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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】時分割伝送ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04L 5/16 20060101AFI20230801BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20230801BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H04L5/16
H04J3/00 Q
H04L25/02 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022082905
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】522200720
【氏名又は名称】石川電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】石川 敏雄
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-036507(JP,A)
【文献】特開2017-085399(JP,A)
【文献】特開2004-326301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 5/16
H04J 3/00
H04L 25/00 - 25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力部と、CPU部と、インターフェース部とを備え、
CPU部には、インターフェース部との間で信号を遣り取りするための第1の信号端子が一つ設けられており、
インターフェース部には、外部との間で信号を遣り取りするための第2の信号端子が一つ設けられており、
インターフェース部は、
ベースクリッパ用ツェナーダイオードと、第1のトランジスタ素子と、第1のフォトカプラ素子と、第2のフォトカプラ素子とを備え、
更に、インターフェース部は、
第2の信号端子と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第1のダイオード素子と、
第2のフォトカプラ素子を構成する発光素子のアノード側と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第2のダイオード素子とを備え、
CPU部は、第1の信号端子が、受信時にはローレベル入力でアクティブ信号を受け付け、送信時にはハイレベル出力でアクティブ信号を出力するように、構成されており、
送信モードでは、
CPU部の第1の信号端子から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードによりクリップされた電圧分によって、第1のトランジスタ素子がオンとなり、
第1のトランジスタ素子がオンとなることにより、第1のフォトカプラ素子がオンとなり、更に第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなり、
第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなることにより、第1のダイオード素子を介して、第2の信号端子にローレベル出力が出力され、同時に、第2のダイオード素子のアノード側がローレベルとなり、第2のフォトカプラ素子がオフを維持することで、第2の信号端子から入力遮断されるものであり、
受信モードでは、
第2の信号端子からのローレベル入力を受け付けるものである、
伝送ユニット。
【請求項2】
前記入出力部は、入力部と出力部とを含み、
前記入力部及び前記出力部は、いずれもドライバアレイ素子により構成されており、
前記入力部のドライバアレイ素子においては、形式を変えることで入力Hiアクティブと入力Loアクティブとの切り替えを行い、
前記出力部では、ICであるドライバアレイ素子の差込ソケットがピン型にされて2列に配列されており、前記出力部のドライバアレイ素子においては、形式を変え、且つ、差込位置を移動することにより、前記出力部からの出力をソースドライバ若しくはシンクドライバとして切り替える、
請求項1に記載の伝送ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の伝送ユニットを2局含む伝送システムであって、
(工程1)一方の伝送ユニットと他方の伝送ユニットとが同期信号を交換し、
(工程2)一方の伝送ユニットが、データ送信を行い、他方の伝送ユニットが当該データ送信により送信されたデータを受信するデータ受信を行い、
(工程3)他方の伝送ユニットが、データ送信を行い、一方の伝送ユニットが当該データ送信により送信されたデータを受信するデータ受信を行い、
(工程4)前記(工程1)から前記(工程3)を繰り返すことで、2局の前記伝送ユニットの間にて、半二重伝送を行う、
伝送システム。
【請求項4】
請求項1に記載の伝送ユニットを2局含む伝送システムであって、
(工程1)一方の伝送ユニットと他方の伝送ユニットとが同期信号を交換し、
(工程2)一方の伝送ユニットが、データ送信を行い、他方の伝送ユニットが当該データ送信により送信されたデータを受信するデータ受信を行い、
(工程3)前記(工程1)から前記(工程2)を繰り返すことで、2局の前記伝送ユニットの間にて、単方向伝送を行う、
伝送システム。
【請求項5】
入出力部と、CPU部と、インターフェース部とを備え、
CPU部には、インターフェース部との間で信号を遣り取りするための第1の信号端子が一つ設けられており、
インターフェース部には、外部との間で信号を遣り取りするための第2の信号端子が一つ設けられており、
インターフェース部は、
ベースクリッパ用ツェナーダイオードと、第1のトランジスタ素子と、第1のフォトカプラ素子と、第2のフォトカプラ素子とを備え、
更に、インターフェース部は、
第2の信号端子と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第1のダイオード素子と、
