(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】複数の製造物体のインライン寸法制御のための方法及び設備
(51)【国際特許分類】
G01B 15/00 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
G01B15/00 H
(21)【出願番号】P 2020523373
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(86)【国際出願番号】 FR2018052681
(87)【国際公開番号】W WO2019081875
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509083201
【氏名又は名称】ティアマ
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】コノー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】コル,オリヴィエ
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-280134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0262891(US,A1)
【文献】国際公開第2010/001845(WO,A1)
【文献】特開2007-144056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1シリーズの複数の製造物体(2)の直線寸法を自動的に測定するための方法であって、
複数の製造物体(2)のそれぞれが前記物体の全ての点で一定の減衰係数を持つ材料で作られている、前記複数の製造物体の1シリーズを選択することと、
少なくとも1つの直線寸法が測定される前記複数の物体から、少なくとも1つの検査対象領域を選択することと、
輸送装置を用いて、搬送平面(Pc)における略直線の軌道に沿った移動方向(T)に移動し、移動中に搬送体積(Vt)を生成する前記複数の物体を輸送することと、
前記搬送体積(Vt)の外側に、X線発生管の少なくとも1つの焦点(Fj)と、関連付けられた焦点(Fj)から得られるX線に曝されかつ感度を持つ複数のイメージセンサ(Cji)とを配置することと、
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各物体について、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得することと、
コンピュータシステムを使用して、前記少なくとも3つの放射線画像を分析することと、
前記コンピュータシステムに、前記複数の物体のシリーズの前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することと、
前記コンピュータシステムを使用して、一定の減衰係数を考慮することによって、前記推測的幾何モデル及び前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像から、それぞれが前記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向(Dji)に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点を含む前記シリーズの各物体についての前記検査対象領域のデジタル幾何モデルを特定することと、
前記シリーズの各物体について、前記検査対象領域のデジタル幾何モデルから、それぞれが前記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向(Dji)に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点間の距離として、前記検査対象領域の少なくとも1つの直線寸法の測定値を特定することと、
を含み、
前記X線は少なくとも前記検査対象領域を通り抜けて、前記照射方向(Dji)における放射線照射を各イメージセンサ上に生成し、
前記少なくとも3つの放射線画像は、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射から得られ、前記少なくとも3つの放射線照射の照射方向(Dji)は互いに異なっており、
前記推測的幾何モデルは、前記複数の物体のシリーズのデジタル幾何モデルであって、前記物体の前記デジタル幾何モデルを構築するための再構築ソフトウェアの初期設定として使用され、計算によってモデル化される前記物体の形状、構造及び寸法に関する情報を前記コンピュータシステムに提供する、
方法。
【請求項2】
デジタル幾何モデルを特定することを含み、前記デジタル幾何モデルは、
それぞれが前記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向(Dji)に直交せず、前記移動方向(T)と平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、照射方向(Dji)に直交する平面に属さず、かつ前記移動方向(T)に平行な平面に属さない複数の点を含む、前記検査対象領域の少なくとも1つの三次元表面、
及び/又は、照射方向(Dji)に直交する平面と異なり、かつ前記移動方向(T)に平行な平面と異なる平面に沿っている、前記検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータシステムに、前記一定の減衰係数の値を提供することを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータシステムに、前記シリーズからの前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することを含み、前記推測的幾何モデルは、
前記シリーズの複数の物体のコンピュータ設計のデジタルモデルによって、
又は、測定装置による同じシリーズの1つ又は複数の物体の測定から得られるデジタル幾何モデルによって、
又は、入力値から、及び/又は前記コンピュータシステムのマンマシンインターフェース上のオペレータによって選択される図面及び/又は形状から、前記コンピュータシステムによって生成されるデジタル幾何モデルによって、
取得されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる焦点、又は前記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点が配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記搬送平面(Pc)に少なくとも1つの焦点を配置することを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記搬送平面(Pc)に直交し、前記搬送体積(Vt)に交差する平面(Ps)の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)をそのビームが前記交差平面(Ps)及び前記検査対象領域を通り抜けるように配置することと、
前記交差平面(Ps)に対して反対側に、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサを配置すること、
を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記搬送平面(Pc)の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)をそのビームが前記搬送平面(Pc)を通り抜けるように配置することと、
前記搬送平面(Pc)に対して反対側に、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)を配置することと、
を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各物体について、45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度(α)を定義する複数の照射方向(Dji)に対応する前記
検査対象領域の少なくとも2つの放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各物体について、前記移動方向(T)と10°から60°の間の開き角度(β)を有する照射方向(Dji)に対応する前記
検査対象領域の少なくとも1つの放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各物体について、前記移動方向(T)と10°未満の開き角度(β)有する照射方向(Dji)に対応する前記
検査対象領域の放射線画像を取得しないことを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記焦点又は複数の焦点から前記複数のイメージセンサ(Cji)に到達するX線が他の物体を通り抜けないように、物体の前記
検査対象領域の複数の放射線照射を生成して取得することを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各物体について、前記検査対象領域の異なる方向の3から40の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各物体について、前記検査対象領域の異なる方向の4から15の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のイメージセンサ(Cji)はリニアタイプであって、それぞれが、前記関連付けられた焦点(Fj)と、前記照射方向(Dji)を含む照射平面(Pji)とで定義する支持直線(Lji)に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
前記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、前記関連付けられた焦点(Fj)から得られるX線ビームによって前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように、
異なる前記複数のセンサに対する前記照射平面(Pji)が互いに異なっており、かつ前記搬送平面(Pc)と平行でないように、
前記少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)のそれぞれを用いて、前記
移動方向(T)に沿った各物体の増分変位毎に、前記検査対象領域の複数の放射線線形画像が、各物体について前記検査対象領域全体が全ての前記
放射線線形画像において完全に表現されるように選択された数に従って取得されるように、
前記検査対象領域の複数の
放射線線形画像の少なくとも3組が、各物体について分析されるように、
配置されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
1シリーズの複数の製造物体の少なくとも1つの検査対象領域の直線寸法を自動的に測定するための設備であって、前記設備は、
搬送平面(Pc)における略直線の軌道に沿って、変位ベクトルによって具体化された
移動方向(T)に、前記
移動方向(T)に延びた搬送体積(Vt)を通過する複数の物体を輸送するための装置と、
前記通過された体積(Vt)の外側に位置付けられたX線発生管の少なくとも1つの焦点(Fj)と、
関連付けられた焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように、前記搬送体積(Vt)の外側に位置付けられた少なくとも3つのイメージセンサ(Cji)と、
移動中の各物体について、全てが異なる照射方向(Dji)を有する前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、前記複数のイメージセンサ(Cji)に接続された取得システムと、
コンピュータシステムに前記複数の物体のシリーズの前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置と、
を含み、
前記少なくとも1つの焦点は、前記物体の少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
前記焦点又は複数の焦点(Fj)及び前記複数のイメージセンサ(Cji)は、前記物体が前記X線を通り抜けるときに前記焦点(Fj)から得られるX線によって各イメージセンサが前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように配置されており、前記複数の放射線照射の照射方向は互いに異なっており、
前記コンピュータシステムは、
