IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図1
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図2
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図3
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図4
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図5
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図6
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図7
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図8
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図9
  • 特許-航空機外部用ロボット印刷システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】航空機外部用ロボット印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/10 20170101AFI20230801BHJP
   B62D 57/032 20060101ALI20230801BHJP
   B62D 57/024 20060101ALI20230801BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230801BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230801BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230801BHJP
   B05C 21/00 20060101ALI20230801BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230801BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230801BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B64F5/10
B62D57/032 K
B62D57/024 M
B05D1/26 Z
B05D7/00 Z
B05D3/00 D
B05C21/00
B05C11/10
B05C11/00
B25J5/00 D
B41J2/01 301
B41J3/407
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019122824
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2020050329
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】16/139,482
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ローレンス
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-128082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0141784(US,A1)
【文献】特表2016-516625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0048081(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102866201(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102016204123(DE,A1)
【文献】特開2017-159441(JP,A)
【文献】特開平07-266262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/10
B64F 5/40
B64F 5/00
B62D 57/032
B62D 57/024
B62D 55/265
B05B 12/00
B05B 15/62
B05B 15/625
B05B 15/68
B05D 1/02
B05D 1/26
B05D 7/00
B05D 3/00
B05C 21/00
B05C 11/10
B05C 11/00
B25J 5/00
B41J 2/01
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(101)の外面(102)のためのロボット印刷システム(100)であって、
ロボットプリンタ(110)
を備え、前記ロボットプリンタ(110)は、
本体(111)と、
前記本体(111)に取り付けられ、前記ロボットプリンタ(110)を前記航空機(101)の前記外面(102)に取り付ける複数の真空吸着カップ(112)であって、前記複数の真空吸着カップ(112)は、前記航空機(101)の前記外面(102)に沿って前記ロボットプリンタ(110)を移動させるよう構成されている、複数の真空吸着カップ(112)と、
前記本体(111)に取り付けられるプリンティングヘッド(113)であって、前記プリンティングヘッド(113)は、前記航空機(101)の前記外面(102)に印刷媒体(114)を塗布するように配置される、プリンティングヘッド(113)と、
前記本体(111)に取り付けられ、前記航空機(101)の前記外面(102)上の前記ロボットプリンタ(110)の位置を決定するレーザ式位置決めデバイス(115)と
を備え、
前記レーザ式位置決めデバイス(115)は視野線(121)を有し、前記ロボット印刷システムは、
前記航空機(101)を囲む予め決められた箇所(107)に配置される複数の外部位置決めデバイス(105)であって、前記レーザ式位置決めデバイス(115)は、前記レーザ式位置決めデバイス(115)に対する相対位置データを視野線(121)内の各外部位置決めデバイスについて決定するように構成され、前記ロボットプリンタ(110)は、前記複数の外部位置決めデバイス(105)のうちの各外部位置決めデバイスについての前記相対位置データに基づいて前記航空機(101)の前記外面(102)上の前記ロボットプリンタ(110)の位置を決定するように構成されている、複数の外部位置決めデバイス(105)をさらに備える、ロボット印刷システム(100)。
【請求項2】
前記複数の真空吸着カップ(112)は、前記航空機(101)の前記外面(102)に沿って前記ロボットプリンタ(110)を駆動するように構成されている1対の平行トレッド(116)に配置される、請求項1に記載のロボット印刷システム(100)。
【請求項3】