第2のフォトカプラ素子を構成する発光素子のアノード側と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第2のダイオード素子とを備え、
CPU部は、第1の信号端子が、受信時にはローレベル入力でアクティブ信号を受け付け、送信時にはハイレベル出力でアクティブ信号を出力するように、構成されている、
伝送ユニットを、
用いて行う、一つの信号端子のみを介してデータの送信と受信を行う方法であって、
送信モードでは、
CPU部の第1の信号端子から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードによりクリップされた電圧分によって、第1のトランジスタ素子をオンとし、
第1のトランジスタ素子がオンとされることにより、第1のフォトカプラ素子をオンとし、更に第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間をローレベルとし、
第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとされることにより、第1のダイオード素子を介して、第2の信号端子にローレベル出力を出力し、同時に、第2のダイオード素子のアノード側がローレベルとなり、第2のフォトカプラ素子がオフを維持することで、第2の信号端子からの入力遮断をするものであり、
受信モードでは、
第2の信号端子からのローレベル入力を受け付けるものである、
伝送ユニットにおいて一つの信号端子のみを介してデータの送信と受信を行う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主として2局間を通信により接続する時分割の伝送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
2点(2局)間にて情報を送受するには、通常、図3に示すように、多芯ケーブルを用いて通信が行われる。
【0003】
図3にて、一方の局であるA局104と、他方の局であるB局104との間は、多芯(線)ケーブル8が設けられており、両局の通信は当該多芯(線)ケーブルを用いて行われる。この状況にて、送受信される情報が増加した場合、同様の多芯ケーブルを更に増加すること、若しくは、ケーブルの芯線数を増加することが必要である。図4は、既設の多芯ケーブルに対して新たに多芯ケーブルを増設させた様子を示す図である。そもそも、2局間にて時分割伝送を実現するには特殊な通信線が必要であり、それに対応する特殊な施工技術も要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-51724号公報
【文献】特表2001―505026号公報
【文献】特開2013-102650号公報
【文献】特開2012―16139号公報
【文献】特開2013-102650号公報
【文献】特開2009―163522号公報
【文献】特開平08-6190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2局間の時分割の通信において、使用する電線に特殊な性能を必要とせず、更に、通信する情報が増加しても特殊な増設工事等を必要としない、多重伝送ユニットが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の伝送ユニットは、入出力部と、CPU部と、インターフェース部とを備える。
CPU部には、インターフェース部との間で信号を遣り取りするための第1の信号端子が一つ設けられており、
インターフェース部には、外部との間で信号を遣り取りするための第2の信号端子が一つ設けられている。
インターフェース部は、
ベースクリッパ用ツェナーダイオードと、第1のトランジスタ素子と、第1のフォトカプラ素子と、第2のフォトカプラ素子とを備える。
更に、インターフェース部は、
第2の信号端子と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第1のダイオード素子と、
第2のフォトカプラ素子を構成する発光素子のアノード側と、第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第2のダイオード素子とを備える。
CPU部は、第1の信号端子が、受信時にはローレベル入力でアクティブ信号を受け付け、送信時にはハイレベル出力でアクティブ信号を出力するように、構成されている。
送信モードでは、
CPU部の第1の信号端子から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードによりクリップされた電圧分によって、第1のトランジスタ素子がオンとなり、
第1のトランジスタ素子がオンとなることにより、第1のフォトカプラ素子がオンとなり、更に第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなり、
第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなることにより、第1のダイオード素子を介して、第2の信号端子にローレベル出力が出力され、同時に、第2のダイオード素子のアノード側がローレベルとなり、第2のフォトカプラ素子がオフを維持することで、第2の信号端子から入力遮断されるものであり、
受信モードでは、
第2の信号端子からのローレベル入力を受け付けるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る伝送ユニットを用いることにより、通信のための工事にて特別な材料(通信線)は不要となり、調節作業にて特殊技能が必要とされない。更に、初期条件の設定や調整も不要とされ得る。また、伝送ユニットに関する装置の構成は簡素であり、特に増設時には付帯工事を必要としない。
【0008】
2局間の通信に使用する電線は特別な性能を必要としない。2局間の通信に使用する電線は、既設の多芯ケーブルの一部、若しくは予備線、又は、例えば、一般的に使用される3芯若しくは4芯のキャブタイヤケーブル、若しくはVCTケーブルでよい。そのため、設置の材料及び工事に係る費用が節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る多重伝送ユニット(時分割伝送ユニット)による信号の送受の様子を示す模式図である。
