(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】車両用電力供給アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60L 5/24 20060101AFI20230801BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20230801BHJP
B60L 5/36 20060101ALN20230801BHJP
【FI】
B60L5/24 Z
H01F17/04 A
H01F17/04 F
B60L5/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020209485
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,ジェフリー ジョン
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-018012(JP,A)
【文献】特開昭60-055802(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0202816(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/24
H01F 17/04
B60L 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電力供給アセンブリであって、前記車両用電力供給アセンブリは、
車両から突出するように、前記車両と結合するように構成されるマストと、
前記車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、前記車両の外部にある車外電流源に係合するために、前記車両から離れた場所で前記マストと結合するように構成される収集アームと、
を備え、
ここで、前記マストまたは前記収集アームの1つ以上は、前記マストまたは前記収集アームの1つ以上の統合インダクタを提供する少なくとも1つの誘導支持部材から形成され、前記統合インダクタを介して、前記車外電流源から受け取られる電流の少なくとも一部が、前記車両に導かれる前にフィルタリングされ、
前記電流が、前記マストおよび前記収集アームの両方の外部にある別のインダクタを介して導かれることなく、前記車外電流源から前記車両の電力供給回路まで導かれる際に、前記少なくとも1つの誘導支持部材によって提供される前記統合インダクタは、前記電流の1つ以上の周波数をフィルタリングするように構成される、
車両用電力供給アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は、前記マストまたは前記収集アームの1つ以上の支持構造体に統合される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項3】
前記マストは、前記車両の電力供給回路のバスバーと直接結合されるように構成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項4】
前記マストまたは前記収集アームの少なくとも1つは、前記車両から取り外し可能に構成されるフィールド交換可能ユニットである、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項5】
前記マストは、前記収集アームが前記車両より上に配置されて、前記電流の前記車外電流源としての架空線に係合するように、前記車両と結合するように構成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項6】
前記マストは、前記収集アームが前記車両より下または前記車両の側面に配置されて、前記1つ以上の経路に沿って延びる導電レールに係合するように、前記車両と結合されるように構成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は積層構造の磁性鋼から形成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は、誘電体の周りに螺旋状に巻かれた導電コイルから形成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は、内部に磁性体を有する細長い導電部材から形成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は、内部に誘電体を有する中空の長細い導電部材から形成される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項11】
前記誘電体は前記導電部材の内部のエアギャップである、請求項10に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項12】
前記誘電体は、前記導電部材の内部に配置される絶縁体である、請求項10に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項13】
前記収集アームおよび前記マストは、前記車両の移動に少なくとも部分的に基づいて、単に受動的に冷却される、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの誘導支持部材は、1,000ポンド~10,000ポンドの間の範囲の荷重を支持する、請求項1に記載の車両用電力供給アセンブリ。
【請求項15】
トロリーアセンブリであって、前記トロリーアセンブリは、
1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材であって、前記1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材は、互いと、および車両と結合して、前記車両から上方に突出するマストを形成、かつ、前記車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、車外電源の架空線に係合して電流を受け取るために、前記マストと結合するように構成された収集アームを形成するように構成される、1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材を含み、
