(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】熱電発電ユニットの取付装置、および熱電発電システム
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
H02N11/00 A
(21)【出願番号】P 2019148405
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 純
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311719(JP,A)
【文献】特開2008-091453(JP,A)
【文献】特開2015-130455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の周方向を囲む固定バンドと、
前記配管に接触する高耐熱の接触部材と、
前記固定バンドの径方向内側であって、前記固定バンドと
前記接触部材との間に介在し、
前記接触部材を前記配管に押し付けるとともに、前記固定バンドを前記配管から離した状態で固定する第一の弾性部材と、
前記第一の弾性部材と前記固定バンドが取付けられる棒状部材と、
前記棒状部材に取り付けられた前記固定バンドの径方向外側、および熱電発電ユニットに取付けられる取付部材と、
前記棒状部材に取付けられ、前記取付部材に作用して前記熱電発電ユニットを前記配管に
押し付ける、前記第一の弾性部材とは別個の第二の弾性部材と、
を備える熱電発電ユニットの取付装置。
【請求項2】
前記棒状部材は、
前記接触部材を介して前記配管に固定される
請求項1に記載の熱電発電ユニットの取付装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱電発電ユニットの取付装置と、
前記熱電発電ユニットと、
を備える熱電発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置を構成する熱電発電ユニットを配管に取り付けるための熱電発電ユニットの取付装置、および熱電発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から熱電発電装置に用いられる熱電発電モジュールは、高温側の面と、その面に対向する低温側の面との間の温度差に応じて発電を行う。そのような熱電発電モジュールでは、熱源からの熱量を適切に供給する必要がある。
【0003】
熱源が流れる配管等に用いられる部材には、熱膨張が生じる。その熱膨張に対応するために、熱電発電モジュールを配管に取り付ける取付装置として、熱電発電モジュールを取り付ける配管の外面に配置するクランプの一部をばねとしたものがある(例えば、特許文献1参照)。そのばねは、熱膨張による配管の外周の長さの変化に応じて変形する。そのため、配管の温度が変化しても、その温度変化に伴う配管の熱膨張分はばねの変形によって吸収され、配管から熱電発電モジュールへの熱量の伝達が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の取付装置では、フランジを配管に接触させ、フランジをクランプとボルトにより結合させている。しかし、そのようなフランジ、及びクランプを含む取付装置では、配管の周囲に設置可能な熱電発電モジュールは、フランジ、及びクランプの存在により、基本的には1つのみとなる。このため、設置する熱電発電モジュールの数に応じて、配管の軸方向上、つまり熱源が流れる方向上の長さが長くなる。
【0006】
配管において、熱電発電モジュールの設置に適する範囲が限られているのは普通である。このこともあり、配管に生じる熱膨張への対応では、熱電発電モジュールの設置に要する配管の軸方向上の長さを抑制することも重要である。
【0007】
