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▶ ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】メモリセルを含む集積回路
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20230801BHJP
   B41J 2/05 20060101ALI20230801BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G06F12/00 550K
B41J2/05
B41J2/14 201
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021541194
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2019016732
(87)【国際公開番号】W WO2020162893
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】リン,スコット,エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェイムズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カンビー,マイケル,ダブリュー
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/009904(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/190863(WO,A1)
【文献】特開2001-096869(JP,A)
【文献】特表2020-508896(JP,A)
【文献】特表2020-507496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050901(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
B41J 2/14
B41J 2/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルが流体作動装置に対応する、複数のメモリセルと、
流体作動装置を選択するとともに、前記選択された流体作動装置に対応するメモリセルを選択するための選択回路と、
前記複数のメモリセルへのアクセスを有効又は無効にするための設定ロジックと、
前記設定ロジックの状態に基づいて、前記選択された流体作動装置を作動させ、又は、前記選択された流体作動装置に対応する前記メモリセルにアクセスするための制御ロジックと
を含む、集積回路。
【請求項2】
前記集積回路は、複数の流体作動装置を駆動するためのものである、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記選択回路は、アドレスに応答して、流体作動装置を選択するとともに、前記選択された流体作動装置に対応するメモリセルを選択するためのアドレスデコーダを含む、請求項1又は請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記選択回路は、データ信号及び発射信号に基づいて、選択された流体作動装置、及び前記選択された流体作動装置に対応するメモリセルを作動させる作動ロジックを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記複数のメモリセルに結合された書き込み回路
をさらに含む、請求項1~の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項6】
前記設定ロジックは、前記複数のメモリセルへのアクセスを有効又は無効にするためのデータを記憶している設定レジスタを含み、
前記制御ロジックは、前記設定レジスタに記憶された前記データに基づいて、前記選択された流体作動装置を作動させ、又は前記選択された流体作動装置に対応するメモリセルにアクセスする、請求項1~の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項7】
前記設定レジスタは、前記複数のメモリセルへの書き込みアクセス又は読み取りアクセスを可能にするためのデータを記憶している、請求項に記載の集積回路。
【請求項8】
センサーをさらに含み、
前記設定レジスタは、前記センサーを有効又は無効にするためのデータを記憶している、請求項又は請求項に記載の集積回路。
【請求項9】
集積回路であって、
長さ、厚さ、及び幅を有する細長い基板を含み、前記長さが、前記幅の少なくとも20倍であり、
前記細長い基板上に、
前記細長い基板の前記長さに沿って列を成して配置された複数のノズルと、
前記複数のノズルに隣接して配置された複数のメモリセルであって、各メモリセルがノズルに対応している、複数のメモリセルと、
ノズルを選択するとともに、前記選択されたノズルに対応するメモリセルを選択するための選択回路と、
前記複数のメモリセルへのアクセスを有効又は無効にするための設定ロジックと、
前記設定ロジックの状態に基づいて、前記選択されたノズルから流体を噴射し、又は、前記選択されたノズルに対応する前記メモリセルにアクセスするための制御ロジックと
が設けられている、集積回路。
【請求項10】
前記複数のノズルの各ノズルが、対応するメモリセルを有し、又は
前記複数のノズルのうちの1つおきのノズルが、対応するメモリセルを有する、請求項に記載の集積回路。
【請求項11】
前記複数のメモリセルは、各ノズルに対応する単一のメモリセルを含む、請求項又は請求項10に記載の集積回路。
【請求項12】
前記複数のメモリセルは、複数のグループを成して配置され、各グループが少なくとも2つのメモリセルを含み、前記複数のグループが互いに間隔を置いて配置されている、請求項11の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項13】
前記複数のメモリセルは、各ノズルに対応する少なくとも2つのメモリセルを含む、請求項に記載の集積回路。
【請求項14】
各ノズルに対応する第1のメモリセルが、メモリセルの第1のバンクに配置され、各ノズルに対応する第2のメモリセルが、メモリセルの第2のバンクに配置される、請求項13に記載の集積回路。
【請求項15】
前記複数のメモリセルは、各ノズルに対応する3つのメモリセルを含む、請求項に記載の集積回路。
【請求項16】
前記複数のメモリセルは、複数のグループを成して配置され、各グループが6つのメモリセルを含み、前記複数のグループが互いに間隔を置いて離れて配置されている、請求項15に記載の集積回路。
