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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】ウィック流体システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20230801BHJP
   G01N 15/10 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
G01N15/06 D
G01N15/10 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021576113
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2019068984
(87)【国際公開番号】W WO2020256788
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/863,610
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593084812
【氏名又は名称】ティーエスアイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ポール・ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ロバート・スタッドラー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・スピルボジェル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェームズ・ハウプト
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/165671(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0113063(US,A1)
【文献】特開2008-020456(JP,A)
【文献】特開2004-061305(JP,A)
【文献】特表2018-509637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封包囲部および取付部を有するポリマーバッグと、
前記取付部に結合された流体ネットワークと、
前記流体ネットワークに結合された流体入口を有し、ウィックチャンバを有する飽和ブロックと、
前記ウィックチャンバに配置されるように構成されたウィックと、
前記ウィックに結合されたセンサと、
を備え
前記センサが静電容量センサを含み、
前記静電容量センサが前記ウィックの周りに周方向に巻かれているシステム。
【請求項2】
前記ウィックが多孔質媒体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記密封包囲部が、漏れがない、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記取付部が出口を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記出口が雄ねじを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体ネットワークが、前記取付部と係合するように構成されたねじ付きカプラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体ネットワークが第1の液圧弁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体ネットワークが液圧ポンプを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体ネットワークに結合されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサに結合されたコントローラをさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサが抵抗センサを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記静電容量センサが、付加物を有する第1の導電性構造物および第2の導電性構造物を含み、前記第1の導電性構造物の付加物が前記第2の導電性構造物の付加物に挟まれている、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサが流体センサを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
密封包囲部から凝縮粒子計数器のウィックに流体流れを供給するステップと、
前記ウィックにおける流体を監視するステップと、
前記ウィックにおける前記流体に基づいて前記流体流れを制御するステップと、
を含み、
前記ウィックにおける流体流れを監視するステップが、前記ウィックの周りに周方向に巻かれている静電容量センサを用いて静電容量を測定するステップを含む方法。
【請求項15】
