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特許7323548自動車の環境情報を融合させるためのフュージョンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】自動車の環境情報を融合させるためのフュージョンシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020552277
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 DE2019100303
(87)【国際公開番号】W WO2019196986
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102018205248.4
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ファラー・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル・ハンス-ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フルトゥニキ・イェレナ
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513162(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122784(WO,A1)
【文献】特開2009-282783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のフュージョンシステムにおいて、
・前記フュージョンシステムは、
・少なくとも2つの環境センサ(U1,U2)と、
・これらの環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させるための、これらの環境センサ(U1,U2)に結合された1つのニューラルネットワーク(PV)と、
・これらの環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させるための1つのフュージョン装置(FE)と、
・このフュージョン装置(FE)と前記ニューラルネットワーク(PV)とに結合された制御装置(AV)とを有し、
・前記制御装置(AV)は、前記フュージョン装置(FE)によって融合された環境情報(vm)に依存して、前記ニューラルネットワーク(PV)によって融合された環境情報(pm)を適合し、
・当該適合された環境情報(ai)を前記自動車の運転者支援システム(FAS)に提供するように構成されている当該フュージョンシステム。
【請求項2】
前記フュージョン装置(FE)は、
・運転状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取り、
・前記状況変数に依存して、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数(g1,g2)を決定し、
・前記影響変数(g1,g2)に依存して、複数の前記環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させ、
・当該融合された環境情報(vm)を前記自動車に備えられた運転者支援システム(FAS)に提供するように構成されている請求項1に記載のフュージョンシステム。
【請求項3】
前記フュージョンシステムは、前記フュージョン装置(FE)に結合された1つのプロトコル装置(LV)を有し、このプロトコル装置(LV)は、前記フュージョン装置(FE)によって提供された、結合された環境情報(vm)に対して、運転状況に関する環境に対して固有である少なくとも1つの前記状況変数を記憶するように、及び/又は前記状況変数に依存して決定され、融合に対する1つの前記環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの前記影響変数(g1,g2)を記憶するように構成されている請求項2に記載のフュージョンシステム。
【請求項4】
前記フュージョン装置(FE)は、状況変数と少なくとも1つの環境センサ(U1,U2)の機能特性との間の関係に依存して影響変数(g1,g2)を決定するように構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のフュージョンシステム。
【請求項5】
前記フュージョン装置(FE)は、当該運転者支援システム(FAS)への提供前に、当該融合された環境情報(vm)補助変数に依存して解釈するように構成されていて、
前記補助変数は、前記環境センサ(U1,U2)によって検出された1つの物体の移動である請求項1~4のいずれか1項に記載のフュージョンシステム。
【請求項6】
