形状としてもよい。
【0022】
突起222には、キャップ200の内側において腕224が延設されており、これら腕224には取外しリング226が設けられている。腕224は、スリット状開口214を通過できるように幅が調整されており、取外しリング226は、円形開口212を通過できるように大きさが調整されている。すなわち、端面210の円形開口212から取り外しリング226を外側に引き出すことができるようになっており、取外しリング226を引き出すと、周面220の突起222が内側に変形するようになっている。
【0023】
図2(A)に主要断面を示すように、突起222は、組み立てた状態で、上述した内スリーブ110,外スリーブ150の開口124,164に嵌まり込んで係合するようになっている。そして、図2(B)に示すように、取外しリング226をスリーブ内側から円形開口212に引き出すようにすると、突起222が周面220から内側に引き込まれ、開口124,164と突起222の係合が解かれて開放されるようになっている。
【0024】
キャップ200の端面210には、後述する型枠に対してキャップ200を固定するための釘穴216が適宜位置に複数設けられている。釘穴216は、周方向に等間隔となるように、対称に設けられている。
【0025】
次に、図3も参照しながら、本実施例のスリーブ10の具体的な設置手順について説明する。まず、同図(A)に示すように、型枠24の対向する内面の設置部位に、上述した釘穴216に釘230を打ち込むことで、キャップ200を取り付ける。次に、同図(B)に示すように、内スリーブ110と外スリーブ150の重なり領域130,170を重ねてスリーブ本体100を短くし、配筋26内に仕込んだ後、配筋26を型枠24内に落とす。そして、スリーブ本体100を、その両端がキャップ200に対向する位置とし、表示MA,MBで示す方向及び手順に従って、各スリーブ110,150を伸長する。そして、各スリーブ110,150の取付領域120,160を、それぞれキャップ200に取り付ける。次に、表示MC,MDで示す方向及び手順に従って、スリーブ110,150を回転し、それらの開口124,164が、キャップ200の突起222に嵌まり込むようにする。これにより、同図(C-1)に示すように、型枠24に対するスリーブ10の取り付けが行われる。
【0026】
この状態で、型枠24内にコンクリート30を打設する。コンクリート30の養生後、同図(D)に示すように、型枠24を脱型する。すると、キャップ200を固定していた釘230が露出するようになる。この状態では、作業を安全に行うことができないので、同図(E)に示すように、釘230をスリーブ本体100内に押し込む。そして、キャップ200の円形開口212から取外しリング226に指を挿入し、取外しリング226を引き出すようにすると、図2(B)に示したように、キャップ200の周面220の突起222が、各スリーブ110,150の開口124,164から外れるようになり、図2(C),図3(F)に示すように、スリーブ本体100からキャップ200を取り外すことができる。
【0027】
以上のように、本実施例によれば、次のような効果がある。
a,型枠24にキャップ200を取り付けるとともに、その周面220に形成した突起222が、スリーブ本体100の開口側に形成した開口124,164に嵌まり込むようにすることで、ワンタッチでスリーブ本体100をキャップ200に取り付けることができ、型枠24に対するスリーブ10の取付作業を、短時間で行うことができる。
b,作業方向及び作業手順を示す表示MA~MDが付されているので、慣れていなくても、スリーブ10の取付作業を行うことができる。
c,型枠24を取り外した後は、釘230をスリーブ内に押し込めばよく、切断の必要はない。また、キャップ200の取外しリング226を引き出すだけで、スリーブ本体100の開口124,164からキャップ200の突起222が外れ、キャップ200を簡単に取り外すことができる。
d,取り外したキャップ200は、再利用することができ、経済的である。
e,キャップ200の外側に、空調用,ガスや水道の配管用,電気配線用などの用途毎に異なる着色,模様,文字,記号などの表示を付けることで、簡単に用途を知ることができる。後述する実施例についても同様である。
【実施例2】
【0028】
