(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】皮膚状態改善活性を有するペプチド、及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20230801BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20230801BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230801BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230801BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230801BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230801BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230801BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20230801BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230801BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K38/08
A61P17/10
A61P17/06
A61P17/00
A61P17/04
A61P37/08
A61K8/64
A61Q19/00
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2022511062
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2019013263
(87)【国際公開番号】W WO2021033829
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0101877
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510271129
【氏名又は名称】ケアジェン カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジ・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ミ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ハナ・カン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】Journal of Investigative Dermatology,2015年,Vol.135,pp.1954-1968
【文献】Aging Cell,2015年,Vol.14,pp.625-634
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列からなる、ペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドのN-末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基、ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群のうちから選択されるいずれか1つの保護基と結合されたものである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドのC-末端は、アミノ基(-NH
2)、
第三級アルキル基及びアジド(-NHNH
2)からなる群のうちから選択されるいずれか1つの保護基と結合されたものである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドは、下記
のような特性から選択されるいずれか1以上を示すものである、請求項1に記載のペプチド:
(a)線維芽細胞及び角質形成細胞の死滅抑制、
(b)コラーゲンの合成促進、
(c)マトリックスメタロプロテアーゼの発現抑制、
(d)線維芽細胞及び角質形成細胞の活性回復、及び
(e)炎症性サトカインの発現抑制。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む、皮膚状態改善用化粧料組成物。
【請求項6】
前記皮膚状態改善は、しわ改善、皮膚弾力改善、傷再生、皮膚老化抑剤、または炎症性皮膚疾患の緩和である、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記皮膚老化は、紫外線による皮膚老化である、請求項6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のペプチドを有効成分として含む、炎症性皮膚疾患の予防用または治療用の薬剤学的組成物。
【請求項9】
前記炎症性皮膚疾患は、にきび、アトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、紅斑性ループスまたは丘疹状じんま疹である、請求項7に記載の薬剤学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚状態改善活性を有するペプチド、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、絶えず変化を経ることになり、そのうち、最も代表的なところが、老化による皮膚の機能低下、及び視覚的な美の低下である。老化は、皮膚のしわを形成させ、代表的なしわ形成の因子として、紫外線露出、及びコラーゲンの生合成低減などを挙げることができる。皮膚の老化は、大きく見て、遺伝的要素による内因性老化と、太陽光線のようなの外部環境的要素による外因性老化とに区分される。そのうちでも、外因性老化の場合、活性酸素除去、線維芽細胞の増殖、及びコラーゲンの生合成促進などを介し、老化を予防したり治療したり遅延させたりすることができると知られている。
【0003】
一方、細胞外基質(extracellular matrix)の主要構成成分であるコラーゲンは、皮膚の線維芽細胞で生成される主要基質タンパク質である。コラーゲンは、皮膚、腱(tendon)、骨及び歯牙の有機物質のほとんどを形成するが、特に、骨と皮膚(真皮)とにその包含量が多い。そのようなコラーゲンは、年齢、及び紫外線の照射による光老化によって減少し、それは、皮膚のしわ形成と密接な関連性があると知られている。また、コラーゲンは、傷治癒において重要な役割を担当し、損傷された上皮において、コラーゲン合成を促進させ、傷を、迅速であって傷跡なしに回復させることができる。同時に、コラーゲンの生合成が促進されることにより、基底層などの緻密度が高まることになれば、単位皮膚密度当たりメラニン色素濃度が低くなり、皮膚トーンが明るくなるという効果を期待することができることが報告されている。
【0004】
そのような技術的背景下において、コラーゲンの生合成促進、線維芽細胞などの増殖及び活性増進のようなメカニズムを介し、皮膚状態を改善させるための多角的な研究が進められている(韓国登録特許第10-1043081号)が、まだ十分に備わっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを提供する。
【0007】
他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用化粧料組成物を提供する。
【0008】
さらに他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む炎症性皮膚疾患の予防用または治療用の薬剤学的組成物を提供する。
【0009】
本出願の他の目的及び利点は、添付された請求範囲及び図面と共に、下記の詳細な説明によってさらに明確になるであろう。本明細書に記載されていない内容は、本出願の技術分野、または類似した技術分野内の当業者であるならば、十分に認識して類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本出願の範疇に属する。また、下記で記述された具体的な敍述により、本出願の範疇が制限されるものではない。
【0011】
一態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを提供する。
【0012】