前記シリーズの各物体について、それぞれが前記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向(Dji)に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点を含むデジタル幾何モデルを、前記複数の物体についてその材料の一定の減衰係数を考慮することにより、前記推測的幾何モデル及び前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像から、特定し、
前記シリーズの各物体について、前記検査対象領域のデジタル幾何モデルから、それぞれが前記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交しない平面(Dji)に位置付けられた少なくとも2つの三次元点間の距離として、前記検査対象領域の少なくとも1つの直線測定値を特定し、
前記推測的幾何モデルは、前記複数の物体のシリーズのデジタル幾何モデルであって、前記物体の前記デジタル幾何モデルを構築するための再構築ソフトウェアの初期設定として使用され、計算によってモデル化される前記物体の形状、構造及び寸法に関する情報を前記コンピュータシステムに提供する、
設備。
【請求項17】
前記コンピュータシステムに1シリーズの前記複数の物体の材料の減衰係数を提供するための装置を備えることを特徴とする、請求項16に記載の設備。
【請求項18】
前記コンピュータシステムに前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースであることを特徴とする、請求項17に記載の設備。
【請求項19】
前記コンピュータシステムに、要求される直線寸法の値及び/又は公差、及び/又は少なくとも1つの幾何基準モデルを提供するための装置を備えることを特徴とする、請求項16から18のいずれか1項に記載の設備。
【請求項20】
2つの異なる位置に別々に配置されたX線を生成するための少なくとも2つの焦点(F1、F2)と、X線に感度を持つ少なくとも3つのイメージセンサ(Cji)とを備え、それらは、
少なくとも前記検査対象領域を通過して、少なくとも1つの関連付けられたイメージセンサ(Cji)に到達するビームを各焦点が放出するように、
各イメージセンサ(Cji)が、1つの焦点に関連付けられるとともに、前記焦点から得られるX線を前記検査対象領域の通過後に受け取るように、
位置付けられていることを特徴とする、請求項16から19のいずれか1項に記載の設備。
【請求項21】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる少なくとも1つの焦点、又は前記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点を含むことを特徴とする、請求項16から19のいずれか1項に記載の設備。
【請求項22】
前記搬送平面(Pc)に配置された少なくとも1つの焦点を含むことを特徴とする、請求項16から21のいずれか1項に記載の設備。
【請求項23】
前記搬送平面(Pc)に直交し、前記搬送体積に交差する平面(Ps)の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)と、
前記交差平面(Ps)に対して反対側にあり、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)と、
を含み、
前記焦点のビームは前記交差平面(Ps)及び前記検査対象領域を通り抜けるようになっていることを特徴とする、請求項16から22のいずれか1項に記載の設備。
【請求項24】
前記搬送平面(Pc)の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)と、
前記搬送平面(Pc)に対して反対側にあり、前記焦点(Fj)からX線を受け取るために前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサと、
を含み、
前記焦点から得られる前記X線は前記搬送平面(Pc)を通り抜けるようになっていることを特徴とする、請求項16から23のいずれか1項に記載の設備。
【請求項25】
少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサは、それらが受け取る前記
検査対象領域の前記複数の照射方向が、これら照射方向の間に45°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度(α)を有するように配置されることを特徴とする、請求項16から24のいずれか1項に記載の設備。
【請求項26】
少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサ(Cji)は、物体が前記複数のセンサの被写界を通過するとき、前記イメージセンサ(Cji)上の前記
検査対象領域の前記照射方向(Dji)が、前記移動方向(T)と10°から60°の間の開き角度(β)をなすように配置されることを特徴とする、請求項16から25のいずれか1項に記載の設備。
【請求項27】
前記通過された体積(Vt)に位置付けられたX線発生管の焦点(Fj)はなく、前記搬送体積(Vt)に位置付けられたイメージセンサ(Cji)はなく、物体が前記センサの被写界を通過するとき、前記イメージセンサ(Cji)上の前記
検査対象領域の前記照射方向(Dji)が、前記移動方向(T)で10°未満の開き角度(β)をなすことはないことを特徴とする、請求項16から26のいずれか1項に記載の設備。
【請求項28】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び前記複数の焦点(Fj)は、前記焦点又は複数の焦点から得られて前記複数のイメージセンサ(Cji)に到達するとともに物体の前記
検査対象領域を通過するX線が、同時に他の物体を通り抜けないように配置されることを特徴とする、請求項16から27のいずれか1項に記載の設備。
【請求項29】
1つ又は複数のX線発生管から得られる1つから4つの焦点(Fj)を含むことを特徴とする、請求項16から28のいずれか1項に記載の設備。
【請求項30】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の前記シリーズの各物体について、前記複数のイメージセンサ上の前記検査対象領域の前記複数の放射線照射が、3から40の異なる照射方向を有するようになっていることを特徴とする、請求項16から29のいずれか1項に記載の設備。
【請求項31】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の前記シリーズの各物体について、前記複数のイメージセンサ上の前記検査対象領域の前記複数の放射線照射が、4から15の異なる照射方向を有するようになっていることを特徴とする、請求項16から30のいずれか1項に記載の設備。
【請求項32】
前記複数のイメージセンサ(Cji)はリニアタイプであって、それぞれが、前記関連付けられた焦点(Fj)と、前記照射方向(Dji)を含む照射平面(Pji)とで定義する支持直線(Lji)に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
前記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、前記関連付けられた焦点(Fj)からのX線ビームによって前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように、
異なる前記複数のセンサに対する前記照射平面(Pji)が互いに異なっており、かつ前記搬送平面(Pc)と平行でないように、
配置されることを特徴とする、請求項16から31のいずれか1項に記載の設備。
【請求項33】
少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)は、互いに平行な自身の支持直線(Lji)を有することを特徴とする、請求項32に記載の設備。
【請求項34】
少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)は、前記搬送平面(Pc)に直交する自身の支持直線(Lji)を有することを特徴とする、請求項32又は33に記載の設備。
【請求項35】
焦点(Fj)は、前記搬送平面(Pc)の一方の側に配置され、かつ、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサ(Cji)は、前記搬送平面(Pc)に対して前記焦点(Fj)の反対側に配置され、その支持直線(Lji)は前記搬送平面(Pc)に平行であることを特徴とする、請求項32から34のいずれか1項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1シリーズの複数の物体を形成し、同一の性質を持つ複数の製造物体のX線による寸法制御の分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、直線寸法の、つまり、例えば容器、成形又は機械加工部品、機械部品、梱包用容器、車体修理要素などの一般的な意味での製造物体が有する長さの、X線による測定値を取得することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
従来技術により、X線による複数の物体の寸法制御を可能にする様々な技術が知られている。手荷物検査システムも知られているが、これは、既知の物体の寸法の測定ではなく、ほぼランダムな配置、形状及び量の禁制物又は禁制材料の検出を意図している。
【0004】
例として、コンピュータ断層撮影又はCT(「コンピュータ・トモグラフィー」)を含む軸回転システムが知られている。この従来の方法は、J.P.KruthらによるCIRP Annals Volume 60, Issue 2, 2011, Pages 821-842の「寸法計測のためのコンピュータ・トモグラフィー」という記事に記載されており、また、例えばベアト(Werth Messtechnik)社又はゼネラル・エレクトリック社が販売している断層撮影装置に導入されている。この方法は、X線発生管とマトリクス又はリニアX線イメージセンサとの間の垂直軸周りのターンテーブル上に物体を配置することを含む。回転中に、非常に多数(少なくとも100、多くの場合600超)の2D放射線画像が取得される。イメージセンサがマトリクスイメージセンサの場合、そのビームは円錐状である。イメージセンサがリニアイメージセンサである場合、そのビームは、その回転軸に直交する平面における扇(「扇状ビーム」)内に有利に制限され、ヘリカル型のフルスキャンについての回転は、回転の垂直軸に沿った並進を伴う。この技術により、高度に正確な三次元測定が提供され得る。ただし、最速のシステムでも、少なくとも1分の取得時間を要し、これには、複数の物体の上げ下ろし時間が追加されるので、1時間あたり最大10から30の物体が検査される。
【0005】
回転ガントリーと呼ばれる別の解決策が、例えば、ゼネラル・エレクトリック社から「スピードスキャンCT64」という商品名で知られる装置によって提供されている。一部の3D手荷物スキャナと同様に、この解決策の概念は、源、物体及びイメージセンサの間の相対的な動きの点で、医療用画像断層撮影装置に似ている。実際、コンベヤ上に配置された複数の製造物体又は手荷物は、上記機器内で並進する。それらは、その移動方向に直交する照射平面を通過する。上記平面を含む円形のガントリーにおいて、X線源及びこの源の反対側にある概ね湾曲したイメージセンサは、移動の中心軸周りを回転し、これにより、1スライスずつ又はヘリカルスキャンにより、3D再構築のために必要な複数の照射が、例えば「フィルタ補正逆投影」法又はART法を実行するアルゴリズムによって、得られる。これらの機器の目的は、ガントリーの各回転で非常に多数の照射、例えばスライス毎に100、さらに言えば700から1000の画像の取得を可能とすることである。複数の物体の3D再構築は、例えば1スライスずつ行われる。実際には、スライスの任意の点で減衰量を特定して、物体の移動中に得られる複数のスライスを連結することにより、物体の任意の体積要素の減衰量の値が得られる。
【0006】
提供される多数の画像のおかげで、これら垂直軸回転又は回転ガントリー機器が非常に正確である場合、これら機器は高価で低速であり、現実面ではオフライン制御のために取っておかれている。1m/sの走行で毎分600物品に達しそれを超えることができる速度のインライン寸法制御には適していないからである。
【0007】
特許出願 DE 10 2014 103137には、断層像密度検出器のシステムを使用して、機械加工される部品の幾何学的特性を特定する方法が記載されており、当該方法は、X線源と、平面検出器と、上記部品を回転させるための又は上記X線源及び上記検出器を回転させるための機械軸とを含む。
【0008】
