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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/38 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
B65D5/38 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020180837
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071727
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000150327
【氏名又は名称】株式会社ナカニシ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳村 弘紀
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3193655(JP,U)
【文献】実開平4-3916(JP,U)
【文献】実開昭60-184820(JP,U)
【文献】米国特許第9738412(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有する筒状の枠体の内側に、収容物を前記開口から摺動させながら挿入して収容する包装用箱であって、
前記枠体は板材を折り曲げることにより形成され、
前記板材の一領域をなす第1の板の第1の端部から蓋片が突出し、前記第1の板の第2の端部から第1の側面板が突出し、前記第1の板の第3の端部から第2の側面板が突出し、
差込片が、前記蓋片から前記第1の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第1の板に対向する第2の板が、前記第1の側面板から前記第2の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第2の板の外側に重ねられる第3の板が、前記第2の側面板から前記第3の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
前記蓋片の折り曲げにより、前記蓋片に接続された前記差込片が前記枠体の一端とは逆側の他端に挿入されつつ、前記他端が前記蓋片により閉じられ、
折り曲げられた前記蓋片に接続された前記差込片の折り曲げにより、当該差込片は前記枠体の内部において、折り曲げられた前記第3の板の内側面に重ねられた前記第2の板に沿って配置され、
前記差込片と前記第2の板は、前記枠体の内部における前記第3の板の内側面上で、互いに係合可能な爪部を有している、
包装用箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用箱であって、
前記差込片の爪部と前記第2の板の爪部が、それぞれに対になって形成された凹み部に嵌まることによって係合し、互いに係合したときに前記第3の板の内側面上において、連続した平坦面を形成する、包装用箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装用箱であって、
前記蓋片とは逆側に位置する前記差込片の先端縁が前記爪部に連なり、前記先端縁の長さが、前記第1の板の幅の半分以上の長さを有する、包装用箱。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記爪部の先端が円弧形状を有する、包装用箱。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記差込片は、前記差込片の先端縁から前記蓋片と接続される折り曲げ部までの幅のうち、前記差込片の爪部の幅をLa、残りの幅をLbとしたとき、Lb/3<La<Lbの関係を有する、包装用箱。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記差込片と前記第2の板が、内側に切り込まれた傾斜縁を有し、前記差込片と前記第2の板の折り曲げ時に、前記傾斜縁同士が互いに密着可能である、包装用箱。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記板材が板紙であり、当該板紙の厚さが0.5mm~1mmである、包装用箱。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記蓋片は切れ目を有さない、包装用箱。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記収容物の前記枠体への挿入方向における先端は、挿入時に前記差込片の先端縁を前記蓋片の側に押し込み可能な縁部を有する、包装用箱。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の包装用箱であって、
前記枠体及び前記収容物の断面が矩形状である、包装用箱。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の包装用箱に用いる枠体より構成される外箱であって、
当該外箱は、前記蓋片及び前記差込片が前記第1の板の上に折り畳まれ、かつ、前記第2の板及び前記第3の板が、それぞれ前記第1の側面板及び前記第2の側面板を介して、前記第1の板上に折り畳まれている折り畳み体の状態をとる、外箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体の内側に、収容物を開口から摺動させながら挿入して収容する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
