IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-燃料噴射弁 図1
  • 特許-燃料噴射弁 図2
  • 特許-燃料噴射弁 図3
  • 特許-燃料噴射弁 図4
  • 特許-燃料噴射弁 図5
  • 特許-燃料噴射弁 図6
  • 特許-燃料噴射弁 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】燃料噴射弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20230801BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
F02M51/06 A
F02M21/02 G
F02M21/02 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019236469
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105359
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 守康
(72)【発明者】
【氏名】藤野 友基
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199924(JP,A)
【文献】特開2017-044096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/06 ~ 51/08
F02M 21/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射弁(100,100b,100c,100d)であって、
長手方向(Z)を有し、燃料を噴射するための噴孔(31,31d)が前記長手方向における一端に設けられた筒状のハウジング(20,20d)と、
前記ハウジング内に固定された固定コア(60)と、
前記固定コアよりも前記一端側に配置され、前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動可能な可動コア(50)と、
前記可動コアの移動に伴って前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動することによって前記噴孔を開閉するニードル(40)と、
前記可動コアを移動させる磁界を発生させるコイル(70)と、
を備え、
前記可動コアは、前記固定コアに対向する大径部(56)と、前記大径部よりも前記一端側に設けられ、前記大径部の外径よりも小さな外径を有する小径部(57)とを有し、
前記ハウジングは、前記小径部が移動可能に配置された第1部分(122)と、前記大径部が移動可能に配置され、前記第1部分の内径よりも大きな内径を有する第2部分(123)と、前記ハウジング内における前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた段差部(125)とを有し、
前記ハウジング内には、前記段差部に接触するフランジ部(92,92b)を有し、前記長手方向に交差する径方向において前記第1部分との間に隙間が形成されるように筒状のインナ部材(90,90b,90c,90d)が配置され、
前記第2部分の内側面と前記フランジ部と前記小径部と前記大径部とによって、前記燃料が封入されるダンパ室(25)が前記ハウジング内に区画され、
前記大径部の外側面は前記第2部分の内側面に摺動し、前記小径部の外側面は前記インナ部材の内側面に摺動する、燃料噴射弁。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
前記フランジ部は、前記径方向の内側の部分に設けられた内周部(94)と、前記内周部よりも前記径方向の外側の部分に設けられた外周部(95)とを有し、
前記段差部には前記内周部が接触し、
前記段差部と前記外周部との間には隙間が設けられている、燃料噴射弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
前記第1部分と前記インナ部材との間に配置され、前記第1部分と前記インナ部材との間をシールする弾性シール部材(97)を備える、燃料噴射弁。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁であって、
前記インナ部材の前記一端側の端部にフランジ状に設けられた被付勢部(99)と、
前記被付勢部を前記一端側に付勢する付勢部材(83)と、
を備える、燃料噴射弁。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁であって、
前記燃料は、気体燃料である、燃料噴射弁。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射弁であって、
