(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】地面係合工具用に回転防止特徴部を備えたリテーナスリーブの設計
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
E02F9/28 A
E02F9/28 B
(21)【出願番号】P 2022509669
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020042701
(87)【国際公開番号】W WO2021034433
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルリエ、ダグラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】シン、エリック ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジュラ、ジェイソン グラント
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ、コーリー マイケル
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0073543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
E02F 9/28
E21C 35/183
A01B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(404)、半径方向(406)、及び円周方向(408)を画定
し、前記回転軸(404)方向からみて、C字形状を有する
部分的に環状の構成と、
半径方向内側アパーチャ(413)を画定する半径方向内側環状表面(410)と、
少なくとも部分的に前記円周方向(408)に、且つ前記回転軸(404)に平行である方向に沿って面するロック表面(416)を有し、前記半径方向(406)に垂直な平面において前記回転軸(404)に平行である方向に対して斜角(436)を成す傾斜レッジ(414)を含む、前記半径方向内側環状表面(410)から半径方向内向きに延びる第1の回転防止特徴部(412)と、を含む本体(402)を備えるリテーナスリーブ(400)。
【請求項2】
前記斜角(436)は、50度~80度の範囲であり、前記本体(402)は、プラスチック、ゴム、エラストマー、メッシュ構造及び発泡体のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項3】
前記第1の回転防止特徴部(412)は、前記ロック表面(416)から半径方向内向きに、且つ円周方向に延びるカム表面(438)をさらに含む、請求項1に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項4】
前記第1の回転防止特徴部(412)は、前記カム表面(438)から前記半径方向内側環状表面(410)まで円周方向に延びるランプ(ramp)(440)をさらに備え、前記カム表面(438)は、三角形状を含み、前記ランプ(440)は、円弧形状を含む、請求項3に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項5】
前記本体(402)の
部分的に環状の構成は、前記回転軸(404)の周りの角度範囲(444)と、前記回転軸(404)に沿って配置された第1の軸方向端部(446)と、前記回転軸(404)に沿って配置された第2の軸方向端部(448)と、を画定し、前記本体(402)は、前記角度範囲(444)の全体に沿って延びる前記第1の軸方向端部(446)に配置されたリップ(422)をさらに備える、請求項4に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項6】
前記リップ(422)は、前記第1の回転防止特徴部(412)を通り越して半径方向に延び、前記第1の回転防止特徴部(412)は、前記リップ(422)から離れて、最大軸方向寸法(450)を画定する前記第2の軸方向端部(448)に向かって軸方向に延び、前記第1の回転防止特徴部(412)は、前記半径方向内側環状表面(410)から最大半径方向寸法(452)も画定し、前記半径方向内側環状表面(410)は、内径(454)及び半径方向内側アパーチャ軸方向深さ(456)を画定し、前記半径方向内側アパーチャ軸方向深さ(456)と前記最大軸方向寸法(450)との比は、1.5~2.5の範囲であり、前記内径(454)と前記最大半径方向寸法(452)との比は、10.0~15.0の範囲である、請求項5に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項7】