前記流体流れを供給するステップが液圧弁を開けるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流体流れを供給するステップが液圧ポンプに動力を供給するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ウィックにおける流体流れを監視するステップが電気抵抗を測定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ウィックにおける流体流れを監視するステップが水分を測定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記流体流れを制御するステップが、プロセッサを使用してアルゴリズムを実行するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記流体流れを制御するステップが液圧弁の位置を調節するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記流体流れを制御するステップが液圧ポンプを制御するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に援用される、2019年6月19日に出願された米国仮特許出願第62/863,610号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本明細書は、限定するものではないが、一般に、凝縮粒子計数器(CPC:condensation particle counter)に関する。
【背景技術】
【0003】
浮遊粒子をカウントすることは多くの工業プロセスの重要な部分である。例えば、半導体製作および医療装置製造には計数装置がしばしば備えられている。
【0004】
凝縮粒子計数器は、過飽和の原理を用いて、浮遊する固体粒子の表面での液滴の成長を促進させる。散乱または吸収された光は、粒子の数的カウントに変換することができる電気信号を与える。
【0005】
過飽和は、チャンバ内の温度変化および作動流体の供給を必要とする。典型的な粒子計数器は、消耗可能な量の作動流体を保持する流体供給源を含む。流体を供給するための現在の方法は不適切であり、一般的に汚染されやすく、流体の供給はしばしば測定誤差の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、凝縮型粒子計数器における作動流体用の通気性貯槽は、汚染に伴う問題を引き起こすことがあることを認識している。例えば、重力供給システム、または通気性ボトルを使用するいくつかのポンピングシステムでは、空気が作動流体に接触する可能性がある。本主題は、貯槽が、閉じられて環境から遮断され、作動流体を容易に貯蔵するように、またはウィックもしくはCPCシステムに容易に輸送するように構成された例を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例では、作動流体は、CPC装置とは別々に輸送し、定期的に着脱することができる。作動流体は貯槽に収容される。貯槽は、作動流体の保存期間を減じることがある環境汚染物質から作動流体を保護するために密封される。
【0008】
一例では、貯槽は折り畳み可能で、通気性がない。作動流体は、貯槽が空になり包囲部が折り畳まれるまでポンピングすることができる。この解決策は、ベーパーロック、汚染、ポンプのプライミングの問題、CPCの誤ったカウント、および他の既知の問題に関連する問題に対処する。一例では、作動流体はアルコールであり、CPCはウィックの外面にアルコールを「たらす」ように構成される。一例は、ウィックチャンバの最も低い地点で少量を検出するように構成された小型センサを用いてアルコールに対する監視を行うステップを含む。
【0009】
貯槽の一例は、適切なコネクタを有するプラスチックまたはフォイルバッグまたはパウチを含む。作動流体はイソプロパノールを含むことができる。
【0010】
これらの非限定的な例のそれぞれは、それ自体で成り立つことができ、あるいは他の例のうちの1つまたは複数との様々な置換または組合せにおいて組み合わせることができる。
【0011】
この大要は、本特許出願の主題の大要を提供することを意図している。この大要は、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図したものではない。発明を実施するための形態は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【0012】
図は、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではなく、図において、同様の数字は、異なる視点での類似の構成要素を示していることがある。異なる文字が付加された同様の数字は、類似の構成要素の異なる例を表すことがある。図は一般に、本明細書で論じられる様々な実施形態を限定としてではなく例として示している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例による、凝縮粒子計数器の例の概略図である。
図2】一例による、ウィックシステムの例の図である。
図3】一例による、櫛歯型静電容量センサの例の図である。
図4】ウィックの周りに周方向に巻かれた櫛歯型静電容量センサの例の図である。
図5】一例による、1つの方法のフローチャートの例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、一例による凝縮粒子計数器10の概略を示す。計数器10は、ここでは空気入口15に送られる空気流中の粒子をカウントするように構成されている。空気入口15の空気は、飽和ブロック20Aの通路に送られる。飽和ブロック20Aは、第1の温度に保たれている。ウィック30Aは、飽和ブロック20Aのウィックチャンバ内に配置されている。ウィック30Aは多孔質媒体を含む。ウィック30Aは、貯槽50から供給される作動流体によって濡らされている。作動流体貯槽50は、流体ライン55Aによって、飽和ブロック20Aの流体ポートに結合されている。