前記燃料は、水素燃料である、燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングと可動コアとに囲まれたダンパ室を有する燃料噴射弁が記載されている。この燃料噴射弁では、可動コアの移動に伴うダンパ室内の燃料の圧力変化を用いて可動コアを減速させることによって、開弁時の可動コアと固定コアとの衝突による衝撃や閉弁時のニードルと弁座との衝突による衝撃を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-189002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した燃料噴射弁では、可動コアは外径の異なる大径部と小径部とを有し、それぞれがハウジングの内径の異なる部分に摺動する。大径部が摺動する部分と小径部が摺動する部分とが1つの部材に設けられているので、それぞれの部分を寸法精度良く加工することは困難である。可動コアとハウジングとの実際の隙間が設計上の隙間よりも狭くなると、可動コアとハウジングとの間の摺動抵抗が大きくなり、最悪の場合には可動コアがロックされて移動できなくなる可能性がある。そこで、可動コアとハウジングとの設計上の隙間を大きくすると、ダンパ室による衝撃低減効果が十分に発揮されなくなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、燃料噴射弁(100,100b,100c,100d)が提供される。この燃料噴射弁は、長手方向(Z)を有し、燃料を噴射するための噴孔(31,31d)が前記長手方向における一端に設けられた筒状のハウジング(20,20d)と、前記ハウジング内に固定された固定コア(60)と、前記固定コアよりも前記一端側に配置され、前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動可能な可動コア(50)と、前記可動コアの移動に伴って前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動することによって前記噴孔を開閉するニードル(40)と、前記可動コアを移動させる磁界を発生させるコイル(70)と、を備える。前記可動コアは、前記固定コアに対向する大径部(56)と、前記大径部よりも前記一端側に設けられ、前記大径部の外径よりも小さな外径を有する小径部(57)とを有し、前記ハウジングは、前記小径部が移動可能に配置された第1部分(122)と、前記大径部が移動可能に配置され、前記第1部分の内径よりも大きな内径を有する第2部分(123)と、前記ハウジング内における前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた段差部(125)とを有し、前記ハウジング内には、前記段差部に接触するフランジ部(92,92b)を有し、前記長手方向に交差する径方向において前記第1部分との間に隙間が形成されるように筒状のインナ部材(90,90b,90c,90d)が配置され、前記第2部分の内側面と前記フランジ部と前記小径部と前記大径部とによって、前記燃料が封入されるダンパ室(25)が前記ハウジング内に区画され、前記大径部の外側面は前記第2部分の内側面に摺動し、前記小径部の外側面は前記インナ部材の内側面に摺動する。
【0007】
この形態の燃料噴射弁によれば、可動コアの大径部に摺動するハウジングと可動コアの小径部に摺動するインナ部材とが別部材で構成されるので、それぞれの部材を寸法精度良く加工することが容易になる。そのため、大径部とハウジングとの隙間、および、小径部とインナ部材との隙間を狙い通りの大きさで設けることが容易になるので、可動コアがロックされて移動できなくなることを抑制でき、かつ、ダンパ室による衝撃低減効果を十分に発揮させやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の燃料噴射弁の概略構成を示す第1の説明図。
図2図1におけるA部の部分拡大図。
図3】第1実施形態の燃料噴射弁の概略構成を示す第2の説明図。
図4】第2実施形態の燃料噴射弁の概略構成を示す説明図。
図5】第3実施形態の燃料噴射弁の概略構成を示す説明図。
図6】第4実施形態の燃料噴射弁の概略構成を示す説明図。
図7図6におけるB部の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、第1実施形態における燃料噴射弁100は、ハウジング20と、ニードル40と、可動コア50と、固定コア60と、コイル70と、第1付勢部材81と、第2付勢部材82とを備えている。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。燃料噴射弁100は、燃料を噴射する。本実施形態では、燃料噴射弁100は、気体燃料である水素ガスを噴射する。尚、燃料噴射弁100は、水素ガスではなく、例えば、石炭ガスやアセチレンガスやプロパンガスや天然ガス等の気体燃料を噴射してもよい。燃料噴射弁100は、気体燃料ではなく、例えば、ガソリンや軽油等の液体燃料を噴射してもよい。
【0010】
ハウジング20は、Z方向に沿った長手方向を有している。ハウジング20は、+Z方向側に向かって、第1筒部材21と、第2筒部材22と、第3筒部材23と、第4筒部材24とが、この順に連接されて構成されている。各筒部材21~24は、それぞれ、Z方向に沿った中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。第1筒部材21の-Z方向側の端部には、燃料を噴射するための噴孔31が設けられている。第1筒部材21の噴孔31の周縁部には、ニードル40の弁部42が接触する弁座32が設けられている。本実施形態では、第1筒部材21と第2筒部材22との間と、第2筒部材22と第3筒部材23との間と、第3筒部材23と第4筒部材24との間とは、それぞれ、溶接や圧入等によって互いに固定されている。第1筒部材21は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第2筒部材22と第4筒部材24とは、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第3筒部材23は、非磁性材料であるオーステナイト系ステンレス鋼によって形成されている。