図2】実施の形態に係る多重伝送ユニット(時分割伝送ユニット)による信号の送受の様子を示す模式図であり、例えば、3芯ケーブルを用いるもの(上部)、及び、4芯ケーブルを用いるもの(下部)である。
図3】従来の多重伝送ユニットによる信号の送受の様子を示す模式図であり、多芯線ケーブルを用いるものである。
図4】従来の多重伝送ユニットによる信号の送受の様子を示す模式図であり、増設の多芯ケーブルを用いるものである。
図5】実施の形態に係る時分割伝送ユニットの、2局間での通信を示すブロック図である。
図6】実施の形態に係る、各局における時分割伝送ユニットのブロック図である。
図7】実施の形態に係る時分割伝送ユニットにおける入出力部(ドライバアレイ素子)の構成を示す図である。
図8】実施の形態に係る時分割伝送ユニットにおける、CPU部及びインターフェース部の構成を示す図である。
図9A】実施の形態に係る時分割伝送ユニットの、(1-1)(1-2)2局間での同期信号の送受信に関するフローチャートである。
図9B】実施の形態に係る時分割伝送ユニットの、(2-1)(2-2)データ信号の順次読み取りと受信関係のフローチャートである。
図10A】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、半二重伝送の形態における、時分割伝送信号とRE2ピンモードを示す図である。
図10B】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、半二重伝送の形態における、A局及びB局での時分割伝送ユニットの概略のブロック図である。
図11A】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、半二重伝送の形態における、A局での1616信号フレームを示す図である。
図11B】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、半二重伝送の形態における、B局での1616信号フレームを示す図である。
図12】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、半二重伝送の形態における、1616メインルーチンを示す図である。
図13A】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、単方向伝送の形態における、時分割伝送信号とRE2ピンモードを示す図である。
図13B】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、単方向伝送の形態における、A局及びB局での伝送ユニットの概略のブロック図である。
図14A】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、単方向伝送の形態における、A局での3200信号フレームを示す図である。
図14B】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、単方向伝送の形態における、B局での3200信号フレームを示す図である。
図15】実施の形態に係る時分割伝送ユニットを2局用いる、単方向伝送の形態における、3200メインルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
1.[本開示に至る経緯]
伝送ユニットにより2局間にて情報を送受するに当たっては、従来、多芯ケーブルを用いて通信が行われていた。図3は、従来の多重伝送ユニット104による信号の送受の様子を示す模式図である。ここでは、多芯ケーブル8が用いられている。更に、伝送ユニットにより2局間にて送受信される情報が増加する場合には、多芯ケーブル8が増設されていた。図4も、従来の多重伝送ユニット104による信号の送受の様子を示す模式図であるが、既設の多芯ケーブル8に加えて、増設の多芯ケーブル8が用いられている。
【0013】
伝送ユニットにより2局間にて時分割伝送を実現するには、従来、特殊な通信線が必要であった。然も相応の施工技術も必要であった。つまり、時分割伝送を実現する工事では、特別な材料が必要とされ、調節作業に特殊技能が必要とされた。そのために、多芯ケーブルを増設することにも、特殊な増設工事、及びそれに伴う特別な材料が要求された。
【0014】
伝送ユニットによる2局間の通信に使用する電線には特別な性能を要しないことが望まれている。更に、伝送ユニットによる2局間の時分割伝送を実現するために、装置の構成が、可能な限り簡素であることが求められている。特に、装置の構成を通信量増加に対応させるに当たっても、可能な限り簡素な調整にて装置の構成変更を実現することが求められている。本開示は、このような問題意識の下でなされたものである。
【0015】
2.[実施の形態]
以下、添付の図面を参照して、本開示の好ましい実施の形態を説明する。
【0016】
2.1.[構成]
2.1.1.[全体構成]
図1は、実施の形態に係る時分割伝送ユニット(多重伝送ユニット)4による信号の送受の様子を示す模式図である。図1では、2局における伝送ユニット4は、2線又は3線を利用することを示しているが、本実施の形態では、信号そのものは1線のみで送受信が可能である。
【0017】
図2も、実施の形態に係る時分割伝送ユニット(多重伝送ユニット)4による信号の送受の様子を示す模式図である。図2の上段では、既設の多芯ケーブル8のうち、1線を用いることで、一対の2局の時分割伝送ユニット4が設けられ得ることを示している。図2の中段では、3芯ケーブル6bを用いることで、一対の2局の時分割伝送ユニット4が設けられ得ることを示している。
【0018】
図2の下段では、4芯ケーブル6cを用いることで、二対の2局の時分割伝送ユニット4が設けられ得ることを示している。時分割伝送ユニットの対の夫々は、1線を用いて信号を送受信することが示されている。なお、4芯ケーブル6cにおける2線は、電源に用いられている。
【0019】
2.1.2.[時分割伝送ユニットの構成]
図5は、実施の形態に係る時分割伝送ユニット4の、2局間での通信を示すブロック図である。時分割伝送ユニット4は、1線を利用して2局間(図5では、A局―B局間)での信号の伝送を行う装置である。図5に示すように、時分割伝送ユニット4は、(上段の)半二重伝送と(下段の)単方向伝送とを行うことができる。
