(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】吸入器及び電子たばこ製品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20230801BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230801BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230801BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230801BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20230801BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20230801BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/60
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2020520627
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2018077718
(87)【国際公開番号】W WO2019072960
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102017123867.0
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー・マルク
(72)【発明者】
【氏名】ニーブーア・グンナー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・レーネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーゲンクネヒト・カメロン・ヨーン
(72)【発明者】
【氏名】シュリュター・ビェルン
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0089508(US,A1)
【文献】国際公開第2017/140898(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042230(US,A1)
【文献】国際公開第2017/009002(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338407(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02524779(GB,A)
【文献】特表2018-509158(JP,A)
【文献】特表2017-538399(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110713(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/118927(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/066730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/30
A24F 40/10
A24F 40/42
A24F 40/46
A24F 40/60
A24F 40/65
A24F 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気化器(3)に供給された液体を気化するための電気式の
複数の前記気化器(3)を有する少なくとも1つの気化装置(1)と、
複数の前記気化器(3)を制御及び/又は調整するための1つの電子制御手段(56)とを備える吸入器(27)又は電子たばこ製品としての吸入器(27)であって、
前記制御手段(56)が
、それぞれの個別の前記気化器(3)を個別に制御するために、及び/又は複数の
前記気化器(3)をグループごとに制御するために適合されていることによって、
複数の前記気化器から発生した蒸気/エアロゾルの組成及び/又は発生量が適切に調整可能である及び/又は変更可能であるように、複数の液体が、前記気化装置(1)に割り当てられているか又は割り当て可能である当該吸入器(27)において、
前記気化装置(1)は、
複数の支持部(2)を有し、
複数の前記気化器(3)が、それぞれの
前記支持部(2)上に配置されていて、
前記吸入器(27)は、複数の液体A,B,…を貯蔵するために複数の貯蔵部(37A,37B)を有し、
複数の前記気化器(3)と複数の前記支持部(2)と複数の前記貯蔵部(37A,37B)は、カスタマイズ可能に組み合わせられていて、
それぞれの支持部(2)は
、複数の前記気化器(3)に電気接触するために規格化されたインターフェース(7)を有し、
複数の前記気化器(3)は
、シリコンから成るブロック状のヒーター(80)によって構成されていて、前記ヒーター(80)は、液体を導くようにこのヒーター(80)の流入面(81)を
、前記ヒーター(80)によって加熱された前記液体から発生した蒸気/エアロゾルが流出する流出面(84)に接続する複数の微細流路(82)を有
し、
前記複数の微細流路(82)の平均直径は、5μm~200μmの範囲内にあり、
前記ヒーター(80)の高さ(h)は、0.1mm~0.75mmの範囲内にあり、及び
1つ又はそれぞれの微細流路(82)の長さは、100μm~1000μmの範囲内にあることを特徴とする吸入器。
【請求項2】
前記気化装置(1)は、複数の液体A,B,…を
複数の前記気化器(3)に供給するために複数の液体供給路(16)を有することを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
複数の液体A,B,Cに適合された複数のパラメータセットが、前記電子制御手段(56)内に記憶されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸入器。
【請求項4】
少なくとも1つの固有の気化器(3)が、それぞれの液体A,B,…に割り当てられていることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項5】
前記吸入器(27)は、ユーザーインターフェース(32)を有し、喫煙者が、このユーザーインターフェース(32)を介して
複数の前記気化器(3)から発生した蒸気/エアロゾルの組成に影響を及ぼし得ることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項6】
ユーザーインターフェース(32)が、喫煙者の移動通信機器(33)又はスマートフォンと通信するために無線インターフェースを有することを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項7】
複数の液体A,B,…は、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水から成るグループの1つ又は複数の成分と、少なくとも1つの作用物質若しくはニコチン、及び/又は少なくとも1つの香料(フレーバー)とを含むことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項8】
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、50%よりも多いグリセリンを含むことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項9】
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、少なくとも1%のニコチンを含み、複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、ニコチンを含まないことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項10】
複数の前記気化器(3)に供給されたそれぞれの液体A,B,…は、ニコチンを含まないことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項11】
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含み、複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含まないか又は別のフレーバーを含むことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項12】
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、主に1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分を含み、複数の液体A,B,…のうちの別の1つの液体が、主にグリセリンを含むことを特徴とする請求項
