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特許7323427エレメント装置およびエレメント装置を備えるミストセパレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】エレメント装置およびエレメント装置を備えるミストセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
F01M13/04 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019197552
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021071079
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000252252
【氏名又は名称】和興フィルタテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 祥一
(72)【発明者】
【氏名】高城 誠一
(72)【発明者】
【氏名】印田 健太郎
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-211670(JP,A)
【文献】特開2003-210925(JP,A)
【文献】特開2007-130560(JP,A)
【文献】実公昭38-012691(JP,Y1)
【文献】実公昭36-015594(JP,Y1)
【文献】実公昭46-027734(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0143853(US,A1)
【文献】特開2000-042325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
前記エレメントの軸方向における一方側の端面を覆う第1蓋部材と、
前記エレメントの前記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
前記エレメントの前記一方側の端面の少なくとも一部を覆うとともに、前記エレメントの外表面よりも前記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備え、
前記エレメントの内表面よりも前記エレメントの前記中心軸側に配置され、前記第1蓋部材と前記第2蓋部材との間を前記中心軸の延在方向に沿って延在する内筒部材であって、内周面に少なくとも一つの貫通孔が形成された内筒部材と、
前記内筒部材の前記他方側における前記内周面に当接する一端部と、前記一端部よりも中心軸側に位置する他端部であって、前記一端部と軸方向位置が同じ、又は前記一端部よりも前記他方側に位置する他端部と、を含む水垂れ防止板と、をさらに備える
エレメント装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記第1蓋部材と別体である環状体に形成された
請求項1に記載のエレメント装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1蓋部材と一体的に形成された
請求項1に記載のエレメント装置。
【請求項4】
前記突出部は、内周端が外周端よりも前記軸方向の前記一方側に位置するように傾斜している傾斜延在部を含む
請求項2に記載のエレメント装置。
【請求項5】
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
前記エレメントの軸方向における一方側の端面を覆う第1蓋部材と、
前記エレメントの前記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
前記エレメントの前記一方側の端面の少なくとも一部を覆うとともに、前記エレメントの外表面よりも前記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備え、
前記突出部は、前記第1蓋部材と別体である環状体に形成され、
前記第1蓋部材は、前記エレメントの前記一方側の端面を覆う環状の外周側環状板部と、該外周側環状板部の外周端部から前記他方側に突出する外周立縁部と、を含み、
前記突出部は、その下端が前記外周立縁部の先端より前記一方側に配置され、
前記気体が前記エレメントの内側から前記エレメントの外側へ通過するように構成された
エレメント装置。
【請求項6】
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
前記エレメントの軸方向における一方側の端面および該一方側の端面によって画成される前記エレメントの内側開口を覆う第1蓋部材と、
前記エレメントの前記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
前記エレメントの前記一方側の端面の少なくとも一部を覆う突出部であって、前記突出部の内周縁は前記エレメントの内表面よりも前記エレメントの中心軸に近づく方向に突出し、前記エレメントの外周縁は前記エレメントの外表面よりも前記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備え、
前記突出部は、前記第1蓋部材と別体である環状体に形成され、
前記突出部は、内周端が外周端よりも前記軸方向の前記一方側に位置するように傾斜している傾斜延在部を含み、
前記第2蓋部材に形成された気体導入口に連通する気体導入通路を画定する内面を有する気体導入管をさらに備える
エレメント装置。
【請求項7】
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
前記エレメントの軸方向における一方側の端面を覆う第1蓋部材と、
前記エレメントの前記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
前記エレメントの前記一方側の端面の少なくとも一部を覆うとともに、前記エレメントの外表面よりも前記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備え、
前記突出部は、前記第1蓋部材と別体である環状体に形成され、
前記突出部は、内周端が外周端よりも前記軸方向の前記他方側に位置するように傾斜している傾斜延在部を含む
エレメント装置。
【請求項8】
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
前記エレメントの軸方向における一方側の端面を覆う第1蓋部材と、
前記エレメントの前記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
前記エレメントの前記一方側の端面の少なくとも一部を覆うとともに、前記エレメントの外表面よりも前記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備え、
前記突出部は、前記第1蓋部材と別体である環状体に形成され、
前記突出部は、
周方向の一部において、内周端が外周端よりも前記軸方向の前記一方側に位置するように傾斜している傾斜延在部である第1傾斜延在部と、
前記周方向の他の一部において、内周端が外周端よりも前記軸方向の前記他方側に位置するように傾斜している傾斜延在部である第2傾斜延在部と、を含む
エレメント装置。
【請求項9】
前記突出部は、前記傾斜延在部の外縁から折れ曲がって前記軸方向の前記他方側に向かって延在する外縁部をさらに含む
請求項4、又は6乃至8の何れか1項に記載のエレメント装置。
【請求項10】
前記突出部は、前記中心軸に対して交差する方向に沿って延在する延在部と、前記延在部の外縁から折れ曲がって前記軸方向の前記他方側に向かって延在する外縁部と、を含む
請求項3に記載のエレメント装置。
【請求項11】
前記エレメントの前記外表面の任意の周方向位置における前記中心軸からの長さをL1としたときに、前記突出部の先端の前記任意の周方向位置に対応する周方向位置における前記中心軸からの長さL2は、L2≧L1+5mmの条件を満たす
請求項1乃至10の何れか1項に記載のエレメント装置。
【請求項12】
前記エレメント装置は、
