(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】冷蔵システムおよび冷蔵システムのコンプレッサの制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
F25B1/00 361D
F25B1/00 371M
F25B1/00 371N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019067787
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】BR102019003311-8
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】519115130
【氏名又は名称】エンブラコ インドゥストリア デ コンプレッソレス エー ソリューションズ エン レフリジラサン リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エンス
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】マルシオ ロベルト ティッセン
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-015128(JP,A)
【文献】特開2004-197644(JP,A)
【文献】特開2010-071480(JP,A)
【文献】実開昭57-071780(JP,U)
【文献】特開2015-014439(JP,A)
【文献】米国特許第06826917(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷安定化サイクルと通常サイクルと外乱監視サイクルとを有する冷蔵システムにおける
コンプレッサ制御方法であって、
前記コンプレッサ制御方法は、
前記負荷安定化サイクルを少なくとも2回続けて実行するステップを有し、
前記負荷安定化サイクル
の各々は、以前の負荷(C
ant)および現在の負荷(C
atu)を取得するステップ
を有し、
前記以前の負荷(C
ant
)および前記現在の負荷(C
atu
)は、コンプレッサのパラメータから求められ、
前記負荷安定化サイクルの各々は、前記以前の負荷(C
ant
)と前記現在の負荷(C
atu
)との差を計算することによって、サイクル負荷(C
cpd
)を取得するステップをさらに有し、
前記コンプレッサ制御方法は、前記通常サイクルを実行するステップを有し、
前記通常サイクルは、
測定されたサイクル時間(t
ciclo)およびユーザによって規定される目標時間(t
alvo)を取得するステップと
、
前記測定されたサイクル時間(t
ciclo)と前記目標時間(t
alvo)とを比較するステップ
と、を有し、
前記コンプレッサ制御方法は、前記外乱監視サイクルを実行するステップを有し、
前記
外乱監視サイクルは、前記コンプレッサの前記パラメータから求められた一連の負荷(C
sc)を監視し、前記コンプレッサの
角速度を変え、前記一連の負荷の監視(C
sc)に基づいて、前記冷蔵システム内の外乱を検出するステップを
有し、
前記サイクル負荷(C
cpd
)が基準負荷(C
ref
)以上であれば、前記負荷安定化サイクルが繰り返され、
前記サイクル負荷(C
cpd
)が前記基準負荷(C
ref
)未満であれば、前記負荷安定化サイクルを終了して前記通常サイクルが実行され、
前記外乱監視サイクルは前記通常サイクルと同時に実行される、
冷蔵システムにおける
コンプレッサ制御方法。
【請求項2】
前記通常
サイクル
は、前記コンプレッサの所望の角速度(ω
next)を選択する
ステップ
をさらに有し、
ここで、前記コンプレッサの
前記所望の前記角速度(ω
next)は、前記冷蔵システムの効率を最適化するように構成され、
前記所望の前記角速度(ω
next
)は、前記コンプレッサの現在の
角速度(ω
atual)、ゲイン(Agr)、および速度ステップユニット(ω
ssu)のうちの少なくとも1つ
と、前記測定されたサイクル時間(t
ciclo)と前記目標時間(t
alvo)との比較
とに基づいて選択される、
という事実を特徴とする、請求項
1に記載の冷蔵システムにおける
コンプレッサ制御方法。
【請求項3】
前記一連の負荷(C
sc
)は、特定の間隔(Int)を有する期間における負荷のn回の測定
値を含
み、
前記一連の負荷(C
sc
