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特許7323218置換された縮合芳香環誘導体、その組成物、およびそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】置換された縮合芳香環誘導体、その組成物、およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230801BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230801BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20230801BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20230801BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230801BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230801BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
C07D487/04 144
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K31/5025
A61K31/4985
A61K31/519
A61K31/454
A61P35/02
C07D471/04 106A
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021548215
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2020074983
(87)【国際公開番号】W WO2020168963
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】201910127767.3
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519263556
【氏名又は名称】深▲チェン▼市塔吉瑞生物医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen TargetRx, Inc.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building A1, Kexing Science Park, No.15 of Keyuan Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】王 義漢
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 青峰
(72)【発明者】
【氏名】艾 義新
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-531574(JP,A)
【文献】特表2008-538356(JP,A)
【文献】特表2017-519818(JP,A)
【文献】特表2008-532926(JP,A)
【文献】特表2014-525464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
C07D 471/04
A61P 43/00
A61P 35/00
A61K 31/5025
A61K 31/4985
A61K 31/519
A61K 31/454
A61P 35/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物
【化1】
であって、ただし、
・環Aおよび環Bは、芳香族縮合環を形成し;
・Aは、Rで置換されていてもよいC原子であり;
・Aは、N原子であり;
ここで、Rは、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
・AおよびAは、それぞれ独立して、C原子またはN原子から選択され;ここでA およびA の一方はC原子であり、他方はN原子であって;
・AおよびAは、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;
・AおよびAは、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、A、AおよびAのうちの少なくとも1つはN原子であるか、或いはA、AおよびAのうちの少なくとも1つはN原子であり;
ここで、R’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、および-L-Rからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
ここで、Lは、結合、OまたはNHから選択され;Rは、N、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールであり、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
・B、B、BおよびBは、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、および-CNからなる群から選択され;
・Lは、CH、CHDまたはCDから選択され、且つLは、NHであり;
・環Cは、N、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールであり、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;
ここで、各RおよびRb’は、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、-CN、および-Rからなる群から選択され;
は、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
各Rは、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、および-CNからなる群から選択される
合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項2】
およびAのうちの1つが-L-Rで置換される、
請求項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項3】
が、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、およびイソチアゾリルからなる群から選択され;ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよい、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項4】
環Cが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、およびイソチアゾリルからなる群から選択され;ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよい、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項5】
環Cが、N、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよい、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項6】
前記の化合物が以下の一般式で表される構造を有し、
【化2】
【化3】
【化4】
ここで、
およびVが、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
およびVが、それぞれ独立して、CRb’またはNから選択され;
、A、A、A、L、L、B、B、R、Rb’、およびRが請求項1~のいずれか1項に定義されているとおりである、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項7】
前記の化合物が、以下の式で表される化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化5】
およびAが、それぞれ独立してC原子またはN原子から選択され;ここでA およびA の一方はC原子であり、他方はN原子であって;
およびAが、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;
およびAが、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L-Rから選択され;
ここで、AおよびAのうちの1つが、-L-Rで置換され;
ここで、Lが、結合、OまたはNHから選択され;Rが、
【化6】
であり、ここで、*はLへの接続位置を示し;
およびBが、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項8】
前記の化合物が、以下の式で表される化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化7】
ここで、
およびAが、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;
およびAが、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L-Rから選択され;
且つA、AおよびAのうちの少なくとも1つがNであり、AおよびAのうちの1つが-L-Rで置換され;
ここで、Lが、結合、OまたはNHから選択され;R
【化8】
であり、ここで、*はLへの接続位置を示し;
およびBが、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項9】
前記の化合物が、以下の式で表される化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化9】
ここで、
およびAが、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;
が、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
且つA、AおよびAのうちの少なくとも1つがNであり;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項10】
前記の化合物が、以下の式で表される化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化10】
ここで、
およびAが、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;且つAおよびAの少なくとも1つがN原子であり;
およびBが、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;
各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項11】
およびBの両方がCRである、
請求項10に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項12】
前記の化合物が、以下の式で表される化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
【化11】
ここで、
およびAが、それぞれ独立して、N原子またはC原子から選択され;
が、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびBが、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;
各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
、AおよびAの少なくとも1つがN原子である、
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項13】
がN原子である、
請求項12に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項14】
【化12】
から選択される、化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含む、医薬組成物。
【請求項16】
プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療および/または予防するための医薬品の調製における、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
前記のプロテインキナーゼによって媒介される疾患が、RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFR、またはVEGFRキナーゼの野生型および変異体から選択される1つまたは複数のキナーゼによって媒介される疾患である、
請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記のRET、KIF5B-RETおよびCCDC6-RETキナーゼの変異体が、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C,Y806E、C634YまたはC634Wから選択される、
請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記のTrkキナーゼの変異体が、G595Rである、
請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記のFLT3キナーゼの変異体が、F691L、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、Y842C、Y842D、Y842H、Y842N、Y842SまたはFLT3-ITDから選択される、
請求項17に記載の使用。
【請求項21】
前記の疾患が、非小細胞肺癌、乳頭状甲状腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、大細胞神経内分泌癌、前立腺癌、結腸癌、急性リンパ芽球性白血病、肉腫、小児神経膠腫、肝内胆管癌、毛細胞星状細胞腫、低悪性度神経膠腫、肺腺癌、唾液腺癌、分泌性乳癌、線維肉腫、腎腫、乳癌、骨髄異形成症候群、消化管間質腫瘍、黒色腫、セミノーマ、頭蓋内胚細胞腫瘍、および縦隔B細胞リンパ腫からなる群から選択される、
請求項16に記載の使用。
【請求項22】
プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療および/または予防するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を含む、医薬組成物。
【請求項23】
前記のプロテインキナーゼによって媒介される疾患が、RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFR、またはVEGFRキナーゼの野生型および変異体から選択される1つまたは複数のキナーゼによって媒介される疾患である、
請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記のRET、KIF5B-RETおよびCCDC6-RETキナーゼの変異体が、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C、Y806E、C634YまたはC634Wから選択される、
請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記のTrkキナーゼの変異体が、G595Rである
請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記のFLT3キナーゼの変異体が、F691L、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、Y842C、Y842D、Y842H、Y842N、Y842SまたはFLT3-ITDから選択される、
請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記の疾患が、非小細胞肺癌、乳頭状甲状腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、大細胞神経内分泌癌、前立腺癌、結腸癌、急性リンパ芽球性白血病、肉腫、小児神経膠腫、肝内胆管癌、毛細胞星状細胞腫、低悪性度神経膠腫、肺腺癌、唾液腺癌、分泌性乳癌、線維肉腫、腎腫、乳癌、骨髄異形成症候群、消化管間質腫瘍、黒色腫、セミノーマ、頭蓋内胚細胞腫瘍、および縦隔B細胞リンパ腫からなる群から選択される、
請求項22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2019年2月18日に出願されたCN201910127767.3に基づく優先権の利益を主張するものである。そのすべての内容は、本願の一部として参照により組み込まれる。
<技術分野>
【0002】
本発明は、医薬分野に属する。本発明は、特に、タンパク質チロシンキナーゼを抑制する作用を有する置換された縮合芳香環誘導体、それを含む医薬組成物、ならびにそれらの調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼ(PKs)は、細胞のタンパク質中の特定のセリン、スレオニン、またはチロシンのリン酸化を触媒する酵素である。これらの基質タンパク質の翻訳後修飾は、例えば、細胞増殖、代謝、腫瘍微小環境(例えばVEGFR)、分化およびアポトーシスの制御などのさまざまな生体プロセスで重要な役割を果たす分子スイッチとして機能する。また、異常な、過剰な、またはより一般的に不適切なPK活性は、例えば、甲状腺髄様癌(MTC)および他のヒト悪性腫瘍における機能的変異、急性骨髄性白血病(AML)のFLT3におけるITD(内部タンデム重複)変異、消化管間質腫瘍(GIST)におけるc-Kit変異、および慢性骨髄性白血病(CML)におけるBCR-ABL再構成から得られたRETなどの悪性増殖性疾患を含む一部の病状で観察されている。さらに、チロシンキナーゼ(例えば、TrkA、TrkB、TrkC、およびRET)の活性化および/または過剰発現は癌を引き起こす。多くのチロシンキナーゼは互いに相同である。1つのチロシンキナーゼを阻害すると、他のチロシンキナーゼに対して一定の阻害活性を生み出す可能性がある。たとえば、イマチニブは、CML患者(BCR-ABLキナーゼの阻害に基づく)だけでなく、GIST癌患者(c-Kitキナーゼの阻害に基づく)の治療薬としても使用されている。以下、癌の治療法に用いられるいくつかの標的およびそれらに伴う問題を簡単に説明する。
【0004】
RET
RET(Rearranged during transfection、トランスフェクション再編成)は、受容体チロシンキナーゼタンパク質ファミリーに属し、細胞の成長と分化のシグナルを伝達する細胞表面分子である。RET遺伝子変異またはRET遺伝子融合は、一部の癌の促進因子として特定される。非小細胞肺癌におけるRET遺伝子融合の発生率は約2%であり、乳頭状甲状腺癌(Papillary Thyroid Cancers,PTCs)における発生率は10%~20%である。最も一般的な融合パートナーには、KIF5B、TRIM33、CCDC6およびNCOA4が含まれる。甲状腺髄様癌(Medullary Thyroid Cancers,MTC)におけるRET遺伝子変異の発生率は約60%であり、最も一般的な変異部位はM918Tである。RET阻害剤耐性変異には、アミノ酸位置804(V804M、V804L、V804E)、アミノ酸位置805(E805K)、およびアミノ酸位置806(Y806C、Y806E)が含まれるが、これらに限定されない。
【0005】
TRK
Trk(Tropomyosin-related kinase、トロポミオシン関連キナーゼ)は、ニューロトロフィン(NT)と呼ばれる可溶性成長因子のグループによって活性化される高親和性受容体チロシンキナーゼである。Trk受容体ファミリーには、TrkA、TrkBおよびTrkCの3つのメンバーがある。ニューロトロフィンには、(1)TrkAを活性化することができる神経成長因子(NGF)、(2)TrkBを活性化することができる脳由来神経栄養因子(BDNF)とNT4/5、および(3)TrkCを活性化することができるNT3がある。Trkは神経組織で広く発現しており、且つ神経細胞の維持、シグナル伝達、生存に関与している。また、文献によると、Trkの過剰発現、活性化、増幅および/または突然変異が、神経芽細胞腫、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、黒色腫、甲状腺癌、膵臓癌、大細胞神経内分泌腫瘍および結腸直腸癌を含む多くの癌に関連している。さらに、Trk/ニューロトロフィン経路の阻害剤は、痛みや炎症性疾患の治療のための多くの前臨床動物モデルにおいて有効であることが示されている。
【0006】
FLT3
FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3、MS様チロシンキナーゼ3)は、III型受容体チロシンキナーゼファミリーのキナーゼタンパク質に属する。FLT3は、正常な造血細胞の産生を調節する役割を果たし、且つ白血病の胚細胞で過剰発現する受容体型チロシンキナーゼである。FLT3遺伝子の変異は、AML症例の30%を特徴としている。FLT3の内部タンデム重複(ITD)変異(AML症例の約23%を占める)は、特に予後不良と関連している。診断の症例の約7%に見られるFLT3/D835点突然変異に関する予後に関わる問題はまだ明らかにしていない。FLT3およびその変異を阻害することが有利である可能性がある。
【0007】
c-Kit
