(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】キャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20230801BHJP
B65D 53/02 20060101ALI20230801BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B65D43/04 100
B65D53/02
A47J41/02 103
(21)【出願番号】P 2019096913
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高広
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-280402(JP,A)
【文献】特開2018-154341(JP,A)
【文献】特開2001-238804(JP,A)
【文献】特開2018-144832(JP,A)
【文献】特開2016-116628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0362221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
B65D 53/02
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備え、
前記容器本体の上部開口部の周囲に周縁部が設けられ、
前記キャップユニットは、前記容器本体の上部開口部を覆った状態で、前記容器本体に螺合により取り付けられるキャップ本体を有し、
前記容器本体は、一端が開口した金属製の外容器及び内容器を有して、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いに接合されると共に、前記外容器と前記内容器との間に真空断熱層が設けられた構造を有し、
前記周縁部は、前記内容器の外向きに折り曲げられた部分により構成されており、
前記キャップ本体は、
前記容器本体の上部開口部を覆う外蓋と、前記外蓋の内側中央部に位置して、前記上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記容器本体に取り付けられた状態において、前記周縁部と当接される当接部
とを有
し、
前記当接部は、前記外蓋の前記中栓との間の下面から突出して設けられていることを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
前記当接部は、前記キャップ本体の前記周縁部と対向する位置に複数並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項3】
前記当接部は、前記キャップ本体の前記周縁部と対向する位置に全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項4】
前記容器本体は、前記外容器の開口端を上方に向かって延長させたストレート部を含む外側接合端部と、前記内容器の開口端を外向きに折り曲げながら下方に向かって折り返したカーブ部を含む内側接合端部とを有し、
前記ストレート部の内面と前記カーブ部の外面とが突き合わされた状態で、前記外側接合端部と前記内側接合端部との突合部が接合されていることを特徴とする請求項
1~3の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【請求項5】
前記内側接合端部は、前記カーブ部の外面の一部を平坦化した平坦部を含み、
前記ストレート部の内面と前記平坦部とが突き合わされた状態で、前記外側接合端部と前記内側接合端部との突合部が接合されていることを特徴とする請求項
4に記載のキャップ付き容器。
【請求項6】
前記容器本体に対して前記中栓又は前記外蓋が螺合により取り付けられることを特徴とする請求項1~
5の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【請求項7】
前記中栓の外周部には、前記容器本体の内側と前記中栓との間を密閉するシール部材が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項
1~6の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部が開口した容器本体の口頸部に着脱自在に取り付けることによって、容器本体の上部開口部を閉塞するキャップユニット(栓体)を備えたキャップ付き容器がある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このようなキャップユニットは、容器本体の上部開口部を覆う外蓋と、上部開口部から容器本体の内側に嵌め込まれる中栓とを有して、キャップ本体に対して中栓又は外蓋が螺合により取り付けられる構造となっている。また、中栓の外周部には、容器本体と中栓との間を密閉する止水パッキン(シール部材)が着脱自在に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、下記特許文献1に記載の飲料用容器では、例えばシリコーンゴムで構成される口部本体を容器本体の開口部に外側から嵌合した飲み口を有し、栓体を回しながら容器本体の内側に内栓部を螺合により取り付けることによって、この飲み口を蓋部が覆う際に、口部本体の外周面に周回状に形成された段部に、蓋部を形成する壁部の下端が当接した状態で、飲み口と蓋部との間が密閉(シール)される構成となっている。
【0006】
このような構成の場合、栓体を閉方向に回し過ぎると、口部本体の段部に当接された蓋部の下端が段部に食い込んだ状態となる。したがって、栓体が強く締め込まれることによって、栓体を容器本体から取り外す際に、栓体を開方向に回すことが困難となることがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、容器本体の上部開口部を開閉する際のキャップユニットの操作性を向上させることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備え、