【0015】
流入空気は飽和ブロック20Aを通り、その後、凝縮器ブロック35に導かれる。凝縮器ブロック35は、第1の温度とは異なる第2の温度に保たれている。空気は、凝縮器ブロック35を通過した後、吐出ノズルを通過して光学セクション40に入る。光学セクション40は、レーザーなどの発光器および光検出器を含むことができる。空気は、ポンプ45によって計数器10に引き込まれ、飽和ブロック20Aを通り、凝縮器ブロック35を通り、光学セクション40に入る。
【0016】
ウィック30Aに供給される作動流体は、アルコール、水、または他の流体を含むことができる。第1の温度および第2の温度は、カウントされる粒子サイズ、およびウィック30Aに供給される作動流体の材料特性に応じて選択される。
【0017】
図2は、一例によるウィックシステム90の例を示す。システム90は、飽和ブロック20Bによって支持されるウィック30Bを含む。供試空気は、ウィック30Bの右側の空気入口15を通って入り、図の左側から出る。システム90は、作動流体貯槽200と、カプラ210、弁225、ポンプ250、弁215および飽和ブロック20Bの入力ポートに結合されたライン55Bを含む流体ネットワークと、を含む。一例では、システム90は1つまたは複数のセンサ230、232を含む。センサ230、232は、単独で、または組み合わせて、流体が貯槽200または流体ネットワークの他の場所に存在するかどうかを決定することを支援する。センサ230、232のこれら位置は単なる例であり、センサ230、232は、流体ネットワークの他の場所に配置することができる。センサ230、232は、比抵抗センサ、有無センサ、接続がなされていることを示すセンサ(例えば、ホール効果センサ、力センサ、圧電センサ、または適切な接続がなされると回路を完成するスイッチまたは開回路などの電気的な相互接続部)、水分センサなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0018】
飽和ブロック20Bおよびウィック30Bにはセンサが取り付けられている。例えば、静電容量インターフェース125Aおよび静電容量インターフェース125Bは、それぞれ電極120A、120Bおよび電極120C、120Dに結合されている。加えて、静電容量インターフェース125Aおよび静電容量インターフェース125Bはコントローラ150に結合されている。電極120A、120B、120C、および120Dは、ウィック30Bの選択された表面上のプレートとして構成されている。2つのプレート間の静電容量は間隙内の材料の関数である。間隙内の材料は、流体、空気、および静電容量インターフェース125A、125Bの電極間の他の材料を含む、誘電性材料が混合したものである。一例では、ウィック30Bにしみ込んだ作動流体の量は、選択された電極間の静電容量を監視することによって検出することができる。コントローラ150は、ウィック30B内の流体レベルと相関する静電容量を測定するためのアルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサを含むことができる。
【0019】
飽和ブロック20Bおよびウィック30Bに取り付けられるセンサの別の例は抵抗センサである。抵抗インターフェース135は、ウィック30Bの一部を貫通する針として構成されたプローブ130A、130B、130C、および130Dに結合される。プローブ130A、130B、130C、および130Dは、選択的に電圧を加えることができ、ウィック30Bを通る電流を生じさせることができる。プローブ130A、130B、130C、および130D間で測定される抵抗は、それらの間の導電率の関数である。電気抵抗を測定すると、ウィック30B内の流体レベルを測定することができる。
【0020】
水分センサ110は、飽和ブロック20Bに結合され、コントローラ150に結合されたセンサインターフェース115に結合される。センサ110は、静電容量センサ、抵抗センサ、光学センサ、またはウィック30B内の流体を測定するように構成された他のセンサの任意の組合せを含むことができる。
【0021】
コントローラ150は、システム90の選択された要素に結合されている。コントローラ150は、選択された入力において検出された測定値に応答して、様々な構成要素を選択的に調節または制御するようにアルゴリズムを実行することができる。コントローラ150は、メモリデバイスまたはストレージプラットフォーム、ならびにユーザインターフェース(キーボードまたはマウス、およびディスプレイを含む)およびネットワークインターフェース(無線または有線ネットワークを含む)を含むことができる。
【0022】
貯槽200は、取付部を有して構成された通気性のない流体密封の包囲部を含む。ここで、取付部は、雄ねじを有する流体出口を含む。カプラ210は、対応する雌ねじを含み、流体密封となるように構成される。貯槽200は、マイラのような可撓性ポリマーで製作され、流体が抜かれると、貯槽の大きさはつぶれて歪む。貯槽200は、外部への通気口なしに構成されている。
【0023】
システム90は、センサ110と、プローブ130A~130Dと、電極120A~120Dと、を含む。他の例では、システム90は、単一のセンサ、単一の対の抵抗センサプローブ、または単一の対の静電容量電極を含むことができることが理解されよう。同様に、他の例では、システム90は、図示の構成要素よりも少ない構成要素を含む。例えば、システム90は、ポンプを含み、図示の弁を省略することができ、または、弁を含み、ポンプを省略することができる。
