(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】配分処理装置、配分処理方法、及び配分処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20230801BHJP
【FI】
G06Q10/087
(21)【出願番号】P 2019098032
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (A)平成31年2月7日 ウェブサイトhttps://fashion-co-lab.jp/service/mdmeister/にて公開、(B)平成31年4月25日 ウェブサイトhttps://fastech-solutions.jp/solution/md-meister/にて公開、(C)平成31年4月25日 繊研新聞公告『繊研新聞 ネットコミュニケーション特集』にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】306026027
【氏名又は名称】株式会社ワールド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺井 秀藏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信輝
(72)【発明者】
【氏名】川西 里佳
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-223710(JP,A)
【文献】特開2003-323479(JP,A)
【文献】特開2003-123145(JP,A)
【文献】特開2009-217377(JP,A)
【文献】特開2010-146407(JP,A)
【文献】特開2004-001985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配分対象物の入荷数の少なくとも一部の数の前記配分対象物を複数の配分先に初回配分する場合に、前記複数の配分先の各々における販売実績情報に基づいて、前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に初回配分する初回配分数を各々算出する初回配分数算出部と、
前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、前記入荷数の残りの数の前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に追加配分する追加配分数を各々算出する追加配分数算出部と、
前記複数の配分先における前記配分対象物の在庫情報に基づいて、前記複数の配分先の中から、前記配分対象物の移動元である配分先と、前記配分対象物の移動先である配分先と、を抽出する抽出部と、
を備え
、
前記抽出部は、前記配分対象物を追加配分する場合よりも、前記配分対象物を移動させる方が輸送効率が大きくなる前記移動元及び前記移動先を抽出する
配分処理装置。
【請求項2】
前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて前記配分対象物の予測在庫期間を算出し、算出した予測在庫期間が閾値以上の場合に前記配分対象物の売価を変更する売価変更部
を備えた請求項1記載の配分処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、移動対象となる前記配分対象物の数の上限値の設定、前記移動元が前記配分対象物を出荷する前記移動先の数の上限値の設定、前記移動先に入荷される商品の数の上限値の設定、前記移動元から出荷される商品の最大数の設定、及び前記配分対象物の輸送効率の下限値の設定、の少なくとも1つを受け付ける
請求項1
又は請求項2記載の配分処理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
配分対象物の入荷数の少なくとも一部の数の前記配分対象物を複数の配分先に初回配分する場合に、前記複数の配分先の各々における販売実績情報に基づいて、前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に初回配分する初回配分数を各々算出する初回配分数算出ステップと、
前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、前記入荷数の残りの数の前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に追加配分する追加配分数を各々算出する追加配分数算出ステップと、
前記複数の配分先における前記配分対象物の在庫情報に基づいて、前記複数の配分先の中から、前記配分対象物の移動元である配分先と、前記配分対象物の移動先である配分先と、を抽出する抽出ステップと、
を含