上記方法によれば、回転中に複数の放射線画像が取得され、その表面のモデルを使用して表面の表現が確保される。このような方法は、計算時間を短縮するために、ボリュームデータを再構築するための工程の実行を回避する。このような技術では、製造された複数の部品を高速で測定することは不可能である。複数の部品をターンテーブルに上げてから、少なくとも180°回転させ、その後、別の部品の制御のために下ろす必要があるからである。
【0009】
回転ガントリーに搭載された上記管とイメージセンサの欠点を克服するために、特許 US 8 971 484には、回転システムが複数の固定マルチビームX線源の配列に置き換えられた手荷物検査システムが記載されており、上記配列は、複数のX線源の仮想変位を引き起こすために連続的に作動し、これにより異なる照射角度で多数の放射線画像を提供することが可能となる。物理的な回転が1秒あたり4回転に制限されているシステムと比較すると、「仮想回転」の数は1秒あたり40回転に増加している。ラピスキャン・システムズ社からラピスキャンRTTの商品名で知られる機器によって導入されるこの技術によれば、仮想回転が約40の異なる照射角度を提供することを考慮すると、手荷物の何万もの2D画像を作成することによって、1時間あたり1200個の手荷物を制御可能である。
【0010】
この技術は、X線マルチ源の価格の高さと、非常に大量のデータを処理するのに必要とされる計算能力のせいで、非常に高価であることが判明している。加えて、その制御速度は依然として制限されており、インライン制御には適していない。
【0011】
特許 US 7 319 737及びUS 7 221 732は、デジタル断層撮影又はトモシンセシスと呼ばれる技術によって手荷物を制御することを提案している。個々の手荷物は「扇状ビーム」と呼ばれる一連の円錐形照射平面を通過し、各照射平面にはL字型に配置された1対のリニアイメージセンサが含まれる。これら技術は、形状化した物体及び非常に多様な材料を含む手荷物内の武器又は爆発物を、手荷物内の上記物体及び材料の3D位置を視覚化することによって、及び、例えば疑わしい製品の体積を評価することによって、捜索することを意図している。上記材料の原子番号をも特定するために、マルチスペクトル技術を使用するのは一般的なことである。したがって、これらのシステムは、手荷物の任意の点で減衰量値を特定しようとする。一方、これらシステムにより、品質制御の目的のために複数の製造物体の寸法を高速かつ正確に特定することは不可能である。
【0012】
特許出願 JP S60 260807は、それぞれが複数のセンサと関連付けられている1つ又は複数の焦点からのX線測定を使用して、軸に沿って並進で動かされる管の壁の厚さを測定することを提案している。焦点及び複数のセンサは、管の移動方向に直交する平面に沿って複数の放射線照射を生成するように配置されている。したがって、複数の放射線照射は、管の対称軸に直交する照射平面と同一平面上にある。これら放射線照射の方向は、上記移動方向に対して直角(90°)をなす。この技術により、管の内表面及び外表面を完全に知ることは不可能である。この特許出願に記載される方法では、照射方向における管の2つの壁の累積厚さのみが測定可能であり、正確な測定が他の複数の方向においてなされることを可能とする管の三次元モデルの再構築はなされない。
【0013】
同じように、特許 US 5 864 600には、容器輸送コンベヤの両側に横方向に配置されたX線源とセンサとを使用して、容器の充填レベルを特定する方法が記載されている。この文献は複数の容器の三次元モデリングを提供していないため、このシステムでは、横方向に方向付けられていない表面に対して測定を行うことが不可能である。
【0014】
特許出願 US 2009/0262891には、コンベヤによって並進移動させられる手荷物内に置かれた複数の物体を、X線によって検出するためのシステムが記載されている。このシステムは、複数のパルス発生管又は走行方向に平行な寸法の大きいセンサを含む。この文献は、物体を再構築する方法を提供しているが、移動方向における照射の欠如により、移動方向に直交する方向における寸法の測定が不可能であるため、満足のいくものではない。1つの角度セクタにおける放射線照射の欠如により、正確な測定を確保するための適切なデジタルモデルを作成することが不可能となっている。
【0015】
特許出願 DE 197 56 697には、特許出願 US 2009/0262891と同じ欠点を有する装置が記載されている。
【0016】
特許出願 WO 2010/092368には、放射線源及び3つのリニアセンサを使用して、並進移動している物体をX線によって視覚化するための装置が記載されている。
【0017】
特許出願 US 2010/220910には、理想物体を表す基準3Dモデルを作成することによって、物体の異常を検出するための方法が記載されている。この方法は、実際の物体から取得される2D画像を上記基準モデルに対応する2D画像と比較して、そこから異常を推測することを意図している。この方法では、物体を正確に測定することは不可能であり、作成された複数の2D画像においてのみ、よってそれらの照射方向と直交する複数の方向のみにおいて、物体を制御することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、実施される安価な方法を提供することによって従来技術の欠点を克服すること、及び高速で並進走行する複数の製造物体のX線による正確な寸法制御を可能にすることを目的とする。
【0019】
断層撮影において、所定方向の周囲の放射線照射の欠如は、この方向に平行な表面の再構築を妨げ、寸法制御のために、欠落している放射線照射に直交する寸法の測定ができなくなる「欠落境界」という現象を発生させることが知られている。
【0020】
したがって、本発明はまた、並進で移動する複数の物体について、放射線照射の数には制限があって複数の物体の搬送方向の周辺では得られないものの、正確で完全な三次元デジタルモデルを構築することによって、正確な測定の実行を可能とする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、1シリーズの複数の製造物体の直線寸法を自動的に測定するための方法は、
複数の製造物体のそれぞれが上記物体の全ての点で一定の減衰係数を持つ材料で作られている、上記複数の製造物体の1シリーズを選択することと、
少なくとも1つの直線寸法が測定される上記複数の物体から、少なくとも1つの検査対象領域を選択することと、
輸送装置を用いて、搬送平面における略直線の軌道に沿った移動方向に移動し、移動中に搬送体積を生成する上記複数の物体を輸送することと、
上記搬送体積の外側に、X線発生管の少なくとも1つの焦点と、関連付けられた焦点から得られるX線に曝されかつ感度を持つ複数のイメージセンサとを配置することと、
複数のイメージセンサを使用して、移動中の各物体について、上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得することと、
コンピュータシステムを使用して、上記少なくとも3つの放射線画像を分析することと、
上記コンピュータシステムに、上記複数の物体のシリーズの上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することと、
上記コンピュータシステムを使用して、一定の減衰係数を考慮することによって、上記推測的幾何モデル及び上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像から、それぞれが上記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点を含む上記検査対象領域のデジタル幾何モデルを特定することと、
上記シリーズの各物体について、上記検査対象領域のデジタル幾何モデルから、それぞれが上記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点間の距離として、上記検査対象領域の少なくとも1つの直線寸法の測定値を特定することと、
を含み、
上記X線は少なくとも上記検査対象領域を通り抜けて、上記照射方向における放射線照射を各イメージセンサ上に生成し、
上記少なくとも3つの放射線画像は、上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射から得られ、上記少なくとも3つの放射線照射の照射方向は互いに異なっている。
【0022】
加えて、本発明に係る方法は、以下の追加の特徴のうちの少なくとも1つ及び/又はそれ以外を、組み合わせてさらに含み得る。
【0023】
デジタル幾何モデルを特定することであって、上記デジタル幾何モデルは、
それぞれが上記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交せず、上記移動方向と平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、照射方向に直交する平面に属さず、かつ上記移動方向に平行な平面に属さない複数の点を含む、上記検査対象領域の少なくとも1つの三次元表面、
及び/又は、照射方向に直交する平面と異なり、かつ上記移動方向に平行な平面と異なる平面に沿っている、上記検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含む。
【0024】
上記コンピュータシステムに、上記一定の減衰係数の値を提供すること。
【0025】
上記コンピュータシステムに、上記シリーズの上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することであって、上記推測的幾何モデルは、
上記シリーズの複数の物体のコンピュータ設計のデジタルモデルによって、
又は、測定装置による同じシリーズの1つ又は複数の物体の測定から得られるデジタル幾何モデルによって、
又は、入力値から、及び/又は上記コンピュータシステムのマンマシンインターフェース上のオペレータによって選択される図面及び/又は形状から、上記コンピュータシステムによって生成されるデジタル幾何モデルによって、
取得される。
【0026】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる焦点、又は上記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点を配置すること。
【0027】
上記搬送平面に少なくとも1つの焦点を配置すること。
【0028】
上記搬送平面に直交し、上記搬送体積に交差する平面の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点をそのビームが上記交差平面及び上記検査対象領域を通り抜けるように配置すること。
【0029】
上記交差平面に対して反対側に、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサを配置すること。
【0030】
上記搬送平面の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点をそのビームが上記搬送平面を通り抜けるように配置すること。
【0031】
上記搬送平面に対して反対側に、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサを配置すること。
【0032】
複数のイメージセンサを使用して、移動中の上記シリーズの各物体について、45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満、有利には60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度を定義する複数の照射方向に対応する上記検査領域の少なくとも2つの放射線画像を取得すること。
【0033】
複数のイメージセンサを使用して、移動中の上記シリーズの各物体について、上記移動方向と10°から60°の間の開き角度を有する照射方向に対応する上記検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得すること。
【0034】
上記焦点又は複数の焦点から上記複数のイメージセンサに到達するX線が他の物体を通り抜けないように、物体の上記検査領域の複数の放射線照射を生成して取得すること。
【0035】
複数のイメージセンサを使用して、移動中の上記シリーズの各物体について、上記検査対象領域の異なる方向の3から40の、好ましくは4から15の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得すること。
【0036】
上記複数のイメージセンサはリニアタイプであって、それぞれが、上記関連付けられた焦点と、上記照射方向を含む照射平面とで定義する支持直線に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
