(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】固定角度の遠心分離機のロータ
(51)【国際特許分類】
B04B 5/02 20060101AFI20230801BHJP
B04B 7/08 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B04B5/02 Z
B04B7/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105364
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2020182117の分割
【原出願日】2016-01-04
【審査請求日】2022-06-30
(32)【優先日】2015-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510016645
【氏名又は名称】ファイバーライト・セントリフュージ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シーナ・ピラムーン
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-042755(JP,A)
【文献】特開2014-000565(JP,A)
【文献】特表平07-501012(JP,A)
【文献】特表2013-510711(JP,A)
【文献】特開昭63-252561(JP,A)
【文献】特開昭63-319073(JP,A)
【文献】米国特許第4372483(US,A)
【文献】米国特許第6190300(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定角度の遠心分離機のロータであって、
ロータ本体であって、前記ロータ本体は、前記ロータ本体内に設けられるとともに前記ロータの回転軸の周りにおいて周方向で離間された複数の管状空所を有し、前記管状空所の各々は開放端および閉止端を有し、前記管状空所の各々は内部に試料容器を受け入れるように構成される、ロータ本体と、
前記複数の管状空所の完全に上方に配置されかつ前記複数の管状空所を周方向に包囲する環状の閉じ込め溝であって、前記環状の閉じ込め溝は上方の再入部を有し、前記溝の輪郭は、前記ロータの前記回転軸を含む断面視において、径方向に外向きに凹状であり、前記複数の管状空所の上方かつ外側端部の近くから前記上方の再入部に向かって延びる弓形の後壁から湾曲し、前記環状の閉じ込め溝は、前記上方の再入部との組み合わせで、前記ロータの回転の間に前記ロータ内の浮遊物質を捕まえて保持するように構成される、環状の閉じ込め溝と、
前記ロータ本体の少なくとも一部を包囲する補強層であって、前記環状の閉じ込め溝は前記補強層内に設けられる、補強層と、
を備える固定角度の遠心分離機のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、遠心分離機のロータに関し、より詳細には、遠心分離機内で試料を支持するように構成される固定角度のロータに関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機のロータは、典型的には、遠心分離の間に試料を保持するために、実験用遠心分離機で使用される。遠心分離機のロータが構造および寸法において非常に大幅に異なり得るが、1つの一般的なロータ構造は、剛体のロータ本体を有し、複数の部屋穴空所が、ロータ本体内で周囲に分配されると共に回転の軸の周りに対称に配置される、固定角度のロータである。試料は空所に配置され、複数の試料を遠心分離に曝すことができる。
【0003】
従来の固定角度の遠心分離機のロータは、金属または様々な他の材料から作られ得る。しかしながら、知られている改良は、ロータが複合炭素繊維などの適切な材料から製作される圧縮成形およびフィラメントワインディング工程によって、遠心分離機のロータを構築することである。例えば、固定角度の遠心分離機のロータは、樹脂で被覆された炭素繊維積層材料の層から圧縮成形できる。複合材料による固定角度の遠心分離機のロータの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に記載されており、それらの各々の開示は、本明細書において、その全体において参照により明示的に組み込まれている。
【0004】
遠心分離機の回転速度が1分間あたり数百回転または数千回転すら超え得る用途で、遠心分離機のロータが一般的に使用されているため、遠心分離機のロータは、載荷されたロータの高速回転の間に被る応力および負担に耐えるように設計された構造で形成されていることが重要である。遠心分離の間にロータ本体に構造的な剛性を提供するための改良が、特許文献6(同じく、共通の譲受人によって所有されている)に記載されており、その開示は、本明細書において、その全体において参照により明示的に組み込まれている。この改良では、圧力板が、回転の間に管状の空所を支持し、それによってロータ不具合の可能性を最小限にするように、ロータ本体の底部に結合されている。
【0005】
遠心分離の間にロータが被る応力および負担の主な発生源は、載荷された空所によって発揮される外向きとされる遠心力を含み、追加的な発生源は、回転する遠心分離機心棒によって発揮されるトルクである。より具体的には、ロータハブが遠心分離機心棒に結合するロータの中心部分が、ロータの回転の間、特には、回転の加速および減速の間、大きな度合いのトルクを発生する。このトルクは、ロータの様々な構成部品に大きな度合いの応力集中をもたらす。従来のロータの性能能力は、遠心力によって引き起こされる応力に加えて、このようなトルクと、結果生じる応力とを受容するロータの能力によって制限され得るが、遠心分離の間の、トルクを含む、様々な発生源によって引き起こされる応力および負担を緩和するための改良された構造的な剛性を有する遠心分離機のロータに対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,833,908号明細書
【文献】米国特許第6,056,910号明細書
【文献】米国特許第6,296,798号明細書
【文献】米国特許第8,147,392号明細書
【文献】米国特許第8,273,202号明細書
【文献】米国特許第8,323,169号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、遠心分離に向けた使用についてこれまで知られている遠心分離機のロータの前述および他の短所および欠点を克服する。本発明は特定の実施形態との関連で詳述されているが、本発明がそれらの実施形態に限定されないことは、理解されるものである。むしろ、本発明は、本発明の精神および範囲内に含まれ得るようなすべての代替、変更、および等価を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、固定角度の遠心分離機のロータは、周囲側壁、および、複数の周方向で離間された管状空所を有するロータ本体を備える。各々の管状空所は、開放端および閉止端を有し、内部に試料容器を受け入れるように構成される。ロータは、ロータ本体の複数の管状空所および周囲側壁との組み合わせでロータ内に中空区画室を定めるようにロータ本体に動作可能に結合される圧力板を、さらに備える。ロータは、ロータ本体によって支持される複数の細長いトルク伝達部材をさらに備える。複数のトルク伝達部材の各々は、隣接する管状空所のそれぞれの対の間に位置付けられる第1の端を有し、ロータの回転軸に向かう方向で径方向内向きに延びる。
【0009】
他の実施形態では、固定角度の遠心分離機のロータは、周囲側壁、および、複数の周方向で離間された管状空所を有するロータ本体を備える。各々の管状空所は、開放端および閉止端を有し、内部に試料容器を受け入れるように構成される。ロータは、隣接する管状空所のそれぞれの対の間に各々位置付けられる複数のポケットをさらに備える。ロータは、ロータ本体の複数の管状空所および周囲側壁との組み合わせでロータ内に中空区画室を定めるようにロータ本体に動作可能に結合される圧力板を、さらに備える。周方向で離間された複数の直立タブが、圧力板によって支持される。複数のタブの各々が、複数のポケットのそれぞれ1つに受け入れられる。
【0010】
他の実施形態では、方法が、遠心分離機のロータを製造するために提供される。方法は、周囲側壁、および、複数の周方向で離間された管状空所を有するロータ本体を形成することを含む。各々の管状空所は、開放端および閉止端を有し、内部に試料容器を受け入れるように構成される。方法は、隣接する管状空所のそれぞれの対の間のそれぞれのポケットに各々のタブが受け入れられるように、複数の周方向で離間された直立タブを有する圧力板をロータ本体に動作可能に結合することをさらに含む。
