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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】藻類を脱臭するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/20 20160101AFI20230801BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A23L5/20
C12N1/12 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021578077
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020025308
(87)【国際公開番号】W WO2021001058
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/025206
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520407493
【氏名又は名称】ナノ アルジー ソリューションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コフティス, テオハリス, ザ フィフス
(72)【発明者】
【氏名】ネオコスミディス, エフストラティオス
(72)【発明者】
【氏名】テルジディス, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】パナギオティディス, セオドロス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレウ, サノス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスタルディ, エリ
(72)【発明者】
【氏名】アタナシアドゥ, フォテイニ
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-252761(JP,A)
【文献】特開昭63-301778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/20
C12N 1/12
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類バイオマスを脱臭するための方法であって、a)バイオマスを、金属サルファイト、金属ビサルファイト、アンモニウムビサルファイト、金属メタビサルファイト、SO、又はそれらの混合物から選択される付加物形成化合物と接触させることと、b)撹拌又は振盪することと、c)懸濁液から固体を回収することとを含む方法。
【請求項2】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)が、N.ガディタナ(N.Gaditana)、N.グラニュラータ(N.Granulate)、N.リムネティカ(N.Limnetica)、N.オセアニカ(N.Oceanica)、N.オキュラータ(N.Oculata)及びN.サリナ(N.Salina)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)がナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannochloropsis Oculata)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)における付加物形成化合物が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及びそれらの混合物から選択される金属サルファイト、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム及びそれらの混合物から選択される金属ビサルファイト、又はメタ重亜硫酸ナトリウムメタ重亜硫酸カリウム及びそれらの混合物から選択される金属メタビサルファイトのいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)が30分~6時間実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)が、濾過によって、又は上清をデカントし、堆積物を回収することによって実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
d)固体を水溶液で洗浄することと、e)場合により乾燥させることとをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
固体が、水、NaCl、H、リン酸塩若しくはリン酸エステル又はクエン酸溶液から選択される水溶液で洗浄される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
固体が水で洗浄される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類バイオマスが乾燥形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類バイオマスが、天日乾燥、オーブン乾燥、風乾、噴霧乾燥又は凍結乾燥形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類バイオマスが湿潤形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類を脱臭するための方法の提供に関する。本発明は、特に、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属の藻類から臭気物質、特に藻類に見出される魚臭の原因となる物質を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
藻類は、水中で成長する単一細胞生物体である。それらは、光合成を使用して、光、二酸化炭素及び栄養素を油、炭水化物及びタンパク質に変える。それらの栽培には、耕地を必要とせず、実際には、汽水、淡水又は海水中で急速な成長速度で成長させることができる。