【0011】
第1筒部材21内には、インナ部材90が収容されている。インナ部材90は、Z方向に沿った中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。本実施形態では、インナ部材90は、半径方向において第1筒部材21との間に隙間が形成されるように、第1筒部材21内に収容されている。後述するように、インナ部材90は、第2付勢部材82によって、-Z方向側に向かって第1筒部材21に押し付けられて固定されている。インナ部材90は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。尚、インナ部材90の具体的な構成については後述する。
【0012】
第4筒部材24には、燃料導入パイプ12が接続されている。本実施形態では、第4筒部材24と燃料導入パイプ12との間は、溶接によって互いに固定されている。燃料導入パイプ12は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。燃料導入パイプ12の+Z方向側の端部には、燃料を導入するための導入口14が設けられている。燃料導入パイプ12には、燃料噴射弁100に燃料を供給するための供給パイプが接続される。燃料導入パイプ12内には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、導入口14から流入した燃料に混入した異物を捕集して、ハウジング20内に異物が流入することを抑制する。
【0013】
ニードル40は、ハウジング20内に、中心軸CLに沿って移動可能に配置されている。ニードル40は、軸部41と、弁部42と、拡径部43とを有している。軸部41は、中心軸CLを中心とした円柱形状を有している。弁部42は、軸部41の-Z方向側の端部に設けられている。弁部42が弁座32に接触することによって噴孔31が閉塞され、弁部42が弁座32から離れることによって噴孔31が開放される。拡径部43は、軸部41の+Z方向側の端部に設けられている。拡径部43の外径は、軸部41の外径よりも大きい。拡径部43は、可動コア50の+Z方向側の端面に接触する。軸部41と拡径部43との内部には、中心軸CLに沿って燃料が流れる燃料通路44が設けられている。燃料通路44は、拡径部43の+Z方向側の端面に開口部を有している。軸部41の側面には、燃料通路44に連通する連通孔45が設けられている。
【0014】
可動コア50は、ハウジング20内に、中心軸CLに沿って移動可能に配置されている。可動コア50は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。可動コア50の内側には軸部41が貫通しており、可動コア50の内壁面には軸部41が摺動する。摺動とは、2つの物体同士が接触した状態で一方の物体が他方の物体の面を滑って移動することだけでなく、近接した2つの物体同士の間に流体が介在した状態で一方の物体が他方の物体の面を滑って移動することをも意味する。可動コア50は、大径部56と、小径部57とを有している。大径部56の外径は、小径部57の外径よりも大きい。小径部57は、大径部56から-Z方向側に向かって突き出すように設けられている。大径部56の+Z方向側の端面には、拡径部43が接触する。
【0015】
本実施形態では、可動コア50は、磁性材料によって形成された第1可動コア部材51と、第1可動コア部材51の硬度よりも高い硬度を有する第2可動コア部材52とによって構成されている。第1可動コア部材51の硬度と第2可動コア部材52の硬度とは、ビッカース硬さ試験(JIS Z 2244)によって調べることができる。可動コア50の本体部分は、第1可動コア部材51によって構成されている。可動コア50のうちの、ハウジング20に摺動する部分と、固定コア60に接触する部分と、ニードル40が接触または摺動する部分と、インナ部材90に接触または摺動する部分とは、第2可動コア部材52によって構成されている。本実施形態では、第1可動コア部材51は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第2可動コア部材52は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成され、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第1可動コア部材51と第2可動コア部材52とは、圧入や溶接等によって互いに固定されている。
【0016】
固定コア60は、ハウジング20内の可動コア50よりも+Z方向側に固定されている。本実施形態では、固定コア60は、第4筒部材24に溶接等によって固定されている。固定コア60は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。固定コア60の内壁面には、ニードル40の拡径部43が摺動する。固定コア60の-Z方向側の端面には、中心軸CLに沿って移動する可動コア50が接触する。固定コア60の内側における+Z方向側の部分には、中心軸CLを中心とした円筒形状を有するアジャスティングパイプ11が圧入によって固定されている。
