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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】動的涙レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
G02C7/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019559096
(86)(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018030502
(87)【国際公開番号】W WO2018204395
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/492,780
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519381779
【氏名又は名称】プレス-バイ ビジョン エルティーディー.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ラファエリ,オマー
(72)【発明者】
【氏名】デ ジュアン,ユージン,ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】アルスター,ヤイル
(72)【発明者】
【氏名】ピンテル,オフェル
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,マット
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514613(JP,A)
【文献】特表2010-522352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0245760(US,A1)
【文献】米国特許第04640594(US,A)
【文献】国際公開第2016/173620(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフト動的コンタクトレンズであって、当該ソフト動的コンタクトレンズは、
周辺部、
周辺部に結合された内部動的部分であって、内部動的部分は、
角膜を有する眼に第1の屈折力を提供するように構成された、適合構成、および、
眼に第2の屈折力を提供するように構成された少なくとも1つの非適合構成を含み、
第2の屈折力は、第1の屈折力とは異なる、動的部分
を含み
前記適合構成において、ソフト動的コンタクトレンズ又はその一部は前記角膜の表面と一致し、
前記非適合構成において、前記内部動的部分は涙レンズを形成し、
前記内部動的部分は、少なくとも1つの前記非適合構成において、前記周辺部の後面のベースカーブに対して、5μm~300μmの範囲内の中央間隙高さを含む、
ことを特徴とする、ソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項2】
ソフト動的コンタクトレンズが眼に適用された時、動的部分は2つ以上の準安定性の構成を呈することができ、ここで、2つ以上の準安定性の構成は、内部動的部分の後面と角膜の前面との間の間隙高さの差異を特徴とする、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項3】
ソフト動的コンタクトレンズは中心幾何軸を含み;および
内部動的部分は、中心幾何軸に、中心幾何軸の中心傍に、中心幾何軸から逸脱して、またはそれらの任意の組み合わせで配置される、
請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項4】
ソフト動的コンタクトレンズは、角膜に適用された時、内部動的部分が眼のための第1の視覚に対する適合構成を呈し、かつ眼のための第2の視覚に対する少なくとも1つの非適合構成を呈するように構成される、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項5】
第1の視覚と第2の視覚の各々は独立して、遠見、中間視、または近見を含む、請求項4に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項6】
適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴をさらに含み、ここで少なくとも1つの第1の特徴は、内部動的部分の製造された(as-fabricated)
形状を含む、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項7】
眼瞼によって加えられた圧力によって構成の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの特徴をさらに含む、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項8】
少なくとも1つの特徴は、摩擦を増すように構成された1つ以上の特徴を含み、および、1つ以上の特徴は、摩擦を増すように構成され、溝、凹み、開窓、隆起、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項7に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項9】
適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴と、
少なくとも1つの非適合構成と適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2の特徴とをさらに含み、ここで、
少なくとも1つの第1の特徴、少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、1つ以上の涙液リザーバを含み;
1つ以上の涙液リザーバは、内部動的部分の後面と角膜の前面との間に配置され;および
1つ以上の涙液リザーバは、内部動的部分の後面と角膜の前面との間の涙液に流動的に連結される、
請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項10】
少なくとも1つの第1の特徴、適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、凝視変化中に、圧力が眼瞼によってソフト動的コンタクトレンズに加えられた時に、内部動的部分の圧縮または周辺部の圧縮により涙液を交換することを含む、請求項6に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項11】
0.05MPa~3MPaの範囲内にある第1のヤング率を有してなる、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項12】
ソフト動的コンタクトレンズは後面を含み;および後面の少なくとも一部は、物質、表面処理、またはそれらの組み合わせを含み;前記物質、表面処理、またはそれらの組み合わせは、ソフト動的コンタクトレンズの後面の少なくとも一部と涙液との間、角膜と涙液との間、ソフト動的コンタクトレンズの後面と角膜との間、またはこれらのいずれかの組み合わせの毛管力を制御するように選択される、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項13】
a)第1の屈折力は、眼に対する屈折力の変化を提供せず、
b)第2の屈折力は、眼に対する屈折力の変化を提供せず、または、
c)適合構成は、眼に対する屈折力の第1の変化を提供し、および、少なくとも1つの非適合構成は、屈折力の第1の変化に加えて、眼に対する屈折力の第2の変化を提供する、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項14】
ソフト動的コンタクトレンズは周辺後面を含む周辺部を含み、
周辺後面は周辺ベースカーブを含み、
内部動的部分は動的後面を含み、
動的後面は動的ベースカーブを含み、
適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、および
少なくとも1つの非適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する、
請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項15】
内部動的部分は、1.5mmから7mmの直径を有する、請求項1に記載のソフト動的コンタクトレンズ。
【請求項16】
視力矯正を必要とする患者の眼に請求項1のソフト動的コンタクトレンズを適用する工程を含む、患者の視力を矯正する方法であって、ここで、視力を矯正する工程は、遠視を矯正する工程、近視を矯正する工程、乱視を矯正する工程、老眼を矯正する工程、または近視の進行を遅くする工程、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、角膜に配置された時に、適合構成と少なくとも1つの非適合構成を有する、または少なくとも2つの非適合構成を有することのできる、動的部分を備えた動的コンタクトレンズに関する。眼の上に装着された時、動的部分は視力矯正のための涙レンズを形成する。動的部分はまた、眼瞼および/または凝視の動きによって動的コンタクトレンズにかけられた力に応じて光強度を変える動的涙レンズを提供するように構成することができる。コンタクトレンズは、老眼を矯正し、近視の進行を遅らせ、または不規則に形成された角膜によって引き起こされる視力を矯正する等、視力矯正のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
近視眼(近視)、遠視眼(遠視)、および老眼(調節の損失と続く近見および中間視の損失)等の典型的な視力の問題は、眼鏡を使用して容易に矯正可能である。しかしながら、活発なライフスタイルを送るため、または美的な理由等の理由で、視力矯正用のコンタクトレンズを好むものもいる。
【0003】
年齢により老眼になったコンタクトレンズ着用者は、近見、中間視、および遠見のすべてを可能にする追加の矯正レンズを必要とする。老眼に対処するために、コンタクトレンズメーカーは、いくつかの焦点領域を介して様々な距離からの光の焦点を同時に合わせる多焦点レンズ、および2つの焦点領域、例えば近視を矯正するための中央部と遠視を矯正するための周辺部を含む二重焦点レンズを開発してきた。後者のレンズは、視線の角度に応じて、近視と遠視の両方の矯正を提供するために、眼の光軸に対して移動する。
【0004】
交代視型(translating)コンタクトレンズは、角膜表面上で1mm~6mmまで動くように構成され、したがって典型的に0mm~1mmまで角膜上で動く標準的なコンタクトレンズよりもかなり安定性が低い。交代視型レンズが動くように設計されているため、上瞼の瞬き中に、交代視型レンズは角膜上で下方へと移動し、結果としてレンズの下端は瞬き動作ごとに下眼瞼縁に当たる。角膜と下眼瞼縁は異物に対して高い感度を有するため、そのような繰り返しの動きと瞼への接触はユーザーにかなりの不快感をもたらす。加えて、下眼瞼縁上にマイボーム腺の開口部が存在するため、下瞼への衝突は、過角化症および場合によってはマイボーム腺の機能障害に帰結し得る、これらの開口部の繰り返しの外傷と炎症をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:動的後面と、動的後面に対向する動的前面を含む動的部分;周辺部であって、周辺後面、周辺後面に対向する周辺前面、および周辺部と動的部分を連結する移行ゾーンを含む周辺部を備え;ここで動的部分は、0.05MPa~10MPaの範囲内のヤング率を有する物質と、10μm~300μmの製造された(as-fabricated)中央SAG高さを含む。
【0006】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:周辺部、周辺部に連結された動的部分を含み、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なる。
【0007】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブ(base curvature)を含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分、を備える。
【0008】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:動的ベースカーブを有する動的後面を含む動的部分;動的部分に連結され、かつ周辺後面を有する周辺部を備え;および周辺後面は周辺ベースカーブを含み;ここで第1の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、第2の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する。
【0009】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは動的部分を含み、ここで動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;第1の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率と実質的に同じであり;および第2の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率から逸脱する。
【0010】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:周辺部であって、ここで周辺部は周辺後面を含み、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および周辺部に連結した動的部分であって、ここで動的部分は中心厚と、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを含む、動的部分を備え;ここで動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央間隙高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央間隙高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成され、第1の中央間隙高さと第2の中央間隙高さは異なっており;および第1の構成と第2の構成は準安定状態である。
【0011】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは、後面を有する動的部分を含み、ここで後面は動的ベースカーブを有し;第1の構成において、後面は第1のベースカーブを含み;および第2の構成において、後面は第2のベースカーブを含む。
【0012】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは動的部分を含み、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第1の非適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第2の非適合構成を備え、第2の光強度は、第1の光強度とは異なり;該コンタクトレンズは、第1の非適合構成と少なくとも1つの第2の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;少なくとも1つの第2の非適合構成と少なくとも1つの第1の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを含む。
【0013】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の後面は第1の曲率半径を有し、および第1の物質は第1のヤング率を有する、第1の部分;および第1の部分に連結した第2の部分であって、第2の部分は、第2の後面、第2の後面に対向する第2の前面、および第2の物質を含み、ここで第2の後面は第2の曲率半径を有し;および第2の物質は第2のヤング率を有する、第2の部分を備え;第1の曲率半径は第2の曲率半径より小さく;および第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0014】
本発明によれば、動的コンタクトレンズは:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の物質は第1のヤング率を有する、第1の部分;および第1の部分に連結した周辺部であって、周辺部はベースカーブを有する周辺後面を含み、および第2の物質は第2のヤング率を有する、周辺部を備え、第1の後面は、周辺部の後面のベースカーブから前方に膨らみ、および第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0015】
本発明によれば、患者の視力を矯正する方法は、矯正視力を必要とする患者の眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0016】
本発明によれば、老眼を処置する方法は、患者の老眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0017】
本発明によれば、患者の視力を矯正する方法は、そのような処置を必要とする患者の眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0018】
本発明によれば、眼治療に続いて患者の眼を処置する方法は、そのような処置を必要とする患者の眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0019】
本発明によれば、患者の眼の角膜への外傷創傷を治療する方法は、そのような治療を必要とする患者の眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0020】
本発明によれば、可能性のある傷害から患者の眼を保護する方法は、そのような保護を必要とする患者の眼に、本発明に係る動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0021】
本発明によれば、動的コンタクトレンズを製造する方法は、動的コンタクトレンズを提供するために物質を成形する工程を含み、動的コンタクトレンズは:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分を備える。
【0022】
本発明によれば、動的コンタクトレンズを製造する方法は、動的コンタクトレンズを提供するために物質を成形する工程を含み、動的コンタクトレンズは:動的ベースカーブを特徴とする動的部分;および、動的部分に連結した周辺部を含み、ここで周辺部は周辺ベースカーブを含み、動的ベースカーブは周辺ベースカーブとは異なる。
【0023】
本発明によれば、本発明に係る動的コンタクトレンズは角膜に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に記載される図は、例示目的だけのためにある。図は、本開示の範囲を限定するようには意図されない。
図1A】涙液リザーバ用の腔を有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。
図1B】涙液リザーバ用の腔のない、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。
図2A】動的部分と涙液リザーバを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示し、ここで動的部分は、未矯正の視力に適切であり得るように角膜の前面に近接している。
図2B】動的部分と涙液リザーバを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示し、ここで動的部分は、矯正された近視に適切であり得るように涙レンズに空間を提供するために角膜から遠ざかる方向に膨らんでいる。
図2C】動的部分を有するが涙液リザーバのない、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示し、ここで動的部分は、未矯正の視力に適切であり得るように角膜の前面に近接している。
図2D】動的部分を有するが涙液リザーバのない、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示し、ここで動的部分は、矯正された近視に適切であり得るように涙レンズに空間を提供するために角膜から遠ざかる方向に膨らんでいる。
図3A】それぞれ0μm、43μm、84μm、および105μmの間隙高さを有する涙レンズを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの光干渉断層法(OCT)画像を示す。
図3B】それぞれ0μm、43μm、84μm、および105μmの間隙高さを有する涙レンズを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの光干渉断層法(OCT)画像を示す。
図3C】それぞれ0μm、43μm、84μm、および105μmの間隙高さを有する涙レンズを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの光干渉断層法(OCT)画像を示す。
図3D】それぞれ0μm、43μm、84μm、および105μmの間隙高さを有する涙レンズを有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの光干渉断層法(OCT)画像を示す。
図4A】くさび形の涙液リザーバ用の腔を有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。図4Aは、動的部分が角膜に近接している動的コンタクトレンズを示し、ここで動的部分の後面は、毛管力によって角膜に対して保持される。図4Aは、下を見る時に下眼瞼によって力が涙液リザーバにかけられる場合に、涙液リザーバから動的部分に向かう涙流れ運動の方向を例示する動的コンタクトレンズの図を示す。図4Aは、涙レンズに容積を提供するために、動的部分が角膜から離れるように膨らんでいる動的コンタクトレンズの図を示す。
図4B】くさび形の涙液リザーバ用の腔を有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。図4Bは、図4Aに示される動的コンタクトレンズの底面図を示す。
図5A】中央動的部分に対称的に配置された周辺部の後面にある別個の涙液腔を有する動的コンタクトレンズの、断面図と底面図を示す。
図5B】中央動的部分に対称的に配置された周辺部の後面にある別個の涙液腔を有する動的コンタクトレンズの、断面図と底面図を示す。
図6】本開示によって提供される動的コンタクトレンズの3つの(3)断面図を示す。
図7】涙レンズの円蓋高さと光強度の関係を計算するのに使用される、動的コンタクトレンズの断面図を示す。
図8】準周辺の涙液リザーバを有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。
図9A】動的部分と涙液リザーバを含む、角膜に適用された、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図9B】動的部分と涙液リザーバを含む、角膜に適用された、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図9C】動的部分と涙液リザーバを含む、角膜に適用された、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図10】中心傍の動的部分を有する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。
図11】周辺部上に眼瞼圧力がかけられない、眼球と眼瞼のテストベンチモデルに関する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの写真を示す。
図12】周辺部上に眼瞼圧力がかけられている、図11のモデルの写真を示す。
図13】眼瞼圧力が解かれた、図11と12のモデルの写真を示す。
図14A】適合構成の、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図14B】非適合構成の、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図15】動的部分が角膜に適合している、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図16】動的部分が、28μmの間隙高さを有する涙レンズを提供するように非適合構成にある、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図17A】角膜と涙レンズを形成する本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図17B図17AのOCT画像に対応する眼の画像を示す。
図18】涙液リザーバを提供するための異なる腔構成を示す。
図19】涙液リザーバを提供するための異なる腔構成を示す。
図20】涙液リザーバを提供するための異なる腔構成を示す。
図21】負の涙レンズを形成する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの例のOCT画像を示す。
図22】負の涙レンズを形成する、本開示によって提供される動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図23A】動的中央部分のまわりに対称的に配置された、前面上に隆起を有する動的コンタクトレンズの図を示す。
図23B】動的中央部分のまわりに対称的に配置された、前面上に隆起を有する動的コンタクトレンズの図を示す。
図23C】動的中央部分のまわりに対称的に配置された、前面上に隆起を有する動的コンタクトレンズの図を示す。
図23A】前面の断面図を示す。
図23B】後面の図を示す。
図24A】動的中央部分のまわりに対照的に配置された、前面上の隆起および後面にある重なり合うリザーバを有する動的コンタクトレンズの図を示す。図24Aは断面図を示す。
図24B】動的中央部分のまわりに対照的に配置された、前面上の隆起および後面にある重なり合うリザーバを有する動的コンタクトレンズの図を示す。図24Bは前面の図を示す。
図24C】動的中央部分のまわりに対照的に配置された、前面上の隆起および後面にある重なり合うリザーバを有する動的コンタクトレンズの図を示す。図24Cは後面の図を示す。
図25A】製造された動的コンタクトレンズ用の動的中央部分の間隙高さに対する、動的中央部分の後面と角膜との間の間隙高さを示すグラフである。
図25B】40μmの製造されたSAG高さを有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示し、これは眼に配置された時に37μmの間隙高さ以内の涙レンズを示す。
図25C】100μmの製造されたSAG高さを有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示し、これは眼に配置された時に96μmの間隙高さ以内の涙レンズを示す。
図26A】動的中央部分の異なる厚さに関して、製造された動的コンタクトレンズ用の動的中央部分のSAG高さを用いた、動的中央部分の後面と角膜との間の間隙高さのグラフである。
図26B】動的中央部分の異なる厚さに関して、製造された動的コンタクトレンズ用の動的中央部分のSAG高さを用いた、動的中央部分の後面と角膜との間の間隙高さのグラフである。
