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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】恒久足場の設置方法および裏面パネル
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20230801BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D22/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020031503
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134559
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】吉川 真路
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
(72)【発明者】
【氏名】井合 雄一
(72)【発明者】
【氏名】村田 保
(72)【発明者】
【氏名】浅野 純
(72)【発明者】
【氏名】大口 真司
(72)【発明者】
【氏名】箭内 重行
(72)【発明者】
【氏名】赤松 大輝
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-007206(JP,A)
【文献】特開平11-013275(JP,A)
【文献】特開2016-017329(JP,A)
【文献】特開2015-004213(JP,A)
【文献】実開昭59-069357(JP,U)
【文献】特開2015-028284(JP,A)
【文献】特開2017-020340(JP,A)
【文献】特開2000-144641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁下に恒久足場を設置する設置方法であって、
橋軸方向に延びる隣り合う縦梁に対して仮設条材を橋軸直角方向に架け渡して仮固定して構成されたフレームを、前記橋梁を構成する主桁から仮設線材で吊り下げる工程と、
前記フレームの吊り下げ後、前記縦梁の間に裏面パネルを設置する工程と、
前記裏面パネルの設置後、前記主桁と前記縦梁との間に吊材を本設する工程と、
前記吊材の本設後、前記仮設条材と前記仮設線材を撤去する工程と
を備える恒久足場の設置方法。
【請求項2】
前記フレームは、第1フレームと、前記橋軸方向において、前記第1フレームの次に配置される第2フレームとを備え、
前記第1フレームを前記仮設線材で吊り下げ前記裏面パネルを設置した後、前記第1フレームに前記第2フレームを仮置きする工程と、
前記第2フレームを前記仮設線材で吊り下げて、前記橋軸方向における前記第1フレームに対して隣接する位置に送り出し、前記第1フレームの前記縦梁および前記第2フレームの前記縦梁を連結する工程と、
前記第2フレームに前記裏面パネルを設置する工程と
を備える請求項1に記載の恒久足場の設置方法。
【請求項3】
前記裏面パネルは、第1裏面パネルと、前記橋軸方向の前記第1裏面パネルの次に設置される第2裏面パネルと、前記橋軸方向の前記第2裏面パネルの次に設置される第3裏面パネルとを備え、
前記縦梁の間に前記第1裏面パネルを設置した後、前記第1裏面パネルに対して隣接する位置に前記第2裏面パネルを載置する工程と、
前記第2裏面パネルを前記橋軸方向に送り出し、前記第1裏面パネルに対して隣接する位置を空き空間とする工程と、
前記空き空間に前記第3裏面パネルを載置する工程と
を備える請求項1または2に記載の恒久足場の設置方法。
【請求項4】
互いに隣り合う前記縦梁のうちの1つは、端部縦梁であり、
前記裏面パネルの設置後、前記端部縦梁に対して支柱を設置し前記支柱に対して側面パネルを設置する工程と、
前記主桁と前記支柱とを腕材で連結する工程とを備え、
前記主桁と前記支柱とを腕材で連結し、前記吊材を本設した後に、前記仮設条材と前記仮設線材を撤去する
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の恒久足場の設置方法。
【請求項5】
請求項3に記載の恒久足場の設置方法に用いる裏面パネルであって、