収納対象物を収納可能な内箱を筒状の外箱に挿入して、収納対象物を包装する種々のタイプの包装用箱が提案されている。特許文献1は、外箱の両端が開放されている型式の包装用箱において、外箱に挿入した内箱が落下するのを防ぐ工夫を提案している。
【0003】
また、外箱の一端のみが蓋によって閉じられ、他端は開放されており、内箱を挿入可能な形式の包装用箱も存在する。このような包装用箱は、一般的に外箱の一端にフラップを設けておき、フラップを外箱の中へ折りたたむことにより蓋を形成する。特許文献2は、外箱の一端に、フラップとして一対の対向する組板を用意している。この組板は、それぞれ長部と短部を有しており、折り曲げ時に互いの長部と短部が対峙し、かつ重なり合うことにより蓋を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭62-146715号公報
【文献】実開昭63-107916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した外箱の一端のみが蓋によって閉じられた型式の包装用箱であって、一般的な箱は、外箱の中に折り込まれたフラップが存在している。この状態において、解放された他端から内箱を挿入すると、内箱の先頭の縁が折り込まれたフラップの先端に衝突し、円滑な挿入が困難となる事態が生じ得る。特許文献2の包装用箱は、フラップとしての組板が外箱の内側へ折り込まれないため、この様な事態を回避できるが、特殊な組板の長部と短部を重なり合うように折り曲げる必要があり、作業性に難がある。
【0006】
本発明は、枠体への収容物の挿入と同時に、蓋片により容易に枠体の他端を閉じることのできる包装用箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装用箱は、一端に開口を有する筒状の枠体の内側に、収容物を前記開口から摺動させながら挿入して収容する包装用箱であって、
前記枠体は板材を折り曲げることにより形成され、
前記板材の一領域をなす第1の板の第1の端部から蓋片が突出し、前記第1の板の第2の端部から第1の側面板が突出し、前記第1の板の第3の端部から第2の側面板が突出し、
差込片が、前記蓋片から前記第1の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第1の板に対向する第2の板が、前記第1の側面板から前記第2の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第2の板の外側に重ねられる第3の板が、前記第2の側面板から前記第3の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
前記蓋片の折り曲げにより、前記蓋片に接続された前記差込片が前記枠体の一端とは逆側の他端に挿入されつつ、前記他端が前記蓋片により閉じられ、
折り曲げられた前記蓋片に接続された前記差込片の折り曲げにより、当該差込片は前記枠体の内部において、折り曲げられた前記第3の板の内側面に重ねられた前記第2の板に沿って配置され、
前記差込片と前記第2の板は、前記枠体の内部における前記第3の板の内側面上で、互いに係合可能な爪部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、枠体への収容物の挿入時に差込片と蓋片が移動し、2つの爪部が係合するため、蓋片が容易に枠体の他端を閉じつつ、収容物を枠体の内部に収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る包装用箱の斜視図であって、(A)は前面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。
図2図2は、図1の包装用箱の内箱を途中まで挿入した状態における斜視図であって、(A)は前面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。
図3図3は、外箱の展開図である。
図4図4は、外箱の底面の要部拡大図である。
図5図5は、外箱に内箱を挿入する過程の第1ステップを説明する説明図である。
図6図6は、外箱に内箱を挿入する過程の第2ステップを説明する説明図である。
図7図7は、外箱に内箱を挿入する過程の第3ステップを説明する説明図である。
図8図8は、外箱に内箱を挿入する過程の第4ステップを説明する説明図である。
図9図9は、折り畳まれて折り畳み体となっている外箱の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した包装用箱の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る包装用箱の斜視図であって、(A)は前面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。図2は、図1の包装用箱の内箱を途中まで挿入した状態における斜視図であって、(A)は前面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。
【0011】
本実施形態の包装用箱1は、一端に開口101を有する筒状の外箱100の内側に、内箱200を、外箱100の一端の開口101から摺動させながら挿入して収容するタイプの箱である。図1に示す様に、内箱200が外箱100の内部に完全に収納された状態では、外観上は一般的な包装用箱と変わらない。
【0012】
