(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】プレノプティック接眼装置
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20230801BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20230801BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20230801BHJP
G02B 23/00 20060101ALI20230801BHJP
G02B 30/10 20200101ALI20230801BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230801BHJP
H04N 23/957 20230101ALI20230801BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B13/00
G02B21/00
G02B23/00
G02B30/10
H04N23/55 100
H04N23/957
(21)【出願番号】P 2021505699
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 ES2019070559
(87)【国際公開番号】W WO2020030841
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】521039828
【氏名又は名称】バレンシア大学
(73)【特許権者】
【識別番号】521039839
【氏名又は名称】ユニヴァーシダッド・ナシオナル・デ・コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス コラール、マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】サアベドラ トゥルトーザ、ゲネロ
(72)【発明者】
【氏名】スクロファニ、ガブリエーレ
(72)【発明者】
【氏名】トローサ ルイズ、エインジャル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア スセクイア、ジョージ
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0267674(US,A1)
【文献】米国特許第07723662(US,B2)
【文献】特開2002-116383(JP,A)
【文献】特開2004-163413(JP,A)
【文献】中国実用新案第201344999(CN,Y)
【文献】特開2002-372667(JP,A)
【文献】特開2005-181499(JP,A)
【文献】特開2001-108895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
G02B 21/00
G02B 23/00
G02B 30/10
H04N 23/55
H04N 23/957
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼ポートに近い領域に位置する焦点面上にサンプルの実像を製作するように構成された光学機器の前記接眼ポートに取り付けられるように提供されるプレノプティック接眼装置(1)であって、
第1端部(2A)及び該第1端部(2A)の反対側にある第2端部(2B)を有する管状要素(2)、
前記第1端部(2A)に配置された前記光学機器の前記接眼ポートに取り付け可能な取り付け手段(3)、
接眼ポートの焦点面に配置されるように構成されたダイアフラム(4)(ここで、接眼ポートの焦点面は、光学機器によって提供される実像が形成される面である。)、
前記ダイヤフラム(4)からS
Fの距離に位置し、焦点距離f
Fを定義する第1のレンズ配置(5)、
第1のレンズ配置(5)から距離eに位置し、焦点距離f
Eを定義する第2のレンズ配置(6)、および
第2のレンズ配置(6)から距離S’
Fに位置し、光学機器から来る実像を捕捉し、一組の
視点の画像を生成するように構成されたレンズ列(7)、および
空間離
散を備えた記録手段(8)、
(ここで、
