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特許7323429漬け洗いできるように防水性および絶縁性を有する湯沸しポット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】漬け洗いできるように防水性および絶縁性を有する湯沸しポット
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
A47J27/21 101C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019201531
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2020096818
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】1873081
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ デルリュ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226555(JP,A)
【文献】実開昭61-42249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(3)を具備する本体(2)と、加熱プレート(11)と、内蔵制御装置(23)が収められた防水性の下部筐体(7)と、前記ハンドル(3)に設けられた防水性の外部制御筐体(30)とを備える湯沸しポット(1)であって、前記外部制御筐体(30)は、少なくとも1本のケーブル(74)によって前記内蔵制御装置(23)と電気的に連結されて前記内蔵制御装置(23)を手動で操作するように構成された外部制御装置(33)を備える湯沸しポット(1)であり、前記下部筐体(7)は、少なくとも1本のケーブル(74)がその中に設けられた絶縁性の導管(31)によって前記外部制御筐体(30)と水密に連結され、前記下部筐体(7)、前記外部制御筐体(30)および前記導管(31)が防水ゾーンを形成することを特徴とする湯沸しポット(1)。
【請求項2】
前記内蔵制御装置(23)は非絶縁電源を持つことを特徴とする請求項1に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項3】
前記導管(31)は柔軟素材、特にシリコーンで製作されることを特徴とする請求項1または2に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項4】
前記柔軟素材はシリコーンであることを特徴とする請求項3に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項5】
前記導管(31)は3mm超、好ましくは5mm超の直径を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項6】
前記外部制御筐体(30)は、前記導管(31)が水密に接続される管状延伸部(56)を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項7】
前記管状延伸部(56)と前記導管(31)との間には剛性の接続要素(61)が設けられることを特徴とする請求項6に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項8】
前記外部制御装置(33)は操作部品(39)と入/切スイッチ(40)とを備え、前記外部制御筐体(30)は、前記操作部品と前記スイッチとの間に設けられた柔軟な上部壁(54)を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項9】
前記外部制御筐体(30)は柔軟な本体(35)を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項10】
柔軟な前記本体(35)は、外周リップ(52)を具備する貫通開口部(51)を備えることを特徴とする請求項9に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項11】