c-KIT(CD117とも呼ばれる)は、レトロウイルスの癌原遺伝子c-kitによってコードされるチロシンキナーゼ活性を持つ膜貫通型受容体タンパク質である。c-KITキナーゼは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインからなる。c-KITのリガンドは幹細胞因子(stem cell factor、SCF)であり、c-KITの細胞外ドメインに結合して受容体の二量体化を誘導し、下流のシグナル伝達経路を活性化する。通常、c-KITの変異は、膜近傍領域のドメインをコードするDNA(エクソン11)で発生する。また、それらはより低い頻度でエクソン7、8、9、13、14、17および18で発生する。c-KITの機能は、変異により、SCFによる活性化とは無関係になり、細胞分裂速度が高くなり、ゲノムが不安定になる可能性がある。c-KITの変異は、全身性肥満細胞症(Systemic Mastocytosis、SM)、消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumors、GIST)、急性骨髄性白血病(Acute Myeloid (Myelocytic) Leukemia、AML)、黒色腫、およびセミノーマなど複数の疾患や病状の病因に関与している。したがって、c-KITを阻害する治療薬、特に変異型c-KITを阻害する医薬品の開発は必要である。
【0008】
PDGFR
PDGFR(Platelet Derived Growth Factor Receptor、血小板由来成長因子受容体)は、血小板由来成長因子(PDGF)ファミリーのメンバーの細胞表面チロシンキナーゼ受容体である。PDGFサブユニットであるPDGFαおよびPDGFβは、細胞増殖、細胞分化、細胞成長、発達、および癌を含む多くの疾患の調節における重要な因子である。PDGFRα D842V変異は、消化管間質腫瘍(GIST)の異なるサブセット(一般的に胃)で発見されている。また、D842V変異は、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性に関連することが知られている。
【0009】
VEGFR
VEGFR(Vascular endothelial growth factor、血管内皮増殖因子)は、血管新生および脈管形成に関与する重要なシグナル伝達タンパク質である。その名の通り、VEGFRは限られた数の他のタイプの細胞にも影響を及ぼすが、VEGFRの活性は主に血管内皮細胞に限られている。インビトロでは、VEGFRが内皮細胞の有糸分裂の発生および細胞の遊走を刺激することが確認されている。また、VEGFRは、微小血管の透過性も促進し、血管透過性因子と呼ばれることもある。VEGFRキナーゼは、例えば、腎臓癌、神経膠芽腫および肝臓癌などの高度に血管新生された悪性腫瘍などの固形腫瘍の標的として使用されている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、特定の野生型および変異型のRET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、TrkA、TrkB、TrkC、FLT3、c-Kit、PDGFRおよびVEGFRのキナーゼに対してより優れた阻害活性と選択性を有し、より優れた薬力学および/または薬物動態特性を示し、プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療する新規の縮合芳香環誘導体、当該化合物を含む組成物、およびそれらの使用を提供する。
【0011】
これに関して、本発明は、以下の技術構成を採用する。
【0012】
一態様において、本発明は、式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を提供する。
【化1】
ただし、
・環Aおよび環Bは、芳香族縮合環を形成し;
・Aは、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・Aは、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各RおよびRは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
・AおよびAは、それぞれ独立して、C原子またはN原子から選択され;
・AおよびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・AおよびAは、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、-OC3-7シクロアルキル、または-L-Rからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
ここで、Lは、結合、OまたはNHから選択され;Rは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
・B、B、BおよびBは、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択され;
・LおよびLは、それぞれ独立して、結合、NH、CH、CHDまたはCDから選択され;
・環Cは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;
ここで、各RおよびRb’は、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR基または2つのRb’基は、共に、1つまたは複数のRで置換されていてもよい、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;
各RおよびRは、それぞれ独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはRおよびRは、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
各Rは、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR基は、共に、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;ここで、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
各RおよびRは、それぞれ独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはRおよびRは、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、RおよびRの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい。
【0013】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、治療有効量で提供される。特定の実施形態において、本発明の化合物は、予防有効量で提供される。
【0014】
別の態様において、本発明は、プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための医薬品の調製における、本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、被験者に本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは本発明の医薬組成物を投与することを含む、被験者における疾患(例えば、プロテインキナーゼによって媒介される疾患)を治療する方法を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、疾患(例えば、プロテインキナーゼによって媒介される疾患)を治療するための本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは本発明の医薬組成物を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、前記の疾患は、野生型または変異体のRET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFRまたはVEGFRのうちの少なくとも1つによって媒介される。特定の実施形態では、前記の変異体RET、KIF5B-RETおよびCCDC6-RETは、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C,Y806E、C634YまたはC634Wから選択される。特定の実施形態では、前記のTrkキナーゼは、TrkA、TrkBまたはTrkCから選択される。特定の実施形態では、前記の変異体TrkAは、G595Rである。特定の実施形態では、前記の変異体FLT3は、F691L、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、Y842C、Y842D、Y842H、Y842NまたはY842Sから選択される。特定の実施形態では、前記の変異体FLT3は、FLT3-ITD変異である。特定の実施形態では、前記の変異体c-Kitは、D816V、D816Y、D816F、D816K、D816AまたはD816Gから選択される。特定の実施形態では、前記の変異体PDGFRはD842Vである。
【0018】
本発明の他の目的および利点は、以下の特定の実施形態、実施例および特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう
【0019】
定義
化学定義
以下、具体的な官能基と化学用語の定義についてより詳細に説明する。
【0020】
数値範囲が挙げられる場合、その範囲内の各値および部分範囲を含む。例えば、「C1-6アルキル基」は、C、C、C、C、C、C、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、C5-6アルキル基を含む。
【0021】
「C1-6アルキル基」とは、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素基を指し、本明細書中では「低級アルキル基」とも称される。一部の実施形態において、C1-4アルキル基は特に好ましい。前記のアルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、iso-ブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブタニル(C)、第3級アミル(C)、およびn-ヘキシル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルキル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0022】
「C2-6アルケニル基」とは、2~6個の炭素原子と1個以上の炭素-炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。1個以上の炭素-炭素二重結合は、内部に存在し得る(例えば、2-ブテニル)か、または末端に存在し得る(例えば、1-ブテニル)。一部の実施形態において、C2-4アルケニル基は特に好ましい。前記のアルケニル基の例として、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルケニル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0023】
「C2-6アルキニル基」とは、2~6個の炭素原子、1個以上の炭素-炭素三重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素三重結合)、および必要に応じて、1個以上の炭素-炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。一部の実施形態において、C2-4アルキニル基は特に好ましい。一部の実施形態において、アルキニル基は、二重結合を全く含まない。1個以上の炭素-炭素三重結合は、内部に存在し得る(例えば、2-ブチニル)か、または末端に存在し得る(例えば、1-ブチニル)。前記のアルキニル基の例として、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルキニル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0024】
「C1-6アルコキシ」とは、-OR基を指し、ここで、Rは、置換もしくは非置換C1-6アルキル基である。一部の実施形態において、C1-4アルコキシは特に好ましい。具体的に、前記のアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、および1,2-ジメチルブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)を指す。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、F、-ClまたはBrである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、FまたはClである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、Fである。
【0026】
したがって、「C1-6ハロアルキル」と「C1-6ハロアルコキシ」とは、1個以上のハロゲン基に置換された前記の「C1-6アルキル」と「C1-6アルコキシ」を指す。一部の実施形態において、C1-4ハロアルキルは特に好ましく、C1-2ハロアルキルがより好ましい。一部の実施形態において、C1-4ハロアルコキシ基は特に好ましく、C1-2ハロアルコキシ基がより好ましい。例示的な前記のハロアルキル基として、-CF、-CHF、-CHF、-CHFCHF、-CHCHF、-CFCF、-CCl、-CHCl、-CHCl、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチル-エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な前記のハロアルコキシ基として、-OCHF、-OCHF、-OCFなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「C3-10シクロアルキル基」とは、3~10個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を持つ非芳香族環式炭化水素基を指す。一部の実施形態において、C3-7シクロアルキル基が好ましく、C3-6シクロアルキル基は特に好まく、C5-6シクロアルキル基が更に好ましい。シクロアルキル基には、さらに、前記シクロアルキル環が1個以上のアリール基或はヘテロアリール基と縮合した環系を含み、ここで、連結点はシクロアルキル環に位置し、また、このような場合、炭素数は依然としてシクロアルキル系中の炭素数を示す。例示的な前記のシクロアルキル基として、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)、シクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフチル(C10)、スピロ[4.5]デシル(C10)などが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各シクロアルキルは、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0028】
「3~10員ヘテロシクリル」とは、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員の非芳香環系の基を指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロシクリルにおいて、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する3~7員非芳香環系である3~7員ヘテロシクリルが好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する3~6員非芳香環系である3~6員ヘテロシクリルは特に好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香環系である5~6員ヘテロシクリルがより好ましい。さらに、ヘテロシクリル基は、前記ヘテロシクリル基環と1つ以上のシクロアルキル基、アリール基或はヘテロアリール基と縮合した環系を含み、その中、連結点はヘテロシクリル環上に位置する。且つ、このような情況で、環員数は、依然としてヘテロシクリル基の環の員数を示す。ヘテロシクリル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各ヘテロシクリルは、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0029】
1個のヘテロ原子を含む例示的な3員ヘテロシクリルの例として、アジリジニル、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられるが、それらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な4員ヘテロシクリルの例として、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクリルの例として、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル-2,5-ジオンが挙げられるが、それに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクリルの例として、ジオキソラニル、オキサスルフラニル(oxasulfuranyl)、ジスルフラニル(disulfuranyl)、オキサゾリジン-2-オンが挙げられるが、これらには限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクリルの例として、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクリルの例として、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニル(thianyl)が挙げられるが、それらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクリルの例として、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、それらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクリルの例として、トリアジナニル(triazinanyl)が挙げられるが、それに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロシクリルの例として、アゼパニル、オキセパニル、チエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な8員ヘテロシクリルの例として、アゾカニル(azocanyl)、オキセカニル(oxecanyl)、チオカニル(thiocanyl)が挙げられるが、これらに限定されない。Cアリール環に縮合された例示的な5員ヘテロシクリル(本明細書では、5,6-二環式ヘテロシクリルとも称される)として、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Cアリール環に縮合された例示的な6員ヘテロシクリル(本明細書では、6,6-二環式ヘテロシクリルとも称される)として、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0030】
「C6-14アリール基」とは、6~14個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6、10または14個のπ電子を有する)の基を指す。一部の実施形態において、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール基」;例えば、フェニル)。一部の実施形態において、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール基」;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)。一部の実施形態において、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール基」;例えば、アントリル)。一部の実施形態において、「C6-10アリール基」は特に好ましく、Cアリール基がより好ましい。アリール基は、上記のアリール環が1つ以上のシクロアルキル基またはヘテロシクリル基と縮合した環系も含み、且つ結合点は、上記のアリール環上に存在し、このような場合、炭素原子の数は、依然として上記のアリール環系内の炭素原子の数を示す。アリール基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アリール基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0031】
「5~10員ヘテロアリール基」とは、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員の単環式または二環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列で共有される6または10個のπ電子を有する)の基を指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロアリール基において、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環式環系は、一方または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリール基は、上記のヘテロアリール環が1つ以上のシクロアルキル基またはヘテロシクリルと縮合した環系を含み、ここで、結合点は、上記のヘテロアリール環上に存在し、このような場合、環員数は、引き続きヘテロアリール環系内の環の員数を示す。一部の実施形態において、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員の単環式または二環式の4n+2芳香環系である5~5員ヘテロアリール基は特に好ましい。ヘテロアリール基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各ヘテロアリール基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0032】
