IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コマディール・エス アーの特許一覧

<>
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図1
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図2
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図3a
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図3b
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図4
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図5a
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図5b
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図5c
  • 特許-腕用バンドのコマなどの要素の集合体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】腕用バンドのコマなどの要素の集合体
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/10 20060101AFI20230801BHJP
   A44C 11/00 20060101ALI20230801BHJP
   A44C 5/00 20060101ALI20230801BHJP
   A44C 5/02 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A44C5/10 511B
A44C11/00
A44C5/00 501D
A44C5/02 E
A44C5/00 502D
A44C5/10 510L
A44C5/10 510K
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021171439
(22)【出願日】2021-10-20
(65)【公開番号】P2022099247
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】20216324.2
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・アレーデ
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・ロマン
(72)【発明者】
【氏名】マクシム・ドール
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0042297(US,A1)
【文献】特開2018-099447(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140055(JP,U)
【文献】特開2014-226549(JP,A)
【文献】特開2011-110236(JP,A)
【文献】国際公開第2019/016447(WO,A1)
【文献】特開2015-029888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00-5/10,11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つに組み立てられた要素(3、5、7、33、35、35’、37、37’)を少なくとも2セット(1、31)含む部品であって、各セット(1、31)は、第1の要素(3、33)、第2の要素(5、35’)および第3の要素(7、37、37’)を含み、前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)は前記第3の要素(7、37、37’)の両側に配置され、前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)はそれぞれ、第1の盲凹部(2、4)および第2の盲凹部(27、28)を有し、前記第3の要素(7、37、37’)は、第1の貫通孔(6)および第2の貫通孔(24)を有し、前記第3の要素(7、37、37’)の前記第1の貫通孔(6)は、各セット(1、31)の前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)の前記第1の盲凹部(2、4)に対面して配置され、あるセット(1、31)の前記第3の要素(7、37、37’)の前記第2の貫通孔(24)は、別のセット(1、31)の前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)の前記第2の盲凹部(27、28)と対面して配置され、各セット(1、31)内部の連結および前記2つのセット(1、31)間の連結は、それぞれ順に、