【0011】
他の実施形態では、遠心分離機のロータを製造するための方法は、周囲側壁、および、複数の周方向で離間された管状空所を有するロータ本体を形成することを含む。管状空所の各々は、開放端および閉止端を有し、内部に試料容器を受け入れるように構成される。方法は、トルク伝達部材の各々が、隣接する管状空所のそれぞれの対の間に位置付けられ、ロータの回転軸に向かう方向で径方向内向きに延びる第1の端を有するように、複数の細長いトルク伝達部材をロータ本体において形成することをさらに含む。
【0012】
なおも他の実施形態では、固定角度の遠心分離機のロータは、ロータの回転軸の周りで周方向に離間される複数の管状空所を備える。各々の管状空所は、開放端および閉止端を有し、内部に試料容器を受け入れるように構成される。ロータは、複数の管状空所の上方に配置され、複数の管状空所を周方向で包囲する環状の閉じ込め溝をさらに備える。環状の閉じ込め溝は、溝の輪郭が、回転軸に向かって径方向内向きで、複数の管状空所に向かって軸方向下向きに湾曲する上方の再入部を有する。環状の閉じ込め溝は、上方の再入部との組み合わせで、ロータの回転の間にロータ内の浮遊物質を捕まえて保持するように構成される。
【0013】
本発明の様々な追加の特徴および利点は、添付の図面との組み合わせで解される例示の実施形態の以下の詳細な記載の検討によって、当業者にはより明らかとなる。
【0014】
本明細書の一部に組み込まれており、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の特定の実施形態を図示しており、上記で提供された本発明の大まかな記載、および、以下に提供されている詳細な記載と共に、本発明を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ロータ蓋およびロータ蓋取っ手を有する、本発明の第1の実施形態による遠心分離機のロータの斜視図である。
【
図1A】ロータを持ち上げるところを示す、
図1の遠心分離機のロータの別の斜視図である。
【
図2】
図1の遠心分離機のロータの部分的に分解された下向きの斜視図である。
【
図3】
図1の遠心分離機のロータの、線3-3に沿って切り取られた断面図である。
【
図4】細長い補強を適用する前の、よりよく見えるように開いて斜めにされたロータ本体および圧力板を示す、
図1の遠心分離機のロータの部分的に分解された斜視図である。
【
図5】反転されたロータ本体を示し、ロータハブおよびロータ挿入体が見えなくされている、
図1の遠心分離機のロータのロータ本体の、線3-3に沿って切り取られた断面図である。
【
図6】
図1の遠心分離機のロータの底の、部分的に取り除かれた平面図である。
【
図7】ロータ本体のポケット内に受け入れられる圧力板のタブの追加的な詳細を示す、
図1の遠心分離機のロータのロータ本体のポケットを軸方向に貫いて切り取られた斜視での部分断面図である。
【
図8】ロータ挿入体の追加的な詳細を示す、
図3の遠心分離機のロータの線8-8に沿って切り取られた部分的な断面図である。
【
図9】例示の遠心分離機に設置された
図1の遠心分離機のロータを示す線図である。
【
図10】ロータ蓋またはロータ結合構成部品なしで示した、本発明の第2の実施形態による遠心分離機のロータの斜視図である。
【
図11】
図10の遠心分離機のロータの線11-11に沿って切り取られた断面図である。
【
図12】細長い補強を適用する前の、よりよく見えるように開いて斜めにされたロータ本体および圧力板を示し、ロータハブおよび対応する結合構成部品なしで示された、
図10の遠心分離機のロータの部分的に分解された斜視図である。
【
図13】反転されたロータ本体を示し、ロータ挿入体のない、
図10の遠心分離機のロータのロータ本体の、線11-11に沿って切り取られた断面図である。
【
図14】
図10の遠心分離機のロータの底の、部分的に取り除かれた平面図である。
【
図15】ロータ本体のポケット内に受け入れられる圧力板の隆起区域の追加的な詳細を示す、
図10の遠心分離機のロータのロータ本体のポケットを軸方向に貫いて切り取られた斜視での部分断面図である。
【
図16】ロータ挿入体の追加的な詳細を示す、
図11の遠心分離機のロータの線16-16に沿って切り取られた部分的な断面図である。
【
図17A】
図10の遠心分離機のロータの上方補強部において環状の液体閉じ込め溝を形成するための環状の溝工具の一部を示す概略的な断面図である。
【
図17B】
図10の遠心分離機のロータの上方補強部において環状の液体閉じ込め溝を形成するための環状の溝工具の一部を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図を参照し、具体的には
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態による例示の遠心分離機のロータ10が示されている。ロータ10は、ロータ本体12と、ロータ本体12に動作可能に結合され、ロータ本体12の上方端12aの上方で支持されるロータ蓋14と、ロータ本体12の下方端12bに動作可能に結合される圧力板16とを備えている。本明細書で用いられるとき、ロータ本体12の「上方端」は、ロータ10の中心の回転軸A(
図3)に沿うロータ本体12の概して最上位の端のことを言っており、その端において、試料容器(図示せず)が装填および装填解除される。反対に、ロータ本体12の「下方端」は、回転軸Aに沿うロータ本体12の概して最下位の端のことを言っており、その端において、ロータ10は遠心分離機13(
図9)によって支持される。後で記載しているように、細長い補強26が、ロータ本体12と圧力板16の一部との周りで連続的に延び、それによってロータ本体12への圧力板16の結合を容易にするように適用され得る。細長い補強26は、ロータ本体12の上方端12aの上方で延びてもよく、それによって、ロータ蓋14の外側の周方向の縁を受け入れて支持するように構成される上方補強部26aを形成する。
【0017】
図1~
図2に示しているように、ロータ蓋14は、ロータ本体12の上方端12aに対して蓋14を使用者が取り付けおよび取り外しするのを支援するための取っ手18を備えてもよい。具体的には、取っ手18は、蓋14をロータ本体12と固定するために、または、蓋14をロータ本体12から固定解除するために、回転でき(
図1)、試料容器(図示せず)を装填または装填解除した後、蓋14をロータ本体12と係合させるように、または、蓋14をロータ本体12から離すように、鉛直方向に移動するために握ることができる(
図1A)。また、取っ手18は、例えば、ロータ10を遠心分離機13に挿入するとき、ロータ10を遠心分離機13から取り外すとき、または、ロータ10を運搬するとき、実質的に鉛直の方向でロータ10を支持するために、使用者によって握られてもよい。
【0018】
図2~
図4に示しているように、ロータ本体12は回転軸Aの周りで対称的に形成され、回転軸Aの周りで、試料容器は動作の間に遠心回転される。ロータ本体12は、周方向の延びる側壁20と、複数の周方向で離間された管状の部屋穴空所24が、対応する複数の試料容器(図示せず)を受け入れるために貫いて延びる上壁22とを備えている。上壁22は、各々の個別の管状空所24を識別するための印を表示するための、
図3では円板の形態で示されている識別要素23を備えてもよい。
【0019】
螺旋の巻き線であり得る細長い補強26が、周方向に延びる側壁20の概して滑らかな外部表面28の周りで連続的に延びている。本明細書で用いられるとき、「概して滑らかな」という用語は、段差の形態を有していない表面28を言い表すように意図されており、角または鋭利な縁が大まかにはない。この点において、先に定めた用語は、表面28の表面粗さを定めるように意図されていない。ロータ本体12は、概して滑らかな外部表面28が、補強26の適用の前に、追加的な機械加工または仕上げを必要としないように形成され得る。一実施形態では、ロータ本体12は、先に参照により組み込まれている特許文献4および特許文献5に開示されている方法を用いて、形成できる。ロータ本体12は、例えば炭素繊維を含め、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成できる。
【0020】
図2および