前記複数の真空吸着カップ(112)は、前記航空機(101)の前記外面(102)に沿って前記ロボットプリンタ(110)を移動させるように構成されている複数の脚(117)のそれぞれの端部(118)に配置される、請求項1に記載のロボット印刷システム(100)。
【請求項4】
前記ロボットプリンタ(110)は、前記プリンティングヘッド(113)に接続される位置決めモータ(119)をさらに備え、前記位置決めモータ(119)は、前記複数の真空吸着カップ(112)に対して前記プリンティングヘッド(113)の位置を調節する、請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット印刷システム(100)。
【請求項5】
前記ロボットプリンタ(110)の前記本体(111)に取り付けられるアンビリカルライン(120)をさらに備え、前記アンビリカルライン(120)は、前記ロボットプリンタ(110)に電力および真空圧力の1つ以上を伝達する、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット印刷システム(100)。
【請求項6】
コンピューティングデバイス(200)
をさらに備え、前記コンピューティングデバイス(200)は、
1つ以上のプロセッサ(201)と、
それ自体に記憶される指示を有する非一時的コンピュータ可読媒体(202)であって、前記指示が前記1つ以上のプロセッサ(201)によって実行される場合に、
前記レーザ式位置決めデバイス(115)を通じて、前記航空機(101)の前記外面(102)に対応する複数の参照ポイント(106)の各々について前記レーザ式位置決めデバイス(115)に対する相対位置データを決定するステップと、
前記相対位置データに基づいて、前記航空機(101)の前記外面(102)上の前記ロボットプリンタ(110)の位置を決定するステップと、
前記相対位置データに基づいて、前記ロボットプリンタ(110)の前記位置を前記外面(102)の3次元モデルにマッピングするステップであって、前記3次元モデルは前記外面(102)上の画像(103)の表現を含む、ステップと、
前記ロボットプリンタ(110)の前記3次元モデルのマッピングに基づいて、前記3次元モデルの前記画像(103)の前記表現に対応する前記航空機(101)の前記外面(102)上の箇所に印刷媒体(114)を前記プリンティングヘッド(113)によって塗布するステップと、
前記複数の真空吸着カップ(112)によって前記航空機(101)の前記外面(102)に沿って前記ロボットプリンタ(110)を移動させるステップと
を含む機能を前記ロボット印刷システム(100)に実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体(202)と
を備える
請求項1からのいずれか一項に記載のロボット印刷システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機の外面に画像を印刷するロボット印刷システムおよび印刷するための運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の外面への装飾マーキングデザインの施工は時間のかかるプロセスである場合がある。現状の解決手段には、航空機の外部に一時的に設置される大規模なデザインテンプレート(たとえば、DuPont Teijin Films製のMYLAR(登録商標)のようなプラスチック基板製のテンプレート)の作成が含まれる。その際、当該大規模なデザインテンプレートは、マーキングデザインの各色が施工される航空機の区画をマスキングする基礎として用いられ、テンプレートが取り外された後に施工済みになる。デザインテンプレートの作成は幾度も行なうプロセスである場合があり、最終的には損傷やマーキングデザインの変更のためにテンプレートを交換しなければならない。さらに、異なるモデルの航空機と異なる航空会社のマーキングデザインとには異なるテンプレートが必要であり、各テンプレートにはその予定されている再利用のために保管およびメンテナンスが必要である。
【0003】
航空機の外面に装飾画像を施工するシステムおよび方法の改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例において、ロボットプリンタを含む航空機の外面用のロボット印刷システムであって、ロボットプリンタは、本体と、本体に取り付けられ、ロボットプリンタを航空機の外面に取り付ける複数の真空吸着カップとを有し、複数の真空吸着カップは、航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるように構成されている、ロボット印刷システムが説明される。ロボットプリンタは、本体に取り付けられるプリンティングヘッドであって、プリンティングヘッドは、航空機の外面に印刷媒体を塗布するように配置される、プリンティングヘッドも含む。ロボットプリンタは、本体に取り付けられ、航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するレーザ式位置決めデバイスも含む。
【0005】
別の例では、航空機の外面に画像を印刷する方法が説明される。方法は、航空機の外面にロボットプリンタを、ロボットプリンタの本体に取り付けられる複数の真空吸着カップによって取り付けるステップであって、ロボットプリンタは、本体に取り付けられるレーザ式位置決めデバイスおよびプリンティングヘッドをさらに含む、ステップを含む。方法は、レーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定するステップも含む。方法は、相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するステップも含む。方法は、相対位置データに基づいてロボットプリンタの位置を外面の3次元モデルにマッピングするステップであって、3次元モデルは外面上の画像の表現を含む、ステップも含む。方法は、ロボットプリンタの3次元モデルへのマッピングに基づいて、3次元モデル中の画像の表現に対応する航空機の外面上の箇所に印刷媒体をプリンティングヘッドを通じて塗布するステップも含む。方法は、複数の真空吸着カップによって航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるステップも含む。
【0006】
説明されている形態、機能および効果は様々な例において別々に実現することができるし、さらに別の例に組み入れてもよい。これのさらなる詳細は以下の説明および図面を参照して理解することができる。
【0007】
図示例の特性であると考えている新規の形態を添付の請求項に示す。ただし、図示例ならびにその好ましい使用形態、さらなる目的および説明は、添付の図面とともに詳細な説明に触れれば、本開示の図示例の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実現例に係る航空機の外面の側面図を示す。
図2】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムの側面図を示す。