1個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。4個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、テトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。3または4個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、それぞれトリアジニルおよびテトラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロアリール基として、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基として、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基として、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
例示的な炭素原子置換基としては、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(Rbb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa、-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)aa、-OP(=O)aa、-P(=O)(Raa、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)N(Rbb、-OP(=O)N(Rbb、-P(=O)(NRbb、-OP(=O)(NRbb、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(NRbb、-P(Rcc、-P(Rcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0034】
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素は、=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbbもしくは=NORcc基で置換され;
【0035】
各Raaは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRaa基が連結して、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0036】
各Rbbは、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRbb基が連結して、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0037】
各Rccは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRcc基が連結して、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0038】
各Rddは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)ee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換されてもよく、または2つのジェミナルRdd置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成してもよく;
【0039】
各Reeは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、アリール、ヘテロシクリル基、およびヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換され;
【0040】
各Rffは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRff基が連結して、ヘテロシクリル基またはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換され;
【0041】
各Rggは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1-6アルキル基、-ON(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基) 、-NH(C1-6アルキル基) 、-NH(C1-6アルキル基)、-NH 、-N(OC1-6アルキル基)(C1-6アルキル基)、-N(OH)(C1-6アルキル基)、-NH(OH)、-SH、-SC1-6アルキル基、-SS(C1-6アルキル基)、-C(=O)(C1-6アルキル基)、-COH、-CO(C1-6アルキル基)、-OC(=O)(C1-6アルキル基)、-OCO(C1-6アルキル基)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1-6アルキル基)、-OC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基)C(=O)(C1-6アルキル基)、-NHCO(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1-6アルキル基)、-OC(=NH)(C1-6アルキル基)、-OC(=NH)OC1-6アルキル基、-C(=NH)N(C1-6アルキル基)、-C(=NH)NH(C1-6アルキル基)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1-6アルキル基)、-OC(NH)NH(C1-6アルキル基)、-OC(NH)NH、-NHC(NH)N(C1-6アルキル基)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1-6アルキル基)、-SON(C1-6アルキル基)、-SONH(C1-6アルキル基)、-SONH、-SO1-6アルキル基、-SOOC1-6アルキル基、-OSO1-6アルキル基、-SOC1-6アルキル基、-Si(C1-6アルキル基)、-OSi(C1-6アルキル基)、-C(=S)N(C1-6アルキル基)、C(=S)NH(C1-6アルキル基)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1-6アルキル基)、-C(=S)SC1-6アルキル基、-SC(=S)SC1-6アルキル基、-P(=O)(C1-6アルキル基)、-P(=O)(C1-6アルキル基)、-OP(=O)(C1-6アルキル基)、-OP(=O)(OC1-6アルキル基)、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、C-C炭素環基、C-C10アリール基、C-Cヘテロシクリル基、C-C10ヘテロアリール基であるか;または2つのジェミナルRgg置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成してもよく;、ここで、Xは、対イオンである。
【0042】
例示的な窒素原子上の置換基としては、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されないか、または窒素原子に結合した2つのRcc基は、連結して、ヘテロシクリル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクリル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され、ここで、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上記の通りである。
【0043】
「重水素化」または「D化」とは、化合物または基における1つまたは複数の水素が重水素で置換されていることを意味する。「重水素化」は、重水素によって一置換、二置換、多置換、または完全に置換されていてもよい。「1つ以上の重水素で置換された」および「重水素で1回以上置換された」という用語は互換的に使用できる。
【0044】
「非重水素化化合物」とは、重水素原子の割合が天然重水素同位体含有量(0.015%)を超えない化合物である。
【0045】
重水素は、重水素に置換された位置における重水素同位体含有量が、少なくとも天然重水素同位体含有量である0.015%より多く、好ましくは30%超、より好ましくは50%超、さらにより好ましくは75%超、さらにより好ましくは95%超、さらにより好ましくは99%超である。
【0046】
用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該分野において周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、適切な無機および有機の酸と無機および有機の塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)と形成された塩、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成された塩を含む。また、例えば、イオン交換などの当該分野における慣用の方法で形成された塩も含む。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩などが挙げられる。他の薬学的に許容される塩は、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンと形成された、無毒のアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、およびアミン陽イオンを含む。
【0047】
「活性代謝物」とは、式(I)で表われる化合物またはその塩がインビボで代謝することで得られる薬理学的活性生成物を指す。化合物のプロドラッグおよび活性代謝物は、当分野で公知または利用可能な従来の技術を使用して決定することができる。
【0048】
投与される「被験者」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群、例えば、小児被験者(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験者(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人)の男性または女性)および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、被験者は、ヒトである。一部の実施形態において、被験者は、非ヒト動物である。「ヒト」、「患者」および「被験者」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0049】
「疾患」、「障害」および「病状」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0050】
他に特定されない限り、本明細書中で使用される用語「治療」は、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患している間に行われ、その疾患、障害または病状の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または病状の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療性治療」)を想定し、そしてまた、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患し始める前に行われる行為(「予防性治療」)を想定する。
【0051】
「組み合わせ」及び関連用語は、本発明の治療剤を同時に又は順次に投与することを意味する。例えば、本発明の化合物は、別々の単位製剤で他の治療剤と同時に又は順次に投与したり、単一の単位製剤で他の治療剤と同時に投与したりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
化合物
本明細書において、「本発明の化合物」とは、以下の式(I)で表われる化合物(各式のサブセットを含む)、或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を指す。
【0053】
一実施形態において、本発明は、式(I)で表れる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化2】
ただし、
・環Aと環Bは、芳香族縮合環を形成し;
・Aは、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・Aは、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各RおよびRは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
・AおよびAは、それぞれ独立して、C原子またはN原子から選択され;
・AおよびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・AおよびAは、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、-OC3-7シクロアルキル、または-L-Rからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
ここで、Lは、結合、OまたはNHから選択され;Rは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
・B、B、BおよびBは、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択され;
・LおよびLは、それぞれ独立して、結合、NH、CH、CHDまたはCDから選択され;
・環Cは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;
ここで、各RおよびRb’は、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR基または2つのRb’基は、共に、1つまたは複数のRで置換されていてもよい、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;
各RおよびRは、それぞれ独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはRおよびRは、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;
各Rは、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR基は、共に、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;ここで、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
各RおよびRは、それぞれ独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはRおよびRは、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、RおよびRの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい。
【0054】
、A、A、A、A、A、AおよびA
一実施形態において、AはNRから選択され;別の実施形態において、AはCRから選択される。別の実施形態において、AはCHである。
【0055】
一実施形態において、
【化3】
は、
【化4】
から選択され;
【0056】
別の実施形態において、
【化5】
は、
【化6】
【化7】
からなる群から選択され;
【0057】
別の実施形態において、
【化8】
は、
【化9】
【化10】
からなる群から選択され;
【0058】
別の実施形態において、
【化11】
は、
【化12】
からなる群から選択される。
【0059】
別の実施形態において、
【化13】
は、
【化14】
【化15】
からなる群から選択され;
【0060】
別の実施形態において、
【化16】
は、
【化17】
【化18】
からなる群から選択され;
【0061】
別の実施形態において、
【化19】
は、
【化20】
からなる群から選択される。
【0062】
一実施形態において、
【化21】
は、
【化22】
からなる群から選択され;
【0063】
別の実施形態において、
【化23】
は、
【化24】
【化25】
【化26】
からなる群から選択され;
【0064】
別の実施形態において、
【化27】
は、
【化28】
【化29】
からなる群から選択される。
【0065】
、B、BおよびB
一実施形態において、B、B、BおよびBは、それぞれ独立してCRまたはNから選択され;別の実施形態において、B、B、BおよびBはCRから選択され;別の実施形態において、B、BおよびBはCRから選択され、且つBはNから選択され;別の実施形態において、BおよびBはCRから選択され、且つBおよびBはNである。
【0066】
一実施形態において、
【化30】
は、
【化31】
からなる群から選択される。
【0067】

一実施形態において、Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、または-OC(O)NRからなる群から選択され;別の実施形態において、Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、CN、またはC1-6アルキルから選択され;別の実施形態において、Rは、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、CN、メチルまたは-CDから選択され;別の実施形態において、Rは、それぞれ独立して、HまたはFから選択され;別の実施形態において、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい。
【0068】
R、R’、LおよびR
一実施形態において、各RおよびR’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-CN、C1-6アルキル、または-L-Rからなる群から選択され;別の実施形態において、各Rは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、またはC1-6アルキルからなる群から選択され;別の実施形態において、各R’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-6アルキル、または-L-Rからなる群から選択され;別の実施形態において、各R’は、それぞれ独立してHまたは-L-Rから選択される。
【0069】
RおよびR’の特定の実施形態において、Lは結合であり;RおよびR’の別の実施形態において、LはNHである。
【0070】
RおよびR’の特定の実施形態において、Rは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;別の実施形態において、Rは、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、またはイソチアゾリルからなる群から選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;別の実施形態において、Rは、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、またはイソキサゾリルからなる群から選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよく;別の実施形態において、Rはピラゾリルであり、ここで、上記の基が1つまたは複数のRで置換されていてもよい。
【0071】
一実施形態において、Rは、
【化32】
【化33】
からなる群から選択され;
【0072】
別の実施形態において、Rは、
【化34】
からなる群から選択され;
【0073】
別の実施形態において、Rは、
【化35】
からなる群から選択される。
【0074】

一実施形態において、各Rは、それぞれ独立して、HまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルがハロゲン、-OH、-NH、-N(C1-6アルキル)、C1-6アルコキシル、C3-7シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクリルで置換されていてもよく;別の実施形態において、各Rは、それぞれ独立して、HまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルが、ハロゲン、-OH、-NH、-N(C1-6アルキル)、またはC1-6アルコキシルから選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;別の実施形態において、各Rは、それぞれ独立して、H、メチル、イソプロピル、-CHCHOH、-CHCHCHOH、-CHCHOCH、-CHCHCHOCH、-CHCHN(CH或-CHCHCHN(CHからなる群から選択され;別の実施形態において、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい。
【0075】
環C
一実施形態において、環Cは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記のフェニルおよび5~6員ヘテロアリールが、1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;別の実施形態において、環Cは、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、またはイソチアゾリルからなる群から選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;別の実施形態において、環Cは、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、またはイソキサゾリルからなる群から選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;別の実施形態において、環Cは、フェニル、ピリジル、オキサゾリル、またはイソキサゾリルからなる群から選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のRb’で置換されていてもよく;
