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特許7323158防音構造体用組立キット及び吸音ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】防音構造体用組立キット及び吸音ユニット
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/13 20060101AFI20230801BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20230801BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20230801BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
F02B77/13 C
E04B1/343 M
F02B63/04 Z
G10K11/16 120
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019114921
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021001565
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩井 真人
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-18201(JP,U)
【文献】特開平10-266731(JP,A)
【文献】特開2007-334168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0014044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 77/13
F02B 63/04
G10K 11/16
E04B 1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音源の収容空間を区画する側壁部を備えた防音構造体を組み立てるための防音構造体用組立キットであって、
前記側壁部を形成する複数の吸音ユニットと、前記吸音ユニットを連結する連結部材を備え、
前記吸音ユニットは、上下方向に延びる一対の側辺を有する吸音パネルと、前記吸音パネルの前記一対の側辺の一方に取り付けられた長尺状の第1支持部材と、他方に取り付けられた長尺状の第2支持部材を備え、
前記第1支持部材には上方に開口する第1凹部が設けられるとともに、前記第2支持部材には上方に開口する第2凹部が設けられ、
前記連結部材は、上壁部と、前記上壁部から下方へ延びる第1軸部及び第2軸部を備え、
一対の前記吸音ユニットのうちの一方の前記第1凹部に前記第1軸部を挿入し、他方の前記第2凹部に第2軸部を挿入することにより、一対の前記吸音ユニットを任意の角度で連結可能に構成されており、
前記第1支持部材は、前記吸音パネルの前記一対の側辺の一方に取り付けられた固定支持部材と、前記固定支持部材に対して任意の角度で連結される回動支持部材を備え、
前記回動支持部材の外面には、上下方向に延びる凹条部が設けられ、
前記第2支持部材の外面には、上下方向に延びる凸条部が設けられ、
前記第1凹部は、前記固定支持部材に設けられ、
前記連結部材は、一対の前記吸音ユニットの一方の前記凹条部内に他方の前記凸条部を挿入した状態で、前記第1軸部を前記第1凹部に挿入し、前記第2軸部を前記第2凹部に挿入することにより、一対の前記吸音ユニットを任意の角度で連結可能に構成されていることを特徴とする防音構造体用組立キット。
【請求項2】
前記固定支持部材と前記回動支持部材とは別体であり、
前記回動支持部材には、前記連結部材を固定するための固定部が設けられていることを特徴とする請求項に記載の防音構造体用組立キット。
【請求項3】
前記固定支持部材の外周面は、断面円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音構造体用組立キット。
【請求項4】
前記回動支持部材の外面は、前記固定支持部材の外周面に沿う断面凹状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の防音構造体用組立キット。
【請求項5】
騒音源の収容空間を区画する側壁部を備えた防音構造体を組み立てるための防音構造体用組立キットであって、
前記側壁部を形成する複数の吸音ユニットと、前記吸音ユニットを連結する連結部材を備え、
前記吸音ユニットは、上下方向に延びる一対の側辺を有する吸音パネルと、前記吸音パネルの前記一対の側辺の一方に取り付けられた長尺状の第1支持部材と、他方に取り付けられた長尺状の第2支持部材を備え、
前記第1支持部材には上方に開口する第1凹部が設けられるとともに、前記第2支持部材には上方に開口する第2凹部が設けられ、
前記連結部材は、上壁部と、前記上壁部から下方へ延びる第1軸部及び第2軸部を備え、
一対の前記吸音ユニットのうちの一方の前記第1凹部に前記第1軸部を挿入し、他方の前記第2凹部に第2軸部を挿入することにより、一対の前記吸音ユニットを任意の角度で連結可能に構成されており、
前記連結部材は、前記第1凹部に前記第1軸部が挿入された状態で前記第1支持部材に固定されており、
前記第2軸部は、上下動可能に構成されていることを特徴とする防音構造体用組立キット。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の防音構造体用組立キットに適用される吸音ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音構造体用組立キット及び吸音ユニットに関する。より詳しくは、騒音源の収容空間を区画する側壁部を備えた防音構造体を組み立てるための防音構造体用組立キット、及び当該防音構造体用組立キットに適用される吸音ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の吸音パネルが互いに連結されてなる側壁部を備え、騒音源の周囲に設けて不快な騒音が外部に漏れるのを抑制する防音構造体が知られている。
特許文献1には、発電機等のエンジン式の機械を覆って周囲へ騒音が漏れるのを抑制する防音構造体に係る発明が記載されている。特許文献1に記載される防音構造体は、四角形に形成された4枚の吸音パネルがアルミニウム製の枠を介して互いに連結されてなる側壁部を有している。また、側壁部の上端には排気口を形成するための蓋板が回動可能に設けられた上面部材が、アルミニウム製の枠を介して連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-50577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防音構造体を発電機の周囲に配置する場合について、特許文献1には、台車上に発電機を載せてエンジンを作動させた後に、発電機の覆うようにその上方から防音構造体を被せることが記載されている。
【0005】
しかし、こうした設置方法では、重量のある防音構造体を発電機の高さ以上に持ち上げる必要があるため、設置作業に携わる作業者が1人しかいない場合や、力が弱い者である場合等には、設置作業に困難を伴うことがあった。
【0006】
また、従来の防音構造体は、4枚の吸音板が予め連結されてなるものであるため、発電機等の大きさが変わると対応することができず。機械の大きさが変わる都度、それに合うような大きさの防音構造体を準備して設置する必要があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設置作業がし易く汎用性の高い防音構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の防音構造体用組立キットは、騒音源の収容空間を区画する側壁部を備えた防音構造体を組み立てるための防音構造体用組立キットであって、前記側壁部を形成する複数の吸音ユニットと、前記吸音ユニットを連結する連結部材を備えている。前記吸音ユニットは、上下方向に延びる一対の側辺を有する吸音パネルと、前記吸音パネルの前記一対の側辺の一方に取り付けられた長尺状の第1支持部材と、他方に取り付けられた長尺状の第2支持部材を備え、前記第1支持部材には上方に開口する第1凹部が設けられるとともに、前記第2支持部材には上方に開口する第2凹部が設けられている。前記連結部材は、上壁部と、前記上壁部から下方へ延びる第1軸部及び第2軸部を備え、一対の前記吸音ユニットのうちの一方の前記第1凹部に前記第1軸部を挿入し、他方の前記第2凹部に第2軸部を挿入することにより、一対の前記吸音ユニットを任意の角度で連結可能に構成されている。
【0009】
上記の構成によれば、吸音ユニットの一方の側辺には上方に開口する第1凹部が設けられた長尺状の第1支持部材が取り付けられ、他方の側辺には上方に開口する第2凹部が設けられた長尺状の第2支持部材が取り付けられている。そして、吸音ユニットを連結するための連結部材の上壁部からは2つの軸部が下方に延びている。そのため、例えば、一対の吸音ユニットのうちの一方の吸音ユニットに取り付けられた第1支持部材と他方の吸音ユニットに取り付けられた第2支持部材とを突き合せた状態で、上方から連結部材を差し込めば、一対の吸音ユニットを容易に連結することができる。吸音パネルの両側辺に支持部材が取り付けられた吸音ユニットを、連結部材を介して順次連結していくことで、騒音源の収容空間を区画する側壁部を備えた防音構造体を組み立てることができる。防音構造体の設置作業時に、完成した状態の防音構造体を持ち上げる必要がなく、騒音源の収容空間を防音構造体で容易に区画することができる。防音構造体の設置作業がし易い。
【0010】
また、連結部材での連結によって、一対の吸音ユニットは任意の角度で連結可能に構成されている。そのため、連結部材を介して連結された一対の吸音ユニットを、互いに交差する方向に延びるような状態で配置することができる。隣り合う吸音ユニットを適宜の角度で連結していけば、収容空間の大きさや形状が異なる防音構造体を容易に形成することができる。汎用性の高い防音構造体を得ることができる。
【0011】
上記の構成において、前記第1支持部材は、前記吸音パネルの前記一対の側辺の一方に取り付けられた固定支持部材と、前記固定支持部材に対して任意の角度で連結される回動支持部材を備え、前記回動支持部材には、上下方向に延びて前記吸音パネルの外方に向かって開口する凹条部が設けられ、前記第2支持部材には、上下方向に延びて前記吸音パネルの外方に向かって突出する凸条部が設けられ、前記第1凹部は、前記固定支持部材に設けられ、前記連結部材は、一対の前記吸音ユニットの一方の前記凹条部内に他方の前記凸条部を挿入した状態で、前記第1軸部を前記第1凹部に挿入し、前記第2軸部を前記第2凹部に挿入することにより、一対の前記吸音ユニットを任意の角度で連結可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、回動支持部材に設けられた凹条部に、第2支持部材に設けられた凸条部を挿入することで、一対の吸音ユニットを安定して支持することができる。また、回動支持部材は、吸音ユニットに取り付けられた固定支持部材に対して任意の角度を取り得るため、一対の吸音ユニットを任意の角度で安定して支持することができる。そして、この状態で連結部材を第1凹部及び第2凹部に挿入すれば、一対の吸音ユニットを容易に連結することができる。防音構造体の設置作業がし易い。
【0013】
上記の構成において、前記固定支持部材と前記回動支持部材とは別体であり、前記回動支持部材には、前記連結部材を固定するための固定部が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、互いに任意の角度を取り得る固定支持部材と回動支持部材を別体とすることで、右側支持部材の設計上の制約を減らすことができる。
【0014】
上記の構成において、前記固定支持部材の外周面は、断面円弧状に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、回動支持部材が固定支持部材に対して回動し易くなる。そのため、固定支持部材に対して回動支持部材を任意の角度で連結する際の作業がし易い。
【0015】
上記の構成において、前記回動支持部材の外面は、前記固定支持部材の外周面に沿う断面凹状に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、回動支持部材が固定支持部材に対してより回動し易くなる。固定支持部材に対して回動支持部材が任意の角度で連結する際の作業がよりし易くなる。
【0016】