1~11のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項13】
吸入器(27)は、香料及び/又は作用物質若しくはニコチンを含む固体物質を貯蔵するために少なくとも1つのカプセルを有し、当該カプセルは、
複数の前記気化器から発生した蒸気/エアロゾルによって通流可能であることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化器に供給された液体を気化するための電気式の少なくとも1の気化器を有する少なくとも1つの気化装置と、当該気化器を制御及び/又は調整するための1つの電子制御手段とを備える吸入器、特に電子たばこ製品に関する。さらに、本発明は、このような吸入器を制御及び/又は調整するための、移動通信機器(33)用のコンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリに関する。
【背景技術】
【0002】
実際の電子たばこでは、現時点では、液体を共通の1つの貯蔵部から得る1つから5つまでの気化器ヘッドが、芯繊維技術(Docht-Wendel-Technologie)に基づいて使用される。喫煙者は、気化装置の全出力だけを調整でき、当該調整によって、発生した蒸気量を調整でき、さらなる調整は不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、喫煙体験での蒸気量及び風味における高度なカスタマイズ可能性に起因して、喫煙者に対して高い付加価値を許容する、多様な調整可能性を有する吸入器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項に記載の特徴によってこの課題を解決する。本発明によれば、当該制御手段が、少なくとも1つか又はそれぞれの個別の当該気化器を個別に制御するために、及び/又は複数の気化器をグループごとに制御するために適合されていることによって、少なくとも1つの当該気化器から発生した蒸気/エアロゾルの組成及び/又は発生量が適切に調整可能である及び/又は変更可能であるように、複数の液体が、当該気化装置に割り当てられているか又は割り当て可能である。少なくとも1つの当該気化器の当該個別の制御に起因して、同じ又は異なる複数の液体を供給することによって、少なくとも1つの当該気化器から発生した蒸気/エアロゾルの蒸気量及び/又は組成を適切に調整及び/又は変更することが可能である。これにより、喫煙体験が、喫煙者によって個別に調整され得る。
【0005】
少なくとも1つの当該気化器に対する複数の液体の本発明による割り当ては、好ましくは、当該複数の液体を少なくとも1つの当該気化器に供給するための複数の液体供給路によって実現され得る。
【0006】
本発明は、ただ1つの気化器によって、例えばこの気化器の適切な周波数制御によって、蒸気の品質に影響を及ぼすことが可能である。
【0007】
特に、複数の異なる液体に適合された複数のパラメータセットが、電子制御手段内に記憶されている。当該記憶は、これらの液体又は液体混合物をそれぞれ、希望した作用及び/又は希望した風味体験に関して最適に気化させることを可能にする。
【0008】
本発明の好適な実施の形態では、気化装置は、複数の気化器を有する。このことは、同じ及び/又は異なる複数の液体を、当該それぞれの液体に最適に適合された1つ又は複数の気化器によって気化させることを可能にする。さらに、場合によっては異なる複数の加熱パラメータによって好ましくは個別に制御可能であることに起因して、気化工程のより大きい可変性が達成される。したがって、好ましくは、それぞれの液体が、少なくとも1つの固有の気化器に割り当てられている。
【0009】
好ましくは、1つの液体に対する複数の気化器が、蒸気体積を増大又は拡大させ、及び/又は気化装置の出力を増大させる。したがって、所定の1つの液体に対する気化出力を増大させるため、複数の気化器が、同じ1つの液体を気化させるために設けられ得る。対応する複数の液体に対してそれぞれ、その気化出力を増大させるため、複数又は全ての液体に対してそれぞれ、複数の気化器が設けられてもよい。基本的に、これらの気化器は、1つ又は複数の液体貯蔵部への結合に依存しない。1つの液体に対する複数の気化器の数の増大は、1つの気化器自体を大きくすることに比べて有益である。
【0010】
好ましくは、当該吸入器は、ユーザーインターフェースを有する。ユーザー、特に喫煙者が、このユーザーインターフェースを介して少なくとも1つの当該気化器から発生した蒸気/エアロゾルの組成に影響を及ぼし得る。当該ユーザーインターフェースは、ユーザーの移動通信機器、特にスマートフォンと通信するための、特に好ましくは無線インターフェース、例えばブルートゥース・インターフェースである。こうして、当該吸入器は、要求通りに簡単に調整され得る。
【0011】
本発明の好適な用途は、電子たばこ製品、略して電子たばこに関する。この場合、複数の液体は、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つの作用物質、特にニコチン、及び/又は少なくとも1つの香料(フレーバー)のうちの同じ及び/又は異なる複数の成分若しくは混合比を含む。
【0012】
特に、複数の液体のうちの少なくとも1つの液体が、50%よりも多い、良好な蒸気生成物質であるグリセリンを含む。
【0013】
さらに、複数の液体の少なくとも1つの液体が、少なくとも1%のニコチンを含み、複数の液体の少なくとも1つの液体が、ニコチンを含まない。このことは、蒸気/エアロゾル中のニコチン含有量の高い可変性を可能にする。
【0014】
この出願の範囲内では、複数の液体成分に対する百分率表記は、一般に体積百分率及び/又は重量百分率でもよい。
【0015】
1つの実施の形態では、ニコチンを含まない蒸気/エアロゾルの発生を可能にし、及び/又は、ニコチンの過度な加熱を回避するため、少なくとも1つの当該気化器に供給されたそれぞれの液体が、ニコチンを含まない。
【0016】
さらに、複数の液体のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含み、複数の液体のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含まないか又は別のフレーバーを含む。このことは、蒸気又はエアロゾル中の1つ又は複数のフレーバー(風味媒体)の含有量の高い可変性を可能にする。
【0017】
好ましくは、当該吸入器は、複数の液体を貯蔵するために複数の液体タンク又は貯蔵部を有する。好ましくは、1つ若しくは複数の気化器及び/又は1つ若しくは複数の気化器の支持部に個別に割り当て可能である1つ又は複数の液体タンクを使用することによって、個々の気化器及び/又は気化器の支持部が、異なる組成を有する同じ及び/又は異なる液体を気化し得る。
【0018】
好ましくは、複数の液体のうちの少なくとも1つの液体が、主に1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分を含み、複数の液体のうちの別の1つの液体が、主にグリセリンを含む。このとき、異なる混合比を有する複数の液体が、複数の貯蔵部内で提供され得る。その結果、香料及び/又は作用物質の比が、気化時に発生した蒸気混合物中で調整可能性及び/又は変更可能である。好ましくは、当該蒸気混合物の香料及び/又は作用物質の比は、連続して調整され得る。
【0019】
さらに、1,2-プロピレングリコール及びグリセリンから成るグループの1つ又は複数の成分の互いに異なる混合比が、当該2つの液体中に存在してもよい。1つの実施の形態では、1,2-プロピレングリコールとグリセリンとから成る1つ又は複数の成分の成分比は、一方の液体では50/50よりも大きく、他方の液体では50/50よりも小さく、好ましくは、当該成分比は、一方の液体では75/25よりも大きく、他方の液体では25/75よりも小さく、例えば、当該成分比は、一方の液体では90/10であり、他方の液体では10/90である。当該成分比は、質量成分比、物質量成分比及び/又は体積成分比に関するものでもよい。
【0020】
1つの実施の形態では、当該吸入器は、香料及び/又は作用物質、特にニコチンを含む固体物質を貯蔵するために少なくとも1つのカプセルを有する。この場合、ニコチンの過熱を回避するため、当該カプセルは、少なくとも1つの当該気化器から発生した蒸気/エアロゾルによって通流可能である。この実施の形態では、当該カプセルは、特に当該気化器の下流に配置又は設置されている。当該気化器から発生した蒸気又はエアロゾルは、当該カプセルを通流させる。この場合、ニコチンは、当該蒸気/エアロゾルによって当該ニコチンを含む固体物質から解放され、吸い口に向かって送られる。特に、ニコチンを含まない液体が、喫煙者によって消費される前に、当該ニコチンを含まない液体は、気化され、評価されたたばこ及び/又はニコチンを有する当該カプセルによって当該蒸気/エアロゾルを評価するために通流される。この場合、風味を改善するためには、1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分と当該蒸気/エアロゾルのグリセリンとの間の比が重要に成り得る。
【0021】