【0017】
本実施形態では、固定コア60は、磁性材料によって形成された第1固定コア部材61と、第1固定コア部材61の硬度よりも高い硬度を有する第2固定コア部材62とによって構成されている。第1固定コア部材61の硬度と第2固定コア部材62の硬度とは、ビッカース硬さ試験(JIS Z 2244)によって調べることができる。第1可動コア部材51に対向する固定コア60の本体部分は、第1固定コア部材61によって構成されている。固定コア60のうちの拡径部43が摺動する部分は、第2固定コア部材62によって構成されている。固定コア60のうちの可動コア50が-Z方向側から接触する部分は、第2固定コア部材62によって構成されている。本実施形態では、第2固定コア部材62の-Z方向側の端面が第1固定コア部材61の-Z方向側の端面よりも-Z方向側に数十マイクロメートル突き出すように固定コアが構成されている。固定コア60に可動コア50が接触する際には、第2固定コア部材62に第2可動コア部材52が接触し、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間には隙間が設けられる。本実施形態では、第1固定コア部材61は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第2固定コア部材62は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第1固定コア部材61と第2固定コア部材62とは、圧入によって互いに固定されている。尚、第1固定コア部材61の-Z方向側の端面と第2固定コア部材62の-Z方向側の端面とが面一になるように固定コア60が構成されて、第2可動コア部材52の+Z方向側の端面が第1可動コア部材51の+Z方向側の端面よりも+Z方向側に数十マイクロメートル突き出すように可動コア50が構成されてもよい。
【0018】
第1付勢部材81は、固定コア60の内側におけるアジャスティングパイプ11と拡径部43との間に配置されている。第1付勢部材81は、-Z方向側に向かってニードル40を付勢する。本実施形態では、第1付勢部材81は、Z方向に沿って伸縮するコイルばねによって構成されている。第1付勢部材81の+Z方向側の端部は、アジャスティングパイプ11に接触しており、第1付勢部材81の-Z方向側の端部は、拡径部43に接触している。アジャスティングパイプ11のZ方向における位置を調節することによって、第1付勢部材81がニードル40を付勢する力を調節できる。本実施形態では、第1付勢部材81がニードル40を付勢する力の方が、後述する第2付勢部材82が可動コア50を付勢する力よりも大きくなるように、アジャスティングパイプ11の位置が調節されている。
【0019】
第2付勢部材82は、インナ部材90と小径部57との間に配置されている。第2付勢部材82は、+Z方向側に向かって可動コア50を付勢する。本実施形態では、第2付勢部材82は、Z方向に沿って伸縮するコイルばねによって構成されている。第2付勢部材82の-Z方向側の端部は、後述するインナ部材90の底面部93に接触しており、第2付勢部材82の+Z方向側の端部は、小径部57に接触している。
【0020】
ハウジング20の外壁面には、コイル70が巻回されたボビン71が配置されている。本実施形態では、第3筒部材23の外壁面と第4筒部材24の外壁面とに跨ってボビン71が配置されている。第4筒部材24の外壁面のうちのボビン71が配置されていない部分と、燃料導入パイプ12の外壁面の一部とは、樹脂材料によって被覆されている。第4筒部材24の側方には、第4筒部材24の外壁面から突き出すように、コネクタ15が設けられている。コネクタ15には、コイル70に電気的に接続された端子16が設けられている。本実施形態では、インサート成形によって、樹脂製のコネクタ15に金属製の端子16が設けられている。端子16には、スイッチング素子等を介して、バッテリ等の電源が電気的に接続される。
【0021】
コイル70は、電源から電流の供給を受けることによって磁界を発生させる。コイル70の発生させる磁界によって、第2筒部材22と、第1固定コア部材61と、第1可動コア部材51と、第4筒部材24とを通る磁気回路が形成される。そのため、可動コア50と固定コア60との間に磁気吸引力が発生する。コイル70の外周には、コイル70を覆うようにして筒状のホルダ17が設けられている。第4筒部材24とホルダ17との間には、環状のカバー18が設けられている。ホルダ17とカバー18とは、それぞれ、磁性材料によって形成されており、上述した磁気回路の一部を構成する。
【0022】
図2に示すように、ハウジング20は、-Z方向側から順に、軸部41を収容する第1内側面121と、インナ部材90を収容する第2内側面122と、大径部56が摺動する第3内側面123とを有している。第1内側面121と第2内側面122と第3内側面123とは、それぞれ、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。第2内側面122の内径は、第1内側面121の内径よりも大きい。第3内側面123の内径は、第2内側面122の内径よりも大きい。第1内側面121と第2内側面122との間は、第1段差面124によって接続されている。第2内側面122と第3内側面123との間は、第2段差面125によって接続されている。第1段差面124と第2段差面125とは、それぞれ、中心軸CLを中心とした円環形状を有している。尚、ハウジング20において、第2内側面122が設けられた部分のことを第1部分と呼ぶことがあり、第3内側面123が設けられた部分のことを第2部分と呼ぶことがあり、第2段差面125が設けられた部分のことを段差部と呼ぶことがある。