上記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、上記関連付けられた焦点から得られるX線ビームによって上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように、
異なる上記複数のセンサに対する上記照射平面が互いに異なっており、かつ上記搬送平面と平行でないように、
上記少なくとも3つのリニアイメージセンサのそれぞれを用いて、上記軌道に沿った各容器の増分変位毎に、上記検査対象領域の複数の放射線線形画像が、各物体について上記検査対象領域全体が全ての上記線形放射線画像において完全に表現されるように選択された数に従って取得されるように、
上記検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3組が、各物体について分析されるように、
配置される。
【0037】
本発明の別の目的は、1シリーズの複数の製造物体の少なくとも1つの検査対象領域の直線寸法を自動的に測定するための設備を提供することであって、当該設備は、
搬送平面における略直線の軌道に沿って、変位ベクトルによって具体化された方向に、上記方向に延びた搬送体積を通過する複数の物体を輸送するための装置と、
上記通過された体積の外側に位置付けられたX線発生管の少なくとも1つの焦点と、
関連付けられた焦点から得られるX線を受け取るように、上記搬送体積の外側に位置付けられた少なくとも3つのイメージセンサと、
移動中の各物体について、全てが異なる照射方向を有する上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、上記複数のイメージセンサに接続された取得システムと、
コンピュータシステムに上記複数の物体のシリーズの上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置と、
を含み、
上記少なくとも1つの焦点は、上記物体の少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
上記焦点又は複数の焦点及び上記複数のイメージセンサは、上記物体が上記X線を通り抜けるときに上記焦点から得られるX線によって各イメージセンサが上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように配置されており、上記複数の放射線照射の照射方向は互いに異なっており、
上記コンピュータシステムは、
上記シリーズの各物体について、それぞれが上記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点を含むデジタル幾何モデルを、上記複数の物体についてその材料の一定の減衰係数を考慮することにより、上記推測的幾何モデルから、及び上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射から、特定し、
上記シリーズの各物体について、上記検査対象領域のデジタル幾何モデルから、上記シリーズの各物体について、それぞれが上記検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点間の距離として、上記検査対象領域の少なくとも1つの直線測定値を特定する。
【0038】
加えて、本発明に係る設備は、以下の追加の特徴のうちの少なくとも1つ及び/又はそれ以外を、組み合わせてさらに含み得る。
【0039】
上記コンピュータシステムに1シリーズの上記複数の物体の材料の減衰係数を提供するための装置。
【0040】
上記コンピュータシステムに上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置であって、上記装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースである。
【0041】
上記コンピュータシステムに、要求される直線寸法の値及び/又は公差、及び/又は少なくとも1つの幾何基準モデルを提供するための装置。
【0042】
2つの異なる位置に別々に配置されたX線を生成するための少なくとも2つの焦点と、X線に感度を持つ少なくとも3つのイメージセンサとであって、それらは、
少なくとも上記検査対象領域を通過して、少なくとも1つの関連付けられたイメージセンサに到達するビームを各焦点が放出するように、
各イメージセンサが、1つの焦点に関連付けられるとともに、上記焦点から得られるX線を上記検査対象領域の通過後に受け取るように、
配置される。
【0043】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる少なくとも1つの焦点、又は上記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点。
【0044】
上記搬送平面に配置された少なくとも1つの焦点。
【0045】
上記搬送平面に直交し、上記搬送体積に交差する平面の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点であって、そのビームは上記交差平面及び上記検査対象領域を通り抜けるようになっている。
【0046】
上記交差平面に対して反対側にあり、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ。
【0047】
上記搬送平面の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点であって、そのビームは上記搬送平面を通り抜けるようになっている。
【0048】
上記搬送平面に対して反対側にあり、上記焦点からX線を受け取るために上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ。
【0049】
少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサは、それらが受け取る上記検査領域の上記複数の照射方向が、これら照射方向の間に45°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未満、有利には60°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度を有するように配置される。
【0050】
少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサは、物体が上記複数のセンサの被写界を通過するとき、上記イメージセンサ上の上記検査領域の上記照射方向が、上記移動方向と10°から60°の間の開き角度をなすように配置される。
【0051】
上記複数のイメージセンサ及び上記複数の焦点は、上記焦点又は複数の焦点から得られて上記複数のイメージセンサに到達するとともに物体の上記領域を通過するX線が、同時に他の物体を通り抜けないように配置される。
【0052】
1つ又は複数のX線発生管から得られる1つから4つの焦点。
【0053】
上記複数のイメージセンサ及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の上記シリーズの各物体について、上記複数のイメージセンサ上の上記検査対象領域の上記複数の放射線照射が、3から40の、好ましくは4から15の異なる照射方向を有するようになっている。
【0054】
上記複数のイメージセンサはリニアタイプであって、それぞれが、上記関連付けられた焦点と、上記照射方向を含む照射平面とで定義する支持直線に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
上記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、上記関連付けられた焦点からのX線ビームによって上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように、
異なる上記複数のセンサに対する上記照射平面が互いに異なっており、かつ上記搬送平面と平行でないように、
少なくとも3つのリニアイメージセンサが、互いに平行な自身の支持直線を有するように、
少なくとも3つのリニアイメージセンサが、上記搬送平面に直交する自身の支持直線を有するように、
焦点が、上記搬送平面の一方の側に配置され、かつ、本発明によれば、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサが、上記搬送平面に対して上記焦点の反対側に配置され、その支持直線が上記搬送平面に平行であるように、
配置される。
【0055】
他の様々な特徴が、本発明の目的の非限定的な例及び実施形態を通じて、示される添付図面を参照して以下でなされる説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、インラインで走行している複数の物体のX線による寸法測定が可能な設備を示す概略上面図である。
【
図2】
図2は、物体のX線による寸法測定が可能な設備の一部を示す概略側面斜視図である。
【
図3】
図3は、直線移動中の複数の物体によって通過された又は生成された体積を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、3つのX線発生焦点を含む本発明に係る設備の例示的な実施形態を示す概略上面図である。
【
図7】
図7は、2つの照射方向の間の有効角度の定義を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、2つの照射方向の間の有効角度の定義を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、検査される複数の物体の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、検査される複数の物体の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、複数のマトリクスイメージセンサを実装する本発明に係る設備の例示的実施形態の図である。
【
図12】
図12は、2つのマトリクスイメージセンサに対応する2つの別個の区域を示すX線感応素子のマトリクスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
先立って、本発明の文脈で使用される用語のいくつかの定義を以下で示す。
【0058】
X線発生管の焦点Fjは、点X線源、好ましくは、例えば直径が0.01mmから1mmの間の「マイクロ焦点」であって、発散X線ビームを生成する。任意のタイプの点又は点とみなすことができるX線源を使用できる。
【0059】
感応素子は、X線感応素子、換言すると、例えば寸法が0.2×0.2mm又は0.02×0.02mmの基本表面であって、受け取ったX線を電気信号に変換する。一般に、シンチレータがX線を可視光線に変換し、次に光電センサが可視光線を電気信号に変換する。X線を電気信号に直接変換する技術もある。画素は、サンプリングされた画像における点の基本値を指定し、0と最大値との間のその諧調によって特徴付けられる。例えば、12ビットのデジタル画像について、画素は0から4095の間のデジタル値を取る。
【0060】
複数の放射線画像を読取る又は取得するためのシステムは、1つ又は複数のX線感応表面を、つまり、以下の説明においては、従来方式でコンピュータによって導入されかつコンピュータシステムによって定められた分析システムに送信されるべき電気信号に、X線を変換する複数の感応素子を備える複数の表面を含む。同一の感応表面区域に属する複数の感応素子の組から得られる複数の信号は、取得装置によって取得され、かつコンピュータシステムに一緒に送信され、放射線画像を構成する。コンピュータシステムによって分析されるために、複数の放射線画像は、感応表面に可能な限り近いか、又はコンピュータシステムから可能な限り離れて、複数のデジタル放射線画像に好ましくは変換される。
【0061】
焦点Fjから得られるX線ビームは、少なくとも1つの検査領域を通り抜けて、感応表面上に検査領域の放射線照射を形成し、放射線照射は、放射画像と呼ばれることもあり、かつ通過された材料によるX線の減衰量の情報を含む。
【0062】
検査領域の放射線照射を受け取るX線感応表面区域は、イメージセンサCjiと呼ばれる。イメージセンサCjiは、関連付けられた焦点FjからのX線に曝される。イメージセンサは、この放射線照射を、検査領域のX線画像に変換する。感応表面区域が複数の感光素子の列を含む場合、送信された放射線画像は線形であり、複数の値の一次元配列を形成する画素の列から構成される。感応表面区域が複数の感光素子のマトリクスを含む場合、送信された放射線画像はマトリクス放射線画像であり、複数の値の二次元配列を形成する画素のマトリクスから構成される。
【0063】