前記空間離散を備えた記録手段(8)は、レンズ列(7)によって生成された
視点の画像を受信するために、レンズ列(7)から距離f
Lに配置され、前記レンズ列(7)は、周期pで定義され、焦点距離f
Lを定義するマイクロレンズ列を含み、前記記録手段は、レンズ列(7)から来る一組の
視点の画像を外部画像処理手段に送信するように構成された通信手段を含み、
前記レンズ列(7)の位置は、前記第1レンズ配置(5)と前記第2レンズ配置(6)を組み合わせた焦点化によって製作された画像平面と一致し、
; 及び
(ここで、zは、光学機器の射出瞳からプレノプティック接眼レンズのダイヤフラムが配置されている平面までの距離である。)を満たすような位置である。)
を含むことを特徴とする、プレノプティック接眼装置(1)。
【請求項2】
前記第1レンズ配置(5)及び第2レンズ配置(6)によって全体として形成される接眼装置は、焦点距離f
OCを定義し、かつ、前記ダイヤフラム(4)が、フィールドストッパーとして構成される場合、
及び
を満たすような有効直径φを有する円形、正方形、または六角形の開口を含む、請求項
1に記載のプレノプティック接眼装置(1)。
【請求項3】
前記空間離散を備えた記録手段(8)の通信手段は、有線または無線接続によって画像セットを送信するように構成される、請求項
1または2に記載のプレノプティック接眼装置(1)。
【請求項4】
前記光学機器は、光学顕微鏡、経緯儀、双眼鏡、耳鏡、皮膚鏡、及びその他少なくとも1つの接眼ポートを備えた任意の光学機器から選択される、請求項
1~3のいずれか1項に記載のプレノプティック接眼装置(1)。
【請求項5】
少なくとも2つの接眼ポートを備えた光学機器であって、ここで、
1つ目の前記接眼ポートには、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレノプティック接眼装置(1)が取り付けられ、かつ/または一体化され、また、
2つ目の前記接眼ポートには、CCDカメラまたはその他の空間離散を備えた記録手段(8)が取り付けられ、かつ/または一体化され、
前記光学機器が、同時にまたは単独に、プレノプティック接眼装置(1)を用いてプレノプティック3D画像を、およびCCDカメラまたはその他の空間離散を備えた記録手段(8)を用いて2D画像を記録するように構成される、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置及び機器の分野、特に、前記光学機器の接眼ポートに挿入でき、対象物またはサンプルをより良く観察するために提供される付属装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学分野において、元素、材料または天体を研究し、それらの対象物から得られた画像を改善し、それらの特性を測定するために、機器が開発されている。
【0003】
特に、光学顕微鏡は生命科学と材料科学の発展に重要な役割を果たしてきた。この分野での進歩により、例えば、細胞レベルでの疾病研究が可能になり、医薬品や治療法の開発への道が開かれ、何百万人もの命が救われてきた。
【0004】
従来、光学顕微鏡は観察されたサンプルの2D画像の取得に重点を置いてきたが、最近、サンプルの3D画像を取得できるようにする何らかの技術を組み込んだ顕微鏡が用いられてきた。
【0005】
顕微鏡サンプルの3D画像を提供する方法のうち、共焦点顕微鏡法、デジタルレーザー写真顕微鏡法、構造化顕微鏡法、及び一体型顕微鏡法等がある。一体型顕微鏡法は、プレノプティック顕微鏡法または明視野顕微鏡法とも呼ばれ、主な機能として、研究対象の厚いサンプルの垂直や水平方向の様々な視点から撮った3D情報を記録する機能を備えている。これらの視点は、顕微鏡の視野の空間的または時間的多重化によって得られる。そのような視点から、サンプルの3D情報は、目的に応じて開発された汎用のアルゴリズムを用いて計算できる。一体型顕微鏡のより複雑なバージョンでは、サンプルの垂直や水平の一連の視点は、CCDまたはCMOSカメラ等のデジタルセンサの前に配置されたマイクロレンズ列で取得できる。
【0006】
