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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】薬剤分包装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
A61J3/00 310D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020077185
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021171295
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012543(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119276(WO,A1)
【文献】特開平08-020437(JP,A)
【文献】特開2018-114281(JP,A)
【文献】特開2014-036791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤供給装置から一種類以上の散薬からなる一包分の散薬を排出し、排出された前記一包分の散薬を薬剤貯容部にて一時的に貯容し、前記薬剤貯容部に貯容された前記一包分の散薬を分包に封入すべく排出する薬剤分包装置において、
前記散薬の鑑査を前記薬剤貯容部からの排出前であって前記一包分の散薬を貯容する箇所で行う鑑査装置と、鑑査対象の散薬が処方されるべき正確な散薬であるか否かを判定するメインコントローラと、を備え、
前記鑑査装置は、前記一包分の散薬に向けて光を照射する発光部と、照射された前記光が前記一包分の散薬に反射または透過した反射光または透過光を受光する受光部とを有し、分光分析法により分析された分析結果に基づいて鑑査を行い、
前記メインコントローラは、前記受光部に受光された光のスペクトル情報と外部装置から読み込んだ散薬のスペクトル情報とを比較し、両者が所定値以上の割合で一致している場合には前記鑑査対象の散薬が適正薬剤であると判定し、両者が所定値未満の割合でしか一致していない場合には前記鑑査対象の薬剤が不適薬剤であると判定する薬剤分包装置。
【請求項2】
請求項1記載の薬剤分包装置において、
前記鑑査装置は前記薬剤貯容部内に貯容された前記散薬の鑑査を行うことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項3】
請求項2記載の薬剤分包装置において、
前記薬剤貯容部は前記薬剤供給装置から排出された散薬をその内部に滞留させる滞留部材を有し、前記薬剤貯容部は前記発光部から照射された光を透過可能であることを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項4】
請求項記載の薬剤分包装置において、
前記薬剤貯容部よりも上流側に前記一包分の散薬を貯容する箇所を有し、前記鑑査装置は前記散薬の搬送装置において最上流位置に設けられた前記一包分の散薬を貯容する箇所で前記散薬の鑑査を行うことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の薬剤分包装置において、
前記判定の結果を報知する報知手段を有することを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項6】
請求項記載の薬剤分包装置において、
前記報知手段は、前記判定の結果として不適の結果が得られた場合に、不適の結果が得られた不適分包を適正の結果が得られた適正分包とは区別することを特徴とする薬剤分包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投入ホッパに投入された薬剤を分包する包装装置と、散薬を散薬フィーダにて回転式環状受部材に配分してから一包分ずつ分割して投入ホッパへと送り込む第1散薬供給機構と、散薬を定量または可変量で少しずつ送り出しながら送出量を計測することで一包分ずつ供給する第2散薬供給機構と、第2散薬供給機構から供給された散薬を投入ホッパへと導く直接案内機構とを備えた薬剤分包装置が知られている(例えば「特許文献1」参照)。
この薬剤分包装置によれば、手作業でまとめ秤量を行ってから第1散薬供給機構に配分分割を行わせる配分分割式の散薬供給と、該当する散薬容器を第2散薬供給機構に装着して計量分割を行わせる計量分割式の散薬供給とを選択できると共に、散薬が複数種類のときには両方を選択して振り分けることもできる。これにより、散薬調剤内容を損なうことなく、散薬調剤者の作業負担を軽減可能な散薬供給時における選択の幅が広い薬剤分包装置を提供できる。散薬が二種類以上の場合には、全部を混合してから一種類のときと同様に処理する方法、第1散薬供給機構で配分工程のみを複数回に分けて処理する方法、第1散薬供給機構と第2散薬供給機構とを並行して動作させる方法等を選択可能である。