図26C】動的中央部分の異なる厚さに関して、製造された動的コンタクトレンズ用の動的中央部分のSAG高さを用いた、動的中央部分の後面と角膜との間の間隙高さのグラフである。
図27】流体リザーバと、流体リザーバに重なる隆起とを有する動的コンタクトレンズの部分の断面図を示す。
図28】(1)眼に密着した隆起を有する動的レンズの写真(左上)、(2)動的コンタクトレンズの前面上に隆起を有する動的コンタクトレンズの部分の概略的な断面図(右下)を示す。
図29】基本的な(前方向の)凝視での、角膜上に隆起を有する動的コンタクトレンズの断面図のOCT画像を示す。
図30】下向きの凝視での、角膜上に隆起を有する動的コンタクトレンズの断面図のOCT画像を示す。
図31】38ミクロンの間隙高さでの、下向きの凝視中の角膜上の、約500ミクロンの幅を有する製造された隆起を有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図32】角膜に重なる11mmのベースカーブを伴う平坦化された周辺プロフィールを有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
図33A-42B】適合構成と非適合構成、およびさほど非適合でない構成とより非適合な構成での、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの例の断面図を示す。
【0025】
ここで、本開示の特定の実施形態への詳細な言及がなされる。本開示の特定の実施形態が記載されるが、本開示の実施形態を開示される実施形態に限定するようには意図されていないことが理解される。対照的に、本開示の実施形態への言及は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の実施形態の精神と範囲内に含まれ得るような代替案、修正、および同等物を包含するように意図される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用されるように、「後部」は、眼の方を向いている特徴を示し、および「前部」は、患者による装着時に眼から背いている特徴を示す。動的コンタクトレンズまたはその部分の後面は、患者による装着中に角膜に近接する、または面している面を指す。動的コンタクトレンズまたはその部分の前面は、患者による装着時に角膜から離れている、または背いている面を指す。
【0027】
「実質的に」は、寸法等の数値の±10%を指す。
【0028】
「角膜の表面に実質的に適合する」は、動的コンタクトレンズの部分の後面が、角膜の表面から3μm以内にある構成を指す。動的コンタクトレンズの後部部分と角膜との間の間隙は、涙液を含むことができる。
【0029】
本明細書で使用されるように、物質の「モジュラス」はヤング率を指す。ヤング率は、例えばJones et al.,Optometry and Vision Science,89,10,1466-1476,2017により記載された方法に従って判定することができる。
【0030】
ジオプトリー(D)単位での角膜の光強度は、式D=(1.3375-1)/Rにより、曲率半径Rに関係し得、式中、1.3375は房水の屈折率に対応し、およびRは角膜の前面の曲率半径に対応する。角膜の湾曲は曲率半径Rに反比例し、その結果、曲率半径が増すと角膜の湾曲は減り、および曲率半径が減ると角膜の湾曲が増す。
【0031】
固いガス浸透性(RGP)レンズが、涙レンズを生成することは既知であるが、RGPレンズは、構造を変化させる性能を有さない。ソフト動的コンタクトレンズは典型的に、均一な様式で角膜表面に適合し、およびレンズ下の薄い涙液膜は使用されず、光強度を作り出すのに十分ではない。本発明では、動的涙レンズシステムは、ソフトコンタクトレンズ材料と併用して使用される。
【0032】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、眼の上で2つ以上の構成間を移行できる動的部分を伴って製造することができ、ここで2つ以上の構成の各々は異なる光強度を提供する。動的部分または動的部分の少なくとも一部が角膜に適合しない構成にある時、レンズ形の容積は、角膜の前面と、動的コンタクトレンズの動的部分の後面との間に形成され、これは、視力矯正のための涙レンズを形成するために涙液で充填することができる。動的コンタクトレンズは、適合構成と1つ以上の非適合構成との間を移行するように構成することができる。動的レンズは2つ以上の非適合構成間を移行するように構成することができる。
【0033】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、眼の上で2つ以上の構成間を移行できる動的部分を伴って製造することができ、ここで2つ以上の構成の各々は異なる光強度を提供する。動的部分または動的部分の少なくとも一部が角膜に適合しない構成にある時、レンズ形の容積は、角膜の前面と、動的コンタクトレンズの動的部分の後面との間に形成され、これは、視力矯正のための涙レンズを形成するために涙液で充填することができる。この場合、少なくとも2つの構成は共に非適合であり、および各々が、眼に各々異なる光強度を提供する涙レンズを有している。
【0034】
涙レンズは、動的コンタクトレンズの後面と前部角膜面との間に形成される液体レンズである。涙レンズは、新たな光学系を形成するためにシステム(角膜と動的コンタクトレンズ等)において他の光学面と連結する。動的コンタクトレンズのベースカーブと涙レンズの強度との定量的関係は、方程式(1)によって示すことができる:
涙レンズの屈折能=(336/RBoz-336/K)(1)
式中、RBOZは、mm単位での動的コンタクトレンズの背面光学部半径であり、およびKは、mm単位での角膜の前面の半径である。ベースカーブは、動的コンタクトレンズの周辺部の後面の湾曲を指し、および角膜に配置された時、角膜の前面の湾曲と実質的に同じである。
【0035】
動的コンタクトレンズの実際の背面ベースカーブと涙レンズとの間の定量的関係もまた、方程式(2)によって示すことができる:
=(n-1)/RBOZ+(1-n)/RC(2)
式中、Ftは涙レンズの光強度であり、nは涙液の屈折率(1.337±0.001)であり、RCはmm単位での角膜の曲率半径であり、およびRBOZは、mm単位での動的コンタクトレンズの背面光学部の半径である。
【0036】
円筒状に形成された涙レンズでは、定量的関係は各々の経線に関して算出される。
【0037】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズ(100)の例の断面図は、図1Aに示される。レンズは、周辺部(102)のベースカーブから離れるように膨らむ、および/または動的部分に隣接する周辺部のベースカーブから離れるように膨らむ動的部分(101)を含む。周辺部のこの領域は、動的部分に隣接している中心傍の周辺部と呼ぶことができる。中心傍の周辺にはベースカーブがある。製造されたおよび非適合構成では、動的部分は、中心傍の周辺部のベースカーブから離れるように膨らむ。(102)は、(101)とは異なる湾曲を表し、それ自体が1つ以上の湾曲から形成され得ることを理解すべきである。動的部分(101)は、動的前面(103)と動的後面(104)を含む。動的後面(104)は湾曲を含む。動的コンタクトレンズ(102)の周辺部は、周辺前面(105)、周辺後面(106)、周端縁(107)、およびレンズ直径(116)を含む。周辺部(102)は動的部分(101)に連結される。動的部分(101)と周辺部(102)は、移行ゾーンとも呼ばれる界面(108)において連結される。周辺後面は腔(109)を含み、腔(109)は、角膜上に配置された時に涙液リザーバを提供するために涙液で満たされる。周辺後面(106)は周辺ベースカーブを含む。動的部分(101)の領域下の周辺ベースカーブの伸長は、破線によって示される。SAG(矢)高さ(110)は、周辺ベースカーブからレンズの後面までの距離として示される。本明細書で使用されるように、SAG高さは、製造された動的レンズの寸法を指し、および製造されたSAG高さと呼ぶことができる。角膜に適用された時、動的部分の後面と角膜との間の距離は、間隙高さと呼ばれる。本明細書に開示されるように、間隙高さはSAG高さと同じであってもよいが、多くの実施形態では、間隙高さは製造されたSAG高さ未満である。いくつかの凝視角度において、間隙高さは、製造されたSAG高さ未満であり得、および他の凝視角度では、間隙高さは製造されたSAG高さに接近し得る。中央膨れは、レンズの中央からのラジアル距離に応じて複数のSAG高さを含む。図1Aでは、最大SAG高さは、レンズ(112)の中心幾何軸に位置する動的部分の中央にある。SAG高さは、レンズ形を形成する動的部分(115)の周辺に向かって減少する。図1Aでは、光学領域(111)は、動的部分の直径よりわずかに大きい。光学領域は、視覚のために使用されるレンズの領域を指す。動的部分の直径は、光学領域のそれよりも大きくてよい。いくつかの実施形態において、動的部分の直径は光学領域の直径未満であり得る。いくつかの実施形態において、動的部分の直径は、光学領域の直径に類似する、または同じであり得る。
【0038】
図1Aに示されるように、中央SAG高さ(110)は、動的部分(104)の中央における、角膜に対して配置されるように構成される周辺後面(106)の伸長湾曲と、後面との間の距離として定義される。動的部分は、膨らんでいる動的部分の中心軸に対する位置に応じた複数のSAG高さを特徴とすることができる。SAG高さは中央において最大値になり、および動的部分周辺に向かって縮小する。動的部分(101)は中心厚(112)を含み、および2つの放射状の矢の厚さの例は(113a)と(113b)として識別される。図1Aでは、光学領域(111)の直径は、動的部分の直径(115)よりわずかに大きいことが示される。動的コンタクトレンズ(100)は直径(116)を有する。図1Aに示されるように、動的部分(101)、周辺部(102)、および光学領域は、共同整列され、動的コンタクトレンズの中心幾何軸のまわりに一緒に並べられる。
【0039】
図1Bは、図1Aに示されるものに類似する動的コンタクトレンズを示すが、涙液リザーバ用の腔はない。図1Bの要素は、図1Aに関するものとして定義される。
【0040】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、周辺後面と、周辺後面に対向する周辺前面とを備えた周辺部;動的部分;周辺部と動的部分を連結する移行ゾーンを含み;ここで動的部分は、0.05MPa~50MPaの範囲内のヤング率を有する物質を含むことができ;および動的部分は、周辺前面から離れ、かつ周辺後面から遠ざかって伸びるプロフィールを特徴とする。動的部分は、10μm~250μmの範囲内の製造されたSAG高さを特徴とすることができる。ヤング率は、例えば、0.1MPa~20MPa、0.1MPa~3MPa、0.1MPa~2MPa、または0.1MPa~5MPaの範囲内である。動的部分は、10μm~100μmの範囲内にある製造されたSAG高さを特徴とすることができる。動的部分は、20μm~600μm、50μm~500μm、100μm~400μm、または50μm~300μmの範囲内の最大厚を含むことができる。動的部分は、20μm~600μm、50μm~500μm、100um~400μm、または50μm~300μmの範囲内の中心厚を含むことができる。動的部分は、実質的に均一な厚さ、移行ゾーンでの厚さと同じ中心厚、移行ゾーンでの厚さよりも大きい中心厚、または移行ゾーンでの厚さよりも小さな中心厚を特徴とする。周辺部は、中間曲率半径を特徴とする動的部分に連結された中間部分;および、遠位曲率半径を特徴とする中間部分に連結された遠位部を含むことができ、ここで中間曲率半径は、遠位曲率半径よりも小さい。移行ゾーンは、2つ以上の準安定性の構成間の動的部分の移行を促進するように構成された1つ以上の特徴を含むことができる。動的コンタクトレンズは、周辺後面に1つ以上の腔を含むことができる。動的コンタクトレンズは、周辺前面に1つ以上の突部を含むことができる。動的コンタクトレンズは、周辺部の後面に1つ以上の溝を含むことができる。動的コンタクトレンズは1つ以上の開窓を含むことができる。動的コンタクトレンズは、周辺後面に1つ以上の腔と、周辺前面に1つ以上の突部、後面に1つ以上の溝、および/または1つ以上の開窓を含むことができる。溝またはチャネルは1つ以上の開窓に連結され得る。
【0041】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、動的後面、および動的後面に対向する動的前面を含む動的部分;周辺後面、周辺後面に対向する周辺前面、および周辺部と動的部分を連結する移行ゾーンを含む、周辺部、を含むことができ;ここで動的部分は、0.05MPa~10MPaの範囲内のヤング率を有する物質と、10μm~300μmの製造された中央SAG高さを含む。
【0042】
物質は、例えば0.05MPa~8MPa、0.1MPa~6MPa、0.1MPa~4MPa、0.1MPa~3MPa、0.1MPa~2MPa、または0.5MPa~1MPaの範囲内のヤング率を有し得る。
【0043】
製造された中央SAG高さ等の中央SAG高さは、例えば、20μm~300μm、50μm~300μm、10μm~200μm、10μm~100μm、50μm~250μm、または50μm~200μmの範囲内であり得る。
【0044】
動的コンタクトレンズは、角膜への適用時に視力を矯正するために涙レンズを生成するように構成することができる。
【0045】
動的コンタクトレンズが角膜に適用された時、動的部分は2つ以上の準安定性の構成を呈することができ、ここで2つ以上の準安定性の構成は、中央動的後面と角膜との間の異なる間隙を特徴とする。眼瞼によって動的コンタクトレンズに加えられた圧力によって動的部分が2つ以上の準安定状態間を移行することができるように、動的コンタクトレンズを構成することができる。
【0046】
動的部分は、例えば、2.5mm~7mm、2.5mm~6.5mm、2.5mm~6.0mm、2.5mm~5mm、または2mm~4mmの直径を有し得る。
【0047】
動的後面は、例えば、3mm~7.5mm、3mm~7mm、3.5mm~6.5mm、または4mm~6mmの曲率半径を有し得る。
【0048】
動的コンタクトレンズの動的後面は、実質的に球面曲率を有し、または動的前面は実質的に球面曲率を有し得る。したがって特定の実施形態では、動的レンズの光強度は、レンズを形成する物質ではなく涙レンズに由来する。
【0049】
動的部分は実質的に均一な厚さであり得る。例えば、動的部分は、20μm~300μm、20μm~250μm、50μm~200μm、または50μm~150μmの実質的に均一な厚さであり得る。
【0050】
動的部分は不均一な厚さであり得る。例えば、不均一な厚さを有する動的部分は、20μm~300μmι、20μm~250μm、50μm~200μm、または50μm~150μmの中心厚であり得る。
【0051】
移行ゾーンは、動的レンズが眼に適用された時、動的後面と角膜との間に形成された涙レンズへの涙液の流れを促進するように構成することができる。
【0052】
例えば移行ゾーンは、動的部分によって画定された涙レンズに出入りする涙液の能力を促進する溝またはチャネルを含むことができる。
【0053】
1つ以上のチャネルは、周辺部の後面に配置することができ、かつ動的部分から周辺部へと伸長することができる。
【0054】
例えば、1つ以上のチャネルの各々は、動的部分から放射状に外に向かって伸長することができる。
【0055】
1つ以上のチャネルは、例えば、3~20のチャネル、3~16のチャネル、3~12のチャネル、4~10のチャネル、または4~8のチャネルを含むことができる。
【0056】
1つ以上のチャネルの各々は、例えば、100μm~1000μm、100μm~800μm、100μm~600μm、200μm~600μm、または400μm~600μmの幅を有し得る。
【0057】
1つ以上のチャネルの各々は、例えば、50μm~200μm、50μm~150μm、または100μm~200μmの高さ/深さを有し得る。
【0058】
1つ以上のチャネルの各々は、例えば、1mm~7mm、1mm~6mm、1mm~5mm、1mm~4mm、1mm~3mmの長さを有し得る。
【0059】
溝またはチャネルは、涙液の流れを促進するための適切な断面プロフィールも有することができる。
【0060】
チャネルの少なくとも1つは、周辺前面を介して伸長する1つ以上の開窓へと連結され得る。開窓は、チャネルへ、またはレンズの周辺後面と角膜との間の涙液膜へと、涙液層またはレンズの前面を流動的に連結するように構成することができる。例えば、チャネルは1、2、または3以上の開窓に連結され得る。
【0061】
1つ以上の開窓の各々は独立して、例えば200μm~600μm、300μm~500μmの直径を有し得る。開窓は、涙液の流れを促進するために任意の適切な断面プロフィールも有することができる。
【0062】
移行ゾーンは、動的部分の可撓性を高めるように構成された特徴を含むことができる。動的部分の可撓性を高める、準安定性の構成間での動的部分の移行能力を促進する、および/または準安定性の構成を保全する動的部分の能力を促進するための特徴の例として、滑らかな端部、薄くした断面厚、溝、またはこれらの任意の組み合わせがあげられる。
【0063】
例えば、本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、2.5mm~7mmの直径を有する動的部分、3mm~7.5mmの曲率半径を有する動的後面、20μm~300μmの中心厚を伴う実質的に均一な厚さ、動的部分からレンズの周辺端に向かって放射状に外向きに伸長する1つ以上のチャネルであって、1つ以上のチャネルは3~20のチャネルであり、各チャネルが100μm~1,000μmの幅、50μm~200μmの高さ/深さ、1mm~7mmの長さを有するチャネル、および1つ以上のチャネルの各々に連結された1つ以上の開窓であって、200μm~600μmの直径を有する開窓を含むことができる。
【0064】
別の例として、本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、2.5mm~7mmの直径を有する動的部分、3mm~7.5mmの曲率半径を有する動的後面、50μm~300μmの中心厚を伴う実質的に均一な厚さ、動的部分からレンズの周辺端に向かって放射状に外向きに伸長する1つ以上のチャネルであって、1つ以上のチャネルは3~10のチャネルであり、各チャネルが400μm~600μmの幅、50μm~150μmの高さ/深さ、1mm~5mmの長さを有するチャネル、および1つ以上のチャネルの各々に連結された1つ以上の開窓であって、300μm~500μmの直径を有する開窓を含むことができる。
【0065】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは動的部分を含むことができ、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの非適合構成であって、第2の光強度は第1の光強度とは異なる、非適合構成;適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴;少なくとも1つの非適合構成と適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを含む。
【0066】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは動的部分を含むことができ、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された第1の非適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第2の非適合構成を含み、ここで第2の光強度は、第1の光強度とは異なる、第2の非適合構成;第1の非適合構成と少なくとも1つの第2の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴;少なくとも1つの非適合構成と適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを含む。
【0067】
眼に適用された時、動的部分は、動的部分の後面が角膜の前面に適合する、または実質的に適合する構成を呈することができる。適合構成では、薄い涙液膜が動的コンタクトレンズの後面と角膜の前面との間に存在することが理解できる。例えば、涙液膜は、0.1μm~3μmの厚さ、0.5μm~2.5μmの厚さ、または1μm~2μmの厚さであり得る。動的コンタクトレンズは、適合構成において、動的部分と角膜との間の涙液膜厚さが3μmより大きく、および/またはレンズの形を形成するために動的部分にわたって変動し得るように設計することができる。
【0068】
眼に適用された時、動的部分は、動的部分の後面が角膜の前面に適合しない第1の非適合構成を呈することができる。例えば、第1の非適合構成では、角膜の前面と動的部分の後面との間の中央間隙は、3μmより大きい、5μmより大きい、10μmより大きい、20μmより大きい、30μmより大きい、40μmより大きい、50μmより大きい、60μmより大きい、70μmより大きい、80μmより大きい、または100μmより大きい等であり得る。例えば、第1の非適合構成では、角膜の前面と動的部分の後面との間の中央間隙は、5μm~100μm、10μm~90μm、10um~70μm、10μm~50μm、または10μm~30μmの範囲内にあり得る。動的部分は、第2の適合構成を呈することができ、ここで角膜の前面と動的部分の後面との間の中央間隙は、第1の非適合構成における中央間隙よりも大きく、かつ例えば10μm~200μm、または10μm~100μmの範囲内であり得る。2つの構成間の基本的違いは、一方の構成は角膜により適合し、および他方の構成はより適合せず、したがって涙レンズ寸法における変化が2つの非適合構成間に生み出され、これは、動的レンズが2つの準安定性の非適合構成のいずれかにある場合に光強度の変化を提供することが、理解されるべきである。
【0069】
動的レンズは、湾曲(101)が湾曲(102)とは異なるように製造され、その結果、動的部分の下を涙液が流れず、かつ機械力がレンズに適用されない場合に、製造されたSAG高さは小さくなる。しかしながら、凝視変化または眼瞼圧力等によって引き起こされるように涙液が動的部分の下を流れる場合、製造されたSAGは、製造されたSAG高さのいくらか、またはすべてを呈し、涙レンズの寸法の変化をもたらし、それによって動的部分の光強度を変化させる。製造されたSAGは、光強度における望ましい変化に基づいて設計することができる。
【0070】
涙レンズの間隙高さは、凝視変化中に、または眼瞼圧力に際して、10%~100%の製造されたSAG高さを呈することができる。間隙高さの復元可能なパーセントは、涙液の流れ、動的部分の下を流れる涙液のアベイラビリティ、および涙液リザーバ、チャネル、溝、開窓、移行幾何構造、周辺および端部の幾何構造等の構造特徴、および/または、動的レンズの異なる部分における涙液の流れを制御および/または促進する物質特性と面特性等の他の特徴によって、少なくとも部分的に決定され得る。実際、例えば厚さ、物質モジュラス、曲率半径、および直径を含む、製造されたSAG高さと共に動的レンズの他の構造特徴が、前方方向かつ角膜から離れるように動的部分に復元力を与えてポンプ力を生成し、動的部分の下の涙液を引き抜いて、準安定性の非適合構成で涙レンズを形成するのに寄与する。この復元力は、動的部分を後部方向かつ角膜に向かって移動させて、別の準安定性の非適合構成または適合構成をとらせる、動的レンズへの眼瞼圧力の適用により克服され得る。
【0071】
適合構成では、動的部分の後面と角膜との間の距離は、例えば3μm未満、2μm未満、または1μm未満であり得る。
【0072】
動的レンズは、動的部分が角膜に適合しないように設計し製造することができる。そのような実施形態では、動的部分は角膜を超えて、光強度を提供する涙レンズを生成するために10μm以上の間隙高さを生成する。例えば、6.2mmのベースカーブを伴う直径3mmの光学部は、中心周囲のベースカーブに対して40μmの間隙高さを生成し;または例えば、6.4mmのベースカーブ(BC)を伴う直径5mmの光学部は、中心周囲のBCに対して100μmの間隙高さを生成するだろう。適合構成では、動的部分の後面のベースカーブは、周辺部のベースカーブと実質的に同じであり得る。
【0073】
別の実施形態において、動的部分が、本明細書に開示されるような低モジュラス物質、例えば0.05MPaから10MPa、または0.1MPaから2MPaのヤング率を有する物質で作られるようにコンタクトレンズは設計され、角膜に適合しないように設計される。そのような実施形態では、動的レンズは、涙レンズを生成するために10μm以上の間隙を生成するように、角膜曲率を飛び越える。例えば、6.2mmのBCを伴う直径3mmの光学部は、中心周囲のBCに対して40μmの間隙高さを生成し;または例えば、6.4mmのBCを伴う直径5mmの光学部は、周辺のBCに対して100μmの間隙高さを生成するだろう。適合構成では、動的部分の後面のベースカーブは、周辺部のベースカーブと実質的に同じであり得る。
【0074】
適合構成は準安定性の状態を表す。準安定性は、準安定性の平衡を乱すために力がかけられない限り、またはかけられるまでの期間、構成が保全され得ることを意味する。
【0075】
準安定性の適合構成は、動的部分の後面と角膜の前面との間の付着力によって保全することができる。準安定性の適合構成は、動的コンタクトレンズの機械的な力学によって保全することができる。準安定性の適合構成は、付着力とレンズの機械力の組み合わせによって保全することができる。
【0076】
付着力は、例えば、涙液内の粘着力、および涙液の膜と角膜の前面との間の付着力を含む毛管力によって媒介され得る。動的部分の後面と角膜との間の涙液の薄膜の表面張力は、2つの面の付着をもたらし得る。涙液と前部眼表面が親水性であるため、付着力は、動的部分の後面もまた親水性である場合に好まれる。逆に、動的後面が疎水性の場合、付着力はより小さいだろう。
【0077】
機械力は、レンズの特定の領域の厚さの選択、レンズの特定の領域の湾曲の選択、および眼瞼によってレンズの操作を促進する特徴の組み込みによって生じ得る。
【0078】
適合構成では、付着力は動的後面全体にわたって拡がり、または動的後面の一部にわたって拡がることができる。
【0079】
適合構成では、動的後面と角膜との間の間隙は、動的部分の直径にわたって実質的に均一である。間隙の差異は、動的部分の中心における間隙距離と、中心から離れるラジアル距離での間隙距離との間の違いとして定義することができる。適合構成では、間隙の差異は小さく、かつ最小限である。適合構成では、間隙の差異は非適合構成よりも小さい。
【0080】
適合構成では、動的部分は、眼に第1の光強度を提供するように構成することができる。第1の光強度は0(0D)である場合もある。光強度は、例えば、0D~±6D、0D~±4D、0D~±3D、0D~±2D、または0D~±1Dの範囲内にあり得る。
【0081】
動的部分は1つ以上の準安定性の非適合構成を有し得る。
【0082】
1つ以上の非適合構成は、単一の非適合構成、2つ以上の別々の非適合構成、または複数の準安定性の非適合構成を含むことができ、非適合構成は連続的または別々であり得る。
【0083】
適合構成では、周辺部を有する移行ゾーンに向かう、動的部分の中央と動的部分の周辺におけるレンズの後面と角膜との間の間隙差異は、非適合構成よりも適合構成の方がより小さい。
【0084】
非適合構成では、動的部分は角膜に付着していない。動的部分は、動的部分の後面と角膜との間にレンズ形の容積を提供するために、角膜の面の上に拡がり、または面から離れるように膨らむ。レンズ形の容積は、涙レンズを形成するために涙液で満たされ得る。