次に、図4を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。なお、上述した実施例と対応する部分には同一の符号を用いる。図4(A)は、本実施例のスリーブ300の全体を示し、同図(B)は主要部を示す。これらの図に示すように、本実施例のスリーブ300では、内スリーブ110,外スリーブ150の取付領域120,160の開口側に、円柱状の取付ガイド310が等間隔で設けられている。図示の例では、キャップ200の突起222に係合する開口124,164に隣接して、取付ガイド310が形成されている。
【0029】
これらの取付ガイド310には、扇状の釘用ピース320が着脱自在となっている。釘用ピース320は、取付ガイド310が挿入されて固定される固定穴322と、釘を挿入する釘穴324を備えている。
【0030】
型枠24や配筋26の状況によっては、キャップ200のみでは、スリーブ本体100を良好に固定できないことがある。そのような場合には、各スリーブ110,150の取付ガイド310を釘用ピース320の固定穴322に挿入するようにして、釘用ピース320を取り付ける。そして、図3(C-2)に示すように、釘用ピース320の釘穴324から釘330を挿通して、型枠24に打ち込むことで、スリーブ本体100を固定する。
【0031】
このように、本実施例によれば、各スリーブ110,150の開口側に対して釘用ピース320を着脱自在としたので、必要に応じてキャップ200の外側からも釘330を使用してスリーブ本体100を固定することができ、作業現場の状況に柔軟に対応することができる。
【実施例3】
【0032】
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、スリーブ本体の開口の変形例である。図5(A)には、本実施例のスリーブ本体400の開口402が示されており、長手方向(周方向)に向かって幅が狭くなるように形成されている。このため、同図(B)に示すように、キャップ200側の突起222は、開口402の中央付近では、簡単に開口402に入り込むことができる。その後、本実施例では、スリーブ本体400を周方向に回すようにする。例えば、同図(C)に矢印で示す方向に回すと、突起222が開口402の幅狭部に食い込むようになり、開口402に対して突起222がしっかりと係合するようになる。キャップ200を取り外すときは、取外しリング226でキャップ200を反対方向に回転させてから、引っ張るようにする。なお、図示の例では、開口402の長手方向(周方向)の両方に幅狭部を設けたが、一方にのみ設けてもよい。
【0033】
同図(D)の例は、スリーブ本体410の取付領域に、内側から外側に凹んだ凹部412が形成されている。別言すれば、上述した実施例の開口124,164,402を、スリーブ本体410の外側から覆うようにした形状であると考えることもできる。本例においても、同図(E)に示すように、キャップ200の突起222が凹部412内に嵌まり込むようになっており、同図(F)に示すように、突起222を凹部412から外すことで、キャップ200をスリーブ本体410から外すことができる。なお、凹部412の開口の形状を、同図(A)~(C)に示したような長手方向(周方向)に向かって幅が狭くなる形状としてもよい。
【0034】
上述した図1図4図5(A)~(C)に示した例では、開口124,164,402にコンクリート30が流れ込んで、開口124,164,402から突起222が外れにくくなってしまうことも考えられるが、本実施例では、スリーブ本体410の外側から見たときに、凹部412が塞がれているので、そのような不都合は生じない。
【実施例4】
【0035】
次に、図6図9を参照しながら、本発明の実施例4について説明する。本実施例は、上述したキャップの取付作業をより簡便に行うようにしたものである。図6には、本実施例のスリーブ11の全体が示されており、スリーブ本体101と、その両端のキャップ600と、係止バー650によって構成されている。スリーブ本体101は、内スリーブ111と、外スリーブ151によって構成されており、内スリーブ111と外スリーブ151は、取付領域121,161と、重なり領域130,170があり、それらの境界にリング状の突起113,153がそれぞれ設けられている。重なり領域130,170は、前記実施例と同様に径が異なっており、両者が重なるようになっている。取付領域121,161の径は異なっていてもよいが、同一径とすることで、同一のキャップ600を使用することができる。
【0036】
内スリーブ111,外スリーブ151の取付領域121,161は、先端にフランジ123,163が形成されており、その付近に、複数の開口125,165が形成されている。本実施例では、内スリーブ111,外スリーブ151の周方向に、等間隔ではなく、後述するキャップ600の突起223の位置に対応して、3つの開口125,165がそれぞれ形成されている。
