(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】栽培システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/04 20060101AFI20230801BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20230801BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20230801BHJP
A01G 18/60 20180101ALI20230801BHJP
【FI】
A01G31/04 B
A01G31/00 612
A01G9/00 C
A01G18/60
(21)【出願番号】P 2021502710
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 US2019024008
(87)【国際公開番号】W WO2019191048
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-24
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520372294
【氏名又は名称】サイロ、ファームズ、エル、エル、シー
【氏名又は名称原語表記】SILO FARMS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード、クーンズ
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501157(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02121263(GB,A)
【文献】特開昭51-022551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/04
A01G 31/00
A01G 9/00
A01G 18/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を栽培するように構成されたサイロ栽培システムであって、
垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバを提示するサイロと;
前記サイロ栽培チャンバ内に配置され、かつ、アセンブリ長に沿って延び、農作物をその中に受容かつ育成するための螺旋状栽培空間を少なくとも部分的に画定する螺旋状栽培アセンブリであって、前記螺旋状栽培アセンブリは、連続するトラックと育成システムとを含み、
前記トラックが前記螺旋状栽培アセンブリの前記アセンブリ長に沿って連続して延び、経路軸を画定する概して下向きの螺旋状経路を提示するとともに、前記トラックが前記農作物を前記螺旋状経路に沿って誘導するように構成され、
前記育成システムが前記トラックに沿って延び
かつ前記トラックの下に配置され、
前記トラックと協働して、その間の螺旋状栽培空間内に育成ゾーンを画定し、前記育成ゾーンに水滴及び/または養分の液滴の供給を誘導し、かつ、前記農作物に水
滴及び/または養分
の液滴の供給の直接的根施用を提供する、前記螺旋状栽培アセンブリと;
フレームを含む可動カートと、前記フレームにより支持されるキャップとを備える可動作物支持体であって、前記キャップが複数の作物用開口部を提示し、作物の葉が前記キャップの上に配置され、作物の根が前記キャップの下で育成ゾーンに自由に垂れ下がり、サイロ栽培チャンバで周囲空気に曝されるように前記開口部が前記農作物の対応する部分を受容するように構成され、前記トラックによって作動可能に支持され、かつ前記アセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、前記農作物を、前記螺旋状経路に沿って前記栽培空間を通って誘導するように構成されている
、前記可動作物支持体と;
を備える、サイロ栽培システム。
【請求項2】
前記螺旋状栽培アセンブリは、端から端まで配列された一連の螺旋状セグメントを含み、隣接する螺旋状セグメントの各対がサイロ軸周りを回転し互いに少なくとも部分的に重なり合う、請求項1に記載のサイロ栽培システム。
【請求項3】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記サイロ軸の長さに沿って略一定の内径寸法を規定する内側縁部を提示する、請求項2に記載のサイロ栽培システム。
【請求項4】
前記可動カートは、対応する車輪を回転可能に支持する摺動可能な車軸を介してフレームに相対的に回転自在に取り付けられた複数の車
輪を含
み、前記車輪は、トラックに作動可能に係合し、前記可動カートが前記螺旋状経路に沿って下向きに前進するのに伴って前記トラックに沿って回転するように構成され
、前記車軸が、すべての車輪が前記トラックに円滑かつ連続的に係合するようにフレームに相対的に垂直方向に摺動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項5】
前記トラックは、並んで配置され前記経路軸に沿って延びる一対のレールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項6】
前記可動カートは、対応する車輪を回転可能に支持する摺動可能な車軸を介してフレームに相対的に回転自在に取り付けられた複数の車
輪を含
み、前記車輪は、対応するレールと作動可能に係合し、前記可動カートが前記螺旋状経路に沿って下向きに前進するのに伴って前記レールに沿って回転するように構成され
、前記車軸は、すべての車輪が前記対応するレールに滑らかかつ連続的に係合するようにフレームに相対的に垂直方向に摺動可能である、請求項5に記載のサイロ栽培システム。
【請求項7】
前記可動作物支持体は、前記農作物を支持するように前記フレームにまたがり、前記作物の根が前記育成ゾーンに入るのを可能にするメッシュ底部を含む可動カートを備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項8】
前記キャップは、不透明であり、光が前記可動カートを通過して前記育成ゾーンに入るのを制限するために前記螺旋状経路にまたがっている、請求項
1に記載のサイロ栽培システム。
【請求項9】
前記最初に述べた可動作物支持体を含み、前記農作物を支持するように構成された複数の可動作物支持体をさらに含み、
前記可動作物支持体は、前記トラックにより支持され、かつ前記アセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、前記農作物を、前記螺旋状経路に沿って前記栽培空間を通って誘導するように構成され、
前記可動作物支持体は、前記トラックに配置された際に互いに直列に配列される、請求項1に記載のサイロ栽培システム。
【請求項10】
前記育成システムは、前記螺旋状経路に沿って延び、概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの下に配置される回収ベッドウェイを含み、
前記トラック
、前記育成システム及び前記回収ベッドウェイは、協働してそれらの間に
前記育成ゾーンを画定
する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項11】
前記育成システムは、前記育成ゾーン内に水
滴及び/または養分
の液滴の供給分を排出する分注ノズルを含み、前記
回収ベッドウェイが水
滴及び/または養分
の液滴の前記供給分のうちの任意の過剰な部分を回収するように構成され
、前記回収ベッドウェイ及び前記可動作物支持体が、水滴および/または養分の液滴の供給間で根が乾燥することが可能となるように、前記作物の根と前記回収ベッドウェイとの接触を回避するように互いに相対的に配置される、請求項
10に記載のサイロ栽培システム。
【請求項12】
前記育成システムの前記分注ノズルは、それぞれスプレー、霧吹き、及び/または噴霧器を含む、請求項
11に記載のサイロ栽培システム。
【請求項13】
前記回収ベッドウェイは、底壁と前記底壁から上向きに延びる対向する側壁とを含み、前記底壁及び前記側壁が協働してチャネルを画定する、請求項
12に記載のサイロ栽培システム。
【請求項14】
前記トラックは、並んで配置され前記経路軸に沿って延びる一対のレールを含み、前記側壁は、前記レールのうちの各対応するレールに相対的に取り付けられる、請求項
13に記載のサイロ栽培システム。
【請求項15】
前記側壁は、前記回収ベッドウェイの上側縁部を提示しており、前記上側縁部及び床部がチャネル高さ寸法を規定し、前記側壁は、作物の根の深さに対応するように前記チャネル高さ寸法が増加及び/または減少可能となるように可撓性である、請求項
14に記載のサイロ栽培システム。
【請求項16】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記螺旋状経路に沿って延びる照明システムを含み、
前記トラック及び前記照明システムは、協働してそれらの間に照明ゾーンを画定し、前記照明システムは、前記照明ゾーンを照明し、これにより、前記農作物が前記螺旋状経路に沿って前進するのに伴って作物の光合成を促進し、
前記回収ベッドウェイは、不透明であり、光が前記照明ゾーンから前記育成ゾーンに入るのを制限するために螺旋状経路にまたがっている、請求項
10に記載のサイロ栽培システム。
【請求項17】
前記育成システムは、前記育成ゾーン内の前記
根に
ミストまたは霧としての水
滴及び/または養分
の液滴の供給分を排出する分注ノズルを含む、請求項1に記載のサイロ栽培システム。
【請求項18】
前記育成システムの前記分注ノズルは、それぞれスプレー、霧吹き、及び/または噴霧器を含む、請求項
17に記載のサイロ栽培システム。
【請求項19】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記螺旋状経路に沿って延びる照明システムを含み、
前記トラック及び前記照明システムは、協働してそれらの間に照明ゾーンを画定し、
前記照明システムは、前記照明ゾーンを照明し、これにより、前記農作物が前記螺旋状経路に沿って前進するのに伴って作物の光合成を促進する、請求項1に記載のサイロ栽培システム。
【請求項20】
前記照明システムは、前記アセンブリ長に沿って離間され、概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの上に配置された一連のライトを含み、前記一連のライトの少なくとも一部が前記螺旋状経路に沿って径方向に延び
、前記育成システムが、前記螺旋状経路に沿って延び、概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの下に配置される回収ベッドウェイを含み、前記回収ベッドウェイは、不透明であり、光が前記照明ゾーンから育成ゾーンに入るのを制限するために前記螺旋状経路にまたがっている、請求項
19に記載のサイロ栽培システム。
【請求項21】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記栽培空間に空気を供給するように構成された空気システムを含み、
前記空気システムは、供給プレナムを少なくとも部分的に画定するダクトを含み、
前記ダクトは、前記アセンブリ長に沿って延び、前記空気を前記栽培空間に排出するための出口を提示する、請求項1~
20のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項22】
前記ダクトは、前記サイロ栽培チャンバ内に配置され、前記栽培空間の径方向外側縁部を部分的に画定する、請求項
21に記載のサイロ栽培システム。
【請求項23】
前記サイロは、前記サイロ栽培チャンバを提示し、前記栽培空間を部分的に画定するサイロ壁を含み、前記ダクトが前記サイロ壁に相対的に取り付けられる、請求項
21に記載のサイロ栽培システム。
【請求項24】
前記空気システムは、それぞれが各供給プレナムを少なくとも部分的に画定する一連のダクトを含み、前記ダクトは、前記アセンブリ長に沿って延び、前記空気を前記栽培空間に排出するための出口を提示する、請求項
21に記載のサイロ栽培システム。
【請求項25】
前記サイロは、前記最初に述べたサイロ栽培チャンバを含む複数の垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバを提示し、
前記サイロ栽培チャンバは、互いに垂直方向に並んで延びており、
複数の螺旋状栽培アセンブリが、前記最初に述べた螺旋状栽培アセンブリを含み、前記螺旋状栽培アセンブリのそれぞれが前記サイロ栽培チャンバの対応する一つに配置されている、請求項1~
24のいずれか一項に記載のサイロ栽培システム。
【請求項26】
前記複数のサイロ栽培チャンバは、互いに流体連通している、請求項
25に記載のサイロ栽培システム。
【請求項27】
前記サイロ栽培チャンバの対応する一つに配置され、その中で菌類を培養するように構成された菌類生産アセンブリをさらに備え、
前記サイロ栽培チャンバは、互いに流体連通しており、前記各サイロ栽培チャンバ内の前記菌類から生じる熱及び二酸化炭素を、他のサイロ栽培チャンバ内の前記農作物に伝達するように構成されてなる、請求項
25に記載のサイロ栽培システム。
【請求項28】
前記サイロは、前記サイロ栽培チャンバに並んで垂直方向に延び、かつ前記サイロ栽培チャンバのそれぞれと流体連通するサイロ空気供給ビンを提示する、請求項
25に記載のサイロ栽培システム。
【請求項29】
農作物を栽培するための垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバに収容されるように構成された螺旋状栽培システムであって、前記螺旋状栽培システムは、
アセンブリ長に沿って延び、前記農作物をその中で受容かつ育成するための螺旋状栽培空間を少なくとも部分的に画定する螺旋状栽培アセンブリであって、前記螺旋状栽培アセンブリは、連続するトラックと育成システムとを含み、
前記トラックが前記螺旋状栽培アセンブリの前記アセンブリ長に沿って連続して延び、経路軸を画定する概して下向きの螺旋状経路を提示するとともに、前記トラックが前記農作物を前記螺旋状経路に沿って誘導するように構成され、
前記育成システムが前記トラックに沿って延び、
前記育成システム及び前記トラックにより画定される育成ゾーンにおいて前記農作物に
ミストまたは霧の直接的根施用を提供することにより、前記栽培空間内に
ミストまたは霧の供給を前記螺旋状経路に沿って誘導する、前記螺旋状栽培アセンブリと;
農作物の根系が可動作物支持体の下の空間内に前記育成ゾーンに伸びるように、前記農作物のうちの少なくとも一部を支持するように構成され
る可動作物支持体であって、前記トラックによって作動可能に支持され、かつ前記アセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、前記農作物を、前記螺旋状経路に沿って前記栽培空間を通って誘導するように構成されている
、前記可動作物支持体と;
を備える、螺旋状栽培システム。
【請求項30】
前記螺旋状栽培アセンブリは、端から端まで配列された一連の螺旋状セグメントを含み、隣接する螺旋状セグメントの各対がサイロ軸周りを回転し互いに少なくとも部分的に重なり合う、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項31】
前記螺旋状栽培アセンブリが、前記サイロ軸の長さに沿って略一定である内径寸法を画定する内側縁部を提示する、請求項
30に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項32】
前記トラックは、並んで配置され前記経路軸に沿って延びる一対のレールを含む、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項33】
前記可動作物支持体は、フレームと前記フレームに相対的に回転自在に取り付けられた複数の車輪とを含む可動カートを備え、前記車輪が対応するレールに作動可能に係合し、前記可動カートが前記螺旋状経路に沿って下向きに前進するのに伴って前記レールに沿って回転するように構成される、請求項
32に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項34】
前記可動作物支持体は、フレームと前記フレームに相対的に回転自在に取り付けられた複数の車輪とを含む可動カートを備え、前記車輪は、前記トラックに作動可能に係合し、前記可動カートが前記螺旋状経路に沿って下向きに前進するのに伴って前記トラックに沿って回転するように構成される、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項35】