【0024】
図3は、電極120E、120Fの例を示す。電極120A、120B、120C、120Dは、電極120E、120Fと同一または同様に構成することができる。電極120E、120Fは櫛歯型電極と呼ばれることもある。櫛歯型電極は静電容量を測定することを支援することができる。電極120E、120Fの付加物は、誘電体だけ間隔を空けて配置され、電極120E、120F(またはその近く)を通過する流体の変化を静電容量の変化によって検出することができる。電極120Eは、背骨部338とそこから延在する付加物330、332、334、336とを備える導電性材料(例えば、銅、金、錫、アルミニウムなど、またはそれらを組み合わせたもの)を含む。図示のような付加物330、332、334、336は、背骨部338から垂直に延在している。図示のような付加物330、332、334、336は、背骨部338の両側から延在している。付加物330は、背骨部338の第1の端部に取り付けられている。付加物336は、背骨部338の第2の端部に取り付けられている。第2の端部は第1の端部の反対側である。
【0025】
電極120Fは電極120Eと同様であり、電極120Fは、付加物332、334、336の間に挟まれた付加物342、344を含む。電極120Fは、電極120Eと同様に、背骨部348とそこから延在する付加物340、342、344、346とを備える導電性材料を含む。図示のような付加物340、342、344、346は、背骨部348から垂直に延在している。図示のような付加物340、342、344、346は、背骨部348の両側から延在している。付加物340は、背骨部348の第1の端部に取り付けられている。付加物346は、背骨部348の第2の端部に取り付けられている。第2の端部は第1の端部の反対側である。
【0026】
いくつかの例では、電極120E、120Fは、ウィック30Bの周りに周方向に巻かれている。電極120E、120Fは、一様なプレートまたはその他のあまり広がっていない静電容量センサと比較すると、ウィック30Bのより広い領域の水分をサンプリングする。したがって、電極120E、120Fは、より正確な静電容量値を与え、ウィック30Bの流体の量をより正確に示す。
【0027】
図4は、ウィック30Bの周りに周方向に巻かれた電極120E、120Fの斜視図の例を示す。ウィック30Bが貯槽200から流体ネットワークを介して液体を吸収すると、電極120E、120Fによって読み取られる静電容量値が変化する。この静電容量値を用いてウィック30Bの流体の量を決定することができる。
【0028】
図5は、一例による方法500のフローチャートの例を示す。510において、方法500は、流体を送出するステップを含む。一例では、流体は、閉じられた貯槽から、弁およびポンプを含む流体ネットワークを通って、飽和ブロックおよびウィックに送出される。
【0029】
520において、方法500は、センサを監視するステップを含む。センサは、複数の電極またはプレートを有する静電容量センサ、少なくとも1つの導電性プローブを有する抵抗センサ、水分センサ、または他のタイプのセンサを含むことができる。530において、方法500は、データをメモリに保存するステップを含む。保存されたデータは、ユーザまたはオペレータへの通知のための基礎とすることができる。一例では、保存されたデータは、アーカイブの目的のために保持される。
【0030】
540において、方法500は、ウィックシステムの液圧要素を制御するステップを含む。液圧要素は、弁(弁215または弁225など)、ポンプ(ポンプ250など)、結合ライン、圧力調整器、または他の構成要素を含むことができる。
【0031】
550において、方法500は、データを保存するステップを含む。データは、メモリに保存することができ、記憶内容に応じて、警報またはメッセージをユーザまたはオペレータに与えることができる。メッセージは、作動流体の補充を要求することができ、またはシステム90の要素の状態に関して注意を喚起することができる。
【0032】
示されているように、方法500による処理は、作動流体が必要に応じて送出される510に戻るステップを含む。方法の他の構成も考えられる。
【0033】
各種注意事項
本主題の様々な例は、作動流体を貯蔵し、作動流体を凝縮粒子計数器に輸送し送出するための方法および装置、ならびに作動流体の充填状態、容量、およびウィックの状態を決定するための関連するセンサを伴う。
【0034】
一例では、作動流体(イソプロパノール、水、エタノール、ブタノール、プロピレングリコールなど)の折り畳み可能な容器が貯槽として役に立つ。貯槽は、蓋を付け、密封し、貯蔵し、かつ輸送することができ、配管および液体ポンプに取り付けられたコネクタと嵌合することができる。液体ポンプは、ポンプの下流のシステムの部分から貯槽および流体を隔離することができる。さらに隔離するために、弁を上流または下流に設けることができ、あるいは弁をポンプの上流および下流の両方に設けることができる。ポンプは、作動流体を、通気性のない折り畳み可能な容器から、地面に対してある角度で取り付けられた凝縮粒子計数器(CPC)のウィックの外面に輸送するように構成することができる。作動流体は、ポンピングによって、完全に飽和するまでウィックの全体を濡らす。
【0035】