前記第2蓋部材に形成された気体導入口に連通する気体導入通路を画定する内面を有する気体導入管をさらに備え、
前記気体導入管の前記内面は、前記軸方向の前記一方側に向かうにつれて前記中心軸からの距離が徐々に拡がる通路拡大面を含む
請求項1乃至11の何れか1項に記載のエレメント装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載のエレメント装置と、
前記エレメント装置を収容する筒状のケーシングと、を備える
ミストセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントを少なくとも備えるエレメント装置、上記エレメント装置を備えるミストセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関には、シリンダとピストンの間からクランクケースに漏れ出たブローバイガスを吸気通路に還流させるブローバイガス還流装置を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。ブローバイガス還流装置は、クランクケースと吸気通路とを接続する還流通路と、還流通路の途中に設けられるブローバイバルブと、を含んでいる。また、還流通路の途中には、ブローバイガスに含まれるオイルミストを捕捉して分離するミストセパレータが設けられることがある。
【0003】
ミストセパレータには、例えば不織布などの繊維層を含むエレメントであって、上記繊維層を通り抜ける気体(例えば、ブローバイガス)からオイルミストを捕捉するエレメントと、上記エレメントを収容するケーシングと、を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-129226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーシング内の気体(例えば、ブローバイガス)が冷えると、上記気体中に含まれる水分が結露し、ケーシングの内面(例えば、天井面)に水滴となって付着する。本発明者らは、ケーシングの内面に付着した水滴が滴下してエレメントに付着すると、エレメントに捕捉されたオイルと結合してゲル状の粘着物を発生させ、上記粘着物により気体がエレメントを通り抜けることが妨げられるので、ミストセパレータにおける圧力損失の増大化を招く虞があることを見出した。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、ミストセパレータにおける圧力損失の増大化を抑制することができるエレメント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるエレメント装置は、
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメントと、
上記エレメントの軸方向における一方側の端面を覆う第1蓋部材と、
上記エレメントの上記軸方向における他方側の端面を覆う第2蓋部材と、
上記エレメントの上記一方側の端面の少なくとも一部を覆うとともに、上記エレメントの外表面よりも上記エレメントの中心軸から離れる方向に突出している突出部と、を備える。
【0008】
本開示にかかるミストセパレータは、
上述したエレメント装置と、
上記エレメント装置を収容する筒状のケーシングと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ミストセパレータにおける圧力損失の増大化を抑制することができるエレメント装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態にかかるミストセパレータを備えるエンジンの概略構成図である。
図2】一実施形態にかかるミストセパレータの概略断面図である。
図3】一実施形態にかかるミストセパレータの概略断面図である。
図4】一実施形態にかかるミストセパレータの概略断面図である。
図5】一実施形態にかかるミストセパレータの概略断面図である。
図6】比較例にかかるミストセパレータの概略断面図である。
図7】一実施形態における第1傾斜延在部と第2傾斜延在部の位置関係を説明するための説明図である。
図8】突出部の先端とエレメントの外表面との間の距離と水の付着量の関係を説明するためのグラフである。
図9A】一実施形態における環状体の固定方法を説明するための説明図である。
図9B】一実施形態における環状体の固定方法を説明するための説明図である。
図10A】一実施形態における環状体の固定方法を説明するための説明図である。
図10B】一実施形態における環状体の固定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0012】
(エンジン)
図1は、一実施形態にかかるミストセパレータを備えるエンジンの概略構成図である。幾つかの実施形態にかかるミストセパレータ1は、図1に示されるように、エンジン10に搭載される。
【0013】
エンジン10は、図1に示されるように、燃焼室12を有するエンジン本体11(内燃機関)と、燃焼室12に燃焼用気体を送るための吸気通路13と、燃焼室12から排ガスを排出するための排気通路14と、燃焼室12から漏れ出したブローバイガスを吸気通路13に還流させるように構成されたブローバイガス装置15と、を備える。燃焼用気体としては、例えば新気やEGRガス、ブローバイガス、これらの混合気などが挙げられる。
【0014】
エンジン本体11は、図1に示されるように、円筒状の孔部161を有するシリンダ16と、シリンダ16の孔部161に収容されて、孔部161内を孔部161の軸線LAに沿う方向に往復摺動するピストン17と、ピストン17にコンロッド18を介して連結されてピストン17の往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト19と、クランクシャフト19を収容する内部空間21を有するクランクケース20と、を含む。
【0015】
上述した燃焼室12は、シリンダ16の孔部161と、ピストン17と、により画定される。吸気通路13から燃焼室12に送られた燃焼用気体は、クランクケース20の内部空間21に漏れ出すことがある。燃焼室12から漏れ出した燃焼用気体をブローバイガスという。
【0016】
ブローバイガス装置15は、クランクケース20と吸気通路13に接続され、クランクケース20の内部空間21から吸気通路13にブローバイガスを送るための還流通路22と、還流通路22の途中に設けられるブローバイバルブ23と、を備える。ブローバイバルブ23は、不図示のアクチュエータにより開閉する開閉機構部24を含み、該開閉機構部24を開閉させることで、還流通路22のブローバイバルブ23よりも吸気通路13側に流れるブローバイガスの流量を調整可能である。上述したミストセパレータ1は、還流通路22の途中に設けられて、ブローバイガスに含まれるオイル成分を除去するように構成されている。
【0017】
(ミストセパレータ)
図2図5の夫々は、一実施形態にかかるミストセパレータの概略断面図である。ミストセパレータ1は、図2~5に示されるように、気体(例えば、ブローバイガス)からオイルミストを除去するように構成されたエレメント装置3と、エレメント装置3を収容する内部空間40を有するケーシング4と、ケーシング4の内部に気体を送るための気体導入管31と、エレメント装置3によりオイルミストが除去された気体をケーシング4の外部に排出するための気体排出管32と、を備える。
【0018】
エレメント装置3は、図2~5に示されるように、エレメント5の中心軸CAに沿って延在する筒状のエレメント5と、エレメント5の軸方向(エレメント5の中心軸CAが延在する方向)における一方側の端面(上端面)51を覆う第1蓋部材(上蓋)6と、エレメント5の軸方向の他方側の端面(下端面)52を覆う第2蓋部材(下蓋)7と、を備える。
【0019】
エレメント装置3は、エレメント5の中心軸CAが鉛直方向に沿うように、ケーシング4内に配置される。エレメント装置3は、ケーシング4内に配置された際に、軸方向における一方側が鉛直方向上側に位置し、軸方向における他方側が鉛直方向下側に位置している。以下、軸方向における一方側を鉛直方向上側と云うことがあり、軸方向における他方側を鉛直方向下側と云うことがある。