)に少なくとも1つの変動パターンが検出されると、前記コンプレッサの前記角速度が変更され、
前記負荷安定化サイクルが繰り返される、
という事実を特徴とする、請求項
1に記載の冷蔵システムにおける
コンプレッサ制御方法。
【請求項4】
負荷安定化サイクルおよび通常サイクルを有する一般論理
プロセスと
、外乱監視サイクルを有する特定論理
プロセスと
、を実行する、冷蔵システムの
コンプレッサ制御システムであって、
前記コンプレッサ制御システムは、
前記冷蔵システムを冷却するコンプレッサと、
前記コンプレッサ制御システムを駆動または停止するサーモスタットと、
処理ユニットと、を有し、
前記処理ユニットは、前記一般論理プロセスおよび前記特定論理プロセスにおいて計測された負荷に関する情報を処理するように構成され、前記負荷は前記コンプレッサのパラメータから求められ、
前記処理ユニットは、前記外乱監視サイクル中に、一連の負荷(C
sc
)を監視するように構成され、
前記処理ユニットは、前記負荷安定化サイクル中に、以前の負荷(C
ant)と現在の負荷(C
atu)と
の差を
計算することによってサイクル負荷(C
cpd
)を取得するように構成され、
前記
処理ユニットは、前記通常サイクル
中に、測定されたサイクル時間(t
ciclo)とユーザによって規定された目標時間(t
alvo)と
を比較するように構成され、
前記処理ユニットは、前記外乱監視サイクル中に、前記一連の負荷(C
sc)
の監視
に基づいて前記コンプレッサの前記角速度
を制御
するように構成され、
前記
処理ユニットは
、前記外乱監視サイクル中に、前記一連の負荷
(C
sc)の前記監視に基づいて前記冷蔵システム内の外乱を検出するように構成され
、
前記コンプレッサ制御システムは、前記負荷安定化サイクルが終了すると、前記負荷安定化サイクルから前記通常サイクルに移り、
前記特定論理プロセスは、前記負荷安定化サイクルの後に実行される、
という事実を特徴とする
コンプレッサ制御システム。
【請求項5】
前記
サーモスタットのセンサは、前記以前の負荷(C
ant)および前記現在の負荷(C
atu)を取得するように構成され、
前記処理ユニットは、
前記サイクル負荷(C
cpd)を基準負荷(C
ref)と比較するように構成される
、
という事実を特徴とする、請求項
4に記載の
コンプレッサ制御システム。
【請求項6】
前記サイクル負荷(C
cpd)が前記基準負荷(C
ref)以上の場合、
前記負荷安定化サイクルが繰り返され、
前記負荷安定化サイクルは前記冷蔵システムの冷蔵能力を最適化し、熱負荷における温度均一化時間を最小にするように構成される、
という事実を特徴とする、請求項
5に記載の
コンプレッサ制御システム。
【請求項7】
前記通常サイクルでは、前記
処理ユニットは、
前記測定されたサイクル時間(t
ciclo
)と目標時間(t
alvo
)との比較に基づいて、且つ、前記コンプレッサの現在の速度(ω
atual
)、ゲイン(Agr)、および、速度ステップユニット(ω
ssu
)のうち少なくとも1つに基づいて、前記コンプレッサの所望の角速度(ω
next)を選択するように構成され、
前記コンプレッサの前記所望の角速度(ω
next
)は、前記冷蔵システムの効率を最適化するように構成される、
という事実を特徴とする、請求項
6に記載の
コンプレッサ制御システム。
【請求項8】
前記
処理ユニットは、前記サイクル負荷(C
cpd)が前記基準負荷(C
ref)より低いときに
前記負荷安定化サイクルから前記通常サイクル
に移るように構成されるという事実を特徴とする、請求項
7に記載の
コンプレッサ制御システム。
【請求項9】
前記特定論理プロセス中では、前記
処理ユニットは、前記冷蔵システム内の前記外乱の検出時に前記コンプレッサの前記角速度を制御するように構成され、
前記コンプレッサの角速度は、前記冷蔵システムの冷蔵能力を最適化
するように変更され、
且つ、前記外乱に続いて前記冷蔵システムを回復する
ように変更され、
前記冷蔵システムにおける前記外乱の検出は、前記一連の負荷(C
sc)の監視に基づいて行われ、
前記一連の負荷(C
sc)は、特定の間隔(Int)を有する期間内の負荷のn回の測定
値を含み、
前記一連の負荷(C
sc
)において少なくとも1つの変動パターンが検出された場合、前記コンプレッサの
前記角速度が変更され、前記
負荷安定化サイクルが繰り返される、
という事実を特徴とする、請求項
8に記載の
コンプレッサ制御システム。
【請求項10】