上記の構成において、前記連結部材は、前記第1凹部に前記第1軸部が挿入された状態で前記第1支持部材に固定されており、前記第2軸部は、上下動可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、一対の吸音ユニットを連結する際、一方の吸音ユニットの第1支持部材と他方の吸音ユニットの第2支持部材を突き合せ、一方の吸音ユニットの第1支持部材に固定された連結部材の第2軸部を上方に持ち上げて第2凹部内に挿入すれば、一対の吸音ユニットを容易に連結することができる。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の吸音ユニットは、上記の防音構造体用組立キットに適用される吸音ユニットである。
上記の構成によれば、複数の吸音ユニットを連結部材を介して連結すれば、適宜の大きさ、形状で、設置作業のし易い防音構造体を作ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設置作業がし易く汎用性の高い防音構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の防音構造体の斜視図。
図2】(a)は中空板材の斜視図、(b)は(a)におけるb‐b線断面図、(c)は(a)におけるc‐c線断面図。
図3】(a)は中空板材のコア層を構成するシート材の斜視図、(b)は同シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は同シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図、(d)は中空板材の連通孔の形成態様を示す断面図。
図4】防音構造体を構成する吸音ユニットについて説明する図。(a)は吸音ユニットの斜視図、(b)~(d)は吸音ユニットの部分拡大図。
図5】右側支持部材について説明する図。(a)は右側支持部材を収容空間側から見た部分斜視図、(b)は右側支持部材を収容空間とは反対側から見た部分斜視図。
図6】左側支持部材について説明する図であり、左側支持部材を収容空間とは反対側から見た部分斜視図。
図7】上側連結部材の斜視図。(a)は回動側軸部が通常位置にある状態を示す図、(b)は回動側軸部が持ち上げられた位置にある状態を示す図。
図8】上側連結部材の断面図。(a)は図7(a)におけるd‐d線断面図。(b)は図7(b)におけるe‐e線断面図。
図9】下側連結部材の斜視図。
図10】防音構造体の部分断面図であって、図1のa‐a線断面図。
図11】(a)~(d)は防音構造体の設置工程について説明する図。
図12】吸音ユニットを保管する状態について説明する図。
図13】上側連結部材の変更例の斜視図。
図14】(a)は上側連結部材の変更例の斜視図、(b)は(a)のf‐f線断面図。
図15】(a)~(d)は右側支持部材、左側支持部材の変更例について説明する模式断面図。
図16】右側支持部材の変更例について説明する模式断面図。
図17】上側連結部材の変更例について説明する斜視図。
図18】右側支持部材、左側支持部材の変更例について説明する模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の防音構造体用組立キットを具体化した一実施形態について、図1図12に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の防音構造体用組み立てキットによって組み立てられた防音構造体1は、四角筒形状をなす側壁部2を備えている。側壁部2で区画された内部の空間は、例えば、小型電動機や粉砕機等の騒音源を収容可能な収容空間Cとなる。
【0022】
側壁部2は、複数の吸音ユニット10が、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して互いに連結されて形成されている。
図1及び図4に示すように、本実施形態の吸音ユニット10は、吸音パネル11と、吸音材12と、右側支持部材20及び左側支持部材30と、上側連結部材40及び下側連結部材50とで構成されている。吸音パネル11は、約1000mm×750mmの長方形板状であり、防音構造体1では、その長手方向を上下方向として設置される。吸音材12は、吸音パネル11より少し小さい長方形板状の部材であり、吸音パネル11の収容空間C側の主面11aに脱着可能に貼着されている。右側支持部材20は、吸音パネル11を吸音材12が貼着されていない側の面である主面11b側から見た場合に、吸音パネル11の右側の側辺11cに取り付けられた長尺状の部材である。左側支持部材30は、吸音パネル11を主面11b側から見た場合に、吸音パネル11の左側の側辺11dに取り付けられた長尺状の部材である。
【0023】
図2に示すように、吸音パネル11は、内部に複数のセルSが並設された板状の中空構造体である中空板材3により形成されている。
まず、吸音パネル11を形成する中空板材3の構造について説明する。
【0024】
図2(a)に示すように、中空板材3は、内部に複数のセルSが並設されたコア層4と、コア層4の厚み方向両面(図2(a)において上下両面)に接合されたシート状のスキン層5、6とで構成されている。図2(b)及び図2(c)に示すように、コア層4は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。コア層4は、上方壁部4aと、下方壁部4bと、上方壁部4a及び下方壁部4bの間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側方壁部4cとで構成されている。
【0025】
図2(b)及び図2(c)に示すように、コア層4の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図2(b)に示すように、第1セルS1においては、側方壁部4cの上部に2層構造の上方壁部4aが設けられている。この2層構造の上方壁部4aの各層は互いに接合されている。また、第1セルS1においては、側方壁部4cの下部に1層構造の下方壁部4bが設けられている。一方、図2(c)に示すように、第2セルS2においては、側方壁部4cの上部に1層構造の上方壁部4aが設けられている。また、第2セルS2においては、側方壁部4cの下部に2層構造の下方壁部4bが設けられている。この2層構造の下方壁部4bの各層は互いに接合されている。また、図2(b)及び図2(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側方壁部4cによって区画されている。
【0026】
図2(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第1セルS1が六角形の1辺を共有している。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第2セルS2が六角形の1辺を共有している。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層4は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0027】
図2(a)~(c)に示すように、上記のように構成されたコア層4の上面には熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層5が接合されている。また、コア層4の下面には、熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層6が接合されている。この実施形態では、コア層4における側方壁部4cの上部が、コア層4の上方壁部4a及びスキン層5で閉塞されている。すなわち、上方壁部4a及びスキン層5が、セルSを上側から区画する上部閉塞壁3aを構成している。同様に、コア層4における側方壁部4cの下部が、コア層4の下方壁部4b及びスキン層6で閉塞されている。すなわち、下方壁部4b及びスキン層6が、セルSを下側から区画する下部閉塞壁3bを構成している。
【0028】
図2(b)及び図2(c)に示すように、中空板材3の上部閉塞壁3aには、セルSの内外を連通させる連通孔7が設けられている。具体的には、図2(b)に示すように、第1セルS1において連通孔7は、上面側のスキン層5及び2層構造の上方壁部4aを貫通している。また、図2(c)に示すように、第2セルS2において連通孔7は、上面側のスキン層5及び1層構造の上方壁部4aを貫通している。
【0029】
図2(a)に示すように、連通孔7は、1つのセルSに対して1箇所ずつ設けられている。この実施形態では、連通孔7は、中空板材3を上面視した場合に、各セルSの六角形状の中央に位置している。図2(b)及び図2(c)に示すように、各連通孔7の開口の直径は、セルSを上面視した場合の六角形の一辺の長さ以下に設定されている。具体的には、各連通孔7の開口の直径は、X方向に隣り合うセルSの中心同士の間隔P1の数分の1(例えば、0.5~3.0mm程度)に設定されている。
【0030】
次に、中空板材3の製造方法について図3に従って説明する。
図3(a)に示すように、第1シート材100は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形することにより形成される。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体に亘って形成されている。第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は約90度であればよく、90度より少し大きくてもよい。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0031】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0032】
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0033】
図3(a)及び(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層4が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、図3(b)及び(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層4が形成される。なお、この実施形態では、第1シート材100を折り畳むために圧縮する方向が、セルSが並設される方向(X方向)である。
【0034】
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層4の上方壁部4aが形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層4の下方壁部4bが形成される。なお、図2(c)に示すように、上方壁部4aにおける第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下方壁部4bにおける第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
【0035】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側方壁部4cを構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側方壁部4cを構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側方壁部4cとなる。また、第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上部が区画され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下部が区画されている。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0036】
このようにして得られたコア層4の上面及び下面には、それぞれ熱可塑性樹脂製の第2シート材が熱溶着により接合される。コア層4の上面に接合された第2シート材はスキン層5となり、コア層4の上方壁部4aと共にセルSを上側から閉塞する上部閉塞壁3aを構成する。コア層4の下面に接合された第2シート材は、スキン層6となり、コア層4の下方壁部4bと共にセルSを下側から閉塞する下部閉塞壁3bを構成する。
【0037】
なお、第2シート材(スキン層5、6)をコア層4に熱溶着する際には、第1セルS1における2層構造の上方壁部4a(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。同様に、第2セルS2における2層構造の下方壁部4b(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。
【0038】
上記各工程により、X方向に第1セルS1又は第2セルS2がそれぞれ列を成すように多数並設され、Y方向に第1セルS1及び第2セルS2が交互に多数並設された中空板材3が得られる。