明視野を撮るために用いられる別の技法として、配列またはカメラ配置が使用されている。分かるように、カメラは、写真の対物レンズとデジタルセンサから成るユニットである。該技法は、分解能が回折に制限されない巨視的なイメージング化のための応用に用いられる。しかし、顕微鏡において、該技法の使用は推奨されない。なぜなら、対物レンズの開口絞りのサイズが実際の対物レンズのサイズよりもはるかに小さく、ここでは、回折が分解能を制限する主な要因のためである。これは、レンズ列を用いた場合に得られた分解能よりもはるかに悪い分解能を意味する。
【0007】
一体型顕微鏡の分野における発展にもかかわらず、これまでに知られる3D画像を取得するためのシステムは、どうしても膨大な実験室用の組立てである。これが実用できるかどうかは、このタイプの組立てが課す条件にサンプルをいかに適合させるかにかかっている。
【0008】
従って、プレノプティック3D画像を取得するために、2D顕微鏡を簡単に適合させることができるオプションは検討されていない。
【0009】
先行技術では、顕微鏡の機能をいくつか改善するための、光学顕微鏡に取り付け可能な装置がある。例えば、CN201344999Yには、光学顕微鏡用の倍率30の電子接眼レンズが開示されている。これは、整然と接続された接眼管部(1)と延長ネック(2)を含む。ここで、前記接眼管部(1)の前端には、接眼レンズI(3)が取り付けられ、前記接眼レンズの円筒後端には、接眼レンズII(4)が取り付けられ、前記延長ネック(2)の内部には、撮像センサチップ(5)が取り付けられている。好ましくは、該撮像センサ(5)は、CDCまたはCMOSタイプのセンサである。
【0010】
該実用新案に開示された接眼装置の効果として、最大倍率30を達成でき、電子接眼レンズを変更するだけで倍率10を達成でき、光学顕微鏡の接眼レンズのチューブ内における接眼管部(1)とのスムーズな取り付けで倍率16を達成できる。しかし、該装置は、高倍率の電子接眼レンズであるが、3D画像を提供しないことから、汎用の接眼レンズに相当する。
【0011】
上記と同様な装置として、もう1つが日本特許出願JP2017219590に開示されている。これには、撮像センサを、光学機構を有する検査装置に取り付け可能な取り付けアダプタ(1)が開示されている。該取り付けアダプタ(1)には、主要なアダプタ本体部(4)、撮像センサを取り付け可能なマウント部(5)と、検査装置の光学機構の中心と撮像センサとの中心を通る軸線方向にある組立てアダプタ本体部(4)内のマウント部(5)、及びマウントを移動可能とするマウント移動機構が含まれる。前記マウント移動機構は、外筒部(6)、ガイド溝(14)、長孔(15)、及びピン(16)で構成されている。該日本出願に開示されている取り付けアダプタ(1)は、光学装置を備えた検査装置に撮像センサの取り付けを可能にし、その使いやすさを改善する。しかし、これは2D画像以上を提供せず、いかなる場合でも、これは、該装置を備えた顕微鏡で観察されたサンプルの3D画像セットを提供しない。
【0012】
スペイン特許ES 2 622 458には、顕微鏡対物レンズ、フーリエ平面とも呼ばれる瞳孔面と一致する前記顕微鏡対物レンズの開口ストッパーに配置されたマイクロレンズ列、及びCCDセンサのみで構成される一体型顕微鏡が記載されている。前記マイクロレンズを通して、様々な視点からサンプルの画像が撮像される。この開示から、該顕微鏡は「一体型」であることが分かる。つまり、関連技術は該顕微鏡に統合されているため、前記光学機器は、様々な視点からサンプルの画像を同時に取得し、これらに基づいて、前記サンプルの3D画像を製作することができている。従って、該スペイン特許の画像を形成するための装置は、プレノプティックタイプの顕微鏡に変換するために、汎用の顕微鏡に適合させることができない。
【0013】
先行技術の開示から分かるように、光学顕微鏡の接眼ポート等、光学機器の接眼ポートに取り付けできる装置が提供されているが、これらの装置はいずれも、サンプルの画像を2Dで撮像する光学機器から3Dプレノプティック画像を得るようには設計されていない。
【0014】
従って、主観的に観察するため、光学機器(例えば、光学顕微鏡)の接眼ポートに取り付けられ、かつ/または一体化できる装置を提供する必要性の証拠がある。該装置で、異なる視点から一回のショットまたはテイクで3Dサンプルの複数のプレノプティック画像が得られる。
【発明の詳細な説明】
【0015】