【請求項17】
各ノズルに対応する第1のメモリセルが、メモリセルの第1のバンクに配置され、各ノズルに対応する第2のメモリセルが、メモリセルの第2のバンクに配置され、各ノズルに対応する第3のメモリセルが、メモリセルの第3のバンクに配置される、請求項15又は請求項16に記載の集積回路。
【請求項18】
前記制御ロジックは、前記選択されたノズルから流体を噴射し、又は、前記選択されたノズルに対応する前記メモリセル及び選択されたバンクのメモリセルにアクセスする、請求項14又は請求項17に記載の集積回路。
【請求項19】
メモリセルが流体作動装置に対応する、複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルの各々に結合された単一のインターフェースであって、ホスト印刷装置の単一の接点に接続するための単一のインターフェースと、
流体作動装置を選択するとともに、前記選択された流体作動装置に対応するメモリセルを選択するための選択回路と、
前記複数のメモリセルへのアクセスを有効又は無効にするためのデータを記憶している設定レジスタと、
前記設定レジスタに記憶された前記データに基づいて、前記選択された流体作動装置を作動させ、又は、前記選択された流体作動装置に対応する前記メモリセルにアクセスするための制御ロジックと
を含む、集積回路。
【請求項20】
前記集積回路は、複数の流体作動装置を駆動するためのものである、請求項19に記載の集積回路。
【請求項21】
前記単一のインターフェースに結合された書き込み回路であって、前記メモリセルにデータを書き込むための書き込み回路
をさらに含む、請求項19に記載の集積回路。
【請求項22】
各メモリセルが、不揮発性メモリセルを含む、請求項19~21の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項23】
前記単一のインターフェースは、単一の接触パッドを含む、請求項19~22の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項24】
流体噴射装置に関連するメモリにアクセスするための集積回路であって、
複数のメモリセルと、
アドレスに応答してメモリセルを選択するためのアドレスデコーダと、
データ信号及び発射信号に基づいて、選択されたメモリセルを作動させる作動ロジックと、
前記複数のメモリセルへのアクセスを有効にするための設定ロジックと
前記複数のメモリセルの各々に結合された単一のインターフェースであって、ホスト印刷装置の単一の接点に接続するための単一のインターフェースと、
前記単一のインターフェースに結合された書き込み回路であって、前記メモリセルにデータを書き込むための書き込み回路と
を含む、集積回路。
【請求項25】
前記設定ロジックは、前記複数のメモリセルのアクセスを有効又は無効にするものである、請求項24に記載の集積回路。
【請求項26】
前記設定ロジックは、前記複数のメモリセルへのアクセスを有効又は無効にするためのデータを記憶している設定レジスタを含み、
前記設定レジスタは、前記複数のメモリセルへの書き込みアクセス又は読み取りアクセスを可能にするためのデータを記憶している、請求項24又は請求項25に記載の集積回路。
【請求項27】
各メモリセルが、不揮発性メモリセルを含む、請求項24~26の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項28】
前記単一のインターフェースは、単一の接触パッドを含む、請求項24~27の何れか一項に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流体噴射システムの一例としてのインクジェット印刷システムは、プリントヘッド、プリントヘッドに液体インクを供給するインク供給源、及びプリントヘッドを制御する電子制御装置を含む場合がある。プリントヘッドは、流体噴射装置の一例として、複数のノズル又はオリフィスを通って、紙のシートのような印刷媒体に向かってインクの液滴を噴射して、印刷媒体に印刷する。例によっては、オリフィスは、少なくとも1つの列又はアレイを成して配置され、プリントヘッドと印刷媒体が互いに相対的に移動されるときに、オリフィスからのインクの適当に順序付けられた噴射により、文字又は他の画像が印刷媒体上に印刷される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1A】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路の一例を示すブロック図である。
図1B】複数の流体作動装置を駆動するための集積回路の別の例を示すブロック図である。
図2】複数の流体作動装置を駆動するか、又は対応するメモリセルにアクセスするための回路の一例を示す概略図である。
図3A】流体噴射装置に関連するメモリにアクセスするための集積回路の一例を示すブロック図である。
図3B】流体噴射装置に関連するメモリにアクセスするための集積回路の別の例を示すブロック図である。
図4A】流体噴射ダイの一例を示す図である。
図4B】流体噴射ダイの一例を示す図である。
図5A】流体噴射ダイの一部の一例を示す拡大図である。
図5B図5Aの流体噴射ダイのメモリセルのグループの一例を示すブロック図である。
図6A】流体噴射ダイの一部の別の例を示す拡大図である。
図6B図6Aの流体噴射ダイのメモリセルのグループの一例を示すブロック図である。
図7】流体噴射システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
[詳細な説明]
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。添付の図面には、本開示を実施することができる種々の特定の例が、例として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、他の例を利用することができ、構造的又は論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。本明細書に記載された様々な例の特徴は、特に断りのない限り、部分的又は全体的に互いに組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0004】
サーマルインクジェット(TIJ)ダイのような流体噴射ダイは、細長いシリコン片である場合がある。ダイが使用するシリコン領域はダイのコストに関連しているため、ダイから削除できる機能は、可能であれば削除し、又は複数の目的を持つように変更する必要がある。ダイ上で不揮発性メモリ(NVM)を使用することにより、熱挙動、オフセット、領域情報、カラーマップ、ノズル数のような情報を、ダイからプリンタに転送できる。さらに、NVMは、インク使用量ゲージ、ノズルの状態情報のような情報をプリンタからダイに転送することにも、使用される場合がある。メモリは、種々の記憶要素、読み取り/書き込みマルチプレクサ、及びイネーブル/アドレス回路から構成される。小さなメモリの場合、メモリが使用する領域全体の大部分を、非記憶回路が占める場合があり、小さなメモリは、領域の使用が非常に非効率になる。
