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特許7323257体管および隣接する表面を治療するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】体管および隣接する表面を治療するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20230801BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230801BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61M37/00
A61M25/10
A61M31/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020549839
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 AU2018051305
(87)【国際公開番号】W WO2019109144
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】2017904884
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520196483
【氏名又は名称】マクロスキー, ジェニー コリーン
【氏名又は名称原語表記】MCCLOSKEY, Jenny Colleen
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マクロスキー, ジェニー コリーン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08939932(US,B1)
【文献】米国特許第06139538(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0184314(US,A1)
【文献】特開平07-213619(JP,A)
【文献】米国特許第05372584(US,A)
【文献】特開昭55-155645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 25/10
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスであって、
前記管に沿って挿入するように適合されたステム部分であって、前記ステム部分に沿って延びる少なくとも1つの流体流路を含む、ステム部分と、
前記管の内端領域を閉塞するために前記ステム部分によって保持された拡張可能部材と、
前記拡張可能部材の近位側で前記ステム部分に摺動可能に取り付け可能であり、前記管の外端を閉塞するための遠位側に開いたレセプタクル部分として構成され、それにより、前記拡張可能部材とともに、前記管および前記管の前記外端の周りの表面を含む治療腔を画定する、キャップと、
記少なくとも1つの流体流路を介して前記治療腔に治療流体を送達可能である前記ステム部分の1つまたは複数の開口部と、
前記キャップに組み込まれた流体リザーバーであって、前記管の前記外端の周りの前記表面と接触するための治療流体を受け入れて保持するように適合される、流体リザーバーと
前記ステム部分および前記拡張可能部材を前記体内に導入するための導入器であって、前記ステム部分が、前記導入器内で前記導入器に対して摺動可能であり、前記キャップが、前記導入器に対して摺動可能であり、前記キャップと前記導入器との間にシーリングフィットがもたらされる、導入器と
を含む、デバイス。
【請求項2】
ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスであって、
前記管に沿って挿入するように適合されたステム部分であって、前記ステム部分に沿って延びる少なくとも1つの流体流路を含む、ステム部分と、
前記管の内端領域を閉塞するために前記ステム部分によって保持された拡張可能部材と、
前記拡張可能部材の近位側で前記ステム部分に摺動可能に取り付け可能であり、前記管の外端を閉塞するための遠位側に開いたレセプタクル部分として構成され、それにより、前記拡張可能部材とともに、前記管および前記管の前記外端の周りの表面を含む治療腔を画定する、キャップと、
前記少なくとも1つの流体流路を介して前記治療腔に治療流体を送達可能である前記ステム部分の1つまたは複数の開口部と、
前記キャップに組み込まれた流体リザーバーであって、前記管の前記外端の周りの前記表面と接触するための治療流体を受け入れて保持するように適合される、流体リザーバーと、
前記ステム部分および前記拡張可能部材を前記体内に導入するための導入器であって、前記ステム部分が、前記導入器内で前記導入器に対して摺動可能であり、前記導入器が、前記拡張可能部材を前記管内に導入するために前記管の入口またはその近位方向手前に配置可能であり、前記導入器が、前記ステム部分から取り外し可能であり、取り外し後に、前記キャップが、前記ステム部分に対して摺動可能となり、かつ前記管の前記入口に向かって遠位側の位置に移動可能となり、前記キャップと前記ステム部分との間にシーリングフィットがもたらされる、導入器と
を含む、デバイス。
【請求項3】