前記外部制御筐体(30)はフレーム(34)および閉鎖カバー(36)を備え、前記外周リップ(52)は、前記カバー(36)と前記フレーム(34)との間に挟み込まれて柔軟な前記本体(35)を水密にすることを特徴とする請求項10に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項12】
前記内蔵制御装置(23)は、前記加熱プレート(11)の下に設けられた温度センサ(24)を備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項13】
前記下部筐体(7)は、前記導管(31)によって連結された前記下部筐体(7)と前記外部制御筐体(30)の防水性をテストするためのオリフィス(69)を備え、前記オリフィス(69)はキャップ(70)によって閉鎖されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の湯沸しポット(1)。
【請求項14】
前記下部筐体(7)の上に設けられた下部カバー(71)を備え、前記下部カバーが前記オリフィス(69)に対して前記キャップ(70)を保持することを特徴とする請求項13に記載の湯沸しポット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気湯沸しポットに関し、湯沸しポットの防水性と絶縁性を高めることにより、器具の正常な機能を損なうことも、ユーザーが感電する恐れもなく、全体を水に漬けて洗えるようにすることを目指す。
【背景技術】
【0002】
当業者にはさまざまな防水型の湯沸しポットのアイデアが知られている。たとえば、国際公開第2009/109762A1(特許文献1)には、本体と、加熱プレートと、内蔵制御装置が収められた下部筐体と、その本体、加熱プレートおよび下部筐体の間に施された防水手段とを備える湯沸しポットについて記載されている。この湯沸しポットは、下部筐体に水密に設けられた制御スイッチを備えている。制御スイッチは湯沸しポットの低い部位に配置されているためにユーザーによるアクセスが容易でなく、しかもユーザーはそのボタンを水平方向に操作しなければならない。そのため、そのような湯沸しポットは人間工学的でない。この種の湯沸しポットにおける別の不都合な点は、防水手段に不具合を生じた場合、特に頻繁に使用されるときには、水が下部筐体内に浸入して内蔵制御装置を傷めることになり、さらに短絡を引き起こして装置を完全に破損させる可能性がある。そうなると、防水手段の交換だけで済むはずのところを、内蔵制御装置の交換、さらには湯沸しポット全体の交換まで必要ということになりかねない。
【0003】
CN201213711の番号で公開された中国特許出願(特許文献2)には、外部制御装置が表面に設けられたハンドルを備え、それによって人間工学的に優れたものとなっている湯沸しポットが開示されている。しかし、この外部制御装置には防水性がない。
【0004】
出願人は、欧州特許第2805649号(特許文献3)および欧州特許第2805650号(特許文献4)の対象となっている改善点を含む湯沸しポットを開発して前述の様々な不都合にすでに対処している。この湯沸しポットは、ハンドルを具備する本体と、加熱プレートと、加熱プレートの内蔵制御装置が収められた防水性の下部筐体と、ハンドルに設けられた防水性の外部制御筐体とを備えている。外部制御筐体は、少なくとも1本のケーブルによって内蔵制御装置と電気的に連結された外部制御装置であって、内蔵制御装置を手動で操作するように構成された外部制御装置を備える。防水手段は下部筐体とケーブルとの間、制御筐体とケーブルとの間にそれぞれ設けられ、それらの防水手段はケーブル端部にパッキン箱または樹脂もしくはシリコーンのオーバーモールドによって実装される。
【0005】