前記最大軸方向寸法(450)は、7.0mm~16.0mmの範囲であり、前記最大半径方向寸法(452)は、2.0mm~5.0mmの範囲である、請求項6に記載のリテーナスリーブ(400)。
【請求項8】
回転軸(404)、半径方向(406)、円周方向(408)、前記回転軸(404)に沿って配置された第1の軸方向端部(446)、及び前記回転軸(404)に沿って配置された第2の軸方向端部(448)を画定
し、前記回転軸(404)方向からみて、C字形状を有する
部分的に環状の構成と、
半径方向内側アパーチャ(413)を画定する半径方向内側環状表面(410)と、
前記半径方向内側環状表面(410)から半径方向内向きに延び、半径方向リブ高さ(458)を画定するリブ(418)を含む戻り止め特徴部と、
前記リブ(418)を通り越して半径方向及び円周方向に延びる前記第1の軸方向端部(446)に配置されたリップ(422)と、を含む本体(402)を備え
、
前記リブ(418)は、前記リップ(422)から前記第2の軸方向端部(448)に向かって軸方向に延び、軸方向リブ長さ(460)を画定し、前記半径方向内側環状表面(410)は、内径(454’)、及び半径方向内側アパーチャ軸方向深さ(456)を画定し、前記半径方向内側アパーチャ軸方向深さ(456)と前記軸方向リブ長さ(460)との比は、1.5~1.0の範囲であり、前記内径(454’)と前記半径方向リブ高さ(458)との比は、22.0~30.0の範囲であるリテーナスリーブ(400)
。
【請求項9】
前記軸方向リブ長さ(460)は、15.0mm~32.0mmの範囲であり、前記半径方向リブ高さ(458)は、1.0mm~3.0mmの範囲であり、前記本体(402)は、プラスチック、ゴム、エラストマー、メッシュ構造、及び発泡体のうちの少なくとも1つを備える、請求項
8に記載のリテーナスリーブ(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業装置アセンブリのアダプタに先端具を取り付けるために土工、採掘、建設装備などによって使用されるバケットアセンブリなどの作業装置アセンブリに採用される保持機構に関する。より具体的には、本開示は、リテーナスリーブを使用して、保持機構のリテーナをロック又はロック解除構成で保持する保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ、掘削機などの機械は、土、岩、砂などの物質上で作業を行うのに役立つ歯又は先端具が取り付けられたバケットアセンブリ、レーキ、剪断機などを含む作業装置アセンブリを採用している。例えば、歯又は先端具をバケットアセンブリに取り付けて、バケットアセンブリが地盤に貫入するのに役立ち、バケットへの土のすくい取りを容易にすることができる。アダプタは、異なるスタイルの歯又は先端具を作業装置に取り付け得るように、バケット又は他の作業装置の作業端(例えば、基端、側縁など)に取り付けられることが多い。また、先端具をアダプタに選択的に保持するため、又は先端具がアダプタから取り外されることを可能にするために使用される保持機構を提供することにより、摩耗時に先端具又は歯を簡単に交換し得る。
【0003】
これらの保持機構は、先端具内のリテーナを保持するプラスチック製のリテーナスリーブを含むことができる。リテーナスリーブには、先端具の交換を可能にするためにリテーナをロック又はロック解除位置に保持する特徴部も設けられている。リテーナスリーブは、様々な条件及び動作方法で動作する。極端な動作条件及び方法では、より堅牢なスリーブが必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、現在のリテーナスリーブは特定の用途でうまく機能している一方、他の用途に適したリテーナスリーブを提供するために継続的な改善が保証されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係るリテーナスリーブは、回転軸、半径方向、及び円周方向を画定する少なくとも部分的に環状の構成を含む本体を備えることができる。本体はまた、半径方向内側アパーチャを画定する半径方向内側環状表面と、少なくとも部分的に円周方向に、且つ回転軸に平行である方向に沿って面するロック表面を有し、半径方向に垂直な平面において回転軸に平行である方向に対して斜角を成す傾斜レッジを含む、半径方向内側環状表面から半径方向内向きに延びる第1の回転防止特徴部と、を備えることができる。