ここで、前記誘導支持部材は、前記架空線から受け取られた前記電流を、前記電流が前記車両の推進システムに導かれる前に、誘導的にフィルタリングするように構成され、
前記1つ以上の誘導支持部材は、内部に誘電体を有する1つ以上の中空の細長い導電部材から形成される、
トロリーアセンブリ。
【請求項16】
1つ以上の誘導支持部材は、前記車両の電力供給回路のバスバーと直接結合するように構成される、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項17】
前記1つ以上の誘導支持部材は、前記車両から取り外し可能に構成されるフィールド交換可能ユニットを形成する、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項18】
前記1つ以上の誘導支持部材は積層構造の磁性鋼から形成される、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項19】
前記1つ以上の誘導支持部材は、内部に磁性体を有する1つ以上の細長い導電部材から形成される、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項20】
前記1つ以上の誘導支持部材は、内部に誘電体を有する1つ以上の中空の細長い導電部材から形成される、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項21】
前記1つ以上の誘導支持部材は、1つ以上の誘電体の周りに螺旋状に巻かれた1以上の導電コイルから形成される、請求項15に記載のトロリーアセンブリ。
【請求項22】
車両用電力供給アセンブリであって、前記車両用電力供給アセンブリは、
車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、前記車両の外部にある車外電流源に係合するように構成される、収集アームと、
前記車両から突出するように、前記車両と結合されるように構成される誘導支持構造体であって、前記誘導支持構造体は、前記車両より上の収集アームを機械的に支持し、かつ前記収集アームから前記車両の推進システムまでの電流の導電経路に沿ってインダクタを提供する、誘導支持構造体と、
を備え、
前記電流が、前記誘導支持構造体の外部にある別のインダクタを介して導かれることなく、前記車外電流源から前記車両の前記推進システムまで導かれる際に、前記誘導支持構造体は、前記電流の1つ以上の周波数をフィルタリングするように構成される、
アセンブリ。
【請求項23】
前記誘導支持構造体は、前記車両から取り外し可能に構成されるフィールド交換可能ユニットである、請求項
22に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、一般に、車両のための電力供給アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の考察
鉄道車両、オフハイウェイ車両(OHV)、輸送車両などのトロリーアシスト車両は、車両に電力を供給するために車外電流源を使用する場合がある。一例では、車両は、車両に電力を供給するために電流を供給する懸垂線と接触する、パンタグラフおよび付随するパンタグラフ支持構造体を含み得る。あるいは、路傍装置、電気線路、または他の車外電流源は、集電装置との物理的接触により電流を供給することができる。
【0003】
パンタグラフ支持構造体は、車両に機械的に結合されるマスト(mast)を含んでいる場合がある。マストは集電装置を含み、車両に電力を提供するための推進システムに車外電流源を電気的に結合するための経路も提供し得る。
【0004】
車外電流源から受け取られた電流をフィルタリングするために、インダクタが使用される。インダクタは、推進システムに渡す前のフィルタリングのために、電流源から電流を受け取る収集アームから間隔をあけて配置される。インダクタは、ファンで冷却する必要があるかもしれない空心、鉄心などを含んでいる場合があり、追加のサイズと複雑さを加える。この目的のために、ファンは、ファンと共に清潔にされ、かつメンテナンスされなければならない、フィルターおよび配管を含み得る。インダクタは交差結合してサイズを縮小することができるが、これらの車両の電力供給アセンブリのサイズ、重さ、およびコストをさらに低減することが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
一実施例では、車両用電力供給アセンブリは、車両から突出するように上記車両と結合するように構成されたマストと、上記車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、前記車両の外部にある車外電流源と係合するために、上記車両から離れた場所で上記マストと結合されるように構成された収集アームと、を含む。1つ以上のマストまたは収集アームは、1つ以上のマストまたは収集アームの統合インダクタを提供する少なくとも1つの誘導支持部材から形成され、上記統合インダクタを介して、車外電流源から受け取られた電流の少なくとも一部が、車両に導かれる前にフィルタリングされる。
【0006】
別の実施例では、互いと、および車両と結合して、マストを形成するように構成される1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材を含む、トロリーアセンブリが提供される。形成されたマストは車両から上方へ突出し、収集アームは、車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、車外電源の架空線と係合して電流を受け取るために、マストと結合するように形成および構成される。支持部材は、架空線から受け取られた電流を、上記電流が車両の推進システムに導かれる前に誘導的にフィルタリングするように構成される。