【0005】
したがって、本明細書に開示されるのは、流体作動装置に対応するメモリセルを含む集積回路(例えば、流体噴射ダイ)である。同じ回路ロジックが、受信したアドレス及びノズルデータに基づいて、選択された流体作動装置を作動させること、又は、選択された対応するメモリセルにアクセスすることに使用される。集積回路から、単一の接触パッドを介して、各メモリセルに記憶されたデータを読み取ることができる。メモリセルは、対応する流体作動装置に隣接して集積回路の長さに沿って分散される場合がある。
【0006】
本明細書で使用される場合、「論理ハイ」信号は、論理「1」又は「オン」信号、すなわち、集積回路に供給される論理電力にほぼ等しい電圧(例えば、約5.6Vのような約1.8V~15Vの電圧)の信号である。本明細書で使用される場合、「論理ロー」信号は、論理「0」又は「オフ」信号、すなわち、集積回路に供給される論理電力の論理電力接地帰路にほぼ等しい電圧(例えば、約0Vの電圧)の信号である。
【0007】
図1Aは、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路100の一例を示すブロック図である。集積回路100は、複数の流体作動装置102~102を含み、ここで、「N」は、流体作動装置の任意の適当な数である。集積回路100は、複数のメモリセル104~104、選択回路106、制御ロジック(論理回路)108、及び設定ロジック110をさらに含む。各流体作動装置102~102は、信号経路101~101を介して制御ロジック108にそれぞれ電気的に結合されている。各メモリセル104~104は、信号経路103~103を介して制御ロジック108にそれぞれ電気的に結合されている。制御ロジック108は、信号経路107を介して選択回路106に電気的に結合されるとともに、信号経路109を介して設定ロジック110に電気的に結合されている。
【0008】
一例において、各流体作動装置102~102は、流体滴を噴射するためのノズル又は流体ポンプを含む。各メモリセル104~104は、流体作動装置102~102にそれぞれ対応している。一例において、各メモリセル104~104は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズなど)を含む。選択回路106は、流体作動装置102~102を選択するとともに、選択された流体作動装置102~102に対応するメモリセル104~104を選択する。選択回路106は、アドレス信号及びノズルデータ信号に応答して、流体作動装置102~102及び対応するメモリセル104~104を選択するために、アドレスデコーダ、作動ロジック、及び/又は他の適当な論理回路を含む場合がある。設定ロジック110は、複数のメモリセル104~104へのアクセスを有効又は無効にする。設定ロジック110は、複数のメモリセル104~104へのアクセスを有効又は無効にするためのメモリデバイス又は他の適当な論理回路を含む場合がある。
【0009】
制御ロジック108は、設定ロジック110の状態に基づいて、選択された流体作動装置102~102を作動させ、又は、選択された流体作動装置に対応するメモリセル104~104にアクセスする。制御ロジック108は、集積回路100の動作を制御するために、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の適当な論理回路を含む場合がある。選択回路106、制御ロジック108、及び設定ロジック110は、図1Aでは別個のブロックに示されているが、他の例では、選択回路106、制御ロジック108、及び/又は設定ロジック110は、単一のブロック又は異なる数のブロックを成すように組み合わされてもよい。
【0010】
図1Bは、複数の流体作動装置を駆動するための集積回路120の別の例を示すブロック図である。集積回路120は、複数の流体作動装置102~102、複数のメモリセル104~104、選択回路106、及び制御ロジック108を含む。さらに、集積回路120は、書き込み回路130、センサー132、及び設定レジスタ136を含む。一例において、図1Aの集積回路100の設定ロジック110は、設定レジスタ136を含む。
【0011】
この例では、選択回路106は、アドレスデコーダ122と、作動ロジック124とを含む。アドレスデコーダ122は、データインターフェース126を介してアドレス及びデータを受信する。アドレスデコーダ122は、作動ロジック124に電気的に結合されている。作動ロジック124は、発射インターフェース128を介して発射信号を受信する。各メモリセル104~104は、検知インターフェース134を介して書き込み回路130に電気的に結合されている。センサー132は、信号経路131を介して制御ロジック108に電気的に結合されるとともに、検知インターフェース134にも電気的に結合されている。
【0012】
アドレスデコーダ122は、アドレスに応答して、流体作動装置102~102を選択するとともに、選択された流体作動装置102~102に対応するメモリセル104~104を選択する。アドレスは、データインターフェース126を介して受信される場合がある。作動ロジック124は、データ信号及び発射信号に基づいて、選択された流体作動装置102~102及び選択された流体作動装置102~102に対応するメモリセル104~104を作動させる。データ信号は、提供されたアドレスに対してどの流体作動装置(複数可)が選択されるかを示すノズルデータを含む場合がある。データ信号は、データインターフェース126を介して受信される場合がある。発射信号は、選択された流体作動装置がいつ作動されるか(すなわち、発射されるか)、又は対応するメモリセルがいつアクセスされるかを示している。発射信号は、発射インターフェース128を介して受信される場合がある。データインターフェース126、発射インターフェース128、及び検知インターフェース134の各々は、集積回路120との間で信号を送信及び/又は受信するための接触パッド、ピン、バンプ、ワイヤ、又は他の適当な電気インターフェースであってもよい。インターフェース126、128、及び134の各々は、流体噴射システム(例えば、図7を参照して以下で説明される流体噴射システム500のようなホスト印刷装置)に電気的に結合される場合がある。
【0013】