【0003】
また、散剤分配部と、錠剤分配部と、分配された散剤及び錠剤を個別または一緒に分包する分包部とを備え、散剤(散薬)と錠剤とを一緒に分包可能な薬剤分包装置が知られている(例えば「特許文献2」参照)。この薬剤分包装置によれば、一度の服用時に錠剤と散薬とを両方必要とする患者に対する薬剤を一包化可能な薬剤分包装置を提供できる。
また、錠剤をPTPシート内に包装するPTP包装機であって、PTPシート内に供給された錠剤が正規品であるか否かを近赤外光によって鑑査可能なPTP包装機が知られている(例えば「特許文献3」参照)。この技術によれば、異なる錠剤がPTPシート内に供給された場合に、これを異物として認識でき確実に除去することができる。
【0004】
また、一包化された薬剤にテラヘルツ波を照射するステップと、薬剤に反射したテラヘルツ波のスペクトルまたは時間領域シグナルを検出するステップと、薬剤の可視光画像情報を解析して包装内の薬剤の数及び位置を取得するステップと、テラヘルツ波のスペクトルまたは時間領域シグナルと可視光画像情報とをデータベースに照合して薬剤の種類を識別するステップと、識別された薬剤の種類が処方すべき薬剤の種類と符合するか否かを判定するステップとを備えた、一包化された薬剤の識別方法が知られている(例えば「特許文献4」参照)。この技術によれば、一包化された薬剤の種類や数をそのままの状態で効率的に識別できる。
【0005】
また、特定される医薬品に対応する蓄積スペクトル特性を記録したデータベースと、マルチモード多重サンプリング(MMS)分光計と、MMS分光計を用いて得られた検証対象の医薬品のスペクトルと、特定される医薬品に対応するデータベース内に含まれるスペクトル特性とを照合するアルゴリズムと、スペクトル特性が合致する医薬品を検証対象の医薬品として特定するアルゴリズムとを備えた医薬品検証システムが知られている(例えば「特許文献5」参照)。この技術によれば、ラマン分光法を用いて封止されたバイアル内の医薬品についてもその種類を特定することができる。さらに、ラマン分光分析法によれば、粉末のスペクトル分析を行うことも可能であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6192625号公報
【文献】特許第5921025号公報
【文献】特開2018-179568号公報
【文献】特許第4878165号公報
【文献】特表2009-517631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、複数種類の散薬を混合して分包可能な薬剤分包装置、散薬と錠剤とを混合して分包可能な薬剤分包装置、錠剤の監査を行う技術、容器内の薬剤や粉体の鑑査を行う技術は知られているが、薬剤の鑑査を行う鑑査装置を備えた薬剤分包装置は知られていない。
また、例えば薬剤カセット内に薬剤Aが入っているはずであるのに実際は薬剤Bが入っており、結果として所望のものとは異なる薬剤が払い出される場合があった。このような装置の運用上の不手際で発生する不具合に対応可能な薬剤分包装置は知られていない。
また、薬剤師が調剤業務を行う上で調剤作業に人為的ミスがなかったかどうかを不安に感じる場合等が考えられるが、この場合に薬剤師の不安を解消する方法としては分包後に分包された薬剤をそれぞれ鑑査する方法が採用されていた。従って、作業効率が悪く作業時間が長時間に及ぶという問題点があった。
本発明は上述の問題点を解決し、装置の運用上の不手際で発生する不具合に対応可能であると共に、作業効率を悪化させることなく薬剤師の不安を解消可能であり、調剤不良の発生を防止可能な薬剤分包装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、薬剤供給装置から一種類以上の散薬からなる一包分の散薬を排出し、排出された前記一包分の散薬を薬剤貯容部にて一時的に貯容し、前記薬剤貯容部に貯容された前記一包分の散薬を分包に封入すべく排出する薬剤分包装置において、前記散薬の鑑査を前記薬剤貯容部からの排出前であって前記一包分の散薬を貯容する箇所で行う鑑査装置と、鑑査対象の散薬が処方されるべき正確な散薬であるか否かを判定するメインコントローラと、を備え、前記鑑査装置は、前記一包分の散薬に向けて光を照射する発光部と、照射された前記光が前記一包分の散薬に反射または透過した反射光または透過光を受光する受光部とを有し、分光分析法により分析された分析結果に基づいて鑑査を行い、前記メインコントローラは、前記受光部に受光された光のスペクトル情報と外部装置から読み込んだ散薬のスペクトル情報とを比較し、両者が所定値以上の割合で一致している場合には前記鑑査対象の散薬が適正薬剤であると判定し、両者が所定値未満の割合でしか一致していない場合には前記鑑査対象の薬剤が不適薬剤であると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分包内に供給された散薬が正しいか否かという目視では判断できない鑑査を正確に行うことができ、調剤不良の発生を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の概略正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置の扉開放時における概略部分断面正面図である。