図2に示す様に、収容物である内箱200には収納空間201が存在し、利用者は種々の物体を収納空間201に配置して、物体ともども内箱200を枠体である外箱100に挿入することにより、物体を包装できる。この逆に、利用者は、開口101から連続して形成された切り欠き102から露出した内箱200の端部を把持しながら、内箱200を外箱100から引き出し、物体を取り出すことができる。
【0013】
図2(B)に示す様に、蓋片150が、外箱100の開口101が形成された一端とは逆の他端に設けられ、他端を塞いでいる。ただし、本実施形態においては、内箱200を外箱100の内部に完全に収納する前においては、蓋片150が、外箱100の内部に向かって傾斜し、入り込んだ状態をとっている。後述するように、内箱200を外箱100に摺動させながら挿入するに伴い、蓋片150は徐々に外側に移動し傾斜状態が完全な垂直状態となって、外箱100の他端を塞ぐ。
【0014】
図3は、外箱100の展開図である。外箱100は、第1の板110と、第2の板120と、第3の板130と、第1の側面板141と、第2の側面板142と、蓋片150と、差込片160とを備え、これらの部材が一体的に形成された板材が、折り曲げ前の形態である。枠体である外箱100は筒状の形状を呈するが、図3の様な板材を、破線に沿って折り曲げることにより形成される。特に本実施形態では、一枚の板材を、破線を山折り線(図3の奥行き方向手前側に折り線が突出する)として折り曲げることにより、筒状の外箱100を形成できる。
【0015】
第1の板110は板材の一領域をなし、第1の端部111、第2の端部112、第3の端部113、第4の端部114により取り囲まれて矩形状を呈している。すなわち、一般的な箱体の形状を実現している。第1の端部111から蓋片150が突出し、第2の端部112から第1の側面板141が突出し、第3の端部113から第2の側面板142が突出している。第4の端部114は開口101の一縁をなす。
【0016】
第2の板120は折れ線となる折り曲げ部121によって第1の側面板141に接続され、第1の側面板141から第2の端部112とは逆側の方向に延びるように形成されている。また、第3の板130は折れ線となる折り曲げ部131によって第2の側面板142に接続され、第2の側面板142から第3の端部113とは逆側の方向に延びるように形成されている。
【0017】
第1の端部111、第2の端部112、第3の端部113、折り曲げ部121、折り曲げ部131に沿って折り曲げた時、第2の板120と第3の板130は、第1の板110に対向する。この時、第3の板130は第2の板120の外側に重ねられる。この折り曲げにより外箱100の筒状部が形成される。図1図2の状態において、第1の板110は底面を、第2の板120と第3の板130は上面を、第1の側面板141と第2の側面板142は2つの側面を形成する。本実施形態では、外箱100と内箱200は全体形状及び断面が矩形状を呈している。
【0018】
更に差込片160が、折れ線となる折り曲げ部161によって蓋片150に接続され、蓋片150から第1の端部111とは逆側の方向に延びるように形成されている。
【0019】
蓋片150の折り曲げにより、外箱100の開口101がある一端とは逆側の他端が、蓋片150により閉じられる。蓋片150の折り曲げとともに差込片160も折り曲げ部161に沿って折り曲げられ、外箱100の筒状部の内部に配置される。内部では、第2の板120が、外側にある第3の板130の内側面上に配置され、第1の板110に対向する。よって、外箱100の内部に移動した差込片160は、第3の板130の内側面上において第2の板120の近傍に配置されることになる。図4では第3の板130が省略されているが、実際の折り曲げ時には、第3の板130が第2の板120の上に配置される。尚、折り曲げ前において、第2の板120には粘着剤(粘着テープ)が設けられ、粘着剤はカバー(剥離テープ)170によって覆われている。折り曲げ時にはカバー170を引き剥がすことによって第2の板120と第3の板130を接着し、折り曲げ状態を維持できる。
【0020】
そして、差込片160と第2の板120は、外箱100の内部であって第3の板130の上において、互いに係合可能な爪部162と爪部122をそれぞれ有している。次に、爪部162と爪部122の係合の詳細を説明する。
【0021】
図5は、外箱100に内箱200を挿入する過程の第1ステップを説明する説明図であり、図6は、外箱100に内箱200を挿入する過程の第2ステップを説明する説明図であり、図7は、外箱100に内箱200を挿入する過程の第3ステップを説明する説明図であり、図8は、外箱100に内箱200を挿入する過程の第4ステップを説明する説明図である。
【0022】
ここでは、内箱200の収納空間201等、細部については、図示を省略している。また、説明の便宜上、本図において、外箱100の上面の左側の一部、手前の側面の左側の一部は削除し、外箱100の内部を露出させている。図4図5に示す様に、蓋片150は予め外箱100の内部に配置されるように斜めに折り込まれており、差込片160は底面をなす第2の板120に沿って配置されることになる。
【0023】
図5に示す様に、外箱100の開口101に内箱200を対向して配置した状態から、矢印Aの向きに沿って、内箱200を外箱100の一端の開口101から摺動させながら挿入する。内箱200を更に押し込むと、図6に示す様に、内箱200の挿入方向における先端において設けられた縁部202が、差込片160の先端縁167(図3参照)に衝突する。図5から図6までの期間においては、蓋片150と差込片160は移動しない。
【0024】