請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の
コンプレッサ制御方法
により制御されるという事実、または、請求項
4ないし
9のいずれか1項に記載の
コンプレッサ制御システム
で使用されるという事実を特徴とする冷蔵システムのコンプレッサ。
【請求項11】
請求項10に記載のコンプレッサを有する冷蔵庫であって、前記コンプレッサが請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の
コンプレッサ制御方法
により制御されるという事実、または、請求項
4ないし
9のいずれか1項に記載の
コンプレッサ制御システム
で使用されるという事実を特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、冷蔵システムのパラメータの監視に基づく少なくとも1つの制御論理の実行による冷蔵システム内のコンプレッサの制御方法および制御システムに関する。本願発明はまた、冷蔵システムのコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の数十年間で、電子機器の進歩により、冷蔵分野は革命を起こした。開発された技術は、一定速度のものと比較した場合、コンプレッサをより小さく、より効率的にし、そして性能を改善することを可能にする。これらの結果は、瞬時の需要に合わせて冷蔵能力を調整する可能性を考慮して、電動機を異なる速度で作動させる電子インバータの使用によってのみ可能であった。
【0003】
第1に、単純な機械的サーモスタットを必要とする一般的なオン/オフコンプレッサとは異なり、可変容量コンプレッサは所望の速度を調整するために電子制御装置に依存していた。この解決策はインプリメントするのに追加の費用を含むので、それが、冷蔵マーケットにおいてこの技術を強化するための最初の障壁となった。
【0004】
しかしながら、効率改善のためのグローバルな目標および以前から知られている概念を利用する可能性を鑑みて、本願ルーチンは開発された。このリソースでは、オンとオフを切り替えるための入力信号と同じ機械式サーモスタットを備えた可変速コンプレッサを使用することが可能であるが、しかし、インバータがコンプレッサの現在の状態に基づいて最良の速度を決定することを可能にする。これは、機器の元の製造元のシステムに変更が加えられたり、その他の追加費用が発生したりすることなく、このソリューションにより、パフォーマンスが向上したことを意味する。
【0005】
元々のコンセプトは熱需要に基づいて冷蔵能力を適合させることであると考えられていた、すなわち、コンプレッサの電気モータによって感じられる負荷に依存して、そのスピードを増減することができる。より具体的には、例えば、電気的大きさの挙動の検証に基づいて、特に、負荷の挙動に基づいて冷蔵システムにおいて特定の決定を下すことに関して、コンプレッサのモータにおける負荷の挙動(傾向)を決定することが可能である。
【0006】
例えば、PCT国際出願番号WO98/15790、米国特許第7,228,694B2号、および米国特許文書番号US2013/0064684A1は、目標時間に基づく解決法、ルーチン、ステップを欠いていること、および、冷却システムの特定のパラメータを安定させるように、および、外乱を認識するように構成された構成要素を説明する。
【0007】
現在まで、この解決策は家電製品の分野で適切に機能しており、住宅居住利用者がこの資源の主要利用者であった。ただし、さまざまな特性を持つシステムが多数ある商業分野でのオン/オフテクノロジのインバータへの移行により、このソリューションは時代遅れになった。
【0008】
これは、可変速コンプレッサは制御するために電子サーモスタットを必要とするが、そのためにシステムのコストがかさむためである。これに関連して、それらが冷蔵庫内の設置容量を考慮に入れず、それらがシステム内の外乱に応答しないという事実のために、それらの性能が低下し、したがって、効率のレベルが最適化されない。
【0009】
より具体的には、最新技術において、トルクなどの冷蔵システムの負荷を安定させるために所与のサイクルを実現するように、また、引用されたシステムに関連する一連の大きさの測定に基づいて、冷蔵システム内の外乱の発生または外乱を監視するように構成された解決策を見たことがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明の1つの目的は、冷蔵システムにおけるコンプレッサの制御方法および制御システムを提供することである。