み、
前記抽出ステップは、前記配分対象物を追加配分する場合よりも、前記配分対象物を移動させる方が輸送効率が大きくなる前記移動元及び前記移動先を抽出する
ことを含む処理を実行する配分処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1~
3の何れか1項に記載の配分処理装置の各部として機能させるための配分処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配分処理装置、配分処理方法、及び配分処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の配分先端末装置と配分処理装置と配分実行装置とを備えた配分処理システムにおいて、配分先端末装置は、対象物の取扱実績情報を記録し、配分処理装置は、各配分先端末装置から、各配分先における対象物の取扱実績情報を受けて記録し、新たに配分を行う配分対象物に対応する取扱実績情報に基づいて、各配分予定先を分類し、新たに配分を行う配分対象物の総量を受けて、各配分予定先に対して決定された分類を用いて、前記各配分予定先に対し、当該配分対象物をどのように配分するかを示す配分データを生成して、配分実行装置に送信し、配分実行装置は、前記配分データを受けて、当該配分対象物を、当該配分データに基づいて、配分先に配分するための処理を実行すること、を特徴とする配分処理システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、市場に投入した商品を売り切る売切日を設定する第1工程と、前記商品の売行き状況から実際の売切日を推定する第2工程と、前記第1工程で設定された設定売切日と第2工程で推定された推定売切日とを比較するための第3工程と、この第3工程で比較された結論に基づき、返品、補充発注、価格の修正、商品の他店舗への移動の内、少なくとも1つの指令を行う第4工程とからなることを特徴とする自動在庫管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-323479号公報
【文献】特開平4-15747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の配分先に配分された配分対象物が在庫として残るのを抑制することができる配分処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る配分処理装置は、配分対象物の入荷数の少なくとも一部の数の前記配分対象物を複数の配分先に初回配分する場合に、前記複数の配分先の各々における販売実績情報に基づいて、前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に初回配分する初回配分数を各々算出する初回配分数算出部と、前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、前記入荷数の残りの数の前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に追加配分する追加配分数を各々算出する追加配分数算出部と、前記複数の配分先における前記配分対象物の在庫情報に基づいて、前記複数の配分先の中から、前記配分対象物の移動元である配分先と、前記配分対象物の移動先である配分先と、を抽出する抽出部と、を備える。
【0007】
第2態様に係る配分処理装置は、第1態様に係る配分処理装置において、前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて前記配分対象物の予測在庫期間を算出し、算出した予測在庫期間が閾値以上の場合に前記配分対象物の売価を変更する売価変更部を備える。
【0008】
第3態様に係る配分処理装置は、第1態様又は第2態様に係る配分処理装置において、前記抽出部は、前記配分対象物を追加配分する場合よりも、前記配分対象物を移動させる方が輸送効率が大きくなる前記移動元及び前記移動先を抽出する。
【0009】
第4態様に係る配分処理装置は、第1~第3態様の何れか1つの態様に係る配分処理装置において、前記抽出部は、移動対象となる前記配分対象物の数の上限値の設定、前記移動元が前記配分対象物を出荷する前記移動先の数の上限値の設定、前記移動先に入荷される商品の数の上限値の設定、前記移動元から出荷される商品の最大数の設定、及び前記配分対象物の輸送効率の下限値の設定、の少なくとも1つを受け付ける。
【0010】