【0007】
さらに他の実施例では、車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、前記車両の外部にある車外電流源と係合するように構成された収集アームを含む、車両用電力供給アセンブリが提供される。車両用電力供給アセンブリは、誘導支持構造体が車両から突出するように、上記車両と結合するように構成される誘導支持構造体をさらに含んでいる。誘導支持構造体は、車両より上の収集アームを機械的に支持し、かつ収集アームから車両の推進システムまでの電流の導電経路に沿ってインダクタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に記載される主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の記載を読むことで一層よく理解されるであろう。
【0009】
【
図1】1つの例示的な実施例の車両用電力供給システムの透視図を示す。
【
図2】1つの例示的な実施例の車両用電力供給システムの上面概略図を示す。
【
図3】一例の車両用電力供給システムのパンタグラフの上面斜視図を示す。
【
図4】一例の車両用電力供給システムのパンタグラフの上面斜視図を示す。
【
図5】一例の
図3の線5-5に沿って得られる断面図を示す。
【
図8】一例の車両用電力供給システムの概略ブロック図を示す。
【
図9】一例の車両に電力を供給するための方法の概略ブロックフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
パンタグラフまたは電源と係合するための同様の構造を含み得る、車両用電力供給システムが提供される。1つの例示的な実施例では、電線に係合して車両用電力供給システムに電流を供給する収集アームを含み得る、マストが提供される。パンタグラフのためのマストおよび/または支持アームの構造支持体の一部として統合されるのは、電線から受け取られた電流をフィルタリングすることができるインダクタである。例えば、パンタグラフを形成する構造部品は、懸垂線から受け取られた電流の一部の周波数をフィルタリングする外部インダクタの必要性を、少なくとも部分的にまたは完全に置き換える誘導部材から形成されてもよい。マストあるいは収集アームの支持構造体の一部としてインダクタを統合することにより、個別の間隔をあけて配置されたインダクタの必要性を除去するか、または減少させ、車両用電力供給システムのコスト、サイズ、および重量を低減させる。パンタグラフはさらに、車両に直接結合されてもよく、またはメンテナンスと交換を容易にするために車両に取り外し可能に結合されてもよい。マストまたは収集アームの一部であることにより、統合インダクタは受動的に冷却されて、ファンによる強制冷却の必要性を減少させるか、あるいは除去し、上記システムの重量および複雑さを低減させる。
【0011】
図1は、一例による例示的なトロリーアセンブリ(100)を示す。この例では、トロリーアセンブリ(100)は、車両(102)と、パンタグラフ(106)を含む車両用電力供給システム(104)とを有する。この例では、オフハイウェイ運搬トラックが説明されているが、他の例では、車両(102)は、自動車、トラック、バス、鉱業車両、鉄道車両、オフハイウェイ車両(OHV)などを含み得る。さらに、この例では、パンタグラフ(106)が提供されているが、他の例では、ビューゲル、トロリーポールなどが提供されてもよい。車両(102)は、パンタグラフ(106)を受け取る本体(108)を含んでいる。
【0012】
パンタグラフ(106)は、車両(102)から上方へ突出するマスト(110)を含み、上記マスト(110)から延びる少なくとも1つの収集アーム(112)を支持する。一例では、マスト(110)は本体(108)に溶接される場合があるが、他の例では、マスト(110)は、パンタグラフ(106)を車両(102)から取り外すことを可能するために、本体(108)にボルトで固定される場合がある。収集アーム(112)は、車両が1つ以上の経路に沿って移動する間に、車外電流源(114)に係合して車外電流源(114)からの電流を受け取るために、マスト(110)から延びる。この例では、車外電流源(114)は、電力網に電気的に接続される架空線である。4つの収集アーム(112)が示され、マスト(110)に移動可能に、および旋回可能に接続される。このように、車両(102)が車外電流源(114)から電流を受けっていない場合、ハイウェイあるいは他のそのような車道上での車両の運転を容易にするために、収集アームを車両(102)内で下げることができる。あるいは、収集アーム(112)は、マスト(110)または本体(108)から伸縮自在であり、マスト(110)または本体(108)に永久に固定され得る。
【0013】
図2は、車両(102)の一部が除去された電力供給システム(104)を示す。同様に、収集アーム(112)も、説明を容易にするめに除去されている。
図3は、収集アーム(112)が除去されたパンタグラフ(106)を示す。
図4は、バスバー上で取り外し可能に取り付けられた
図3のパンタグラフ(106)を示した。
【0014】
図2~4に示されるように、マスト(110)は、1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材(118)を含む支持構造体(116)も含んでいる。誘導支持部材(118)は、パンタグラフ(106)に構造支持体を提供する構造である一方、パンタグラフ(106)によって受け取られた電流をフィルタリングするためのインダクタとして機能するように構成される。上記支持部材が(a)車両より上の収集アーム(112)を機械的に支持し、かつ(b)電流が車外電流源から車両まで導かれる際にインダクタとして動作するように、誘導支持部材は、インダクタ自体であってもよい。このように、誘導支持部材(118)は、収集アーム(112)によって導かれる電流をフィルタリングする統合インダクタを含むと考えられる。誘導支持部材(118)は、少なくとも.5ミリヘンリー(mH)のインダクタンスを有するインダクタを形成する場合がある。一例では、誘導支持部材は、.1mH~3mHの間のインダクタンスを有する場合がある。