【0011】
本願発明の1つの目的は、コンプレッサの速度の制御においてオン/オフサーモスタットの使用を可能にする冷蔵システムにおけるコンプレッサのための制御方法および制御システムを提供することである。
【0012】
本願発明の1つの目的は、ユーザの希望にしたがって時間サイクルの調整を可能にする冷蔵システムにおけるコンプレッサのための制御方法および制御システムを提供することである。
【0013】
本願発明の1つの目的は、冷蔵システムの主に電気的および機械的パラメータを測定することである。
【0014】
本願発明の1つの目的は、冷蔵システム内の外乱を識別して補正し、そして引用された冷蔵システムにとってより効率的な角速度でコンプレッサを作動させることである。本願発明の1つの目的は、本願発明の制御方法および制御システムにしたがって構成された可変速コンプレッサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の目的は、少なくとも1つの一般論理および1つの特定論理を使用して冷蔵システム内のコンプレッサを制御するための制御方法および制御システムによって達成される。
一般論理はトルクを測定する少なくとも一つのステップとサイクル時間を測定するステップを含み、特定論理は外乱を監視する少なくとも一つのステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をさらに詳細に説明する。図は、下記を示す。
【
図2】
図2は、目標時間の50%前に終了するサイクルの例示である。
【
図3】
図3は、目標時間の50%から80%の間で終了するサイクルの例示である。
【
図4】
図4は、目標時間の80%から100%の間で終了するサイクルの例示である。
【
図5】
図5は、目標時間の後に終了するサイクルの例示である。
【
図6】
図6は、インバータがスイッチオンされた瞬間からの、単位利得を使用した完全な波形の例示である。
【
図7】
図7は、インバータがスイッチオンされた瞬間からの、利得が2に等しい完全な波形の例示である。
【
図8】
図8は、サイクル内に生じるであろう所与の数のステップを有する完全な波形の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
原則として、本願発明は、冷蔵システム内のコンプレッサを制御するための方法およびシステムに関する。ここで、冷蔵システムは、一般に、家庭用(家庭用機器)用および商業用の両方のための冷蔵庫、冷凍庫、および冷蔵庫などの装置および機器で構成されたシステムを意味する。
【0018】
さらに、本願発明が参照するコンプレッサは可変速コンプレッサとして構成される。
より具体的には、引用したコンプレッサは、本願発明の目的でもある方法およびシステムの特徴と両立するように構成されている。
【0019】
一般的な意味では、本願発明は、冷蔵システムのパラメータの監視に基づく少なくとも1つの制御論理の実装を通じて構成されることが好ましく、これについては以下でより詳細に説明する。
【0020】
したがって、本願発明の一構成では、この論理を効果的に実施するために、コンプレッサの制御方法は、一般的な意味で、少なくとも、
以前の負荷(Cprev)と現在の負荷(Catu)を取得するステップと、
測定されたサイクル時間(tciclo)および目標時間(talvo)を取得するステップであって、目標時間(talvo)はユーザによって規定される、ステップと、
のステップを実行するように構成される。
【0021】
一構成では、例えばトルクの測定に基づいて、以前の負荷(Cprev)および現在の負荷(Ccurrent)が得られることを認めることが重要である。しかしながら、これらの負荷は、代替的に、例えば電流のような、冷蔵システムの負荷に関連する他の特徴の測定および/または検証を通して得ることができる。
【0022】
明らかに、前記負荷の性質は本願発明の制限ではないので、本願発明の目的は異なる特徴を検証することによって達成することができる。
【0023】
これに加えて、目標時間(talvo)は、例えば、オン時間またはオフ時間のように、あるいは走行時間比としてさえも構成され得ることが認められる。
【0024】
冷蔵システムにおけるコンプレッサの制御方法の一構成は、一般論理および特定論理を通して生じる。
【0025】
