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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/36 20060101AFI20230801BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G01S7/36
G01S7/40 108
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019023864
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020134177
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 舞子
(72)【発明者】
【氏名】桜井 勝
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 俊一
(72)【発明者】
【氏名】柳 政宏
(72)【発明者】
【氏名】円山 仁浩
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-174677(JP,A)
【文献】特開平08-054457(JP,A)
【文献】特開2016-065823(JP,A)
【文献】特開2007-248215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0169523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を送信信号として送信する送信部と、
前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記受信信号と前記送信信号との周波数差に相当する周波数の中間信号を所定周波数より低い第1信号と、所定周波数より高い第2信号とに分離するフィルタと、
前記第1信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記第2信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、
を備える検知装置。
【請求項2】
高周波信号を送信信号として送信する送信部と、
前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記反射信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記受信信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記反射信号以外の信号の周波数が前記送信信号の周波数に近づいてくるときに、前記送信信号の周波数を変更する検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、メモリに予め記憶された前記反射信号と干渉する可能性のある周波数に関する情報に基づき前記送信信号の周波数を変更する請求項1または2に記載の検知装置。
【請求項4】
高周波信号を送信信号として送信する送信部と、
前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記反射信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記受信信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記送信信号の周波数を変化させることにより前記反射信号と干渉する可能性のある周波数を検出し、検出した周波数に関する情報をメモリに記憶し、前記メモリに予め記憶された前記検出した周波数に関する情報に基づき前記送信信号の周波数を変更する検知装置。
【請求項5】
前記受信信号と前記送信信号との周波数差に相当する周波数の中間信号を所定周波数より低い第1信号と、所定周波数より高い第2信号とに分離するフィルタを備え、
前記制御部は、前記第1信号に基づき前記目標物を検知し、前記第2信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する請求項2または4に記載の検知装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2信号の強度に基づき、前記送信信号の周波数を変更する請求項1または5に記載の検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記送信信号の周波数を変更するときに、異なる周波数に対応する複数のチャネルのなかから前記送信信号の送信に用いるチャネルをランダムに選択する請求項1から6のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記送信信号の周波数が前記反射信号以外の信号の周波数からより離れるように前記送信信号の周波数を変更する請求項1から7のいずれか一項に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号を目標物に送信し反射された信号に基づき物体を検知する検知装置が知られている。周波数解析により得られる周波数を、目標物体の距離および相対速度の測定に使用する周波数範囲と使用しない周波数範囲とに分け、使用しない周波数範囲における信号強度に基づいて干渉信号を検知することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-107280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検知装置に近接する他の装置が信号、特に検知装置の送信信号に近い周波数の信号を出射すると、検知装置が信号を受信してしまい、検知装置の物体検知に影響する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、他の装置の信号の影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高周波信号を送信信号として送信する送信部と、前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、前記受信信号と前記送信信号との周波数差に相当する周波数の中間信号を所定周波数より低い第1信号と、所定周波数より高い第2信号とに分離するフィルタと、前記第1信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記第2信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、を備える検知装置である。