図3】本発明の一実施形態に用いられるメインコントローラのブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に用いられる包装装置の概略図である。
図5】本発明の第1の実施形態に用いられる投入ホッパを説明する概略図である。
図6】本発明の第1の実施形態に用いられる投入ホッパ及び鑑査装置を説明する概略図である。
図7】本発明の一実施形態に用いられる鑑査装置の受発光部を説明する概略図である。
図8】本発明の第2の実施形態に用いられる投入ホッパ及び中間ホッパを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置を示している。図1は薬剤分包装置1の概略正面図、図2図1における扉開放時の概略部分断面図である。
薬剤分包装置1は、錠剤収納庫2、薬剤供給装置としての散薬分包装置3、ベース板4、報知手段としても機能するメインコントローラ5等を備えている。錠剤収納庫2は散薬分包装置3の上方に配置されており、両者は共にベース板4上に配置され、連結分離可能に構成されている。メインコントローラ5は、連結状態において錠剤収納庫2及び散薬分包装置3の動作を制御可能である。
【0012】
錠剤収納庫2は、収納庫本体6の前面に設けられた2枚の扉7、手撒きカセット8、タッチパネル9、収納庫本体6の内部に設けられた複数の錠剤フィーダ10、落下案内部材11(図2参照)、錠剤収集機構12(図2参照)、錠剤経路延長部材13(図2参照)、収納庫本体6の下方に設けられた一対の脚体14等を備えている。
錠剤フィーダ10は錠剤を多数収納可能であり、メインコントローラ5の指示に従い錠剤を一個ずつ必要数排出可能な周知の構成である。錠剤フィーダ10は複数種類の錠剤を調剤可能となるように多数設けられ、収納庫本体6内の棚部15に設置されている。
【0013】
落下案内部材11はダクト等の管状部材を立設したものであり、図1に両矢印Aで示す装置幅方向に複数並べて設けられている。各錠剤フィーダ10は何れかの落下案内部材11に接続されており、落下案内部材11は錠剤フィーダ10から排出された錠剤を自然落下させ、下方に設けられた錠剤収集機構12に案内する。
錠剤収集機構12は漏斗状を呈しており、その上端の錠剤受入口12aが大きく広がって形成されると共に下端の錠剤放出口12bが小さく窄まるように形成されている。落下案内部材11から案内された錠剤は、錠剤受入口12aによって広範囲に受け入れられた後に錠剤放出口12bから下方へとまとめて放出される。
本実施形態では設けられていないが、落下案内部材11または錠剤収集機構12に錠剤の放出タイミングを調整するための開閉シャッタを設け、この開閉動作をメインコントローラ5によって制御する構成としてもよい。
【0014】
二枚の扉7は収納庫本体6にそれぞれ取り付けられており、観音開き状態で開閉可能に構成されている。扉7は、閉じられた状態において錠剤フィーダ10及び錠剤収集機構12を覆っており、錠剤の補充時や清掃時等において錠剤フィーダ10及び錠剤収集機構12を露出させる際に開放される。扉7の手撒きカセット8及びタッチパネル9が設けられた位置に対応する部位には、扉7を開放することなくこれ等の操作を可能とするための開口が形成されている。
手撒きカセット8は錠剤を引き出し可能な区画室を有しており、その近傍には区画室から排出された錠剤を搬送可能なコンベヤ16が設けられている。錠剤フィーダ10に収納されていない錠剤を区画室に手撒きしておくと、各区画室から順番に排出された錠剤がコンベヤ16によって錠剤放出口12bの近傍に搬送される。
【0015】
板材、枠材、棒材等からなる脚体14は、左右一対となるように収納庫本体6の底部17に一体形成されており、底部17の両端部から下方へ向けて互いに平行となるように延設されている。各脚体14間に形成された空間内には、散薬分包装置3が配置される。
散薬分包装置3は、二台の散薬分割装置18と包装装置19と錠剤導入部材20とを装置本体21内に有している。装置本体21の前面左右端部には突片22が固定されており、各突片22をボルトやフック等によって各脚体14に固定あるいは係合させることによって散薬分包装置3が錠剤収納庫2に対して連結される。
前部が低く後部が高く形成された階段形状を呈する装置本体21は、その下面に車輪23を備えていて手で押すことにより容易に移動可能に構成されている。装置本体21の前部上面には、散薬を収納する散薬フィーダ24の散薬投入口24aが上向きに開口して二箇所設けられており、装置本体21の後部上面には、錠剤受入口25が上向きに開口して一箇所設けられている。錠剤受入口25は、散薬分包装置3が錠剤収納庫2に連結された際に、錠剤放出口12bの下方に位置する箇所に配置されている。