中実状の第1のロッド(11)が前記第3の要素(7、37、37’)の前記第1の貫通孔(6)に取り付けられ、前記ロッドの端部が、前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)の前記第1の盲凹部(2、4)に固定されること、
中実状の第2のロッド(11’)が前記第3の要素(7、37、37’)の前記第2の貫通孔(24)に取り付けられ、前記ロッドの端部が、前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)の前記第2の盲凹部(27、28)に固定されること
によって実現され、
前記部品(21、51)は、
-前記第1のロッド(11)および前記第2のロッド(11’)は、それぞれ順に、前記第1の盲凹部(2、4)および前記第2の盲凹部(27、28)に接着剤(15)で固定され、
-前記第1の盲凹部(2、4)および前記第2の盲凹部(27、28)は、前記第1のロッド(11)および前記第2のロッド(11’)の端部をそれぞれ収容する長手領域(2a、4a)を形成し、前記長手領域(2a、4a)は、前記長手領域(2a、4a)に対して横断方向に延在する少なくとも1つの凹所(2b、4b)に通じ、前記凹所(2b、4b)は、接着剤(15)を受け入れ、前記第1の要素(3、33)および第2の(5、35’)要素で接着剤(15)の機械的な連結を実現することと、前記長手領域(2a、4a)は、前記長手領域(2a、4a)に対して横断方向に延在する2つの凹所(2b、4b)に通じ、前記2つの凹所(2b、4b)はそれぞれ、長手領域(2a、4a)の各側に位置付けられ、一体の底部を有し、
-前記第1のロッドの端部および前記第2のロッドの端部と前記長手領域(2a、4a)のうちの一方の長手領域(4a)とは、互いに対向する面であって、前記接着剤(15)を介して互いに固定される面を有し、前記第1のロッドの端部および前記第2のロッドの端部と前記2つの凹所(2b、4b)とは、互いに対向する面であって、前記接着剤(15)を介して互いに固定される面を有することと
を特徴とする、部品(21、51)。
【請求項2】
前記2つの凹所(2b、4b)は、前記長手領域(2a、4a)の各側に互いに対面して位置付けられることを特徴とする、請求項1に記載の部品(21、51)。
【請求項3】
前記長手領域(2a、4a)は、前記少なくとも1つの凹所(2b、4b)の両側に延在することを特徴とする、請求項1または2に記載の部品(21、51)。
【請求項4】
前記第1のロッド(11)および前記第2のロッド(11’)は、前記ロッドの両端にヘッド部(11a、11’a)を有し、前記ヘッド部の周囲全体に沿ってノッチ(11b、11’b)が設けられ、前記ノッチ(11b、11’b)には接着剤(15)が充填され、前記ノッチは前記少なくとも1つの凹所(2b、4b)に対向して位置付けられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項5】
前記第1の要素および第2の要素(3、5、33、35’)の少なくとも一部は、エナメル、石、サファイア、サーメットまたはセラミックから作製されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項6】
各セットでは、前記第3の要素(7、37、37’)は複数の要素(37、37’)で形成され、前記複数の要素(37、37’)の各々の間に中間要素(35)が配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項7】
前記第3の要素(7、37、37’)の前記第1の貫通孔(6)および/または前記第2の貫通孔(24)は、前記第1の要素、第2の要素および第3の要素(3、5、33、35’、7、37’、37)が相対的に回動しないように、前記第1のロッドおよび第2のロッド(11、11’)のそれぞれの断面に合致する円形ではない断面を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項8】
前記第3の要素(7、37、37’)の前記第1の貫通孔(6)および前記第2の貫通孔(24)は、前記第3の要素(7、37、37’)が前記第1の要素および第2の要素(3、5、33、35’)に対して回動できるように、前記第1のロッドおよび前記第2のロッド(11、11’)の断面と合致する円形断面を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項9】
前記部品は、一つに連結されたセット(1、31)を少なくとも5つ含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項10】
前記部品は、腕用バンド、装飾品または宝飾品のことであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の部品(21、51)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の部品(21、51)の製造方法であって、前記第1の要素(3、33)、第2の要素(5、35’)および第3の要素(7、37、37’)の少なくともいずれか1つを付加製造によって、あるいは射出と焼結によって作製する工程を含むことと、前記第1の要素(3、33)、第2の要素(5、35’)および第3の要素(7、37、37’)を組み立てて接着によって固定する工程を含むこととを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