前記容器本体の上部開口部の周囲に周縁部が設けられ、
前記キャップユニットは、前記容器本体の上部開口部を覆った状態で、前記容器本体に螺合により取り付けられるキャップ本体を有し、
前記容器本体は、一端が開口した金属製の外容器及び内容器を有して、前記外容器の内側に前記内容器を収容した状態で互いに接合されると共に、前記外容器と前記内容器との間に真空断熱層が設けられた構造を有し、
前記周縁部は、前記内容器の外向きに折り曲げられた部分により構成されており、
前記キャップ本体は、前記容器本体の上部開口部を覆う外蓋と、前記外蓋の内側中央部に位置して、前記上部開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記容器本体に取り付けられた状態において、前記周縁部と当接される当接部とを有し、
前記当接部は、前記外蓋の前記中栓との間の下面から突出して設けられていることを特徴とするキャップ付き容器。
〔2〕 前記当接部は、前記キャップ本体の前記周縁部と対向する位置に複数並んで設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップ付き容器。
〔3〕 前記当接部は、前記キャップ本体の前記周縁部と対向する位置に全周に亘って設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップ付き容器。
〔4〕 前記容器本体は、前記外容器の開口端を上方に向かって延長させたストレート部を含む外側接合端部と、前記内容器の開口端を外向きに折り曲げながら下方に向かって折り返したカーブ部を含む内側接合端部とを有し、
前記ストレート部の内面と前記カーブ部の外面とが突き合わされた状態で、前記外側接合端部と前記内側接合端部との突合部が接合されていることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
〔5〕 前記内側接合端部は、前記カーブ部の外面の一部を平坦化した平坦部を含み、
前記ストレート部の内面と前記平坦部とが突き合わされた状態で、前記外側接合端部と前記内側接合端部との突合部が接合されていることを特徴とする請求項4に記載のキャップ付き容器。
〔6〕 前記容器本体に対して前記中栓又は前記外蓋が螺合により取り付けられることを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
〔7〕 前記中栓の外周部には、前記容器本体の内側と前記中栓との間を密閉するシール部材が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載のキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、容器本体の上部開口部を開閉する際のキャップユニットの操作性を向上させることによって、更なる使い勝手の向上を可能としたキャップ付き容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1中の囲み部分Aに示す容器本体の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図1に示すキャップユニットを下方側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示すキャップユニットを下方側から見た平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るキャップ付き容器の構成を示す断面図である。
【
図6】
図5に示すキャップユニットを下方側から見た斜視図である。
【
図7】
図5に示すキャップユニットを下方側から見た平面図である。
【
図8】容器本体に設けられた周縁部の別の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図4に示すキャップ付き容器1Aについて説明する。なお、
図1は、キャップ付き容器1Aの構成を示す断面図である。
図2は、
図1中の囲み部分Aに示す容器本体2の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、キャップユニット3Aを下方側から見た斜視図である。
図4は、キャップユニット3Aを下方側から見た平面図である。
【0012】
本実施形態のキャップ付き容器1Aは、
図1及び
図2に示すように、上部が開口した容器本体2と、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3Aとを備え、容器本体2に収容された飲料(内容物)を保温又は保冷することが可能な飲料用容器である。また、キャップ付き容器1Aでは、容器本体2に対して螺合により取り付けられるキャップユニット3Aによって、容器本体2の上部開口部2aを開閉することが可能となっている。
【0013】
具体的に、容器本体2は、例えばステンレス等からなる金属製の外容器4及び内容器5を有している。容器本体2は、一端(以下、「開口端」という。)4aが開口した外容器4の内側に一端(以下、「開口端」という。)5aが開口した内容器5を収容した状態で、互いに接合されると共に、これら外容器4と内容器5との間に真空断熱層6が設けられた真空断熱構造を有している。
【0014】
真空断熱層6は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器4の底面中央部に設けられた脱気孔をろう材により封止することによって形成することができる。
【0015】