第5態様に係る配分処理方法は、配分対象物の入荷数の少なくとも一部の数の前記配分対象物を複数の配分先に初回配分する場合に、前記複数の配分先の各々における販売実績情報に基づいて、前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に初回配分する初回配分数を各々算出する初回配分数算出ステップと、前記複数の配分先における前記配分対象物の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、前記入荷数の残りの数の前記配分対象物を前記複数の配分先の各々に追加配分する追加配分数を各々算出する追加配分数算出ステップと、前記複数の配分先における前記配分対象物の在庫情報に基づいて、前記複数の配分先の中から、前記配分対象物の移動元である配分先と、前記配分対象物の移動先である配分先と、を抽出する抽出ステップと、を含む。
【0011】
第6態様に係る配分処理プログラムは、コンピュータを、第1~4態様の何れか1つの態様に記載の配分処理装置の各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の配分先に配分された配分対象物が在庫として残るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】配分処理システムの構成を示す概略構成図である。
【
図2】配分処理装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】配分処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】配分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】初回配分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】店間移動処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】追加配分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】売価変更処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は配分処理システム1の構成図である。配分処理システム1は、配分処理装置10、店舗コンピュータ20、及び物流センターコンピュータ30がネットワークNを介して接続された構成である。
【0016】
配分処理システム1は、配分対象物の一例としてのアパレル商品(以下、単に商品と称する)を、複数の店舗に対して配分するシステムである。なお、配分対象物は、アパレル商品に限らず、電化製品等でもよい。
【0017】
配分処理装置10は、例えば商品の配分を担う会社に設置される。店舗コンピュータ20は、配分された商品の配分先の一例として、商品の販売を担う複数の店舗に各々設置される。物流センターコンピュータ30は、商品の入出荷、保管を担う物流センターに設置される。配分処理装置10、店舗コンピュータ20、及び物流センターコンピュータ30は、一般的なコンピュータにより構成される。
【0018】
図2は、配分処理装置10の構成図である。
図2に示すように、配分処理装置10は、コントローラ11を備える。コントローラ11は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、不揮発性メモリ11D、及び入出力インターフェース(I/O)11Eを備える。そして、CPU11A、ROM11B、RAM11C、不揮発性メモリ11D、及びI/O11Eがバス11Fを介して各々接続されている。
【0019】
また、I/O11Eには、操作部12、表示部13、通信部14、及び記憶部15が接続されている。
【0020】
操作部12は、例えばマウス及びキーボードを含んで構成される。
【0021】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。
【0022】
通信部14は、店舗コンピュータ20及び物流センターコンピュータ30等の外部装置とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0023】
記憶部15は、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置で構成され、後述する配分処理プログラム15A及び商品データベース15B等を記憶する。CPU11Aは、記憶部15に記憶された配分処理プログラム15Aを読み込んで実行する。
【0024】
商品データベース15Bは、各店舗に配分される商品に関する様々な情報を含み、例えば商品の仕入れ情報、各店舗の販売実績情報、及び各店舗の商品の在庫情報等を含む。商品データベース15Bは、店舗コンピュータ20及び物流センターコンピュータ30から送信された商品に関する様々な情報に基づいて逐次更新される。
【0025】
次に、配分処理装置10が配分処理プログラム15Aを実行する場合におけるCPU11Aの機能構成について説明する。
【0026】
図3に示すように、CPU11Aは、機能的には、初回配分数算出部40、追加配分数算出部41、抽出部42、及び売価変更部43を備える。