前記第1の要素(3、33)および前記第2の要素(5、35’)は、
a)結合剤を含む粉末状の少なくとも1つの材料の混合物から前駆体(16)を作製する工程、
b)ポリマー材料製のインサート(9)を作製する工程であって、前記インサート(9)は、少なくとも一部が前記第1の盲凹部(2、4)および第2の盲凹部(27、28)の凹状の形状を有する工程、
c)未焼成の本体(14)を形成するために、型への射出によってポリマー材料製の前記インサート(9)に前記前駆体(16)を上乗せ成形する工程、ならびに
d)前記材料で前記第1の要素(3、33)および第2の要素(5、35’)を形成するために前記未焼成の本体(14)を焼結する工程
に従って射出と焼結によって作製されることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要素の集合体に関し、さらに正確には、一つに組み立てられた要素の複数のセットを含む部品に関する。要素は、腕用バンドのコマ、装飾品のコマ、または宝飾品のコマを形成してよい。
【背景技術】
【0002】
時計業界または宝飾品業界では、様々な材料を用いて様々な外観の腕用バンドを製造している。特に、硬質材料から腕用バンドを製造することが知られている。硬質材料とは、ビッカース硬さが1000HVを上回る材料を意味する。このような硬質材料は、例えば窒化ケイ素、酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムなどのセラミックである。サーメットである場合もあり得る。硬質材料は、特にひっかき傷に非常に耐性があるため、その機械特性が利用される。これらの材料から製造された腕用バンドのコマは、一般に、コマに求められる形状にする射出工程の後に、材料を硬化させる焼結工程によって得られる。
【0003】
腕用バンドのコマを組み立てるには、雄ねじ山が設けられたねじまたは要素をねじ込むために雌ねじ山が設けられた孔がコマにある必要がある。これらのねじ山を硬質材料に加工することは困難である。
【0004】
さらに、雌ねじ山を作製するには、これらのコマに射出する可能性を制限する複雑な型が必要である。そのため、雌ねじ山を含まない面、すなわちコマが見えている面に射出点を配置しなければならない。この射出点には、色別れや流れすじなどの欠陥があるおそれがあり、これは特にカラーのセラミックを射出する場合にあり得る。見える面にこれらの欠陥があると、欠陥を除去するためにこの面を加工する必要がある。したがって、コマを直接最終形状に射出することは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コマ同士の間をねじ締めせずに取り付けることを提案して、コマに雌ねじ山を作製しないようにすることを可能にすることによって上記の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、一つに組み立てられた要素、特にコマを少なくとも2セット含む部品、特に腕用バンドに関する。本発明によれば、セット内の要素同士の連結およびセット同士の連結は、ねじ締めではなく接着によって達成される。
【0007】
さらに正確には、本発明は、一つに組み立てられた要素を少なくとも2セット含む部品であって、各セットは第1の要素、第2の要素および第3の要素を含み、第1の要素および第2の要素は第3の要素の両側に配置されている、部品に関する。第1の要素および第2の要素はそれぞれ、第1の盲凹部および第2の盲凹部を有し、第3の要素は、第1の貫通孔および第2の貫通孔を有し、第3の要素の第1の貫通孔は、各セットの第1の要素および第2の要素の第1の盲凹部に対面して配置され、あるセットの第3の要素の第2の貫通孔は、別のセットの第1の要素および第2の要素の第2の盲凹部と対面して配置される。各セット内部の連結および2つのセット同士の連結は、それぞれ順に、
-第1のロッドが第3の要素の第1の貫通孔に取り付けられ、ロッドの端部が、第1の要素および第2の要素の第1の盲凹部に接着剤で固定されること、
-第2のロッドが第3の要素の第2の貫通孔に取り付けられ、ロッドの端部が、第1の要素および第2の要素の第2の盲凹部に前記接着剤で固定されること
によって実現される。
【0008】
本発明によれば、盲凹部は、ロッドが盲凹部に確実に固定されるのを可能にする特定の形状である。第1の盲凹部および第2の盲凹部は、第1のロッドおよび第2のロッドの端部を収容する長手領域を従来の方法で画定する。本発明によれば、この長手領域は、前記長手領域に対して横断方向に延在する少なくとも1つの凹所に通じている。この凹所は、接着剤が含まれていてロッドの端部周りが固定される凹部を形成し、これによってロッドが凹部にしっかりと確実に保持される。
【0009】
好ましくは、前記第1の盲凹部および前記第2の盲凹部は、それぞれが長手領域に対して横断方向に延在する2つの凹所を画定し、2つの凹所はそれぞれ、長手領域の各側に位置付けられる。
【0010】