図6の状態、すなわち内箱200の縁部202と差込片160の先端縁167の衝突後、更に内箱200を更に押し込むと、内箱200の縁部202が差込片160の先端縁167を蓋片150の側に向けて押し込み始める。縁部202の存在により、内箱200が確実に差込片160を押すことができる。この差込片160への押圧作用により、図7に示す様に、差込片160に接続した蓋片150が、第1の端部111を中心として矢印Bの向きに回動し始めて、折り畳まれる。
【0025】
そして、内箱200を最後まで押し込むと、図8に示す様に、蓋片150の回動が停止し、蓋片150が第1の端部111から垂直に下方向に配置され、外箱100の他端を閉じるとともに、内箱200全体が外箱100の内側に収納される。この時、差込片160の爪部162と第2の板120の爪部122とが互いに係合し、第3の板130の箱内部における内側面上で、図8において斜線で示す連続した平坦面Pを形成する。
【0026】
図3に示す様に、差込片160においては、凹み部163が、爪部162に隣接して、かつ爪部122と対になって凹んで形成されている。また、第2の板120においては、凹み部123が、爪部122に隣接して、かつ爪部162と対になって形成されている。よって、係合時には、爪部162は凹み部123に嵌まり、爪部122は凹み部163に嵌まることになる。すなわち、差込片160の爪部162と第2の板120の爪部122が、それぞれに対になって形成された凹み部163、123に嵌まることによって係合する。
【0027】
本実施形態では、外箱100への内箱200の挿入時に、差込片160と蓋片150が移動し、2つの爪部162、122が係合するため、蓋片150が容易に外箱100の他端を閉じつつ、内箱200を外箱100の内部に収容できる。よって、差込片160と蓋片150が内箱200の挿入を邪魔せず、簡易な構成でありながらも作業性が向上する。
【0028】
また、2つの爪部162、122が、対応する凹み部123,163にそれぞれ係合したときに、第3の板130の内側面上において、連続した平坦面Pを形成するため、2つの爪部162、122が障害物とならずに、内箱200を外箱100の内部に円滑に収容できる。
【0029】
上述した差込片160の先端縁167は、蓋片150とは逆側に位置しており、先端縁167は爪部162に連なる。図3に示す様に、例えば先端縁167の長さL1は、第1の板110の幅Wの半分以上の長さになるように設定される。先端縁167の長さL1が所定量確保されているため、内箱200に押圧される差込片160が安定的に移動できる。
【0030】
図3に示す様に爪部162と爪部122の爪部の先端は、例えば円弧形状を有するように加工されている。円弧形状により、爪部の先端が変形することを防止しつつ、2つの爪部162、122が円滑に係合する。
【0031】
図3に示す様に、差込片160の先端縁167から蓋片150と接続される折り曲げ部161までの幅L2のうち、差込片160の爪部162の幅Laを、幅L2から幅Laを除いた幅Lbよりも短く、幅Lbの1/3よりも長い寸法にすることが好ましい(Lb/3<La<Lb)。また、La:Lb=1:3とするのが好ましい。上記寸法範囲に設定することで、外箱100の組立時に打箱200に押圧される差込片160が屈曲することを防止でき、組立作業性も向上できる。また、上記した爪部162の幅に応じて、第2の板120の爪部122等の各部寸法も互いに係合可能なように設定される。
【0032】
また、図3に示す様に、差込片160は内側に切り込まれた傾斜縁164を有し、第2の板120も内側に切り込まれた傾斜縁124を有している。そして、差込片160と第2の板120が折り曲げられ、かつ図8の内箱200全体の収納時に、傾斜縁164、124の縁同士が突き当たることで、互いに密着可能となっている。差込片160と第2の板120が密着するので、第3の板130の上において、ずれが生じにくく、安定的に存在することになる。
【0033】
図3に示す外箱100を構成する板材は、好ましくは板紙である。板紙の厚さは特に限定されないが、ある程度の厚みを持つことが剛性の確保の観点から好ましいが、厚すぎると取り扱いが困難になる。例えば、一般的なコートボール(板紙)規格における9号は標準厚みが0.59mmであり、剛性の確保と取り扱い性の双方の観点から好ましい規格である。一般的には板紙の厚さが0.5mm~1mmであれば、本実施形態の包装用箱に適用可能である。なお、板材は紙に限らず、ポリプロピレンPP又はポリエチレンテレフタレートPET等の樹脂材料であってもよい。
【0034】
また、蓋片150は、引用文献2等と異なり切れ目を有さない、1枚板で構成されているのが好ましい。これによれば、構造が複雑になるのを防止ししつつ、確実に外箱100の他端を閉じることができる。
【0035】
図9は、折り畳まれて折り畳み体となっている外箱100の図である。外箱100は、蓋片150及び差込片160が第1の板110の上に折り畳まれている。また、第2の板120及び第3の板130が、それぞれ第1の側面板141及び第2の側面板142を介して、第1の板110上に折り畳まれている。外箱100が折り畳み体の状態をとることにより、体積が大幅に減少して、流通に適したコンパクトな形態にでき、流通コストを低減できる。また、折り畳み体の状態から箱状に戻す動作も容易に行うことができる。
【0036】
本発明によれば、枠体への収容物の挿入時に、差込片と蓋片が移動し、2つの爪部が係合するため、蓋片が容易に枠体の他端を閉じつつ、収容物を枠体の内部に収容できる。よって、差込片と蓋片が収容物の挿入を邪魔せず、簡易な構成でありながらも作業性が向上する。
【0037】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0038】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