本発明は、高周波信号を送信信号として送信する送信部と、前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、前記反射信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記受信信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、を備え、前記制御部は、前記反射信号以外の信号の周波数が前記送信信号の周波数に近づいてくるときに、前記送信信号の周波数を変更する検知装置である。
本発明は、高周波信号を送信信号として送信する送信部と、前記送信信号が目標物において反射した反射信号を含む受信信号を受信する受信部と、前記反射信号の周波数に基づき前記目標物を検知するとともに、前記受信信号の周波数に基づき前記送信信号の周波数を変更する制御部と、を備え、前記制御部は、前記送信信号の周波数を変化させることにより前記反射信号と干渉する可能性のある周波数を検出し、検出した周波数に関する情報をメモリに記憶し、前記メモリに予め記憶された前記検出した周波数に関する情報に基づき前記送信信号の周波数を変更する検知装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、他の装置の信号の影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】検知装置の周辺のブロック図である。
図2】検知装置のブロック図である。
図3】送信信号と妨害信号を示す図である
図4】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図5】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図6】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図7】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図8】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図9】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図10】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図11】制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1に係る検知装置の周辺のブロック図である。検知装置10は、送信信号15を出力する。送信信号15が目標物12において反射されると反射信号16となる。送信信号15および反射信号16はそれぞれ周波数がftxおよびfreの高周波信号であり、送信信号15の周波数ftxは例えば約24GHzである。目標物12が移動しているとドップラー効果により反射信号16の周波数freが変化する。目標物12が検知装置10に接近しているとfre>ftxとなり、目標物12が検知装置10から離れているとfre<ftxとなり、目標物12が検知装置10に対し静止しているとfre=ftxとなる。このため、ftx-freを求めることにより目標物12の検知装置10に対する相対速度を検出できる。また、近くに動体が存在するか判定することもできる。
【0011】
一方、装置14が反射信号16に近い周波数finの信号17(以下「妨害信号」)を出射すると、反射信号16と妨害信号17が干渉し、検知装置10の物体検知に影響する。例えば装置14は検知装置10と同種の装置である。装置14が出射する信号の周波数が検知装置10の送信信号15の周波数ftxと異なっていても、周辺温度の影響等により装置14が出射する信号の周波数がftxに近接し妨害信号17となることがある。また、近年24GHz帯の電波を使用した製品が増えてきていることもあり、それぞれの装置が送信する信号が干渉する可能性も高まってきている。そこで、実施例1の検知装置10では、妨害信号17となりうる信号を検出して、送信信号15の周波数を変更する。
【0012】
図2は、実施例1に係る検知装置のブロック図である。トランシーバー20は送信部22および受信部24を備えている。送信部22はアンテナ50から高周波信号である送信信号15を送信する。受信部24はアンテナ52から受信信号18を受信する。アンテナ50と52とは共通のアンテナでもよい。受信信号18は、図1の反射信号16および妨害信号17を含む信号である。受信部24は、送信部22が出力する送信信号と受信信号18とをミキシングし中間信号19を出力するミキサを備えている。中間信号19の周波数fifは、送信信号15の周波数ftxおよび受信信号18の周波数frxを用いて求められ、fif=|ftx-frx|となる。
【0013】
アンプ26は、中間信号19を増幅する。LPF(ローパスフィルタ)28は増幅された中間信号19のうち低周波数の信号19aを通過させる。HPF(ハイパスフィルタ)30は中間信号19のうち高周波数の信号19bを通過させる。アンプ32および34はそれぞれ信号19aおよび19bを増幅する。
【0014】
