(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】アレイ基板及びその製造方法、並びに表示装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1172 20160101AFI20230801BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230801BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230801BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61B5/1172
G09F9/00 342
G09F9/00 366G
G09F9/00 347A
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 336
G02F1/1368
(21)【出願番号】P 2020526494
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2019085973
(87)【国際公開番号】W WO2020015440
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】201810803078.5
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲海▼旭
(72)【発明者】
【氏名】曹 占▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】汪 建国
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085114(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03168774(EP,A1)
【文献】特開2018-005910(JP,A)
【文献】特開2008-293136(JP,A)
【文献】特開2003-207306(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106129069(CN,A)
【文献】国際公開第2010/047227(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
G09F 9/00
G09F 9/30-9/46
G02F 1/136-1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板の第1の側に設置され、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換するように配置される複数の検知素子と、
前記ベース基板の第1の側に対向する第2の側に設置される複数のスイッチングデバイスと、
を含み、
前記複数のスイッチングデバイスは、前記電気信号を伝送するように1つの検知素子にそれぞれ電気的に接続される複数の第1のスイッチング素子を含む
アレイ基板であって、
各検知素子は、第1の電極と、第2の電極と、センシング層とを含み、前記センシング層は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設置され、前記第1の電極は、前記第1のスイッチング素子に電気的に接続され、前記第2の電極は、基準電位を受信し、
前記アレイ基板は、第1の領域及び第1の領域の周辺に位置する第2の領域を含む表示領域を含み、前記検知素子及び前記第1のスイッチング素子は、前記第1の領域内に位置しており、
前記複数のスイッチングデバイスは、第2の領域内に位置する第2のスイッチング素子をさらに含み、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子はそれぞれ薄膜トランジスタを含み、前記検知素子の第1の電極は、第1のスイッチング素子のソースまたはドレインに電気的に接続され、
前記第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子のそれぞれのゲートは、第1の時間帯において、表示領域内の画素を駆動するように第1の制御信号を受信し、前記第1のスイッチング素子のゲートは、第2の時間帯において、前記電気信号の伝送を実現するように第2の制御信号を受信する
ことを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
前記ベース基板は、複数のビアホールを含み、各検知素子の第1の電極は、1つの前記ビアホールを介して1つの前記第1のスイッチング素子に電気的に接続され、各ビアホールの直径、及び隣接するビアホール間のピッチは、指の指紋の紋線距離以下である
ことを特徴とする請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、前記金属リードは、前記アレイ基板から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続される
ことを特徴とする請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記ベース基板の第2の側に位置し、前記スイッチングデバイスに電気的に接続されたエレクトロ有機発光素子をさらに含み、
前記ベース基板における前記センシング層の正射影と、前記ベース基板における前記第1のスイッチング素子および前記エレクトロ有機発光素子の非透光領域の正射影とは、重ならない
ことを特徴とする請求項
3に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記ベース基板における前記センシング層の正射影と、前記ベース基板における前記第1のスイッチング素子の正射影とは、少なくとも部分的に重なる
ことを特徴とする請求項
3に記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記センシング層は、感光性材料または感音性材料を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項7】