【0027】
初回配分数算出部40は、商品の入荷数の少なくとも一部の数の商品を複数の店舗に初回配分する場合に、複数の店舗の各々における販売実績情報に基づいて、商品を複数の店舗の各々に初回配分する初回配分数を各々算出する。
【0028】
追加配分数算出部41は、複数の店舗における商品の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、入荷数の残りの数の商品、すなわち、初回配分した後に残った商品を複数の店舗に追加配分する追加配分数を各々算出する。
【0029】
抽出部42は、複数の店舗における商品の在庫情報に基づいて、複数の店舗の中から、商品の移動元、すなわち商品を出荷する店舗と、商品の移動先である店舗、すなわち商品を入荷する店舗と、を抽出する。出荷する店舗と入荷する店舗との間で店間移動する商品は、後述する店間移動対象抽出条件に従って抽出される。
【0030】
売価変更部43は、複数の店舗における商品の販売実績情報及び在庫情報に基づいて商品の予測在庫期間を算出し、算出した予測在庫期間が閾値以上の場合、すなわち商品の在庫が長期間に亘って残る場合に商品の売価を変更する。具体的には、商品の売価を下げる。
【0031】
次に、本実施の形態に係る配分処理装置10の作用について、
図4~8に示すフローチャートを参照して説明する。
図2に示すように、配分処理プログラム15Aは記憶部15に記憶されている。CPU11Aが配分処理プログラム15Aを読み出して実行することにより、
図4に示す配分処理が実行される。なお、
図4に示す配分処理は、オペレータが配分処理の実行を指示すると実行される。
【0032】
ステップS100では、記憶部15に記憶された商品データベース15Bから商品の仕入れ情報を取得し、取得した仕入れ情報に基づいて商品の初回配分件数を算出する。ここで、初回配分件数とは、まだ各店舗に配分されておらず、配分するのが初回である配分対象の商品の数である。仕入れ情報は、例えば商品の品番、商品の商品名、商品の次回仕入れの予定数、及び商品の次回仕入れの予定日等を含む。そして、次回仕入れの予定数が0でない商品、すなわち初回配分すべき商品の数を初回配分件数として算出する。
【0033】
ステップS102では、記憶部15に記憶された商品データベース15Bを参照し、店間移動商品抽出条件を満たす店間移動対象の商品の数である店間移動対象件数を算出する。
【0034】
店間移動対象の商品は、初回配分及び後述する追加配分が終了し、物流センターに在庫の無い商品の中から、店間移動商品抽出条件に従って抽出される。
【0035】
店間移動商品抽出条件は、本実施形態では一例として、オペレータが任意に設定した商品の販売経過週数、前週販売掛率、及び上位店在庫週数により定められる。ここで、販売経過週数とは、商品を販売してから経過した週の数である。例えば販売経過週数が2~4週に設定された場合は、商品が販売されてから経過した週が2週以上で且つ4週以下の商品が店間移動対象となる。また、前週販売掛率とは、前週に販売された商品の売価の定価に対する掛け率である。例えば前週販売掛率が90%に設定された場合は、前週の売価が定価の90%以上の商品が店間移動対象となる。また、上位店在庫週数は、全店舗のうち上位店舗において商品の在庫が何週分あるかを表す。上位店舗は、店舗の販売実績に基づいて定められ、例えば全店舗のうち販売実績が上位40%の店舗である。例えば上位店在庫週数が2週に設定された場合は、上位店舗において在庫の数が2週分以下となっている商品が店間移動対象となる。
【0036】
ステップS102では、オペレータが予め設定した商品の販売経過週数、前週販売掛率、及び上位店在庫週数の全てを満たす商品の数を店間移動対象件数として算出する。
【0037】
ステップS104では、
図9に示すような業務ポータル画面50を表示部13に表示させる。
図9に示すように、業務ポータル画面50は、初回配分ボタンB1及び店間移動ボタンB2が表示されている。そして、初回配分ボタンB1には、ステップS100で算出した初回配分件数が表示される。
図9の例では、初回配分すべき配分対象の商品が15件存在することを示している。また、店間移動ボタンB2には、ステップS102で算出した店間移動対象件数が表示される。
図9の例では、店間移動対象件数が10件存在することを示している。
【0038】
このように、業務ポータル画面50に初回配分件数が表示されるので、オペレータは、初回配分すべき商品が存在することを容易に認識することができる。また、業務ポータル画面50に店間移動対象件数が表示されるので、オペレータは、店間移動すべき商品が存在することを容易に認識することができる。
【0039】
ステップS106では、初回配分ボタンB1が押下されたか否かを判定する。そして、初回配分ボタンB1が押下された場合はステップS110へ移行し、初回配分ボタンB1が押下されていない場合はステップS108へ移行する。