【0016】
散薬分割装置18は、作業効率や分割精度等の観点から二台が左右に並設されており、それぞれ散薬フィーダ24、ターンテーブル26、切り出しユニット27を備え、散薬を分割して送出可能に構成されている。調剤者によって散薬投入口24aから投入された散薬は散薬フィーダ24によって少量ずつターンテーブル26へと送り込まれ、送り込まれた散薬はターンテーブル26の回転に伴いターンテーブル26の円周部に設けられた溝部に対して一様に分配される。その後、間欠的にターンテーブル26を所定角度ずつ回転させつつ、所定角度分に対応した散薬を切り出しユニット27でターンテーブル26の溝部から取り出して投入ホッパ28に供給する。この散薬分割装置18の働きにより、後述する包装装置19によって形成される分包内に一包分の散薬を封入することができる。
【0017】
包装装置19は、散薬分割装置18及び錠剤導入部材20から送られた薬剤を受け取る上下動可能な薬剤貯容部としての投入ホッパ28と、受け取った薬剤を分包帯にて分包する包装装置本体29とを有している。包装装置本体29は、巻成された分包帯を間欠的に搬送しつつ熱融着にて区画室を形成し、形成した区画室に投入ホッパ28の下端を挿入して一包分の薬剤を区画室に収納し、区画室から投入ホッパ28の下端を抜いた後に区画室を熱融着にて封止することにより、区画室を一包分の分包とする。このような処理を投入ホッパ28への薬剤投入毎に繰り返すことにより、投入された薬剤を順次分包する。投入ホッパ28を含む包装装置19の詳細については後述する。
錠剤導入部材20は、錠剤収納庫2から放出された錠剤を投入ホッパ28に投入するために、各散薬分割装置18の間であってかつ投入ホッパ28の上方に設けられている。錠剤導入部材20はダクト状の導管からなり、その上端開口は広がりながら装置本体21の後部上面に達して錠剤受入口25を形成している。
【0018】
ベース板4は、錠剤収納庫2と散薬分包装置3とを載置する金属製のプレートと、プレートの上面に設けられた固定具及びレールから構成されている。固定具は脚体14を固定するものであり、脚体14の配置位置に対応して例えば四隅に隔離配置あるいは分散配置されている。固定具の具体的な構成は、プレートに対して脚体14を固定可能である構成であればどのような構成を採用してもよい。
レールは、車輪23を挟むように車輪23の移動経路を装置前後方向の直線上に規制するものであり、固定具の内側に二本が互いに平行となるように設置され、何れも前後方向に向けて直線的に延設されている。
錠剤経路延長部材13は、コンベヤ16の先端及び錠剤放出口12bの下方に対応する位置に配置され、底部17に設けられた開口部に上下動自在且つ着脱可能に装着されている。錠剤経路延長部材13は漏斗状あるいはホッパ状の部材からなり、錠剤放出口12b及びコンベヤ16の双方から排出される錠剤をそれぞれ受入可能となるように上端開口部が広がって形成されており、受け入れた錠剤を錠剤導入部材20へと導くため下端開口部は狭まって形成されている。
【0019】
図3に示すメインコントローラ5は、CPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータからなり、メニューやステータス等を表示するディスプレイ、入力用のキーボード等を有している。メインコントローラ5は、調剤者により見易くかつ操作し易い箇所、例えば脚体14の上部前面側等に配置されている。
メインコントローラ5は、錠剤収納庫2の動作を制御する錠剤収納庫コントローラ30及び散薬分包装置3の動作を制御する散薬分包装置コントローラ31に対して通信可能に接続されており、メインコントローラ5からの入力により薬剤分包装置1が動作を行う。また、外部装置として調剤情報、患者情報、処方箋情報等を記憶した処方オーダ登録システム32が接続されている。処方オーダ登録システム32は、病院や薬局等のシステム内等に設けられている。なお、処方オーダ登録システム32を薬剤分包装置1内に有していてもよい。
錠剤収納庫コントローラ30は周知のマイクロコンピュータからなり、錠剤収納庫2の動作を制御すべくタッチパネル9、錠剤フィーダ10等に対してアクセス可能に構成されている。散薬分包装置コントローラ31も周知のマイクロコンピュータからなり、散薬分包装置3の動作を制御すべく散薬分割装置18、包装装置19等に対してアクセス可能に構成されている。
【0020】
メインコントローラ5は、処方オーダ登録システム32あるいは図示しない操作入力装置等から調剤情報、患者情報、処方箋情報等を取得すると、取得した情報をそれぞれ錠剤分と散薬分とに分類して錠剤収納庫コントローラ30向け及び散薬分包装置コントローラ31向けの動作指令をそれぞれ作成する。動作指令作成後、各コントローラ30,31に適切なタイミングで動作指令を出力することにより、錠剤収納庫2、散薬分割装置18、包装装置19の動作をそれぞれ制御する。