【0006】
本開示の別の実施形態に係るリテーナスリーブは、回転軸、半径方向、円周方向、回転軸に沿って配置された第1の軸方向端部、及び回転軸に沿って配置された第2の軸方向端部を画定する少なくとも部分的に環状の構成を含む本体を備えることができる。本体はまた、半径方向内側アパーチャを画定する半径方向内側環状表面と、半径方向内側環状表面から半径方向内向きに延び、半径方向リブ高さを画定するリブを含む戻り止め特徴部と、リブを通り越して半径方向及び円周方向に延びる第1の軸方向端部に配置されたリップと、を備えることができる。
【0007】
本開示の一実施形態に係るリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリは、駆動部分を含むリテーナと、ラグ受容スロットを画定し、第1の側壁、第2の側壁、及び第1の側壁を第2の側壁に接続するキャッチ表面を形成するラグ受容部分と、を備えることができる。ラグ受容スロットは、ラグ受容部分を通って部分的に延びる。ラグ受容部分はまた、第1の側壁、第2の側壁、及びキャッチ表面を少なくとも部分的に画定するスカートを含むことができる。スカートは、第1の側壁と交差する傾斜面で終端してもよい。アセンブリはまた、回転軸、半径方向、及び円周方向を画定する少なくとも部分的に環状の構成を含む本体を含むリテーナスリーブを備えることができる。リテーナスリーブの本体はまた、半径方向内側アパーチャを画定する半径方向内側環状表面と、リテーナのスカートの傾斜面に係合するように少なくとも部分的に相補的に形作られているロック表面を有する傾斜レッジを含む半径方向内側環状表面から半径方向内向きに延びる第1の回転防止特徴部と、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の様々な実施形態に従って構成された構成要素を備えた先端具、アダプタ、及び保持機構を使用するバケットアセンブリなどの作業装置アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の先端具・アダプタサブアセンブリの斜視図であり、
図1の作業装置アセンブリから切り離して示されている。
【
図3】ロック構成での本開示の一実施形態に係る回転防止及び保持特徴部を備えたリテーナ及びリテーナスリーブを含む保持機構及びその構成要素を表している、アダプタなしの
図2の先端具の側面断面図である。
【
図4】
図2の先端具の側面図であり、ロック構成からロック解除構成に回転しているリテーナを示している。
【
図5】先端具の保持機構受容アパーチャに組み立てられている、本開示の様々な実施形態に係る回転防止及び保持特徴部を備えたリテーナ及びリテーナスリーブを含む保持機構及びその構成要素を表している、
図2の後部部分断面図である。リテーナは、ロック解除構成で示されている。
【
図6】より明瞭にするために先端具から取り外された、
図3~
図5で採用されているリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリの上から見た斜視図である。
【
図7】切り離して示された、
図6のリテーナスリーブの下から見た斜視図である。
【
図8】
図6のリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリの正面図であり、
図9の断面線を含む。
【
図9】
図8の9-9線に沿って切り取られた、
図8のリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリの上面断面図である。
【
図10】
図6のリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリの正面図であり、
図11の断面線を含む。
【
図11】
図10の11-11線に沿って切り取られた、
図10のリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリの底面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。可能な限り、図面全体にかけて同一の参照番号が、同一又は類似の部分を指すために使用されるであろう。幾つかの場合、参照番号が本明細書に表示され、図面は、後に文字が続く参照番号、たとえば100a、100b、又はプライム表示、たとえば100’、100”などを示すであろう。参照番号のすぐ後に続く文字又はプライムの使用は、幾何学的形状が対称平面に対して鏡像である場合によくあることであり、これらの特徴部が類似した形状であり、類似の機能を有することを示していることを理解されたい。本明細書では説明の便宜のために、文字又はプライムが本明細書に含まれない場合も多くあるが、記述された本明細書内で説明される特徴部の重複を表示するために図面に示す場合もある。