【0037】
次に、キャップ600は、上述した内スリーブ111,外スリーブ151の取付領域121,161の内側に嵌まり込む形状となっており、端面には、開口213が設けられている。この開口213から外周方向に向かって、スリット状開口215が形成されている。図示の例では、3組のスリット状開口215が形成されている。一方、キャップ600の周面221には、その一部を切り欠いて、突起223が形成されている。突起223は、前記スリット状開口215に対応する位置に、それぞれ形成されている。なお、図示の例では、突起223が、二つの突出形状によって形成されているが、連続する一つの突出形状としてもよい。
【0038】
突起223には、キャップ600の内側において腕225が延設されており、これら腕225には取外しリング227が設けられている。腕225は、スリット状開口215を通過できるように幅が調整されており、取外しリング227は、開口213を通過できるようになっている。すなわち、開口213から取り外しリング227を外側に引き出すことができるようになっており、取外しリング227を引き出すと、周面221の突起223が内側に変形するようになっている。以上の突起223,腕225,取外しリング227の基本的な作用は、図2に示したとおりであり、前記実施例と同様である。
【0039】
次に、キャップ600の開口213には、径方向に差し渡すように、係合部610が形成されており、係止バー650にスライドして係合するようになっている。係合部610には長手方向に凹レール612が形成されており、係止バー650には長手方向に凸レール652が形成されている。凹凸の形状は逆であってもよい。
【0040】
係止バー650は、型枠24に対して釘230で固定されるようになっており、この係止バー650の凸レール652にキャップ600の係合部610の凹レール612がスライドして挿入されることで、両者の凹凸が係合し、係止バー650にキャップ600が取り付けられるようになっている。なお、キャップ600の係合部610には、ストッパ(図示せず)が設けられており、これにより、係止バー650に対してキャップ600が位置決めして取り付けられるようになっている。係止バー650は、キャップ600の係合部610内に収まるように、その長さが設定されている。
【0041】
前記実施例では、釘230でキャップ200を型枠24に固定したが、本実施例では、釘230でまず係止バー650を型枠24に固定し、そして、この係止バー650にキャップ600を取り付けて固定している。しかし、必要があれば、係止バー650にキャップ600を取り付けた後に、更に釘230を利用してキャップ600を型枠24に固定してもよい。本実施例によれば、キャップ600に係合部610が設けられていることから、上述した突起223,腕225,取外しリング227の取付位置が、キャップ600の周方向に等間隔とはなっていない。
【0042】
次に、係止バー650の型枠24に対する取り付けの位置決めは、墨出しなどの方法で行ってもよいが、本実施例では、図7で示すようなレーザ墨出装置700を使用する。同図(A)はレーザ墨出装置700を組み立てた状態を示しており、同図(B)は組み立てる前の状態が示されている。これらの図において、レーザ墨出装置700は、十字状のレーザ光を出力するレーザ発振器710が設置台720に設置されるようになっている。レーザ発振器710としては、市販のものが使用できる。設置台720は、正面側にレーザ発振器710の収納部724が設けられており、上面側には水準器722が設けられている。水準器722をレーザ発信器710側に設けてもよい。市販のレーザ墨出装置には水準器を設けたものもあるので、これを使用してもよい。
【0043】
設置台720の背面側には、上述した係止バー650に係合する係合部726が設けられている。係合部726は、係止バー650の凸レール652にスライドして凹凸が係合する凹レール728が設けられており、上述したキャップ600と同様に、係止バー650にレーザ墨出装置700が取り付けられるようになっている。なお、図示しないストッパが設けられており、これによって、レーザ墨出装置700から出力されるレーザ光が係止バー650の長手方向中心と一致するようになっている。
【0044】
ここで、図8を参照して、レーザ墨出装置700を使用する係止バー650の設置手順を説明する。なお、図8(A-1),(B-1)は型枠24を上側から見た図であり、(A-2),(B-2)は側面から見た図である。また、2つの係止バー650に、A,Bの符号を付して区別する。