【0085】
眼にある時、涙レンズと併せた動的コンタクトレンズの非適合構成は、眼に第2の光強度を提供し、ここで第1の光強度(適合構成における)と第2の光強度は同じではない。非適合構成における第2の光強度は、適合構成における光強度より大きくてもよく、または小さくてもよい。例えば、第2の光強度は、第1の光強度の±1D未満、±2D未満、±3D未満、±4D未満、±5D未満、または±6D未満であり得る。例えば、第2の光強度は、第1の光強度の0.1D~6D、0.1D~5D、0.1D~4D、0.1D~3D、0.1D~2D、0.1D~1Dである。例えば、第2の光強度は、第1の光強度の-0.1D~-6D、-0.1D~-5D、-0.1D~-4D、-0.1D~-3D、-0.1D~-2D、-0.1D~-1Dである。
【0086】
特定の動的コンタクトレンズでは、第1の光強度は、眼に対する光強度の変化をもたらさず;および特定の動的コンタクトレンズでは、第2の光強度は、眼に対する光強度の変化をもたらさない。
【0087】
特定の動的コンタクトレンズでは、適合構成は、眼に対する光強度の第1の変化をもたらし;および少なくとも1つの非適合構成では、光強度における第1の変化に加えて、眼に対する光強度の第2の変化をもたらす。
【0088】
単一の非適合構成では、動的部分は、動的中央部分が角膜に付着していない単一の構成を呈することができる。単一の非適合構成は準安定性であり得る。単一の非適合構成は、製造された動的部分と実質的に同じ形状であり得る。
【0089】
非適合構成は2つ以上の別々の構成を含むことができる。2つ以上の別々の非適合構成の各々は眼に異なる光強度を与えることができる。異なる光強度が、動的部分によって形成された涙レンズの異なる光強度によって作り出される。2つ以上の別々の構成の各々は準安定性であり得る。
【0090】
非適合構成は、別々または連続的であり得る複数の構成を含むことができる。これらの別々または連続的な構成は、準安定性である場合もあり、または安定していない場合もある。複数の別々または連続的な構成の1つ以上は準安定性であり得る。例えば、複数の連続的な構成内に含まれる準安定性の構成は、製造された動的部分の形状を実質的に含むことができる。
【0091】
非適合構成は、周辺部のベースカーブに対する中央間隙高さを特徴とする。周辺部の後面は、単一の湾曲を特徴とすることができ、図1Aと1Bに示されるように、動的コンタクトレンズの動的部分の下に伸長するように外挿され得る。非適合構成では、動的部分の後面と周辺ベースカーブとの距離は、周辺ベースカーブに対する間隙高さである。間隙高さは、非適合構成にある動的部分の周辺に向かって動的部分の中心から放射状に低下し得る。
【0092】
マイナスの涙レンズ等の特定の設計では、製造されたSAG高さと間隙高さは増加し、次に、周辺部と動的部分との間の移行ゾーンに向かって減少する。
【0093】
レンズの前面は多焦点構造を有することができ、その結果、例えば、動的部分が眼に追加の光強度を提供するために非適合構成を呈する場合、動的部分の周辺の領域は適合構成と同じ光強度を提供する。
【0094】
動的レンズ構成全体が、多焦点レンズの利点を提供するために多焦点レンズ設計に連結可能であり、他方で、望ましい条件下、例えば中間視と近見のために、動的レンズから追加の光強度をさらに提供する。
【0095】
眼に配置された時、周辺部は角膜に適合することができ、および周辺ベースカーブは角膜曲率と実質的に同じであり得、間隙高さは、角膜の前面を基準にすることができる。
【0096】
非適合構成では、動的部分の中央間隙高さは、適合構成の中央間隙高さよりも大きくなり得る。
【0097】
非適合構成では、間隙高さの差異は、適合構成の間隙高さの差異よりも大きくなる。
【0098】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、動的部分の構造に変化を引き起こすように構成された1つ以上の特徴を含むことができる。
【0099】
1つ以上の特徴は、眼瞼による特徴への圧力の適用に際し、構造に変化を引き起こし得る。眼瞼圧力を加えるためのメカニズムは、受動的、能動的、またはそれらの組み合わせであり得る。受動的メカニズムは、動的コンタクトレンズの着用者による意識行動を含み得るが、必須ではない。例えば、受動的メカニズムは凝視角度を変更することを含み得る。能動的メカニズムは、ある構成から他の構成への移行を引き起こすための、動的コンタクトレンズ着用者による意識行動を含むことができる。能動的メカニズムの一例は、動的部分のある構成から動的部分の他の構成への移行を引き起こすために意識的に瞬きする、または意識的に斜視であることを含む。意識的なメカニズムは、繰り返しの瞬き、または一定時間、眼瞼を閉じたままにすることを含み得る。
【0100】
構造変化を引き起こすためのメカニズムはまた、一旦毛管力が克服されると、動的部分を膨らませることができるレンズ内の内力に起因し得る。例えば、膨れを伴って製造されたレンズでは、膨れ構造は低エネルギー構成を表すことができる。適合する動的部分を解放するために毛管力が減らされた後、動的コンタクトレンズの物理的構造は、動的部分を角膜から離れるように膨らませ、かつ製造された形状を呈するための力として作用する。適合状態と非適合状態の間の移行を引き起こすためのメカニズムは、毛管力を含まなくてもよい。レンズ内の機械力は、動的部分の構成間移行をもたらし得る。涙液は、適合構成から非適合構成へ等の構成間での動的部分の移行中、またはその後に、涙レンズを形成するために動的コンタクトレンズの後面と角膜との間の容積に流れ込むことができる。機械力は、動的コンタクトレンズのデザインの設計の選択、およびレンズの異なる部分を形成する物質の選択から生じ得る。例えば、設計要素は、製造された動的コンタクトレンズの異なる部分の厚さ、剛性、および/または曲率半径を含み、かつ動的コンタクトレンズの前面上の突部の配置を含む。物質特性の例として、動的コンタクトレンズの異なる部分を形成する物質のモジュラスがあげられる。
【0101】
少なくとも1つの第1のメカニズム、および少なくとも1つの第2のメカニズムは、同じメカニズムであり得、または、例えば毛管力および/または内部機械力を含む異なるメカニズムであり得る。
【0102】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、中心幾何軸を含み得る。
【0103】
動的部分は、幾何軸の中央に、中心幾何軸の中心傍に、幾何軸から逸脱して、またはそれらの任意の組み合わせで配置することができる。例えば、動的部分は中心対称であり得、および動的コンタクトレンズの幾何軸を中心におくことができる。中心傍動的部分は、動的コンタクトレンズの中央の幾何軸のまわりにラジアル距離で対照的に配置することができる。動的部分はまた、幾何軸の中心から離して位置付けることができる。
【0104】
適合構成では、動的部分は角膜に実質的に適合するように構成することができる。
【0105】
適合構成では、動的部分は角膜に付着するように構成することができる。角膜への付着は、適合構成では、動的部分が準安定性の構成を呈し、ここで動的部分の後面は涙液の薄層によって角膜の前面から分離されることを意味する。角膜への付着は一時的であり得る。付着は、準安定性の平衡を確立するようなものであり得る。準安定性の平衡は、力の適用によって乱され得る。
【0106】
動的部分は毛管力によって角膜面に付着することができる。
【0107】
2つの浸水表面間の液体の層は毛細管のブリッジと呼ぶことができる。2つの面の間の毛細管の付着力は、狭い間隙から液体を引き抜く毛管作用によって引き起こされる。互いに向かって2つの面を引っ張る毛細管の付着力は、平衡状態にある2つの面の相対的位置を保全することができる。例えば、対向する面を引き離す等によって、平衡状態を混乱させることで、毛細管の付着力を減らし、かつ面を分離させることができる。
【0108】
非適合構成では、涙レンズは、動的部分の後面と角膜の面との間の容積内に形成することができる。涙レンズは眼に追加の光強度を提供することができる。涙レンズを満たすための涙液は、本明細書で開示されるように涙液リザーバから、動的コンタクトレンズの周辺部等における動的コンタクトレンズ間の涙液膜から、結膜の近位等の動的コンタクトレンズの周辺から、動的レンズの厚さに及ぶ開窓を通じて、またはそれらの任意の組み合わせから、生じ得る。動的コンタクトレンズの前面から後面に伸長する開窓を含む動的コンタクトレンズでは、涙液はまた、動的コンタクトレンズの前面上の涙液から生じ得る。
【0109】
動的コンタクトレンズの動的部分は、視覚の少なくとも2つの異なる深度に対して異なる光強度を提供するように構成することができる。視覚の深度は、例えば近見、中間視、遠見を含むことができる。
【0110】
例えば、角膜に適用された時に動的部分が適合構成で矯正された第1の視力を提供し、かつ少なくとも1つの非適合構成で矯正された第2の視力を提供するように、動的コンタクトレンズは構成することができる。
【0111】
例えば、角膜に適用された時に動的部分が適合構成で未矯正の第1の視力を提供し、かつ少なくとも1つの非適合構成で矯正された第2の視力を提供するように、動的コンタクトレンズは構成することができる。
【0112】
例えば、角膜に適用された時に動的部分が適合構成で矯正された第1の視力を提供し、かつ少なくとも1つの非適合構成で未矯正の第2の視力を提供するように、動的コンタクトレンズは構成することができる。
【0113】
第1の視力と第2の視力の各々は独立して、遠見、中間視、または近見を含むことができる。例えば、角膜に適用された時に動的部分が適合構成で未矯正の第1の視力を提供し、かつ少なくとも1つの非適合構成で矯正された第2の視力を提供するように、動的コンタクトレンズは構成することができる。
【0114】
構造の変化を引き起こすためのメカニズムは、涙液リザーバの操作を含むことができる。
【0115】
腔は、動的コンタクトレンズの後面に形成することができる。腔は、視覚に干渉しないように、レンズの周辺部と光学領域の外部に配置することができる。腔は圧縮可能または圧縮不可能であり得る。
【0116】
眼に適用された時、涙液リザーバを形成するために腔を涙液で満たすことができる。涙液リザーバは圧縮可能または圧縮不可能であり得る。動的コンタクトレンズは圧縮可能な涙液リザーバ、圧縮不可能な涙液リザーバ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0117】
涙液リザーバは、眼瞼圧力の適用によって圧縮可能であり得る。眼瞼圧力は、例えば眼の凝視角度の変更により、正常な瞬きにより、意図的な瞬きにより、斜視により、またはこれらのいずれかの組み合わせによって加えることができる。
【0118】
涙液リザーバは、例えば、0.1gmの力~10gmの力、0.2gmの力~8gmの力、0.5gmの力~6gmの力、1gmの力~5gmの力、または2gmの力~4gmの力の範囲内の力によって圧縮可能である。
【0119】
動的部分の構造に変化を引き起こすのに有効であるように、涙液リザーバが部分的に圧縮可能であることが単に必要とされる場合もある。例えば、構造の変化を引き起こすために、ある量の涙液が、動的部分の後面と角膜との間の涙液膜間隙に入れられてもよい。涙液の量は、間隙を広げる、またはそうでなければ毛管力を弱めて毛細管の付着を放すのに十分であり得る。その後、非適合構成への動的部分の移行により、涙液は拡大するレンズ形の容積を満たし、および少なくともいくらかの涙液が、涙液リザーバから取り出され得る。代替的に、または付加的に、1つ以上の別々の非適合構成または1つ以上の連続的な非適合構成を提供するために、涙液リザーバに眼瞼圧力を加えることにより、動的後面と角膜との間の間隙に、断続的に、連続的に、または半連続的に、涙液が入れられ得る。
【0120】
涙液リザーバはまた、非適合構成から適合構成へと移行するためのメカニズムに関係し得る。完全な圧縮状態または部分的圧縮状態から解放された時に涙液リザーバが拡張するように構成することができる。涙液リザーバの拡大するレンズ形の容積は、涙液膜と涙レンズから涙液を取り出すことができる。涙液リザーバを満たした結果は、適合構成の準安定性の状態を確立または回復するために、角膜に対して動的部分の後面を引っ張ることであり得る。
【0121】
1つ以上の涙液リザーバは、凝視変化中のみに眼瞼によって圧力が加えられた時に圧縮されるように構成することができる。凝視変化中に、角膜の前面および/または圧縮可能な涙液リザーバに眼瞼によって加えられる圧力は、前面によって眼瞼との動的な接触をもたらすことができる。正常な瞬き、意図的な瞬き、および/または斜視によって、圧縮可能な涙液リザーバにより多くの力をかけることができ、ここで斜視は、一定時間、かつ一定の力で目を閉じて保持され得る。
【0122】
したがって、少なくとも1つの第1のメカニズム、少なくとも1つの第2のメカニズム、または少なくとも1つの第1のメカニズムと少なくとも1つの第2のメカニズムの両方は、1つ以上の涙液リザーバ内の流体の操作を含むことができる。涙液リザーバは、周辺部の後面と角膜との間の涙液膜によって、涙液膜に、または後部部分と角膜との間の涙レンズに、流動的に連結することができる。
【0123】
腔は、圧迫中に涙液が動的部分の下に優先的に押し込まれ、および放出時に涙液が動的コンタクトレンズの動的部分の下から優先的に抜き取られるように、構成することができる。これは、例えば腔/涙液リザーバの形状の適切な選択により行うことができる。例えば、適切な形状は、くさび形の腔/涙液リザーバ等の動的部分に向かって狭くなる断面プロフィールを含むことができる。
【0124】
動的コンタクトレンズは1つ以上の涙液リザーバを含むことができる。
【0125】
単一の涙液リザーバは、動的コンタクトレンズの中心幾何軸からのラジアル距離に配置された同心性の腔を含むことができる。単一の涙液リザーバは、周辺部の一部のみに配された腔を含むことができる。例えば、単一の涙液リザーバは、動的コンタクトレンズの周辺部の2分の1にある弧形状の腔を含むことができる。例えば、弧形状の腔は、動的コンタクトレンズの中心幾何軸からのラジアル距離に配置することができ、およびユーザーによって装着された時に弧形状の涙液リザーバが動的コンタクトレンズの下側部分にあるように装着されるように構成することができる。単一の涙液リザーバは、リザーバが眼瞼と相互作用可能なように構成することができる。各リザーバが、例えば異なる内径を有することができるように、複数の環状のリザーバを設けることができる。圧力がリザーバにかけられた時に、涙液が環状のリザーバ内にではなく動的部分に優先的に移動するように、環状のリザーバはさらに区画を有することができる。
【0126】
動的コンタクトレンズは、複数の涙液リザーバ等の2つ以上の涙液リザーバを含むことができる。涙液リザーバは、一方または両方の眼瞼と相互作用し、かつ適合構成と非適合構成との間の移行を引き起こすのに適切なように、形成されて周辺部に配置され得る。涙液リザーバは、動的部分のまわりに対称的または非対称的に配置することができる。涙液リザーバは、視覚に干渉しないように光学部の外に配置することができる。
【0127】
少なくとも1つの第1のメカニズム、少なくとも1つの第2のメカニズム、または少なくとも1つの第1のメカニズムと少なくとも1つの第2のメカニズムの両方は、凝視変化中に、圧力が眼瞼によって動的コンタクトレンズに加えられた時に、動的コンタクトレンズの動的部分を圧縮することによって、および/または周辺部を圧縮することによって、涙液を交換する工程を含むことができる。涙液を交換する工程は、動的部分の後面と角膜との間の涙液膜、周辺後面と角膜との間の涙液膜、涙レンズ、1つ以上の涙液リザーバ、レンズの周辺の涙液、レンズの前面の涙液、またはこれらのいずれかの組み合わせのうちで、および/または間で、涙液を交換することを含むことができる。
【0128】
少なくとも1つの第1の特徴、少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、眼瞼と相互作用するように構成された動的コンタクトレンズの前面上の突部を含むことができる。
【0129】
動的部分と1つ以上の涙液リザーバは隣接することができる。この設計では、動的部分が前に膨らむように、涙レンズの周辺部での眼瞼動作は、動的中央部分を角膜の方へと移動させることができる。動的中央部分は、前に膨らむ場合に適合構成または非適合構成を呈することができる。動的中央部分は、前に膨らむ場合に少なくとも2つの異なる非適合構成を呈することができる。
【0130】
涙液リザーバ用途のための記載されるような類似の特徴は、涙液リザーバなしに使用することができる。動的コンタクトレンズは腔と涙液リザーバを有していなくてもよく、および、瞼および/または眼の凝視角度による類似の動作によって構造間の移行を引き起こすことができ、かつ涙レンズは、例えば涙液膜と涙液を交換することができる。
【0131】
突部は、視覚に干渉しないように光学領域の外側の動的コンタクトレンズの周辺部の前面に配置することができる。
【0132】
突部は、眼瞼との動的な接触時に摩擦力を提供するように構成することができる。摩擦力は、動的コンタクトレンズを眼の上で動かすことができ、または例えば、解放し、それによって適合構成から非適合構成への移行を引き起こすために、適合状態で付着性の毛管力を減らすのに十分な圧縮力を動的部分に加えることができる。突部は、動的部分のまわりに対称的または非対称的に配置することができる。突部は、動的コンタクトレンズの中央から様々なラジアル距離にある1つ以上の同心性の隆起を含むことができる。突部は、例えば120°、90°、60°、45°、または30°の角度で、動的中央部分のまわりに対称的に配置された別々の特徴であり得る。突部は、視覚に干渉しないように、動的コンタクトレンズの光学領域の外部に配置することができる。
【0133】
突部は、レンズの前面にある厚くなった領域であり、突部と眼瞼との間に動的な接触がある場合に機械力を生み出すように設計される。動的コンタクトレンズは1つ以上の突部を含むことができる。1つ以上の突部は、例えば、動的部分から0.5mm~5.5mm、1mm~5mm、1.5mm~4.5mm、または2mm~4mm等の動的部分からの特定の距離に配置することができる。突部は、例えば、0.5mm~3mm、1mm~3mm、または1mm~2mm以内の寸法を有することができる。1つ以上の突部は独立して、例えば10μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、または150μm~350μmの、動的コンタクトレンズの前面からの高さを有することができる。1つ以上の突部は独立して、楕円形、腎臓形、ドーム形状、または長方形等の任意の適切な断面プロフィールを有することができ、および側面は異なる傾斜を有することができる。
【0134】
突部が腔に重なる実施形態では、突部は、圧縮可能なように設計することができる。圧縮可能は、この文脈において、腔が圧縮した状態である構成において、動的レンズの前面上の突部の高さが、圧縮状態のそれ未満であるように、突部もまた角膜に向かって移動することを意味する。例えば、突部は、実質的に滑らかなプロフィールを提供するために前面の湾曲に実質的に適合してもよい。
【0135】
突部が腔に重なる実施形態では、重なり合い上の断面厚は、隣接した周辺部の厚さ未満であり、隣接した周辺部の厚さと同じであり、または隣接した周辺部の厚さよりも大きくなり得る。
【0136】
1つ以上の突部は、溝、凹み、および隆起等の、摩擦を高める表面特徴を含むことができる。溝、凹み、または隆起は、突部の寸法未満の寸法を有することができる。例えば、溝、凹み、または隆起の高さまたは深さは、100μm未満、75μm未満、50μm未満、または25μm未満であり得る。眼瞼と動的レンズとの間の摩擦を高めるための1つ以上の特徴の寸法は、ユーザーの快適性を促すように選択することができる。
【0137】
1つ以上の突部の位置と高さは、突部に対する眼瞼の動作が動的コンタクトレンズの動的部分の構造に変化を引き起こすことができるように選択することができる。突部により構造の変化を引き起こすことのできるメカニズムは、毛管力における変化および/または動的コンタクトレンズの内力における変化によることができる。下向きの凝視中に1つ以上の突部に対する眼瞼の力が動的部分に構造の変化を引き起こさせるように、突部を位置づけることができる。
【0138】
1つ以上の突部は、涙液リザーバ等の過度な腔であり得る。1つ以上の突部は、過度でなくてもよく、または涙液リザーバ等の部分的に過度な腔であり得る。
【0139】
図23A-23Cは、前面に突部を有する動的コンタクトレンズの図を示す。図23Aは、中央動的部分(2301)と突部(2302)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す、動的コンタクトレンズの周辺部(2304と2305)は、動的部分(2301)に連結され、かつ2つの異なる湾曲を特徴とする。周辺部は、動的部分(2301)と湾曲界面(2303)との間に第1の湾曲(2304)を有する部分、および界面(2303)と動的コンタクトレンズの端部(2306)との間に第2の湾曲(2305)を有する部分を含む。図23Bは、動的部分(2301)、中央動的部分(2301)のまわりに75°の角度で対照的に配置された5つ(5)の長方形突部(2302)、および湾曲界面(2303)を含む動的コンタクトレンズの前面の図を示す。図23Cは、動的中央部分(2301)と湾曲界面(2303)を含む動的レンズの後面の図である。図23A-23Cに示される動的レンズは、動的レンズの後面に腔を含まない。
【0140】
図24A-24Cは、後面のそれぞれの腔と提携した前面上の突部を有する動的コンタクトレンズの図を示す。図24Aは、中央動的部分(2401)と前面上の突部(2402)を有する動的コンタクトレンズの側面図を示す。動的コンタクトレンズの周辺部(2404と2405)は、動的部分(2401)に連結され、かつ2つの異なる湾曲を特徴とする。周辺部は、動的部分(2401)と湾曲界面(2403)との間に第1の湾曲(2404)を有する部分、湾曲界面(2403)と動的コンタクトレンズの端部(2406)との間の第2の湾曲(2405)を有する部分を含む。図24Bは、動的部分(2401)、中央動的部分(2401)のまわりに75°の角度で対照的に配置された5つ(5)の長方形突部(2402)、および湾曲界面(2403)を含む動的コンタクトレンズの前面の図を示す。図24Cは、動的中央部分(2401)、第1の湾曲を有する周辺部(2404)、第2の湾曲を有する周辺部(2405)、および湾曲界面(2403)を含む動的レンズの後面の図を示す。図24A-24Cに示される動的レンズは、動的レンズの後面に腔(2406)を含む。後面上の腔(2406)は、動的レンズの前面上のそれぞれの突部(2402)と提携し、かつそれらの基礎となることができる。
【0141】
例えば眼瞼圧力に続いて、重なる突部がない場合でさえも、そのような腔が圧縮可能または変形可能であり得ることをさらに認識すべきである。そのような圧縮性は、腔の上のレンズ厚さを薄くすることによって、腔の寸法を増すことによって、その幾何構造の変更、レンズの一般的な幾何構造の変更、または低モジュラスを有する物質の使用等の腔領域の剛性の変更によって、および/または腔に近接する周辺部の厚さを減らすことによって、達成され得る。
【0142】
動的涙レンズは、レンズと眼の間の空間の涙液の出入りを促進するために、少なくとも1つの開窓に流動的に連結することができる。開窓の数は、例えば1~20または3~10等の1~50であってもよく、および、例えば100μm~300μm等の50μm~600μmの内径を有してもよい。
【0143】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは光学領域を含むことができ、これは視覚のために使用される動的コンタクトレンズの領域を指す。
【0144】
動的部分は、光学領域の少なくとも一部と重なり合う。動的部分の寸法は、光学領域の寸法未満、光学領域と実質的に同じ、または光学領域の寸法未満であり得る。
【0145】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、動的部分に連結された周辺部を含むことができ、ここで周辺部は、角膜上で動的コンタクトレンズを保持するように構成される。動的部分と周辺部は移行ゾーンで連結することができる。移行ゾーンは、適合構成および/または非適合構成間の移行を促進し、適合構成および/または非適合構成間の移行を制御し、適合構成および/または非適合構成を安定させ、適合構成および/または非適合構成を不安定にし、またはこれらのいずれかの組み合わせ等のための寸法で構成することができる。
【0146】
例えば、周辺部と動的部分との間の移行ゾーンにおける断面厚は、動的コンタクトレンズの隣接した周辺部および/または動的部分の厚さよりも薄くてもよく、または厚くてもよい。例えば、動的コンタクトレンズの断面プロフィールにおいて、厚さは、周辺領域のレンズの周辺端部から、動的部分を有する移行ゾーンに向かって徐々に増していくことができる。動的部分の厚さは実質的に均一であってもよく、および移行ゾーンの厚さと同じ、移行ゾーンの厚さより薄い、または移行ゾーンの厚さより厚くてもよい。動的部分の厚さは、動的部分の中央まで、移行ゾーン厚さから増加してもよい。動的部分の厚さは、動的部分の中央まで、移行ゾーン厚さから減少してもよい。
【0147】
移行ゾーンは、準安定性の構造の維持を促し、準安定性の構造間の移行を促し、および/または涙レンズとの流体の交換を制御および/または促進するように構成することができる。
【0148】
動的コンタクトレンズは、第1のモジュラスを特徴とする第1の物質を含む動的部分;および第2のモジュラスを特徴とする第2の物質を含む周辺部を含むことができる。
【0149】
第1の物質と第2の物質は同じ物質を含んでもよく、または第1の物質と第2の物質は異なる物質を含んでもよい。
【0150】
第1のモジュラスは第2のモジュラスより大きくてもよく、第1のモジュラスは第2のモジュラスよりも小さくてもよく、または第1のモジュラスは第2のモジュラスと同じであってもよい。
【0151】
動的部分と周辺部は、単一のモジュラスを特徴とする単一の物質を含んでもよい。理解され得るように、中心からのラジアル距離での動的レンズの厚さに応じて、動的レンズは、中心からのラジアル距離で変動する剛性に特徴付けられ得る。
【0152】
第1のモジュラスは、例えば0.05MPa~100MPaの範囲内であってもよく;および第2のモジュラスは、0.05MPa~100MPaの範囲内であってもよい。
【0153】
第1のモジュラスは、例えば0.1MPa~2MPaの範囲内であってもよく;および第2のモジュラスは、0.1MPa~2MPaの範囲内であってもよい。
【0154】
例えば、第1のモジュラスと第2のモジュラスは独立して、例えば0.05MPa~10MPa、0.1MPa~8MPa、0.15MPa~6MPa、0.2MPa~4MPa、0.25MPa~3MPa、0.3MPa~2MPa、0.3MPa~1.5MPa、0.3MPa~1.0MPaの範囲内であり得る。
【0155】
第1の物質、第2の物質、または単一の物質の各々は独立して、シリコン、ヒドロゲル、シリコンヒドロゲル、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。ソフトコンタクトレンズを製造するために使用される任意の適した材料を使用することができる。動的部分は、非動的部分とは異なる物質から製造することができるが、動的コンタクトレンズを製造するために単一の基本素材を使用することができ、しかし、望ましい機械的性質を与えるために特定の領域が処理され、または修正され得る。例えば、周辺部と動的部分は同じ基本素材を含むことができるが、特定の領域は、例えば、準安定性の構成を示す、および/または眼瞼によって動的コンタクトレンズにかけられた力に応じて準安定性の構成間を移行する動的部分の性能を促進するため、より高い架橋密度またはより低い架橋密度の設計を有することができる。
