(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】電子部品用薄型筐体
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20230801BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20230801BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
H01F30/10 G
H01F30/10 F
H01F17/04 N
H01F27/29 J
(21)【出願番号】P 2021523495
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 US2019058950
(87)【国際公開番号】W WO2020092636
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505441524
【氏名又は名称】ボーンズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,カザル
(72)【発明者】
【氏名】ヘネシー,トム
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06753749(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0119864(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092411(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02555873(GB,A)
【文献】特開2007-227661(JP,A)
【文献】特開2011-171577(JP,A)
【文献】実開平04-096813(JP,U)
【文献】特開2000-306742(JP,A)
【文献】特開2001-006940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/10
H01F 17/04
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型の電子部品ハウジングであって、
キャビティ
および側壁を有する本体と、
前記本体の前記キャビティ内に配置された電子部品と、
前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記本体の前記キャビティ内に延びる延長部分を有
し、前記側壁および前記延長部分が互いに反対の方向に垂直に延びる蓋と、
ワイヤと、
前記ワイヤによって前記電子部品と電気的に結合される端子と、
を有し、
前記端子と前記電子部品との間に最小沿面経路が配置され、前記最小沿面経路は、前記端子と前記電子部品との間を絶縁面に沿って計測した距離を有し、
前記電子部品ハウジングの断面において、前記最小沿面経路
の一部は、前記蓋の前記延長部分
および前記側壁に沿って
、前記最小沿面経路の長さを増大させるように蛇行する
ことを特徴とする電子部品ハウジング。
【請求項2】
前記電子部品は、巻線電子部品を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項3】
前記巻線電子部品は、変圧器を含むことを特徴とする請求項2に記載の電子部品ハウジング。
【請求項4】
前記最小沿面経路は、前記延長部分と前記本体の間を延びることを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記電子部品ハウジングの側面に沿って配線されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項6】
前記ワイヤは、前記電子部品ハウジングの側面に配置された側面開口部を通って前記キャビティ内に配線されることを特徴とする請求項5に記載の電子部品ハウジング。
【請求項7】
前記電子部品ハウジングの側面に沿って端子が配置されていないことを特徴とする請求
項6に記載の電子部品ハウジング。
【請求項8】
前記延長部分は、中央壁部分の2つの端部から延びる2つの曲面状の壁部分を有することを特徴とする請求項
1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項9】
前記側壁は、中央側壁部分の2つの端部から延びる2つの曲面状の側壁部分を有することを特徴とする請求項
8に記載の電子部品ハウジング。
【請求項10】
前記延長部分の前記2つの曲面状の壁部分は、前記側壁の前記2つの曲面状の側壁部分と嵌合し、前記延長部分の前記中央壁部分は、前記側壁の前記中央側壁部分と嵌合することを特徴とする請求項
9に記載の電子部品ハウジング。
【請求項11】
前記電子部品ハウジングは、前記側面に非平行に配置された前面を有し、前記側壁および前記蓋は協働して前記前面に、前記電子部品を前記電子部品ハウジングの外部に露出させる前面開口部を規定することを特徴する請求項
6に記載の電子部品ハウジング。
【請求項12】
前記電子部品ハウジングの前記前面に沿って配置された複数のピンを有する別の端子をさらに有することを特徴とする請求項
11に記載の電子部品ハウジング。
【請求項13】
前記蓋は、前記蓋を前記本体に固定し、かつ、前記本体の一部に前記ワイヤを少なくとも部分的に固定するロック要素をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項14】
前記最小沿面経路の長さは、少なくとも8.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項15】
前記ハウジングの高さは7.5mm以下であり、前記ハウジングの奥行きは12.5mm以下であり、前記ハウジングの幅は11mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項16】
前記ワイヤは、絶縁ワイヤを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品ハウジング。
【請求項17】
前記絶縁ワイヤは、3層絶縁ワイヤを含むことを特徴とする請求項
16に記載の電子部品ハウジング。
【請求項18】
薄型の電子部品ハウジングであって、
基部と、前
記基部に非平行に延びる側壁とを有する本体と、
前記本体のキャビティ内に配置された電子部品と、
前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記側壁に沿って前記本体に向かって延びる延長部分を有する蓋と、
ワイヤによって前記電子部品と電気的に結合される端子と、
を有し、