先行技術の欠乏または欠陥を克服するために、本発明は、前記接眼ポートに近い領域に位置する焦点面上にサンプルの実像を製作するように構成された光学機器の接眼ポートに取り付けられることを意図したプレノプティック接眼装置を提供する。該プレノプティック接眼装置は、
-第1端部及び該第1端部の反対側にある第2端部を有する管状要素、
-前記第1端部に配置された前記光学機器の前記接眼ポートに取り付け可能な取り付け手段、
-第1レンズ配置から距離SFを離れて位置するレンズ絞り(該レンズ絞り及び/または前記第1レンズ配置は、前記接眼ポートの焦点面及び焦点距離fFを定義する前記第1レンズ配置に対して位置する。前記接眼ポートの焦点面は、前記光学機器に提供された実像が生成された平面である。また、前記第1レンズ配置が、焦点距離fEを定義する。)、
-前記第1レンズ配置から距離eを離れて位置し、焦点距離fEを定義する第2レンズ配置、及び
-前記第2レンズ配置から距離S’Fを離れて位置し、前記光学機器からの実像を撮像し、基本画像セットを製作し、それらを、空間離散を備えた記録手段に送信するように構成されたレンズ列
を含む。ここで、前記空間離散を備えた記録手段は、前記レンズ列から距離fLを離れて位置し、前記レンズ列からの前記基本画像セットを外部画像処理手段に送信するように構成された通信手段を含む。
【0016】
代替の実施形態では、前記レンズ列の位置は、前記第1レンズ配置と前記第2レンズ配置を組み合わせた焦点化によって製作された焦点画像と一致し、
及び
を満たすような位置である。
【0017】
好ましい実施形態では、前記レンズ列の位置は、前記第1レンズ配置と前記第2レンズ配置を組み合わせた焦点化によって製作された画像平面と一致し、
及び
(ここで、zは、前記光学機器の射出瞳と前記プレノプティック接眼レンズの絞りとの間の距離である。)を満たすような位置である。
【0018】
他の好ましい実施形態では、前記レンズ列は、周期pで定義されるマイクロレンズ列を含む。該周期pは、空間離散を備えた記録手段が前記焦点距離fLで定義されるレンズ列の焦点面上に位置するように焦点距離fLを定義する。
【0019】
本プレノプティック接眼装置の他のさらなる代替の実施形態では、第1レンズ配置及び第2レンズ配置は全体として、焦点距離f
OCを定義し、かつ、前記レンズ絞りは、フィールドストッパーとして構成される場合、
、及び
を満たすような有効直径φを有する円形の開口を含む。
【0020】
本発明のプレノプティック接眼装置の代替の実施形態では、空間離散を備えた記録手段の通信手段は、有線または無線接続によって画像セットを送信するように構成される。
【0021】
他の実施形態では、本発明のプレノプティック接眼装置が取り付け可能な前記光学機器は、光学顕微鏡、経緯儀、双眼鏡、耳鏡、皮膚鏡、及びその他少なくとも1つの接眼ポートを備えた任意の光学機器から選択される。
【0022】
本発明はまた、少なくとも2つの接眼ポートを備えた光学機器を想定している。ここで、1つ目の前記接眼ポートには、本明細書に記載のプレノプティック接眼装置が取り付けられ、かつ/または一体化され、2つ目の前記接眼ポートには、2D画像を撮像するためのCCDカメラまたは同様な装置が取り付けられ、かつ/または一体化される。前記光学機器が、同時にまたは単独に、本発明のプレノプティック接眼装置を用いてプレノプティック3D画像を、またCCDカメラまたは同様なものを用いて2D画像を記録するように構成される。
【0023】
本発明によって得られた効果の1つとして、該装置は、光学機器から独立した要素であるため、接眼ポートを有する様々な機器に挿入できる。
【0024】
本発明の別の効果として、これが、光学機器の接眼ポートに自由に取り付けることが意図されている。接眼ポートは、外部にあり、簡単にアクセスできるため、該装置を取り外す、または挿入するプロセスが、他の接眼レンズと同様、道具を使用する必要はない。取り付けまたは取り外しには数秒しかかからない。また、接眼ポートに配置されているため、該プレノプティック接眼装置は、光学機器の汎用部分と同時に動作することができ、顕微鏡等のホスト機器の全てのユーティリティを利用することができる。即ち、サンプルの取り扱いの容易さ、光フィルターの使用、電動集束システムの使用、または他の任意の光機械的な付属品を利用できる。
【0025】