【0023】
インナ部材90は、筒状部91と、フランジ部92と、底面部93とを有している。筒状部91は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。筒状部91の内壁面には、小径部57が摺動する第4内側面191が設けられている。フランジ部92は、第2段差面125に沿って設けられており、筒状部91の+Z方向側の端部から筒状部91の半径方向の外側に向かって突き出している。底面部93は、第1段差面124に沿って設けられおり、筒状部91の-Z方向側の端部から筒状部91の半径方向の内側に向かって突き出している。フランジ部92と底面部93とは、それぞれ、中心軸CLを中心とした円環形状を有している。フランジ部92の外径は、第3内側面123の内径よりも小さい。筒状部91の外径は、第2内側面122の内径よりも小さい。底面部93の内径は、軸部41の外径よりも大きい。そのため、半径方向において、フランジ部92と第3内側面123との間には所定の幅の隙間が設けられており、筒状部91と第2内側面122との間には所定の幅の隙間が設けられており、底面部93と軸部41との間には所定の幅の隙間が設けられている。また、Z方向において、底面部93と第1段差面124との間には、所定の幅の隙間が設けられている。上述したとおり、底面部93と小径部57との間には第2付勢部材82が設けられており、インナ部材90は、第2付勢部材82によって-Z方向側に向かって付勢されている。そのため、フランジ部92は、-Z方向側に向かって第2段差面125に押し付けられており、フランジ部92と第2段差面125との間のシール性が確保されている。
【0024】
ハウジング20内には、第3内側面123と第2段差面125とフランジ部92と小径部57と大径部56とによって囲まれたダンパ室25が設けられている。ダンパ室25内には燃料が封入される。燃料が封入されるとは、燃料が完全に封じ込められることを意味するのではなく、燃料の自由な出入りが制限される程度に燃料が封じ込められることを意味する。ダンパ室25内は、第3内側面123と大径部56との間の隙間と、第4内側面191と小径部57との間の隙間とを介してダンパ室25外に連通している。本実施形態では、第3内側面123と大径部56との間の隙間と、第4内側面191と小径部57との間の隙間とが、それぞれ、数マイクロメートルから十数マイクロメートルになるようにハウジング20と可動コア50とインナ部材90とが設けられているため、燃料の自由な出入りが制限される。
【0025】
燃料噴射弁100を図1に表された閉弁状態から図3に表された開弁状態に切替えるための開弁動作について説明する。図1に表されたように、閉弁状態では、弁部42が弁座32に接触しているため、噴孔31は閉塞されている。閉弁状態では、コイル70には電流が供給されていない。ニードル40は、第1付勢部材81によって-Z方向側に向かって付勢されており、可動コア50は、第2付勢部材82によって+Z方向側に向かって付勢されている。そのため、ニードル40の拡径部43と可動コア50の大径部56とが接触した状態で、ニードル40と可動コア50とは静止している。可動コア50と固定コア60との間には、開弁動作において可動コア50が移動可能なように隙間が設けられている。導入口14から流入した燃料は、燃料導入パイプ12、固定コア60の内側、燃料通路44、連通孔45の順に流れて、噴孔31に導かれる。導入口14から流入した燃料の一部は、第3内側面123と大径部56との間の隙間や、第4内側面191と小径部57との間の隙間を介してダンパ室25内に流入する。そのため、ダンパ室25内には燃料が充満している。
【0026】
コイル70への電流の供給が開始されることによって、固定コア60の第1固定コア部材61と可動コア50の第1可動コア部材51との間に磁気吸引力が発生して、可動コア50は、固定コア60に向かって+Z方向側に移動する。拡径部43が大径部56に押されることによって、ニードル40は、可動コア50とともに移動する。ニードル40の移動によって、弁部42が弁座32から離れて、噴孔31からの燃料の噴射が開始される。
【0027】
可動コア50の+Z方向側への移動に応じてダンパ室25の容積が拡大されることによって、ダンパ室25内の燃料の圧力は低下する。そのため、可動コア50には、可動コア50とニードル40とを減速させる力が働く。可動コア50の第2可動コア部材52が固定コア60の第2固定コア部材62に衝突することによって、可動コア50の移動は停止される。換言すれば、固定コア60によって、+Z方向側への可動コア50の移動は規制される。ダンパ室25によって可動コア50が減速されるため、可動コア50の第2可動コア部材52が固定コア60の第2固定コア部材62に衝突する際の衝撃力は低減される。
【0028】