照射方向Djiは、焦点Fjを出て、イメージセンサCjiの中心を、つまり、焦点とイメージセンサとの間を容器が移動している最中の取得時に検査領域の放射線照射を受け取るX線感応区域の中心を通り抜ける指向方向又はベクトルである。イメージセンサに関連付けられた一対の焦点について、照射方向は、焦点からイメージセンサの中央に到達するベクトルである。複数のイメージセンサの配置は、感応表面が照射方向と平行にならないようになっている。場合によっては、イメージセンサの感応表面が、関連付けられた焦点で定義された照射方向と直交していると有利なことがある。しかし、これは、例えば、各画像キャプチャに連携し、いくつかの異なる焦点を異なる複数の照射方向に有するいくつかの感応区域を感応表面が含む場合には必須ではない。
【0064】
複数の放射線照射の照射方向Djiは、2つ1組の照射方向Djiが、それらの間に少なくとも5°に等しい最小角度をなす場合、異なっている。
【0065】
複数の感応素子の単列を含む感応表面区域は、支持直線線分に沿って分布された複数の感応素子の直線配列を含むリニアイメージセンサを構成する。この定義によれば、取得装置によって別々に取得及び送信されたマトリクス感応表面に属する段又は列は、リニアイメージセンサとみなされる。同一表面のいくつかの感応表面区域は、それぞれが異なる画素の単列を含み、そのためいくつかのリニアイメージセンサを構成する。そのため、取得された線形放射線画像に関連付けられた照射方向は、焦点から始まり、画像取得時に上記支持直線線分の中央を通り抜ける方向である。
【0066】
複数の感応素子のマトリクスを含む感応表面区域は、マトリクス状に分布した複数のX線感応素子のマトリクス配列を含むマトリクスイメージセンサを構成する。
図11に示されるように、この定義によれば、より大きな感応表面Ssに属し、かつ取得装置によって別々に取得及び送信されるマトリクス感応表面区域C11、C12は、1つのマトリクスイメージセンサである。同一表面のいくつかのマトリクス感応表面区域C11、C12は、取得装置によって別々に取得及び送信され、それゆえ、それぞれ異なる放射線画像M11、M12を提供するいくつかのマトリクスイメージセンサを構成する(
図12)。マトリクス放射線画像M11、M12にそれぞれ関連付けられた照射方向D11、D12は、画像の取得時に、焦点F1から始まり、マトリクス感応表面区域C11、C12の中央を通り抜ける方向である。したがって、イメージセンサC11、C12は、時間の経過とともに連続的に活性化された非分離領域であり得る。
【0067】
もちろん、当業者は、イメージインテンシファイアあるいは、「スクリーンキャプチャカメラ」に基づくマトリクスセンサ技術を使用することができ、この技術では、シンチレータプレートが放射画像を受け取って、それを可視光線に変換し、シンチレータの背面で見える画像は、必要に応じてレンズが設けられた可視カメラで撮影される。
【0068】
本発明は、機械加工、成形、吹き込み成形、焼結、射出成形、押出し成形によって得られる複数の物体など、1つの材料で構成される複数の製造物体のシリーズに適用され、その減衰係数μは固有であり、つまりシリーズの複数の物体について検査対象領域におけるどの点でも同じ値を有し、好ましくは、時間が経過しても一定であって、同一である。例えば、鋼又はアルミニウムの鋳造工場で製造された機械部品、ガラス瓶、プラスチック梱包用容器などである。これらは通常、単一材料物体と呼ばれる物体である。ただし、本発明は、検査領域全体に渡って均一であるという意味において、減衰係数が一定であるという条件で、多材料の物体に対して実施することができる。
【0069】
材料の減衰係数μは、厳密には、波長λ又はX線のエネルギーに依存するスペクトル特性μ(λ)であることに注意すべきである。この特徴は、独自の放出されたスペクトル組成を有するX線源の範囲にまで、必ずしも考慮される訳ではなく、減衰係数μは、選択された源のスペクトルに対する材料の特徴とみなされ得る。当業者はまた、複数のビームのスペクトルの減衰又は強化を考慮に入れるための任意の方法を使用して本発明を遂行する方法を知っているであろう。
【0070】
もちろん、低振幅の減衰係数μの局所的又は時間的変動により、上記方法の実施は妨げられないが、それら変動の振幅によっては、上記設備で遂行される測定の精度にわずかな又はかなりの損失が引き起こされるかもしれない。したがって、そのようなわずかな変動は、例えば、複数の物体の組成における変動、製造方法のパラメータにおける変動、環境条件の変更、又は複数のX線源の動作における変化に起因して、検証された材料の減衰量の独自性及び不変性を考慮した上で、起こり得ると考えられる。
【0071】
空気の減衰量は材料の減衰量と比較して無視できるほどであるとみなすことができる。この場合、物体を通り抜けるX線ビームの減衰量は、一方では、放出されたX線スペクトルの一定の減衰量のみに、他方では、通過された材料の累積厚さのみに依存するであろう。あるいは、すべてのビームについて、通過された空気の厚さが大きくかつ均一であるとみなされ、そのため、それは既知とみなされ得る。空気による減衰量は、測定された減衰量の合計から差し引くことができる。そのため、任意に補正された各放射線画像における諧調は、通過された材料の累積厚さの合計にのみ直接に依存する。その結果、空気と物質との間の遷移部である境界表面を正確に特定することが可能となる。
【0072】
各物体の複数の放射線画像のデジタル分析によって、以下の説明ではデジタル幾何モデルと呼ばれる各物体の三次元デジタル幾何モデルを構築することが可能となる。任意に、このデジタル幾何モデルは、単に複数の二次元デジタル幾何モデルの積み重ねとすることができる。デジタル幾何モデルの作成とは、数学的な、図式的な及びデータ構造の用語における手法であって、この手法においては、複数の三次元物体は、コンピュータシステムのメモリ内においてデジタル形式で表現され、処理される。本発明が、放射線撮影された複数の物体と同じ数の三次元デジタル幾何モデルの特定を目的としていることを考慮されたい。
【0073】
上記モデリングは体積測定によるものとすることができる。したがって、単一材料物体は、その値が材料の量を表すボクセルによって表すことができる。ボクセルは、完全、部分的に完全、又は空に(この場合は空気である)なり得る。体積幾何モデルを分析して、物体の複数の境界を特定し、そこから長さ又は厚さなどの直線寸法を測定することができる。また、それは、表面モデルであって、つまりそこで物体の複数の境界表面をモデル化することができる表面モデルへと変換されうる。
【0074】
複数の放射線画像から直接、つまり体積モデルの計算を行うことなく表面モデルを取得することが可能である。
【0075】
表面モデリングにおいて、物体は少なくとも1つの三次元表面によって定義される。三次元表面は、物体の材料とその外部環境(通常は空気)との間の境界に対応しており、三次元表面により、物体の内部及び外部の概念を理解することが可能となる。通常、複数の三次元表面は、多角形モデリングによって、パラメータに関する曲面又は表面(円柱、円錐、球、スプラインなど)によって、又は表面の下位区分によってなど、いくつかの手法でモデル化される。多角形、例えば三角形のメッシュを使用すると、物体の複数の三次元表面は、三角形の辺で接続された小平面の組によって表される。
【0076】
三次元物体の断面とは、平面との交差部分である。複数の三次元表面の断面とは、断面平面における複数の二次元曲線である。一連の断面平面におけるこれら複数の二次元曲線の情報により、複数の三次元表面の再構築が可能となる。
【0077】
長さを測定するには、いくつかの手法がある。
【0078】
第1の体積方法では、直線、又は複数の直線を有するビームに沿って体積モデルを通り抜けて、物質/空気の境界ボクセルを特定することが可能である。
【0079】
第2の表面方法では、線分であって、その両端が直線と表面モデルの材料/空気の境界表面との交点である線分を計算することが可能である。そのアルゴリズムは、トポロジーの問題をかなりよく解決する。上記交点は固有である。最後に、混合方法は、上記体積モデルを表面モデルに変換することと、その後に、上記第2の方法を適用することとを含む。
【0080】
第3の方法は、1つ又は2つの二次元曲線の2点間の距離を、切断平面で特定することを含み、上記曲線は物質と空気の境界である。
【0081】
三次元点とは、その座標が任意の基準軸内において、三次元空間で知られる点である。
【0082】
これら3つの従来の方法は、2つの三次元点の間の距離を特定して、直線寸法の測定値を特定する方法の例である。
【0083】
本発明の目的は、単純な複数の二次元放射線画像により可能とされていた測定よりも完全な測定を遂行することである。実際、マトリクスイメージセンサを使用して、検査領域の照射に対応する二次元放射線画像を取得し、「照射平面」と呼ばれる照射方向に直交する面において寸法を測定することは容易である。同様に、リニアイメージセンサを使用して、移動方向での移動中に得られる連続する複数の画像の列の並置により取得される検査領域の扇状ビーム照射(複数の平行な平面)に対応する二次元放射線画像を取得し、移動方向に平行な照射平面における寸法を測定することは容易である。一方、本発明によれば、複数の照射平面に含まれず、複数の照射平面に平行でもない複数の方向において直線寸法を測定することができる。本発明に係る方法は、実際には、少なくとも3つの異なる照射方向における複数の放射線画像の組み合わせを処理する際に、実質的に全ての方向において寸法を再構築及び測定することを含む。これは、物体の検査対象領域に含まれる境界表面に属する空間内の複数の三次元点の特定を可能にする任意の方法によって可能である。表面若しくは体積タイプの、又は複数の断面平面に基づく、検査対象領域の三次元モデルの再構築は、あり得る方法である。実際、本発明によれば、表面若しくは体積モデルから又は複数の断面平面から間接的に、又は直接的に、少なくとも2つの三次元点、又はさらに好ましくは、複数の二次元放射線画像においてのみ測定不能な方向に分布する三次元点の群を特定することが可能となる。
【0084】
したがって、デジタル幾何モデルは、点、線分、表面、基本体積のような幾何学的要素で構成され、幾何学的要素は、デジタル幾何モデルが、理想的な物体に比べてゆがみを有する実際の物体の構造の忠実な表現であることを目的として、各要素、実際の物体上の点を通り抜けた少なくとも一部のX線の減衰量を計算することを考慮して、複数の放射線画像から計算される。換言すると、幾何学的要素の座標は、これら幾何学的要素をどの2D放射線照射においても区別することができない場合でさえも、その座標が複数の放射線照射を補正したことを考慮することによって特定される。したがって、デジタル幾何モデル上の寸法測定は、どの放射線照射においても区別することができない幾何学的要素から、モデル化された各物体の寸法の情報を与える。
【0085】
結果として、本発明に係る方法の利点は、各物体について、少なくとも2つの三次元点を含むデジタル幾何モデルを特定することを含むことであって、三次元点のそれぞれは、検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向Djiに直交せず、移動方向に平行でない平面に位置付けられている。
【0086】
もちろん、上記方法の利点は、照射方向Djiに直交しない平面における測定値を提供することだけでなく、検査領域に分布する多数の測定値を、よって複数の一対の点の間の多方向における寸法を提供することである。好ましくは、デジタル幾何モデルは、
それぞれが検査対象領域に属し、かつ照射方向Djiに直交せず、移動方向Tと平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
照射方向Djiに直交する平面に属さず、かつ移動方向Tに平行な平面に属さない複数の点を含む、検査対象領域の少なくとも1つの三次元表面、
及び/又は、照射方向Djiに直交する平面と異なり、かつ上記移動方向に平行な平面と異なる平面に沿っている、検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含む。
【0087】
推測的幾何モデルは、複数の物体のシリーズのデジタル幾何モデルであって、物体のデジタル幾何モデルを構築するための再構築ソフトウェアの初期設定として使用される。その役割は主に、計算によってモデル化される物体の形状、構造及び寸法に関する情報をコンピュータシステムに提供することである。
【0088】
これらの情報により、
複数の放射線画像から、その推測的材料の空の画像空間の複数の領域における減衰量を、そこでは減衰量はゼロと見なされるため、モデル化しないこと、
及び/又は、
複数の放射線画像から、寸法の測定が行われる複数の表面のみを、ボクセルの特定を経ることなく任意に直接モデル化すること、
及び/又は、
複数の放射線画像からモデル化された複数の表面と、複数の理論上の理想的表面との間の偏差のみを特定すること、
が可能となる。
【0089】