【0020】
図6は、実施の形態に係る、各局(例えば、A局、若しくはB局)における時分割伝送ユニット4のブロック図である。図6に示すように、時分割伝送ユニット4は、入出力部10と、CPU部12と、インターフェース部14と、電源部16とを含む。
【0021】
まず、入出力部10は、外部入出力端子とCPU部12との間で信号を送受するためのドライブ回路であり、ドライバアレイ素子(トランジスタアレイ)によって構成される。
【0022】
外部の入出力機器には、通常、PNP対応のものとNPN対応のものとがある。従来の伝送ユニットは、入出力に適合して装置全体を変更する必要があった。しかしながら、本実施の形態に係る時分割伝送ユニットにおける入出力部10では、ドライバアレイ素子の種類を選別すること、及び、差込位置を替えることにより、外部の入出力機器の極性変更に容易に対応できる。つまり、入力側では(Loアクティブ/Hiアクティブ)の変更切り替えが、出力側では(シンク出力/ソース出力)の変更切り替えが、容易に可能となる。入出力部10の極性の切り替えについては、後でも説明する。
【0023】
次に、CPU部12は、例えば、8ビットマイコンで構成される。CPU部12は、同期信号及びデータ信号のシリアル信号への変換を行い、及びその逆変換を行い、それらの制御を行う回路である。2局(A局及びB局)の時分割伝送ユニット4におけるCPU部12は、夫々、例えば、(後で説明する)図9A及び図9Bに示すフローチャートに係るデータ処理を実現するプログラムによって動作する。CPU部12で稼働するプログラムが処理する信号は、例えば、(後で説明する)図11A及び図11B、並びに、図14A及び図14Bに示す、所定の時間の間隔にて制御される時分割波である。
【0024】
2局(A局、及び、B局)の時分割伝送ユニット4では、CPU部12の動作において、同期の整合によって入出力の送受信が開始する。2局の時分割伝送ユニット4は、送受信時期のずれ発生を防止するために、常に同期の整合の動作を繰り返す。A局、若しくは、B局における入力の状態が変化した場合にも、夫々の出力は、同期の整合の動作により1サイクル毎に変化に追従する。同期の整合の動作については、図9Aに示す、2局間での同期信号の送受信に関するフローチャートに拠って(後で)説明する。
【0025】
従来、伝送ユニットは、相手の伝送ユニットと通信するための送信専用端子と受信専用端子とを設けた上で、2局(例えば、A局とB局)間の通信をそれら送信専用端子及び受信専用端子を介して行っていた。本開示及び本実施の形態では、時分割伝送ユニット4は、同一の(単一の)端子(ピン)により、相手の時分割伝送ユニット4と、信号を送信及び受信するように構成されている。
【0026】
このように、同一ピンにより信号の送受信を行う、という構成を採用することにより、2局間の時分割の通信において、使用する電線に特殊な性能を必要とせず、更に、通信する情報が増加しても特殊な増設工事等を必要としない、という顕著な作用効果が実現される。従って、CPU部12には、インターフェース部14との信号の遣り取りのために、単一の、第1の信号端子が設けられる。図8に示す、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4における、CPU部12及びインターフェース部14の構成図では、この、単一の、第1の信号端子は、「RE2」(20)として示されている。なお、同じ理由に拠り、インターフェース部14には、外部との間で信号を遣り取りするために、単一の、第2の信号端子21が設けられている(図8参照)。
【0027】
RE2(20)のピンの機能は、CPU部12及び時分割伝送ユニット4の、信号送信時には出力モードとなり、信号受信時には入力モードとなることである。これにより、時分割伝送ユニット4は、1回路(即ち、1線)のみで信号を送受信でき、外部の回路を非常に簡略化することができる(図8参照)。
【0028】
図8に示すように、CPU部12は、外部入力信号(イ)をその内部に1ビット毎に順次読込み、同時に、第1の信号端子20であるRE2ピンから出力信号(ロ)を発信する。相手方であるB局から送信される信号(ヌ)は、1ビット毎にCPU部12内のレジスタに記憶され、同時に出力信号(ヌ)として外部出力される。
【0029】
次に、インターフェース部14は、CPU部12と外部と間にてシリアル信号を正確に交信させるための回路である。インターフェース部14とCPU部12は、同一端子(RE2(20))を介して信号を遣り取りするので、発信時と受信時の信号がぶつからない(即ち、混信しない)ように、インターフェース部14の回路が構成されている(本明細書では、この回路をハイブリッド回路と称している)。即ち、インターフェース部14は、信号出力時には入力遮断を行うように構成されている。
【0030】
また、インターフェース部14は、送信時には“L”レベルで出力し、受信時にも“L”レベルで入力するように構成されている。これにより、外部からのノイズの影響の低減が図られる。インターフェース部14については、図8を用いて後でも説明する。
【0031】
次に、電源部16は、入出力部10、CPU部12、及び、インターフェース部14の電源を供給する。CPU部12及びインターフェース部14は、例えば、DC5Vを使用する。2局(A局、B局)における各時分割伝送ユニット4は、別々の電源を用いてもよい。入出力部10は、例えば、DC12V-24Vを使用することが可能である。
【0032】
2.1.3.[入出力部の構成]
外部の入出力機器には、PNP仕様とNPN仕様とがある。一般に伝送ユニットは、その都度、入出力部分における極性を対応させる必要性がある。本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4における入出力部10では、容易に対応するために、ドライバアレイ素子が交換される。
【0033】
図7は、実施の形態に係る時分割伝送ユニット4における入出力部(ドライバアレイ素子)10の構成を示す図である。図7(1)及び(2)の左部に示すように、入力部のドライバアレイ素子においては、形式を変えることで、入力Hiアクティブと入力Loアクティブとの変更(切替)ができる。Hiアクティブ型のドライバアレイ素子とLoアクティブ型のドライバアレイ素子とは、ピン配置、及び、ピン数は同じであるので、そのままの状態で入れ替えにより変換が可能である。尚、図7にて、
