(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】RPL材料、発光素子、RPL材料の製造方法およびRPL材料の発光強度を高める方法
(51)【国際特許分類】
C09K 9/00 20060101AFI20230801BHJP
G01T 1/10 20060101ALI20230801BHJP
G01T 1/06 20060101ALI20230801BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20230801BHJP
C03C 4/12 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C09K9/00 Z
G01T1/10
G01T1/06
C09K11/64
C03C4/12
(21)【出願番号】P 2020080444
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】加田 渉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健太
(72)【発明者】
【氏名】花泉 修
(72)【発明者】
【氏名】山浦 太陽
(72)【発明者】
【氏名】山田 鈴弥
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-65952(JP,A)
【文献】特開昭61-122135(JP,A)
【文献】特開2019-1982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 9/00-11/89
G01T 1/10
G01T 1/06
C03C 4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料と、
αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンと、
を含む、RPL材料。
【請求項2】
RPLを発現する前記材料が、Ag、Mn、Cu、CおよびMgからなる群から選択される1または2以上の元素を含有する、請求項1に記載のRPL材料。
【請求項3】
RPLを発現する前記材料が、銀活性リン酸塩ガラスである、請求項1または2に記載のRPL材料。
【請求項4】
前記サイアロンが、少なくともEuまたはCeを賦活元素として含む蛍光体である、請求項1乃至3いずれか1項に記載のRPL材料。
【請求項5】
当該RPL材料の形状が、板状、シート状またはビーズ状である、請求項1乃至4いずれか1項に記載のRPL材料。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項に記載のRPL材料を含む、発光素子。
【請求項7】
RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料の原料と、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンとを加熱混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を固化する工程と、
を含む、RPL材料の製造方法。
【請求項8】
RPLを発現する材料の前記原料が、NaPO
3と、Al(PO
3)
3と、Ag塩、Mn塩およびCu塩からなる群から選択される1種または2種以上と、を含み
前記サイアロンが、少なくともEuまたはCeを賦活元素として含む蛍光体である、請求項7に記載のRPL材料の製造方法。
【請求項9】
RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料に、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンを含有させることにより、RPL材料の発光強度を高める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RPL材料、発光素子、RPL材料の製造方法およびRPL材料の発光強度を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線は発見されて以来、医療、農業、工業などの様々な分野で利用されており、中でも、医療分野においてはレントゲン検査、放射線治療、放射線被曝量の計測等に応用されている。そして、たとえば放射線治療のさらなる精度向上のために、線量付与分布をより正確に測定することが求められている。
【0003】
放射線計測に用いられる検出材料として、銀活性リン酸塩ガラスをはじめとするRPL(Radiophotoluminescence)現象を示す材料があり、蛍光ガラス線量計等に利用されている。たとえば上述の銀活性リン酸塩ガラスは、放射線が照射された後、紫外線で励起されるとオレンジ色の蛍光を発する。
【0004】
RPL現象を示す材料に関する技術として、特許文献1および2に記載のものがある。
特許文献1(特開2018-150221号公報)においては、ガラス組成中にSiO2またはB2O3、P2O5、Al2O3、Na2O、Ag2Oを導入して各成分の組成を厳密に規制し、かつβ-OH値を制御することにより、高い蛍光検出感度及び高い耐候性を有する放射線検出用ガラスを提供することができるとされている。
【0005】