上述よりメインコントローラ5は、散薬分割装置18は作動させずに錠剤収納庫2と包装装置19とを連動させる錠剤分包制御、錠剤収納庫2は作動させずに散薬分割装置18と包装装置19とを連動させる散薬分包制御、錠剤収納庫2と散薬分割装置18と包装装置19とを連動させる混合分包制御を実行可能であり、これ等三パターンの制御を一包毎に任意に選択して実行可能に構成されている。
メインコントローラ5には、上述した制御を行うためのプログラムがインストールされており、例えば錠剤分包と散薬分包と混合分包とのうちから任意のものをメニュー画面で選択して実行可能に構成されている。また、調剤情報、患者情報、処方箋情報の中に分包状態の指定がある場合にはこの分包状態を標準の設定状態に対して優先させる。
【0021】
ここで、本実施形態に用いられる調剤情報、患者情報、処方箋情報について説明する。
調剤情報には、散薬の秤量や錠剤の粉砕並びに半切等の薬剤に対する加工行為、PTPや分包帯等の包装用部材の取り揃え行為、水剤の計量行為等の調剤業務に関する情報、取り扱われる薬剤に関する薬剤情報等が含まれる。この薬剤情報には、後述する鑑査装置にて鑑査される際に用いられる分光分析結果の比較元となる、薬剤それぞれのスペクトル情報(マスタ情報)が含まれている。
患者情報には、患者個人に関する個人情報、電子カルテ上で管理される患者に係る情報、すなわち患者に投与される薬剤に関する情報等が含まれる。
処方箋情報には、医師が患者毎に決定した指定薬剤情報、服用形態情報、服用時期及び服用期間情報、一包化指示情報等が含まれている。
これ等の調剤情報、患者情報、処方箋情報は、互いに関連性を有する情報形態を呈している。
【0022】
上述の構成に基づき、以下に薬剤分包装置1における、薬剤が投入ホッパ28に投入されるまでの動作を説明する。
調剤情報、患者情報、処方箋情報が処方オーダ登録システム32から得られると、調剤対象薬剤のうち散薬の調剤指示がメインコントローラ5に表示され、調剤者は画面を見て該当する散薬を秤量して散薬フィーダ24に投入する。また、錠剤フィーダ10に収納されていない錠剤の調剤指示がある場合には同様にメインコントローラ5に表示され、調剤者は該当する錠剤を手撒きカセット8にセットする。
このように散薬や錠剤フィーダ10に収納されていない錠剤に関しては調剤者の手作業を要する半自動の調剤であるが、錠剤フィーダ10に収納されている錠剤については全自動で調剤が行われ、調剤者はメインコントローラ5に自動調剤の開始を指示する。調剤の開始が指示されると、散薬分割装置18から散薬が一包分ずつ送り出されて投入ホッパ28に投入される。また、分包対象の錠剤も一包分ずつ錠剤フィーダ10及び手撒きカセット8から排出され、何れの錠剤も錠剤経路延長部材13及び錠剤導入部材20を介して投入ホッパ28に投入される。
【0023】
以上、散薬及び/または錠剤が一包分ずつ供給され、投入ホッパ28に投入されるまでの動作を説明した。次に、投入ホッパ28に投入された薬剤が投入ホッパ28から排出された後の薬剤分包装置1の動作について説明する。この動作説明に先立ち、包装装置19の構成について説明する。
図4に示すように、投入ホッパ28にて収集した薬剤を分包帯33によって分包する包装装置19は、投入ホッパ28、包装装置本体29、分包帯33のロールを保持して分包帯33を先端から順に送り出す分包帯給送部34、分包帯33の搬送を案内する分包帯案内ローラ35、縦に延びた発熱体を有し分包帯33に縦方向の加熱を行って縦シール部39を形成する縦シール形成部材36、横に延びた発熱体を有し分包帯33に横方向の加熱を行って横シール部40を形成する密封手段としての横シール形成部材37、縦シール部39にミシン目41を形成するミシン目形成部材38等を有する周知の構成である。分包帯33としては、長手方向の中心軸に対して二つに折り込まれたものが用いられ、曲折部が下辺となるように分包帯給送部34にセットされる。
図2及び図4に矢印Bで示す分包帯搬送方向に向けて分包帯33を搬送する包装装置19は、装置幅方向Aに包装装置本体29が延在するように配置されている。
【0024】
上述した投入ホッパ28への薬剤の投入動作に並行して、包装装置19では分包帯33の搬送動作及び分包42の形成動作が行われている。メインコントローラ5から動作指令が送られると、分包帯給送部34が作動して分包帯33が分包帯搬送方向Bに向けて搬送され、所定位置において搬送が停止されて縦シール形成部36が作動して、一つ目の縦シール部39が形成される。その後、分包帯給送部34が作動して分包帯33が再び分包帯搬送方向Bに向けて送られ、所定位置において搬送が停止されて縦シール形成部36が作動して二つ目の縦シール部39が形成され、これにより一つの区画室が形成される。各縦シール部39間は所定の間隔となるように設定されており、この間隔が分包42の幅となる。
【0025】