図3】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムの上面図を示す。
図4】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムの側面図を示す。
図5】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムの移動経路例を示す。
図6】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムの長手方向の図を示す。
図7】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムのための複数の外部位置決めデバイスの側面図を示す。
図8】一実現例に係る、航空機の外面用のロボット印刷システムのための外部位置決めデバイスの長手方向の図。
図9】一実現例に係るコンピューティングデバイス例のブロック図を示す。
図10】一実現例に係る、航空機の外面に画像を印刷する方法例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図を参照して開示例をより完全に説明する。図中、開示例の一部が示されているが、全部は示されない。加えて、異なる数例が説明されている場合があるが、ここで示されている例に限定されると解釈するべきではない。さらに言えば、本開示が完璧で完全であり、当業者に開示の範囲を完全に伝えるようにこれらの例は説明されている。
【0010】
ここで説明されている例は、航空機の外面に画像を印刷するロボット印刷システムおよび印刷するための運転方法を含む。ロボット印刷システムは、ロボットプリンタを航空機の外面に取り付けて航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させる複数の真空吸着カップを有するロボットプリンタを含んでもよい。ロボットプリンタは、外面に印刷媒体を塗布するプリンティングヘッドと、航空機上のロボットプリンタの位置を決定して、印刷される画像の表現を含む航空機の3次元モデルに当該位置をマッピングするレーザ式位置決め手段とをさらに含んでもよい。したがって、ロボットプリンタは航空機の外面に沿って移動して、3次元モデル中の画像の表現に対応する箇所で印刷媒体を塗布してもよい。
【0011】
量または測定値に関する用語「約」または「実質的」および「実質的に」または「ほぼ」は、記載されている特徴、パラメータまたは値が厳密に実現される必要はないことを意味する。さらに言えば、当業者に知られている、たとえば、許容誤差、測定誤差、測定正確度限界および他の因子を含む偏差または変動が、特徴を実現しようとした効果を排除しない量で起こってもよい。
【0012】
以下、図1を参照して、実施の形態に係る航空機101の側面図が示されている。航空機は外面102を含み、外面102上に画像103を見ることができる。たとえば、画像103は航空機101の装飾マーキングデザイン中の色境界に対応してもよい。装飾マーキングデザインによって航空会社または、場合によっては航空機の製造者を識別することができる。航空機101に施工されると、画像103によって、色境界中でのより大規模な塗料塗布に備えて、外面102の部分を(たとえばテープで)マスキングするのを容易にするテンプレートを提供することができる。画像103を印刷媒体114を用いて施工してもよく、印刷媒体114は、航空機101の外面102に塗布されて画像103を形成する能力がある塗料、インクまたはその他一切の媒体であってもよい。
【0013】
航空機101の外面102は複数の表面形状104も含み、そのいくつかが図1に示されている。表面形状104は、たとえば、ドア、窓または航空機101の胴体の隣接する部分が互いに接合する継ぎ目を含んでもよい。表面形状104の他の例も可能である。以下でさらに説明されているように、ロボット印刷システム100では、航空機101の外面102に対してロボットプリンタの箇所を位置決めする(index)参照ポイントとして表面形状104を利用してもよく、これを用いて、たとえば、画像103の表現を含む航空機101の3次元モデルにしたがって画像103を施工することができる。
【0014】
図2は実施の形態に係るロボットプリンタ110の側面図を示し、図3は実施の形態に係るロボットプリンタ110の上面図を示す。ロボットプリンタ110は本体111を含み、本体111にはロボットプリンタ110の他の構成要素を取り付けることができる。たとえば、ロボットプリンタ110は、本体111に取り付けられて、ロボットプリンタ110を航空機101の外面102に取り付ける複数の真空吸着カップ112を含む。各真空吸着カップ112は、たとえば、真空圧力源を真空吸着カップ112に接続させる真空配管を含むアセンブリの一部であってもよい。さらに、複数の真空吸着カップ112は、以下で説明されているように、航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を移動させるように構成されている。
【0015】
たとえば、図2および図3に示されているように、複数の真空吸着カップ112は、航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を駆動するように構成されている1対の平行トレッド(parallel tread)116に配置される。これにより、航空機の組み立てに用いられる他の何らかのロボットシステムよりも広い運動範囲をロボットプリンタ110に与えることができる。いくつかの実現例では、1対の平行トレッド116は各々、1対のトレッド116の回転を駆動することができるそれぞれの駆動モータ130を含んでもよく、これにより、ロボットプリンタ110を移動させてもよい。
【0016】
代替例が図4に示されており、本例では、航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を移動させるように構成されている複数の脚117のそれぞれの端118に複数の真空吸着カップ112が配置されている。図4に示されている例は4つの脚を含むが、より多数または少数の脚も可能である。その他に、図4のロボットプリンタ110は、図2および図3のロボットプリンタ110に示されているのと実質的に同様の形態を含んでもよい。
【0017】
図2および図3を再び参照して、ロボットプリンタ110は、本体111に取り付けられるプリンティングヘッド113をさらに含む。プリンティングヘッド113は、図1に示されて上記で説明されている印刷媒体114のような印刷媒体を航空機101の外面102に塗布するように配置される。たとえば、プリンティングヘッド113は、印刷媒体114を塗布する1つ以上のノズルまたはジェットを含んでもよい。プリンティングヘッド113は、1対の平行トレッド116間かつロボットプリンタ110の下側で本体111のほぼ中央に取り付けてもよい。この構成の場合、ロボットプリンタ110が外面102に沿って移動しているときにプリンティングヘッド113が航空機101の外面102に印刷媒体114を塗布することができる。
【0018】