特許文献2(特開2014-130023号公報)には、メタりん酸ナトリウムとメタりん酸カルシウムで構成されるNa-Caガラスに、銀が添加されている蛍光ガラス線量計用ガラスに関する技術が記載されており、かかる蛍光ガラス線量計用ガラスは、高線量率、高温、多湿の過酷環境に対応可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-150221号公報
【文献】特開2014-130023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らが上述の文献に記載の技術について検討したところ、より発光強度の高いRPL材料を得るという点で改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、発光強度に優れるRPL材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、RPLを発現する材料と特定の酸窒化物とを組み合わせて用いることにより、発光強度を効果的に高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、
RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料と、
αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンと、
を含む、RPL材料が提供される。
【0011】
本発明によれば、上記本発明におけるRPL材料を含む、発光素子が提供される。
【0012】
本発明によれば、
RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料の原料と、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンとを加熱混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を固化する工程と、
を含む、RPL材料の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、RPL(Radiophotoluminescence)を発現する材料に、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンを含有させることにより、RPL材料の発光強度を高める方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発光強度に優れるRPL材料を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】銀活性リン酸塩ガラス内におけるRPL発光中心の生成メカニズムを示す図である。
【
図2】銀活性リン酸塩ガラス内におけるRPL発光過程を示す図である。
【
図3】実施形態における発光素子の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施例におけるRPL材料の製造方法を説明する図である。
【
図5】実施例におけるPL測定系の概略構成を示す図である。
【
図6】実施例におけるRPL材料の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について説明する。本実施形態において、材料等の組成物は、各成分を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。
【0017】
(RPL材料)
本実施形態において、RPL材料は、RPLを発現する材料、および、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンを含む。以下各成分について説明する。
【0018】
(RPLを発現する材料)
本実施形態において、RPLを発現する材料は、具体的には、RPL材料の基材(媒体)であり、さらに具体的には、母材と賦活剤とを含む。
母材として、たとえばリン酸塩ガラス等の酸化物ガラス;および、アルミナが挙げられる。
また、賦活剤として、Ag、Mn、Cu、CおよびMgからなる群から選択される1または2以上の元素が挙げられ、このとき、RPLを発現する材料は、賦活剤として、Ag、Mn、Cu、CおよびMgからなる群から選択される1または2以上の元素を含有する。
【0019】
RPLを発現する材料の具体例として、Ag、MnおよびCuからなる群から選択される1以上の賦活元素を含むリン酸塩ガラス;および、CおよびMgからなる群から選択される1以上の賦活元素を含むアルミナが挙げられる。放射線照射から時間が経過すると発光が減少する現象、すなわちフェーディングが極めて小さいRPL材料であるという観点から、RPLを発現する材料は、好ましくは銀活性リン酸塩ガラスである。
【0020】
以下、
図1および
図2を参照して、銀活性リン酸塩ガラスのRPLの原理を説明する。
図1は、銀活性リン酸塩ガラス内におけるRPL発光中心の生成メカニズムを示す図である。また、
図2は、銀活性リン酸塩ガラス内におけるRPL発光過程を示す図である。
図1および
図2に示したように、銀活性リン酸塩ガラスに電離放射線が照射されると、ガラス内に電子正孔対が生成される。生成された電子はガラス構造中のAg
+に捕獲され安定なAg
0を形成する。一方、生成された正孔はいったんガラス構造中のPO
4四面体に捕獲されるが、時間の経過に伴いAg
+へ移行し最終的に安定なAg