単一材料の物体の場合、推測的幾何モデルの知見により、推測的モデルに応じた材料を含む画像空間の複数の領域における減衰値は、物体の製造材料の減衰値として知られているので、複数の放射線画像から特定しないことも可能である。
【0090】
ただし、このモデルは物体とは無関係に知られており、非現実的な理論上の理想を表しているので、本発明によれば、推測的幾何モデルの測定値から物体の測定値は推測されないことを理解されたい。
【0091】
図面から、より具体的には
図1及び2から分かるように、本発明の目的は、高速走行で移動する複数の製造物体2の直線寸法測定を自動的に遂行するための方法の実施を可能とする設備1に関する。本発明は、変形又は製造工程の後で、複数の物体の品質、又は変形若しくは製造方法の質を制御するための、複数の製造物体の1シリーズの「インライン」制御と呼ばれる制御に関する。
【0092】
上記方法は、複数の物体2のフローの走行速度に対して動作する。理想的には、設備1は、例えば毎分600物体の生産レートで、生産物を処理する能力がある。
【0093】
ただし、計算時間は2つの物体の間の時間間隔を超えていてもよい。同様に、複数の画像及び読取りセンサの露光時間が長すぎてもよい。本発明に係る単一の設備だけで、最速のフローを処理することができない場合、それぞれが生産の一部を制御するいくつかの設備を並列に導入ことができる。そのため、本発明に係る2つ又は3つの設備によって検査される2つ又は3つの並列なフローに、生産フローを分割することが可能である。言うまでもなく、フローの数が、よって本発明に係る設備の数が少ないままである場合、本発明の経済的利益に影響が及ぶ。
【0094】
本発明は、走行する複数の物体を測定することにより、著しい改善をもたらすものであって、生産速度に適合しないヘリカルスキャン及び平面上のスキャンは避けられている。複数の焦点及び/又は複数のセンサに対する複数の物体の相対的な回転を伴うこれらの2つのモダリティは、上記設備内の複数の物体の「走行の中断」又は非常に遅い移動を引き起こすからである。
【0095】
本発明に係る方法は、各物体2について、少なくとも1つの、大まかにはいくつかの直線寸法、つまり複数の長さの測定を確保する。長さとは、例えばインチ又はメートルなど、長さの単位で表される測定値であって、製造物体の、例えば直径、厚さ、高さ、長さ、幅、深さ、距離、座標、外周など、直線寸法のすべての測定値をカバーしている。検査領域の少なくとも1つの直線測定値とは、それぞれが検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向Djiに直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの三次元点の間の距離である。
【0096】
本発明によれば、複数の物体2とは、複数の物体の1シリーズを形成し、上記寸法変動を有する物体と同一の複数の物体である。換言すると、1シリーズは、複数の物体が一致する場合、理論的に同一の複数の物体で構成される。寸法制御は、実際の複数の寸法を測定することと、これら寸法を要求される複数の寸法と比較することとを含む。推測的に、1シリーズのどの物体も、要求される複数の寸法を有する理想的な基準物体に近いが、寸法変動によってそこから外れている。
【0097】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、検査対象領域の寸法特性に対応して、物体の領域における寸法測定を遂行できるように、物体2の少なくとも1つの領域が検査対象として選択される。少なくとも直線寸法が測定される物体の領域は、X線によって検査される。そのため、検査領域は、物体全体に又はこの物体の1つ又は複数に領域に対応し得る。
【0098】
先に述べたように、1シリーズの全ての物体2が、各物体のあらゆる点で一定の減衰係数を有する材料でできている。
【0099】
本発明の一つの有利な変形例によれば、この係数はコンピュータシステムによって知られている。したがって、上記方法は、材料の減衰係数の値をコンピュータシステムに提供するための手段を提供することを含む。この値は、スペクトル、非スペクトルであり得、あるいは複数のX線源の設定に依存させることができる。上記提供は、異なる入力、通信及び複数の記憶装置によって可能である。例えば、コンピュータシステムに材料の減衰係数の値を提供するための装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースである。
【0100】
設備1はまた、すなわち変位ベクトルによって具体化された方向Tで、平らな軌道に沿って、搬送平面Pcにおいて複数の物体2を輸送するための装置5を含む。好ましくは、上記軌道は略直線であるが、曲線又は円弧であり得る。慣習的には、輸送装置5は、その上に載せられる複数の物体2の直線移動を確保するベルト又はチェーンコンベアである。そのため、同じシリーズの複数の物体2は、搬送平面内で原則的に並進運動状態にある。
図1及び2にさらに具体的に示されるように、複数の物体2の移動方向は、基準軸XYZのうち水平軸Xに沿って確立され、基準軸XYZは、水平軸Xに垂直な垂直軸Zと、垂直軸Zに垂直な横軸Yと、水平軸Xとを含み、X及びYは、搬送平面Pcに平行な平面にあり、搬送平面Pcは、必須ではないが、水平であることが好ましい。
【0101】
方向Tで並進運動が可能な、正規直交基準軸内で考慮される複数の物体の位置は、移動及び複数の放射線画像の取得中に、確定される。例えば、複数の物体は、搬送ベルト上に安定支持された状態で置かれ、任意に、容器の底部又は座席の脚などで清潔な敷設平面に置かれる。
【0102】
本発明の一つの変形例では、複数の物体2の支持部材を提供することが可能である。この場合、この支持部材は、方向Tで並進運動可能な正規直交基準軸に固定され、それはまた、方向Tで並進運動可能な正規直交基準軸に物体を固定する。第1の変形例によれば、支持部材は測定に影響を与えないように検査領域から除外されるので、複数の照射における検査領域の重ね合わせには現れない。第2の変形例によれば、その減衰係数は、複数の物体の減衰係数に対して無視できるほどであり、空気に又は減衰量ゼロに同化させることができる。第3の有利さで劣る変形例によれば、支持部材の構造及び可動な基準軸におけるその位置は、複数の物体のシリーズについて正確に知られ、かつ再現可能であり、そして、その減衰係数は正確に知られ、かつ安定しており、好ましくは複数の物体のシリーズからの複数の物体の減衰係数と同一であるので、支持部材は再構築において考慮され、物体の幾何モデルから分離される。
【0103】
複数の物体の位置が安定している場合(走行及びX線画像の取得中)、方向Tで並進運動可能な正規直交基準軸におけるその位置も、複数の物体の1シリーズの各物体について同じであることが好ましい。
【0104】
これに当てはまらない場合、本発明の一つの変形例によれば、上記設備の共通の基準軸に対して方向Tに並進運動可能な正規直交基準軸内における各物体の位置を特定するための手段を導入することが可能であり、上記位置は、検査対象領域のデジタル幾何モデルを計算するための手段によって考慮される。この予備工程は、各物体の位置を特定することと、次いで仮想基準軸において、推測的幾何モデルと複数の画像とを照合することとを含む。これは、全ての場合において、方向Tに沿って並進運動可能な正規直交基準軸における複数の物体の3Dモデルを計算することを意味する。
【0105】
図3にさらに具体的に示されるように、直線移動中に、複数の物体2は、搬送体積Vtと呼ばれる体積を生成又は通過する。平面Psは、搬送体積Vtと交差し、搬送平面Pcに直交し、移動方向Tに平行な平面である。例えば、中央平面は上記体積を2つの等しいサブ体積に分割する。平面Psは、搬送平面が概ね水平である限り、垂直平面である。
【0106】
設備1はまた、
図1及び2に示されるように、X線発生管7の少なくとも1つの焦点Fj(jは1からkまで変わる)を含み、X線発生管7は、搬送体積Vtを通り抜けるように、より具体的には、物体2の少なくとも検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成する。設備1はまた、少なくとも3つのイメージセンサCji(iは1からNまで変わり、Nは3以上である)を含み、イメージセンサCjiは、X線に感度を持ち、関連付けられた焦点Fjから得られるX線に曝されるように位置付けられており、X線は、搬送体積Vtを、より具体的には少なくとも物体2の検査対象領域を通り抜ける。もちろん、管7及び複数のイメージセンサCjiは、搬送体積Vtの外側に位置付けられるので、この体積内において複数の物体は自由な移動が可能である。慣習的に、X線発生管7及び複数のイメージセンサCjiは、X線密封容器内に置かれている。
【0107】
イメージセンサCjiに関連付けられた焦点Fjから得られるX線ビームは、少なくとも検査領域を通り抜け、イメージセンサ上に、検査領域の放射線照射を照射方向Djiで形成する(
図1及び2)。照射方向Djiは、焦点Fjを出て、イメージセンサCjiの中心Mjiを通り抜けるベクトルの指向方向である。焦点又は複数の焦点Fj及び複数のイメージセンサCjiは、各イメージセンサが、検査対象領域の1つの照射方向における検査対象領域の放射線照射を受け取るように配置される。
【0108】
設備1はまた、移動中の各物体2について、互いに異なる方向を有する検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射を取得するために、複数のイメージセンサCjiに接続された取得システムを含む。得られる放射線画像に関連付けられた照射方向は、画像の取得時に、焦点から始まりイメージセンサの感応表面区域の中央を通り抜ける方向であることを想起されたい。そのため、少なくとも3つの放射線照射は、2つ1組でそれらの間に角度をなす複数の照射方向を有する。
【0109】
取得システムは、図示されていないが、それ自体公知の全てのタイプのコンピュータシステムに接続される。一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、複数のイメージセンサCjiを使用して、移動中のシリーズの各物体について、異なる複数の照射方向における検査対象領域の特定された数の放射線照射から生じる複数の放射線画像を記録する。通常、異なる照射方向Djiの数は、3から40、好ましくは4から15である。一つの有利な変形実施形態によれば、設備1は、3から40のイメージセンサCjiを含む。一つの好ましい変形実施形態によれば、設備1は、4から15のイメージセンサCjiを含む。
【0110】
以下の記載で詳細に説明するように、コンピュータシステムは、各物体について、異なる複数の方向の少なくとも3つの放射線照射から得られる少なくとも3つの放射線画像を分析して、各物体について、検査対象領域のデジタル幾何モデルを構築するようにプログラムされている。このデジタル幾何モデルは、任意の適切な方式で作成することができる。そのため、デジタル幾何モデルは、それぞれが物体の検査対象領域の境界表面に属し、かつ照射方向Djiに直交せず、移動方向Tと平行でない平面に位置付けられている、少なくとも2つの三次元点によって構成され得る。上記少なくとも2つの点は、例えば厚さ又は空隙を測定するために、2つの異なる境界平面に属し得る。
【0111】
デジタル幾何モデルはまた、照射方向Djiに直交する平面と異なり、かつ移動方向Tに平行な平面と異なる平面に沿っている、検査対象領域の断面を含み得る。さらに、デジタル幾何モデルは、照射方向Djiに直交する平面と異なり、移動方向Tに平行な平面と異なる、検査対象領域の少なくとも1つの三次元表面を含み得る。
【0112】
もちろん、本発明により、多数の三次元点、三次元点の群又は複雑な複数の三次元表面を有するデジタル幾何モデルを構築することが可能となる。
【0113】
本発明によれば、デジタル幾何モデルは、シリーズの複数の物体の材料の減衰係数と、複数の物体のシリーズについての検査対象領域の推測的幾何モデルとを使用して、構築される。換言すると、コンピュータシステムは、各物体のデジタル幾何モデルを、一方では、複数の物体の材料の減衰係数を、他方では、複数の物体のシリーズについての検査対象領域の推測的幾何モデルを、構築するために使用される。
【0114】
そのため、コンピュータシステムは、この計算操作のために、検査されている複数の物体の材料の減衰係数を考慮に入れる。有利には、設備1は、コンピュータシステムに1シリーズの複数の物体の材料の減衰係数を提供するための装置を含む。
【0115】
この提供装置は、大容量メモリ、マンマシンインターフェースによって、又は有線若しくは無線のコンピュータネットワークによって作られ得る。
【0116】
同様に、コンピュータシステムは、この計算操作を実行するための検査対象領域の推測的幾何モデルを有している。そのため、設備1は、コンピュータシステムに複数の物体のシリーズについて、検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置を含んでいる。