【0040】
ステップS108では、店間移動ボタンB2が押下されたか否かを判定する。そして、店間移動ボタンB2が押下された場合はステップS112へ移行し、店間移動ボタンB2が押下されていない場合はステップS114へ移行する。
【0041】
ステップS110では、初回配分処理を実行する。以下、
図5に示すフローチャートを参照して初回配分処理について説明する。
【0042】
ステップS200では、
図10に示すような対象商品選択画面51を表示部13に表示させる。
【0043】
図10に示すように、対象商品選択画面51には、初回配分対象の商品に関する仕入れ情報60が表示される。仕入れ情報60は、商品の品番、商品の商品名、商品の次回仕入れの予定数、及び商品の次回仕入れの予定日等の対応関係を表す情報である。仕入れ情報60は、記憶部15に記憶された商品データベース15Bから抽出される。
【0044】
ステップS202では、初回配分する商品の選択を受け付ける。ここで、オペレータが、例えば初回配分する商品の商品名をクリックする等の操作を行うことにより、初回配分する商品が受け付けられる。
【0045】
ステップS204では、ステップS202で受け付けた商品の次回仕入れの予定数のうち、複数の店舗に商品を初回配分する数の合計値である初回配分総数を設定する。具体的には、次回仕入れの予定数に予め設定された初回配分率を乗算することにより初回配分総数を設定する。例えば、次回仕入れの予定数が1000個であり、初回配分率が60%に設定されていた場合は、初回配分総数は600個となる。なお、初回配分率は、オペレータが任意の値に設定可能である。
【0046】
ステップS206では、記憶部15に記憶された商品データベース15Bを参照し、各店舗の販売実績情報を取得する。ここで、販売実績情報は、例えば各店舗において販売された商品を特定する情報(商品の品番、名称等)及び販売日等に関する情報である。
【0047】
ステップS208では、ステップS206で取得した販売実績情報に基づいて、各店舗の初回配分数を算出する。例えば、各店舗の販売実績情報に基づいて各店舗の店舗ランクを設定し、設定した店舗ランクに基づいて各店舗に初回配分する商品の初回配分数を算出する。具体的には、例えば上記特許文献1記載の手法を用いて各店舗の初回配分数を算出することができる。詳細な説明は省略するが、特許文献1記載の発明では、各店舗の商品の売上実績、すなわち販売実績情報に基づいて店舗ランクを設定する。そして、店舗ランクに基づいて、(1)通常配分、(2)1:100配分、(3)商品ランク配分、の何れかの配分方法により各店舗の初回配分数を算出する。ちなみに、通常配分では、配分対象の店舗ランクを設定し、設定された店舗ランクの各店舗の売上げ金額の構成比に応じて各店舗の初回配分数が算出される。また、1:100配分では、配分対象の店舗ランクを設定し、設定された店舗ランクの各店舗に商品が1個ずつ配分され、残りの商品が各店舗の売上げ金額の構成比に応じて配分されるように各店舗の初回配分数が算出される。また、商品ランク配分では、配分対象の店舗ランクを設定し、設定された店舗ランクに応じて各店舗の初回配分数が算出される。なお、初回配分数の算出方法については、上記で説明した方法に限られるものはない。
【0048】
ステップS210では、ステップS208で算出した各店舗の初回配分数を出力する。具体的には、例えば各店舗に初回配分すべき商品の初回配分数をファイルに記録し、記憶部15に記憶させる。この場合、配分担当者は、ファイルに記録された各店舗に初回配分すべき商品の初回配分数に従って商品が各店舗に配送されるように物流センターに指示する。なお、各店舗に初回配分すべき商品の初回配分数を物流センターコンピュータ30に直接送信するようにしてもよい。これにより、初回配分数に従って各店舗に物流センターから商品が配送される。
【0049】
図4に戻って、ステップS112では、店間移動処理を実行する。以下、
図6に示すフローチャートを参照して店間移動処理について説明する。
【0050】
ステップS300では、記憶部15に記憶された商品データベース15Bを参照し、
図4のステップS102において抽出した店間移動対象の商品の在庫情報を取得する。
【0051】
ステップS302では、ステップS300で取得した店間移動対象の商品の在庫情報に基づいて、店間移動対象の商品の移動元の店舗、すなわち商品を出荷する出荷店舗と、商品の移動先の店舗、すなわち、商品を入荷する入荷店舗を抽出する。具体的には、店間移動店舗抽出条件に従って出荷店舗及び入荷店舗を抽出する。店間移動店舗抽出条件は、本実施形態では一例として、オペレータが任意に設定した入荷店舗在庫週数及び出荷店舗在庫週数により定められる。ここで、入荷店舗在庫週数とは、入荷店舗として抽出される店舗における店間移動対象の商品の在庫週数の上限値を表す。例えば入荷店舗在庫週数が2週の場合は、店間移動対象の商品の在庫週数が2週以下の店舗が入荷店舗として抽出される。また、出荷店舗在庫週数とは、出荷店舗として抽出される店舗における店間移動対象の商品の在庫週数の下限値を表す。例えば出荷店舗在庫週数が2週の場合は、店間移動対象の商品の在庫週数が2週以上の店舗が出荷店舗として抽出される。すなわち、在庫が多い店舗から在庫が少ない店舗に商品が店間移動するように、出荷店舗及び入荷店舗が抽出される。