前記可動カートは、複数の作物用開口部を提示するキャップを含み、前記開口部は、作物の根が前記キャップの下に配置され、かつ作物の葉が前記キャップの上に配置されるように、前記農作物の対応する部分を受容するように構成される、請求項
34に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項36】
前記可動カートは、前記農作物を支持するように前記フレームにまたがり、前記農作物の根が前記育成ゾーンに入るのを可能にするメッシュ底部を含む、請求項
34に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項37】
前記可動カートは、前記フレームにより支持され、複数の作物用開口部を提示するキャップを含み、前記開口部は、作物の根が前記キャップの下に配置され、かつ作物の葉が前記キャップの上に配置されるように、前記農作物を受容するように構成される、請求項
34に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項38】
前記育成システムが概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの下に配置されており、前記キャップは、不透明であり、光が前記可動カートを通過して前記育成ゾーンに入るのを制限するために前記螺旋状経路にまたがっている、請求項
37に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項39】
前記最初に述べた可動作物支持体を含み前記農作物を支持するように構成された複数の可動作物支持体を含み、
前記可動作物支持体は、前記トラックにより支持され、かつ前記アセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、前記農作物を、前記螺旋状経路に沿って前記栽培空間を通って誘導するように構成され、
前記可動作物支持体は、前記トラックに配置された際に互いに直列に配列される、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項40】
前記育成システムは、前記螺旋状経路に沿って延び、概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの下に配置される回収ベッドウェイを含み、
前記トラック及び前記回収ベッドウェイは、協働してそれらの間に育成ゾーンを画定し、前記育成ゾーンが、前記農作物を少なくとも部分的に受容し、前記育成ゾーン内の前記農作物に水及び/養分の供給を適用可能とするように構成される、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項41】
前記育成システムは、前記育成ゾーン内の前記農作物に
ミストまたは霧の供給分を排出する分注ノズルを含み、前記
回収ベッドウェイが
ミストまたは霧の供給分のうちの任意の過剰な部分を回収するように構成される、請求項
40に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項42】
前記育成システムの前記分注ノズルは、それぞれスプレー、霧吹き、及び/または噴霧器を含む、請求項
41に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項43】
前記回収ベッドウェイは、底壁と前記底壁から上向きに延びる対向する側壁とを含み、
前記底壁及び前記側壁が協働してチャネルを画定する、請求項
40に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項44】
前記トラックは、並んで配置され前記経路軸に沿って延びる一対のレールを含み、前記側壁は、前記レールのうちの各対応するレールに相対的に取り付けられる、請求項
43に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項45】
前記側壁は、前記回収ベッドウェイの上側縁部を提示しており、前記上側縁部及び床部がチャネル高さ寸法を規定し、前記側壁は、作物の根の深さに対応するように前記チャネル高さ寸法が増加及び/または減少可能となるように可撓性である、請求項
43に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項46】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記螺旋状経路に沿って延びる照明システムを含み、
前記トラック及び前記照明システムは、協働してそれらの間に照明ゾーンを画定し、前記照明システムは、前記照明ゾーンを照明し、これにより、前記農作物が前記螺旋状経路に沿って前進するのに伴って作物の光合成を促進するように構成され、
前記回収ベッドウェイは、不透明であり、光が前記照明ゾーンから前記育成ゾーンに入るのを制限するために螺旋状経路にまたがっている、請求項
40に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項47】
前記育成システムは、前記育成ゾーン内の前記農作物に水及び/または養分の供給分を排出する分注ノズルを含む、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項48】
前記育成システムの前記分注ノズルは、それぞれスプレー、霧吹き、及び/または噴霧器を含む、請求項
47に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項49】
前記螺旋状栽培アセンブリは、前記螺旋状経路に沿って延びる照明システムを含み、
前記トラック及び前記照明システムは、協働してそれらの間に照明ゾーンを画定し、前記照明システムは、前記照明ゾーンを照明し、これにより、前記農作物が前記螺旋状経路に沿って前進するのに伴って作物の光合成を促進するように構成される、請求項
29に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項50】
前記照明システムは、前記アセンブリ長に沿って離間され、概して前記アセンブリ長に沿った位置で前記トラックの上に配置された一連のライトを含み、前記一連のライトの少なくとも一部が前記螺旋状経路を通って径方向に延びる、請求項
49に記載の螺旋状栽培システム。
【請求項51】
エアロポニックス
及び/またはフォグポニック
スを用いる農作物の栽培方法であって、
(a)農作物を
少なくとも1つの可動カート上に支持し、少なくとも1つの可動カートを螺旋状経路上に配置する工程
(ここで、農作物の根系は、可動カートの下の空間に延び、育成ゾーンに自由に垂れ下がる)と;
(b)前記螺旋状経路に沿って下向きに前記農作物を前進させるのを助長する工程と;
(c)前記農作物が前記螺旋状経路に沿って前進するのに伴って前記農作物を成長させるために、
前記育成ゾーンの根に水
滴及び/
または養分
の液滴を
ミストまたは霧として分注することにより直接的根施用を提供する工程と;
(d)前記農作物を前記螺旋状経路から収穫する工程と;
を含む、農作物の栽培方法。
【請求項52】
前記工程(b)は、前記可動カート及び前記農作物を共に前記螺旋状経路に沿って前進させる工程を含む、請求項
51に記載の方法。
【請求項53】
前記工程(a)は、前記農作物を複数の可動カート上に支持する工程と、前記可動カートを互いに直列に配列する工程と、前記可動カートを前記螺旋状経路上に配置する工程とを含み、
前記工程(b)は、前記可動カート及び前記農作物を共に前記螺旋状経路に沿って前進させる工程を含む、請求項
51に記載の方法。
【請求項54】
(e)前記工程(b)中に前記可動カートの前進を制御するため、前記可動カートのうちの先頭の1つを制動する工程をさらに含む、請求項
53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年3月26日に出願された「栽培システム及び方法」と題された米国仮特許出願第62/648,032号の優先権の利益を主張するものであり、この出願は全体として引用することにより本明細書の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、水及び/または養分の直接的根施用を利用する作物栽培システムに関する。本発明の実施形態は、サイロ内に設置され、エアロポニックス、フォグポニックス、栄養膜技術、及び/または関連する直接的根施用技術を用いて複数束の農作物を栽培するように構成された螺旋状栽培アセンブリに関わる。
【背景技術】
【0003】
水及び養分の直接的根施用を利用した植物栽培システムは、当該技術分野でよく知られている。従来のシステムは、水耕栽培、水産養殖、及び/またはアクアポニックス技術を利用して、様々な種類の植物及び動物を成長させることが知られている。既知の水耕栽培システムには、植物を育成するために噴霧または霧吹きシステムを用いるエアロポニックスシステムやフォグポニックスシステムが含まれる。
【0004】
しかしながら、従来の水耕栽培システム、エアロポニックスシステム、及びフォグポニックスシステムは、いずれも様々な欠陥を有している。例えば、これらの従来のシステムでは、現代/現在の農法に適合した工業規模で野菜やその他の植物製品を生産することができず、概して大規模な作物生産を経済的に実行可能ではない。特に作物の生産速度において既知のエアロポニックスシステム及びフォグポニックスシステムは非効率であり、経済的に持続可能であるために必要なスループットが欠如している。また、既知のシステムは、水の使用量やエネルギー使用量(電気と熱の両方)に関しても非効率である。さらに、従来のシステムは、労働者の生産性(労働者の数と労働者の効率の両方において)や利用可能な施設スペースを十分に最大化するようには設計されていない。
【発明の概要】
【0005】
以下の簡単な概要は、本明細書に開示される主題の性質を示すために提供される。本発明の特定の態様を以下に記載するが、本概要は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
本発明の実施形態は、上記の従来技術の植物栽培システムの問題及び制限を生じない螺旋状栽培システムを提供する。
【0007】
本発明の第1の態様は、農作物を栽培するように構成されたサイロ栽培システムに関わる。本サイロ状栽培システムは、サイロ、螺旋状栽培アセンブリ、及び可動作物支持体を広義に含む。サイロは、垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバを提示する。螺旋状栽培アセンブリは、サイロ栽培チャンバ内に配置され、アセンブリ長に沿って延び、農作物をその中に受容かつ育成するための螺旋状栽培空間を少なくとも部分的に画定する。螺旋状栽培アセンブリは、連続するトラックと育成システムとを含む。トラックは、螺旋状栽培アセンブリのアセンブリ長に沿って連続して延び、経路軸を画定する概して下向きの螺旋状経路を提示するとともに、トラックが農作物を螺旋状経路に沿って誘導するように構成される。可動作物支持体は、農作物の少なくとも一部を支持するように構成される。可動作物支持体は、トラックにより作動可能に支持され、かつアセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、農作物を、螺旋状経路に沿って栽培空間を通って誘導するように構成される。育成システムは、トラックに沿って延び、農作物に水及び/または養分を供給する直接的根施用を提供することにより、栽培空間内に水及び養分の供給を螺旋状経路に沿って誘導する。
【0008】
本発明の第2の態様は、農作物を栽培するための垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバに収容されるように構成された螺旋状栽培システムに関わる。螺旋状栽培システムは、螺旋状栽培アセンブリ及び可動作物支持体を広義に含む。螺旋状栽培アセンブリは、アセンブリ長に沿って延び、農作物をその中に受容かつ育成するための螺旋状栽培空間を少なくとも部分的に画定する。螺旋状栽培アセンブリは、連続するトラックと育成システムとを含む。トラックは、螺旋状栽培アセンブリのアセンブリ長に沿って連続して延び、経路軸を画定する概して下向きの螺旋状経路を提示するとともに、トラックが農作物を螺旋状経路に沿って誘導するように構成される。可動作物支持体は、農作物の少なくとも一部を支持するように構成される。可動作物支持体は、トラックにより作動可能に支持され、かつアセンブリ長に沿って下向きに前進し、これにより、農作物を、螺旋状経路に沿って栽培空間を通って誘導するように構成される。育成システムは、トラックに沿って延び、農作物に水及び/または養分を供給する直接的根施用を提供することにより、栽培空間内に水及び/または養分の供給を螺旋状経路に沿って誘導する。
【0009】
本発明の第3の態様は、エアロポニックス、フォグポニックス、及び/または栄養膜技術を用いる農作物の栽培方法に関わる。本方法は、農作物を螺旋状経路上に配置する工程と、螺旋状経路に沿って下向きに農作物を前進させるのを助長する工程と、農作物が螺旋状経路に沿って前進するのに伴って農作物を成長させるために、水及び/養分を農作物に直接的根施用を提供する工程と、農作物を螺旋状経路から収穫する工程とを含む。
【0010】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明する概念を一部選択して簡単に紹介するために提供されたものである。また本概要は、請求項に記載の主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、請求項に記載の主題の範囲を限定するために用いられることを意図したものでもない。本発明の他の態様及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付の図面から明らかであろう。
【0011】
以下、下記の添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に従って構築されたサイロ栽培システムの斜視図であり、複数のサイロと、サイロ内に設置された複数の螺旋状栽培アセンブリとを有するサイロ棟を、螺旋状栽培アセンブリの概略的な表現を図示するためにサイロ壁の断面を除去した状態で示している。
【
図2】
図2は、螺旋状栽培アセンブリを模式的に図示した状態で、
図1に示されたサイロ栽培システムを示す拡大断片斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示すサイロ栽培システムの上面図であり、サイロ内の螺旋状栽培アセンブリとサイロ間に位置する侵入型垂直ビンとを図示するためにシステムの断面を示している。
【
図4】
図4は、
図1~3に示すサイロ及び螺旋状栽培アセンブリの1つの断片上部斜視図であり、栽培アセンブリが連続した螺旋状トラック、育成システム、照明システム、及び空気システムを備える状態で、可動カートの列を支持する栽培アセンブリの螺旋状セグメントを示している。
【
図5】
図5は、
図4と同様のサイロ、螺旋状栽培アセンブリ、及びカート列の断片下部斜視図であるが、育成システムが可動カートの下に螺旋状ベッドウェイを備えるとともに照明システムが螺旋状ベッドウェイの下に装着されたLEDライトを備えた状態で、構成要素の下面図を示している。
【
図6】
図6は、
図4及び
図5に示されたサイロ、螺旋状栽培アセンブリ、及びカート列の断片上面図である。
【
図7】
図7は、
図3と同様のサイロ栽培システムの断片上面図であるが、侵入型ビンの一つによって提示されるビンチャンバを示しており、当該ビンチャンバには空気システムのファンユニットによって冷却空気が供給され、ビンチャンバがこの冷却空気を隣接するサイロ内に設置された空気ダクトに分配している。
【
図7A】
図7Aは、
図7と同様のサイロ栽培システムの拡大断片上面図であるが、各空気ダクトにサイロ壁によって提示された各空気入口開口部を介して冷却空気が供給された状態で1つのサイロ中における空気ダクトの配置を示しており、さらに空気ダクトに沿った冷却空気の周方向の流れと、空気ダクトから排出された冷却空気流の径方向内向きの流れとを図示したものである。
【
図8】
図8は、
図4及び
図5に示されたベッドウェイとLEDライトの断片上部斜視図であり、対向しあう側壁と底壁とを有する、ベッドウェイの回収トレイを示しており、さらに、内側側壁を通って延びるように装着された水ノズル及び養分ノズルを示している。
【
図9】
図9は、
図8と同様のベッドウェイ及びLEDライトの断片下部斜視図であるが、トレイに沿って離間されたLEDライトを図示する下面図を示している。
【
図10】
図10は、
図8と同様のベッドウェイの断片上部斜視図であり、さらに過剰な水及び/または養分を回収するための回収トレイに関連した側溝及び縦樋を示している。