【0010】
次に、本開示の様々な実施形態に係る先端具を使用する作業装置アセンブリについて説明する。
【0011】
図1からはじめると、作業装置アセンブリ100は、ホイールローダによって使用され得、一般に囲まれた内部と連通する開口102を画定するエンクロージャ101を含むバケットアセンブリ100’の形をとり得る。
図1に示されるように、バケットアセンブリ100の後部からはじめると、バケットアセンブリ100は、シェル104の上縁で後壁106に取り付けられた、湾曲したシェルプロファイル104を含む。シェルのもう一方の端は、アセンブリ100のボトムプレート108に取り付けられている。トッププレート110は、後壁106の上縁に取り付けられている。トッププレート110は、材料をバケットの内部に注ぎこみ、材料がバケットからこぼれるのを防ぐように設計されたスピルガード112に移行する。トッププレート110及びスピルガード112に取り付けられた補強リブ119が提供され、強度のための補強材を提供する。2つの実質的に平坦なエンドプレート114が、スピルガード112、トッププレート110、後壁106、ボトムプレート108及びシェル104の側縁に取り付けられている。
【0012】
側縁アセンブリ115は各エンドプレート114に取り付けられる一方、前縁アセンブリ116はバケットアセンブリ100のボトムプレート108の前縁に取り付けられる。前縁アセンブリ116は、ボトムプレート108に取り付けられた基端117、基端117に取り付けられた複数のセンターアダプタ118、及び複数の先端具200(工具、歯などとも呼ばれることがある)を含み、複数の先端具200のそれぞれが、複数のセンターアダプタ118のうちの1つに取り付けられている。また、2つのコーナーアダプタ120も、バケットアセンブリ100’の基端及び側縁122に取り付けられている。先端具200も、コーナーアダプタ120に取り付けられ得る。
【0013】
さらに、複数の基端プロテクタ124も、センターアダプタ120同士間、及びセンターアダプタ120とコーナーアダプタ120との間に位置決めされた基端プロテクタ124のそれぞれに提供される。コーナーアダプタ120に近接する側縁122に取り付けられる側縁プロテクタ126も提供される。
【0014】
作業装置アセンブリは、レーキアセンブリ、剪断アセンブリなどを含むバケットアセンブリ以外の他の形態をとり得ることを理解されたい。加えて、掘削機によって使用されることを目的とする、異なる構成のバケットはまた、本明細書で説明される、先端具、保持機構、アダプタ、ばね、ばね装着リテーナ、先端具アセンブリ、並びに先端具・アダプタアセンブリなどの様々な実施形態を使用し得る。
【0015】
図2~
図5において、先端具200は、長手方向軸204と、長手方向軸204に垂直な垂直軸206と、垂直軸206及び長手方向軸204に垂直な横軸208と、を画定する本体202を備えることができる。本体202は、閉鎖端212を含む長手方向軸204に沿って配置された前方作業部分210と、開放端216を含む長手方向軸204に沿って配置された後部装着部分214と、を含み得る。
【0016】
後部装着部分214は、外面218、開放端216から長手方向に延びるアダプタノーズ受容ポケット220と、アダプタノーズ受容ポケット220及び外面218と連通する保持機構受容アパーチャ222と、を画定する。アダプタノーズラグ受容溝部224は、開放端216から保持機構受容アパーチャ222まで長手方向に延び得る。少なくともリテーナスリーブ受容スロット226は、保持機構受容アパーチャ222及びアダプタノーズ受容ポケット220と連通し得る。
【0017】
ここで、
図3~
図6を参照して、本開示の一実施形態に係るリテーナ及びリテーナスリーブアセンブリ300について説明する。アセンブリ300は、駆動部分304を含むリテーナ302と、ラグ受容スロット308を画定し、第1の側壁310、第2の側壁312、及び第1の側壁310を第2の側壁312に接続するキャッチ表面314を形成するラグ受容部分306と、を備えることができる。ラグ受容スロット308は、ラグ受容部分306を通って部分的に延びる。スカート316は、第1の側壁310、第2の側壁312、及び第1の側壁310と交差する傾斜面318で終端するキャッチ表面314を少なくとも部分的に画定する(
図3及び
図6に最もよく見られる)。本開示の他の実施形態では、別の傾斜面を第2の側壁312に近接して提供することができるが、必ずしもそうとは限らない。