【0015】
誘導支持部材(118)に関して、パンタグラフ(106)から間隔をあけて配置され、ケーブルまたはバスバーなどの他の構造によってパンタグラフに結合されるインダクタは、パンタグラフに構造支持体を提供するとは考えられず、したがって、誘導支持部材(118)ではない。同様に、パンタグラフ(106)に組み込まれた棚上にあるインダクタ、またはパンタグラフ内に配置されるが、パンタグラフ(106)を構造的に支持しないインダクタは、誘導支持部材(118)であるとは考えられない。しかし、パンタグラフ(106)の一部であるか、またはパンタグラフ(106)に直接結合されるインダクタは、パンタグラフ(106)の重量の結果としての荷重を担う誘導支持部材(118)であり得る。具体的には、直接結合されることにより、誘導支持部材(118)とパンタグラフとの間に介在する電気部品は存在しない。このように、パンタグラフ(106)を支持するために、本体(108)とパンタグラフ(106)との間に斜めに配置されるインダクタは、誘導支持部材(118)と考えられ得る。さらに別の例では、誘導支持部材(118)は、パンタグラフ(106)を受け取り、支持する車両の台部(bed)であってもよく、その台部はインダクタとして機能する。別の例では、誘導支持部材は、パンタグラフの収集アーム(112)の一部であり得るか、または、収集アーム(112)に支持を直接提供し、収集アーム(112)からの荷重を支持し得るインダクタであってもよい。一例では、誘導支持部材に支持されるパンタグラフおよび/または収集アームからの荷重は、少なくとも1000ポンド(lbs)、複数の例では、1000lbs~10,000lbsの間の範囲であり得る。このように、支持部材は、1000lbs~10,000lbsの間の範囲の荷重を支持することができる。
【0016】
誘導支持部材(118)は、垂直支持部材(120)、水平支持部材(122)、および交差支持部材(124)を含み得る。これらの部材は、収集アーム(112)を受け入れるフレーム(126)に構造支持体を提供する(
図1)。垂直とは、表面から90°の構造、または他の構造を典型的に示すが、本明細書で使用される場合には、垂直とは、細長い部材が水平方向よりも垂直方向にさらに延びることを示す。その目的のために、垂直支持部材(120)はすべて本体(108)から斜めに延び、および、それらが延び続けるとある点で交わり、ピラミッド形状を形成することを示す。同様に、水平とは表面から90°の構造、または他の構造を示すが、本明細書で使用される場合、水平とは、細長い部材が垂直方向よりも水平方向にさらに延びることを示す。この目的のために、他の例実施例では、水平支持部材(122)は、互いに、または垂直支持部材(120)に対して斜めに延びる。
【0017】
フレーム(126)は、収集アーム(112)を受け入れるように構成される場所と共に、支持部材(128)を含んでいる。フレーム(126)は、マストの誘導支持部材(118)に直接結合されてもよい。特に、フレーム(126)と誘導支持部材(118)との間に介在する電気部品は設けられていない。あるいは、フレーム(126)の支持部材(128)はさらに、車外電流源(114)から受け取られた電流をフィルタリングする誘導支持部材であってもよい。一例では、誘導支持部材(118)がフレーム(126)の一部、垂直支持部材(120)、水平支持部材(122)、交差支持部材(124)、またはフレーム(126)の支持部材(128)であるかに関わらず、電流を収集アーム(112)から誘導支持部材(118)へと向けるためにケーブルが設けられる。同様に、ケーブルは、細長い誘導支持部材(118)から推進システムへと、フィルタリングされた電流を向けるために使用されてもよい。あるいは、バスバー(
図6)は、電流を、収集アーム(112)から誘導支持部材(118)へと、または、誘導支持部材から推進システムへと向けるために提供されてもよい。
【0018】
一例では、1つ以上の誘導支持部材(118)はフィールド交換可能ユニットを形成し得る。特に、フィールド交換可能ユニットは、(例えば)溶接あるいは他の切削作業による除去とは対照的に、例えば、レンチあるいは他のツールを使用して、ボルトあるいは他の締め具を作動させることによって、メンテナンスまたは交換のために車両(104)、パンタグラフ(106)、または収集アーム(112)から取り外され得るデバイスあるいは構造である。一例では、水平支持部材(122)は、収集アーム(112)から受け取った電流を誘導的にフィルタリングするために使用される、誘導支持部材であり得る。水平支持部材(122)は、垂直支持部材(120)のフランジにボルトで固定され、メンテナンスまたは交換のために水平支持部材(122)の取り外しを可能にし得る。取り外されると、水平支持部材(122)が適所に戻され得るか、または交換され得るまで、構造の残りの部分はパンタグラフ(106)を支持し続ける。この例では、単一の水平支持部材(122)が記載されているが、他の例では、パンタグラフ(106)全体が車両(104)の本体(108)に取り外し可能に結合されて、パンタグラフ(106)を交換することができる。あるいは、1つを超える支持部材を含むセクションまたは部分は、メンテナンスおよび交換のためにパンタグラフ(106)から取り外すことができる。
【0019】