前記検知素子は、検知素子の第1の電極、第2の電極およびセンシング層を覆う媒介層を含む
ことを特徴とする請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項8】
前記検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、前記センシング層は、感光性材料を含み、検知素子が指紋識別を行わない状態で、受信した光を電気信号に変換するように構成され、前記金属リードは、前記アレイ基板から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続して、当該電気信号をエネルギー貯蔵素子に伝送する
ことを特徴とする請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項9】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアレイ基板を含む
ことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記検知素子は、音波信号を電気信号に変換する音波センサーであり、前記表示装置は、音波を発生させる音波発生器をさらに含む
ことを特徴とする請求項
9に記載の表示装置。
【請求項11】
充電可能な電池をさらに含み、前記検知素子は、前記充電可能な電池にさらに電気的に接続される
ことを特徴とする請求項
9に記載の表示装置。
【請求項12】
充電可能な電池をさらに含み、前記アレイ基板は、前記検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、前記センシング層は、感光性材料を含み、検知素子が指紋識別を行わない状態で、受信した光を電気信号に変換するように構成され、前記金属リードは、前記充電可能な電池に電気的に接続して、当該電気信号を前記充電可能な電池に伝送する
ことを特徴とする請求項
9に記載の表示装置。
【請求項13】
ベース基板を提供する段階と、
前記ベース基板の第1の側に、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換するように配置される複数の検知素子を形成する段階と、
前記ベース基板の第1の側に対向する第2の側に、複数のスイッチングデバイスが形成される段階と、を含み、
前記複数のスイッチングデバイスは、前記電気信号を伝送するように1つの検知素子にそれぞれ電気的に接続される複数の第1のスイッチング素子を含む
アレイ基板の製造方法であって、
各検知素子は、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に位置するセンシング層を含み、
前記アレイ基板の製造方法は、
前記ベース基板に複数のビアホールが形成される段階をさらに含み、
各検知素子の第1の電極は、1つの前記ビアホールを介して前記第1のスイッチング素子に電気的に接続され、
前記アレイ基板は、第1の領域と、第1の領域の周辺に位置する第2の領域とを含む表示領域を含み、前記検知素子及び前記第1のスイッチング素子は、前記第1の領域内に位置しており、
前記複数のスイッチングデバイスは、第2の領域内に位置する第2のスイッチング素子をさらに含み、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子は、それぞれ薄膜トランジスタを含み、前記検知素子の第1の電極は、第1のスイッチング素子のソースまたはドレインに電気的に接続され、
前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のそれぞれのゲートは、第1の時間帯において、表示領域内の画素を駆動するように第1の制御信号を受信し、前記第1のスイッチング素子のゲートは、第2の時間帯において、前記電気信号の伝送を実現するように第2の制御信号を受信する
ことを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【請求項14】
ベース基板の第1の側に、検知素子の第1の電極、第2の電極、およびセンシング層を覆う媒介層が形成される段階をさらに含む
ことを特徴とする請求項
13に記載のアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年7月20日に中国特許庁に出願された、出願番号201810803078.5の中国特許出願の優先権を主張し、当該出願の開示全体を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実施例は、アレイ基板、その製造方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイやエレクトロ有機発光ダイオードディスプレイ等の表示装置は、通常、指紋識別機能を有している。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例は、アレイ基板及びその製造方法、並びに当該アレイ基板を含む表示装置を提供する。アレイ基板は、ベース基板と、前記ベース基板の第1の側に配置され、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換する複数の検知素子と、前記ベース基板の第1の側に対向する第2の側に配置された複数のスイッチングデバイスと、を有する。スイッチングデバイスは、前記電気信号を伝送するように1つの検知素子にそれぞれ電気的に接続された複数の第1のスイッチング素子を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、各検知素子は、第1の電極と、第2の電極と、センシング層とを含み、センシング層は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、第1の電極は、前記第1のスイッチング素子に電気的に接続され、第2の電極は、基準電位を受信する。
【0006】