前記端子と前記電子部品との間に最小沿面経路が配置され、前記最小沿面経路は、前記端子と前記電子部品との間を絶縁面に沿って計測した距離を有
し、
前記電子部品ハウジングの断面において、前記最小沿面経路の一部は、前記蓋の前記延長部分および前記側壁に沿って蛇行する
ことを特徴とする薄型の電子部品ハウジング。
【請求項19】
前記電子部品は、巻線電子部品を含むことを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子
部品ハウジング。
【請求項20】
前記巻線電子部品は、変圧器を含むことを特徴とする請求項
19に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項21】
前記延長部分および前記側壁は、少なくとも部分的に前記電子部品の周囲に配置されることを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項22】
前記電子部品に電気的に結合される別の端子をさらに有することを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項23】
前記別の端子は、前記ハウジングの前面に沿って配置され、前記前面は、前記電子部品を前記ハウジングの外部に露出させる前面開口部を有することを特徴とする請求項
22に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項24】
前記別の端子は、前記前面開口部を通って前記電子部品に電気的に結合されることを特徴とする請求項
23に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項25】
前記ワイヤは、前記ハウジングの側面に沿って配線され、前記ハウジングの側面の側面開口部を通って前記ハウジング内に延び、前記側面は前記前面に非平行に配置されていることを特徴とする請求項
24に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項26】
前記蓋は、前記ワイヤを前記本体に少なくとも部分的に固定することを特徴とする請求項
25に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項27】
前記蓋は、少なくとも1つのタブを有し、前記蓋が前記本体に固定されると、前記タブは、前記ワイヤを前記タブと前記本体との間に固定することを特徴とする請求項
26に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項28】
前記少なくとも1つのタブは、前記蓋の互いに隣接する角に配置された2つのタブを含むことを特徴とする請求項
27に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項29】
前記ワイヤは、前記本体の互いに対向する面に沿って配線された2つのワイヤを含み、各タブはそれぞれ異なるワイヤを前記本体のそれぞれ異なる面に固定することを特徴とする請求項
28に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項30】
前記蓋は、前記蓋を前記本体に固定し、かつ、前記ワイヤを前記本体の一部に固定するロック機構を有することを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項31】
前記ワイヤは、絶縁ワイヤを含むことを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項32】
前記絶縁ワイヤは、3層絶縁ワイヤを含むことを特徴とする請求項
31に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項33】
前記延長部分および前記側壁は、垂直に形成されていることを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項34】
前記端子は、前記延長部分の一方の側であって、前記キャビティに対向する側壁に配置されていることを特徴とする請求項
18に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【請求項35】
薄型の電子部品ハウジングであって、
基部と、前記基部に非平行に配置された側壁とを有する本体と、
キャビティ内に配置された電子部品と、
前記キャビティおよび前記電子部品を覆うように前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記基部に向かって延びる係合部材
と前記蓋の前記側面部分から前記本体に向かって前記側壁に沿って延びる延長部分とを有する蓋と、
前記係合部材と前記側壁との間の側面開口部を通って延びるワイヤと、
を有し、
端子と前記電子部品との間に最小沿面経路が配置され、前記最小沿面経路は、前記端子と前記電子部品との間を絶縁面に沿って計測した距離を有
し、
前記電子部品ハウジングの断面において、前記最小沿面経路の一部は、前記蓋の前記延長部分および前記側壁に沿って蛇行する
ことを特徴とする薄型の電子部品ハウジング。
【請求項36】
前記端子は、前記ワイヤによって前記電子部品に電気的に結合され
ることを特徴とする請求項
35に記載の薄型の電子部品ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願62/754,413(2018年11月1日、「LOW-PROFILE HIGH-CREEPAGE HOUSING」)の優先権の利益を主張し、参照によりその全体を本明細
書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本件の分野は、変圧器などの電子部品のハウジングに関する。
【背景技術】
【0003】
トランスなどの電子部品には厳しい規制があり、様々な規格を満たさなければならない。例えば、当該規制は、一般に、電子部品が最小沿面距離(クリーページ距離;creepage
distance)およびクリアランス距離を有することを必要とする。最小沿面距離は、2つ
の導電性部品間の絶縁の表面に沿って測定される2つの導電性部品間の最短経路である。最小クリアランスは、空気を通して測定される2つの導電性部品間の最短経路である。
【0004】