【0018】
図3において、リテーナ及びリテーナスリーブアセンブリ300によって捕捉されるラグ128の外形が示されている。リテーナ302は、先端具200がアダプタのノーズ上に挿入されるとき、
図5に示すように方向付けされていることを理解されたい。ラグ128は、第1の側壁310、第2の側壁312、及びキャッチ表面314によって3つの側面上に取り囲まれるまでに、最初にアダプタノーズラグ受容溝224を通過し、次にラグ受容スロット308に入る。次に、
図3に示すように、リテーナ302は、ラグ128がリテーナ300及びリテーナスリーブ400によってすべての側面で捕捉されるまでに、180度回転する。これで、先端具はアダプタ上に保持される。このプロセスを逆にして、アダプタから先端具を取り外すことができる。
【0019】
図3~
図6を引き続き参照して、本開示の様々な実施形態に係るリテーナスリーブ400について以下にさらに詳細に説明する。リテーナスリーブ400は、回転軸404、半径方向402、及び円周方向406(
図6に最もよく見られる)を画定する少なくとも部分的に環状の構成(例えば、少なくとも部分的に円筒形、少なくとも部分的に円錐形など)を含む本体402を含むことができる。回転軸404は、2つのいずれか又は両方の理由でそのように呼ばれる。第1に、リテーナスリーブ400(及び言外の含みとしてリテーナ302)の幾何学的形状の少なくとも一部は、回転軸404を中心に断面幾何学的形状を回転させることによってモデル化され得る。第2に、リテーナ302は、この回転軸404を中心に回転するように構成され得る。本開示の他の実施形態では、他の構成が可能である。
【0020】
図6及び
図7に最もよく見られるように、半径方向内側環状表面410は、半径方向内側アパーチャ413を画定し得、半径方向内側環状表面410から半径方向内向きに延びる第1の回転防止特徴部412を含み得る。第1の回転防止特徴部412は、リテーナ302のスカート316の傾斜面318に係合するように少なくとも部分的に相補的に形作られているロック表面416(
図7も参照)を有する傾斜レッジ414を含むことができる。このロック表面416は、平面状、わずかに円弧状などであり得る。
【0021】
図7に焦点を当てると、リテーナスリーブ400は、半径方向内側環状表面410から半径方向内向きに延びるリブ418を含む戻り止め特徴部をさらに備えることができる。リブ418は、第1の回転防止特徴部412から所定の距離420だけ離れて円周方向に離間され得る。所定の距離420は、リップ422と半径方向内側環状表面410との交点での、リブ418から第1の回転防止特徴部412(例えば、ロック表面)までのアーク長さとして測定される。リブ418は、様々な実施形態において、円筒形、円錐形、又は他の円弧状構成を有することができる。他の実施形態では、これは、半径方向406に平行な平面内に尖った形状、多角形状などを有することができる。
【0022】
本体402は、ポリウレタン材料を成形することによって形成(例えば、熱可塑性射出成形、鋳造、硬化など)することができる。成形されるとき、ボイド424は、製造工程から生じる本体402におけるボイド、シンク、多孔性などの形成を防ぐのを助けるために、より均一な壁厚を提供する設計(
図3、
図5、
図6、
図9、及び
図11を参照)に提供され得る。本体402の材料、構造、又はその両方は、本体402が変形し且つ跳ね返り得るように、本体402の弾力性に寄与し得る。これは、リテーナ302をロック及びロック解除するとき、及びリテーナスリーブ400を先端具200のリテーナスリーブ受容スロット226に挿入するときに望ましい(
図5を参照)。
【0023】
これを受けて、半径方向406を含む平面内の回転軸404に平行な方向、及び回転軸404と異なる抜け勾配(draft angles)428、428’を成す一対の半径方向外側角度付き面426、426’(
図5を参照)。これらの抜け勾配428、428’は、リテーナスリーブ400を取り外すよりも、スロット226に挿入する方が容易であるように調整することができる。これは、リテーナスリーブ400をスロット226に保持するのに役立ち、その結果、リテーナ302を先端具200に保持するのに役立つ。
【0024】
図6及び
図7において、リテーナスリーブ400は、円周方向408に沿って配置された第1の円周端部430と、円周方向408に沿って配置された第2の円周端部430’と、を画定する。リブ418は、第1の円周端部430に近接して配置され得る。第2のリブ418’は、第2の円周端部430’に近接して配置され得るが、必ずしもそうとは限らない(