【数1】
は9番ピンを、
【数2】
は10番ピンを示す。
【0034】
出力部については、図7(1)及び(2)の右部に示すように、ICの差込ソケットをピン型にして2列に配列することで、ドライバアレイ素子の形式を変え、且つ、差込位置を移動させることにより、出力を、ソースドライバ、シンクドライバとして、切り替えができる。つまり、外形寸法、ソケットのピン数は同じであるが、9番ピンと10番ピンの極性(+、-)が異なるので、差込位置の移動で選別ができる。
【0035】
このように、入出力部10の入力部及び出力部は、ドライバアレイ素子の(形式の)交換、及び、差込位置の変更を行うように構成されている。なお、入力用ICでは、9番ピンを(-)、10番ピンを(+)とすることは一定である。出力用ICでは、ソース・ドライブタイプとシンク・ドライブタイプによって、9番ピンと10番ピンの極性は異なる。
【0036】
図7(2)の左部は、ドライバアレイ素子であるICの形式を交換することで入力Hiアクティブと入力Loアクティブとの切り替えができることを、示している。図7(2)の右部は、ドライバアレイ素子の形式がソースドライバ型である場合、(図における)右寄りに挿入すれば、ICの9番ピンに(+)が、10番ピンに(-)が供給され、ドライバアレイ素子の形式がシンクドライバ型である場合、(図における)左寄りに挿入すれば、ICの9番ピンに(-)が、10番ピンに(+)が供給されることを示している。
【0037】
2.1.4.[インターフェース部の構成]
図8は、実施の形態に係る時分割伝送ユニット4における、CPU部12及びインターフェース部14の構成を示す図である。図8の左部にA局における時分割伝送ユニット4のCPU部12及びインターフェース部14を示し、図8の右部にB局における時分割伝送ユニット4のCPU部12及びインターフェース部14を示している。なお、インターフェース部14の図において、「R1」~「R7」は抵抗であり、右隣の各数値はその抵抗値である。
【0038】
前述のように、RE2ピン(即ち、第1の信号端子)(20)は、送信と受信とに拠って機能を変える。なお、CPU部12の端子であるRE2ピン(20)は、受信時には“L”レベル入力で受け付け、送信時には“H”レベルで出力するように、CPU部12にロードされるソフトウェアプログラムによって、その都度、機能切り替えを行っている。
【0039】
[送信モード時]
A局の送信モード時には、以下のように信号が送信される。
・A局のCPU部12の入力端子IN1~INnxの信号は“L”レベルでONとなり(イ)―>
・RE2ピン(20)で出力する時は“H”レベル信号となり(ロ)―>
・トランジスタ素子Tr1、フォトカプラ素子HP1がONとなり(ハ)―>
・B局のインターフェース部14のフォトカプラ素子HP2がONとなり(二)―>
・“L”レベル信号がB局のCPU部12に入力され、CPU部12の出力端子OUT1~OUTnx(ホ)から“H”レベル信号が取り出される。
【0040】
[受信モード時]
A局の送信モード時には、以下のように信号が受信される。
・B局のCPU部12の入力端子IN1~INnxの信号は“L”レベルで入力され(ヘ)―>
・RE2ピン(20)で出力する時は“H”レベル信号となり(ト)―>
・トランジスタ素子Tr1、フォトカプラ素子HP1がONとなり(チ)―>
・A局のインターフェース部14のフォトカプラ素子HP2がONとなり(リ)―>
・“L”レベル信号がA局のCPU部12に入力され、CPU部12の出力端子OUT1~OUTnx(ヌ)から“H”レベル信号が取り出される。
【0041】
本実施の形態に係るインターフェース部14は、送信と受信との混信を防止するため、送信時には、以下のように入力遮断を行う。
RE2ピン(20)には(例えば)5Vのパルス波が出力され、ツェナーダイオードZD1によりベースクリップされた電圧分により電流「ib」が流れ、この電流「ib」によりトランジスタ素子Tr1がONとなり、更にフォトカプラ素子HP1がONとなり、フォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ(E-C)間がローレベル(“L”)となる。
同時にダイオード素子D2のアノード側(例えば、F点)がローレベル(“L”)となり、フォトカプラHP2がOFFを維持することで、インターフェース部14と外部との間の信号端子(第2の信号端子)21からの入力遮断が為される。このようにすることで、B局側のダイオード素子D1を流れる電流による、A局のCPU部12のRE2ピン(20)への誤入力が防止される。
【0042】
図8に示すように、ベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1により(例えば)3Vを超えた電圧でトランジスタ素子Tr1が動作される。更に、図8に示すように、A局の出力(送信)時はフォトカプラ素子HP1のエミッタ・コレクタ間は“L”レベルとなる(a)。このとき、フォトカプラ素子HP1がONとなることで、フォトカプラ素子HP2を構成する発光素子のアノード側と、フォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、ダイオード素子D2のアノード側であるF点が“L”となり、フォトカプラ素子HP2がON動作しないように、入力遮断される。
【0043】
このように、インターフェース部14は、信号端子(第2の信号端子)21と、フォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、ダイオード素子D1と、フォトカプラ素子HP2を構成する発光素子のアノード側と、フォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、ダイオード素子D2とを備える。
送信モードでは、CPU部12のRE2ピン(20)から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1によりクリップされた電圧分によって、トランジスタ素子Tr1がオンとなる。このトランジスタ素子Tr1がオンとなることにより、フォトカプラ素子HP1がオンとなり、更にフォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなる。フォトカプラHP1を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなることにより、ダイオード素子D1を介して、信号端子21にローレベル出力が出力される。同時に、ダイオード素子D2のアノード側がローレベルとなり、フォトカプラ素子HP2がオフを維持することで、信号端子21から入力遮断される。