本願発明の目的である方法を構成する一般論理は、その全体の作業時間とこのリソースの主要なルーチンの間に、基本的に冷蔵システムのコンプレッサに期待される挙動に関する。一構成では、この論理は、例えばプルダウンサイクルと通常サイクルとを含むサイクルに分割することができる。
【0026】
冷蔵装置のインバータに通電すると、プルダウン状態になる。この状態では、コンプレッサは、許容最大速度などの最適(理想)速度で動作し、最適速度を達成する前に中間速度で動作することもある。いずれにしても、コンプレッサのこの動作は、プルダウン時間(設定点、すなわち、与えられた温度が冷蔵システムによって到達され、安定性が達成されるまでの時間)を短縮するために冷蔵システムの冷却能力を高める。この状態はプルダウンサイクル(状態)が終了するまで維持される。
【0027】
プルダウン状態の終了を識別するために、冷蔵システムのサーモスタットのスイッチが切られると、システムは測定された最終負荷を以前のサイクルの同じ測定と比較する。この変動が間隔内であれば、プルダウンは終了する。そうでなければ、システムはこの手順を繰り返す。
【0028】
したがって、一般論理は、少なくとも1つの負荷安定化サイクルで構成された少なくとも1つの負荷を測定するステップ(プルダウンサイクル)と、通常サイクルとして構成された1つのサイクル時間測定ステップとを含む。
【0029】
この構成では、
トルク安定化サイクルにおける以前の負荷(Cant)と現在の負荷(Catu)との間の差を得るステップと、
測定されたサイクル時間(tciclo)と通常のサイクルでの目標時間(talvo)とを比較するステップであって、通常のサイクルはコンプレッサの角速度制御サイクルとして構成される、ステップと、の手順が実行される。
【0030】
前述のように、本願発明の方法は、以前の負荷(Cant)および現在の負荷(Catu)を取得するステップを含む。
【0031】
したがって、一構成では、負荷安定化サイクルにおいて、少なくとも1つの以前の負荷(Cant)、現在の負荷(Catu)、およびサイクル負荷(Ccpd)を取得するステップが実現されることが認められる。
【0032】
さらに、負荷安定化サイクルは、サイクル負荷(Ccpd)を基準負荷(Cref)と比較する追加のステップを含み、この基準負荷(Cref)は予め規定されている。この比較に基づいて、引用された負荷安定化サイクルが終了したかどうかが決定される。もしそうでなければ、前述のように負荷値の比較が繰り返される。このステップは、結論の検証または引用した負荷安定化サイクルの検証を特徴付けることが認められる。これは、冷蔵システムの熱負荷が経時的に減少する傾向があり、得られる負荷サイクル(Ccpd)も低下するが、コンプレッサモータの回転を失うことで一定に保つことができるためである。
負荷安定化サイクルは、冷蔵システムの冷蔵能力を最適化し、熱負荷における温度均一化時間を最小にするように構成されていることに留意する。
【0033】
サイクル負荷(Ccpd)は、好ましくは以前の負荷(Cant)と現在の負荷(Catu)との間の差を通して得られることに留意することも重要である。
【0034】
このシナリオでは、前述のように、負荷安定化サイクルは、サイクル負荷(Ccpd)が基準負荷(Cref)以上である間繰り返される。
【0035】
この構成を例示するために、
図1に負荷の速度と温度の波形を示す。この図では、サイクル間の負荷の変動が、負荷の温度がまだ安定していない(一定でない)ことを示しており、システムは負荷安定化サイクルを維持する必要があることを示している。
【0036】
しかしながら、負荷変動(例えば、
図1の点AおよびB)が指定された間隔内にあるとき、すなわち、基準負荷(C
ref)よりも小さいサイクル負荷(C
cpd)。温度が均一で安定していることが理解される。それで、
冷蔵システムは次のサイクル、すなわち通常のサイクルのためにその動作を変えることができる。
【0037】
また、
図1に関して、サーモスタットは、熱負荷が安定化されていなくても、いつでも
冷蔵システムのスイッチを切ることができることに留意することが重要である。したがって、サーモスタットのセンサが設定点の温度を検出し、たとえ温度が均一でなくても、その位置およびシステムの空気流に応じて冷却システムをオフにすることができる。これに加えて、外乱が検出された場合には、サイクルを中断して除霜サイクルを引き起こすことができる。
【0038】
図1に関して、負荷安定化サイクル(またはプルダウンサイクル)が5サイクルの間に見られることに留意する。その後、安定点に達すると、すなわち現在の負荷(C