【0039】
その後、中空板材3のスキン層5及びコア層4の上方壁部4a(上部閉塞壁3a)に多数の連通孔7を形成する。連通孔7は、ドリル、針、パンチ等の貫通冶具Tを、中空板材3のスキン層5及びコア層4の上方壁部4aに貫通させることにより形成される。図3(d)に示すように、貫通冶具Tは、隣り合うセルSの中心同士の各間隔と略同一の間隔で複数配列された構成となっている。複数の貫通冶具Tの下方側に中空板材3を配置して固定し、貫通冶具Tを下降移動させる。このようにして、中空板材3のスキン層5及びコア層4の上方壁部4aには、各セルSの略中央部分に各1箇所ずつの連通孔7が形成される。以上の工程を経て、複数の連通孔7が形成された中空板材3が製造される。なお、本実施形態の中空板材3の板厚は約20mmである。
【0040】
次に、図1図4図10に従って、上記の中空板材3を吸音パネル11として使用した防音構造体1の構造についてより詳細に説明する。
図1及び図4(a)~(d)に示すように、本実施形態の防音構造体1は、吸音パネル11と、吸音パネル11に貼着された吸音材12と、吸音パネル11の対向する長辺のそれぞれに取り付けられた右側支持部材20及び左側支持部材30と、右側支持部材20の上下それぞれに取り付けられた上側連結部材40及び下側連結部材50と、からなる吸音ユニット10を一つの単位として形成されている。図4(a)~(d)では、吸音材12の図示を省略している。
【0041】
防音構造体1は、吸音ユニット10を複数枚連結して形成されており、具体的には、隣り合う一対の吸音ユニット10の一方の右側支持部材20と他方の左側支持部材30を、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して互いに連結させていくことによって形成されている。本実施形態の防音構造体1は、吸音ユニット10を4枚連結することによって、四角筒形状をなす側壁部2を有している。本実施形態の防音構造体1では、右側支持部材20、左側支持部材30、上側連結部材40、及び下側連結部材50はアルミニウム製とされている。
【0042】
図4(a)に示すように、吸音パネル11は、約1000mm×750mmの長方形板状に切断された板厚約20mmの中空板材3により形成されている。吸音パネル11は、中空板材3を構成する第1セルS1及び第2セルS2の列が延びる方向に直交する方向(図2及び図3においてY方向)が上下方向となるように配置されている。
【0043】
吸音パネル11は、中空板材3のスキン層5側、つまり、連通孔7が形成されている側が収容空間C側の面である主面11aとなるように構成されている。そして、吸音材12は、連通孔7が形成されている主面11aに脱着可能に貼着されている。右側支持部材20は、吸音パネル11を吸音材12が貼着されていない側の面である主面11b側から見た場合に、吸音パネル11の右側の側辺11cの全長に亘って取り付けられている。また、左側支持部材30は、吸音パネル11を主面11b側から見た場合に、吸音パネル11の左側の側辺11dの全長に亘って取り付けられている。さらに、右側支持部材20の上部には上側連結部材40が取り付けられ、右側支持部材20の下部には下側連結部材50が取り付けられている。
【0044】
吸音パネル11の主面11aには、図示しない透湿防水シートが、その全面に亘って貼り付けられている。すなわち、透湿防水シートは、中空板材3において連通孔7が形成されている側の面に貼り付けられている。透湿防水シートは、例えば、面ファスナー、両面テープ、接着剤などで吸音パネル11に貼り付けられている。そのため、吸音パネル11の連通孔7を介して、中空板材3のセルS内に水が浸入することが抑制される。その結果、セルS内に水が浸入することに起因して吸音パネルの吸音効果が低下するといった吸音特性の変化を抑制することができる。
【0045】
吸音パネル11を構成する中空板材3の上端面及び下端面には、帯板状の封止部材13が取り付けられている。封止部材13の幅方向の寸法は、吸音パネル11を構成する中空板材3の厚み寸法と同じになっている。また、封止部材13の長さ方向の寸法は、吸音パネル11を構成する中空板材3の幅方向の寸法と同じになっている。そのため、この封止部材13によって、吸音パネルの上端面及び下端面において中空板材3の内部空間、つまりセルSの内部空間が露出しないようになっており、中空板材3の内部空間に塵、埃、水等が入ることが抑制される。また、下端面の封止部材13によって、防音構造体1が設置された床との摩擦による中空板材3の摩耗等が抑制される。
【0046】
図4(a)~図4(c)に示すように、右側支持部材20は、吸音パネル11の上端縁から下端縁に至るまでの長さを有する長尺状の部材として形成されている。本実施形態の右側支持部材20は、吸音パネル11の側辺11cに取り付けられた固定支持部材60と、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して固定支持部材60に固定された回動支持部材70とで構成されている。上側連結部材40及び下側連結部材50による固定状態を解除すると、固定支持部材60と回動支持部材70は別体として分離可能である。上側連結部材40及び下側連結部材50を介しての固定によって、固定支持部材60及び回動支持部材70は、分離不能、回動可能に連結されて、吸音パネル11の側辺11cに取り付けられている。
【0047】
図5(a)に示すように、固定支持部材60は、断面コ字状で上下方向に延びる長尺状の固定支持部61と、略円筒状で上下方向に延びる長尺状の回動受け部64が、一体に連設された形状をなしている。固定支持部61は、吸音パネル11の側辺11cに取り付けられる部分であり、回動受け部64は、回動支持部材70の外面が近接して、回動支持部材70の固定支持部材60に対するスムーズな回動を支持する部分である。なお、図5(a)及び図5(b)では、右側支持部材20での上側連結部材40による固定状態が解除されて、固定支持部材60と回動支持部材70とが互いに分離している状態を示している。
【0048】
図5(a)及び図5(b)に示すように、断面コ字状の固定支持部61は、吸音パネル11の一対の主面11a、11bを支持する一対の主面支持部62と、吸音パネル11の側辺11c側の端面を支持する端面支持部63を有している。一対の主面支持部62の間には、吸音パネル11が挿入される溝61aが形成されている。固定支持部61における溝61aの幅、すなわち、一対の主面支持部62の内側面間の距離L1は、吸音パネル11の板厚より少し大きく形成されている。具体的には、吸音パネル11の板厚より3~12%大きく形成されていることが好ましく、6~9%大きく形成されていることがより好ましい。また、主面支持部62の板厚は約2.5mmとされている。
【0049】
図5(a)及び(b)に示すように、主面支持部62の外面側には、上下方向に延びる凹部62aと、凹部62aの幅方向中央で上下方向に延びる溝62bが形成されている。この溝62bを介して、吸音パネル11に到達するようにリベット81を打ち込むことにより、固定支持部材60が吸音パネル11に取り付けられている。図10に示すように、リベット81は、吸音パネル11を構成する中空板材3の上部閉塞壁3a及び下部閉塞壁3bを貫通するように取り付けられている。
【0050】
図5(b)に示すように、略円筒形状の回動受け部64は、一対の主面支持部62の外側面間の距離L2とほぼ同じ長さの直径D1を有する円筒部65の一部が切り欠かれて固定支持部61の端面支持部63に向かって拡径した形状となっている。これにより、回動受け部64には、円筒部65より固定支持部61側の部分に、主面支持部62の外側面から内方へ窪んだ形状の窪み部66が上下方向に延びるように形成されている。窪み部66は、回動受け部64から固定支持部61の主面支持部62に連なる位置の両側にそれぞれ形成されている。
【0051】
円筒部65は、その内径D2が、後に説明する上側連結部材40の固定側軸部45の外径D3、及び下側連結部材50の固定側軸部53の外径D4より少し大きく形成されている。また、その外周面は、後に説明する回動支持部材70の回動部74の外側面の曲率と同程度の曲率に形成されている。なお、円筒部65(回動受け部64)は、一対の吸音ユニット10の連結時に、上側連結部材40の固定側軸部45が上方から挿入される部分であり、請求項で言う上方に開口する凹部に相当する。
【0052】
図5(a)に示すように、回動支持部材70は、吸音パネル11の一対の主面11a、11bを支持する一対の主面支持部72と、断面形状が内方に凹んだ凹状に形成された回動部74を有する断面略コ字状に形成されている。回動部74の外面は、固定支持部材60の回動受け部64の外面に近接している。回動支持部材70は、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して固定支持部材60に固定された状態で、固定支持部材60に対して回動可能に構成されている。
【0053】
主面支持部72の内側面における幅方向中央部分には、一対の主面支持部72間を連結する形状で、端面支持部73が形成されている。端面支持部73は、後に説明する左側支持部材30の凸条部34の側壁34aを支持する部分である。一対の主面支持部72と端面支持部73とに囲まれた空間には、吸音パネル11が挿入される溝70aが形成されている。溝70aは、吸音ユニット10において吸音パネル11の外方に向かって開口しており、請求項で規定する凹条部に相当する。溝70aの幅、すなわち、一対の主面支持部72、72の内側面間の距離L3は、後に説明する凸条部34の一対の側壁34b、34bの外面間の距離L5より少し大きく形成されている。具体的には、凸条部34の一対の側壁34b、34bの外面間の距離L5より3~12%大きく形成されていることが好ましく、6~9%大きく形成されていることがより好ましい。溝70aと凸条部34との間にクリアランスが形成されることにより、一対の吸音ユニット10を連結する際に、凸条部34が溝70a内で動き易く、吸音ユニット10の連結作業がし易い。
【0054】
図5(a)及び図5(b)に示すように、一対の主面支持部72のそれぞれには、端面支持部73より回動部74側の部分に、上下方向に延びる溝72aが主面支持部72の全長に亘って形成されている。溝72aは、後に説明する上側連結部材40に形成された貫通孔44a及び下側連結部材50に形成された貫通孔52aを介して打ち込まれたリベット81を打ち込む部分であり、リベット81が回動支持部材70の溝72aに打ち込まれることによって、上側連結部材40及び下側連結部材50が回動支持部材70に取り付けられている。回動支持部材70に形成された溝72aは、上側連結部材40及び下側連結部材50を固定するための構成であり、請求項で規定する固定部に相当する。
【0055】
図6に示すように、左側支持部材30は、断面コ字状で上下方向に延びる長尺状の固定支持部31と、四角筒形状で上下方向に延びる長尺状の凸条部34が、一体に連設された形状をなしている。図4(d)に示すように、固定支持部31は、吸音パネル11の側辺11dに取り付けられる部分であり、凸条部34は、別の吸音ユニット10の回動支持部材70の溝70a内に挿入される部分である。また、凸条部34は、一対の吸音ユニット10の連結時に、後に説明する上側連結部材40の回動側軸部47が上方から挿入される部分であり、請求項で言う上方に開口する凹部に相当する。
【0056】
図6に示すように、断面コ字状の固定支持部31は、吸音パネル11の一対の主面11a、11bを支持する一対の主面支持部32と、吸音パネル11の側辺11d側の端面を支持する端面支持部33を有している。一対の主面支持部32の間には、吸音パネル11が挿入される溝31aが形成されている。固定支持部31における溝31aの幅、すなわち、一対の主面支持部32の内側面間の距離L4は、吸音パネル11の板厚より少し大きく形成されている。その距離は、固定支持部材60の一対の主面支持部62の内側面間の距離L1、回動支持部材70の一対の主面支持部72の内側面間の距離L3と同程度である。また、主面支持部32の板厚は約2.5mmとされている。
【0057】
図6に示すように、主面支持部32の外面側には、上下方向に延びる凹部32aと、凹部32aの幅方向中央で上下方向に延びる溝32bが形成されている。この溝32bを介して、吸音パネル11に到達するようにリベット81が打ち込まれることにより、左側支持部材30が吸音パネル11に取り付けられている。
【0058】
図4(d)及び図6に示すように、凸条部34は、一つの側壁が固定支持部31の端面支持部33と共通であり、対向する一対の側壁34bと、端面支持部33に対向する一つの側壁34aを有する四角筒状に形成されている。一対の側壁34b及び側壁34aの上端縁は、固定支持部31の端面支持部33の上端縁より低い位置とされている。具体的には、側壁34a、34bは端面支持部33より約1cm程度低く形成されている。一対の側壁34bの外側面間の距離L5は、回動支持部材70の一対の主面支持部72の内側面間の距離L3より少し小さく形成されている。また、一対の側壁34bの幅方向の寸法M1は、回動支持部材70の一対の主面支持部72、72の側端縁から端面支持部73までの寸法M2より少し大きく形成されている。