本発明は、配管に生じる熱膨張に対応しつつ、熱電発電モジュールの設置に要する配管の軸方向上の長さを抑制可能な熱電発電ユニットの取付装置、および熱電発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱電発電ユニットの取付装置は、配管の周方向を囲む固定バンドと、配管に接触する高耐熱の接触部材と、固定バンドの径方向内側であって、固定バンドと接触部材との間に介在し、接触部材を配管に押し付けるとともに、固定バンドを配管から離した状態で固定する第一の弾性部材と、第一の弾性部材と固定バンドが取付けられる棒状部材と、棒状部材に取り付けられた固定バンドの径方向外側、および熱電発電ユニットに取付けられる取付部材と、棒状部材に取付けられ、取付部材に作用して熱電発電ユニットを配管に押し付ける、第一の弾性部材とは別個の第二の弾性部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配管に生じる熱膨張に対応しつつ、熱電発電モジュールの設置に要する配管の軸方向上の長さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置の取付装置により、熱電発電装置を配管に取り付けた状態の例を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定バンドの例を示す斜視図である。
【
図4】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定バンドを配管に取り付けた状態の例を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定ユニットの構成例を説明する図である。
【
図6】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定ユニットの配管に生じる熱膨張への対応機能を説明する図である。
【
図7】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置に採用可能な他の弾性部材の例を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する取付板の例を示す斜視図である。
【
図10】熱電発電ユニットの
図8に示すB-B線での断面図である。
【
図11】本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置により熱電発電ユニットを配管に取り付けた状態の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る熱電発電ユニットの取付装置、および熱電発電システムの各実施の形態を、図を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置の取付装置により、熱電発電装置を配管に取り付けた状態の例を示す図である。熱電発電装置の取付装置10は、熱源となる流体が流れる配管1に熱電発電装置を取り付けることを想定した装置である。熱電発電装置は、熱電発電モジュールを有する熱電発電ユニット20を1つ以上、備えた装置である。つまり、熱電発電装置は、1つ以上の熱電発電ユニット20を備えた装置である。本実施の形態では、
図1に示すように、熱電発電装置は、複数の熱電発電ユニット20を備えている。このことから、ここでは、熱電発電装置は、特に断らない限り、複数の熱電発電ユニット20を備えた装置の意味で用いる。
【0013】
図2は、熱電発電装置の設置環境例を示す図である。本実施の形態1に係る熱電発電装置の取付装置により配管1に取り付けられる熱電発電装置は、例えば廃熱利用のために、工場に設置される。なお、熱電発電装置の工場での利用は、1例であり、熱電発電装置を利用するのは、工場に限定されない。熱電発電装置は、熱電発電を行ううえでの熱源が存在する場所であれば、幅広く利用することができる。
【0014】
工場設備2は、例えば燃料、ゴミ等の燃焼、或いは高温体の冷却により、熱電発電が可能な熱源となる高温流体を発生させる。この高温流体は、配管1、及び煙突3を介して大気に排出される。熱電発電装置は、例えば配管1の
図2に示すA部に取り付けられ、大気に排出される高温流体により発電を行うようになっている。
【0015】
先ず、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置について、
図3~
図8を参照して具体的に説明する。熱電発電装置の取付装置10は、以降「取付装置10」と略記する。ここでは、位置関係については、配管1を想定して表現する。それにより、例えば「外側」は、配管1の中心から離れる方向側を指す意味で用いる。
【0016】
図3は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定バンドの例を示す斜視図である。この固定バンドは、熱電発電ユニット20を配管1に取り付けるうえでベースとなる部品である。