いくつかの実施の形態では、ロボットプリンタ110は、プリンティングヘッド113に接続される1つ以上の位置決めモータ119を含んでもよい。本体111および複数の真空吸着カップ112に対してプリンティングヘッド113の位置を調節するように1つ以上の位置決めモータ119を構成してもよい。たとえば、ロボットプリンタ110が複数の真空吸着カップ112によって外面102に沿って移動する際に、±2インチなどの所定の許容誤差の範囲内で所望の移動経路に沿ってプリンティングヘッド113を位置決めすることができる場合がある。この許容誤差ウインドウの範囲内であれば、1つ以上の位置決めモータ119を用いることで、ロボットプリンタ110は、複数の真空吸着カップ112によるロボットプリンタ110の移動にしか依存することができない場合があるよりも、プリンティングヘッド113の位置に対するより細かい調整を行なうことが可能になる場合がある。たとえば、これにより、ロボットプリンタ110が印刷媒体114の塗布の隙間または重なりをより効率的に避けることが可能になる場合がある。図3に示されているように、プリンティングヘッド113を2つの位置決めモータ119に接続することで、直交する2つの軸線に沿ってプリンティングヘッド113が移動することを可能にすることができる。
【0019】
いくつかの実現例では、ロボット印刷システム100は本体111に取り付けられるアンビリカルライン120も含む。アンビリカルライン120の例は図5および図6に見ることができ、以下でさらに説明する。図2では、ロボットプリンタ110の本体111上に電気ポート132が示されている。アンビリカルライン120を電気ポート132に取り付けて、電力をロボットプリンタ110に供給してもよい。同様に、本体111上にあって電気ポート132に隣接する真空ポート133が示されている。アンビリカルライン120を真空ポート133に取り付けて真空圧力をロボットプリンタ110に供給して複数の真空吸着カップ112に伝達してもよい。いくつかの実現例では、離れた供給源からプリンティングヘッド113に塗料またはインクをアンビリカルライン120によって伝達してもよい。他の例も可能である。
【0020】
図2および図3に示されているロボットプリンタ110は、本体111に取り付けられて、航空機101の外面102上のロボットプリンタ110の位置を決定するレーザ式位置決めデバイス115をさらに含む。たとえば、レーザ式位置決めデバイス115は、レーザなどの光源と、回転ミラーと、光を検出するフォトダイオードなどのセンサとを含んでもよい。レーザ式位置決めデバイス115の他の構成も可能である。
【0021】
レーザ式位置決めデバイス115は、図2に概念的に示されている視野線121を含む。ロボットプリンタ110は、レーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データをその視野線121内の各表面形状104について決定するように構成してもよい。さらに、ロボットプリンタ110は、複数の表面形状104のうちの各表面形状104についての相対位置データに基づいて、上述したように、航空機101の外面上のロボットプリンタ110の位置を決定するように構成してもよい。
【0022】
たとえば、レーザ式位置決めデバイス115を通じて取得した相対位置データに基づいて、ロボット印刷システム100は、ロボットプリンタ110の位置を航空機101の外面102の3次元モデルにマッピングしてもよい。たとえば、航空機101の3次元モデルは、航空機101の設計および組み立てに用いられる設計図であってもよい。したがって、外面102の表面形状104は3次元モデル中の対応する形状を有してもよい。したがって、現実空間での表面形状104に関するロボットプリンタ110の相対位置を3次元モデルに変換することができ、これにより、3次元モデル中でのロボットプリンタ110の箇所の正確なマッピングを実現することができる。
【0023】
さらに、3次元モデルは、外面102に施工されることになる画像103の表現を含む。上述したように、画像103は航空機の装飾マーキングデザイン中の色境界に対応してもよい。ロボットプリンタ110のマッピング位置に基づいて、拡大解釈すれば、プリンティングヘッド113のマッピング位置に基づいて、ロボットプリンタ110は、3次元モデル中の画像103の表現に対応する箇所で印刷媒体114を塗布することができる。ロボットプリンタ110が外面102に沿って移動すると、ロボットプリンタ110の相対位置データおよびマッピング位置が更新されることになり、プリンティングヘッド113はそれに応じて印刷媒体114を塗布することができる。
【0024】
ロボットプリンタ110を、航空機101の下側にある場合がある初期取り付け位置で航空機101の外面102に最初に取り付けてもよい。たとえば、複数の真空吸着カップ112が外面102に取り付けられるまで、ロボットプリンタ110を、逆さ位置で、手動または液圧リフトもしくはその他動力付きリフトによって上昇させてもよい。取り付けられた後、リフトを下げてもよく、ロボットプリンタ110は外面102に沿って移動し始める。航空機101の外面102上の他の初期取り付け位置も可能である。
【0025】
図5は一実現例に係るロボット印刷システム100の移動経路例を示す。ロボットプリンタ110が航空機101の外面102に示されており、移動経路例122を辿っている。図5中、ロボット印刷システム100は、ロボットプリンタ110の本体111に取り付けられるアンビリカルライン120を含む。上記に示されているように、様々可能性のあるもののうち、電力および真空圧力をアンビリカルライン120によってロボットプリンタ110に伝達してもよい。例として、アンビリカルライン120はロボット印刷システム100の一部である1つ以上のコンピューティングデバイスとの間で通信を伝えてもよいし、プリンティングヘッド113を通じて塗布される印刷媒体114を供給してもよい。これの代わりに、ロボットプリンタ110に付されてとともに移動するカートリッジ内に印刷媒体114を供給してもよく、空の場合に交換してもよい。
【0026】
図5から分かるように、ロボットプリンタ110は航空機101の外面102に沿って移動経路122を辿ってもよい。図2図4の例に示されているように、プリンティングヘッド113が複数の真空吸着カップ112間に位置する場合、印刷媒体114が塗布されたばかりのため、まだ乾燥していない可能性がある外面102の区画上にロボットプリンタ110が移動して戻る必要がないように、移動経路122を設計してもよい。たとえば、ロボットプリンタ110が移動する速度と印刷媒体114の乾燥時間とに基づいて、ロボットプリンタ110が方向を変更するときに複数の真空吸着カップ112がすぐ隣りの領域を移動しない移動経路122をロボットプリンタ110が辿ることが可能であってもよい。さらに言えば、印刷媒体114が乾燥するのに十分な時間が経過した後に複数の真空吸着カップ112が外面102のすでに印刷された部分上を移動する。図5に示されている移動経路例122はこのようなルートを辿る。
【0027】