【0052】
ステップS304では、商品データベース15Bを参照して店間移動対象の商品に関する情報、出荷店舗及び入荷店舗に関する情報等を取得し、
図11に示すような店間移動画面52を表示部13に表示させる。
図11に示すように、店間移動画面52には、店間移動情報61が表示される。店間移動情報61は、店間移動対象の商品の品番、店間移動対象の商品の名称、出荷店舗の名称、出荷店舗の都道府県、入荷店舗の名称、入荷店舗の都道府県、出荷店舗から出荷される商品の出荷数、商品の価格、商品の送料、輸送効率、及び粗利合計を含む。なお、輸送効率は、粗利合計を商品の送料で除算することにより得られる。輸送効率が大きいほど利益が大きくなるといえる。
【0053】
ステップS306では、店間移動する商品の選択を受け付ける。ここで、オペレータが、例えば店間移動する商品の名称をクリックする等の操作を行うことにより、店間移動する商品が受け付けられる。
【0054】
ステップS308では、ステップS306で受け付けた店間移動対象の商品の出荷店舗及び入荷店舗に、店間移動対象の商品に関する店間移動情報61を送信する。これにより、出荷店舗では、入荷店舗へ商品を配送すべきであることを認識し、入荷店舗では、出荷店舗から商品が配送されることを認識する。
【0055】
図4に戻って、ステップS114では、追加配分処理を実行する。以下、
図7のフローチャートを参照して追加配分処理について説明する。
【0056】
ステップS400では、商品データベース15Bを参照し、各店舗の商品の販売実績情報及び在庫情報を取得する。
【0057】
ステップS402では、ステップS400で取得した各店舗の商品の在庫情報及び売上情報に基づいて、各店舗で販売する各商品の予め定めた設定期間(例えば1週間)における売上げ予測値、すなわち標準在庫数(適正在庫数)を各々予測する。
【0058】
具体的には、上記特許文献1記載の手法を用いて各店舗で販売する各商品の標準在庫数を算出することができる。詳細な説明は省略するが、特許文献1記載の発明では、各店舗の商品の販売実績に基づいて、予め定めた設定期間における売上げ予測値を算出している。
【0059】
ステップS404では、ステップS402で予測した各店舗で販売する各商品の標準在庫数と、ステップS400で取得した各店舗で販売する各商品の在庫情報と、に基づいて、各店舗で販売する各商品の追加配分数を算出する。すなわち、各店舗販売する各商品が標準在庫数に近づくように、追加配分数を算出する。
【0060】
ステップS406では、ステップS404で算出した各店舗の追加配分数を出力する。具体的には、例えば各店舗に追加配分すべき商品の追加配分数をファイルに出力する。この場合、配分担当者は、ファイルに記録された各店舗に追加すべき商品の追加配分数に従って商品が各店舗に配送されるように物流センターに指示する。なお、各店舗に追加配分すべき商品の追加配分数を物流センターコンピュータに送信するようにしてもよい。これにより、各店舗に追加配分すべき商品の追加配分数に従って各店舗に物流センターから商品が配送される。
【0061】
図4に戻って、ステップS116では、売価変更処理を実行する。以下、
図8に示すフローチャートを参照して売価変更処理について説明する。
【0062】
ステップS500では、商品データベース15Bから各店舗の商品の販売実績情報及び在庫情報を取得する。
【0063】
ステップS502では、ステップS500で取得した各店舗の商品の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、各商品の総在庫週数を算出する。ここで、総在庫週数は、例えば各店舗における商品の在庫数の合計値である総在庫数を、前週における商品の各店舗の売上げ数の合計値である総売上げ数で除算した値であり、商品が売り切れるまでの予測在庫期間といえる。例えば総在庫数が1000個であり、総売上げ数が200個の場合は、総在庫週数は5、すなわち商品が売り切れるまでの予測在庫期間が5週間となる。
【0064】
ステップS504では、ステップS502で算出した総在庫週数に基づいて、売価変更すべき商品を設定する。具体的には、総在庫週数が予め定めた閾値以上の商品を売価変更すべき商品、すなわち売価を下げるべき商品として設定する。なお、閾値は、商品を売り切るまでの目標期間等に応じて適宜設定する。
【0065】