容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、上述した保温や保冷といった機能を持たせることが可能である。また、容器本体2では、このような真空断熱構造を有することで、内圧(真空圧)と外圧(大気圧)の差により外容器4及び内容器5に対して常に張力が加わった状態となり、これら外容器4及び内容器5の機械的強度が増すことになる。これにより、外容器4及び内容器5の板厚を薄くした場合でも、容器本体2の剛性を高めることが可能であり、この容器本体2の軽量化を図ることが可能である。
【0016】
容器本体2は、略円形状の底面部2bと、底面部2bの外周から略円筒状に起立した胴部2cと、胴部2cの上部側において漸次縮径された肩部2dと、肩部2dから略円筒状に起立した口頸部2eとを有している。また、口頸部2eの上端部は、容器本体2の上部開口部2aとして、円形状に開口している。
【0017】
口頸部2eの内周面には、雌ネジ部7が設けられている。さらに、雌ネジ部7の下方には、リング状の張出部8が内容器5の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0018】
なお、本実施形態のキャップ付き容器1Aは、全体として略円筒状の外観形状を有しているが、キャップ付き容器1Aの外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2(外容器4)の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0019】
容器本体2は、
図2に示すように、外容器4と内容器5との突き合わせ部分(以下、「突合部」という。)4b,5bにおいて互いに接合される外側接合端部9及び内側接合端部10を有している。
【0020】
外側接合端部9は、外容器4の開口端4aを上方に向かって延長させたストレート部11を含む。ストレート部11は、口頸部2eの外面に沿って、断面視で上下方向に直線状に形成されている。また、外側接合端部9において外容器4の開口端4aと突合部4bとが一致している。
【0021】
内側接合端部10は、内容器5の開口端5aを外向きに折り曲げながら下方に向かって折り返したカーブ部12と、カーブ部12の一部を平坦化した平坦部12aと含む。
【0022】
カーブ部12は、内容器5の開口端5aが外側接合端部9(外容器4)の内面と内側接合端部10(内容器5)の外面との間に位置するように湾曲して折り曲げられている。
【0023】
内側接合端部10では、内容器5の開口端5aが外側接合端部9(外容器4)の内面と接触する位置にあると、外容器4の内側に内容器5を嵌め込む際に、内容器5を外容器4の内側に嵌め込むことができなくなったり、内側接合端部10の形状が変化したりするため、好ましくない。一方、内容器5の開口端5aが内側接合端部10(内容器5)の外面と接触する位置にあると、平坦部12aを形成する際に、カーブ部12の形状が変化してしまい、口当たりの良い丸みが得られなくなるため、好ましくない。
【0024】
平坦部12aは、カーブ部12の一部をストレート部11と平行となるように平坦化している。内側接合端部10では、このような平坦部12aを設けることによって、ストレート部11とカーブ部12との接触面積を拡げることが可能である。
【0025】
容器本体2では、ストレート部11の内面と、平坦部12aを含むカーブ部12の外面とが突き合わされた状態で、外側接合端部9と内側接合端部10との突合部4b,5bが接合されている。外側接合端部9と内側接合端部10との接合には、例えばレーザー溶接などの溶接方法が用いられる。
【0026】
容器本体2では、その上部開口部2aが内容器5の上端部5cにより構成されている。また、内容器5の上端部5cは、上述したカーブ部12の一部により構成されている。なお、本実施形態では、内容器5の上端部5cが突合部5bよりも上方に位置した構成となっているが、内容器5の上端部5cが突合部5bと一致する構成であってもよい。
【0027】
また、
図2では、外側接合端部9と内側接合端部10との突き合わせ部分(境界)が図示されているが、接合後は、この突き合わせ部分が溶接により溶融することで、外側接合端部9と内側接合端部10との突合部4b,5bに全周に亘って溶接ビードが形成されることになる。また、この溶接ビードについては、溶接加工の後に、研削及び研磨加工を施すことによって、平滑な面に仕上げられる。
【0028】
また、内容器5の内面には、突合部5bに向かって漸次拡径されたテーパー部13が設けられている。テーパー部13は、雌ネジ部7よりも上方から口頸部5eの内面に沿って、断面視で上下方向に直線状に形成されたストレート部14の上端から突合部5bに向かって傾斜して設けられている。これにより、容器本体2では、口頸部2eに直接口をつけて飲料を飲む場合などに、口当たりを良くし、良好な飲み心地を得ることが可能である。
【0029】
容器本体2では、上述した外側接合端部9と内側接合端部10とを精度良く接合することができ、なお且つ、仕上がりの良い接合端部を得ることが可能である。したがって、この容器本体2では、口頸部2eに直接口をつけて飲料を飲む場合などに、スムーズな飲料の流動が可能となり、良好な飲み心地を得ることが可能である。
【0030】
また、容器本体2では、溶接ビードが大きくなることを防ぎつつ、製造工程の簡略化や製造コストの低減などを行うことが可能である。さらに、外容器4及び内容器5の板厚を薄くして、この容器本体2の軽量化を図ると共に、断熱性能を向上させることも可能である。
【0031】
キャップユニット3Aは、
図1に示すように、容器本体2の上部開口部2aを閉塞する栓体を構成するものである。具体的に、このキャップユニット3Aは、容器本体2の上部開口部2aを覆った状態で、容器本体2に螺合により取り付けられるキャップ本体15を備えている。
【0032】
キャップ本体15は、容器本体2の上部開口部2aを覆う外蓋16と、上部開口部2aから容器本体2の内側に嵌め込まれる中栓17とを有している。
【0033】