前記流体リザーバーが前記キャップのレセプタクル部分によって画定される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記キャップが、前記レセプタクル部分の近位に配置されたドレナージチャンバーを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記流体リザーバーが、前記治療流体を保持するための流体保持要素を備えるか、または含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記流体保持要素が、前記治療流体を保持するための薬剤保持材料を含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記流体保持要素が、前記レセプタクル部分に受けれられる、請求項3に従属する場合の請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ステム部分が、遠位端で閉じられたカテーテルである、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ステム部分および前記拡張可能部材が、バルーンカテーテルを画定する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記導入器が、前記ステム部分よりも比較的剛性が高い、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記導入器が、スリットが付された、穿孔可能な、または破壊されやすい構造によって、前記ステム部分から取り外し可能である、請求項2および請求項2に従属する場合の請求項3~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記導入器が長手方向のスリットを有する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
挿入ツールが、前記キャップを遠位方向に押すために設けられる、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記挿入ツールが、スリットが付された、穿孔可能な、または破壊されやすい構造によって取り外し可能である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記治療流体が、前記流体保持要素内に事前装填される、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項16】
前記キャップが、弾性的に可撓性の本体を備え、前記レセプタクル部分が、子宮頸部を受けるようなサイズであり、前記レセプタクル部分が、26~30mmの範囲の内径を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記キャップの遠位端が、ビード付きリムによって画定された開放端を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記導入器の遠位端に、ビード付きリムまたは丸みを帯びたリムが設けられる、請求項1~17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記バルーンカテーテルと前記導入器との間に設けられたシールをさらに含む、請求項1に従属する場合の請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスに関する。本発明は、ヒト子宮頸部の子宮頸管および隣接する表面の治療に特に関係するが、特定の実施形態では、ヒトの肛門管の治療に適することができる。対象となる特定の用途は、子宮頸部または肛門の領域におけるヒトパピローマウイルス(HPV)の原位置の不活化である。
【背景技術】
【0002】
ヒトパピローマウイルスは世界中で発生し、ヒトと動物界に影響を与えている。ヒトに影響を与える生殖器の種類には、リスクの高いタイプと低いタイプがある。高リスクのタイプは、低度および高度の異形成および子宮頸癌の発症に関連している。HPVの発癌性株は子宮頸癌の99.7%で発見されている。それらはまた、外陰部、肛門および陰茎の癌腫と関連している。低リスクタイプは、性器疣贅、および軽度異形成に関連している。世界中で3億2500万人の女性が無症状HPVまたはHPV関連の臨床病変を抱えていると推定されている。
【0003】
子宮頸部は、膣の重層扁平上皮細胞が変わり、子宮頸管内膜と子宮の内側を覆う円柱細胞になるエリアである、移行帯でのHPV感染の影響に対して特に脆弱である。子宮頸部異形成は、扁平上皮起源か腺性起源のいずれかである。扁平上皮異形成がより一般的であるが、腺性病変の頻度が増加している。細胞切り替えの領域は化生領域と呼ばれ、ほとんどのHPV関連の子宮頸部病変はこの領域内で発生する。
【0004】
持続的なHPV感染の存在は、第2および第3ステージの子宮頸部上皮内腫瘍(CINIII)、すなわち重度または前癌性異形成の発生と維持に不可欠であると考えられている。
【0005】
重度の子宮頸部異形成(扁平上皮病変または腺性)の既知の治療法は、関与している可能性のある子宮頸部の領域を外科的に切除することである。治療には、最初に細胞診、コルポスコピー、生検が必要である。その後、子宮頸部のレーザー切除、ループ切除、または低温凝固などの外科治療が必要である。
【0006】
子宮頸部異形成の外科治療の合併症は、子宮頸部狭窄症、子宮口の収縮と完全な密閉、子宮留血症に続く骨盤内膜症、痛みを伴う長期の月経、円柱上皮の過度の外転、感染症、出血、痛み、心理的罹患、不妊症、機能不全の子宮頸部を含む。病気は治療後に再発し、浸潤癌に進行することさえある。一部の女性は、重症とは見なされていなくてもパップ塗抹異常を抱えることに悩まされており、その懸念を軽減するために、軽度の病変を持つ多くの女性が不必要に治療されている。低悪性度病変の不必要な治療のもう1つの理由は、治療中の医師が患者をフォローアップできず、結果として高悪性度疾患に進行する可能性があることである。
【0007】
肛門もまた、特に、肛門縁の重層扁平上皮細胞は、直腸の円柱上皮細胞に変わる移行帯で、ヒトパピローマウイルス感染症の影響に対して特に脆弱である。
【0008】
肛門異形成の現在の治療法は、外科的切除か、多くの場合、重度の広範な感染が存在する場合は観察によるものである。異形成が非常に重症であり、肛門管の全周囲が関与している場合、外科治療は全領域を切除して人工肛門を提供することである。手術は非常に根本的であり、肛門異形成から肛門癌まで進行する期間は不明であるため、通常、観察的アプローチが行われ、癌が発生したときに個々の治療がなされる。
【0009】