atu)が基準負荷(C
ref)より低くなると、
冷蔵システムの運転は通常のサイクルに変更される。
【0039】
本願発明において、温度センサのような追加のセンサはないことに留意する。このように、熱負荷の温度に関する大きさは、既に説明したように、コンプレッサの電気的大きさから推測される。さらに、熱負荷は、例えば、冷却システムによって冷却されるべき対象として理解され得る。
【0040】
通常のサイクルに関して、これは、所望のサイクル時間を達成するために、コンプレッサを作動させるための最良の速度を選択するように構成されたルーチンとして理解されなければならない。このサイクル時間は、コンピュータプログラム、ツール、またはアプリケーションなどの特定のインタフェースを通じてユーザによって定義される。
【0041】
前述のように、本願発明の方法は、測定されたサイクル時間(tciclo)および目標時間(talvo)を取得するステップを含み、ここで目標時間(talvo)はユーザによって規定される。目標時間(talvo)は、例えば、オン時間、オフ時間、または走行時間比としても構成できることに留意する。したがって、一構成では、このステップは通常のサイクルで実行される。
【0042】
さらに、通常サイクルは、測定されたサイクル時間(tciclo)と目標時間(talvo)とを比較する追加のステップと、コンプレッサの所望の角速度(ωnext)を選択する追加のステップとを含み得る。ここで、コンプレッサの所望の角速度(ωnext)は、冷蔵システムの効率を最適化するように構成される。
【0043】
一実施形態では、コンプレッサの所望の角速度(ωnext)は、コンプレッサの現在の速度(ωcurrent)、利得(Agr)および速度ステップ単位(ωssu)の少なくとも1つに基づいて選択される。また、測定されたサイクル時間(tciclo)と目標時間(talvo)との間の比較から得られる結果を考慮に入れる。
【0044】
この構成を例示するために、前述のパラメータに関連して所望の角速度(ω
next)を選択することに関して、4つの可能なシナリオを以下に列挙する。これらの例では、速度ステップ単位(ω
ssu)は200rpmの値をとり、利得(Agr)は以前に規定されたパラメータとして理解されなければならないことが認められる。これらは本願発明の1つの可能な構成の単なる例であり、それに関して限定的な特徴を持たないことに留意することが重要である。
シナリオA:
【数1】
【0045】
この場合、目標時間(t
alvo)の50%より前にサイクルが終了すると、
図2に示すように、100分の目標時間(t
alvo)を考慮して、コンプレッサは3速度ステップにゲイン(Agr)を掛けた値を減らす。
【数2】
Eq.1
シナリオB:
【数3】
【0046】
この場合、サイクルが目標時間(t
alvo)の50%から80%の間で終了すると、
図3に示すように、100分の目標時間(t
alvo)を考慮して、コンプレッサは1スピードステップを減速する。
【数4】
Eq.2
シナリオC:
【数5】
【0047】
この場合、サイクルが目標時間(t
alvo)の80%から100%の間で終了すると、
図4に示すように、100分の目標時間(t
alvo)を考慮して、コンプレッサは次のサイクルで同じ速度を維持する。
【数6】
Eq.3
シナリオD:
【数7】
【0048】
この場合、サイクルが目標時間(t
alvo)を超えると、システムは、
図5に示すように、一定時間ごとに1速度ステップにゲイン(Agr)を掛けた速度で速度を上げる。速度の増加のために100分の目標時間(t
alvo)と20分の期間を考慮する。最後の速度は次の速度になる。
【数8】
Eq. 4
【0049】
また、本願発明は、目標時間(t
alvo)がサイクル時間(t
ciclo)よりも短いという特定の場合、シナリオDにおいても作用するように構成されてもよいことに留意することも重要である。システムは、指定された速度で短時間の間(規定された期間よりも短い-言及された例の場合は20分)、つまり、指定された期間の一部でのみこの速度を維持し、期間全体では維持されない。この場合、次の速度(ω
next)は、最後の速度(ω
atual-1)よりも以前の速度として構成される。
【数9】
Eq.5
【0050】
図6は、インバータがオンになった瞬間からの単位ゲイン(Agr)(Agr=1)を使用した完全なグラフを表している。この図において、スイッチが入れられた後、