設定レジスタ136は、複数のメモリセル104~104へのアクセスを有効又は無効にするためのデータを記憶している。制御ロジック108は、設定レジスタ136に記憶されたデータに基づいて、選択された流体作動装置102~102を作動させ、又は選択された流体作動装置102~102に対応するメモリセル104~104にアクセスする。一例において、設定レジスタ136は、複数のメモリセル104~104への書き込みアクセス又は読み取りアクセスを可能にするためのデータをさらに記憶している。別の例では、設定レジスタ136は、センサー132を有効又は無効にするためのデータをさらに記憶している。
【0014】
設定レジスタ136は、メモリデバイス(例えば、不揮発性メモリ、シフトレジスタなど)であってもよく、任意の適当な数のビット(例えば、12ビットのような4ビット~24ビット)を含む場合がある。特定の例では、設定レジスタ136は、集積回路120をテストし、集積回路120の基板内の亀裂を検出し、集積回路120のタイマーを有効にし、集積回路120のアナログ遅延を設定し、集積回路120の動作を確認し、又は集積回路120の他の機能を設定するための設定データをさらに記憶している場合がある。
【0015】
メモリセル104~104に記憶されたデータは、選択されたメモリセル104~104が制御ロジック108によってアクセスされたときに、検知インターフェース134を介して読み取ることができる。さらに、書き込み回路130は、選択されたメモリセル104~104が制御ロジック108によってアクセスされたときに、選択されたメモリセルにデータを書き込むことができる。センサー132は、接合デバイス(例えば、サーマルダイオード)、抵抗デバイス(例えば、亀裂検出器)、又は、集積回路120の状態を検知するための別の適当なデバイスであってもよい。センサー132は、検知インターフェース134を通して読み取ることができる。
【0016】
図2は、複数の流体作動装置を駆動し、又は対応するメモリセルにアクセスするための回路200の一例を示す概略図である。一例において、回路200は、図1Aの集積回路100又は図1Bの集積回路120の一部である。回路200は、16個の流体作動装置の1つのグループ及び16個のメモリセルの対応するグループを示している。図1Aの集積回路100又は図1Bの集積回路120のような集積回路は、流体作動装置及び対応するメモリセルの任意の適当な数のグループを含む場合がある。16個の作動装置と対応するメモリセルのグループが図2に示されているが、他の例では、各グループ内の流体作動装置及び対応するメモリセルの数は、異なる場合がある。
【0017】
回路200は、複数の流体作動装置202~20215と、複数のメモリセル204~20415と、論理ゲート222~22215を含むアドレスデコーダと、論理ゲート227及び224~22415を含む作動ロジックと、メモリ書き込み電圧レギュレータ230、トランジスタ238及び240、及び接触(すなわち、検知)パッド241を含む書き込み回路とを含む。論理ゲート227の第1の入力は、ノズルデータ信号経路226を介してノズルデータを受信する。論理ゲート227の第2の入力は、発射信号経路228を介して発射信号を受信する。論理ゲート227の出力は、信号経路229を介して、各論理ゲート224~22415の第1の入力に電気的に結合されている。各論理ゲート222~22215の入力は、アドレス信号経路221を介してアドレス信号を受信する。各論理ゲート222~22215の出力は、信号経路223~22315を介して、各論理ゲート224~22415の第2の入力にそれぞれ電気的に結合されている。各論理ゲート224~22415の出力は、信号経路225~22515をそれぞれ介して、流体作動装置202~20215に電気的に結合されるとともに、メモリセル204~20415にも電気的に結合されている。
【0018】
各流体作動装置202~20215は、論理ゲート208、トランジスタ210、及び発射抵抗器212を含む。本明細書では、流体作動装置202が図示説明されているが、他の流体作動装置202~20215も、同様の回路を含む。論理ゲート208の第1の入力は、信号経路225に電気的に結合されている。論理ゲート208の第2の入力(反転)は、メモリイネーブル信号経路207を介してメモリイネーブル信号を受信する。論理ゲート208の出力は、信号経路209を介してトランジスタ210のゲートに電気的に結合されている。トランジスタ210のソース-ドレイン経路の一方の側は、共通ノード又は接地ノード214に電気的に結合されている。トランジスタ210のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路211を介して発射抵抗器212の一方の側に電気的に結合されている。発射抵抗器212の他方の側は、供給電圧ノード(例えば、VPP)215に電気的に結合されている。
【0019】
各メモリセル204~20415は、トランジスタ216及び218ならびにフローティングゲートトランジスタ220を含む。本明細書ではメモリセル204が図示及び説明されているが、他のメモリセル204~20415も、同様の回路を含む。トランジスタ216のゲートは、信号経路225に電気的に結合されている。トランジスタ216のソース-ドレイン経路の一方の側は、共通又は接地ノード214に電気的に結合されている。トランジスタ216のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路217を介してトランジスタ218のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。トランジスタ218のゲートは、メモリイネーブル信号経路207を介してメモリイネーブル信号を受信する。トランジスタ218のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路219を介してフローティングゲートトランジスタ220のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。フローティングゲートトランジスタ220のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路234を介してメモリ書き込み電圧レギュレータ230及びトランジスタ238のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。
【0020】
メモリ書き込み電圧レギュレータ230は、メモリ書き込み信号経路232を介してメモリ書き込み信号を受信する。トランジスタ238のゲート及びトランジスタ240のゲートは、メモリ読み取り信号経路236を介してメモリ読み取り信号を受信する。トランジスタ238のソース-ドレイン経路の他方の側は、信号経路239を介してトランジスタ240のソース-ドレイン経路の一方の側に電気的に結合されている。トランジスタ240のソース-ドレイン経路の他方の側は、検知パッド241に電気的に結合されている。