ポビドンヨードの形のヨウ素は、ウシパピローマウイルスを含む多くのウイルスの治療に効果的であることが公知である。後者は、D.C.Sokal等による、「Inactivation of papillomavirus by low concentrations of povidone-iodine」(Sexually Transmitted Diseases Vol 22、No.1(Jan-Feb 1995)22-24)に報告されているが、ポビドンヨードまたは他の薬剤が子宮頸癌に関連するヒトパピローマウイルスの性行為感染率を低下させる可能性があることを示唆している。
【0010】
ポビドンヨード溶液は組織毒性が比較的低く、消毒、創傷消毒、火傷の治療、非特異性膣炎の治療のための局所製剤に使用されている。ポビドンヨードは、市販の調剤薬として、軽症の膣の刺激やかゆみの症状を治療するための、潅注液、膣用ゲル、膣座薬として入手できる。
【0011】
例として、米国特許第5,035,883号は、非口腔および非歯周ヒト障害の治療における複合体の水性または水性アルコール溶液を適用することによるポビドンヨード複合体の使用を開示している。膣感染症とパピローマウイルス感染症についての具体的な言及がある。
【0012】
一種のヨウ素がシラー試験で子宮頸部に局所的に適用された。このテストでは、ルゴールのヨードを子宮頸部に塗布し、観察された色の変化を使用して、HPV感染組織を検出し、また治療する領域の境界を定める。完全に分化した生殖器上皮のグリコーゲンはヨウ素を吸収し、組織を暗褐色に染色する。ヨウ素の適用は、異形成(ヨウ素陰性)とHPV関連病変(部分的取り込み)を区別するために使用される。
【0013】
多くの以前の参考文献は、典型的には子宮腔への入口を密閉するための、単一の膨張可能なバルーンを備えた子宮内カテーテルを記載している。例えば、カナダ特許第1,313,803号では、子宮腔に導入される実際の流体で膨らまされるバルーンが、内子宮口の近くの拡張領域を密閉する。欧州特許公開0088714および米国特許第5,372,584号のデバイスは、シーリングバルーンが、内子宮口のすぐ内側の子宮腔内に明確に配置されることを除けば、一般的に類似している。
【0014】
現在の出願人の以前の国際特許公開WO2003/026681(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、子宮頸部または肛門管の初期パピローマウイルス感染を治療する方法を開示しているが、ヨウ素などのウイルス不活性化剤は、子宮頸管または肛門管に、管を感染しているウイルス集団の一部を不活化するのに有効な量で、圧力下で適用される。また、内子宮口を閉塞するための膨張可能なバルーンを保持する中空ステムと、外子宮口および上部膣円蓋を含む隣接する外側の膣壁表面とを閉塞するためのキャップとからなるそのような治療のためのデバイスが開示される。
【0015】
本出願人の国際特許公開WO2010/099580(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、子宮頸部または肛門のHPV感染の治療に特に有効な免疫賦活組成物を開示している。免疫賦活組成物は、水酸化アルミニウムと3′-脱アシル化モノリン脂質A(MPL)の組み合わせで構成されている。
【0016】
本発明の目的は、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するための改善された、または少なくとも代替のデバイスを提供することである。本発明の1つまたは複数の実施形態において、本発明の特定の目的は、例えば、HPV不活性化剤または免疫賦活組成物を用いた、ヒト子宮頸部の治療のための改善された、または少なくとも代替のデバイスを提供することである。
【0017】
本明細書における任意の先行技術への言及は、この先行技術が任意の管轄区域における共通の一般知識の一部を形成することの承認または示唆ではない。
【発明の概要】
【0018】
第1の態様では、本発明は、以下を含む、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスを提供する:
管に沿って挿入するように適合されたステム部分であって、ステム部分に沿って延びる少なくとも1つの流体流路を含む、ステム部分、
管の内端領域を閉塞するためにステム部分によって保持された拡張可能部材、
拡張可能部材の近位側でステム部分に摺動可能に取り付けられ、管の外端を閉塞するように構成され、それにより、拡張可能部材とともに、管および管の外端の周りの表面を含む治療腔を画定する、キャップ、
治療流体が前述の少なくとも1つの流体流路を介して治療腔に送達可能であるステム部分の1つまたは複数の開口部、および、
キャップに組み込まれた流体リザーバーであって、管の外端の周りの前述の表面と接触するための治療流体を受け取り、保存するように適合される、流体リザーバー。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、以下を含む、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスが提供される:
管に沿って挿入するように適合されたステム部分であって、ステム部分に沿って延びる少なくとも1つの流体流路を含み、遠位端を有するステム部分、
管の内端領域を閉塞するために、遠位端またはその近くでステム部分によって保持される拡張可能部材、
拡張可能な部材の近位側でステム部分に取り付けられ、管の外端を閉塞するように構成され、それにより、拡張可能部材とともに、管および管の外端の周りの表面を含む治療腔を画定する、キャップ、
治療流体が前述の少なくとも1つの流体流路、または第2の流体流路を介して治療腔に送達可能である1つまたは複数の開口部、および、
キャップに組み込まれた流体リザーバーであって、管の外端の周りの前述の表面と接触するための治療流体を受け取り、保存するように適合される、流体リザーバー。
【0020】
好ましくは、リザーバーは、キャップのレセプタクル部分を含む。レセプタクル部分は、最も好ましい用途では、管、すなわち子宮頸部の外端の周りの表面をカップリングするように、遠位に面する開口を有することができる。レセプタクルの形状は、ステム部分が横断するが、円筒形であり得る。
【0021】