中間信号19の周波数fifは送信信号と受信信号の周波数差であり、中間信号19の周波数fifが10kHzおよび100kHzのとき目標物12の移動速度はそれぞれ約223km/hおよび2234km/hに相当する。目標物12の移動速度は速くても100km/h程度であると仮定した場合、LPF28の遮断周波数を例えば10kHzとし、HPF30の遮断周波数を例えば100kHzとする。LPF28から出力される信号19aは、通常の移動速度の範囲で移動する目標物12からの反射信号16に基づく中間信号(周波数fifa)である可能性が高い。一方、HPF30から信号19bが出力される場合、通常の移動速度で移動する目標物12からの反射信号16を受信したとは考えにくく、信号19bが妨害信号17に基づく中間信号(周波数fifb)である可能性が高い。なお、LPF28およびHPF30の遮断周波数は対象となる目標物12の想定される移動速度などにより適宜設定できる。
【0015】
制御部40は、例えばマイクロコンピュータまたはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、ADC(アナログデジタルコンバータ)42および44を備えている。ADC42は増幅された信号19aをデジタル信号に変換して出力する。制御部40は、ADC42から出力されたデジタル信号の周波数に基づき目標物12の状態を検知する。
【0016】
ADC44は増幅された信号19bをデジタル信号に変換する。パワー検出器36は信号19bの強度を検出する。比較器38は、パワー検出器36が出力する電圧Vdetと参照電圧Vrefとを比較し、VdetがVref以上のときADC44をオンし、Vref以下のときADC44をオフする。ADC44は妨害信号の周波数を検出するために用いられ、信号19bが所定パワー以上のとき信号19bをデジタル信号に変換して出力する。制御部40は、ADC44からのデジタル信号より判別した受信信号18の周波数に基づいて、DAC(デジタルアナログコンバータ)48を介し送信部22に送信信号15の周波数を変更するように指示する。
【0017】
メモリ46は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等の半導体メモリであり、送信信号15の周波数の変更に用いる情報を記憶する。
【0018】
図3は、実施例1における送信信号と妨害信号を示す図である。縦軸は例えば信号強度である。図3では送信信号15の強度を妨害信号17の強度より大きく図示しているが、送信信号15の強度が妨害信号17の強度より小さい場合もある。検知装置10は送信信号15に使用する周波数として複数のチャネル(例えば11チャネル)を有している。例えばチャネルCh1の周波数は24.05GHzであり、Ch11の周波数は24.25GHzである。図3の例では、検知装置10がチャネルCh6を用いており、送信部22からチャネルCh6の周波数の送信信号15を出力している。制御部40は、妨害信号17の周波数がチャネルCh6の周波数に近づいてくると判断すると、送信信号15の送信チャネルを例えばチャネルCh10に変更する。これにより、送信部22はチャネルCh10の周波数の送信信号15を出力する。よって、妨害信号17が物体の検知に影響することを抑制できる。なお、チャネル数を11とする例を説明したが、チャネル数は複数であればよい。
【0019】
図4は、実施例1における制御部が実行する処理を示すフローチャートである。制御部40は送信部22にチャネルChA(周波数がftx)の送信信号15を送信させる(S10)。ChAは例えば図3のCh6である。制御部40は、HPF30から出力された信号19bを検出した場合、信号19bの周波数fifbを検出し(S12)、fifbがChAの周波数に接近しているか判定する(S14)。例えば図3のように妨害信号17の周波数がCh6の周波数に接近してくるとき、制御部40はS14でYesと判定する。
【0020】
S14でYesのとき、制御部40は新しいチャネルChBを選択する(S16)。ChBは例えばCh10である。制御部40は送信部22にChBの送信信号15を送信させる(S18)。S14においてNoのとき制御部40は送信信号のチャネルを変更しない(S20)。なお、図4では、信号19bが出力されていない場合はチャネルを変更しない。
【0021】
実施例1によれば、制御部40は、受信信号18の周波数finに基づき妨害信号17を受信しているかを判別し、その結果に応じて送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、妨害信号17の周波数が送信信号15の周波数に近づきそうなときに、送信信号15の周波数を変更し、反射信号16に基づく目標物12の検知に影響することを抑制できる。
【0022】
LPF28およびHPF30(フィルタ)は、受信信号18と送信信号15との周波数差frx-ftxに相当する周波数の中間信号19を、所定周波数より低い信号19a(第1信号)と、所定周波数より高い信号19b(第2信号)とに分離する。制御部40は、信号19aの周波数fifaに基づき目標物12の状態を検知する。制御部40はまた、信号19bの周波数fifbに基づき送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、目標物12を検知するための中間信号19を用い受信信号18を選別するため、回路構成を縮小できる。
【0023】
[実施例1の変形例1]
図5は、制御部が実行する実施例1の変形例1における処理を示すフローチャートである。制御部40は、S12においてfifbを検出した場合、送信部22に周波数がftx+Δfの送信信号15を送信させる(S22)。Δfは、隣接するチャネルとの周波数間隔より小さい周波数である。制御部40は、周波数がftx+Δfの送信信号15を送信した後に信号19bを検出した場合、信号19bの周波数fifb’を検出する(S23)。S22およびS23は、妨害信号17の周波数finが送信信号15の周波数ftxより高いか低いかを判定するために行う。fifb’の検出後、制御部40は乱数iを発生させる(S24)。乱数iは整数であり、例えば1、2または3である。