別の実施の形態では、図2および図3に示されている1対の平行トレッド116の外側または図4に示されている複数の脚117の外側にプリンティングヘッド113が取り付けられるようにロボットプリンタ110を配置してもよい。たとえば、航空機101の外面102に沿って移動しながらロボットプリンタ110の側部に沿って印刷媒体114をトレッド116または脚117の経路の外側で塗布するように、本体111から側方に延伸するアームにプリンティングヘッド113を取り付けてもよい。この仕方では、図5に示されている遠回りの移動経路122ではなく、外面102に沿って段階的な進み方を辿る移動経路をロボットプリンタ110が辿ることができる場合があり、この進み方では、プリンティングヘッド113が隣りを通過する毎に移動経路の直上に印刷媒体114を塗布する。さらに、プリンティングヘッド113の寸法と画像103の寸法および形状とに応じて、図5に例として示されているよりも多数回または少数回の通過が移動経路122に必要であってもよい。たとえば、図5に示されているパターンを外面102に沿って複数回繰り返してもよい。
【0028】
図5に示されているように、アンビリカルライン120は印刷動作中にロボットプリンタ110から地面まで自由に垂れ下がってもよく、したがって、航空機101の外面102への取り付けを維持するのに必要な必要真空圧力内にアンビリカルライン120の自己重量をおさめることができる。翼が航空機101から延伸しており、このような例ではアンビリカルライン120の障害となる場合があるので、印刷媒体114は、翼の前方および後方の2つの異なる区画で航空機101の所定の側に塗布してもよい。
【0029】
いくつかの他の実現例では、アンビリカルライン120を天井またはその他頭上構造から懸架してもよい。これにより、ロボットプリンタ110が負わなければならない重量を低減し、したがって、外面102との取り付けを維持するための必要真空圧力を低減することができる。いくつかの例では、航空機101の外面102に沿って移動する際に、懸架したアンビリカルライン120がロボットプリンタ110とともに移動することを可能にする高架レールまたは他の支持システムにアンビリカルライン120を接続してもよい。
【0030】
このような例では、真空圧力の喪失によるかその他一切の原因によるかにかかわらず、外面102から離れた状態になる場合に、ロボットプリンタ110を捕える落下捕獲システムとしても働くように引張り強さを付与して、懸架したアンビリカルライン120を設計してもよい。これにより、ロボット印刷システム100の安全性を増すことができる。
【0031】
これの代わりに、アンビリカルライン120が地面からロボットプリンタ110に取り付けられる例では、ロボット印刷システム100は、ロボットプリンタ110の本体111に取り付けられるランヤード124または同様の捕獲ケーブルをさらに含んでもよい。このような例は図6に見ることができ、同図は航空機101の長手方向軸線に沿って見る図を示す。ランヤード124を天井またはその他頭上構造に接続してもよい。したがって、上記に示されているように、ランヤード124によってロボット印刷システム100の安全性を増すことができる。いくつかの実現例では、落下捕獲システムとしてアンビリカルライン120が用いられるか、ランヤード124が用いられるか、別の解決手段が用いられるかにかかわらず、ロボット印刷システム100は、航空機101を囲んで真空圧力喪失の場合の安全性をさらに増す安全フェンス140をさらに含んでもよい。
【0032】
次に図7および図8を参照して、一実現例に係るロボット印刷システム100の別の例が示されている。いくつかの状況では、いくつかの表面形状104については、外面102のすべての箇所からレーザ式位置決めデバイス115の視界にあるということがない場合がある。たとえば、ロボットプリンタ110が航空機101の底部の近傍にあるときは、レーザ式位置決めデバイス115の視野線121内に窓が入らない場合がある。したがって、いくつかの実現例では、ロボットプリンタ110の測位用のさらなる参照物を設けることが望ましい場合がある。図7に示されているように、ロボット印刷システム100は、航空機101を囲む予め決められた箇所107に配置されるように構成される複数の外部位置決めデバイス105を含んでもよい。
【0033】
たとえば、複数の外部位置決めデバイス105は、航空機101の周囲に配置された後に適所に係止される複数のスタンドの形態をとってもよい。複数の外部位置決めデバイス105を、航空機101の外面102の表面形状104に対するその箇所に基づいて予め決められた箇所に配置してもよい。たとえば、所定の外部位置決めデバイス105には垂直出射レーザ水準器などのレーザ式位置決め器具を装備してもよく、これにより、航空機101の胴体の垂直接合継ぎ目などの特定の表面形状104の位置に外部位置決めデバイス105を合わせることができる。航空機101からの外部位置決めデバイス105の距離と、ある外部位置決めデバイス105から次の外部位置決めデバイス105までの距離とを設けるのに同様のレーザ式位置決めデバイスを用いてもよい。
【0034】
複数の外部位置決めデバイス105のうちの各外部位置決めデバイス105は参照ポイント106を含んでもよい。各参照ポイント106はミラーなどの反射面であってもよく、レーザ式位置決めデバイス115によって検出してもよい。図7および図8では、複数の参照ポイント106は、レーザ式位置決めデバイス115に対する視認性を増すために航空機101のほぼ水平中心線において各外部位置決めデバイス105の最上部に示されている。したがって、レーザ式位置決めデバイス115は、レーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データをその視野線121内の各外部位置決めデバイス105について決定するように構成してもよい。ロボットプリンタ110は、複数の外部位置決めデバイス105のうちの各外部位置決めデバイス105についての相対位置データに基づいて航空機101の外面102上のロボットプリンタ110の位置を決定するように構成されている。
【0035】
図9は、ロボット印刷システム100の一部を形成することができるコンピューティングデバイス例200のブロック図を示す。いくつかの実現例では、コンピューティングデバイス200は、ロボットプリンタ110の本体111上に収容したり本体111内に収容したりする搭載コンピュータであってもよいし、通信リンク204を介してロボットプリンタ110に通信接続するリモートコンピュータであってもよい。たとえば、本体111に取り付けられるアンビリカルライン120を介してコンピューティングデバイス200をロボットプリンタ110に通信接続してもよい。これに加えてまたはこれの代わりに、コンピューティングデバイス200はロボットプリンタ110と無線で通信してもよい。さらに、図9に示されているコンピューティングデバイス200は、単一のデバイスによって具体化されていないが、同じ箇所にあってもなくてもよいコンピューティングデバイスの組み合せを表わしてもよい。
【0036】