いくつかの実施例では、センシング層は、感光性材料または感音性材料を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、ベース基板は、複数のビアホールを含み、各検知素子の第1の電極は、1つのビアホールを介して1つの第1のスイッチング素子に電気的に接続され、各ビアホールの直径、及び隣接するビアホール間のピッチは、それぞれ、指の指紋の線間距離以下である。
【0008】
いくつかの実施例では、アレイ基板は、第1の領域及び第1の領域の周辺に位置する第2の領域を含む表示領域を含み、検知素子及び第1のスイッチング素子は、第1の領域内に位置している。
【0009】
いくつかの実施例では、スイッチングデバイスは、第2の領域内に位置する第2のスイッチング素子をさらに含み、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子はそれぞれ薄膜トランジスタを含み、前記検知素子の第1の電極は、第1のスイッチング素子のソースまたはドレインに電気的に接続される。第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子のそれぞれのゲートは、第1の時間帯において、表示領域内の画素を駆動するように第1の制御信号を受信し、前記第1のスイッチング素子のゲートは、第2の時間帯において、前記電気信号の伝送を実現するように第2の制御信号を受信する。
【0010】
いくつかの実施例では、アレイ基板は、検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、金属リードは、アレイ基板から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続される。
【0011】
いくつかの実施例では、アレイ基板は、ベース基板の第2の側に配置され、スイッチングデバイスに電気的に接続されたエレクトロ有機発光素子をさらに含む。前記ベース基板におけるセンシング層の正射影と、前記ベース基板における第1のスイッチング素子およびエレクトロ有機発光素子の非透光領域の正射影とは、重ならない。
【0012】
いくつかの実施例では、前記ベース基板におけるセンシング層の正射影と、ベース基板における第1のスイッチング素子の正射影とは、少なくとも部分的に重なる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記検知素子は、検知素子の第1の電極、第2の電極およびセンシング層を覆う媒介層を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記アレイ基板は、前記検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、前記センシング層は、感光性材料を含み、検知素子が指紋識別を行わない状態で、受信した光を電気信号に変換するように構成され、前記金属リードは、前記アレイ基板から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続して、前記電気信号をエネルギー貯蔵素子に伝送する。
【0015】
本開示の別の実施例は、前記実施例のいずれか1つに記載のアレイ基板を含む表示装置を提供する。
【0016】
いくつかの実施例では、検知素子は、音波信号を電気信号に変換する音波センサーであり、表示装置は、音波を発生させる音波発生器をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施例では、表示装置は、さらに、検知素子がさらに電気的に接続される充電可能なバッテリを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、前記表示装置は、充電可能なバッテリをさらに含み、前記アレイ基板は、前記検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、前記センシング層は、感光性材料を含み、検知素子が指紋識別を行わない状態で、受信した光を電気信号に変換するように構成され、前記金属リードは、前記充電可能な電池に電気的に接続して、当該電気信号を前記充電可能な電池に伝送する。
【0019】
本開示のさらなる実施例は、アレイ基板の製造方法を提供しており、ベース基板を提供する段階と、前記ベース基板の第1の側に、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換するように配置される複数の検知素子を形成する段階と、前記ベース基板の第1の側に対向する第2の側に、前記電気信号を伝送するように1つの検知素子に電気的に接続された複数の第1のスイッチング素子を含む複数のスイッチングデバイスを形成する段階と、を備える。
【0020】
いくつかの実施例では、各検知素子は、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に位置するセンシング層を含み、アレイ基板の製造方法は、ベース基板に複数のビアホールを形成する段階をさらに含み、各検知素子の第1の電極が1つビアホールを介して前記第1のスイッチング素子に電気的に接続される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記方法は、ベース基板の第1の側に、検知素子の第1の電極、第2の電極、およびセンシング層を覆う媒介層が形成されることをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施例では、前記アレイ基板は、第1の領域と、第1の領域の周辺に位置する第2の領域とを含む表示領域を含み、前記検知素子及び前記第1のスイッチング素子は、前記第1の領域内に位置している。
【0023】