予め定められた所定数の縦シール部39が形成され、分包帯33に二個以上である所定数の区画室が形成されると、投入ホッパ28が下方に移動して各縦シール部39間に位置する二枚の分包帯33間にその先端部を入り込ませる。この投入ホッパ28がその先端部を分包帯33に入り込ませたタイミングで、上述したように一包分が調剤され投入ホッパ28に投入された各薬剤が、投入ホッパ28から排出されて分包帯33の各縦シール部39間に形成された区画室に供給される。その後、投入ホッパ28が上方に移動して分包帯33からその先端部が抜けた後、分包帯給送部34が作動して分包帯33が分包帯搬送方向Bに向けて搬送され、薬剤が供給された分包帯33の部位が横シール形成部材37と対応する位置で分包帯33の移動が停止される。
【0026】
分包帯給送部34の作動が停止すると、密封手段として機能する横シール形成部材37が作動して薬剤が供給された分包帯33の区画室が密封される。このとき、密封された区画室よりも分包帯搬送方向Bの一つ上流側に位置する区画室は投入ホッパ28によって薬剤が供給される上述の位置を占め、上述と同様にこの区画室に薬剤が供給される。
その後、分包帯給送部34が作動して分包帯33が分包帯搬送方向Bに向けて搬送され、密封された分包帯33の区画室に対応する縦シール部39がミシン目形成部材38と対応する位置に到達すると分包帯33の移動が停止される。分包帯給送部34の作動が停止するとミシン目形成部材38が作動して縦シール部39にミシン目41が形成され、ミシン目41が形成された部位より分包帯搬送方向Bの下流側には、ミシン目41において分包帯33から分離可能な分包42が形成される。
なお、上述したように、分包帯33の先頭部分に予め定められた二個以上である所定数の区画室が形成された後に、分包帯33に対して投入ホッパ28から薬剤が供給されるため、分包帯33の先頭部分には薬剤が供給されない状態で密封された分包42である空包が少なくとも一個以上である所定数形成される。
【0027】
次に、本発明の特徴部である、一包分の薬剤を貯容する箇所である投入ホッパ28の構成について説明する。投入ホッパ28は、図5(a),図5(b)に示すように、薬剤を受け入れる受入部28a、薬剤を排出する排出部28b、受入部28aと排出部28bとを接続する本体部28c、滞留部材としての底板28dを有している。
受入部28aは平面視で長方形状を呈しており、その上部に垂直に形成された壁部を有し、壁部の下部にはそれぞれ窄まる方向に傾斜した傾斜部を有している。排出部28bは最大サイズの錠剤が排出可能な穴部を有しており、その下端は分包42内に入り込み易いように両端部が鋭角的に形成されている。本体部28cは受入部28aと排出部28bとを接続する形状に形成され、図5(b)において上下方向で示す厚み方向において、受入部28aから排出部28bに向かうに連れて狭まるように形成されている。
【0028】
受入部28aと本体部28cとの接続部には、受入部28aに投入された薬剤が本体部28cへと落下することを防止する底板28dが設けられている。底板28dは一端側を支軸によって本体部28cに回動自在に支持されており、本体部28cに設けられた図示しないモータ等の駆動手段によって、図5(a)に実線で示す閉塞位置と二点鎖線で示す開放位置とを選択的に占める。底板28dと本体部28cとの間には図示しないシール部材が設けられており、底板28d上に散薬が載置された際にこの散薬が底板28dと本体部28cとの隙間から下方へと落下することが防止されている。投入ホッパ28の材質については後述する。
【0029】
次に、本発明の特徴部である鑑査装置43の構成について説明する。
図2及び図6に示すように、投入ホッパ28の周囲を囲む部位には鑑査装置43が配置されている。鑑査装置43は、鑑査装置本体44、受発光部45、鑑査制御部46を有している。装置本体21に固定された鑑査装置本体44は、図2及び図6に示すように投入ホッパ28の周囲を囲むように配置されており、平面視におけるその中央部には、投入ホッパ28が嵌入可能な投入ホッパ28よりも一回り大きく形成された穴部47が形成されている。なお、穴部47の鑑査制御部46が配置された側の壁面には、受発光部45から照射された光を反射する性質を有する部材が用いられている。
【0030】
鑑査装置本体44の、図6に両矢印Cで示す装置前後方向における装置前面側に位置する内部には、鑑査される薬剤に対してラマン分光分析法による分析を行うべく、光を照射すると共に反射した反射光を受光する受発光部45が配置されている。受発光部45は、図7に示すように、光を照射する近赤外線光からなる発光部としての光源48、照射された光を屈折させるミラー49、照射され屈折された光が入射するフィルタ50、フィルタ50によって選別された光が入射するレンズ51、レンズ51で集光され対象物である投入ホッパ28内の薬剤に当たり反射した反射光をレンズ51及びフィルタ50を介して受ける分光器52、分光器52からの反射光を受光する受光部としての検出器53を有している。