当該固体物質は、たばこを含む材料でもよく、例えばニコチンを含む樹脂及び/又は複数の微小球体でもよい。この実施の形態では、好ましくは、ニコチンが、当該気化器に割り当てられたそれぞれの液体中に存在しない。この実施の形態では、当該吸入器は、液体を気化させ、ニコチンを固体物質から遊離するために適合されているハイブリッドシステムである。
【0022】
さらに、本発明は、移動通信機器、特にスマートフォン用のコンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリを提供する。当該コンピュータプログラム製品は、無線インターフェース、例えばブルートゥース・インターフェースを介して当該吸入器を制御及び/又は調整するために適合されている。スマートフォンのような通信端末機器が、このような無線インターフェースを有し、グラフィカルユーザーインターフェースを介して通常はタッチセンサー式ディスプレイ上で当該吸入器の直感的で且つ詳細な制御及び/又は調整を可能にし、当該吸入器に関する情報の表示も可能にする。
【0023】
特に、当該コンピュータプログラム製品は、複数の既定の気化プロフィールから1つの気化プロフィールを選択し、当該吸入器を適切に制御するために選択要素を有する。例えば、少ない作用物質及び/又は低いスロートヒットを有する気化プロフィールと、多い作用物質及び/又は高いスロートヒットを有する気化プロフィールと、場合によってはこれらの間に存在する平均の気化プロフィールとが設けられ得る。当然に、3つよりも多い異なる気化プロフィールが設けられてもよい。一般に、作用物質及び/又はスロートヒットに関して少なくとも2つ、特に少なくとも3つの異なる強度グレードを有する複数の既定の気化プロフィールが設けられ得る。
【0024】
比較的少ない数の既定の気化プロフィールが、速く且つ簡単に幾つかの異なる喫煙体験を設定したく、様々な高度な調整可能性を必要としない喫煙者によって好まれる。
【0025】
特に、コンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアのグラフィカルユーザーインターフェースは、当該吸入器の個々の気化パラメータを調整するために調整要素を有する。このマニュアルモードは、様々な調整可能性を高度に望む喫煙者に向いている。
【0026】
このモードでは、コンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアのグラフィカルユーザーインターフェースは、好ましくは、発生した蒸気/エアロゾルの個々の液体の成分を調整するために調整要素であるスロートヒットを調整するための調整要素及び/又は発生した全ての蒸気量を調整するための調整要素を有する。
【0027】
香料の含有量及び/又は作用物質の含有量の簡単な調整可能性を喫煙者に可能にさせるため、好ましくは、コンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアのグラフィカルユーザーインターフェースは、香料の含有量及び/又は作用物質の含有量を調整するために調整要素を有する。例えば、蒸気混合物の混合比が、当該調整要素によって、1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分から調整可能であり得る。
【0028】
グリセリンの割合がより高いと、蒸気がより改善される。1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分の割合がより高いと、喉内の作用又はスロートヒットがより強くなる。当該蒸気混合物の混合比は、カートリッジの消耗中に、特に喫煙者によって、当該喫煙者に心地よい混合を目指して調整可能及び/又は変更可能である。
【0029】
1つの実施の形態では、ニコチンが、当該蒸気混合物に添加され得る。当該ニコチンの添加は、1つの又は上記の調整要素によって可能であり得る。好ましくは、ニコチンを含む当該蒸気混合物の飽和度が、混合比によって変更可能及び/又は調整可能であり得る。したがって、香料及び/又は作用物質、特にニコチンの蒸発が、時間的に適合され得て、したがって、個々の風味体験及び作用物質の供給の時間推移が影響を受け得る。
【0030】
1つの実施の形態では、ニコチンは、ニコチンを含む固体物質を貯蔵するカプセル内に存在する。当該調整要素は、当該カプセルの通流、特に、通流する気流の速度及び温度に影響を及ぼし得て、したがってニコチンの遊離と、当該気流又は蒸気/エアロゾル中へのニコチンの添加とに影響を及ぼし得る。
【0031】
この場合、複数の当該気化パラメータの選択可能性及び/又は調整可能性が、互いに結合されている。コンピュータプログラム製品は、複数の気化パラメータ同士の全ての依存性を考慮し、グラフィカルユーザーインターフェース内での視覚表示を適切に適合する。
【0032】
好ましくは、喫煙者の情報に対して、当該吸入器内の蓄電部の充電状態のインジケーター画像が設けられていて、及び/又は、当該吸入器の1つ又は複数の貯蔵部内の残りの液体量インジケーター画像が設けられていて、及び/又は、喫煙者による残りの吸引又はパフの回数が設けられている。この場合、当該残っているパフの回数が、選択された設定、喫煙行動、例えば平均的な個々の吸引時間、及び必要エネルギー量に依存して計算され得る。
【0033】
特に、コンピュータプログラム製品は、当該吸入器の吸引抵抗を調整するために切替要素を有し得る。このことは、喫煙体験の別の可変性を喫煙者に提供する。例えば、典型的なたばこに相当する吸引抵抗、及び/又は、可能な限り小さい吸引抵抗が、当該切替要素によって調整可能であり得る。
【0034】
以下に、本発明を好適な実施の形態に基づいて添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施の形態における電子たばこの概略図である。
【
図2】本発明の別の実施の形態における電子たばこの概略図である。
【
図3】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図4】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図5】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図6】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図7】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図8】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図9】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図10】電子たばこ用の異なる気化器構想の概略図である。
【
図11】電子たばこを操作し調整するためのスマートフォンアプリケーションの画面である。
【
図12】電子たばこを操作し調整するためのスマートフォンアプリケーションの画面である。
【
図13】電子たばこ用の例示的な気化器ユニットの概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に例示された吸入器27用のコンポーネントシステムは、気化装置1と有益に再使用可能な基幹部20とを有する。
【0037】
気化装置1は、支持板とも呼ばれ得る少なくとも1つの支持部2と、当該支持部2に接続すべき又は接続されている少なくとも1つの液体タンク6とを有する。それぞれの支持部2は、少なくとも1つの液体タンク6から供給された液体を気化器3から気化させる役割をする少なくとも1つの気化器3を有する。したがって、気化器3に供給された当該液体は、当該気化器3によって蒸気/エアロゾルに変換される。特に電気式の気化器3は、少なくとも1つの、特に複数の電気抵抗加熱素子を有する。気化器3は、特に支持部2の上面に配置されている。その結果、気化器3から発生した蒸気/エアロゾルが、支持部2の上面から噴出する。
【0038】
気化装置1は、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの気化器3とそれぞれ少なくとも1つの液体タンク6とを有するそれぞれ少なくとも1つの支持部2から成る1つ又は複数の構成ユニット又は気化器ユニット19から構成されている。気化器ユニット19は、好ましくは交換可能なカートリッジである。
【0039】
好ましくはデジタル電子制御装置4、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)が、支持部2上に配置されている。加熱要素に密接する液体を気化させるため、複数の気化器3が、電子制御装置4によって個別に又はグループごとに制御され得て、蓄電部46からの電流によって加熱され得る。
【0040】
支持部2は、ここでは複数の電気接触子10を有する電気コネクタ10として電気コネクタ部7を備える。センサ信号、制御信号及び/又は電気エネルギーを基幹部20と気化器ユニット19との間で伝送するため、これらの接触子10は、導電体によって電子制御装置4に接続されている。好ましくは持続して形状安定な支持部2は、好ましくは適切な非導電性の適切な材料から成り得て、例えばセラミック又は適切な合成樹脂、特にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)又は繊維強化合成樹脂、例えばPCB(ポリ塩化ビフェニル)材料から成り得る。センサ、例えば、加熱温度を測定するための温度センサ及び/又は流れ圧力を測定するための圧力センサが、気化装置1に設けられ得る。