最小沿面距離およびクリアランス距離を提供する要件は、小さなフォームファクタの装置を提供する要望と競合することが多い。最小沿面距離およびクリアランス距離は、2つの導電性部品の間の経路を増大するために部品を伸ばすことによって満たすことができる。小さなフォームファクタの装置は、ポッティング(例えば、デバイス内の空隙をエポキシのような絶縁性化合物で充填する)を通して最小沿面距離およびクリアランス距離を達成することができるが、ポッティングは、そのような装置のコストを著しく増大させる。したがって、最小沿面距離およびクリアランス距離を満たすことができる小さな形状因子を有する電子部品が依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、薄型の電子部品のハウジングは、キャビティを有する本体と、前記本体の前記キャビティ内に配置された電子部品と、前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記本体の前記キャビティ内に延びる延長部分を有する蓋と、ワイヤと、前記ワイヤによって前記電子部品と電気的に結合される端子と、を有し、前記端子と前記電子部品との間に最小沿面経路が配置され、前記最小沿面経路は、前記端子と前記電子部品との間を絶縁面に沿って計測した距離を有し、前記最小沿面経路は、前記蓋の前記延長部分に沿って延びることを特徴とする。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記電子部品は、巻線電子部品を含む。前記巻線電子部品は、変圧器でもよい。前記最小沿面経路は、前記延長部分と前記本体の間を延びてもよい。前記ワイヤは、前記電子部品ハウジングの側面に沿って配線されてもよい。前記ワイヤは、前記電子部品ハウジングの側面に配置された側面開口部を通って前記キャビティ内に配線されてもよい。前記電機部品ハウジングの側面に沿って端子が配置されていなくてもよい。前記本体はさらに側壁を含んでもよい。前記側壁および前記延長部分は、互いに反対の方向に垂直に延びてもよい。
【0007】
前記延長部分は、中央壁部分の2つの端部から延びる2つの曲面状の壁部分を有してもよい。前記側壁は、中央側壁部分の2つの端部から延びる2つの曲面状の側壁部分を有してもよい。前記延長部分の前記2つの曲面状の壁部分は、前記側壁の前記2つの曲面状の側壁部分と嵌合し、前記延長部分の前記中央壁部分は、前記胃側壁の前記中央側壁部分と嵌合するように構成されてもよい。前記電子部品ハウジングは、前記側面に非平行に配置
された前面を有し、前記側壁および前記蓋は協働して前記前面に、前記電子部品を前記電子部品ハウジングの外部に露出させる前面開口部を規定してもよい。
【0008】
前記電子部品ハウジングの前記前面に沿って配置された複数のピンを有する別の端子をさらに有してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記蓋は、前記蓋を前記本体に固定し、かつ、前記本体の一部に前記ワイヤを少なくとも部分的に固定するロック要素をさらに有してもよい。前記最小沿面経路の長さは、少なくとも8.0mmとすることができる。前記ハウジングの高さは7.5mm以下であり、前記ハウジングの奥行きは12.5mm以下であり、前記ハウジングの幅は11mm以下とすることができる。前記ワイヤは、絶縁ワイヤを含んでもよい。前記絶縁ワイヤは、3層絶縁ワイヤを含んでもよい。
【0010】
別の態様において、薄型電子部品ハウジングは、基部と、前記側面基部に非平行に延びる側壁とを有する本体と、前記本体のキャビティ内に配置された電子部品と、前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記側壁に沿って前記本体に向かって延びる延長部分を有する蓋と、ワイヤによって前記電子部品と電気的に結合される端子と、を有することを特徴とする。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記電子部品は、巻線電子部品を含んでもよい。前記巻線電子部品は、変圧器を含んでもよい。前記延長部分および前記側壁は、少なくとも部分的に前記電子部品の周囲に配置されてもよい。前記電子部品に電気的に結合される別の端子をさらに有してもよい。前記別の端子は、前記ハウジングの前面に沿って配置され、前記前面は、前記電子部品を前記ハウジングの外部に露出させる前面開口部を有してもよい。前記別の端子は、前記前面開口部を通って前記電子部品に電気的に結合されてもよい。
【0012】
ワイヤは、ハウジングの側面に沿って経路設定することができ、ハウジングの側面における側面開口を通ってハウジング内に延在することができ、側面は、前面に対して非平行に配置される。蓋は、ワイヤを少なくとも部分的に本体に固定することができる。蓋は、蓋が本体に固定されたときにタブと本体との間にワイヤを固定する少なくとも1つのタブを含むことができる。少なくとも1つのタブは、蓋の隣接する角に位置する2つのタブを含むことができる。ワイヤは、本体の両側に沿ってルーティングされる2つのワイヤを含むことができ、各タブは、本体の異なる側に異なるワイヤを固定するように構成される。
【0013】
前記蓋は、前記蓋を前記本体に固定し、かつ、前記ワイヤを前記本体の一部に固定するロック機構を有してもよい。前記ワイヤは、絶縁ワイヤを含んでもよい。前記絶縁ワイヤは、3層絶縁ワイヤを含んでもよい。前記延長部分および前記側壁は、垂直に形成されてもよい。前記端子は、前記延長部分の一方の側であって、前記キャビティに対向する側壁に配置されてもよい。
【0014】
別の態様において、薄型電子部品ハウジングは、基部と、前記基部に非平行に配置された側壁とを有する本体と、前記キャビティ内に配置された電子部品と、前記キャビティおよび前記電子部品を覆うように前記本体に固定される蓋であって、前記蓋の側面部分から前記基部に向かって延びる係合部材を有する蓋と、前記係合部材と前記側壁との間の側面開口部を通って延びるワイヤと、を有することを特徴とする。
【0015】
いくつかの実施形態では、薄型の電子部品ハウジングは、前記ワイヤによって前記電子部品に電気的に結合される端子をさらに有してもよい。
【0016】
これらの実施形態はすべて、本明細書に開示される本発明の範囲内にあることが意図さ
れる。これらの実施形態および他の実施形態についても、添付の図面を参照した好適な実施形態についての詳細な説明から当業者に自明なものとして容易に理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで、本発明の具体的な実施形態について、限定ではなく例示として提示する目的で、以下の図面を参照しながら説明する。
【0018】
【
図1】
図1は、種々の実施形態による、電子部品が設けられた電子部品ハウジングの正面斜視図である。
【
図2】
図2は、トランスが配置された
図1の電子部品ハウジングの側面断面図であり、最小沿面経路も概略的に示す図である。
【
図3】
図3A~3Fは、
図1の電子部品ハウジングの様々な概略図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本体部分の背面を示す、
図1の電子部品ハウジングの本体部分の斜視図である。
【
図6】
図6は、本体部分に連結された蓋部分を示す、