好ましくは、キャップは、レセプタクル部分の近位に配置されたドレナージチャンバーを含む。
【0022】
リザーバーは、流体保持要素を含み得る。これは、リザーバーのレセプタクルの形態と組み合わせて、または代替として可能である。流体保持要素は、好ましくは、連続気泡発泡体またはポリマーマトリックスなどの薬剤保持材料を含む。流体保持要素は、MedstockまたはSurgispongeなどの医療グレードの材料における、例えばスポンジ材料などの適切な流体吸収性材料の本体であり得る。一実施形態では、この流体吸収性本体は、ステム部分の周りのその露出した環状表面でキャップ内に保持される。本発明の最も好ましい形態では、流体保持要素はレセプタクル部分内に受けいれられる。流体保持要素はまた、カートリッジまたはカプセルの形態であり得る。
【0023】
ステム部分は、患者の不快感を最小限にするために、好ましくは可撓性の本体である。ステム部分は、管に比べて比較的薄いことが好ましい。これにより、治療表面の被覆を最小限に抑え、治療をより効果的にすることができる。ステム部分は、好ましくは、遠位端で閉じられたカテーテルである。好ましいカテーテルのサイズは、5、6、および7フレンチの範囲内である。適切には、カテーテルは、人体を超えて延びるのに十分な長さであり、例えば、60cmである。カテーテルは、単一または二重内腔カテーテルであり得る。
【0024】
デバイスは、ステムを体内に導入するための導入器、例えば、医療グレードのポリマーで形成され、ボアに沿って自由に動くためにステム部分を受けいれるチューブをさらに含み得る。ステム部分は、導入器内および導入器に対して摺動可能であり得る。導入器は、挿入を助けるために、ステム部分よりも適切に比較的硬い。
【0025】
本発明の一形態では、キャップは、キャップが、導入器の周りに延びるように、導入器に対して摺動可能であり得る。
【0026】
しかしながら、導入器は取り外し可能であることが好ましい。導入器は、スリットされた、穿孔可能な、または破壊されやすい構造によって取り外し可能である。好ましくは、導入器は長手方向のスリットを有する。導入器は、好ましくは、身体を越えて延びる。
【0027】
ステム部分およびキャップは、それらの間に摺動のシーリングフィットを有することが好ましい。
【0028】
挿入ツールは、キャップを遠位に押すために設けられる。挿入ツールは、スリットされた、穿孔可能な、または破壊されやすい構造によって取り外し可能である。
【0029】
拡張可能部材は、好ましくは、膨張可能なバルーンであり、バルーンを備えたステム部分は、好都合には、バルーン血管カテーテルであり得る。
【0030】
体管は子宮頸管または肛門管であり得る。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、以下を含む、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスが提供される:
管に沿って挿入するように適合された可撓性ステム部分であって、遠位端を有するステム部分、
遠位端またはその近くでステム部分によって保持される拡張可能部材であって、管の内端領域を閉塞するための拡張可能部材、および、
拡張可能部材の近位側で、ステム部分に取り付けられ、遠位側に開いたレセプタクルとして構成され、管の外端を閉じ、管の外端の周りの表面を収納し、それにより、拡張可能部材とともに、拡張可能部材とキャップ部分との間の治療ゾーンを画定する、キャップ部分であって、レセプタクルが、管の外端の周りの表面と接触するための治療流体を受け取り、保存するように適合される、キャップ部分。
【0032】
本発明の第1および第2の態様に関連して上述した特徴のいずれも、本発明の第3の態様に適用され得る。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、以下を含む、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療するためのデバイスが提供される:
管に沿って挿入するように適合された薄い可撓性ステム部分であって、遠位端を有するステム部分、
遠位端またはその近くでステム部分によって保持される拡張可能部材であって、管の内端領域を閉塞するための拡張可能部材および、
拡張可能部材の近位側で、ステム部分に取り付けられ、管の外端を閉じ、管の外端の周りの表面を収納し、それにより、拡張可能部材とともに、拡張可能部材とキャップ部分との間の治療ゾーンを画定する、キャップ部分であって、キャップ部分が、流体保持要素を含み、管の外端の周りの表面と接触するための治療流体を受け取り、保存する、キャップ部分。
【0034】
本発明の第1および第2の態様に関連して上述した特徴のいずれも、本発明の第4の態様に適用され得る。
【0035】
本発明の第3および第4の態様(ただし、これに限定されない)を特に参照すると、キャップ部分およびステム部分は、それらの間に一定の間隔を有することができる。例えば、設定された間隔は、2、3、3.5cm、または4cmのいずれかであり得る。治療を行う医師による適切なデバイスの選択は、患者のサイズと年齢に依存する場合がある。これは、野外病院などの最小限の、または非医学的な訓練を受けたスタッフによる挿入に特に適している。キャップ部分およびステム部分は、一体的に形成され得る。治療流体は、レセプタクル(第3の態様)または流体保持要素(第4の態様)に事前装填され得る。
【0036】
拡張可能部材が、遠位端で、または遠位端に隣接してステム部分によって保持されることを説明する、上記の第2、第3、第4の態様(ただし、これに限定されない)を特に参照して、「隣接する」への言及は、実施可能であるように遠位端に非常に近いことを意味するものとする。例えば、ステム部分のカテーテル形態は、キャップによって閉じられてもよく、拡張可能部材は、キャップに隣接している。拡張可能部材がステム部分の遠位端またはその近くにあることの意図は、子宮腔への不必要な進入を回避することである。これは、子宮の穿孔を含む外傷のリスク、妊娠中の追加リスク、不必要な侵襲、治療プログラムを妨害する可能性がある感染および出血のリスクの増加などを含む(が、これらに限定されない)負の結果を引き起こす可能性がある。