コンピューティングデバイス200は、1つ以上のプロセッサ201によって実行可能である指示を含む非一時的コンピュータ可読媒体202を含んでもよい。非一時的コンピュータ可読媒体202は他のデータ記憶装置も含んでもよい。たとえば、指示にしたがって、ロボット印刷システム100は、レーザ式位置決めデバイス115を通じて、航空機101の外面102に対応する複数の参照ポイント106の各々についてレーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データを決定してもよい。その後、相対位置データを非一時的コンピュータ可読媒体202に記憶してもよい。
【0037】
その後、相対位置データに基づいて、指示にしたがって、ロボット印刷システム100は、航空機101の外面102上のロボットプリンタ110の位置を決定した後、ロボットプリンタ110の位置を外面102の3次元モデルにマッピングしてもよい。3次元モデルは外面102上の画像103の表現を含む。3次元モデルを非一時的コンピュータ可読媒体に記憶してもよい。
【0038】
ロボットプリンタ110の3次元モデルへのマッピングに基づいて、指示にしたがって、ロボット印刷システムは、さらに、3次元モデル中の画像103の表現に対応する航空機101の外面102上の箇所に印刷媒体114をプリンティングヘッド113を通じて塗布してもよい。印刷媒体114の塗布とともに、指示にしたがって、ロボット印刷システム100は、さらに、複数の真空吸着カップ112によって航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を移動させてもよい。
【0039】
いくつかの実現例では、コンピューティングデバイス200は、ユーザから入力を受けかつ/またはユーザに運転データを出力するユーザインタフェース203も含む。ユーザインタフェース203は、様々な例のうち、ロボットプリンタ110上に配置される制御パネルや、離れた場所にあり、無線やアンビリカルライン120を介してロボットプリンタ110に接続されるグラフィカルユーザインタフェースの形態をとってもよい。たとえば、初期取り付け位置に戻るロボットプリンタ110に対するコマンドを、コンピューティングデバイス200のユーザインタフェース203を介して離れたユーザから受けてもよい。上述したように、アンビリカルライン120を介してロボットプリンタ110にコマンドを通信してもよいし、無線で通信してもよい。他の例では、非一時的コンピュータ可読媒体202に記憶された搭載カートリッジ内の印刷媒体114の残量などの予め決められたパラメータに基づいて戻りコマンドを自動的に開始してもよい。他の可能性も存在する。
【0040】
これに加えて、非一時的コンピュータ可読媒体202には、コンピュータ可読媒体202に記憶されて、いくつかの機能を実現するようにプロセッサ201によって実行可能である1つ以上のソフトウェアコンポネント205をロードしてもよい。
【0041】
たとえば、ロボット印刷システム100は、様々な例のうち、真空吸着システム、位置決めモータ119用の位置決めシステムおよび3次元マッピングシステムなどのロボット印刷システム100の運転に寄与する様々なシステムを含んでもよい。これらのシステムの各々を、非一時的コンピュータ可読媒体202に記憶されて、プロセッサ201によって実行可能なソフトウェアコンポネント205によって部分的に操作してもよい。
【0042】
次に図10を参照して、一実現例に係る、航空機の外面に画像を印刷する方法300のフローチャートが示されている。図10に示されている方法300は、たとえば、図1図9に示されてここで説明されているロボット印刷システム100とともに用いることができる方法の例を表わす。ここで開示されている当該プロセスおよび方法ならびに他のプロセスおよび方法については、フローチャートは本例の1つの可能な実現例の機能および動作を示すと解するべきである。これに関して、フローチャート中の各ブロックは、プロセス中の特定の論理的機能またはステップを実施するか引き起こすプロセッサによって実行可能な1つ以上の指示を含むモジュール、セグメントまたはプログラムコードの部分を表わしてもよい。たとえば、図9に示されていてここで説明されているコンピューティングデバイス200などの1つ以上のコンピューティングデバイスによって方法300を実施してもよい。代替実現例が本開示の例の範囲内に含まれ、本例では、当業者によって理解されるであろうが、図示されていたり説明されていたりする順序から外れた順序で機能を実行してもよい(関与する機能に応じて実質的に同時に実行することを含む)。
【0043】
ブロック302では、方法300は、ロボットプリンタ110の本体111に取り付けられる複数の真空吸着カップ112によって上述のロボットプリンタ110のようなロボットプリンタを航空機101の外面102に取り付けるステップを含む。ロボットプリンタ110は、上記に示されているように、本体111に取り付けられるレーザ式位置決めデバイス115およびプリンティングヘッド113をさらに含む。
【0044】
いくつかの実現例では、複数の真空吸着カップ112は、回転して航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を移動させる図2および図3に示されている1対の平行トレッド116に配置される。他の実現例では、図4に示されているように、複数の真空吸着カップ112は複数の脚117のそれぞれの端118に配置される。
【0045】
ブロック304では、方法300は、レーザ式位置決めデバイス115を通じて、航空機101の外面102に対応する複数の参照ポイント106の各々についてレーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データを決定するステップを含む。上記に示されているように、レーザ式位置決めデバイスは視野線121を含み、航空機101の外面102は複数の表面形状104を含んでもよい。いくつかの実現例では、表面形状104を参照ポイント106として用いてもよく、ブロック304では、方法300は、レーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データをその視野線121内の各表面形状104について決定するステップを含んでもよい。
【0046】
いくつかの他の実現例では、図7および図8に示されて上記で説明されているように、複数の外部位置決めデバイス105が航空機101を囲む予め決められた箇所107に配置される。各外部位置決めデバイス105は、レーザ式位置決めデバイス115の視野線121内に入ることができるミラーなどの参照ポイント106を含む。複数の外部位置決めデバイス105は航空機101の周囲の既知の箇所に配置されるので、各参照ポイント106の位置は航空機101の外面102に対する既知の位置である。したがって、ブロック304では、方法300は、レーザ式位置決めデバイス115に対する相対位置データをその視野線121内の各外部位置決めデバイス105について決定するステップを含んでもよい。
【0047】
ブロック306では、方法300は、相対位置データに基づいて航空機101の外面102上のロボットプリンタ110の位置を決定するステップを含む。ブロック308では、方法は、相対位置データに基づいてロボットプリンタ110の位置を外面102の3次元モデルにマッピングするステップをさらに含む。3次元モデルは外面102上の画像103の表現を含む。