前記フュージョン装置(FE)は、当該運転者支援システム(FAS)への提供前に、当該融合された環境情報(vm)補助変数に依存して解釈するように構成されていて、
前記補助変数は、前記環境センサ(U1,U2)によって検出された物体の挙動モデルである請求項1~5のいずれか1項に記載のフュージョンシステム。
【請求項7】
前記フュージョン装置(FE)は、当該運転者支援システム(FAS)への提供前に、当該融合された環境情報(vm)補助変数に依存して解釈するように構成されていて、
前記補助変数は、交通規則である請求項1~6のいずれか1項に記載のフュージョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の環境情報を融合させるためのフュージョンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の範囲内では、用語「自動運転」は、自動化された縦方向制御若しくは横方向制御による運転又は自動化された縦方向制御若しくは横方向制御による自動運転と解釈され得る。用語「自動運転」は、任意の自動化レベルによる自動運転を含む。代表的な自動化レベルは、支援運転、半自動運転、高度自動運転、及び全自動運転である。これらの自動化レベルは、連邦道路交通研究所(BASt)によって規定された。(連邦道路交通研究所の刊行物「Forschung kompakt」(2012年11月発行)参照)。当該支援運転の場合、運転者は、縦方向制御又は横方向制御を持続して実行する一方で、当該システムは、その都度の別の機能を特定の範囲内で請け負う。半自動運転(TAF)の場合、当該システムは、縦方向制御及び横方向制御を特定の期間に対して及び/又は特別な状況で請け負う。この場合、運転者は、支援運転の場合と同様に当該システムを持続して監視する必要がある。高度自動運転(HAF)の場合、運転者が、当該システムを持続して監視することが必要なしに、当該システムが、縦方向制御及び横方向制御を特定の期間に対して請け負う。しかし、当該運転者は、特定の期間内は運転操縦を請け負うことができる。全自動運転(VAF)の場合、当該システムは、特別な適用状況に対して運転を全ての状況で自動的に対処できる。この適用状況に対しては、運転者は、もはや不要である。上記のBAStの規定にしたがう4つの自動化レベルは、規格SAE J3016(SAE-Society of Automotive Engineering)に相当する。例えば、BAStにしたがう高度自動運転(HAF)は、規格SAE J3016のレベル3に相当する。さらに、SAE J3016では、BAStの規定に含まれていないSAEレベル5が、最高の自動化レベルとしてさらに規定されている。SAEレベル5は、当該システムが全ての運転中に全ての状況を人間の運転者のように対処できる無人運転に相当する。運転者が、通常はもはや不要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】連邦道路交通研究所の刊行物「Forschung kompakt」(2012年11月発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、自動車の環境情報を融合させるための改良されたフュージョンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項に記載の特徴によって解決される。好適な実施の形態は、従属請求項に記載されている。1つの独立請求項に依存する1つの請求項の追加の特徴が、当該独立請求項の特徴なしに、又は当該独立請求項の特徴の一部との組み合わせだけで、固有で且つ当該独立請求項の全ての特徴の組み合わせに依存しない、独立請求項、分割出願又は後願の対象にされ得る発明を構成し得ることが提唱されている。これは、本明細書に記載されている、当該独立請求項の特徴に依存しない発明を構成し得る技術事項対しても同様に成立する。
【0006】
本発明の第一の観点は、自動車用のフュージョンシステムに関する。
【0007】
この場合、フュージョンシステムは、少なくとも2つの環境センサと、これらの環境センサの環境情報を融合させるための、これらの環境センサに結合された1つのニューラルネットワークとを有する。
【0008】
多くの場合に人口のニューラルネットワークとも呼ばれるニューラルネットワークは、人口ニューロンから成るネットワークである。この場合、当該ニューロンは、通常は複数の層に分割されていて、互いに接続されている。
【0009】
さらに、フュージョンシステムは、これらの環境センサの環境情報を融合させるためのフュージョン装置を有する。特に、この場合、特許請求の範囲のうちの1つの請求項に記載のフュージョン装置が取り扱われ、当該装置は、運転状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取るように構成されている。
【0010】