【0156】
動的コンタクトレンズは後面を含むことができ;および後面の少なくとも一部は、後面の少なくとも一部と涙液との間の、角膜と涙液の間の、後面と角膜の間、またはこれらのいずれかの組み合わせの毛管力を制御するために選択された、物質、表面処理、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0157】
物質および/または表面処理は、毛管力に影響を与えることができる面の疎水性、親水性、極性、電荷、または他の属性を提供するように選択することができる。後面の特性は均一であり得、または不均一であり得る。後面の表面特性は、連続的または不連続であり得る。
【0158】
適切な表面処理の例として、コーティング、プラズマ処理、および浸透処理があげられる。
【0159】
物質自体は、望ましい表面特性を設定するために選択可能である。
【0160】
周辺部と動的部分を含むレンズの後面の特性は、同じであってもよく、または後面の1つ以上の領域において異なっていてもよい。例えば、ある面の特性は、角膜に対する動的部分の後面の毛細管の付着を制御するのが望ましい場合もあり、および異なる面の特性は、例えば涙液リザーバと動的部分との間の領域において、涙液の交換を促進するのが望ましい場合もある。
【0161】
断面プロフィールにおいて、動的部分は、後面と角膜との間の間隙プロフィールを含む後面を含むことができる。間隙プロフィールは間隙差異を特徴とすることができ、ここで間隙差異は、中央間隙高さと周辺間隙高さの差異である。間隙プロフィールは、動的部分の中央から、周辺部を有する外周移行ゾーンに向かってラジアル距離で低下する複数の間隙差異を含む。最大間隙差異は、中央間隙高さと、動的部分の外周の間隙高さとの差異として規定することができる。
【0162】
適合構成は、第1の最大間隙差異を特徴とし得る;非適合構成では、第2の最大間隙差異を特徴とし得る;ここで第2の最大間隙差異は第1の最大間隙差異よりも大きい。
【0163】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、製造された形状を含むことができる。製造された形状は、後面から前面に向かう周辺部の周辺ベースカーブから離れるように膨らむ動的部分を含む。
【0164】
動的コンタクトレンズは、前に膨らむ製造された動的部分を持たなくてもよい。動的部分は、例えば、周辺部の前面と実質的に連続する前面を有し得る。この構成における涙レンズは、動的部分の少なくとも一部を、周辺部を有する移行ゾーンの厚さ未満にすることによって設けることができる。そのような構成は、レンズに負の光強度を提供するのに有用であり得る。
【0165】
少なくとも1つの非適合構成の1つにおいて、動的コンタクトレンズは、製造された形状を含むことができる。
【0166】
動的コンタクトレンズは、周辺後面を含む周辺部を含むことができ、ここで周辺後面は周辺ベースカーブを含み、および動的部分は動的後面を含み、動的後面は動的ベースカーブを含む。
【0167】
適合構成では、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり得る。
【0168】
非適合構成では、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱し得る。例えば、動的部分の湾曲は、周辺ベースカーブよりも大きくてもよい。
【0169】
角膜は角膜曲率を特徴とし得る。動的コンタクトレンズの動的部分は、動的後面を含むことができ、ここで動的後面は、動的ベースカーブを特徴とし得る。適合構成では、動的ベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じであり得る。非適合構成では、動的ベースカーブは、角膜曲率から逸脱し得る。
【0170】
動的コンタクトレンズは、周辺後面を含む周辺部を含むことができ、ここで周辺後面は周辺ベースカーブを含み、および動的部分は、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを特徴とすることができる。
【0171】
動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央SAG高さを特徴とすることができ、および周辺ベースカーブに対する第2のSAG高さを特徴とする第2の構成を呈することができ、第1の中央SAG高さと第2の中央SAG高さは異なっている。第1の中央SAG高さは第2の中央SAG高さよりも大きくてもよく、および第2の中央SAG高さ未満であってもよい。
【0172】
動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央間隙高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央間隙高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成することができ、第1の中央間隙高さと第2の中央間隙高さは異なっている。第1の中央間隙高さは第2の中央間隙高さよりも大きくてもよく、および第2の中央間隙高さ未満であってもよい。
【0173】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、周辺後面と周辺前面を含む周辺部を含むことができ、ここで周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分、を含む。
【0174】
動的コンタクトレンズは、動的後面を含む動的部分であって、ここで動的後面は動的ベースカーブを特徴とすることができる、動的部分;および動的部分に連結され、周辺後面を有する周辺部であって、周辺後面は、周辺ベースカーブを特徴とすることができる、周辺部、を備える。
【0175】
ここで第1の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり得、および第2の構成では、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱し得る。第2の構成では、動的ベースカーブは周辺ベースカーブ未満であり得る。
【0176】
動的コンタクトレンズは、動的後面を含む動的部分を含むことができ、ここで動的後面は動的ベースカーブを含む。
【0177】
第1の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率と実質的に同じであってもよく;および第2の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率から逸脱してもよい。第2の構成では、動的ベースカーブは角膜曲率未満であり得る。
【0178】
動的コンタクトレンズは、周辺後面を含む周辺部を含むことができ、ここで周辺後面は周辺ベースカーブを特徴とすることができ;さらに周辺部に連結された動的部分を含むことができ、ここで動的部分は、周辺ベースカーブまたは動的部分に隣接する準周辺のベースカーブに対する、中心厚、中央SAG高さ、角膜への適用時の間隙高さを含む。
【0179】
動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央間隙高さを特徴とする第1の構成を呈するように構成することができ、および周辺ベースカーブに対する第2の中央間隙高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成することができる。
【0180】
第1の中央間隙高さと第2の中央間隙高さは異なってもよい。
【0181】
第1の構成と第2の構成は準安定性であり得る。
【0182】
動的コンタクトレンズは、動的後面を含む動的部分を含むことができ、ここで後面は動的ベースカーブを含む。
【0183】
第1の構成では、動的部分の後面は、第1のベースカーブを特徴とすることができ;および第2の構成では、動的部分の後面は、第2のベースカーブを特徴とすることができる。
【0184】
第1の構成は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成することができ;および第2の構成は、眼に第2の光強度を提供するように構成することができる。
【0185】
第1のベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じであり得る。
【0186】
動的コンタクトレンズは、第1の構成と第2の構成との間の変化を引き起こすように構成された、突部等の少なくとも1つの第1の特徴;および第2の構成と第1の構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを含む。
【0187】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズでは、動的部分はドーム形状であり得、かつ円形断面を有し得る。
【0188】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは動的部分を含むことができ、ここで製造された動的部分はSAG高さと中心厚を有し、中心厚はSAG高さ未満であり;および周辺部は動的部分に連結し、ここで周辺部は角膜上の動的コンタクトレンズを保持するように構成される。図1Aを参照すると、SAG高さは、動的部分にわたる周辺部の湾曲の伸長と、動的部分の中心軸における動的部分の後面との間の距離である。
【0189】
動的部分は、SAG高さ、中心厚、半径厚、後面プロフィール、前面プロフィール、直径、および球形プロフィールに関しては湾曲の後部と前部を特徴とし得る。
【0190】
動的部分の製造されたSAG高さ(図1Aの110)は、例えば、5μm~300μm、10μm~250μm、15μm~200μm、20μm~150μm、30μm~125μm、または40μm~100μmの範囲内であり得る。
【0191】
非適合構成では、間隙高さ(図1Aの110)は、例えば、5μm~300μm、10μm~250μm、15μm~200μm、20μm~150μm、30μm~125μm、40μm~100μmの範囲内であり得る。
【0192】
動的コンタクトレンズの中心厚(図1Aの112)は、例えば、10μm~600μm、20μm~600μm、30μm~600μm、40μm~500μm、50μm~400μm、100μm~300μm、150μm~200μm、50μm~100μm、100μm~150μm、150μm~200μm、200μm~250μm、または250μm~300μmの範囲内であり得る。
【0193】
動的部分(図1Aの115)は、例えば、1mm~7mm、1.5mm~6mm、1.5mm~5mm、2mm~5mm、2mm~4mm、または2.5mm~3.5mmの範囲内の直径を特徴とし得る。
【0194】
移行ゾーン(図1Aの108)は、10μm~600μm、20μm~600μm、30μm~600μm、40μm~500μm、50μm~400μm、100μm~300μm、150μm~200μm、50μm~100μm、100μm~150μm、150μm~200μm、200μm~250μm、または250μm~300μmの範囲内の厚さを有し得る。
【0195】
動的部分は球形プロフィールを有してもよく、後面および/または前面の曲率半径は、例えば、5mm~10mm、4mm~9mm、3mm~8mm、5mm~6mm、6mm~7mm、7mm~8mm、8mm~9mm、9mm~10mm、10mm~11mmであり得る。
【0196】
動的コンタクトレンズの動的部分は後面と前面を含むことができる。
【0197】
製造されるように、後面と前面を含む動的部分の形状は、外側への膨らみまたはドームを含むことができ、ここで動的部分は後から前へ、かつ周辺ベースカーブのプロフィールから離れる方向に伸長する。
【0198】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズでは、動的部分は、2つ以上の構成の各々が角膜の面に適合しない2つ以上の構成を呈するように構成することができる。したがって、動的コンタクトレンズは動的部分を含むことができ、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第1の非適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第2の非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なり;第1の非適合構成と少なくとも1つの第2の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の物理的特徴、および少なくとも1つの第2の非適合構成と少なくとも1つの第1の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2の物理的特徴を備える。
【0199】
多くの涙レンズは、例えば0.001μL~0.01μL、0.001~0.1μL、0.01μL~10μL、0.02μL~8μL、0.05μL~7μL、0.1μL~6μL、0.1μL~5μL、0.5μL~4μLの範囲内、または1μL~3μLの範囲内にあり得る。
【0200】
周辺部は、例えば、8mm~17mm、8.5mm~16.5mm、9mm~16mm、または9.5mm~15.5mmの範囲内の直径を有し得る。
【0201】
周辺部はベースカーブを特徴とすることができ、つまり前面の湾曲は、例えば、7mm~10mm、7.2mm~9.8mm、7.4mm~9.6mm、7.6mm~9.4mm、7.8mm~9.2mm、または8mm~9mmの範囲内である。
【0202】
本開示によって提供される特定の動的コンタクトレンズでは、動的部分は、眼に適用された時に構成間の動的な変化を促進するように構成することができる。例えば、動的部分は、例えば、凝視角度の変化によって、正常な瞬きによって、意図的な瞬きによって、眼瞼を閉じたままにしておくことによって、または眼に対する眼瞼の圧搾によって、引き起こされた眼瞼との動的接触中に構成を変化させることができる。
【0203】
動的部分の後部と前面は独立して、球形のプロフィールまたは非球形のプロフィールを有し得る。例えば、動的部分の厚さは、プロフィール全体にわたって実質的に一定であってもよく、移行ゾーンに向かって中央よりも薄くなってもよく、または移行ゾーンよりも中央に向かって厚くなってもよい。
【0204】
動的コンタクトレンズは、第1の曲率半径を特徴とする後面;および少なくとも1つの第2の曲率半径を特徴とする周辺部を含む動的部分を有してもよく、ここで第1の曲率半径は第2の曲率半径よりも小さい。言いかえれば、動的部分は、周辺ベースカーブから前に伸びる。
【0205】
動的コンタクトレンズの動的部分は厚さを含む。動的部分の厚さは中心厚を含むことができ、中心厚は、動的部分の物理的な中心における動的部分の厚さを指し、および、中心から周辺部を有する動的部分の移行ゾーンまでの動的部分のセグメントに及ぶ複数の半径厚を含むことができる。
【0206】
動的部分の厚さは、プロフィールにわたって実質的に均一であり得る。特定のレンズでは、厚さはプロフィールにわたって変動し、または不均一であり得る。例えば、中心厚は、複数の半径厚の各々よりも大きくてもよい。動的部分の厚さは、動的部分の中心軸のまわりで放射状に対称であり得る。
【0207】
動的部分の厚さは、プロフィールにわたって均一でなくてもよい。厚さは、周辺と比較して、中央に向かってより大きくなり、または中央に向かってより小さくなり得る。動的部分の厚さはまた、プロフィールにわたって変動し得る。
【0208】
動的部分と光学部は動的コンタクトレンズの光軸と並べることができる。動的コンタクトレンズの光軸は、レンズの中心軸を指す。いくつかの実施形態において、動的部分はレンズの光軸と並ばない。
【0209】
光学領域は、例えば、1mm~8mm、2mm~7mm、または3mm~6mmの範囲内の直径を特徴とすることができる。
【0210】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズの動的部分と周辺部は、シリコン、ヒドロゲル、またはシリコンヒドロゲルを含むことができる。
【0211】
動的コンタクトレンズの動的部分と周辺部は、同じ物質を含むことができる。動的部分と周辺部は、例えば異なる物理的および/または機械的性質によって特徴づけられた異なる物質を含むことができる。動的部分と周辺部は、異なるモジュラスを有する物質により特徴付けられ、および該部分は異なる剛性を示すことができる。
【0212】
動的部分と周辺部もまた、剛性を特徴とすることができる。断面の剛性は、断面の厚さの三乗である物質モジュラスに比例する。認識され得るように、周辺部が単一の物質を含む場合、断面の剛性は、周辺部の端部から動的部分を有する移行ゾーンへと厚さが増すにつれて増加する。
【0213】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、変形可能な動的部分と、変形可能な動的部分に連結された周辺部を含むことができる。動的部分は、視覚の深さに適合するために変形するように構成することができる。周辺部は、角膜上の動的コンタクトレンズを保持するように構成することができる。
【0214】
眼に適用された時、動的部分の後面と角膜の前面との間のレンズ形の容積は、涙レンズを形成するために涙液で充填することができる。動的コンタクトレンズでは、動的部分は、視覚の距離に応じて形状を変更するように構成される。動的部分の構成における変化は、動的涙レンズを提供する。動的部分の構成は連続的に変化することができ、または別々の構成を呈することができる。動的部分を有する動的コンタクトレンズは、周辺部の湾曲から外部(後ろから前方向)に拡がるドームを有するように製造することができることを認識すべきである。外に拡がるドームを有する製造されたレンズがユーザーによって装着された時、ドームは製造されるよりも小さく外に拡がることができることも認識すべきである。言いかえれば、角膜に適用された時、動的コンタクトレンズは外に伸びることができる。
【0215】
第1および第2の構成は、涙レンズによって与えられた異なる光強度に対応する。第1の構成は、遠見に適切であり、および第2の構成は近見に適切であり得る。第1の構成は、近見に適切であり、および第2の構成は遠見に適切であり得る。
【0216】
動的部分の目的は、眼の視距離に応じて動的部分の光強度を変更するのを容易にすることである。例えば、遠見に適した第1の構成では、動的部分は、前部の角膜面の近位に配され、および近見では、動的部分は涙レンズを形成するために角膜から離れるように拡がる。
【0217】
特定の動的コンタクトレンズでは、動的部分の光強度は、動的部分の構成が変化しても変化しない。言いかえれば、動的部分の光強度における変化は、優位に、または単に、涙レンズの光強度における変化に起因する。例えば、動的部分が異なる構成を呈するため、動的部分の厚さと、動的部分の後面と前面の相対的な断面のプロフィールは変わらない。周辺部の形状は、動的部分の構成が変化した時にあまり変化しない場合もある。周辺部は、角膜上に動的コンタクトレンズを保持するように構成することができ、角膜の光学領域の中央に動的コンタクトレンズを保持し、かつ角膜上の動的コンタクトレンズの転移を最小化する。例えば、角膜上のレンズの転移は、±1.5mm未満、±1.0mm未満、または±0.5mm未満である。
【0218】
異なる構成では、動的部分の中心厚と動的部分の半径厚は、あまり変わらない場合もある。例えば、動的部分は複数の半径厚を含むことができ、および第1の構成における複数の半径厚は、第2の構成における対応する半径厚と実質的に同じである。
【0219】
変化する構成を有する動的部分の均一のプロフィールもまた、湾曲の点で考慮され得る。特定の動的コンタクトレンズでは、動的部分は光強度を有さず、および動的部分の後面と前面は、同じ曲率半径を特徴とする球形プロフィールを有する。曲率半径は、動的部分の直径、動的部分を有する移行ゾーンにおける周辺部の厚さ、および間隙高さによって定義することができる。
【0220】
特定の動的コンタクトレンズでは、動的部分は、第1の曲率半径を含む後面を含むことができ、動的部分は、第2の曲率半径を含む前面を含むことができ、および第1の構成における第2の曲率半径に対する第1の曲率半径の比率は、少なくとも1つの第2の構成における比率と同じである。
【0221】
特定の動的コンタクトレンズでは、動的部分は複数の半径厚を特徴とすることができ、複数の半径厚の各々は、動的部分にアクセス可能な間隙高さの範囲全体にわたって実質的に同じである。
【0222】
動的部分の構成は、眼瞼によって動的コンタクトレンズにかけられた力の適用に際して変化するように構成することができる。力は、周辺部、周辺部の領域、および/または動的部分にかけることができる。
【0223】
眼瞼力は、遠見のために前方を見つめる等の凝視角度の変更により、または近見のために下方を見つめることによって、適用することができる。眼瞼力は正常な瞬き、または意図的な瞬きによって適用することができる。意図的な瞬きは、ある期間、眼瞼を閉じておくこと、ある期間、閉じた眼瞼を圧搾すること、および/または複数回、前述のいずれかを繰り返すことを含み得る。
【0224】
眼瞼力は、ある構成から他の構成へと動的部分を移行するために、またはある構成から他の構成への移行を加速するために、使用され得る。
【0225】
眼瞼によってかけられた力によって動的部分の構成の変化が引き起こされるため、涙レンズの光強度は変化し得る。
【0226】
製造されるように、動的コンタクトレンズの動的部分は、動的コンタクトレンズの周辺部の拡張プロフィールに対してドームを形成するように、前方に拡がる。
【0227】
動的部分が角膜の前面の近位にある構成では、動的部分は、粘着性と密着性の毛管力の組み合わせによってこの準安定性の構成で保持することができる。涙液膜の層の厚さが減ると、動的部分の後面と角膜の前面との間の付着力が、涙液の粘着力よりも大きくなり、それによって動的部分に、動的部分が角膜の面に実質的に適合する準安定性の構成をとらせる。
【0228】
眼瞼力によって引き起こされる2つ以上の構成間の、またはその構成のうちの動的部分の移行は、様々な方法と特徴を使用して促進することができる。
【0229】
特定の方法において、角膜に対して動的部分を保持する毛管力は、2つの面の間の分離を高めることによって破壊され得る。これは、例えば、面の間の涙液を押し、それによって付着力を減らして、動的部分の後面を解放することによって、行うことができる。構造に応じて、解放に際して動的部分は、完全に拡張したドーム形状の構成を呈することができ、および涙液は、涙レンズを涙液で満たすために、周辺部の後面と角膜との間の移行ゾーンから引き抜かれ得る。代替的に、または併用して、繰り返しの瞬きは、涙レンズへの、および/または涙レンズからの涙液の移動を促進するのに使用することができる。瞬きは、意図的な瞬きを含むことができ、それによってユーザーは、動的部分を完全に拡張することなく望ましい視力矯正を達成することができる。
【0230】
特定の方法では、眼瞼によって周辺部に与えられた摩擦力は、動的部分の構成、したがって涙レンズの光強度を変化させるために使用することができる。そのような方法では、角膜に対して動的部分を保持する毛管力に打ち勝つのに十分な力を与え、それによって動的部分の後面を解放して涙レンズを提供するために、眼瞼は周辺部を捕らえ、かつ中心に向かって動的コンタクトレンズを物理的に圧搾することができる。機械力を与える眼瞼の能力を促進するために使用され得る物理的なレンズ特徴の例として、動的コンタクトレンズの周辺部の前面上の隆起等の突部、周辺部における厚み、周辺部の端部と結膜との間の摩擦を高める特徴、および周辺部での多数の湾曲の使用があげられる。
【0231】
拡張構成における動的部分は、意図的な瞬きによって角膜面に対してもたらされ得る。
【0232】
動的涙レンズの断面図は図2Aと2Bに示される。図2Aは、未矯正の遠見に適した構成の動的涙レンズを示す。図2Bは、矯正された近見に適した構成の動的涙レンズを示す。
【0233】
図2Aと2Bは、動的部分(201)と周辺部(202)を有する、動的コンタクトレンズ(200)を含む。周辺部(202)は、内側後面(203)と内側前面(204)を含む動的部分(201)、および周辺後面(205)と周辺前面(206)を含む。動的コンタクトレンズ(200)は角膜(208)の前面(207)に対して位置する。涙液膜(209)は、動的コンタクトレンズ(200)の後面(203/205)と角膜(208)の前面(207)との間に位置する。涙液は涙液リザーバ(210)を満たす。眼瞼(211)は、動的コンタクトレンズの周辺に向いており、および涙液リザーバを圧縮しない(図2Aを参照)。視野の方向は、未矯正の遠見視力と適合するように光軸(212)と並べられる。
【0234】
図2Aでは、未矯正の遠見に適するように、動的部分(201)は角膜の前面に適合し、および/または角膜の前面の近位にある。周辺後面(205)に配置された涙液リザーバ(210)は、涙液で充填される。眼瞼(211)は涙液リザーバ(210)から離れている。
【0235】
図2Bでは、矯正された近見に適するように、近くの対照に焦点を合わせるために眼が下方に移動する(212)(下方注視)と、眼瞼(211)は涙液リザーバ(図2Aの219)超えて移動し、動的部分の方へと涙液を押すようにリザーバを圧縮する。同時に、前部の角膜面(209)に対する内側後面(203)の接着は分解され、その結果、動的部分(201)を外に向かって角膜(208)から遠ざかるように膨らませる。涙レンズ(213)は、内側後面(203)と角膜(208)の前面(209)との間に形成され、これは近見視力を矯正する役目をする。図2Bに示される他の要素は、図2Aで識別される通りである。図2Cと2Dは、それぞれ図2Aと2Bのものに類似する動的コンタクトレンズの構成を示し、ここで動的コンタクトレンズは涙液リザーバを含まない。図2C図2Dにある要素は、図2Aに定義される通りである。
【0236】
図3A-3Dは、角膜上の本開示によって提供される動的コンタクトレンズの例の断面図の、光干渉断層法(OCT)画像を示す。図3A-3Dは、動的コンタクトレンズ(300)、外側に膨らんでいる動的部分(301)、および周辺部(302)を示す。動的コンタクトレンズは角膜(306)に配置される。図3Aは、内側動的部分が角膜表面に近接している場合の、間隙のない、かつ膨らみのない動的コンタクトレンズを示す。図3B-3Dは、それぞれ43μm、84μm、および105μmの間隙高さを有する動的コンタクトレンズを示す。図3B-3Dに示される内側動的部分の膨らみは、視力矯正のための涙レンズ(304)を生成する。
【0237】
上記の方法に加えて、または上記の方法の代替として、動的部分の構成の変更は、涙液リザーバを出入りする涙液の流れを操作することによって促進され得る。
【0238】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、周辺部の後面に配置された複数の腔を含むことができる。視覚に干渉しないように、腔はレンズの光学領域の外にあるのが望ましいだろう。
【0239】
周辺部の後面が1つ以上の腔を含むように動的コンタクトレンズを製造することができる。
【0240】
1つ以上の腔は、動的コンタクトレンズが角膜に適用された時に、1つ以上の涙液リザーバを提供するように構成することができる。
【0241】
1つ以上の腔は、動的コンタクトレンズが角膜に適用された時に、1つ以上の圧縮可能な涙液リザーバを提供するように構成することができる。眼瞼によってかけられた力が腔を圧縮することができるように、腔と周辺部の前面との間の周辺部の厚さは十分に薄くてもよい。眼瞼力は、瞬き、意図的な瞬き、または腔の上を動く眼瞼の動作によって、与えることができる。
【0242】