【
図11】
図11は、
図4~6に示されたサイロ、螺旋状栽培アセンブリ、及びカート列の断片斜視図であり、侵入型ビンから空気ダクトに冷却空気を供給する空気入口開口部を図示するために分割した1つの空気ダクトの一部を示しており、さらに空気ダクトに沿って離隔された複数穴のパターンからなる空気ダクトの出口を示している。
【
図12】
図12は、
図11に示す空気ダクトの拡大断片斜視図であり、空気ダクトの一端を囲んで示し、空気ダクトの円周面に沿って提示された複数穴のパターンを図示している。
【
図13】
図13は、
図1~3に示す螺旋状栽培アセンブリの概略図であり、コントローラ、水システム、養分システム、及び育成システムの液体戻りシステムを示す。
【
図14】
図14は、
図1~3に示す1つの螺旋状栽培アセンブリの概略断面図であり、ベッドウェイの各部分の上のトラックの複数の階に配置され、それぞれがフレーム、車輪、及び植物を受容するためのキャップを備える複数の可動カートを示しており、また植物の成長に対応するために、隣接する階の間隔が下方向に漸増していることを示している。
【
図14A】
図14Aは、
図14と同様の1つの螺旋状栽培アセンブリの拡大断片断面図であり、植物の根に噴霧/霧吹きを行うための育成ゾーンを間に画定するようにベッドウェイの上方に位置する可動カートを示しており、さらに植物の光合成を助長するために植物の天蓋を照らすための照明ゾーンを間に画定するようにLEDライトの下方に位置する可動カートを示している。
【
図15】
図15は、
図14と同様の1つの螺旋状栽培アセンブリの別の拡大断片断面図であり、トラック上で受容されたカート列の可動制御カートを示しており、当該制御カートが模式的に示された制動機構及び洗浄装置を備え、ここで、制動機構は、カート列の前進を制御するように構成され、洗浄装置は、前進中にベッドウェイを洗浄するように作動可能である。
【
図16】
図16は、
図15に示された1つの螺旋状栽培アセンブリの側面立面図であり、洗浄液を有する洗浄タンク、スプレーノズル、スキージ、及び洗浄装置の回転ブラシを示している。
【
図17】
図17は、
図1~3に示されたものと別の螺旋状栽培アセンブリの概略断面図であり、各可動カートが培養用のキノコ袋を受容するためのフレーム及び車輪を備えた、トラックの複数の階で受容された複数の可動カートを示しており、トラックの隣接する階の間で一定の間隔を保っていることを示している。
【0013】
図面は、本発明を、本明細書に開示及び記載された特定の実施形態に限定するものではない。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、好ましい実施形態の原理を明確に図示することに重点が置かれている。
【発明の具体的説明】
【0014】
まず、
図1~3、
図14及び
図14Aを参照すると、サイロ栽培システム30は、水及び/または養分の直接的根施用を利用して、植物Pの各種作物を栽培するための生産施設を提供する。
【0015】
図説したサイロ栽培システム30は、それぞれが好ましくは垂直螺旋状(すなわち、つる巻き状)の配向を有する複数の螺旋状栽培アセンブリ32を備える。サイロ栽培システム30は、システムの出力を最大化し、かつシステムの動作に必要なエネルギーを最小化するために、多数のエネルギー効率システム及びその改良を利用するものである。
【0016】
特に、各螺旋状栽培アセンブリ32は、サイロ栽培チャンバに装着されたつる巻き体として構成され、そのつる巻き体の軸に沿って延びる垂直方向に配向の中央アクセスシャフトT上に配置されている。このように、複数の植物支持体を、垂直方向に細長い螺旋状トラックのつる巻き状経路に沿わせ、中央アクセスシャフトT周りに下向きに巻いて連続して配列することができる。図示したサイロ栽培システムは、水平温室コンベアシステムとは対照的に、一定の直径を有するつる巻き体またはコイルとして構成されていることが認識されるであろう。
【0017】
より詳細に後述するように、サイロ栽培システム30は、螺旋状栽培アセンブリ32と、サイロ棟34と、複数の可動作物支持体36とを広義に備える。
【0018】
このシステムを用いると各種農産物の作物を栽培することができ、これら作物は、植物(植物Pなど)、菌類(キノコ袋Mに提供されるキノコなど)、及び/または動物を含み得る。このような農作物は、限定されないが、食用作物(人間の消費用)、飼料作物(動物の消費用)、繊維作物(織物用)、油作物(バイオディーゼル)、及び工業用作物(医薬品、化粧品)、例えば、レタス、葉菜、メロン、ベリー、ブドウ、大麻、ハーブ、菌類(例えば、キノコ)などを含み得る。このように、植物Pは、野菜、果物、穀物等を含んでもよい。キノコ袋Mは、様々な種類のキノコまたは他の菌類を含んでもよい。図説した実施形態では、植物Pを栽培し、キノコを培養するためにサイロ栽培システム30を使用することが図示されているが、サイロ栽培システム30が他の農産物の作物を栽培するように構成されることは、本発明の範囲内に完全に含まれる。
【0019】
本明細書に用いられる、用語「菌類」は、一般に、限定されないが、菌糸体、スポーン、キノコ、及び類似の用語を含む。そのような菌類は、図示した袋、他のタイプの菌類袋、または菌類のための様々な他の容器に用意してもよく、またはさもなければ菌類の培養に適した支持構造体によって運ばれ/支持されてもよいことが理解されるであろう。さらに、菌類には、おがくず、わら、または他の材料などの様々な基質を有していてもよいし、または有していなくてもよい。基質に菌類がコロニー形成し、様々な最終製品(例えば、キノコ果実体の生産を意図した菌類、または単にコロニー化された基質)を提供することができることが理解されるであろう。例えば、植物基質(例えば、キビ、ソルガム、またはイネ)に菌類がコロニー形成することは、本発明の範囲内である。その後、コロニー形成した基質を乾燥し、粉砕して、栄養を与えられた医薬品または栄養的に強化された小麦粉にすることができる。コロニー形成した基質はまた、後で使用するための(例えば、他の栽培者による)スポーンとしても機能し得る。キノコ袋Mは、好ましくは、キノコを含むが、各種の菌類を含むものであってもよく、菌類袋と呼ばれることもある。
【0020】
繰り返しになるが、サイロ栽培システムは動物を成長させるために用いられることも本発明の範囲内である。例えば、このシステムは、コオロギ(または他の昆虫)、ワーム、幼虫などを成長させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、作物の組み合わせが、最終製品の一部として共に提供され得ることが理解されるであろう。例えば、昆虫は、キノコミックスのタンパク質源として用いることができる(例えば、昆虫が粉砕され、コンボペレットにペレット化される)。
【0021】
作物の成長サイクルは、約12日から約60日までの範囲であってもよく、植物が螺旋状経路の底部に到達した際に収穫するよう完了してもよい。したがって、可動作物支持体36の移動速度は、それに応じて調整することができる。さらに、移動速度は、一定であってもよく(例えば、毎時2インチ)、または成長サイクルを通して停止/開始の期間を含んでもよい。
【0022】
直接的根施用技術
本明細書に開示される装置、システム、及び方法は、植物P(及び/または他の農作物)への水及び/または養分の直接的根施用を提供する作物栽培システム及び方法に関する。そのような直接的根施用は、好ましくは、直接根噴霧システム(例えば、エアロポニックス、フォグポニックスなど)を含む。本発明の特定の態様では、水及び/または養分は、例えば、栄養膜技術(NFT)などの他の直接的根施用方法を用いて投与することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、開示されたサイロ栽培システム30は、直接根噴霧システムを利用して、空気/ミスト環境を提供するように動作可能である。後述するように、植物Pの作物(及び/または他の農作物)は、成長サイクルの開始(上部)から収穫(底部)まで、栽培チャンバ内を移動する可動作物支持体36内/上に懸垂されて栽培される。野菜及び他の農作物の場合、可動作物支持体36は、植物の胴体、葉、及び/または茎基(すなわち、天蓋C)が可動作物支持体36によって根Rから分離されるように構成される。根Rは、生育培地に根を張ったり、水に浸漬させる代わりに、自由に垂れ下がり、作物支持構造体とドリップトレイとの間の空間で栽培チャンバの周辺環境(空気)に曝される。必要に応じて、水(水分)及び養分は、霧状または噴霧された養分豊富な水溶液を介して、作物支持構造体の下に延びる作物のぶら下がった根R及び下部茎に直接(ほとんどの場合は排他的に)送達される。植物の残りの部分(例えば、葉など)は比較的乾燥したままである。
【0024】
噴霧を生成するために用いられるノズルによっては、根に送達された水及び/または養分溶液は、マクロ水滴、ミストのミクロ水滴、またはさらにはより細かい霧状の液滴の形態であってもよい。作物支持構造体が本発明の作物コンベアシステムに沿って移動する際に、作物は、作物の種類に応じて適切な期間毎に光源(例えば、人工光)に曝される。
【0025】
また、以下にも述べるように、サイロ栽培システム30は、一連の所望の作物成長サイクルを提供する育成及び照明構成を備える。成長サイクルは、一般に、螺旋状の経路に沿って作物を下向きに前進させることに関連する。
【0026】
好ましくは、植物P(及び/または他の農作物)は、成長サイクルに関連付けられる特定の育成期間中に水及び養分で養成される。加えて、植物Pはまた、中間期間(例えば、中間休息期間)中において養成されてもよい。すなわち、隣接する育成期間の各対は、好ましくは中間期間で区切られている。植物Pは、中間期間中に、変更された育成スケジュール、または変化させた栄養レベルによって養成されてもよい。
【0027】
サイロ施設
図説したサイロ棟34は、螺旋状栽培アセンブリ32及び可動作物支持体36を収容する。サイロ棟34は、好ましくは、互いに並んで配列された複数の垂直なサイロ38a、38bを含む従来の穀物用エレベータを備える。サイロ棟34はまた、好ましくは、サイロ38の下に横方向に延びる地下室(図示せず)と、サイロ38の上部に沿って横方向に延びるギャラリー40とを備える。
【0028】
サイロ38は、各サイロ壁42によって形成され、対応するサイロ栽培チャンバ44a、44bを画定する(
図3参照)。各サイロ壁42はまた、作物を受容するためのサイロ栽培チャンバ44内に延びる対応する螺旋状栽培空間46を部分的に画定する(
図3及び
図14参照)。繰り返しになるが、図示されたサイロ38は植物P及びキノコMを受容するが、サイロ38が他の農作物を受容することは、完全に本発明の範囲内である。本明細書に用いられる、用語「サイロ栽培チャンバ」は、栽培及び/または培養のために様々な農作物(植物、菌類及び/または動物など)を受容するように構成されたチャンバを指す。
【0029】
サイロ38はまた、好ましくは、中央アクセスシャフトTの周りに配列された複数の垂直支持柱43を備える。各支持柱43は、好ましくは、螺旋状栽培空間46内に固定された構造梁を備える。好ましくは、鋼製の梁がIビームの輪郭を有する構造梁を含む。しかしながら、これら支持柱は、本発明の範囲と一致するように代替的に構築され得る。
【0030】
図示されたサイロ栽培チャンバ44は、それぞれ垂直方向に細長くなされている。特に、各サイロ栽培チャンバ44は、垂直方向に延びるほぼ円筒形の形状を有し、円形の断面の輪郭を有する。サイロ栽培チャンバは、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な形状をとり得ることが理解されるであろう。例えば、1つまたは複数のサイロ栽培チャンバは、ほぼ正方形または長方形である輪郭を有するような形状をとり得る。
【0031】
サイロ壁42はまた、好ましくは、互いに隣接して配置された空気入口開口部48の群を画定する(
図7及び
図7A参照)。空気入口開口部48は、螺旋状栽培アセンブリ32の対応する螺旋状セグメントに関連付けられており、螺旋状栽培空間46に空気を送るように構成されている。また、加えてまたは代替的に、1つまたは複数の空気入口開口部が、螺旋状状栽培空間から空気を送るように構成されていることも、本発明の範囲内である。サイロ38内の螺旋状セグメントは、好ましくは、空気入口開口部48の各群に関連付けられている。空気入口開口部48は、好ましくは、複数のサイロ栽培チャンバ44が互いに流体連通するように構成されている(本明細書に用いられる、用語「流体連通」及び「流体連通する」は、一般に、空気が各領域間を流れることが可能となされていることを示している)。
【0032】
また、サイロ38は、本発明の範囲内で(例えば、サイロ内に所望の空気流を送るために)多様な空気入口開口部を構成し得ることも認識されるであろう。さらに、空気ダクトの周方向の範囲は、サイロを完全に包囲する必要はない。空気ダクトは、好ましくは、「オン」状態のLED照明を有する領域に位置する。
【0033】
サイロ棟34はまた、好ましくは、サイロ38間に配置され、かつ各サイロ壁42によって画定される一連の垂直な侵入型ビン50(
図7参照)をも含むように構成される。以下に述べるように、侵入型ビン50の少なくとも1つは、空気入口開口部48の群を介して複数のサイロ38に空気流を送るように構成されている。図示された実施形態では、侵入型ビン50は、好ましくは、侵入型ビン50が複数の離散されたビンチャンバ50a、50bを有するように、1つまたは複数の内部分割壁51を有する(
図7及び
図7a参照)。ビンチャンバ50a、50bは、好ましくは、冷却空気を受容するが、互いに連通していない。ビンチャンバ50aは2つのサイロ38と連通し、ビンチャンバ50bはサイロ38の対応するものと連通する。以下に説明するように、ビンチャンバ50bには、各ファンユニットによって冷却空気が供給される。
【0034】
しかしながら、1つまたは複数の侵入型ビンが代替的に(例えば、サイロ38に冷却空気を供給するように)構成されていることも、本発明の範囲内である。例えば、ビンは、多くのまたは少ない数のビンチャンバを有し得る。代替的な実施形態では、ビンは、4つのビンチャンバを有し、それぞれが複数のサイロのうちの対応する1つのサイロとのみ連通し得る。他の代替的な実施形態では、ビンは、複数のサイロに冷却空気を供給する単一のビンチャンバを有し得る。
【0035】
本発明の範囲内の様々な実施形態では、サイロ栽培システムは、サイズの幅をとり得る1つまたは複数の垂直方向に配向されたハウジングまたはタワーを備えるように構成される。本明細書中の用語「ハウジング」、「タワー」、または「サイロ」は、図示されたサイロを参照し、かつ典型的にはその幅よりも大きい高さを有する、ハウジング構造の垂直方向に配向し垂直方向に細長い性質を図示するのに互換的に用いられる。しかしながら、本発明の特定の態様では、サイロ(及びサイロ栽培チャンバ)は、高さ寸法及び幅寸法の代替的な比率(例えば、高さ寸法が幅寸法よりも小さい場合)を有し得る。
【0036】
代替的な実施形態では、1つまたは複数のサイロは、自立しているか、または複数のハウジング構造のうちのより大きな構造またはこれらハウジング構造のグループの一部を形成することができる。いくつかの実施形態では、各サイロは、円筒形の垂直方向に細長く延びた構造物である。本システムのいくつかの実施形態では、世界中の多くの場所で利用可能な、再利用さもなければ空いている構造物へのアプローチとして、既存の穀物サイロ/エレベータまたはタワーを利用する。サイロは、コンクリート、鋼、及びそれらの組み合わせなどの様々な材料から作られてもよい。最も効率的な材料は、コンクリート、鋼などの、高強度と高熱質量の両方を有する材料が選択される。また、サイロ壁の厚さも、システムの効率に寄与する。
【0037】
サイロ壁の例示的な厚さは、約7インチ(7’’)から約10インチ(10’’)までの範囲である。サイロの高さは、約10フィート(10’)から、選択された材料の構造的限界までの範囲をとり得る。好ましくは、図示されたサイロ38は、それぞれ少なくとも約100フィート(100’)、より好ましくは少なくとも約120フィート(120’)、さらに好ましくは少なくとも約200フィート(200’)の高さを有する。複数の個々のサイロ構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、多様にグループ化することができる。
【0038】
複数の個々のハウジング構造は、水耕栽培、水産養殖、及び/またはアクアポニックスシステムの効率及び生産を向上させるために、好ましくは合わせてグループ化される。この設計に適用される熱力学的原理は、ハウジング構造が合わせてグループ化された場合、水耕栽培、水産養殖、及び/またはアクアポニックス環境の環境制御システムと結合されたときに、機械的及び受動的な熱交換システムを介して最大化される。