【0048】
ブロック310では、方法300は、ロボットプリンタ110の3次元モデルへのマッピングに基づいて、3次元モデル中の画像103の表現に対応する航空機101の外面102上の箇所に印刷媒体114をプリンティングヘッド113を通じて塗布するステップを含む。たとえば、ロボットプリンタ110が図5に示されているように移動経路122に沿って移動して、その位置を外面102の3次元モデルにマッピングし続けてもよい。モデル中の画像103の表現に対応する適切な箇所でロボットプリンタ110が印刷媒体114を塗布してもよい。
【0049】
いくつかの実現例では、プリンティングヘッド113が1対の平行トレッド116間でロボットプリンタ110に取り付けられる場合、プリンティングヘッド113を通じて航空機101の外面102に印刷媒体114を塗布するステップは、1対の平行トレッド116間で印刷媒体114を塗布するステップを含む。これの代わりに、プリンティングヘッド113が1対の平行トレッド116の外側でロボットプリンタ110に取り付けられる場合、プリンティングヘッド113を通じて航空機101の外面102に印刷媒体114を塗布するステップは、1対の平行トレッド116の外側で印刷媒体114を塗布するステップを含む。
【0050】
上記に示されているように、ロボットプリンタ110は、プリンティングヘッド113に接続されてプリンティングヘッド113の箇所を調節する位置決めモータ119を含んでもよい。したがって、いくつかの実現例では、方法300は、航空機101の外面102上のロボットプリンタ110の位置とロボットプリンタ110の3次元モデルへのマッピングとに基づいて、複数の真空吸着カップ112に対するプリンティングヘッド113の位置を位置決めモータ119によって調節するステップをさらに含んでもよい。
【0051】
ブロック312では、方法300は、複数の真空吸着カップ112によって航空機101の外面102に沿ってロボットプリンタ110を移動させるステップを含む。上述したように、ロボットプリンタ110は1対の平行トレッド116の回転または複数の脚117の関節によって移動してもよい。
【0052】
さらに、開示は以下の数項に係る実施の形態を備える。
【0053】
第1項.航空機の外面のためのロボット印刷システムであって、
ロボットプリンタ
を備え、ロボットプリンタは、
本体と、
本体に取り付けられ、ロボットプリンタを航空機の外面に取り付ける複数の真空吸着カップであって、複数の真空吸着カップは、航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるように構成されている、複数の真空吸着カップと、
本体に取り付けられるプリンティングヘッドであって、プリンティングヘッドは、航空機の外面に印刷媒体を塗布するように配置される、プリンティングヘッドと、
本体に取り付けられ、航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するレーザ式位置決めデバイスと
を備える、
ロボット印刷システム。
【0054】
第2項.複数の真空吸着カップは、航空機の外面に沿ってロボットプリンタを駆動するように構成されている1対の平行トレッドに配置される、第1項に記載のロボット印刷システム。
【0055】
第3項.プリンティングヘッドは1対の平行トレッドの間でロボットプリンタに取り付けられる、第2項に記載のロボット印刷システム。
【0056】
第4項.プリンティングヘッドは1対の平行トレッドの外側でロボットプリンタに取り付けられる、第2項に記載のロボット印刷システム。
【0057】
第5項.複数の真空吸着カップは、航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるように構成されている複数の脚のそれぞれの端に配置される、第1項に記載のロボット印刷システム。
【0058】
第6項.ロボットプリンタは、プリンティングヘッドに接続される位置決めモータであって、位置決めモータは、複数の真空吸着カップに対してプリンティングヘッドの位置を調節するように構成されている、位置決めモータをさらに備える第1項から第5項のいずれか一項に記載のロボット印刷システム。
【0059】
第7項.ロボットプリンタの本体に取り付けられるアンビリカルラインであって、アンビリカルラインはロボットプリンタに電力および真空圧力の1つ以上を伝達する、アンビリカルライン
をさらに備える第1項から第6項のいずれか一項に記載のロボット印刷システム。
【0060】
第8項.レーザ式位置決めデバイスは視野線を備え、航空機の外面は、複数の表面形状を備え、ロボットプリンタは、レーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データをその視野線内の各表面形状について決定するように構成され、ロボットプリンタは、複数の表面形状のうちの各表面形状についての相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するように構成されている、第1項から第7項のいずれか一項に記載のロボット印刷システム。
【0061】
第9項.レーザ式位置決めデバイスは視野線を備え、ロボット印刷システムは、
航空機を囲む予め決められた箇所に配置される複数の外部位置決めデバイスであって、ロボットプリンタは、レーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データをその視野線内の各外部位置決めデバイスについて決定するように構成され、ロボットプリンタは、複数の外部位置決めデバイスのうちの各外部位置決めデバイスについての相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するように構成されている、複数の外部位置決めデバイスをさらに備える、第1項から第7項のいずれか一項に記載のロボット印刷システム。
【0062】
第10項.コンピューティングデバイス(200)
をさらに備え、コンピューティングデバイス(200)は、
1つ以上のプロセッサと、
それ自体に記憶される指示を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
レーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定することと、
相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定することと、
相対位置データに基づいてロボットプリンタの位置を外面の3次元モデルにマッピングすることであって、3次元モデルは外面上の画像の表現を含む、ことと、
ロボットプリンタの3次元モデルにマッピングすることに基づいて、3次元モデル中の画像の表現に対応する航空機の外面上の箇所に印刷媒体をプリンティングヘッドを通じて塗布することと、
複数の真空吸着カップによって航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させることと