【0076】
別の実施形態において、環Cは、
【化36】
【化37】
からなる群から選択され;
【0077】
別の実施形態において、環Cは、
【化38】
【化39】
からなる群から選択され;
【0078】
別の実施形態において、環Cは、
【化40】
からなる群から選択され;
ここで、nは0、1、2または3から選択される。
【0079】
b’
一実施形態において、各Rb’は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C6-10アリールまたは5~10員ヘテロアリールが、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシル、C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)、-OC(O)C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)C(O)C1-6アルキル、または-N(C1-6アルキル)C(O)OC1-6アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;別の実施形態において、各Rb’は、それぞれ独立して、HまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルが、ハロゲンまたはC1-6ハロアルキルから選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;別の実施形態において、各Rb’は、それぞれ独立して、F、-CH(CH、-C(CHCHOH、-CF、-C(CH、-CF(CH)、-C(CH)(CHF)、-C(CHCF、-C(CFCH、-C(CHCHF、-CF(CH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
【化41】
【化42】
からなる群から選択され;別の実施形態において、各Rb’は、それぞれ独立して、F、-CF、-C(CH、-C(CHCF、または-C(CFCHからなる群から選択され;別の実施形態において、Rb’の定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい。
【0080】
およびL
一実施形態において、LおよびLは、それぞれ独立して、結合、NH、CH、CHDまたはCDからなる群から選択され;別の実施形態において、Lは結合であり;別の実施形態において、LはNHであり;別の実施形態において、LはCHであり;別の実施形態において、LはCHDであり;別の実施形態において、LはCDであり;別の実施形態において、Lは結合であり;別の実施形態において、LはNHであり;別の実施形態において、LはCHであり;別の実施形態において、LはCHDであり;別の実施形態において、LはCDである。
【0081】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物に関する。
【化43】
【化44】
ここで、
およびVは、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
およびVは、それぞれ独立して、CRb’またはNから選択され;
他のパラメータは上記のように定義される。
【0082】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化45】
およびAは、それぞれ独立して、C原子またはN原子から選択され、且つ1つのC原子および1つのN原子が含まれ;
およびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびAは、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L-Rから選択され;
ここで、AおよびAのうちの1つは、-L-Rで置換され;
ここで、Lは、結合、OまたはNHから選択され;Rは、
【化46】
であり、ここで、*はLへの接続位置を示し;
およびBは、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される。
【0083】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化47】
ここで、
およびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびAは、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L-Rから選択され;
且つA、AおよびAのうちの少なくとも1つがNであり、AおよびAのうちの1つが-L-Rで置換され;
ここで、Lは、結合、OまたはNHから選択され;R
【化48】
であり、ここで、*はLへの接続位置を示し;
およびBは、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される。
【0084】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化49】
ここで、
およびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
は、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
且つA、AおよびAのうちの少なくとも1つがNであり;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される。
【0085】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化50】
ここで、
およびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;且つAおよびAの少なくとも1つはN原子であり;
およびBは、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
好ましくは、BおよびBの両方がCRである。
【0086】
別の実施形態において、本発明は以下の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物に関する。
【化51】
ここで、
およびAは、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
は、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびBは、それぞれ独立して、CRまたはNから選択され;
ここで、各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各Rは、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
好ましくは、A、AおよびAの少なくとも1つがN原子であり;より好ましくは、AがN原子である。
【0087】
より具体的な実施形態において、本発明は以下の化合物に関する。
【化52】
【0088】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得るので、様々な立体異性体、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーとして存在し得る。例えば、本発明の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)の形態であり得るか、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物、および1つ以上の立体異性体に富んだ混合物を含む)の形態であり得る。異性体は、当業者に公知の方法(キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む)によって混合物から単離されるか;またが好ましい異性体が、不斉合成によって調製される。
【0089】
「互変異性体」とは、化合物中の1つの官能基がその構造を別の官能基に変化させる異性体を指し、化合物と異性体が互いに迅速に変換することができるため、動的平衡になる。このような2つの異性体は互変異性体と呼ばれる。
【0090】
当業者は、有機化合物が、溶媒中で反応するか、または溶媒から沈殿あるいは結晶化して、当該溶媒と複合体を形成し得ることを理解できる。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
【0091】
「溶媒和物」という用語とは、一般的に、加溶媒分解反応により形成された、溶媒と組み合わせた化合物またはその塩の形態を指す。この物理的な会合は、水素結合が含まれる。通常の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが含まれる。本発明の化合物は、例えば結晶として調製され、且つ溶媒和されることができる。適切な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。特定の実施形態において、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、前記の溶媒和物が単離される。「溶媒和物」は、溶液状態の溶媒和物と分離可能な溶媒和物が含まれる。代表的な溶媒和物として、水和物、エタノレート、およびメタノレートが挙げられる。
【0092】
「水和物」という用語は、水と組み合わせた化合物を指す。通常、化合物の水和物に含まれる水分子数の、該水和物中の該化合物分子数に対する比率は、一定である。したがって、化合物の水和物は、たとえば、一般式ROで表れる。、ここで、Rは該化合物であり、xは0より大きい数である。所定の化合物は、複数のタイプの水和物を形成する可能性がある。例えば、一水和物(xは1)、低次水和物(xは0より大きく1より小さい数、例えば、半水和物(R0.5O))、および多水和物(xは1より大きい数、例えば、二水和物(RO)および六水和物(RO))が挙げられる。
【0093】
本発明の化合物は、非晶質または結晶質(結晶体または結晶多形)のいずれでもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶として存在してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての非晶質または結晶質をその範囲に含む。「結晶多形」という用語とは、特定の結晶が堆積して並んだ化合物の結晶体(あるいはその塩、水和物または溶媒和物)を指す。すべての多形体は同じ元素組成を有する。異なる結晶体は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光電特性、安定性、および溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の要因により、優勢な結晶体が生じる可能性がある。化合物の様々な多形体は、異なる条件下で結晶化することによって調製できる。
【0094】
また、本発明には、式(I)に記載されたものと同等の同位体標識化合物を含むが、1つ以上の原子は、原子質量または質量数が天然に典型的に見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換された。本発明の化合物に導入できる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げる。上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内に含まれる。放射性同位体(例えばHおよび14C)を導入したものなどの一部の同位体標識された本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分布に関する測定に用いられる。トリチウム(即ち、H)と炭素-14(即ち、14C)の同位体は、その製造と検出が容易であるため特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHのようなより重い同位体での置換は、代謝安定性に優れているため、治療で利点がある。例えば、インビボでの半減期の延長や投与量の削減ができるので、状況に応じて優先に考えられることがある。通常、同位体標識された本発明の式(I)の化合物およびそのプロドラッグは、以下のスキームおよび/または実施例および調製例で開示されるプロセスが行われる場合、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより調製することができる。
【0095】
さらに、プロドラッグも本発明の明細書に含まれる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで、例えば血液中での加水分解によって医学的な効果を有する活性形態に変換される化合物を指す。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S.Symposium SeriesのVol.14,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987、ならびにD.Fleisher、S.RamonおよびH.Barbra“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”,Advanced Drug Delivery Reviews(1996)19(2)115-130に記載されたが、それらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【0096】
プロドラッグは、患者に投与されると、インビボで母体化合物を放出する、任意の共有結合の本発明の化合物である。プロドラッグは、典型的には、通常の操作またはインビボで切断されて母体化合物を生じることができるように官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、例えば、水酸基、アミノ基またはメルカプト基が任意の基に結合している本発明の化合物が含まれ、それらを患者に投与すると、切断されて、水酸基、アミノ基またはメルカプト基を形成することができる。したがって、プロドラッグの代表例としては、式(I)で表される化合物の水酸基、アミノ基またはメルカプト基とのアセテート/アセトアミド、ホルメート/ホルムアミドおよびベンゾエート/ベンズアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、カルボン酸(-COOH)の場合は、メチルエステル、エチルエステル等のエステルを用いることができる。エステル自体は活性を有してもよく、および/またはヒトの体内の条件下で加水分解されてもよい。適切な薬学的に許容されるインビボで加水分解可能なエステル基には、人体中で容易に分解して母体酸またはその塩を放出する基が含まれる。
【0097】
医薬組成物、製剤およびキット
他の様態では、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、予防有効量の活性成分を含む。
【0098】
本発明の薬学的に許容される賦形剤とは、配合される化合物の薬理学的活性を無効にしない非毒性担体、アジュバントまたは媒体を指す。本発明の組成物で使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明は、キット(例えば、医薬パック)も含む。提供されるキットは、本発明の化合物、ほかの治療剤、ならびに本発明の化合物、他の治療剤を含有する第1および第2の容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散パッケージ、あるいは他の適切な容器)を含む。一部の実施形態において、提供されるキットは、また、本発明の化合物および/または他の治療薬を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第3の容器も有しても良い。一部の実施形態において、第1の容器および第2の容器内の本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて単位製剤を形成して提供する。
【0100】
本発明によって提供される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔投与、口腔投与、膣内投与、インプラントによる投与または他の投与方法などの様々な方式によって投与することができるが、これらに限定されない。例えば、本発明で用いた非経口投与には、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑膜腔内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内の注射や輸液技術がある。
【0101】
通常、有効量で本発明によって提供される化合物を投与する。治療される病状、選択される投与方式、実際に投与される化合物、患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む状況に応じて、実際に投与される化合物の量は医師によって決定される。
【0102】
本明細書に記載した病状を予防するために使用される場合、本発明によって提供される化合物は、前記の病状を発症するリスクのある被験者に投与され、典型的には、医師の推奨に基づいて上記の用量レベルで投与される。特定の病状を発症するリスクのある被験者には、典型的には、前記の病状の家族歴史を有する被験者、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって前記の病状を発症しやすい被験者が含まれる。
【0103】
本発明によって提供される医薬組成物(「長期投与」)は長期的に投与することもできる。長期投与とは、例えば3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって化合物またはその医薬組成物を投与できるか、または、例えば被験者の余生において無期限に連続的に投与できることを指す。たとえば、一部の実施形態において、長期投与は、例えば治療ウィンドウ内で、長期間にわたって血液中に一定レベルの前記の化合物を提供することを意図している。
【0104】
本発明の医薬組成物は、様々な投与方式を用いてさらに送達することができる。例えば、一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度を有効レベルまで速く増加させるために、ボーラス注射によって投与することができる。ボーラス用量の配置は、活性成分の目的の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学的組成物は、連続注入として、例えば、IV滴注によって投与されて、被験者の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供し得る。
【0105】
経口投与用の組成物は、バルクの液体の溶液もしくは懸濁液またはバルクの粉末の形態をとり得る。しかしながら、一般的に、組成物を、精確な投薬量で投与できるために、単位投与量で提供される。用語「単位製剤」とは、ヒト被験者および他の哺乳動物に対する単位投与量として好適な物理的に不連続の単位を指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤とともに所望の治療効果をもたらすと計算される所定量の活性な材料を含む。典型的な単位製剤としては、液体組成物の予め測定され予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物では、化合物は、通常、少量の成分(約0.1~約50重量%またが好ましくは約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々な担体または賦形剤および加工助剤である。
【0106】
経口投与の場合、1日あたり1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを使用するとき、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、好ましい用量は、それぞれ約0.1~約10mg/kg、特に、約1~約5mg/kgを提供する。
【0107】
経皮用量は一般に、注射用量を使用して達成されるレベルと類似であるかまたはより低い血液中レベルを提供するように選択され、一般に、約0.01重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%~約15重量%の範囲の量である。
【0108】
注射剤の用量レベルは、約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲であり、すべて約1~約120時間、特に、24~96時間にわたる。約0.1mg/kg~約10mg/kgまたはそれ以上の前負荷ボーラス(preloading bolus)も、適切な定常状態レベルを達成するために投与されてもよい。最大総用量は、40~80kgのヒト患者にとって約2g/日を越えない。
【0109】
経口投与に適した液体の形態は、緩衝剤、懸濁剤および分散剤(dispensing agents)、着色剤、香料などを含む好適な水性または非水性のビヒクルを含み得る。固体の形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)。
【0110】
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌された食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水または当該分野で公知の他の注射可能な賦形剤に基づくものである。従来どおり、そのような組成物における活性な化合物は、典型的には、しばしば約0.05~10重量%である微量の成分であり、残りは、注射可能な賦形剤などである。
【0111】