受信モードでは、信号端子21からのローレベル入力を受け付ける。
【0044】
2.2.[動作]
2.2.1.[同期信号の送受信の動作]
図9A(1-1)及び(1-2)は、実施の形態に係る時分割伝送ユニット4の、2局(例えば、A局、B局)間での同期信号の送受信に関するフローチャートである。
【0045】
状況として、A局側の電源のみが投入されてCPU部12が動作を開始し、B局側からの信号待ちで待機しているものとする。この状況にて、A局側のCPU部12の動作が停止状態でB局側の電源が投入された場合、B局側は要求信号を間欠的に出し続ける。ここで、A局、B局の双方のCPU部12が動作状態になれば、A局はB局側より規定の要求信号を受信し、A局はB局に正常OK信号を返す。B局が受信OKであれば、A局、B局共にデータの送受信が開始される。データの送受信を一順すると再度同期より始められ、A局とB局との信号がずれないように、両局は交信を行なうことができる。
【0046】
図9A(1-1)及び(1-2)のフローチャートは、上述の状況の推移を示すものである。B局は出力モード(S22)にて、受信OK信号をA局に発信する(S24)。入力待ち状態で待機するA局は、B局から入力を受ける(S04、S06)。A局は出力モードとなり(S08)、正常OK信号をB局に返す(S10)。正常信号OKを待つB局は、A局からの正常OK信号を受ける(S28)。A局はデータ信号を発信し(S12)、B局はデータ信号を受信する(S30)。B局はデータ信号を発信し(S32)、A局はデータ信号を受信する(S14)。これらS02~S14、及び、S22~S32の処理は、同期を採られつつ繰り返される。
【0047】
2.2.2.[データ信号の順次読み取りと受信関係の動作]
図9B(2-1)は、各局たる時分割伝送ユニット4における、データ信号の順次読み取りのフローチャートである。
T1~Tn:1番目~n番目の入力状態が順番に確認される。
入力があれば、RE2ピン(20)にてμSパルスを発生させる。所定のタイムラグの後、次の入力状態の確認に移行する。
入力がなければ、RE2ピン(20)にてクリアとする。所定のタイムラグの後、次の入力状態の確認に移行する。
【0048】
更に、図9B(2-2)は、各局たる時分割伝送ユニット4における、データ信号の受信関係のフローチャートである。
R1~Rn:1番目~n番目のシリアル信号が順番に確認される。
入力があれば、指定のレジスタに記憶し、同時に指定端子に出力する。所定のタイムラグの後、次のシリアル信号の確認に移行する。
入力がなければ、指定のレジスタはクリアされ、指定端子もクリアとされる所定のタイムラグの後、次のシリアル信号の確認に移行する。
【0049】
2.2.3.[半二重伝送の形態の動作]
本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局利用する伝送システムにより、半二重伝送の形態と単方向伝送の形態とを実現することができる。
【0050】
まず、図10Aは、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、半二重伝送の形態における、時分割伝送信号とRE2ピン(20)モードを示す図である。図10Bは、同じく半二重伝送の形態における、A局及びB局での時分割伝送ユニット4の概略のブロック図である。A局側伝送ユニット(16点人力/16点出力)とB局側伝送ユニット(16点人力/16点出力)間でデータ信号の交信を行なう。A局側伝送ユニット、B局側伝送ユニットは、夫々のCPU部12にて所定のフローチャート(例えば、図12参照)に基づくソフトウェアプログラムがロードされている。
【0051】
A局側伝送ユニットとB局側伝送ユニットとの間の通信の開始時期は、同期信号によって一致させられる。次に、データ信号の発信と受信とを行う。
つまり、[同期信号―>開始時期の一致―>データ信号発信及び受信―>データ信号受信及び発信]を1サイクルの動作とし、これを繰り返すことで、A局側伝送ユニットとB局側伝送ユニットとは、送受信の時期がずれることが無く、安定した信号の交信を行うことができる。
【0052】
A局側では、16点(IN1~IN16)の入力ON-OFF状態を1ビットずつ順次読み取り、時分割信号としてB局側に送信する(TD)。
送信後、A局は受信モードに切り替リ、B局側からのシリアル信号はCPU部12で記憶処理され、所定の出力端子に1ビットごとに(OUT1~OUT16)を出力分配する(RD)。
【0053】
B局側では、受信したシリアル信号をCPU部12で記憶処理させ、1ビットごとに出力(OUT1~OUT16)として分配する(RD)。その後、16点(IN1~IN16)の入力ON-OFF状態を1ビットずつ順次読み取り、時分割信号としてA局側に送信する(TD)。
【0054】
特に、図10B(、及び、図8)に示すように、A局、B局共に、時分割信号による交信は、CPU部12とインターフェース部14との間の同一ピン、即ち、RE2ピン(20)を介してして行なう。つまり、RE2ピン(20)の機能が送信時には出カモードとなり、受信時には入カモードとなるように、各CPU部12にソフトウェアプログラムの設定がされている。
【0055】
また、図10Bに示すように、A局及びB局におけるインターフェース部14の、RE2ピン(20)と送信出力回路との間には、主に図8を示して説明したベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1が設けられている。同インターフェース部14の、送信出力回路と受信入力回路との間には、送信モード時の入力遮断のためのダイオード素子D2が設けられている。
【0056】
更に、図10Bに示すように、入出力部10の入力部(入力回路)は、ドライバアレイ素子を取り替えることで[入力Hiアクティブ、入力Loアクティブ]の変更ができるものである。入出力部10の出力部(出力回路)は、ドライバアレイ素子を取り替えることで[ソースドライバ、シンクドライバ]の変更ができるものである(但し、出力部については、図7に示すように、ドライバアレイ素子の差込位置の移動が必要である)。