【0039】
(1) 一端に開口を有する筒状の枠体の内側に、収容物を前記開口から摺動させながら挿入して収容する包装用箱であって、
前記枠体は板材を折り曲げることにより形成され、
前記板材の一領域をなす第1の板の第1の端部から蓋片が突出し、前記第1の板の第2の端部から第1の側面板が突出し、前記第1の板の第3の端部から第2の側面板が突出し、
差込片が、前記蓋片から前記第1の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第1の板に対向する第2の板が、前記第1の側面板から前記第2の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
折り曲げ時に前記第2の板の外側に重ねられる第3の板が、前記第2の側面板から前記第3の端部とは逆側の方向に延びて形成され、
前記蓋片の折り曲げにより、前記蓋片に接続された前記差込片が前記枠体の一端とは逆側の他端に挿入されつつ、前記他端が前記蓋片により閉じられ、
折り曲げられた前記蓋片に接続された前記差込片の折り曲げにより、当該差込片は前記枠体の内部において、折り曲げられた前記第3の板の内側面に重ねられた前記第2の板に沿って配置され、
前記差込片と前記第2の板は、前記枠体の内部における前記第3の板の内側面上で、互いに係合可能な爪部を有している、
包装用箱。
これにより、枠体への収容物の挿入時に差込片と蓋片が移動し、2つの爪部が係合するため、蓋片が容易に枠体の他端を閉じつつ、収容物を枠体の内部に収容できる。
【0040】
(2) (1)に記載の包装用箱であって、
前記差込片の爪部と前記第2の板の爪部が、それぞれに対になって形成された凹み部に嵌まることによって係合し、互いに係合したときに前記第3の板の内側面上において、連続した平坦面を形成する、包装用箱。
これにより、2つの爪部が障害物とならずに、収容物を枠体の内部に円滑に収容できる。
【0041】
(3) (1)又は(2)に記載の包装用箱であって、
前記蓋片とは逆側に位置する前記差込片の先端縁が前記爪部に連なり、前記先端縁の長さが、前記第1の板の幅の半分以上の長さを有する、包装用箱。
これにより、収容物に押圧される差込片が、安定的に移動できる。
【0042】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記爪部の先端が円弧形状を有する、包装用箱。
これにより、爪部の先端が変形することを防止しつつ、2つの爪部が円滑に係合する。
【0043】
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記差込片は、前記差込片の先端縁から前記蓋片と接続される折り曲げ部までの幅のうち、前記差込片の爪部の幅をLa、残りの幅をLbとしたとき、Lb/3<La<Lbの関係を有する、包装用箱。
これにより、収容物に押圧される差込片が屈曲するのを防止できる。
【0044】
(6) (1)~(5)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記差込片と前記第2の板が、内側に切り込まれた傾斜縁を有し、前記差込片と前記第2の板の折り曲げ時に、前記傾斜縁同士が互いに密着可能である、包装用箱。
これにより、差込片と第2の板が、第3の板の上において安定的に存在することになる。
【0045】
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記板材が板紙であり、当該板紙の厚さが0.5mm~1mmである、包装用箱。
これにより、板材の剛性確保と取り扱い易さを両立できる。
【0046】
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記蓋片は切れ目を有さない、包装用箱。
これにより、構造が複雑になるのを防止ししつつ、確実に枠体の他端を閉じることができる。
【0047】
(9) (1)~(8)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記収容物の前記枠体への挿入方向における先端は、挿入時に前記差込片の先端縁を前記蓋片の側に押し込み可能な縁部を有する、包装用箱。
これにより、収容物が確実に差込片を押すことができる。
【0048】
(10) (1)~(9)のいずれかに記載の包装用箱であって、
前記枠体及び前記収容物の断面が矩形状である、包装用箱。
これにより、一般的な箱体の形状を実現できる。
【0049】
(11) (1)~(10)のいずれかに記載の包装用箱に用いる枠体より構成される外箱であって、
当該外箱は、前記蓋片及び前記差込片が前記第1の板の上に折り畳まれ、かつ、前記第2の板及び前記第3の板が、それぞれ前記第1の側面板及び前記第2の側面板を介して、前記第1の板上に折り畳まれている折り畳み体の状態をとる、外箱。
これにより、体積が大幅に減少し、流通が容易となる。
【符号の説明】
【0050】
1 包装用箱
100 外箱(枠体)
101 開口
110 第1の板
111 第1の端部
112 第2の端部
113 第3の端部
114 第4の端部
120 第2の板
122 爪部
123 凹み部
124 傾斜縁
130 第3の板
141 第1の側面板
142 第2の側面板
150 蓋片
160 差込片
162 爪部
163 凹み部
164 傾斜縁
200 内箱(収容物)
La 差込片の爪部の幅
Lb 差込片の爪部を除いた幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9