経皮の組成物は、典型的には、活性成分(単数または複数)を含む局所用軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化されるとき、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混合性軟膏基剤と混合される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤を含む、クリームとして製剤化され得る。そのような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力または安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような既知の経皮の製剤および成分のすべてが、本発明に提供される範囲内に含まれる。
【0112】
本発明の化合物は、経皮的デバイスによっても投与され得る。従って、経皮的投与は、レザバー(reservoir)タイプもしくは多孔質膜タイプまたは固体マトリックス種類のパッチを用いて達成され得る。
【0113】
経口的に投与可能な、注射可能な、または局所的に投与可能な組成物において、上に記載された構成要素は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart8(参照により本明細書中に援用される)に示されている。
【0114】
本発明の化合物はまた、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0115】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される製剤にも関する。1つの実施形態において、その製剤は、水を含む。別の実施形態において、その製剤は、シクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、連結される糖部分上に必要に応じて1つ以上の置換基(それらとしては、メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化およびスルホアルキルエーテル置換が挙げられるが、これらに限定されない)を含む、それぞれ6、7および8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-およびγ-シクロデキストリンである。ある具体的な実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリン、例えば、Captisolとしても知られるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。例えば、米国特許第5,376,645号を参照する。一部の実施形態において、上記製剤は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、水において10~50%)を含む。
【0116】
適応症
本発明は、RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFR、およびVEGFRキナーゼのうちの1つ以上(野生型および/または変異体RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFR、およびVEGFRキナーゼのうちの1つまたは複数を含む)によって調節されるか、または他の方式で影響される疾患または障害、またはそれらの1つ以上の症状または病因を治療、予防または改善する方法を提供する。
【0117】
本発明は、本発明の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは本発明の医薬組成物を被験者に投与することを含む、被験者におけるプロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療する方法を提供する。
【0118】
本発明において、「野生型」という用語は、生物に見られる最も一般的な遺伝子または対立遺伝子を指す。一部の特定の実施形態において、「野生型」とは、突然変異を有さない遺伝子または対立遺伝子を指す。
【0119】
本発明において、「癌」という用語は、制御されない方式で増殖し、場合によっては転移する細胞の異常な成長を指す。癌の種類としては、例えば、膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫)または血液腫瘍(白血病など)などの癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
RET
一実施形態において、本発明の化合物は、RETキナーゼの阻害剤であり、野生型RETおよびRETキナーゼドメイン変異体の1つ以上によって調節されるか、または影響される疾患または障害、またはそれらの1つ以上の症状または病因を治療、予防または改善するために使用することができる。そのような疾患または障害としては、キナーゼの様々な活性(二量体化、リガンド結合、およびホスホトランスフェラーゼ活性を含む)またはキナーゼの発現を調節することによって治療、予防または制御することができる増殖性疾患(例えば、血液癌および固形腫瘍を含む癌)および胃腸疾患(IBS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本発明において、「RETキナーゼドメイン変異」という用語は、RETキナーゼドメインの1つまたは複数の変異、あるいは1つまたは複数の上記の変異を含むRET(タンパク質自体が「RETキナーゼドメイン変異体」になる)を指す。RETキナーゼドメインにおける変異は、挿入、欠失、または点突然変異であってもよい。一実施形態において、RETキナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の特定の実施形態において、RETキナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の特定の実施形態において、RETキナーゼドメインの点突然変異は、S32L、D34S、L40P、P64L、R67H、R114H、V145G、V292M、G321R、R330Q、T338I、R360W、F393L、A510V、E511K、C515S、C531R、G533C、G533S、G550E、V591I、G593E、I602V、R600Q、K603Q、K603E、Y606C、C609Y、C609S、C609G、C609R、C609F、C609W、C611R、C611S、C611G、C611Y、C611F、C611W、C618S、C618Y、C618R、C618Y、C618G、C618F、C618W、F619F、C620S、C620W、C620R、C620G、C620L、C620Y、C620F、E623K、D624N、C630A、C630R、C630S、C630Y、C630F、D631N、D631Y、D631A、D631G、D631V、D631E、E632K、E632G、C634W、C634Y、C634S、C634R、C634F、C634G、C634L、C634A、C634T、R635G、T636P、T636M、A640G、A641S、A641T、V648I、S649L、A664D、H665Q、K666E、K666M、K666N、S686N、G691S、R694Q、M700L、V706M、V706A、E713K、G736R、G748C、A750P、S765P、P766S、P766M、E768Q、E768D、L769L、R770Q、D771N、N777S、V778I、Q781R、L790F、Y791F、V804L、V804M、V804E、E805K、Y806E、Y806F、Y806S、Y806G、Y806C、E818K、S819I、G823E、Y826M、R833C、P841L、P841P、E843D、R844W、R844Q、R844L、M848T、I852M、A866W、R873W、A876V、L881V、A883F、A883S、A883T、E884K、R886W、S891A、R897Q、D898V、E901K、S904F、S904C、K907E、K907M、R908K、G911D、R912P、R912Q、M918T、M918V、M918L、A919V、E921K、S922P、S922Y、T930M、F961L、R972G、R982C、M1009V、D1017N、V1041GまたはM1064Tからなる群から選択される。別の特定の実施形態において、RETキナーゼドメインの点突然変異は、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C,Y806E、C634YまたはC634Wからなる群から選択される。別の実施形態において、RETキナーゼドメインの変異は、RET遺伝子融合体をさらに含む。別の実施形態において、RET遺伝子融合体は、BCR-RET、CLIP1-RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、NCOA-RET、TRIM33-RET、ERC1-RET、ELKS-RET、RET-ELKS、FGFROP-RET、RET-MBD1、RET-RAB61P2、RET-PCM1、RET-PPKARA、RET-TRIM24、RET-RFG9、RFP-RET、RET-GOLGA、HOOK3-RET、KTN1-RET、TRIM27-RET、AKAP13-RET、FKBP15-RET、SPECC1L-RET、TBL1XR/RET、CEP55-RET、CUX1-RET、KIAA468-RET、PPKARA-RET、RFG8/RET、RET/RFG8、H4-RET、ACBD5-RET、PTCex9-RET、MYH13-RET、PIBF1-RET、KIAA217-RETまたはMPRIP-RETからなる群から選択され;別の実施形態において、前記のRET遺伝子融合体は、KIF5B-RETまたはCCDC6-RETから選択され;別の実施形態において、KIF5B-RETおよびCCDC6-RETキナーゼドメインにおける点突然変異は、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C、Y806E、C634YまたはC634Wからなる群から選択される。
【0122】
TRK
一実施形態において、本発明の化合物は、Trkキナーゼの阻害剤であり、野生型TrkおよびTrkキナーゼドメイン変異体の1つ以上によって調節されるか、または影響される疾患または障害、またはそれらの1つ以上の症状または病因を治療、予防または改善するために使用することができる。そのような疾患または障害としては、キナーゼの様々な活性(二量体化、リガンド結合、およびホスホトランスフェラーゼ活性を含む)またはキナーゼの発現を調節することによって治療、予防または制御することができる増殖性疾患(例えば、血液癌および固形腫瘍を含む癌)、疼痛、炎症、および特定の感染症が挙げられるが、これらに限定されない。増殖状態キナーゼの様々な活性を調節することによって、またはキナーゼの発現を調節することによって治療、予防または制御することができる特定の感染症が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記の癌は、非小細胞肺癌、乳頭状甲状腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、大細胞神経内分泌癌、前立腺癌、結腸癌、急性骨髄性白血病、肉腫、小児神経膠腫、肝内胆管癌、毛細胞星状細胞腫、低悪性度神経膠腫、肺腺癌、唾液腺癌、分泌性乳癌、線維肉腫、腎腫および乳癌からなる群から選択される。
【0123】
一実施形態において、前記のTrkキナーゼは、TrkA、TrkBまたはTrkCから選択される。
【0124】
本発明において、「Trkキナーゼドメイン変異」という用語は、Trkキナーゼドメインの1つまたは複数の変異、あるいは1つまたは複数の上記の変異を含むTrk(タンパク質自体が「Trkキナーゼドメイン変異体」になる)を指す。Trkキナーゼドメインにおける変異は、挿入、欠失、または点突然変異であってもよい。一実施形態において、Trkキナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の特定の実施形態において、Trkキナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の特定の実施形態において、Trkキナーゼドメインにおける点突然変異はG595Rから選択される。
【0125】
FLT3
一実施形態において、本発明の化合物は、FLT3キナーゼの阻害剤であり、野生型FLT3、FLT3-ITDおよびFLT3キナーゼドメイン変異体の1つ以上によって調節されるか、または影響される疾患または障害、またはそれらの1つ以上の症状または病因を治療、予防または改善するために使用することができる。そのような疾患または障害としては、キナーゼの様々な活性(二量体化、リガンド結合、およびホスホトランスフェラーゼ活性を含む)またはキナーゼの発現を調節することによって治療、予防または制御することができる血液癌(急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および骨髄異形成症候群(MDS)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。このような方法は、治療有効量または予防有効量の本発明の化合物を、治療、予防または制御を必要とする被験者(例えばヒト)に投与することを含む。
【0126】
本発明において、「FLT3キナーゼドメイン変異」という用語は、FLT3キナーゼドメインの1つまたは複数の変異、あるいは1つまたは複数の上記の変異を含むFLT3(タンパク質自体が「FLT3キナーゼドメイン変異体」になる)を指す。FLT3キナーゼドメインにおける変異は、挿入、欠失、または点突然変異であってもよい。一実施形態において、FLT3キナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の特定の実施形態において、FLT3キナーゼドメインの変異は、キナーゼドメインにおける少なくとも1つの点突然変異を含む。別の実施形態において、FLT3キナーゼドメインにおける点突然変異は、E608、N676、F691、C828、D835、D839、N841、Y842またはM855にある。別の特定の実施形態において、FLT3キナーゼドメインにおける点突然変異は、位置E608K、N676D、N676I、N676S、F691I、F691L、C828S、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、D839G、D839H、N841C、Y842C、Y842H、Y842N、Y842SおよびM855Tからなる群から選択される。別の特定の実施形態において、「FLT3キナーゼドメイン変異」とは、位置F691、D835またはY842での点突然変異を指すか、或いはそれらの位置での少なくとも1つの点突然変異を含むFLT3を指す。別の実施形態において、「FLT3キナーゼドメイン変異」とは、F691L、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、Y842C、Y842H、Y842NおよびY842Sからなる群から選択される1つまたは複数の点突然変異を指すか、或いは少なくとも1つの前記の点突然変異を含むFLT3を指す。別の実施形態において、FLT3キナーゼドメイン変異は、1つまたは複数の他のFLT3-ITD変異をさらに含む。別の実施形態において、FLT3キナーゼドメイン変異は、1つまたは複数の他のFLT3-ITD変異をさらに含む。ただし、FLT3キナーゼドメイン変異が複数の点突然変異を含む場合、他の点突然変異または変異が同じFLT3受体に現れるか、或いは他の点突然変異または変異が別々の対立遺伝子または異なる純粋な白血病系統に現れる可能性がある。この場合、前記変異はポリクローナルである。
【0127】
FLT3の「膜近傍領域」または「膜近傍ドメイン」という用語は、膜貫通ヘリックスをチロシンキナーゼドメインに接続するFLT3の領域を指す。
【0128】
別の実施形態において、「野生型FLT3」とは、対立遺伝子変異体と、FLT3キナーゼドメイン変異およびFLT3-ITD変異以外の変異とを含む、FTL3遺伝子または対立遺伝子を指す。
【0129】
c-KIT
一実施形態において、本発明化合物は、c-Kitキナーゼの阻害剤であり、異常なc-KIT活性に関連する病状を治療するために使用することができる。c-KITにおける活性化変異は、全身性肥満細胞症、消化管間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋内胚細胞腫瘍、および縦隔B細胞リンパ腫を含む多くの適応症に存在する。
【0130】
別の実施形態において、本発明の化合物は、エクソン17における1つ以上のc-Kit変異(例えば、D816V、D816Y、D816F、D816K、D816A、D816G、D820A、D820E、D820G、N822K、N822H、Y823DおよびA829P)を治療するために使用でき、野生型c-Kitに対してはるかに低い活性を有する一方で、突然変異に対して活性を示す。
【0131】
本発明の治療方法において、「有効量」とは、前記の治療を必要とする個体において所望の治療効果を生み出すための十分な量または投与量を指す。本発明の化合物の有効量または投与量は、通常の方法(例えば、モデリング、用量漸増または臨床試験)および通常の要因(例えば、薬物送達のモードまたは経路、薬剤の薬物動態、感染の重症度とプロセス、個体の健康と体重、および主治医の判断)によって決定される。例示的な投与量は、1日あたり約0.1mg~1g、または1日あたり約1mg~50mg、または1日あたり約50mg~250mg、または1日あたり約250mg~1gの範囲である。総投与量は、単一または個別の投与単位(例えば、BID、TID、QID)にすることができる。
【0132】
患者の疾患を改善した後、投与量を調整して予防的治療または維持的治療を行っても良い。例えば、投与量または投与頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、必要な治療効果または予防効果を維持する量まで減らすことができる。もちろん、症状が適切なレベルに軽減した場合は、治療を中止することができる。ただし、症状が再発した場合は、長期の断続的な治療が必要になることがある。また、患者は長期間の慢性期治療を必要とする場合がある。
【0133】
薬物の併用
本明細書に記載の本発明化合物は、医薬組成物または方法において1つまたは複数の他の有効成分と併用して、本明細書に記載の疾患および障害を治療するために用いられる。他の追加の有効成分には、予想される疾患を標的とする治療剤の副作用を軽減する他の治療剤または薬剤が含まれる。この併用は、有効性を高め、他の疾患の症状を改善し、1つまたは複数の副作用を軽減し、または本発明の化合物の必要な投与量を減らすことができる。追加の有効成分は、本発明の化合物とは別の医薬組成物に調製してもよく、または本発明の化合物と共に単一の医薬組成物に含んでも良い。追加の有効成分は、本発明の化合物の投与と同時に、投与前または投与後に投与することができる。
【0134】
併用薬には、本明細書に記載の疾患および病症の治療に有効であることが知られている(または観察された)追加の有効成分が含まれ、疾患に関連する別の標的に対して有効なものも含まれる。例えば、本発明の組成物および製剤、ならびに治療方法は、標的疾患または関連する症状または病状を治療または緩和するために使用される他の活性剤などの他の薬物または医薬品をさらに含んでも良い。癌の適応症の場合、他の前記の薬剤としては、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ(gefitinib))、Raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ(vemurafenib))、VEGFR阻害剤(例えば、スニチニブ(sunitinib))などのキナーゼ阻害剤;例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチナ製剤、有糸分裂阻害剤、抗体、ホルモン療法、またはコルチコステロイドなどの標準的な化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の適応症の場合、適切な併用薬としては、NSAIDなどの抗炎症剤が含挙げられる。本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の前記の活性剤をさらに含んでもよく、治療方法は、1つまたは複数の前記の活性剤を有効量で投与することをさらに含んでもよい。
【0135】
実施例
以下、具体的な実施形態によって本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解しべきである。以下の実施例において、特定の条件を明記しない実験方法は、一般に、通常の条件または製造業者が推奨する条件に従う。特に明記しない限り、部およびパーセンテージは、重量部および重量パーセントである。
【0136】
一般に、調製プロセスにおいて、各反応は、不活性溶媒中、室温から還流温度(例えば、0℃~100℃、好ましくは0℃~80℃)で行われる。通常、反応時間は0.1~60時間、好ましくは0.5~24時間である。
【0137】
本明細書で使用される略語は、以下の意味を有する。
Pd(dppf)Cl:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム
cataCXium A:n-ブチルジ(1-アダマンチル)ホスフィン
pin:ビス(ピナコラート)ジボロン
NBS:N-ブロモスクシンイミド
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
HATU:-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
TEA:トリエチルアミン
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
NaCO:炭酸ナトリウム
CsF:フッ化セシウム
LiOH:水酸化リチウム
HAc:酢酸
pTSA:p-トルエンスルホン酸
IPA:イソプロパノール
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
O:水
DCM:ジクロロメタン
DCE:1,2-ジクロロエタン
THF:テトラヒドロフラン
ACN:アセトニトリル