図9及び
図11を参照)。第2のリブ418’は、本開示の様々な実施形態において、他のリブ418と同様に、同一に、又は異なるように構成され得る。第1の円周端部に近接する1つのみの回転防止特徴部が示されているが、本開示の他の実施形態において第1の回転防止特徴部と同様に、同一に、又は異なるように構成された別の回転防止特徴部が第2の円周端部の近くに提供され得ることが企図されることにも留意されたい。
【0025】
引き続き
図6及び
図7を参照すると、リップ422は、リブ418及び第1の回転防止特徴部412を通り越して半径方向及び円周方向に延び、リブ418及び第1の回転防止特徴部412に全面的に張り出している。これは本開示の他の実施形態においてはそうでない場合がある。
【0026】
より具体的には、リップ422は、第1の円周端部430から第2の円周端部430’まで延び、半径方向内側環状表面410とリップ422の交点で第1の円周端部430から第2の円周端部430’まで測定されるリップアーク長さ432を画定する。
【0027】
特定の実施形態では、リップアーク長さ432と所定の距離420との比は、12.0~16.0の範囲であり得、所定の距離420は、3.0mm~9.0mmの範囲であり得る。
【0028】
同様に、第1の回転防止特徴部412は、半径方向内側環状表面410とリップ422との交点でのアーク長さとして測定される最大円周寸法434を画定することができる。リップアーク長さ432と最大円周寸法434との比は、3.5~4.5の範囲であり得、最大円周寸法は、15.0mm~45.0mmの範囲であり得る。
【0029】
これらの比又は寸法の範囲のいずれも、本開示の他の実施形態で具体的に述べられているものとは異なる可能性がある。
【0030】
次に、交換部品として供給され得る、本開示の様々な実施形態に係るリテーナスリーブ400について説明する。
【0031】
図7を見ると、リテーナスリーブは、回転軸404、半径方向406、及び円周方向408を画定する(本明細書で前述したように)少なくとも部分的に環状の構成を含む本体402を有することができる。半径方向内側環状表面410は、半径方向内側アパーチャ413を画定することができる。第1の回転防止特徴部412は、少なくとも部分的に円周方向408に、且つ回転軸404に平行である方向に沿って面するロック表面416を有し、半径方向406に垂直な平面において回転軸404に平行である方向に対して斜角436を成す傾斜レッジ414を含む、半径方向内側環状表面410から半径方向内向きに延び得る。
【0032】
特定の実施形態では、斜角436は、50度~80度の範囲であり得、本明細書で先に示唆したように、リテーナ302(
図6を参照)の傾斜面318の角度と少なくとも部分的に一致し得る。また、本体402は、プラスチック、ゴム、エラストマー、メッシュ構造(例えば、ボイドを有する)、及び発泡体のうちの少なくとも1つを備えることができる。これは、本体402を、本明細書で前述したように、組み立て、ロック及びロック解除プロセス中に変形し且つ跳ね返り得るように弾力性のあるものにするのに役立ち得る。
【0033】
図7を引き続き参照すると、第1の回転防止特徴部412は、ロック表面416から半径方向内向きに、且つ円周方向に延びるカム表面438(第1の移行面とも呼ばれる)をさらに含むことができる。カム表面438から半径方向内側環状表面412まで円周方向に延びるランプ(ramp)440も提供され得る。ロック表面416、カム表面438、及びランプ440の構成の結果として、カム表面438は、三角形状(例えば、三角外周438a)を有し得、ランプ440は、円弧状面442を含み得る。本開示の他の実施形態では、これらの特徴部の他の構成が可能である。第1の回転防止特徴部412のこのような様々な特徴部の機能に関する考察は、本明細書の以下で説明する。
【0034】
図6及び
図7を見ると、本体402の少なくとも部分的に環状の構成は、回転軸404の周りの角度範囲444と、回転軸404に沿って配置された第1の軸方向端部446と、回転軸404に沿って配置された第2の軸方向端部448と、を画定する。本体402は、角度範囲444の全体に沿って延びる第1の軸方向端部446に配置されたリップ422を有することができる。これは本開示の他の実施形態においてはそうでない場合がある。
【0035】