ウィックの作動流体含有量は、様々なセンサおよび関連する方法によって感知することができる。例えば、1つの方法によれば、ウィックがいっぱいになると、ポンプからの作動流体のさらなる投入分は、飽和したウィックから、接触センサが設置されたシステム内の最も低い地点まで流れることができる。センサは、ウィックが飽和したことを示すためにポンプ制御システムに信号を与えることができ、ポンピングを停止する(またはポンプへの供給電力を除去する)ように命令を生じさせることができる。一例では、ポンプ出力はメータで計られる。
【0036】
一例では、注入口から遠位位置のウィックに針状のプローブが挿入されている。これらのプローブ間のウィックの電気抵抗が測定される。ウィックが遠端で濡れるときには、ウィックが一端から他端まで濡れていることを示す顕著な抵抗の減少がある。
【0037】
一例では、ウィックは、1つまたは複数の端部、その側面などにおいて、非接触型静電容量プローブによって取り囲まれる。センサ(事実上は、2つの導電性電極または表面)を用いて、ウィックとその中に含まれる任意の流体の静電容量を測定する。既知の容量のウィックでは、溢れを防止するよう適切な量の作動流体を加えることができる。センサはまた、加えられた作動流体の個々の投入分を識別し、ウィック内の作動流体の消費を監視することができる。
【0038】
一例は、使用時間およびウィックを通る流体流れを監視するステップを伴う。センサ信号は、連続的に、あるいは貯槽またはドッキングステーションに取り付けられたときに、ウィックを充填するための適切なアルゴリズムと組み合わせて、CPCシステムの状態を知らせることができ、また、ウィックの状態を測定することができる。
【0039】
一例によれば、貯槽は通気性ではない。貯槽は、大気への通気口よりもむしろ、折り畳み可能なポリマー(マイラなど)バッグまたは包囲部を含む。貯槽の側壁は、流体の除去に伴って折り畳まれる。
【0040】
折り畳み可能な貯槽に通気口がないことによって、周囲の気体、湿気、および他の物質による汚染を防ぎ、したがって、潜在的に使い捨て可能な作動流体容器を長時間、設置、使用することができる。作動流体を隔離し、調量された投入分をウィックの外部にポンピングするためのポンプの作用は、CPCに対する溢れおよびゼロカウントの問題を最小にすることに役立つ。
【0041】
一例では、ポンプは自吸式で、気泡をポンピングし、様々な他の輸送の問題を防ぐことができる。一例では、ポンプの調量を用いて、作動流体の消費量を追跡し、いつ補充するかをユーザに知らせることができる。
【0042】
本主題の一例は、CPCシステムへの作動流体の輸送を容易にする。
【0043】
本主題の一例は、圧力効果を受ける大きな貯槽を使用せず、溢れさせず、傾けたときにCPCの他の部分を汚染させずに、CPCウィックが流体でいっぱいになるときを監視および検出するように構成されている。
【0044】
本主題の一例は、吸湿性のある作動流体をCPCで長時間使用することを可能にする。折り畳み可能な貯槽は、通気の必要性を改善する。一例では、ポンプは、弁または重力供給ポンプよりもむしろ、作動流体の劣化を低減または除去することができる。作動流体は、汚染物質(水または湿気、ガス種、煤など)との接触によって劣化することがある。
【0045】
本主題の一例は、エンドユーザにとって交換が容易な作動流体の長期の供給を可能にする。一例は、1日の間隔を超える作動流体の貯蔵能力を提供する。
【0046】
本主題の一例は、機器とは別個に、しかも機器に迅速に適応する作動流体を輸送するための手段を提供する。
【0047】
本主題の一例は、作動流体の過充填を防止するような制御を提供する。
【0048】
本主題の一例は、作動流体の予備使用を可能にし、その結果、液体のいかなる流出、または圧力に関連したこぼれも、流れの構成要素を溢れさせることなく吸収することができる。
【0049】
本主題の一例は、作動流体貯槽の圧力をCPC内の圧力から隔離し、いっぱいになったときに溢れを防止するように構成される。
【0050】
本主題の一例は、作動流体の調量投入を可能にするように構成される。本主題の一例は、ウィックの状態を監視し定量化するように構成される。
【0051】
本主題の様々な例は、エアロゾル研究、エンジン排気測定、健康および安全、医薬品、クリーンルーム、ならびにCPC技術を利用する他の用途に関する作業に展開することができる。
【0052】
上記の説明は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付図への言及を含む。図は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも称される。このような例は、図示または説明されたものに加えて、いくつかの要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らはまた、図示または説明された要素のみが設けられる例もあり得ると考える。さらに、本発明者らはまた、特定の例(あるいは、その1つまたは複数の態様)に関して、または本明細書に図示または説明された他の例(あるいは、その1つまたは複数の態様)に関して、図示または説明されたこれらの要素(あるいは、その1つまたは複数の態様)の任意の組合せまたは置換を使用する例もあり得ると考える。
【0053】
本明細書と、参照により援用されるいずれかの文書と、の間に矛盾した使用がある場合、本明細書の使用を優先する。
【0054】