前記裏面パネルの前記縦梁に接して支持される部分であって、前記裏面パネルを送り出す方向に対して交差する辺の角部は、R面またはC面で構成されている裏面パネル。
【請求項6】
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の恒久足場の設置方法に用いる裏面パネルであって、
前記裏面パネルは、隣り合う前記縦梁の橋軸方向に延びる縁部に係合する脱落防止部を備える裏面パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁下に設置される恒久足場の設置方法および裏面パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などに記載されているように、橋梁点検では、通行止めや車線規制を極力少なくし、作業の手間と設置コスト低減のため、橋梁下に恒久足場を設置することが行われている。例えば、特許文献1に記載された恒久足場の設置方法では、先ず、縦梁と横梁で構成された格子状のフレームにルーバや折板を固定して、所定の大きさを有したパネル状にユニット化した恒久足場パネルを組み立てる。次いで、恒久足場パネルに単管パイプを架け渡して補強し、これを高所作業車や揚重装置を用いて鋼桁に仮吊りする。そして、恒久足場パネルを足場として利用して本設の吊材に盛り替えることで橋梁下に恒久足場を設置するようにしている。また、既に仮吊りされた恒久足場パネルに対して橋軸方向に新たな恒久足場パネルを送り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-7206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
恒久足場の設置にあたっては、通行止めや車線規制が必要な作業時間を一層短くして、工期短縮が可能な工法が望まれている。例えば、通行止めをして高所作業車や揚重装置を用いた作業を短期化することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通行止めや車線規制の日数、および、工期短縮を可能とした恒久足場の設置方法および裏面パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための恒久足場の設置方法は、橋梁下に恒久足場を設置する設置方法であって、橋軸方向に延びる隣り合う縦梁に対して仮設条材を橋軸直角方向に架け渡して仮固定して構成されたフレームを、前記橋梁を構成する主桁から仮設線材で吊り下げる工程と、前記フレームの吊り下げ後、前記縦梁の間に裏面パネルを設置する工程と、前記裏面パネルの設置後、前記主桁と前記縦梁との間に吊材を本設する工程と、前記吊材の本設後、前記仮設条材と前記仮設線材を撤去する工程とを備える。上記構成によれば、フレームを、裏面パネルを設置していない状態で上荷し、その後、仮吊りすることから、当該作業が容易となり作業時間を短期化できる。
【0007】
上記恒久足場の設置方法において、前記フレームは、第1フレームと、前記橋軸方向において、前記第1フレームの次に配置される第2フレームとを備え、前記第1フレームを前記仮設線材で吊り下げ前記裏面パネルを設置した後、前記第1フレームに前記第2フレームを仮置きする工程と、前記第2フレームを前記仮設線材で吊り下げて、前記橋軸方向における前記第1フレームに対して隣接する位置に送り出し、前記第1フレームの前記縦梁および前記第2フレームの前記縦梁を連結する工程と、前記第2フレームに前記裏面パネルを設置する工程とを備えるようにしてもよい。上記構成によれば、第1フレームの裏面パネルを足場として、第2フレームを裏面パネルが設置されていない軽量な状態で順次橋軸方向に送り出すことができる。したがって、当該作業が容易となり通行止めや車線規制の日数も短くできる。
【0008】
上記恒久足場の設置方法において、前記裏面パネルは、第1裏面パネルと、前記橋軸方向の前記第1裏面パネルの次に設置される第2裏面パネルと、前記橋軸方向の前記第2裏面パネルの次に設置される第3裏面パネルとを備え、前記縦梁の間に第1パネルを設置した後、前記第1裏面パネルに対して隣接する位置に前記第2裏面パネルを載置する工程と、前記第2裏面パネルを前記橋軸方向に送り出し、前記第1裏面パネルに対して隣接する位置を空き空間とする工程と、前記空き空間に前記第3裏面パネルを載置する工程とを備えるようにしてもよい。上記構成によれば、縦梁の間には、順次裏面パネルをスライドさせるようにして容易に橋軸方向に並設することができる。