【0041】
基幹部20は、制御ユニット29と、この制御ユニット29に接続されている又は接続すべき蓄電装置40とを有する。制御ユニット29は、電子制御機構部21と、この電子制御機構部21に電気接続されている電気ソケット22とを有する。電子制御機構部21及び電気ソケット22は、好ましくは共通のプリント基板上に配置されている。電子制御装置4と電子制御機構部21とから成る全体は、この出願の範囲内では吸入器27の電子制御手段56と呼ばれる。
【0042】
電気コネクタ7と電気ソケット22とは、相補的に構成されている。その結果、コネクタ7をソケット22内に差し込むことによって、気化装置1と基幹部20とが、信号、データ及び/又は電力を伝送するために電気接続される。気化装置1内では、供給電流及び信号が、コネクタ7から少なくとも1つの気化器3に及び/又は複数のセンサに転送される。好ましくは、コネクタ7及びソケット22はそれぞれ、同じ数の電気接触子10を有する。気化装置1を基幹部20に接続するため、この気化装置1は、場合によってはアダプタ又は拡張部材を介してこの基幹部20の長手軸に対して平行にこの基幹部20内に差し込まれる。これにより、コネクタ7は、ソケット22内に差し込まれ、当該電気接続が確立される。
【0043】
好ましくは、気化装置1の識別コード又はID(識別情報)が、この気化装置1の電子制御装置4内に不揮発性に記憶されている。コネクタ5をソケット22内に差し込むことによって、気化装置1が、基幹部20に接続されるので、電子制御機構部21が、識別コードを制御装置4から読み出し得て、例えば制御命令及び/又は調整命令を制御装置4に伝送することによって気化装置1上のそれぞれの気化器3を種類に応じて正確に制御又は稼働できる。
【0044】
基幹部20の電子制御機構部21内には、特に、異なる複数の気化器又は気化器の種類及び/又は液体対応する識別コードに関する制御データが、例えばデータバンクとして記憶されている。電子制御機構部21が、1つの識別コードを気化装置1のメモリ14から読み出すと、この電子制御機構部21は、この識別コードに割り当てられた制御データを当該データバンクから呼び出し、気化すべきそれぞれの液体の種類に適合するように気化器3を制御できる。
【0045】
蓄電装置40は、蓄電部46と、制御ユニット29を電線31経由でこの蓄電装置40に接続するためのバッテリーインターフェース41と、充電インターフェース42とを有する。制御ユニット29は、バッテリーインターフェース41を通じて給電される。さらに、アナログ信号及び/又はデジタル信号が、バッテリーインターフェース41を通じて蓄電装置40と制御ユニット29との間で伝送され得る。好適な実施の形態では、電線31は、デジタルデータバスを有する。例えば、蓄電部46の充電状態に関する情報又は制御ユニット29と蓄電装置40との間の診断データが、基幹部20と蓄電装置40との間の電線31を通じて伝送され得る。
【0046】
蓄電部46は、使い捨ての電池又は再使用可能な電池、例えばリチウムイオン電池でもよい。当該図示された実施の形態では、蓄電部46は、充電インターフェース42、例えばUSBインターフェースを通じて充電され得る再使用可能な電池である。
【0047】
それぞれの気化器ユニット19は、好ましくは、少なくとも1つの液体貯蔵器又は液体タンク6を支持部2に接続するための規格化された液体インターフェース47を有する。液体インターフェース47は、好ましくは、支持部2の下面又は気化器3の反対側に配置されている。したがって、液体が、1つ又は複数の貯蔵部37A,37Bから液体インターフェース47で準備され、支持部2を貫通する有益な貫通開口部を通じて1つ又は複数の気化器に送られる。液体インターフェース47は、例えばシール要素によって密封され得る。
【0048】
少なくとも1つの液体タンク6と支持部2との間の接続は、1つ又は複数の液体タンク6の交換を喫煙者に可能にさせるために好ましくは脱着式である。当該少なくとも1つの液体タンク6は、再充填可能(再使用可能な部品)でもよく、又は使い捨て部品として構成されてもよい。支持部2と液体タンク6とは、使い捨て部品又は再使用可能な部品として構成され得る喫煙者にとって引き離し不可能な1つのユニットを構成し得る。
【0049】
液体を液体タンク6の開口部から1つ又は複数の気化器3に送り、当該気化器3で気化させるため、それぞれの液体タンク6は、割り当てられた液体供給路16を通じて1つ又は複数の気化器3に接続されている。気化器3の湿潤と液体の連続する供給とを保証するため、好ましくは、毛細管作用によって、例えば微細通路によって、液体を液体タンク6から気化器3に送る毛細管要素12が、それぞれの気化器3の下に、又はそれぞれの気化器3と液体タンク6との間に、すなわち液体供給路16内に、例えば支持部2の貫通開口部内に設けられている。毛細管要素12は、例えば、最適な細孔寸法を有する細孔要素、開口気孔の発泡要素、スポンジ状要素及び/又は薄層構造を含み得る。
【0050】
喫煙者によって吸入されるように、気化した液体が、蒸気及び/又はエアロゾルとして液体インターフェース47に対向する支持部2側で気流によって送り出される。
【0051】
したがって、ここでの構想では、好ましくはセラミック製の1つ若しくは複数の支持部2又は例えばPEEKのような耐熱性の重合体から成る1つ若しくは複数の支持部2上の1つ又は複数の気化器3が使用される。それぞれの支持部2は、当該1つ又は複数の気化器3に電気接触するために規格化されたインターフェース7を有する。それぞれの支持部2上には、1つの気化器3(
図2及び4~7参照)が組み込まれてもよく、複数の気化器3(
図1及び3参照)が組み込まれてもよい。
【0052】
図1による実施の形態では、複数の気化器3が、例えば行列形式で、ここでは、例えば4つの気化器3が、2×2の行列形式で配置されている。
【0053】
図2の電子たばこ27用のコンポーネントシステムは、それぞれ1つの支持部2とそれぞれの支持部2上の例えばそれぞれ1つの気化器3とを有する例えば3つのカートリッジ19を組み込むための可能性を示す。したがって、それぞれの支持部2は、それぞれ1つの個別タンク6A,6B,6Cを有する1つの気化器3を備える。このシステムを使用することで、異なる3つの液体A,B,Cを、喫煙者によって個別に調整可能な様々な配合にし、及び/又は前後して切り替え、蒸気状に放出することができる。
【0054】
この実施の形態では、及び好ましくは一般的には、個々のカートリッジ19の個別の交換を可能にするため、基幹部20又は制御ユニット29は、カートリッジ19の数に相当する数のコネクタ部22、ここでは複数のレセプタクルを有する。これらのレセプタクル22は、1つの分配器53を介して基幹部20の電子制御機構部21に接続されている。
【0055】
図3による実施の形態では、複数の気化器が、例えば列状に配置されている。1つの支持部2上の複数の気化器3の別の配置が可能である。
【0056】
図1~3による実施の形態では、割り当てられた貯蔵部37A,37B,…だけから液体を供給される少なくとも1つの気化器3が、当該それぞれの貯蔵部37A,37B,…に割り当てられている。これには、それぞれの液体A,B,Cに対して最適化された気化器3が使用され得るという利点がある。
図1による実施の形態では、例えば2つの気化器3が、それぞれの貯蔵部37A,37B,…に割り当てられている。蒸気容量又は気化出力は、それぞれの貯蔵部37A,37B,…に対して気化器3の数を増やすことによって、ここでは例えば、貯蔵部当たりの気化器3を2つよりも多くすることによって増大され得る。
【0057】
しかし、同じ気化器3が、複数の貯蔵部37A,37B,…から液体を供給されることは排除されていない。その結果、当該同じ気化器3は、当該複数の貯蔵部37A,37B,…に割り当てられている。対応する実施の形態が、
図4に2つの貯蔵部37A,37Bに対して例示されている。この場合、気化器3の蒸気の組成を適切に調整し変更できるようにするため、有益に制御可能な複数の弁15、特に複数の絞り弁又は供給路16に通流する流れを個別に制御/調整するためのその他の構成要素が、複数の貯蔵部37A,37Bの当該供給路16内に設けられている。
【0058】
別の実施の形態では、気化装置1が、それぞれ1つ又は複数の気化器3を有する複数の支持部2を備え得る(
図5~7参照)。当該複数の支持部2は、好ましくはより大きい1つの気化器モジュール(複合体)に組み合わせされ得る。
図5の実施の形態では、複数の支持部2が、主支持部17上に、ここでは例えば列状に配置されていて、この主支持部17に電気的に且つ機械的に接合されている。主支持部17は、好ましくは、基幹部20のコネクタ部22と協働するコネクタ部18でもよい。このコネクタ部18は、好ましくは、個々の支持部2のコネクタ部7に電気接続されている。個々の支持部2のコネクタ部7と協働するための図示されなかったコネクタ部が、主支持部17上に設けられてもよい。
【0059】
図6の実施の形態では、複数の支持部2が、スタック状に、すなわち平行に重なり合って且つ互いに離間して配置されている。
【0060】