外蓋16は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなり、容器本体2の胴部2cと連続するように略円筒状に形成された周壁部16aと、周壁部16aの上部を閉塞する上壁部16bとを有している。
【0034】
中栓17は、例えばポリプロピレン等の耐熱性樹脂からなる。中栓17は、有底略円筒形状を有して、上壁部16bの下面中央部に溶着等により一体に取り付けられている。これにより、中栓17は、外蓋16の内側中央部に位置している。なお、中栓17の内部は、断熱層となる空気に限らず、断熱材Sを配置した構成としてもよい。
【0035】
また、中栓17の外周面には、雄ネジ部18が設けられている。キャップ付き容器1Aでは、この雄ネジ部18と雌ネジ部7との螺合によって、容器本体2に対して中栓17(キャップ本体15)が着脱自在に取り付けられている。さらに、雌ネジ部7と雄ネジ部18とは、互いに相補形を為す二条ネジからなる。二条ネジを用いた場合、容器本体2に対してキャップ本体15(キャップユニット3A)を少ない回転操作(本実施形態では約180°)で着脱することが可能である。
【0036】
中栓17の外周部には、止水パッキン19が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン19は、容器本体2の内側と中栓17との間を密閉するリング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴム等の耐熱性を有するゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる。
【0037】
一方、中栓17の下端部には、フランジ部17aが拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン19は、このフランジ部17aに全周に亘って嵌め付けられている。
【0038】
また、止水パッキン19の外周面には、2つの弾性フランジ部19aが拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン19は、容器本体2にキャップ本体15が取り付けられた際に、弾性フランジ部19aが弾性変形しながら、容器本体2の張出部8に全周に亘って密着した状態となる。これにより、張出部8(容器本体2)と中栓17(キャップ本体15)との間を密閉(止水)することが可能となっている。
【0039】
一方、止水パッキン19は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、フランジ部17aから取り外すことが可能である。これにより、キャップ本体15と止水パッキン19とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン19とフランジ部17aとの間を衛生的に保つことができる。
【0040】
なお、止水パッキン19については、上述した形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば、弾性フランジ部19aの数については、上述した2つに限らず、1つ又は複数とすることも可能である。また、止水パッキン19は、上述した弾性フランジ部19aが設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、その形状等について適宜変更を加えることが可能である。
【0041】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、上部開口部2aから容器本体2の内側に中栓17を嵌め込んだ状態から、容器本体2に対して外蓋16(キャップ本体15)を右回り(以下、「閉方向」という。)に回転させることによって、雌ネジ部7と雄ネジ部18との螺合により容器本体2にキャップユニット3Aを取り付けることが可能である。
【0042】
一方、容器本体2にキャップ本体15(キャップユニット3A)が取り付けられた状態から、容器本体2に対して外蓋16(キャップ本体15)を左回り(以下、「開方向」という。)に回転させることによって、雌ネジ部7と雄ネジ部18との螺合を解除し、容器本体2からキャップユニット3Aを取り外すことが可能である。
【0043】
ところで、本実施形態のキャップ付き容器1Aは、容器本体2側の上部開口部2aの周囲に周縁部20と、キャップ本体15側の周縁部20と対向する位置に複数(本実施形態では4つ)の当接部21とを有している。
【0044】
周縁部20は、
図2に示すように、上述した内容器5の外向きに折り曲げられた部分、すなわちカーブ部12の一部により構成されている。本実施形態では、内容器5の上端部5cを含む周縁部20が上部開口部2aの周囲に全周に亘って設けられている。また、周縁部20は、上向きに凸となる曲面又は平面により構成されている。
【0045】
一方、複数の当接部21は、
図3及び
図4に示すように、外蓋16の周壁部16aと中栓17との間に位置して、上壁部16bの下面から突出して設けられている。また、複数の当接部21は、キャップ本体15の周方向に等間隔に並んで配置されている。
【0046】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、
図1に示すように、容器本体2にキャップユニット3Aが取り付けられた状態において、周縁部20に複数の当接部21が当接された状態となる。
【0047】
この場合、周縁部20に複数の当接部21が当接された時点で、容器本体2に対してキャップ本体15をそれ以上閉方向に回すことができなくなるため、容器本体2に対するキャップユニット3Aの螺合による取付位置を規制することができる。これにより、キャップ本体15を閉方向に回し過ぎることによるキャップユニット3Aの過度な締め込みを防ぐことが可能である。
【0048】