欧州特許第2805649号(特許文献3)および欧州特許第2805650号(特許文献4)に従った湯沸しポットのこうしたアイデアは、防水性能や絶縁性能では従来の湯沸しポットと比べて大きな改善をもたらすものであるものの、特に下部筐体内や制御筐体内の不具合部品の交換のために湯沸しポットを分解する場合など、使い込むにつれて不具合のリスクが生じるようになる可能性がある。実際、ケーブルと下部筐体との間またはケーブルと制御筐体との間の防水性は、一度湯沸しポットを組み立て直すと不具合を生じるようになる可能性があり、湯沸しポットの洗浄の際にそれら筐体のいずれかの内部に水が入り込んだ場合には絶縁不良を引き起こすことが考えられる。また、ケーブルの被覆が劣化した場合にはケーブルの導体芯線が露出し、水がケーブルと接触すれば絶縁不良を起こすことも考えられる。さらに、湯沸しポットはその供用前に防水試験にかけられるが、この実装では下部筐体レベルと制御筐体レベルのそれぞれで防水性の検証試験を行う必要があり、そのためにこうした湯沸しポットでは品質管理のためのコストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2009/109762A1号パンフレット
【文献】CN201213711
【文献】欧州特許第2805649号明細書
【文献】欧州特許第2805650号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ハンドルを具備する本体と、加熱プレートと、加熱プレートの制御を行うように設計された内蔵制御装置が収められた防水性の下部筐体とを備える湯沸しポットを用いることによって前述の不都合に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
湯沸しポットは、ハンドルに設けられた防水性の外部制御筐体であって、少なくとも1本のケーブルによって内蔵制御装置と電気的に連結されて内蔵制御装置を手動で操作するように構成された外部制御装置を有する外部制御筐体をさらに備える。また、下部筐体は、少なくとも1本のケーブルがその中に設けられた絶縁性の導管によって外部制御筐体と水密に連結され、下部筐体、制御筐体および導管が防水ゾーンを形成する。
【0009】
そのため、ケーブルを収容し、下部筐体と制御筐体を水密に接続して防水ゾーンを形成する導管の存在により、ケーブルと下部筐体との間、およびケーブルと制御筐体との間の防水性はそれら要素間で分解再組立てが行われても保たれる。また、湯沸しポットは、ケーブルの被覆が傷んでケーブルの導体芯線が露出した場合を含め、しかるべく絶縁された状態を保つ。さらに、こうした防水ゾーンが作り出されることにより、防水テストは全体で1回だけとすることができ、それによって湯沸しポットの品質管理コストを減らすことができる。
【0010】
湯沸しポットの実施形態によれば、内蔵制御装置は非絶縁電源を含む。このような非絶縁電源は、限定的でない例として、コンデンサ電源、抵抗電源または降圧(BUCK)もしくは昇圧(BOOST)スイッチング電源であることができる。非絶縁電源の利用は、湯沸しポットの絶縁を果たす防水ゾーンが構成されていることによって可能となるものである。当然のことながら、内蔵制御装置が絶縁電源を備えた本発明による湯沸しポットの変形実施形態を考えることは可能であろうが、その場合には湯沸しポットの製造コストが上がることになろう。
【0011】
湯沸しポットの実施形態によれば、導管(conduit)は、柔軟素材、特にシリコーンで製作される。それ以外の柔軟な素材の利用も、さらには剛性素材の利用も企図することができる。ただし、剛性の導管より柔軟な導管の方が優れている点として、ハンドルの形状に相当する形状を与えてハンドル内に配設する上で曲げるのが容易ということがある。柔軟な導管、特にシリコーン製導管のもう1つの利点は、その柔軟性が導管と下部筐体との間、および導管と外部制御筐体との間の防水性に寄与するところにある。実際、それにより、導管を下部筐体のエンドピースおよび外部制御筐体のエンドピースにタイトかつ水密にはめ込むことができる。
【0012】
湯沸しポットの実施形態によれば、導管は3mm超、好ましくは5mm超の直径を有する。それによってケーブルの過熱が回避されるとともに、導管の取付けおよび取外しが容易になるが、その容易さはケーブルの端部を外部制御装置および内蔵制御装置に接続するためのコネクタがその端部にある場合に顕著である。
【0013】
湯沸しポットの実施形態によれば、外部制御筐体は導管が水密に接続される管状延伸部を含む。好ましくは、その管状延伸部と導管との間には剛性の接続要素が設けられるが、別の変形実施形態では管状延伸部と導管との間は直に接続されるようにしてもよいだろう。
【0014】
湯沸しポットの実施形態によれば、外部制御装置は操作部品とスイッチとを備え、外部制御筐体は操作部品とスイッチとの間に設けられた柔軟な壁を備える。