++を形成する。式(1)および(2)にこの過程を示す。
(電子捕獲)Ag
++e→Ag
0 (1)
(正孔捕獲)Ag
++hPO
4→Ag
++ (2)
【0021】
以上、銀活性リン酸塩ガラスを例に挙げてRPLの原理を説明したが、放射線照射により発光中心が生成され、これを紫外線で励起することにより発光する他の材料についても、RPLを発現する材料として用いることができる。
【0022】
RPL材料中の、RPLを発現する材料の含有量は、RPLを安定的に発現させる観点から、RPL材料全体に対して好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上である。
また、耐候性を維持させる観点から、RPLを発現する材料の含有量は、RPL材料全体に対して好ましくは100質量%未満であり、より好ましくは99.99質量%以下、さらに好ましくは99.9質量%以下である。
また、RPL材料中の、RPLを発現する材料の含有量は、たとえばRPL材料に含まれる他の成分(サイアロン等)を除いた残部であってもよい。
【0023】
(サイアロン)
本実施形態において、RPL材料は、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンを含む。
サイアロンは、Si、Al、OおよびNを構成元素とする酸窒化物である。本実施形態において、α型およびβ型のいずれのサイアロンを用いてもよい。
【0024】
また、RPL材料の発光強度を高める観点から、サイアロンは、αサイアロンまたはβサイアロンを母材とする蛍光体であってもよい。このときの賦活元素として、たとえばEu、Ceが挙げられる。
たとえば、Euを含有するα型サイアロン蛍光体は、具体的には、一般式MxEuySi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-nで表される。上記一般式中、MはLi、Mg、Ca、Yおよびランタニド元素(ただし、LaとCeを除く。)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
また、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体は、具体的には、一般式Si6-zAlzOzN8-z(z=0.005~1)で表されるβ型サイアロンに、発光中心として2価のユーロピウム(Eu2+)が固溶している蛍光体である。
【0025】
また、RPL材料の発光強度を高める観点から、サイアロンは、好ましくはEuまたはCeを賦活元素として含む蛍光体であり、より好ましくはEuを賦活元素として含む蛍光体であり、さらに好ましくはEu賦活α型サイアロン蛍光体である。
同様の観点から、サイアロンは、好ましくはEu賦活Ca-α-SiAlONおよびEu賦活β-SiAlONからなる群から選択される1種以上を含み、より好ましくはEu賦活Ca-α-SiAlONまたはEu賦活β-SiAlONである。
【0026】
RPL材料中のサイアロンの含有量は、RPLにおける発光強度を高める観点から、RPL材料全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。
また、RPLを安定的に発現させる観点から、サイアロンの含有量は、RPL材料全体に対して好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0027】
本実施形態において、RPL材料の形状は、具体的には固形状であり、材料の取り扱い容易性に優れる観点から、好ましくは板状、シート状またはビーズ状であり、より好ましくは板状である。
RPL材料が板状であるとき、その厚さは、製造容易性および発光強度計測の安定性を高める観点から、好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上である。また、RPL材料を含む素子等の物品の薄型化の観点から、RPL材料の厚さは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは3mm以下である。
【0028】
次に、RPL材料の製造方法を説明する。
本実施形態において、RPL材料の製造方法は、たとえば、以下の工程を含む。
(混合物調製工程)RPLを発現する材料の原料と、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンとを加熱混合して混合物を得る工程
(固化工程)混合物調製工程で得られた混合物を固化する工程
【0029】
混合物調製工程において、RPLを発現する材料の原料は、RPLを発現する材料の種類、具体的には母材および賦活剤の種類に応じて選択される。たとえば、RPLを発現する材料としてリン酸塩ガラスを用いるとき、RPLを発現する材料の原料は、NaPO3と、Al(PO3)3と、Ag塩、Mn塩およびCu塩からなる群から選択される1種または2種以上とを含んでもよい。
また、サイアロンとしては、たとえば、前述の、少なくともEuまたはCeを賦活元素として含む蛍光体を用いる。
【0030】
混合物調製工程における加熱混合条件は、たとえばRPLを発現する材料の原料やサイアロンの種類に応じて選択することができる。
たとえば、加熱温度については、たとえばRPLを発現する材料の母材の融解温度以上の温度とすることができる。具体例を挙げると、銀活性リン酸塩ガラスと、EuまたはCeを賦活元素として含む蛍光体とを組み合わせて用いる場合、加熱温度をたとえば800℃以上1200℃以下、加熱時間を30分以上3時間以下としてもよい。