本明細書で先に示唆したように、リップ422は、第1の回転防止特徴部412を通り越して半径方向に延び得る。また、第1の回転防止特徴部412は、リップ422から離れて、第1の回転防止特徴部412の最大軸方向寸法450を画定する第2の軸方向端部448に向かって軸方向に延びてもよい。同様に、第1の回転防止特徴部412はまた、半径方向内側環状表面410から第1の回転防止特徴部412の半径方向末端まで半径方向に測定される最大半径方向寸法452を画定する。さらに、半径方向内側アパーチャ413は、内径454(
図11を参照)と、リップ422から第2の軸方向端部448まで軸方向に測定される半径方向内側アパーチャ軸方向深さ456(
図7を参照)と、を画定することができる。
【0036】
特定の実施形態では、半径方向内側アパーチャ413の半径方向内側アパーチャ軸方向深さ456と第1の回転防止特徴部412の最大軸方向寸法450との比は、1.5~2.5の範囲であり得、半径方向内側アパーチャ413の内径454と第1の回転防止特徴部の最大半径方向寸法452との比は、10.0~15.0の範囲であり得る。かかる実施形態では、最大軸方向寸法450は、7.0mm~16.0mmの範囲であり得、最大半径方向寸法452は、2.0mm~5.0mmの範囲であり得る。
【0037】
本開示の別の実施形態に係る別のリテーナスリーブ400は、
図7を参照して以下のように説明することができる。
【0038】
リテーナスリーブ400は、回転軸404、半径方向406、円周方向408、回転軸404に沿って配置された第1の軸方向端部446、及び回転軸404に沿って配置された第2の軸方向端部448を画定する少なくとも部分的に環状の構成を含む本体402を含むことができる。
【0039】
半径方向内側環状表面412は、半径方向内側アパーチャ413、半径方向内側環状表面412から半径方向内向きに延びるリブ418を含む戻り止め特徴部を画定することができる。リブ418は、半径方向リブ高さ458(
図9も参照)と、リブ418を通り越して半径方向及び円周方向に延びる第1の軸方向端部446に配置されたリップ422と、を画定することができる。リブ418は、リップ422から第2の軸方向端部448に向かって軸方向に延び得、軸方向リブ長さ460を画定し得る。また、半径方向内側環状表面410は、内径454’(
図11を参照)と、本明細書のすぐ上で述べたように半径方向内側アパーチャ軸方向深さ456と、を画定することができる。
【0040】
特定の実施形態では、半径方向内側アパーチャ軸方向深さ456と軸方向リブ長さ460との比は、1.5~1.0の範囲であり得、内径454’と半径方向リブ高さ458との比は、22.0~30.0の範囲であり得る。かかる実施形態では、軸方向リブ長さ460は、15.0mm~32.0mmの範囲であり得、半径方向リブ高さ458は、1.0mm~3.0mmの範囲であり得る。
【0041】
繰り返すが、本体402は、プラスチック、ゴム、エラストマー、メッシュ構造(例えば、ハニカム状構造)、及び発泡体のうちの少なくとも1つを備えることができ、本体402を弾性体にする。
【0042】
繰り返すが、様々な特徴部の比の範囲、寸法、角度、表面積、及び/又は構成のいずれも、本明細書で具体的に述べられていないものを含めて、所望又は必要に応じて変更され得ることに留意されたい。具体的に説明されてはいないが、フィレットなどのブレンドが様々な表面を接続するように示されている。これらは、他の実施形態では省略されてもよく、特に別段の言及がない限り、本明細書を読むとき、それらの存在が時々無視されてもよいことを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
実際には、機械、作業装置アセンブリ、先端具アセンブリ、先端具・アダプタアセンブリ、リテーナスリーブ、リテーナ、及びリテーナスリーブアセンブリ、並びに/又はこれらの様々なアセンブリと構成要素との任意の組み合わせは、アフターマーケットの状況で機械又は作業装置アセンブリを現場で換装するために製造、購入又は販売され得るか、あるいは、OEM(相手先商標製造会社)の状況での製造、購入、販売、又はその他の方法で取得され得る。
【0044】
前述の構成要素のいずれも、鉄、ねずみ鋳鉄、鋼材、プラスチック、ゴム、発泡体などを含む任意の適切な材料から作製され得る。
【0045】
本明細書で前述したリテーナスリーブ及びリテーナの特徴部は、堅牢なロック構成及びあまり堅牢でないロック解除構成を容易にするために以下のように動作することができる。
【0046】
第1に、(