1つ以上の誘導支持部材(118)内にインダクタを設けることによって、受動的冷却が実現される。具体的には、誘導支持部材(118)は細長く、パンタグラフの支持構造体の一部であり、車両(104)が移動している間に空気が上記誘導支持部材を通り越すことを可能にする。さらに、車両(104)が電流を伝導していない場合、誘導支持部材からの熱も大気に伝達される。さらに、細長い誘導の支持部材(118)は、熱伝達を改善するために、周囲空気にさらされる表面積が増加している。このように、ファン、配管などの冷却装置は、インダクタの冷却のために提供されない場合がある。代わりに、パンタグラフを横切る空気の移動により、誘導支持部材を通る電流の伝導によって加熱され得る誘導支持部材を冷却することができる。あるいは、ファンまたは冷却装置は依然として提供され得るが、その冷却装置のサイズおよび重量は、誘導支持部材を使用しないシステムと比較して低減させることができる。
【0020】
誘導支持部材(118)は、積層構造の磁性鋼から形成されてもよい。複数の例では、誘導支持部材(118)は、空心インダクタ、鉄心インダクタ、フェライトコアインダクタ、再構築型(rebuild-type)インダクタ、鉄粉インダクタ、積層鉄心インダクタ、ボビンベースのインダクタ、トロイダルインダクタ、セラミックインダクタなどの1つを含むインダクタ(120)である。具体的には、1つ以上の誘導支持部材は、正方形断面または矩形断面(
図4)、円形断面などを有し得る。特に、誘導支持部材(118)は、インダクタおよび支持構造体の両方として機能し、このように、支持部材(118)の形状、形態、および材料を変えることで、パンタグラフの荷重に対処するためにより強力な支持を提供するか、またはインダクタとして機能するためにより良い電気的性質を提供することができる。
【0021】
別の例として、1つ以上の誘導支持部材(118)は、1つ以上の導電部材の内部に磁性体を有する1つ以上の細長い導電部材から形成されてもよく(
図5)、磁性体と導電部材の両方が構造支持体を提供することができる。1つ以上の支持部材(118)はまた、1つ以上の誘電体の周りに螺旋状に巻かれた1つ以上の電導コイルから形成されてもよい(
図6)。いくつかの例では、誘電体は空気であり得るが、他の例では、誘電体は所定の荷重の支持を補足する材料から形成され得る。
【0022】
あるいは、1つ以上の誘導支持部材(118)は、1つ以上の導電部材の内部に誘電体に有する1つ以上の中空の細長い導電部材から形成され得る(
図7)。さらに、中空管および潜在的に誘電体は荷重を支持することができる。加えて、中空管は、導支持部材の電気的性質に影響を与えることなく、追加の構造支持を提供するために、エポキシ、あるいは誘他の材料で満たされてもよい。同様に、絶縁材料は中空管内にあり、誘電材料を囲んでいてもよい。絶縁材料は、誘導支持部材(118)の電気的性質および/または構造的特性の1つまたは両方を補足するために、正方形断面、矩形断面、円形断面などを含む場合がある。
【0023】
図2~4で説明されるように、パンタグラフ(106)は、垂直支持部材(120)を支持し、かつ車両(104)の本体(108)への代替可能な直接結合を提供する、フランジ(128)を含み得る。具体的には、フランジ(128)は、本体(108)を直接結合または係合するためのボルトを受け入れることができる。
図4の例では、フランジ(128)および対応するボルトは、パンタグラフ(106)を受け取るバスバー(130)と本体(108)との両方に直接結合をもたらす。パンタグラフ(106)の誘導支持部材(118)がバスバー(130)中の伝導部またはトレースと導電的に結合するように、パンタグラフ(106)はバスバー(130)と結合され得る。バスバー(130)中のこれらの伝導部またはトレースは、推進システムの電力供給回路と導電的に結合される(
図8)。したがって、パンタグラフ(106)の誘導支持部材(118)とバスバー(130)との間に追加のケーブル、ワイヤーなどは必要でないか、または使用されない場合がある。バスバー(130)、ケーブル、ワイヤーなどが使用されるか否かに関わらず、導電経路は、誘導支持部材(118)を介して収集アーム(112)から推進システムまで形成される。他の例では、パンタグラフ(106)を本体(108)に直接結合するために、リベット、スクリューなどを含む他のメカニカルカプラが提供されてもよい。あるいは、パンタグラフ(106)は、車両(104)の本体(108)に溶接されてもよく、パンタグラフ(106)のメンテナンスを容易にするために、代替可能なセクションあるいは支持部材を含んでいてもよい。
【0024】
図2~4に関して、随意に、支持棚(131)もマスト(110)内に設けられる。追加の記憶装置、補足支持などのために支持棚(131)が設けられてもよい。一例では、支持棚(131)は、細長い誘導支持部材(118)の冷却を補うための冷却ファン(
図8)を支持し得る。より詳細に本明細書に記載されるように、マスト(110)および対応する細長い誘導支持部材(118)は、空気が細長い誘導支持部材(118)を通り過ぎる結果として受動的に冷却され、パンタグラフ(106)が使用されていない場合には、単に熱を環境に放出させる。それでも、追加の冷却ファンまたは冷却装置が、冷却の補足あるいは増大のために支持棚(131)上に置かれてもよい。
【0025】
図5は、例示的誘導支持部材(118)の断面図を示す。
図6は、誘導支持部材(118)のセクションの側面図を示す。誘導支持部材(118)は、誘電材料(134)に囲まれる導電コア(132)を含み得る。導電コア(132)は、鉄、フェライト、鉄フェライト、積層鋼、磁性材料などであり得る。誘電材料(134)は、プラスチック、セラミックなどを含んでいてもよい。誘導コイル(136)は、導電コア(132)および誘電材料(134)の外面の周りに螺旋状に巻かれる。誘導コイル(136)は銅から作られてもよく、絶縁材を含んでいてもよく、ならびに、収集アーム(112)によって受け取られた電流のフィルタリングに必要とされる磁界に基づいたサイズと形状、および巻線数のものであり得る。一例では、1つを超える誘導支持部材(118)は、交差結合されたコアが提供され得る。
【0026】
動作中、推進システム(
図8)は電流を受け取り、および直流(DC)入力を受け取るように調整された電力供給回路(