もう一つの効果として、サンプルの必要な3D情報を製作するための基本画像の処理が、コンピューター、タブレット、スマートフォン等の既知の外部処理装置に簡単に組み込まれる汎用のアルゴリズムで実施される。従って、光学機器へ介入する必要はなく、直接的かつ即時的に本発明の装置を適用する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図面を参照し、以下の例示的な実施形態に関する詳細な説明から、上記及び他の効果や特徴は完全に理解されるであろう。なお、これらは、例示的かつ非限定的であると見なされるべきである。
【0027】
図1は、本プレノプティック接眼装置の全体的な断面図である。
【0028】
図2は、顕微鏡と本発明のプレノプティック接眼装置との間の取り付け例を示している。ここに、サンプルから該プレノプティック接眼装置までの該顕微鏡を通る光線がたどる軌道は概略的に示されている。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0029】
以下の詳細な記載では、関連の教示を完全に理解するために、多くの具体的な詳細が例の形で概説されている。しかし、当業者にとって明らかなこととして、本教示は、そのような詳細がなくても実施できる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、本発明は、光学機器の接眼ポートに取り付けられるように提供されるプレノプティック接眼装置(1)を開示する。ここで、このような接眼ポートを備えた光学機器は、光学顕微鏡、経緯儀、双眼鏡、耳鏡、皮膚鏡、及びその他接眼レンズを備えた任意の光学機器から選択することができる。
【0031】
図1に見られるように、プレノプティック接眼装置(1)は、該装置の全ての構成要素を固定するように構成された支持構造のような形状をしている管状要素(2)としての本体を含む。該管状要素(2)は、近位端に対応するか、または好ましくは、前記光学機器の接眼ポートに向けられる第1端部(2A)、及び遠位端に対応するか、または前記接眼ポートからさらに離れて、即ち、第1端部(2A)の反対側にある第2端部(2B)を含む。好ましい実施形態では、管状要素(2)は、プラスチックまたは金属、及び/またはこれらの組み合わせから成形された中空の円筒であり、前記プレノプティック接眼装置(1)の構成要素を固定するように構成された溝、空洞、ストッパー、及び/または同様なものを含む。
【0032】
接眼ポートへの取り付け手段(3)が、管状要素(2)の中、第1端部(2A)に設けられ、その名の通り、プレノプティック接眼装置(1)を光学機器の接眼ポートに取り付けるように配置され、構成されている。
図1に示される実施形態では、取り付け手段(3)は、接眼ポートに挿入できるような適切なサイズを有する管状要素(2)の細部(3A)として構成される。その結果、管状要素(2)のこの細い部分が、取り付け手段(3)の接眼ポートへの挿入制限として機能する肩部(3B)を形成する。
【0033】
図1に見られるように、プレノプティック接眼装置(1)は、レンズ絞り(4)を含む。その機能は、前記レンズ絞り(4)からある距離を離れた第1レンズ配置(5)に到達する光の量を調節することである。レンズ絞り(4)の位置により、これはフィールドストッパーとして構成できる。好ましい実施形態では、レンズ絞り(4)は、虹彩タイプのレンズ絞りであるが、該好ましい構成は、本発明の範囲を限定しない。
【0034】
明確にすべき重要なこととして、レンズ配置という用語は、本発明の文脈において、単一のレンズ、または同じ光軸上に配置された2つ以上のレンズの取り付けまたは隣接を指す場合がある。ここで、各レンズ配置が、特定の光学的特性(例えば、焦点、または焦点距離等)を有する。
【0035】
また、第1レンズ配置(5)は、レンズ絞り(4)から距離S
Fに位置し、焦点距離f
Fを定義し、視野が前記第1レンズ配置(5)で拡大されるようにフィールドレンズ配置として構成される。簡略化された実施形態では、第1レンズ配置(5)は、平凸形状の単一のレンズを含み、該レンズの凸部分の向きは、レンズ絞り(4)に対する前記レンズの位置に依存する。他の実施形態では、第1レンズ配置(5)は、重ね合わされているか、または一緒に隣接されている2つ以上の凸レンズの組み合わせである。汎用の接眼レンズについて知られているように、この第1レンズ配置(5)はレンズ絞り(4)の後の位置に配置されてもよい。即ち、レンズ絞り(4)が最初に端部(2A)に、次に第1レンズ配置(5)に対して位置する、またはレンズ絞り(4)の前の位置、最初に端部(2A)に対して位置することができる。最初の場合では、