【0057】
次に、図11Aは、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、半二重伝送の形態における、A局での1616信号フレームを示す図であり、図11Bは、同じ半二重伝送の形態における、B局での1616信号フレームを示す図である。図11A図11Bとの1616信号フレームは、時系列上、両図における(P)、(Q)、(R)を介して、対応するものである。
【0058】
次に、図12は、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、半二重伝送の形態における、1616メインルーチンを示す図である。左部がA局のCPU部12で動作するメインルーチンのフローを示し、右部がB局のCPU部12で動作するメインルーチンのフローを示す。メインルーチンは、例えば、PICアセンブリで記述される。
【0059】
図12に示すように、A局のメインルーチンは、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ送信」部分、及び「データ受信」部分にて、構成される。「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ送信」部分、及び「データ受信」部分は、夫々、B局のメインルーチンにおける、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ受信」部分、及び「データ送信」部分に、対応する。A局のメインルーチンの「同期関係」部分、「データ送信」部分、及び「データ受信」部分は、送受信すべきデータ量に応じて繰り返される。
【0060】
更に、図12に示すように、B局のメインルーチンは、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ受信」部分、及び「データ送信」部分にて、構成される。「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ受信」部分、及び「データ送信」部分は、夫々、A局のメインルーチンにおける、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、「データ送信」部分、及び「データ受信」部分に、対応する。B局のメインルーチンの「同期関係」部分、「データ受信」部分、及び「データ送信」部分は、A局と同様に、送受信すべきデータ量に応じて繰り返される。
【0061】
2.2.4.[単方向伝送の形態の動作]
【0062】
続いて、図13Aは、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、単方向伝送の形態における、時分割伝送信号とRE2ピン(20)モードを示す図である。図13Bは、同じく単方向伝送の形態における、A局及びB局での時分割伝送ユニット4の概略のブロック図である。A局側伝送ユニット(32点人力)とB局側伝送ユニット(32点出力)間でデータ信号の交信を行なう。従って、A局側伝送ユニットは入力専用、B局側伝送ユニットは出力専用となる。A局側伝送ユニット、B局側伝送ユニットは、夫々のCPU部12にて所定のフローチャート(例えば、図15参照)に基づくソフトウェアプログラムがロードされている。
【0063】
A局側伝送ユニットとB局側伝送ユニットとの間の通信の開始時期は、同期信号によって一致させられる。A局側伝送ユニットはデータ信号の発信を行い、B局側伝送ユニットはデータ受信を行う。
つまり、[同期信号―>開始時期の一致―>A局のデータ信号発信・B局のデータ信号受信]を1サイクルの動作とし、これを繰り返すことで、A局側伝送ユニットとB局側伝送ユニットとは、送受信の時期がずれることが無く、安定した信号の交信を行うことができる。
【0064】
A局側では、32点(IN1~IN32)の入力ON-OFF状態を1ビットずつ順次読み取り、時分割信号としてB局側に送信する(TD)。
B局側では、受信したシリアル信号をCPU部12で記憶処理させ、1ビットごとに出力(OUT1~OUT32)として分配する(RD)。
【0065】
特に、図13B(、及び、図8)に示すように、A局、B局共に、時分割信号による交信は、CPU部12とインターフェース部14との間の同一ピン、即ち、RE2ピン(20)を介してして行なう。つまり、RE2ピン(20)の機能が送信時には出カモードとなり、受信時には入カモードとなるように、各CPU部12にソフトウェアプログラムの設定がされている。
【0066】
また、図13Bに示すように、A局及びB局におけるインターフェース部14の、RE2ピン(20)と送信出力回路との間には、主に図8を示して説明したベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1が設けられている。同インターフェース部14の、送信出力回路と受信入力回路との間には、送信モード時の入力遮断のためのダイオード素子D2が設けられている。
【0067】
更に、図13Bに示すように、入出力部10の入力部(入力回路)は、ドライバアレイ素子を取り替えることで[入力Hiアクティブ、入力Loアクティブ]の変更ができるものである。入出力部10の出力部(出力回路)は、ドライバアレイ素子を取り替えることで[ソースドライバ、シンクドライバ]の変更ができるものである(但し、出力部については、図7に示すように、ドライバアレイ素子の差込位置の移動が必要である)。
【0068】
次に、図14Aは、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、単方向伝送の形態における、A局での3200信号フレームを示す図であり、図14Bは、同じ単方向伝送の形態における、B局での3200信号フレームを示す図である。図14A図14Bとの3200信号フレームは、時系列上、両図における(P)、(Q)、(R)を介して、対応するものである。
【0069】