【0021】
ノズルデータ信号経路226上のノズルデータ信号、発射信号経路228上の発射信号、及びアドレス信号経路221上のアドレス信号は、流体作動装置202~20215又は対応するメモリセル204~20415を作動させるために使用される。メモリイネーブル信号経路207上のメモリイネーブル信号は、流体作動装置202~20215が作動されるか否か、又は対応するメモリセル204~20415がアクセスされるか否かを決定する。論理ハイのメモリイネーブル信号に応答して、トランジスタ218がオンになり、メモリセル204~20415へのアクセスが可能になる。さらに、論理ハイのメモリイネーブル信号に応答して、論理ゲート208は、論理ロー信号を出力してトランジスタ210をオフにし、信号経路225~22515に渡された発射信号に応答して流体作動装置202~20215が発射されることが防止される。論理ローのメモリイネーブル信号に応答して、トランジスタ218はオフになり、メモリセル204~20415へのアクセスは不可能になる。さらに、論理ローのメモリイネーブル信号に応答して、論理ゲート208は、信号経路225~22515に渡された発射信号により流体作動装置202~20215が発射されることを可能にする。一例において、メモリイネーブル信号は、図1Bの設定レジスタ136のような設定レジスタに記憶されたデータビットに基づく場合がある。別の例では、メモリイネーブル信号は、アドレスやノズルデータと一緒に回路200が受信したデータビットに基づく場合がある。メモリイネーブル信号は、図1Aの設定ロジック110のような設定ロジックによって、メモリセル204~20415を有効又は無効にするために使用される。
【0022】
ノズルデータ信号は、流体作動装置202~20215と対応するメモリセル204~20415のどちらが選択されるかを示している。一例において、ノズルデータ信号は、流体作動装置202~20215又は対応するメモリセル204~20415を選択するための論理ハイの信号と、流体作動装置202~20215又は対応するメモリセル204~20415の選択を解除するための論理ローの信号とを含む。論理ゲート227は、論理ハイのノズルデータ信号に応答し、論理ハイの発射信号に応答して、論理ハイの信号を信号経路229に渡す。論理ゲート227は、論理ローのノズルデータ信号又は論理ローの発射信号に応答して、論理ローの信号を信号経路229に渡す。
【0023】
アドレス信号は、流体作動装置202~20215又は対応するメモリセル204~20415の中から1つを選択する。アドレス信号に応答して、論理ゲート222~22215のうちの1つは、論理ハイの信号を対応する信号経路223~22315に渡す。他の論理ゲート222~22215は、論理ローの信号を対応する信号経路223~22315に渡す。
【0024】
各論理ゲート224~22415は、信号経路229上の論理ハイの信号及び対応する信号経路223~22315上の論理ハイの信号に応答して、論理ハイの信号を対応する信号経路225~22515に渡す。各論理ゲート224~22415は、信号経路229上の論理ローの信号又は対応する信号経路223~22315上の論理ローの信号に応答して、論理ローの信号を対応する信号経路225~22515に渡す。したがって、論理ローのメモリイネーブル信号及び信号経路225~22515上の論理ハイの信号に応答して、対応する流体作動装置202~20215が、対応する発射抵抗器212を作動させることによって発射される。論理ハイのメモリイネーブル信号及び信号経路225~22515上の論理ハイの信号に応答して、対応するメモリセル204~20415が、アクセスのために選択される。
【0025】
あるメモリセル204~20415がアクセスのために選択された状態で、メモリ書き込み電圧レギュレータ230が、メモリ書き込み信号経路232上のメモリ書き込み信号によって有効にされると、信号経路234に電圧が印加され、フローティングゲートトランジスタ220にデータビットを書き込むことができる。さらに、あるメモリセル204~20415がアクセスのために選択された状態で、メモリ読み取り信号経路236上のメモリ読み取り信号に応答して、トランジスタ238及び240が、オンにされる場合がある。トランジスタ238及び240をオンにすることで、フローティングゲートトランジスタ220に記憶されたデータビットを、検知パッド241を通して(例えば、検知パッド241に結合されたホスト印刷装置によって)読み取ることができる。一例において、メモリ書き込み信号及びメモリ読み取り信号は、図1Bの設定レジスタ136のような設定レジスタに記憶されたデータに基づく場合がある。別の例では、メモリ書き込み信号及びメモリ読み取り信号は、アドレス及びノズルデータとともに回路200が受信したデータに基づく場合がある。メモリ書き込み信号及びメモリ読み取り信号は、図1Aの設定ロジック110のような設定ロジックによって、読み取り信号又は書き込み信号を有効にするために使用される。
【0026】
図3Aは、流体噴射装置に関連するメモリにアクセスするための集積回路300の一例を示すブロック図である。この例では、流体作動装置を、メモリとは別の集積回路上に配置することができる。集積回路300は、複数のメモリセル304~304と、アドレスデコーダ322と、作動ロジック324と、設定ロジック310とを含む。各メモリセル304~304は、信号経路303~303を介して作動ロジック324にそれぞれ電気的に結合されている。作動ロジック324は、アドレスデコーダ322に電気的に結合され、さらに、信号経路309を介して設定ロジック310にも電気的に結合され、発射インターフェース328を介して発射信号を受信する。アドレスデコーダ322は、データインターフェース326を介してデータ信号を受信する。データインターフェース326及び発射インターフェース328の各々は、集積回路300との間で信号を送信及び/又は受信するための接触パッド、ピン、バンプ、ワイヤ、又は他の適当な電気インターフェースであってもよい。インターフェース326及び328の各々は、流体噴射システム(例えば、ホスト印刷装置)に電気的に結合される場合がある。
【0027】
一例において、各メモリセル304~304は、不揮発性メモリセル(例えば、フローティングゲートトランジスタ、プログラム可能なヒューズなど)を含む。アドレスデコーダ322は、アドレスに応答してメモリセル304~304を選択する。このアドレスは、データインターフェース326を介して受信される場合がある。作動ロジック324は、データインターフェース326上のデータ信号及び発射インターフェース328上の発射信号に基づいて、選択されたメモリセル304~304を作動させる。設定ロジック310は、複数のメモリセル304~304へのアクセスを有効又は無効にする。