DME:ジメチルエーテル
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
【0138】
実施例1 1-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)尿素 (化合物T-1)の調製
【化53】
以下の合成経路を採用した。
【化54】
【0139】
工程1:化合物7-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジンの合成
5-クロロピリダジン-3-アミン(0.84g,6.5mmol)および40%クロロアセトアルデヒド水溶液(2.55g,19.5mmol)を、15mLのイソプロパノールに加え、3時間加熱還流した。回転蒸発させて溶媒を除去し、水30mLで希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率80%で淡黄色の固体0.79gを得た。ESI-MS: 154[M+1]。
【0140】
工程2:化合物7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの合成
7-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(0.79g,5.2mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.35g,6.5mmol)、Pd(dppf)Cl(190mg,0.26mmol)、およびNaCO(1.65g,15.6mmol)を、20mLのDMEと5mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、40mlの水で反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率65%で淡黄色の固体0.67gを得た。ESI-MS:200[M+1]。
【0141】
工程3:化合物3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの合成
7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(0.67g,3.4mmol)を10mLのアセトニトリルに溶解させ、NBS(0.66g,3.7mmol)をゆっくりと添加し、室温で2時間攪拌した。回転蒸発させて溶媒を除去し、10mLの水で希釈し、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率85%で淡黄色の固体0.8gを得た。ESI-MS:280[M+2]。
【0142】
工程4:化合物1-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)尿素の合成
4-アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(0.88g,4mmol)を15mLのテトラヒドロフランに溶解させ、炭酸ビス(トリクロロメチル)(0.41g,1.4mmol)をゆっくりと添加し、加熱還流し、1時間反応させた。回転蒸発させて溶媒を除去し、20mLのテトラヒドロフランで溶解し、DMAP(49mg,0.4mmol)、トリエチルアミン(0.81g,8mmol)および2-フルオロ-5-トリフルオロメチルアニリン(0.71g,4mmol)を順次に加え、還流しながら一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率55%で淡黄色の固体0.93gを得た。ESI-MS:425[M+1]。
【0143】
工程5:化合物1-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)尿素(化合物T-1)の合成
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(86mg,0.31mmol)、1-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)尿素(156mg,0.37mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(131mg,1.24mmol)を、12mLのDMEと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率66%で淡黄色の固体100mgを得た。ESI-MS:496[M+1]。H NMR(300MHz,DMSO-d) δ 9.37(s,1H),8.97(s,2H),8.64(d,J=7.3Hz,1H),8.40(d,J=27.0Hz,2H),8.14(dd,J=21.5,8.4Hz,4H),7.62(d,J=8.2Hz,2H),7.49(d,J=10.2Hz,1H),7.40(s,1H),3.91(s,3H)。
【0144】
実施例2 2-(4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-2)の調製
【化55】
以下の合成経路を採用した。
【化56】
【0145】
工程1:化合物2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミドの合成
4-(カルボキシメチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(0.94g,3.6mmol)、5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソキサゾール-3-アミン(0.7g,3.6mmol)、およびトリエチルアミン(0.73g,7.2mmol)を、20mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でHATU(2.05g,5.4mmol)を添加し、室温で一晩反応させた。反応液に20mLのジクロロメタンを加えて希釈し、水で洗浄し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体1.1gを得た。ESI-MS:439[M+1]。
【0146】
工程2:化合物2-(4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミドの合成
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(83mg,0.3mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率66%で淡黄色の固体100mgを得た。ESI-MS:510[M+1]。H NMR (400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.58(s,1H),8.35(s,1H),8.11(s,1H),7.91(s,1H),7.80-7.64(m,3H),7.52(d,J=7.8Hz,2H),6.93(s,1H),3.90(s,3H),3.78(s,2H),1.54(s,6H)。
【0147】
実施例3 2-(6-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-3-イル)ピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-3)の調製
【化57】
以下の合成経路を採用した。
【化58】
【0148】
工程1:化合物7-クロロイミダゾ[1,2-c]ピリミジンの合成
4-アミノ-6-クロロピリミジン(0.84g,6.5mmol)および40%クロロアセトアルデヒド水溶液(2.55g,19.5mmol)を、15mLのイソプロパノールに加え、3時間加熱還流した。回転蒸発させて溶媒を除去し、水30mLで希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率80%で淡黄色の固体0.79gを得た。ESI-MS: 154[M+1]。
【0149】
工程2:化合物7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジンの合成
7-クロロイミダゾ[1,2-c]ピリミジン(0.79g,5.2mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.35g,6.5mmol)、Pd(dppf)Cl(190mg,0.26mmol)、およびNaCO(1.65g,15.6mmol)を、20mLのDMEと5mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、40mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率65%で淡黄色の固体0.67gを得た。ESI-MS:200[M+1]。
【0150】
工程3:化合物3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジンの合成
7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン(0.67g,3.4mmol)を10mLのアセトニトリルに溶解させ、NBS(0.66g,3.7mmol)をゆっくりと添加し、室温で2時間攪拌した。回転蒸発させて溶媒を除去し、10mLの水を添加し、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率85%で淡黄色の固体0.8gを得た。ESI-MS:280[M+2]。
【0151】
工程4:化合物2-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミドの合成
2-(6-ブロモピリジン-3-イル)酢酸(1.02g,4.7mmol)、5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソキサゾール-3-アミン(0.92g,4.7mmol)、およびDIEA(1.21g,9.4mmol)を、20mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でHATU(2.66g,7mmol)を加え、室温で一晩反応させた。反応液に、20mLのジクロロメタンを添加して希釈し、水で洗浄し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体1.3gを得た。ESI-MS:393[M+1]。
【0152】
工程5:化合物2-(6-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-3-イル)ピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-3)の合成
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン(109mg,0.39mmol)、2-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(153mg,0.39mmol)、Bpin(147mg,0.58mmol)、Pd(OAc)(9mg,0.04mmol)、n-ブチルジ(1-アダマンチル)ホスフィン(29mg,0.08mmol)、およびフッ化セシウム(118mg,0.78mmol)を、15mLのメタノールと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、60℃に昇温して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率30%淡黄色の固体60mgを得た。ESI-MS:511[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.38(s,1H),8.52(s,1H),8.30(s,1H),7.90(s,1H),7.75(s,1H),7.56(s,1H),7.49(d,J=7.8Hz,2H),6.96(s,1H),3.90(s,3H),3.78(s,2H),1.54(s,6H)。
【0153】
実施例4 2-(4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-4)の調製
【化59】
以下の合成経路を採用した。
【化60】
【0154】
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン(83mg,0.3mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率65%で淡黄色の固体100mgを得た。ESI-MS:510[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.38(s,1H),8.32(s,1H),8.10(s,1H),7.90(s,1H),7.81-7.68(m,3H),7.49(d,J=7.8Hz,2H),6.96(s,1H),3.90(s,3H),3.78(s,2H),1.54(s,6H)。
【0155】
実施例5 2-(4-(8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-5)の調製
【化61】
以下の合成経路を採用した。
【化62】
【0156】
工程1:化合物8-クロロイミダゾ[1,2-a]ピラジンの合成
3-クロロピラジン-2-アミン(1.29g,10mmol)およびクロロアセトアルデヒド(40%水溶液,9.8g,50mmol)を、30mLのイソプロパノールに加え、一晩加熱還流した。回転蒸発させて溶媒を除去し、30mLの水で溶解させ、炭酸水素ナトリウム飽和溶液でpH7に調整し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体1.07gを得た。ESI-MS: 154[M+1]。
【0157】
工程2:化合物3-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,2-a]ピラジンの合成
8-クロロイミダゾ[1,2-a]ピラジン(1.07g,7mmol)を15mLの氷酢酸に溶解させ、氷浴下で液体臭素(1.12g,7mmol)をゆっくりと滴下した後、氷浴を取り外し、室温で一晩撹拌した。TLC検出は、反応が完了したことを示した。30mLの飽和亜硫酸ナトリウム溶液を添加して酢酸エチルで(30mL*3)抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率82%で淡黄色の固体1.33gを得た。ESI-MS:234[M+2]。
【0158】
工程3:化合物3-ブロモ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミンの合成
3-ブロモ-8-クロロイミダゾ[1,2-a]ピラジン(1.33g,5.7mmol)、1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.66g,6.8mmol)、およびトリエチルアミン(1.15g,11.4mmol)を15mLのn-ブタノールに加え、120℃に昇温して一晩反応せた。回転蒸発させて溶媒を除去し、水30mLで希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率75%で淡黄色の固体1.25gを得た。ESI-MS:295[M+2]。
【0159】
工程4:化合物2-(4-(8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-5)の合成
3-ブロモ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン(88mg,0.3mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率60%で淡黄色の固体94mgを得た。ESI-MS:525[M+1]。HNMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.46(s,1H),9.91(s,1H),8.19(s,1H),8.11(d,J=8.3Hz,2H),8.02(s,1H),7.94(s,1H),7.65(s,1H),7.57(s,1H),7.43(d,J=8.2Hz,2H),6.96(s,1H),3.83(s,3H),3.79(s,2H),1.53(s,1H)。
【0160】
実施例6 2-(4-(8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-6)の調製
【化63】
以下の合成経路を採用した。
【化64】
【0161】
工程1:化合物8-(ベンジルオキシ)-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジンの合成
ベンジルアルコール(1.2g,11mmol)を20mLのテトラヒドロフランに加え、氷浴下で水素化ナトリウム(60%、液体パラフィンに分散、0.44g、11mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。氷浴下で8-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(2.32g,10mmol)をゆっくりと添加し、氷浴を取り外し、室温で一晩反応させた。TLC検出は、反応が完了したことを示した。水30mLで希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で反応液を抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率86.5%で淡黄色の固体2.24gを得た。ESI-MS:260[M+1]。
【0162】
工程2:化合物イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-オールの合成
8-(ベンジルオキシ)-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(2.24g,8.6mmol)を20mLのメタノールに溶解させ、200mgの10%パラジウム炭素を添加し、水素ガスで3回置換し、1気圧水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、パラジウム炭素を濾別し、濾液を濃縮し、乾燥して、収率90%で白色の固体1.05gを得た。ESI-MS:136[M+1]。
【0163】
工程3:化合物イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル4-メチルベンゼンスルホネートの合成
イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-オール(1.05g,7.8mmol)およびトリエチルアミン(1.58g,15.6mmol)を、20mLのジクロロメタンに加え、氷浴下で4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(1.8g,9.4mmol)を添加し、室温で2時間反応させた。TLC検出は、反応が完了したことを示した。反応液を、20mLの水と10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率92%で白色の固体2.06gを得た。ESI-MS: 290[M+1]。
【0164】
工程4:化合物3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル4-メチルベンゼンスルホネートの合成
イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル4-メチルベンゼンスルホネート(2.06g,7.1mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でNBS(1.34g,7.5mmol)を加え、室温で2時間反応させた。TLC検出は、反応が完了したことを示した。反応液を20mLの水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率80%で淡黄色の固体2.1gを得た。ESI-MS: 370[M+2]。
【0165】
工程5:化合物3-ブロモ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミンの合成
3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-イル4-メチルベンゼンスルホネート(2.1g,5.7mmol)、1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(0.66g,6.8mmol)、およびトリエチルアミン(1.15g,11.4mmol)を15mLのn-ブタノールに加え、120℃に昇温して一晩反応せた。回転蒸発させて溶媒を除去し、水30mLで希釈し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を合わせ、20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率75%で淡黄色の固体1.25gを得た。ESI-MS: 295[M+2]。
【0166】
工程6:化合物2-(4-(8-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-6)の合成
3-ブロモ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-8-アミン(88mg,0.3mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加し、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率55%で淡黄色の固体86mgを得た。ESI-MS:525[M+1]。HNMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.42(s,1H),9.32(s,1H),8.19(d,J=5.6Hz,1H),8.10(d,J=8.3Hz,2H),8.01(s,1H),7.92(s,1H),7.58(s,1H),7.43(d,J=8.2Hz,2H),6.95(s,1H),6.37(d,J=5.6Hz,1H),3.85(s,3H),3.74(s,2H),1.53(s,6H)。