【0117】
コンピュータシステムに検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースである。
【0118】
定義部分で述べたように、推測的幾何モデルは、複数の物体のシリーズのデジタルモデルであって、再構築ソフトウェアの初期設定として使用される。
【0119】
推測的幾何モデル及び検査された複数の物体の単一材料特性の知見がないと、3D空間における各点でその減衰量を計算する必要があるため、再構築の計算には非常に費用がかかる。そのため、本発明は、非常に短時間でかつ低費用で、良好な精度でもって複数の物体の直線寸法の測定を遂行することを可能とする。
【0120】
本発明の第1の変形例によれば、推測的幾何モデルは、物体の設計(三次元CAD)中に作成されたシリーズの複数の物体のコンピュータ設計のデジタルモデルによって取得される。この場合、生産で測定可能な物体の種々のシリーズに対応するいくつかのCADモデルを含むデータベースへのコンピュータネットワークを介した接続などの種々の可能な手段によるコンピュータシステムに、上記設備等の内部のデータベースにおけるオペレータによる選択が提供される。
【0121】
本発明の第2の変形例によれば、推測的幾何モデルは、同じシリーズの1つ又は複数の物体の測定から構築されたデジタル幾何モデルから、本発明と比較した場合の遅さが想起される測定装置、例えばプローブ又は体軸断層撮影装置による測定機によって取得される。推測的幾何モデルは、同じシリーズのいくつかの製造物体の測定値を統合することによって構築することができる。
【0122】
本発明の第3の変形例によれば、推測的幾何モデルは、入力値から、及び/又はコンピュータシステムのマンマシンインターフェースでオペレータによって選択された図面及び/又は形状から、上記コンピュータシステムによって生成されたデジタル幾何モデルである。
【0123】
例えば、ねじ穴を有するM13規格の外側六角ナットについていえば、推測的幾何モデルを提供するには、以下の方法で十分である。オペレータは、キーボードで平らな部分の数及び高さ、直径、並びにねじピッチを入力し、上記システムは複数のメトリック規格ナットを検査するように構成されている。追加の正確な寸法は示されない。別の例において、ポリエチレン容器の検査の場合、オペレータは、物体が下部で閉じた円筒であり、その上に円錐があるという情報として、コンピュータシステムが検査される物体の推測的幾何モデルを知るのに十分な2つの直径、2つの高さ及び1つの厚さだけを与える。別の例によれば、コンピュータシステムは、そのインターフェースを介して、推測的モデルの技術的記述を、より大きな物体による検査対象領域の一部となる表面に存在する様々な穴部の数、直径、深さ及び位置として、受け取ることができる。上記記述は、例えば、コンピュータシステムが、それを記述することを可能にする表面の数及び全体的な外観、空洞の数、多面体の面又は側面の数を受け取る場合、幾何学的であり得る。要約すると、推測的幾何モデルは、コンピュータシステムに物体の3D構造について知らせるために、十分な技術的、幾何学的、位相的及び/又はデジタルの情報を少なくとも含んでいなければならず、この情報の詳細度及び精度は、複数の直線測定について所望の精度を損なうことなく、非常に低くなり得ることを理解されたい。
【0124】
コンピュータシステムは、シリーズの物体に対応する検査対象領域のデジタル幾何モデルから、シリーズの各物体について、照射方向に直交しない平面に含まれる方向における検査対象領域の少なくとも1つの直線測定値を特定する。
【0125】
本発明によれば、1つの、大まかにはいくつかの寸法が複数の物体2上で制御される。大まかには、複数の物体について得られる複数の測定値を、要求される複数の値、例えば品質部門により定義される複数の値と比較することが目的である。これら寸法測定値、又は要求される値からのこれら測定値の偏差は、表示、保存などができる。これらはまた、自動的に分類され得る複数の物体について適合性を判断するために使用することができる。
【0126】
上記測定値は、各物体について確立された検査領域のデジタル幾何モデルの測定値から取得できる。例えば、検査領域は穴部を含み得る。デジタル幾何モデルでは、デジタル幾何モデル上で径方向に対向する表面要素間の距離を計算することによって、穴部の直径又は深さの測定値を特定することが可能である。物体は単一材料であるので、複数の表面要素の位置の特定は正確である。
【0127】
穴部の径又は深さの測定値を特定するための別の手段は、検査領域のデジタル幾何モデルを、基準又は理論上の幾何モデルと比較することである。
【0128】
幾何基準モデルは、検査された複数の物体のシリーズからの理想的モデルである。寸法制御を実行するために、検査領域のデジタル幾何モデルは、複数のモデルの照合と、その後の複数のモデル間の偏差の測定とを含むアルゴリズムによって、幾何基準モデルと比較され得る。幾何基準モデルは、上記CADから取得することができる。
【0129】
そのため、検査領域のデジタル幾何モデルを幾何基準モデルと照合する操作を進め、次に、上記基準モデルに属する複数の表面要素と、デジタル幾何モデルに属する複数の表面要素との間の距離を測定することによって、寸法偏差を特定することが可能である。穴部の測定の例では、穴部の内側のモデル化された表面に内接する最大径を持つ円筒と、同様に、上記内側のモデル化された表面を含む最小径を持つ円筒とを仮想的に配置し、そして、検査領域における穴部の直径の複数の測定値として、内接した円筒及び外接した円筒の1つ及び/又はその他の直径を考慮することが可能である。
【0130】
本発明の一つの変形例によれば、幾何基準モデルと推測的幾何モデルは、同じ幾何モデルである。
【0131】
本発明の別の変形例によれば、推測的幾何モデルは、幾何基準モデルよりも精度が低く、完全性が低く、及び/又は幾何基準モデルとは異なる。
【0132】
そのような測定を進めるために、上記設備は、有利には、コンピュータシステムに複数の直線寸法の値、及び/又はこれら寸法の公差、及び/又は幾何基準モデルを提供するための装置を含む。
【0133】
有利な一つの実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域の複数のリニア測定の値及び/又は複数の基準値からの寸法偏差、及び/又は検査領域のデジタル幾何モデルと基準幾何モデルとの間の偏差を表示するための装置に接続されている。例えば、ナットの場合、ねじ深さ、平均ねじピッチ、平均ねじ底半径、高さ、最小又は最大内径、1つ又は複数のその外面の平面度など、複数の測定値が表示される。プラスチック容器の場合、上記システムは、総高を、そして、例えばチェックされる寸法の設定によって予め定義された高さでの円柱部分の最小径及び最大径を、表示するであろう。複数の寸法は、それらが規格にしたがっているかどうかに応じて、異なる色で表示され得る。
【0134】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域のリニア測定の値に応じて複数の物体を分類するための装置に接続されている。そのため、この分類装置は、測定された複数の直線寸法を考慮して、欠陥があると考えられる物体を輸送装置から取り出すことができる。
【0135】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域のリニア測定の値に応じて複数の物体を印付けするための装置に接続されている。この印付け装置は、例えば、物体の測定された複数の直線寸法又はその適合性又は欠陥状態を記録することができる。
【0136】
上記設備の固定された基準軸X、Y、Zにおける複数の焦点Fjと複数のセンサCjiとの相対位置は、コンピュータシステムに知られている。この位置は、仮定によって又は校正によって取得することができる。校正は、例えば、正確に機械加工されたゲージを上記設備に配置又は搬送することを含む。
【0137】
もちろん、複数の焦点Fjと複数のイメージセンサCjiとの相対位置は様々であるが、複数の焦点Fj及び複数のイメージセンサCjiは、搬送体積Vtの外側に配置されることを想起されたい。
【0138】
一つの変形実施形態によれば、設備1は、搬送体積Vtの一方の側に沿って配置された単一焦点Fj=F1と、焦点F1から発せられ、かつ検査対象領域を通り抜けたX線を受け取るために搬送体積Vtの反対側に沿って配置された一連のイメージセンサCji=C1i=C11、C12、C13、…とを含む。この例では、上記焦点は、少なくとも、例えば
図1の平面X、Yのような任意の平面で測定される開きOfを有しており、開きOfは、120°に等しいかそれよりも大きい。上記設備が、上記焦点と上記体積Vtとの間に、又は上記体積Vtと上記複数のイメージセンサとの間に、広がりを減らす目的でビームを有効なビームのみに制限するための複数のスクリーンを備える場合、この開きOfは、上記焦点の出口にあるとみなされる。
【0139】
別の変形実施形態によれば、X線を生成するための少なくとも2つの焦点Fj(F1及びF2)は、2つの異なる位置に別々に配置され、X線に感度を持つ少なくとも3つのイメージセンサCjiは、各焦点が少なくとも1つのイメージセンサCjiに関連付けられ、かつ各イメージセンサCjiが1つの焦点に関連付けられ、そして上記焦点から得られるとともに検査対象領域を通り抜けるX線を受け取るように置かれる。この例では、2つの焦点の開きの合計が120°以上になるように、各焦点は60°以上の開きを有する。
【0140】
図4から6に示される例示的実施形態では、設備1は、それぞれが別個の発生管7に関連付けられた3つの焦点F1、F2、F3を含む。設備1はまた、第1の関連付けられた焦点F1から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、第2の関連付けられた焦点F2からのX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25と、第3の関連付けられた焦点F3からのX線にそれぞれ感度を持つ3つのイメージセンサC31、C32、C33とを含む。
【0141】
この例示的実施形態によれば、発散X線ビームが得られる少なくとも1つの焦点(この例では、焦点F1及びF2)は、そのビームが交差平面Ps及び検査対象領域を通り抜けるように、交差平面Psの一方の側に配置される一方で、焦点Fjから得られるX線を受け取るために、焦点Fjと関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCjiは、交差平面Psに対して反対側に配置される。(この例において、それらは、関連付けられた焦点F1から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、関連付けられた焦点F2から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25である。)
【0142】
図4から6に示される一つの有利な変形実施形態によれば、発散X線ビームが得られる焦点Fjは、そのビームが搬送平面Pcを通り抜けるように搬送平面Pcの一方の側に配置される一方で、上記焦点から得られるX線を受け取るために、焦点Fjに関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに対して反対側に配置される。図示された例では、焦点F3が搬送平面Pcの上方に配置されている一方で、3つのイメージセンサC31、C32、C33は搬送平面Pcの下方に配置されている。もちろん、上記焦点と上記複数のイメージセンサの間の位置は、搬送平面に対して逆にすることができる。
【0143】
一つの有利な変形実施形態によれば、複数の焦点Fjの少なくとも1つが、搬送平面Pcに配置される。好ましくは、これら複数の焦点は、交差平面Psに対して反対側に位置付けられた複数の関連付けられたイメージセンサと連携している。したがって、平らなコンベヤ上に配置された複数の物体を輸送する場合、この配置により、複数の放射線画像において、複数の物体の複数の照射が、コンベヤの照射に重複しないようにすることが可能となる。そのため、複数の物体のデジタル幾何モデルにおいて、物体がコンベヤと接触する部分を正確に特定することができる。
【0144】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、複数のイメージセンサCji及び複数の焦点の配置は、焦点又は複数の焦点Fjから得られるとともに複数のイメージセンサCjiに到達するX線が、一度に1つの検査対象領域だけを通り抜けるようになっている。換言すると、X線は、一度に1つの物体だけを通り抜ける。上記設備は、連続して走行する複数の物体間の間隔を制御するためのシステムを含んでいてもよいことに注意すべきである。
【0145】