【0037】
本発明の他の態様は、第3および第4の態様のデバイスを患者に挿入するための治療方法に関連し得る。本発明の1つの好ましい形態では、そのような治療方法は、治療中にヒトまたは動物を再配置することを含み得る。
【0038】
本発明の第5の態様によれば、以下を含む、ヒトまたは動物の体の開口部に関連する管を治療する方法が提供される:
管に沿ってステム部分を挿入すること、
管の内端領域を閉塞するためにステム部分によって保持された拡張可能部材を拡張すること、
管の外端を閉塞するために、拡張可能部材の近位側でステム部分に取り付けられたキャップを遠位側に摺動させ、それにより、拡張可能部材とともに、管と管の外端の周りの表面とを含む治療腔を画定するように、摺動させることであって、流体リザーバーが、キャップに組み込まれ、流体リザーバーが、治療流体を受け取り、保存するように適合されるように、摺動させること、および、
リザーバー内に受けいれられて保持された治療流体が管の前述の外端の周りの表面と接触するように、治療流体を治療腔に送達すること。
【0039】
好ましくは、ステム部分が、ステム部分に沿って延びる前述の少なくとも1つの流体流路を含み、治療流体が少なくとも1つの流体流路を介して治療腔に送達される。この方法は、ステム部分を体内に導入するための導入器を使用することをさらに含み得、ステム部分は、導入器に対して摺動可能である。この方法は、ステム部分から導入器を取り外すことをさらに含み得る。
【0040】
本発明の好ましい形態では、方法は、キャップを遠位に摺動させるための挿入ツールを使用することを含む。
【0041】
本発明の1つの好ましい形態では、治療方法は、治療中にヒトまたは動物を再配置することを含み得る。
【0042】
本発明の第1および第2の態様に関連して上述した特徴のいずれも、本発明の第4の態様に適用され得る。
【0043】
本明細書で使用されるように、文脈が他に必要とする場合を除き、「comprise」という用語、および「comprising」、「comprises」および「comprised」などの本用語の変形は、さらなる添加剤、構成要素、整数またはステップを除外することを意図しない。
【0044】
本明細書で開示および定義される本発明は、言及された、または本文または図面から明らかな2つ以上の個々の特徴の全ての代替の組み合わせに及ぶことが理解されるであろう。これらの異なる組み合わせは全て、本発明のさまざまな代替の態様を構成する。
【0045】
本発明のさらなる態様および前の段落で説明した態様のさらなる実施形態は、例として、添付の図面を参照して与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【0046】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、単なる例としてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による、例えば、HPV感染を軽減または排除するため、ヒト子宮頸部を殺ウイルス組成物で治療するため、または免疫系を賦活するためのデバイスの図である。
図2図2は、図1の領域Aの拡大図である。
図3図3は、図2の線B-Bにおける断面図である。
図4図4は、図3の領域Cの拡大図である。
図5図5は、図1図4のデバイスの分離された主要構成要素を示す部分図である。
図6図6は、デバイスの子宮頸管キャップ構成要素のより詳細な断面図である。
図7図7Aおよび7Bは、スポンジの代替形態を示す。
図8図8は、子宮頸管キャップおよびそれに含まれるスポンジの代替実施形態を示す、図4に対応する図である。
図9図9は、図1~4のデバイスを示すが、図8のような子宮頸管キャップと、HPV不活性化剤による子宮頸部の治療中のヒト子宮頸部の原位置での上面凹面を有するスポンジを有する。
図10図10は、図9の一部の拡大図である。
図11図11は、本発明の第2の実施形態によるデバイスの図である。
図12図12Aは、図11のAの詳細図である。図12Bは、図12AのB-Bを通る断面図である。
図13図13Aは、図11の第2の好ましい実施形態による導入器の図である。図13Bは、導入器の上端におけるOを通る断面図である。図13Cは、図13AのOの斜視図である。図13Dは、図13Aの導入器の上面図である。
図14図14は、図11のデバイスの第2の好ましい実施形態の挿入ツールの斜視図である。
図15図15は、図11のデバイスの変形である。
図16図16は、図15のP-Pを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1~6の第1の実施形態の実施形態
図示されたデバイス10は、例えば、ポビドンヨード、ルゴールのヨード、または免疫賦活剤などのHPVの不活性化剤の形態の殺ウイルス組成物を用いたヒト子宮頸部の治療のために特別に設計されている。本デバイスは、概念実証をテストするために使用されているバルーン血管カテーテル20を含む。しかしながら、カテーテルは、血管カテーテルの形態で提供される必要はなく、他のタイプの医療グレードのカテーテルが本発明で使用され得る。カテーテル20は、頸管に沿って挿入するように適合されたステム部分21、およびその遠位端22に隣接するカテーテル20の遠位位置に、膨張可能なバルーン24などの閉塞デバイスを提供する。この目的のために、カテーテルは第1の内腔を備えていてもよい。治療流体の導入のために、第2の内腔がカテーテルに提供され得る。第3の内腔は、追加の治療流体のために使用され得る。
【0049】
デバイスはさらに、管状導入器30および関連する挿入ツール32、ならびに子宮頸管キャップ40を含む。分離した構成要素を図5に示し、それらのアセンブリーを図1に示す。
【0050】