腔は、2つ以上の構成間の動的部分の移行を促進する任意の適切な方式で配置し構成することができる。
【0243】
例えば、1つ以上の腔は、動的部分に対称的に配置することができる。1つ以上の腔は、動的部分に非対称的に配置することができる。
【0244】
1つ以上の腔は、1つ以上のコンセントリックリング、1つ以上の溝、1つ以上のくさび形の腔、および/または1つ以上の丸い腔を含むことができる。
【0245】
腔は、動的部分のまわりで連続していてもよく、または複数の別個の腔を含むことができる。腔は、長方形またはくさび形のように細長くてもよく、ここで長軸はレンズの中心を指す。別個の腔は、涙液の充填と、腔の間および/または腔と動的部分との間の流れを促進するために、チャネルに流動的に連結することができる。
【0246】
例えば、別個の腔は、0.1mm~5mmの範囲内の幅、0.1mm~5mmの範囲内の長さ、および10μm~200μmの範囲内の深さを有することができる。
【0247】
腔は、連続的、半連続的、または別個であり得る。連続的な腔は、動的部分のまわりに配置された単一の腔を指す。連続的な腔の一例は、コンセントリックリングまたは複数のコンセントリックリングである。コンセントリックリングは、任意の適切な断面形状を有し得る。例えば、断面形状は、丸、楕円形、正方形、長方形、三角形、および/または角のあるものであり得る。多数のコンセントリックリングは、1つ以上の流路に流動的に連結され得る。
【0248】
分離された流体腔の一例は、動的コンタクトレンズの動的部分のまわりに配置された多数の腔である。多数の腔は、45°離す等により動的部分のまわりに対称的に配置することができ、または動的部分のまわりに間隔をおいて配置することができる。例えば、一群の腔は、例えば120°、90°、60°、45°、または30°の間隔で、または他の任意の適切な間隔で、動的部分のまわりに配置することができる。分離された腔は、任意の適切な寸法と横断面形を有することができる。例えば、分離された腔は、半球または三角形の横断面形を有することができる。腔は、楕円形、長方形、円筒状、環状、または他の任意の適切な断面形状であり得る。腔は対称的であってもよく、または幅と異なる長さを特徴とすることができる。
【0249】
1つ以上の腔は、例えば、動的部分から0.5mm~5.5mm、1mm~5mm、1.5mm~4.5mm、または2mm~4mm等の動的部分からの特定の距離に配置することができる。腔は、例えば、0.5mm~3mm、1mm~3mm、または1mm~2mmの範囲内の寸法を有することができる。1つ以上の腔は独立して、例えば、10μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、または150μm~350μmの、動的コンタクトレンズの前面からの高さを有することができる。1つ以上の腔は独立して、楕円形、腎臓形、ドーム形状、または長方形等の任意の適切な断面プロフィールを有することができ、および側面は異なる傾斜を有することができる。
【0250】
半連続的な腔は、動的コンタクトレンズの後面に形成されたチャネルによって流動的に連結される別個の腔を指す。チャネルは、涙液が隣接した涙液リザーバ間を流れることを可能にすることができる。
【0251】
角膜に配置された時、涙液リザーバを形成するために腔を涙液で満たすことができる。
【0252】
眼瞼の動作、または凝視角度での変化を伴う眼瞼による動的接触による圧縮時に、角膜に対して動的部分を保持する毛管力を破壊するために、および/またはSAG高さを増加させるために、動的コンタクトレンズの動的部分の方へと涙液を押すことができる。涙液リザーバは、涙レンズを満たすために涙液の源を提供することができ、それによって、ある構成から他の構成へと変わる際により速い反応を促進する。
【0253】
眼瞼圧力が除去される場合、リザーバは拡張し、涙レンズから涙液を引き抜いてリザーバを涙液で満たし、角膜の方へ効果的に動的部分を引くように作用することができる。腔および結果として生じる涙液リザーバは、涙レンズに出入りする涙液を押し、かつ引き抜く役目を担うことができる。腔は、準安定性の構成間の動的部分の移行を促進するために、動的コンタクトレンズの内部の機械的性質を修正する役目を担うことができる。
【0254】
図4A-4Dは、涙液リザーバが溝を含む、本開示によって提供される動的コンタクトレンズを示す。図4A-4Dに示される動的コンタクトレンズ(400)は、動的部分(401)、周辺部(402)、内側後面(403)、内側前面(404)、周辺後面(405)、および周辺前面(406)を含む。レンズの周辺後面にある溝の形態の腔は、涙液リザーバ(407)を提供する。未矯正の遠見に関して図4Aに示されるように、動的部分の後面は、角膜(図示せず)の前面に対応する湾曲がある。図4Bに示されるように、溝のある涙液リザーバ(407)に眼瞼(図示せず)によってかけられた圧力は、矢印(408)によって示されるように動的部分の方へと涙液を押す。涙液リザーバ(407)の断面は、動的部分に向かって狭くなり、および動的部分から離れると深くなる。図4Cで示されるように、動的部分はその後、外側に変形して、涙レンズを形成する下への膨らみを形成する。同時に、涙液リザーバは角膜に対して横になるように圧縮する。涙レンズは近見視力を矯正することができる。図4Dは、動的部分(401)、同心性の涙液リザーバ(407)、および周辺部(402)を含むレンズの底面図を示す。
【0255】
図5Aと5Bは、涙液を保持するための別個の腔を有する動的コンタクトレンズの、それぞれ断面図と底面図を示す。図5Aに示される断面図では、くさび形の腔(507)は、変形可能な動的部分(501)のまわりに配置される。図5Bに示される底面では、腔(507)は、動的部分(501)のまわりの周辺部(402)に対称的に配置される。腔は、動的コンタクトレンズの動的部分の方へ向けられたより狭い部分を伴って形成されたウェッジであり得る。
【0256】
図6は、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの3つの(3)断面図を示す。上面図は、水に浸された、製造されたレンズを示す。レンズの動的部分は、レンズの幾何軸の中心にあり、および外へと周辺部のベースカーブから離れるように膨らむ。中央の図は、角膜に適用された動的コンタクトレンズを示す。動的部分は、角膜の湾曲に実質的に適合し、および動的部分のベースカーブは周辺部のベースカーブと実質的に同じである。動的コンタクトレンズが角膜に適用されている下の図では、動的部分は、動的部分が外へと角膜から離れるように膨らむ第2の構成を呈する。動的部分のベースカーブは、周辺部のベースカーブと同じではない。涙レンズは、動的部分の後面と角膜の前面との間に形成される。涙レンズの結果として、下の図の動的コンタクトレンズは、中央の図に例示される適合構成と比較して、+3ジオプトリー(+3D)の光強度を提供する。眼の光学部は、動的部分とレンズの周端部との間に位置する。
【0257】
例えば、計算に基づくと、特定の直径を有するレンズでは、ある非適合構成から、眼に+3のジオプトリーを提供する第2の適合構成への変化は、特定の間隙差(円蓋高さ)を必要とする。例えば、2mmの光学径を有するレンズでは、ある非適合構成から、眼に+3のジオプトリーを提供する第2の適合構成への変化は、非適合構成と適合構成との間の5μmの間隙差を必要とする。あるいは、図7に示される例のように、4mmの光学径を有するレンズでは、間隙は19μm増加し、または5mmの光学径を有するレンズでは、間隙は30μm増加し、さらに+3ジオプトリー(+3D)の光強度を提供する。これらの計算については、前部の角膜ベースカーブはR7.75mmであり、および動的部分の前面は、前方に膨らむ場合にR7.25mmの湾曲を有した。
【0258】
図8は、準周辺の涙液リザーバを有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的コンタクトレンズは、前面(803)と後面(804)を有する動的部分(801)、前面(805)と後面(806)を有する周辺部(802)、周端部(807)、中央部(817)、中央後面(818)、および動的部分(801)の中心厚(812)を含む。後面(818)の湾曲は、周辺部(806)の後面のベースカーブと同じ、または類似する。
【0259】
図9A-9Cは、角膜(904)に適用された、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの断面図を示す。図9Aは、104μm(左)のSAG高さを有する涙液リザーバ(901)、72μm(右)のSAG高さを有するレンズの動的部分(903)の下の涙レンズ(902)を示す。図9Bでは、動的部分(903)は角膜(904)の面に実質的に適合し、および涙液リザーバ(901)のSAG高さは、144μmへと増加する。図9Cでは、0.1gmの力から10gmの力の圧力が、図9Bに示される涙液リザーバ(901)に加えられた後、動的部分(903)は、76μmのSAG高さを有する涙レンズ(902)を再形成するために角膜(904)から離れるように膨らみ、および涙液リザーバ(901)のSAG高さは120μmに減らされる。
【0260】
図10に示される動的コンタクトレンズでは、涙レンズ(1002)を有する動的部分(1003)、動的コンタクトレンズの中心幾何軸のまわりに中心傍的に設置された。動的コンタクトレンズの中央部は、角膜(1004)の表面に適合する。
【0261】
動的部分のまわりに腔と涙液リザーバを対称的に配置することは、眼における配向と無関係に動的コンタクトレンズの機能を変えることができる。動的コンタクトレンズを回転式に対称にさせることで、動的コンタクトレンズを装着するためのユーザーの能力を促すことができる。
【0262】
ある構成から他の構成への動的部分の移行を促進するための、圧縮可能な腔のこの押し/引き動作は、構成を変更するための唯一のメカニズムとしての役割を担うことができ、または意図的な瞬きによって増大され得る。例えば、意図的な瞬きは、例えば涙液を押し出すことにより、動的部分と角膜との間の涙液層を薄くすることにより、動的部分が角膜表面の近位にある構成を安定化するのを助けることができる。
【0263】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは動的部分を有することができるが、構成間の移行のためのメカニズムを含むことができない。動的コンタクトレンズは、周辺部の後面のベースカーブから動的部分が前方に膨らむ製造された形状を有することができる。角膜に適用された時、動的部分は涙レンズを形成する。しかしながら、動的涙レンズとは異なり、この実施形態では、動的コンタクトレンズは、レンズに対する眼瞼圧力における変化により構成を変更しない涙レンズを生成することができる。特定の実施形態では、コンタクトレンズの動的部分は、変形に抵抗するように構成することができる。適合構成および少なくとも1つ以上の適合構成、または多数の非適合構成を呈するように構成された動的部分を有するコンタクトレンズに関連して、静的な涙レンズを有するコンタクトレンズは、角膜に配置された時に単一の非適合構成を呈する。コンタクトレンズ、動的部分、および静的な涙レンズを有するように構成されたレンズの周辺部は、動的部分が多数の構成を呈するように構成されているコンタクトレンズに関して寸法を測ることができる。静的な涙レンズを有するコンタクトレンズは、不規則な角膜の視力の矯正、乱視の処置、および角膜創傷治癒に適しているだろう。静的な涙レンズを有するように構成された本開示によって提供されるコンタクトレンズの例は、図1Bに示される。図1Bは、動的部分と周辺部を有するコンタクトレンズの断面図を示す。角膜に適用された時、涙レンズは、動的部分(1001)の後面と角膜の前面(図示せず)との間に形成され得る。
【0264】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは1つ以上の開窓を含むことができる。
【0265】
1つ以上の開窓は、視覚に干渉しないように、レンズの周辺部と光学領域の外部に配置することができる。
【0266】
1つ以上の開窓は、周辺部の厚さを通って伸長することができ、周辺部の前面と後面を流動的に連結することができる。開窓は、上皮に隣接する涙液膜への涙液の流れを促進することができ、およびレンズ構成に応じて、動的涙レンズを出入りする涙液の流れを促進することができ、および/または眼の健康状態を促進するために上皮に沿った涙液の交換を促進することができる。
【0267】
1つ以上の開窓は、1つ以上の腔に流動的に連結することができる。開窓は、動的コンタクトレンズの前面から1つ以上の腔へと涙液が流れることを可能にすることができ、これは、異なる構成間の動的部分の移行を促進することができる。
【0268】
開窓は、動的コンタクトレンズの後面のチャネルに流動的に連結され得る。チャネルは、レンズの周辺領域から動的部分へと拡がることができる。チャネルはまた、動的コンタクトレンズの動的領域に流動的に連結され、または連結されない場合もある流体腔を流動的に連結することができる。
【0269】
図33A-41Bは、本開示によって提供される動的コンタクトレンズの例の断面図を示す。
【0270】
図33Aと33Bは、中央動的部分(3301)と、動的レンズの後面の腔(3302)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(3301)の厚さは実質的に均一である。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図33A)、および適合構成(図33B)で示される。非適合構成では、腔は圧縮状態であり、および適合構成では、腔は非圧縮状態である。
【0271】
図34Aと34Bは、中央動的部分(3401)、動的レンズの後面の腔(3402)(圧縮状態)、および動的レンズの前面上の突部(3403)と、重なり合うそれぞれの腔(3402)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図34A)、および適合構成(図34B)で示される。非適合構成では、腔は圧縮状態であり、および適合構成では、腔は非圧縮状態である。突部(3403)は、眼瞼によって加えられた圧力を用いて圧縮を行う腔の能力を促進する。
【0272】
図35Aと35Bは、図34Aと34Bに示されるものに類似する動的コンタクトレンズの断面図を示すが、突部と腔の位置は一致していない。図35Aと35Bに示される動的レンズは、動的部分(3501)、動的レンズの後面の腔(3502)、および動的レンズの周辺部の前面上の突部(3503)、非重複腔(3502)を有する。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図35A)、および適合構成(図35B)で示される。非適合構成では、腔は圧縮状態であり、および適合構成では、腔は非圧縮状態である。突部(3503)は、眼瞼によって加えられた圧力を用いて圧縮を行う腔の能力を促進する。
【0273】
図36Aと36Bは、中央動的部分(3601)と、動的レンズの後面の腔(3602)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(3601)は不均一な厚さを有し、その結果、中央(3605)が周辺部(3607)を有する外周移行ゾーン(3606)よりも厚い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図36A)、および適合構成(図36B)で示される。非適合構成では、腔(3602)は圧縮状態であり、および適合構成では、腔(3602)は非圧縮状態である。
【0274】
図37Aと37Bは、中央動的部分(3701)と、動的レンズの後面の腔(3702)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(3701)は不均一な厚さを有し、その結果、中央(3705)は周辺部(3707)を有する外周移行ゾーン(3706)よりも薄い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図37A)、および適合構成(図37B)で示される。非適合構成では、腔(3702)は圧縮状態であり、および適合構成では、腔(3702)は非圧縮状態である。
【0275】
図38Aと38Bは、中央動的部分(3801)と、動的レンズの前面の突部(3803)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(3801)は不均一な厚さを有し、その結果、中央(3805)は周辺部(3807)を有する外周移行ゾーン(3806)よりも薄い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図38A)と適合構成(図38B)で示される。
【0276】
図39Aと39Bは、中央動的部分(3901)、動的レンズの後面の腔(3902)、およびそれぞれの腔(3902)を覆う突部(3903)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(3901)は不均一な厚さを有し、その結果、中央(3805)は周辺部(3907)を有する外周移行ゾーン(3906)よりも薄い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図39A)、および適合構成(図39B)で示される。非適合構成では、腔(3902)は非圧縮状態であり、および適合構成では、腔(3902)は圧縮状態である。適合構成では、突部(3903)は、実質的に滑らかな前面を提供するように圧縮可能である。
【0277】
図40Aと40Bは、中央動的部分(4001)、動的レンズの後面の腔(4002)、およびそれぞれの腔(4002)に重なる突部(4003)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(4001)は不均一な厚さを有し、その結果、中央部(4005)は周辺部(4007)を有する外周移行ゾーン(4006)よりも薄い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図40A)と適合構成(図40B)で示される。非適合構成では、腔(4002)は非圧縮状態であり、および適合構成では、腔(4002)は圧縮状態である。突部(4003)は圧縮可能ではなく、またはそれらが前面から突出するように部分的に圧縮可能である。
【0278】
図41Aと41Bは、中央動的部分(4101)、動的レンズの後面の腔(4102)、および腔(4102)の位置と一致していない突部(4103)を有する動的コンタクトレンズの断面図を示す。動的部分(4101)は不均一な厚さを有し、その結果、中央部(4105)は周辺部(4007)を有する外周移行ゾーン(4106)よりも薄い。動的レンズのプロフィールは、非適合構成(図41A)と適合構成(図41B)で示される。非適合構成では、腔(4102)は非圧縮状態であり、および適合構成では、腔(4102)は非圧縮状態である。突部(4103)は圧縮可能ではなく、またはそれらが前面から突出するように部分的に圧縮可能である。
【0279】
図33A-41Bは、非適合構成と適合構成の動的コンタクトレンズを示す。動的コンタクトレンズは、間隙高さが他の非適合構成とは異なる少なくとも1つの第2の非適合構成を呈することができる。適合構成と1つ以上の非適合構成は準安定性である。
【0280】
動的部分の後面、周辺部の後面、または動的部分と周辺部の両方の後面は、表面処理を含むことができる。
【0281】
表面処理は、動的部分の後面、周辺部の後面、または動的部分と周辺部の両方の後面への、涙液の接着力と粘着力を制御し、修正し、および/または選択するように構成可能である。
【0282】
表面処理は、動的コンタクトレンズの内側後面および/または周辺後面のすべてまたは一部に適用されてもよい。
【0283】
腔を含む動的コンタクトレンズでは、表面処理は、腔の壁に、および/または腔から伸長するチャネルに適用されてもよい。
【0284】
表面処理は、例えばコーティング、薄膜、化学処理、プラズマ処理、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0285】
表面処理は、動的部分の後面、周辺部の後面、または動的部分と周辺部の両方の後面の疎水性、親水性を修正するために選択することができる。
【0286】
表面処理は、動的部分の後面と角膜との間の毛管力を制御し、および/または調整するために選択することができる。
【0287】
表面処理は、涙レンズを出入りする涙液の流れを制御し、および/または促進するために選択することができる。
【0288】
動的コンタクトレンズの後面は、後面の親水性/疎水性を制御するために選択された物質を含むことができる。後面は、後面の電荷、後面の極性、またはそれらの組み合わせを制御するために選択された物質を含むことができる。
【0289】
Dkは酸素ガス透過率、すなわち任意の時間と圧力差条件において動的コンタクトレンズ等のデバイスを通過する酸素の量を指す。Dkは、barrerとしても知られる、10-11(cm/sec)(mL O)(mL×mmHg)の単位での式である。酸素透過率はDk/tとして表わすことができ、tは動的コンタクトレンズ等の構造の厚さであり、したがってDk/tは、所与の一定の時間にわたり圧力差条件において特定の厚さの動的コンタクトレンズを通過する酸素の量を表す。酸素透過率は、barrers/cmまたは10-9(cm/sec)(mL O)(mL×mmHg)の単位を有する。
【0290】
眼の健康状態は、酸素ガス透過性を有するレンズ材料によって促進される。動的コンタクトレンズでは、酸素ガス透過率が約80Dkより大きいのが一般的に望ましい。この高酸素ガス透過率は、高モジュラス物質および/またはより厚い物質断面では、取得が困難であろう。
【0291】
動的コンタクトレンズの動的部分と周辺部は、約10Dk~約500Dk、約50Dk~約400Dk、約50Dk~約300DK、および特定の実施形態では約50DK~約100DKの酸素ガス透過率を特徴とする物質を含むことができる。
【0292】
動的コンタクトレンズは、イオノポロシティ(ionoporosity)を有するシリコンまたはシリコンヒドロゲルを含んでもよい。例えば、動的コンタクトレンズは、低いイオン透過率を含むシリコンヒドロゲルまたはシリコンを含んでもよく、および水の範囲は約5%から約35%であり得、その結果、Dkは100×10-11以上である。低いイオン透過率は、約0.25×10-3cm/sec以下、例えば約0.08×10-3cm/sec以下のイオノトンイオン透過係数を含み得る。
【0293】
動的コンタクトレンズは、動的コンタクトレンズの少なくとも前面に配置された湿潤性表面コーティングを含んでもよく、その結果、涙液膜は動的コンタクトレンズ上で滑らかである。湿潤性表面コーティングは、例えば患者が瞬きをする時に眼を滑らかにするために、患者の快適さのために滑らかなコーティングを含んでもよい。湿潤性コーティングは、約80°以下の接触角を生成する場合もある。例えば、コーティングは約70°以下の接触角を生成する場合もあり、および接触角は、視力のための滑らかな涙層を有する表面を提供するために、約55°~65°の範囲内であり得る。例えば、湿潤性コーティングは、デバイスの上面と下面の両方、つまり動的コンタクトレンズの前面と後面に配置可能である。上面は、少なくとも内側光学部上に拡がる湿潤性コーティングを含んでもよい。
【0294】
湿潤性コーティングは1つ以上の適切な材料を含んでもよい。例えば、湿潤性コーティングはポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよく、およびPEGコーティングはParylene(商標)に配置することができる。代替的に、湿潤性コーティングはプラズマコーティングを含んでもよく、およびプラズマコーティングはルミナス(luminous)化学蒸着(LCVD)膜を含んでもよい。例えば、プラズマコーティングは、炭化水素、例えばCH、O、またはフッ素含有炭化水素、例えばCFコーティングの少なくとも1つを含んでもよい。代替的に、または組み合わせて、湿潤性コーティングは、ポリエチレングリコール(PEG)コーティング、または2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含んでもよい。例えば、湿潤性コーティングは、Parylene(商標)コーティングに配置されたHEMA、または湿潤性コーティングは、Parylene(商標)コーティング上に配置されたN-ビニルピロリドン(NVP)を含んでもよい。
【0295】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、例えば30wt%~60wt%等の10wt%~70wt%の水分を有することができ、wt%は、動的コンタクトレンズの総重量に基づく。
【0296】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズを製造するのに適した任意の方法を使用して製造することができる。適切な方法の例として圧縮成形があげられる。製造されると、動的部分が外に膨らんでドーム、中心傍の膨れ、または他の前向きの表面プロフィールを形成するように、動的コンタクトレンズは製造することができる。
【0297】
動的コンタクトレンズを製造する方法は、例えば、動的コンタクトレンズを形成する工程を含み、動的コンタクトレンズは:動的部分であって、SAG高さと中心厚を含み、ここで中心厚はSAG高さ未満である、動的部分;および動的部分に連結された周辺部であって、角膜上で動的コンタクトレンズを保持するように構成された周辺部を含む。動的コンタクトレンズを製造する方法は、例えば、動的コンタクトレンズを形成する工程を含み、動的コンタクトレンズは:動的ベースカーブを特徴とする動的部分;および動的部分に連結された周辺部であって、周辺部は周辺ベースカーブを含み、動的ベースカーブは周辺ベースカーブとは異なる、周辺部を含む。例えば、動的部分の湾曲の半径は周辺部の曲率半径未満であり得る。例えば、動的部分の湾曲の半径は、中心傍の周辺部の曲率半径未満であり得、中心傍の周辺部は、移行ゾーンおよび動的部分に隣接する周辺部の一部である。動的レンズを製造するために使用される物質は、従来のソフトコンタクトレンズでの使用に適した物質であり得る。物質は、例えば、0.05MPa~30MPa、0.1MPa~20MPa、0.1MPa~10MPa、0.1MPa~5MPa、または0.1MPa~2MPaのヤング率を含むことができる。
【0298】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、製造されたSAG高さで製造することができる。製造された中央SAG高さは、動的部分の中心における後面から、動的部分に隣接する中心傍の周辺部のためのベースカーブの伸長部までの距離を指す。製造された中央SAG高さは図1Aに要素(110)として示され、ここで破線は、動的部分の下の中心傍周辺部のベースカーブの伸長である。製造された中央SAG高さは、レンズが角膜に配置された時、および涙レンズを形成するために動的部分が涙液で満たされた時に達成可能な最大間隙である。涙液のアベイラビリティを含む多くの因子に応じて、40μmの製造された中央SAG高さを有する動的部分は、例えば、40μm、30μm、20μm、および/または10μmの間隙を有する準安定性の涙レンズを製造することができる。100μmの製造された中央SAG高さを有する動的部分は、例えば、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、および/または10μmの間隙を有する準安定性の涙レンズを製造することができる。
【0299】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、視力を矯正または改善するために使用することができる。
【0300】