【0020】
図示される実施形態では、エレメント装置3は、エレメント5の内表面53よりもエレメント5の中心軸CA側に配置され、上蓋6と下蓋7との間をエレメント5の上記軸方向に沿って延在する筒状の内筒部材8をさらに備える。内筒部材8は、内周面81に少なくとも一つの貫通孔82が形成されている。内筒部材8として、複数の円形状の貫通孔82を有する例えばパンチングメタルなどが挙げられる。
【0021】
図示される実施形態では、上蓋6は、エレメント5の上端面51を覆う環状の外周側環状板部61と、外周側環状板部61よりもエレメント5の中心軸CA側に、且つ外周側環状板部61よりも鉛直方向下側に位置する円板状の内周側円板部62と、外周側環状板部61の内周端部611と内周側円板部62の内周端部621とを繋ぐ環状の接続部63と、外周側環状板部61の外周端部612から鉛直方向下側に突出する外周立縁部64と、外周側環状板部61と接続部63と外周立縁部64とにより画定される環状凹部65と、を含む。環状凹部65は、鉛直方向上側に向かって凹んで形成されている。上蓋6は、環状凹部65に充填された接着剤Gによりエレメント5に固着されている。
【0022】
図2~5に示される実施形態では、上蓋6の外周側環状板部61および内周側円板部62の夫々は、上記中心軸CAに交差(例えば、直交)する方向に沿って延在している。上蓋6の接続部63および外周立縁部64の夫々は、上記中心軸CAに沿う軸方向に沿って延在している。
また、図示される実施形態では、上蓋6は、エレメント5に固定される側とは反対側において、内周側円板部62と接続部63とにより画定される凹部66をさらに含む。凹部66は、鉛直方向上側に向かって凹んで形成されている。
【0023】
図示される実施形態では、下蓋7は、エレメント5の下端面52を覆う環状の環状板部71であって、環状板部71の内周端711から鉛直方向上側に突出する内周立縁部72と、環状板部71の外周端712から鉛直方向上側に突出する外周立縁部73と、環状板部71と内周立縁部72と外周立縁部73とにより画定される環状凹部74と、を含む。環状凹部74は、鉛直方向下側に向かって凹んで形成されている。下蓋7は、環状凹部74に充填された接着剤Gによりエレメント5に固着されている。
図2~5に示される実施形態では、下蓋7の環状板部71は、上記中心軸CAに交差(例えば、直交)する方向に沿って延在している。
【0024】
ケーシング4は、図2~5に示されるように、エレメント5の中心軸CAに沿う軸方向に沿って延在する筒状の筒状部材41と、筒状部材41の鉛直方向上側の開口411を塞ぐ蓋部材42と、を含む。
【0025】
筒状部材41は、上記中心軸CAに沿う軸方向に延在する内周面431を有する筒状部43と、筒状部43の下端部432から上記中心軸CAに交差(例えば、直交)する方向に沿って中心軸CAに向かって延在する底面441を有する下板部44と、を含む。
蓋部材42は、上記中心軸CAに交差(例えば、直交)する方向に沿って延在する天井面421を含む。上述した内部空間40は、筒状部材41の内周面431、底面441および蓋部材の42の天井面421により画定される。
【0026】
筒状部材41の下板部44の中央には、上述した気体導入管31を挿通させるための導入管挿通孔442が形成されている。気体導入管31は、上記中心軸CAに沿う軸方向に沿って延在しており、導入管挿通孔442に挿通した状態で、例えば、溶接による接合などにより下板部44に固定されている。このため、気体導入管31は、ケーシング4の内部空間40において、上記中心軸CAに沿う軸方向に延在する延在部311を含む。
【0027】
また、筒状部材41の下板部44には、底面441に溜まる液体(水滴)を排出するためのドレン孔443が形成されている。
【0028】
蓋部材42の中央には、上述した気体排出管32を挿通させるための排出管挿通孔422が形成されている。気体排出管32は、上記中心軸CAに沿う軸方向に沿って延在しており、排出管挿通孔422に挿通した状態で、例えば、溶接による接合などにより蓋部材42に固定されている。このため、気体排出管32は、ケーシング4の内部空間40において、上記中心軸CAに沿う軸方向に延在する延在部321を含む。
【0029】
エレメント装置3は、ケーシング4に対して取り付け、取り外しが可能に構成されている。図示される実施形態では、蓋部材42は、少なくとも一つの締結ボルト25により、筒状部材41に固定される。また、ミストセパレータ1は、上記中心軸CAに沿う軸方向において、上蓋6の内周側円板部62と蓋部材42との間に配置され、エレメント装置3を鉛直方向下側に向かって付勢する付勢装置26をさらに備える。
【0030】
付勢装置26は、上蓋6の上に外側面262が当接する椀状のキャップ261と、キャップ261の内側面263と蓋部材42の天井面421との間に圧縮状態で配置され、これらの面(内側面263および天井面421)に当接する圧縮コイルばね264と、を含む。圧縮コイルばね264は、その内径が延在部321の外径よりも大きく、延在部321が内側に挿入されている。
【0031】
エレメント装置3のケーシング4への取り付け方法について説明する。第一に、締結ボルト25による筒状部材41と蓋部材42との締結を解除し、蓋部材42を取り外し、筒状部材41の内部にエレメント装置3を挿入する。エレメント装置3は、その下蓋7が気体導入管31の鉛直方向上側の端部312の上に、環状のシール部材27(例えば、パッキン)を上記端部312と下蓋7との間に挟んで載せられる。そして、エレメント装置3の上蓋6の上に付勢装置26が載せられる。蓋部材42が筒状部材41の上に載せられ、締結ボルト25により筒状部材41と蓋部材42とが締結される。
【0032】
図示される実施形態では、筒状部材41の筒状部43の上端部433には、中心軸CAに沿う軸方向に沿って延在する雌ネジ孔434が形成されている。また、蓋部材42の外周縁部425には、貫通孔426が形成されている。筒状部材41の上記上端部433と蓋部材42の外周縁部425との間に、環状のシール部材28が配置されている。シール部材28は、貫通孔281が形成されている。締結ボルト25が蓋部材42の貫通孔426及びシール部材28の貫通孔281を挿通し、筒状部材41の雌ネジ孔434に螺合することで、蓋部材42が筒状部材41の上に固定されている。締結ボルト25やシール部材28を用いる上記の締結構造によれば、筒状部材41の上記開口411を大きなものとすることができるため、ケーシング4へのエレメント装置3の取り付け、取り外し作業が容易になる。
【0033】
エレメント装置3は、付勢装置26により鉛直方向下側に向かって付勢されることで、ケーシング4内に固定される。また、シール部材27は、エレメント装置3により鉛直方向下側に向かって付勢されて圧縮することで、気体導入管31の上記端部312と下蓋7との間をシールしている。
【0034】
ケーシング4の内部空間40は、エレメント装置3が挿入されることで、エレメント5の内部空間50と、エレメント装置3とケーシング4の間に形成される内部空間40Aと、に区分けされる。エレメント5の内部空間50は、中心軸CAに直交する方向において、エレメント5を挟んで反対側に位置する上記内部空間40Aと、エレメント5を介して連通している。エレメント5は、例えば不織布などの繊維層5Aを含み、繊維層5Aを通り抜ける気体(例えば、ブローバイガス)からオイルミストを吸着除去する。
図示される実施形態では、エレメント5の繊維層5Aは、筒状の第1繊維層5Bと、第1繊維層5Bの外周を覆う筒状の第2繊維層5Cであって、第1繊維層5Bよりも密度が細かい第2繊維層5Cと、を含む二層構造となっている。
【0035】
鉛直方向上側に向かって流れて気体導入管31からエレメント5の内部空間50に導入された気体は、内部空間50内を上記中心軸CAの径方向外側に向かって流れてエレメント5を通過して上記内部空間40Aに流れ込む。上記内部空間40Aに流れ込んだ気体は、鉛直方向上側に向かって流れた後に、気体排出管32から排出される。
【0036】
図6は、比較例にかかるミストセパレータの概略断面図である。