図3で最良に示されているように、細長い補強26によって形成された上方補強部26aは、ロータ本体12の上方端12aの軸方向上方で離間された環状の液体閉じ込め溝27を定めるような形状にされ得る。ロータ10によって保持された試料容器(図示せず)内に収容された試料の遠心分離の間、大きな遠心力によって、試料容器の閉止部を通じた試料の漏れをもたらす可能性がある。液体閉じ込め溝27の凹んだ湾曲は、漏れた試料が回転の間にロータ10内に保持されてロータ10から放出されず、それによって安全で清浄な作業環境を維持するように、漏れた試料の少なくとも一部を捕まえるように作用し得る。
【0021】
ロータ10の図示した実施形態は10個の管状の部屋穴空所24を備えており、それらの部屋穴空所24は任意の適切な空所容積のものであり得る。例えば、一実施形態では、10個の管状空所24の各々は、おおよそ1,000mlの内容積を有する試料容器を受け入れるための寸法とされ得る。当業者は、本発明の原理に従うロータが、任意の適切な数の管状空所24で形成でき、各々の空所24が任意の適切な空所容積を定めることを理解するものである。例えば、
図10~
図17との関連で後でより詳細に記載されている1つの代替の実施形態では、遠心分離機のロータは6個の管状空所で形成でき、各々の管状空所は、おおよそ2,000mlの内容積を有する試料容器を受け入れるための寸法とされる。なおも他の代替の実施形態(図示せず)では、遠心分離機のロータは8個の管状空所で形成でき、各々の管状空所は、おおよそ1,500mlの内容積を有する試料容器を受け入れるための寸法とされる。当業者は、本明細書で記載しているようなロータ10の追加的な特徴が、量、寸法、および/または位置において、適切であるとして変更されてもよい一方で、管状空所24の具体的な数量および/または寸法を考慮するために、ロータ本体12で受け入れられる1つまたは複数の試料(図示せず)において遠心動作を実施するためのロータ10の同じ機能性を概して維持することも理解する。
【0022】
管状の部屋穴空所24の各々は、上壁22からロータ本体12の内部30へと、ロータ本体12の下方端12bに概して向かう方向で、回転軸Aに対して斜めに延びている。本明細書で用いられるとき、「内部」という用語は、ロータ本体の対応する周囲側壁によって包囲され、その周囲側壁の径方向内側に配置される遠心分離機のロータの全体的な部分のことを言う。また、本明細書で用いられるとき、「管状」という用語は、例えば、丸められた形(例えば、楕円、円、または円錐)、四辺形、正多角形、または不規則な多角形など、任意の適切な断面を有する空所のことを言う。したがって、この用語は、図に示した例示の管状空所の概して円形の断面輪郭に限定されるように意図されてはいない。
【0023】
各々の管状空所24は、上壁22における開放端34と、下方端12bに向かって配向された反対に配置された閉止端36とを備えている。各々の空所24は、側壁38と底壁39とによって定められており、回転軸Aの周りでの遠心分離のために試料容器を中に受け入れる(図示せず)ための適切な寸法および形とされている。各々の空所側壁38は、それぞれの試料容器を受け入れて支持する内面38aと、ロータ本体12の内部30を概して向く外面38bとを備えている。
【0024】
図4および
図5で最良に示されているように、管状空所24は、周囲側壁20の径方向内側において周方向で離間されており、そのため、側壁20と空所24の外面38bとは、複数の周方向で離間されたポケット40を定めており、各々のポケット40は、それぞれの管状空所24の隣接する対の間で定められている。後でより詳細に記載するように、外面38bは、周囲側壁20および圧力板16との組み合わせで、ポケット40を含む中心に位置付けられた中空区画室42を集合的に定めている。
【0025】
図3~
図5を参照すると、複数の周方向で離間された細長いトルク伝達部材50が、ロータ本体12によって支持されており、一実施形態によるロータ本体12の中心内側部51に動作可能に結合されてもよい。後でより詳細に記載しているように、トルク伝達部材50は、遠心分離の間、トルクを遠心分離機13の遠心分離機心棒(図示せず)から管状空所24へと伝達するように作用する。各々のトルク伝達部材50は、外側の第1の端52と、回転軸Aに向かって配向された内側の第2の端54との間で径方向に延びている。示した実施形態では、各々のトルク伝達部材50の第1の端52は、それぞれのポケット40に向かって、それぞれの管状空所24の隣接する対の間で、その対の接線方向に延びている。さらに、「第1の端」および「第2の端」という用語は、トルク伝達部材の第1の端および第2の端との関連で本明細書において用いられるとき、トルク伝達部材の末端位置を指定するようには意図されていない。むしろ、「第1の端」および「第2の端」は、それぞれ、一端において隣接する管状空所のそれぞれの対に隣接し、反対の端において中心軸Aに隣接して径方向で位置付けられるトルク伝達部材の大まかな部分を言うように意図されている。
【0026】
図示しているように、ロータ10は、10個のトルク伝達部材50を、1つの部材50が管状空所24の各々の隣接する対の間で延びるように備えてもよい。前述したように、ロータ10は、任意の適切な数の管状空所24で形成され得る。したがって、ロータ10は、管状空所24に対するトルク伝達部材50の任意の望ましい比を維持するために、任意の適切な数のトルク伝達部材50で形成され得る。例えば、
図10~
図17に示した代替の実施形態との関連で後に記載しているように、遠心分離機のロータは、6個の管状空所と6個のトルク伝達部材とを備え得る。なおも他の代替の実施形態(図示せず)では、遠心分離機のロータは、8個の管状空所と8個のトルク伝達部材とを備え得る。
【0027】
ロータ10は、一実施形態によるロータ本体12の中心内側部材51に動作可能に結合され得る、ロータ本体12によって支持されたトルク伝達環体60をさらに備え得る。図示しているように、トルク伝達環体60は、上壁22の底面から内部30へと延び、延いては中空区画室42へと延びている。図示しているように、トルク伝達環体60は、各々のトルク伝達部材50の第2の端54がトルク伝達環体60に向かって径方向に延び、トルク伝達環体60に動作可能に結合するように、回転軸Aを中心として位置付けられている。一実施形態では、トルク伝達部材50およびトルク伝達環体60は、上壁22と、中心内側部51と、管状空所24の側壁38とを含むロータ本体12との一体品として、一体的に形成されてもよい。代替の実施形態では、トルク伝達部材50およびトルク伝達環体60のいずれかまたは両方が、ロータ本体12に解除可能に結合されてもよい。
【0028】
また、
図3~
図6および
図8に示しているように、トルク伝達部材50は、トルク伝達環体60との一体品として一体的に形成されてもよい。代替の実施形態では、トルク伝達部材50は、トルク伝達環体60に解除可能に結合されてもよい。他の代替の実施形態では、ロータ10は、トルク伝達部材50が回転軸Aに向かって径方向に(独立して)延びるようにして、トルク伝達環体60なしで形成されてもよい。なおも他の実施形態では、トルク伝達部材50は、設けられるとき、トルク伝達部材50とトルク伝達環体60との間で径方向に位置決めされる1つまたは複数の中間構造(図示せず)に結合されてもよい。代替で、トルク伝達環体60が設けられない場合、トルク伝達部材50は、個別または2つ以上のセットのいずれかで、トルク伝達部材50と回転軸Aとの間において径方向で位置決めされる1つまたは複数の中間構造(図示せず)に結合されてもよい。
【0029】
図4~
図6で最良に示されているように、各々のトルク伝達部材50は、第1の側壁62と、反対の第2の側壁64とを伴って形成されてもよく、第2の側壁64は、上壁22に向かう方向(
図5および
図6)で下方端12bからロータ本体12を見るとき、第1の側壁62から時計回りに配置される。各々の側壁62、64は、トルク伝達部材50の第1の端52と第2の端54との間で概して測定される径方向長さを有する。図示した実施形態に示しているように、第1の側壁62の径方向の長さは、同じトルク伝達部材50の第2の側壁64の径方向の長さより、長くてもよい、または、短くてもよい。例えば、
図6に示しているように、第1の側壁62の例示の径方向長さR1は、第2の側壁64の例示の径方向の長さR2より短い。また、トルク伝達部材50は、(i)各々の第1の側壁62の径方向長さが、各々の隣接するトルク伝達部材50の第2の側壁64の径方向長さと等しくなるように、および、(ii)各々の第2の側壁64の径方向長さが、各々の隣接するトルク伝達部材50の第1の側壁62の径方向長さと等しくなるように、交互の様式で周方向に配置されてもよい。