図7の実施の形態では、複数の、例えば6つの支持部2が、互いに同じ角度間隔で星形状に配置されている。当該配置は、気化装置1又は吸入器27が円柱状構造又はロッド状構造の場合に有益であり得る。
【0061】
図1~7に示された気化器3と支持部2とを配置するための構造は、例示と解するべきである。本発明の変形は、当該図示された例に限定されない。
【0062】
上記の1つ又は複数の支持部2上の1つ又は複数の気化器3は、複合体として個々に又は部分的に、すなわち任意に選択して制御可能である。1つの複合体内のこれらの支持部2のインターフェース7は規格化されているので、これらの支持部2はそれぞれ、個別に交換可能である。1つの複合体内のそれぞれの支持部2及び/又は1つの支持部2のそれぞれの気化器3が、個別に電気制御可能である。このことは、気化の様々な制御を可能にする。
【0063】
気化装置1は全体として、異なって組成された複数の液体を含む複数の液体貯蔵部37A,37B,…と、当該貯蔵部37A,37B,…から1つ又は複数の気化器3までの対応する複数の液体供給路16とを有する。当該貯蔵部37A,37B,…内の複数の液体は、好ましくは1つ又は複数の成分を含む。この場合、これらの成分は、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つの作用物質、特にニコチン、及び/又は少なくとも1つの香料(フレーバー)を様々な混合比で含む。
【0064】
貯蔵部37A,37B,…は、好ましくは1つ又は複数の液体タンク6内に形成されている。特に、マルチチャンバタンク6が、複数の貯蔵部37A,37B,…を構成するために設けられ得る。例えば、
図1及び4のそれぞれには、2チャンバタンク6が、2つの貯蔵部37A,37Bを構成するために設けられている。当然に、液体タンク6は、2つの貯蔵部37A,37Bよりも多い貯蔵部を有してもよい。
【0065】
図1の電子たばこ27用のコンポーネントシステムは、1つの支持部2上の4つの気化器3を有する気化器カートリッジ19を示す。支持部2は、分離された2つのチャンバを有するタンク6に結合されている。その結果、それぞれ2つの気化器3が、1つの貯蔵部37A又は37Bに割り当てられている。
【0066】
図2及び3による実施の形態では、貯蔵部37A、37B,37Cが、シングルチャンバタンク6A,6B,6Cによって実現されている。すなわち、それぞれのタンク6A,6B,6Cは、貯蔵部37A,37B,37Cを構成するためにただ1つのチャンバを有する。
【0067】
シングルチャンバタンクとマルチチャンバタンクとの混合形態が可能である。例えば、
図2又は
図3では、1つの2チャンバタンクと1つのシングルチャンバタンクとが設けられ得る。複数の貯蔵部37A,37B,…及び対応する複数の液体供給路16を使用することによって、1つ又は複数の気化器3が、当該複数の貯蔵部37A,37B,…内に含まれていて異なる組成を成す異なる複数の液体を気化させ得る。こうして、当該1つ又は複数の気化器3から発生した蒸気又はエアロゾルの組成が適切に調整され得る。さらに、蒸気の組成/エアロゾルの組成が、異なる複数の液体を適切に気化させることによって適切に変更され得る。
【0068】
同じ組成の複数の液体が、本発明の吸入器内で選択的にも提供され得る。例えば、同じ組成を成す2つの液体と、別の組成を成す1つの液体とが、本発明の吸入器内で提供され得る。それ故に、複数の液体貯蔵部37A,37B,…を喫煙者の吸入器、特に電子たばこ製品内に装填する当該喫煙者は、蒸気を個別にコーディネイトすることもできる。医療の用途向けの吸入器の場合、当該コーディネイトは、例えば医師の処方にしたがって実行され得る。
【0069】
1つ又は複数の気化器3の制御、すなわち気化は、好ましくはそれぞれの液体に少なくとも部分的に適合された異なる複数のパラメータによって実行され得る。
【0070】
典型的な実施の形態では、それぞれ1つから4つの気化器3が、1つの支持部2上に組み込まれ得る。それぞれの気化器3は、個別の制御装置と個別の液体供給路16とを有し得る。したがって、4つまでの異なる液体を吸入器27ごとに使用することが可能である。
【0071】
図1による実施の形態では、例えば4つの気化器3が、1つの支持部2上組み込まれている。この場合、ここでは、例えばそれぞれ2つの気化器3が、1つの貯蔵部37A,37Bに割り当てられている。
【0072】
以下に、本発明の典型的な実施の形態を
図8~10に基づいて説明する。2つの液体A,B(
図8,9)又は3つの液体A,B,C(
図10)が図示されている。しかし、当該数に限定されるものではない。
【0073】
例えば、液体Aは、風味のない風味的に中性であり、相当な又は圧倒的な割合で、少なくとも50%の割合で、特に少なくとも60%の割合で、特に70%の割合で、グリセリンから成り得る。液体Bは、風味的に中性か又は風味Bを有し、同時にニコチンを含み得る。液体Cは、好ましくはニコチンを含まないが、場合によっては風味Bとは違う風味Cを含む。
【0074】
個々の液体は、発生する蒸気の構成要素として以下の目的を有する。液体Aが当該蒸気に対して請け負う目的は、喫煙者の喉内に調整可能に急激に作用すること(いわゆるスロートヒット(喉への喫煙感))であり、及び/又は吸引ごとに蒸気量を追加することである。液体Bが当該蒸気に対して請け負う目的は、吸引ごとのニコチン量を調整可能にすることである。液体Cと場合によっては液体Bとが当該蒸気に対して請け負う目的は、吸引ごとに風味の広がりを調整可能にすることである。喫煙者が、気化器3を個別に制御できるので、発生する蒸気量、作用物質の量及び/又は芳香の組み合わせが柔軟に調整され得る。すなわち、液体A,B及びCがそれぞれ、発生する蒸気のどのくらいの割合を占めるかを、当該喫煙者は決定できる。
【0075】
この場合、個々の気化器3の出力が、好ましくはパルス幅変調によって調整され、例えば電流及び/又は電圧を測定することによって、液体に依存する目標値を監視することによって調整される。例えば喫煙者によって起動可能な短期間の出力増大(いわゆるパワーブースト)用の予備電力を確保するため、個々の気化器3が、特に最大で80%まで出力される。当該パワーブーストを起動するため、吸入器27又は基幹部20のハウジングは、好ましくは喫煙者によって操作可能なブーストスイッチ30を有する。このブーストスイッチ30は、電子制御機構部21に電気接続されている。
【0076】
図8は、液体A,B用のそれぞれ1つのシングルチャンバタンク6を有する2つのカートリッジ19を備える気化装置1を示す。
図9は、液体A,B用の2チャンバタンク6を有する1つのカートリッジ19を備える気化装置1を示す。したがって、
図1の気化装置1は、
図8及び9の液体のバリエーションに相当する。
【0077】
図10の気化装置1が、
図8又は9の気化装置1に比べて2倍の量の蒸気を生成し得ることが分かる。このような増大した蒸気量は、好ましくはブーストスイッチ30によって生成可能である(
図1参照)。当該図示された動作では、最大蒸気量は、
図8による気化装置1の限界の80%に相当する。したがって、液体A,B,Cの非常に柔軟な組み合わせが達成され得て、風味体験及び効力体験が、喫煙者によって個別に調整可能である。喫煙者が、より多い又はより少ないニコチンを含む蒸気を好むか、又は異なる複数の風味を組み合わせたい場合、当該喫煙者は、対応する複数の気化器ユニット19と、これらの気化器ユニット19に接続されている望ましい液体を有するタンク6とを使用することによって当該事項を達成する。
【0078】
図10に示された気化装置1は、
図1及び3の配置によって実現可能であり、
図5及び7の配置によっても実現可能である。複数の気化器ユニット19は、規格化されたインターフェース7,18によって任意の組み合わせ可能性の利点を奏し得る。最適な芳香及び/又は作用物質を提供するため、電子制御装置4及び気化器3の制御装置は、特に、液体タンク6内に存在するそれぞれの液体A,B,Cに対して固有にプログラミングされている。
【0079】
複雑な組み合わせ可能性を喫煙者に提供するため、複数の気化器3が、個別に制御される必要がある。当該制御は、制御装置4、例えばASICを使用することによって保証される。どの気化器3が、どんなデューティー比で、どんな期間に対するどんな周波数で作動されるかを制御する制御命令が、制御機構部21、例えばマイクロコントローラによってインターフェース7,22を通じて制御装置4に送信される。個々の気化器3又は液体A,B,…の蒸気の割合に加えて、個々の気化器3の制御周波数も、調整され得て、したがって異なる滴サイズによってエアロゾルの全体に作用する。このことは、蒸気密度、スロートヒット及び効率に影響を及ぼす。
【0080】
特に、想定された複数の気化プロフィールが、制御機構部21内に記憶されている。これらの幾何プロフィールは、無線インターフェース32によって、及びアプリケーションソフトウェア(略して、アプリ)を用いて喫煙者のスマートフォン33に適合され得る。正確に言えば、スマートフォン33は、タッチセンサー式ディスプレイ34を有する。当該アプリは、複数のグラフィカルディスプレイ表示を含むグラフィカルユーザーインターフェースGUIを有する。これらのグラフィカルディスプレイ表示のうちの2つのグラフィカルディスプレイ表示が、
図11及び12に例示されている。
【0081】