図1の電子部品ハウジングの背面斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1の電子部品ハウジングおよび電子部品の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態による、ハウジングの蓋部分の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の蓋部分と嵌合するように構成された本体部分の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図10】
図10は、変圧器が内部に配置された
図8および
図9のハウジングの例示的な実施形態の側面断面図であり、最小沿面経路も概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に開示される様々な実施形態は、薄型かつ最小沿面経路(クリーページ経路;creepage path)を有する電子部品用のハウジングに関する。ハウジングは、電子部品(
1つまたは複数)、例えば一部の実施形態では変圧器を含む。通常は、電子部品および付随するハウジングは、安全かつ適切な動作のための最小沿面距離(クリーページ距離; creepage distance)に対する規制要件を受ける場合がある。一例として、ハウジングは変圧器を収容することができ、ハウジングは、所定の動作パラメータ(例えば、特定の作動電圧、特定の環境条件など)内で変圧器の動作のための規制要件を満たす十分な最小沿面距離およびクリアランス距離を実現する一方で、小さなフォームファクタに対する顧客需要を満たすことができる。ハウジングは、コンパクトな設計において、最小沿面距離および/またはクリアランス距離を向上させる1つまたは複数の特徴または構造を含むことができる。
【0020】
最小沿面経路は、2つの導電性部品間の絶縁面に沿って計測される2つの導電性部品間の最短経路である。適切かつ十分な最小沿面距離によって、絶縁表面が劣化されて少なくとも部分的に導電性となる不良モードである、トラッキングから保護される。トラッキングによる絶縁体への損傷は、一般に、時間経過と共に大きくなり、過度の作動電圧や、環境内の湿度、絶縁体内または絶縁体上における環境内の腐食性物質や塵を含むその他の汚染物質、湿度や水分の程度、さらには電子部品が動作する場所の高度など、様々な要因に
よって加速される。したがって、調整器によって決まる最小沿面距離は、予測される作動電圧、絶縁体の材料特性、および予測される作動環境(例えば、乾燥、湿潤、清浄、粉塵、塩分、腐食性、高高度または低高度など)などや、これらに限定されない複数の因子の関数となる。
【0021】
予想される動作環境は、汚染度によって分類することができる。第1の汚染度は、汚染のない環境、または乾燥および非導電性汚染(例えば、トラッキングに影響を及ぼさない汚染)のみがある環境を含む。第2の汚染度は、通常は非導電性汚染のみがある環境であるが、結露(一部の標準的な結露は、装置が動作していない場合は許容可能)によって引き起こされる間欠的に導電する現象が生じても許容できる環境も含む。第3の汚染度は、結露により導電性となる導電性汚染や乾式非導電性汚染の環境を含む。第4の汚染度は、導電性の塵、雨、雪、またはその他の汚染物質によって継続的に導電する現象が生じる環境を含む。
【0022】
トラッキングに対する絶縁材料の抵抗は、絶縁体に一定量の電流が流れるまで絶縁体に試験電圧を加えることによって決定される比較トラッキング指数(CTI)によって説明できる。CTI値がより高い材料は、トラッキングに対してより耐性があり、したがって規制要件を満たすには、より短い最小沿面距離が必要となる。ガラスおよびセラミックなどの無機物を含む一部の材料は、トラッキングを受けにくい。一般に、ポリエチレンなどのプラスチックは、プリント回路基板材料(例えば、FR4ガラス強化エポキシラミネート材料)よりもトラッキングに対してより耐性があり、プリン後回路基板材料はガラス充填PCB FR4よりもトラッキングに対してより耐性があり、ガラス充填PCB FR4はフェノール樹脂よりもトラッキングに対してより耐性がある。
【0023】
最小沿面距離とは対照的に、最小クリアランスは、2つの導電性部分の間の最短の通風経路である。最小沿面距離と同様に、調整器によって決まる最小クリアランス距離は、予測される動作電圧および予測される動作環境(例えば、乾燥、湿潤、清浄、粉塵、腐食性、高高度または低高度など)を含むが、これらに限定されない複数の因子に依存する。
【0024】
少なくともいくつかの実施形態では、本明細書で説明するハウジングは、少なくとも9.2mmの最小沿面経路で構成され、この距離は、予想される動作環境および絶縁体材料で400Vの動作電圧に対して決まる距離を超えてもよい。また、ハウジングは、約6.8mm(または7.0mm)の高さ、約12.1mmの奥行き、および10.4mmの幅を有するコンパクトな寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、ハウジングの高さは、8.0mm以下、7.5mm以下、7.0mm以下、6.5mm以下、6.0mm以下、7.5~8.0mm、7.0~7.5mm、6.5~7.0mm、または6.0~6.5mmであってもよい。また、ハウジングの奥行きは、13.0mm以下、12.5mm以下、12.0mm以下、11.5mm以下、11.0mm以下、10.5mm以下、12.5~13.0mm、12.0~12.5mm、11.5~12.0mm、11.0~11.5mm、または10.5~11.0mmであってもよい。さらに、ハウジングの幅は、11.5mm以下、11.0mm以下、10.5mm以下、10.0mm以下、9.5mm以下、9.0mm以下、11.0~11.5mm、10.5~11mm、10.0~10.5mm、9.5~10.0mm、または9.0~9.5mmであってもよい。さらに、ハウジングは、最小沿面経路が少なくとも7.0mm、少なくとも7.5mm、少なくとも8.0mm、少なくとも8.5mm、少なくとも9.0mm、少なくとも9.5mm、少なくとも10.0mm、7.0~7.5mm、7.5~8.0mm、8.0~8.5mm、8.5~9.0mm、9.0~9.5mm、または9.5~10.0mmなるような寸法とすることができる。
【0025】
図1は、例示的な一実施形態における電子部品ハウジング100の正面斜視図である。
図1に示すように、ハウジング100は、本体部分200および蓋部分300を有する。いくつかの実施形態では、蓋部分300は、蓋部分300の係合部材302および304を介して本体部分200に取り外し可能に連結される。係合部材302、304は、本体部分200の係合部分にそれぞれ係合する。いくつかの実施形態では、係合部材302、304は、ツールレス接続、例えば、スナップ嵌合接続によって本体部分200と係合してもよい。いくつかの実施形態では、接着剤を使用して、蓋部分300の本体部分200への固定を補助してもよい。種々の実施形態において、蓋部分300は、本体部分200により永続的に固定されてもよい(例えば、以下の構成要素400の設置)。本体部分200および蓋部分300は、プラスチックを含む任意の材料で形成することができる。