図8)を有する。DCは、DC入力を提供するために変換される交流(AC)入力から形成される。しかし、しばしば、変換中のAC電流の不完全抑制のためにリップル電流が存在し、DCのみを受け取るように調整された電力供給回路に障害を引き起こす可能性がある。その結果、リップル電流が電力供給回路に到達するのを減少および排除するために、インダクタが使用される。提供される図の例では、直流電流は車外電流源(114)によって提供され、誘導支持部材(118)の誘導コイル(136)に入力される。リップル電流が入力された電流内に存在する場合、このACは誘導コイル(136)に導入される。誘導支持部材(118)を横切った電流が変化すると、磁界は、AC電流の変化が誘導支持部材(118)で電圧を誘導するように、時間とともに変化するようになる。この誘導電圧は印加電圧に対抗し、それにより、DCと比較してAC(リップル)電流に対してより大きなインピーダンスを作り、それゆえ、AC(リップル)を減少させる。これは時々、リップル電流の阻止または遮断と呼ばれる。その結果、推進システムによる使用のために、DC電圧のみが、誘導支持部材(118)の出力から電力供給回路へのDCリンク(ケーブル、バスバーなど)に渡される。一例では、誘導支持部材(118)は、最大50-60Hzの周波数でリップル電流を除去することができる。
【0027】
図7は、例示的な誘導支持部材(118)の代替的断面図を示す。この例では、誘導支持部材(118)は、誘電材料(140)を囲む開いた内部(138)を有する、中空の細長い導電部材であってもよい。このように、開いた内部(138)内のエアギャップは、誘電材料(140)のための絶縁材として機能する。あるいは、追加の絶縁を提供するために、絶縁材が開いた内部(138)内に置かれてもよい。
図6-7に関して記載される誘導支持部材と同様に、この誘導支持部材は、推進システムに供給されるDCのリップル電流をフィルタリングする。
【0028】
図8は、1つの例示的な実施例による車両用電力供給アセンブリ(800)の略図を示す。一例では、車両用電力供給アセンブリ(800)は、
図2の車両用電力アセンブリ(202)である。別の例では、車両用電力供給アセンブリ(800)は、
図1のトロリーアセンブリ(100)である。
【0029】
車両用電力供給アセンブリ(800)は電流源(802)から電流を受け取る。一例では、電流源(802)は、車両より上に位置するカテナリー方式からのものを含む、1つ以上の架空線である。別の例では、電流源(802)は、鉄道車両の本体より下に位置し、鉄道車両の車輪に係合し得る鉄道車両の導電レールである。さらに別の例では、電流源は、車両の横に位置し、車両の経路または通路に沿って位置する路傍装置であり得る。いずれの場合も、電流源は車外に位置し、車外電流源である。
【0030】
収集アーム(804)は、
図1-7に関して記載される実施例のいずれかに記載される電流源(802)に電気的に結合し、物理的に係合する。同様に、マスト(806)は収集アーム(804)に結合され、車両に関連して収集アーム(804)に構造支持体を提供する。マスト(806)は、
図1-7に詳細に記載される収集アーム(804)を支持するために、フレーム部材、クロスバー部材、支持脚、靴要素(shoe elements)などを含み得る。
【0031】
統合インダクタ(808)は、収集アーム(804)またはマスト(806)の少なくとも1つと統合され得る。一例では、統合インダクタ(808)は、支持構造体、またはマスト(806)の支持構造体のセクションに取り外し可能におよび交換可能に統合されることによって、マスト(806)に直接結合され得る。同様に、統合インダクタ(808)は、収集アーム(804)の支持構造体または収集アーム(804)の支持構造体のセクション内に取り外し可能におよび交換可能に統合され得る。一例では、統合インダクタ(808)は、収集アーム(804)およびマスト(806)の両方の内部で統合される。他の実施例では、統合インダクタは、収集アーム(804)またはマスト(806)の1つのみの内部で統合される。統合インダクタは、
図1-7に関して記載される任意のインダクタであってもよい。
【0032】
電力供給回路(812)のバスバー(810)は、収集アーム(804)、またはマスト(806)の少なくとも1つに電気的に直接結合される。一例では、バスバー(810)は、電流源(802)と推進システム(814)の間の電気接続および電気経路を提供するために、マスト(806)に係合する。あるいは、バスバー(810)は、電流源(802)と推進システム(814)との間に電気接続および電気経路を提供するために、収集アーム(804)に電気的および直接的に結合される。さらに別の例では、電流源(802)と推進システム(814)との間に電気接続および電気経路を提供するために、バスバー(810)は、収集アーム(804)およびマスト(806)の両方に電気的に直接結合される。一例では、推進システム(814)は、トロリーキャビネット内にあり、そのトロリーキャビネットは、一例では、
図1のトロリーキャビネット(122)である。電流が統合インダクタによって誘導的にフィルタリングされる場合、電流経路は、収集アームおよび/またはマストを介して電流源から電力供給回路のバスバーまで延びる。
【0033】
推進システム(814)は、車両の車軸を回転させるためにトラクションモーターに動力を供給する伝動装置を含んでいる。上述されるように、リップル電流を除去するためにインダクタによってフィルタリングされ、電力供給回路(812)によって提供される、車外電流源から受け取られた電流によって、伝動装置に動力が供給され得る。一例では、トラクションモーターは、充電用の車外電流源から電流を受け取るバッテリーのみを使用して動作する。他の例示的な実施例では、推進システム(814)はハイブリッドシステムであり、そのハイブリッドシステムでは、伝動装置は、車外電流源からの電流によって充電されたバッテリーからの電気入力と、ディーゼルエンジンなどのエンジンからの機械的な入力の両方を受け取る。
【0034】