【0059】
図4(b)及び図7(a)に示すように、上側連結部材40は、本体部41と、本体部41に対して上下動可能に取り付けられたロック部42で構成されている。図7(a)に示すように、本体部41は、略長四角板状の上壁部43と、上壁部43の長手方向の一端部寄りの位置から垂下する一対の側壁部44と、上壁部43の長手方向の他端部寄りの位置から垂下する円筒状の固定側軸部45を備えている。
【0060】
図8(a)に示すように、固定側軸部45の外径D3は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の内径D2より少し小さく形成されている。固定側軸部45の上壁部43からの突出長は約5cmである。図7(b)に示すように、上壁部43において側壁部44が形成された側の位置には、断面円形状の係合孔43aと、断面長四角形状の係合孔43bが貫設されている。
【0061】
図7(a)及び図7(b)に示すように、上壁部43における固定側軸部45が形成された側の端縁は、上面視円弧状に形成されており、その円弧状部分の大きさは、右側支持部材20の回動受け部64の円筒部65と同程度の大きさである。また、円弧状部分の曲率は、円筒部65の外周面の曲率と同程度である。上側連結部材40の上壁部43の形状、大きさがこのように設定されていることにより、図4(b)に示すように、上側連結部材40の上壁部43は、右側支持部材20のうち、固定支持部材60の回動受け部64の上端縁及び回動支持部材70の上端縁を塞いでいる。上壁部43が略長四角板状であることによりその強度が担保され、上壁部43が回動受け部64の上端縁及び回動支持部材70の上端縁を塞いでいることにより、筒形状の回動受け部64や回動支持部材70の内部に埃や雨水が入ることが抑制される。これにより、回動受け部64や回動支持部材70の内部に汚れが付着することが抑制され、防音構造体1の使用期間が長くなっても、回動受け部64に対して回動支持部材70をスムーズに回動させることができる。
【0062】
図5(a)及び図7(a)に示すように、上側連結部材40の側壁部44の幅方向の寸法M3は、回動支持部材70の主面支持部72の幅方向の寸法M4と同程度である。また、一対の側壁部44の内面間の距離L6は、回動支持部材70の主面支持部72の外側面間の距離L7より少し大きい。
【0063】
図7(a)に示すように、一対の側壁部44、44のそれぞれには、上下方向に2箇所ずつ貫通孔44aが貫設されている。図10に示すように、上側連結部材40が右側支持部材20に取り付けられた状態では、上側連結部材の貫通孔44aは右側支持部材20の溝72aを重なる位置に形成されており、貫通孔44a及び溝72aにリベット81が打ち込まれている。これにより、上側連結部材40が、右側支持部材20の回動支持部材70に取り付けられている。
【0064】
図7(b)に示すように、本体部41では、上壁部43と側壁部44との境界部分は、丸みを帯びたR形状に形成されている。境界部分がR形状となっていることにより、後に説明するロック部42の上壁部46の側端縁が、本体部41の上壁部43と側壁部44との境界部分からやや突出した状態となっている。
【0065】
図7(a)及び図7(b)に示すように、ロック部42は、長四角板状の上壁部46と、上壁部46の略中央部から垂下する円筒状の回動側軸部47と、上壁部46の一側辺から垂下する長板状の係合部48を備えている。回動側軸部47は、本体部41の上壁部43に貫設された係合孔43aより少し小径に形成されている。回動側軸部47の上壁部46からの突出長は約3cmである。また、係合部48は、本体部41の上壁部43に貫設された係合孔43bより少し小さく形成されている。図8(a)に示すように、係合部48の先端には、回動側軸部47に向かって曲げられた形状の係止部48aが形成されている。
【0066】
図8(a)に示すように、ロック部42が通常位置にある状態では、ロック部42の上壁部46の下面は、本体部41の上壁部43の上面と当接しており、回動側軸部47は最も低い位置に維持されている。一方、図8(b)に示すように、ロック部42の上壁部46を持ち上げると、回動側軸部47及び係合部48が、係合孔43a内及び係合孔43b内を上方に移動し、係合部48の係止部48aの上面が本体部41の上壁部43の下面に当接した状態でその上方への移動が規制される。
【0067】
図4(c)及び図9に示すように、下側連結部材50は、略長四角板状の下壁部51と、下壁部51の長手方向の一端部寄りの位置から起立する一対の側壁部52と、下壁部51の長手方向の他端部寄りの位置から起立する円筒状の固定側軸部53と、一対の側壁部52に挟まれるように下壁部51から起立する円筒状の回動側軸部54を備えている。固定側軸部53の外径D4は、上側連結部材40の固定側軸部45の外径D3と同程度であり、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の内径D2より少し小さく形成されている。固定側軸部53の下壁部51からの突出長は約5cmである。また、回動側軸部54の外径は、上側連結部材40の回動側軸部47の外径と同程度であり、その突出長は約1cmである。
【0068】
図9に示すように、下壁部51の形状や大きさ、側壁部52の形状や大きさ、側壁部52に形成された貫通孔52aの構成等は、上側連結部材40の上壁部43、側壁部44、貫通孔44aと共通している。つまり、下壁部51における固定側軸部53が形成された側の端縁には、その曲率が、右側支持部材20の回動受け部64の円筒部65の曲率と同程度の円弧状部分が形成されている。また、側壁部52の幅方向の寸法M5は、回動支持部材70の主面支持部72の幅方向の寸法M4と同程度であり、一対の側壁部52の内面間の距離L8は、回動支持部材70の主面支持部72の外側面間の距離L7より少し大きい。
【0069】
また、下側連結部材50が右側支持部材20に取り付けられた状態では、下側連結部材の貫通孔52a、右側支持部材20の溝72aが互いに同じ位置に形成されており、貫通孔52a及び溝72aにリベット81が打ち込まれていることにより、下側連結部材50は、右側支持部材20の回動支持部材70に取り付けられている。
【0070】
図1及び図10に示すように、吸音材12は、板厚約20mmの長方形板状に形成されている。吸音材12の材質は、内部に複数の孔を有する多孔質性の材料であれば特に限定されず、例えば、グラスウールやウレタンフォーム材等が挙げられる。本実施形態では、グラスウールを吸音材12としている。グラスウールは、ガラス繊維を圧縮しつつ接着することにより形成されており、ガラス繊維同士の間に無数の隙間が存在している。
【0071】
吸音材12の高さ方向の寸法は吸音パネル11の高さ方向の寸法より少し小さくなっている。吸音材12の上端縁は、吸音パネル11の上端縁とほぼ同じ位置であり、吸音材12の下端縁は、吸音パネル11の下端縁より少し上方に位置している。また、吸音材12の幅方向の寸法は吸音パネル11の幅方向の寸法より少し小さくなっている。図10に示すように、吸音材12の側端縁は、吸音パネル11の側辺11c、11dより少し変位した位置となるように設けられている。
【0072】
図10に示すように、吸音パネル11の収容空間C側の主面11aには、吸音パネル11の側辺11c、11d寄りの2箇所に、上下方向に延びるように雌型面ファスナー82が取り付けられている。また、吸音材12の吸音パネル11側の面には、吸音材12の側辺寄りの2箇所に、上下方向に延びるように雄型面ファスナー83が取り付けられている。雄型面ファスナー83が取り付けられた位置は、吸音パネル11において、雌型面ファスナー82が取り付けられた位置と同じである。そのため、吸音材12は、雌型面ファスナー82と雄型面ファスナー83によって吸音パネル11に対して脱着可能に貼着されている。なお、雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83の取付け位置は特に限定されない。吸音パネル11における4隅でもよく、左右方向に延びる上下2箇所でもよい。
【0073】
図10に示すように、吸音材12が吸音パネル11に貼着された状態での、雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83の厚みは約3mmとされている。また、吸音パネル11に吸音材12を取り付けるための雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83は、吸音パネル11の側辺11c、11d寄りの2箇所に、上下方向に延びるように取り付けられている。そのため、雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83が取り付けられている部分以外では、吸音パネル11と吸音材12との間に約3mmの隙間が形成されている。
【0074】
一方、右側支持部材20の固定支持部材60の主面支持部62、及び左側支持部材30の固定支持部31の主面支持部32の板厚は約2.5mmである。そのため、吸音パネル11に取り付けられた吸音材12は、右側支持部材20の主面支持部62や左側支持部材30の主面支持部32を覆うような位置にまで設けることができる。
【0075】
次に、図10及び図11に基づいて、吸音ユニット10を連結して防音構造体1を組み立てるための防音構造体1の設置方法について、吸音ユニット10の作用とともに説明する。図11は、吸音ユニット10を上面視した模式図として示しており、吸音ユニット10の寸法形状、すなわち、吸音パネル11、吸音材12、右側支持部材20、左側支持部材30、及び上側連結部材40の寸法形状は実際のものとは異なっている。
【0076】
図11(a)に示すように、1枚の吸音ユニット10を準備して、騒音源の近傍で、吸音ユニット10を垂直に立てた状態で支持する。吸音ユニット10は、防音構造体1の側壁部2の一面を形成する大きさであるため、重量はそれほど重くない。そのため、設置作業に携わる作業者が1人しかいない場合であっても、作業者が比較的非力である場合であっても吸音ユニット10の設置、支持が容易である。
【0077】
吸音ユニット10は、吸音パネル11の側辺11cに右側支持部材20が取り付けられ、側辺11dに左側支持部材30が取り付けられ、右側支持部材20の上部に上側連結部材40が取り付けられ、右側支持部材20の下部に下側連結部材50が取り付けられている。
【0078】
図10に示すように、右側支持部材20の固定支持部材60の固定支持部61には、吸音パネル11の側辺11c側が挿入されて、溝62bにリベット86が打ち込まれている。これにより、吸音パネル11に右側支持部材20の固定支持部材60が取り付けられている。このとき、吸音パネル11の側辺11c側の端面は、固定支持部61の端面支持部63に当接し、吸音パネル11の主面11a、11bは、固定支持部61の主面支持部62の内面に当接している。
【0079】
また、右側支持部材20の回動支持部材70は、固定支持部材60の回動受け部64に回動部74を近接させた状態で固定支持部材60に固定されている。この固定は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65内に上側連結部材40の固定側軸部45及び下側連結部材50の固定側軸部53が挿入され、回動支持部材70の主面支持部72の溝72aに、上側連結部材40の側壁部44の貫通孔44a、下側連結部材50の側壁部52の貫通孔52aを介してリベット81が打ち込まれることにより達成される。
【0080】
固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の内径D2は、上側連結部材40の固定側軸部45の外径D3、及び下側連結部材50の固定側軸部53の外径D4より少し大きく形成されている。また、円筒部65の外周面が、回動支持部材70の回動部74の外側面の曲率と同程度の曲率に形成されている。これにより、回動支持部材70は、固定支持部材60に固定された状態で、回動受け部64の周囲をスムーズに回動する。また、回動支持部材70が固定支持部材60に対して約90゜となるような位置関係にあるときに、固定支持部材60の回動受け部64の窪み部66に、回動支持部材70の回動部74の端部が収容されるような状態となる。
【0081】