比較例にかかるエレメント装置30は、図6に示されるように、上述したエレメント5と、上述した上蓋6と、上述した下蓋7と、を備える。例えばエンジン本体11が停止して、ケーシング4内の気体が冷えると、気体中に含まれる水分が結露し、ケーシング4の内面(天井面421や内周面431)に水滴となって付着する。ケーシング4の天井面421に付着した水滴は、上蓋6の外周側環状板部61の鉛直方向上側に位置する上面613に落下することがある。エレメント装置30では、中心軸CAに直交する方向において、上蓋6の外周立縁部64とエレメント5の外表面54とが隣接しているので、上面613に付着した水滴は、外周側環状板部61の外周端部612から外周立縁部64を伝い、エレメント5の外表面54や、第2繊維層5C(繊維層5A)に付着することがある。エレメント5の外表面54や、第2繊維層5C(繊維層5A)に付着すると、エレメント5に捕捉されたオイルと結合してゲル状の粘着物を発生させ、上記粘着物により気体がエレメント5を通り抜けることが妨げられるので、ミストセパレータ1における圧力損失の増大化を招く虞がある。特に、第2繊維層5Cは密度が細かいので、気体を通過させる空隙が粘着物により塞がり易く、ミストセパレータ1における圧力損失の増大化を招く可能性が高い。
【0037】
上述したエレメント装置3は、図2~5に示されるように、エレメント5の上端面51の少なくとも一部を覆うとともに、エレメント5の外表面54よりもエレメント5の中心軸CAから離れる方向(図中左右方向)に突出している突出部33をさらに備える。
【0038】
図2~4に示される実施形態では、突出部33は、上蓋6と別体である環状体9に形成されている。つまり、環状体9の少なくとも一部が上記突出部33となる。詳細は後述するが、環状体9は、エレメント装置3(例えば、上蓋6)に支持されてもよいし、ケーシング4(例えば、蓋部材42)に支持されてもよい。
図示される実施形態では、環状体9は、その突出部33が上蓋6の外周側環状板部61の上面613の少なくとも一部を覆うように配置されている。また、突出部33は、上蓋6の外周側環状板部61や外周立縁部64よりも、エレメント5の中心軸CAから離れる方向(図中左右方向)に突出している。この場合には、ケーシング4の天井面421に付着した水滴が落下したときに、環状体9が上蓋6の上方を覆う範囲では、上記水滴が環状体9の鉛直方向上側に位置する上面91の上に落ちる。中心軸CAに直交する方向において、突出部33の外周端部332(先端)とエレメント5の外表面54とが離隔しているので、突出部33の上面331に付着した水滴が外周端部332から落下したときに、上記水滴がエレメント5の外表面54に付着することを抑制することができる。
【0039】
図5に示される実施形態では、突出部33は、上蓋6と一体的に形成されている。図示される実施形態では、突出部33は、外周側環状板部61の外周端部612や外周立縁部64を含んでいる。この場合には、ケーシング4の天井面421に付着した水滴は、上蓋6の上面613に落下することがある。中心軸CAに直交する方向において、突出部33の外周端部332とエレメント5の外表面54とが離隔しているので、上蓋6の上面613に付着した水滴が突出部33の外周端部332から落下したときに、上記水滴がエレメント5の外表面54に付着することを抑制することができる。
【0040】
上述したように、幾つかの実施形態にかかるエレメント装置3は、図2~5に示されるように、上述したエレメント5と、上述した第1蓋部材(上蓋)6と、上述した第2蓋部材(下蓋)7と、上述した突出部33と、を備える。
【0041】
上記の構成によれば、エレメント装置3は、ケーシング4に収容される際に、エレメント5の軸方向における一方側が鉛直方向における上側に、エレメント5の軸方向における他方側が鉛直方向における下側に配置される。上記突出部33は、エレメント5の上端面51(一方側の端面)の少なくとも一部を上方から覆うとともに、エレメント5の外表面54よりもエレメント5の中心軸CAから離れる方向に突出しているので、エレメント5の外表面54に上方から落下した水滴が付着することを抑制することができる。エレメント5の外表面54に水滴が付着することを抑制することで、上記水滴とエレメント5に捕捉されたオイルとが結合することで生じるゲル状の粘着物A(図6参照)の発生を抑制することができ、ひいてはミストセパレータ1における圧力損失の増大化を抑制することができる。
【0042】
上述したように、幾つかの実施形態では、図2~4に示されるように、上述した突出部33は、第1蓋部材(上蓋)6と別体である上述した環状体9に形成されている。この場合には、突出部33は、上蓋6と別体である上述した環状体9に形成されているので、その形状やケーシング4内における配置の自由度を高めることができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、図2~4に示されるように、上述した環状体9は、中心軸CAに直交する方向において、その内周端部92が、エレメント5の内表面53や接続部63の内周面631よりも中心軸CAの近くに位置している。つまり、環状体9は、上蓋6の外周側環状板部61の上面613の全てを覆うように設けられている。この場合には、ケーシング4の天井面421に付着した水滴が落下したときに、上記水滴が外周側環状板部61の上面613に付着することを抑制することができる。水滴が外周側環状板部61の上面613に付着することを抑制することで、水滴が外周側環状板部61の外周端部612から外周立縁部64を伝い、エレメント5の外表面54や、第2繊維層5C(繊維層5A)への付着を抑制することができ、ひいてはエレメント5の圧力損失の増大化を抑制することができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述した環状体9の突出部33は、内縁931(内周端)が外縁932(外周端)よりも軸方向の一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜している傾斜延在部93A(93)を含む。傾斜延在部93Aの上面933は、中心軸CAから離れるについて徐々に鉛直方向下側に位置するように傾斜している。
【0045】
上記の構成によれば、突出部33(環状体9)の傾斜延在部93Aは、内縁931が外縁932よりも上記一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜しているので、傾斜延在部93Aの上面933に付着した水滴を自重により内周側から外周側に流すことができ、エレメント5の外表面54よりも中心軸CAから離れた位置にある突出部33の外周端部332から水滴を落下させることができる。よって、上記の構成によれば、傾斜延在部93Aにより水滴を流して、傾斜延在部93Aの上面933から水滴を速やかに取り除くことにより、エレメント5の外表面54に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。なお、突出部33の外周端部332から落下した水滴は、ドレン孔443からケーシング4の外部に排出される。
【0046】
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した環状体9の突出部33は、内縁931(内周端)が外縁932(外周端)よりも軸方向の他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜している傾斜延在部93B(93)を含む。傾斜延在部93Bの上面933は、中心軸CAから離れるについて徐々に鉛直方向上側に位置するように傾斜している。
【0047】
上記の構成によれば、突出部33(環状体9)の傾斜延在部93Bは、内縁931が外縁932よりも上記他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜しているので、傾斜延在部93Bの上面933に付着した水滴を自重により外周側から内周側に流すことができ、エレメント5の外表面54から離れた中心軸CAの近傍に水滴を集めることができる。中心軸CAの近傍に水滴を集めることで、エレメント5に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0048】