図1に示すように、プレノプティック接眼装置(1)は、「ポジティブ」タイプとして構成され、ここで、凸部は端部(2B)に向けられている。一方、2番目の場合(図示されていないが)では、前記接眼装置は、「ネガティブ」タイプとして構成され、ここで、レンズ配置の凸部は端部(2A)に向けられている。
【0036】
また、
図1にも見られるように、プレノプティック接眼装置(1)は、第1レンズ配置(5)から距離eを離れて位置し、焦点距離f
Eを定義する第2レンズ配置(6)を含む。該第2レンズ配置(6)は、その最も単純な実施形態では、平凸形状の単一のレンズを含む。該レンズの凸部が接眼ポートに向けられている。他の実施形態では、第2レンズ配置(6)は、重ね合わされているか、または一緒に隣接されている2つ以上の凸レンズの組み合わせである。
【0037】
これまでに記載してきた要素は、周知されているような汎用の接眼装置の一部を形成するか、または形作るであろう。このように、第1レンズ配置(5)はフィールドレンズと呼ばれ、また、第2レンズ配置(6)はアイレンズと呼ばれるであろう。
【0038】
指摘しなければならないこととして、本発明のプレノプティック接眼装置(1)は、汎用の接眼レンズのように、光学機器が前記接眼ポートに近い領域に位置する焦点面上に生成する、サンプルの実際の(中間)画像を撮像するために提供される。該焦点面が形成される、該接眼ポートに「近い領域」またはその近くは、光学機器のタイプに関連している。例えば、望遠鏡の場合、焦点面が望遠鏡の対物レンズの画像焦点にある。管状レンズを備えた顕微鏡の場合、焦点面が該管状レンズの画像焦点にある。この理由で、該接眼装置は、実像を撮像し、それを下記の要素で処理するために、実際の(中間)画像が形成される焦点面に近い領域に配置する必要がある。
【0039】
図1に見られるように、本発明は、管状要素(2)に取り付けられ、第2レンズ配置(6)から距離S'
Fを離れて配置されたレンズ列(7)を含む。ここで、該レンズ列(7)の位置は、第1レンズ配置(5)と第2レンズ配置(6)との組み合わせた焦点化によって形成された画像焦点と一致するような位置である。レンズ列(7)は、焦点距離f
Lを定義し、光学機器からの実際の(拡大された)画像、特に第1レンズ配置(5)と第2レンズ配置(6)との組み合わせによって提供される画像を撮像するように構成される。これは、基本画像セットを製作し、それらを、空間離散を備えた記録手段(8)に送る。
【0040】
好ましい実施形態では、レンズ列(7)は、同じ平面上に配置されたレンズ列を含む。これによって、それぞれのレンズの光軸が、全て互いに平行であり、レンズの平面に垂直である。該列のレンズは、サイズまたは周期p及び焦点距離fLで定義される。指摘すべき重要なこととして、レンズ列(7)がマイクロレンズ列である場合、マイクロレンズのそれぞれが焦点距離fLを有する。これによって、全ての焦点距離が、fLとも呼ばれる焦点距離に位置する共通の焦点面を形成する。好ましくは、この焦点面に、空間離散を備えた記録手段(8)が配置される。
【0041】
空間離散を備えた記録手段(8)は、好ましくは、前述のように、レンズ列(7)の焦点面と一致するように、本体(2)の第2端部(2B)に位置し、また、前の段落で基本画像と呼ばれる、レンズ列(7)からの視点の画像セットを記録し、前記空間離散を備えた記録手段(8)からなる通信手段によって、前記画像セットを外部画像処理手段に送信するように構成される。
【0042】
好ましい実施形態では、空間離散を備えた記録手段(8)は、CMOSセンサまたはCCDセンサ、及び/または他のレンズ列(7)からの視点の画像セットを記録できる空間離散を有する任意の記録手段から選択される。次に、レンズ絞り(4)は、空間離散を備えた記録手段(8)のセンサ領域を最適に使用できるような方法で配置され、フィールドストッパーとして機能するようなサイズを有する。
【0043】
空間離散を備えた記録手段(8)において提供される通信手段は、USB、カメラリンク、または他種の有線接続によって、またはWiFi、ZigBee IEEE 802.15.4、Bluetoothまたは他種の無線リンクによって、記録された画像を外部画像処理手段に送ることができる。そのような画像処理手段は、コンピューター、タブレット、またはスマートフォンであり得る。