導入器30は、ビード付きまたは丸みを帯びたエンドリム34、35を備えた、Teflon(商標)コーティングされた医療グレードの高密度ポリエチレン(HDPE)チューブである(図4)。この管は、カテーテル20の小径端部に平らな材料の微細な膜である、膨張していないバルーン24に損傷を与えることなく、カテーテル20が導入器に沿って自由に摺動できるように十分な許容度でカテーテル20を受けいれる。全ての図において、バルーン24は、理解を容易にするためにその膨張状態で示されているが、試験または原位置でのみ膨張される。バルーンに当接するカテーテルの遠位端は、中実の端部クロージャー23を有する。
【0051】
この実施形態では、子宮頸管キャップ40は、レセプタクルまたはチャンバー44の周りの円筒形本体42である(図4および6)。子宮頸管キャップ40は、弾性的に可撓性のプラスチック材料、より好ましくは医療グレードのシリコーンなどの生体適合性のある医療グレードのプラスチックでできた可撓性の本体である。子宮頸管キャップ40は、好ましくは、屈曲して子宮頸部の形状に適合することができる。レセプタクル44の内部は、子宮頸部を受容するようなサイズであり、異なるサイズのキャップが、患者の身体的属性に従って、物理的治療によって選択されるために利用可能である。サイズ範囲には、レセプタクル44の内径26~30mmが含まれる。
【0052】
子宮頸管キャップ40は、円筒形本体42のビード付きリム43によって画定される一端で完全に開いており、環状壁46によって他端で部分的に閉じている。キャップ40の管状ステム部分49は環状壁46から垂下しており、レセプタクル/チャンバー44からの流体の漏出を密封するタイトフィットで導入器を受けいれるように、それらは共に、導入器30の外径よりわずかに小さい直径である長手方向の同軸ボア47を画定する。2つのアセンブリーは、導入器の遠位ビード付きリム34が、キャップのビード付きリム43よりわずかに盛り上がった、またはそれと同じ高さに配置されるようなものである。ビード付きリム34は、外子宮口の損傷を回避するために丸い表面を提供し、また、導入器30がキャップを通して引き戻されるのを防ぐ。
【0053】
挿入ツール32は、長手方向全長にスリット33を有するスリーブを含む。これにより、スリーブは弾性的に横方向に拡張可能であり、キャップ40を膣円蓋および子宮頸部に係合するように押すために、キャップ40の環状壁46の下側に係合する導入器30の周りに嵌合することができる。スリット状の形態はまた、キャップ40が適所に配置されると、挿入ツール32を引き抜くことを可能にする。
【0054】
カテーテル20は、バルーン24に隣接するその遠位端に向かって、それを通って治療液がその長手方向の中央ボア19を介してカテーテル20から送出され得る、3つの長手方向に間隔を置いた半径方向開口部25aのそれぞれ正反対のセットを有する。ボア19からのさらなる微細な開口部(見えない)が、それ自体が、間隔を置いた環状の境界面でカテーテルの表面に密封接着される、バルーン24の膜内に設けられる。その近位端において、カテーテル20は、ボア19と流体連通するそれぞれの弁制御ポート26、28を有する。この明細書の場合、ポート26は、空気を導入してバルーン24を膨張させるためのシリンジ27を受け取り、一方で、ポート28は、ポビドンヨードなどの治療液をカテーテルのボア19に導入するための適切なシリンジ29を受け取る。バルーン血管カテーテル20は、例えばサイズ5Fr、6Frまたは7FrのBerman Angiographic Balloon Catheterのような市販の製品であり得る。
【0055】
前述の国際特許公開WO 2003/026681で説明されているようにルゴールのヨードやポビドンヨードなどのHPV不活性化剤は、腺の表面を含む全ての表面が、子宮頸部、腺の子宮頸管内膜、および上部の膣円蓋の隣接部分を含み、溶液に近接していることを確実にするために、子宮頸管を拡張するのに十分な圧力の下で注入することが好ましい。薬剤は、Go Medical Springfusor(登録商標)シリンジ注入ポンプ29およびフローコントロールチューブ(FCT)29aなどの圧力ポンプ/注入器によって圧力下で送達される。注入ポンプ29は、約1132mmHgの動作圧力を有する。動作圧力の適切な範囲は、約1100mmHg~1160mmHgである。さらに、管内の溶液が最大濃度のままであることを確実にするために、圧力循環が望ましくあり得ると考えられる。溶液の濃度と圧力は、外部上皮から基底細胞層に効果的な殺ウイルス濃度が確実に達成されるように選択される。
【0056】
前に示したように、本デバイスは、免疫賦活剤または他の殺ウイルス性溶液を適用してHPVおよび前癌を治療するためにも使用できる。
【0057】
本発明によれば、治療流体を受け取り、保存し、保存された治療流体を表面に塗布するため、子宮頸管の外端の表面、つまり外子宮口に接触するように適合された、キャップにリザーバーを組み込むことが、治療の最適制御のため望ましいことが見出された。本実施形態では、リザーバーは、レセプタクルまたはチャンバー44の形態であり、流体保持要素は、MedstockまたはSurgispongeなどの適切な医療グレードの材料の吸収性本体またはスポンジ50の形態である。スポンジは、ビード付きリム43の下のチャンバー44を占め、導入器30を受けいれるために軸方向に中心にあるボア52を有する。スポンジ50は、チャンバー44に押し込まれた別個の本体であり、キャップ40の円筒形本体42の内壁に一体的に形成された3つの等間隔の浅い環状リブ48(図6)によって所定位置に保持される。スポンジ50は、キャップリム43の上部と同一平面にあるか、後ろに凹んでいるか、または上に持ち上げられていても、最適な結果が得られるように決定されている。
【0058】
本発明の別の形態(図示せず)では、スポンジは、所望の治療に応じて、膣壁の一部を覆うことを目的とする形態で平坦であり得る。このバージョンでは、平らなスポンジが挿入されると、キャップによって膣に押し込まれてもよい。
【0059】
スポンジ形態
図7Aおよび7Bは、外子宮口における膣円蓋表面および突出する子宮頸部をより良好に取り込んで着座させるために、くぼみまたは凹部154を備えて成形されたスポンジ150の代替の好ましい形態を示す。
【0060】
図8の実施形態
図8は、端壁146は平坦ではなくドーム型であり、スポンジ150は対応する形状である、子宮頸管キャップおよびそれに含まれるスポンジの別の実施形態を示す。