a,最初に、一方の係止バー650Aを、墨出しなどの方法で、型枠24に釘230で位置決めして固定する。
b,次に、レーザ墨出装置700に係止バー650Bを取り付け、ストッパで規制された位置に固定する。
c,次に、レーザ墨出装置700の背面の係止バー650Bを、型枠24の反対側の側面に当てる。
d,レーザ光を出力して反対側の係止バー650Aに照射し、その中心にレーザ光が当たるように、上下左右方向の係止バー650Bの位置を調整する。また、必要があれば、水準器722を参照しながら、係止バー650Bの傾きを調整する。
e,そして、位置決め後、係止バー650Bを、釘230で型枠24に固定する。固定後、レーザ墨出装置700をスライドさせて取り外す。
【0045】
このようにして、係止バー650Aに対し、中心が一致して対向するように、型枠24に対して係止バー650Bを取り付けることができる。そして、型枠24に取り付けた係止バー650に、同図(B-1),(B-2)に示すように、キャップ600がそれぞれ取り付けられる。
【0046】
次に、図9も参照しながら、スリーブ11の設置手順を説明する。まず、同図(A)に示すように、型枠24の対向する内面の設置部位の一方に、釘230により係止バー650Aを取り付け、次に、図8に示したように、レーザ墨出装置700を使用して反対側の係止バー650Bを取り付ける。そして、図9(B)に示すように、係止バー650A,650Bにキャップ600をそれぞれ取り付ける。次に、同図(C)に示すように、内スリーブ111と外スリーブ151を重ねてスリーブ本体101を短くして、配筋26内に仕込んだ後、配筋26を型枠24内に落とす。そして、スリーブ本体101を、その両端がキャップ600に対向する位置とし、各スリーブ111,151を伸長して回転し、それらの開口125,165が、キャップ600の突起223に嵌まり込むようにする。これにより、同図(D)に示すように、型枠24に対するスリーブ本体101の取り付けが行われる。
【0047】
この状態で、型枠24内にコンクリート30を打設し、その養生後、型枠24を脱型する。すると、係止バー650を固定していた釘230が、同図(E)に示すように露出するようになる。この状態では、作業を安全に行うことができないので、同図(F)に示すように、釘230をスリーブ本体101内に押し込む。そして、キャップ600の円形開口213から取外しリング227に指を挿入し、取外しリング227を引き出すようにすると、キャップ600の突起223が、各スリーブ111,151の開口125,165から外れるようになり、同図(G)に示すように、スリーブ本体101からキャップ600を取り外すことができる。このとき、係止バー650も、キャップ600の係合部610に収納された状態で、同時に取り外される。
【0048】
以上のように、本実施例によれば、次のような効果がある。
(1)係止バー650を型枠24に固定し、これにキャップ600を取り付けることとしたので、釘の打ち付け作業を簡単に行うことができる。
(2)前記実施例と同様に、型枠24に対するスリーブ11の取り付け作業を、短時間で行うことができる。キャップ600及び係止バー650の取外しも簡単である。
(3)取り外したキャップ600及び係止バー650は、再利用することができ、経済的である。
(4)キャップ600や係止バー650を、空調用,ガスや水道の配管用,電気配線用などの用途毎に異なる着色,模様,文字,記号などの表示を付けることで、簡単に用途を知ることができる。
【実施例5】
【0049】
次に、図10を参照しながら、本実施例の実施例5について説明する。本実施例は、床などにスリーブを設置する場合の例である。本実施例のスリーブ800は、図10(A)に示すように、スリーブ本体810と、キャップ200(600),820とによって構成されている。スリーブ本体810には、上の開口側にフランジ812が全周にわたって形成されている。下の開口側は、上述した実施例と同様である。キャップ820の下側には、凹凸の嵌合などにより着脱自在にケース902が設けられており、識別タグ900がケース902内に収納されている。
【0050】
上側のキャップ820は、凹部822,周面824,フランジ826により、内側が窪んだ形状となっている。そして、周面824は、スリーブ本体810の周面内側と対面し、フランジ826は、スリーブ本体810のフランジ812とOリング830を挟んで対面するようになっている。
【0051】