【0026】
ハウジング100は、端子またはピン202、204を介して外部回路(たとえば、他の電子デバイス、プリント回路基板などのパッケージ基板、または任意の他の適切な外部デバイス)に接続できる巻線電子部品などの電子部品400を収容することができる。巻線電子部品は、変圧器400とすることができる。他の実施形態では、電子部品400は、他の種類の電子デバイスを含むことができる。ピン202は変圧器400の一次巻線に結合されてもよく、ピン204は変圧器400の二次巻線に結合されてもよい。全般的に、本明細書における一次および二次の参照は、互いに入れ替えてもよい(例えば、必要に応じて、二次側を一次側として動作させ、一次側を二次側として動作させてもよい)。ピン204は第1の端子とすることができ、ピン202は第2の端子とすることができる。
【0027】
種々の実施形態において、変圧器400は、蓋部分300が取り外されている間に本体部分200内に挿入されてもよい。蓋部分300は、変圧器400が蓋部分と本体部分との間のキャビティに挿入された後に、本体部分200に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング100の前面130に、電子部品ハウジングの外部に電子部品を露出させる前面開口部401を設けることができる。前面開口部401は、組み立て時(はんだ付け後の洗浄など)に使用される液体を蒸発させることができるといった利点を提供する。ただし、他の実施形態では、前面130は、前面開口部を有さない代わりに、例えば、ピン202に接続されたピラー131と変圧器400との間に壁を設けることによって閉じられてもよい。また、ハウジング100の設計は、例えば、ピン202、204がパッケージ基板などの外部デバイスにはんだ付けされる際に、はんだ熱からワイヤ402を少なくとも部分的に保護することができる。図に示すように、ピン202は、ハウジング100の前面130に沿って、例えば、前面開口部401と同じ側面に沿って配置されてもよい。
【0028】
また、
図1には、ハウジング100の側面132に沿って配線されるワイヤ402を示す。ハウジングの側面132は、前面130に対して非平行(例えば、ほぼ垂直)であり、前面130と、前面130の反対側の後面134との間に配置することができる。ワイヤ402は、3層絶縁ワイヤのような絶縁ワイヤであってもよい。ワイヤ402は、複数の3層絶縁ワイヤであってもよいし、3層絶縁ワイヤと他の種類のワイヤとの組み合わせであってもよい。ワイヤ402は、ピン204に結合され、ハウジング100の後面134から配線できる。ワイヤ402は、変圧器に結合されてもよく、ハウジング100のキャビティから、側面132に沿ってハウジング100の側面開口部133Aを通って延在してもよい。側面開口部133Aは、端子またはピンが設けられないハウジングの側面(例えば、側面132または136)に配置されてもよい。側面開口部を端子のない側面に設けることにより、大きな最小クリアランスを好適に確保できる。
図3Bに示すように、第2の側面開口部133Bは、ハウジング100の対向する側面136を通って設けることもでき、端子またはピンをなくすこともできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本体部分200は、溝210を有してもよく、ワイヤ402は、溝210内に配置されてもよい。蓋部分300は、ワイヤ402を適所に保護および
/または固定することができる。一例として、蓋部分300の係合部材302は、蓋部分300を本体部分200に固定することに加えて、蓋部分300が本体部分200に固定されると、ワイヤ402を定位置に固定するロック要素として機能する。
図1は、ハウジング100の一方の側面132上の溝210を示すが、同様の溝(および第2のワイヤ)が、ハウジング100の他方の対向する側面136(
図3B参照)に配置することもできる。必要に応じて、蓋部分300の前部分の係合部材の両方は、係合部材302であってよく、ワイヤ402を定位置に固定することができ、これにより使用者は、ワイヤ402を走行させるためのハウジング100の側面を選択でき、ハウジング100の両側に沿ってワイヤ402を配線できる。
【0030】
図2は、ハウジング100内にトランス400を収容した電子部品を備えるハウジング100の断面図である。ピン204を変圧器400に接続する太線は、ハウジング100内の最小沿面経路212を示す。上記の通り、典型的には、最小沿面経路212は、安全かつ適切な動作のための最小沿面距離に関する規制要件を満たすように十分に長く設計される。いくつかの実施形態では、蓋部分300は、最小沿面経路212を蛇行させて、これにより最小沿面経路の長さを増大させる延長部310を有してもよい。さらに、本体部分200は、側壁218が延長部分310の長さに沿って延びるように、延長部分310と同一平面上にまたは隣接して嵌合するように形成される、垂直に形成された側壁218を有してもよい。ピン204は、本体部分200のキャビティ234の反対側にある延長部分310および側壁218の側面に位置決めすることができる。好適には、蓋部分300および対応する垂直に形成された側壁218が延長部分310を有することで、最小沿面経路212を、装置全体のフォームファクタを増大させることなく延長することができる。例えば、延長部分310は、最小沿面経路210が、延長部分310と側壁218との間で、本体部分200の上側リム219を越えて、本体部分200の外側側面221に沿って垂直上方に延在するように、側壁218と垂直に重なることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、最小沿面経路212は、少なくとも7.0mm、少なくとも7.5mm、少なくとも8.0mm、少なくとも8.5mm、少なくとも9.0mm、少なくとも9.5mm、少なくとも10.0mm、7.0~7.5mm、7.5~8.0mm、8.0~8.5mm、8.5~9.0mm、9.0~9.5mm、または9.5~10.0mmとすることができる。いくつかの実施形態では、最小沿面経路は、400Vの動作電圧に対する最小沿面経路である8.0mmの最小要件よりも長い9.2mmとすることもできる。蓋部分300の延長部310がない構成では、最小沿面経路の長さは約5.5mmまで短くすることができ、これは400Vの動作電圧に対する最小沿面経路の最小要件8.0mmよりも短い。
【0032】