【0009】
上記恒久足場の設置方法に用いる裏面パネルは、前記裏面パネルの前記縦梁に接して支持される部分であって、前記裏面パネルを送り出す方向に対して交差する辺の角部は、R面またはC面で構成されているようにしてもよい。上記構成によれば、縦梁に凸部などが存在していても、角部のR面またはC面によって容易に乗り越えることができ、円滑にスライドできる。
【0010】
上記恒久足場の設置方法に用いる裏面パネルは、前記裏面パネルは、隣り合う前記縦梁の橋軸方向に延びる縁部に係合する脱落防止部を備えるようにしてもよい。上記構成によれば、裏面パネルをスライドさせるときにも、縦梁の間から脱落しにくくできる。
【0011】
上記恒久足場の設置方法において、互いに隣り合う前記縦梁のうちの1つは、端部縦梁であり、前記裏面パネルの設置後、前記端部縦梁に対して支柱を設置し前記支柱に対して側面パネルを設置する工程と、前記主桁と前記支柱とを腕材で連結する工程とを備え、前記主桁と前記支柱とを腕材で連結し、前記吊材を本設した後に、前記仮設条材と前記仮設線材を撤去するようにしてもよい。上記構成によれば、橋梁の橋軸直角方向の張出部にも、恒久足場が設置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、恒久足場を設置するための通行止めや車線規制の日数、および、工期を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】支間部において、縦梁に対して単管パイプを橋軸直角方向に架け渡して仮固定して構成されたフレームをチェーンで仮吊りした状態を示す図。
図2図1の続きであって、縦梁間に裏面パネルを設置した状態を示す図。
図3】縦梁間に裏面パネルを設置した状態を示す斜視図。
図4図3の続きであって、第1フレームに次の第2フレームを仮置きした状態を示す斜視図。
図5図4の続きであって、第2フレームに1つ目の裏面パネルを載置した状態を示す斜視図。
図6図5の続きであって、第2フレームに次の裏面パネルを載置した状態を示す斜視図。
図7図2の続きであって、吊材を本設した状態を示す図。
図8図7の続きであって、チェーンと単管パイプを撤去した状態を示す図。
図9】橋軸直角方向の両端に設けられる張出部において、フレームをチェーンで吊り下げた状態を示す図。
図10図9の続きであって、縦梁と端部縦梁との間に裏面パネルを設置するとともに、端部縦梁に支柱および側面パネルを設置した状態を示す図。
図11図10の続きであって、吊材および腕材を本設した状態を示す図。
図12図11の続きであって、チェーンと単管パイプを撤去した状態を示す図。
図13】裏面パネルが縦梁に載置された状態を拡大して示す側面図。
図14】縦梁の側縁部と裏面パネルの脱落防止部との位置関係を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された恒久足場の設置方法について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明が適用される恒久足場は、橋梁下に設置される足場であって、床版を支持する橋梁の主桁11に設置される。以下、恒久足場の設置方法を説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、ここでの主桁11は、橋軸方向に延在し、橋軸直角方向において互いに平行に3本配設されている。主桁11は、I形形状からなる鋼材などで構成されている。先ず、主桁11には、フレーム12が仮設線材であるチェーン15で吊り下げられる。フレーム12は、縦梁13と、仮設条材としての単管パイプ14とを備えている。縦梁13は、橋軸方向に延在する梁であって、一例としてH形鋼である。ここでは、縦梁13は、橋軸直角方向において3本配設されている。単管パイプ14は、複数本が縦梁13に架け渡され橋軸直角方向に延在される。そして、各単管パイプ14は、各縦梁13に対してクランプなどによって仮固定される。フレーム12は、縦梁13と単管パイプ14とによって格子状に構成されている。単管パイプ14は、主桁11に吊り下げる際に、各縦梁13が各々に揺動することを抑える。また、橋軸直角方向の間隔を一定にするとともに各縦梁13の高さを一定にする。互いに隣り合う縦梁13の間には、最終的には裏面パネル16が設置されることになるが、この段階では裏面パネル16は設置されていない。