【0028】
図3Bは、流体噴射装置に関連するメモリにアクセスするための集積回路320の別の例を示すブロック図である。集積回路320は、複数のメモリセル304~304と、アドレスデコーダ322と、作動ロジック324とを含む。さらに、集積回路320は、書き込み回路330と、設定レジスタ336とを含む。一例において、図3Aの集積回路300の設定ロジック310は、設定レジスタ336を含む。各メモリセル304~304は、検知インターフェース334を介して書き込み回路330に電気的に結合されている。
【0029】
設定レジスタ336は、複数のメモリセル304~304へのアクセスを有効又は無効にするためのデータを記憶することができる。さらに、設定レジスタ336は、複数のメモリセル304~304への書き込みアクセス又は読み取りアクセスを可能にするためにデータを記憶することができる。検知インターフェース334は、ホスト印刷装置の単一の接点に接続するために、複数のメモリセル304~304の各々に結合された単一のインターフェースを提供する。一例において、検知インターフェース334は、単一の接触パッドを含む。
【0030】
メモリセル304~304に記憶されたデータは、選択されたメモリセル304~304がアドレスデコーダ322及び作動ロジック324によってアクセスされたときに、検知インターフェース334を介して読み取ることができる。さらに、書き込み回路330は、選択されたメモリセル304~304がアドレスデコーダ322及び作動ロジック324によってアクセスされたときに、選択されたメモリセル304~304にデータを書き込むことができる。
【0031】
図4Aは、流体噴射ダイ400の一例を示し、図4Bは、流体噴射ダイ400の両端部を示す拡大図である。一例において、流体噴射ダイ400は、図1Aの集積回路100、図1Bの集積回路120、又は図2の回路200を含む。ダイ400は、接触パッドの第1の列402、接触パッドの第2の列404、及び流体作動装置408の列406を含む。接触パッドの第2の列404は、接触パッドの第1の列402と整列され、接触パッドの第1の列402から距離(すなわち、Y軸に沿った距離)を置いて配置されている。流体作動装置408の列406は、接触パッドの第1の列402及び接触パッドの第2の列404に対して縦方向に配置されている。また、流体作動装置408の列406は、接触パッドの第1の列402と接触パッドの第2の列404との間に配置されている。一例において、流体作動装置408は、流体滴を噴射するためのノズル又は流体ポンプである。
【0032】
一例において、接触パッドの第1の列402は、6つの接触パッドを含む。接触パッドの第1の列402は、次の接触パッドを順番に含む場合がある。すなわち、データ接触パッド410、クロック接触パッド412、論理電力接地帰路接触パッド414、多目的入出力(すなわち、検知)接触パッド416、第1の高電圧電源接触パッド418、及び第1の高電圧電源接地帰路接触パッド420である。したがって、接触パッドの第1の列402は、第1の列402の上部にデータ接触パッド410を含み、第1の列402の下部に第1の高電圧電源接地帰路接触パッド420を含み、第1の高電圧電源接地帰路接触パッド420の直ぐ上に第1の高電圧電源接触パッド418を含む。接触パッド410、412、414、416、418、及び420が特定の順序で示されているが、他の例では、これらの接触パッドは、異なる順序で配置されてもよい。
【0033】
一例において、接触パッドの第2の列404は、6つの接触パッドを含む。接触パッドの第2の列404は、次の接触パッドを順番に含む場合がある。すなわち、第2の高電圧電源接地帰路接触パッド422、第2の高電圧電源接触パッド424、論理リセット接触パッド426、論理電力供給接触パッド428、モード接触パッド430、及び発射接触パッド432である。したがって、接触パッドの第2の列404は、第2の列404の上部に第2の高電圧電源接地帰路接触パッド422を含み、第2の高電圧電源接地帰路接触パッド422の直ぐ下に第2の高電圧電源接触パッド424を含み、第2の列404の下部に発射接触パッド432を含む。接触パッド422、424、426、428、430、及び432が特定の順序で示されているが、他の例では、これらの接触パッドは、異なる順序で配置されてもよい。
【0034】
データ接触パッド410(例えば、図1Bのデータインターフェース126)は、流体作動装置(例えば、図1Bの選択回路106により選択される)、メモリビット(例えば、図1Bの選択回路106により選択される)、温度センサー、設定モード(例えば、図1Bの設定レジスタ136により選択される)等を選択するためのシリアルデータのダイ400への入力に、使用することができる。また、データ接触パッド410は、メモリビット、設定モード、ステータス情報などを読み取るためのダイ400からのシリアルデータの出力にも、使用することができる。クロック接触パッド412は、データ接触パッド410上のシリアルデータをダイの中にシフトさせ、又は、ダイからシリアルデータをデータ接触パッド410にシフトさせてとり出すための、ダイ400へのクロック信号の入力に使用することができる。論理電力接地帰路接触パッド414は、ダイ400に供給される論理電力の接地帰路(例えば、約0V)を提供する。一例において、論理電力接地帰路接触パッド414は、ダイ400の半導体(例えば、シリコン)基板440に電気的に結合される。多目的入出力接触パッド416(例えば、図1Bの検知インターフェース134や図2の検知パッド241)は、ダイ400のアナログ検知モード及び/又はデジタル試験モードの場合に使用される場合がある。一例において、多目的入出力接触パッド416は、図1Bの各メモリセル104~104、書き込み回路130、及びセンサー132に電気的に結合される場合がある。
【0035】
第1の高電圧電源接触パッド418及び第2の高電圧電源接触パッド424は、ダイ400への高電圧(例えば、約32V)の供給に使用することができる。第1の高電圧電源接地帰路接触パッド420及び第2の高電圧電源接地帰路接触パッド422は、高電圧電源の電力接地帰路(例えば、約0V)を提供するために使用される場合がある。高電圧電源接地帰路接触パッド420及び422は、ダイ400の半導体基板440に直接電気的に接続されていない。高電圧電源接触パッド418及び424ならびに高電圧電源接地帰路接触パッド420及び422を最も内側の接触パッドとして有する接触パッドのこの特定の順序によれば、ダイ400への電力供給を向上させることができる。第1の列402の下部及び第2の列404の上部に高電圧電源接地帰路接触パッド420及び422をそれぞれ有することにより、製造の信頼性を向上させ、インク短絡保護を向上させることができる。