図10~
図17との関連で後に記載しているものなど、特定の代替の実施形態では、トルク伝達部材は、各々のトルク伝達部材の第1および第2の側壁が等しい径方向長さおよび曲率で形成されるように、対称的に形成されてもよい。
【0030】
トルク伝達部材50は、側壁62、64がそれぞれのトルク伝達部材50の軸方向の厚さを定めるように、上壁22の底面から内部30へと、延いては中空区画室42へと、概して軸方向に延びている。
図3および
図5で最良に示されているように、トルク伝達部材50の各々は、第1の端52が第2の端54より大きい軸方向の厚さを有するように、第2の端54から第1の端52に向かって径方向外向きの方向で漸次的に増加する軸方向厚さを伴って形成されてもよい。また、
図5で最良に示されているように、各々のトルク伝達部材50の第1の端52は、トルク伝達部材50が、概して、隣接する管状空所24のそれぞれの対の間で延びる場所またはその近くで、軸方向の段差部66を備えてもよい。
【0031】
トルク伝達部材50およびトルク伝達環体60は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成され得る。例えば、トルク伝達部材50および/またはトルク伝達環体60は、最適化された繊維配向を有する炭素繊維複合材から形成され得る。代替の実施形態では、トルク伝達部材50および/またはトルク伝達環体60は、金属から形成され得る。
【0032】
図3および
図4を参照すると、ロータ10の圧力板16は、丸められた上方部70aを有する中心の概して円錐形の直立壁部70と、円錐形壁部70から径方向内向きに延びる上壁部72と、円錐形壁部70から概して径方向外向きに延びる環状の底壁部74とを備えている。
【0033】
圧力板16は、円錐形壁部70がロータ本体12の内部30内に受け入れられ、管状空所24の外面38bの各々の径方向内側を向く側部と係合するように、ロータ本体12の下方端12bに動作可能に結合され得る。圧力板16は、上壁部72が上壁22、トルク伝達部材50、および、上壁22によって支持されるトルク伝達環体60から軸方向で離間したままとなるように、ロータ本体12に着座され得る。それによって、圧力板16をロータ本体12に結合することで、ポケット40を含め、中空区画室42を完全に定める。具体的には、中空区画室42は、ロータ本体12の周囲側壁20、上壁22、および外面38bと、圧力板16の円錐形壁部70、上壁部72、および底壁部74とによって境界付けられる。
【0034】
したがって、ロータ10の図示した実施形態では、管状空所24の外面38bの各々の実質的な部分は、中空区画室42と、隣接するポケット40のそれぞれの対とを含む中空の空間によって包囲される。本明細書で用いられるとき、「実質的」という用語は、中空の空間によって包囲される管状空所の外面の一部を言い表すために使用されるとき、環状の空所の具体的な外面の少なくとも約40%、好ましくは約40%から約60%までの間が、中空の空間によって包囲される実施形態について述べることが意図される。
【0035】
圧力板16の環状の底壁部74は、複数の周方向で離間された窪み76を備え、円錐形壁部70は、窪み76に向かって下向きに延びると共に窪み76へと開放する複数の対応する周方向で離間された波状部77を備えている。具体的には、圧力板16は、好ましくは、各々の管状空所24について1つの窪み76と1つの波状部77とを備える(つまり、
図1~
図9に示した実施形態については10個の窪み76と10個の波状部77)。
【0036】
図3および
図4を引き続き参照すると、圧力板16の窪み76は、圧力板16がロータ本体12に結合されるとき、管状空所24の複数の底壁39を受け入れて当接した関わり合いで係合するように構成されている。同様に、波状部77は、管状空所24の外面38bを受け入れて当接した関わり合いで係合するように構成されている。その点において、窪み76は、各々の窪み76がそれぞれの管状空所24のそれぞれの底壁39の実質的に一部と接触するような適切な寸法および形とされており、波状部77は、各々の波状部77がそれぞれの外面38bの下方部の湾曲と実質的に一致するような適切な寸法および形とされている。したがって、圧力板16は、各々の窪み76と、対応する波状部77とが、それぞれの管状空所24と一緒に係合するように、ロータ本体12と嵌め合わされ得る。この手法では、窪み76は管状空所24に構造上の支持を提供し、それによって、ロータ10の高速回転の間に剛性を提供し、一方、波状部77は、ロータ本体12に対する圧力板16の周方向の位置合わせを維持するのを助ける。代替の実施形態では、圧力板16は、管状空所24の数量より少ない数量の窪みを備えてもよく、その場合、各々の窪みは、2つ以上の管状空所24を受け入れて係合するのに適した寸法および形とされる。
【0037】
圧力板16は、円錐形の直立壁部70と環状の底壁部74との間で斜めに延びる複数の周方向で離間されたリブ78をさらに備え得る。示した実施形態では、リブ78は、隣接する窪み76および波状部77の各々の対の間に設けられている。圧力板16がロータ本体12に結合されるとき、各々のリブ78は、隣接する管状空所24のそれぞれの対の間で、部分的にそれぞれのポケット40へと延びている。リブ78は、ロータ10の高速回転の間に、追加的の構造上の支持を圧力板16に提供し、延いてはロータ本体12にも提供するために、筋交いの様式で作用する。
【0038】
圧力板16は、
図4で最良に示されているように、窪み76同士の間で延びる複数の周方向で離間された直立タブ80をさらに備え得る。図示した実施形態では、タブ80は、圧力板16の周方向の外側縁82に隣接して、底壁部74から概して軸方向に延びている。各々のタブ80は、圧力板16がロータ本体12と結合されるとき、
図7に示されているように、隣接する管状空所24のそれぞれの対の間に形成されているポケット40に受け入れられる適切な寸法および形とされている。この点において、タブ80は、それぞれの管状空所24の側壁38および底壁39によって定められた対応する構造と係合する。したがって、タブ80は、組立の間、圧力板16をロータ本体12と適切に位置合わせさせ、ロータ10の高速回転の間に、管状空所24を含むロータ本体12に、追加的な構造上の支持を提供する。
【0039】
ロータ本体12への圧力板16の結合は、例えば保持ナット90など、留め具によって容易にされてもよい。示した実施形態では、保持ナット90は、ロータハブ94の雄ネジ部92とねじ込み係合する。後でより詳細に記載しているように、ロータハブ94は、遠心分離の間のロータ10の高速回転を可能にするために、遠心分離機13の遠心分離機心棒(図示せず)とのロータ10の係合を容易にする。ナット90の係合は圧力板16の下側からもたらされ、このような係合は、それによって、ロータハブ94を圧力板16の上壁部72へと動作可能に固定する状態となる。ナット90は、ナット90の回転による取り付けおよび取り外しを容易にするための2つ以上の周方向で離間された工具係合凹所91(
図6)を備え得る。ロータハブ94は、さらに、ロータ本体12の中心内側部51内に設けられた、後で記載しているロータ挿入体96とねじ込み係合される。
【0040】
ロータ本体12への圧力板16の結合は、これらの2つの構成部品を細長い補強26と一緒に圧縮成形することで、さらに高められてもよい。一実施形態では、先に参照により組み込まれている特許文献4、特許文献5および特許文献6に開示されているように、補強26は、炭素繊維(例えば、樹脂で被覆された炭素繊維)の単一の綱または撚糸など、高強力繊維の連続する撚糸を、ロータ本体12の外部表面28の少なくとも一部の周りに、圧力板16の露出された径方向外側部分にわたって、螺旋状に巻くことで適用されてもよい。具体的には、上記の特定された特許で開示されているように、撚糸は、遠心分離の間に最も大きい応力を受ける領域において交差位置を定めるためにそれ自体と重なるようにして、ロータ本体12および圧力板16の周りにしっかりと繰り返し巻かれ、それによって複数の補強層26を形成することができる。当業者は、圧力板16をロータ本体12に結合する様々な代替の方法が用いられ得ることを理解するものである。
【0041】
前述したように、図示した実施形態のロータ10は、ロータハブ94を受け入れてねじ込み係合するように構成されるロータ挿入体96を備えている。
図5および