図3に示すように、固定バンドは、2つのバンド11a、11bを複数の固定棒12により離して一体化させた構造となっている。固定棒12は、取り付ける熱電発電ユニット20を想定して配置されている。以降、特に限定する必要のないような場合、バンド11a、11bの符号として「11」を用いる。
【0017】
各バンド11a、11bは、2つの板状の部材111、112により作製されている。各部材111、112の一方の端部はヒンジ113として連結されている、他方の端部111a、112aは、外側に向けて突出している。端部111a、112aには、それぞれ穴が形成されている。それにより、端部111a、112aの穴を通せるボルト121、及びナット122を用いて、端部111a、112aを連結させることができる。また、ボルト121をナット122に通す長さにより、端部111a、112a間の距離を調整することができる。
【0018】
2つの部材111、112には、それぞれ複数の穴114が形成されている。各穴114も固定棒12と同様に、取り付けられる熱電発電ユニット20を想定して配置されている。
【0019】
図4は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定バンドを配管に取り付けた状態の例を示す図である。
図4に示すように、固定バンド、つまり各バンド11a、11bの内径は、配管1の外径より大きい。そのため、固定バンドは、配管1から離した状態で固定される。各穴114から外側に棒状の部材が突出しているのは、熱電発電ユニット20の位置決め、及び固定のための固定ユニット13である。固定バンドは、固定ユニット13により、配管1から離した状態で安定的に固定される。
【0020】
図5は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定ユニットの構成例を説明する図である。
図5では、固定ユニット13の分解図、及び組み立てた後の状態を示している。次に、
図5を参照し、固定ユニット13について詳細に説明する。
【0021】
固定ユニット13は、
図5に示すように、接触部材51、ネジ52、2つのばね53、54、シム板55、2つのワッシャー56、57、2つのナット58、59を含む。ばね53は、本実施の形態における他の弾性部材に相当する。ばね54は、本実施の形態における弾性部材に相当する。
【0022】
接触部材51は、配管1と実際に接触する部材である。本実施の形態では、高耐熱樹脂により接触部材51を作製している。これは、配管1からの熱量の伝達を抑制するためである。熱量の伝達を抑制することにより、固定ユニット13全体、特にネジ52の熱膨張によるサイズの変化を抑えることができる。
【0023】
接触部材51は、
図5に示すように、全体が矩形体状である。しかし、凹部51a、及び凹部51aに繋がる穴51bが形成されている。凹部51aは、ナット58の収納用であり、穴51bは、ネジ52を通すためのものである。それにより、ネジ52の端部52aにナット58を取り付けた後、ナット58を凹部51a内に挿入できるようになっている。このため、配管1からネジ52への熱量の伝達は、接触部材51により抑制させることができる。ネジ52は、端部52a、及び端部52bの両方にネジ溝が形成された棒状部材である。ネジ52は、本実施の形態における棒状部材に相当する。
【0024】
ネジ52の接触部材51から外部に突出している部分には、接触部材51側から、ばね53、シム板55が挿入される。バンド11の内面、つまり配管1側の面は曲面である。そのため、シム板55は、各固定ユニット13において、ばね53とバンド11の内面との間の距離を一定にするために用いられている。
【0025】
このようなことから、固定バンドは、バンド11の各穴114の内側から、それぞれ固定ユニット13のネジ52を端部52bから挿入させた後、配管1に取り付けられる。そのようにして固定バンドを配管1に取り付けることにより、
図4に示す状態が実現されることとなる。2つのワッシャー56、57、ナット59は、固定バンドを配管1に取り付けた後、ネジ52に取り付けられる。
【0026】
固定バンドの配管1への取り付けでは、ばね53を縮ませて弾性力を作用させる。その弾性力により、接触部材51を配管1に向けて適切な圧力で押し付けるようにする。そのために、各バンド11a、11bでは、
図3に示すように、端部111a、112b間の距離が調整可能となっている。このようなことから、固定バンドは、端部111a、112b間の距離の調整を通して、配管1に安定的に固定させることができる。