図3に示される実施形態では、上述した環状体9は、中心軸CAに直交する方向において、その内周端部92が、上蓋6の接続部63の内周面631よりも中心軸CAの近くに位置している。この場合には、傾斜延在部93Bの上面933に付着した水滴を内周側に流して、上述した凹部66に水滴を集めることができる。凹部66に集められた水滴は、蒸発して減少する。上述した凹部66に水滴を集めることで、エレメント5に水滴が付着することをより効果的に抑制することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、図4に示されるように、上述した突出部33は、周方向の一部において、内縁931C(内周端)が外縁932C(外周端)よりも軸方向の一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜している傾斜延在部93である第1傾斜延在部93Cと、周方向の第1傾斜延在部93Cが存在している上記一部とは異なる他の一部において、内縁931D(内周端)が外縁932D(外周端)よりも軸方向の他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜している傾斜延在部93である第2傾斜延在部93Dと、を含む。第1傾斜延在部93Cの上面933Cは、中心軸CAから離れるについて徐々に鉛直方向下側に位置するように傾斜している。第2傾斜延在部93Dの上面933Dは、中心軸CAから離れるについて徐々に鉛直方向上側に位置するように傾斜している。
【0050】
上記の構成によれば、第1傾斜延在部93Cは、内縁931Cが外縁932Cよりも上記一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜しており、第2傾斜延在部93Dは、内縁931Dが外縁932Dよりも上記他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜している。突出部33は、第1傾斜延在部93Cと第2傾斜延在部93Dと、を含むため、第1傾斜延在部93Cや第2傾斜延在部93Dに付着した水滴を自重によりこれらの傾斜に沿って流すことができ、水滴を突出部33の特定の周方向位置に集めることができる。水滴を突出部33の特定の周方向位置に集めることで、突出部33の上記特定の周方向位置以外の他の周方向位置から水滴が落ちて、エレメント5に付着することを抑制することができる。
【0051】
図7は、一実施形態における第1傾斜延在部と第2傾斜延在部の位置関係を説明するための説明図である。
図示される実施形態では、図7に示されるように、ミストセパレータ1を上記中心軸CAに沿って視認した平面視において、第1傾斜延在部93Cは、第2傾斜延在部93Dよりも、ドレン孔443寄りに位置している。上記平面視において、ドレン孔443の軸線LBおよび中心軸CAを通過する直線LCに対して直交する直線であり、且つ、中心軸CAと交差する直線を基準線RLとする。図4、7に示されるように、第1傾斜延在部93Cは、基準線RLに対してドレン孔443が位置する側(ドレン孔近傍側)に位置し、第2傾斜延在部93Dは、基準線RLに対してドレン孔443が位置する側とは反対側(ドレン孔遠方側)に位置している。この場合には、突出部33における上記ドレン孔近傍側に水滴を集めて落下させることができる。水滴を上記ドレン孔近傍側において落下させることで、突出部33から落下した水滴は、底面441のドレン孔443の近傍に集まるため、ドレン孔443から迅速に排出することができる。
【0052】
図2~4に示される実施形態では、傾斜延在部93(93A~93D)の夫々は、傾斜方向に沿って直線状に延在しているが、他の幾つかの実施形態では、傾斜延在部93(93A~93D)の夫々は、鉛直方向下側に向かって凹状に曲がる曲がり形状を有してもよいし、鉛直方向上側に向かって凸状に曲がる曲がり形状を有してもよい。また、傾斜延在部93(93A~93D)の夫々は、その途中に中心軸CAに直交する方向に沿って延在する水平部を含んでいてもよい。
【0053】
幾つかの実施形態では、上述した突出部33は、図2~4に示されるように、傾斜延在部93(93A~93D)の外縁932から折れ曲がって上記軸方向の他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部94をさらに含む。
図示される実施形態では、図2~4に示されるように、外縁部94は、その先端941の中心軸CAからの距離が、外縁932の中心軸CAからの距離よりも長くなるように構成されている。この場合には、先端941をエレメント5の外表面54から離すことができるので、外縁部94から落下した水滴がエレメント5の外表面54に付着することを効果的に抑制することができる。なお、外縁部94は、その先端941の中心軸CAからの距離が、外縁932の中心軸CAからの距離と同じに構成されていてもよいし、その先端941の中心軸CAからの距離が、外縁932の中心軸CAからの距離よりも短く構成されていてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、突出部33は、傾斜延在部93の外縁932から折れ曲がって上記軸方向の他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部94を含むので、外縁部94に付着した水滴を確実に下方に滴下させることができる。このため、傾斜延在部93の上面933に付着した水滴が傾斜延在部93の外縁932から傾斜延在部93の鉛直方向下側に位置する下面934に回り込むことを抑制することができるので、エレメント5の外表面54に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、上述した突出部33は、図2~4に示されるように、傾斜延在部93(93A~93D)の内縁931から折れ曲がって上記軸方向の他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する内縁部95をさらに含む。
図示される実施形態では、図2~4に示されるように、内縁部95は、その先端951の中心軸CAからの距離が、内縁931の中心軸CAからの距離よりも短くなるように構成されている。この場合には、先端951をエレメント5の中心軸CAに近付けることができるので、内縁部95から落下した水滴を上述した凹部66に集めることができる。なお、内縁部95は、その先端951の中心軸CAからの距離が、内縁931の中心軸CAからの距離と同じに構成されていてもよいし、その先端951の中心軸CAからの距離が、内縁931の中心軸CAからの距離よりも長く構成されていてもよい。
【0056】
上述したように、幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した突出部33は、第1蓋部材(上蓋)6と一体的に形成されている。この場合には、エレメント装置3は、突出部33が上蓋6と一体的に形成されているので、別に突出部33や突出部33を固定するための固定機構を設ける必要がないため、製作コストを低減させることができる。
【0057】
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した突出部33は、中心軸CAに対して交差(例えば、直交)する方向に沿って延在する延在部67と、延在部67の外縁671から折れ曲がって中心軸CAに沿う軸方向の他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部68と、を含む。
【0058】
図示される実施形態では、外縁部68は、図5に示されるように、外縁部68は、その外周端部332(先端)の中心軸CAからの距離が外縁671よりも長くなるように構成されている。この場合には、外周端部332をエレメント5の外表面54から離すことができるので、外縁部68から落下した水滴がエレメント5の外表面54に付着することを効果的に抑制することができる。なお、外縁部68は、その外周端部332の中心軸CAからの距離が、外縁671の中心軸CAからの距離と同じに構成されていてもよいし、その外周端部332の中心軸CAからの距離が、外縁671の中心軸CAからの距離よりも短く構成されていてもよい。
【0059】