【0036】
論理リセット接触パッド426は、ダイ400の動作状態を制御するための論理リセット入力として使用される場合がある。論理電力供給接触パッド428は、ダイ400への論理電力(例えば、5.6Vのような約1.8V~15V)の供給に使用される場合がある。モード接触パッド430は、ダイ400の設定モード(すなわち、機能モード)を有効/無効にするアクセスを制御するための論理入力として使用される場合がある。発射接触パッド432(例えば、図1Bの発射インターフェース128)は、データ接触パッド410からロードされたデータをラッチし、ダイ400の流体作動装置又はメモリ要素を有効にするための論理入力として使用される場合がある。
【0037】
ダイ400は、長さ442(Y軸に沿って)、厚さ444(Z軸に沿って)、及び幅446(X軸に沿って)を有する細長い基板440を含む。一例において、長さ442は、幅446の少なくとも20倍である。幅446は、1mm以下であってもよいし、厚さ444は、500ミクロン(マイクロメートル)未満であってもよい。流体作動装置408(例えば、流体作動ロジック)及び接触パッド410~432は、細長い基板440上に設けられ、細長い基板の長さ442に沿って配置される。流体作動装置408は、細長い基板440の長さ442よりも短いスワスの長さ452を有する。一例において、スワスの長さ452は、少なくとも1.2cmである。接触パッド410~432は、流体作動ロジックに電気的に結合される場合がある。接触パッドの第1の列402は、細長い基板440の第1の長手方向端部448の近くに配置される場合がある。接触パッドの第2の列404は、第1の長手方向端部448とは反対側の細長い基板440の第2の長手方向端部450の近くに配置される場合がある。
【0038】
図5Aは、図4A及び図4Bの流体噴射ダイ400のさらなる例として、流体噴射ダイ400aの中央部分を示す拡大図である。図4A及び4Bを参照して前述したように、流体噴射ダイ400aは、細長い基板440の長さに沿って列を成して配置された複数のノズル408を含む。さらに、流体噴射ダイ400は、複数のノズル408に隣接してグループ460を成して配置された複数のメモリセルを含む。図5Bに示されるように、メモリセルの各グループ460は、第1のメモリセル462及び第2のメモリセル462を含む場合がある。各メモリセル462は、ノズル408に対応する。前述のように、流体噴射ダイ400の流体作動ロジックは、選択されたノズル408から流体を噴射し、又は、選択されたノズル408に対応するメモリセル462にアクセスする。
【0039】
一例において、複数のノズルのうちの各ノズル408は、対応するメモリセル462を有する。別の例では、複数のノズルのうちの1つおきのノズル408は、対応するメモリセル462を有する。別の例では、複数のメモリセルは、各ノズル408に対応する単一のメモリセル462を含む場合がある。別の例では、複数のメモリセルは、各ノズル408に対応する少なくとも2つのメモリセル462を含む。複数のメモリセル462は、複数のグループ460を成して配置される場合があり、各グループ460が、少なくとも2つのメモリセル462を含む場合がある。複数のグループ460は、細長い基板440の長さに沿って互いに間隔を置いて配置されている。
【0040】
図6Aは、図4A及び図4Bの流体噴射ダイ400のさらなる例として、流体噴射ダイ400bの中央部分を示す拡大図である。流体噴射ダイ400bは、細長い基板440の長さに沿って第1の列を成して配置された複数のノズル408aと、細長い基板440の長さに沿って第2の列を成して配置された複数のノズル408bとを含む。第1の列は、第2の列に隣接している。第1の列のノズル408aは、第2の列のノズル408bに対してオフセットされる場合がある。さらに、流体噴射ダイ400bは、複数のノズル408a及び408bに隣接して、グループ470を成して配置された複数のメモリセルを含む。グループ470は、細長い基板440の長さに沿って互いに間隔を置いて配置されている。
【0041】
図6Bに示されるように、各グループ470は、3つのバンク482~482を成して配置された6つのメモリセルを含む場合がある。第1のバンク482は、第1のメモリセル4721-0及び第2のメモリセル4721-1を含む。第2のバンク482は、第1のメモリセル4722-0及び第2のメモリセル4722-1を含む。第3のバンク482は、第1のメモリセル4723-0及び第2のメモリセル4723-1を含む。各バンク482~482は、バンクイネーブル信号経路480~480上のバンクイネーブル信号にそれぞれ応答して選択される場合がある。
【0042】
一例において、複数のメモリセルは、各ノズル408a及び/又は408bに対応する3つのメモリセル472を含む。各ノズルに対応する第1のメモリセル(例えば、メモリセル4721-0)は、メモリセルの第1のバンク(例えば、バンク482)に配置され、第2のメモリセル(例えば、メモリセル4722-0)は、メモリセルの第2のバンク(例えば、バンク482)に配置され、各ノズルに対応する第3のメモリセル(例えば、メモリセル4723-0)は、メモリセルの第3のバンク(例えば、バンク482)に配置される。流体作動ロジックは、選択されたノズル408a及び/又は408bから流体を噴射し、又は、選択されたノズル及び選択されたメモリセルのバンクに対応するメモリセル472にアクセスする。
【0043】
一例において、バンク1、バンク2、及びバンク3のイネーブル信号は、図1Bの設定レジスタ136のような設定レジスタに記憶されたデータに基づく場合がある。別の例では、バンク1、バンク2、及びバンク3のイネーブル信号は、アドレス及びノズルデータとともに流体噴射ダイ400bが受信したデータに基づく場合がある。これらのイネーブル信号は、図1Aの設定ロジック110のような設定ロジックによって、選択された482~482をイネーブルするために使用される。
【0044】
図7は、流体噴射システム500の一例を示すブロック図である。流体噴射システム500は、プリントヘッドアセンブリ502のような流体噴射アセンブリと、インク供給アセンブリ510のような流体供給アセンブリとを含む。図示の例では、流体噴射システム500は、サービスステーションアセンブリ504と、キャリッジアセンブリ516と、印刷媒体搬送アセンブリ518と、電子制御装置520とをさらに含む。以下の説明は、インクに関する流体処理のためのシステム及びアセンブリの例を提供するが、開示されたシステム及びアセンブリは、インク以外の流体の処理にも適用可能である。
【0045】