【0024】
制御部40はfifb’>fifbか否かを判定し(S26)、その結果に基づき次のチャネルを選択するための「B」を求める。Yesのとき、妨害信号17の周波数は送信信号15の周波数より低い。そこで、制御部40はB=A+iとし(S28)、ChAより高い周波数のChBを選択する。Noのとき、妨害信号17の周波数は送信信号15の周波数より高い。そこで、制御部40はB=A-iとし(S30)、ChAより低い周波数のChBを選択する。
【0025】
制御部40は、1≦B≦Mか否か判定する(S32)。Mは最大のチャネル数であり、例えば図3では11である。Noのとき、ChBはチャネルの範囲内にない。そこで、制御部40はBをCに置き換え(S34)、特定のChCを選択する。ChCは例えば中心のチャネルであり、図3ではCh6である。S32においてYesのときS34の処理は行わない。その後、制御部40は、S28あるいはS30で求められた「B」に基づいて、S16およびS18においてチャネルを変更する。これにより、送信信号15がChBに設定される。その他のフローは実施例1と同じであり説明を省略する。
【0026】
制御部40が規則的(例えば固定間隔)に周波数を変更する場合、妨害信号17を出射する装置14が検知装置10と同様に送信信号の周波数を規則的に変更する装置であると、図4において永遠にチャネル変更の処理を繰り返す可能性がある。そこで、変形例1では、制御部40は、送信信号15の周波数ftxを変更するときに、乱数iを用いて複数のチャネルCh1からCh11のうち1つをランダムに選択する。これにより、検知装置10と装置14とが同様のチャネル変更を繰り返すことを抑制できる。
【0027】
また、S26のように妨害信号17の周波数が送信信号15の周波数より高いか低いかを判定する。S28のように妨害信号17の周波数が送信信号15の周波数より低いとき、制御部は送信信号15の周波数を高い方に変更する。また、S30のように妨害信号17の周波数が送信信号15の周波数より高いとき、制御部は送信信号15の周波数を低い方に変更する。このように、制御部40は、送信信号15の周波数ftxが妨害信号17の周波数finからより離れるように、送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、送信信号15の周波数ftxが妨害信号17の周波数finから離れ、妨害信号17の影響を排除することができる。
【0028】
[実施例1の変形例2]
図6は、制御部が実行する実施例1の変形例2における処理を示すフローチャートである。装置14は検知装置10の図3と同じCh1からCh11を用いている。信号19bを検出したときは、S12の後、制御部40は、ftx+fifb=αを求めてαを妨害信号17の周波数とし(S40)、αに基づき選択するChBを算出する(S42)。例えば、制御部40は、装置14がαに最も近いチャネルを用いていると判断した場合、制御部40は、装置14が用いていないチャネルをChBとする。例えばαがCh6に最も近いとき、装置14はCh6を用いていると判断することができる。そこで、制御部40は、ChBをCh4またはCh8とする。その後、S16およびS18を行う。これにより、制御部40はチャネルを装置14が用いているチャネルから離れたChBとすることができる。その他のフローは実施例1と同じであり説明を省略する。
【0029】
[実施例1の変形例3]
図7は、制御部が実行する実施例1の変形例3における処理を示すフローチャートである。メモリ46は、妨害信号17の周波数に近いチャネルの番号ChNを予め記憶している。例えば、装置14を設置したときに、装置14が出射する信号の周波数に近いチャネル番号ChNをメモリ46に記憶させる。S10からS40の処理によりαを求めた後、制御部40は、メモリ46からChNの番号を取得する(S44)。制御部40は、S42においてChBを決定するときにChNを選択しないようにする。その後、S16およびS18を行う。その他のフローは変形例2と同じであり説明を省略する。
【0030】
変形例3によれば、メモリ46(記憶部)は、反射信号16と干渉する可能性のある周波数に関する情報であるChNを予め記憶している。S42のように、制御部40は、ChBを算出することで、ChNに基づき送信信号15の周波数を変更する。これにより、送信信号15の周波数ftxがChNとなることを抑制できる。記憶するChNの数は1つでもよいし複数でもよい。
【0031】
[実施例1の変形例4]
実施例1の変形例4は、実施例1の変形例3のChNを検出する例である。図8は、制御部が実行する実施例1の変形例4における処理を示すフローチャートであり、干渉する周波数帯の有無を確認するための処理を示すフローチャートである。制御部40は、任意のタイミングで以下の処理を行う。制御部40は初期値として、Ch=0とし(S50)、i=1とする(S52)。制御部40はCh=Ch+iとする(S54)。Ch=0,i=1の場合はCh=1となるので、制御部40Ch1を選択し、S10およびS12を行い、fifbを検出する。
【0032】
制御部40は、S12で検出したfifbから、fifb>fthか判定する(S56)。閾値周波数fthは例えば100kHzである。YesのときS54で選択したチャネルにおいて妨害信号17が存在する可能性が高い。そこで、制御部40はS54で設定したChをメモリ46に記憶する(S58)。その後、制御部40はi=i+1とする(S60)。S56においてNoのときS60に進む。制御部40はi>imaxか判定する(S62)。imaxは最大のChであり、図3では11である。Yesのとき、図8の処理を終了する。Noのとき、S54に戻り次のChi+1について妨害信号17が存在するか判定する。
【0033】