受発光部45は、光源48から照射され、投入ホッパ28及び投入ホッパ28内の薬剤を透過して受発光部45と対向する鑑査装置本体44の壁部によって反射された検出光を検出器53で受光し、受光した光のスペクトル情報をメインコントローラ5に送る。穴部47の受発光部45が配置された側の壁面には、受発光部45から発せられた光及び穴部47の鑑査制御部46が配置された側の壁面によって反射された光が入射可能な図示しない開口部が設けられている。
【0031】
鑑査装置本体44の装置前後方向Cにおける装置後面側に位置する内部には、鑑査装置43の動作制御を行う鑑査制御部46が設けられている。図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータからなる鑑査制御部46は図3に示すようにメインコントローラ5に接続されており、メインコントローラ5からの動作指示に基づいて受発光部45の動作制御を行う。
上述したように、本発明では分光分析法により薬剤の鑑査を行っているため、薬剤が収容されている容器としては光が透過する性質を有している必要がある。そこで、本発明に用いられる投入ホッパ28は、光源48から発せられた光が透過可能である、例えばPC(ポリカーボネート)等の透明であると共にある程度の強度を有する樹脂材料から形成されている。すなわち、分析結果として得られるスペクトル情報は投入ホッパ28の成分をも含んでいることになり、分析される薬剤のスペクトル情報は得られたスペクトル情報から投入ホッパ28のスペクトル情報を差し引いたものとなる。
【0032】
本実施形態では薬剤の鑑査を行う方法として分光分析法の一つであるラマン分光分析法を採用しているが、ラマン分光分析法に代えて近赤外分光分析法を用いてもよい。近赤外分光分析法は、反射光を検出するラマン分光分析法とは異なり薬剤を透過した透過光を検出する分析法であるため、分光器52及び検出器53は投入ホッパ28を介してレンズ51と対向する位置、すなわち鑑査装置本体44内の鑑査制御部46が配置された側の壁面の奥側に配置される。
また上述の実施形態では、一包分の薬剤が貯容される薬剤貯容部である投入ホッパ28を光源48から発せられた光が透過可能である材質によって構成する例を示したが、一包分の薬剤が貯容される薬剤貯容部としては全てが光を透過する材質で構成されている必要はなく、鑑査される薬剤が貯容される箇所に対応する箇所、すなわち少なくとも底板28dの上方近傍が光を透過する材質によって構成されていればよい。
【0033】
上述の構成に基づく鑑査装置43の動作を以下に説明する。なお、本発明で使用する鑑査装置43は、投入ホッパ28内の薬剤が一種類以上の散薬である場合に使用され、投入ホッパ28内の薬剤が錠剤のみの場合あるいは錠剤と散薬とが混在する場合には使用しない。
投入ホッパ28内に一包分の薬剤が投入されると、メインコントローラ5から受発光部45に動作指令が送られて発光部48が作動し、投入ホッパ28内の薬剤に向けて光が照射されて所定時間の分析動作が行われ、検出器53に受光された光のスペクトル情報がメインコントローラ5へと送られる。
鑑査装置43から分析結果を受け取ったメインコントローラ5は、鑑査対象の投入ホッパ28内の薬剤が処方されるべき正確な薬剤であるか否かを判定する。この判定は、処方オーダ登録システム32から読み込んだ調剤情報、患者情報、処方箋情報から得られた薬剤のスペクトル情報と比較されることにより行われる。
【0034】
そして、鑑査装置43から受け取ったデータが処方オーダ登録システム32から読み取ったデータに対して所定値以上の割合で一致している場合には、メインコントローラ5は鑑査対象の投入ホッパ28内の薬剤が処方されるべき適正な薬剤である適正薬剤であると判定する。また、鑑査装置43から受け取ったデータが処方オーダ登録システム32から読み取ったデータに対して所定値未満の割合でしか一致していない場合には、メインコントローラ5は鑑査対象の投入ホッパ28内の薬剤が処方されるべき適正な薬剤とは異なる薬剤である不適薬剤であると判定する。
【0035】
判定後メインコントローラ5は、鑑査した薬剤が分包帯33のうちのどの部位の分包42内に収納されるのかと鑑査結果とをメインコントローラ5のディスプレイに表示する。このときメインコントローラ5は報知手段として機能し、不適の結果が得られた不適薬剤を適正の結果が得られた適正薬剤とは区別する。また、鑑査対象である分包42を含む分包帯33は、包装装置本体29よりも分包帯搬送方向下流側に設けられた図示しない分包帯給送装置によって分包帯搬送方向下流側へと搬送され、図示しない貯留部に貯留される。そして全ての分包42に収納される薬剤が投入ホッパ28内において鑑査されると、薬剤分包装置1の作動が停止される。
【0036】
上述の構成によれば、分包42内に供給される散薬が正しいか否かという目視では判断できない鑑査を分包42内に収納する前に正確に行うことができ、調剤不良の発生を確実に防止できる。また、2種類以上が混合された散薬の鑑査も可能であり、薬剤の種類が正確であっても混合比率が異なる場合にこれを指摘することができ、調剤の正確性をさらに向上できる。