或る実施形態では、上述した外縁部68は、延在部67に対する傾斜角度θが90°以上130°以下となるように鉛直方向下側に向かって傾斜している。この場合には、外縁部68の傾斜により外縁部68に付着した水滴の落下が促されるため、外縁部68から水滴を速やかに落下させることができる。このため、延在部67の上面672に付着した水滴が延在部67の外縁671から延在部67の下面673に回り込み、エレメント5の外表面54に付着することを効果的に抑制することができる。また、ケーシング4の内周面431との距離が狭くなることを抑制することができるので、ケーシング4へのエレメント装置3の取り付け作業が容易となる。また、外縁部68が内部空間40Aを流れるブローバイガスの流れを阻害することを抑制することができる。
【0060】
上記の構成によれば、突出部33は、延在部67の外縁671から折れ曲がって軸方向の他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部68を含むので、外縁部68に付着した水滴を確実に下方に滴下させることができる。このため、延在部67の上面672に付着した水滴が延在部67の外縁671から延在部67の下面673に回り込むことを抑制することができるので、エレメント5の外表面54に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0061】
図8は、突出部の先端とエレメントの外表面との間の距離と水の付着量の関係を説明するためのグラフである。
図8に示されるように、上記中心軸CAに直交する方向における、突出部33の先端(先端941又は外周端部332)とエレメント5の外表面54との間の距離L3(図2、5参照)と、エレメント5の外表面54への水の付着量との関係は、近似直線ALにより表される。つまり、上記距離L3が長くなるにつれて、徐々に水の付着量が減少している。距離L3が5mm以上であると、距離L3が0mmの場合に比べて、エレメント5の外表面54への水の付着量が半減している。また、距離L3が9mm以上であると、エレメント5の外表面54に水が殆ど付着していない。
【0062】
幾つかの実施形態では、図2、5に示されるように、上述したエレメント5の外表面54の任意の周方向位置における中心軸CAからの長さをL1としたときに、上述した突出部33の先端(先端941又は外周端部332)の上記任意の周方向位置に対応する周方向位置における中心軸CAからの長さL2は、L2≧L1+5mmの条件を満たす。好ましくは、上記長さL2は、L2≧L1+9mmの条件を満たす。
【0063】
上記の構成によれば、突出部33の先端(先端941又は外周端部332)の中心軸CAからの長さL2を、エレメント5の外表面54の中心軸CAからの長さL1に比べて、所定長さ(例えば5mm)以上長くすることで、エレメント5の外表面54に上方から落下した水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述したエレメント装置3は、水垂れ防止板83を備える。水垂れ防止板83は、上述した内筒部材8の上記他方側(鉛直方向下側)における内周面81に当接する一端部84と、一端部84よりも中心軸CA側に位置する他端部85であって、一端部84と軸方向位置が同じ、又は一端部84よりも上記他方側(鉛直方向下側)に位置する他端部85と、を含む。
【0065】
図示される実施形態では、水垂れ防止板83は、環状に設けられており、その他端部85は、上記中心軸CAに直交する方向において、下蓋7の内周立縁部72よりも中心軸CA側に位置している。
また、図示される実施形態では、水垂れ防止板83は、一端部84から上記中心軸CAに直交する方向に沿って延在する環状板部86と、環状板部86の内周端から垂れ下がり、上記中心軸CAに沿って上記他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する筒状の垂下部87と、を含む。垂下部87は、その外周面が下蓋7の内周立縁部72の内周面に接触している。
【0066】
上記の構成によれば、内筒部材8は、中心軸CAの延在方向に沿って延在しているので、上蓋6のエレメント5の内部空間50に面する下面601に付着した水滴の中には、内筒部材8の内周面81に付着するものがある。内筒部材8の内周面81に付着した水滴は、自重により内周面81を伝い下方に流れる。水垂れ防止板83は、内筒部材8の上記他方側(鉛直方向下側)における内周面81に当接する一端部84と、一端部84よりも中心軸CA側に位置する他端部85であって、一端部84と軸方向位置が同じ、又は一端部84よりも上記他方側(鉛直方向下側)に位置する他端部85と、を含む。このため、内筒部材8の内周面81を伝い下方に流れる水滴を水垂れ防止板83の一端部84から他端部85に向かって導いて、他端部85から落下させることができる。つまり、水垂れ防止板83により内筒部材8の内周面81を伝い下方に流れる水滴が、下蓋(第2蓋部材)7の上面701を伝いエレメント5に向かって流れて、エレメント5に付着することを抑制することができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、例えば図2に示されるように、上述したエレメント装置3は、下蓋(第2蓋部材)6に形成された気体導入口75に連通する気体導入通路310を画定する内面313を有する気体導入管31を備える。該気体導入管31の内面313は、上記軸方向の一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて上記中心軸CAからの距離が徐々に拡がる通路拡大面314を含む。
図示される実施形態では、通路拡大面314は、テーパ状に形成されており、通路拡大面314よりも上記軸方向の一方側(鉛直方向上側)に位置する延在部311の内周面315に連なっている。
【0068】
上記の構成によれば、気体導入通路310は、通路拡大面314により上記一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて中心軸CAからの距離が徐々に拡大している。このため、気体導入通路310の上方に連通する気体導入口75は、開口面積が大きなものとなっているので、上方から滴下して下蓋(第2蓋部材)7の上面701に付着した水滴を、気体導入口75から効果的に排出することができる。また、気体導入管31の内面313は、上記一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて中心軸CAからの距離が徐々に拡がる通路拡大面314を含むので、気体導入口75から排出された水滴が、気体導入管31を鉛直方向上側に向かって流れる気体の流れに押されて、気体導入管31の内面313を伝って鉛直方向上側に向かって逆流することを抑制することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、上述した内筒部材8の内周面81の径をD1としたときに、上述した延在部311の内周面315の径D2は、D2≧0.5D1の条件を満たす。好ましくは、D2≧0.6D1の条件を満たす。さらに好ましくは、D2≧0.7D1の条件を満たす。
図示される実施形態では、上述した延在部311の内周面315は、上記中心軸CAからの距離が、気体導入口75の中心軸CAからの距離が同じ、又は、気体導入口75の中心軸CAからの距離よりも長くなっている。
【0070】
上記の構成によれば、延在部311の内周面315の径D2が上記条件を満たすので、中心軸CAに直交する方向における、内筒部材8の内周面81と延在部311の内周面315との距離が短くなっているため、上蓋(第1蓋部材)6の下面601から落下した水滴が、下蓋(第2蓋部材)7の上面701(環状凹部74)に溜まることを抑制することができる。下蓋(第2蓋部材)7の上面701(環状凹部74)に溜まることを抑制することで、水滴がエレメント5に付着することを抑制することができる。
【0071】
図9A、9B、10A、10Bの夫々は、一実施形態における環状体の固定方法を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、図9A、9Bに示されるように、上述した環状体9は、エレメント装置3の上蓋6に支持される。