スリーブ本体810を床などの配筋内に設置するときは、同図(B)に示すように、その上側の開口にキャップ820を被せる。このとき、フランジ812,826の間にOリング830を介装することで、止水性ないし気密性を確保する。この状態でコンクリート920を打設すると、同図(C)に示すようになり、コンクリート920がキャップ820上も覆うようになる。このため、表面からは、スリーブ800がいずれの位置にあるのかを判別することはできない。
【0052】
そこで、本実施例では、タグスキャナ910を使用して、識別タグ900を探知する。識別タグ900としては、例えば、RFIDタグが使用される。識別タグ900には、それが取り付けられたスリーブ800の用途ないし種類を示す情報が記録されている。例えば、空調用,ガスや水道の配管用,電気配線用などを示す情報が記録されている。従って、タグスキャナ910によって、識別タグ900の情報を読み取ることで、
a,コンクリート920によって隠れているスリーブ800を探し出すことができる。
b,探し出したスリーブ800が、いずれの用途のものかを識別することができる。
【0053】
その後、同図(D)に示すように、表面のコンクリート922を破砕し、キャップ820を取り外す。また、スリーブ800の反対側のキャップ200(600)も、上述した実施例と同様にして取り外す。取り外したキャップ200(600),820は、いずれも再利用することができる。また、キャップ820が破損したとしても、ケース902を外して識別タグ900を取り出することができ、再利用することができる。
【実施例6】
【0054】
次に、図11を参照しながら、本発明の実施例6について説明する。本実施例も、床などにスリーブを設置する場合の例である。本実施例の床スリーブ801は、図11(A)に長手方向の断面を示すように、スリーブ本体811と、キャップ200(600),821とによって構成されている。スリーブ本体811の下の開口側には、上述した実施例と同様に、キャップ200(600)が取り付けられており、上の開口側には、キャップ821が取り付けられている。キャップ821は、スリーブ本体811に対する蓋と、いわゆる養生蓋を兼ねるものである。
【0055】
スリーブ本体811は、下側の外スリーブ811Aと上側の内スリーブ811Bとによって構成されている。本実施例の場合、スリーブ本体811が垂直方向を向くので、内スリーブ811Bが外スリーブ811Aに入り込まないように、固定用のゴムバンド811Cが設けられている。また、内スリーブ811Bの内側には、キャップ821の下端に当接して位置決めするためのストッパ811Dが設けられており、上側にはテーパフランジ813が全周にわたって形成されている。
【0056】
一方、キャップ821は、下側は、内スリーブ811B内に入り込む円筒形状となっており、その上側には、上述したテーパフランジ813に当接するテーパ拡径面827を備えている。
【0057】
キャップ821の円筒部分と内スリーブ811Bとの間には、止水性ないし気密性を確保するためのOリング831A,831Bが設けられている。なお、Oリングを、テーパフランジ813とテーパ拡径面827とが接触する面に設けるようにしてもよい。キャップ821の表面823には、同図(B)に示すように、滑り止め823Aが設けられており、中央には取り外し用のつまみないし持手823Bが設けられている。一方、キャップ821の裏側(内側)には、同図(C)に示すように、補強用の梁823Cが設けられている。梁823Cのみを示すと、同図(D)のようになる。同図(E)は、他の形状の梁823Dを示す。
【0058】
本実施例のキャップ821は、上述したテーパフランジ813とテーパ拡径面827によるテーパ構造とすることで、内スリーブ811Bの上端に対してキャップ821の上面が面一となり、段差が生じないようになる。また、梁823Cもしくは823Dによって破損しない強度設計となっている。更に、Oリング831A,831Bによって、スリーブ本体811内への止水性ないし気密性が確保されている。従来の床スリーブでは、スリーブ上部に皿蓋を単に置いたもので、止水機能はなく、置いた状態でコンクリート打設,コンクリート斫り,蓋取除きを行い、木材やプラスチック等で造った蓋でスリーブ上部を塞ぐようにしているが、僅かな段差が生じるので、作業者は、躓きに注意が必要である。しかし、本実施例によれば、養生蓋をかねているので、蓋を交換する必要がなく、作業用の車両などが載っても重圧に耐えられ、床面上で作業を行うことができる。
【0059】