【0039】
コンクリート製の穀物用エレベータ/サイロやビンなどの垂直な工業用農業構造物を含む、工業規模の作業に従前使用されていた既存の施設及び構造物を適応するように再利用することにより、直接的根施用システムは、よりエネルギー効率の高い方法で工業規模で実施することが可能となる。また、既存の施設の設計及び強度は、自然に人手の投入やリスクを最小限に抑える。施設の強度及び制御を設計することで、フィルタリングされた空気流を提供する正圧実験室タイプの環境を作り出すことを可能にし、その結果、害虫及び植物の病気からの影響が最小限となる。例えば、いくつかの実施形態では、サイロ複合体内の空気圧は、サイロ複合体に外気が侵入するのを抑えるために、大気圧よりも大きな圧力で維持されてもよく、これにより、栽培作業への汚染物質の侵入を減少または排除することさえできる。サイロ壁はまた、好ましくは、害虫の侵入に対する不浸透性バリアを提供する。
【0040】
穀物用エレベータ/サイロやビンなどの既存の構造物は、本明細書に記載されているシステムの場所として適しているが、システムは、特に、これらのタイプのシステムを収容することを目的として設計かつ構築された新しい構造物に設置されてもよい。いくつかのプロジェクトは、既存の構造物の再利用と新しい補完的な構造物の構築の組み合わせで構成されていてもよい。また、1つまたは複数のサイロが垂直な地下サイロを構成する場合や、サイロが新たに掘削されたものであったり、あるいは既存の地下サイロから適応されたものであることも、本発明の範囲内である。
【0041】
さらに、施設の大きさ、範囲、及び独自の設計により、非伝統的なエネルギー源/方法を利用して、とりわけ、施設内において、水の移動及び/または動力化、ならびにエネルギー節約を可能とする。例えば、風車または風力タービンは、構造物の屋根(典型的なサイロの高さで比較的高い風の可能性を持つ)の上に設置し得、ソーラーパネルは、構造物の屋根または側面に配置し得る。また、独自の栽培方法で生じた廃熱を捕獲して施設内で再利用することができる(または、専用の蓄熱サイロで安価な粗石を用いて気候電池に蓄熱することもできる)。施設の高さ、強度、及び垂直方向の配向により、低いエネルギーまたは抑えたエネルギーを投入したポンプ及び/または技術を介してエネルギー回収をも可能となる。
【0042】
既存及び特定の設計主導型の水冷暖房技術システムと施設にわたって設置された装置を組み合わせることで、作物とその周辺の温度を制御し、取り込んだエネルギーを再分配する。廃熱を捕獲することで、エネルギーニーズを削減し、施設の二酸化炭素排出量をさらに削減可能とする。加えて、キノコはその代謝の副産物としてCO2を放出するため、システム内でキノコを栽培すると、システム内で栽培された作物による光合成に必要なシステム内のCO2レベルを有益に増加させることができる。このように、キノコの成長領域からCO2が送出されることで、施設の残りの部分での野菜の成長を高め、動作の他の観点として熱廃棄物及び作物廃棄物の両方の廃棄物の処理を可能にする。
【0043】
螺旋状栽培アセンブリ
図2~6及び
図13~14Aを参照すると、螺旋状栽培アセンブリ32は、好ましくは、端から端まで配列された一連の螺旋状セグメント52を含む(
図2、
図4、及び
図5参照)。一連の螺旋状セグメントは、好ましくは、上端64aから下端64bに向かって下向きに進行する。これらの螺旋状セグメント52、すなわち螺旋状層は、サイロ軸A1の周りを全回転して延びており(
図3参照)、これにより、螺旋状栽培アセンブリ32の1つの「階」を提供する。隣接する螺旋状セグメント52の各対は、横方向に沿って互いに少なくとも部分的に重なっている。より好ましくは、螺旋状セグメント52は、互いに実質的に重なっている。
【0044】
螺旋状栽培アセンブリ32は、より多くのセグメントまたはより少ないセグメントを有し得るが、好ましくは、約60個の螺旋状セグメント52を有する。サイロ栽培システム30はまた、好ましくは、可動作物支持体36が1日あたり約2回転前進するように作動可能である。ただし、作物支持体は、1日あたり2回転未満の速度で、または1日あたり2回転よりも大きい速度で前進し得る。可動作物支持体36は、好ましくは約12(12)日から約60(60)日までの範囲の経過時間で、螺旋状栽培アセンブリ32の全長を移動することが意図されている。しかしながら、螺旋状栽培アセンブリ32の長さ及び/または可動作物支持体36の速度は、経過時間を(例えば、特定の農作物の必要性に基づいて)増加または減少させるように調整することができる。
【0045】
螺旋状栽培アセンブリ32は、サイロ栽培チャンバ44内に配置され、アセンブリ長54(
図1参照)に沿って延び、その中に植物P(及び/または他の農作物)を受容する螺旋状栽培空間46を少なくとも部分的に画定する。
【0046】
螺旋状栽培アセンブリ32は、好ましくは、連続した螺旋状のトラック56(
図4、
図5、及び
図14参照)、育成システム58(
図13参照)、照明システム60(
図5参照)、及び空気システム62(
図7、
図7A、及び
図12参照)を備える。
【0047】
トラック56は、螺旋状栽培アセンブリ32のアセンブリ長54に沿って連続的に延び、経路軸A2を画定する概して下向きの螺旋状経路64を提示する(
図4~6参照)。トラック56は、好ましくは、螺旋状経路64に沿って植物P(及び/または他の農作物)を誘導するように構成されている。
【0048】
螺旋状栽培アセンブリ32は、螺旋状栽培アセンブリ32の内側縁部66によって規定される内径寸法D1を有する(
図6参照)。内径寸法D1は、好ましくは、サイロ軸A1の長さに沿って実質的に一定である。内径寸法D1は、好ましくは、約4フィート(4’)から約20フィート(20’)までの範囲であり、より好ましくは、約8フィート(8’)である。
【0049】
トラック56はまた、螺旋状栽培アセンブリ32の内側縁部66から外側縁部68まで測定されたトラック幅寸法D2を提示する(
図6参照)。トラック幅寸法D2は、好ましくは、螺旋状経路64の幅に対応する。
【0050】
トラック56の螺旋状形状は、好ましくは、サイロ壁の形状に沿って設計されたほぼ円形の輪郭を有する。トラックは、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な輪郭形状を有する螺旋状構造を有し得ることが理解されるであろう。例えば、1つまたは複数のトラックは、ほぼ正方形または長方形である輪郭を有するような形状をとり得る。このような代替的なトラックの螺旋状構成は、トラック及びサイロが補完的な形状となるように(例えば、トラックが正方形または長方形の輪郭を有する構造物に設置されている場合に)望ましい構成とすることができる。
【0051】
トラック56は、好ましくは、互いにほぼ平行に配列され、経路軸A2に沿って延びる内側及び外側レール70、72を含む(
図6及び
図14参照)。内側及び外側レール70、72は、好ましくは、可動作物支持体36を受容するための螺旋状のガイドレールを備える。内側レール70は、支持柱43によって中央アクセスシャフトTに沿って構造的に支持されている。内側レール70は、留め具を用いて支持柱43に取り付けられ、サイロ栽培チャンバ44の上部に向かって底部から延びている。外側レール72は、サイロ栽培チャンバ44を取り囲むサイロ壁42に沿って構造的に支持され、留め具によりこれに取り付けられていてもよい。
【0052】
中央アクセスシャフトT周りに同じ角度変位の場合、内側レール70は、概して外側レール72とほぼ同じ垂直方向の距離を下降するが、内側レール70は、その下降において外側レール72よりも少ない総距離を移動することになることが認識されるであろう。したがって、内側レール70のピッチ(すなわち、レールの水平方向の行程単位当たりのレールの上昇に対応する角度)は、外側レール72のピッチよりも必然的に大きくなる。レール70、72のピッチは、好ましくは約1度(1°)から約10度(10°)の範囲であり、より好ましくは約1度(1°)から約5度(5°)の範囲である角度を含む。好ましい実施形態では、内側レール70のピッチは、好ましくは約5度(5°)未満であるため、外側レール72のピッチは、それに対応してより小さい量である。トラック間隔が漸増する螺旋状構成の場合、内側レールの最大ピッチは、一般的に、植物の高さがほぼ最大値になるサイロの底部に隣接して発生する。
【0053】
レール70、72のピッチは、本発明の範囲から逸脱することなく調整し得る。例えば、後述するように、キノコの培養(または他の菌類の培養)に用いられる栽培アセンブリは、隣接するトラックセグメント56a間に垂直方向の間隔寸法D3を有しており、これは、螺旋状経路64に沿って内側及び外側のレールのそれぞれについて、好ましくは実質的に一定である(
図17参照)。
【0054】
様々な代替的な実施形態では、レールのピッチは、全トラック長に沿って下向き方向に一定ではないか、または漸増する輪郭を有してもよいことも理解されるであろう。レールは、ピッチが急に変化してトラックに不連続性をもたらす(例えば、1つまたは複数のカートの停止または減速を助長する)場合、アセンブリ長54に沿って離間する1つまたは複数のレールセクションを含んでもよい。例えば、トラックが比較的平坦な断面を有するようにピッチが約ゼロである場合、1つまたは複数のレールセクションが、このトラックに沿って提供されてもよい。
【0055】
また、1つまたは複数のレールセクションは、カート列を比較的より積極的に停止または減速させるために、上向きに傾斜していてもよい。このような上向きのレールセクションは、当該レールセクションがトラック上で鋭い不連続性をもたらすように、比較的緩やかなまたは比較的鋭い傾斜やピッチを有してもよい。
【0056】
同様の方法で、1つまたは複数のレールセクションは、隣接するレールセクションと比べて、比較的大きなピッチ(及び比較的大きな垂直方向の降下)を提供するようにアセンブリ長54に沿って離間されていてもよいことは理解されるであろう。このような大きな下向きのピッチのレールセクションは、様々な理由で(例えば、カート列の円滑で効率的な移動を助長するために)採用されてもよい。大きな下向きのピッチのレールセクションは、当該レールセクションが1つまたは複数の離散的な階段ステップ状のレール表面の形態で不連続性をもたらすように、比較的緩やかなまたは比較的鋭い勾配またはピッチを有していてもよい。1つまたは複数の階段ステップ状のレール表面は、当該レールがほぼ鋸歯状のレール表面の輪郭を呈するように、比較的鋭い角を有してもよい。他方、1つまたは複数の階段ステップ状のレール表面は、当該レール表面の輪郭が1つまたは複数の滑らかな隆起で起伏するように、丸みを帯びたコーナーまたは滑らかなコーナーを有していてもよい。鋸歯状または隆起状のレール表面が、様々な理由で(例えば、概してカートの加速度を減少させるためや、概してレールの1つまたは複数の部分のピッチ角を調整するために)採用されてもよいことが理解されるであろう。
【0057】
トラック56は、好ましくは、サイロ軸A1周りに実質的に全回転して延び、螺旋状セグメント52と関連付けられるトラックセグメント56aを含む(
図4及び
図5参照)。隣接するトラックセグメント56a(各360度部分)間の垂直方向の間隔寸法D3は、様々な構成で提供されてもよい(
図14参照)。好ましくは、図示された螺旋状栽培アセンブリ32の場合、隣接するトラックセグメント56a間の間隔寸法D3は、螺旋状経路64の上端64aから螺旋状経路64の下端64bまで漸次的に大きくなる。この漸増する間隔は、
図14に概略的に図示されている(
図1及び
図2の螺旋状栽培アセンブリの図示は模式的であり、隣接するトラックセグメント間の漸増する間隔を正確には示していない)。
【0058】
このような構成は、作物が螺旋状の作物支持コンベアシステムに沿って上部から底部へ移動する間に成長するため、発育した大きくて成熟した作物よりも、若くて/小さい種/作物の方がより短い垂直な空間を必要とすることから、作物の成長において望ましい。
【0059】
最も好ましくは、間隔寸法D3は、照明システム60のライトと植物P(及び/または他の農作物)の上部との間の照明距離寸法D4が、螺旋状経路64に沿って実質的に一定となるように、好ましくは増加する(
図14参照)。繰り返しになるが、キノコの培養の場合、隣接するトラックセグメント56a間の垂直方向の間隔寸法D3は、好ましくは、螺旋状経路64に沿って実質的に一定である(
図17参照)。
【0060】
隣接するトラックセグメント56a間の垂直方向の最小間隔は、ベッドウェイの高さ、レールの高さ、及び栽培されている作物の高さの組み合わせによって制限される。同様に、照明距離寸法D4は、作物が成長サイクルを経て進行するにつれて調整することができる。照明間隔に加えて、照明スペクトル、強度、及び温度についても、植物の生活サイクル中において若いまたは成熟した作物のための光の性質を最適化するように経路に沿って変化させてもよい。異なるタイプの作物はまた、それらの領域の照明条件を最善に利用するために、カートの内縁に沿って、またはカートの外縁に沿って配置されてもよい。漸進的な間隔寸法D3は、好ましくは、サイロ38内の作物密度を最大化するために用いられるが、作物の上部に対する照明高さを変化させることによって、概して一貫した間隔寸法を用いてもよい。
【0061】
可動作物支持体
図4~6及び
図14及び
図14Aを参照すると、各可動作物支持体36は、好ましくは、螺旋状のトラック56と回転自在に係合し、垂直方向に細長いサイロ栽培チャンバ44の上部から底部まで螺旋状経路64に沿って(例えば、重力により)移動する車輪を備えて装着されている。
【0062】
可動作物支持体36は、植物P(及び/または他の農作物)を支持し、制御された方法でトラック56に沿って前進するように構成されている。図説した実施形態の複数の可動作物支持体36は、好ましくは、少なくとも1つのカート列74を協働して形成するように端から端まで配列されている(
図3~6参照)。以下に説明するように、可動作物支持体36は、重力の力の下でアセンブリ長54に沿って下向きに前進するように構成され、これにより、植物Pを、螺旋状栽培空間46を通って螺旋状経路64に沿って誘導する。可動作物支持体36はまた、概して螺旋状栽培空間46の育成ゾーンFを螺旋状栽培空間46の照明ゾーンLから分離する(
図14参照)。
【0063】
可動作物支持体36は、好ましくは、可動カート76a、76b、及び可動制御カート77を備える。記載されるように、図示されたカート列74は、互いに着脱可能に接触する隣接するカート76、77の対を含む。ただし、代替的なカート列では、取り付けられた隣接する対のカート76、77を含み得る。
【0064】
カート76、77は、トラック56に取り外し可能に支持され、植物P(及び/または他の農作物)を支持するように構成されている。カート76、77は、アセンブリ長54に沿って下向きに前進し、これにより、植物Pを、螺旋状栽培空間46を通って螺旋状経路64に沿って誘導するように構成されている。好ましくは、各カート列74は、それ自体及びカート列74内の他のカートの前進速度を制御する少なくとも1つの制御カート77を含む。代替的な実施形態では、カートの前進は、好ましくは、とりわけ、電磁装置またはカートを減速させるための物理的な制限を用いることにより、トラックに沿った一連の位置で機械的な制限によって制御される。
【0065】
各カート列74の図示されたカート76a、77は、好ましくは、植物P(及び/または他の農作物)の一束を支持するように構成され、フレーム78、メッシュ底部80、キャップ82、及び車軸86a、86bによってフレーム78に相対的に回転自在に取り付けられた複数の車輪84を備える(
図4及び
図14A参照)。カート76bは、好ましくは、キノコ袋Mを支持するように構成されており、とりわけ、フレーム78、メッシュ底部80、車輪84、及び車軸86a、86bを備える。
【0066】
各サイロ38a内では、フレーム78は、カートがトラック56に沿って前進する際に、キャップ82及び植物Pを支持するための構造部材として機能する。同様に、サイロ38b内では、フレーム78は、キノコ袋Mを支持する。図示されたフレーム78は、ほぼ台形状に配置されて互いに固定された複数の側面部材88を含む(
図6及び
図14A参照)。
【0067】
ただし、フレームが代替的な多角形(例えば、長方形、三角形、五角形など)、または別の閉じた図形(例えば、1つまたは複数の湾曲した側面を有する図形)などの代替的な形状を有することは、本発明の範囲内である。
【0068】
各側面部材88は、2面により角度を構成する輪郭を有するが(
図14A~16を参照)、側面部材88は、代替的に形成され得るものである。例えば、1つまたは複数の側面部材88は、ほぼ管状の輪郭(例えば、正方形、長方形、または円形の管状の輪郭)を呈し得る。