そのため、この1つまたは複数の凹所は、接着剤とコマとの間の機械的な連結を達成することを可能にし、これによって様々なセットをしっかりと固定することが可能になる。
【0011】
さらに、接着によって固定することで、腕用バンドの組み立てコストが下がり、組み立てが簡易になる。
【0012】
盲凹部に雌ねじ山がないことで、盲凹部を含む面、すなわち見えない面に射出点があってよいということにより、必然的に射出の型を単純にすることも可能である。これによって加工工程を回避すること、およびコマを直接正確な形状に射出することが可能になる。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、部品は、以下の特徴のいずれか1つまたは以下の特徴の適切な組み合わせを有する。
-2つの凹所は、長手領域の各側に互いに対面して位置付けられる。
-長手領域は、前記少なくとも1つの凹所の両側に延在する。
-第1のロッドおよび第2のロッドは、ロッドの両端にヘッド部を有し、ヘッド部の周囲全体に沿ってノッチが設けられ、前記ノッチには接着剤が充填され、ノッチは前記少なくとも1つの凹所に対向して位置付けられる。
-第1の要素および第2の要素の少なくとも一部は、エナメル、石、サファイア、サーメットまたはセラミックから作製される。
-各セットでは、第3の要素は複数の要素で形成され、前記複数の要素の各々の間に中間要素が配置される。
-第3の要素の第1の貫通孔および/または第2の貫通孔は、第1の要素、第2の要素および第3の要素が相対的に回動しないように、第1のロッドおよび第2のロッドのそれぞれの断面に合致する円形ではない断面を有する。
-第3の要素の第1の貫通孔および第2の貫通孔は、第3の要素が第1の要素および第2の要素に対して回動できるように、第1のロッドおよび第2のロッドの断面と合致する円形断面を有する。
-部品は、一つに連結されたセットを少なくとも5つ含む。
-部品は、腕用バンド、装飾品または宝飾品のことである。
【0014】
本発明は、第1の要素、第2の要素および第3の要素の少なくともいずれか1つを付加製造によって、あるいは射出と焼結によって作製する工程を含み、かつ第1の要素、第2の要素および第3の要素を組み立てて接着によって固定する工程を含む、部品の製造方法にも関する。
【0015】
本方法の特定の実施形態によれば、第1の要素および第2の要素は、
a)結合剤を含む粉末状の少なくとも1つの材料の混合物から前駆体を作製する工程、
b)ポリマー材料製のインサートを作製する工程であって、インサートは、少なくとも一部が第1の盲凹部および第2の盲凹部の凹状の形状を有する工程、
c)未焼成の本体を形成するために、型への射出によってポリマー材料製のインサートに前駆体を上乗せ成形する工程、ならびに
d)前記材料で前記第1の要素および第2の要素を形成するために前記未焼成の本体を焼結する工程
に従って射出と焼結によって作製される。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として挙げた以下の好適な実施形態の説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コマ同士を接着で組み立てた本発明による部品の断面図である。
図2】コマ同士を接着で組み立てた本発明による別の部品の平面図である。
図3a】ロッドを接着によりコマに固定する工程を示す図である。
図3b】ロッドを接着によりコマに固定する工程を示す図である。
図4】盲凹部を有するコマを製造する方法のブロック図である。
図5a図4の方法に従って得たコマの概略断面図である。
図5b図4の方法に従って得たコマの概略断面図である。
図5c図4の方法に従って得たコマの概略断面図である。
図6】本発明によるコマの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、腕用バンド、装飾品または宝飾品を形成することを意図した要素、例えばコマの集合体に関する。集合体は、さらに詳細には、全体または一部が硬質材料で作製された要素に適応している。本発明に記載の「硬質材料」という用語は、硬さが実質的に600HV以上、あるいは1000HV以上で、破損前の塑性変形をわずかしか受け入れないかまったく受け入れない材料を指す。何ら限定的ではない例として、硬質材料として挙げられるのは、例えばエナメル、貴石かどうかを問わずルビー、サファイアまたは石英などの石、金属または非金属の酸化物、炭化物または窒化物などのセラミック、サーメットまたは硬質金属である。
【0019】
腕用バンドに関して以下に説明する本発明による部品は、一つに組み立てられた要素を少なくとも2セット含む。本発明によれば、1セットの要素同士の固定およびセット同士の固定は、接着によって達成される。
【0020】
図1の破線が画定する各セット1は、全体または一部を硬質材料で形成できる少なくとも3つの要素3、5、7を含む。このセットは、第1の側部要素3および第2の側部要素5を含み、両者は、側部要素同士の間に配置された第3の要素7に対して実質的に対称である。要素3、5、7は、優先的にジグザグに取り付けられることに注意されたい。
【0021】