本発明の目的の一つは、迅速であるだけでなく、安価であって、寸法制御に要求される精度で計算することが可能な方法を得ることである。本発明は、再構築のために必要とされる画像の数を、所望の寸法精度を達成することを可能にする最小の数まで減らすことを意図している。例えば、本発明により、検査領域の9つの照射及び限られた数の画像を用いて、+/-0.05mmで円筒の内径を測定することが可能である。有利には、本発明に係る設備は、1つから4つの焦点Fj、好ましくは1つ又は2つの焦点Fjと、好ましくは4つから15のイメージセンサCjiとを含む。
【0146】
本発明によれば、少なくとも3つの照射方向の組み合わせにより、検査領域のデジタル幾何モデルの特定が最適化されるように、複数の物体の循環のために通過された体積Vtを空けておく必要があることを考慮して、複数のイメージセンサ及び焦点又は複数の焦点を配置する必要がある。
【0147】
以下の規則は、本発明の文脈において有利に実行されるものであって、これら規則は、リニア又はマトリクスイメージセンサに有効である。
【0148】
以下において、角度は絶対値である。
図7及び8は、ベクトルでもある2つの照射方向Dji及びD’jiを示している。これらの図は、これら2つの照射方向の間の角度r、すなわち
【数1】
と、角度rに相補的な角度sとを示しており、すなわちs=180°-rである。定義によって、2つの異なる照射方向Dji及びD’jiの間の有効角度αは、角度r及びsの最小値であり、すなわちα=Min(r,s)である。そのため、有効角度αは、照射方向Dji、D’jiを伝える2つの直線によって形成され、かつ検査領域における任意の点に戻される複数の角度のうちの最小値である。
【0149】
本発明の一つの有利な変形例によれば、その間に45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αが形成される2つの異なる方向Dji及びD’jiにおいて、各物体について、2つの放射線照射から得られる少なくとも2つの画像が取得される。一つの有利な変形実施形態によれば、その間に60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αがなされる2つの異なる方向において、各物体について、2つの放射線照射から得られる少なくとも2つの画像が取得される。
【0150】
この目的のために、本発明に係る設備1は、少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサを含み、これらが受け取る検査領域の複数の照射方向が、その間に45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の、有利には60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αを有するように配置される。
【0151】
例えば、
図4に示されるように、方向D15とD11との間、及び方向D13とD25との間の有効角度αは、45°より大きい。言うまでもなく、少なくとも1つの有効角度は45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満であり、有利には、少なくとも1つの有効角度は60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満あり、2つの方向Dji、D’jiの間の他の複数の有効角度は任意であることを理解されたい。この規則に基づいて、当業者は、検査領域の複数の照射方向の可能な限り完全な分布を提供する配置を見つけることができるであろう。
【0152】
別の有利な特徴によれば、各物体について、コンピュータシステムは、移動方向Tと特定の開き角度βをなす照射方向に対応する検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得する。
【0153】
図9及び10に示されるように、照射方向(ベクトルDji)と複数の物体の軌道(ベクトルT)との間の角度pが考慮されるところ、角度p=(Dji,T)であり、つまり
図9に示される例においてp=(D11,T)かつp=(D12,T)であり、
図10に示される例においてp=(D22,T)かつp=(D11,T)である。角度pに相補的な角度qは、q=180°-pであるようになっている。定義により、照射方向Djiと軌道Tとの間の開き角度βは、角度p及びqの最小値であり、すなわちβ=Min(p,q)である。そのため、開き角度βは、2つの直線によって形成され、かつ検査領域における任意の点に戻される複数の角度のうちの最小値であって、上記2つの直線は、一方が照射方向Djiを伝え、他方が軌道Tを伝える。
【0154】
別の有利な特徴によれば、各物体について、コンピュータシステムは、移動方向Tと10°から60°の間の開き角度βを有する照射方向Djiに対応する検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得する。換言すると、本発明に係る設備は、物体が複数のイメージセンサの被写界を通過するとき、イメージセンサCji上の検査領域の照射方向Djiが、移動方向Tと10°から60°の間の開き角度βをなすように配置される少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサCjiを含む。
【0155】
換言すると、設備1の構成は、複数の物体に適応した通過された体積Vt及び再構築の良好な質を維持しながら、移動方向において自身のサイズを低減するように最適化されている。
【0156】
通過された体積Vtのせいで、上記設備は移動方向Tの周囲に照射を生成しない。通過された体積Vtは最小のベータ角を与える。本発明によれば、βmin=10°である。10°未満の角度βの照射を提供するように配置されたセンサはない。
【0157】
以上のことから、本発明によれば、各物体についての照射角の分布が均一ではないということが推測されなければならない。
【0158】
図9に示されるように、照射角の分布には、盲点領域と呼ばれる2×10°又は20°の隔たりがあり、180°に渡って完全にカバーしているのではない。
【0159】
例えば、
図9に示されるように、本発明に係る設備は、少なくとも1つの焦点F1及び2つのイメージセンサC11、C12を含み、照射方向D11、D12は、移動方向Tとの角度であって、角度p及びqにそれぞれ対応する10°から60°の間の開き角度βで定義される。
図10に示される例では、上記設備は少なくとも、焦点F1に関連付けられたイメージセンサC11と、焦点F2に関連付けられたイメージセンサC22とを含む。照射方向D11、D22は、10°から60°の間の、角度pに対応する開き角度βを定義する。同様に、
図4に示される設備は、焦点F1及び照射方向D22に関連付けられたイメージセンサC11を含み、照射方向D22は、移動方向Tに対して、10°から60°の間の角度βをなす。
【0160】
複数のイメージセンサCjiは、マトリクス又はリニアタイプである。
【0161】
一つの好ましい変形実施形態によれば、設備1は複数のリニアイメージセンサを含む。この好ましい変形例によれば、各イメージセンサCjiは、関連付けられた焦点Fjと、照射方向Djiを含む照射平面Pjiとで定義される支持直線Ljiに沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含む(
図2)。これらイメージセンサCjiは、各イメージセンサの少なくともm個の感応素子が、関連付けられた焦点Fjから得られるX線ビームによって、検査対象領域の放射線照射を、互いに異なりかつ搬送平面Pcに平行でない、個々のイメージセンサについての複数の照射平面Pjiで受け取るように配置されている。各リニアイメージセンサの感応素子の数mは、128より大きく、好ましくは512より大きい。隣接する感応素子間の距離(「ピッチ」と呼ばれる)及び/又は感応素子の寸法は、好ましくは800μmよりも小さい。画像の列の読み取り周波数は、好ましくは100Hzよりも大きく、有利には1kHzよりも大きい。もちろん、これらパラメータは、物体のサイズ、所望の精度及び走行速度に応じて調整される。
【0162】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニアイメージセンサCjiは、互いに平行な自身の支持直線Ljiを有する。
【0163】
別の有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニアイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに直交する自身の支持直線Ljiを有する。
【0164】
一つの変形例によれば、焦点Fjは、そのビームが検査領域を、次に搬送平面Pcを通り抜けるように配置される。加えて、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに対して焦点Fjの反対側に、そして、その支持直線Ljiが搬送平面Pcと平行になるように配置される。
【0165】
複数のリニアイメージセンサを用いたこれらの変形実施形態によれば、取得システムは、少なくとも3つのイメージセンサCjiのそれぞれを使用して、軌道上の各物体の各増分変位で、各物体について検査対象領域全体が全ての線形放射線画像において完全に表されるように選択された数に従って検査対象領域の複数の放射線線形画像を取得する。そのため、物体の移動中に、各イメージセンサは、物体の検査対象領域全体がイメージセンサから得られる全ての線形放射線画像において完全に表されるように、複数の線形放射線画像を取得することができる。そのため、各物体について、検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3組が得られ、これらはその後分析される。検査領域の複数のマトリクス放射線画像は、複数の線形放射線画像の複数の組を並置することにより作成することができる。ただし、幾何モデルの再構築及び測定は、必ずしもそれを強いるものではない。
【0166】
通過された体積Vtを考慮に入れると、移動方向Tの両側に位置付けられた盲点領域(β<±10°)において放射線照射が得られないことに注意すべきである。本発明に係る方法により、この角度間隔における放射線照射がないにもかかわらず、推測的幾何モデルのおかげで、単一材料の物体の正確かつ完全なデジタル幾何モデルを再構築することが可能となる。そのため、デジタル幾何モデル全体に渡って、特に、あり得る複数の照射方向に直交しない複数の方向に沿って、直線寸法の測定を実行することが可能となり、直線寸法の測定には、移動方向Tの両側に位置付けられた盲点領域に対応する欠落した複数の照射の方向に直交する複数の測定方向における直線寸法の測定が含まれる。実際、本発明に係る方法を用いずに、例えば従来の「完全な」体軸断層撮影を対象とした方法を用いると、盲点領域の複数の方向において放射線照射が得られない場合、再構築されたモデルもまた盲点領域に直交する角度セクタにおいて再構築エラーを有し、これにより、表面を正確に特定することが不可能になり、したがって、単一材料の物体の直線寸法の測定が不可能になる。
【0167】
そのため、
図11及び12に示されるように、本発明によれば、例えば、20°(βmin=10°)に等しい盲点での照射は不可能である。従来技術によれば、複数の照射方向のいずれにも直交しない方向Aでは正確な測定を行うことができなかった。方向Aは、少なくとも10°の複数の照射方向のいずれの直交方向にも近くない。本発明によれば、複数の物体のシリーズの複数の推測的モデルからの、及び一定であり均一な減衰量からの再構成のおかげで、方向Aにおける内径の測定値(距離a1)、及び方向Aに垂直な2つの外側の平らな部分の間の距離(距離a2)の測定は、偏りがなく正確である。換言すると、検査対象領域の幾何モデルには、方向Aにおける境界の欠落又はぼやけがない。
【0168】
もちろん、焦点の数、各焦点に関連付けられたイメージセンサの数、及びそれらの相対的な配置は、所望の測定精度、物体の形状、及びコンベヤ上のそれらの間隔に応じて、任意の適切な方式で選択される。
【0169】
工業的な大量生産では、いくつかのシリーズが同時に同じ製造又は制御ライン上に存在する場合があることに注意すべきである。この場合、上記設備は、本発明の方法を同じシリーズの全ての物体に実施するために、複数の物体それぞれが属するシリーズをコンピュータシステムに示すためのシステムを含む。実際、本発明に係る設備は、いくつかの異なるシリーズ、例えば第1のシリーズ及び第2のシリーズから構成される複数の製造物体のフローを検査するために使用され得る。上記シリーズは、単一材料の物体の形状によって、特定の減衰係数によって、又はその両方によって異なり得る。この場合、上記設備には、複数の物体の各シリーズの推測的幾何モデル、複数の物体の各シリーズの減衰係数を、コンピュータシステムに提供するための手段が設けられる必要があり、コンピュータシステムには、各物体の複数の放射線画像を、それが属するシリーズに関連付けるための手段が設けられる必要がある。