【0003】
乾燥粉末形態の藻類は、そのまま消費されてもよく、又は食品及び飲料製品などの機能性及び健康的な大量販売食品、すなわち、パン、乳製品、肉、フルーツジュース、栄養バー、乳児用食品など、健康補助のための錠剤又はプレーン粉末などの長期保存可能な微細藻類ベースの機能性食品の食品添加剤として、パーソナルケア製品中で、並びに水産養殖における魚飼料成分として使用されてもよい。
【0004】
最近の研究は、世界人口が増加しており、これに伴い、食料需要が増加していると同時に、資源及び耕地が次第に制限されていることを示している。
【0005】
微細藻類は、その培地の物理的及び化学的特性の比較的簡単な操作によって、特定の脂質及び脂肪酸を産生するように誘導することができる。それらは、乾燥重量の20~50%までの相当量の脂質を産生し、蓄積することができる。微細藻類における脂質の蓄積は、細胞再生速度よりも速い速度での糖類の消費に起因し、これは、過剰な糖の脂質への変換を促進する。
【0006】
オメガ-3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、日常生活及び機能に不可欠である。血清トリグリセリドを低下させることに対するオメガ-3脂肪酸の有益な効果は、現在十分に確立されている。これらの化合物はまた、コレステロールレベルの低下、冠動脈心疾患に対する保護及び血小板凝集の抑制などの他の心臓保護的な利点についても知られている。PUFAの他の利点は、炎症、神経変性疾患及び認知発達の予防及び/又は治療に関連するものである。
【0007】
ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)は、PUFAを含有する価値の高い油を産生するために使用される藻類属の1つであり、中でもエイコサペンタエン酸(EPA)は特に価値があり、興味深い。ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)によって産生される脂肪酸の2/3超は、EPA、パルミチン酸及びパルミトレイン酸からなる。
【0008】
微細藻類は植物タンパク質の豊富で持続可能な供給源であり、その含有量は多くの種にわたって変化する。アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)(スピルリナ(Spirulina))及びクロレラ(Chlorella)は、このカテゴリーで商業的に最も広く使用されている種であり、最大70重量%のタンパク質を含有し得る。藻類から誘導されるタンパク質は、錠剤又は粉末の形態の栄養補助食品として、又はパスタ、パン、乳製品、スポーツ栄養のための栄養バーなどの食品中の添加剤として消費され得る。
【0009】
微細藻類は、不快な風味及び/又は臭気の原因となることが多い広範囲の揮発性化合物を産生する。藻類に存在するPUFAは、高度の不飽和のために酸化に非常に敏感であり、PUFAの分解並びに不快な味及び/又は臭気を有することが知られている一次及び二次酸化生成物の形成をもたらす。これは、アルデヒド、ケトン及びアルコールの形成に起因し得る。上述の藻類用途の多くでは、例えば乳製品では、この味及び匂いを可能な限り最大限に排除し、優れた栄養価を有するだけでなく、同時に消費者にとって魅力的な製品を提供することが望ましい。
【0010】
当該技術分野で藻類又は藻類由来製品を脱臭する方法は、ほとんどの場合、それに由来する油に適用される。高温での真空水蒸気蒸留、及び油とシリカなどの吸着剤との接触、パルミチン酸アスコルビル、トコフェロール及びレシチンなどの抗酸化剤の添加などのさらなる任意の工程は、藻類油、一般に魚油を脱臭するために一般的に使用される方法である。場合によっては、ローズマリー又はセージ抽出物が抗酸化剤として使用され、時に臭気及び味を変化させる。
【0011】
藻類のそれらの原料形態での脱臭を記載した方法はほとんど報告されておらず、本明細書の発明者らが見出したナンノクロロプシス(Nannochloropsis)も特に言及されていない。いくつかの機関からのチームのグループは、Journal of the Science of Food and Agriculture,2017,vol.97,5123-5130にある研究を発表し、その研究は、3つの異なる溶媒、エタノール、ヘキサン及びアセトンを使用した溶媒抽出及びスラリー法試験による、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)からの臭気化合物の除去に焦点を当てたものであり、臭気化合物及び望ましくない化合物の大部分がエタノール抽出物によって除去されたことをGC-MS分析によって示した。
【0012】
日本特許出願第06311882号明細書によれば、藻類-クリプテコディニウム・コニー(Crypthecodinium cohnii)-を培養して医療用DHAを産生し、超臨界COによる抽出によって臭気を除去している。DHA重量損失%は低いと記載されているが、この方法の効率は、抽出温度、圧力及び反応時間に強く依存する。藻類バイオマスが20重量%未満の水を有する場合にのみ、臭気化合物を抽出することが効率的であり得る。
【0013】
海藻を脱臭するための方法は韓国特許第101753224号明細書に記載されており、これによれば、海藻を二酸化炭素で満たされた炭酸バッファー溶液に浸漬し、高圧(50~250MPa)を加える。二酸化炭素気泡は、海藻から臭気化合物を選択的に除去すると言われており、反応パラメータ(圧力、温度、pH、CO生成速度など)の調整により、生成物の物理的特性、質感、味及び形態はそのままである。しかしながら、このマルチパラメータ調整は、この方法を非実用的にするものであり、所望の生成物を容易に達成することはできない。これに加えて、高圧が必要とされ、これは全体的に細胞完全性の改変を引き起こし得る。
【発明の概要】
【0014】
したがって、藻類、特にナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属を脱臭するための直接的な方法が必要とされている。バイオベース製品の持続可能な製造のためのバイオリファイナリーの概念内では、そのような方法はむしろ、すべての生産流の可能な限り最大の価値を可能にするために、得られた画分の機能性を維持し、それらのさらなる利用を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannocloropsis Oculata)藻類バイオマスからのアルデヒド及びケトンの除去傾向を示す。