第1の要素および第2の要素3、5はそれぞれ、第1の盲凹部2、4を有し、第3の要素7は、第1の貫通孔6を有する。図1に示したように、凹部2、4および孔6は、第1の要素、第2の要素および第3の要素3、5、7をロッド11を介して固定するために同一線上になるように意図され、ロッドは、中央の第3の要素7の貫通孔6に取り付けられ、その端部は凹部2、4に接着される。盲凹部2、4は、ロッド11の端部を収容する長手領域2a、4aと、前記長手領域に対して横断方向に延在する少なくとも1つの凹所2b、4bとを画定する(図3a)。この凹所は、接着剤15を受け入れて、接着剤が第1要素と第2の要素とを機械的に装着するようにする(図3b)。好ましくは2つの横断方向の凹所2b、4bは、長手領域2a、4aの両側に配置され、かつ優先的に互いに対面している。引き続き好ましくは、長手領域2a、4aは、凹所2b、4bの両側に延在し、ロッド11の端部は長手領域2a、4aの端部に当接している。
【0022】
さらに、好ましくは、ロッド11は、その端部にヘッド部11aを有し、ヘッド部の周囲全体に沿ってノッチ11bが設けられている。このノッチには接着剤が充填され、ノッチは凹所に対向して位置付けられる。ロッド11は、第3の要素7の貫通孔6に収容される主要部分10を有する(図1)。残りの間隙に応じて、または貫通孔6と部分10それぞれの形状に沿って、第1の側部要素および第2の側部要素3、5は、中央の第3の要素7に対して回動できたりできなかったりする。何ら限定的ではない例として、貫通孔6は、第1の要素、第2の要素および第3の要素3、5、7が相対的に回動しないように、ロッド11の中央部分10の断面と合致する円形ではない断面を有していてよい。逆に、中央の第3の要素7が第1の側部要素および第2の側部要素3、5に対して回動できるように、貫通孔6がロッド11の部分10の断面と合致する円形断面を有することを検討してよい。
【0023】
図2に示した変形例では、各セット31は、5つの要素を有する。これは、第1の種類のセット1の要素3、5、7に匹敵する3つの要素33、35’、37に加えて第2の種類のセット31が、中央の第2の要素37’および中間要素35を有する中間列を含んでいるからである。
【0024】
セット1、31は、例えば、腕用バンド、装飾品または宝飾品などの部品を形成するために、別のセット等と一緒に組み立てられる。図2に示したように、計時器の中央に取り付けるように意図された腕用バンドを形成するために、複数のセット31を尾錠61を用いて一つに連結できる。
【0025】
2つのセット1、31はまた、セット1の第3の要素7の第2の貫通孔24に取り付けたロッド11’を介して一つに連結される。各々のロッド11’はそれぞれ、別の隣接するセット1の第1の要素および第2の要素3、5に形成された第2の盲凹部27、28にそれぞれが取り付けられ、接着される。第2の貫通孔24に取り付けるように意図したロッド11’は、第1の貫通孔6に取り付けるように意図したロッドとほぼ同じ構成である。同じように、盲凹部27、38は、盲凹部2、4と同じ特徴を有する。
【0026】
第1の貫通孔6の場合、残りの間隙または貫通孔24の形状およびロッド11’それぞれの形状に応じて、中央の第3の要素7は、この第3の要素の枠組みとなる第1の側部要素および第2の側部要素3、5に対して回動できたりできなかったりすることが理解されるであろう。ちょうど第1の貫通孔6のように、貫通孔24は、第3の要素と第1の側部要素および第2の側部要素とが相対的に回動しないように、ロッド11’の断面と合致する円形ではない断面を有していてよい。逆に、そのような相対的な回動が可能なように、貫通孔24がロッド11’の断面と合致する円形断面を有することを検討できる。
【0027】
セット1を取り付ける方法を以下に説明する。始めに、要素3、5、7は、様々な孔または凹部2、4、6、27、28、24がある状態で製造される。好ましくは、盲凹部2、4、27、28を有する要素3、5の少なくとも一方は、以下にさらに詳細に説明する方法に従って、付加製造によって、あるいは射出と焼結によって製造される。第二に、ロッド11、11’は、それぞれが側部要素3の凹部2および27に取り付けられ、接着によって固定される(図3aおよび図3b)。接着は、例えば、粘度が400パスカル秒を上回り引張強度が40N/mmを上回るエポキシ接着剤によるものであってよい。接着は、圧力をかけたスポイトを用いて堆積させて行う。第三に、第1の側部要素3から突出しているロッド11、11’の部分はそれぞれ、第1のロッド11がセット1の第3の要素7の第1の貫通孔6に、第2のロッド11’が隣接するセット1の第3の要素7の第2の貫通孔24に嵌合する。第四に、第3の要素7から突出している各ロッド11、11’の第2の端部は、第2の側部要素5の凹部4および28に取り付けられ、接着によって固定される。第4段階の終わりに、各セット内の要素2、5および7は、完全に一つに固定され、セット同士は互いに完全に固定される。
【0028】
図2に示したように要素が3つよりも多い場合、原理は、第3の中央の要素を形成している要素37、37’と実質的に同じである。これらの要素37、37’の第1の貫通孔および第2の貫通孔は、2つの隣接するセット31の中間要素35に形成された2つの貫通孔それぞれと連通して、盲凹部を有する側部要素33と35’との間に延在する2つのロッド11、11’をそれぞれ受け入れる。