図5を参照して最もよく理解される)リテーナ302及びリテーナスリーブ400は、リテーナスリーブ受容スロット226、及び保持機構受容アパーチャ222にスナップ留めされる。リテーナスリーブ400の構造は、局所的におよび及び且つ/又は全体として的に変形するのに十分な弾力があるようになっており、その結果、該テーナスリーブは、リテーナスリーブ受容スロット226にスナップ留めされ、その中に留まるように十分に剛性であり得る。リテーナスリーブ400のリップ422は、リテーナ302を軸方向に所定の位置に保持する。リップ422は、リテーナスリーブ400の外周の周りに完全に延び、保持機構受容アパーチャ222においてリテーナ302のロバスト堅牢な軸方向保持を提供する。
【0047】
図3、
図6、
図7、
図9及び
図11によって理解され得るように、戻り止め特徴部のリブ418は、わずかな保持力を提供して、リテーナ302をロック及び/又はロック解除位置に保持する。このわずかな保持力は、リテーナ302の駆動部分304に工具を挿入することによって容易に打ち勝つことができる。第1の回転防止特徴部412は、戻り止め特徴部よりも堅牢な保持力を提供する。したがって、当業者は、第1の回転防止特徴部412を、リテーナ302の回転を防止する一次装置と呼び得るが、戻り止め特徴部は、ロック構成からロック解除構成へのリテーナ302の回転を防止する二次装置と呼ばれ得る。
【0048】
図7を参照して最もよく理解されるように、第1の回転防止特徴部412は、カム表面438よりも大きい円周方向範囲を有するランプ440、及びロック表面416を含む。したがって、リテーナ302をロック解除構成からロック構成に回転させるのに必要な力は、リテーナ302のロック解除に必要な力よりも小さい。
【0049】
より具体的には、ランプ440がリテーナ302のスカート316に接触するときにランプ440によって提供される曲率効果又はカム効果は、ロック解除構成を達成するためにプロセスを逆にする場合よりも簡単に、リテーナスリーブ400を、先端具202とリテーナスリーブ400との間に見られるクリアランス(226の一部)に広げる(それとともに局所的な変形を提供する)。
【0050】
リテーナ302がロック位置からロック解除位置に回転するとき、ロック表面416の斜角436は、リテーナスリーブ400を広げて開くための曲率効果又はカム効果をより少なく提供する。十分な力が加えられると、リテーナ302のスカート316は、最終的にカム表面438に接触し、これは、基本的に第1の回転防止特徴部412を半径方向外向きにボイド424に偏向させる。次に、リテーナ302を、ロック解除構成を達成するために、より容易に回転させることができる。したがって、リテーナ302がロック構成からロック解除構成へと望ましくなく回転する可能性は低くなる。
【0051】
上述の説明は、開示されたアセンブリ及び技術の例示を提供するということが理解されよう。しかしながら、本開示の他の実装例は、上述の例とは詳細が異なる場合があるということが考慮される。本開示又はこれらの例へのすべての参照は、その時点で説明される特定の例を参照するように意図されたものであり、より一般に本開示の範囲に関する任意の限定を内包することを意図するものではない。特定の特徴に関する区別及び見くびりのすべての言語は、その特徴に対する選好の欠如を示すためのものであるが、特に明示しない限り、そのようなものを本開示の範囲から完全に排除しないものと意図される。
【0052】
本明細書における値の範囲の引用は、単に、本明細書に別段に明示されない限り、当該範囲内に属するそれぞれの個別値を個別に指す速記法として機能することが意図され、それぞれの個別値は、本明細書に個別に引用されているかのように明細書に組み込まれる。
【0053】
本明細書に説明される装置及び組み立ての方法の実施形態に対して、本発明(単数又は複数)の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な修正及び変形を加えることは当業者には明らかであろう。本明細書及び本明細書に開示した様々な実施を考慮することから、本開示の他の実施形態が当業者には明らかであろう。たとえば、装備の一部は本明細書で説明されたものとは異なるように構成され機能することができ、任意の方法の特定のステップは省略されるか、具体的に述べられたものとは異なる手順で行われるか、ある場合は同時又はサブステップで行われてもよい。なお、多様な実施形態の特定の態様又は特徴に対する変形や修正が、追加の実施形態を生成するために加えられてもよく、多様な実施形態の特徴及び態様が、さらなる実施形態を提供するために他の実施形態の他の特徴又は態様に追加又は代替されてもよい。
【0054】
したがって、本開示は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正及び均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示に包含される。