【0069】
メッシュ底部80は、好ましくは、一様に配列かつ離間された菱形の孔80aのパターンを呈する、予め形成された拡張された金属パネルを含む(
図6及び
図14A参照)。孔80aは、好ましくは、作物の成長を助長しながら、根Rがメッシュ底部80の下に延びることを可能とするような大きさ及び構成とされている。メッシュ底部が交互に形作られ及び/または配列された孔を有することも本発明の範囲内である。
【0070】
メッシュ底部80は、好ましくはフレーム78にまたがっており、フレーム78と協働してキャップ82を受容するカートポケット90(
図14A参照)を画定する。フレーム78はまた、カートポケット90に関連付けられるオープントップ92(
図14A参照)を提示する。
【0071】
代替的な実施形態では、カートは、メッシュ底部を使用せずに構成し得る。例えば、そのような代替的なカートは、メッシュ底部を欠いた状態で、キャップ82の孔に水耕栽培植物支持体を設置させることができる。
【0072】
サイロ栽培チャンバ44aに設置されたカート76aでは、メッシュ底部80が植物P(及び/又は他の農作物)を支持するように構成され、植物Pの根が育成ゾーンFに入るのを可能とする。サイロ栽培チャンバ44bに設置されたカート76bでは、メッシュ底部80がキノコ袋Mを支持するように構成されている。
【0073】
フレーム78及びメッシュ底部80は、好ましくは、亜鉛メッキ鋼材料を含む。しかしながら、フレーム及びメッシュ底部は、加えてまたは代替的に、別の金属材料(例えば、ステンレス鋼またはアルミニウム)及び/または樹脂材料(例えば、プラスチックまたは合成樹脂材料)を含み得る。
【0074】
キャップ82は、好ましくは、ユニット化された構造からなり、複数の作物用開口部94を提示する(
図6及び
図14A参照)。図説した開口部94は、キャップ82を貫通して延びており、各開口部94は、円形の輪郭を有する円筒形状を有している。しかしながら、1つまたは複数の開口部94は、本発明の範囲内で代替的な形状とり得る。例えば、開口部の輪郭は、楕円形、多角形(例えば、正方形、長方形、三角形など)、テーパー状、またはスロット状であり得る。
【0075】
開口部94は、好ましくは、開口部94が互いに離間している均一なパターンで配列される。開口部は、好ましくは、所望の作物栽培を助長し、かつ/またはサイロ栽培システム30による作物の生産スループットを最大化するために離間させることが認識されるであろう。その結果、開口部は、様々な均一及び/またはランダムなパターンで(例えば、所望の植物間隔を提供するために)配列することができる。
【0076】
開口部94は、植物の根Rが概してキャップ82の下に配置され、植物の天蓋Cが概してキャップ82の上に配置されるように、植物Pの対応するものを受容するように構成される(
図14A参照)。
【0077】
キャップ82及び各カートの残りの部分は、好ましくは、光がカートを通過して育成ゾーンFに入るのを防ぐように構成されている。作物用開口部94の一部は、未使用で開放したままとして模式的に図示されている(特に
図14及び
図14A参照)が、任意の未使用の開口部は、光がカートを通過するのを防ぐために、概して不透明な材料層(図示せず)で覆われていることが好ましい。さらに、植物とその植物を受容する各開口部との間に任意の隙間が存在するかぎりにおいては、光がカートを通過するのを防ぐために、そのような任意の隙間は、概して不透明な材料層で覆われていることも好ましい。様々な実施形態では、1つまたは複数の不透明な材料層は、カートを通る光の透過を防止するために、キャップに対して相対的に配置され得る。
【0078】
キャップ82は、好ましくは、押出されたポリスチレン(XPS)発泡材料を含む。図示されたキャップ82はまた、好ましくは不透明であり、光が可動カート76を通過して育成ゾーンFに入るのを制限するために螺旋状経路にまたがっている。
【0079】
1つまたは複数のキャップもまた、本発明の範囲内で代替的に構築され得る。代替的な実施形態では、キャップは、合成樹脂材料の比較的薄い層を含み、作物用開口部を提供する一連のスロット付き開口部を画定し得る。例えば、各作物用開口部は、交差する複数のスロットを切断して、その交差点で交わり、ほぼ星形の開口部を形成する角度の付いたタブのリングを形成することによって形成され得る。
【0080】
後方及び前方の左側の車軸86aは、好ましくは、対応する車輪84を回転自在に支持するように、フレーム78の各コーナーに隣接してフレーム78に剛性的に装着されている。右前の車軸86bは、好ましくは、別の車輪84を回転自在にかつシフト可能に支持するように、フレーム78に相対的に摺動可能に取り付けられている(
図6及び
図14A参照)。車軸86bは、好ましくは、カート76、77のすべての車輪84がレール70、72上を滑らかに乗り、トラック56上でカート76、77を協働的に支持するように、垂直方向に摺動可能である。
【0081】
車軸86bは、上部位置(図示せず)と下部位置(
図14A参照)との間でフレーム78に対して相対的に垂直に移動可能となるように、フレーム78に摺動可能に取り付けられている。車軸86bはまた、好ましくは、ばね(図示せず)によって下部位置に付勢される。このようにして、各車輪84は、カート76がトラック56上に支持されている間、内側レール70に転動係合するように付勢される。上記のように、内側及び外側レール70、72は、トラック56のつる巻き状の形状故に、互いに異なるそれぞれのピッチを有している。内側レールと外側レールとの間のピッチの相対的な差はまた、トラック長に沿った特定の位置に応じて(例えば、トラック間隔の漸増またはトラック間隔の別の変化によって)異なってもよい。好ましくは、摺動可能な車軸配列により、全ての車輪84がトラック56に滑らかかつ連続的に係合するように、カート76がトラック56に沿って前進可能となる。
【0082】
図示された車輪84は、対応するレール70、72に作動可能に係合し、可動カート76、77が螺旋状経路64に沿って下向きに前進するにつれてレール70、72に沿って転がるように構成されている。
【0083】
繰り返しになるが、カート76、77は、好ましくは、少なくとも1つのカート列74を形成するように互いに直列に配列され、農作物(例えば、一束の植物P)を保持する。図示された実施形態では、隣接するカート76、77の各対は、互いに取り外し可能に接触している。好ましくは、カート列74の隣接する対のカート76、77は、カート列74が螺旋状経路64に沿って下向きに前進するにつれて、概して互いに接触したままを維持する(または密接に隣接したままである)。
【0084】
しかしながら、代替的な実施形態では、隣接する対のカート76、77は、互いに取り付けられ得る。例えば、隣接するカート76、77は、様々なタイプのコネクタ、例えば、ねじ付き留め具(例えば、ボルト、ねじ、ナットなど)、ロープ、ワイヤ、磁石などで、互いに取り外し可能に取り付けられ得る。コネクタは、好ましくは、隣接するカート間の相対的な摺動を可能にするコネクタで構成する。この目的のためには、コネクタは、隣接するカート間に摺動可能な接合部を(例えば、枢動ジョイント及び/または摺動ジョイント)を協働的に形成する相補的なコネクタの使用を含んでもよい。
【0085】
各カート列74は、所望のカート列長を提供する各一連のカート76、77を含む。
図4~6に図示されたカート列74は、直列に配列された12個のカート76、77を含み、カート列74は、トラック56に沿って実質的に全回転して延びる。
【0086】
しかしながら、カート列74は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々なカート列長で提供され得る。例えば、1つまたは複数のカート列は、長さが一周分よりも長くても、または長さが一周分未満であっても可能である。カート列長は、生産スループットを最適化し、及び/または他の適切な作動目的のために、所望の成長サイクルや栽培する特定の種類の作物と関連して設定または調整し得ることが認められるであろう。各カート列74は、以下に述べるように、好ましくは、他のカート列74とは独立して制御可能である。
【0087】
好ましくは、カート列74は、重力の力によって下向きに前進するように構成されている。同時に、カート列74は、作物の成長を助長し、カート列74が螺旋状栽培アセンブリ32の底部に到達したときに所望の成長を実現するように、その前進を制御するように作動可能である。
【0088】
図15を参照すると、制御カート77は、カート列74内の他のカート76の前に配置されており、好ましくは、制動機構96及びベッドウェイの洗浄装置97を備える。制動機構96は、制御カート77を制御し、カート列の前進を助長するために作動可能である。制動機構96は、制御カート77の対応する車輪84に関連付けられた一対の従来の摩擦ブレーキ98を備える。ブレーキ98は、車輪84の回転を防止するために選択的に完全に係合し、自由な車輪の回転を可能にするために選択的に係合を解除することができる。加えて、ブレーキ98はまた、限定された車輪の回転を可能にするために、係合の解除と完全な係合との間で漸進的に係合させることもできる。
【0089】
図示された制御カート77はまた、制動機構96及び洗浄装置97の作動を助長するために、オンボードCPU100、バッテリ102、ソーラーパネル104、及びトランシーバ106を備える。洗浄装置97は、好ましくは、洗浄液110を有するタンク108と、洗浄液110を分注するためのノズル112と、スキージ114と、電動の回転ブラシ116とを備える(
図15及び
図16参照)。
【0090】
ブレーキ98は、CPU100に作動可能に連結されて、制御カート77の前進を制御かつ助長する。CPU100は、ライン102aを介してバッテリ102から電力を供給される。CPU100は、移動が望まれるとき(すなわち、好ましくは、ブレーキが通常係合している)、ブレーキ98を解放するために電力を供給することにより、ブレーキ98を選択的に作動する。ブレーキ98は、係合しているとき、前輪84の回転を制限し、これによって制御カート77がトラック56に沿って転がることを制限する。ブレーキ98は、CPU100によって係合が解除されているとき、前輪84の自由な回転を可能とし、これによって制御カート77がトラック56に沿って転がることを可能とする。
【0091】
CPU100は、制御カート77が任意の速度範囲で下降可能であるとともにトラック56上で選択的に停止可能となるように、ライン98aを介してブレーキ98を制御し、かつブレーキ98を作動させるように構成されることが理解されるであろう。ブレーキ98は、対応するカート速度の減速を提供するように、CPU100によって漸進的に係合されるように構成されてもよい。同様に、ブレーキ98は、対応するカート速度の増加を提供するように、CPU100によって漸進的に係合解除されるように構成されてもよい。
【0092】
例えば、制御カート77及び対応するカート列74の残りの部分は、好ましくは、トラック56を1日あたり約2回転(またはレベル)通過して移動する。しかしながら、制御カート77がトラック56に沿ってより遅い速度またはより速い速度で前進することは、本発明の範囲内である。例えば、制御カート77の速度は、異なるタイプの作物の最適な成長を助長するために調整されてもよいことが認識されるであろう。
【0093】
CPU100は、トランシーバ106に作動可能に連結され、これにより、好ましくは、中央制御局117と無線で通信する。CPUは、中央制御局117から様々な操作コマンドを受信し、中央制御局117に様々な操作データを送信するように構成されている。また、様々な操作コマンド及び操作データは、洗浄装置97の一部に設けられたメモリ(図示せず)に記憶され、制御カート77に取り付けられ記憶されてもよいことが認識されるであろう。サイロ栽培システム30は、制御カート77の様々な特徴を作動するために代替的な制御装置及び/または通信装置を利用することは、本発明の範囲内である。
【0094】
また、制御カート77は、好ましくは、互いに独立して制御可能である。このように、各カート列74は、好ましくは、アセンブリ長54に沿った植物P(及び/または他の農作物)の所望の前進を可能にするように、他のカート列74と独立して制御可能である。
【0095】
本発明の原理は、複数のカート列74の制御カート77が互いに連通し、かつ/または中央制御局117と連通して、互いに動作を調整する場合にも、同様に適用可能である。例えば、制御カート77は、互いに通信し、同じ螺旋状経路64に沿って(例えば、制御カート77が同じ時間及び/または同じ速度で前進するように)それらの前進を調整し得る。
【0096】
各カート列74は、好ましくは、カート列の前進を制御するリードカートを提供するために、1つまたは複数のカート76の前に配置された一つの制御カート77を備える。ただし、カート列74がリードカートとして直列に配列された複数の制御カート77を含むことも、本発明の範囲内である。複数の制御カートが、カート列74の前進を交互にまたは協働して制御するように構成され得ることが認識されるであろう。
【0097】
さらに、1つまたは複数の制御カートは、カート列の前進を制御するために、カート列に沿って交互に配置され得る。例えば、制御カートは、一対のカート76間に、またはカート列の後端に配置され得る。そのような代替的な実施形態では、カート列内の全てのカートが、1つまたは複数のカートが互いに分離されることを制限するために、互いに取り付けられている(またはそうでなければ接続されている)ことが必要であり得ることが理解されるであろう。
【0098】
本発明の特定の態様では、1つまたは複数のカート列は、制御カートを欠いていてもよい。例えば、カート列(または個々のカート)は、カート列の一部ではない外部の電動駆動システムに連結され得る。
【0099】
一般に、図説したカート76は、好ましくは、カート列の前進に対して制動制御(または駆動制御)を提供しない。しかしながら、本発明の特定の態様では、1つまたは複数のカート76は、制動機構及び/または駆動機構を備え得る。
【0100】
繰り返しになるが、制動機構96は、カート列74の螺旋状経路64に沿った前進を助長するように構成されている。制御カート77は、好ましくは、重力によって、かつ制動機構96を作動させることによって、トラック56に沿って下向きに前進するが、制御カート77が、カート列の前進を助長するようにトラック56に沿って選択的に動力を与えられることは、本発明の範囲内である。例えば、制御カートは、車輪84の少なくとも1つに作動可能に動力を与えて制御カートを駆動し、それによってカート列をトラック56に沿って前進させる動力付きモータ(例えば、電動機、油圧モータなど)を備えることができる。
【0101】
繰り返しになるが、本発明のいくつかの態様では、カート列は、カート列自体の一部ではない外部の電動駆動システムによって駆動され得る。例えば、図示されたサイロ栽培システムは、トラックに沿って作動可能に支持され、カート列の1つまたは複数のカートを駆動する電動式コンベヤシステムを有し得る。様々な実施形態では、連続コンベアシステムは、1つまたは複数の可動カートを係合かつ駆動するために1つまたは複数の車輪及び/またはエンドレス駆動要素(例えば、チェーン、ベルト、ロープなど)を備え得る。このような代替的なコンベヤシステムでは、カートがそれぞれコンベヤシステムによって着脱可能に係合されるユニット化されたトレイを構成し得る。
【0102】
ソーラーパネル104は、ライン104aを介してバッテリ102に電気的に接続されており、光に曝されたときにバッテリ102を充電するように構成されている。図示された実施形態では、ソーラーパネル104は、好ましくは、照明システム60に露出しており、これにより、ソーラーパネル104がバッテリ102を充電するようになる。このように、制御カート77がトラック56に沿って前進すると、照明システム60に関連付けられたLEDライトがソーラーパネル104を充電し、これにより、順次バッテリ102を充電する。
【0103】
また、制御カートが代替的に構成されたソーラーパネルを備えるか、またはソーラーパネルを欠いているかについても、本発明の範囲内である。例えば、制御カートは、バッテリ102によってのみ電力を供給されるように作動可能であり得る。他の代替的な実施形態では、制御カートは、別の電源から電力を受け取ることができる。例えば、サイロ栽培システム30は、制御カートに電力を供給するために、トラック56の長さに沿って延びる電力線を含み得る。そのような実施形態では、制御カートは、様々な機構を用いて電力線から電力を引き出すことができることが認識されるであろう。例えば、カートは、電磁誘導を介して、またはいくつかの他の手段によって、電力線(例えば、電気ブラシ構成物)との直接接触を介して、電力を引き出すことができる。
【0104】