【0029】
上記に説明したように、盲凹部を有する側部要素3、5は、付加製造によって、あるいは射出と焼結によって製造できる。盲凹部は、付加製造の過程で直接作ることができる。射出と焼結で製造する場合、盲凹部を有する側部要素は、欧州特許第20194714号明細書に記載の凹部の形状を有する使い捨てプラスチック材料で作製されたインサートに硬質材料を上乗せ成形することによって製造できる。この明細によれば、図4に概略的に示したように、本方法8は、結合剤を含む粉末状の少なくとも1つの硬質材料の混合物から前駆体を作製する第1の工程a)を含む。これに関連して、セラミックベースの粉末は、少なくとも1つの金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物を含んでいてよい。例として、セラミックベースの粉末は、合成ルビー、任意選択で着色してよい酸化ジルコニウム、任意選択で着色してよいアルミナ、窒化ケイ素、サーメット、金属およびこれらの金属の合成物を形成するために、酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムと酸化クロムとの混合物を含んでいてよい。サーメットは、例えば炭化チタンまたは炭化タングステンである。金属は、例えばタングステン、チタン、316Lステンレス鋼または鋼で、ニッケルを含まないことが好ましい。結合剤は、有機タイプのものである。
【0030】
本方法8は、ポリマー材料製のインサート9を作製する第2の工程b)を含み、インサートは、少なくとも一部が側部要素3、5の凹部に必要な凹状の形状を有する(図5a)。ポリマーは、例えば以下のリストから選択される:PVD(可塑化ポリビニルブチラールの略)、CAB(可塑化酢酸ブチレートセルロースの略)、またはPBMAタイプ(ポリブチルメタクリレートの略)のアクリル樹脂。
【0031】
第3の工程c)は、未焼成の本体14を形成するためにポリマー材料製のインサート9に前駆体16を上乗せ成形することからなる(図5b)。上乗せ成形は、特に型へ射出することで実施される。型は、部品の収縮係数を考慮して、少なくとも一部が必要な部品の形状になっている。前駆体は、チューブを通して、その後、型全体に前駆体を分布させるための回路を通して型に射出される。そのため、前駆体は、側部要素の形状である型の形状になる。代案として、円形シートまたはチャネルを介して射出を実施することも可能である。未焼成の本体は、型の形状になり、少なくとも一部が上乗せ成形するインサートの形状になる。
【0032】
第4の工程d)では、未焼成の本体は、射出によって作製された未焼成の本体の不要な部分を除去するために加工される。例えば、ノズル、または射出システムのチューブまたは分布回路が原因で形成されたチャネルを除去する。このようにして加工した未焼成の本体が得られる。
【0033】
第5の工程e)では、ポリマーインサート9は、熱脱バインダによって除去される。好ましくは、インサートに上乗せ成形した未焼成の本体は、80℃のアルコール浴に浸漬される。アルコール浴はポリマーインサートを溶解するため、未焼成の本体は、インサートによって必要な形状にされた状態で得られる。あるいは、熱脱バインダを実施してポリマーインサートを除去することが可能である。そのため、インサートに上乗せ成形した本体は、ポリマーがなくなるように高温で加熱される。その結果、ポリマーインサートは未焼成の本体から取り除かれる。インサートは、未焼成の本体14に凸状の形状を残す。これは盲凹部2、4、27、28の形状である(図5c)。
【0034】
第6の工程f)の機能は、前記少なくとも1つの硬質材料でその後の部品の本体を形成するために前記加工した未焼成の本体を焼結することである。焼結は、粉末粒子が凝集するように前駆体を加熱することからなる。焼結の過程で未焼成の本体は、硬化し、特定の焼結係数を有する硬い本体になるように収縮しながら硬化する。優先的に、本発明によれば、焼結工程は、熱分解を含んでいてよい。得られた部品の本体は、この工程によって実質的に硬化する。そのため、部品の本体は、図6に示したような最終形状になる。
【0035】
硬質材料のグレージングおよび/または研磨を行うために第7の工程g)も必要なことがある。これによって、側部要素の美観が向上する。
【0036】
次に、側部要素は、上記の組み立て方法に従って各セット内に組み立てられる。
【0037】
変形例では、射出と焼結による製造の場合も付加製造の場合も、盲凹部は、未焼成の本体または焼結後の硬い本体に加工して作製されてよい。
【0038】
中央の要素7は、付加製造によって、あるいは射出と焼結によって製造されてよい。
【符号の説明】
【0039】
1、31 セット
2、4 第1の盲凹部
27、28 第2の盲凹部
2a、4a 長手領域
2b、4b 凹所
3、33 第1の要素
5、35’ 第2の要素
6 第1の貫通孔
24 第2の貫通孔
7、37、37 第3の要素
9 インサート
10 主要部分
11 第1のロッド
11’ 第2のロッド
11a ヘッド部
11b ノッチ
14 未焼成の本体
15 接着剤
16 前駆体
21、51 部品
61 尾錠
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図6