図2】本発明によるナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannocloropsis Oculata)藻類バイオマスからのアルデヒド及びケトンの除去傾向を示す。それぞれの値が示されている表1も参照されたい。
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、「微細藻類」は、典型的には淡水系及び海洋系に見られ、水及び堆積物の両方に生息する微細な藻類である。「微細藻類」は、類似の様式で定義され得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「バイオマス」という用語は、藻類の成長から生じる炭素含有材料を指すが、他の成長中の生物体由来の材料も含み得る。「微細藻類バイオマス」及び「藻類バイオマス」という用語は互換的に使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「付加物」は化学種ABであり、その各分子実体は、部分A及びB内の原子の結合性に変化があるが失われないように、2つの別個の分子実体A及びBの直接の組み合わせによって形成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態によれば、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類の微細藻類バイオマスを脱臭する方法であって、
a)バイオマスを、金属サルファイト、金属ビサルファイト、アンモニウムビサルファイト、金属メタビサルファイト、SO、又はそれらの混合物から選択される付加物形成化合物と接触させることと、
b)撹拌又は振盪することと、
c)上記懸濁液から固体を回収することと
を含む方法が提供される。
【0020】
第2の実施形態によれば、上記ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類は、N.ガディタナ(N.Gaditana)、N.グラニュラータ(N.Granulate)、N.リムネティカ(N.Limnetica)、N.オセアニカ(N.Oceanica)、N.オキュラータ(N.Oculata)及びN.サリナ(N.Salina)からなる群から選択される。好ましい実施形態によれば、上記ナンノクロロプシス(Nannochlropsis)藻類は、ナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannochloropsis Oculata)である。
【0021】
藻類バイオマスは、収穫された藻類バイオマスよりも少ない重量%の水を含有する場合、乾燥形態であると考えられる。工程(a)で提供されるナンノクロロプシス(Nannochloropsis)の微細藻類バイオマスは、天日乾燥、オーブン乾燥、風乾、凍結乾燥、噴霧乾燥されてもよく、又は当該技術分野で既知の他の標準的な食品乾燥技術に従って処理されてもよく、0~7重量%、好ましくは0.5~6重量%、より好ましくは1~5重量%の水を含有してもよく、最も好ましくは、本発明で使用される乾燥バイオマスの含水量は4重量%である。あるいは、本発明で使用される藻類バイオマスは、7~99.95重量%、好ましくは7~98重量%、より好ましくは7~85重量%、さらにより好ましくは7~70重量%、最も好ましくは7~50重量%の含水量で湿潤していてもよい。別の実施形態では、本発明で使用される湿潤藻類バイオマスは、15~99.95重量%、好ましくは15~98重量%、より好ましくは15~85重量%、さらにより好ましくは15~70重量%、最も好ましくは15~50重量%の含水量を有する。
【0022】
微細藻類バイオマスの乾燥は、さらなる処理を容易にするのに有利である。乾燥とは、主に無傷のバイオマスからの自由表面水分/水の除去、又は(例えば、微粒子化によって)均質化したバイオマスのスラリーからの表面水の除去を指す。場合によっては、バイオマスを乾燥させることにより、より効率的な微細藻類油抽出方法を容易にすることができる。本発明の脱臭するための方法は、乾燥バイオマス又は湿潤バイオマスのそれぞれに対して、乾燥手順の前又は後のいずれかに実施することができる。
【0023】
藻類バイオマスを、当業者に既知の方法に従って付加物形成化合物の水溶液と接触させ、工程(a)に従って懸濁液を形成する。この方法の利点は、有機溶媒の使用が不要であることである。
【0024】
工程(b)によれば、金属サルファイト又はSOは、アルデヒド及び/又はケトンと反応し、ビサルファイト付加物が形成され、その後、藻類バイオマスから除去される。金属サルファイトは、好ましくは亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸リチウムから選択され、金属ビサルファイトは、好ましくは重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム及び重亜硫酸リチウムから選択され、金属メタビサルファイトは、好ましくはメタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム及びメタ重亜硫酸リチウムから選択される。これらの混合物を使用してもよい。最も好ましくは、メタ重亜硫酸ナトリウムが使用される。
【0025】
ビサルファイト付加物の形成は、アルデヒド及びケトンのカルボニル基の反応性に強く依存する。本発明者らは、アルデヒド並びに立体障害のない環状及びメチルケトンが藻類バイオマスから効率的に除去されることを見出した。
【0026】
使用する付加物形成化合物によっては、pH調整工程が必要な場合がある。非常に酸性のpH値では、懸濁液中の藻類の色が変化することが観察されており、これはほとんどの場合望ましくない。懸濁液のpHは、2~12、好ましくは3.5~8、より好ましくは4~7、さらにより好ましくは4~6、最も好ましくは4~5の範囲であり得る。
【0027】