プリントヘッドアセンブリ502は、図4A及び図4Bを参照して上で図示説明された少なくとも1つのプリントヘッド又は流体噴射ダイ400を含み、これは、複数のオリフィス又はノズル408を通してインク又は流体の液滴を噴射する。一例において、液滴は、印刷媒体524に印刷するために、印刷媒体524のような媒体に向けられる。一例において、印刷媒体524は、紙、カードストック、OHPフィルム、マイラー、布のような任意のタイプの適当なシート材料を含む。別の例では、印刷媒体524は、粉末床のような3次元(3D)印刷用の媒体、又は、リザーバ若しくは容器のようなバイオプリンティング及び/又は新薬発見試験用の媒体を含む。一例において、ノズル408は、少なくとも1つの列又はアレイを成して配置され、プリントヘッドアセンブリ502と印刷媒体524が互いに相対的に移動されるときに、ノズル408からのインクの適当に順序付けられた噴射により、文字、記号、及び/又は他のグラフィックス又は画像が、印刷媒体524に印刷される。
【0046】
インク供給アセンブリ510は、プリントヘッドアセンブリ502にインクを供給し、インクを貯蔵するためのリザーバ512を含む。したがって、一例において、インクは、リザーバ512からプリントヘッドアセンブリ502へと流れる。一例において、プリントヘッドアセンブリ502及びインク供給アセンブリ510は、インクジェット又は流体ジェットプリントカートリッジ又はペンに一緒に収容されている。別の例では、インク供給アセンブリ510は、プリントヘッドアセンブリ502から分離されており、供給チューブ及び/又はバルブのようなインターフェース接続513を介してプリントヘッドアセンブリ502にインクを供給する。
【0047】
キャリッジアセンブリ516は、プリントヘッドアセンブリ502を印刷媒体搬送アセンブリ518に対して相対的に位置決めし、印刷媒体搬送アセンブリ518は、印刷媒体524をプリントヘッドアセンブリ502に対して相対的に位置決めする。したがって、プリントヘッドアセンブリ502と印刷媒体524との間の領域に、ノズル408に隣接して印刷ゾーン526が定義される。一例において、プリントヘッドアセンブリ502は、走査型プリントヘッドアセンブリであり、キャリッジアセンブリ516は、プリントヘッドアセンブリ502を印刷媒体搬送アセンブリ518に対して相対的に移動させる。別の例では、プリントヘッドアセンブリ502は、非走査型プリントヘッドアセンブリであり、キャリッジアセンブリ516は、プリントヘッドアセンブリ502を印刷媒体搬送アセンブリ518に対して所定の位置に固定する。
【0048】
サービスステーションアセンブリ504は、プリントヘッドアセンブリ502、より具体的には、ノズル408の機能を維持するために、プリントヘッドアセンブリ502のスピッティング(吹き返し)、拭き取り、キャッピング、及び/又はプライミングを提供する。例えば、サービスステーションアセンブリ504は、余分なインクを拭き取り、ノズル408をクリーニングするために、定期的にプリントヘッドアセンブリ502上を通過するゴムブレード又はワイパーを含む場合がある。さらに、サービスステーションアセンブリ504は、不使用期間中にノズル408が乾燥するのを防ぐために、プリントヘッドアセンブリ502を覆うキャップを含む場合がある。さらに、サービスステーションアセンブリ504は、スピトゥーン(廃インクトレイ)を含む場合があり、プリントヘッドアセンブリ502は、その中にインクを噴射することで、リザーバ512が適当なレベルの圧力及び流動性を維持することを保証し、ノズル408が詰まったりノズル408からインクが垂れたりしないことを保証する場合がある。サービスステーションアセンブリ504の機能には、サービスステーションアセンブリ504とプリントヘッドアセンブリ502との間の相対運動も含まれる場合がある。
【0049】
電子制御装置520は、通信経路503を介してプリントヘッドアセンブリ502と通信し、通信経路505を介してサービスステーションアセンブリ504と通信し、通信経路517を介してキャリッジアセンブリ516と通信し、通信経路519を介して印刷媒体搬送アセンブリ518と通信する。一例において、プリントヘッドアセンブリ502がキャリッジアセンブリ516に取り付けられている場合、電子制御装置520とプリントヘッドアセンブリ502は、通信経路501を介してキャリッジアセンブリ516経由で通信することができる。一実施形態において、電子制御装置520はさらに、新しい(又は使用済みの)インク供給源を検出することができるように、インク供給アセンブリ510とも通信する場合がある。
【0050】
電子制御装置520は、コンピュータのようなホストシステムからデータ528を受信し、データ528を一時的に記憶するためのメモリを含む場合がある。データ528は、電子、赤外線、光学的、又は他の情報転送経路に沿って流体噴射システム500に送信される場合がある。データ528は、例えば、印刷される文書及び/又はファイルに相当する。したがって、データ528は、流体噴射システム500の印刷ジョブを形成し、少なくとも1つの印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータを含む。
【0051】
一例において、電子制御装置520は、ノズル408からのインク滴の噴射のためのタイミング制御を含む、プリントヘッドアセンブリ502の制御を提供する。したがって、電子制御装置520は、印刷媒体524上に文字、記号、及び/又は他のグラフィックス又は画像を形成する、噴射されたインク滴のパターンを定義する。タイミング制御、したがって噴射されるインク滴のパターンは、印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータによって決定される。一例において、電子制御装置520の一部を形成するロジック及び駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ502上に配置される。別の例では、電子制御装置520の一部を形成するロジック及び駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ502以外の場所に配置される。
【0052】
特定の例が本明細書で図示説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、図示説明された特定の例の代わりに、様々な代替及び/又は均等の実施形態が使用されてもよい。この出願は、本明細書で説明した特定の例の如何なる改変や又は変形もカバーすることを意図している。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等によってのみ制限されることが意図されている。

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A-4B】
図5A
図5B
図6A
図6B
図7