【0016】
フレーム12は、橋梁下において、高所作業車、揚重装置または人力で既設恒久足場まで上荷され、主桁11からチェーン15によって吊り下げられる。チェーン15は、一端が主桁11に設けられた吊下具15aに接続され、他端が縦梁13または単管パイプ14に設けられた吊下具に接続される。なお、チェーン15の他端部は、縦梁13および単管パイプ14の両方に設けた吊下具に接続することもできる。チェーン15には、フレーム12および裏面パネル16が設置された状態を吊り下げできる強度を有するものが使用される。フレーム12は、この段階では裏面パネル16を設置しないことで軽量化が図られており、これにより、高所作業車、揚重装置または人力で既設恒久足場まで上荷する作業も短縮できる。
【0017】
図2に示すように、主桁11からチェーン15によって仮吊りされたフレーム12には、互いに隣り合う縦梁13の間に裏面パネル16が設置される。図3に示すように、裏面パネル16は、矩形板状体であって、長手方向が橋軸直角方向となるように縦梁13の間に設置される。縦梁13は、H形鋼であり、下側フランジ13aに、裏面パネル16の短辺部が支持される。裏面パネル16は、縦梁13の間において橋軸方向に並設される。ここで、1つのフレーム12(以下、「第1フレーム12x」ともいう。)に裏面パネル16が設置されると、当該第1フレーム12xは、次のフレーム12(以下、「第2フレーム12y」ともいう。)が連結され、第2フレーム12yに裏面パネル16を設置するための足場となる。
【0018】
第2フレーム12yは、第1フレーム12xと同様、縦梁13と、仮設条材としての単管パイプ14とを備えている。図4に示すように、第2フレーム12yは、組み立てられたものを主桁11にチェーン15xによって仮吊りされている第1フレーム12x上の仮置き位置まで高所作業車、揚重装置または人力で既設恒久足場まで上荷してもよいし、第1フレーム12x上において、人力で組み立ててもよい。そして、第2フレーム12yは、第1フレーム12x上に仮置きされ、チェーン15によって吊り下げられる。第2フレーム12yを吊り下げるチェーン15yの一端は、第1フレーム12xの橋軸方向に隣接する第2フレーム12yが配置されるべきフレーム隣接位置上の空間に存在する主桁11に設けられた吊下具15aに接続されている。チェーン15の他端は、第1フレーム12x上にある第2フレーム12yの吊下具に接続される。したがって、第2フレーム12yが第1フレーム12x上にあるとき、チェーン15yは、フレーム隣接位置上の空間に存在する主桁11に設けられた吊下具15aから第2フレーム12yの吊下具の方向へ斜めに延在することになる。
【0019】
図5に示すように、第1フレーム12xを足場として用い、第2フレーム12yは、チェーン15yによって引っ張られるようにして、第1フレーム12x上の位置からフレーム隣接位置へと送り出される。その後、第1フレーム12xの縦梁13と第2フレーム12yの縦梁13とがボルト締結などで連結される。第2フレーム12yを送り出す作業は、第2フレーム12yが裏面パネル16が未設置で軽量であることから、ウィンチやトロリなどを設置するまでもなく人力で行うことができる。この状態では、まだ、第2フレーム12yに裏面パネル16は設置されていない。そこで、次に、第2フレーム12yに裏面パネル16が設置される。
【0020】
ここでは、第1フレーム12xに設置された裏面パネル16が第1裏面パネル16xである。第2フレーム12yの縦梁13の間であって、第1フレーム12xの中で最も第2フレーム12y側の第1裏面パネル16xに対して隣接する位置がパネル隣接位置である。第1フレーム12xの第1裏面パネル16xを足場に用いて、第2フレーム12yには、1つ目の第2裏面パネル16yが載置される。すなわち、縦梁13の下側フランジ13aに支持される。この後、第2裏面パネル16yは、橋軸方向にスライドされ、第2裏面パネル16yのあった位置を空き空間19とする。図6に示すように、この空き空間19に、次の第3裏面パネル16zが載置される。さらに多くの裏面パネル16を載置する場合はこの作業を繰り返すことになる。裏面パネル16を設置する作業は、裏面パネル16を1枚ずつ縦梁13の間に設置する作業であるから、ウィンチやトロリなどを設置するまでもなく人力で容易に行うことができる。