いくつかの実施形態では、ハウジングの高さは、8.0mm以下、7.5mm以下、7.0mm以下、6.5mm以下、6.0mm以下、7.5~8.0mm、7.0~7.5mm、6.5~7.0mm、6.0~6.5mmとすることができる。ハウジングの奥行きは、13.0mm以下、12.5mm以下、12.0mm以下、11.5mm以下、11.0mm以下、10.5mm以下、12.5~13.0mm、12.0~12.5mm、11.5~12.0mm、11.0~11.5mm、または10.5~11.0mmとすることができる。さらに、ハウジングの幅は、11.5mm以下、11.0mm以下、10.5mm以下、10.0mm以下、9.5mm以下、9.0mm以下、11.0~11.5mm、10.5~11mm、10.0~10.5mm、9.5~10.0mm、または9.0~9.5mmとすることができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、約6.8mm(または7.0mm)の高さ、約12.1mmの奥行き、および約10.4mmの幅を有するコンパクトな寸法とすることができる。
【0033】
【0034】
図3Aは、ハウジング100の底面図である。
図1に示すように、変圧器400は、第1の端子であるピン204に接続することができる。ピン204は、約2.9~3.20mm離れて、または約3.00~3.10mm離れて離間することができる。例えば、一実施形態では、ピン204は、約3.05mm離間することができる。あるいは、ピン204は、種々の要因に応じて異なる距離で離間することで、異なる距離とすることによる利点が得られる。変圧器400は、第2の端子であるピン202に接続されてもよい。同様に、ピン202は、約2.9~3.20mm離れて、または約3.00~3.10mm離れて離間することができる。例えば、一実施形態では、ピン202は、約3.05mm離間することができる。あるいは、ピン202は、種々の要因に応じて異なる距離で離間することで、異なる距離とすることによる利点が得られる。
【0035】
図3Bは、第2の端子を構成するピン202が配置された、前面130からのハウジング100の側面図を示す。ワイヤ402は少なくとも2つのワイヤを含み、いずれも変圧器400に接続され、本体部分200に沿って延びる。ワイヤは、第1の端子を構成するピン204にワイヤを通す2つの別個の溝210において本体部分200に沿って延びる。図に示すように、ハウジング100の高さは、約8.0mm以下、約7.5mm以下、約7.0mm以下、約6.5mm以下、約6.0mm以下、約7.5~約8.0mm、約7.0~約7.5mm、約6.5~約7.0mm、または約6.0~約6.5mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ハウジング100の高さは、約6.8mmとすることができる。さらに、ピン202は、ハウジング100の下に約0.1~0.3mmまたは約0.15~0.25mm延在することができる。例えば、一実施形態では、ピン202は、ハウジング100の下に約0.2mmに延在するように設けることができる。
【0036】
図3Cは、ピンを不要とした側面132からのハウジング100の別の側面図を示す。図に示すように、第1の端子を構成するピン204および第2の端子を構成するピン202は、対向する後面134および前面132にそれぞれ設けることができる。図に示すように、第1の端子を構成するピン204の端部と第2の端子を構成するピン202との間の距離は、約13.1mm以下、約12.6mm以下、約12.1mm以下、約11.6mm以下、約11.1mm以下、約10.6mm以下、約12.6~約13.1mm、約12.1~約12.6mm、約11.6~約12.1mm、約11.1~約11.6mm、または約10.6~約11.1mmとすることができる。例えば、一実施形態では、第1の端子を構成するピン204の端部と第2の端子を構成するピン202との間の距離は、約12.2mmとすることができる。あるいは、ピン202の端部とピン204の間の距離は、種々の要因に応じて異なる距離とすることができる。一例として、変圧器400のサイズに応じて、ハウジング100のサイズを変更することで、ピン202とピン204との間の距離を変更することができる。また、図に示すように、ピン202および204は、約0.4~約0.8mmまたは約0.5~約0.7mmの長さである延在部分を有することができる。例えば、一実施形態では、延在部分は、約0.6mmの長さを有することができる。あるいは、延在部分は、種々の要因に応じて異なる長さとすることができる。例えば、ピン202、204と共に使用するように適合された複数のコネクタが、それぞれ異なる長さを有することができ、これにより異なる長さに適合されたピンを使用することができる利点が得られる。
【0037】
図3Dは、ハウジング100の上面図である。図に示すように、ハウジング100の奥行きは、約12.0mm以下、約12.5mm以下、約12.0mm以下、約11.5mm以下、約11.0mm以下、約10.5mm以下、約12.5~約13.0mm、約12.0~約12.5mm、約11.5~約12.0mm、約11.0~約11.5mm、または約10.5~約11.0mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ハウ
ジング100の奥行きは、約12.1mmとすることができる。さらに、図に示すように、ハウジング100の幅は、約11.0~約11.5mm、約11.5mm以下、約10.5mm以下、約10.0mm以下、約9.5mm以下、約9.0mm以下、約10.5~約11mm、約10.0~約10.5mm、約9.5~約10.0mm、または約9.0~約9.5mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ハウジング100の幅は、約10.4mmとすることができる。あるいは、ハウジング100の幅および奥行きは、複数の異なる因子に応じて変更することができる。例えば、ハウジング100内に収容された変圧器400のサイズを変更して、ハウジングを当該サイズの変更に合わせて構成することができる。
【0038】