図8で最良に示されているように、ロータ挿入体96は、ロータ本体12の中心内側部51に形成された内部ポケット100内に設けられる。ロータ挿入体96は、上壁22に形成された開口102と、中心内側部51と、トルク伝達環体60とを通じて延びるように、回転軸Aの周りに位置付けられる。ロータ挿入体96は、内部ポケット100の対応する複数の交互に径方向に延びる長い通路106aおよび短い通路106b内で受け入れられる複数の交互に径方向に延びる長いアーム104aおよび短いアーム104bを備えている。一実施形態では、ロータ10は、アーム104a、104bの数と、対応する通路106a、106bの数とが、管状空所24の数と等しくなるように形成されてもよい。より具体的には、長いアーム104aの数は、管状空所24の数の2分の1に等しくてもよい。例えば、示した実施形態では、ロータ10は、10個の管状空所24と、5個の長いアーム104aおよび5個の短いアーム104bを有するロータ挿入体96と、それぞれのアーム104a、104bを受け入れるための5個の長い通路106aおよび5個の短い通路106bを有する内部ポケット100とを備える。当業者は、ロータ10の代替の実施形態が、ロータ挿入体のアーム104a、104bおよび対応するポケットの通路106a、106bに対する管状空所24の任意の所望の比で形成できることを理解するものである。また、代替の実施形態では、ロータ挿入体のアームおよび対応するポケットの通路は、任意の適切な形および寸法で形成されてもよい。
【0042】
ロータ挿入体96は、金属などの任意の適切な材料から形成でき、先に参照により組み込まれている特許文献4および特許文献5によって開示されているように、本体形成の間にロータ本体12へと成形されてもよい。また、
図5に示しているように、ロータ本体12のトルク伝達環体60は、ロータ挿入体96の一部の外面に設けられた対応する径方向突起(図示せず)と嵌まり合うためのキースロット108を備えてもよい。
【0043】
ロータ本体12、ロータ蓋14、および圧力板16は、先に参照により組み込まれている特許文献4および特許文献5において開示されている圧縮成形方法を用いて形成されてもよい。より具体的には、ロータ本体12の外面の外形を定める空所を有する第1の型(図示せず)が使用され得る。第1の型は、ロータ挿入体96を支持する中心に位置付けられた型芯部も備え得る。エポキシマトリックスであらかじめ含浸された複数の円板形とされた織り繊維シートが、第1の型の内部において型芯部の周りで鉛直方向に重ねられ、重ねられたシートは、それらの外側縁が、形成されるロータ本体12の外形とされる周囲側壁20を定めるように、直径が漸次的に変化している。
【0044】
炭素繊維シートであり得る織り繊維シートは、2つの横断する方向で織られた繊維を含み、シートは、管状空所24を定めるための周方向で離間された円形の開口を含み得る。織り繊維シートが重ねられるにつれて、各々の連続するシートは、シートを形成する織り繊維が、その下に位置決めされた直接隣接する織りシートを形成する織り繊維に対して、(形成されているロータ本体12の回転軸の周りに)おおよそ45度回転させられるように配向され得る。織り繊維シートを重ねた後、管状空所24は、事前成形された管状挿入体を、重ねた織りシートにおける円形の開口によって定められた斜めの開孔へと挿入することでさらに定められ得る。各々の管状挿入体は、管状挿入体の長手方向軸の周りで径方向に積層される、対応する複数の織り繊維シートによって形成され得る。したがって、熱および圧力が、ロータ本体12と、トルク伝達部材50と、トルク伝達環体60とを形成するために、重ねられた織り繊維シートを含む第1の型に加えられ得る。同様の圧縮成形技術を用いて、第2の型が圧力板16を形成するために使用でき、第3の型がロータ蓋14を形成するために使用でき、圧力板16およびロータ蓋14は、各々、対応する複数の重ねられた織り繊維シートから形成される。
【0045】
使用中、ロータ挿入体96および保持ナット90とねじ込み係合されたロータハブ94を含むロータ10は、遠心分離機13の遠心分離機心棒(図示せず)の突出部がロータハブ94内に受け入れられるように、心棒に装着されて結合される。
図6に示しているように、ロータハブ94の底面は、ロータ10を遠心分離機心棒と位置合わせするための位置合わせピン(図示せず)を受け入れるための孔110を備え得る。ロータ10が心棒に着座されることで、
図3に示しているように、ハブ保持体112はロータハブ94の上端を通じて受け入れられ、ロータハブ94とねじ込み係合できる。ハブ保持体112の取り付けは、有利には、ロータハブ94と、延いてはロータ本体12とが、動作中に遠心分離機心棒から鉛直方向に持ち上がるのを防止する。図示した実施形態で示しているように、ハブ保持体112は、中心ピン114を受け入れるための貫通孔を備えてもよく、中心ピン114は、遠心分離機心棒の雄ネジ付き遠位端を受け入れるための雌ネジを有している。代替の実施形態では、遠心分離機のロータ10は、ロータ挿入体96を任意の適切な遠心分離機心棒と結合するための任意の適切な結合構成部品に嵌め込まれる。
【0046】
蓋ネジ保持体118は、例えばねじ込み係合によって、ハブ保持体112に結合でき、ロータ蓋14をロータ本体12に固定するための蓋ネジ120をネジで受け入れるように構成され得る。
図3に示しているように、蓋ネジ120は、ロータ蓋14における中心開口を通じて軸方向に挿入でき、外側端において取っ手18を備えてもよい。蓋ネジ120は、取っ手18を介して、蓋ネジ120を蓋ネジ保持体118とねじ込み係合およびねじ込み係合解除するために、使用者によって回転され得る。蓋ネジ120が蓋ネジ保持体118と完全にねじ込み係合されるとき、取っ手18の基礎部はロータ蓋14に軸方向の圧縮力を発揮し、それによって蓋14をロータ本体12に固定する。ロータ蓋14は、ロータ本体12に結合されるとき、管状空所24に保持される試料容器へのアクセスを妨げる。当業者は、保持ナット90、ロータハブ94、ロータ挿入体96、ハブ保持体112、および蓋ネジ保持体118が、例えば金属などの任意の適切な材料から形成され得ることを、理解するものである。
【0047】
さらに、示した実施形態では、ロータ蓋14は封止要素122を備えてもよく、蓋ネジ120は封止要素124を備えてもよい。封止要素122、124は、例えばOリングとでき、さらに、ロータ本体12へのロータ蓋14の結合と、蓋ネジ保持体118への蓋ネジ120の結合とをそれぞれ容易にできる。ここで示した実施形態は、ロータ蓋14をロータ本体12へと固定するための1つの結合方法を示しており、当業者は、様々な代替の結合方法が用いられてもよいことを理解するものである。
【0048】
ロータ10を遠心分離機心棒に装着した後、遠心分離機心棒は、ロータ10を高速の遠心回転へと駆動するために作動させられ得る。図示した実施形態のロータ10の回転の間、回転する心棒は、ロータハブ94にトルクを発揮し、ロータハブ94はさらにロータ挿入体96にトルクを発揮し、ロータ挿入体96は、さらに中心内側部51と追加的にトルク伝達環体60とにトルクを発揮する。トルク伝達環体60は、トルク伝達部材50を通じて径方向外向きにトルクを伝達する。より具体的には、トルク伝達部材50は、中心内側部51に加えて、管状空所24と、その管状空所24内に保持される試料容器とにトルクを径方向外向きに伝達する。したがって、管状空所24に加えられたトルクは、中心内側部51を通じるだけではなく、トルク伝達環体60およびトルク伝達部材50も通じて伝達される。したがって、トルク伝達環体60およびトルク伝達部材50を設けることは、ロータ10に、高速回転の間に受ける大きな度合いのトルクに耐えるための追加的な構造上の剛性を有利に提供する。また、圧力板16に形成されている周方向に離間された窪み76、リブ78、および直立タブ80は、高速回転の間、追加的な構造上の剛性を管状空所24に提供し、延いては、全体としてロータ本体12へと提供する。
【0049】
図10~
図17は、本発明の第2の実施形態による遠心分離機のロータ210を示している。遠心分離機のロータ210は、後に記載していることを除いて、遠心分離機のロータ10と構造において同様である。その点において、後で詳細に記載していないものを含め、同様の符号は、
図1~
図8において示したロータ10との関連で先に記載したのと同様の特徴部に言及している。
【0050】
図10および
図11を参照すると、遠心分離機のロータ210は、ロータ本体212と、ロータ本体212に動作可能に結合され、ロータ本体212の上方端212aの上方で支持されるロータ蓋(図示せず)と、ロータ本体212の下方端212bに動作可能に結合される圧力板216とを備えている。遠心分離機のロータ210はロータ蓋なしで示されているが、当業者は、前述したロータ蓋14と構造が同様である蓋が提供されてもよいことを理解するものである。また、ロータ蓋は、ロータ蓋14との関連で前述したものと同様の構成部品を用いて、ロータ本体212に結合されてもよい。