【0027】
ばね53は、バンド11の内面と接触部材51との間を広げる方向に弾性力を作用させる。ネジ52は、ナット58により、接触部材51に固定された形となっている。そのため、ネジ52もばね53により、配管1に向けて押し付けられることとなる。ばね53に弾性力を作用させる必要から、ネジ52は、穴114により、バンド11との間の位置関係を変更可能に支持されている。
【0028】
図6は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する固定ユニットの配管に生じる熱膨張への対応機能を説明する図である。ここで
図6を参照し、配管1に生じる熱膨張を想定した固定ユニット13の機能について具体的に説明する。
【0029】
上記のように固定ユニット13は、配管1に接触部材51のみが接触する。その接触部材51は、高耐熱樹脂としている。そのため、接触部材51を介して配管1から固定ユニット13に伝達される熱量は抑制される。結果、配管1の温度上昇分と比較し、固定ユニット13全体における温度上昇分はより抑えられる。従って、配管1の温度の変動に伴う固定ユニット13の高さD1の変動もより抑えられる。なお、高さD1は、配管1の径方向上の幅である。これは、後述する高さD2、D3も同じである。
【0030】
配管1は、温度により外径が変化する。バンド11にも、配管1からの熱量が固定ユニット13、赤外線、及び空気を介して伝達される。しかし、伝達される熱量によるバンド11の温度変化量は、配管1と比較して小さい。このため、配管1の外面とバンド11の内面との間の距離に相当する高さD2は、配管1の温度に応じて変化したとしても、その変化分は僅かなものとなる。高さD2の僅かな変化分は、ばね53の変形によって吸収される。従って、配管1の温度変化に伴うバンド11への影響は回避されるか、或いは大きく抑制される。結果、配管1の温度が変動しても、固定バンドは配管1に安定的に固定されることになる。なお、取付装置10、つまり熱電発電装置の設置環境によっては、バンド11の温度変化量は、配管1の温度変化量と比較して非常に小さくなる。
【0031】
上記のように、2つのワッシャー56、57、ナット59は、固定バンドを配管1に取り付けた後、ネジ52に取り付けられる。これらは、熱電発電ユニット20を配管1に向けて押し付けるための部品である。これらは、接触部材51側から、ワッシャー56、ばね54、ワッシャー57、ナット59の順に配置されている。
【0032】
ナット59は、ばね54の一端を固定させるように働く。ネジ52の端部52bに設けられたマーク52cは、ナット59をネジ52の適切な位置まで挿入するための位置決め用である。
図6中の60は、熱電発電ユニット20に取り付けられる取付板である。この取付板60には、ワッシャー56を介して、ばね54の弾性力が作用する。この結果、取付板60は、ばね54により、配管1に向けて押し付けられる。この取付板60は、本実施の形態における取付部材に相当する。
【0033】
配管1の外面からワッシャー56の内面、つまり配管1側の面までの高さは、配管1の温度によって変化する。その変化は、ワッシャー56の内面からネジ52の外側の端までの高さD3の変化に相当する。この高さD3の変化分は、ばね54の変形によって吸収される。
【0034】
配管1の温度変化に伴う高さD1の変化分は、上記のように、抑制されたものとなる。熱電発電ユニット20、及び取付板60を含む配管1の径方向上の高さも、配管1の温度によって変化する。その変化する方向は、固定ユニット13と同じ方向である。熱電発電ユニット20の低温側は、冷却が行われることもあり、熱電発電ユニット20、及び取付板60を含む配管1の径方向上の高さの変化分は抑制されたものとなる。このようなことから、配管1の温度による高さD3の変化分は、実際にはより小さいレベルに抑えられることとなる。従って、配管1の温度変化に伴い、高さD3が変化したとしても、ばね54によって熱電発電ユニット20を配管1に向けて押し付ける力の変動分は非常に小さいものとなる。結果、配管1の温度に係わらず、熱電発電ユニット20は常に適切な圧力で配管1に接触させられることとなる。
【0035】