いくつかの実施例において、前記複数のスイッチングデバイスは、第2の領域内に位置する第2のスイッチング素子をさらに含み、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子は、それぞれ薄膜トランジスタを含み、前記検知素子の第1の電極は、第1のスイッチング素子のソースまたはドレインに電気的に接続され、前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のそれぞれのゲートは、第1の時間帯において、表示領域内の画素を駆動するように第1の制御信号を受信し、第1のスイッチング素子のゲートは、第2の時間帯において、前記電気信号の伝送を実現するように第2の制御信号を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例を説明するために必要な図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施例にのみ関連しており、本願の保護範囲を制限するものではない。
【0025】
【
図1】
図1は、本開示の実施例によるアレイ基板の一部の構造ブロック図を概略的に示している。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例によるアレイ基板の一部の断面模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例によるアレイ基板の平面概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の別の実施例によるアレイ基板の一部の断面模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例による表示装置の一部の構成模式図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7B】
図7Bは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7C】
図7Cは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7D】
図7Dは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7E】
図7Eは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7F】
図7Fは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【
図7G】
図7Gは、本開示の更に別の実施例によるアレイ基板の製造方法のプロセスを概略的に説明している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を組み合わせて、本開示実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、本開示の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。記載された実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を課すことなく得られる全ての他の実施例は、本開示の保護範囲に属する。
【0027】
別段の定義がない限り、本開示で使用される技術的または科学的用語は、当業者によって理解される通常の意味である。本開示で使用される「第1の」、「第2の」及び類似の用語は、いかなる順序、数、又は重要性も示すものではなく、異なる構成素子を区別するために使用されるだけである。同様に、「一つ」、「一」、または「当該」などの類似の用語は、数の制限を意味しておらず、少なくとも1つが存在することを意味する。「含む」または「包含」などの類似の用語は、その用語の前に現れる素子または物品が、その用語の後に列挙される素子または物品およびその均等物を包含することを意味し、他の素子または物品を排除するものではない。「接続」または「接連」などの類似の用語は、物理的または機械的接続に限定されず、直接的または間接的のいずれかにかかわらず、電気的接続を含み得る。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対的な位置関係を示すためのものであり、記述されたオブジェクトの絶対的な位置が変化すると、相対的な位置関係も変化する可能性がある。
【0028】
個人の指紋特徴の唯一性及び安定性により、指紋識別を実現することができる。例えば、現場で採取されたユーザの指紋と、予め保存された指紋とを比較することによって、ユーザの真の身分を検証することができる。指紋識別技術は、通常、感光性検知素子を利用し、感光性検知素子は、ユーザの指によって反射された光を受光し、反射光を電気信号に変換することができる。異なるユーザの指の指紋特徴の唯一性により、異なるユーザの指によって反射された反射光は、異なる特性を有し、相応的には、感光性検知素子によって得られる電気信号も異なる。指紋識別に用いられるプロセッサは、これらの電気信号を受信して分析し、指紋識別を実現することができる。
【0029】
本開示の実施例によるアレイ基板は、ベース基板と、複数の検知素子と、複数のスイッチングデバイスとを備える。複数の検知素子は、ベース基板の第1の側に設けられ、少なくとも光信号又は音波信号のいずれかを電気信号に変換するように配置され、前記スイッチングデバイスは、ベース基板の第1の側に対向する第2の側に設けられ、電気信号を伝送するように1つの検知素子に電気的に接続される複数の第1のスイッチング素子を含む。
【0030】
上記検知素子は、光電変換素子(例えば、光センサー)又は音響電気変換素子(例えば、音波センサー)を含むが、これらに限定されないことが理解されるべきである。第1のスイッチング素子は、検知素子によって生成された電気信号を伝送することができ、これらの電気信号は、プロセッサ又はコントローラに提供されて計算及び分析を行い、指紋識別を実現することができる。検知素子及びスイッチング素子がアレイ基板の構造の一部としてベース基板に取り付けられるので、このようなアレイ基板による表示装置は、指紋識別機能を表示装置に組み込むことができ、指紋識別機能と表示装置との本格的な融合を実現することができる。また、検知素子およびスイッチングデバイスがそれぞれベース基板の異なる側に形成されることにより、スイッチングデバイスの製造過程と検知素子の製造過程との干渉を低減または回避することができる。
【0031】