【0051】
ロータ210は、ロータ本体212と圧力板216の径方向外側部分との周りで連続的に延び、それによってロータ本体212への圧力板216の結合を容易にするように、補強26との関連で前述した同様の方法を用いて適用され得る細長い補強226をさらに備えている。細長い補強226は、ロータ本体212の上方端212aの上方で延びてもよく、それによって、ロータ蓋の外側の周方向の縁を受け入れて支持するように構成される上方補強部226aを形成する。
【0052】
図11を参照すると、上方補強部226aは、ロータ本体212の上壁222の軸方向上方で径方向外向きに離間された環状の液体閉じ込め溝227を定めるような形状にされ得る。液体閉じ込め227は、遠心分離の間に遠心分離機のロータ210内で漏れた試料を捕まえて保持することで、前述した液体閉じ込め溝27と同様の手法で動作する。閉じ込め溝227は上方の再入部227aを備えており、上方の再入部227aでは、溝227の輪郭は、上壁222に向かってそれ自体において内向きに湾曲している。より具体的には、溝227の輪郭は、弓形の後壁227bから、軸方向上向きで径方向内向きの方向において、上方の頂領域227cに向かって湾曲し、それから、軸方向下向きで径方向内向きの方向において、下方縁227dに向かって湾曲し、そこで再入部227aは途切れている。上方の再入部227aは、遠心分離の間に漏れた試料を捕まえて保持するための閉じ込め溝227の能力を高め、それによって安全で清浄な作業環境を維持する。
【0053】
液体閉じ込め溝227は、
図17Aおよび
図17Bにおいて概略的に示しているように、複数の部分を有する環状の溝工具229を用いて形成され得る。溝工具229は、閉じ込め溝227の上方の再入部227aを形成するために形作られた環状の上方工具部229aと、閉じ込め溝227の残りの下方部を形成するために形作られた環状の下方工具部229bとを備え得る。上方工具部229aおよび下方工具部229bは各々、後で記載しているように、上方補強部226aの形成の後での溝工具229の取り外しを容易にするために、周方向の副部分へとさらに分割可能であってもよい。
【0054】
例えば前述した圧縮成型方法を用いた、ロータ本体212の形成に続いて、溝工具229は、ロータ本体212の上方端212aの上方に位置決めされ得る。補強26との関連で前述したように、細長い補強226を形成する撚糸は、次に、上方補強部226aを形成するために、ロータ本体212および圧力板216の周りで巻くこととの組み合わせで、溝工具229の周りに巻かれてもよい。上方補強部226aの形成に続いて、次に溝工具229は、例えば、
図17Aおよび
図17Bにおける方向の矢印によって示しているように、最初に下方工具部229bを取り外し、次に上方工具部229aを取り外すことで、連続的に分解されてもよい。したがって、工具229の取り外しは、上方の再入部227aを含む新たに形成された液体閉じ込め溝227を露出する。追加の工具または固定具(図示せず)が、上方補強部226aから径方向外向きに延びる環状唇部232を形成するために、上方補強部226aの形成の間に使用されてもよい。環状唇部232は、使用者によって握られ、遠心分離機のロータ210を持ち上げて運ぶための取っ手として使用されてもよい。同様の環状唇部の特徴は、同じく前述した遠心分離機のロータ10に設けられてもよい。
【0055】
図10~
図12に示しているように、ロータ本体212は回転軸Aの周りで対称的に形成され、回転軸Aの周りで、試料容器は動作の間に遠心回転される。ロータ本体212は、周方向の延びる側壁220と、複数の周方向で離間された管状の部屋穴空所224が、対応する複数の試料容器(図示せず)を受け入れるために貫いて延びる上壁222とを備えている。この実施形態では、上壁222は、環状の上方領域222aと、回転軸Aを中心として位置付けられる陥凹した下方領域222bとを定めるように波状とされてもよい。上方領域222aと下方領域222bとは、それらの間で広がり、管状空所224同士の間で回転軸Aの周りで周方向に離間されている複数の傾斜した連結部222cによって連結されている。
【0056】
前述したような上壁222の波状構成は、いくつかの利点を提供する。例えば、上壁222はより少ない材料を用いて形成でき、それによって、ロータ本体212の重量を最小にし、回転軸Aの周りでの遠心分離機のロータ210の慣性の回転モーメントを最小にする。また、この波状構成は、凹まされた下方領域222bの近くで、回転軸Aに向かって内向きに面する試料容器の上方部を露出するのに役立つ。試料容器閉止部の一部であり得るこれらの露出された上方部は、それぞれの管状空所224からの試料容器の取り外しのために、操作者によって容易に握ることができる。さらに、上壁222の波状構成は、周方向における各々の傾斜した連結部222cの壁厚を最小にするのに役立ち、それによって、試料容器の上方部を回転軸Aのより近くに位置決めさせることができ、したがって、よりコンパクトな設計を提供する。
【0057】
この実施形態では、ロータ本体212は6個の管状の部屋穴空所224を備えており、部屋穴空所224の各々は、例えばおおよそ2,000mlの内容積を有する試料容器を受け入れるための寸法とされ得る。遠心分離機のロータ10との関連で前述しているように、遠心分離機のロータ210の代替の実施形態は、任意の適切な数の管状空所224を備えてもよく、その場合、各々の空所224は任意の適切な空所容積を定める。このような代替の実施形態では、ロータ210の追加の特徴は、数量、寸法、および/または位置において、適切であるとして変更されてもよい。
【0058】
管状の部屋穴空所224の各々は、上壁222からロータ本体212の内部230へと、ロータ本体212の下方端212bに概して向かう方向で、回転軸Aに対して斜めに延びている。各々の管状空所224は、上壁222における開放端234と、下方端212bに向かって配向された反対に配置された閉止端236とを備えている。各々の管状空所224は、側壁238と底壁239とによって定められており、回転軸Aの周りでの遠心分離のために試料容器を中に受け入れる(図示せず)ための適切な寸法および形とされている。各々の空所側壁238は、それぞれの試料容器を受け入れて支持する内面238aと、ロータ本体212の内部230を概して向く外面238bとを備えている。
【0059】
図12および
図13で最良に示されているように、管状空所224は、周囲側壁220の径方向内側において周方向で離間されており、そのため、側壁220と空所224の外面238bとは、複数の周方向で離間されたポケット240を定めており、各々のポケット240は、それぞれの管状空所224の隣接する対の間で定められている。後でより詳細に記載するように、外面238bは、周囲側壁220および圧力板216との組み合わせで、ポケット240を含む中心に位置付けられた中空区画室242を集合的に定めている。
【0060】
図11~
図13を参照すると、複数の周方向で離間された細長いトルク伝達部材250が、ロータ本体212によって支持されており、一実施形態によるロータ本体212の中心内側部251に動作可能に結合されてもよい。トルク伝達部材250との関連で前述しているように、トルク伝達部材250は、遠心分離の間、トルクを遠心分離機13の遠心分離機心棒(図示せず)から管状空所224へと伝達するように作用する。各々のトルク伝達部材250は、外側の第1の端252と、回転軸Aに向かって配向された内側の第2の端254との間で径方向に延びている。示した実施形態では、各々のトルク伝達部材250の第1の端252は、それぞれのポケット240に向かって、それぞれの管状空所224の隣接する対の間で、その対の接線方向に延びている。
【0061】
図示しているように、ロータ210は、6個のトルク伝達部材250を、1つの部材250が管状空所224の各々の隣接する対の間で延びるように備えてもよい。前述したように、ロータ210は、任意の適切な数の管状空所224で形成され得る。したがって、ロータ210は、管状空所224に対するトルク伝達部材250の任意の望ましい比を維持するために、任意の適切な数のトルク伝達部材250で形成され得る。
【0062】