図3Eは、ピン202、204の寸法および間隔を示すための、ピン202、204の断面図の概略図である。図に示すように、ピン202の中心とピン204の中心との間の間隔は、約12.6mm以下、約12.1mm以下、約11.6mm以下、約11.1mm以下、約10.6mm以下、約10.1mm以下、約12.1~約12.6mm、約11.6~約12.1mm、約11.1~約11.6mm、約10.6~約11.1mm、または約10.1~約11.6mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ピン202の中心とピン204の中心との間の間隔は、11.10mmとすることができる。さらに、直接隣接するピン202の中心からの距離は、2.9~3.20mm、または約3.00~3.10mmとすることができる。例えば、一実施形態では、直接隣接するピン202の中心からの間隔は3.05mmとすることができる。直接隣接するピン204の中心からの間隔は、ピン202の場合と同様の間隔とすることができる。ピン202、204は、矩形形状を有している。ピン202、204の幅は、約1.9~約2.1mm、または約1.95~約2.05mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ピン202、204の幅は、約2mmとすることができる。ピン202、204の長さ寸法は、約0.9~約1.1mm、または約0.95~約1.05mmとすることができる。例えば、一実施形態では、ピン202、204の長さ寸法は、約1.0mmとすることができる。あるいは、これらの寸法および間隔は、設計の制約要件に応じて変更することができる。例えば、ピン202、204の間隔をより広くすることでより高い印加電圧が得られるため、間隔を変更することができる。
【0039】
図3Fは、ピン202およびピン204に接続された変圧器400の概略図である。上記の通り、変圧器400は、一次巻線402と二次巻線404の2組の巻線を含む。変圧器400は、点線内に取り込まれた構成要素によって示されている。ピン202は一次巻線402に接続され、ピン204は二次巻線404に接続される。特に、「1」、「2」、「3」とラベル付けされたピンは、ピン202に対応することができ、変圧器400の一次巻線の始端、中間、および終端にそれぞれ結合することができる一方、「4」、「5」、「6」とラベル付けされたピンは、ピン204に対応することができ、変圧器400の二次巻線の始端、中間、および終端にそれぞれ結合することができる。一般に、本明細書における一次および二次への参照は、入れ替えてもよい(例えば、必要に応じて、二次側を一次側として動作させ、一次側を二次側として動作させてもよい)。
【0040】
図4Aは、
図1の蓋部分300の底面斜視図である。
図4Bは、
図1の蓋部分300の斜視図である。蓋部分300は、本体部分200の各係合部(図示せず)に係合する係合部材302、304を備えている。また、蓋部分300は、蓋部分300の側面部分316から本体の空洞内に延在し、本体部分200の垂直に形成された側壁218に固定される延長部分310を特徴とする。蓋部分300が本体部分に固定される場合、垂直に形成された延長部分またはフィンおよび本体の垂直に形成された側壁は、互いに隣接する。垂直に形成された側壁と垂直に形成されたフィンとが隣接している場合は、側壁を延長部分またはフィンから離間する小さな間隙が設けられた状態で、側壁とフィンとが実質的に平行となる。他の実施形態では、蓋部分300および本体部分200は、延長部分310お
よび側壁218が互いに接触する寸法に設定される。好適には、蓋部分300の垂直に形成されたフィンまたは延長部分310および本体の垂直に形成された側壁218によって、
図2に示すように、最小沿面経路の長さが長くなる。
【0041】
いくつかの実施形態では、延長部分310は、一体的に形成された3つの辺を有する実質的に長方形の形状を有する。延長部分310はまた、ハウジング100内に収容された様々な電気構成要素を収容することを目的とした他の形状であってもよい。また、延長部分310の側面は、3つより多いまたは3つより少なくてもよい。好適には、延長部分310は、曲面形状を有し、中央壁部分312の2つの端部から延びる2つの曲面状の壁部分314を有する。本体部分400が対応する側壁において対応する曲面形状を有する場合、この特徴によって、蓋部分300が本体部分400内に固定されたときに、蓋部分300が摺動するのが防止されて蓋部分300が安定する。延長部分310は、壁部分314の終端の間に規定される蓋開口部403を含む。蓋部分300が本体部分400に固定されると、延長部分310の蓋開口部403と本体の側壁218の開口(図示せず)とが協働して、ハウジング100内に前部開口部401を少なくとも部分的に規定して、ハウジング100内の電気構成要素へのアクセスを提供したり、あるいは電気構成要素を露出させたりすることができる。
【0042】
図5Aは、本体部分200の斜視図であり、本体部分200の後部および側面を示す。本体部分200の側面は、ワイヤ402(図示せず)を配線するための溝210を含む。溝210は、ワイヤ402を保持し、第1の端子を構成するピン204(図示せず)までワイヤ402を配設する。本体部分200は、蓋部分300を本体部分200に固定するために蓋部分300の係合部材302、304と係合する係合部分214、216を含む。図には本体部分200の一方の側が示されているが、本体部分200は対称的に構成することができ、したがって、本体部分200の他方の側も同じ構成要素を有することができる。あるいは、本体部分200は、他方の側の特徴が一方の側の特徴と異なる、非対称となるように構成することもできる。
【0043】
本体部分200は、側面基部236から延びる垂直に形成された側壁218を含む。好適には、
図2に示すように、蓋部分300の延長部分310(図示せず)および本体部分200の垂直に形成された側壁218によって、最小沿面経路が長くなる。蓋部分300の延長部分310と同様に、垂直に形成された側壁218は、実質的に矩形形状であり、3つの側面を取り囲む。また、垂直に形成された側壁218は、ハウジング100内に収容された種々の電気構成要素を収容することを目的として他の形状であってもよい。垂直に形成された側壁218は、曲面形状を有し、蓋部分300の延長部分310を鏡像化する中央壁部分230の両端から延びる2つの平行な曲面状の壁部分232を有する。上記の通り、この曲面形状によって、蓋部分300が本体部分400内に固定されたときに、蓋部300が安定する。
【0044】
図5Bは、本体部分200の斜視図であり、本体部分200の正面および側面を示す。
図5Bは、
図5Aに示す特徴も示し、これらの特徴についての詳細な説明はここでは繰り返さない。本体部分200は、変圧器400などの電気構成要素を収容するキャビティ234を含む。本体部分200は、3つの側面に沿って配置された垂直に形成された側壁218を含む。垂直に形成された側壁218は、蓋開口部403と協働してハウジング100の前面開口部401を少なくとも部分的に規定する本体開口部409を備える。好適には、ハウジング100の前面130を(例えば、前面開口部401によって)開いたままにすることにより、組立て時(はんだ付け後の洗浄など)に使用される液体を蒸発させることができる。さらに、ハウジング100がこのように設計されていることで、はんだ熱からワイヤ402を少なくとも部分的に保護することもできる。側壁218は、側壁開口部405をさらに含むことができる。蓋部分300が本体部分200に係合されると、蓋