この場合、フュージョン装置は、特に、状況変数に依存して、当該融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数を決定するように構成されている。
【0011】
さらに、フュージョンシステムは、特に、影響変数に依存して、これらの環境センサからの環境情報を融合させるように構成されている。
【0012】
フュージョンシステムは、フュージョン装置とニューラルネットワークとに結合された制御装置をさらに有する。この場合、当該制御装置は、フュージョン装置によって融合された環境情報に依存して、ニューラルネットワークによって融合された環境情報を適合し、当該適合された環境情報を自動車の運転者支援システムに提供するように構成されている。
【0013】
例えば、制御装置は、フュージョン装置によって融合された環境情報に依存して、ニューラルネットワークによって融合された環境情報が、運転者支援システムに提供されるのか、又はフュージョン装置によって融合された環境情報が運転者支援システムに提供されるのかを選択できる。
【0014】
この代わりに、制御装置は、フュージョン装置によって融合された環境情報に依存して、ニューラルネットワークによって融合された環境情報を解釈し、当該解釈の結果を運転者支援システムに提供してもよい。
【0015】
例えば、融合された環境情報は、1つの物体が十分に大きい確率で存在するそれぞれ1つの空間領域である場合、制御装置は、当該両空間領域を互いに結合し、当該結合結果を運転者支援システムに提供できる。
【0016】
この場合、本発明は、確かにフュージョン装置が、よりぼやけて融合された環境情報をより高いばらつきで出力できるが、このフュージョン装置が、場合によっては比較的高い確率で物体の実際の滞在領域を網羅するという認識に基づく。これに対して、例えばニューラルネットワークが、鮮明に融合された環境情報を小さいばらつきで出力できるが、このニューラルネットワークは、場合によっては比較的より低い確率で物体の実際の滞在領域を網羅できる。
【0017】
この場合、例えば、制御装置は、ニューラルネットワークによって融合された環境情報と、フュージョン装置によって融合された環境情報との重なり部分を運転者支援システムに提供できる。
【0018】
好適な実施の形態では、フュージョンシステムは、フュージョン装置に結合された1つのプロトコル装置を有する。
【0019】
この場合、プロトコル装置は、フュージョン装置によって提供された、結合された環境情報に対して、運転状況に関する環境に対して固有である少なくとも1つの状況変数を記憶するように、及び/又は状況変数に依存して決定され、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数を記憶するように構成されている。
【0020】
この場合、本発明は、ニューラルネットワークが多くの場合にこのニューラルネットワークの比較的大きい状態空間のために「ブラックボックス」と呼ばれるという認識に基づく。しかし、それにもかかわらず、当該ニューラルネットワークをフュージョン装置に結合することによって、当該フュージョンシステムの計算結果が確定的に追跡され得る。何故なら、当該計算結果は、特に、当該フュージョン装置によって設定された範囲内で変動するからである。
【0021】
別の好適な実施の形態では、フュージョンシステムは、自動車の少なくとも2つの環境センサの環境情報を融合させるためのフュージョン装置を有する。
【0022】
環境センサは、例えばカメラセンサ、レーダーセンサ、ライダーセンサ又は超音波センサでもよい。
【0023】
この場合、フュージョン装置は、走行状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取るように構成されている。
【0024】
特に、状況変数は、自動車の状況に対して固有の変数である。例えば、状況変数は、周囲の光の光度に対して固有の変数(例えば、明るさ値又は二進値「明」/「暗」)である。代わりに、状況変数は、例えば、時刻に対して固有の変数又は時刻自体でもよい。代わりに、状況変数は、例えば、環境情報を融合させるための識別子(Erkennungsziel)(占有識別子(Belegterkennung)又は非占有識別子(Freierkennung))でもよい。代わりに、環境情報は、例えば、天候に対して固有の変数でもよい。代わりに、環境情報は、例えば、自動車の位置に対して固有の変数でもよい。この場合、(例えば、座標によって示される)絶対位置又は交通状況が、位置とみなされ得る。
【0025】
この場合、状況変数は、特に環境センサとは違う装置からフュージョン装置に伝達される。この場合、当該装置は、センサ又は制御機器でもよい。
【0026】
さらに、フュージョン装置は、特に、状況変数に依存して、当該融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数を決定するように構成されている。