本発明の工程cによる固体の回収は、固体を液体から分離するための当業合成化学者に既知の方法、例えば濾過によって、又は上清をデカントして堆積物を回収することによって行われる。
【0028】
別の実施形態によれば、本方法は、
d)固体を水で洗浄することと、
e)場合により乾燥させることと
をさらに含む。
【0029】
工程(d)による洗浄は、水、NaCl、H、リン酸塩若しくはリン酸エステル、アセテート又はクエン酸の水溶液から選択される水溶液を用いて行われる。水が好ましい手段である。
【0030】
工程(e)による乾燥は、当業者に既知の任意の方法によって実施することができる。本明細書の発明者らは、脱臭された藻類バイオマスの感覚刺激特性はそのままであるので、凍結乾燥がこの場合に最適な方法であることを見出した。オーブン乾燥により、乾燥した固体は、ぼそぼそした質感及び暗緑褐色を有し、消費者にとって魅力的でないことが観察された。
【0031】
ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)によるヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)を使用して、D.M.水で再生された脱臭藻類試料を分析し、臭気のある揮発性化合物含有量を測定した。GC-MS分析は、GCMS-Q2010PLUS質量分析計と連結したShimadzu GC-2010で実施した。ジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン(DVB/CAR/PDMS)SPME繊維1cmを抽出に使用した。
【0032】
表1は、アルデヒド及びケトンの除去に対するメタ重亜硫酸ナトリウム濃度の効果を示す。これらの測定値を目的として、試料をMBSF水溶液又は水(対照)で10分間処理し、続いてDM水で洗浄し、凍結乾燥させた。
【0033】
脱臭藻類バイオマス中の臭気化合物の含有量は、検出不能なレベルに減少するか、有意に減少するかのいずれかであり、この能力はメタ重亜硫酸ナトリウム濃度の増加によって改善されることが分かる。後者は、0.5重量%~30重量%の範囲であり得、好ましくは0.5重量%、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、15重量%、20重量%、25重量%又は30重量%であり得、最も好ましくは20重量%であり得る。
【0034】
本明細書に記載の脱臭するための方法の別の主な利点は、有意なEPA損失が観察されなかったことである。藻類バイオマス中に存在する他の脂肪酸の損失も最小限であった。
【0035】
この方法はさらに非破壊的で可逆的であり、製品の機能性を維持する。形成された付加物をさらに処理して、藻類バイオマスから最初に除去される化合物を形成することができ、これは価値のある特性を有し得る。臭気化合物を選択的に除去し、栄養成分をかなり無傷のままにする、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)藻類バイオマスを脱臭する単純であるが非常に効率的な方法を例として示す。
【実施例
【0036】
本発明の実施例で使用したナンノクロロプシス(Nannochloropsis)は、収穫後に噴霧乾燥され、最大7重量%の水を含有していた。
【0037】
実施例1
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて20%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで、減圧下でオーブン内で45℃で2時間乾燥させて、17.6gの乾燥粉末を得る。
【0038】
実施例2
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて20%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.2gの乾燥粉末を得る。
【0039】
実施例3
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて10%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.4gの乾燥粉末を得る。
【0040】
実施例4
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて5%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.0gの乾燥粉末を得る。
【0041】
実施例5
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて1%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、16.9gの乾燥粉末を得る。
【0042】
実施例6
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて0.5%w/vのメタ重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.4gの乾燥粉末を得る。
【0043】
実施例7
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いて100mLのD.M.水を充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.3gの乾燥粉末を得る。
【0044】
実施例8
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いてリン酸二ナトリウムで調整したpH4~5の20%w/vの重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.0gの乾燥粉末を得る。
【0045】
実施例9
磁石撹拌棒を装備した250mL丸底フラスコに、20gのN.オキュラータ(N.Oculata)粉末、続いてリン酸二ナトリウムで調整したpH4~5の5%w/vの重亜硫酸ナトリウム溶液100mLを充填する。懸濁液を不活性雰囲気下、常温で2.5時間撹拌し、次いで、固体を減圧濾過によって回収する。濾過ケーキを2×100mLのD.M.水で噴霧洗浄し、30分間吸引乾燥し、次いで18時間凍結乾燥して、17.2gの乾燥粉末を得る。
図1
図2