患者の視力を矯正する方法は、矯正視力を必要とする患者の眼に、本開示によって提供される動的コンタクトレンズを適用する工程を含むことができる。
【0301】
視力矯正は、遠視、近視、乱視、または老眼の矯正を含み得る。
【0302】
本開示によって提供される方法は、患者の老眼に、本開示によって提供される動的コンタクトレンズを適用することによって老眼を処置する工程を含む。
【0303】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、動的に視力を矯正するように設計することができる。例えば、老眼は、近くの対象に眼の焦点を合わせることができないことを特徴とする。本開示によって提供される動的コンタクトレンズの動的部分は、遠見視力または近見視力のいずれかを適合するために動的に構成を変更することができる。例えば、老眼に関して、遠くの対象を見るのに適した第1の構成において、動的コンタクトレンズの動的部分は角膜の近位にあり得る。この構成では、涙レンズはなく、および遠見視力は未矯正である。次に、患者が近くの対象を見る場合、動的コンタクトレンズの動的部分は、老眼を矯正し、かつ近くの対照を明確に見ることを容易にする第2の構成を呈することができる。これは、動的部分の半径厚を変更せず、または動的部分の湾曲比率を変更せずに行われる。むしろ、動的部分が外へと膨らむため、レンズ形の容積は、近見視力を動的に矯正するのに役立つ涙レンズを提供するために拡大する。涙レンズは、動的コンタクトレンズの動的部分の光強度を変更する。
【0304】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズはまた、老眼を矯正し、かつ近視の進行を防ぐために、多焦点レンズとして使用することができる。
【0305】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズの静的な構成は、乱視を処置するために、または角膜の創傷治癒のために、不規則な角膜を補うために使用することができる。
【0306】
涙レンズを組み込む動的コンタクトレンズは、不規則に形成された角膜から結果として生じた視力を矯正することができる。不規則に形成された角膜は、レーザー屈折矯正角膜切除術または角膜クロスリンキング術を含む眼の外科手術から結果として生じるように、恒久的または一時的であり得る。涙レンズは乱視を矯正することができる。そのような疾病の処置では、静的な涙レンズを有する本開示によって提供される動的コンタクトレンズが適切であり得る。
【0307】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、眼の治療に続く視力の増強または回復に使用することができる。眼の治療は、眼組織の操作を含むことができ、および光学領域外の病変に関係し得る。眼の治療は、眼組織を切開し、光学領域内にデバイスを植え込むことを含み得る。特定の実施形態では、眼の治療は、間質および/または上皮の少なくとも一部を切除することを含んでいる。眼の治療は、例えば、水晶体超音波吸引術、従来の嚢外白内障摘出術、および嚢内白内障摘出術を含む白内障手術;レーザー線維柱帯形成術、虹彩切開術(irdotomy)、瞳孔形成術(irdectomy)、強膜切開、隅角切開、チューブシャント手術(drainage implant surgery)、および管形成術を含む緑内障手術;角膜移植手術、全層角膜移植術、人工角膜移植術、翼状片切除、角膜タトゥー、およびOOKP(osteo-ondonto-keratoprosthesis)を含む角膜手術;およびレーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)とレーザー光線による近視手術(LASIK)を含む光屈折治療を含む。眼の治療はさらに、眼の創傷の処置を含んでもよく、ここで処置は、眼の外科手術を含む場合もあれば含まない場合もある。眼の治療は、白内障手術、角膜インレー外科手術、角膜移植術、または眼の外傷創傷の処置を含み得る。眼の治療は、光学領域外の部位で角膜を切開する、および/または角膜を穿孔することを含み得る。
【0308】
一般的に、白内障手術、角膜インレー外科手術、および角膜移植術等の眼の治療は、角膜の光学領域のみの、または主として角膜の光学領域の操作を含む眼の治療とは区別することができる。付属物または除去される眼組織の交換品としてデバイスが眼組織に植え込まれる移植術と見なすことができる前者の眼の治療では、手術は、光学領域自体に加えて光学領域外の眼組織の操作を含む。後者の治療は、屈折視力の欠陥を矯正するために角膜の光学領域が切削される屈折矯正手術によって例示される。屈折矯正手術の例として、例えばPRKとLASIKがあげられる。角膜の光学領域の操作を含む眼の治療は、治療が光学領域外の眼組織の操作をさらに含む程度まで包含される。例えば、LASIKは、フラップを形成するために光学領域外の間質に切開を行うことを含む。次にフラップは、間質を暴露するために後ろに上げられ、その後、屈折矯正のための形状を提供するためにレーザーを使用して切除される。さらに、光学領域外の組織を含む眼の操作と光学領域内の組織の操作を含む光屈折術は、組み合わせることができる。例えば、レーシック手術法等の角膜インレー外科手術および関連する光屈折術は、組み合わせることができる。
【0309】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、角膜のインレー手術または角膜のアンレー手術に続いて角膜を処置するために使用されてもよい。角膜のインレーとアンレーは、視力を改善するために、眼の前面、つまり角膜の前面を再形成するために角膜へと挿入される小さなレンズまたは他の光学デバイスであり、場合によっては小さなコンタクトレンズに似ていてもよい。現在の角膜インレーの主な使用は、近見視力を改善し、老眼に対処するためである。場合によっては、角膜インレー外科手術は、老眼と、近視、遠視、および/または乱視等の一般的な屈折障害の両方を矯正するために、LASIK等の光屈折術と組み合わせることができる。
【0310】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、白内障手術に続いて角膜を処置するために使用されてもよい。特定の実施形態では、眼の治療は白内障手術を含む。白内障手術は、白内障と呼ばれる、混濁の進んだ眼の生来の水晶体の除去と置換を含んでいる。
【0311】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、角膜移植術に続いて角膜を処置するために使用されてもよい。角膜移植治療は、例えば、全層角膜移植術、層状角膜移植術、深前部層状角膜移植術、および内皮角膜移植術を含む。
【0312】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、眼の治療に続いて患者の眼に適用された時、眼の欠損の治癒を加速する。眼の欠損は、角膜および/または他の眼組織の切開と穿孔を含む。
【0313】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、クロスリンキング治療に続いて角膜を処置するために使用されてもよい。角膜のクロスリンキングは、角膜における化学結合を強化し、それによって拡張として知られる角膜の形状への不規則な変化に抵抗する角膜の能力を促進する技術である。
【0314】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、例えばPRKおよびLASIK等の、光屈折治療に続いて角膜を処置するために使用されてもよい。屈折眼手術は、眼の屈折の状態を改善するために使用され、例えば、自動化層状角膜移植術(ALK)、LASIK(laser assisted in-situ keratomileusis)、レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)、LASEK(laser assisted sub-epithelium keratomileusis)、EPI-LASIK、放射状角膜切除術、ミニ非対称放射状角膜切開術(mini asymmetric radial keratotomy)、弓形角膜切開、LRI(limbal relaxing incision)、熱角膜移植術、レーザー熱角膜移植術、角膜実質内リングセグメント除去、および有水晶体眼内レンズ移植等の手術を含む。これらの手術のいずれかに続いて、最適な視力が回復するまでの期間が存在する。例えば、LASIKでは、最適な視力は典型的に、外科手術に続いて約24時間以内に達成される。この回復期間中に、最適以下の視力に加えて、患者は、羞明または光感度および/または灼熱感等の不快感を経験する場合もある。最適な視力を達成するための時間を減らし、かつ屈折眼手術に関係する不快感を軽減または排除する方法が望まれる。
【0315】
PRKは、光屈折の欠陥を矯正するために間質を形成するのにレーザーが使用される外科手術である。プロセスでは、切除された間質の部分に重なる上皮は上皮欠損を形成するために除去される。
【0316】
LASIKは、近視、遠視、および乱視等の屈折視力の欠陥を矯正するために使用される外科手術であり、ここでレーザーは、視力、例えば画像の明澄度と鮮鋭度を改善するために角膜を再形成するのに使用される。LASIK手順は、角膜の外科的な切断とレーザー切削術の両方を含んでいる。LASIKの間に、眼は、柔らかい角膜サクションリングの適用によって固定される。次に、外側の角膜にフラップが、刃またはレーザーを使用して生成され、フラップの1端にヒンジを残す。フラップはその後、間質、または角膜の中間部分を暴露するように折り返される。次にレーザーが使用されて角膜基質を気化し、組織を除去して角膜を再形成し、視力を矯正する。間質性の層が再形成された後、フラップが眼上に再配置され、および自然な接着によって位置に留まる。最適な視力は通常、外科手術に続いて約24時間以内に達成される。
【0317】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、乱視等の屈折障害を矯正するように構成することができる。レンズは滑らかな球形の前面を提供し、および内側光学部の屈曲性を減らすことによって、かつ装着中にレンズの中心化を維持することによって、レンズがもたらす歪曲を最小化する。内側光学部の屈曲性の減少は、部分的に、内側部分の剛性を高めることによって、および涙レンズを生成することによって、行うことができる。内側光学部の中心化は、光学素子の傾きによって引き起こされる乱視とプリズム効果を最小化し、さらに端部の歪曲を最小化する。
【0318】
上記は、眼の意図的な操作に関係した眼の治療に焦点を置いているが、動的コンタクトレンズおよび動的コンタクトレンズを使用する方法はまた、例えば外傷創傷の処置等の、眼に対する他の傷害の処置にも有用であり得ることが認識され得る。眼への外傷はまた、浮腫を引き起こし、様々な眼組織間の界面を損ない得る。したがって、手術後の方法に加えて、本開示によって提供される動的コンタクトレンズは、眼への外傷創傷の治癒に有用である。外傷は、例えば、鈍的外傷と鋭的外傷等の物理的外傷、化学的損傷、爆風損傷、熱傷、および精神的トラウマを含む。外傷創傷の処置は、埋め込まれた対象物を除去する、または瘢痕組織を除去する等の外科手術を含んでもよい。外傷が浮腫と視覚異常を生成する程度まで、動的コンタクトレンズの適用は、より速い視覚の回復をもたらし、および関与する眼組織を安定させることによって治癒を加速する。外傷はまた、角膜の前面を含む眼組織に欠損をもたらし、および上皮および/または支質を含み、かつ内部眼組織に損傷をもたらす場合もある。したがって創傷治癒は、必ずしも外科手術によってもたらされない、眼組織への物理的な損傷に関係した創傷の治癒を含む。
【0319】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズはまた、保護用デバイスとして使用されてもよい。例えば、動的コンタクトレンズは、物理的な外傷、化学物質からの保護、微粒子からの保護、および浮腫からの保護による、外傷等の可能性のある傷害から眼を保護するために使用されてもよい。保護用デバイスとして、動的コンタクトレンズは、可能性のある外傷への予想される暴露に先立って眼に適用することができる。可能性のある外傷から眼を保護するために装着された時、動的コンタクトレンズは、物的バリア、眼の前面を密封することによる化学的バリアを提供することができ、および/または送風圧等の無形の力、または他の身体各部にもたらされた外傷によって引き起こされる浮腫を予防し、または最小化する場合もある。特定の実施形態では、可能性のある外傷から眼を保護することは、ガス、蒸気、粉塵、または煙から眼を保護することを含む。特定の実施形態では、保護は、浮腫からの保護を含む。
【実施例
【0320】
本開示によって提供される実施形態は、以下の実施例への言及によってさらに例示され、これらは、本開示によって提供される動的コンタクトレンズ、および動的コンタクトレンズの使用を記載する。
【0321】
実施例1:眼モデルにおける動的コンタクトレンズの光学的機能
【0322】
動的部分を有する動的コンタクトレンズの図は、図11に示される。文字「A」をモデル角膜に適用し、および動的コンタクトレンズを文字とモデル角膜上に適用した。シミュレートされた眼瞼の左型と右側における特徴。図11では、角膜に圧力は加えられなかった。
【0323】
図12に示されるように、シミュレートされた眼瞼を中央に向かって、つまり動的部分に向かって動かすことによって、圧力が動的コンタクトレンズに適用されると、動的中央部分の屈折は、より後方の光強度に移行した。その結果、文字「A」のサイズは約170%大きい。
【0324】
図13に示されるように、シミュレートされた眼瞼を中央動的部分から動かすことによって人工的な眼瞼圧力をレンズから解放すると、動的中央部分の屈折力は、約100ミリセカンド内で最初の光強度に戻った。
【0325】
食塩水を、涙液を模擬するために使用した。
【0326】
実施例2:眼モデルにおける涙液リザーバを有する動的コンタクトレンズの光学的機能
【0327】
動的部分と周辺涙液リザーバを有する動的コンタクトレンズを眼モデル上に配置し、OCTによって画像化した。
【0328】
図14Aに示されるように、画像の右端の動的部分(1401)は、適合状態にある。レンズとモデル角膜(1402)との間に涙レンズはない。高さが144μmである涙液リザーバ(1403)は、画像の左側に明白である。
【0329】
図14Bに示されるように、光圧が涙液リザーバ上に適用された時、リザーバ(1403)の高さは120μmに低下し、および動的部分(1401)は、76μmの間隙高さを有する涙レンズ(1404)を形成するために非適合構成を呈した。
【0330】
実施例3:眼モデルにおけるレンズの光学的機能
【0331】
動的部分を有する動的コンタクトレンズを、50歳の男性のヒトの眼に配置した。
【0332】
動的コンタクトレンズは以下の特性を有した:8.9mmのベースカーブ、14.5mmの直径、100μmの中心厚、10mmの厚さ、半径は200μm、SAGは200μm、および動的部分の直径は20mmであった。
【0333】
眼の屈折の矯正を、標準自動屈折計を使用して測定した。
【0334】
眼の屈折の矯正は-2.25Dであると判定され、および角膜のベースカーブは7.4mmであった。
【0335】
動的部分を有する動的コンタクトレンズを眼に配置した。動的部分(1501)は角膜(1502)に適合し、図15のOCT画像によって示されるように、動的部分の後面と角膜との間に明白な間隙はなかった。眼に必要とされた屈折矯正は、+3.5Dであり、およびレンズの前部湾曲は7.52mmであった。これは、レンズの光強度が-5.75Dであったことを示した(-2.25Dを矯正(未矯正の眼に必要)+3.5D(レンズによる追加の近視シフト))。
【0336】
次に、圧力を動的コンタクトレンズの周辺部に加えた。動的部分(1501)は、図16のOCT画像によって示されるような非適合構成を呈した。間隙(1503)は、動的部分の後面と角膜(1502)との間にはっきりと表れている。非適合構成において眼に求められる屈折の矯正は、-2.75Dであり、涙レンズ(1503)の強度が、+6.25D(+3.5Dプラス遠視シフトの2.75D)の光強度を光学系に加えたことを示した。
【0337】
実施例4:ヒトの眼上での涙レンズ形成
【0338】
本開示によって提供される動的コンタクトレンズをヒトの眼に適用した。
【0339】
図17Aは、一次凝視で76μmの高さを有する涙液リザーバ(1701)を示す。OCTで画像化されたヒトの眼の領域は、区分ごとに図17Bで特定される。
【0340】
実施例5:中心傍の動的部分
【0341】
動的部分を有する動的コンタクトレンズをヒト角膜上に適用した。動的部分(1003)は、動的コンタクトレンズの中心傍領域に設置された。図10に示されるように、非適合動的部分はレンズ中心に対して中心傍である。適合構成では、動的部分は、正の光強度を眼に加える。
【0342】
実施例6:動的コンタクトレンズ例の構成と寸法
【0343】
動的コンタクトレンズの例の構成と寸法は図18-20に示される。
【0344】
図18は、中央の膨れに向かって開いた経路/隆起と周辺の360°溝を有する動的コンタクトレンズを示す。動的レンズは、圧力が下眼瞼によって溝のセクター上に加えられた時に涙液が中央に配向され得るように設計されている。
【0345】
図19は、中央の膨れに向かって開いた経路/隆起を伴う、周辺部に6つの(6)涙液ポケットを有する動的コンタクトレンズを示す。動的レンズは、圧力が下眼瞼によって溝のセクター上に加えられた時に涙液が中央に配向され得るように設計されている。
【0346】
図20は、動的部分のものに類似する寸法を有する周辺の360°溝を有する動的コンタクトレンズを示す。
【0347】
実施例7:負レンズには動的部分がある。
【0348】
図21は、負の涙レンズ(2102)を形成する中央動的部分(2101)のOCT画像を示す。中央動的部分の厚さは動的部分の中心に向かって減少する。図22は、レンズの中央が角膜(2203)に適合する負の涙レンズ(2202)を示す。動的部分の中心の厚さは、周辺部を有する移行ゾーンでの厚さよりも薄い。
【0349】
実施例8:内力に対するレンズパラメータの効果、以下の実施例11を参照。
【0350】
患者の眼に適用された時の動的部分の形状に対する動的部分の製造された形状の効果は、図25A-25Cに示される。
【0351】
図25Aは、動的部分の後面と角膜との間の間隙の、動的部分の製造されたSAG高さに対する関係を示す。
【0352】
例えば、図25Aを参照すると、0.76MPaのヤング率を有するシリコンヒドロゲルで作られ、かつ3mmの直径(4.72mmの曲率半径と等しい)にわたって約10μmの製造された中央SAG高さを有する動的コンタクトレンズでは、7.6mmの前部湾曲を有する眼に適用された時、動的部分の中央にある後面と角膜との間の間隙は約100μmである。間隙高さは、製造されたSAG高さによって生成された復元力と涙液のアベイラビリティとの間の平衡である。間隙高さは、涙液のアベイラビリティに依存する。例えば、図25Aに示されるように、間隙高さは製造されたSAG高さの約10%のみである。追加の涙液を用いて、間隙高さは最大で、製造されたSAG高さの100%になり得る。涙液のアベイラビリティは、動的部分によって画定される間隙内の涙レンズとの涙液の交換を促進する、流体リザーバ、チャネル、開窓、および他の物理的特徴を含めることによって制御され、および/または促進され得る。動的レンズは、14.5mmの直径、3mmの直径の動的部分、200μmの中心厚を有し、かつシリコンヒドロゲルで作られた。
【0353】
図25Bは、7.6mmの前部湾曲を有する、眼上の3mmの直径(6.19mmの曲率半径と等しい)にわたり40μmの製造されたSAG高さを有する0.76MPaのヤング率のシリコンヒドロゲルで作られ、かつ37μmの間隙高さを有する涙レンズを有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
【0354】
図25Cは、7.6mmの前部湾曲を有する、眼上の3mmの直径(4.72mmの曲率半径と等しい)にわたり100μmの製造されたSAG高さを有する0.76MPaのヤング率のシリコンヒドロゲルで作られ、かつ96μmの間隙高さを有する涙レンズを有する動的コンタクトレンズのOCT画像を示す。
【0355】
図25Bと25Cに示される涙レンズを生成するために、涙液が周辺部の下に提供され、および涙レンズを形成するために動的部分の下を流れるようにした。両方の画像は、あらかじめ製造されたSAG全体の下に涙レンズを生成するために、動的レンズがその完全なあらかじめ製造された可能性のあるSAGを実現することができることを実証する。したがって、ソフトコンタクトレンズ材料を使用し、および動的レンズが周辺部または準周辺部よりも小さな曲率半径を有する製造された中央動的部分を有すると仮定すると、10μmより高い間隙が、動的部分と角膜との間に形成される。図25Aのグラフも参照されたい。さらに、より多くの涙液が、動的部分と角膜との間に涙レンズを形成するのに利用可能な場合、動的部分は、さらに角膜から離れて飛び越えることができる。
【0356】
涙液のアベイラビリティは、レンズの幾何構造、リザーバ、チャネルおよび開窓等の涙液の流れまたは交換を促進する特徴、製造されたSAG高さ、および眼瞼によってレンズに適用される圧力を含む、いくつかの因子に依存し得る。60μmから110μm(レンズの中央にある動的部分の後面と周辺部のベースカーブとの間の距離)の製造されたSAG高さを有する動的コンタクトレンズを製造し、眼に適用し、そして動的部分の後面と角膜との間の間隙を測定した。製造されたSAG高さと間隙高さの関係は、準安定性の非適合構成の幾何構造上の、あらかじめ製造されたドームによって引き起こされた内部機械力を反映する。あらかじめ製造されたSAG高さが大きいほど、生成されるポンプ力も大きい。
【0357】
内部機械力はまた、動的部分の厚さを増すことによって、動的部分の直径を減らすことによって、および動的部分を形成する物質のヤング率を高めることによって、増加させることができる。これらの効果は図26A-26Cに例示され、これらは、動的部分の中央の後面と角膜との間の間隙のグラフを示し、動的部分に対する製造されたSAG高さは、200μm(図26A)、250μm(図26B)、および300μm(図26C)の厚さを有する。認識され得るように、図26A-26Cは、剛性の増加を有する動的部分を表す。
【0358】
動的部分の製造された厚さが増加すると、内力が増加し、かつ間隙高さが増加した。シリコンヒドロゲルレンズは、0.76MPaのモジュラス、14.5mmのレンズ直径、3mmの動的部分直径、および8.9のベースカーブを有した。各動的部分の厚さごとに、製造されたSAG高さは、50μm~250μmで変動した。
【0359】
実施例9:周辺隆起を有する動的レンズ
【0360】
周辺部の前面に隆起を有する動的コンタクトレンズの断面図の概略は、図27に示される。動的レンズは、14.5mmの直径、200μmの中心厚、200μmの予め製造されたSAGを有し、動的部分の直径は3mmであり、および周辺隆起は、350μmの隆起と、550μmの周辺部の厚さを含む総厚さを有した。図27に示される動的レンズは、200μmの厚さと100μmの製造されたSAG高さ(2402)を有する動的部分(2401)、周辺部(2405)にある腔(2403)、および腔(2403)に重なる最大350μmの様々な厚さの突部(2404)を含む。
【0361】
眼上に配置されたレンズの写真は図28に示される。図28は、眼上にあるのり付けされた隆起を有する動的コンタクトレンズの写真(左上)、および角膜(2801)上の動的コンタクトレンズの概略的な断面図(右下)を示し、動的部分(2802)、周辺部(2803)、隆起(2804)、および眼瞼(2805)が含まれる。
【0362】
周辺の隆起を備えた動的レンズをヒトの眼に配置し、一次(前方)凝視(図29)と下方凝視(図30)中にOCTによって画像化した。一次凝視中に、動的部分は角膜に適合し、および下方凝視中に、動的部分は外に膨らみ、16μmの間隙高さを有する涙レンズを形成した。他の例では、図31に示されるように、製造された隆起を有する動的レンズについては、涙レンズの間隙は38μmであった。
【0363】
実施例10:平らな周辺を有する動的レンズ
【0364】
動的レンズは以下のパラメータを有して製造された:物質タイプ:SH65シリコンヒドロゲル;物質モジュラス:200MPa;中心厚(CT):200μm;R0-OZ光学部:1.5μm;SAG(膨れ間隙):110μm;Rl(辺縁帯の近く)4.5μm;BC1(末梢BCの近く):89μm;R2(総レンズ径):14.5μm;BC2(遠位周辺BC):11μm;推移半径:(OZと周辺近傍との間の丸い角、0=鋭角)1μm;および端部形状:チゼル。この動的レンズでは、周辺部の曲率半径は、他の動的レンズよりも大きい(より平らなプロフィール)。
【0365】
図32は、11mmのベースカーブへと周辺プロフィールを平らにすることにより、動的部分の後面と角膜との間の間隙が増加したことを示す。
【0366】
実施例11:動的コンタクトレンズの設計
【0367】
一般的に、動的レンズの構造は、ソフトコンタクトレンズの分野で一般的な名目上のレンズ幾何構造設計に基づき、その結果、少なくとも周辺部は角膜に適合して、快適さとレンズ下の流体の流れの両方を可能にする。
【0368】
名目上の動的コンタクトレンズは、角膜正面湾曲(7mm~9mm)に類似する平均背面光学部半径(BOZR)を有することができ、均一(例えば8.9mm等の、全てのレンズ直径用の同じBOZR)、または角膜/強膜のざらざらに適合するレンズの性能を促進するための異なるレンズ直径用の異なるBOZRであり得る。
【0369】
名目上の動的レンズは、例えば2つの周辺湾曲、10mm(+1.5mm)の中央直径に対して7.86mm(+1.5mm)の中央BOZRと、9.3mm(+1.5mm)の周辺においてより平らなBOZRを有することができる。2つのBOZR湾曲間の移行は、連続的で漸進的な変化によって滑らかにすることができ、またはフィレットを使用することができる。動的レンズは、シリコンヒドロゲル等の標準的なソフトコンタクトレンズ材料で製造された標準径(~14mm)を有することができ、および標準的な光学的透明性を有することができる。動的コンタクトレンズは、丸みのあるエッジまたは彫りの深い(チゼル)エッジ等の標準的なエッジを有することができる。
【0370】
動的レンズの動的部分の直径は、例えば、2mm~4mm等の1mm~7mmであり得る。プロフィールが異なる湾曲を特徴とするように動的レンズを製造することができる。例えば、中央動的部分は、膨れ等のより急勾配のベースカーブを伴って製造することができ、その結果、動的部分の中央と周囲の湾曲面との間のSAG高さは、10μmから200μmである。2つの湾曲間、つまり動的部分の湾曲と周辺部との間の移行ゾーンは、局所的な圧点を排除または最小化するために、かつ動的部分の基礎となる涙レンズとの流体交換を促進するために、1つ以上の移行湾曲またはフィレットによって滑らかにされてもよい。動的部分が変形する性能を促進するパラメータは、例えば、厚さ、物質モジュラス、一般的なレンズ幾何構造、動的部分の面積と直径、および動的部分のベースカーブを含む。
【0371】
動的部分と周辺部との間の移行ゾーンは、例えば50μmから1,000μmの幅を有する溝により、レンズ後面上で刻み目をつけられてもよい(動的部分から圧力を解放し、かつ流体アベイラビリティを可能にするために)。溝は、動的部分と周囲の周辺部との間の移行ゾーンを横断することができる。溝の数は、例えば1~12の範囲であり、および溝の長さは、例えば0.5mmから動的レンズレンズ端まで(~7mm)の範囲であり得る。
【0372】
溝の1つ以上は、腔、1つ以上の開窓、または腔と1つ以上の開窓の両方に連結することができる。