【0027】
この場合、影響変数は、特に、1つの環境センサに割り当てられた重み付け係数である。この重み付け係数は、この環境センサの影響を少なくとも2つの環境センサの線形結合で示す。
【0028】
さらに、フュージョン装置は、影響変数に依存して、環境センサからの環境情報を融合させ、当該融合された環境情報を自動車に備えられた運転者支援システムに提供するように構成されている。
【0029】
運転者支援システムは、例えば、縦方向制御及び/又は横方向制御のための運転者支援システムでもよい。
【0030】
好適な実施の形態では、フュージョン装置は、状況変数と少なくとも1つの環境センサの機能特性との間の関係に依存して影響変数を決定するように構成されている。
【0031】
この場合、特に、フュージョン装置は、フュージョン特性の検出時に1つの環境センサの機能を考慮するように構成されている。これは、例えば、機能装置の開発時に既に実行され得る。
【0032】
自動車の周囲の光条件が比較的悪いことを、状況変数が示す場合、例えば融合に対する1つのカメラセンサの影響は、比較的小さく設定され得る。他方で、自動車の周囲の光条件が比較的良好であることを、状況変数が示す場合は、融合に対する1つのカメラセンサの影響は、比較的大きく設定され得る。
【0033】
別の好適な実施の形態では、フュージョンシステムは、当該運転者支援システム(FAS)への提供前に、当該融合された環境情報補助変数に依存して解釈するように構成されている。
【0034】
この場合、当該補助変数及び当該融合された環境情報の解釈は、特に演繹的な知識に依存して確定され得る。
【0035】
この場合、特に、フュージョン装置は、環境センサによって検出された物体の移動に依存して、融合された環境情報を補助変数として解釈するように構成されている。
【0036】
例えば、当該物体が、将来の時点で何処に存在するかが、物理運動方程式に基づいて過去における当該物体の移動方向と移動速度とから推測され得る。
【0037】
この場合、この知識は、融合された環境情報を解釈するために使用され得る。例えば、当該融合された環境情報は、物体が十分に大きい確率で存在する空間領域である場合、この空間領域は、当該物体の動力学、すなわち過去における当該物体の運動方向と移動速度とを考慮することによって解釈され得て、したがってより明確に特定され得る。
【0038】
代わりに又はさらに、フュージョン装置は、特に、環境センサによって検出された物体の挙動モデルに依存して、融合された環境情報を補助変数として解釈するように構成されている。
【0039】
この場合、当該挙動モデルは、例えば経験的に特定され得て、フィルタ、例えばカルマンフィルタのパラメータとしてフュージョン装置内に記憶され得る。
【0040】
この場合、当該挙動モデルは、物体がその移動方向を変更される確率を示してもよい。当該物体が、道路利用者である場合、当該挙動モデルは、方向指示器の使用を伴う又は伴わない当該道路利用者の車線変更又は方向変更に対する確率でもよい。
【0041】
代わりに又はさらに、フュージョン装置は、特に、交通規則に依存して、融合された環境情報を補助変数として解釈するように構成されている。
【0042】
特に物体が、道路利用者である場合、交通規則は、道路利用者がどの車線上に存在するのか、交通利用者がその移動速度又は移動方向を変更するか否かを明確に指摘し得る。
【0043】
同様に、この知識は、融合された環境情報が特定されるように、当該融合された環境情報を解釈するために使用され得る。
【0044】
本発明の別の思想は、自動車の少なくとも2つの環境センサの環境情報を融合させるための方法に関する。
【0045】
当該方法の1つのステップは、運転状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取ることである。
【0046】
当該方法の別の1つのステップは、状況変数に依存して、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数を決定することである。
【0047】
当該方法の別の1つのステップは、影響変数に依存して、環境センサからの環境情報を融合させることである。
【0048】
当該方法の最後のステップは、融合された環境情報を提供することである。
【0049】
本発明の第1の観点による本発明のフュージョン装置に対する上記の構成は、本発明の第2の観点による本発明の方法に対しても同様に成立する。この点に関して特許請求の範囲に明確に記載されていない本発明の方法の好適な実施の形態は、上記の又は特許請求の範囲に記載されている本発明のフュージョン装置の好適な実施の形態に対応する。
【0050】
以下に、本発明を実施の形態に基づいて添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1a】本発明のフュージョン装置の実施の形態を示す。