ロータ210は、一実施形態によるロータ本体212の中心内側部251に動作可能に結合され得る、ロータ本体212によって支持されたトルク伝達環体260をさらに備え得る。図示しているように、トルク伝達環体260は、上壁222の底面から内部230へと延び、延いては中空区画室242へと延びている。図示しているように、トルク伝達環体260は、各々のトルク伝達部材250の第2の端254がトルク伝達環体260に向かって径方向に延び、トルク伝達環体260に動作可能に結合するように、回転軸Aを中心として位置付けられている。一実施形態では、トルク伝達部材250およびトルク伝達環体260は、上壁222と、中心内側部251と、管状空所224の側壁238とを含むロータ本体212との一体品として、一体的に形成されてもよい。代替の実施形態では、トルク伝達部材250およびトルク伝達環体260のいずれかまたは両方が、ロータ本体212に解除可能に結合されてもよい。
【0063】
図13に示しているように、トルク伝達部材250は、トルク伝達環体260との一体品として一体的に形成されてもよい。代替の実施形態では、トルク伝達部材250は、トルク伝達環体260に解除可能に結合されてもよい。他の代替の実施形態では、ロータ210は、トルク伝達部材250が回転軸Aに向かって径方向に(独立して)延びるようにして、トルク伝達環体260なしで形成されてもよい。なおも他の実施形態では、トルク伝達部材250は、設けられるとき、トルク伝達部材250とトルク伝達環体260との間で径方向に位置決めされる1つまたは複数の中間構造(図示せず)に結合されてもよい。代替で、トルク伝達環体260が設けられない場合、トルク伝達部材250は、個別または2つ以上のセットのいずれかで、トルク伝達部材250と回転軸Aとの間において径方向で位置決めされる1つまたは複数の中間構造(図示せず)に結合されてもよい。
【0064】
図13および
図14において最良に示されているように、トルク伝達部材250の各々は、その径方向長さに沿って対称的に形成され得る。さらに、各々のトルク伝達部材250は、他のトルク伝達部材250の各々と共通する形および寸法で形成され得る。また、隣接するトルク伝達部材250の各々の対は、例えば、それらの間で、実質的に放物線形の経路に沿って広がる弓形の側壁262を定めている。図示しているように、各々の弓形の側壁262は、他の弓形の側壁262の各々と共通する弓形の長さと湾曲とを伴って形成され得る。
【0065】
トルク伝達部材250は、各々の弓形の側壁262がそのそれぞれのトルク伝達部材250の軸方向の厚さを定めるように、上壁222の底面から内部230へと、延いては中空区画室242へと、概して軸方向に延びている。
図13で最良に示されているように、トルク伝達部材250の各々は、トルク伝達部材250の径方向長さに沿って、その第2の端254と第1の端252との間で実質的に一定である軸方向厚さで形成され得る。また、各々のトルク伝達部材250は、その径方向長さに沿って実質的に平面状であり得る。
【0066】
トルク伝達部材250およびトルク伝達環体260は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成され得る。例えば、トルク伝達部材250および/またはトルク伝達環体260は、最適化された繊維配向を有する炭素繊維複合材から形成され得る。代替の実施形態では、トルク伝達部材250および/またはトルク伝達環体260は、金属から形成され得る。
【0067】
図11および
図12を参照すると、遠心分離機のロータ210の圧力板216は、丸められた上方部270aを有する中心の概して円錐形の直立壁部270と、丸められた上方部270aから軸方向に突出する環状の上壁部272と、円錐形壁部270から概して径方向外向きに延びる環状の底壁部274と、円錐形壁部270と底壁部274との間で延び、それらを連結する環状の支持環体275とを備えている。
【0068】
図15に示しているように、圧力板216は、円錐形壁部270がロータ本体212の内部230内に受け入れられ、管状空所224の外面238bの各々の径方向内側を向く側部と係合するように、ロータ本体212の下方端212bに動作可能に結合され得る。圧力板216は、上壁部272が、上壁222によって支持されるトルク伝達環体260と直面するように、ロータ本体212に着座され得る。圧力板216をロータ本体212に結合することで、ポケット240を含め、中空区画室242を完全に定める。具体的には、中空区画室242は、ロータ本体212の周囲側壁220、上壁222、および外面238bと、圧力板216の円錐形壁部270、上壁部272、および底壁部274とによって境界付けられる。したがって、ロータ210の図示した実施形態では、管状空所224の外面238bの各々の実質的な部分は、中空区画室242と、隣接するポケット240のそれぞれの対とを含む中空の空間によって包囲される。
【0069】
図12で最良に示されているように、圧力板216の環状の底壁部274は、複数の周方向で離間された窪み276を備えている。円錐形壁部270は、環状の支持環体275を貫いて底壁部274に向かって下向きに延びると共に窪み276へと開放する複数の対応する周方向で離間された波状部277を備えている。具体的には、圧力板216は、好ましくは、各々の管状空所224について1つの窪み276と1つの波状部277とを備える(つまり、
図10~
図16に示した実施形態については6個の窪み276と6個の波状部277)。
【0070】
図15に示しているように、圧力板216の窪み276は、圧力板216がロータ本体212に結合されるとき、管状空所224の複数の底壁239を受け入れて当接した関わり合いで係合するように構成されている。
図12および
図13で最良に示されているように、各々の底壁239は、管状の空所側壁238の外面238bの湾曲によって定められた実質的なU字形を有する肩部239aを備え得る。この点において、各々の管状空所224の外面238bは、ロータ本体212の周囲側壁220と実質的な直角(つまり、おおよそ90度)を形成し得る。各々の底壁239は中心のボス部239bをさらに備えてもよく、ボス部239bは、実質的に円形で、肩部239aがボス部239bの周りで延びるように、肩部239aから外向きに延び得る。窪み276は、各々の窪み276が、肩部239aおよび中心のボス部239bを含め、それぞれの管状空所224のそれぞれの底壁239の実質的に一部と接触するような適切な寸法および形とされている。この点において、各々の窪み276は、実質的にU字形とでき、底壁239の形に実質的に対応するように、円形の凹所を含んでもよい。
【0071】
同様に、波状部277は、管状空所224の外面238bを受け入れて当接した関わり合いで係合するように構成されている。具体的には、波状部277は、各々の波状部277がそれぞれの外面238bの下方部の湾曲と実質的に一致するような適切な寸法および形とされている。
【0072】
圧力板216は、各々の窪み276と、対応する波状部277とが、それぞれの管状空所224と一緒に係合するように、ロータ本体212と嵌め合わされ得る。この手法では、窪み276は管状空所224に構造上の支持を提供し、それによって、ロータ210の高速回転の間に剛性を提供し、一方、波状部277は、ロータ本体212に対する圧力板216の周方向の位置合わせを維持するのを助ける。代替の実施形態では、圧力板216は、管状空所224の数量より少ない数量の窪みを備えてもよく、その場合、各々の窪みは、2つ以上の管状空所224を受け入れて係合するのに適した寸法および形とされる。
【0073】
圧力板216は、環状の底壁部274に配置された複数の周方向で離間された隆起区域279をさらに備え得る。
図12で最良に示しているように、隆起区域279は、隣接する窪み276の各々の対の間に設けることができ、窪み276の外側縁から上向きに延び、支持環体275との連結を形成するために、支持環体275に向かって径方向に延び得る。各々の隆起区域279は中心の凹所281を備えてもよく、凹所281は、形が実質的に台形であり、ボトルネックのような形を有する狭くされた中間領域を備え得る。各々の隆起区域279は、
図15に示しているように、圧力板216がロータ本体212と結合されるとき、隣接する管状空所224のそれぞれの対の間に形成されているポケット240に受け入れられる適切な寸法および形とされている。この点において、隆起区域279は、それぞれの管状空所224の底壁239の肩部239aおよび中心のボス部239bによって定められた対応する構造と係合する。したがって、隆起区域279は、組立の間、圧力板216をロータ本体212と適切に位置合わせさせ、ロータ210の高速回転の間に、管状空所224を含むロータ本体212に、追加的な構造上の支持を提供する。さらに、環状の支持環体275、隆起区域279、および圧力板216の中心の凹所281の組み合わせは、圧力板216に大きな構造上の剛性を有利に提供するが、同時に、重量を最小にする。