図15及び
図16を参照すると、制御カート77は、好ましくは、育成システム58の回収ベッドウェイ118を洗浄するように構成されている。スキージ114は、好ましくは、フレーム78に装着され、制御カート77の前進に伴って回収ベッドウェイ118に係合するように構成されている。スキージは、回収ベッドウェイの底部に装着する可能性のある危険物を排除するために格納可能であってもよい。
【0105】
図示されたタンク108は、洗浄液110の供給を保持し、バッテリ102によって駆動され、ノズル112を介して溶液を流動的に排出するポンプ(図示せず)を備える。ノズル112は、制御カート77の前進に伴って洗浄液110を回収ベッドウェイ118上に分注するように作動可能である。洗浄液110は、好ましくは、過酸化水素溶液を含むが、代替的にまたは加えて、繁殖した藻類、過剰な液体、及び/または回収ベッドウェイ118からの他の異物を洗浄するのに適した他の洗浄溶液を含むことができる。
【0106】
回転ブラシ116は、制御カート77の前進に伴ってベッドウェイに係合し洗浄するように構成されている。回転ブラシ116は、バッテリ102によって電力が供給される電動機(図示せず)に作動可能に連結される。回転ブラシ116には、回収ベッドウェイ118を回転かつ係合させるために選択的に動力を与えることができる。回転ブラシ116は、繁殖した藻類または他の固体異物を回収ベッドウェイ118の表面から除去するのに特に有用である。
【0107】
サイロ38b内の各カート列74には、好ましくは、キノコ(または他の菌類)の前進を制御するため、制御カート77と同様な菌類制御カート(図示せず)が設けられている。ただし、好ましくは、菌類制御カートは、制御カート77の洗浄装置97と同様の洗浄装置を含まない。また、好ましくは、菌類制御カートは、ソーラーパネルを含まない。菌類制御カートは、さもなければ、制御カート77と同様の特徴を含む。
【0108】
本発明の原理は、1つまたは複数のカート76、77が、組立て長さに沿って作物を前進させるように代替的に構成されている場合にも同様に適用可能である。例えば、カート76、77は、トラック上に移動可能に支持されるための代替的な車輪配列を備え得る。
【0109】
本発明の特定の態様では、可動作物支持体のうちの1つまたは複数は、車輪を欠くことができる。例えば、各可動作物支持体は、単一のユニット化された支持構造体を含み得る。代替的な実施形態では、可動作物支持体は、様々な構成でトラックと摺動可能に係合することができる。例えば、一連の可動作物支持体は、協働的にコンベアシステムを提供するために、動力付きコンベア駆動装置に装着され得る。また、本発明の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数のカート列が他の代替的な構成を想定し得ることも理解されるであろう。
【0110】
動作時に、各カート列74は、概して螺旋状経路64の上端64aに隣接するトラック56上に装填される。図示された実施形態では、ギャラリー40は、オペレータがカート列74のカートを直列に装填するための装填領域(図示せず)を提供する。はじめに、制御カート77をトラック56上に装填させる。その後、制御カート77は、トラック56に沿ってゆっくり前進され、複数のカート76が制御カート77背後のトラック56上に連続して装填されることを可能にする。
【0111】
カート76、77は、植物P、キノコM、または他の農作物をその上に予め配置した状態でトラック56上に装填することが可能となるのが理解されるであろう。カート76、77が空の状態でトラック56上に予め配置されている場合、ギャラリー40は、好ましくは、オペレータが植物PまたはキノコM(及び/または他の農作物)を予め配置されたカート上に設置させることを可能とするように構成されている。
【0112】
1つのカート列74がトラック56に沿って装填され前進される状態で、1つまたは複数の追加的カート列74が上端64aに隣接するトラック56に装填されることができる。
【0113】
上記に述べたように、制御カート77は、概して対応するカート列74を上端64aから下端64bへ螺旋状経路64に沿って下向きに前進させる制御を行う。複数のカート列74がトラック56上に装填された状態で、対応する制御カート77をそれぞれ前進させてカート列74を下向きに移動させることができる。例えば、複数のカート列74が同時に前進するように(例えば、カート列74同士が衝突しないように)、複数のカート列74の複数の制御カート77は、同時に前進させることができる。また、好ましくは、カート列74は互いに衝突するのが防止されるが、制御カート77は、カート列74を前進させている間に、異なるタイミングで前進させることもできることは認識されるであろう。加えて、制御カート77は、本発明の範囲内で異なる速度で前進させることができるが、好ましくは、実質的に同じ速度でも前進される。
【0114】
そして、カート列74が下端64aに近づいた際に、オペレータがトラック56からカートを降ろすための荷下ろしまたは収穫領域(図示せず)が設けられる。荷下ろしまたは収穫領域は、荷下ろしまたは収穫ゾーンと呼ばれることもある。本明細書に用いられる、用語「荷下ろし」及び「収穫」は、これらの用語がそれぞれ菌類及び植物に関連して用いられてもよいが、一般的に、交換可能であることが理解されるであろう。
【0115】
カート列74のカート76、77は、好ましくは、制御カート77からはじめに順に取り外される。その後、カート列は、オペレータの制御または自動制御の下で、またはそれらの組み合わせの下で、単一種類のカートを収穫ゾーンまたは荷下ろしゾーンに一度に一つずつ見出しを付けることが可能となる。リードカートが収穫ゾーンに配置された状態で、リードカート上の作物部分は、リードカートから収穫される。リードカートは、収穫後にトラックから取り外され、列に並んでいる次のカートが、その上の作物部分を収穫するための収穫ゾーンに移動可能にする。このようにして、作物部分がカート列内の各カートから取り除かれ、各カートが収穫後にトラックから取り外される。
【0116】
カート76、77は、植物P、キノコM、または他の農作物をその上に残した状態でトラック56から荷下ろしできることが認識されるであろう。しかしながら、荷下ろし領域は、好ましくは、オペレータがトラック56からカートを荷下ろしする前にカートから作物を取り除くことが可能となるように構成されている。
【0117】
キノコ生産アセンブリ及び戻り空気システム
図2及び
図17を参照すると、サイロ栽培システム30はまた、好ましくは、キノコ生産アセンブリ120及びサイロ栽培チャンバ44bに関連付けられた戻り空気システム122を備える。キノコ生産アセンブリ120は、好ましくは、サイロ栽培チャンバ44b内に配置され、そこにキノコMを培養するように構成されている。しかしながら、本アセンブリが菌類生産アセンブリを提供するように、キノコM以外の菌類をキノコ生産アセンブリ120内で培養することは、本発明の範囲内にあることに等しい。
【0118】
キノコ生産アセンブリ120は、好ましくは、螺旋状栽培アセンブリ124と、サイロ栽培チャンバ44b内に位置する複数の可動作物支持体36とを備える。螺旋状栽培アセンブリ124は、好ましくは、螺旋状栽培アセンブリ32と同様の、螺旋状セグメント52、螺旋状トラック56、及び空気システム62を備える。しかしながら、螺旋状栽培アセンブリ124は、好ましくは、育成システム58または照明システム60を含まない。上述したように、キノコMのための可動作物支持体36は、好ましくは、カート76bを含む。キノコ(または他の菌類)のための空気システムは、空気温度を均質化し、キノコ袋(または他の菌類の生産)から熱を放出するための空気分配性を有していてもよい。この空気は、好ましくは、植物Pと同様の方法で壁を介して供給され、好ましくは、HEPAフィルタを用いて、キノコの培養空気が汚染物質の低減された品質であることを保証する。
【0119】
上記のように、螺旋状栽培アセンブリ124のトラック56は、螺旋状栽培アセンブリ32のトラック56とは異なる構成を有する。特に、隣接するトラックセグメント56a間の垂直方向の間隔寸法D3は、好ましくは、螺旋状経路64に沿って実質的に一定である(
図17参照)。さらに、螺旋状栽培アセンブリ32はより多くのセグメントまたはより少ないセグメントを有し得るものであるが、螺旋状栽培アセンブリ124は、約30(30)の螺旋状セグメント52を有する。
【0120】
図説したサイロ栽培システム30は、単一のキノコ用の螺旋状栽培アセンブリ124と、キノコを培養するためのサイロ栽培チャンバ44bとを備える。ただし、サイロ栽培システム30は、キノコM(または他の菌類)用の複数のサイロ栽培チャンバ44bをその中に収容された対応する栽培アセンブリと共に備え、キノコM(または他の菌類)を支持することも、本発明の範囲内である。このサイロ栽培システム30は、様々な目的のために(例えば、他のサイロで作物の成長を最適化するための二酸化炭素及び熱を提供するために)、代替的な構成及び/または数のキノコ用サイロを含んでもよい。
【0121】
戻り空気システム122は、好ましくは、キノコMを培養させるために用いるサイロ栽培チャンバ44bと植物P(及び/または他の農作物)を栽培するように構成されたサイロ栽培チャンバ44aとの間の流体連通を助長するように構成されている(
図1参照)。特に、戻り空気システム122は、ダクト122a及び動力ファン(図示せず)を備え、キノコMのためのサイロ栽培チャンバ44bから植物P(及び/または他の農作物)のためのサイロ栽培チャンバ44aに空気を送るように構成されている(
図1参照)。戻り空気システム122は、キノコMによって生成された熱及び二酸化炭素を、サイロ栽培チャンバ44bからサイロ栽培チャンバ44a内の植物Pに伝達することを可能にすることが認識されるであろう。キノコから植物Pに空気が供給されると、補給空気は、HEPA濾過空気のプレナムによってキノコMに供給される。この供給されるプレナムは、キノコゾーンがキノコサイロから排気して熱を除去する必要がある場合に、温度調節の役割も果たすことができる。
【0122】
図示していないが、戻り空気システム122はまた、サイロ栽培チャンバ44bから複数の隣接するサイロ栽培チャンバ44aに空気を送るように構成され得る。様々な実施形態では、戻り空気システム122は、好適にサイロ栽培チャンバ44aに空気を送るための追加的ダクト及び/またはファンを含み得ることが理解されるであろう。本発明の特定の態様では、サイロ栽培システム30はまた、キノコ生産アセンブリを欠くことも可能である。
【0123】
育成システム
図8~10、
図13、及び
図14~14Aを参照すると、図示された育成システム58は、作物が螺旋状経路64に沿って前進するにつれて、植物P(及び/または他の農作物)に水及び/または養分を提供するように構成されている(
図13参照)。育成システム58は、トラック56に沿って延びて、水及び/または養分の供給を螺旋状経路64に沿って螺旋状栽培空間46内に誘導し、かつ植物P(及び/または他の農作物)に供給する。
【0124】
育成システム58は、好ましくは、トラック56と協働して、その間に育成ゾーンFを画定する。育成ゾーンFは、少なくとも部分的に植物Pを受容し、育成ゾーンF内の植物Pに水及び/または養分の供給を適用可能とするように構成されている。育成システム58はまた、好ましくは、アセンブリ長54に沿った位置でトラック56の下に配置される。
【0125】
育成システム58は、好ましくは、螺旋状の回収ベッドウェイ118、コントローラ/CPU126、水システム128、養分システム130、及び液体戻りシステム132を含む(
図13及び14A参照)。
【0126】
螺旋状の回収ベッドウェイ118は、上端64aと下端64bとの間の螺旋状経路64に沿って延びながら、内側レール70と外側レール72との間で径方向に延びている。好ましくは、螺旋状の回収ベッドウェイ118は、概して端から端まで配列された一連の回収トレイ134a、134bによって協働的に形成されている(
図4及び
図5、並びに
図8~10参照)。回収ベッドウェイ118はまた、好ましくは、トレイ134a、134bを協働的に支持する複数の細長い支持体135を備える(
図9、
図14、及び
図14a参照)。
【0127】
支持体135はそれぞれ、対向するロッド端部135aを有する細長い金属ロッドを備える(
図14A参照)。ロッド端部135aは、支持体135がトラック56に確実に固定されるように、対応するレール70、72に取り付けられている。なお、支持体135は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な方法で装着され得る(または回収ベッドウェイ118と一体化され得る)。
【0128】
各トレイ134a、134bは、内側周方向側壁136a、外側周方向側壁136b、及びそれらの間に延びて床として機能する底壁138を含む(
図8~10及び
図14A参照)。側壁136及び底壁138は、協働してチャネル140を画定する。
【0129】
回収ベッドウェイ118は、好ましくは、アセンブリ長54に沿った位置でトラック56の下に配置される。トレイ134の側壁136は、レール70、72のそれぞれ対応する方に留め具(図示せず)で取り付けられている。側壁136は、それぞれトレイ134の上側縁部142を提示する(
図14A参照)。上側縁部142及び底壁138は、協働的にチャネル高さ寸法D5を規定する(
図14A参照)。側壁136は、好ましくは、作物の根の深さに対応するようにチャネル高さ寸法D5が増加及び/または減少し得るように、可撓性(すなわち、拡張可能かつ収縮可能)である。例えば、側壁136の可撓性構造は、好ましくは、植物P(及び/または他の農作物)の根Rが成長し底壁138と接触するのに伴い、チャネル140を膨張可能とさせる。
【0130】
トレイを形成するためには、任意の好適な防水材料を用いることができる。好ましくは、トレイ134は、任意の光漏れからの照射を抑えるために、暗い色または黒色であり(または暗い色を有するように塗装されており)、これは藻類の繁殖を阻害することが知られている。トレイ134を形成するために用いられる例示的な材料としては、ABSプラスチックを含む。なお、トレイは、加えてまたは代替的に、本発明の範囲内で、1つまたは複数の他の合成樹脂材料及び/または金属材料を含むことができる。
【0131】
1つまたは複数の実施形態では、トレイ134a、134bは、重なり合った(屋根板状)構成で接続され、霧吹きされた作物の根Rから滴下された過剰な水の流れを、重力によって下向きの螺旋状にさせる複数の楔形または台形のセグメントを含んでいる。したがって、トレイ134は、可動作物支持体36の下に配置され、その内側及び外側の周方向縁部の間にほぼU字形の(例えば、螺旋状の滑り台または落とし口のような)断面を有している。個々のトレイの内側及び/または外側の周方向縁部は、所望に応じて直線状または曲線状であってもよい。
【0132】
好ましい実施形態によれば、トレイ134a、134bは、均一な所定の下向きピッチを有するように形成され、これにより、トレイが重ね合わせて接合され、所望の高さにまたがるつる巻き形状を呈することが可能となる。繰り返しになるが、ピッチは、螺旋状の回収ベッドウェイ118が所与の高さ(垂直距離)の変化に対して所望の全回転数または部分回転数を提供するように選択することができる。
【0133】
過剰な水は、トレイ134a、134bに沿って下向きに流れてもよい。少なくとも1つのトレイ134bは、好ましくは、回収ベッドウェイ118の各階に配置され、回収ベッドウェイ118のその階に関連付けられた過剰な水を回収する。以下に述べるように、トレイ134bは、液体戻りシステム132に関連付けられた回収側溝に取り付けられる。また、少なくともいくらかの過剰な水が、回収ベッドウェイ118の底部に流れてもよいことが理解されるであろう。
【0134】
回収ベッドウェイ118は、トラック56と協働して、それらの間に育成ゾーンFを画定する。回収ベッドウェイ118は、概してアセンブリ長54に沿った位置でトラック56の下に配置されている。育成ゾーンFは、植物P(及び/または他の農作物)を少なくとも部分的に受容し、育成ゾーンF内の作物に水及び/または養分の供給を適用可能にするように構成されている。
【0135】
図8~10及び
図13を参照すると、水システム128は、水の供給を螺旋状栽培空間46に誘導するように作動可能であり、一方、養分システム130は、養分溶液の供給を螺旋状栽培空間46に誘導するように作動可能である。
【0136】
水システム128は、好ましくは、複数の分注水ノズル144、水ポンプ146、及び水容器148を備える(
図13参照)。水容器148は、供給水を保持し、水ポンプ146、ポンプライン146a、及び霧吹きライン146bを介して分注水ノズル144と連通する(