図1b】本発明のフュージョン装置の実施の形態を示す。
図2】本発明のフュージョン方法の実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1aは、自動車の少なくとも2つの環境センサU1,U2の環境情報を融合させるためのフュージョン装置FEを示す。この場合、フュージョン装置FEは、走行状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取るように構成されている。
【0053】
当該状況変数は、特にセンサGによって検出された変数であり、例えば、自動車の周囲の明るさに対して固有の変数である。
【0054】
さらに、フュージョン装置FEは、状況変数に依存して、当該融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数g1,g2を決定するように構成されている。
【0055】
特に、フュージョン装置FEが、環境センサU1,U2の環境情報を線形結合によって融合させるときは、これらの影響変数g1,g2はそれぞれ、1つの環境センサU1,U2に割り当てられた重み付け係数でもよい。
【0056】
フュージョン装置FEは、影響変数g1,g2に依存して、環境センサU1,U2からの環境情報を融合させ、当該融合された環境情報vmを自動車に備えられた運転者支援システムFASに提供する。
【0057】
この場合、フュージョン装置FEは、状況変数と少なくとも1つの環境センサU1,U2の機能特性との間の関係に依存して影響変数g1,g2を決定するように構成されている。
【0058】
特に、環境センサU1,U2のうちの1つの環境センサが、カメラに基づくセンサの場合、状況変数が、自動車の周囲の暗い明るさを示すときに、融合された環境情報vmに対するこの環境センサU1の環境情報の影響は、比較的小さく成り得る。
【0059】
さらに、フュージョン装置FEは、当該運転者支援システム(FAS)への提供前に、当該融合された環境情報vm補助変数に依存して解釈するように構成されている。
【0060】
この場合、補助変数は、例えば、フュージョン装置FEに備えられた補助変数記憶装置Hから読み出され得る。
【0061】
この場合、フュージョン装置FEは、例えば、環境センサU1,U2によって検出された物体の移動に依存して、融合された環境情報vmを解釈できる。
【0062】
この代わりに、フュージョン装置FEは、例えば、環境センサU1,U2によって検出された物体の挙動モデルに依存して、融合された環境情報を補助変数として解釈してもよい。
【0063】
この代わりに、フュージョン装置FEは、交通規則に依存して、融合された環境情報vmを補助変数として解釈してもよい。
【0064】
図1bは、自動車用のフュージョンシステムを示す。この場合、当該フュージョンシステムは、少なくとも2つの環境センサU1,U2と、これらの環境センサU1,U2の環境情報を融合させるための、これらの環境センサU1,U2に結合されたニューラルネットワークPVと、これらの環境センサU1,U2の環境情報を融合させるための本発明のフュージョン装置FEと、フュージョン装置FEと一緒にニューラルネットワークPVに結合された制御装置AVとを有する。
【0065】
この場合、制御装置AVは、フュージョン装置FEによって融合された環境情報vmに依存して、ニューラルネットワークPVによって融合された環境情報pmを適合し、当該適合された環境情報aiを自動車の運転者支援システムFASに提供するように構成されている。
【0066】
例えば、制御装置AVは、フュージョン装置FEによって融合された環境情報vmに依存して、ニューラルネットワークPVによって融合された環境情報pmが、運転者支援システムFASに提供されるのか、又はフュージョン装置FEによって融合された環境情報vmが運転者支援システムFASに提供されるのかを選択できる。
【0067】
この代わりに、制御装置AVは、フュージョン装置FEによって融合された環境情報vmに依存して、ニューラルネットワークPVによって融合された環境情報pmを解釈し、当該解釈の結果を運転者支援システムFASに提供してもよい。
【0068】
例えば、融合された環境情報pmは、1つの物体が十分に大きい確率で存在するそれぞれ1つの空間領域である場合、制御装置AVは、当該両空間領域を互いに結合し、当該結合結果を運転者支援システムFASに提供できる。
【0069】
さらに、フュージョンシステムは、フュージョン装置FEに結合されたプロトコル装置LVを有する。プロトコル装置LVは、フュージョン装置FEによって提供された、結合された環境情報vmに対して、運転状況に関する環境に対して固有である少なくとも1つの状況変数を記憶するように、及び/又は状況変数に依存して決定され、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数g1,g2を記憶するように構成されている。