【0015】
湯沸しポットの実施形態によれば、外部制御筐体は柔軟な本体を含む。さらに、その柔軟な本体は外周リップを有する貫通開口部を備える。また、外部制御筐体はフレームおよび閉鎖カバーを備え、外周リップはカバーとフレームとの間に挟み込まれて柔軟な本体を水密にする。
【0016】
湯沸しポットの実施形態によれば、内蔵制御装置は加熱プレートの下に設けられた温度センサを備える。その加熱プレートは下部筐体の上部の水密な閉鎖に寄与する。それにより、温度センサは下部筐体内部の温度を測定することができる。
【0017】
湯沸しポットの実施形態によれば、下部筐体は、導管によって連結された下部筐体と制御筐体の防水性をテストするためのオリフィスを有しており、オリフィスはキャップによって水密に閉鎖される。
【0018】
湯沸しポットの実施形態によれば、湯沸しポットは下部筐体の上に設けられる下部カバーを備え、その下部カバーはオリフィスに対してキャップを保持する。
【0019】
本発明の特徴および利点は図面に基づく以下の説明を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】大部分の技術的特徴が本発明の対象である湯沸しポットに当てはまる先行技術による湯沸しポットの図である。
図2】本発明の対象である湯沸しポットの下部筐体および外部制御筐体などがわかるようにした分解図である。
図3】下部筐体を下から見た図である。
図4】外部制御筐体の断面図である。
図5】本発明による湯沸しポットの断面図であって、特に下部筐体と制御筐体を連結する導管を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、本発明による湯沸しポットについて可能な様々なコンセプトで同じ特徴または等価物を説明する場合には同一の符号が用いられる。
【0022】
以下の説明では、「高」、「低」、「下部」、「上部」、「垂直」、「水平」等々の用語は、湯沸しポットを水平な作業面の上に通常の姿勢で置いた状態を想定して使用する。
【0023】
図1に、技術的特徴が欧州特許第2805650号(特許文献4)に詳述されている湯沸しポットを示す。それらの技術的特徴は大部分において本発明による湯沸しポットのものに対応している。そのため、図1に沿った以下の説明は本発明の対象である湯沸しポットに当てはまる。
【0024】
図1では、湯沸しポット1は、熱湯が入った湯沸しポットをユーザーが扱う際に火傷を負うことがないように、きわめて低い熱伝導率を確保するプラスチック製の本体2を備えている。湯沸しポット1は、その取扱いを可能にするため、本体2に取り付けられたハンドル3を備える。本体2は、湯沸しポット1が水平な作業面の上に置かれたときに垂直に延びる外周壁4であって、好ましくは円形である外周壁を有しており、その上部4aは本体2を傾けたときに熱湯を注ぐことができるように注ぎ口5を備えている。この上部4aは、閉鎖カバー75(図5に示すもの)を取外し可能に受ける開口部6を備えている。
【0025】
図1に示すように、湯沸しポット1は、低い熱伝導率を確保するプラスチック材料による下部筐体7も備える。この下部筐体7は周囲壁9および底10を有する区画8を備える。周囲壁9は本体2の外壁4に類似した形状、ここでは円形、を有しており、外壁4の下部4bの中に入り込む。この周囲壁9は上方に延び、上部9aを備える。
【0026】
図1に示すように、湯沸しポット1は、きわめて高い熱伝導率を持つ加熱プレート11であって、本体2内に水を蓄えて沸騰させることができるチャンバ12の底を構成する加熱プレートを備える。加熱プレート11は、周囲壁9および外壁4に類似した形状、この場合は円形、の周囲縁部13を備える。この縁部13は円形の内側縁14および外側縁15を備えており、その両者は、環状をなす防水性内パッキン16を介してその内側縁14と外側縁15との間に周囲壁9の上部9aを受けることが可能な長さにわたって下方に湾曲して延びる。この防水性内パッキン16は、加熱プレート11の縁部13と下部筐体7の周囲壁9の上部9aとの間の組立ておよび防水性を確保する。
【0027】