【0061】
第1の実施形態による治療手順
図10に部分的に拡大された図9の解剖学的断面を参照して、図1~8の図示されたデバイスを利用する好ましい治療手順が詳細に説明される。
【0062】
治療を行う医師は、シリンジ27および29(または注入ポンプ)とともに、デバイスの個別の構成要素、つまりバルーンカテーテル20、導入器30、挿入ツール32、および子宮頸管キャップ40の無菌パックまたはパックセットでスタートする。キャップは通常、すでに配置されているスポンジ50を含む。
【0063】
治療を行う医師は、導入器30をキャップ40を通して押し、次に、バルーン24を収縮させた状態で、バルーン24が導入器30の遠位端から突出するまで、導入器30を通してカテーテル20を押すことにより開始する。バルーンの完全性を確実にすること、つまり、それが組み立てプロセスで損傷していないことを確実にするために、シリンジ27を使用してバルーン24を膨張させてから収縮させることが重要である。バルーン24が収縮すると、バルーン24が導入器30内に引き込まれ、膣内に挿入する準備ができるように、カテーテル20が後退する。バルーン24および導入器30は、導入のための正しい相対的整列を示すための整列特徴を有し得る。位置合わせ特徴は、カテーテルおよび導入器30上の登録マーク(図示せず)などの印または印の形態であり得る。例えば、導入器30は、透明なプラスチック製であり得、そして挿入のためのカテーテルの必要な相対的な位置、すなわち、相対的な挿入構成でマークされ得る。あるいは、カテーテル20上の位置合わせマークは、導入器管の近位端と整列して、挿入構成をマークし得る。
【0064】
スポンジ50は、通常は液体をキャップのスポンジにそっと注ぐことにより、例えば、ポビドンヨードなどのヨード治療溶液であらかじめ濡らされている。医師はまた、体内に挿入する前に、シリンジ29を使用して治療溶液(通常、約0.5mlの液体)でカテーテルを事前呼び水する。
【0065】
次に、医師は、膣検鏡(図示せず)を患者の膣105に導入し、そして、検鏡を介して、カテーテル20を備えた導入器30を、導入器が外子宮口102またはその近くに到達するまで、膣内に押し込む。カテーテル20は一般に可撓性が高すぎて膣を通して挿入することができず、導入器30は、膣を通してカテーテルのガイドとして機能するので、導入器30が必要である。導入器のビード付き遠位端34は、導入器30の遠位端が子宮頸管104内にさらに延在することを防止し、子宮頸部の擦傷も防止する。患者の出血または外傷は、治療を危険にさらし、感染の可能性を引き起こす。
【0066】
導入器30が外子宮口102またはその短所に配置されると、医師が自信をもって、カテーテル20は、バルーンが子宮106内にあることを「感じる」まで、外子宮口102および子宮頸管104を通して導入器30に対して動かされる。導入器30の遠位端を超えるバルーン24の延長は、3cmまでであり得る。カテーテル上の追加の登録マークが、バルーン24を意図した位置に着座させるために必要なカテーテルの延長を示すため、導入器または導入器の近位端上の登録マークと位置合わせするために設けられてもよい。次に、シリンジ27を介して空気を導入することによってバルーン24を膨張させ、カテーテル20を引き戻し(穏やかに引っ張って)、子宮内の膨張したバルーンを内子宮口103に対してしっかりと係合させる。これは、バルーン24の「着座」位置である。
【0067】
図11~16に示される第2の実施形態では、導入器230は、この段階で、またはバルーン224の膨張後かつカテーテル220を着座位置に引き抜く前に取り外される。図11~16に関する以下の説明を参照のこと。
【0068】
シリンジ29を使用して、カテーテル20のボアと開口部25を介して、ルゴールのヨード、ポビドンヨード、免疫賦活組成物などの治療溶液を治療腔に導入する。適切なシリンジ29は、10ml/30分の速度で治療液を導入するためのGo Medical Springfusor(登録商標)シリンジ注入ポンプおよびフロー制御チューブ(FCT)29aである。溶液は、溶液が外子宮口から出現するまで、カテーテル20、およびそれにより膨張したバルーン24に維持された張力で導入される。張力は、カテーテル20を手動で引っ張ることによって加えることができる。
【0069】
溶液が外子宮口で見られると、挿入ツール32が、導入器30に沿ってキャップ40を押して、突出する子宮頸部112の周りで膣円蓋110としっかりと係合するように使用される。キャップを取り付けたら、次に、挿入ツールが引き抜かれ、取り外される。前述のように、スリット33によって動作が促進される。そして、導入器は、子宮口に損傷を与えたり、治療範囲を制限したりしないようにするように、キャップ40の底部に引っ込められる。ビード34は、それがキャップ40から完全に引き抜かれるのを防ぐ。
【0070】
これにより、治療腔120は、キャップとバルーンとの間に画定され、子宮頸管全体104と、外子宮口102の周りの子宮頸部および膣円蓋の表面114とを含む。スポンジに保存された治療溶液はすでに表面114に塗布されている。必須ではないが、図7Aおよび7Bのようにスポンジ50の露出表面の凹面形状は、スポンジそれにより、その中に保持される治療溶液が、これらの表面114と最適に接触するのを確実にする。
【0071】
検鏡が取り外され、治療溶液が、実質的に一定の圧力下に維持される。図9および10は、手順のこの段階での配置を示している。治療腔を圧力下に維持するために、カテーテル20と導入器30の間、ならびに導入器30とキャップ40の間にシールを設ける必要がある。これは、以下の図11から図16の実施形態では簡略化され、キャップ340が子宮頸部に着座する前に導入器330が取り外されるため、カテーテル320とキャップ340との間でのみシールが必要となる。
【0072】