可動コア50が固定コア60に衝突した後、ニードル40は、可動コア50から独立して、慣性によって+Z方向側への移動を継続する。ニードル40の移動に応じて第1付勢部材81が拡径部43に押されて縮むことによって、第1付勢部材81には弾性エネルギが蓄えられる。その後、ニードル40は、第1付勢部材81に蓄えられた弾性エネルギによって、可動コア50に向かって-Z方向側に押し戻される。拡径部43が大径部56に衝突することによって、ニードル40の移動は停止される。上述したとおり、ニードル40と可動コア50とがダンパ室25によって減速されるため、第2可動コア部材52が第2固定コア部材62に衝突する際の衝撃力は低減される。さらに、ニードル40が可動コア50とともに移動する際にニードル40がダンパ室25によって減速されたため、第1付勢部材81に蓄えられる弾性エネルギは低減される。そのため、拡径部43が大径部56に衝突する際の衝撃力は低減される。可動コア50の移動が停止された後、ダンパ室25内には、第3内側面123と大径部56との間等の隙間を介して燃料が流入する。以上で説明した一連の動作によって、燃料噴射弁100は、図3に表された開弁状態になる。開弁状態では、噴孔31から所定量の燃料が噴射される。コイル70への電流の供給が継続されている間、燃料噴射弁100は、開弁状態に保たれる。
【0029】
燃料噴射弁100を図3に表された開弁状態から図1に表された閉弁状態に切替えるための閉弁動作について説明する。コイル70への電流の供給が停止されることによって、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間の磁気吸引力が消失する。そのため、ニードル40は、第1付勢部材81に押されて-Z方向側に向かって移動する。可動コア50の大径部56がニードル40の拡径部43に押されることによって、可動コア50は、ニードル40とともに-Z方向側に向かって移動する。
【0030】
可動コア50の-Z方向側への移動に応じてダンパ室25の容積が縮小されることによって、ダンパ室25内の燃料の圧力は上昇する。そのため、可動コア50には、可動コア50とニードル40とを減速させる力が働く。ダンパ室25内の燃料の圧力が上昇すると、ダンパ室25内の燃料は、第3内側面123と大径部56との間等の間隔を介して、徐々にダンパ室25外に流出する。弁部42が弁座32に衝突することによって、ニードル40の移動は停止される。換言すれば、弁座32によって、-Z方向側へのニードル40の移動が規制される。ダンパ室25によってニードル40が減速されるため、弁部42が弁座32に衝突する際の衝撃力は低減される。弁部42が弁座32に接触することによって噴孔31が閉塞されるため、噴孔31からの燃料の噴射が停止される。
【0031】
ニードル40が弁座32に衝突した後、可動コア50は、ニードル40から独立して、慣性によって-Z方向側への移動を継続する。可動コア50の移動によってダンパ室25の容積がさらに縮小されるため、可動コア50には、可動コア50を減速させる力が働く。可動コア50の移動に応じて第2付勢部材82が可動コア50に押されて縮むことによって、第2付勢部材82には弾性エネルギが蓄えられる。その後、可動コア50は、第2付勢部材82に蓄えられた弾性エネルギによって、+Z方向側に向かって押し戻される。大径部56が拡径部43に接触することによって、可動コア50の移動は停止される。ダンパ室25によって可動コア50が減速されるため、第2付勢部材82に蓄えられる弾性エネルギは低減される。そのため、大径部56が拡径部43に接触する際の衝撃が低減される。以上で説明した一連の動作によって、燃料噴射弁100は、図1に表された閉弁状態になる。閉弁状態では、噴孔31からの燃料の噴射は停止される。
【0032】
以上で説明した本実施形態の燃料噴射弁100によれば、第3内側面123と大径部56との間の隙間や第4内側面191と小径部57との間の隙間等を介して燃料が出入りするダンパ室25によって、開閉弁時の衝撃が低減される。大径部56が摺動する第3内側面123はハウジング20に設けられており、小径部57が摺動する第4内側面191はハウジング20とは異なる部材であるインナ部材90に設けられている。そのため、第3内側面123と第4内側面191とを同じ部材に設ける場合に比べて、第3内側面123と第4内側面191とを寸法精度良く加工することが容易化される。したがって、大径部56と第3内側面123との隙間、および、小径部57と第4内側面191との隙間を狙い通りの大きさで設けることが容易になるので、可動コア50がロックされて移動できなくなることを抑制でき、かつ、ダンパ室25による衝撃低減効果を十分に発揮させやすくできる。
【0033】
特に、本実施形態のように、燃料噴射弁100が気体燃料である水素ガスを噴射する形態である場合には、液体燃料に比べて粘度が低いので、開閉弁時の衝撃が大きくなりやすい。そのため、ダンパ室25による衝撃低減効果によって、摩耗や故障等を効果的に抑制できる。また、本実施形態では、第3内側面123と大径部56との間の隙間、および、第4内側面191と小径部57との間の隙間をより精密に加工することが可能になる。そのため、ダンパ室25による衝撃低減効果を高めることができる。さらに、フランジ部92の板厚を調節することによってダンパ室25の容積を調節できるので、ダンパ室25による衝撃低減効果を容易に調節できる。そのため、燃料噴射弁100の個体ごとの衝撃低減効果のばらつきを抑制できる。
【0034】
B.第2実施形態:
図4に示すように、第2実施形態の燃料噴射弁100bでは、インナ部材90bのフランジ部92bの形状が第1実施形態と異なる。その他の構成や開閉弁動作は、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0035】