図13参照)。水ポンプ146は、水容器148から水を選択的に引き出し、分注水ノズル144を介して水を分注するようにコントローラ126によって作動される。分注水ノズル144は、育成ゾーンF内に水を分注するように構成されている(
図14A参照)。上述したように、回収ベッドウェイ118は、水の供給分の任意の過剰な部分を回収するように構成されている。
【0137】
養分システム130は、好ましくは、複数の分注養分ノズル150、養分ポンプ152、養分溶液容器154、及び混合タンク156を備える(
図13参照)。養分溶液容器154は、それぞれ供給された養分溶液を保持する。養分溶液は、必要に応じて、所定の比率で混合するために、流体ライン154aを介して混合タンク156に供給されることができる。混合タンク156は、養分ポンプ152、ポンプライン152a、及び霧吹きライン152bを介して分注養分ノズル150と連通する(
図13参照)。
【0138】
図示された養分ポンプ152は、混合タンク156から供給された混合養分を選択的に引き出し、この供給養分を、分注養分ノズル150を介して分注するようにコントローラ126によって作動される。分注養分ノズル150は、育成ゾーンF内に養分溶液を分注するように構成されている(
図14A参照)。回収ベッドウェイ118は、分注された養分溶液の任意の過剰な部分を回収するように構成されている。
【0139】
分注ノズル144、150は、協働して直接根噴霧システム(例えば、エアロポニックス、フォグポニックスなど)を提供し、水及び/または養分の直接的根施用を助長するように構成されている。このように、分注ノズル144、150は、スプレー、霧吹き、及び/または噴霧器を含み得ることが理解されるであろう。代替的な実施形態では、霧は、水及び/または養分を含ませるためにサイロ栽培チャンバの外側で生成され、その後、ダクト及び防水ファンを介して育成ゾーンに導入され得る。例えば、霧は、侵入型ビン50内で生成され、かつ/またはこれを介して輸送され得る。噴霧方法、霧吹き方法、及び/または噴霧方法の組み合わせを同時に採用してもよいことが認識されるであろう。
【0140】
図10及び
図13を参照すると、液体戻りシステム132は、任意の過剰量の水及び/または養分溶液を螺旋状のベッドウェイ118から回収し、その過剰量を混合タンク156に搬送するように構成される。液体戻りシステム132は、トレイ134bに関連付けられた複数の回収側溝158と、共通の縦樋160と、回収タンク162と、戻りポンプ164と、戻り流体ライン166とを備える(
図13参照)。
【0141】
回収タンク162は、過剰な水及び/または養分溶液を回収するために、側溝158及び縦樋160を介して螺旋状のベッドウェイ118と流体連通する。戻りポンプ164は、過剰な流体を回収タンク162から選択的に引き出し、その過剰な流体を混合タンク156に排出する。
【0142】
少なくとも1つの側溝158は、好ましくは、回収ベッドウェイ118の階に関連付けられる過剰な水を回収するために、回収ベッドウェイ118の各階に配置される。しかしながら、液体戻りシステム132は、水を回収するための側溝158について代替的な数及び/または配列をとり得る。また、少なくともいくらかの過剰な水が、回収ベッドウェイ118の底部に流れてもよいことが理解されるであろう。様々な実施形態では、側溝は、高い養分含有量を有する流出水を直接養分タンクに迂回させるように、養分を投与する位置の下に配置され得る。またミスト水の流出を直接水霧吹きシステムに誘導するように、別の側溝を配置することができる。
【0143】
また、液体戻りシステムが、ベッドウェイの内側または外側の周方向縁部に沿った様々な位置(またはその間の任意の中間位置)に設けられた水出口及び/または縦樋の代替構成を有することも、本発明の範囲内である。
【0144】
トレイ134の内側及び/または外側周方向側壁136a、136bに沿った様々な間隔で、養分の噴霧またはミストをトレイ134と可動作物支持体36との間の空間(またこれにより、作物支持体の下でこの空間内に下方に延びる作物の根系)に送達することができるように、分注ノズル144、150が設けられている。好ましくは、分注ノズル144、150は、好ましくは、トレイ134の内側周方向側壁136a上に配置されており、ここで、水及び養分の液滴が放射状に外方に噴霧される。
【0145】
なお、図示されたノズル配列が好ましいが、水系及び/または養分系は、マルチノズルスプレーワンド、スプレープレナム、及び/または別の噴霧装置を利用してもよい。
【0146】
噴霧方向は、ノズル(及び噴霧)が「上り坂」または「下り坂」、あるいは中央アクセスシャフトに垂直な方向に向けられるように調整されてもよい。好ましくは、可動作物支持体36及びトレイ134は、作物の根Rとトレイ134との間の接触を最小限にする(好ましくは回避する)ように互いに相対的に配置され、根Rが霧吹き間で十分に乾燥することが可能となる。
【0147】
エアロポニックスは、溶解した養分を含む霧状または小粒径の水を有利に利用するものである。NASAは最適な粒径を50ミクロンと決定した。100フィートヘッド(単位、全揚程)では、43psiの圧力損失がある。現在の高圧エアロポニックス技術は、少なくとも80psiのノズル供給圧力を提供することを有利に利用する。したがって、水ポンプ146及び養分ポンプ152は、好ましくは、栽培チャンバの最も高い箇所で十分なライン圧力を確保するために、約150psiの圧力でそれぞれポンプラインに水及び養分を排出する。
【0148】
霧吹きライン146b、152bは、支持柱43または他の支持構造体に相対的に取り付けられた垂直ケーブルトレイに沿って垂直に延ばし得る。ラインは、8つの階を支持することができるが、余剰分も設けられている。繰り返しになるが、図示されたノズルは、ベッドウェイの側壁上に設置され、外方に放射状に向けられる。ミストは、作物支持構造体の楔形と一致するように円錐形に外方に投影され、均一な塗布が確実となる。図示されていないが、水システム128、養分システム130、及び液体戻りシステム132は、それぞれ機械的な故障の間でもシステムが作動し続けるように、冗長ポンプ及び/または冗長ラインを含んでいてもよい。
【0149】
繰り返しになるが、分注ノズル144、150は、好ましくは、エアロポニックス及び/またはフォグポニックスに関連する直接根噴霧のためのミスト/噴霧を生成する。加えてまたは代替的に、本発明の特定の態様では、水及び/または養分は、栄養膜技術(NFT)などの他の直接的根施用方法を用いて投与することができる。NFTを用いる代替的な実施形態では、水及び液体養分の供給は、根Rをそれらの流れと接触させている状態で、チャネル140に沿って連続的に流れるように分注させることができる。その流れならびに水及び液体養分は、様々なノズルまたは他のタイプの分注装置を用いてチャネル140に導入することができることが理解されるであろう。
【0150】
NFTの使用に関連して、液体戻りシステム132は、流路140に沿った水及び養分の好適な流れを助長するために、様々に変更されてもよい。例えば、図示された側溝158は、水及び養分の所望の流れを提供するために、変更されるか、または完全に除去されてもよい。
【0151】
動作時には、開示された育成システム58は、直接根噴霧システムを利用して、空気/ミスト環境を提供するように作動可能である。カート76のカート列74は、植物P(及び/または他の農作物)をアセンブリ長54に沿って支持し前進させるとともに、植物をアセンブリ長54に沿って離間させた育成期間中に育成させるように構成される。
【0152】
野菜だけでなく、他の植物(及び/または他の農作物)の場合、可動作物支持体36は、植物の胴体、葉、及び/または茎基(すなわち、天蓋C)が可動作物支持体36によって根Rから分離されるように構成されている。根Rは、自由に垂れ下がり、育成ゾーンFのサイロ栽培チャンバ44aの周囲環境(空気)に曝される。
【0153】
必要に応じて、水(水分)及び養分は、霧状または噴霧された養分豊富な水溶液を介して、可動作物支持体36の下に延びる作物の垂れ下がった根R及び下部茎に直接(ほとんどの場合は排他的に)送達される。植物の残りの部分(例えば、葉など)は、好ましくは、比較的乾燥した状態のままである。
【0154】
好ましくは、植物P(及び/または他の農作物)は、(対応する作物成長サイクルに関連付けられる)特定の育成期間中に水及び養分で育成される。作物はまた、中間期間(例えば、中間休息期間)中にも育成されてもよい。すなわち、隣接する育成期間の各対は、好ましくは中間期間で区切られている。好ましくは、植物P(及び/または他の作物)は、中間休息期間中に育成されるが、光または冷却空気を受容しない。植物Pは、中間期間中に、変更された育成スケジュール、または変化させた養分レベルにもとづいて育成されてもよい。
【0155】
植物P(及び/または他の農作物)は、好ましくは、それぞれが螺旋状経路64周りに約1.5回転して延びる育成期間中に水や養分で育成される。各休息期間では、好ましくは、螺旋状経路64周りに約1/2(0.5)回転して延びる。したがって、育成期間と休息期間の比は、好ましくは約3:1である。他の好ましい実施形態では、育成期間と休息期間との比は、約1:1から約5:1の範囲をとり得る。
【0156】
繰り返しになるが、カート列74及び植物Pは、好ましくは、トラック56を1日あたり約2回転通過して移動する。このようにして、サイロ栽培システム30は、概して植物Pをほぼ概日リズムによる育成に曝すように構成されている。しかしながら、制御カート77がトラック56に沿ってより遅いまたはより速い速度で前進することは、本発明の範囲内である。
【0157】
分注水ノズル144、160の連続したパターンが提供されるため、育成期間及び休息期間は、好ましくは、アセンブリ長54に沿ってノズルを選択的にオンオフすることによって提供される。また、育成期間及び休息期間は、本発明の範囲から逸脱することなく、代替的な長さ及び/または構成を有し得る。
【0158】
噴霧を生成するために使用されるノズルまたは機構に応じて、根に送達される水溶液は、マクロ水滴、ミストのミクロ水滴、またはさらにはより細かい霧状の液滴の形態であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、約5μmから約50μmのミクロ水滴の水アトマイズミストが好ましい。
【0159】
照明システム
図5、
図9、
図14、及び
図14Aを参照すると、照明システム60は、螺旋状経路64に沿って延びており、作物がアセンブリ長54に沿って下向きに前進するのにつれて、植物P(及び/または他の農作物)に光を与える。トラック56と照明システム60は、それらの間に照明ゾーンLを協働して画定する。照明システム60は、照明ゾーンLを照らし、これによって、植物Pが螺旋状経路64に沿って前進するにつれて植物の光合成を促進するように構成される。
【0160】
図示された照明システム60は、アセンブリ長54に沿って離間され、金属製のフレームワーク171に固定された長尺ライト170a及び短尺ライト170bの連続したパターンを含む(
図9参照)。ライト170a、170bは、概してフレームワーク171を支持体135に相対的に取り付けることにより、アセンブリ長54に沿ったそれぞれの位置でトラック56の上方に配置される。図説したライト170a、170bは、螺旋状栽培アセンブリ32の隣接する外側縁部68から径方向内方に延びている(
図9参照)。
【0161】
他の好ましい実施形態では、照明システムは、アセンブリ長54に沿って離間され、かつフレームワークに固定された(すなわち、照明システムが短尺ライトを含まない場合)図示された長尺ライト170aのみの連続したパターンを含む。これらの好ましい実施形態では、長いライトのそれぞれは、好ましくは、ライトの径方向内側端部から径方向外側端部に向かって漸増する光強度を提供する。このようにして、長尺ライトの配列によれば、内側縁部66から外側縁部68に至るまで、概して一貫した光強度を協働的に提供することができる。
【0162】
照明システムが外側縁部に沿ってよりも内側縁部に沿って比較的大きな光強度を提供している限り、異なる光強度値を最もよく利用するために、異なる作物をそれぞれの内側及び外側領域に沿って配置することができることが理解されよう。
【0163】
長尺ライト170aは、好ましくは、螺旋状経路64の実質的に全幅にまたがり、一方、短尺ライト170bは、好ましくは、螺旋状経路64の幅の約3分の2にまたがる(
図9参照)。
【0164】
他のタイプのライトが本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得るが、ライト170a、170bは、好ましくは、LEDライトからなる。図示かれたライト170a、170bのそれぞれは、好ましくは、螺旋状経路64を横切って放射状に延びる。
【0165】
図説したライト170a、170bは、各対の長尺ライト170aの間に短尺ライト170bを配列させた状態で、交互の配列で配置されている(
図9参照)。このようにして、ライト170a、170bは、好ましくは、内側縁部66に沿った領域(
図6参照)と比べて、外側縁部68に沿った領域(
図6参照)において比較的高い光強度を提供するように構成かつ配列されている。なお、1つまたは複数のライトが作物の成長に好適な光強度を提供するように交互に構成されていることもまた、本発明の範囲内である。繰り返しになるが、他の好ましい実施形態では、システムは、交互な光の配列を有していなくてもよい(例えば、システムが長尺ライトのみを備える場合)。
【0166】
ライト170a、170bはまた、好ましくは、調節可能な光のスペクトルを提供するように構成されている。すなわち、ライト170a、170bは、好ましくは、照明ゾーンLに放出される光のスペクトルを変化させるように調節可能である。様々な実施形態では、ライトは、カスタマイズされた放射束分布を提供してもよい。光スペクトルは、システム内のカートの位置(例えば、サイロに沿ったカートの垂直方向の位置)に基づいて決定され得る、作物の特定の成長段階に応じて調整されてもよいことが理解されるであろう。
光スペクトルはまた、自然の周囲光条件を再現するように、またはそうでなければ作物の異なる成長段階で作物の成長を最大化するための望ましい照明条件を提示するように調整されてもよい。
【0167】
図示された照明システム60によって提供される照明は、好ましくは、アセンブリ長54に沿った位置に照明ゾーンLを制限するとともに、カート列74及び植物Pがそれらの位置に配置される(
図14参照)。特に、図説した回収ベッドウェイ118は、好ましくは、不透明であり、照明ゾーンLから隣接する育成ゾーンFへ上向きに光が通過するのを制限するために螺旋状経路64をまたいでいる。加えて、キャップ82を含むカート76は、好ましくは、不透明であり、光が下向きに照明ゾーンLからカート76を通って隣接する育成ゾーンFに入るのを制限するために螺旋状経路64をまたいでいる。
【0168】
動作時において、照明システム60は、所定の照明期間中に作物が照明システム60からの光で照らされている間、カート列74が植物P(及び/または他の農作物)をアセンブリ長54に沿って支持し前進させるように構成されている。
【0169】
植物P(または他の農作物)は、好ましくは、特定の照明期間(これは、対応する作物の成長サイクルに関連付けられる)中には光が提供され、概して中間休息期間中には光が提供されない。すなわち、隣接する照明期間の各対は、好ましくは中間休息期間によって区切られている。より具体的には、植物Pは、好ましくは、それぞれが螺旋状経路64周りに約1.5回転して延びる照明期間中に光が供給される。各休息期間では、好ましくは、螺旋状経路64周りに約1/2(0.5)回転して延びる。したがって、照明期間と休息期間の比は、好ましくは、約3:1である。他の好ましい実施形態では、照明期間と休息期間との比は、約1:1から約5:1の範囲をとり得る。最も好ましくは、照明期間は、概して育成期間と整合する。
【0170】
上記のように、カート列74及び植物Pは、好ましくは、植物Pが明暗サイクルのほぼ概日リズムに曝されている状態で、トラック56を1日あたり約2回転通過して移動する。繰り返しになるが、制御カート77はまた、トラック56に沿ってより遅い速度またはより速い速度で前進することができる。
【0171】
ライト170a、170bの連続したパターンが提供されるため、照明期間及び休息期間は、好ましくは、アセンブリ長54に沿ってライトを選択的に点灯及び消灯させることによって提供される。ただし、ライト170a、170bは、アセンブリ長54に沿った休息期間がライト170を欠いているようにも構成され得る。照明期間及び休息期間が代替的な長さ及び/または構成を有することもまた、本発明の範囲内である。
【0172】