一例では、統合インダクタ(808)を冷却するために、ファン(816)が設けられてもよい。ファン(816)は、それ自体の独立した電源を含み得るか、電流源(802)から受け取られる電流によって動力が供給され得るか、推進システム(814)によって動力が供給され得る。一例では、上記ファンは、ファン(816)の動作を制御するために、環境内の対象の特性(characteristics of interest)を検出する計算装置の1つ以上のプロセッサーに結合されるセンサアセンブリを含み得る。一例では、対象の特性は統合インダクタ(808)の温度である。閾値温度を超えると、ファンは自動的に作動することができる。対象の特性は車両の速度であり得る。具体的には、車両の速度は、統合インダクタ(808)を通り越す空気の対気速度を決定するために使用され得、閾値速度を下回ると、ファン(816)は自然空冷を補うために動作することができる。ファン(816)は、統合インダクタ(808)を通り越す対気速度に基づいてファンの速度を増加および減少させ、予定率での冷却が達成されることを確実にするために動作することができる。同様に、センサーは、統合インダクタ(808)を通り越す空気の対気速度を検出することができ、対象の特性は対気速度である。したがって、ファンは、統合インダクタ(808)を冷却するために、または、その冷却を補うために動作することができる。
【0035】
図9は、車両に電力を供給するための方法(900)を示す。車両は、自動車、トラック、バス、鉱業車両、鉄道車両、オフハイウェイ車両(OHV)などを含み得る。一例では、車両は図の車両(102)である。
【0036】
(902)において、電流が収集アームによって受け取られる。一例では、収集アームは、電線に係合するパンタグラフの一部である
図1の収集アーム(112)である。別の例では、収集アーム(112)は、電流を運ぶレールに係合する靴であってもよい。収集アームは、車外電流源からの電流を導き、その電流を車内にもたらして使用することができる任意の構造であってもよい。電流は、推進システム、エンジン、補助デバイスなどによって使用されてもよい。電流を受け取るために、収集アームを、電流源との係合のために動かすことができる。一例として、パンタグラフ上の収集アームは旋回し、車両から離れて上方へと延びて、架空電線に係合することができる。
【0037】
(904)において、収集アームによって受け取られた電流は、誘導支持部材に流れ、その誘導支持部材によってフィルタリングされる。一例では、受け取られた電流は、50-60Hzの間の範囲の周波数を有している。別の例では、誘導支持部材は
図1-4の誘導支持部材(118)である。他の例では、誘導支持部材は、
図5-7に関連して示され、説明される誘導支持部材のうちの1つである。誘導支持部材は収集アームの荷重に耐える。一例では、誘導支持部材は、車両に収集アームを直接結合するために提供されるフレームワーク内の支持部材である。誘導支持部材は、垂直支持部材、水平支持部材、交差支持部材、角度のある支持部材などであってもよい。誘導支持部材は、空心インダクタ、鉄心インダクタ、フェライトコアインダクタ、再構築型インダクタ、鉄粉インダクタ、積層鉄心インダクタ、ボビンベースのインダクタ、トロイダルインダクタ、セラミックインダクタなどを含む、インダクタであり得る。誘導支持部材は、パンタグラフの収集アーム、レールに係合する靴などを支持することができる。
【0038】
(906)において、電流は推進システムに流れる。一例では、ケーブルは誘導支持部材に結合され、フィルタリングされた電流は、ケーブルを通って推進システムへと流れる。電流は、車両を推進するために使用されるバッテリーへと電流を供給する、推進システムの電力供給回路によって受け取られてもよい。別の例では、バスバーは、誘導支持部材に係合し、フィルタリングされた電流を推進システムの電力供給回路に供給する。誘導支持部材は、誘導支持部材をバスバーに固定するフランジおよびボルトを介して、バスバーに直接結および係合することができる。このように、誘導支持部材は、修理または交換のために、ボルトを外して、バスバーとの接触状態から取り外すことができる。
【0039】
(908)において、誘導支持部材は受動的に冷却されて、誘導支持部材からの熱を伝える。一例において、車両が経路を横断する際に、空気は誘導支持部材を通って流れ、移動する電流およびインダクタによって生成された熱を周囲空気へと伝える。同様に、収集アームが配置されていないか、または使用中であるために、誘導支持部材が電流をフィルタリングしない場合、誘導支持部材の受動的冷却をもたらすために、熱が周囲空気に伝えられる。
【0040】
したがって、車両用電力アセンブリおよびトロリーアセンブリが提供され、それらは、車外電流源から収集アームによって受け取られた電流のための誘導フィルターを提供するために、収集アームまたはマストに誘導部材を統合する。収集アームから推進システムへの直接電気経路(direct electrical pathway)内に統合インダクタを置くことによって、個別の誘導デバイスのために追加の費用と空間を提供する必要がなくなる。さらに、収集アームおよび/またはマスト内に統合されることによって、受動的空気冷却が提供され、インダクタを冷却するのに必要なファンあるいは他の冷却装置の複雑さおよび重量を低減する。最後に、インダクタは、メンテナンスを増強するために、車両から取り外し可能なものとして設けられてもよい。
【0041】
1つ以上の実施例では、車両から突出するように車両と結合するように構成されたマストを含む、車両用電力供給アセンブリが提供される。収集アームは、車両が1つ以上の経路に沿って移動している間、前記車両の外部にある車外電流源に係合するために、車両から離れた場所でマストと結合するように構成される。マストあるいは収集アームの1つ以上は、マストまたは収集アームの1つ以上の統合インダクタを提供する少なくとも1つの誘導支持部材から形成され、上記インダクタを介して、車外電流源から受け取られた電流の少なくとも一部が、車両へと導かれる前にフィルタリングされる。
【0042】