次に、図15は、本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4を2局用いる伝送システムの、単方向伝送の形態における、3200メインルーチンを示す図である。左部がA局のCPU部12で動作するメインルーチンのフローを示し、右部がB局のCPU部12で動作するメインルーチンのフローを示す。メインルーチンは、例えば、PICアセンブリで記述される。
【0070】
図15に示すように、A局のメインルーチンは、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ送信」部分にて、構成される。「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ送信」部分は、夫々、B局のメインルーチンにおける、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ受信」部分に、対応する。A局のメインルーチンの「同期関係」部分、及び「データ送信」部分は、送信すべきデータ量に応じて繰り返される。
【0071】
更に、図15に示すように、B局のメインルーチンは、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ受信」部分にて、構成される。「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ受信」部分は、夫々、A局のメインルーチンにおける、「初期設定関係」部分、「同期関係」部分、及び「データ送信」部分に、対応する。B局のメインルーチンの「同期関係」部分、及び「データ受信」部分は、受信すべきデータ量に応じて繰り返される。
【0072】
2.3.[実施の形態のまとめ]
本実施の形態に係る時分割伝送ユニット4は、入出力部10と、CPU部12と、インターフェース部14とを備える。CPU部12には、インターフェース部14との間で信号を遣り取りするための第1の信号端子20が一つ設けられている。インターフェース部14には、外部との間で信号を遣り取りするための第2の信号端子21が一つ設けられている。インターフェース部14は、ベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1と、第1のトランジスタ素子Tr1と、第1のフォトカプラ素子HP1と、第2のフォトカプラ素子HP2とを備える。更に、インターフェース部14は、第2の信号端子21と、第1のフォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第1のダイオード素子D1と、第2のフォトカプラ素子HP2を構成する発光素子のアノード側と、第1のフォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのコレクタ側とを繋ぐ、第2のダイオード素子D2とを備える。CPU部12は、第1の信号端子20が、受信時にはローレベル入力でアクティブ信号を受け付け、送信時にはハイレベル出力でアクティブ信号を出力するように、構成されている。送信モードでは、CPU部12の第1の信号端子20から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードZD1によりクリップされた電圧分によって、第1のトランジスタ素子Tr1がオンとなる。第1のトランジスタ素子Tr1がオンとなることにより、第1のフォトカプラ素子HP1がオンとなり、更に第1のフォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなる。第1のフォトカプラ素子HP1を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなることにより、第1のダイオード素子D1を介して、第2の信号端子21にローレベル出力が出力される。同時に、第2のダイオード素子D2のアノード側がローレベルとなり、第2のフォトカプラ素子HP2がオフを維持することで、第2の信号端子21から入力遮断される。受信モードでは、第2の信号端子21からのローレベル入力を受け付ける。
【0073】
本実施の形態に係る伝送ユニットは、同一ピンのみを用いて信号の送受信を行うことができる。特に、本実施の形態に係る伝送ユニットは、同一ピンのみを用いて信号の送受信を行う、という構成を採用することにより、2局間の時分割の通信において、使用する電線に特殊な性能を必要とせず、更に、通信する情報が増加しても特殊な増設工事等を必要としない、伝送システム、及び伝送ネットワークを構築することができる。
【0074】
3.[他の実施の形態]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【0075】
また、実施の形態を説明するために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0076】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
4・・・時分割伝送ユニット、6b・・・3芯ケーブル、6c・・・4芯ケーブル、8・・・多芯ケーブル、10・・・入出力部、12・・・CPU部、14・・・インターフェース部、16・・・電源部、20・・・RE2ピン(第1の信号端子)、21・・・第2の信号端子、D1・・・ダイオード素子、D2・・・ダイオード素子、HP1・・・フォトカプラ素子、HP2・・・フォトカプラ素子、ZD1・・・ベースクリッパ用ツェナーダイオード。
【要約】
【課題】伝送ユニットにおいて一つの信号端子のみを介してデータの送信と受信を行う。
【解決手段】伝送ユニットにおいて、送信モードでは、CPU部の第1の信号端子から出力されるハイレベル信号のうち、ベースクリッパ用ツェナーダイオードによりクリップされた電圧分により、第1のトランジスタ素子がオンとなり、これにより、第1のフォトカプラ素子がオンとなり、更に第1のフォトカプラ素子を構成するフォトトランジスタのエミッタ・コレクタ間がローレベルとなり、これにより、第1のダイオード素子を介して、第2の信号端子にローレベル出力が出力され、同時に、第2のダイオード素子のアノード側がローレベルとなり、第2のフォトカプラ素子がオフを維持することで、第2の信号端子から入力遮断される。受信モードでは、第2の信号端子からのローレベル入力を受け付ける。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15