【0021】
なお、フレーム12の送り出しおよび裏面パネル16の設置は、以上のような工程を繰り返すことによって行われる。各裏面パネル16は、締付け金具などで縦梁13に対して順次固定される。
【0022】
図7に示すように、裏面パネル16が縦梁13の間に設置されたフレーム12の縦梁13に対しては腕材17を介して吊材18が本設され、チェーン15から盛り替えられる。具体的に、主桁11には、橋軸直角方向に延びる腕材17がボルト締結などで設置され、腕材17と縦梁13との間に吊材18がボルト締結などによって本設される。この後、図8に示すように、単管パイプ14およびチェーン15が撤去される。かくして、縦梁13に裏面パネル16が設置されることによって、恒久足場が設置されることになる。
【0023】
以上のような第1実施形態は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)フレーム12は、裏面パネル16を設置していない状態で上荷され、その後、仮吊りされる。フレーム12は、裏面パネル16されていない分軽量である。したがって、当該作業が容易となり短時間で行うことができる。結果として、通行止めや車両規制の時間も短くできる。
【0024】
(1-2)フレーム12は、先に設置したフレーム12の裏面パネル16を足場として、次のフレーム12を裏面パネル16が未設置の軽量な状態で順次橋軸方向に送り出すことができる。したがって、ウィンチやトロリなどを設置するまでもなく人力で行うことができる。そして、当該作業が容易となり通行止めや車線規制の日数も短くできる。また、河川の上などでも、橋梁の橋軸方向の端部から順次河川中央方向にフレーム12を送り出すことができる。
【0025】
(1-3)縦梁13の間には、順次裏面パネル16をスライドさせるようにして人力によって容易に橋軸方向に並設することができる。したがって、裏面パネル16を設置する作業も容易なものとなる。
【0026】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、橋梁の橋軸直角方向の張出部における恒久足場の設置方法である。図9に示すように、ここでは、左端の縦梁が端部縦梁13xである。ここで、すなわち、フレーム12は、2本の縦梁13と左側の端部縦梁13xに対して複数本の単管パイプ14が架け渡されクランプによって仮固定される。そして、フレーム12は、橋梁下において、高所作業車、揚重装置または人力で既設恒久足場まで上荷され、主桁11からチェーン15によって吊り下げられる。主桁11からチェーン15によって仮吊りされたフレーム12には、互いに隣り合う縦梁13の間に裏面パネル16が設置される。
【0027】
図10に示すように、端部縦梁13xには、橋軸方向において、所定間隔をあけて支柱21が固定される。そして、図11に示すように、支柱21もチェーン15zによって主桁11と接続され補強される。また、支柱21は、主桁11と単管パイプ14xによって接続され補強される。そして、支柱21には、橋梁の側面パネル22が固定金具などを用いて順次設置される。
【0028】
次いで、フレーム12の縦梁13に対しては腕材17を介して吊材18が本設される。また、支柱21と主桁11とは、腕材23を介して接続される。これにより、チェーン15,15zから盛り替えられる。この後、図12に示すように、単管パイプ14,14xおよびチェーン15,15zが撤去される。かくして、縦梁13に裏面パネル16が設置されることによって、橋梁の橋軸直角方向の張出部にも、恒久足場が設置されることになる。
【0029】
以上のような第2実施形態は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(2-1)橋梁の橋軸直角方向の張出部にも、恒久足場を設置することができる。
(2-2)支柱21と主桁11とをチェーン15,15zおよび単管パイプ14,14xで繋ぐことによって、恒久足場の設置作業中において、支柱21や側面パネル22を補強することができる。
【0030】
〔第3実施形態〕