熱電発電ユニット20を構成する熱電発電モジュールは、比較的に小さい力でも破損し易い。配管1の温度に係わらず、熱電発電ユニット20を常に適切な圧力で配管1に接触させられる場合、熱電発電ユニット20の構成に係わらず、熱電発電モジュールの破損を回避させることができる。フランジ等の頑丈な部材を熱電発電ユニット20の取り付けに用いなくとも済むようになる。そのため、
図1に示すように、配管1の周囲に複数の熱電発電ユニット20を取り付けることができる。従って、熱電発電ユニット20の設置に要する配管1の軸方向上の長さ、つまり配管1内を高温流体が流れる方向上の長さは、配管1の外周に1つの熱電発電ユニット20を設置する場合と比較して、非常に短くさせることができる。
【0036】
熱電発電ユニット20を取り付ける配管1の形状に合わせて作製したクランプの一部をばねとする場合、そのばねの弾性力は、配管1に生じる熱膨張によって変化する外周の長さに応じて変化する。外周の長さの変化分は、外径の変化分と比較して非常に大きくなる。ばねに生じる弾性力の変化分は、ばねの変形分に依存する。このことから、配管1の外径の変化をばね54により吸収させる本実施の形態は、熱電発電ユニット20を配管1に向けて押し付ける圧力の変動を抑制するうえで有効である。
【0037】
フランジ等の頑丈な部材では、表面積も大きくなり、熱電発電ユニット20と接触する面積の割合は小さくなる。そのため、熱電発電ユニット20の取り付けにフランジ等を用いる場合、熱電発電ユニット20に伝達される熱量が小さくなって、発電量も小さくなる。このようなことから、フランジ等を用いないことは、各熱電発電ユニット20の発電量をより大きくさせるうえでも有効である。また、フランジ等を用いないことは、取付装置10の軽量化、取付装置10の低コスト化にも有効である。特に熱電発電ユニット20の数が多くなるほど、熱電発電ユニット20の一つ当たりに必要となる取付装置10のコストは低くなる。
【0038】
なお、本実施の形態では、ばね53、54として、共に渦巻ばねを採用しているが、ばね53、54は、渦巻ばねに限定されない。例えばばね53は、
図7に示すように、スプリングワッシャー71であっても良い。トーションバーであっても良い。また、ばね53、54は、ばね以外の弾性部材であっても良い。例えばばね53、54は、ゴムであっても良い。このように、ばね53、54としては、様々な弾性部材を採用することができる。固定ユニット13の構成は、採用する弾性部材に応じて変形すれば良い。
【0039】
図8は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置を構成する取付板の例を示す斜視図である。次に
図8を参照し、本実施の形態における取付部材に相当する取付板60について具体的に説明する。
【0040】
取付板60を説明する前に、
図9、及び
図10を参照し、取付板60に取り付けられる熱電発電ユニット20について具体的に説明する。
図9は、熱電変換ユニットの分解図、
図10は、熱電発電ユニットの
図8に示すB-B線での断面図である。
【0041】
熱電発電ユニット20は、
図9に示すように、配管1側から、熱伝導媒体91、金属ブロック92、熱伝導媒体93、熱電発電モジュール94、熱伝導媒体95、及び冷却部96が重ねられた構成となっている。それにより、熱電発電ユニット20は、熱伝導媒体91が配管1と接触するようになっている。なお、この構成は1例であり、熱電発電ユニット20の構成は、特に限定されない。
【0042】
熱電発電モジュール94の配管1側の面は高温側であり、その反対側の面は低温側である。冷却部96は、熱電発電モジュール94の低温側の面を冷却して、高温側と低温側との間の温度差をより大きくさせるためのものである。上記のように、この冷却部96は、熱電発電ユニット20、及び取付板60を含む配管1の径方向上の高さの変化分を抑制させる。
【0043】
冷却部96は、
図9、及び
図10に示すように、受熱板96a、2つのヒートパイプ96b、固定部材96cを備えている。2つのヒートパイプ96bには、多数のフィン96dが取り付けられている。この2つのヒートパイプ96bは、受熱板96aと固定部材96cとの間で固定されている。それにより、熱電発電モジュール94からの熱量は、受熱板96a、ヒートパイプ96b、及び多数のフィン96dを介して放熱される。
【0044】
固定部材96cの熱電発電モジュール94の反対側には、熱電発電モジュール94の反対側に突出する計4つのネジ96eが設けられている。この4つのネジ96eは、取付板60への熱電発電ユニット20の取り付けに用いられる。