回動支持部材70は、固定支持部材60に対して吸音材12が取り付けられた側を内面として約90゜となる角度から、吸音材12が取り付けられていない側を内面として約90゜となる角度までの間の任意の角度をなすように回動可能である。つまり、固定支持部材60に対して吸音材12が取り付けられた側を内面として約90゜をなす場合を+90゜、吸音材12が取り付けられていない側を内面として約90゜をなす場合を-90゜とすると、-90゜から+90゜の間の任意の角度をなすように回動可能である。なお、回動支持部材70と固定支持部材60とのなす角度は厳密なものではなく、+90゜より少し大きな角度となることもあり、-90゜より少し小さな角度となることもある。また、固定支持部材60の溝61aには吸音パネル11が挿入されている一方、回動支持部材70の溝70aは開放されている。
【0082】
続いて、図11(b)に示すように、2枚目の吸音ユニット10を準備して、2枚目の吸音ユニット10の吸音パネル11の側辺11dに取り付けられた左側支持部材30の凸条部34を、先の吸音ユニット10に固定された回動支持部材70の溝70a内に挿入して支持する。
【0083】
このとき、図10に示すように、先の吸音ユニット10に固定された回動支持部材70の溝70aには、上側連結部材40の回動側軸部47が位置しているとともに、下側連結部材50の回動側軸部54が位置している。そのため、溝70a内に凸条部34を挿入するためには、凸条部34に上側の回動側軸部47を上方から嵌め込み、下側の回動側軸部54を下方から嵌め込む必要がある。
【0084】
この点、上側連結部材40の回動側軸部47は、本体部41に対して上下移動が可能なロック部42に形成されており、下側連結部材50の回動側軸部47は、その突出長が約1cmである。これにより、2枚目の吸音ユニット10の凸条部34を、先の吸音ユニット10の溝70a内に挿入する際には、2枚目の吸音ユニット10を少し持ち上げて、まず、左側支持部材30の凸条部34に回動側軸部54を挿入する。このとき、回動側軸部54の突出長が約1cmであるため、持ち上げる高さは僅かで済み、吸音ユニット10を持ち上げる際に負担となり難い。また、凸条部34の側壁34b、34aの上端縁が、固定支持部31の端面支持部33の上端縁より約1cm程度低く形成されているため、2枚目の吸音ユニット10を約1cm持ち上げたとしても、2枚目の吸音ユニット10の左側支持部材30と1枚目の吸音ユニット10の上側連結部材40とが干渉し難い。凸条部34の上端縁の位置のこうした構成によっても、吸音パネル11を持ち上げる際の負担が軽減される。さらに、凸条部34の上端縁が固定支持部31の上端縁より下方に位置していることにより、防音構造体1の設置面に凹凸形状があっても、凸条部34の上端縁に形成された約1cmのクリアランスにより、各吸音ユニット10が設置面の凹凸形状を吸収し易く、防音構造体1ががたつくことを抑制することができる。
【0085】
続いて、1枚目の吸音ユニット10の上側連結部材40のロック部42を持ち上げて回動側軸部47を上方に移動させ、凸条部34を溝70a内に位置させた後に、ロック部42を下げることにより回動側軸部47を凸条部34内に挿入する。上側連結部材40と下側連結部材50のこうした構成により、2枚の吸音ユニット10を僅かな力で容易に連結することができる。
【0086】
また、回動支持部材70は断面コ字状であって、溝70aの幅方向の寸法、すなわち、回動支持部材70の一対の主面支持部72の内側面間の距離L3は、凸条部34の一対の側壁34bの外側面間の距離L5より少し大きく形成されており、溝70aと凸条部34との間にはクリアランスが形成されている。そのため、2枚目の吸音ユニット10の凸条部34の挿入が容易であり、挿入状態が安定する。また、凸条部34の一対の側壁34bの幅方向の寸法M1は、回動支持部材70の一対の主面支持部72の側端縁から端面支持部73までの寸法M2より少し大きく形成されている。そのため、凸条部34の側壁34aの外面が回動支持部材70の端面支持部73に当接或いは近接した状態で安定して支持される。
【0087】
回動支持部材70は、固定支持部材60に対して-90゜~+90゜の間の任意の角度をなすように回動可能であることから、2枚目の吸音ユニット10を連結する際に、先の吸音ユニット10の右側支持部材20の固定支持部材60及び回動支持部材70が互いに交差する方向に延びるように回動させておくと、2枚目の吸音ユニット10の凸条部34を1枚目の吸音ユニット10の溝70a内に挿入した状態で、それぞれが自立状態となる。作業者が2枚の吸音ユニット10を常に支持していなくても安定した状態となっている。
【0088】
図11(c)に示すように、2枚目の吸音ユニット10を回動させることにより、2つの吸音ユニット10が90゜をなすようにする。
図11(d)に示すように、さらに2枚の吸音ユニット10を連結して、騒音源を取り囲み、四角筒形状の側壁部2を有する防音構造体1を形成する。それぞれの吸音ユニット10は、右側支持部材20の溝70aへの左側支持部材30の凸条部34の挿入により、ビス止めされることなく支持されている。また、各吸音ユニット10は、上側連結部材40及び下側連結部材50を介した連結により、その上部と下部で連結固定されている。そのため、防音構造体1は、四角形筒状に形成された側壁部2が安定した状態で維持される。
【0089】
形成された防音構造体1では、一つの単位である吸音ユニット10が、それぞれ吸音材として機能する吸音パネル11及び吸音材12を有している。吸音パネル11は、中空板材3の複数のセルSの内外を連通する連通孔7が形成されているため、空気が連通孔7の近傍で激しく振動することによって、その振動が熱エネルギーとして消費されて吸音する。また、音源から発せられた音波が中空板材3のセルSの連通孔7に到達すると、連通孔7を介してセルSの内部空間に入り、セルSの内部空間において音圧が効果的に減衰される。一方、吸音材12は多孔質性の材料で形成されており、多孔質性材料の隙間を伝搬する空気の摩擦や粘性抵抗等によって、空気の振動が熱エネルギーに変換されて吸音する。このように、吸音パネル11と吸音材12は異なる原理によって吸音するため、広い周波数領域での吸音効果が得られる。また、吸音パネル11と吸音材12との間に約3mmの隙間が形成されているため、吸音パネル11の連通孔7を介しての吸音、吸音材12による吸音に加えて、吸音パネル11と吸音材12との間の隙間により、比較的低音域の音が吸音される。このように、本実施形態の吸音ユニット10では、広い吸音域での吸音効果が得られる。
【0090】
本実施形態の防音構造体1は、吸音ユニット10を一つの単位とし、4枚の吸音ユニット10を連結することにより形成されている。4枚の吸音ユニット10が、防音構造体1を組み立てるための防音構造体用組立キットを構成している。
【0091】
次に、図12に従って、吸音ユニット10を保管する場合について説明する。
使用後の防音構造体1は、それぞれの吸音ユニット10の凸条部34内に挿入されることによる回動側軸部47及び回動側軸部54と凸条部34との係合を解除する。このとき、上側連結部材40の回動側軸部47はロック部42とともに上下動可能であるため、凸条部34との係合解除が容易である。続いて、各吸音ユニット10の凸条部34を、隣接する吸音ユニット10の回動支持部材70の溝70aから抜き取る。こうして防音構造体1を構成する4枚の吸音ユニット10を分離する。騒音源としての電動機等の作業によって吸音ユニット10の内面が汚れている場合には、必要に応じて吸音材12を剥がしつつ、各吸音ユニット10の汚れを拭き取る。
【0092】
図12に示すように、防音構造体1を構成していた各吸音ユニット10は、吸音パネル11の主面11bを下側にして平積みする。このとき、吸音ユニット10に取り付けられている右側支持部材20は、固定支持部材60と回動支持部材70との成す角度が180゜となるようにする。そのため、吸音ユニット10の全体形状は平たい形状となり、右側支持部材20及び左側支持部材30が取り付けられた状態であっても複数の吸音ユニット10を容易に積み上げることができる。
【0093】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態の防音構造体1は、1枚の吸音ユニット10を一つの単位とし、4枚の吸音ユニット10を連結して構成されている。吸音ユニット10は、吸音パネル11の一方の側辺11cに、予め右側支持部材20及び上側連結部材40が取り付けられており、他方の側辺11dに、予め左側支持部材30が取り付けられている。そして、上側連結部材40には、上壁部43から垂下する固定側軸部45と回動側軸部47が設けられており、上側連結部材40は、固定側軸部45を右側支持部材20の回動受け部64内に挿入した状態で取り付けられている。
【0094】
そのため、一対の吸音ユニット10の一方の吸音ユニット10の右側支持部材20と、他方の吸音ユニット10の左側支持部材30を突き合せた状態で、他方の吸音ユニット10の左側支持部材30の凸条部34内に、一方の吸音ユニット10に取り付けられた上側連結部材40の回動側軸部47を上方から挿入すれば、一対の吸音ユニット10を容易に連結することができる。吸音パネル11の両側辺11c、11dに右側支持部材20及び左側支持部材30が取り付けられた吸音ユニット10を、上側連結部材40を介して順次連結していくことで、騒音源の収容空間Cを区画する側壁部2を備えた防音構造体1を容易に組み立てることができる。防音構造体1の設置作業時に、完成した状態の防音構造体1を持ち上げる必要がなく、騒音源の収容空間Cを防音構造体1で容易に区画することができる。防音構造体1の設置作業がし易い。
【0095】
(2)吸音パネル11の一方の側辺11cには、右側支持部材20、上側連結部材40、及び下側連結部材50が取り付けられており、下側連結部材50には、下壁部51から立ち上がる固定側軸部53と回動側軸部54が設けられている。そして、固定側軸部53が右側支持部材20の回動受け部64内に挿入された状態で取り付けられている。
【0096】
そのため、一対の吸音ユニット10の連結時には、上側連結部材40での連結に加え、他方の吸音ユニット10の左側支持部材30の凸条部34内に、一方の吸音ユニット10に取り付けられた下側連結部材50の回動側軸部54を下方から挿入すればよい。一対の吸音ユニット10を上下両方で連結するため、その連結状態が安定する。
【0097】
(3)上側連結部材40は、本体部41と、本体部41に対して上下動可能に取り付けられたロック部42で構成されている。右側支持部材20の回動受け部64内に挿入された状態で固定されている固定側軸部45は、本体部41の上壁部43から垂下するように設けられており、防音構造体1の設置作業時に左側支持部材30の凸条部34内に挿入される回動側軸部47は、ロック部42の上壁部46から垂下するように設けられている。
【0098】
そのため、一対の吸音ユニット10の連結時には、一対の吸音ユニット10の一方の吸音ユニット10の右側支持部材20と、他方の吸音ユニット10の左側支持部材30を突き合せた状態で、上側連結部材40のロック部42を持ち上げれば、他方の吸音ユニット10の左側支持部材30の凸条部34内に、回動側軸部47を上方から挿入することができる。これにより、一対の吸音ユニット10を容易に連結することができる。
【0099】
(4)下側連結部材50の回動側軸部54の突出長は約1cmである。
そのため、一対の吸音ユニット10の連結時に、左側支持部材30の凸条部34側の吸音ユニット10を持ち上げる高さが少なくて済み、吸音ユニット10を持ち上げる際に負担となり難い。防音構造体1の設置作業に携わる作業者が1人しかいない場合や、作業者が非力である場合等であっても、設置作業を容易に行うことができる。
【0100】
(5)吸音ユニット10には、吸音ユニット10同士を連結するための上側連結部材40及び下側連結部材50が予め取り付けられている。上側連結部材40及び下側連結部材50を介しての連結は、上側の回動側軸部47及び下側の回動側軸部54を凸条部34の上方及び下方から挿入することによって達成される。
【0101】
そのため、ビス止めによる固定をしなくても複数枚の吸音ユニット10を互いに連結することができる。防音構造体1の設置作業を迅速かつ効率的に行える。
(6)上側連結部材40の回動側軸部47は、ロック部42とともに本体部41に対して上下動可能である。
【0102】
そのため、防音構造体1の撤去する際には、回動側軸部47を上方へ移動させて凸条部34から外し、吸音ユニット10を僅かに上方へ移動させて凸条部34から下側連結部材50の回動側軸部54を外せば、2枚の吸音ユニット10の連結状態を解除することができる。防音構造体1の撤去作業を迅速かつ効率的に行える。
【0103】
(7)一対の吸音ユニット10は、上側連結部材40及び下側連結部材50での連結によってー90゜~+90゜の任意の角度で連結可能に構成されている。
そのため、防音構造体1の設置作業時に、一対の吸音ユニット10を、例えば90゜の角度で支持しながら作業を進めることができる。複数の吸音ユニット10を作業者が何人かで支持しなくても倒れにくく、設置作業の効率がよくなる。
【0104】
(8)一対の吸音ユニット10は、上側連結部材40及び下側連結部材50での連結によってー90゜~+90゜の任意の角度で連結可能に構成されている。