図1に示すように、縁部13の外側縁15は加熱プレート11の外周に径方向に延びる外側肩部17をその下端に備える。また、本体2の外壁4の下部4bは、内部筐体7および加熱プレート11が本体2における定位置にあるときにその外側肩部17の上に配置されるように設けられた内側肩部18を内面20に備える。一方、環状の防水性外パッキン19は外側縁15と内面20との間のタイトかつ水密な組付けを保証する。外側肩部17および内側肩部18の存在は、外側縁15および内面20に対する防水性外パッキン19の衝止位置を画定する。
【0028】
図1に示すように、防水性内パッキン16と防水性外パッキン19を介して本体2、下部筐体7および加熱プレート11の間にこのような防水性が実装されることにより、加熱プレート11の下に取り付けられた加熱抵抗22、内蔵制御装置23、および同じく加熱プレート11の下に取り付けられて内部チャンバ21の温度の測定を可能にする温度センサ24の収容を特に可能とする防水性の内部チャンバ21の画定が可能となる。下部筐体7は、この下部筐体7の底10に水密に設けられたメス型電気コネクタ25を備える。この電気コネクタ25は内蔵制御装置23に接続されて、メス型電気コネクタ25に対して相補的なオス型電気コネクタ27を備えるベース部26への電気的接続を可能にする。このベース部26は、コンセント(図示せず)を介して外部電源に電気的に接続されるように構成されている。
【0029】
当業者であれば、湯沸しポット1における下部筐体7と本体2との組立ておよび防水性の実装について、欧州特許第2805650号(特許文献4)を詳しく参照することができよう。本発明の範囲から逸脱することなく、変形形態を企図することがなお可能であることは言うまでもない。図2および図5を見ると、すでに図1に沿って説明した特徴、とりわけ、本体2、下部筐体7、縁部13を有する加熱プレート11、縁部13と下部筐体7の周囲壁9の上部9aとの間の嵌合による水密な組立てを保証する防水性内パッキン16、および縁部13の外側縁15の周りに配置されてその縁部13の外側肩部17によって衝止される防水性外パッキン19の存在を改めて確認することができる。この図2および図5では、防水性外パッキン19の設計は図1のものとは異なるものの、原理としては同じである。また、この図2および図5では、下部筐体7は図1の形状とは若干異なっており、さらにこの先の説明で明らかとなるような本発明に関する追加の技術的特徴を有している。
【0030】
図1図2および図5を見ると、湯沸しポット1のハンドル3は、本体2に完全に組み込まれた第1の部分3aと取外し可能な第2の部分3bとによって構成されている。そのため、第2の部分3bはそのハンドル3の第1の部分3aと協働する固定脚28(図1および図2)を備える。ハンドル3のこの第1の部分3aは内側凹所29を備える。防水性の外部制御筐体30はハンドル3の上部に設けられており、下部筐体7内に収められた内蔵制御装置23を作動させることができる。
【0031】
以下の説明では、本発明に固有の技術的特徴について、図2から図5に依拠しながらさらに詳しく説明することに注力する。図2および図5に示すように、ハンドル3の第1の部分3aの内側凹所29は、導管31がそこに収まり、そこを通ることを可能にする。導管31は3ミリメートル(3mm)、好ましくは5ミリメートル(5mm)の直径を有し、内側凹部29の寸法はそれに応じて決められる。この導管31は柔軟な材料、好ましくはシリコーンで製作され、それによって導管31が収まる内側凹所29と類似した形状が与えられるようにする。剛性で、内側凹所29と同じ形状を有する導管31を用いることも可能であろう。この先の説明で明らかとなるように、このようなシリコーン素材を用いることは、導管31に絶縁性を与えることにもなれば、防水性の外部制御筐体30に下部筐体7を接続するときの防水性にも寄与することにもなる。
【0032】
図2図3および図5に示すように、下部筐体7は、周囲壁9の下部9bに対して径方向に延びるエンドピース32を備える。導管31の下端31aは本体2の外壁4の下部4bを通り抜けて、下部筐体7の外側に配置される。導管31の下端31aは嵌合によってそのエンドピース32にタイトに取り付けられ、それにより、シリコーン材料の使用によって下部筐体7と導管31との間の防水性が確保される。また、エンドピース32に嵌合された導管31の下端31aのさらなる締付けを行う輪環33a、33bを設けることや、場合によっては締め輪(図示せず)を設けることも可能である。こうして下部筐体7は導管31と水密に連通し、それにより、下部筐体7の内部に収められた内蔵制御装置23に接続するためにケーブル74を導管31内に通すことができる。