図9A、9Bに示される実施形態では、環状体9は、その傾斜延在部93の途中に中心軸CAに直交する方向に沿って延在する水平部96を含んでいる。水平部96は、上面961から下面962に亘り貫通する貫通孔963が形成されている。また、上蓋6の外周側環状板部61の上面613から上記軸方向の一方側(鉛直方向上側)に延在するボス69を有する。ボス69の上面691に環状体9の下面962が当接している。
【0072】
図9Aに示される実施形態では、締結ボルト29Aが環状体9の貫通孔963を挿通し、ボス69の雌ネジ孔692に螺合することで、環状体9が上蓋6に固定されている。図9Bに示される実施形態では、環状体9の貫通孔963に接着剤G1が充填されることで、環状体9が上蓋6に固定されている。これらの場合には、環状体9がエレメント装置3の上蓋6に支持されるので、ケーシング4の筒状部材41にエレメント5、上蓋6および下蓋7を挿入する際に、環状体9を一緒に挿入することができる。このため、エレメント装置3のケーシング4への取り付け作業を容易にすることができる。なお、環状体9は、エレメント装置3のケーシング4への取り付け作業の際に撓むように構成されていてもよい。
【0073】
幾つかの実施形態では、図10A、10Bに示されるように、上述した環状体9は、蓋部材42に支持される。
図10A、10Bに示される実施形態では、環状体9は、その傾斜延在部93の途中に中心軸CAに直交する方向に沿って延在する水平部96を含んでいる。水平部96は、上面961から下面962に亘り貫通する貫通孔963が形成されている。また、蓋部材42の天井面421から上記軸方向の他方側(鉛直方向下側)に延在するボス45を有する。ボス45の下面451に環状体9の上面961が当接している。
【0074】
図10Aに示される実施形態では、締結ボルト29Bが環状体9の貫通孔963を挿通し、ボス45の雌ネジ孔452に螺合することで、環状体9が蓋部材42に固定されている。図10Bに示される実施形態では、環状体9の貫通孔963に接着剤G1が充填されることで、環状体9が蓋部材42に固定されている。これらの場合には、環状体9が蓋部材42に支持されるので、ケーシング4の筒状部材41にまずエレメント5、上蓋6および下蓋7が挿入される。その後に、環状体9を支持する蓋部材42が筒状部材41に固定される。このため、エレメント装置3のケーシング4への取り付け作業を容易にすることができる。なお、環状体9は、エレメント装置3のケーシング4への取り付け作業の際に撓むように構成されていてもよい。
【0075】
幾つかの実施形態にかかるミストセパレータ1は、例えば図2~5に示されるように、上述したエレメント装置3と、エレメント装置3を収容する筒状の上述したケーシング4と、を備える。この場合には、エレメント装置3の突出部33により、ケーシング4の天井面421から落下した水滴がエレメント5の外表面54に付着することを抑制することができ、ひいてはミストセパレータ1における圧力損失の増大化を抑制することができる。
【0076】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0077】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0078】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかるエレメント装置(3)は、
気体からオイルミストを除去するように構成された筒状のエレメント(5)と、
上記エレメント(5)の軸方向における一方側の端面(51)を覆う第1蓋部材(上蓋6)と、
上記エレメント(5)の上記軸方向における他方側の端面(52)を覆う第2蓋部材(下蓋7)と、
上記エレメント(5)の上記一方側の端面(51)の少なくとも一部を覆うとともに、上記エレメント(5)の外表面(54)よりも上記エレメント(5)から離れる方向に突出している突出部(33)と、を備える。
【0079】
上記1)の構成によれば、上記エレメント装置は、ケーシングに収容される際に、上記一方側が鉛直方向における上側に、上記他方側が鉛直方向における下側に配置される。上記突出部は、エレメントの上端面(一方側の端面)の少なくとも一部を上方から覆うとともに、エレメントの外表面よりもエレメントの中心軸から離れる方向に突出しているので、エレメントの外表面に上方から落下した水滴が付着することを抑制することができる。エレメントの外表面に水滴が付着することを抑制することで、上記水滴とエレメントに捕捉されたオイルとが結合することで生じるゲル状の粘着物(A、図6参照)の発生を抑制することができ、ひいてはミストセパレータ(1)における圧力損失の増大化を抑制することができる。
【0080】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、上記第1蓋部材(上蓋6)と別体である環状体(9)に形成された。
【0081】
上記2)の構成によれば、突出部は、第1蓋部材と別体である環状体に形成されているので、その形状やケーシング内における配置の自由度を高めることができる。
【0082】
3)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、上記第1蓋部材(上蓋6)と一体的に形成された。
【0083】
上記3)の構成によれば、エレメント装置は、突出部が第1蓋部材と一体的に形成されているので、別の突出部や突出部を固定するための固定機構を設ける必要がないため、製作コストを低減させることができる。
【0084】
4)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、内周端(内縁931)が外周端(外縁932)よりも上記軸方向の上記一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜している傾斜延在部(93A)を含む。
【0085】
上記4)の構成によれば、突出部(環状体)の傾斜延在部は、内周端が外周端よりも上記一方側(上側)に位置するように傾斜しているので、傾斜延在部の上面に付着した水滴を自重により内周側から外周側に流すことができ、エレメントの外周面よりも中心軸から離れた位置にある環状体の外周端から水滴を落下させることができる。よって、上記の構成によれば、傾斜延在部により水滴を流して、傾斜延在部の上面から水滴を速やかに取り除くことにより、エレメントの外表面に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0086】
5)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、内周端(内縁931)が外周端(外縁932)よりも上記軸方向の上記他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜している傾斜延在部(93B)を含む。
【0087】
上記5)の構成によれば、突出部(環状体)の傾斜延在部は、内周端が外周端よりも上記他方側(下側)に位置するように傾斜しているので、傾斜延在部の上面に付着した水滴を自重により外周側から内周側に流すことができ、エレメントから離れた中心軸の近傍に水滴を集めることができる。中心軸の近傍に水滴を集めることで、エレメントに水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0088】
6)幾つかの実施形態では、上記2)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、
周方向の一部において、内周端(内縁931C)が外周端(外縁932C)よりも上記軸方向の上記一方側(鉛直方向上側)に位置するように傾斜している第1傾斜延在部(93C)と、
上記周方向の他の一部において、内周端(内縁931D)が外周端(外縁932D)よりも上記軸方向の上記他方側(鉛直方向下側)に位置するように傾斜している第2傾斜延在部(93D)と、を含む。
【0089】