【0045】
取付板60は、取り付けられた熱電発電ユニット20を配管1に押し付けられるように、配管1の径方向と平行な平面で切断した場合の形状は、
図8~
図10に示すように、配管1側に向けて凸状となっている。凸状となっている部分に、ネジ96eが挿入可能な穴62が形成されている。それにより、取付板60は、ネジ96eを内側から穴62に通した後、ナット81を用いて熱電発電ユニット20に取り付けることができる。
【0046】
取付板60には、
図8、及び
図9に示すように、4つのU字形の穴61が形成されている。この穴61は、固定ユニット13のネジ52を通すためのものである。穴61の形状をU字形としているのは、熱電発電ユニット20を取り付けた取付板60をネジ52にかけられるようにするためである。そのU字形の形状により、熱電発電ユニット20の配管1に接触させる取り付けはより容易に行えるようになる。より具体的には、各固定ユニット13のネジ52への2つのワッシャー56、57、ばね54、及びナット58の取り付けがより容易に行えるようになる。ネジ52に、ワッシャー56、ばね54、ワッシャー57、ナット58の順序で取り付け、マーク53cに合わせてナット58をネジ52に挿入することにより、熱電発電ユニット20を適切な圧力で配管1に接触させることができる。
【0047】
図11は、本実施の形態に係る熱電発電装置の取付装置により熱電発電ユニットを配管に取り付けた状態の例を示す断面図である。この断面図は、配管1のみを径方向と平行な面で切断し、軸方向上の視点で取付装置10、及び熱電発電ユニット20を示した図である。
【0048】
本実施の形態では、上記のように、固定バンドのバンド11をベースにし、固定ユニット13をばね53により配管1に向けて押し付け、取付板60を介して、熱電発電ユニット20をばね54により配管1に向けて押し付けるようにしている。言い換えれば、固定バンド、固定ユニット13、及び取付板60の何れも配管1に固定的に取り付けないようにして、配管1の温度による外径変化の影響をばね53、54により吸収させる構成としている。
【0049】
このような構成のため、配管1の温度による外径変化に伴い、高さD2に相当する配管1の外面とバンド11の内面との間の距離が変化しても、ばね53が作用させる弾性力の変化は狭い範囲内に抑えられる。この結果、バンド11、及び固定ユニット13の破損を確実に回避させつつ、固定バンドを配管1に常に安定的に固定させることができる。
【0050】
同様に、配管1の温度による外径変化に伴い、高さD3に相当するワッシャー56の内面とネジ52の端との間の距離が変化しても、ばね54が作用させる弾性力の変化は狭い範囲内に抑えられる。この結果、配管1の温度に係わらず、熱電発電ユニット20を構成する熱電発電モジュール94の破損を確実に回避させつつ、熱電発電ユニット20を常に適切な圧力で配管1に接触させることができる。そのため、熱電発電ユニット20への強度的な要求レベルも抑えられる。これは、熱電発電ユニット20の製造コストをより抑制する、配管1の周囲に取り付け可能な熱電発電ユニット20の数をより増やす、といった面でも有効である。後者は、熱電発電ユニット20の設置に要する配管1の軸方向上の長さをより抑えられることを意味する。
【0051】
なお、本実施の形態では、1つの熱電発電ユニット20の配管1への押し付けに4つのばね54を用いているが、その押し付けに用いるばね54の数は特に限定されない。ばね54の数によりバンド11の数を増減させても良い。同様に、各バンド11に圧力を作用させるばね53の数は2としているが、その数も2に限定されない。また、ばね53、54を一つの固定ユニット13に取り付けるようにしているが、ばね53、54は異なる部品に取り付けるようにしても良い。例えば、ばね54は、取付板60に取り付け、熱電発電ユニット20の配管1への押し付けに用いても良い。取付板60に、ばね54とは別の弾性部材を設け、熱電発電ユニット20の配管1への押し付けに、この別の弾性部材を用いても良い。このようなことを含め、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 配管、10 熱電発電装置の取付装置、11a、11b バンド、12 固定棒、13 固定ユニット、20 熱電発電ユニット、51 接触部材、52 ネジ(棒状部材)、53 ばね(他の弾性部材)、54 ばね(弾性部材)、60 取付板(取付部材)、94 熱電発電モジュール。