【0033】
図2図4および図5を見ると示されているとおり、防水性の外部制御筐体30は、フレーム34、本体35およびカバー36を具備した外部制御装置33を備える。フレーム34およびカバー36は剛性材料、好ましくはプラスチック素材で設計され、本体35は柔軟材料、好ましくはシリコーン素材で設計される。外部制御装置33はプリント回路基板37、フード38および操作部品39をさらに備える。プリント回路基板37には、ON/OFFスイッチ型の入/切スイッチ40と、プリント回路基板37の縁42に対して長手方向に延びる接続ピン41とが組み込まれている。
【0034】
図2図4および図5を見ると示されているとおり、カバー36は、上部43aが開いた第1のチャンバ43であって、プリント回路基板37を受けるように寸法が決定された第1のチャンバ43を画定し、接続ピン41だけがカバー36の外形壁44を通り抜ける。フード38は、下部45aが開いた第2のチャンバ45であって、同じくプリント回路基板37を受けるように、かつ第1のチャンバ43の上部43aを閉ざして第1のチャンバ43内に収まるように寸法が決定された第2のチャンバ45を画定し、第2のチャンバ45の下部45aはカバー36の底46に当接する。フード38は、上部43aを閉ざす底47を備え、さらに入/切スイッチ40のボタン49がその中に配置される貫通穴48を備える。プリント回路基板37の接続ピン41はフード38の外形壁50も通り抜ける。プリント回路基板37は、ボタン49で入操作をしたときに好ましくは白く点灯する発光ダイオード(図示せず)を備える。また、フード38には、青色や赤色などに着色された素材が使われ、発光ダイオードの点灯がフード38の色と組み合わされることで地の部分がフード38の色に光るが、ユーザーは湯沸しポット1をオンにすることでその視覚化を得る。
【0035】
図2および図4を見ると示されているとおり、本体35は中空構造であり、外周リップ52によって画定される開口部51をその下部壁53に備えており、それにより、すでに説明し、図4に示すとおり、本体35内部へのアクセスも、カバー36、プリント回路基板37およびフード38からなる事前組立体を収容することも可能になる。組み立てられた状態では、入/切スイッチ40のボタン49は本体35の上部壁54の下に接する。接続ピン41は、シリコーン素材の使用によってタイトかつ水密に本体35の外形壁55を通り抜ける。同じくシリコーン素材の管状延伸部56は、図4および図5に示すように、好ましくは本体35と一体の部品をなして本体35の外形壁55を側方に延長し、接続ピン41はその管状延伸部56内に収まる。こうして行われる図4などに示す取付けはシリコーン素材の本体35とプリント回路基板37との物理的分離を可能にするものであり、それによる利点として本体35のシリコーン素材は帯電せず、それによって静電気放電が防止される。
【0036】
図2図4および図5を見ると示されているとおり、フレーム34は中空構造であり、すでに説明し、図4および図5に示すとおり、カバー36、プリント回路基板37、フード38および本体35からなる事前組立体を収容するようにその寸法が決定される。管状延伸部56は、接続ピン41がその管状延伸部56の中に収まった状態でフレーム34の外形壁57を通り抜ける。柔軟な本体35の外周リップ52はカバー36の底46とフレーム34の底との間にサンドイッチ状に挟まれ、この2つの底46、58が固定ねじ59(図2に示すもの)によって互いに固定されるが、底46、58のこのねじ留めによって本体35の外周リップ52が挟み込まれ、外部制御装置33の防水性が確保されることが可能になる。固定ねじ59はフレーム34の底58を通り抜け、外部制御装置33の防水性を損ねないようにカバー36の底46の非貫通型の雌ねじ(図示せず)に螺合する。操作部品39はフレーム34に取り付けられ、入/切スイッチ40のボタン49と心合せされて本体35の上部壁54の上に接して配置された接触子76を備える。操作部品39はユーザーが指で押せるようにされた押下部60を備え、押下部60を押すことで、押された接触子76が動いて押し込まれることで本体35の上部壁54を変形させ、それによって入/切スイッチ40のボタン49が操作される。