図11及び12は、例えば、2つの支持部2とそれぞれ1つの気化器3とを有する
図2に類似した気化装置を用いて、2つの液体A,Bを個別に気化することに関する。複数の液体貯蔵部のうちの一方の液体貯蔵部37Aが、例えば、風味を含むがニコチンを含まない液体を有する。これらの液体貯蔵部のうちの他方の液体貯蔵部37Bは、ニコチンを含むが風味を有しない。
【0082】
適切に提供された吸入器27とアプリとを使用することで、喫煙者は、希望した最大蒸気量を予め設定してその喫煙者の喫煙体験を可能な限り調整できる。
【0083】
好ましくは、アプリは、
図11に示されたディスプレイ表示を有する。当該ディスプレイ表示は、吸入器27の詳細で且つ様々な制御又は調整を可能にする。それ故に、当該ディスプレイ表示は、エキスパートモード又はマニュアルモードと呼ばれ得る。このモードは、例えば、
図11及び12に「マニュアル」で示されている対応するボタン画像35を操作することによって喫煙者から呼び出され得る。
図11に示されたマニュアルディスプレイ表示が表示され、当該アプリが、マニュアルモードにあると、当該マニュアルモードは、ここでは例えば、ボタン画像35の下側領域内の強調されたバーによってグラフィカルに表示され得る。
【0084】
当該マニュアルモードでは、好ましくは、吸入器27内に含まれているそれぞれの液体A,Bが別々に制御され得る。例えば、
図11では、蒸気/エアロゾル中の液体Aからの風味の強度が、レベルバー36内の対応するレベルにタッチすることによって最小(「弱い」、レベル1)と最大(「強い」、レベル5)との間で調整され得る。同様に、蒸気/エアロゾル中の液体Bからのニコチンの強度が、レベルバー37内の対応するレベルにタッチすることによって最小(「軽い」、レベル1)と最大(「重い」、レベル5)との間で調整され得る。
【0085】
したがって、喫煙者は、100%のニコチン体験(レベルバー36の最大値)と100%の風味体験(レベルバー37の最大値)と両体験の組み合わせとから選択できる。
【0086】
マニュアルモードにおける別の調整可能性は、いわゆるスロートヒット、すなわち喫煙者の喉における短期間の作用に関係する。この場合、当該スロートヒットは、蒸気中のニコチンとプロピレングリコールのそれぞれの総量とに相関する。
図11では、当該スロートヒット、すなわち液体Bからのニコチンと蒸気/エアロゾル中のプロピレングリコールとの強度が、レベルバー38内の対応するレベルにタッチすることによって最小(「弱い」、レベル1)と最大(「強い」、レベル5)との間で適切に調整され得る。
【0087】
好ましくは、さらにマニュアルモードでは、蒸気の総量が、レベルバー39内の対応するレベルにタッチすることによって最小(「少ない」、レベル1)と最大(「多い」、レベル5)との間で調整され得る。この場合、最大蒸気量は、気化装置1の全ての(ここでは、2つの)気化器3の同時の動作に対応する。したがって、当該調整された気化量は、好ましくは個々の液体A及びBの気化強度の総和から得られる。
【0088】
当然に、レベルバー35-38の代わりに、代わりのスクロールバー又は任意の適切な別の多レベル式の操作要素が設けられ得る。
【0089】
マニュアルモード中に調整可能な当該複数の気化パラメータは相互に依存する。例えば調整要素37によって、液体Bの気化、すなわち生成された蒸気/エアロゾル中のニコチン含有量が、零に調整されると、当該例では、全ての蒸気量が最大で、最大に調整されたニコチン含有量の場合の半分の量に成り得る。何故なら、全ての気化器3の半分の量を有する液体Aだけが気化されるからである。同様なことは、両液体A,Bのうちの1つの液体が消耗し尽くしたときに起こる。
【0090】
アプリは、複数の気化パラメータ相互間の全ての依存関係を考慮する。例えば、上記の例では、調整要素37によるニコチン量の供給の減少と同時に且つ自動的に、蒸気量のための調整要素39も、最大で半分の値に減少される。
【0091】
同じことが、
図12によるプリセットモードに対して起こる。例えば液体Bが消耗し尽くされているときに、例えば、特定の最少のニコチン含有量を有するプロフィールはもはや選択不可能であり得る。
【0092】
好ましくは、アプリは、
図11に示されたディスプレイ表示をさらに有する。当該ディスプレイ表示は、吸入器27の簡易な制御又は調整を可能にし、それ故に当該ディスプレイ表示は、簡易モード又はプリセットモードと呼ばれ得る。このモードは、例えば対応するボタン画像44を操作することによって呼び出され得る。このボタン画像44は、
図11及び12では「プリセット」で示されている。
図12に示されたマニュアルのディスプレイ表示が示され、当該アプリが、プリセットモードにある場合、このことは、ここでは例えばボタン画像44の下の領域内の強調されたバーによってグラフィカルに表示され得る。
【0093】
当該簡易モード又はプリセットモードでは、異なる既定の複数の気化プロフィールのうちの好ましくは複数の、例えば3つの気化プロフィールが、喫煙者から選択され得る。例えば、
図12には、3つの異なるプロフィールである軽い、普通及び重いが示されている。それぞれのプロフィールは、対応するボタン画像65,66,67によって喫煙者から選択可能である。
【0094】
図12には、例えば、プロフィール「普通」が選択されている。このことは、強調部分によって、ここでは標記「普通」の左隣の強調されているバーによって表示される。それぞれのプロフィールは、
図11に示された個々のパラメータに対して予め設定されたレベルを有する。例えば、風味Aのレベル3、ニコチンBのレベル3、スロートヒットのレベル3、蒸気量のレベル4が、
図12のプロフィール「普通」に対して予め設定されている。例えば、風味Aのレベル2、ニコチンBのレベル4、スロートヒットのレベル4、蒸気量のレベル2が、
図12のプロフィール「重い」に対して予め設定されている。
【0095】
選択の可能性が、著しく限定されているので、喫煙者は、簡単に且つ熟考することなしに希望した喫煙体験を設定できる。
【0096】
さらに又は代わりに、吸入器27は、ハウジングに配置された、同様に気化プロフィールの選択を可能にするスイッチ54、例えばスライドスイッチを有してもよい。
【0097】
特に、アプリは、吸入器27内の蓄電部46の充電状態のインジケーター画像48を、例えば最大充電状態のパーセント単位で有し、及び/又は当該インジケーター画像48を喫煙者による残りの吸い込み(いわゆる、パフ)の回数のインジケーターとして有する。
【0098】
特に、アプリは、吸入器27の1つ又は複数の貯蔵部37A,37B,…内の残りの液体量のインジケーター画像49を、例えば最大液体量のパーセント単位で有する。ここでは、インジケーター画像49は、全ての貯蔵部37A,37B,…内の全体の液体量に関係する。しかしながら、それぞれの個別貯蔵部37A,37B,…内の個々の液体残量が表示されてもよい。
【0099】
さらに、アプリは、好ましくは喫煙者による残りの吸引(いわゆる、パフ)の回数のインジケーター画像50を有してもよい。当該残りのパフの回数は、選択された設定、喫煙行動、例えば平均的な個々の吸引時間、及び必要エネルギー量に依存して計算され得る。
【0100】
最後に、アプリは、吸引抵抗を変更する要素52によって吸入器27(
図1)の当該吸引抵抗を調整するために切替要素51を有してもよい。
図11及び12の例では、2つの異なる吸引抵抗、すなわち典型的なたばこの吸引抵抗に相当する吸引抵抗(左側の切替位置「たばこのような」)と、可能な限り小さい吸引抵抗(右側の切替位置「抵抗なし」)とが、切替要素51によって調整され得る。3つ以上の異なる吸引抵抗の調整が可能である。
【0101】
インジケーター画像48,49,50及び/又は51は、好ましくは、アプリのディスプレイ表示の全体に表示されてもよい。
【0102】
さらに又は代わりに、吸入器27は、ハウジングに配置された、同様に吸引抵抗を変更する要素52によって吸入器27の異なる吸引抵抗の選択を可能にするスイッチ55、例えばスライドスイッチを有してもよい。要素52及びスイッチ55は、1つで且つ同じ部品でもよい。
【0103】
アプリは、吸入器27にある例えば機械式のブーストスイッチ30に加えて又はその代わりに、ブーストを起動するために図示されなかったボタン画像を有してもよい。
【0104】
上記の複数の気化器3と複数の支持部2と複数の貯蔵部37A,37B,…とから成る組み合わせは、喫煙体験での蒸気量及び風味における高度なカスタマイズ可能性に起因して、広範囲の調整を可能にし、したがって喫煙者に対して高い付加価値を許容する。
【0105】
本発明の気化器3の好適な実施の形態が、
図13に示されている。気化器3は、ここではブロック状の、好ましくは一体構造の、特に導電材料、好ましくはシリコン、ドープされたセラミック、金属セラミック、フィルタセラミック、半導体、特に
ゲルマニウム、グラファイト、半金属及び/又は金属から成るヒーター80又はブロックヒーターによって構成されている。ヒーター80の全体が、導電材料から成る必要はない。例えば、ヒーター80の表面が、導電性に、例えば金属で被覆されていることで十分である。この場合、全ての表面が被覆される必要はなく、例えば、導電路が、非導電性の基体上に設けられてもよい。ブロックヒーターは、コイルヒーター、その他の電熱線ヒーター及び/又はフィラメントヒーターとしてよりコンパクトな構造を可能にする。