そのため、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して連結された一対の吸音ユニット10を、互いに交差する方向に延びるような状態で配置することができる。隣り合う吸音ユニット10を適宜の角度で連結していけば、収容空間Cの大きさや形状が異なる防音構造体1を容易に形成することができる。
【0105】
例えば、吸音ユニット10の枚数の違いにより、六角筒形状、八角筒形状等の四角筒形状以外の多角筒形状の側壁部2を容易に形成することができる。また、四角筒形状であっても、例えば8枚の吸音ユニット10を連結して側壁部2を形成すれば、大きな収容空間Cを有する防音構造体1が得られる。さらに、防音構造体1の側壁部2によって騒音源の周囲を完全に囲繞する場合に限らず、例えば、3枚の吸音ユニット10を互いに直交するように連結して収容空間Cを区画することもできる。この場合、収容空間Cは、側壁部2によって完全に囲繞されていないため、例えば、グラインダー作業等の作業スペースとして使用することができる。
【0106】
このように、騒音源の大きさや用途等に合わせて適宜の大きさの防音構造体1を形成することができる。防音構造体1としての汎用性を向上させることができる。
(9)右側支持部材20には、上下方向に延びて吸音パネル11の外方に向かって開口する溝70aが設けられ、左側支持部材30には、上下方向に延びて吸音パネル11の外方に向かって突出する凸条部34が設けられている。
【0107】
そのため、一対の吸音ユニット10の連結時に、右側支持部材20に設けられた溝70a内に、左側支持部材30に設けられた凸条部34を挿入することで、一対の吸音ユニット10を安定して支持することができる。
【0108】
(10)右側支持部材20に取り付けられた上側連結部材40は、右側支持部材20に設けられた溝70a内に左側支持部材30に設けられた凸条部34が挿入された状態で、凸条部34内に回動側軸部47を挿入可能に構成されている。また、右側支持部材20に取り付けられた下側連結部材50も同様に、右側支持部材20に設けられた溝70a内に左側支持部材30に設けられた凸条部34が挿入された状態で、凸条部34内に回動側軸部54を挿入可能に構成されている。
【0109】
そのため、一対の吸音ユニット10が安定して支持された状態で容易に連結することができる。防音構造体1の設置作業がし易い。
(11)右側支持部材20は、吸音パネル11の一方の側辺11cに取り付けられた固定支持部材60と、固定支持部材60とは別体であって、固定支持部材60に対して任意の角度で固定されている回動支持部材70を備えている。
【0110】
そのため、互いに任意の角度を取り得る固定支持部材60と回動支持部材70を別体とすることで、右側支持部材20の設計上の制約を減らすことができる。
(12)回動支持部材70には、上側連結部材40及び下側連結部材50を固定するための固定部としての溝72aが設けられている。上側連結部材40は、固定支持部材60の回動受け部64内に固定側軸部45が挿入された状態で、上側連結部材40の貫通孔44a及び回動支持部材70の溝72aに打ち込まれたリベット81によって回動支持部材70に取り付けられている。同様に、下側連結部材50は、固定支持部材60の回動受け部64内に固定側軸部53が挿入された状態で、下側連結部材50の貫通孔52a及び回動支持部材70の溝72aに打ち込まれたリベット81によって回動支持部材70に取り付けられている。
【0111】
そのため、固定支持部材60と回動支持部材70が別体であっても、両者は上側連結部材40及び下側連結部材50によって強固に固定されている。一対の吸音ユニット10を安定した状態で、任意の角度となるように連結することができる。
【0112】
(13)回動支持部材70の主面支持部72には上下方向に延びる溝72aが、上側連結部材40及び下側連結部材50を固定するための固定部として形成されている。
そのため、上側連結部材40に形成された貫通孔44a及び下側連結部材50に形成された貫通孔52aと、回動支持部材70との位置合わせがし易く、リベット止めがし易い。
【0113】
(14)上側連結部材40の固定側軸部45は円筒状であり、その外径D3は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の内径D2より少し小さい。同様に、下側連結部材50の固定側軸部53は円筒状であり、その外径D4は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の内径D2より少し小さい。
【0114】
そのため、上側連結部材40の固定側軸部45及び下側連結部材50の固定側軸部53は、固定支持部材60の回動受け部64内でスムーズに動くことができる。一対の吸音ユニット10を任意の角度に調整し易い。
【0115】
(15)上側連結部材40の本体部41の上壁部43における固定側軸部45が形成された側の端縁は、上面視円弧状に形成されている。そして、その円弧状部分の大きさは、右側支持部材20の回動受け部64の円筒部65と同程度の大きさである。また、円弧状部分の曲率は、円筒部65の外周面の曲率と同程度である。
【0116】
そのため、上側連結部材40が回動支持部材70とともに回動する際、固定支持部材60の回動受け部64の上端縁において、上壁部43の円弧状部分が回動受け部64の径方向へ突出することが抑制される。上側連結部材40の上壁部43が邪魔になり難い。
【0117】
(16)上側連結部材40のロック部42には、上壁部43から垂下する長板状の係合部48が設けられており、係合部48の下端には、回動側軸部47に向かって曲げられた形状の係止部48aが形成されている。
【0118】
そのため、ロック部42の上方への移動は、係止部48aが本体部41の上壁部43に当接することによって規制されるとともに、ロック部42が本体部41から脱落することが抑制される。
【0119】
(17)上側連結部材40の本体部41では、上壁部43と側壁部44、44との境界部分が、丸みを帯びたR形状に形成されている。そして、境界部分がR形状となっていることにより、ロック部42の上壁部46の側端縁が、本体部41の上壁部43と側壁部44、44との境界部分からやや突出した状態となっている。
【0120】
そのため、ロック部42を上方へ移動させる際に、ロック部42の上壁部46の両側の側端縁を把持し易い。ロック部42の上方移動を容易に行うことができる。
(18)上側連結部材40の本体部41の一対の側壁部44、44の内側面間の距離L6は、回動支持部材70の一対の主面支持部72、72の外側面間の距離L7より少し大きい。同様に、下側連結部材50の一対の側壁部52、52の内側面間の距離L8は、回動支持部材70の一対の主面支持部72、72の外側面間の距離L7より少し大きい。
【0121】
そのため、上側連結部材40及び下側連結部材50は、回動支持部材70の一対の主面支持部72、72の外側面側から、がたつくことなく安定して取り付けられている。
(19)上側連結部材40の本体部41の一対の側壁部44、44の幅方向の寸法M3は、回動支持部材70の主面支持部72の幅方向の寸法M4と同程度である。同様に、下側連結部材50の一対の側壁部52、52の幅方向の寸法M5は、回動支持部材70の主面支持部72の幅方向の寸法M4と同程度である。
【0122】
そのため、上側連結部材40及び下側連結部材50が安定して回動支持部材70に取り付けられているとともに、回動支持部材70の回動時に、上側連結部材40の一対の側壁部44、44及び下側連結部材50の一対の側壁部52、52が邪魔になり難い。
【0123】
(20)固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の外周面は、断面円弧状に形成されている。
そのため、回動支持部材70が固定支持部材60に対して回動し易くなり、固定支持部材60に対して回動支持部材70を任意の角度で連結する際の作業がし易い。
【0124】
(21)固定支持部材60の回動受け部64には、窪み部66が上下方向に延びるように形成されている。そして、回動支持部材70と固定支持部材60とのなす角度が-90゜や+90゜であるときに、回動支持部材70の回動部74の側部が、固定支持部材60の窪み部66に収容される状態となっている。
【0125】
そのため、固定支持部材60と回動支持部材70との連結状態が安定する。また、窪み部66が形成されていることにより、回動部74の幅方向両端部が突出した形状となっていても、回動支持部材70が固定支持部材60に対して±90゜となる角度まで容易に回動することができる。
【0126】
(22)回動支持部材70の回動部74の外側面は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の外周面に沿う断面凹状に形成されている。そして、回動部74の外側面は、円筒部65の外周面の曲率と同程度の曲率に形成されている。
【0127】
そのため、回動支持部材70の回動部74が、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の外周面に沿って回動し易くなり、固定支持部材60に対して回動支持部材70を任意の角度で連結する際の作業がよりし易い。
【0128】
(23)上記実施形態の防音構造体1は、1枚の吸音ユニット10を一つの単位として構成されている。
そのため、保管時には吸音ユニット10の単位に分解して保管することができる。
【0129】
また、吸音ユニット10に取り付けられている右側支持部材20は、固定支持部材60及び回動支持部材70が平板状になり得る。
そのため、吸音ユニット10の全体形状が平板状となり、複数枚の吸音ユニット10を平積みし易い。防音構造体1の保管スペースを省スペース化することができる。
【0130】
(24)上記実施形態の防音構造体1は、1枚の吸音ユニット10を一つの単位として、同じ吸音ユニット10を4枚連結して形成されている。
そのため、側壁部2を形成する部材を複数種類準備する必要がなく、吸音ユニット10の製造コストの低減、ひいては防音構造体1の製造コストの低減に寄与することができる。
【0131】
(25)吸音ユニット10には、吸音材12が脱着可能に貼着されている。
そのため、防音構造体1の使用後に、吸音材12を剥がして付着した汚れを拭き取りやすい。
【0132】
また、吸音材12が汚れたり傷んだりした場合に、吸音材12を取り換えることが容易である。吸音ユニット10の寿命を長くすることができる。
(26)固定支持部材60の固定支持部61の一対の主面支持部62、62の内側面間の距離L1は、吸音パネル11の板厚より少し大きく形成されている。また、左側支持部材30の固定支持部31の一対の主面支持部32、32の内側面間の距離L4は、吸音パネル11の板厚より少し大きく形成されている。
【0133】
そのため、吸音ユニット10を構成する吸音パネル11に、固定支持部材60及び左側支持部材30ががたつくことなく取り付けられている。
(27)右側支持部材20の固定支持部材60の一対の主面支持部62、62の内側面間の距離L3は、左側支持部材30の凸条部34の一対の側壁34b、34bの外側面間の距離L5より少し大きく形成されている。
【0134】
そのため、一対の吸音ユニット10の連結作業時に、凸条部34を溝70a内に挿入する作業がし易い。
(28)左側支持部材30の凸条部34の一対の側壁34b、34bの幅方向の寸法M1は、右側支持部材20の回動支持部材70の主面支持部72の側端縁から端面支持部73までの寸法M2より少し大きく形成されている。
【0135】
そのため、凸条部34を溝70a内に挿入した状態で、凸条部34の側壁34aの外面が、回動支持部材70の端面支持部73に当接した状態で安定して支持される。
(29)右側支持部材20の固定支持部材60の一対の主面支持部62、62の板厚は約2.5mmとされており、左側支持部材30の一対の主面支持部32、32の板厚は約2.5mmとされている。また、吸音パネル11に吸音材12を取り付けるための雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83の厚みは約3mmとされている。
【0136】
そのため、図10に示すように、吸音材12を右側支持部材20の固定支持部材60が取り付けられた位置まで、或いは、左側支持部材30が取り付けられた位置まで設けることが容易である。
【0137】
(30)吸音パネル11に吸音材12を取り付けるための雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83は、吸音パネル11の側辺11c、11d寄りの2箇所に、上下方向に延びるように取り付けられており、その厚みは約3mmである。
【0138】