以下、本開示に係るアレイ基板について具体例を用いて説明する。簡潔化にするために、既知の機能及び部品に対する詳細な説明は省略される。なお、いずれの部品が複数の図面に出現される場合、同一の符号によって当該部品を示している。
【0032】
図1は、本開示の実施例によるアレイ基板100の部分概略図(断面図)である。アレイ基板100は、バックライトを有する液晶表示装置のアレイ基板であってもよいし、バックライトを有しないアクティブ発光表示装置(例えば、エレクトロ有機発光ダイオード表示装置)のアレイ基板であってもよく、本実施例では、アレイ基板100の適用場合を限定しない。
図1に示すように、当該アレイ基板100は、ベース基板101と、ベース基板の第1の側S1に配置された複数の検知素子102と、ベース基板の第2の側S2に配置された複数のスイッチング素子とを備える。各検知素子102は、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換するように配置され、スイッチングデバイスは、検知素子102によって生成された電気信号を伝送するように1つの検知素子102に電気的に接続される第1のスイッチング素子104を含む。
図1は、第1のスイッチング素子104と検知素子102との間の電気的な接続をラインで概略的に示すが、そのような電気的な接続は、当業者が実現できる任意の方法で実施することができ、本開示はこれに限定されない。
【0033】
ベース基板101は、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、または他の任意の適切な材料の基板であってもよく、本開示では、ベース基板101の材料を具体的に限定しない。例えば、ベース基板101は、透明基板であってもよい。一例では、ベース基板101は、可撓性ベース基板であってもよい。スイッチング素子及び第1のスイッチング素子104は、薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ等のスイッチング素子を含むが、これに限定されず、本開示では、スイッチングデバイスの具体的なタイプを限定しない。
【0034】
図2は、本開示の一実施例に係るアレイ基板200における検知素子及びスイッチングデバイスの構造の一例を概略的に示す。
図2に示すように、アレイ基板200において、検知素子102は、ベース基板101の第1の側S1に配置される。検知素子102は、第1の電極1021と、第2の電極1022と、第1の電極1021と第2の電極1022との間に設けるセンシング層1023とを含む。第1の電極1021は、第1のスイッチング素子104に電気的に接続され、第2の電極1022は、基準電位を受信する。一例として、第1の電極1021及び第2の電極1022は、透明な導電性材料からなり、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)などが挙げられるが、これらに限定されない。前述したように、各検知素子102は、光信号及び音波信号のうち少なくとも一方を電気信号に変換するように配置され、これに対応して、センシング層1023の材料は、光信号を受信して電気信号を生成することができる感光性材料を含むか、又は、センシング層1023の材料は、音波信号を電気信号に変換するためのインジウム亜鉛酸化物(IZO)のような感音性材料を含む。
【0035】
センシング層1023が感光性材料を含む場合、検知素子102は、実質的に光電変換素子である。指紋識別段階では、指によって反射された光(例えば、アレイ基板が配置された表示装置のバックライトからの光)が、検知素子102に入射し、センシング層1023は、当該反射光を受信し、当該反射光に基づいて電気信号を生成することができる。各人の指紋が独特のテクスチャ特性を有し、異なるユーザの指から反射された反射光が異なる特性を有するので、検知素子102は、異なる反射光に応じて異なる電気信号も生成する。検知素子102によって生成された電気信号は、第1のスイッチング素子104を介してプロセッサ又はコントローラに伝送され、電気信号を分析算出し、指紋情報を得ることができる。代わりに、センシング層1023が感音性材料を含む例では、検知素子102は、実際に音響信号を電気信号に変換し、例えば、検知素子102は、超音波センサーである。このとき、ユーザの指が表示装置に接近または接触したときに、ユーザの指に超音波を発生させるように、当該アレイ基板が適用される表示装置に超音波発生器が備えられてもよい。超音波は、ユーザの指に当たると反射音波を形成し、感音性材料を含むセンシング層は、反射音波を受信して電気信号を生成することができる。同様に、ユーザの個々の指紋の特徴の唯一性により、異なるユーザの指から反射された反射音波の周波数が異なるので、検知素子は、異なるユーザの指によって反射された音波に基づいて異なる電気信号を生成することができる。同様に、当該電気信号を用いて、ユーザの指紋情報の分析や識別を行うことができる。
【0036】
図2の例示では、検知素子102は、媒介層1024及び接続線1025などの構造をさらに含むことができる。媒介層1024は、検知素子102の第1の電極1021、センシング層1023、第2の電極1022を覆ってこれらを保護することができ、第2の電極1022は、例えば接続線1025によって基準電位に接続されることができる。検知素子102の第1の電極1021は、ベース基板におけるビアホール106を介して第1のスイッチング素子104に接続されている。この例では、第1のスイッチング素子104は、ゲート1041、ゲート絶縁層1042、活性層1043、ソース1044、及びドレイン1045を含む薄膜トランジスタである。
【0037】
図2の例は、単一の検知素子102と、ビアホール106を介して接続された第1のスイッチング素子104のみを示す。しかしながら、実際には、アレイ基板が、複数の検知素子102及び複数の第1のスイッチング素子104を含むことができ、相応的には、アレイ基板に、複数のビアホール106が形成され、各検知素子の第1の電極が、1つのビアホール106を介して第1のスイッチング素子と電気的に接続されることが理解される。いくつかの実施例では、各ビアホールの直径および隣接するビアホール間の間隔は、いずれも指の指紋の紋線距離以下である。指紋画像は、稜線と谷線とを含み、紋線距離は、稜線とその稜線に隣接する谷線との間の間隔を意味する。例えば、一般人の指紋の紋間距離は、通常100μm~300μm程度、ビアホール106の径寸法は10μm~100μm程度、隣接する2つのビアホールのピッチは100μm~200μm程度であり、このように、高い指紋識別の精度を実現することができる。