【0106】
ヒーター80は、液体を導くようにこのヒーター80の流入面81を流出面84に接続する複数の微細流路82を有する。流入面81は、液体を導くように、例えば芯組織90を介して液体タンク37に接続されている。芯組織90は、毛細管力によって液体を液体タンク37からヒーター80に受動的に送る役割をする。ヒーター80から芯組織90及び/又は液体タンク37中への気泡を含む液体の望ましくない逆流を回避するため、ヒーター80に対する接触領域81内の芯組織90は、液体を均一に分散させ、断熱効果を奏させ、この芯組織90の比較的小さい複数の孔及び/又は薄い毛細管によって或る種の逆止弁を構成する役割をする。
【0107】
芯組織90の代わりに、その他の受動的及び/又は能動的な送り装置が、液体を液体タンク37からヒーター80に送るために設けられてもよい。
【0108】
微細流路82の平均直径は、特に5μm~200μmの範囲内にあり、さらに好ましくは30μm~150μmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは50μm~100μmの範囲内にある。これらの寸法に起因して、毛細管作用が有益に発生する。その結果、微細流路82が、液体で充填されるまで、流入面81から微細流路82内に滲入する液体が、微細流路82を通じて上に向かって上昇する。ヒーター80の多効率と呼ばれ得るヒーター80に対する微細流路82の体積比は、例えば、10%~50%の範囲内にあり、好ましくは15%~40%の範囲内にあり、さらに好ましくは20%~30%の範囲内にあり、例えば25%である。
【0109】
微細流路82を有するヒーター80の面の流路長さは、例えば0.5mm~3mmの範囲内にある。微細流路82を有するヒーター80の面の寸法は、例えば、0.95mm×1.75mm、1.9mm×1.75mm又は1.9mm×0.75mmである。ヒーター80の辺の長さは、例えば0.5mm~5mmの範囲内にあり、好ましくは0.75mm~4mmの範囲内にあり、さらに好ましくは1mm~3mmの範囲内にある。ヒーター80の面積(チップサイズ)は、例えば1mm×3mm又は2mm×3mmであり得る。
【0110】
ヒーター80の幅bは、好ましくは1mm~5mmの範囲内にあり、さらに好ましくは2mm~4mmの範囲内にあり、例えば3mmである。ヒーター80の高さhは、好ましくは0.05mm~1mmの範囲内にあり、さらに好ましくは0.1mm~0.75mmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは0.2mm~0.5mmの範囲内にあり、例えば0.3mmである。
【0111】
微細流路82の数は、好ましくは4~1000の範囲内にある。こうして、支持部から微細流路82内への熱入力が最適化され得て、保証された高い気化出力と十分に大きい蒸気流出面とが実現され得る。
【0112】
複数の微細流路82が、好ましくは正方形、長方形、多角形、円形、楕円形又はその他の別の形のアレイを成して配置されている。当該アレイは、s個の列とz個の行とを有するマトリクスとして構成され得る。この場合、sは、好ましくは2~50の範囲内にあり、さらに好ましくは3~30の範囲内にあり、及び/又は、zは、好ましくは2~50の範囲内にあり、さらに好ましくは3~30の範囲内にある。こうして、保証された高い気化出力を有する効率的に且つ簡単に製造可能な複数の微細流路82の配置が実現され得る。
【0113】
これらの微細流路82の横断面は、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形又はその他の別の形でもよく、及び/又は長手方向に部分的に変化してもよく、特に大きくしてもよく、小さくしてもよく又は一定のままでもよい。
【0114】
1つ又は複数の微細流路82の長さは、好ましくは100μm~1000μmの範囲内にあり、さらに好ましくは150μm~750μmの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは180μm~500μmの範囲内にあり、例えば300μmである。こうして、最適な液体吸収及び配分(Portionsbildung)が、ヒーター80から微細流路82内への十分に良好な熱入力で実現され得る。
【0115】
2つの微細流路82の間隔は、特に1つの微細流路82の細径の1.3倍である。この場合、当該間隔は、2つの微細流路82の中心軸線同士の間隔である。当該間隔は、1つの微細流路82の細径の好ましくは1.5~5倍でもよく、さらに好ましくは2~4倍でもよい。こうして、支持部から微細流路への最適な熱入力と、複数の微細流路の十分に安定な配置及び壁厚とが保証され得る。
【0116】
気化器ユニット20は、特に制御手段56によって制御可能な加熱電圧源91を有する。当該加熱電圧源91は、ヒーター80の対向する両面の複数の電極92を介してこのヒーター80に接続されている。その結果、加熱電圧源91から発生した電圧Uhが、電流をヒーター80に通電させる。導電性のヒーター80のオーミック抵抗に起因して、当該通電は、ヒーター80を加熱し、それ故に複数の微細流路82内に含まれている液体を気化させる。したがって、ヒーター80は、気化器3として作用する。
【0117】
この場合、喫煙者が、ステップごとの気化を実行しないにもかかわらず、ほぼ均一で、心地よい風味で、繰り返し可能に正確なエアロゾルの生成が保証され得るように、複数の種類の液体の個々の成分の温度及び/又は気化が異なる場合に、当該個々の気化ステップの期間が、短く保持され得て、及び/又は制御周波数によって周期的に実行され得る。特に、好ましくは、最初に、当該液体の容易に沸騰する成分が、第1気化間隔内に第1温度Aで気化され、引き続き当該液体のより高い温度で沸騰する成分が、第2気化間隔内に温度Aを超える第2温度Bで気化される。
【0118】
一般的な層厚を成すヒーター80は、薄膜技術によって、好ましくは1つのウェハの複数の部分から製造され得る。
【0119】
有益な液体量が、喫煙者の吸引ごとに、1μl~10μl、さらに好ましくは2μl~10μl、いっそうさらに好ましくは3μl~5μlの範囲内で、一般的には4μlで配量されるように、気化器3は調整され得る。特に、気化器3は、吸引ごとの液体量に対して調整可能であり得る。
【0120】
主に、0.05μm~5μm、好ましくは0.1μm~3μmの範囲内の直径を有する液滴が発生するように、気化器3は有益に調整され得る。滴サイズが、0.05~5MMAD(空気動力学的中央粒子径)、好ましくは0.1~3MMAD、さらに好ましくは0.5~2MMAD、いっそうさらに好ましくは0.7~1.5MMADの範囲内で、例えば約1MMADで最適化され得る。
【0121】
加熱電圧源91によって生成されたヒーター80の制御周波数は、好ましくは1Hz~50Hzの範囲内にあり、好ましくは30Hz~30kHzの範囲内にあり、いっそうさらに好ましくは100Hz~25kHzの範囲内にある。
【0122】
以下に、気化工程のシーケンスを説明する。
【0123】
初期状態では、加熱工程用の電圧源91は停止されている。
【0124】
液体を気化させるため、ヒーター80用の電圧源91が起動される。この場合、ヒーター80内と微細流路82内との気化温度が、使用される液体混合物の個々の気化挙動に適合されているように、電圧Uhが調整される。その結果、局所的な過熱の危険と、当該加熱による有害物質の発生とが阻止される。
【0125】
微細流路82の容積に相当するか又は当該容積に関連する液体量が気化した直後に、加熱電圧源91が停止される。好ましくは、液体特性及び液体量が、正確に既知であるので、この時点は、非常に正確に制御され得る。それ故に、気化器3のエネルギー消費が、公知の装置に比べて減少され得る。何故なら、必要な気化エネルギーが配量され得て、したがってより正確に生成され得るからである。
【0126】
当該加熱工程の終了後に、微細流路82が、ほぼ又は完全に空にされる。次いで、当該微細流路82が、芯組織90を通じた液体の供給によって再び充填されるまで、加熱電圧源91が、停止されたままである。当該微細流路82が、芯組織90を通じた液体の供給によって再び充填されると、次の加熱サイクルが、加熱電圧源91を起動することによって開始され得る。
【0127】
ヒーター80は、特に微小電気機械システム技術に基づいて、特にシリコンから製造されていて、それ故に、好ましくは微小電気機械システムである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
気化器(3)に供給された液体を気化するための電気式の少なくとも1の気化器(3)を有する少なくとも1つの気化装置(1)と、前記気化器(3)を制御及び/又は調整するための1つの電子制御手段(56)とを備える吸入器(27)、特に電子たばこ製品において、
前記制御手段(56)が、少なくとも1つか又はそれぞれの個別の前記気化器(3)を個別に制御するために、及び/又は複数の気化器(3)をグループごとに制御するために適合されていることによって、少なくとも1つの前記気化器から発生した蒸気/エアロゾルの組成及び/又は発生量が適切に調整可能である及び/又は変更可能であるように、複数の液体が、前記気化装置(1)に割り当てられているか又は割り当て可能である当該吸入器。
2.