任意に、少なくとも1つの誘導支持部材は、マストまたは収集アームの1つ以上の支持構造体へ統合される。一例では、マストは、車両の電力供給回路のバスバーと直接結合するように構成される。
【0043】
一態様では、マストまたは収集アームの少なくとも1つは、車両から取り外し可能に構成されるフィールド交換可能ユニットである。随意に、少なくとも1つの誘導支持部材によって提供される統合インダクタは、電流がマストおよび収集アームの外部にある別のインダクタを介して導かれることなく、電流が車外電流源から車両の電力供給回路まで導かれる際に、電流の1つ以上の周波数をフィルタリングするように構成される。
【0044】
別の例では、マストは、収集アームが車両より上に配置されて、車外電流源として架空線に係合するように、車両と結合するように構成される。別の態様では、マストは、収集アームが車両より下または車両の側面に配置されて、1つ以上の経路に沿って延びる導電レールに係合するように、車両と結合するように構成される。
【0045】
随意に、少なくとも1つの誘導支持部材は積層構造の磁性鋼から形成される。あるいは、少なくとも1つの誘導支持部材は、誘電体の周りに螺旋状に巻かれた導電コイルから形成される。さらに別の例では、少なくとも1つの誘導支持部材は、導電部材の内部に磁性体を有する細長い導電部材から形成される。あるいは、少なくとも1つの誘導支持部材は、導電部材の内部に誘電体を有する中空の細長い導電部材から形成される。随意に、誘電体は導電部材の内部のエアギャップである。
【0046】
一例では、誘電体は導電部材の内部に配置された絶縁体である。別の態様では、収集アームおよびマストは、車両の移動に少なくとも部分的に基づいて、受動的に冷却される。随意に、収集アームおよびマストは、ファンの動作に少なくとも部分的に基づいて、強制冷却される。
【0047】
1つ以上の実施例では、互いと、および車両と結合するように構成される1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材を含むトロリーアセンブリが提供される。1つ以上の細長い構造的な誘導支持部材は、車両から上方に突出するマストを形成し、および、車両が1つ以上の経路に沿って移動している間、車外電源の架空線に係合して電流を受け取るために、上記マストと結合するように構成される収集アームを形成する。上記支持部材は、架空線から受け取られた電流を、その電流が車両の推進システムに導かれる前に誘導的にフィルタリングするように構成される。
【0048】
随意に、1つ以上の支持部材は、車両の電力供給回路のバスバーと直接結合するように構成される。一態様では、1つ以上の支持部材は、車両から取り外し可能に構成されたフィールド交換可能ユニットを形成する。あるいは、1つ以上の支持部材は積層構造の磁性鋼から形成される。別の例では、1つ以上の支持部材は、1つ以上の導電部材の内部に磁性体を有する1つ以上の細長い導電部材から形成される。あるいは、1つ以上の支持部材は、1つ以上の導電部材の内部に誘電体を有する1つ以上の中空の細長い導電部材から形成される。随意に、1つ以上の支持部材は、1つ以上の誘電体の周りに螺旋状に巻かれた1つ以上の導電コイルから形成される。
【0049】
1つ以上の実施例では、車両用電力供給アセンブリは、車両が1つ以上の経路に沿って移動している間、前記車両の外部にある車外電流源に係合するように構成される収集アームを含む。車両用電力供給アセンブリは、誘導支持構造体が車両から突出するように、上記車両と結合されるように構成される誘導支持構造体も含んでいる。誘導支持構造体は、車両より上の収集アームを機械的に支持し、収集アームから車両の推進システムまでの電流の導電経路に沿ってインダクタを提供する。
【0050】
任意に、誘導支持構造体は、車両から取り外し可能に構成されたフィールド交換可能ユニットである。別の態様では、誘導支持構造体は、電流が、誘導支持構造体の外部にある別のインダクタを介して導かれることなく、車外電流源から車両の推進システムまで導かれる際に、電流の1つ以上の周波数をフィルタリングするように構成される。
【0051】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で別段の定めのない限り、複数の言及を含んでいる。「随意の」または「随意に」は、続いて記載される事象または状況が生じる場合と生じない場合があり、および、その記載には事象が生じる例と生じない例とが含まれ得ることを意味する。本明細書および特許請求の範囲にわたって使用される概略を表す言葉(Approximating language)は、それが関連する可能性のある基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変わる可能性のある、任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語によって修飾される値は、指定された正確な値に限定されない可能性がある。少なくともいくつかの例では、概略を表す言葉は、値を測定する機器の精度に対応する場合がある。ここで、および本明細書と特許請求の範囲にわたって、範囲の限定は組み合わせられ、および/または交換される場合があり、そのような範囲は識別され、文脈または言語が別段示されない限り、その範囲内に含まれるサブ範囲をすべて含み得る。
【0052】
この書面による説明は、複数の例を使用して最良の形態を含む複数の実施形態を開示し、当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作り、使用し、および任意の組み込まれた方法を実施することを含む実施形態を実行することを可能にする。特許請求の範囲は、開示の特許性のある範囲を定義し、当業者が思い浮かぶ他の例を含む。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、または、特許請求の範囲の文字通りの言語と非実質的な差異がある同等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲の範囲内であるように意図される。