【0031】
次に、固化工程においては、たとえば、加熱混合工程で得られた混合物を徐冷しながら、所望の形状に成形する。
たとえば、加熱混合工程で得られた混合物をアルミ板等の板状部材の上に流して徐冷することにより、板状のRPL材料を得ることができる。このとき、混合物を徐冷してPRL材料の製造安定性を向上する観点から、板状部材を、室温より高温かつ混合物調製工程における加熱温度よりも低い温度に事前に加熱した後、混合物を流してもよい。
【0032】
以上の手順により、RPL材料が得られる。
本実施形態において、RPL材料は、RPLを発現する材料とαサイアロンおよびβサイアロンの1つ以上とを組み合わせて含むため、RPLにおける発光が増強されており、発光強度に優れる材料である。
【0033】
また、本実施形態において、RPL材料の発光強度を高める方法は、RPLを発現する材料に、αサイアロンおよびβサイアロンからなる群から選択される1種以上のサイアロンを含有させることを含む。
【0034】
(発光素子)
本実施形態において、発光素子は、本実施形態におけるRPL材料を含む。
図3は、本実施形態における発光素子の構成の一例を示す斜視図である。
図3においては、発光素子100が、板状であり、RPL材料からなる層により構成される例が示されている。また、発光素子は、RPL材料以外の材料により構成された部材を適宜含んでもよい。
発光素子の具体例として、蛍光ガラス線量計素子等の発光型線量計素子、個人線量計や環境放射線モニタリング用線量計が挙げられる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0036】
(実施例1、2および比較例1)
本例では、銀活性リン酸化ガラスをRPL材料の製造および評価をおこなった。各例における試料の作製条件を表1に示す。
【0037】
(RPL材料の製造)
(実施例1)
図4は、本例におけるRPL材料の製造方法を説明する図である。まず、メタリン酸ナトリウム(NaPO
3、太平化学工業社製)およびメタリン酸アルミニウム(Al(PO
3)
3、太平化学工業社製)を25gずつ(モル比でNaPO
3:Al(PO
3)=1:2.59)アルミナ製るつぼ(アズワン社製、化学組成比:Al
2O
3/44%、SiO
2/46%、耐熱温度1100℃)に添加して混合した。このとき、発光源の作製のために塩化銀(AgCl、富士フィルム和光純薬社製)およびCa-αSiAlON:Eu(デンカ社製、YL600A)をそれぞれ母材に対して0.2質量%添加した。偏り無く攪拌後、混合粉末を大気雰囲気中の電気炉(マッフル炉:デンケン・ハイデンタル社製、KDF S-70)にて加熱融解した。このときの温度条件は、1時間で1000℃まで昇温し、その後1時間1000℃の状態を保持した。その後、融解した混合物を電気炉から取り出し、アルミ板の上に流し成形した。このとき、徐冷により材料全体の温度を均一にし、ガラス内部の歪を除去するため、アルミ板として、予め400℃に加熱したものを用いた。
その後、冷却固化した材料を、バンドソーにより、1cm×2cm×1mm(厚さ)の大きさに切り出し、X線を照射して発光源となるRPL材料を得た。X線照射にはX線CT装置(L12161-07、浜松ホトニクス社製)を用い、X線の照射条件は、管電圧40kv、管電流500μAとし、照射時間を0分、30分および60分とした3種の材料を得た。
【0038】
(実施例2)
実施例1で用いたCa-α-SiAlON:Euにかえてβ-SiAlON:Eu(デンカ社製、MW540H)を用いた他は、実施例1に準じて本例のRPL材料を得た。
【0039】
(比較例1)
実施例1で用いたCa-α-SiAlON:Euを添加しなかった他は、実施例1に準じて本例のRPL材料を得た。
【0040】
【0041】
(評価)
各例で得られたRPL材料からなる2次元発光素子のフォトルミネッセンス(PL)測定をおこなった。
図5は、PL測定系の概略構成を示す図である。
励起光源として、波長325nmのHe-Cdレーザー(金門光波社製、IK3201R-F)を用いた。このとき、試料からの発光を集光レンズで集光し、励起光を観測しないよう、カットフィルターに光を通し、分光器(日本ローパー社製、SpectraPro2150i)を用いて分光をおこない、極微弱用CCD検出器(日本ローパー社製、PIXIS100B)を用いて測定した。また、検出器の波長域ごとの感度を考慮し補正するため、試料にレーザーを照射していない状態でのバックグランド測定をおこない、試料へのレーザー照射時と未照射時との差をPL測定データとした。
【0042】
PL測定の結果、各例とも、X線照射後の試料については、いずれも、650nm付近を極大とするオレンジ色の発光が認められた。
また、実施例1および2において、X線未照射の材料は、いずれも、青白色のブロードなスペクトルが得られた。比較例1において、X線未照射の材料については、青白色の発光は認められなかった。
【0043】
図6は、各例におけるRPL材料へのX線照射時間と発光強度の増加量(X線未照射を基準)との関係を示す図である。
図6より、銀活性リン酸ガラスとαサイアロン蛍光体またはβサイアロン蛍光体とを組み合わせて用いた実施例1および2では、いずれも、比較例1と比べてRPLにおける発光が増強された。
【符号の説明】
【0044】
100 発光素子