変形例4によれば、制御部40は、送信信号15の周波数を例えばスキャンにより変化させることにより、反射信号16と干渉する可能性のある周波数を検出し、検出結果に基づいて干渉する信号を受信する周波数やチャネルに関する情報をメモリ46に記憶する。これにより、予め妨害信号17の周波数に近い周波数の送信信号15を用いないようにして、妨害信号17による干渉を抑制できる。図8のフローによる処理は、検知装置10を設置したときや検知装置10の電源を投入したときなどに、あるいは検知装置10を利用している際に周期的および/または非周期的に実行することができる。
【0034】
[実施例1の変形例5]
図9は、実施例1の変形例5における制御部が実行する処理を示すフローチャートである。S10およびS12の後、S40において制御部40は図7と同様にftx+fifb=αとし、所定期間待機する(S70)。所定期間は例えば1秒である。その後、制御部40は、信号19bの周波数fifb’を検出(S72)した場合、信号19bの周波数fifb’より、ftx+fifb’がαと近似するか判定する(S74)。例えば制御部40は、ftx+fifb’とαとの差が所定周波数以下のときftx+fifb’がαと近似すると判定する。
【0035】
ftx+fifb’がαと近似する場合、妨害信号17の周波数finはほとんど変化していないと考えられる。このため、finが送信信号15の周波数ftxに近づく可能性は低い。そこで、S74においてYesのとき、制御部40はS20においてChを変更しない。
【0036】
一方、S74においてNoのとき、妨害信号17の周波数finが変化していると考えられる。そのため、制御部40はfifb’<fifbか判定する(S76)。Noのとき、finはftxから遠ざかっていると考えられるため、制御部40はS20においてChを変更しない。
【0037】
また、S76においてYesのとき、finはftxに近づいている。この場合、制御部40はfifb’-fifb>fthか判定する(S78)。Yesのとき、finの周波数の変化は非常に速い。このため、finはftxに近づいてもすぐftxに遠ざかってしまい、妨害信号となるのは一瞬であり物体検知に影響する可能性は小さいと考えられる。そこで、制御部40はS20においてChを変更しない。
【0038】
S76においてYesのとき、finはftxに近づいており、妨害信号が長い時間ftxと干渉する可能性がある。そこで、制御部40はS16およびS18においてChBに変更する。ChBへの変更の処理、およびその他のフローの処理は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0039】
変形例5によれば、制御部40は、妨害信号17の周波数finの変化とその度合いに基づき、送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、妨害信号17による干渉を抑制できる。
【0040】
[実施例1の変形例6]
図10は、実施例1の変形例6における制御部が実行する処理を示すフローチャートである。制御部40はS10におけるChAからの送信信号の送信後、S12において受信信号に基づきfifbを取得する。制御部40はメモリ46から過去の信号受信時に記憶したfifbbの情報を取得する(S80)。制御部40は、過去のfifbbとS12で検出したfifbに基づき送信信号を送信するチャネルを変更するか判定する(S82)。例えば、妨害信号17の周波数finが徐々にftxに近づいている場合、時間経過とともにfifbは次第に大きくなる。このような傾向があると判別した場合、制御部40はS82でYesと判定し、S16およびS18においてチャネルを変更する。Noのとき制御部40はS20においてチャネルを変更しない。その後制御部40はS12において検出したfifbをメモリ46に記憶する(S84)。S84の処理はS12以降の任意のタイミングで実行してもよい。その他のフローは実施例1と同じであり説明を省略する。
【0041】
メモリ46に過去のfifbbを格納し、今回取得したfifbと過去のfifbbとを比較し、その大小関係などを判別することで、制御部40は、fifbの変化の速さ、すなわち単位時間当たりのfifbの変化量を認識できる。制御部40は、妨害信号17の周波数finの変化の速さに基づき、送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、妨害信号17による干渉を抑制できる。なお、図10によるfifbの検出は、例えば周期的に行うことができる。
【0042】
[実施例1の変形例7]
図11は、実施例1の変形例7における制御部が実行する処理を示すフローチャートである。制御部40は、信号19bを検出(S85)した後、信号19bの強度IFを取得する(S86)。信号19bの強度は妨害信号17の電界強度にほぼ比例する。制御部40は、Ith<IFか判定する(S88)。Ithは強度の閾値である。Noのとき、妨害信号17の強度が小さく妨害信号17が反射信号16と干渉する可能性は小さい。そこで、制御部40はS20においてチャネルを変更しない。S88においてYesのとき、妨害信号17の強度は所定値以上であり、妨害信号17が反射信号16と干渉する可能性が大きい。そこで、制御部40はS16およびS18においてチャネルを変更する。その他のフローは実施例1と同じであり説明を省略する。
【0043】
変形例7によれば、制御部40は、信号19bの強度に基づき、送信信号15の周波数ftxを変更する。これにより、妨害信号17が反射信号16に干渉する可能性の小さいときはftxを変更しないことができる。
【0044】
実施例1の変形例1から変形例7を適宜組み合わせて処理を実行することができる。
【0045】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 検知装置
12 目標物
14 装置
15 送信信号
16 反射信号
17 妨害信号
18 受信信号
19 中間信号
19a、19b 信号
22 送信部
24 受信部
28 LPF
30 HPF
40 制御部
46 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11