ステップS506では、ステップS504で設定した売価変更対象の商品の売価を変更して商品データベース15Bに登録する。例えば、売価変更すべき商品の売価を予め定めた割引率で割り引くことにより売価を変更する。割引率は、例えば定価に対する割引率である。なお、割引率は固定値、例えば10%としてもよいし、売価変更の回数に応じて段階的に増加するようにしてもよい。例えば1回目の売価変更時には割引率を10%とし、2回目の売価変更時には割引率を20%にする等、売価変更を実行する毎に割引率が増加するようにしてもよい。
【0066】
図4へ戻って、ステップS118では、オペレータから業務ポータル画面50の表示を終了する指示がされたか否かを判定する。そして、業務ポータル画面50の表示を終了する指示がされた場合は本ルーチンを終了し、業務ポータル画面50の表示を終了する指示がされていない場合はステップS100へ移行して上記と同様の処理を繰り返す。
【0067】
このように、本実施形態に係る配分処理装置10は、商品の入荷数の少なくとも一部の数の商品を初回配分し、商品の販売実績情報及び在庫情報に基づいて、初回配分後の残りの商品を追加配分する。そして、追加配分後、商品の在庫が多い店舗から商品の在庫が少ない店舗に商品が店間移動する。これにより、商品が配分された店舗において商品が在庫として残るのを抑制することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、初回配分及び追加配分が終了した商品が店間移動対象の商品となる場合について説明したが、追加配分が終了しておらず、物流センターに在庫が有る商品も店間移動対象の商品としてもよい。例えば、追加配分する場合よりも店間移動する方が輸送効率が大きくなる商品の出荷店舗及び入荷店舗を抽出するようにしてもよい。
【0069】
また、店間移動対象となる商品の数の上限値をオペレータが設定できるようにしてもよい。これにより、店間移動対象の商品が過剰になるのを抑制することができる。
【0070】
また、店間移動により出荷店舗が商品を出荷する入荷店舗の数の上限値をオペレータが設定できるようにしてもよい。これにより、出荷店舗が商品を出荷する入荷店舗の数が過剰になるのを抑制することができる。
【0071】
また、店間移動により入荷店舗に入荷される商品の数の上限値をオペレータが設定できるようにしてもよい。これにより、入荷店舗に店間移動により入荷店舗に入荷される商品の数が過剰になるのを抑制することができる。
【0072】
また、店間移動により出荷店舗から出荷される商品の最大数をオペレータが設定できるようにしてもよい。これにより、出荷店舗が出荷する商品の数が過剰になるのを抑制することができる。
【0073】
また、店間移動における輸送効率の下限値をオペレータが設定できるようにしてもよい。これにより、輸送効率が下限値より小さい商品、すなわち店間移動しても利益が低い商品が店間移動されてしまうのを抑制することができる。
【0074】
以上、実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0075】
また、上記実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0076】
また、上記実施の形態では、配分処理プログラム15Aが記憶部15に予めインストールされている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、配分処理プログラム15Aが、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記憶媒体に格納されて提供される形態、又はネットワークを介して提供される形態としてもよい。
【0077】
さらに、上記実施の形態では、配分処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、配分処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0078】
その他、上記実施の形態で説明した配分処理装置10の構成(
図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0079】
また、上記実施の形態で説明した配分処理プログラムの処理の流れ(
図4~8参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 配分処理システム
10 配分処理装置
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
15A 配分処理プログラム
15B 商品データベース
20 店舗コンピュータ
30 物流センターコンピュータ
40 初回配分数算出部
41 追加配分数算出部
42 抽出部
43 売価変更部
50 業務ポータル画面
51 対象商品選択画面
52 店間移動画面
60 仕入れ情報
61 店間移動情報
B1 初回配分ボタン
B2 店間移動ボタン
N ネットワーク