【0037】
図2図4および図5を見ると示されているとおり、接続要素61は、剛性材料、特にプラスチック素材で製作されて管状エンドピース62の形をなし、その管状エンドピース62の両端部位62a、62bは外輪環63、64を備える。この管状エンドピース62は、一方は管状延伸部56の中に、他方は導管31の上端部31bの中に、それぞれ圧入嵌合されるように寸法が決定される。導管31および管状延伸部56に使用されるシリコーン素材の柔軟性と、剛性の管状エンドピース62の外輪環63、64の存在とによって、導管31の上端部31b、接続要素61および外部制御筐体30の間の防水性の組立てを保証することができる。管状エンドピース62の環状ストッパ65、66は管状エンドピース62に嵌合された導管の上端部31bおよび管状延伸部56の止め位置を画定する。プリント回路基板37の接続ピン41の端部41aは、図4および図5に示すように、管状延伸部56の中に管状エンドピース62に近接して収まる。それにより、導管31内を通るケーブル74の端部をプリント回路基板37の接続ピン41と完全防水で電気的に接続することができ、ケーブル74はその第2の端部が下部筐体7内の内蔵制御装置23に接続される。また、図5に示すように、管状延伸部56の柔軟性は、逆に剛性の接続要素61との組み合わせで管状延伸部56をハンドル内にしかるべく配置することを可能にする。接続ピン41とケーブル74の接続は、ケーブル74の端部に連結されたコネクタ(図示せず)であって、接続ピン41に取外し可能に差し込まれるコネクタによって行われることが好ましい。そうすることで、外部制御筐体30の構成品に不具合が生じた場合に、導管31、ケーブル74および外部制御筐体30の間の分解が容易になる。
【0038】
すでに説明したように下部筐体7は湯沸しポット1の本体2に水密に取り付けられており、外部制御筐体30が前述のその設計によってそれ自体水密であることから、一方で導管31の下端31aが下部筐体7のエンドピース32と水密に接続され、他方で導管31の上端部31bが外部制御筐体30と水密に接続されると、その組立体は完全防水ゾーンを形成する。それにより、この防水ゾーンは絶縁されるため、湯沸しポット1および操作部品39の取扱い中に感電するおそれなしに、下部筐体7の内蔵制御装置23に非絶縁電源を利用できるという利点がある。
【0039】
外部制御装置33のフレーム34はハンドル3の第1の部分3aの内側凹所29に収まり、固定ねじ67(図2に示すもの)によってその凹所29の中に固定される。図2および図5に示すように、ハンドル3の第2の部分3bは、操作部品39の押下部60をハンドルの第1の部分3aと組み立てるときに押下部60を通すことのできる開口部68を備える。外部制御筐体30に水密に接続された導管31の柔軟性は、ハンドル3の第2の部分3bの設置に先立ってそのハンドルの第1の部分3aの内側凹所29に導管31を適切に配置するための導管31の変形を可能にする。
【0040】
下部筐体7、導管31および外部制御筐体30で構成されて防水ゾーンを形成する組立体の防水性は、図3に示すように下部筐体7の区画8の底10に設けられたオリフィス69であって、湯沸しポット1を流通させる前に加圧下で空気を注入して組立体における不測の漏れを検査することができるオリフィス69の存在によって検査することができる。湯沸しポットの検査が終わった後は、このオリフィス69は、図2に示したエラストマー材料の栓70によって水密に閉ざされる。栓70の位置保持は、固定ねじ72を用いて区画8の底10に固定される下部カバー71の存在によって保証され、その下部カバー71はさらに組立て脚73によって本体2の下端2aと組み立てられる。
【0041】
その他の特徴も本発明の範囲内で企図することができる。下部筐体7、導管31および外部制御筐体30の間の防水ゾーンの構成は保ちつつ、下部筐体7内に配置された内蔵制御装置23を導管31内に収められたケーブルによって外部制御筐体30内に配置された外部制御装置33と電気的に接続するために、湯沸しポット1の下部筐体7と本体2との間の防水性の設計の変形形態を考えることも、外部制御筐体30の設計の変形形態を考えることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5