【0044】
指摘すべき重要なこととして、本発明のプレノプティック接眼装置(1)を解像度と視野の両方の観点から最大限に使用するために、前記レンズ絞り(4)がフィールドストッパーとして構成されている場合に、レンズ絞り(4)の開口の直径φを確立できる数式が確立されている。これにより、後続のレンズ配置を通る、即ち、第1レンズ配置(5)及び第2レンズ配置(6)を通る直径φの変化が、レンズ列(7)のサイズを有する。
【0045】
前の段落で定義したように、eは、第1レンズ配置(5)と第2レンズ配置(6)の間の距離であり、f
Fは、第1レンズ配置(5)の焦点距離であり、また、f
Eは、第2レンズ配置(6)の焦点距離であることを考慮し、接眼装置全体の焦点距離f
ocは、幾何光学の古典的な方程式を用いて計算できる:
【0046】
対象物の焦点面の位置S
F、即ち、第1レンズ配置(5)とレンズ絞り(4)との間の距離も計算できる:
また、画像焦点面の位置S’
F、即ち、第2レンズ配置(6)とレンズ列(7)との間の距離も計算できる:
ここで、zは、光学機器の射出瞳から接眼レンズ絞りまでの距離である。
【0047】
即ち、レンズ絞り(4)の開口部の直径φは、フィールドストッパーとして構成され、装置の性能を最大限に達成する場合、次のように定義される:
【0048】
注意すべきこととして、直径φを参照する場合、これは有効直径を指す。なぜなら、レンズ絞りの開口部は、有効直径φが存在する場合、一般に円形、正方形、長方形、六角形、または多角形の形でありうるからである。
【0049】
上記によると、プレノプティック接眼装置(1)が、望まれる特徴に応じて必要な数の基本画像を製作するような倍率を提供するように、パラメータfoc、fL、及びpを選択する。基本画像の数が多いほど、視野の深度が大きくなり、解像度が低くなる(逆もまた同様)。解像度と視野の深度を最適化する一例は、レンズ列(7)が最大3~5枚の画像を提供する場合である。
【0050】
示された実施形態では、レンズ列(7)は二次元であり、例えば5×5枚のレンズを有することができる。このような場合、5×5枚の基本画像、言い換えれば、デカルト方向に沿った5枚の基本画像が提供される。
【0051】
図2では、顕微鏡の接眼ポートにプレノプティック接眼装置(1)を取り付ける一例の図が示されている。これは対象物O(x、y)に作用する。ここで、画像は、前記機器の対物レンズ(10)に撮像される。前記対物レンズは、焦点を合わせて、観察された対象物O(x、y)の実像O'(x、y)を製作する少なくとも1組のレンズと、光の量を調節する開口レンズ絞り(11)を有する。光学機器によって提供される実像O'(x、y)は、プレノプティック接眼装置(1)のレンズ絞り面(4)の上に形成される。該引用図面に見られるように、第1レンズ配置(5)及び第2レンズ配置(6)は、無限遠にある対象物O(x、y)の画像、及び第2レンズ配置(6)からの距離S
F
'にある開口ストッパーの画像を提供する。
【0052】
本発明はまた、少なくとも2つの接眼ポートを備えた光学機器を提供する。ここで、1つ目の前記接眼ポートに、これまでに本明細書で説明したプレノプティック接眼装置(1)が取り付けられ、かつ/または一体化され、2つ目の前記接眼ポートに、2D画像を保存するためのCCDカメラまたは同様なものが取り付けられ、かつ/または一体化される。ここで、該光学機器は、プレノプティック接眼装置(1)を用いてプレノプティック3D画像を、CCDカメラまたは同様なものを用いて2D画像を同時にまたは単独に記録するように構成される。このようにして、サンプルの2D画像及び3Dプレノプティック画像を同時にまたは別々に提供できる光学機器が提供される。
【0053】
考慮すべきこととして、本発明のいくつかの部分、特に空間離散を備えた記録手段(8)での画像処理に対応する部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせにおいて実施でき、また、メモリに格納され、そのような目的に適した命令実行システムによって実行されたソフトウェアまたはファームウェアにおける複数のステップまたは方法で実施できる。