一方、容器本体2の周縁部20に複数の当接部21が当接されるよりも先に、外蓋16を形成する周壁部16aの下端が容器本体2の肩部2dに当接される構成とした場合、容器本体2に対してキャップ本体15を閉方向に回し過ぎたときに、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに押し付けられた状態となる。
【0049】
この場合、容器本体2の肩部2dがテーパー形状を有することから、外蓋16の周壁部16aを拡径方向に変形させながら、容器本体2に対してキャップ本体15を更に閉方向に回し続けることができる。このため、容器本体2に対するキャップユニット3Aの螺合による取付位置を規制することが困難となる。また、キャップユニット3Aが過度に締め込まれた場合、この締め込みを解除するのに必要なトルクが増すため、キャップ本体15を開方向に回すことが困難となる虞れがある。さらに、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに当接される場合、容器本体2の外面に施された塗装や印刷等が外蓋16の下端に引っ掻かれて傷付いてしまう虞れがある。
【0050】
これ対して、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに当接するよりも先に、周縁部20に複数の当接部21が当接された状態となるため、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに押し付けられた状態となることを防ぐことが可能である。
【0051】
なお、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、上述した周縁部20に複数の当接部21が当接された状態において、外蓋16の下端と容器本体2の肩部2dとの間に隙間が形成されているが、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに押し付けられない程度に接触する構成であってもよい。
【0052】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、容器本体2に対してキャップユニット3Aを取り付けたり取り外したりする際に、周縁部20に複数の当接部21が摺接することになる。複数の当接部21は、周縁部20に対して全周に亘って当接していないことから、これら複数の当接部21が周縁部20と摺接される際の抵抗を減らして、キャップユニット3Aを回し易くすることが可能である。
【0053】
一方、外容器と内容器との上端部において、外容器の内面と内容器の外面とを突き合わせた状態で、互いの開口端同士を溶接(いわゆる拝み溶接)により接合した場合、容器本体の尖った形状の上端部がキャップ本体の対向する面に食い込み易くなる。したがって、キャップユニットが過度に締め込まれた場合、この締め込みを解除するのに必要なトルクが増すため、キャップ本体を開方向に回すことが困難となる。また、上端部の締め込みを防ぐため、シリコーン樹脂などの弾性部材からなるパッキンが必要となる。
【0054】
これ対して、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、上述した内容器5の外向きに折り曲げられた部分により構成される周縁部20に対して、キャップ本体15の周縁部20と対向する面から突出された複数の当接部21が当接される構成となっている。この場合、上述した容器本体2の上端部に拝み溶接よりも幅広となる周縁部20が形成されることから、この周縁部20がキャップ本体15の対向する面に食い込むといったことを防ぐことが可能である。また、キャップ本体15への食い込みを防ぐためにパッキン等の別部品を設ける必要がなくなる。
【0055】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器1Aでは、容器本体2の上部開口部2aを開閉する際のキャップユニット3Aの操作性を向上させることによって、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図5~
図7に示すキャップ付き容器1Bについて説明する。
なお、
図5は、キャップ付き容器1Bの構成を示す断面図である。
図6は、キャップユニット3Bを下方側から見た斜視図である。
図7は、キャップユニット3Bを下方側から見た平面図である。また、以下の説明では、上記キャップ付き容器1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0057】
本実施形態のキャップ付き容器1Bは、
図5に示すように、上記キャップユニット3Aを備える代わりに、容器本体2に着脱自在に取り付けられるキャップユニット3Bを備えた構成である。
【0058】
具体的に、このキャップユニット3Bは、
図6及び
図7に示すように、上記複数の当接部21の代わりに、キャップ本体15の周縁部20と対向する位置に当接部22を有している。
【0059】
当接部22は、外蓋16の周壁部16bと中栓17との間に位置して、上壁部16bの下面に全周に亘って設けられている。それ以外は、上記キャップユニット3Aと基本的に同じ構成を有している。
【0060】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、
図5に示すように、容器本体2にキャップユニット3Bが取り付けられた状態において、周縁部20に当接部22が当接された状態となる。
【0061】
この場合、周縁部20に当接部22が当接された時点で、容器本体2に対してキャップ本体15をそれ以上閉方向に回すことができなくなるため、容器本体2に対するキャップユニット3Bの螺合による取付位置を規制することができる。これにより、キャップ本体15を閉方向に回し過ぎることによるキャップユニット3Bの過度な締め込みを防ぐことが可能である。