【0167】
実施例7 2-(2-フルオロ-4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-7)の調製
【化65】
以下の合成経路を採用した。
【化66】
【0168】
工程1:化合物2-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミドの合成
2-(3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)酢酸(0.94g,3.6mmol)、5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソキサゾール-3-アミン(0.7g,3.6mmol)、およびトリエチルアミン(0.73g,7.2mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下でHATU(2.05g,5.4mmol)を添加し、室温で一晩反応させた。反応液に20mLのジクロロメタンを添加して希釈し、水で洗浄し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体1.1gを得た。ESI-MS:457[M+1]。
【0169】
工程2:化合物2-(2-フルオロ-4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-7)の合成
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(83mg,0.3mmol)、2-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(164mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率60%で淡黄色の固体95mgを得た。ESI-MS:528[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.46(s,1H),9.04(s,1H),8.46(s,1H),8.39(s,1H),8.31(s,1H),8.20(s,1H),8.06(d,J=11.6Hz,1H),7.96(d,J=7.9Hz,1H),7.51(s,1H),6.96(s,1H),3.91(s,3H),3.85(s,2H),1.54(s,6H)。
【0170】
実施例8 2-(2-フルオロ-4-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-8)の調製
【化67】
以下の合成経路を採用した。
【化68】
【0171】
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン(83mg,0.3mmol)、2-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(164mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(127mg,1.2mmol)を、10mLのDMEと2mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率57%で淡黄色の固体90mgを得た。ESI-MS:528[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.46(s,1H),9.24(s,1H),8.52(s,1H),8.38(s,1H),8.30(s,1H),8.21(s,1H),8.05(d,J=11.6Hz,1H),7.91(d,J=7.9Hz,1H),7.54(s,1H),6.96(s,1H),3.90(s,3H),3.84(s,2H),1.54(s,6H)。
【0172】
実施例9 2-(6-(7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)ピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド (化合物T-9)の調製
【化69】
以下の合成経路を採用した。
【化70】
【0173】
3-ブロモ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(109mg,0.39mmol)、2-(6-ブロモピリジン-3-イル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(153mg,0.39mmol)、Bpin(147mg,0.58mmol)、Pd(OAc)(9mg,0.04mmol)、n-ブチルジ(1-アダマンチル)ホスフィン(29mg,0.08mmol)、およびフッ化セシウム(118mg,0.78mmol)を、15mLのメタノールと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、60℃に昇温して4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率27%で淡黄色の固体55mgを得た。ESI-MS:511[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.42(s,1H),8.50(s,1H),8.31(s,1H),7.92(s,1H),7.76(s,1H),7.53(s,1H),7.44(d,J=7.8Hz,2H),6.95(s,1H),3.91(s,3H),3.79(s,2H),1.54(s,6H)。
【0174】
実施例10 2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-10)の調製
【化71】
以下の合成経路を採用した。
【化72】
【0175】
工程1:化合物6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピリミジンの合成
1H-ピラゾール-3-アミン(0.63g,7.6mmol)および2-ブロモプロパンジアル(1.15g,7.6mmol)を、15mLの無水エタノールおよび5mLの氷酢酸に加え、80℃で2時間反応させた。回転蒸発させて溶媒を除去し、40mLの水で希釈し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)および飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体1.05gを得た。ESI-MS: 200[M+2]。
【0176】
工程2:化合物6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジンの合成
6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(1.03g,5.2mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.35g,6.5mmol)、Pd(dppf)Cl(190mg,0.26mmol)、およびNaCO(1.65g,15.6mmol)を、20mLのDMEと5mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、40mlの水で反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率65%で淡黄色の固体0.67gを得た。ESI-MS:200[M+1]。
【0177】
工程3:化合物3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジンの合成
6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(0.67g,3.4mmol)を10mLのアセトニトリルに溶解させ、NBS(0.66g,3.7mmol)をゆっくりと添加し、室温で2時間攪拌した。回転蒸発させて溶媒を除去し、10mLの水で希釈し、酢酸エチル(10mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率85%で淡黄色の固体0.8gを得た。ESI-MS:280[M+2]。
【0178】
工程4:化合物2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-10)の合成
3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン(86mg,0.31mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(131mg,1.24mmol)を、12mLのDMEと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率63%で淡黄色の固体100mgを得た。ESI-MS:510[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.58(s,1H),9.12(s,1H),8.45(s,1H),7.90(s,1H),7.80-7.64(m,3H),7.50(d,J=7.8Hz,2H),6.94(s,1H),3.90(s,3H),3.78(s,2H),1.54(s,6H)。
【0179】
実施例11 2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-11)の調製
【化73】
以下の合成経路を採用した。
【化74】
【0180】
工程1:化合物1-アミノ-3-ブロモピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネートの合成
-(2,4,6-リメチルベンゼンスルホニルヒドロキシルアミン(10.8g,50mmol)を100mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下で3-ブロモピリジン(8.69g,55mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間反応させ、白色の固体が徐々に析出した。200mLのメチルtert-ブチルエーテルを添加し、さらに20分間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを100mLのメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、固体を真空オーブンに入れ、55℃で4時間乾燥して、収率80%で白色の固体15gを得た。
【0181】
工程2:化合物6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸エチルの合成
1-アミノ-3-ブロモピリジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネート(15g,40mmol)を、60mLの無水DMFおよびトリエチルアミン(8.08g,80mmol)に溶解させ、氷浴下でプロピオル酸エチル(7.8g,80mmol)をゆっくりと滴下した後、氷浴を取り外し、室温で48時間攪拌した。反応液に200mLの水を添加して希釈し、酢酸エチル(60mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率22%で淡黄色の固体2.4gを得た。ESI-MS:271[M+2]。
【0182】
工程3:化合物6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸エチルの合成
6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸エチル(1.4g,5.2mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.35g,6.5mmol)、Pd(dppf)Cl(190mg,0.26mmol)、およびNaCO(1.65g,15.6mmol)を、20mLのDMEと5mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、40mlの水で反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率73%で淡黄色の固体1.02gを得た。ESI-MS:271[M+1]。
【0183】
工程4:化合物6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸の合成
6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸エチル(1.02g,3.8mmol)を20mLのエタノールと10mLの水に溶解させ、水酸化ナトリウム(0.38g,9.5mmol)を添加し、80℃で2時間反応させた。反応液に水30mLを添加して希釈し、1Nの塩酸でPHを3~4に調整し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率90%で淡黄色の固体0.82gを得た。ESI-MS:243[M+1]。
【0184】
工程5:化合物3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジンの合成
6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-ギ酸(0.82g,3.4mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.86g,10.2mmol)を15mLのDMFに溶解させ、NBS(0.66g,3.7mmol)を3回に分けて加え、室温で5時間攪拌した。反応液に50mLの水を添加して希釈し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率80%で淡黄色の固体0.85gを得た。ESI-MS:279[M+2]。
【0185】
工程6:化合物2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-11)の合成
3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリジン(86mg,0.31mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(131mg,1.24mmol)を、12mLのDMEと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率45%で淡黄色の固体71mgを得た。ESI-MS:509[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.16(s,1H),8.58(s,1H),8.32(s,1H),8.11(d,J=8.3Hz,1H),7.90(s,1H),7.80-7.64(m,4H),7.43(d,J=8.2Hz,1H),6.94(s,1H),3.91(s,3H),3.79(s,2H),1.54(s,6H)。
【0186】
実施例12 2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-12)の調製
【化75】
以下の合成経路を採用した。
【化76】
【0187】
工程1:化合物1-アミノ-3-ブロモピラジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネートの合成
O-(2,4,6-リメチルベンゼンスルホニル)ヒドロキシルアミン(10.8g,50mmol)を100mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴下で3-ブロモピラジン(8.69g,55mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間反応させ、白色の固体が徐々に析出した。200mLのメチルtert-ブチルエーテルを添加し、さらに20分間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを100mLのメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、固体を真空オーブンに入れ、55℃で4時間乾燥して、収率80%で白色の固体15gを得た。
【0188】
工程2:化合物6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸エチルの合成
1-アミノ-3-ブロモピラジン-1-イウム2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネート(15g,40mmol)を、60mLの無水DMFおよびトリエチルアミン(8.08g,80mmol)に溶解させ、氷浴下でプロピオル酸エチル(7.8g,80mmol)をゆっくりと滴下した後、氷浴を取り外し、室温で48時間攪拌した。反応液に200mLの水を添加して希釈し、酢酸エチル(60mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率15%で淡黄色の固体1.6gを得た。ESI-MS:272[M+2]。
【0189】
工程3:化合物6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸エチルの合成
6-ブロモピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸エチル(1.4g,5.2mmol),1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.35g,6.5mmol)、Pd(dppf)Cl(190mg,0.26mmol)、およびNaCO(1.65g,15.6mmol)を、20mLのDMEと5mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、40mlの水で反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率70%で淡黄色の固体0.98gを得た。ESI-MS:272[M+1]。
【0190】
工程4:化合物6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸の合成
6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸エチル(0.98g,3.6mmol)を20mLのエタノールと10mLの水に溶解させ、水酸化ナトリウム(0.38g,9.5mmol)を添加し、80℃で2時間反応させた。反応液に水30mLを添加して希釈し、1Nの塩酸でPHを3~4に調整し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率94%で淡黄色の固体0.82gを得た。ESI-MS:244[M+1]。
【0191】
工程5:化合物3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジンの合成
6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-ギ酸(0.82g,3.4mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.86g,10.2mmol)を、15mLのDMFに溶解させ、NBS(0.66g,3.7mmol)を3回に分けて加え、室温で5時間攪拌した。反応液に50mLの水を添加して希釈し、酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を20mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率72%で淡黄色の固体0.68gを得た。ESI-MS:280[M+2]。
【0192】
工程6:化合物2-(4-(6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(化合物T-12)の合成
3-ブロモ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピラジン(86mg,0.31mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N-(5-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)イソオキサゾール-3-イル)アセトアミド(158mg,0.36mmol)、Pd(dppf)Cl(15mg,0.02mmol)、およびNaCO(131mg,1.24mmol)を、12mLのDMEと4mLの水に加え、窒素ガスで3回置換し、90℃に昇温して一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、30mLの水を添加して酢酸エチル(20mL*3)で抽出し、有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して、収率51%で淡黄色の固体80mgを得た。ESI-MS:510[M+1]。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 11.45(s,1H),9.16(s,1H),8.65(s,1H),8.46(s,1H),8.15(s,1H),7.91(s,1H),7.85-7.62(m,4H),6.86(s,1H),3.91(s,3H),3.78(s,2H),1.54(s,6H)。
【0193】
生物活性アッセイ
生物学的実施例1:キナーゼ阻害効果
(1)キナーゼ阻害効果
試薬と材料:
Ret wt(Carna,カタログ番号08-159-10ug)、Active (Signalchem,カタログ番号R02-12GG)、HTRF KinEASE-TKキット(Cisbio,カタログ番号62TK0PEC)、CEP-32496(MCE,カタログ番号HY-15200)、ATP(Sigma,カタログ番号A7699)、MSO(Sigma,カタログ番号D8418-1L)、DTT(Sigma,カタログ番号D0632)、MgCl(Sigma、カタログ番号M1028)、384ウェルプレート(Labcyte,カタログ番号P-05525-BC)。
【0194】
具体的なアッセイのプロトコル:
化合物の調製:試験化合物をDMSOに溶解して、10mMのストック溶液を調製した。次に、ストック溶液をDMSOによって3倍で勾配希釈を行い、10回希釈した。化合物を添加した後、バッファーで10倍希釈を行った。
【0195】
Ret wtおよびRET V804Mキナーゼの検出:5×キナーゼバッファーA中に、Ret wtまたはRET V804Mキナーゼを、予備希釈によって調製された異なる濃度の化合物と10分間混合した。各濃度は2回ずつ測定された。対応する基質およびATPを添加し、室温で20分間反応させた(ここで、陰性対照および陽性対照が設置された。陰性対照はブランク対照であり、陽性対照はCEP-32496であった)。反応終了後、検出試薬(HTRF KinEASE TKキット内の試薬)を添加し、室温で30分間インキュベートした後、Envisionマイクロプレートリーダーによって、各濃度の本発明化合物の存在下での酵素活性を測定し、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性を算出した。その後、Graphpad 5.0ソフトウェアを使用して、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性をフィッティングし、IC50値を算出した。ここで、AはIC50≦10nMを示し、Bは10nM<IC50≦50nMを示し、Cは50nM<IC50≦100nMを示し、DはIC50>100nMを示す。
【0196】
本発明化合物は、上記のキナーゼ阻害アッセイで試験された。本発明化合物は、Ret wt(例えば、化合物T-2~T-4およひT-8のIC50<0.2nM)およびRET V804Mに対して強力な活性を有することが見出された。代表的な実施例の化合物の結果を以下の表1に示す。
【0197】
表1
【表1】

【0198】
生物学的実施例2:細胞毒性アッセイ
(2)細胞毒性アッセイ
Ba/F KIF5B-RET、Ba/F FLT3-ITDの細胞生存率に対する実施例化合物の阻害効果を試験した。
【0199】
試薬および材料:ウシ胎児血清FBS(GIBCO、カタログ番号10099141)、CellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega、Cat#G7572)、96ウェル透明平底黒色壁プレート(Corning(登録商標)、Cat#3603)。
【0200】
実験方法:
細胞培養および接種:
1.対数増殖期の細胞を回収し、血小板カウンターを使用してカウントした。トリパンブルー排除法をで細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%以上であることを確保した。
2.細胞濃度を3000細胞/ウェルに調整し、90μLの細胞懸濁液を96ウェルプレートにそれぞれ添加した。
3.96ウェルプレートの細胞を37℃、5%CO、95%湿度の条件で一晩インキュベートした。
【0201】
医薬の希釈および投与:
1.最高濃度10μMの10倍薬液を調製し、3.16倍で9個の濃度に希釈し、細胞を接種した96ウェルプレートの各ウェルに10μLの薬液を添加した。実験は、濃度ごとに3回ずつ行った。
2.医薬を添加した96ウェルプレート中の細胞を37℃、5%CO、95%湿度の条件でさらに72時間インキュベートした後、CTG分析を行った。
【0202】
終点の読み取り:
1.CTG試薬を解凍し、細胞プレートを室温で30分間平衡化した。
2.等量(10μL)のCTG溶液を各ウェルに加えた。
3.オービタルシェーカーでプレートを5分間振動させ、細胞を溶解した。
4.発光シグナルを安定させるために、セルプレートを室温で20分間置いた。
5.発光値を読み取った。
【0203】
データ処理
GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを使用してデータを分析し、非線形S曲線回帰でデータをフィットさせて用量-反応曲線を取得し、IC50値を算出した。ここで、AはIC50≦10nMを示し、Bは10nM<IC50≦50nMを示し、Cは50nM<IC50≦100nMを示し、DはIC50>100nMを示す。
【0204】
細胞生存率(%)=(Lum試験薬剤-Lum培地対照)/(Lum細胞対照-Lum培地対照)×100%。
【0205】
上記の細胞毒性アッセイで本発明化合物を試験した結果、本発明化合物は、Ba/F KIF5B-RETおよびBa/F FLT3-ITD細胞株に対して強力な活性を有することを見出した。代表的な実施例の化合物の結果を以下の表2に示す。
【0206】
表2
【表2】

【0207】
生物学的実施例3:ラットにおける薬物動態実験
6匹のSprague-Dawleyラット(オス、7-8週齢、体重約210g)を2つの群に分け、各群3匹ずつ、経静脈または経口で単回投与量の化合物(経口10mg/kg)を投与し、その薬物動態学の差異を比較した。
【0208】
標準飼料でラットを飼育し、水を与えた。試験の16時間前から絶食させた。薬物をPEG400およびジメチルスルホキシドで溶解した。投与した後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で眼窩採血を行った。
【0209】
ラットにエーテルを吸入させて一時麻酔を行い、眼窩から300μLの血液サンプルを採取して試験管に入れた。試験管中には1%のヘパリン塩溶液30μLがある。使用前に、試験管を60℃で一晩乾燥させた。最後の時点の血液サンプルの採取が完了した後、エーテルで麻酔した後にラットを殺処分した。
【0210】
血液サンプルを採取した直後に、穏やかに試験管を少なくとも5回転倒させ、十分に混合し、氷上に置いた。血液サンプルを4℃、5000rpmで5分間遠心分離して、赤血球と血漿を分離した。100μLの血漿をピペットで清潔なプラスチック遠心管に入れ、化合物の名称および時点を示した。分析まで血漿を-80℃で保存した。血漿中の本発明の化合物濃度をLC-MS/MSにより測定した。薬物動態パラメーターは、異なる時点における各動物の血中濃度に基づいて計算した。
【0211】
実験は、本発明の化合物が動物の体内でもより優れた薬物動態特性を有し、したがってより優れた薬力学および治療効果を有することを示した。
【0212】
上記の内容は、特定の好ましい実施形態を参照して本発明に対するさらなる詳細な説明であるが、本発明の実施形態がこれらの記載に限定されない。当業者にとって明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、すべてが本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。
[請求項1]
式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化1]
ただし、
・環Aおよび環Bは、芳香族縮合環を形成し;
・A は、R で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・A は、R で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各R およびR は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシル、または-OC 3-7 シクロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
・A およびA は、それぞれ独立して、C原子またはN原子から選択され;
・A およびA は、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
・A およびA は、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシル、-OC 3-7 シクロアルキル、または-L -R からなる群から選択され;ここで、上記の基は、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
ここで、L は、結合、OまたはNHから選択され;R は、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のR で置換されていてもよく;
・B 、B 、B およびB は、それぞれ独立してCR またはNから選択され;
ここで、各R は、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、-R 、-C(O)R 、-C(O)OR 、-C(O)NR 、-NR 、-NR C(O)R 、-NR C(O)OR 、-NR C(O)NR 、-OR 、-OC(O)R 、-OC(O)OR 、または-OC(O)NR からなる群から選択され;
・L およびL は、それぞれ独立して、結合、NH、CH 、CHDまたはCD から選択され;
・環Cは、フェニル、或いはN、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のR b’ で置換されていてもよく;
ここで、各R およびR b’ は、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH 、ハロゲン、-CN、-R 、-C(O)R 、-C(O)OR 、-C(O)NR 、-NR 、-NR C(O)R 、-NR C(O)OR 、-NR C(O)NR 、-OR 、-OC(O)R 、-OC(O)OR 、または-OC(O)NR からなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR 基または2つのR b’ 基は、共に、1つまたは複数のR で置換されていてもよい、C 3-7 シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C 6-10 アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;
各R およびR は、それぞれ独立して、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 2-6 アルケニル、C 2-6 アルキニル、C 3-7 シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C 6-10 アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはR およびR は、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、上記の基が1つまたは複数のR で置換されていてもよく;
各R は、それぞれ独立して、H、D、-OH、-NH 、ハロゲン、-CN、-R 、-C(O)R 、-C(O)OR 、-C(O)NR 、-NR 、-NR C(O)R 、-NR C(O)OR 、-NR C(O)NR 、-OR 、-OC(O)R 、-OC(O)OR 、または-OC(O)NR からなる群から選択されるか、或いは同じ原子または隣接する原子に結合した2つのR 基は、共に、C 3-7 シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C 6-10 アリールまたは5~10員ヘテロアリールを形成してもよく;ここで、R の定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
各R およびR は、それぞれ独立して、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 2-6 アルケニル、C 2-6 アルキニル、C 3-7 シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、C 6-10 アリールまたは5~10員ヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いはR およびR は、それらが結合しているN原子と共に、3~7員ヘテロシクリルまたは5~10員ヘテロアリールを形成し;ここで、R およびR の定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよい、
式(I)で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項2]
およびA には1つのC原子および1つのN原子が含まれる、
請求項1に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項3]
、A およびA のうちの少なくとも1つがN原子である、
請求項1または2に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項4]
およびA のうちの1つが-L -R で置換される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項5]
がC原子であり、A がN原子である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項6]
が、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、またはイソチアゾリルからなる群から選択され;ここで、上記の基が1つまたは複数のR で置換されていてもよい、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項7]
が結合、CH 、CHDまたはCD から選択される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項8]
環Cが、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、またはイソチアゾリルからなる群から選択され;ここで、上記の基が1つまたは複数のR b’ で置換されていてもよい、
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項9]
環Cが、N、OまたはSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員ヘテロアリールから選択され、ここで、上記の基が1つまたは複数のR b’ で置換されていてもよい、
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項10]
前記の化合物が以下の一般式で表われる構造を有し、
[化2]
[化3]
[化4]
ここで、
およびV が、それぞれ独立して、CR またはNから選択され;
およびV が、それぞれ独立して、CR b’ またはNから選択され;
他のパラメータが請求項1~9のいずれか1項に定義されているとおりである、
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項11]
前記の化合物が、以下の式で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化5]
およびA が、それぞれ独立してC原子またはN原子から選択され、且つ1つのC原子および1つのN原子が含まれ;
およびA が、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびA が、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L -R から選択され;
ここで、A およびA のうちの1つが、-L -R で置換され;
ここで、L が、結合、OまたはNHから選択され;R が、
[化6]
であり、ここで、*はL への接続位置を示し;
およびB が、それぞれ独立して、CR またはNから選択され;
ここで、各R が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項12]
前記の化合物が、以下の式で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化7]
ここで、
およびA が、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびA が、それぞれ独立して、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、-CN、または-L -R から選択され;
且つA 、A およびA のうちの少なくとも1つがNであり、A およびA のうちの1つが-L -R で置換され;
ここで、L が、結合、OまたはNHから選択され;R
[化8]
であり、ここで、*はL への接続位置を示し;
およびB が、それぞれ独立して、CR またはNから選択され;
ここで、各R が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項13]
前記の化合物が、以下の式で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化9]
ここで、
およびA が、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
が、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
且つA 、A およびA のうちの少なくとも1つがNであり;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R’が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択される、
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項14]
前記の化合物が、以下の式で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化10]
ここで、
およびA が、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;且つA およびA の少なくとも1つがN原子であり;
およびB が、それぞれ独立してCR またはNから選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
好ましくは、B およびB の両方がCR である、
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項15]
前記の化合物が、以下の式で表われる化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物であって、
[化11]
ここで、
およびA が、それぞれ独立して、Rで置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
が、R’で置換されていてもよい、N原子またはC原子から選択され;
およびB が、それぞれ独立してCR またはNから選択され;
ここで、各Rが、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
各R が、それぞれ独立して、H、D、ハロゲン、または-CNから選択され;
好ましくは、A 、A およびA の少なくとも1つがN原子であり;より好ましくは、A がN原子である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項16]
[化12]
からなる群から選択される、化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物。
[請求項17]
請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含む、医薬組成物。
[請求項18]
疾患を治療および/または予防するための医薬品の調製における、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項17に記載の医薬組成物の使用。
[請求項19]
疾患を治療および/または予防することに用いられる、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項17に記載の医薬組成物。
[請求項20]
請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物、或いはその互変異性体、立体異性体、プロドラッグ、結晶体、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物、若しくは請求項17に記載の医薬組成物を、被験者に投与することを含む、被験者における疾患を治療および/または予防する方法。
[請求項21]
前記の疾患が、プロテインキナーゼによって媒介される疾患であり、例えば、RET、KIF5B-RET、CCDC6-RET、Trk、FLT3、c-Kit、PDGFR、またはVEGFRキナーゼの野生型および変異体から選択される1つまたは複数のキナーゼによって媒介される疾患である、
請求項18に記載の使用、或いは請求項19に記載の化合物または医薬組成物、或いは請求項20に記載の方法。
[請求項22]
前記のRET、KIF5B-RETおよびCCDC6-RETキナーゼの変異体が、V804L、V804M、V804E、M918T、E805K、Y806C,Y806E、C634YまたはC634Wから選択される、
請求項21に記載の使用、或いは化合物または医薬組成物、或いは方法。
[請求項23]
前記のTrkキナーゼの変異体が、G595Rから選択される、
請求項21に記載の使用、或いは化合物または医薬組成物、或いは方法。
[請求項24]
前記のFLT3キナーゼの変異体が、F691L、D835Y、D835V、D835H、D835F、D835E、Y842C、Y842D、Y842H、Y842N、Y842SまたはFLT3-ITDから選択される、
請求項21に記載の使用、或いは化合物または医薬組成物、或いは方法。
[請求項25]
前記の疾患が、非小細胞肺癌、乳頭状甲状腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、大細胞神経内分泌癌、前立腺癌、結腸癌、急性リンパ芽球性白血病、肉腫、小児神経膠腫、肝内胆管癌、毛細胞星状細胞腫、低悪性度神経膠腫、肺腺癌、唾液腺癌、分泌性乳癌、線維肉腫、腎腫、乳癌、骨髄異形成症候群、消化管間質腫瘍、黒色腫、セミノーマ、頭蓋内胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫からなる群から選択される、
請求項18に記載の使用、或いは請求項19に記載の化合物または医薬組成物、或いは請求項20に記載の方法。