【0373】
7.6mmの中央湾曲の角膜を仮定すると、4ジオプトリーのパワーを有する涙レンズは、直径3mmの光学部にわたる14μmのSAG、または直径4mmの光学部に対して26μm、または5mmの光学部に対して41μmのSAGを必要とする。
【0374】
表1は、3mm~5.8mmの直径を有する光学部に関し、涙レンズの間隙は製造されたSAG高さと等しいと仮定した、40μmまたは100μmの異なる製造(製造された)SAG高さに起因する算出された光強度を示す。
【0375】
【表1】
【0376】
発明の態様
【0377】
態様1A。動的部分を含むコンタクトレンズであって、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なる。
【0378】
態様2A。態様1Aのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは中心幾何軸を含み;および動的部分は、中心幾何軸に、中心幾何軸の中心傍に、中心幾何軸から逸脱して、またはそれらの任意の組み合わせで配置される。
【0379】
態様3A。態様1A-2Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで適合構成は、角膜に実質的に適合するように構成される。
【0380】
態様4A。態様1A-3Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで適合構成は、角膜に付着するように構成される。
【0381】
態様5A。態様1A-4Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで適合構成は、毛管力によって角膜に付着するように構成される。
【0382】
態様6A。態様1A-5Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの非適合構成は、単一の非適合構成、1つ以上の別々の非適合構成、または非適合構成の連続的な範囲を含む。
【0383】
態様7A。態様1A-6Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの非適合構成は、動的部分の後面と角膜の前面との間に涙レンズを提供するように構成される。
【0384】
態様8A。態様1A-7Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは、角膜に適用された時、動的部分が第1の視覚に対する適合構成を呈し、かつ第2の視覚に対する少なくとも1つの非適合構成を呈するように構成される。
【0385】
態様9A。態様8Aのコンタクトレンズであって、ここで第1の視覚と第2の視覚の各々は独立して、遠見、中間視、または近見を含む。
【0386】
態様10A。態様1A-9Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を誘発するように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;および、少なくとも1つの非適合構成と適合構成との間の変化を誘発するように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムをさらに含む。
【0387】
態様11A。態様10Aのコンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1のメカニズム、少なくとも1つの第2のメカニズム、または少なくとも1つの第1のメカニズムと少なくとも1つの第2のメカニズムの両方は、1つ以上の涙液リザーバを操作する工程を含み;1つ以上の涙液リザーバは、動的部分の後面と角膜の前面との間に配置され;および1つ以上の涙液リザーバは、動的部分の後面と角膜の前面との間の涙液に流動的に連結される。
【0388】
態様12A。態様11Aのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、動的部分のまわりに対称的に配置される。
【0389】
態様13A。態様11Aのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、動的部分のまわりに非対称的に配置される。
【0390】
態様14A。態様1A-13Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバの少なくともいくつかは圧縮可能である。
【0391】
態様15A。態様1A-14Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバの少なくともいくつかは、0.1gmの力~10gmの力の範囲内の力によって圧縮可能である。
【0392】
態様16A。態様1A-15Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、圧力が眼瞼によって加えられた時に圧縮するように構成され;および1つ以上の涙液リザーバは、圧力が眼瞼によって加えられない時に拡張するように構成される。
【0393】
態様17A。態様1A-16Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、凝視変化の間のみ、圧力が眼瞼によって加えられた時に圧縮するように構成される。
【0394】
態様18A。態様1A-17Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは動的部分に隣接している。
【0395】
態様19A。態様10Aのコンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1のメカニズム、少なくとも1つの第2のメカニズム、または少なくとも1つの第1のメカニズムと少なくとも1つの第2のメカニズムの両方は、凝視変化中に、圧力が眼瞼によってコンタクトレンズに加えられた時に、動的部分の圧縮または周辺部の圧縮により涙液を交換する工程を含む。
【0396】
態様20A。態様10Aのコンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1のメカニズム、少なくとも1つの第2のメカニズム、または少なくとも1つの第1のメカニズムと少なくとも1つの第2のメカニズムの両方は、眼瞼と相互作用するように構成されたコンタクトレンズの前面上の突部を含む。
【0397】
態様21A。態様1A-20Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、光学領域をさらに含み、ここで動的部分は、光学領域の少なくとも一部と重なり合う。
【0398】
態様22A。態様1A-21Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、動的部分に連結された周辺部をさらに含み、ここで周辺部は。角膜上でコンタクトレンズを保持するように構成される。
【0399】
態様23A。態様1A-22Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで動的部分は、第1のモジュラスを特徴とする第1の物質を含み;および周辺部は、第2のモジュラスを特徴とする第2の物質を含む。
【0400】
態様24A。態様23Aのコンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質は同じ物質を含む。
【0401】
態様25A。態様23Aのコンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質は同じ物質を含まない。
【0402】
態様26A。態様1A-25Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスは第2のモジュラスよりも大きい。
【0403】
態様27A。態様1A-25Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスは第2のモジュラスよりも小さい。
【0404】
態様28A。態様1A-25Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスは第2のモジュラスと同じである。
【0405】
態様29A。態様1A-28Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスは0.05MPa~10MPaの範囲内にあり;および第2のモジュラスは0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0406】
態様30A。態様1A-2Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスは0.1MPa~2MPaの範囲内にあり;および第2のモジュラスは0.1MPa~2MPaの範囲内にある。
【0407】
態様31A。態様1A-30Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質の各々は独立して、シリコン、ヒドロゲル、シリコンヒドロゲル、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0408】
態様32A。態様1A-31Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで動的部分は、少なくとも1つの非適合構成において、周辺部の後面のベースカーブに対して、5μm~300μmの範囲内の中央SAG高さを含む。
【0409】
態様33A。態様1A-32Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで動的部分は30μm~600μmの中心厚を含む。
【0410】
態様34A。態様1A-33Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは後面を含み;および後面の少なくとも一部は、物質、表面処理、またはそれらの組み合わせを含み;コンタクトレンズの後面の少なくとも一部と涙液との間、角膜と涙液との間、コンタクトレンズの後面と角膜との間、またはこれらのいずれかの組み合わせの毛管力を制御するように選択される。
【0411】
態様35A。態様1A-34Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1の光強度は、眼に対する光強度の変化を提供せず;または第2の光強度は、眼に対する光強度の変化を提供しない。
【0412】
態様36A。態様1A-35Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで適合構成は、眼に対する光強度の第1の変化を提供し;および少なくとも1つの非適合構成は、光強度の第1の変化に加えて、眼に対する光強度の第2の変化を提供する。
【0413】
態様37A。態様1A-36Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで適合構成と少なくとも1つの非適合構成の少なくとも1つは、準安定性である。
【0414】
態様38A。態様1A-37Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで動的部分は後面を含み、および後面と角膜との間の間隙プロフィールを含み、間隙プロフィールは最大間隙差異を含み、最大間隙差異は、動的部分の中央間隙高さと外周における間隙高さの差異であり;適合構成は第1の最大間隙差異を含み;非適合構成は第2の最大間隙差異を含み;および、第2の最大間隙差異は第1の最大間隙差異よりも大きい。
【0415】
態様39A。態様1A-38Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは、製造された形状を含み;およびコンタクトレンズは、少なくとも1つの非適合構成の1つにおいて、製造された形状を含む。
【0416】
態様40A。態様1A-39Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは周辺後面を含む周辺部を含み;周辺後面は周辺ベースカーブを含み;動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;第1の適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、および第2の非適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する。
【0417】
態様41A。態様1A-40Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで角膜は角膜曲率を含み;動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;および適合構成において、動的ベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じである。
【0418】
態様42A。態様1A-41Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここでコンタクトレンズは周辺後面を含む周辺部を含み;周辺後面は周辺ベースカーブを含み;動的部分は、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを含み;および動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央SAG高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央SAG高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成され、第1の中央SAG高さと第2の中央SAG高さは異なっている。
【0419】
態様43A。コンタクトレンズであって、以下を含む:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分。
【0420】
態様44A。コンタクトレンズであって:動的ベースカーブを有する動的後面を含む動的部分;動的部分に連結され、周辺後面を有する周辺部、を含み;および周辺後面は周辺ベースカーブを含み;ここで第1の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、第2の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する。
【0421】
態様45A。動的後面を含む動的部分を備えたコンタクトレンズであって、動的後面は動的ベースカーブを有し;ここで第1の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率と実質的に同じであり;および第2の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率から逸脱する。
【0422】
態様46A。コンタクトレンズであって:周辺後面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および周辺部に連結した動的部分であって、ここで動的部分は中心厚と、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを含む、動的部分、を含み;ここで動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央SAG高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央SAG高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成され、第1の中央SAG高さと第2の中央SAG高さは異なっており;および第1の構成と第2の構成は準安定状態である。
【0423】
態様47A。動的後面を含む動的部分を備えたコンタクトレンズであって、ここで動的後面は動的ベースカーブを含み;第1の構成において、後面は第1のベースカーブを含み;および第2の構成において、後面は第2のベースカーブを含む。
【0424】
態様48A。態様47Aのコンタクトレンズであって、ここで第1の構成は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成され;および第2の構成は、眼に第2の光強度を提供するように構成される。
【0425】
態様49A。態様47A-48Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じである。
【0426】
態様50A。態様47A-49Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、第1の構成と第2の構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;および第2の構成と第1の構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムをさらに含む。
【0427】
態様51A。コンタクトレンズであって:動的部分を含み、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された、少なくとも1つの第1の非適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第2の非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なり;第1の非適合構成と少なくとも1つの第2の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;少なくとも1つの第2の非適合構成と少なくとも1つの第1の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを備える。
【0428】
態様52A。コンタクトレンズであって以下を含む:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の後面は第1の曲率半径を有し;および第1の物質は第1のモジュラスを含む、第1の部分;および第1の部分に連結された第2の部分であって、第2の部分は、第2の後面、および第2の後面に対向する第2の前面、並びに第2の物質を含み、ここで第2の後面は第2の曲率半径を有し;および第2の物質は第2のモジュラスを含み;ここで第1の曲率半径は第2の曲率半径より小さく;および第1のモジュラスと第2のモジュラスの各々は、0.05MPa~10MPaの範囲内にある、第2の部分。
【0429】
態様53A。態様52Aのコンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、眼に適用された時に涙レンズを提供するように構成され;および第2の部分は、角膜上でコンタクトレンズを保持するように構成される。
【0430】
態様54A。態様52A-53Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスと第2のモジュラスの各々は0.05MPa~3MPaの範囲内である。
【0431】
態様55A。態様52A-54Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、周辺部の後面の第2の曲率半径に対して、5μm~300μmの範囲内の中央SAG高さを含む。
【0432】
態様56A。コンタクトレンズであって以下を含む:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の物質は第1のモジュラスを有する、第1の部分;および第1の部分に連結した周辺部であって、周辺部は、ベースカーブを有する周辺後面を含み、および第2の物質は第2のモジュラスを有し;および第1の後面は、周辺部の後面のベースカーブから前に膨れ;および第1のモジュラスと第2のモジュラスの各々は、0.05MPa~10MPaの範囲内にある、第2の部分。
【0433】
態様57A。態様56Aのコンタクトレンズであって、ここで第1のモジュラスと第2のモジュラスの各々は0.05MPa~3MPaの範囲内である。
【0434】
態様58A。態様56A-57Aのいずれか1つのコンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、周辺部の後面のベースカーブに対して、5μm~300μmの範囲内の中央SAG高さを含む。
【0435】
態様59A。患者の視力を矯正する方法であって、視力矯正を必要とする患者の眼に態様1A-51Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0436】
態様60A。態様59Aの方法であって、ここで視力矯正は、遠視を矯正する工程、近視を矯正する工程、乱視を矯正する工程、または老眼を矯正する工程を含む。
【0437】
態様61A。態様59Aの方法であって、視力矯正は、近視の進行を遅らせる工程を含む。
【0438】
態様62A。老眼を処置する方法であって、患者の老眼に、態様1A-51Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0439】
態様63A。患者の視力を矯正する方法であって、そのような処置を必要とする患者の眼に、態様52A-58Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0440】
態様64A。態様63Aの方法であって、視力矯正は、不規則な角膜または乱視を処置する工程を含む。
【0441】
態様65A。眼の治療に続いて患者の眼を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者の眼に、態様52A-58Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0442】
態様66A。患者の眼の角膜に対する外傷創傷を治癒する方法であって、そのような治癒を必要とする患者の眼に、態様52A-58Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0443】
態様67A。可能性のある傷害から患者の眼を保護する方法であって、そのような保護を必要とする患者の眼に、態様52A-58Aのいずれか1つのコンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0444】
態様68A。コンタクトレンズを製造する方法であって、コンタクトレンズを提供するために物質を成形する工程を含み、該コンタクトレンズは以下を含む:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分。
【0445】
態様1。動的コンタクトレンズであって:動的後面、および動的後面に対向する動的前面を含む動的部分;周辺後面、周辺後面に対向する周辺前面、および周辺部と動的部分を連結する移行ゾーンを含む、周辺部を備え;ここで動的部分は、0.05MPa~10MPaの範囲内のヤング率を有する物質と、10μm~300μmの製造された中央SAG高さを備える。
【0446】
態様2。態様1の動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは、角膜に適用された時に視力を矯正するために涙レンズを生成するように構成される。
【0447】
態様3。態様1-2のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、動的コンタクトレンズが角膜に適用された時、動的部分は2つ以上の準安定性の構成を呈することができ、2つ以上の準安定性の構成は、中央動的後面と角膜との間の間隙差異を特徴とする。
【0448】
態様4。態様1-3のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は2.5mm~7mmの直径を有する。
【0449】
態様5。態様1-4のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的後面は3mm~7.5mmの曲率半径を有する。
【0450】
態様6。態様1-5のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は実質的に均一な厚さを有する。
【0451】
態様7。態様1-6のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は20μm~300μmの実質的に均一な厚さを有する。
【0452】
態様8。態様1-7のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで移行ゾーンは、眼に適用された時、動的後面と角膜との間に形成された涙レンズへの涙液の流れを促進するように構成される。
【0453】
態様9。態様1-8のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで移行ゾーンは、動的部分の可撓性を高めるように構成された特徴を含む。
【0454】
態様10。態様9の動的コンタクトレンズであって、ここで特徴は、滑らかな端部、薄くなった断面厚、溝、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0455】
態様11。態様1-10のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは、動的部分から伸長する周辺後面の1つ以上のチャネルを含む。
【0456】
態様12。態様11の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上のチャネルの各々は、動的部分から放射状に伸びる。
【0457】
態様13。態様11-12のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上のチャネルは3~20のチャネルを含む。
【0458】
態様14。態様11-13のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上のチャネルの各々は、100μm~1,000μmの幅を有し、および50μm~200μmの高さを有する。
【0459】
態様15。態様11-14のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上のチャネルの各々は1mm~7mmの長さを有する。
【0460】
態様16。態様11-15のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここでチャネルの少なくとも1つは、周辺前面から伸長する1つ以上の開窓に連結される。
【0461】
態様17。態様16の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の開窓は、200μm~600μmの直径を有している。
【0462】
態様18。態様1-17のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、周辺後面に1つ以上の腔をさらに含む。
【0463】
態様19。態様18の動的コンタクトレンズであって、ここで周辺後面は3~12の腔を含む。
【0464】
態様20。態様18-19のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の腔の各々は独立して、10μm~500μmの後部外周面下の深さを有する。
【0465】
態様21。態様1-20のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、周辺前面に重なる1つ以上の突部をさらに含む。