【0062】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに当接するよりも先に、周縁部20に当接部22が当接された状態となるため、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに押し付けられた状態となることを防ぐことが可能である。
【0063】
なお、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、上述した周縁部20に当接部22が当接された状態において、外蓋16の下端と容器本体2の肩部2dとの間に隙間が形成されているが、外蓋16の下端が容器本体2の肩部2dに押し付けられない程度に接触する構成であってもよい。
【0064】
また、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、上述した内容器5の外向きに折り曲げられた部分により構成される周縁部20に対して、キャップ本体15の周縁部20と対向する面に全周に亘って設けられた当接部22が当接される構成となっている。この場合、上述した容器本体2の上端部に拝み溶接よりも幅広となる周縁部20が形成されることから、この周縁部20がキャップ本体15の対向する面に食い込むといったことを防ぐことが可能である。また、キャップ本体15への食い込みを防ぐためにパッキン等の別部品を設ける必要がなくなる。
【0065】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器1Bでは、容器本体2の上部開口部2aを開閉する際のキャップユニット3Bの操作性を向上させることによって、更なる使い勝手の向上を図ることが可能である。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、容器本体2については、上述した周縁部20を有する構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば
図8に示すような周縁部23を有する構成であってもよい。
【0067】
周縁部23は、内容器5の外向きに折り曲げられた部分により構成されている。具体的には、内容器5の開口端5aを外容器4の開口端4a側に向かって湾曲させながら折り曲げることによって、内容器5の上端部から拡径方向にリング状に突出して設けられている。これにより、上部開口部2aの周囲に周縁部23が全周に亘って設けられている。
【0068】
容器本体2では、内容器5の開口端5a側の下面に外容器4の開口端4aを突き合わせた状態で、互いの開口端4a,5a同士が接合されている。これら開口端4a,5a同士の接合には、例えばレーザー溶接などの溶接方法が用いられる。
【0069】
また、内容器5は、絞り加工により成形されるが、絞り加工の際は、開口端5aの周囲に鍔押さえフランジが発生する。通常、拝み溶接によって外容器4と内容器5とを溶接する場合は、内容器5に発生した鍔押さえフランジを切断した後に、外容器の内面と内容器の外面とを突き合わせた状態で、互いの開口端同士を溶接することが行われている。
【0070】
これに対して、本実施形態では、内容器5に発生した鍔押さえフランジを切断することなく、そのまま周縁部23として利用することが可能である。これにより、鍔押さえフランジの切断加工が不要となるだけでなく、内容器5の材料歩留りが向上するため、製造コストを抑制することが可能となる。
【0071】
なお、
図8では、外容器4と内容器5との突き合わせ部分(境界)が図示されているが、接合後は、この突き合わせ部分が溶接により溶融することで、この溶接部分に全周に亘って溶接ビードが形成されることになる。また、この溶接ビードについては、溶接加工の後に、研削及び研磨加工を施すことによって、平滑な面に仕上げられる。
【0072】
また、上記キャップユニット3A,3Bについては、容器本体2の上部開口部2aから内側に嵌め込まれた状態で、容器本体2に対して中栓17が螺合により取り付けられる構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、キャップユニット3A,3Bについては、容器本体2の上部開口部2aを覆った状態で、容器本体2に対して外蓋16が螺合により取り付けられる構成であってもよい。
【0073】
この構成の場合、上述した雌ネジ部7及び雄ネジ部18の代わりに、口頸部2eの外周面に設けられた雄ネジ部と、外蓋16を構成する周壁部16aの内周面に設けられた雌ネジ部との螺合によって、容器本体2に対して外蓋16(キャップ本体15)が着脱自在に取り付けられる構成とすればよい。
【0074】
また、上記キャップユニット3A,3Bについては、容器本体2の上部開口部2aを直接開閉する構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、容器本体2に取り付けられたキャップ本体に対して蓋体を開閉自在に取り付けた構成であってもよい。さらに、蓋体は、キャップ本体に対して螺合により取り付けられた構成に限らず、キャップ本体に対してヒンジ部を介して回動自在に取り付けられた構成であってもよい。
【0075】
なお、上記実施形態では、上述した真空断熱構造を有する容器本体2によって保温・保冷機能を持たせた飲料用容器に本発明を適用した場合を例示しているが、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップユニットとを備えたキャップ付き容器に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1A,1B…キャップ付き容器 2…容器本体 2a…上部開口部 3A,3B…キャップユニット 4…外容器 5…内容器 6…真空断熱層 7…雌ネジ部 8…張出部 9…外側接合端部 10…内側接合端部 11…ストレート部 12…カーブ部 12a…平坦部 13…テーパー部 14…ストレート部 15…キャップ本体 16…外蓋 17…中栓 18…雄ネジ部 19…止水パッキン(シール部材) 20…周縁部 21,22…当接部 23…周縁部