本明細書では、特許文書において一般的であるように、「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」のいかなる他の例または使用とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように使用される。本明細書では、「または(or)」という用語は、別段の指示がない限り、「AまたはB」が、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すように使用されている。本明細書では、「含む(including)」および「その中(in which)」という用語は、それぞれ、「備える(comprising)」および「その中(wherein)」という用語の平易な英語の同義語として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、制限のない(open-ended)用語であり、すなわち、ある請求項においてこのような用語の後に列挙されるものに加えていくつかの要素を含むシステム、装置、物品、組成、配合、またはプロセスが依然としてその請求項の範囲内に含まれるものと考えられる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、その対象に数値的な要件を課すことを意図していない。
【0055】
「平行」、「垂直」、「円形」、または「正方形」などの幾何学的な用語は、文脈から別段の指示がない限り、絶対的な数学的精度を要求することを意図したものではない。その代わり、このような幾何学的な用語は、製造による変更または等価な機能を許容する。例えば、ある要素が「円形」または「概ね円形」と記述されている場合、正確には円形ではない構成要素(例えば、わずかに楕円形、または多辺のある多角形)も依然としてこの記述によって包含される。
【0056】
本明細書で説明した方法の例は、少なくとも部分的に機械実装またはコンピュータ実装が可能である。いくつかの例は、上記の例で説明したような方法を実行させるように電子装置を構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ読取り可能な媒体または機械読取り可能な媒体を含むことができる。このような方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高級言語コードなどのコードを含むことができる。このようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ読取り可能な命令を含むことができる。こうしたコードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時などに、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ読取り可能な媒体に有形に保存することができる。これらの有形のコンピュータ読取り可能な媒体の例としては、限定するものではないが、ハードディスク、取外し可能な磁気ディスク、取外し可能な光ディスク(例えば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読取り専用メモリ(ROM:read only memory)などを含むことができる。
【0057】
上記の説明は、例示的であることを意図しており、限定することを意図したものではない。例えば、上記の例(あるいは、その1つまたは複数の態様)は互いに組み合わせて使用することができる。他の実施形態は、例えば、上記の説明を検討する際に当業者によって使用されてよい。要約書は、読み手が技術的な開示の本質を素早く確認することができるように提供されている。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるものではないという理解のもとに提示されている。また、上記の発明を実施するための形態において、本開示を簡素化するために様々な特徴が一緒にまとめられていることがある。これは、請求されていない開示された特徴が、任意の請求項に必須であることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴に存在する場合がある。したがって、以下の請求項は、例または実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施形態として成立し、そのような実施形態は、様々な組合せまたは置換において互いに組み合わせることができることが考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような請求項が権利を有する等価物の全範囲とともに決定されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 凝縮粒子計数器
15 空気入口
20A 飽和ブロック
20B 飽和ブロック
30A ウィック
30B ウィック
35 凝縮器ブロック
40 光学セクション
45 ポンプ
50 作動流体貯槽
55A ライン
55B ライン
90 ウィックシステム
110 水分センサ
115 センサインターフェース
120A 電極
120B 電極
120C 電極
120D 電極
120E 電極
120F 電極
125A 静電容量インターフェース
125B 静電容量インターフェース
130A プローブ
130B プローブ
130C プローブ
130D プローブ
135 抵抗インターフェース
150 コントローラ
200 作動流体貯槽
210 カプラ
215 弁
225 弁
230 センサ
232 センサ
250 ポンプ
330 付加物
332 付加物
334 付加物
336 付加物
338 背骨部
340 付加物
342 付加物
344 付加物
346 付加物
348 背骨部
500 方法
図1
図2
図3
図4
図5