上記6)の構成によれば、第1傾斜延在部は、内周端が外周端よりも上記一方側(上側)に位置するように傾斜しており、第2傾斜延在部は、内周端が外周端よりも上記他方側(下側)に位置するように傾斜している。突出部(環状体)は、第1傾斜延在部と第2傾斜延在部と、を含むため、第1傾斜延在部や第2傾斜延在部に付着した水滴を自重によりこれらの傾斜に沿って流すことができ、水滴を突出部の特定の周方向位置に集めることができる。水滴を突出部の特定の周方向位置に集めることで、突出部の上記特定の周方向位置以外の他の周方向位置から水滴が落ちて、エレメントに付着することを抑制することができる。
【0090】
7)幾つかの実施形態では、上記4)~6)の何れかに記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、上記傾斜延在部(93)の外縁(932)から折れ曲がって上記軸方向の上記他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部(94)をさらに含む。
【0091】
上記7)の構成によれば、突出部は、傾斜延在部の外縁から折れ曲がって上記他方側(下方)に向かって延在する外縁部を含むので、外縁部に付着した水滴を確実に下方に滴下させることができる。このため、傾斜延在部の上面に付着した水滴が傾斜延在部の外縁から傾斜延在部の下面に回り込むことを抑制することができるので、エレメントの外表面に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0092】
8)幾つかの実施形態では、上記3)に記載のエレメント装置(3)であって、
上記突出部(33)は、上記中心軸(CA)に対して交差する方向に沿って延在する延在部(67)と、上記延在部(67)の外縁(671)から折れ曲がって上記軸方向の上記他方側(鉛直方向下側)に向かって延在する外縁部(68)と、を含む。
【0093】
上記8)の構成によれば、突出部は、延在部の外縁から折れ曲がって軸方向の他方側に向かって延在する外縁部を含むので、外縁部に付着した水滴を確実に下方に滴下させることができる。このため、延在部の上面に付着した水滴が延在部の外縁から延在部の下面に回り込むことを抑制することができるので、エレメントの外表面に水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0094】
9)幾つかの実施形態では、上記1)~8)の何れかに記載のエレメント装置(3)であって、
上記エレメント(5)の上記外表面(54)の任意の周方向位置における上記中心軸(CA)からの長さをL1としたときに、上記突出部(33)の先端(外周端部332)の上記任意の周方向位置に対応する周方向位置における上記中心軸(CA)からの長さL2は、L2≧L1+5mmの条件を満たす。
【0095】
上記9)の構成によれば、突出部の先端の中心軸からの長さL2を、エレメントの外表面の中心軸からの長さL1に比べて、所定長さ(例えば5mm)以上長くすることで、エレメントの外表面に上方から落下した水滴が付着することを効果的に抑制することができる。
【0096】
10)幾つかの実施形態では、上記1)~9)の何れかに記載のエレメント装置(3)であって、
上記エレメント装置(3)は、
上記エレメント(5)の内表面(53)よりも上記エレメント(5)の上記中心軸(CA)側に配置され、上記第1蓋部材(上蓋6)と上記第2蓋部材(下蓋7)との間を上記中心軸(CA)の延在方向に沿って延在する内筒部材(8)であって、内周面(81)に少なくとも一つの貫通孔(82)が形成された内筒部材(8)と、
上記内筒部材(8)の上記他方側(鉛直方向下側)における上記内周面(81)に当接する一端部(84)と、上記一端部(84)よりも中心軸(CA)側に位置する他端部(85)であって、上記一端部(84)と軸方向位置が同じ、又は上記一端部(84)よりも上記他方側(鉛直方向下側)に位置する他端部(85)と、を含む水垂れ防止板(83)と、をさらに備える。
【0097】
上記10)の構成によれば、内筒部材は、中心軸の延在方向に沿って延在しているので、上蓋の下面に付着した水滴の中には、内筒部材の内周面に付着するものがある。内筒部材の内周面に付着した水滴は、自重により内周面を伝い下方に流れる。水垂れ防止板は、内筒部材の上記他方側(鉛直方向下側)における内周面に当接する一端部と、一端部よりも中心軸側に位置する他端部であって、一端部と軸方向位置が同じ、又は一端部よりも他方側に位置する他端部と、を含む。このため、内筒部材の内周面を伝い下方に流れる水滴を水垂れ防止板の一端部から他端部に向かって導いて、他端部から落下させることができる。つまり、水垂れ防止板により内筒部材の内周面を伝い下方に流れる水滴が、第2蓋部材の上面を伝いエレメントに向かって流れて、エレメントに付着することを抑制することができる。
【0098】
11)幾つかの実施形態では、上記1)~10)の何れかに記載のエレメント装置(3)であって、
上記エレメント装置(3)は、
上記第2蓋部材(下蓋7)に形成された気体導入口(75)に連通する気体導入通路(310)を画定する内面(313)を有する気体導入管(31)をさらに備え、
上記気体導入管(31)の上記内面(313)は、上記軸方向の上記一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて上記中心軸(CA)からの距離が徐々に拡がる通路拡大面(314)を含む。
【0099】
上記11)の構成によれば、気体導入通路は、通路拡大面により上記一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて中心軸からの距離が徐々に拡大している。このため、気体導入通路の上方に連通する気体導入口は、開口面積が大きなものとなっているので、上方から滴下して第2蓋部材の上面に付着した水滴を、気体導入口から効果的に排出することができる。また、気体導入管の内面は、上記一方側(鉛直方向上側)に向かうにつれて中心軸からの距離が徐々に拡がる通路拡大面を含むので、気体導入口から排出された水滴が、気体導入管を上方に向かって流れる気体の流れに押されて、気体導入管の内面を伝って鉛直方向上側に向かって逆流することを抑制することができる。
【0100】
12)本開示の少なくとも一実施形態にかかるミストセパレータ(1)は、
上記1)~11)の何れかに記載のエレメント装置(3)と、
上記エレメント装置(3)を収容する筒状のケーシング(4)と、を備える。
【0101】
上記12)の構成によれば、エレメント装置の突出部により、ケーシングの天井面から落下した水滴がエレメントの外周面に付着することを抑制することができ、ひいてはミストセパレータにおける圧力損失の増大化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 ミストセパレータ
3 エレメント装置
30 比較例にかかるエレメント装置
31 気体導入管
32 気体排出管
33 突出部
4 ケーシング
40,40A 内部空間
41 筒状部材
42 蓋部材
43 筒状部
44 下板部
45 ボス
5 エレメント
5A 繊維層
5B 第1繊維層
5C 第2繊維層
50 内部空間
51 上端面
52 下端面
53 内表面
54 外表面
6 上蓋(第1蓋部材)
61 外周側環状板部
62 内周側円板部
63 接続部
64 外周立縁部
65 環状凹部
66 凹部
67 延在部
68 外縁部
69 ボス
7 下蓋(第2蓋部材)
71 環状板部
72 内周立縁部
73 外周立縁部
74 環状凹部
75 気体導入口
8 内筒部材
81 内周面
82 貫通孔
83 水垂れ防止板
84 一端部
85 他端部
86 環状板部
87 垂下部
9 環状体
91 上面
92 内周端部
93,93A,93B 傾斜延在部
93C 第1傾斜延在部
93D 第2傾斜延在部
94 外縁部
95 内縁部
96 水平部
10 エンジン
11 エンジン本体
12 燃焼室
13 吸気通路
14 排気通路
15 ブローバイガス装置
16 シリンダ
17 ピストン
18 コンロッド
19 クランクシャフト
20 クランクケース
21 内部空間
22 還流通路
23 ブローバイバルブ
24 開閉機構部
255,29A,29B 締結ボルト
26 付勢装置
27,28 シール部材
A 粘着物
AL 近似直線
CA 中心軸
D2 径
G,G1 接着剤
LA,LB 軸線
LC 直線
RL 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B