第1実施形態および第2実施形態で使用する裏面パネル16は、互いに隣り合う縦梁13の間をスライドさせて並設される。具体的に、裏面パネル16は、縦梁13の下側フランジ13a上を滑らせるようにスライドさせる。図13に示すように、裏面パネル16は、長手方向の両側の短辺部分のうちで底面部分が下側フランジ13aと摺接する部分となる。そして、裏面パネル16を送り出す方向に対して交差する長辺の角部24がR面で構成されている。
【0031】
また、図14に示すように、裏面パネル16の底面には、下側フランジ13aの先端部の間に位置し、裏面パネル16が縦梁13の間から脱落することを防止する脱落防止部25を備える。脱落防止部25は、裏面パネル16の底面から突出した突出部である。ここで、裏面パネル16と下側フランジ13aとの重なった部分の長さbと、脱落防止部25と下側フランジ13aの先端部までの距離aとの関係は、a<bとなっている。
【0032】
以上のような第3実施形態は、以下に列挙する効果を得ることができる。
(3-1)裏面パネル16は、下側フランジ13aに凸部などが存在していても、長辺の角部24のR面によって容易に乗り越えることができ、円滑にスライドできる。
【0033】
(3-2)裏面パネル16は、脱落防止部25によって、縦梁13の間をスライドさせるときにも、縦梁13の間から脱落しにくくできる。恒久足場の設置後であっても、振動などによって裏面パネル16位置がずれて縦梁13の間から脱落することを防ぐこともできる。
【0034】
(3-3)裏面パネル16と下側フランジ13aとの重なった部分の長さbが脱落防止部25と下側フランジ13aの先端部までの距離aより大きいので、裏面パネル16が何れか一方の縦梁13の方向に偏ったとしても、縦梁13の間から裏面パネル16が脱落することを防ぐことができる。
【0035】
なお、上記第1実施形態~第3実施形態は、さらに、例えば以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1実施形態の支間部におけるフレーム12を仮吊りする工程と第2実施形態の張出部におけるフレーム12を仮吊りする工程とは同時並行で行ってもよいし、第1実施形態の工法で支間部に恒久足場を設置してから、第2実施形態における張出部の恒久足場を設置するようにしてもよい。これとは逆に、第2実施形態における張出部の恒久足場を設置してから第1実施形態の工法で支間部に恒久足場を設置するようにしてもよい。
【0036】
・第2実施形態において、支柱21を補強する単管パイプ14xやチェーン15zを省略するようにしてもよいし、単管パイプ14x、チェーン15zの何れか一方を省略するようにしてもよい。
【0037】
・裏面パネル16において、脱落防止部25は、下側フランジ13aの先端部の近傍に突起状に設ける構成でもよいし、下側フランジ13aの先端部の間の全域に亘って長辺に沿って延在する突片であってもよい。脱落防止部25を省略してもよい。
【0038】
・裏面パネル16において、角部24は、C面であってもよい。
・裏面パネル16において、角部24は、R面またはC面を備えていなくてもよい。
・裏面パネル16は、縦梁13の間をスライドさせて空き空間19を設けて空き空間19に新たな裏面パネル16を設置する手順に従わなくてもよい。すなわち、橋軸方向に順に並べるように裏面パネル16を設置するようにしてもよい。
【0039】
・仮設線材としてのチェーン15,15zは、ワイヤロープなどの吊り下げ支持に必要な強度を有する線材を用いてもよい。
・仮設条材としての単管パイプ14,14xは、ワイヤロープなどに代えてもよい。また、縦梁13間に架け渡される単管パイプ14の本数や支柱21と主桁11とを繋ぐ単管パイプ14xの本数は、補強機能を果たす強度を有するのであれば、特に限定されるものではない。
【0040】
・腕材17は場所によって省略してもよいし、異なる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
11…主桁
12(12x,12y)…フレーム
13…縦梁
13a…下側フランジ
13x…端部縦梁
14,14x…単管パイプ
15(15x,15y),15z…チェーン
16(16x,16y,16z)…裏面パネル
17,23…腕材
18…吊材
19…空き空間
21…支柱
22…側面パネル
24…角部
25…脱落防止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14