フランジ部92bは、半径方向における筒状部91の外周に設けられた内周部94と、半径方向における内周部94の外周に設けられた外周部95とを有している。内周部94は第2段差面125に接触しており、外周部95と第2段差面125との間には隙間が設けられている。本実施形態では、+Z方向側のフランジ部92bの面は平坦に設けられ、かつ、-Z方向側のフランジ部92bの面に段差が設けられることによって、内周部94と外周部95とが設けられている。外周部95の板厚t2は、内周部94の板厚t1よりも小さい。
【0036】
外周部95と第2段差面125との間の隙間には、ダンパ室25から燃料が流入する。内周部94は、第2段差面125に接触しているため、内周部94と第2段差面125との間にはダンパ室25からの燃料の流入が制限される。外周部95と第2段差面125との間の隙間に流入した燃料の圧力は、ダンパ室25内の燃料の圧力と同じになる。そのため、+Z方向側の外周部95の面がダンパ室25内の燃料から受けるZ方向に沿った力と、-Z方向側の外周部95の面が外周部95と第2段差面125との間の隙間に流入した燃料から受けるZ方向に沿った力とが釣り合う。ダンパ室25内の燃料の圧力が上昇した場合、内周部94は、-Z方向に向かう力を受ける。底面部93は、第2付勢部材82から-Z方向に向かう力を受ける。そのため、内周部94は、第2段差面125に押し付けられる。一方、ダンパ室25内の燃料の圧力が低下した場合、内周部94は、+Z方向に向かう力を受ける。底面部93は、第2付勢部材82から-Z方向に向かう力を受ける。ダンパ室25内の燃料の圧力変化によって内周部94が受ける+Z方向に向かう力よりも第2付勢部材82によって底面部93が受ける-Z方向に向かう力の方が大きくなるように、所定の面積で外周部95が設けられている。そのため、ダンパ室25内の燃料の圧力が低下した場合であっても、内周部94は、第2段差面125に押し付けられる。
【0037】
この形態の燃料噴射弁100bによれば、第2段差面125に接触する内周部94と、第2段差面125から離れた外周部95とがフランジ部92bに設けられることによって、ダンパ室25内の燃料の圧力が低下する際の、ハウジング20に対するインナ部材90bの+Z方向への位置ずれが抑制される。そのため、内周部94と第2段差面125との間のシール性が低下することを抑制できるので、ダンパ室25による衝撃低減効果が低下することを抑制できる。
【0038】
C.第3実施形態:
図5に示すように、第3実施形態の燃料噴射弁100cでは、インナ部材90cの筒状部91とハウジング20の第2内側面122との間に、弾性シール部材97が設けられていることが第1実施形態と異なる。その他の構成や開閉弁動作は、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0039】
弾性シール部材97は、ゴム製のOリングによって構成されている。弾性シール部材97は、筒状部91の外壁面に設けられた溝部96に嵌め込まれている。弾性シール部材97は、筒状部91と第2内側面122とによって半径方向に沿って押し潰されるように配置されている。そのため、弾性シール部材97によって、筒状部91と第2内側面122との間のシール性が高められている。筒状部91と第2内側面122との間に燃料が流入した場合には、弾性シール部材97が燃料からの圧力によってZ方向に沿って押し潰されて半径方向に膨らむので、筒状部91と第2内側面122との間のシール性がより高まる。尚、筒状部91ではなく第2内側面122に溝部が設けられて、弾性シール部材97は、第2内側面122に設けられた溝部に嵌め込まれてもよい。
【0040】
この形態の燃料噴射弁100cによれば、弾性シール部材97によってダンパ室25のシール性が向上するだけでなく、弾性シール部材97からの摩擦力によって、ダンパ室25内の燃料の圧力が低下する際の、ハウジング20に対するインナ部材90cの+Z方向への位置ずれが抑制される。そのため、フランジ部92と第2段差面125との間のシール性が低下することを抑制できるので、ダンパ室25による衝撃低減効果が低下することを抑制できる。
【0041】
D.第4実施形態:
図6に示すように、第4実施形態の燃料噴射弁100dでは、ハウジング20dとインナ部材90dとの間に第3付勢部材83が配置されていることが第1実施形態と異なる。その他の構成や開閉弁動作は、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0042】
本実施形態では、ハウジング20dは、-Z方向側の端部に噴射ノズル30を有している。噴射ノズル30は、第1筒部材21dに圧入や溶接等によって固定されている。噴孔31dと、弁座32dとは、第1筒部材21dではなく、噴射ノズル30に設けられている。本実施形態では、噴射ノズル30は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。
【0043】
図7に示すように、ハウジング20dは、第1内側面121よりも-Z方向側に第5内側面126を有している。第5内側面126は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。第5内側面126の内径は、第1内側面121の内径よりも大きい。第5内側面126と第1内側面121との間は、第3段差面127によって接続されている。第3段差面127は、中心軸CLを中心とした円環形状を有している。
【0044】