冷蔵システムは最初の4サイクルの間負荷安定化サイクルに留まることが認められる。この後、サイクルが所望の時間(第1および第2のサイクル)に達するまで速度が調整される。3番目のサイクルでは、システムが安定していることが認められる。
【0051】
何らかの理由で、コンプレッサのスイッチを切らずに目標時間(talvo)が経過すると、4、5サイクル目に見られるように、速度は、たとえば20分ごとに増加する。
以前の例に基づいて、ユーザが利得(Agr)を変えたいのであれば、システムを多かれ少なかれ「積極的」にすることが可能であることが認められる。
【0052】
したがって、
図6と同様に、
図7も完全なグラフを表しているが、2に等しいゲイン(Agr)を使用している(Agr=2)。
【0053】
明らかに、先に引用した値は、本願発明において使用されるべき単なる可能な例であり、そしてそれらの限定的な特徴として理解されるべきではない。
【0054】
1つの構成では、冷蔵システムまたはそれに接続された構成要素に関連する他のパラメータ例えば、コンプレッサの容量、電流または瞬間速度など、もまた、コンプレッサの所望の角速度(ωnext)を選択するために使用され得ることに留意することが重要である。
【0055】
図6および
図7に主に例示されている結果は、サイクル中一定速度を用いて得られた。これは、サイクル間または目標時間(t
alvo)が経過したときにのみ速度が変更されることを意味する。
【0056】
しかしながら、本願発明の1つの構成はまたサイクル中に生じるであろう多数のステップ(netapas)の構成を可能にする。このパラメータでは、コントロールは目標時間(talvo)とステップ数(netapas)プラス1単位(つまりnetapas+1)を考慮してスピードを上げる。
【0057】
したがって、たとえば、目標時間(t
alvo)が60分で、ステップ数(n
etapas)が3(つまり、t
alvo=60分、n
etapas=3)の場合、
図8に例示されているように、速度は15分ごとに増加する。
【0058】
したがって、主に上記の例および実施形態で認められ得るように、前記通常のサイクルは、コンプレッサの角速度制御サイクルとして構成される。
【0059】
特定論理に関しては、これは主として負荷の温度に比例するコンプレッサのモータのトルクを監視するルーチンとして構成される。この監視は、システムの障害や例外的なケースに対処するために行われる。
【0060】
そのような外乱は、例えば、冷蔵庫の扉の開放、高温ガスの抵抗、霜取りなどを含む。
これらの外乱は、特に冷蔵システム内の熱負荷の増大を引き起こし得る熱外乱として理解することができる。
【0061】
トルク変動曲線に基づいて、「シグネチャ」(パターン、指紋)を検出し、その速度の変化など、コンプレッサの動作に関する決定を下すことが可能である。
【0062】
このように、特定論理は、外乱を監視する少なくとも1つのステップを含み、それによって、冷蔵システムが極端で異常な状況で動作することを可能にする。
【0063】
この目的のために、特定論理は少なくとも、
一連の負荷(Csc)を監視して、コンプレッサの角速度を変更するステップ、
一連の負荷(Csc)に基づいて冷蔵システム内の障害を検出するステップ、
のステップを実現するように構成される。
【0064】
このように、特定論理は一般的論理と並列に動作し、その動作はシステムの安定化後に始まり、周期的になる。さらに、この論理は、冷蔵システム内の外乱の検出時にコンプレッサの角速度を制御するように構成される。冷蔵システム内の外乱の検出は、一連の負荷(Csc)に基づいて行われる。ここで、コンプレッサの角速度は、冷蔵システムの冷蔵能力を最適化して目標温度を達成するように変更される。
【0065】
引用された一連の負荷のセット(Csc)に関して、これは少なくとも冷蔵システムに関連する大きさの一連の測定として理解することができる。ここで、測定は、例えば所定の期間内に、やはり予め定められた間隔(Int)で実現されてもよい。
【0066】
引用した一連の負荷のセット(Csc)の1つの可能な特性を例示するために、1つの可能な構成では、このセットは、ある期間内にn回のトルク測定(較正)を含む。サンプルは特定の間隔(Int)で較正される。
【0067】
第3の較正に続いて、トルクの場合に、検証された大きさの可能性のある変動を通して負荷変動パターンを検出する目的で、負荷の連続的な組(Csc)のサンプルが分析される。