Springfusor(商標)29の動作圧力は約1132mmHgである。ある程度、圧力は、腺の表面を含む全ての表面が、子宮頸部、腺の子宮頸管内膜、および上部の膣円蓋の隣接部分を含んで溶液に近接していることを確実にするために、管を拡張し得る。しかしながら、子宮頸管の大幅な拡張は、患者に不快感を与える可能性があるため、望ましくない場合がある。圧力に加えて、またはそれに代わるものとして、子宮頸管の表面への治療流体の適切かつ好ましくは均等な分配を確実にするために、患者の位置をシフトすることができる。例えば、患者は、治療時間の半分の間片側を横にし、残りの治療時間の間反対側を横にすることができる。治療表面またはベッドは、治療の開始時に傾斜上に配置することもできる。
【0073】
圧力サイクリングは、管内の溶液が最大濃度のままであることを確実にするのに役立ち得ると考えられている。ルゴールのヨードやポビドンヨードなどの殺ウイルス性溶液の場合、外部上皮から基底細胞層まで有効な殺ウイルス濃度が確実に達成されるように、溶液の濃度と圧力が選択される。現在、患者の動きが圧力サイクリングよりも好まれる。
【0074】
治療の最後に、膣検鏡がデバイスを視覚化するために再導入され、空気がシリンジに引き戻されることによってバルーンが収縮し、その後、それ自体が次に撤回される、検鏡を介してデバイス全体が取り外される。
【0075】
治療の最適な期間は、通常はキャップ40の配置から計時され、臨床試験と経験によって決定されるが、10~60分の範囲になってもよい。例えば、現在、ルゴールのヨードでは10~20分が適切であり、一方で、ポビドンヨードは、例えば最大1時間までの長い期間を必要とすると考えられている。期間は通常、溶液の濃度やその正確な性質など、さまざまな要因に依存する。治療期間中に導入される液体の量は約2mlである。
【0076】
図11~16の第2の実施形態の説明
図11から図16は、本発明の第2の好ましい実施形態によるデバイス210の第2の好ましい実施形態を示している。デバイス210は、第1の実施形態のデバイス10と多くの点で類似しているので、第2の実施形態を示すために「2」が前に付くことを除いて、同じ部分を表すために同じ数字が使用される。
【0077】
デバイス210の第2の実施形態では、導入器230は、バルーンカテーテル220が原位置にある間に取り外し可能であるように意図されている。導入器230の取り外し可能な形態は、図13に関連して説明される。導入器230は、子宮頸管キャップ240が子宮頸部に対して配置される前に取り外される。従って、キャップ240は、カテーテル220の周りに緊密なシールを形成して、治療中の治療流体の漏れを防止することを目的とする。このため、管状ステム部分249の近位端260は、カテーテル220の周りにタイトフィットを形成する。例えば、近位端260の開口部は、1.8mmの内径を有し得る。しかしながら、カテーテル220の外径は、代わりに5、6または7フレンチであり得る。執筆時点では、このタイトフィットがバルーンに損傷を与えるかどうか、または逆にバルーンがタイトフィットに損傷を与えるかどうかを判断するためのテストが必要である。
【0078】
カテーテル220とキャップ240の下部狭窄部との間のタイトフィットにより、バルーン224とキャップ240との間にあるカテーテルの部分が緊張状態になり得る。この張力は、バルーン224およびキャップ240を定位置に保持し、子宮内への流体の漏出を防止するはずである。子宮内への有毒化学物質の流出を停止し、膣内への化学熱傷を回避するために、治療流体を治療腔内に収容することが非常に望ましい。
【0079】
図12Bはまた、スポンジ250を含むレセプタクル244の下のドレナージチャンバー262を示す。ドレナージチャンバーは、ボア247下方に押し込まれる前に治療流体のための緩衝液を提供することにより、漏れを防ぐのを助けることである。ドレナージチャンバー262は、円錐台形状であり、最も広い部分が遠位に配置されている。環状壁246は、廃液チャンバー262の上部に張り出している。環状壁246から延在する構造は、カテーテル220に延在して、カテーテル220へのガイドとして機能することもできる。これにより、カテーテル220が環状壁246を座屈させ、材料の性質により、弾性的に柔軟であり、だらりとしやすい、シリコーンキャップ240を変形させることを防止する。
【0080】
図13は、導入器230のスリット形状を示している。導入器は、図13Dに示すように、C字型の断面を持つ細長い部材である。断面は、ビード付き遠位端234およびビード付き近位端235を除いて、全長にわたって均一である。導入器230は、カテーテル220に沿った摺動フィットを可能にする内径を有する。ギャップGの間隔は、バルーンカテーテル220が挿入されている患者に不快感を与えるであろう過度の抵抗なしに、導入器230がカテーテル220から引き離されることを可能にするのに十分である。一方、ギャップGは、導入器230がカテーテル220から容易に外れるほど広くはない。従って、推奨ギャップGは約2mmである。ビードの外径は約4.4mmで、導入器の外径は3.6mm(ビードなし)である。
【0081】
図14は、長手方向スリット233を有する挿入ツール232の形態を示している。挿入ツールは、キャップ240の管状ステム部分249を収容し、環状壁246の近位側に当接してキャップ240を所定の位置に押すように形作られている。
【0082】
図15および16は、デバイス210の使用を意図したキャップ340の代替形態を示す。キャップ340は、ステム部分349がカテーテル220と係合するキャップの近位端を除いて、ほとんどの点でキャップ240と同様である。この適合において、Oリング370が、カテーテル220の周りを密封し、ボア347の近位端を密封して、膣への漏出を防止するために設けられる。執筆の時点では、Oリング370は、バルーン224に損傷を与えるかどうかを決定するためにテストされていなかった。
【0083】
上記は、本発明のいくつかの実施形態のみを説明しており、本発明の範囲から逸脱することなく、変更を加えることができることは当業者には明白であろう。例えば、カテーテルとキャップとの間にシールを作成するさまざまな方法があり前述の実施形態は、これを達成するいくつかの方法しか開示していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16