加えて、キャップ821を透明(透光性)とすることで、床下からの光が床上に漏れるようになり(図11(A)矢印参照)、加えて蛍光塗料・蓄光塗料を使用してキャップ821に蛍光性・蓄光性を付与することで、夜間でもその位置を知ることができるようになる。これにより、床スリーブ801の位置を簡単に知ることができ、キャップ821に、空調用,ガスや水道の配管用,電気配線用などの用途毎に異なる着色,模様,文字,記号などの表示を付けることで、簡単に用途を知ることができるので、作業性が向上する。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、形成する貫通孔の形状・寸法に応じて適宜変更可能である。例えば、前記実施例では、突起,腕,取外しリングを3組設けたが、個数は必要に応じて増減してよい。また、それらの周方向の間隔も、必ずしも等間隔である必要はなく、適宜の間隔としてよい。
(2)前記実施例を組み合わせるようにしてもよい。例えば、図1に示した作業方向もしくは作業手順を示す表示を、図4図6に示す例に適用する,図10の識別タグを図11の例に適用するといった具合である。
(3)前記実施例で示した材料も一例であり、同様の効果を奏するものであれば、用途や設置場所に応じて適宜変更してよい。例えば、コスト面を考慮して、安価な亜鉛鉄板などの金属を利用したり、地中梁のように錆びると不都合な場合には、塩ビ管などの樹脂製の管を利用したりするという具合である。特に、床に設けられるスリーブのキャップは、振動が伝達しやすい弾性のある材料を使用すると、キャップがコンクリートで隠れていても、ハンマーで床面を叩くことで、振動からキャップの位置を発見しやすいといった利点がある。
(4)キャップの色を、用途ないし種類毎に異なる着色等とすると、スリーブにキャップを取り付けた後も、作業をスムースに行うことができるが、このキャップの用途による色分けと、上述した識別タグによる識別とを併用するようにしてもよい。
(5)前記図4に示した扇状の釘用ピース320の構造や取付ガイド310への取付け構造も一例であり、各種の構造としてよい。また、釘用ピース320の固定穴322と釘穴324との角度も適宜設定してよいし、角度が異なるものを用意してもよい。
(6)スリーブ本体の伸縮構造としては、前記実施例の他、上述した背景技術など、各種の構造としてよい。
(7)本発明のスリーブの利用によって形成される貫通孔は、梁,壁,床などが好適な適用例であるが、これに限定されるものではなく、他の公知の各種のコンクリート構造体全般に、本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、スリーブ本体の端部とキャップの周面との間に係合手段を設けるとともに、前記係合手段から延設されており、前記スリーブ本体と反対側に引き出すことで前記係合手段を開放するための取外し手段を、前記キャップの端面に設けることとしたので、短時間で設置することができ、施工性に優れており、建築物における配管用などの貫通孔形成に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10,11:スリーブ
24:型枠
26:配筋
30:コンクリート
100,101:スリーブ本体
110,111,150,151:スリーブ
112,113,152,153:突起
120,121,160,161:取付領域
122,123,162,163:フランジ
124,125,164,165:開口
130,170:重なり領域
200:キャップ
210:端面
212,213:円形開口
214,215:スリット状開口
216:釘穴
220,221:周面
222,223:突起
224,225:腕
226,227:リング
230:釘
300:スリーブ
310:取付ガイド
320:釘用ピース
322:固定穴
324:釘穴
330:釘
400:スリーブ本体
402:開口
410:スリーブ本体
412:凹部
600:キャップ
610:係合部
612:凹レール
650:係止バー
650A,650B:係止バー
652:凸レール
700:レーザ墨出装置
710:レーザ発振器
720:設置台
722:水準器
724:収納部
726:係合部
728:凹レール
800:スリーブ
801:床スリーブ
810:スリーブ本体
811:スリーブ本体
811A:外スリーブ
811B:内スリーブ
811C:ゴムバンド
811D:ストッパ
812,826:フランジ
813:テーパフランジ
820,821:キャップ
822,:凹部
823:表面
823A:滑り止め
823B:持手
823C,823D:梁
824:周面
827:テーパ拡径面
830:リング
831A,831B:リング
900:識別タグ
902:ケース
910:タグスキャナ
920,922:コンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11