そのため、雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83が取り付けられている部分以外では、吸音パネル11と吸音材12との間に約3mmの隙間が形成されている。防音構造体1では、吸音パネル11の連通孔7を介しての吸音、多孔質材料の吸音材12による吸音に加えて、吸音パネル11と吸音材12との間の隙間による吸音効果が得られる。それぞれ異なる原理での吸音効果であり、広い吸音域での吸音効果を実現することができる。
【0139】
(31)上記実施形態では、吸音パネル11の収容空間C側の面に透湿防水シートが貼り付けられている。
そのため、吸音パネル11(中空板材3)の連通孔7を介して、吸音パネル11のセルS内に水が浸入することが抑制される。吸音パネル11のセルS内に水が浸入することに起因して吸音ユニット10の吸音特性が変化することが抑制される。
【0140】
(32)上記実施形態では、吸音材12としてグラスウールを採用している。グラスウールはガラス繊維からなる難燃性の材料である。
そのため、工場内や工事現場といった可燃性の燃料や電気を扱う現場においても、防音構造体1を使用でき得る。
【0141】
(33)上記実施形態では、吸音パネル11としてハニカム構造をなす中空板材3を採用しており、吸音パネル11は、相応に高い曲げ剛性が得られる。
そのため、例えば、吸音ユニット10を防音構造体1として使用中に、自重によって吸音ユニット10を構成する吸音パネル11が曲がってしまうことが抑制される。
【0142】
また、屋外で使用する場合には屋内に比べて熱の影響を受け易く、中空構造体が変形し易くなるが、吸音パネル11の高い剛性により、熱変形が抑制される。
そのため、取扱いがし易く、作業性のよい吸音ユニット10が得られる。
【0143】
(34)図2(a)~(c)に示すように、中空板材3においては、コア層4の側方壁部4cがY方向に延びている。
そのため、仮にコア層4のセルS内に水が浸入しても、その水が、側方壁部4cを貫通してX方向に広がっていくとは考えにくい。
【0144】
その一方で、中空板材3においては、コア層4の2層の側方壁部4cがX方向に重ね合わされており、これら2層の側方壁部4cが完全に接合されているとは限らない。
そのため、仮にコア層4のセルS内に水が浸入すると、2層の側方壁部4cの間の隙間から、Y方向に水が広がっていくおそれがある。
【0145】
この点、上記実施形態では、吸音ユニット10の吸音パネル11は、第1セルS1及び第2セルS2の列が延びる方向に直交する方向(図2及び図3においてY方向)が上下方向となるように配置されている。すなわち、吸音パネル11は、幅方向よりも、上下方向に水が広がりやすい。そこで、上記実施形態では、吸音パネル11の上端面及び下端面に封止部材13が取り付けられている。
【0146】
そのため、吸音パネル11に対して上側又は下側から水がセルSの内部に浸入することが抑制される。
(35)吸音材12の高さ方向の寸法の寸法は吸音パネル11の高さ方向の寸法より少し小さくなっており、吸音材12の下端縁は、吸音パネル11の下端縁より少し上方に位置している。
【0147】
そのため、吸音材12の下端縁が汚れたり破損したりしにくく、吸音材12の寿命を長くすることができる。
上記実施形態は、以下のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
【0148】
・上記実施形態では、上側連結部材40として、回動側軸部47が形成されたロック部42の上壁部46が長四角板状であり、上壁部46の一側辺から垂下する長板状の係合部48に形成された係止部48aにより、ロック部42の上方移動が規制されている。上側連結部材40の形状、構成はこれに限定されない。
【0149】
例えば、図13に示すような上側連結部材90に変更することができる。上側連結部材90は、本体部91と、本体部91に対して上下動可能に取り付けられたロック部92を備えている。本体部91の形状は、上記実施形態の上側連結部材40とほぼ同様である。ロック部92は、長四角板状の上壁部96と、上壁部96の一対の側辺から垂下する一対の側壁部98と、上壁部96の略中央部から垂下する円筒状の回動側軸部97を備えている。回動側軸部97は、本体部91の上壁部93に貫設された係合孔93a内を上下動可能に構成されている。
【0150】
ロック部92の一対の側壁部98には、上下方向に長い係合溝98aが形成されている。そして、係合溝98aを介して本体部91の側壁部94、94のそれぞれに打ち込まれたピン99により、ロック部92は、本体部91に対して上下動可能に取り付けられている。ロック部92は、通常状態では、係合溝98aの上端にピン99が当接しており、最も高い位置に引き上げられた状態では、係合溝98aの下端にピン99が当接している。係合溝98aの下端にピン99が当接することにより、ロック部92の上方への移動が規制されている。
【0151】
こうした形状、構成の上側連結部材90であっても、ロック部92を上下動させることによって、一対の吸音ユニット10を容易に連結することができる。
・上側連結部材40のロック部42の上壁部46の形状は特に限定されない。図14(a)に示すように円形板状であってもよい。また、楕円形板状、正方形板状、三角形板状であってもよく、不定形板状であってもよい。或いは、板状ではなく、球状であってもよい。いずれの場合も、ロック部42の上壁部46の幅は、本体部41の上壁部43の幅と同程度であることが好ましい。例えば、円形板状の上壁部46の場合、その直径は、本体部41の上壁部43の幅と同程度であることが好ましい。こうすることで、ロック部42の上壁部46の側端縁を摘まみ易く、ロック部42を容易に持ち上げることができる。
【0152】
・上側連結部材40の回動側軸部47は円筒状でなくてもよい。四角筒状であってもよく、多角筒状であってもよい。この場合、本体部41の上壁部43に貫設される係合孔43aは、回動側軸部47の断面形状と同形状でやや大きく形成されていることが好ましい。
【0153】
図14(b)に示すように、ロック部42が係合部48を有していなくてもよい。この場合、回動側軸部47の下端に本体部41の上壁部43に形成された係合孔43aを通過できない程度に大径の係止部49が形成されていてもよい。この場合、ロック部42の上方への移動規制、抜け止めは、係止部49が本体部41の上壁部43の下面に当接することにより達成される。
【0154】
・上側連結部材40の本体部41の上壁部43とロック部42の上壁部46との間や、本体部41の上壁部43とロック部42の回動側軸部47との間にリング状の磁石を設けてもよい。こうすると、吸音ユニット10の輸送中は防音構造体1の設置作業中に上側連結部材40の回動側軸部47の動きが規制され、回動側軸部47が何かに引っ掛かるとか、何かに当たって異音が発生するとかといった事態が起こり難い。
【0155】
・上記実施形態の上側連結部材40の係合部48は、図7(b)に示すように、上壁部46から側方へ延びた後、垂下する形状となっているが、これに限定されない。上壁部46の側端縁から直接垂下する形状であってもよい。
【0156】
・上側連結部材40の上壁部43と側壁部44との境界部分は、丸みを帯びたR形状に形成されていなくてもよい。この場合であっても、例えば、ロック部42の上壁部46の側端縁が、本体部41の上壁部43の側端縁からやや突出していれば、ロック部42を容易に持ち上げることができる。
【0157】
・右側支持部材20の回動支持部材70の回動部74は、固定支持部材60の回動受け部64の円筒部65の外周面に沿う断面凹状に形成されていなくてもよい。例えば、図15(a)に示すように、回動部74が平面状であってもよい。また、円筒部65側に突出する断面円弧状であってもよい。この場合でも、円筒部65の外周面が断面円弧状であることから、回動部74は、円筒部65の外周面に沿うようにスムーズに回動することができる。なお、図15に示す各図は、一対の吸音ユニット10が連結された連結部分の断面図であり、図10に示される位置と同様の位置での断面図として示している。また、一対の吸音ユニット10が互いに180゜をなすように連結された状態を示しており、吸音材12は省略している。
【0158】
・回動支持部材70の回動部74が、回動受け部64の円筒部65の外周面に沿う断面凹状でない場合、図15(b)に示すように、固定支持部材60と回動支持部材70との境界部分に、固定支持部材60及び回動支持部材70における上側連結部材40の下端縁の位置から下側連結部材50の上端縁の位置にかけて被覆部材84が取り付けられていてもよい。回動部74が平面状であると、回動受け部64の円筒部65の外周面との間に隙間が生じ易くなるが、被覆部材84が取り付けられていることにより、固定支持部材60と回動支持部材70との間から防音構造体1の外部への音漏れを抑制することができる。被覆部材84としては、例えば、弾性に富んだ合成樹脂製の軟質材とすることが考えられる。軟質材とすることにより、回動支持部材70の回動に追随してある程度の変形が可能であり、回動支持部材70が固定支持部材60に対して任意の角度を取り易い。また、図15(b)に示すように、被覆部材84が撓んだ状態で取り付けられていると固定支持部材60に対する回動支持部材70の±90゜の回動が可能である。
【0159】
図15(c)に示すように、固定支持部材60の回動受け部64が略円筒状でなくてもよい。例えば、半円筒状であってもよく、三角筒状であってもよい。半円筒状や三角筒状であるような場合でも、回動支持部材70は固定支持部材60に対して任意の角度で回動し得る。
【0160】
図15(d)に示すように、右側支持部材20の固定支持部材60が端面支持部63を有していなくてもよい。固定支持部材60の所定の位置にリベット86を打ち込むことによって吸音パネル11に固定支持部材60が取り付けられていれば、吸音パネル11の側辺11cの端面が固定支持部材60に当接していなくても吸音パネル11は安定して支持される。
【0161】
図15(d)に示すように、右側支持部材20の回動支持部材70が端面支持部73を有していなくてもよい。上側連結部材40の回動側軸部47及び下側連結部材50の回動側軸部54により、左側支持部材30の凸条部34は安定して支持される。
【0162】
図15(d)に示すように、左側支持部材30の固定支持部31が端面支持部33を有していなくてもよい。左側支持部材30の所定の位置にリベット86を打ち込むことによって吸音パネル11に左側支持部材30が取り付けられていれば、吸音パネル11の側辺11dの端面が左側支持部材30に当接していなくても吸音パネル11は安定して支持される。
【0163】
・右側支持部材20の固定支持部材60の固定支持部61は、吸音パネル11の一対の主面11a、11bを支持する一対の主面支持部62を有しているが、主面支持部62は一方のみであってもよい。つまり、主面支持部62及び端面支持部63を有する断面L字状であってもよい。同様に、回動支持部材70も主面支持部72は一方のみであってもよく、左側支持部材30の固定支持部31も主面支持部32は一方のみであってもよい。
【0164】
・左側支持部材30の凸条部34の側壁34aを省略してもよい。この場合でも、一対の側壁34bの幅方向の寸法M1が、回動支持部材70の主面支持部72の側端縁から端面支持部73までの寸法M2より少し大きく形成されていれば、凸条部34の側壁34bの側端縁が回動支持部材70の端面支持部73に当接して、凸条部34は溝70a内で安定して支持される。
【0165】
・回動受け部64の円筒部65の一部を省略することもできる。例えば、回動受け部64や円筒部65が、固定支持部材60の長手方向全長に亘って設けられていなくてもよい。また、周方向の一部が省略されていてもよい。この場合も、回動支持部材70の回動部74は、回動受け部64の円筒部65に対してスムーズに回動することができる。
【0166】
図16に示すように、固定支持部材60と回動支持部材70が、上側連結部材40及び下側連結部材50を介して連結されるのではなく、上下方向に延びる軟質部材85によって予め連結されていてもよい。この場合、例えば、図17に示すような形状の上側連結部材40aを使用すればよい。上側連結部材40aは、本体部41aのみからなり、本体部41aの上壁部43cから2つの軸部45a、47aが垂下する形状とされている。回動支持部材70の溝70a内に左側支持部材30の凸条部34を挿入し、上方から上側連結部材40aを挿入するようにすれば、一対の吸音ユニット10を容易に連結することができる。また、図示は略すが、下側連結部材50も、上側連結部材40aに順ずる形状のものを使用すればよい。軟質部材85が弾性に富み、伸縮自在な材質で形成されていれば、固定支持部材60と回動支持部材70が任意の角度で回動することができる。
【0167】
図18に示すように、右側支持部材20、左側支持部材30がともに断面コ字状の部分と筒状の部分とが連設された形状に形成されていてもよい。右側支持部材20及び左側支持部材30が予め取り付けられた一対の吸音ユニット10同士を突き合わせ、図17に示すような上側連結部材40aを上方から筒状の部分に挿入すれば容易に連結することができる。下側連結部材50も、上側連結部材40aに順ずる形状のものを使用すればよい。