パターンが検出された場合、コンプレッサのモータの角速度は変更され、較正は冷蔵システムの安定化後に再び開始される。そうではなく、何も検出されなければ、一連の負荷の集合(Csc)のサンプルがシフトされる(第1のものは破棄され、第2のものは第1のものとなる)。3番目のサンプルが2番目のサンプルになり、以下同様)、間隔(Int)の後に別のサンプルが較正される。
【0068】
また、言及された値は単なる例でありそして本願発明の限定として解釈されるべきではないことが強調されるべきである。これに加えて、代替構成は、例えば、一連の負荷(Csc)を形成するために大きさの閉じたグループを使用すること、または経時的に増分でさえも含むことができる。そのようなシフトを伴う構成は、本願発明に対する限定として理解されるべきではない。
【0069】
具体的にはパターン(指紋)の検出に関して、
これらは、前述のように、また以下の式に記載されるように、トルク変動(Δ1,Δ2)の計算に基づくことができる。この例では、一連の負荷セット(C
sc)は測定された負荷1、2、3(それぞれC
med1、C
med2、C
med3)で構成されている。
したがって、
【数10】
Eq.4a
【数11】
Eq.4b
である。
【0070】
したがって、計算されたパラメータ(Δ1,Δ2)は、参照パラメータと比較される。
【0071】
1つの構成はまた、冷蔵システムが切断されたときの外乱の検出を可能にする。これは、例えばトルクのような、測定され考慮されるべきパラメータ(測定された負荷)が存在しないときである。
【0072】
そのため、システムの接続が切断されたときに発生する可能性がある外乱を検出する(測定するトルクがない)。測定された最初の負荷の変動が使用される。つまり、電源投入後に、冷蔵システムがすでに安定している状態で測定された負荷である。
【0073】
この測定が前回のサイクルの30%のような予め設定された限度を超えて変化する場合、モータの角速度が最大値に対して定義されるように、それが切断されている間に外乱が発生したと理解される。
【0074】
そのため、説明した特性に基づいて、主に、冷蔵システムにおいて外乱を識別して修正する、また、引用された冷蔵システム関しては、より効率の良い角速度でコンプレッサを作動させるように構成されている。
【0075】
冷蔵システムの前記効率は、単独ではコンプレッサモータの効率とは異なる可能性があることに留意することが重要である。
したがって、言い換えれば、本願発明は、上述のように、引用された冷蔵システムに対して最適な角速度でコンプレッサを作動させるように構成されている。そして、それはコンプレッサ自体の最適速度に等しくても等しくなくてもよい。
【0076】
本願発明はまた、冷蔵システム内のコンプレッサ制御システムを含む。
【0077】
このシステムは、基本的に、少なくとも1つの一般論理および1つの特定論理の実施によって構成され、前述の特性を持つ、コンプレッサ、測定装置、サーモスタットおよびデータ処理装置を含む。
【0078】
本システムの構成要素に関して、コンプレッサは可変容量コンプレッサのように構成される。
【0079】
測定ユニットは、前述のようにトルク、電流および電気張力などの負荷を測定することができる装置のように構成される。
【0080】
サーモスタットは、次に、冷蔵システム内の熱交換および温度変動に関連するデータを検証するように構成される。
【0081】
データ処理ユニットは、他の構成要素から検証されたデータを受け取り、主に冷蔵システムに作用して、前述のようにステップ、サイクルおよび動作の実現を命令するように構成される。
【0082】
本願発明の文脈において、これらの主要構成要素は、前述の制御方法の実施を可能にするように構成された制御システムを含む。
【0083】
これに加えて、このシステムが冷蔵されるべき少なくとも1つの環境も含むことは言及に値する。そのため、主に冷蔵システムの熱交換と温度変動に関連する較正がこの環境で実現される。
【0084】
さらに、冷蔵庫は、本願発明にしたがって構成されてもよく、したがって、ここに記載された制御方法の実施を可能にするために冷蔵システムを備えてもよいことが分かる。
【0085】
最後に、本願発明は、前述の方法およびシステムのように構成されたコンプレッサも含む。ここで、前記コンプレッサは、好ましくは、上述の特性と両立する可変速コンプレッサのように構成される。
【0086】
好ましい具体化の例の説明を提供してきたが、本願発明の範囲は他の可能な変形を包含することを理解すべきである。添付の特許請求の範囲の内容によってのみ限定され、それによって可能な等価物が含まれる。