を備える機能を、1つ以上プロセッサによって実行されるときにロボット印刷システムに実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体と
を備える
第1項から第9項のいずれか一項に記載のロボット印刷システム。
【0063】
第11項.コンピューティングデバイスは、ロボットプリンタの本体に取り付けられるアンビリカルラインを介してロボットプリンタに通信接続される、第10項に記載のロボット印刷システム。
【0064】
第12項.航空機の外面に画像を印刷する方法であって、
航空機の外面にロボットプリンタを、ロボットプリンタの本体に取り付けられる複数の真空吸着カップによって取り付けるステップであって、ロボットプリンタは、本体に取り付けられるレーザ式位置決めデバイスおよびプリンティングヘッドをさらに備える、ステップと、
レーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定するステップと、
相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定するステップと、
相対位置データに基づいてロボットプリンタの位置を外面の3次元モデルにマッピングするステップであって、3次元モデルは外面上の画像の表現を含む、ステップと、
ロボットプリンタの3次元モデルにマッピングしりステップに基づいて、3次元モデル中の画像の表現に対応する航空機の外面上の箇所に印刷媒体をプリンティングヘッドを通じて塗布するステップと、
複数の真空吸着カップによって航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるステップと
を備える方法。
【0065】
第13項.複数の真空吸着カップは1対の平行トレッドに配置され、航空機の外面に沿ってロボットプリンタを移動させるステップは、1対の平行トレッドの回転によってロボットプリンタを駆動するステップを備える、第12項に記載の方法。
【0066】
第14項.プリンティングヘッドは1対の平行トレッド間でロボットプリンタに取り付けられ、プリンティングヘッドを通じて航空機の外面に印刷媒体を塗布するステップは、1対の平行トレッド間で印刷媒体を塗布するステップを備える、第13項に記載の方法。
【0067】
第15項.プリンティングヘッドは1対の平行トレッドの外側でロボットプリンタに取り付けられ、プリンティングヘッドを通じて航空機の外面に印刷媒体を塗布するステップは、1対の平行トレッドの外側で印刷媒体を塗布するステップを備える、第13項に記載の方法。
【0068】
第16項.複数の真空吸着カップは複数の脚のそれぞれの端に配置される、第12項に記載の方法。
【0069】
第17項.ロボットプリンタはプリンティングヘッドに接続される位置決めモータをさらに備え、方法は、
航空機の外面上のロボットプリンタの位置とロボットプリンタの3次元モデルへのマッピングとに基づいて、複数の真空吸着カップに対するプリンティングヘッドの位置を位置決めモータによって調節するステップをさらに備える、第12項から第16項のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
第18項.レーザ式位置決めデバイスは視野線を備え、航空機の外面は複数の表面形状を備え、レーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定するステップは、レーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データをその視野線内の各表面形状について決定するステップを備える、第12項から第16項のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
第19項.レーザ式位置決めデバイスは視野線を備え、複数の外部位置決めデバイスが、航空機を囲む予め決められた箇所に配置され、
レーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定するステップは、レーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データをその視野線内の各外部位置決めデバイスについて決定するステップを備える、第12項から第16項のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
第20項.それ自体に記憶される指示を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピューティングデバイスによって実行されるときに、ロボットプリンタによって航空機の外面に画像を印刷する機能をコンピューティングデバイスに実行させ、ロボットプリンタは、ロボットプリンタの本体に取り付けられる複数の真空吸着カップによって外面に取り付け可能であり、機能は、
ロボットプリンタの本体に取り付けられるレーザ式位置決めデバイスを通じて、航空機の外面に対応する複数の参照ポイントの各々についてレーザ式位置決めデバイスに対する相対位置データを決定することと、
相対位置データに基づいて航空機の外面上のロボットプリンタの位置を決定することと、
相対位置データに基づいてロボットプリンタの位置を外面の3次元モデルにマッピングすることであって、3次元モデルは外面上の画像の表現を含む、ことと、
ロボットプリンタの3次元モデルにマッピングすることに基づいて、3次元モデル中の画像の表現に対応する航空機の外面上の箇所に印刷媒体を、ロボットプリンタの本体に取り付けられるプリンティングヘッドに塗布させることと、
複数の真空吸着カップによって航空機の外面に沿って移動することをロボットプリンタに行なわせることと
を備える、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【0073】
図示および説明の目的で、異なる有効な構成の説明がなされているが、この説明では、網羅的であったり開示されている形態の例に限定されたりすることを意図していない。多くの修正および変形が当業者に明らかである。さらに、異なる有効な例が他の有効な例に対する異なる効果を説明してもよい。選択された1つ以上の例については、例の原理、実施上の適用を説明し、考えられる特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な例についての開示を当業者が理解できるように決めて説明している。
【符号の説明】
【0074】
100 ロボット印刷システム
101 航空機
102 外面
103 画像
104 表面形状
105 外部位置決めデバイス
106 参照ポイント
107 予め決められた箇所
110 ロボットプリンタ
111 本体
112 真空吸着カップ
113 プリンティングヘッド
114 印刷媒体
115 レーザ式位置決めデバイス
116 平行トレッド
117 脚
118 端
119 位置決めモータ
120 アンビリカルライン
121 視野線
122 移動経路
124 ランヤード
130 駆動モータ
132 電気ポート
133 真空ポート
140 安全フェンス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10