また、調剤不良の発生を防止することにより装置の運用上の不手際で発生する不具合に対応可能であると共に、作業効率を悪化させることなく人為的ミスの有無に関する薬剤師の不安を解消することができる。
また、本発明では全ての分包42に収納される薬剤を全数鑑査しているので、鑑査結果として最も高い信頼性を得ることができる。
【0037】
図8は、本発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態と比較すると、投入ホッパ28の上方に散薬分割装置18から供給された一包分の散薬を受け取る中間ホッパ54を設ける点において相違しており、他の構成は同様である。中間ホッパ54は、薬剤貯容部である投入ホッパ28よりも上流側において一包分の薬剤を貯容する箇所として機能する。 中間ホッパ54には滞留部材として機能する底板54aが設けられており、底板54aは一端側を支軸によって中間ホッパ54に回動自在に支持されている。中間ホッパ54は、図示しないモータ等の駆動手段によって、図8に実線で示す閉塞位置と二点鎖線で示す開放位置とを選択的に占める。底板54aと中間ホッパ54との間には図示しないシール部材が設けられており、底板54a上に散薬が載置された際にこの散薬が底板54aと中間ホッパ54との隙間から下方へと落下することが防止されている。中間ホッパ54は投入ホッパ28と同じ材質で構成されている。
【0038】
中間ホッパ54は、散薬分割装置18から供給された一包分の散薬を一時的に貯容した後に、貯容した一包分の散薬を投入ホッパ28に受け渡す機能を有している。中間ホッパ54を有することにより、散薬分割装置18から供給される一包分の散薬が投入ホッパ28に投入されるまでの時間を稼ぐことができる。
例えば、包装装置19において分包帯33に対して印刷(スタンプ等を含む)を行う際に、分包帯33の区画室内に薬剤を供給した後では分包帯33に凹凸が生じて良好な印刷が行えないため、印刷は区画室への薬剤供給前に完了している必要がある。しかし、装置の構成やレイアウト上の都合により、印刷工程から薬剤供給工程までの分包帯33の搬送距離と薬剤の供給距離とが合致しないと、印刷と薬剤供給とのタイミングが合わずに包装不良が発生する虞がある。そこで、中間ホッパ54を用いることにより薬剤供給工程にバッファを設けることができ、印刷と薬剤供給とのタイミングを合致させることが可能となる。
【0039】
第2の実施形態において、鑑査装置43は中間ホッパ54内に貯容された薬剤に対して光を照射可能となるように配置されており、第1の実施形態と同様の動作によって中間ホッパ54内に貯容された薬剤の鑑査を行う。この第2の実施形態によれば、散薬分包装置3から排出された薬剤が投入ホッパ28に貯容される前に薬剤の鑑査を行うことにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、第2の実施形態では中間ホッパ54が錠剤収納庫2及び散薬分包装置3から排出された錠剤及び散薬を受入可能に構成したが、中間ホッパ54としては散薬分包装置3から排出される散薬のみを受入可能であってもよい。また、第2の実施形態では散薬分包装置3から排出された薬剤を投入ホッパ28よりも薬剤排出方向上流側に位置する中間ホッパ54に収納して鑑査を行う構成を示したが、投入ホッパ28よりも薬剤排出方向上流側であれば、中間ホッパ54に限られずどのような構成で薬剤を収納して鑑査を行う構成を採用してもよい。
【0040】
第2の実施形態では、散薬分割装置18と投入ホッパ28との間に中間ホッパ54を一つ設ける構成を示したが、中間ホッパ54を二つ以上の複数個設ける構成としてもよい。中間ホッパ54を複数個設けることにより、薬剤供給工程に設けられるバッファを長期間に設定することができ、例えば複雑な印刷工程を行っても薬剤供給工程とのタイミングを合致させることができる。
なお、薬剤として散薬が用いられる場合、散薬は静電気や微かな汚れで物体に付着し易くかつ飛散し易いという性質を有しているため、貯容する工程すなわち中間ホッパ54が複数個設けられていると各中間ホッパ54に付着して減量していく。従って、複数の中間ホッパ54を用いる構成において薬剤の鑑査を行う場合には、薬剤の搬送方向において最上流位置に設けられた中間ホッパ54と対応する位置に鑑査装置43を設け、この中間ホッパ54に貯容される薬剤を鑑査する構成とする。この構成により、調剤情報、患者情報、処方箋情報に対して最も適正な薬剤の鑑査を行うことができ、監査の精度を向上することができる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
1 薬剤分包装置
3 薬剤供給装置(散薬分包装置)
5 報知手段、区別手段(メインコントローラ)
28 薬剤貯容部(投入ホッパ)
28d,54a 滞留部材(底板)
42 分包
43 鑑査装置
48 発光部(光源)
53 受光部(検出部)
54 薬剤貯容部(中間ホッパ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8