【0466】
態様22。態様21の動的コンタクトレンズであって、ここで周辺前面は3~12の突部を含む。
【0467】
態様23。態様21-22のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の突部の各々は独立して、10μm~200μmの前部外周面の上への高さを有する。
【0468】
態様24。動的コンタクトレンズであって:周辺部、周辺部に連結された動的部分を含み、ここで動的部分は、角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された、適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なる。
【0469】
態様25。態様24の動的コンタクトレンズであって、眼に適用された時、適合構成において、動的部分は角膜の前面に実質的に適合し;および非適合構成では、動的部分は角膜の前面に適合しない。
【0470】
態様26。態様24-25のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで適合構成と非適合構成は準安定性である。
【0471】
態様27。態様24-26のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは中心幾何軸を含み;および動的部分は、中心幾何軸に、中心幾何軸の中心傍に、中心幾何軸から逸脱して、またはそれらの任意の組み合わせで配置される。
【0472】
態様28。態様24-27のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、眼に適用された時、適合構成において、動的部分は角膜に実質的に適合する。
【0473】
態様29。態様24-28のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、眼に適用された時、適合構成において、動的部分は角膜に付着する。
【0474】
態様30。態様24-29のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、眼に適用された時、適合構成において、動的部分は毛管力によって角膜に付着する。
【0475】
態様31。態様24-30のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、眼に適用された時、動的部分は機械力によって角膜に付着する。
【0476】
態様32。態様24-31のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの非適合構成は、単一の非適合構成、1つ以上の別々の非適合構成、または非適合構成の連続範囲を含む。
【0477】
態様33。態様24-32のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの非適合構成は、動的部分の後面と角膜の前面との間に涙レンズを提供するように構成される。
【0478】
態様34。態様24-33のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは、角膜に適用された時、動的部分が第1の視覚に対する適合構成を呈し、かつ第2の視覚に対する少なくとも1つの非適合構成を呈するように構成される。
【0479】
態様35。態様34の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の視覚と第2の視覚の各々は独立して、遠見、中間視、または近見を含む。
【0480】
態様36。態様24-35のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって:適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴をさらに含み;ここで少なくとも1つは、動的部分の製造された幾可学的形状を含む。
【0481】
態様37。態様36の動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分の幾可学的形状は、周辺部から前に拡がる膨れを含む。
【0482】
態様38。態様24-37のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって:適合構成と少なくとも1つの非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1の特徴;および少なくとも1つの非適合構成と適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2の特徴をさらに含む。
【0483】
態様39。態様38の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の特徴と第2の特徴の各々は、眼瞼によって加えられた圧力によって構成の変化を引き起こすように構成される。
【0484】
態様40。態様39の動的コンタクトレンズであって、ここで眼瞼によって加えられた圧力は、下方を凝視すること、正常な瞬き、意図的な瞬き、ある期間、眼瞼を閉じておくこと、またはある期間、眼に対して眼瞼を圧搾することを含む。
【0485】
態様41。態様38-40のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴は同じ特徴である。
【0486】
態様42。態様24の動的コンタクトレンズであって、眼瞼によって加えられた圧力によって構成の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの特徴をさらに含む。
【0487】
態様43。態様42の動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの特徴は、動的コンタクトレンズの前面上の1つ以上の突部を含む。
【0488】
態様44。態様43の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の突部は、10μm~200μmの範囲内の前面に対する高さを有する。
【0489】
態様45。態様43-44のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の突部は、動的コンタクトレンズの後面にある基礎的な腔の上に配置される。
【0490】
態様46。態様43-44のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の突部は1つ以上の隆起を含む。
【0491】
態様47。態様42-46のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの特徴は、摩擦を増すように構成された1つ以上の特徴を含む。
【0492】
態様48。態様47の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の特徴は、摩擦を増すように構成され、溝、凹み、開窓、隆起、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0493】
態様49。態様38-49のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1の特徴、少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、1つ以上の涙液リザーバを含み;1つ以上の涙液リザーバは、動的部分の後面と角膜の前面との間に配置され;および1つ以上の涙液リザーバは、動的部分の後面と角膜の前面との間の涙液に流動的に連結される。
【0494】
態様50。態様49の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、動的部分のまわりに対称的に配置される。
【0495】
態様51。態様49の動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、動的部分のまわりに非対称的に配置される。
【0496】
態様52。態様49-151のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバの少なくともいくつかは圧縮可能である。
【0497】
態様53。態様49-52のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバの少なくともいくつかは、0.1gmの力~10gmの力の範囲内の力によって圧縮可能である。
【0498】
態様54。態様49-53のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、圧力が眼瞼によって加えられた時に圧縮するように構成され;および1つ以上の涙液リザーバは、圧力が眼瞼によって加えられない時に拡張するように構成される。
【0499】
態様55。態様49-154のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは、凝視変化の間のみ、圧力が眼瞼によって加えられた時に圧縮するように構成される。
【0500】
態様56。態様49-55のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで1つ以上の涙液リザーバは動的部分に流動的に連結される。
【0501】
態様57。態様36-56のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1の特徴、少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、凝視変化中に、眼瞼によって圧力が動的コンタクトレンズに加えられた時に、動的部分の圧縮または周辺部の圧縮により涙液を交換する工程を含む。
【0502】
態様58。態様36-56のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで少なくとも1つの第1の特徴、少なくとも1つの第2の特徴、または少なくとも1つの第1の特徴と少なくとも1つの第2の特徴の両方は、眼瞼と相互作用するように構成された動的コンタクトレンズの前面上の突部を含む。
【0503】
態様59。態様24-58のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、光学領域をさらに含み、ここで動的部分は、光学領域の少なくとも一部と重なり合う。
【0504】
態様60。態様24-59のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで周辺部は、角膜上で動的コンタクトレンズを保持するように構成される。
【0505】
態様61。態様24-60のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は、第1のヤング率を特徴とする第1の物質を含み;および周辺部は、第2のヤング率を特徴とする第2の物質を含む。
【0506】
態様62。態様61の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質は同じ物質を含む。
【0507】
態様63。態様61の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質は異なる物質を含む。
【0508】
態様64。態様61と63のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率は第2のヤング率より大きい。
【0509】
態様65。態様61と63のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率は第2のヤング率より小さい。
【0510】
態様66。態様61の動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率は第2のヤング率と同じである。
【0511】
態様67。態様61の動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率は0.05MPa~10MPaの範囲内にあり;および第2のヤング率は0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0512】
態様68。態様61の動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率は0.1MPa~2MPaの範囲内にあり;および第2のヤング率は0.1MPa~2MPaの範囲内にある。
【0513】
態様69。態様61-68のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1の物質と第2の物質の各々は独立して、シリコン、ヒドロゲル、シリコンヒドロゲル、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0514】
態様70。態様24-69のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は、少なくとも1つの非適合構成において、周辺部の後面のベースカーブに対して、5μm~300μmの範囲内の中央間隙高さを含む。
【0515】
態様71。態様24-70のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は30μm~600μmの中心厚を含む。
【0516】
態様72。態様24-71のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは後面を含み;および後面の少なくとも一部は、物質、表面処理、またはそれらの組み合わせを含み;動的コンタクトレンズの後面の少なくとも一部と涙液との間、角膜と涙液との間、動的コンタクトレンズの後面と角膜との間、またはこれらのいずれかの組み合わせの毛管力を制御するように選択される。
【0517】
態様73。態様24-72のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1の光強度は、眼に対する光強度の変化を提供せず;または第2の光強度は、眼に対する光強度の変化を提供しない。
【0518】
態様74。態様24-73のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで適合構成は、眼に対する光強度の第1の変化を提供し;および少なくとも1つの非適合構成は、光強度の第1の変化に加えて、眼に対する光強度の第2の変化を提供する。
【0519】
態様75。態様24-75のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで適合構成、および非適合構成の少なくとも1つは準安定性である。
【0520】
態様76。態様24-75のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は後面を含み、および後面と角膜との間の間隙プロフィールを含み、間隙プロフィールは最大間隙差異を含み、最大間隙差異は、動的部分の中央間隙高さと外周における間隙高さの差異であり;適合構成は第1の最大間隙差異を含み;非適合構成は第2の最大間隙差異を含み;および、第2の最大間隙差異は第1の最大間隙差異よりも大きい。
【0521】
態様77。態様24-76のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは製造された形状を含み;および動的コンタクトレンズは、非適合構成の1つにおいて、製造された形状を含む。
【0522】
態様78。態様24-77のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは周辺後面を含む周辺部を含み;周辺後面は周辺ベースカーブを含み;動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;第1の適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、および第2の非適合構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する。
【0523】
態様79。態様24-78のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで角膜は角膜曲率を含み;動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;および適合構成において、動的ベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じである。
【0524】
態様80。態様24-79のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで動的コンタクトレンズは周辺後面を含む周辺部を含み;周辺後面は周辺ベースカーブを含み;動的部分は、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを含み;および動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央間隙高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央間隙高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成され、第1の中央SAG高さと第2の中央間隙高さは異なっている。
【0525】
態様81。動的コンタクトレンズであって以下を含む:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分。
【0526】
態様82。動的コンタクトレンズであって:動的ベースカーブを有する動的後面を含む動的部分;動的部分に連結され、周辺後面を有する周辺部、を含み;および周辺後面は周辺ベースカーブを含み;ここで第1の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブと実質的に同じであり、第2の構成において、動的ベースカーブは、周辺ベースカーブから逸脱する。
【0527】
態様83。動的部分を含む動的コンタクトレンズであって、ここで動的部分は動的後面を含み;動的後面は動的ベースカーブを含み;第1の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率と実質的に同じであり;および第2の構成において、動的ベースカーブは角膜曲率から逸脱する。
【0528】
態様84。動的コンタクトレンズであって:周辺部であって、ここで周辺部は周辺後面を含み、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および周辺部に連結した動的部分であって、ここで動的部分は中心厚と、周辺ベースカーブに対する中央SAG高さを含む、動的部分、を備え;ここで動的部分は、周辺ベースカーブに対する第1の中央間隙高さを特徴とする第1の構成を呈し、および周辺ベースカーブに対する第2の中央間隙高さを特徴とする第2の構成を呈するように構成され、第1の中央間隙高さと第2の中央間隙高さは異なっており;および第1の構成と第2の構成は準安定状態である。
【0529】
態様85。後面を含む動的部分を備えた動的コンタクトレンズであって、ここで後面は動的ベースカーブを含み;第1の構成において、後面は第1のベースカーブを含み;および第2の構成において、後面は第2のベースカーブを含む。
【0530】
態様86。態様85の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の構成は、眼に第1の光強度を提供するように構成され;および第2の構成は、眼に第2の光強度を提供するように構成される。
【0531】
態様87。態様85-86のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1のベースカーブは、角膜曲率と実質的に同じである。
【0532】
態様88。態様85-87のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって:第1の構成と第2の構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;および第2の構成と第1の構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムをさらに含む。
【0533】
態様89。動的コンタクトレンズであって:角膜を有する眼に第1の光強度を提供するように構成された、少なくとも1つの第1の非適合構成;および眼に第2の光強度を提供するように構成された少なくとも1つの第2の非適合構成を含み、第2の光強度は、第1の光強度とは異なる、動的部分;第1の非適合構成と少なくとも1つの第2の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第1のメカニズム;少なくとも1つの第2の非適合構成と少なくとも1つの第1の非適合構成との間の変化を引き起こすように構成された少なくとも1つの第2のメカニズムを備える。
【0534】
態様90。動的コンタクトレンズであって:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の後面は第1の曲率半径を有し;および第1の物質は第1のヤング率を有する、第1の部分;および第1の部分に連結された第2の部分であって、第2の部分は、第2の後面、および第2の後面に対向する第2の前面、並びに第2の物質を含み、ここで第2の後面は第2の曲率半径を有し;
および第2の物質は第2のヤング率を有する、第2の部分、を備え;ここで第1の曲率半径は第2の曲率半径より小さく;および第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0535】
態様91。態様90の動的コンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、眼に適用された時に涙レンズを提供するように構成され;および第2の部分は、角膜上で動的コンタクトレンズを保持するように構成される。
【0536】
態様92。
態様90-91のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~3MPaの範囲内である。
【0537】
態様93。態様90-92のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、周辺部の後面の第2の曲率半径に対して、5μm~300μmの範囲内の中央SAG高さを含む。
【0538】
態様94。動的コンタクトレンズであって:第1の後面、第1の後面に対向する第1の前面、および第1の物質を含む第1の部分であって、ここで第1の物質は第1のヤング率を有する、第1の部分;および第1の部分に連結した周辺部を備え、周辺部は、ベースカーブを有する周辺後面を含み、および第2の物質は第2のヤング率を有し、および第1の後面は、周辺部の後面のベースカーブから前に膨らみ;および第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~10MPaの範囲内にある。
【0539】
態様95。態様94の動的コンタクトレンズであって、ここで第1のヤング率と第2のヤング率の各々は独立して、0.05MPa~3MPaの範囲内である。
【0540】
態様96。態様94-95のいずれか1つの動的コンタクトレンズであって、ここで第1の部分は、周辺部の後面のベースカーブに対して、5μm~300μmの範囲内の中央SAG高さを含む。
【0541】
態様97。矯正視力を必要とする患者の眼に、態様1~96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む、患者の視力を矯正する方法。
【0542】
態様98。態様97の方法であって、ここで視力矯正は、遠視を矯正する工程、近視を矯正する工程、乱視を矯正する工程、または老眼を矯正する工程を含む。
【0543】
態様99。態様97~98のいずれか1つの方法であって、ここで視力矯正は近視の進行を遅らせる工程を含む。
【0544】
態様100。老眼を処置する方法であって、患者の老眼に態様1~96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0545】
態様101。患者の視力を矯正する方法であって、そのような処置を必要とする患者の眼に態様1~96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0546】
態様102。態様101の方法であって、視力矯正は、不規則な角膜または乱視を処置する工程を含む。
【0547】
態様103。眼の治療に続いて患者の眼を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者の眼に、態様1-96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0548】
態様104。患者の眼の角膜に対する外傷創傷を治癒する方法であって、そのような治癒を必要とする患者の眼に、態様1-96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0549】
態様105。可能性のある傷害から患者の眼を保護する方法であって、そのような保護を必要とする患者の眼に、態様1-96のいずれか1つの動的コンタクトレンズを適用する工程を含む。
【0550】
態様106。動的コンタクトレンズを製造する方法であって、動的コンタクトレンズを提供するために物質を成形する工程を含み、該コンタクトレンズは:周辺後面と周辺前面を含む周辺部であって、周辺後面は周辺ベースカーブを含む、周辺部;および動的後面と動的前面を含む動的部分であって、ここで少なくとも動的後面は、動的前面に向かって周辺ベースカーブから離れるように膨らんでいる、動的部分、を備える。
【0551】
態様107。態様106の方法であって、ここで周辺部は、第1のヤング率を特徴とする第1の物質を含み;および動的部分は、第2のヤング率を特徴とする第2の物質を含み;ここで第1のヤング率と第2のヤング率の各々は、0.05MPa~30MPaである、
【0552】
態様108。態様106-107のいずれか1つの方法であって、ここで第1のヤング率と第2のヤング率の各々は、0.1MPa~2MPaである、
【0553】
態様109。動的コンタクトレンズを提供するために物質を成形する工程を含む、動的コンタクトレンズを製造する方法であって、動的コンタクトレンズは:動的ベースカーブを特徴とする動的部分;および動的部分に連結した周辺部を含み、ここで周辺部は周辺ベースカーブを含み、動的ベースカーブは周辺ベースカーブとは異なる。
【0554】
態様110。態様109の方法であって、ここで動的部分の湾曲の半径は、周辺部の曲率半径未満である。
【0555】
態様111。態様109-110のいずれか1つの方法であって、ここで動的部分の曲率半径は、準中心の周辺部の曲率半径未満であり、準中心の周辺部は動的部分に隣接する。
【0556】
態様112。角膜に適用される、態様1~96のいずれか1つの動的コンタクトレンズ。
【0557】
本明細書に開示される実施形態を実施する代替的方法が存在する。したがって、本実施形態は、例示的であり、限定的なものとは見なされない。
さらに、特許請求の範囲は、本明細書に提供される詳細に限定されず、その全範囲およびその同等物の権利を有する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
図37A
図37B
図38A
図38B
図39A
図39B
図40A
図40B
図41A
図41B