【0038】
本開示の一実施例によるアレイ基板は、第1の領域と、第1の領域の周辺に位置する第2の領域とを含む表示領域を有し、センサー素子および第1のスイッチング素子は、前記第1の領域内に位置している。
図3は、アレイ基板の表示領域A、第1の領域A1、及び第1の領域A1の周辺に位置する第2の領域A2を模式的に示している。この例では、第1の領域A1を指紋識別領域として利用することができ、ユーザの指が第1の領域A1に接近又は接触すると、ユーザの指に対する指紋識別を実現することができる。
【0039】
図4は、
図3中のB-B’線に沿った断面構造の概略図である。
図4に示すように、ベース基板の第2の側に配置されたスイッチングデバイスは、第2のスイッチング素子105をさらに含み、第1のスイッチング素子104及び第2のスイッチング素子105はいずれも薄膜トランジスタを含み得る。第1のスイッチング素子104は、ゲート1041、ゲート絶縁層1042、活性層1043、ソース1044、ドレイン1045等の構造を有し、第2のスイッチング素子105は、ゲート1051、ゲート絶縁層1052、活性層1053、ソース1054、ドレイン1055等の構造を有する。検知素子の第1の電極1021は、第1のスイッチング素子104のソース1044またはドレイン1045に電気的に接続される。
図3及び
図4を参照すると、検知素子102及び第1のスイッチング素子104は第1の領域A1に配置され、第2のスイッチング素子105は第2の領域A2に配置される。検知素子102は、ベース基板101に取り付けられ、アレイ基板300の表示領域Aに配置されるので、当該アレイ基板が適用される表示装置の他の部品(例えば、ベゼル又はハウジング)に指紋識別のためのセンサーを別に設置する必要がなく、表示装置の狭縁設計又はフルスクリーン表示に有利である。
【0040】
本実施例では、第1のスイッチング素子104及び第2のスイッチング素子105における各ゲートは、第1の時間帯に第1の制御信号を受信して表示領域内の画素を駆動し、また、第1のスイッチング素子104のゲートは、第2の時間帯に第2の制御信号を受信して前記電気信号の転送を実現する。すなわち、第1の時間帯において、第1のスイッチング素子104及び第2のスイッチング素子105は、第1の制御信号に応じてオン又はオフし、表示領域Aの画素を駆動して画像表示を実現している。第2の時間帯において、第1のスイッチング素子104は、第2の制御信号に応じてオン又はオフし、検知素子によって生成された電気信号をコントローラ又はプロセッサ(図示せず)に伝送して、電気信号を計算及び分析して、指紋識別の機能を実現する。いくつかの実施例では、第2の時間帯に、第2の領域A2の第2のスイッチング素子を遮断状態にするように制御し、または第2のスイッチング素子に第1の制御信号を印加することを停止して表示装置のエネルギー消費を低減することができる。上記の第1の制御信号は、画像表示を実現するための画像表示走査信号とも呼ばれ、第2の制御信号は、指紋識別を行うための指紋識別走査信号とも呼ばれている。
【0041】
図4に示される実施例に基づき、第1のスイッチング素子104は、実質的に2つの機能を有する。第1の時間帯(例えば表示段階)においては、第1のスイッチング素子104及び第2のスイッチング素子105は、第1の制御信号に応じて動作し、正常の画像表示を実現する。第2の時間帯(例えば、指紋識別段階)において、第1のスイッチング素子は、第2の制御信号に応じて動作し、検知素子によって生成された指紋認証のための電気信号を伝送する。したがって、第1のスイッチング素子104は、第1の時間帯において、画像表示のための画素スイッチとして機能し、第2の時間帯において、検知素子の電気信号を伝送するための信号伝送スイッチとして機能する。これにより、当該実施例により、アレイ基板や表示装置に指紋識別信号を伝送するための専用の指紋識別信号伝送スイッチを提供することを避け、指紋識別機能付きアレイ基板や表示装置に用いられるスイッチングデバイスの数が大幅に減少し、アレイ基板の回路構成が簡単になり、アレイ基板や表示装置の薄型化に有効である。
【0042】
図4の例では、検知素子102の第1の電極1021は、第1のスイッチング素子104のソース1044に電気的に接続され、代わりに、検知素子102の第1の電極1021は、第1のスイッチング素子104のドレイン1045に電気的に接続されてもよい。本開示では、第1のスイッチング素子104が検知素子102の電気信号を伝送できる限り、検知素子102と第1のスイッチング素子104との具体的な電気的接続の方式を限定しない。
【0043】
本願発明者は、通常の表示装置では、光源からの光を有効に利用されていないことを認識した。例えば、液晶表示装置に対して、バックライトから表示装置の光出射面までの光路中に、バックライトからの光の進行を遮る構造が存在する;有機発光ダイオード表示装置においても、表示装置の、光出射面に対向する裏面に向かう光は有効に利用されていない。したがって、本開示の別の実施例によれば、アレイ基板は、検知素子の第1の電極に電気的に接続された金属リードをさらに含み、金属リードは、アレイ基板から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続している。エネルギー貯蔵素子は、当該アレイ基板が適用される表示装置内の充電可能な電池を含むが、これに限定されない。これにより、検知素子は、有効に利用されない一部の光を受信して電気信号に変換し、これらの電気信号は、金属リード線を介してエネルギー貯蔵素子に伝送して貯蔵し、表示装置の光利用効率を向上させることができる。以下、例示によってこれをさらに説明する。
【0044】