【0168】
・上記実施形態の防音構造体1では、吸音パネル11、吸音材12、右側支持部材20、左側支持部材30、上側連結部材40、及び下側連結部材50からなる吸音ユニット10を一つの単位としたが、脱着可能な吸音材12を省略してもよい。この場合、吸音パネル11、右側支持部材、左側支持部材30、上側連結部材40、及び下側連結部材50からなる吸音ユニット10を一つの単位として、防音構造体1の側壁部2が形成されることになる。
【0169】
・下側連結部材50を省略してもよい。上側連結部材40のみでも、一対の吸音ユニット10を安定して支持することができる。
・右側支持部材20には、上側連結部材40のみが取り付けられていて、下側連結部材50は一対の吸音ユニット10の連結時に下方から挿入するようにしてもよい。
【0170】
・右側支持部材20に、上側連結部材40及び下側連結部材50のいずれも取り付けられておらず、一対の吸音ユニット10の連結時に上方或いは下方から挿入するようにしてもよい。
【0171】
・吸音材12を省略してもよい。
・吸音材12は脱着可能でなくてもよい。
・右側支持部材20は、吸音パネル11の側辺11cの長手方向全体に亘って取り付けられていなくてもよい。例えば、側辺11cの上部と下部とにそれぞれ取り付けられていてもよい。左側支持部材30についても同様である。
【0172】
・左側支持部材30の凸条部34は、上方に開口し、上側連結部材40の回動側軸部47が挿入される凹部として機能しているが、凸条部34とは異なる構成として凹部を形成してもよい。例えば、凸条部34を、左側支持部材30の上端部を除いた部分に形成し、左側支持部材30の上端部には、凸条部34とは別の構成として上方に開口する凹部を形成してもよい。この場合、凹部は、右側支持部材20の回動支持部材70の溝70a内に挿入可能な大きさとなるように形成すればよい。
【0173】
同様に、左側支持部材30の下端部でも、凸条部34とは異なる構成として下方に開口する凹部を形成してもよい。
・上側連結部材40の回動側軸部47が挿入される凹部を、左側支持部材30に設けるのではなく、吸音パネル11の側辺の上側を切り欠いて、その部分に別部材としての上方に開口する凹部を取り付けてもよい。下側連結部材50の回動側軸部54が挿入される凹部についても同様である。
【0174】
・右側支持部材20の固定支持部材60は、両方の主面支持部62にリベット86で止めることにより吸音パネル11に取り付けられているが、リベット止めの箇所はこれに限定されない。収容空間C側とは反対側の主面支持部72のみにリベット止めしてもよく、収容空間C側の主面支持部72のみにリベット止めしてもよい。これは、左側支持部材30についても同様である。
【0175】
・吸音パネル11に対する右側支持部材20の固定支持部材60のリベット止めの位置は特に限定されない。右側支持部材20の上部と下部の2箇所でもよく、中間部を加えた3箇所でもよく、さらに多くてもよい。
【0176】
・右側支持部材20の固定支持部材60及び左側支持部材30は、リベット86により吸音パネル11に固定されているが、固定部材はこれに限定されない。ボルトとナットによる固定やビスによる固定であってもよい。
【0177】
・上側連結部材40及び下側連結部材50は、リベット81により固定されているが、固定部材はこれに限定されない。ボルトとナットによる固定やビスによる固定であってもよい。
【0178】
・右側支持部材20、左側支持部材30、上側連結部材40、及び下側連結部材50の材質はアルミニウム製でなくてもよい。他の金属製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。また、各部材が同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
【0179】
・アルミニウム製の右側支持部材20及び左側支持部材30の成形方法は特に限定されないが、例えば、押出し成形で形成されていてもよい。この場合、右側支持部材20及び左側支持部材30は、上端縁から下端縁まで同じ形状となり、寸法安定性に優れている。
【0180】
・上記実施形態の防音構造体1は、吸音ユニット10を4枚連結して四角筒状に形成したが、吸音ユニット10の枚数、防音構造体1の形状、大きさはこれに限定されない。吸音ユニット10を3枚以上の複数枚連結すれば、適宜の大きさの多角形状にすることができる。また、右側支持部材20の回動支持部材70が固定支持部材60に対して-90゜~+90゜の任意の角度を取り得ることから、側壁部2全体が収容空間Cの外方に膨らんだ形状だけではなく、側壁部2の一部が収容空間Cの内方へ込んだ形状にすることもできる。
【0181】
・吸音ユニット10を構成する吸音パネル11は、約1000mm×750mmの長方形板状としたが、大きさはこれに限定されない。これより大きくてもよく、小さくてもよい。例えば、吸音ユニット10を約2000mm×1000mmの長方形板状としてもよい。この場合、4枚の吸音ユニット10を連結することによって、粉砕機のような大型の機械の周囲に設置する防音構造体1として適用することができる。
【0182】
・防音構造体1は、吸音ユニット10以外に、他の構成を備えていてもよい。例えば、側壁部2の四角筒形状の上側の開口を覆う蓋部材や、下側の開口を覆う底面部材を備えていてもよい。この蓋部材や底面部材は、上記中空板材3からなる吸音パネルで構成されていることが好ましい。
【0183】
・吸音ユニット10を構成する吸音パネル11に、電動機等のケーブルを収容空間Cの外部に引き出すための切欠、開口等を形成してもよい。また、換気用の開口を形成してもよい。これらの切欠、開口等は、吸音ユニット10の下端縁或いは下端縁隅部に設けることが好ましい。
【0184】
・吸音ユニット10を構成する吸音パネル11の下端縁に、防振ゴムを取り付けてもよい。防振ゴムは、下端縁全体に取り付けてもよく、部分的に取り付けてもよい。防振ゴムを取り付けることにより、発電機等の駆動時の振動の影響を抑制することができる。
【0185】
・吸音ユニット10に、発電機等と紐等で連結できるようなリングやフック等を取り付けてもよい。発電機等の駆動時の振動により、防音構造体1が位置ずれしたり、倒れたりすることを抑制することができる。
【0186】
・吸音ユニット10の持ち運びを容易にするために、持ち手を設けてもよい。持ち手は、例えば、吸音パネル11の収容空間C側とは反対側の主面11bに設けることが好ましい。
【0187】
・吸音パネル11を構成する中空板材3の寸法やセルSの容積等は、防音構造体1に求められる大きさや吸音性能等に合わせて適宜変更すればよい。例えば、吸音パネル11の厚みとしては、15~50mm、好ましくは20~30mmである。そして、セルSの容積としては、0.6~3.0立方センチメートル、特に1.0~2.5立方センチメートル程度が好ましい。吸音ユニット10の厚み、セルSの容積を適宜変更することで、吸音周波数のピークを変更することができる。
【0188】
・中空板材3は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形してコア層4を形成するのに限らず、複数枚のシート材を用いてコア層を形成してもよい。例えば、帯状のシート材を所定間隔毎に屈曲させ、これら複数のシート材を併設することでコア層を形成してもよい。この変更例の場合、各シート材において屈曲させた部分がセルの側壁部を構成する。
【0189】
・スキン層5、6を熱溶着でコア層4に接合するのに限らず、例えば、接着剤等でスキン層5、6をコア層4に貼り付けて接合してもよい。また、コア層4とスキン層5、6との間に、例えば熱可塑性樹脂製の接着層を介在させ、この接着層の接着力により、スキン層5、6をコア層4に接合してもよい。
【0190】
・中空板材3におけるスキン層6側の外面に、他のシート材を接合してもよい。この外面側のシート材は、合成樹脂製のものに限らず、例えば、金属シート(金属箔)、鋼板、紙、布などであってもよい。また、スキン層6そのものを、金属シート(金属箔)、紙、布などで構成してもよい。
【0191】
・中空板材3におけるセルSの形状は、六角柱形状に限らない。例えばセルSの形状は、四角柱形状であってもよいし円柱形状であってもよい。また、異なる形状のセルSが混在されていてもよい。さらに、中空板材3において、隣り合うセルSが接している場合に限らず、隣り合う2つのセルSの間に間隔が生じていてもよい。なお、セルSとセルSとの間に間隔が生じている場合、セルSの内外を連通させる連通孔7だけでなく、セルSとセルSとの間の空間の内外を連通させる連通孔を設けてもよい。
【0192】
・コア層4は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
【0193】
・中空板材3において、連通孔7は、一つのセルSに対して複数設けられていてもよい。また、連通孔7は、全てのセルSに対応して設けられていなくてもよく、一部のセルSに対応して設けられていてもよい。
【0194】
・吸音ユニット10において、吸音パネル11と吸音材12との間に、透湿防水シート以外の他のシート材が介在していてもよい。ただし、介在するシート材として、吸音ユニット10によって吸音される周波数を透過する材料や厚みであることが好ましい。
【0195】
・吸音パネル11に対する吸音材12の取り付け態様は、雌型面ファスナー82及び雄型面ファスナー83に限らない。例えば、リベット(鋲)で取り付けてもよい。この変更例の場合、吸音材12は、吸音パネル11から取り外し不可あるいは取り外しが難しくなるが、吸音材12がグラスウールのような経時劣化しにくい材料で形成されていれば、問題は生じにくい。
【0196】
・吸音パネル11を構成する中空板材3を、難燃性の合成樹脂材料で形成してもよい。こうすることで、難燃性の吸音パネル11、難燃性の吸音ユニット10、難燃性の防音構造体1を得ることができる。
【0197】
・吸音パネル11は、第1セルS1及び第2セルS2の列が延びる方向に直交する方向(図2においてY方向)が上下方向となるように配置されていなくてもよい。例えば、吸音パネル11は、第1セルS1及び第2セルS2の列が延びる方向に直交する方向が幅方向となるように配置されていてもよい。
【0198】
・吸音パネル11の上端面及び下端面に取付けられた封止部材13を省略してもよい。防音構造体1に使用が想定される場所が雨等に晒されない場所で、防音構造体1に水がかからないと想定されるのであれば、封止部材13を省略しても弊害はない。また、封止部材13に代えて、吸音ユニット10の上端面及び下端面を熱封止してもよい。
【0199】
・吸音パネル11の上端面及び下端面に帯状の封止部材13を取り付けたが、吸音パネル11の上端面及び下端面を封止する方法はこれに限定されない。加熱冶具により、吸音パネル11の上端面及び下端面を押し潰して封止してもよい。また、上端面及び下端面に限らず、吸音パネル11の側端面に封止部材13を取り付けたり、加熱によって封止したりしてもよい。
【0200】
・吸音パネル11に貼着された吸音材12の高さ方向の寸法は、吸音パネル11の高さ方向の寸法より少し小さく、吸音材12の下端縁は、吸音パネル11の下端縁より少し上方に位置しているが、これに限定されない。吸音材12の上端縁が、吸音パネル11の上端縁より少し下方に位置するようにしてもよく、吸音材12の上端縁が吸音パネル11の上端縁より少し市方及び吸音材12の下端縁が吸音パネル11の下端縁より少し上方に位置するようにしてもよい。
【0201】
・右側支持部材20や左側支持部材30は
【符号の説明】
【0202】
C…収容空間、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル、M1~M5…寸法、L1~L8…距離、1…防音構造体、2…側壁部、3…中空板材、4…コア層、5、6…スキン層、7…連通孔、10…吸音ユニット、11…吸音パネル、11a、11b…主面、11c、11d…側辺、20…右側支持部材、30…左側支持部材、31…固定支持部、32…主面支持部、33…端面支持部、34…凸条部、40…上側連結部材、41…本体部、42…ロック部、43…上壁部、44…側壁部、44a…貫通孔、45…固定側軸部、46…上壁部、47…回動側軸部、48…係合部、50…下側連結部材、51…下壁部、52…側壁部、52a…貫通孔、53…固定側軸部、54…回動側軸部、60…固定支持部材、61…固定支持部、61a…溝、62…主面支持部、63…端面支持部、64…回動受け部、65…円筒部、66…窪み部、70…回動支持部材、70a…溝(凹条部)、72…主面支持部、72a…溝(固定部)、73…端面支持部、74…回動部、90…上側連結部材、91…本体部、92…ロック部、93…上壁部、94…側壁部、94a…貫通孔、95…固定側軸部、96…上壁部、97…回動側軸部、98…側壁部、98a…係合溝、99…ピン。
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