部分300の係合部材302は、本体部分200の側壁開口部405と協働して側面開口部133A、133Bを規定する。ワイヤ402(図示せず)は、側面開口部133A、133Bを通って延伸でき、ハウジング100のそれぞれの側面132、136に沿ってワイヤを配線することができる。
【0045】
図6は、
図1に示す図と同様の構成要素400を有する、組み立てられたハウジング100の背面斜視図である。
図6には、
図1に示す特徴も示し、それらの特徴の説明はここでは繰り返さない。図に示すように、ワイヤ402は、ハウジング100の対向する側面132、136に沿って配線することができ、係合部分302によって溝210内に固定されてもよい。さらに、蓋部分300が本体部分400に固定されると、蓋部分300は、ワイヤ402を所定位置に保護および/または固定することもできる。蓋部分300の係合部材302は、蓋部分300を本体部分200に固定するだけでなく、蓋部分300が本体部分に固定する際に、ワイヤ402を所定位置に固定するロック要素としても機能する。
【0046】
図7は、部品400を有する組み立てられたハウジング100の分解斜視図である。
図7は、
図1および
図6に示す特徴も示し、それらの特徴の説明はここでは繰り返さない。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるハウジング100および構成要素400は、第1の端子を構成する一次および二次巻線とピン202との間に少なくとも8mmの最小クリープ距離および最小クリアランス距離を提供し、400Vの作動電圧での動作
を可能にする。
【0048】
図8は、例示的な蓋部分300の底面側斜視図である。
図8の蓋部分300は、
図4Aおよび
図4Bにおいて上記の蓋部分300と同様である。特に断らない限り、
図8に示す番号は、
図1~
図7における同じ番号が付された構成要素と同じあるいは概ね同様の構成要素を示す。
図8に示す蓋部分300は、係合部材302から延びるタブ802も有する。蓋部分300が本体部分400(図示せず)に固定されると、タブ802と本体部分400との間にワイヤ402(図示せず)を固定することができる。
図8に示す蓋部分300は、
図4Aおよび
図4Bの蓋部分300の延長部分310と比較して、より長い延長部分310を有する。
図10を参照しながら説明するように、より長い延長部分310は、最小沿面経路をさらに増大させることができる。
【0049】
図9は、例示的な本体部分200の上面側斜視図である。
図9の本体部分200は、
図5Aおよび
図5Bにおいて上述した本体部分200と同様である。これらの共通の構成要素には同じ番号で識別され、ここでは説明は繰り返さない。
図9の本体部分200は、
図8の蓋部分300に対応するように適合される。上記の通り、
図8の蓋部分300は、
図4Aおよび
図4Bの蓋部分300の延長部分310と比較して、より長い延長部分310を有する。したがって、本体部分200の側壁部分218は、より長い蓋部分300に対応する形状を有する。本体部分200は、複数のワイヤ402が溝210内に収容されたときに複数のワイヤ402を分割することができる、溝210内に突出部分220をさらに含む。好適には、複数のワイヤ402を分割することによって、ワイヤ402が絡み合う可能性が低くなり、装置の組み立てを補助することができる。また、第2の端子を構成するピン202も表示されている。図示の実施形態では、ピン202のハウジングサイズが縮小されており、ピン202はハウジングの両端から垂直に延びている。
【0050】
図10は、ハウジング100内に配置された例示的なハウジング100および変圧器400の断面図である。ハウジング100は、
図8の蓋部分300および
図9の本体部分200を含む。さらに、
図10のハウジング100および変圧器400は、
図2で説明したものと同様であり、したがって、共通の構成要素の詳細な説明はここでは繰り返さない。
図8で説明したように、
図8の蓋部分300は、
図4Aおよび
図4Bの蓋部分300の延長部分310と比較して、より長い延長部分310を有する。
図9を用いてさらに説明したように、本体部分200は、蓋部分300と嵌合するように適合される。
図10に示すより長い延長部分310は、ハウジング100内に、
図2の最小沿面経路212よりも長い最小沿面経路212を提供する。
図10に示すように、
図10の最小沿面経路212は、変圧器400の底部に近い位置410から延在する一方、
図2の最小沿面経路212は、変圧器400の上部に近い位置から始まる。より長い最小沿面経路212は、デバイスをコンパクトな寸法に維持しつつ、
図10のハウジング100および変圧器400が最小沿面経路の規制要件に適合できる。
【0051】
図11は、
図10のハウジング内に配置されたハウジング100および変圧器400の斜視図である。ハウジング100は、
図8の蓋部分300および
図9の本体部分200を含む。
図11のハウジング100および変圧器400は、
図6で説明したものと同様であり、したがって、共通の特徴について詳細な説明は繰り返さない。本体部分200は、溝210内に突出部分220を含む。このように、突出部分220によって、トランス400から延伸する複数のワイヤ402を分割することができる。ワイヤ402を分割することにより、ワイヤが絡まる可能性を抑え、ひいてはクロストークが生じる可能性を抑えることができる。さらに、蓋部分は、タブ802と本体部分200との間にワイヤ402を固定するタブ802を含む。
図12は、
図11のハウジング100およびハウジング100内に配置される変圧器400の分解斜視図である。
【0052】
本発明は、特定の実施形態および実施例と関連して開示するが、当業者であれば、本発明は、具体的に開示された実施形態のみならず、本発明の他の代替の実施形態および/または使用ならびに自明な変更や均等物に及ぶことが理解される。さらに、本発明のいくつかの変形例についても詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の範囲内にある他の変形例についても、本開示に基づいて可能であることは明らかである。また、実施形態の特定の構成要素や態様についての組み合わせやサブコンビネーションも、本発明の範囲内において実現可能である。また、開示される実施形態の種々の構成要素や態様を互いに組み合わせたり置き換えたりすることで、開示される発明の異なる種々の態様を形成することも可能である。したがって、本明細書に開示される本発明の範囲は、上記の特定の開示された実施形態に限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公平に解釈することによってのみ画定されるものである。