前記気化装置(1)は、複数の液体A,B,…を少なくとも1つの前記気化器(3)に供給するために複数の液体供給路(16)を有する上記1に記載の吸入器。
3.
複数の液体A,B,Cに適合された複数のパラメータセットが、前記電子制御手段(56)内に記憶されている上記1又は2に記載の吸入器。
4.
前記気化装置(1)は、複数の気化器(3)を有する上記1~3のいずれか1つに記載の吸入器。
5.
少なくとも1つの固有の気化器(3)が、それぞれの液体A,B,…に割り当てられている上記4に記載の吸入器。
6.
前記吸入器(27)は、ユーザーインターフェース(32)を有し、喫煙者が、このユーザーインターフェース(32)を介して少なくとも1つの前記気化器(3)から発生した蒸気/エアロゾルの組成に影響を及ぼし得る上記1~5のいずれか1つに記載の吸入器。
7.
ユーザーインターフェース(32)が、喫煙者の移動通信機器(33)、特にスマートフォンと通信するために無線インターフェースを有する上記1~6のいずれか1つに記載の吸入器。
8.
複数の液体A,B,…は、1,2-プロピレングリコール、グリセリン、水から成るグループの1つ又は複数の成分と、少なくとも1つの作用物質、特にニコチン、及び/又は少なくとも1つの香料(フレーバー)とを含む上記1~7のいずれか1つに記載の吸入器。
9.
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、50%よりも多いグリセリンを含む上記1~8のいずれか1つに記載の吸入器。
10.
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、少なくとも1%のニコチンを含み、複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、ニコチンを含まない上記1~9のいずれか1つに記載の吸入器。
11.
少なくとも1つの気化器(3)に供給されたそれぞれの液体A,B,…は、ニコチンを含まない上記1~9のいずれか1つに記載の吸入器。
12.
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含み、複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、フレーバーを含まないか又は別のフレーバーを含む上記1~11のいずれか1つに記載の吸入器。
13.
前記吸入器(27)は、複数の液体A,B,…を貯蔵するために複数の貯蔵部(37A,37B)を有する上記1~12のいずれか1つに記載の吸入器。
14.
複数の液体A,B,…のうちの少なくとも1つの液体が、主に1,2-プロピレングリコールから成るグループの1つ又は複数の成分を含み、複数の液体A,B,…のうちの別の1つの液体が、主にグリセリンを含む上記13に記載の吸入器。
15.
吸入器(27)は、香料及び/又は作用物質、特にニコチンを含む固体物質を貯蔵するために少なくとも1つのカプセルを有し、当該カプセルは、少なくとも1つの前記気化器から発生した蒸気/エアロゾルによって通流可能である上記1~14のいずれか1つに記載の吸入器。
16.
移動通信機器(33)用のコンピュータプログラム製品、特にアプリケーションソフトウェア又はアプリにおいて、
前記コンピュータプログラム製品は、上記1~15のいずれか1つに記載の吸入器(27)を制御及び/又は調整するために適合されている当該コンピュータプログラム製品。
7.
前記コンピュータプログラム製品は、複数の既定の気化プロフィールから1つの気化プロフィールを選択し、前記吸入器(27)を適切に制御するために選択要素(65,66,67)を有する上記16に記載のコンピュータプログラム製品。
18.
作用物質及び/又はスロートヒットに関して少なくとも2つ、特に少なくとも3つの異なる強度グレードを有する複数の既定の気化プロフィールが設けられている上記17に記載のコンピュータプログラム製品。
19.
前記コンピュータプログラム製品は、前記気化器(27)の個々の気化パラメータを調整するために複数の調整要素(36-39,51)を有する上記16~18のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
20.
前記コンピュータプログラム製品は、発生した蒸気/エアロゾルにおける個々の液体A,B,…の割合を調整するために調整要素(36-39)を有する上記19に記載のコンピュータプログラム製品。
21.
前記コンピュータプログラム製品は、スロートヒットを調整するために調整要素(38)を有する上記13又は19に記載のコンピュータプログラム製品。
22.
前記コンピュータプログラム製品は、香料の含有量及び/又は作用物質の含有量を調整するために調整要素(36,37)を有する上記19~21のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
23.
前記コンピュータプログラム製品は、発生した全ての蒸気量を調整するために調整要素(39)を有する上記19~22のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
24.
複数の前記気化パラメータの選択可能性が、互いに結合されている上記19~23のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
25.
吸入器(27)内の蓄電部(46)の充電状態のインジケーター画像(48)が設けられている上記16~24のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
26.
1つ又は複数の貯蔵部(37A,37B,…)内の残りの液体量のインジケーター画像(49)が設けられている上記16~25のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
27.
喫煙者による残っているパフのインジケーター画像(50)が設けられている上記16~26のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
28.
前記残っているパフの回数が、選択された設定、喫煙行動、例えば平均的な個々の吸引時間、及び必要エネルギー量に依存して計算される上記27に記載のコンピュータプログラム製品。
29.
切替要素(51)が、前記吸入器(27)の吸引抵抗を調整するために設けられている上記16~28のいずれか1つに記載のコンピュータプログラム製品。
30.
典型的なたばこに相当する吸引抵抗、及び/又は可能な限り小さい吸引抵抗が、前記切替要素(51)によって調整可能である上記29に記載のコンピュータプログラム製品。
【符号の説明】
【0128】
1 気化装置
2 支持部
3 気化器
4 電子制御装置
6 液体タンク、液体貯蔵器、マルチチャンバタンク、2チャンバタンク
6A 個別タンク、シングルチャンバタンク、タンク
6B 個別タンク、シングルチャンバタンク、タンク
6C 個別タンク、シングルチャンバタンク、タンク
7 電気コネクタ部、電気コネクタ、コネクタ、規格化されたインターフェース
10 電気接触子、接触子
12 毛細管要素
14 メモリ
16 液体供給路、供給路
17 主支持部
18 コネクタ部、規格化されたインターフェース
19 気化器ユニット、カートリッジ、気化器カートリッジ
20 基幹部
21 電子制御機構部
22 電気ソケット、ソケット、ソケット部、レセプタクル、インターフェース
26 プリント基板
27 吸入器、電子たばこ
29 制御ユニット
30 ブーストスイッチ
31 電線
32 無線インターフェース、ユーザーインターフェース
33 スマートフォン、移動通信機器
34 ディスプレイ
35 ボタン画像
36 レベルバー、調整要素
37 レベルバー、調整要素
38 レベルバー、調整要素
39 レベルバー、調整要素
37A 貯蔵部、液体貯蔵部、個別貯蔵部
37B 貯蔵部、液体貯蔵部、個別貯蔵部
37C 貯蔵部、液体貯蔵部
40 蓄電装置
41 バッテリーインターフェース
42 充電インターフェース
44 ボタン画像
46 蓄電部
47 液体インターフェース
48 インジケーター画像
49 インジケーター画像
50 インジケーター画像
51 切替要素、インジケーター画像、調整要素
52 吸引抵抗を変更する要素
54 スイッチ、スライドスイッチ
55 スイッチ、スライドスイッチ
56 電子制御手段
65 ボタン画像、選択要素
66 ボタン画像、選択要素
67 ボタン画像、選択要素
80 ヒーター
81 流入面、接触領域
82 微細流路
84 流出面
90 芯組織
91 加熱電圧源
92 電極
A 液体
B 液体、風味
C 液体、風味