【0070】
図2は、本発明のフュージョン方法の実施の形態を示す。
【0071】
この場合、1つの物体が実際に存在する空間領域が、環境センサU1,U2によって検出される。様々な環境に起因して、一般に、環境センサU1,U2は、当該物体が存在する正確な空間領域を網羅しない。
【0072】
それ故に、フュージョン装置FEは、環境センサU1,U2の環境情報を融合させるように構成されている。フュージョン装置FEは、運転状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取る。フュージョン装置FEは、当該状況変数に依存して、当該融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数g1,g2を決定する。
【0073】
次いで、環境センサU1,U2の環境情報が、影響変数g1,g2に依存してフュージョン装置FEによって融合される。この場合、当該融合された環境情報は、当該物体が存在する空間領域を個々の環境センサU1,U2の環境情報としてより高い品質で新たに付与する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
自動車用のフュージョンシステムにおいて、
・前記フュージョンシステムは、
・少なくとも2つの環境センサ(U1,U2)と、
・これらの環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させるための、これらの環境センサ(U1,U2)に結合された1つのニューラルネットワーク(PV)と、
・これらの環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させるための1つのフュージョン装置(FE)と、
・このフュージョン装置(FE)と前記ニューラルネットワーク(PV)とに結合された制御装置(AV)とを有し、
・前記制御装置(AV)は、前記フュージョン装置(FE)によって融合された環境情報(vm)に依存して、前記ニューラルネットワーク(PV)によって融合された環境情報(pm)を適合し、
・当該適合された環境情報(ai)を前記自動車の運転者支援システム(FAS)に提供するように構成されている当該フュージョンシステム。
2.
前記フュージョンシステムは、前記フュージョン装置(FE)に結合された1つのプロトコル装置(LV)を有し、このプロトコル装置(LV)は、前記フュージョン装置(FE)によって提供された、結合された環境情報(vm)に対して、運転状況に関する環境に対して固有である少なくとも1つの状況変数を記憶するように、及び/又は状況変数に依存して決定され、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数(g1,g2)を記憶するように構成されている上記1に記載のフュージョンシステム。
3.
前記フュージョン装置(FE)は、
・運転状況に関する環境に対して固有である状況変数を受け取り、
・前記状況変数に依存して、融合に対する1つの環境センサの影響に対して固有の少なくとも1つの影響変数(g1,g2)を決定し、
・前記影響変数(g1,g2)に依存して、複数の前記環境センサ(U1,U2)の環境情報を融合させ、
・当該融合された環境情報(vm)を前記自動車に備えられた運転者支援システム(FAS)に提供するように構成されている上記1又は2に記載のフュージョンシステム。
4.
前記フュージョン装置(FE)は、状況変数と少なくとも1つの環境センサ(U1,U2)の機能特性との間の関係に依存して影響変数(g1,g2)を決定するように構成されている上記1~3のいずれか1つに記載のフュージョンシステム。
5.
前記フュージョン装置(FE)は、融合された環境情報(vm)を前記運転者支援システム(FAS)に提供する前に補助変数に依存して解釈するように構成されている上記1~4のいずれか1つに記載のフュージョンシステム。
6.
前記フュージョン装置(FE)は、前記環境センサ(U1,U2)によって検出された1つの物体の移動に依存して、当該融合された環境情報(vm)を補助変数として解釈するように構成されている上記5に記載のフュージョンシステム。
7.
前記フュージョン装置(FE)は、前記環境センサ(U1,U2)によって検出された物体の挙動モデルに依存して、当該融合された環境情報(vm)を補助変数として解釈するように構成されている上記5又は6に記載のフュージョンシステム。
8.
前記フュージョン装置(FE)は、交通規則に依存して、当該融合された環境情報(vm)を補助変数として解釈するように構成されている上記5、6又は7に記載のフュージョンシステム。
【符号の説明】
【0074】
U1 環境センサ
U2 環境センサ
FE フュージョン装置
G センサ
H 補助変数記憶装置
FAS 運転者支援システム
PV ニューラルネットワーク
LV プロトコル装置
AV 制御装置
図1a
図1b
図2