インナ部材90dは、底面部93の内周端部から-Z方向側に向かって突き出した延長部98を有している。延長部98は、底面部93から第5内側面126内まで延びている。延長部98の-Z方向側の端部には、延長部98の半径方向の外側に向かって突き出した被付勢部99が設けられている。本実施形態では、被付勢部99は、圧入等によって延長部98に固定されている。延長部98と被付勢部99とは、それぞれ、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。延長部98の内側と被付勢部99の内側とには、軸部41が貫通している。
【0045】
第3段差面127と被付勢部99との間には、第3付勢部材83が配置されている。第3付勢部材83は、-Z方向側に向かって被付勢部99を付勢する。本実施形態では、第3付勢部材83は、Z方向に沿って伸縮するコイルばねによって構成されている。第3付勢部材83は、例えば、ゴム等によって構成されてもよい。第3付勢部材83の-Z方向側の端部は、被付勢部99に接触しており、第3付勢部材83の+Z方向側の端部は、第3段差面127に接触している。
【0046】
この形態の燃料噴射弁100dによれば、第3付勢部材83によってインナ部材90dに固定された被付勢部99が-Z方向側に付勢されて、フランジ部92が第2段差面125に押し付けられるので、ダンパ室25内の燃料の圧力が低下する際の、ハウジング20dに対するインナ部材90dの+Z方向への位置ずれが抑制される。そのため、フランジ部92と第2段差面125との間のシール性が低下することを抑制できるので、ダンパ室25による衝撃低減効果が低下することを抑制できる。
【0047】
E.他の実施形態:
(E-1)上述した第1実施形態から第3実施形態までの燃料噴射弁100~100cでは、ハウジング20の第1筒部材21に噴孔31と弁座32とが設けられている。これに対して、燃料噴射弁100~100cでは、第4実施形態の燃料噴射弁100dのように、第1筒部材21に噴射ノズル30が固定されて、噴孔31と弁座32とは、第1筒部材21ではなく噴射ノズル30に設けられてもよい。
【0048】
(E-2)上述した第2実施形態の燃料噴射弁100bでは、インナ部材90bのフランジ部92bには、-Z方向側の面に段差が設けられることによって、第2段差面125に接触する内周部94と、第2段差面125との間に隙間を有する外周部95とが設けられている。これに対して、燃料噴射弁100bでは、フランジ部92bに段差が設けられずに第2段差面125に段差が設けられることによって、第2段差面125に接触する内周部94と、第2段差面125との間に隙間を有する外周部95とがフランジ部92bに設けられてもよい。
【0049】
(E-3)上述した第3実施形態の燃料噴射弁100cにおいて、インナ部材90cのフランジ部92は、第2実施形態の燃料噴射弁100bのように、第2段差面125に接触する内周部94と、第2段差面125との間に隙間を有する外周部95とを有してもよい。この場合、ハウジング20に対するインナ部材90cの+Z方向側への位置ずれをより効果的に抑制できる。
【0050】
(E-4)上述した第4実施形態の燃料噴射弁100dにおいて、インナ部材90dのフランジ部92は、第2実施形態の燃料噴射弁100bのように、第2段差面125に接触する内周部94と、第2段差面125との間に隙間を有する外周部95とを有してもよい。この場合、ハウジング20dに対するインナ部材90dの+Z方向側への位置ずれをより効果的に抑制できる。さらに、第3実施形態の燃料噴射弁100cのように、筒状部91とハウジング20dの第2内側面122との間に、弾性シール部材97が設けられてもよい。この場合、ハウジング20dに対するインナ部材90dの+Z方向側への位置ずれをさらに効果的に抑制できる。
【0051】
(E-5)上述した各実施形態の燃料噴射弁100~100dでは、可動コア50は、第1可動コア部材51と第2可動コア部材52とによって構成されている。これに対して、可動コア50は、第1可動コア部材51のみによって構成されてもよい。
【0052】
(E-6)上述した各実施形態の燃料噴射弁100~100dでは、固定コア60,60bは、第1固定コア部材61と第2固定コア部材62とによって構成されている。これに対して、固定コア60,60bは、第1固定コア部材61のみによって構成されてもよい。
【0053】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
11…アジャスティングパイプ、12…燃料導入パイプ、13…フィルタ、14…導入口、15…コネクタ、16…端子、17…ホルダ、18…カバー、20…ハウジング、21…第1筒部材、22…第2筒部材、23…第3筒部材、24…第4筒部材、25…ダンパ室、30…噴射ノズル、31…噴孔、32…弁座、40…ニードル、41…軸部、42…弁部、43…拡径部、44…燃料通路、45…連通孔、50…可動コア、51…第1可動コア部材、52…第2可動コア部材、56…大径部、57…小径部、60…固定コア、61…第1固定コア部材、62…第2固定コア部材、70…コイル、71…ボビン、81…第1付勢部材、82…第2付勢部材、83…第3付勢部材、90…インナ部材、91…筒状部、92…フランジ部、93…底面部、94…内周部、95…外周部、96…溝部、97…弾性シール部材、98…延長部、99…被付勢部、100…燃料噴射弁、121…第1内側面、122…第2内側面、123…第3内側面、124…第1段差面、125…第2段差面、126…第5内側面、127…第3段差面、191…第4内側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7