図5は、本開示の別の実施例によるアレイ基板400の一部の断面構成概略図を示しており、当該アレイ基板400は、上記実施例に記載の検知素子102を含み、当該検知素子102が本実施例では光電センサーとして具現化される。本実施例では、アレイ基板400は、エレクトロ有機発光ダイオード(例えば、OLED)表示装置のためのアレイ基板である。
【0045】
図5に示すように、当該アレイ基板400は、ベース基板101の第2の側S2に配置され、第1のスイッチング素子104に電気的に接続されたエレクトロ有機発光素子108を有する。エレクトロ有機発光素子108は、カソード1081、アノード1082、及びカソード1081とアノード1082との間に位置する有機発光層などの構造を含む。この例では、エレクトロ有機発光素子108のアノード1082は、第1のスイッチング素子104のドレイン1045に電気的に接続される。代わりに、エレクトロ有機発光素子108のアノード1082は、第1のスイッチング素子104のソース1044に電気的に接続され得る。
【0046】
図5の例では、ベース基板101におけるセンシング層1023の正射影が、ベース基板101における第1のスイッチング素子104及びエレクトロ有機発光素子108の非透光領域の正射影と重ならないため、センシング層1023は、エレクトロ有機発光素子108から下方又は側方に向かう光を効率的に受光し、エレクトロ有機発光素子108からの光に対する利用効率を向上させることができる。すなわち、ベース基板101におけるセンシング層1023の正射影は、ベース基板101における第1のスイッチング素子104及びエレクトロ有機発光素子108の非透光領域の正射影の外側にある。ここで、「第1のスイッチング素子104及びエレクトロ有機発光素子108の非透光領域」とは、例えば、第1のスイッチング素子のゲート1041、ソース1044、ドレイン1045、エレクトロ有機発光素子108のカソード1081又はアノード1082等という第1のスイッチング素子104及びエレクトロ有機発光素子108が遮光性を有する構造をいう。
図5に示すように、当該アレイ基板400は、更に、検知素子102の第1の電極1021に電気的に接続された金属リード107を含み、当該金属リード107は、アレイ基板400から独立したエネルギー貯蔵素子50(例えば、充電可能な電池)に電気的に接続されてもよい。本開示の一例によれば、当該アレイ基板400は、検知素子102の第1の電極1021に電気的に接続された金属リード107をさらに含み、センシング層1023は、感光性材料を含み、検知素子102が指紋識別を行わない状態で、受信した光を電気信号に変換するように構成され、金属リード107は、アレイ基板400から独立したエネルギー貯蔵素子に電気的に接続して、当該電気信号をエネルギー貯蔵素子に伝送するように機能する。この電気信号は、例えば、充電可能な電池に伝送され、充電可能な電池を充電する。
【0047】
以上のような光利用効率の向上原理は、エレクトロ有機発光ダイオード表示装置だけでなく、バックライトを備えた液晶表示装置にも適用できることが理解される。液晶表示装置では、バックライトは、通常、ベース基板の薄膜トランジスタから遠い側に配置される。薄膜トランジスタのゲート、ソースおよびドレイン等の遮光金属層に入射した光は、通常、有効に利用されず、エネルギーの浪費を招く。
【0048】
再び
図2を参照すると、本開示の一実施例によれば、当該アレイ基板200は、液晶表示装置用のアレイ基板であり、ベース基板101における検知素子102のセンシング層1023の正射影と、ベース基板101における第1のスイッチング素子104の正射影とは少なくとも一部が重なる。表示装置の動作時には、アレイ基板200から独立したバックライトは、通常、アレイ基板200の下方から光を出射する。ベース基板101における検知素子102のセンシング層1023の正射影と、ベース基板101における第1のスイッチング素子104の正射影とは少なくとも一部が重なるため、第1のスイッチング素子104によって遮られていた一部のバックライト光をセンサー素子に入射させ、電気エネルギーに変換し蓄積して利用することができ、一方、画像表示を実現することが必要なバックライトの伝播に対する検知素子102の影響を低減することができる。いくつかの実施例において、ベース基板101における検知素子102のセンシング層1023の正射影は、ベース基板101における第1のスイッチング素子104の正射影内にある。これにより、画像表示を実現するに必要なバックライトの伝播に対する検知素子102の影響を極力低減することができる。
【0049】
本開示の他の実施例には、上記のいずれかの実施例に記載のアレイ基板を備える表示装置が提供される。当該表示装置は、例えば、携帯電話、タブレット、ノート型パソコン、ビデオカメラ、カーナビゲーション等、如何なる表示機能を有する製品又は部品であってもよい。
【0050】
表示装置のアレイ基板は、検知素子を含み、一実施例において、当該検知素子は、音波信号を電気信号に変換する音波センサーであり、この場合、表示装置は、音波を発生させる音波発生器をさらに含む。
図6は、例示的な表示装置500の一部の構成を模式的に示している。
図6に示すように、表示装置500は、アレイ基板上に配置された音波センサーである検知素子102と、表示装置の他の適切な構造に配置された、例えば、表示装置のバックプレーン、フレーム、筐体などの如何なる他の適切な部品に取り付けられ得る音波発生器501とを含む。音波発生器501は、例えば、超音波発生器であってよい。ユーザの指が表示装置の表面に接触または近接すると、音波発生器501は、音波信号を指に送信し、音波がユーザの指に当たると反射音波を生成し、音波センサー102は、反射音波を受信して電気信号を生成することができる。ユーザの個々の指の指紋特徴の唯一性により、異なるユーザの指から反射された反射音波の周波数が異なるため、検知素子は、異なるユーザの指から反射された音波に基づいて、異なる電気信号を発生することができ、この電気信号を用いてユーザの指紋情報に対する分析や識別を実現することができる。
【0051】