図説したライトは、好ましくは、トラック56の上の位置で固定位置に固定されるため、光源が固定的に装着されて、植物P(及び/または他の農作物)がその下を移動する際中に「光」及び「暗」の期間が提供されている間に、各可動作物支持体36は螺旋状経路64に沿って移動する。照明の位置及び作物支持構造体の移動速度の両方は、作物の所望の成長サイクルに応じて変化し得ることが理解されるであろう。多くのタイプの照明を利用可能であるが、具体的には、限定されるものではないが、成長サイクルに最適化されたスペクトルLED照明を含む。さらに、光の強度及びスペクトルは、作物の成熟度に対応するために、ライトまでの距離と同様に、レベル間及び/または作物間で変更されてもよい。
【0173】
照明システムは、好ましくは、所望のデイリーライトインテグラル(DLI)に従って植物に光を提供するように構成される。DLIは、一日にわたって植物が受ける累積光有効放射(PAR)の測定値を提供する。それは、概して光強度を平方メートルあたり毎秒マイクロモル(μmol/sq m-sec)で積分し、これを24時間にわたって(または28時間のように変更された合成昼光期間)にわたって合算する。
【0174】
空気システム
図7、
図7A、
図11、及び
図12を参照すると、空気システム62は、対応するサイロ栽培チャンバ44a、44bに関連付けられた螺旋状栽培空間46に冷却空気流Sを供給するように構成されている。図説した空気システム62は、複数の群の空気ダクト172a、172b、172c(
図7参照)と、冷却空気を生成し冷却空気を空気ダクト172に誘導するように構成された供給システム174(
図1参照)とを備える。各空気ダクト172a、172b、172cは、好ましくは、サイロ壁42によって提示された各空気入口開口部48と流体連通する。
【0175】
繰り返しになるが、螺旋状セグメント52、すなわち螺旋状層は、サイロ軸A1周りに全回転して延び、これによって螺旋状栽培アセンブリ32の1つの「階」を提供する。空気ダクト172a、172b、172cの各群は、空気ダクト172a、172b、172cが螺旋状セグメント42と連通し、そこに冷却空気を提供するように、好ましくは、螺旋状セグメント52のうちの1つと関連付けられている。このように、空気ダクト172a、172b、172cの群は、好ましくは、サイロ軸A1に沿って離間されている。
【0176】
各螺旋状セグメント52は、好ましくは、空気ダクト172a、172b、172cの対応する群と関連付けられている。ただし、1つまたは複数の螺旋状セグメント52が代替的な空気ダクト構成によって空気を供給されることも本発明の範囲内である。例えば、代替的な実施形態では、空気システムは、複数の螺旋状セグメントに沿って連続的に延びる空気ダクトを有し得る。
【0177】
各空気ダクト172a、172b、172cは、各サイロ壁42に対して相対的に装着され、サイロ壁42と協働して供給プレナム176を形成する(
図7A参照)。空気ダクト172a、172b、172cはそれぞれ、囲まれた複数の端部178と端部178間に位置するダクト開口部180のパターンとを提示する(
図11及び
図12を参照)。ダクト開口部180は、螺旋状栽培空間46に空気を排出するための出口182を協働的に提供する。
【0178】
空気ダクト172a、172b、172cは、好ましくは、空気流Sが径方向内向きに誘導されるように配列かつ構成される。空気ダクト172a、172b、172cはまた、好ましくは、ほぼ均一で実質的に同じ空気速度を有する空気流Sを促進する。
【0179】
冷却空気が螺旋状セグメント52に誘導されると、中央アクセスシャフトTは、好ましくは、より暖かい空気を受容する(
図7A参照)。中央アクセスシャフトTは、より暖かい空気が中央アクセスシャフトT内で上昇することを可能にするために概して開放され遮蔽されていない。様々な実施形態では、アクセスシャフトT内の空気は、サイロ栽培チャンバの外側の位置(例えば、サイロ棟34の外側の周辺位置)に外部へ排気され得ることが理解されるであろう。アクセスシャフトT内の空気は、動力換気ファンの使用の有無にかかわらず、外部へ排気することができる。
【0180】
空気ダクト172a、172b、172cは、好ましくは、実質的に均一な空気速度を有する均一な空気流Sを提供するために、空気ダクト長に沿って摩擦損失及び圧力低下を打ち消すように設計されている。例えば、ダクト開口部180の大きさ及び/または密度は、各空気入口開口部48からの距離が増加するにつれて漸増することができる。空気ダクト172は、ほぼ一定の断面ダクトサイズを有するように図示されているが、空気速度を維持するために、それぞれの空気入口開口部48からの距離が増加するにつれて、断面ダクトサイズを減少させることができることが理解されるであろう。
【0181】
空気ダクトは、好ましくは、ダクト開口部180を提示する、形成された金属板の本体からなる。空気ダクト172は、好ましくは、亜鉛メッキ鋼材料を含む。なお、空気ダクト172は、本発明の範囲から逸脱することなく、代替的金属(例えば、ステンレス鋼またはアルミニウム)、あるいは樹脂材料(例えば、プラスチックまたは合成樹脂材料)などの他の材料を含むことができる。
【0182】
空気ダクト172は、好ましくは、サイロ壁42に対して相対的に取り付けられ、サイロ壁42に沿って延びている。空気ダクト172は、サイロ栽培チャンバ44a、44b内に配置され、螺旋状栽培空間46の径方向外側縁部を部分的に画定する。各空気ダクト172a、172b、172cは、好ましくは、設置されると、サイロ壁42によって提示された各空気入口開口部48と連通する。
【0183】
冷却空気は、好ましくは、冷却塔184(
図1参照)、供給ファン186(
図7参照)、圧縮機(図示せず)、凝縮器(図示せず)、及び他のHVAC装置を備える供給システム174によって供給される。冷却空気は、好ましくは、サイロ空気供給ビンとして機能する侵入型ビン50内に排出される。供給ファン186は、冷却空気を侵入型ビン50の各ビンチャンバ50a、50bに強制的に送り、この冷却空気が空気入口開口部48間に分配される(
図7参照)。繰り返しになるが、ビンチャンバ50a、50bはそれぞれ、好ましくは、冷却空気を受容するが、互いに連通していない。ビンチャンバ50aは、1つの供給ファン186から冷却空気を受容し、サイロ38の2つに冷却空気を送る。各ビンチャンバ50bは、各供給ファン186から冷却空気を受容し、サイロ38のうちの対応する1つに冷却空気を送る。
【0184】
代替的な実施形態では、LED照明システムからのリサイクルされた廃熱が所望の作物にとって快適な温度に空気を暖めるのには不十分である気候において、空気を加熱することが必要とされる場合がある。また、外部温度及び/または湿度が機械的なHVAC装置に有利な場合、HVAC装置の代わりに、外部大気がサイロの空気を置換するための大気を提供するのに用いられてもよいことにも留意されたい。
【0185】
侵入型ビン50の1つは、冷却空気を受容し、冷却空気を隣接するサイロ38に供給するように示されているが、サイロ棟34内の1つまたは複数の追加の侵入型ビン50には、冷却空気を供給することができ、また隣接するサイロ38は、空気ダクト172と同様な構成を用いて、同様に、冷却空気を受容し、該冷却空気を分配するように構成されていることが理解されるであろう。
【0186】
サイロ壁42は、好ましくは、冷却空気からの熱損失を制限しながら冷却空気を輸送するのに適した断熱壁を提示する。なお、空気入口開口部48に冷却空気を提供するために、代替的なダクト配列を用いることができる。代替的な実施形態では、冷却空気を供給するために(例えば、冷却空気を空気入口開口部48に誘導するために、かつ/またはサイロ38から暖かい/熱い空気を除去するため)、1つまたは複数のダクトをサイロ38の外部に(例えば、侵入型ビン50内に)設けることもできる。
【0187】
植物P(及び/または他の農作物)は、好ましくは、育成期間(これは対応する作物の成長サイクルに関連する)の間に冷却空気が提供され、一般に、中間の休息期間の間に光を提供されない。すなわち、隣接する照明期間の各対は、好ましくは、中間休息期間によって区切られている。より具体的には、植物Pは、好ましくは、それぞれが螺旋状経路64周りに約1.5回転して延びる照明期間中に育成される。各休息期間では、好ましくは、螺旋状経路64周りに約1/2(0.5)回転して延びる。したがって、照明期間と休息期間の比は、好ましくは、約3:1である。他の好ましい実施形態では、照明期間と休息期間との比は、約1:1から約5:1の範囲をとり得る。最も好ましくは、照明期間は、概して、育成期間と整合する。
【0188】
動作
動作時に、空気システム62は、侵入型ビン50のビンチャンバ50a、50bに冷却空気を供給し、この冷却空気は、空気入口開口部48を介して空気ダクト172内にさらに分配される。空気ダクト172内の冷却空気は、好ましくは、ほぼ均一な冷却空気流Sの群として、様々な螺旋状セグメント52に排出される(
図7及び
図7A参照)。
【0189】
繰り返しになるが、冷却空気が螺旋状セグメント52内に誘導されると、中央アクセスシャフトTは、好ましくは、より暖かい空気を受容する。中央アクセスシャフトTは、好ましくは、より暖かい空気が中央アクセスシャフトT内で上昇することを可能とし、かつより暖かい空気が外方に排気されることを可能とする。
【0190】
サイロ栽培システム30を用いて複数束の植物P(及び/または他の農作物)を栽培する際に、作物は、螺旋状経路64の上部に隣接する可動作物支持体36の作物用開口部94内に設置される。カート76、77のカート列74は、トラック56に沿ってかつ螺旋状経路64に沿って、所定の速度で下向きに移動する。所望の育成期間毎に作物の根に霧吹きしたり、霧をかぶらせたり、さもなければその他の方法で必要な養分の水分を提供することができる。過剰な養分豊富な水は、育成システム58によって捕獲され、所望の場合には捕獲及び再利用のために下向きに流れる。植物の天蓋は、所望の照明期間毎に所定の光強度及びスペクトルで照らされる。また螺旋状栽培空間46には、植物Pが受ける空気温度及び/または湿度を正確に制御するために、作物用のカート列74が螺旋状経路64に沿って前進するのに伴って、冷却空気が螺旋状経路64に沿って供給される。
【0191】
作物は、収穫可能な螺旋状経路64の底部で成長サイクルの終焉に達する。上記のように、複数の栽培チャンバは、異なるタイプの作物間の相乗効果を利用するために、まとめてグループ化し連結することができる。例えば、隣接するチャンバ内のキノコM(または他の菌類)からの堆肥化熱を、冬期(または他の寒冷期)に用いて、野菜(または他の作物)を保温することができる。同様に、キノコM(または他の菌類)からの過剰なCO2は、作物の成長率を高めるために隣接するチャンバに送ることができる。加えて、野菜の切り落とし、根の塊、使用済みのキノコの基質、または他の生物学的な作物廃棄物を単一のサイロの上部に添加して堆肥化し、温水分配を介して他の領域に使用可能な熱を発生させ、伝統的または従来の土壌ベースの農場に好適な堆肥を底部で完成させることができる。
【0192】
固定開始点及び固定終了点を有する成長プロセスは、上から下へ連続的な成長勾配を提供する。スパイラル栽培アセンブリの各層は、作物がシステム内にある日数に対応する作物の高さに最適化させることができる。カートが下降するにつれて、各階の作物は、システムを通る速度及び個々の作物の特性に基づいて予測可能な高さになる。したがって、各階の高さは、カートが下降するのに伴って大きくなり、ライトを作物から最適な距離とし得る。さらに、固定ライトのカラースペクトルは、植物の生活の各段階の成長条件を最適化するために変更し得る。早くから開始させた作物は、底部にある成熟した作物とは異なる青/赤のスペクトルを有利に利用し得る。
【0193】
自然温度成層化は、施設内の様々な階や高度の温度を変化させるのに用いられてもよいし、また操作されてもよい。好ましくは、最も冷たい空気は、植物Pが冷蔵の前に冷却される収穫ステーションにある。
【0194】
この革新的な設計は、これらに限られないが、野菜やキノコを含む多種多様な作物を満足させる同じような建造物を可能にする。特殊なキノコ類の作物は、基質をコロニー化させるために、殺菌または超低温殺菌、キノコ(または他の菌類)のスポーンの植菌、培養期間を必要とする。これは、伝統的に、空気中の汚染物質を排除するための微細孔通気フィルタを備えたポリプロピレンまたはポリエチレンの袋に入れて行われる。ブロックは、暖かい条件下で菌糸を動かすことが奨励され、また徹底的なコロニー化が済んだ後では、栽培室内のブロックを結実させる前に冷却することが奨励されている。本明細書に記載された革新的な作物栽培システムは、温度成層化(熱上昇)によって自然に温度勾配を提供することで、培養プロセスを有利に利用する。上述した霧吹き/水分/加湿及び光のシステムを必要としないことを除いて、上述したように作物と同様の設置技術を用いて、キノコを上から下まで培養するのに用いることができる(必要に応じて、システムを整備すること、または培養サイクルの終焉近くに光を必要とするいくつかの種において周辺の最低湿度を維持したり、または成長を促進することを除く)。
【0195】
【0196】
現在のサイロ栽培システム30は、連続的、高効率、高スループットの作物生産を含む、多くの利点を提供することが理解されるであろう。また、本サイロ栽培システム30は、単位製品あたりの資本金が少なく、より低い建設コストであり、またより迅速な起動を実現する。本開示のサイロ栽培システム30におけるエアロポニックス/フォグポニックスの使用は、一般に、アクアポニックス/水耕栽培及び従来の農業技術よりも、より生産性が高いことが分かっている。
【0197】
図説したサイロ栽培システム30はまた、効率的な作物移動及び物流を利用して、作業者の数を最小限に抑えながら、作業者の効率及び作業者の安全性を向上させる高効率作物栽培システムを提供する。サイロ栽培システム30はまた、電気エネルギー及び熱エネルギーを節約し、効率的な環境制御を提供する様々なエネルギー効率の高い特徴を含む。サイロ栽培システム30はさらに、水及び養分の効率的な使用を可能にし、藻類の繁殖、害虫の侵入、これらに限らないが大腸菌及び他のバクテリアの存在を含む他の形態の汚染物質、及びシステムクリーニングのダウンタイムなどのリスクを最小限に抑えながら、効率的なクリーニング・イン・プレース(CIP)システムを提供する。また、サイロ栽培システム30は、幅広く多様な作物に対応するために高い適応性を有しており、異なる種類の作物間または他の農産物間で切り替わるようにサイロ栽培システム30を容易に再構成することができる。
【0198】
本発明の実施形態のこれらの、及び他の利点は、具体的に意図された実施形態を参照して、より容易に理解されるであろう。なお、上記の説明は、本発明の好ましい実施形態の特徴を提示しているが、他の好ましい実施形態もまた、本発明の原理に沿って作成され得る。そのような他の好ましい実施形態は、例えば、上述した実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態から引き出された特徴を備えてもよい。またさらに、そのような他の好ましい実施形態は、特に、そのような特徴が、上記の説明において別々の実施形態の一部として独立して提示されているにもかかわらず、共に用いるのに互換性がある場合には、上述の複数の実施形態からの特徴を含んでもよい。
【0199】
上述した本発明の好ましい態様は、例示としてのみ用いられるものであり、本発明の範囲を解釈する際に限定的な意味で利用されるべきではない。
【0200】
本明細書に用いられる、2つ以上の項目のリストで用いられる場合の表現「及び/または」は、リストされた項目のうちのいずれか1つを単独で採用することができ、あるいはリストされた項目のうちの2つ以上の項目の任意の組み合わせを採用することができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/またはCを含むか、または含まないと記載されている場合、その組成物は、A単独、B単独、C単独、A及びBの組み合わせ、A及びCの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、またはA、B、及びCの組み合わせを含むか、または含まないとすることができる。本明細書の説明ではまた、本発明の様々な実施形態に関連する特定のパラメータを定量するために数値範囲をも用いている。数値範囲が提示される場合、そのような範囲は、範囲の下位の値のみを詳述する請求項の限定事項、及び範囲の上位の値のみを詳述する請求項の限定事項を文字通り支持するものとして解釈されねばならないと理解されるべきである。例えば、約10から約100までとして開示された数値範囲であれば、「約10より大きい」(上限なし)を詳述する請求項と、「約100より小さい」(下限なし)を詳述する請求項とを文字通り支持する。