【0074】
圧力板216をロータ本体212に結合することは、遠心分離機のロータ10との関連で前述したものと実質的に同様の機械的な結合構成部品の助けで達成され得る。また、圧力板216とロータ本体212との間の結合は、細長い補強226の適用によってさらに高めることができ、補強226は、ロータ10の細長い補強26との関連で前述したものと実質的に同様の手法で、ロータ本体212および圧力板216に適用され得る。
【0075】
ロータ本体212は、
図11、
図13、および
図16において最良に示されているように、中心内側部251の内部ポケット300内に設けられたロータ挿入体296をさらに備えている。ロータ挿入体296は、ロータハブ(図示せず)を受け入れてねじ込み係合するように構成されていることを含めて、前述したロータ挿入体96と同様の手法で作用する。
【0076】
ロータ挿入体296は、上壁222に形成された開口302と、中心内側部251と、トルク伝達環体260とを通じて延びるように、回転軸Aの周りに位置付けられる。ロータ挿入体296は、内部ポケット300の対応する複数の交互に径方向に延びる長い通路306aおよび短い通路306b内で受け入れられる複数の交互に径方向に延びる長いアーム304aおよび短いアーム304bを備えている。一実施形態では、ロータ210は、アーム304a、304bおよびそれぞれの通路306a、306bの数が、管状空所224の数と等しくなるように形成されてもよい。より具体的には、長いアーム304aの数は、管状空所224の数の2分の1に等しくてもよい。例えば、示した実施形態では、ロータ210は、6個の管状空所224と、3個の長いアーム304aおよび3個の短いアーム304bを有するロータ挿入体296と、それぞれのアーム304a、304bを受け入れるための3個の長い通路306aおよび3個の短い通路306bを有する内部ポケット300とを備える。当業者は、ロータ210の代替の実施形態が、ロータ挿入体のアーム304a、304bおよび対応するポケットの通路306a、306bに対する管状空所224の任意の所望の比で形成できることを理解するものである。また、代替の実施形態では、ロータ挿入体のアームおよび対応するポケットの通路は、任意の適切な形および寸法で形成されてもよい。
【0077】
ロータ挿入体296は、金属などの任意の適切な材料から形成できる。また、径方向に延びるアーム304a、304bは、例えば重量を減らす目的のために、それらを通じて軸方向に延びるそれぞれの開孔298a、298bを各々備えてもよい。また、ロータ挿入体296は先に参照により組み込まれている特許文献4および特許文献5によって開示されているように、本体形成の間にロータ本体212へと成形されてもよい。成形過程の間、液体接着剤が、ロータ挿入体296を貫いて延びる開孔298a、298bの各々へと流れて開口を実質的に満たすことができる。次に、接着剤は、それぞれの開孔298a、298bを貫いて延びる剛体の柱299aおよび299bを形成するために硬化し得る。柱299a、299bは、ロータ挿入体296を中心内側部251内にしっかりと保持するために、および、ロータ本体212に追加的な構造上の剛性を提供するために、作用できる。
【0078】
ロータ本体212および圧力板216は、遠心分離機のロータ10との関連で前述した圧縮成形方法と、本明細書に組み込まれている米国特許とを用いて形成され得る。また、組み立てられた遠心分離機のロータ210は、遠心分離機のロータ10との関連で前述したものと同様の手法で、および、同様の結合構成部品を用いて、遠心分離機13の遠心分離機心棒(図示せず)に装着され得る。他の実施形態では、ロータ210は、ロータ挿入体296を任意の適切な遠心分離機心棒と結合するための任意の適切な結合構成部品に嵌め込まれ得る。
【0079】
ロータ210を遠心分離機心棒に装着した後、遠心分離機心棒は、ロータ210を高速の遠心回転へと駆動するために作動させられ得る。ロータ210の回転の間、ロータ210の構成部品は、ロータ10との関連で前述したものと同様の手法で作用できる。具体的には、トルクが、回転するロータ心棒からロータ挿入体296へと伝達され、ロータ挿入体296は、さらに中心内側部251と追加的にトルク伝達環体260とにトルクを発揮する。トルク伝達環体260は、トルク伝達部材250を通じて径方向外向きにトルクを伝達する。より具体的には、トルク伝達部材250は、中心内側部251に加えて、管状空所224と、その管状空所224内に保持される試料容器とにトルクを径方向外向きに伝達する。したがって、管状空所224に加えられたトルクは、中心内側部251を通じるだけではなく、トルク伝達環体260およびトルク伝達部材250も通じて伝達される。したがって、トルク伝達環体260およびトルク伝達部材250は、ロータ210に、高速回転の間に受ける大きな度合いのトルクに耐えるための追加的な構造上の剛性を有利に提供する。また、環状の支持環体275、周方向に離間された窪み276、および隆起区域279は、高速回転の間、追加的な構造上の剛性を管状空所224に提供でき、延いては、全体としてロータ本体212に提供できる。
【0080】
本発明がその特定の実施形態の記載によって説明されており、実施形態が相当詳細に記載されているが、添付の請求項の範囲をこのような詳細に制限または何らかの形で限定することは、意図されてない。本明細書で詳述した様々な特徴は、単独で、または、任意の組み合わせで、用いられてもよい。追加の利点および改良は、当業者には容易に明らかとなる。そのため、その幅広い態様においての本発明は、具体的な詳細、代表的な装置および方法、ならびに、図示および記載した説明のための例に限定されない。したがって、逸脱が、大まかな発明の概念の範囲または精神から逸脱することなく、このような詳細において行われてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 遠心分離機のロータ
12 ロータ本体
12a 上方端
12b 下方端
13 遠心分離機
14 ロータ蓋
16 圧力板
18 取っ手
20 周囲側壁
22 上壁
23 識別要素
24 管状の部屋穴空所
26 細長い補強
26a 上方補強部
27 液体閉じ込め溝
28 外部表面
30 内部
34 開放端
36 閉止端
38 側壁
38a 内面
38b 外面
39 底壁
40 ポケット
42 中空区画室
50 トルク伝達部材
51 中心内側部
52 第1の端
54 第2の端
60 トルク伝達環体
62 第1の側壁
64 第2の側壁
66 段差部
70 円錐形の直立壁部
70a 上方部
72 上壁部
74 底壁部
76 窪み
77 波状部
78 リブ
80 直立タブ
90 保持ナット
91 工具係合凹所
92 雄ネジ部
94 ロータハブ
96 ロータ挿入体
100 内部ポケット
104a 長いアーム
104b 短いアーム
106a 長い通路
106b 短い通路
108 キースロット
110 孔
112 ハブ保持体
114 中心ピン
118 蓋ネジ保持体
120 蓋ネジ
122 封止要素
124 封止要素
210 遠心分離機のロータ
212 ロータ本体
212a 上方端
212b 下方端
216 圧力板
220 周囲側壁
222 上壁
222a 上方領域
222b 下方領域
222c 連結部
224 管状の部屋穴空所
226 細長い補強
226a 上方補強部
227 液体閉じ込め溝
227a 再入部
227b 後壁
227c 頂領域
227d 下方縁
229 溝工具
229a 上方工具部
229b 下方工具部
230 内部
232 環状唇部
234 開放端
236 閉止端
238 側壁
238a 内面
238b 外面
239 底壁
239a 肩部
239b ボス部
240 ポケット
242 中空区画室
250 トルク伝達部材
251 中心内側部
252 第1の端
254 第2の端
260 トルク伝達環体
262 側壁
270 円錐形の直立壁部
270a 上方部
272 上壁部
274 底壁部
275 支持環体
276 窪み
277 波状部
279 隆起区域
281 凹所
296 ロータ挿入体
298a、298b 開口
299a、299b 固体柱
300 内部ポケット
302 開口
304a 長いアーム
304b 短いアーム
306a 長い通路
306b 短い通路
A 回転軸
R1 径方向長さ
R2 径方向長さ