別の実施例では、表示装置は、検知素子102が電気的に接続される充電可能な電池をさらに含む。前述したように、検知素子は、表示装置で有効に利用されない一部の光を受信して電気信号に変換し、検知素子は、充電可能な電池に電気的に接続されるので、表示装置の動作時に、検知素子が指紋識別を行わない状態で、上記電気信号を二次電池に伝送し、すなわち、充電可能な電池を充電することができる。これにより、表示装置の光利用効率を向上させることができる。
【0052】
同一の主旨に基づいて、本開示の別の実施例は、アレイ基板の製造方法を提供しており、当該製造方法は、上記実施例に記載のアレイ基板を製作することができ、ベース基板を提供する段階と、ベース基板の第1の側に、光信号及び音波信号の少なくとも一方を電気信号に変換するように配置される複数の検知素子が形成される段階と、ベース基板の第1の側に対向する第2の側に複数のスイッチングデバイスが形成される段階と、を含む。前記複数のスイッチングデバイスは、前記電気信号を伝送するように1つの検知素子に電気的に接続される複数の第1のスイッチング素子を含む。
【0053】
いくつかの実施例では、各検知素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に位置するセンシング層と、を含み、アレイ基板の製造方法は、ベース基板に複数のビアホールが形成され、各検知素子の第1の電極が1つの前記ビアホールを介して、1つの第1のスイッチング素子に電気的に接続される段階をさらに含む。以下、
図7A~7Gを参照して、アレイ基板の製造方法の一例を概略的に説明する。
【0054】
図7Aに示すように、まず、例えばガラス基板、石英基板、プラスチック基板または他の適切な材料の基板であるベース基板101を提供する。一例では、ベース基板101は、可撓性ベース基板であってもよい。
図7Aに示すように、ベース基板101には、複数のビアホール(
図7Aでは1つのビアホール106のみが図示される)が形成されており、各ビアホール106の直径および隣接するビアホール間のピッチは、指の指紋の紋線距離以下である。一例では、各ビアホール106の直径寸法は約10μm~100μmであり、隣接する2つのビアホール間の間隔は約100μm~200μmである。また、複数のビアホール106が形成されたベース基板101の第1の側S1に、例えば化学蒸着法や物理蒸着法などによって金属薄膜を沈積し、フォトリソグラフィ工程によってパターニングして、ベース基板101の第1の側S1に第1の電極1021が形成されてもよい。ビアホール106内には、第1の電極1021の材料が充填されていてもよい。
【0055】
図7Bに示すように、第1の電極1021が形成されたベース基板101上に、センシング層薄膜を沈積してパターニングすることにより、センシング層1023を形成する。センシング層1023は、例えば、水素が高いアモルファスシリコンという感光性材料を含む。代わりに、センシング層は、感音性材料を含む。本実施例では、センシング層の製造時に、検知素子によって生成された電気信号を伝送するためのスイッチング素子が形成されていないため、センシング層1023の製造工程が、その後のスイッチングデバイスの製造工程に悪影響を及ぼしないので、スイッチングデバイスの性能に影響を与えることを回避できる。
【0056】
次に、
図7Cに示すように、センシング層1023が形成されたベース基板101に第2の電極1022が形成される。第1の電極1021及び第2の電極1022を形成する材料は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(ZnO)などの任意の適切な材料のような透明な導電性材料を含む。
【0057】
いくつかの実施例では、
図7Dおよび7Eに示されるように、ベース基板101の第1の側S1に媒介層1024および接続線1025が形成され、媒介層1024は、第1の電極、第2の電極、およびセンシング層を基本的に覆って、検知素子の第1の電極、第2の電極、およびセンシング層を隔離および保護する役割を果たす。第2の電極1022は、接続線1025を介して基準電位に接続されてもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、
図7Fに示すように、ベース基板101の第1の側S1に検知素子102が形成された後、検知素子102が形成されたベース基板101を裏返して、ベース基板の第2の側S2に電気信号を伝送するためのスイッチングデバイスを作成する。
【0059】
図7Gに示すように、ベース基板101の第2の側S2には、例えば薄膜トランジスタである第1のスイッチング素子104が形成される。当該第1のスイッチング素子104の製造工程は、従来の薄膜トランジスタの製造工程と同様であり、その説明は省略する。形成された第1のスイッチング素子104及び検知素子102は、例えば、アレイ基板の表示領域内に位置することができる。
【0060】
本実施例によるアレイ基板の製造方法によれば、検知素子102と、検知素子によって生成された電気信号を伝送するためのスイッチングデバイスとが、ベース基板101の互いに対向する2側にそれぞれ作成される。例えば、いくつかの実施例では、まず、ベース基板の第1の側に検知素子102が作成され、そして、ベース基板の第2の側に第1のスイッチング素子104が作成される。これにより、ベース基板の第1の側に検知素子が作成される際に第1のスイッチング素子104が形成されていないので、検知素子102を作成することが必要である複雑なプロセス条件は、第1のスイッチング素子104に影響を与えない。一方、ベース基板の第2の側に第1のスイッチング素子104が作成される際のエッチング工程は、ベース基板の第1の側に既に形成された検知素子に悪影響を与えることはない。
【0061】
上記の説明は、本開示による例示的な実施例にすぎないが、本開示の保護範囲は、それらに限定されるものではなく、本開示の技術範囲内で当業者であれば容易に想到することができる変更または代替が、本開示の保護範囲内に含まれる。本開示の様々な実施例及び実施例の特徴は、矛盾なく、互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
100 アレイ基板
101 ベース基板
102 検知素子
104 スイッチング素子
500 表示装置