本明細書で使用される用語「ペプチド」は、ペプチド結合により、アミノ酸残基が互いに結合されて形成された線形の分子を意味しうる。前記ペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に、固相合成技術(solid-phase synthesis techniques; Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85: 2149-54 (1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111 (1984))、または液状合成技術(米国登録特許第5,516,891号)によっても製造される。本発明者らは、生物学的に有効な活性を有するペプチドを開発すべく、鋭意努力した結果、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを究明した。ここで、前記生物学的に有効な活性は、(a)線維芽細胞及び角質形成細胞の死滅抑制、(b)コラーゲンの合成促進、(c)マトリックスメタロプロテアーゼの発現抑制、(d)線維芽細胞及び角質形成細胞の活性回復、及び(e)炎症性サトカインの発現抑制のような特性から選択されるいずれか1以上を示すものでもある。従って、前記ペプチドは、皮膚状態改善のための用途、炎症性皮膚疾患の予防または治療のための用途にも活用される。
【0013】
前記ペプチドは、化学的安定性、強化された薬理特性(半減期、吸水性、力価、効能など)、変更された特異性(例えば、広範囲な生物学的活性スペクトル)、低減された抗原性を獲得するために、ペプチドのN-末端またはC-末端に保護期が結合されてもいる。一具体例において、前記ペプチドのN-末端は、アセチル基(acetyl group)、フルオレニルメトキシカルボニル基(fluoreonylmethoxycarbonyl group)、ホルミル基(formyl group)、パルミトイル基(palmitoyl group)ミリスチル基(myristyl group)、ステアリル基(stearyl group)、ブトキシカルボニル基(butoxycarbonyl group)、アリルオキシカルボニル基(allyloxycarbonyl group)及びポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)からなる群のうちから選択されるいずれか1つの保護基と結合され、かつ/または前記ペプチドのC-末端は、アミノ基(amino group;-NH2)、三次アルキル基(tertiary alkyl group)及びアジド(azide;-NHNH2)からなる群のうちから選択されるいずれか1つの保護基とも結合される。また、前記ペプチドは、選択的に、標的化配列、タグ(tag)、標識された残基、半減期またはペプチド安定性を増大させるための特定目的で製造されたアミノ酸配列も追加して含むことができる。
【0014】
本明細書で使用される用語「安定性」は、生体内タンパク質切断酵素の攻撃から、前記ペプチドを保護するインビボ安定性だけではなく、保存安定性(例えば、常温保存安定性)も意味しうる。
【0015】
他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む化粧料組成物、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分として含む薬剤学的組成物、及び化粧料または薬剤学的組成物を製造したり、化粧料または薬剤学的組成物として使用したりするための配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの用途を提供する。
【0016】
他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用化粧料組成物を提供する。
【0017】
前記ペプチドに係わる説明で言及された用語または要素において、すでに言及されたところと同一のところは、前述の通りである。
【0018】
本明細書で使用される用語「改善」は、状態の緩和または治療と係わるパラメータ、例えば、症状の程度を少なくとも低減させる全ての行為を意味しうる。
【0019】
本明細書で使用される用語「皮膚状態改善」は、皮膚の内在的要因、または外因的な要因によって誘発される皮膚の損傷を治療、軽減、緩和させる過程、またはその効果などを包括的に意味し、例えば、しわ改善、皮膚弾力改善、傷再生、皮膚老化抑制、または炎症性皮膚疾患の緩和を示すとも解釈されるが、それらに制限されるものではない。
【0020】
ここで、「しわ改善」、「皮膚弾力改善」及び「傷再生」は、コラーゲンの合成促進などを含む皮膚内コラーゲンの総量を増加させる全ての作用を意味しうる。また、「皮膚老化抑制」は、しわ、皮膚の垂れ、弾力性低減のような皮膚の機能低下を抑制することを意味しうる。このとき、前記皮膚老化は、光老化、例えば、紫外線による皮膚老化でもある。また、「炎症性皮膚疾患の緩和」は、炎症性サトカインの発現抑制などを含む、生理学的または病理学的に発生した皮膚の炎症反応を緩和または改善させる全ての作用を意味しうる。
【0021】
従来の機能性ペプチドは、有効な生物学的活性にもかかわらず、ペプチド自体の大きさにより、標的組織または標的細胞に効果的に流入されえないか、あるいは半減期が短く、短期間に体内で消滅するという短所を示した。一方、一実施例による化粧料組成物は、10個以下のアミノ酸からなるペプチドを有効成分として含み、それにより、有効成分の皮膚浸透率などが非常にすぐれ、例えば、局所的に皮膚に塗布する場合、皮膚状態を効果的に改善させることができる。
【0022】
一実施例によれば、前記ペプチドは、線維芽細胞の細胞活性を増大させ、コラーゲンの合成を促進させることができた。また、前記ペプチドは、線維芽細胞及び角質形成細胞の死滅抑制効果、紫外線によって増大されたマトリックスメタロプロテアーゼの発現または活性上昇効果、及び紫外線によって低下された線維芽細胞及び角質形成細胞の活性回復効果を示した。従って、前記ペプチドは、皮膚状態改善用化粧料組成物の有効成分としても活用される。
【0023】
前記化粧料組成物は、前記ペプチドの化粧品学的有効量(cosmetically effective amount)、及び/または化粧品学的に許容される担体を含むものでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0024】
本明細書で使用される用語「化粧品学的有効量」は、前記化粧料組成物の皮膚状態改善効能を達成するのに十分な量を意味する。
【0025】
前記ペプチド、及び化粧品学的に許容される担体の重量比は、例えば、500:1ないし1:500でもあり、一例として、前記重量比は、450:1ないし1:450、400:1ないし1:400、350:1ないし1:350、300:1ないし1:300、250:1ないし1:250、200:1ないし1:200、150:1ないし1:150、100:1ないし1:100、80:1ないし1:80、60:1ないし1:60、40:1ないし1:40、20:1ないし1:20、10:1ないし1:10、8:1ないし1:8、6:1ないし1:6、4:1ないし1:4、または2:1ないし1:2でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0026】
前記化粧料組成物は、当業界で一般的に製造されるいかなる剤形にも製造され、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、せっけん、界面活性剤含有クレンシング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどにも剤形化されるが、それらに制限されるものではない。例えば、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたはパウダーの剤形にも製造される。
【0027】
前記化粧料組成物の剤形が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが利用されうる。
【0028】
前記化粧料組成物の剤形が、パウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが利用され、例えば、スプレーである場合には、追加して、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含んでもよい。
【0029】
前記化粧料組成物の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として、溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が利用され、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルを含んでもよい。
【0030】
前記化粧料組成物の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として、水・エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール・ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁液剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラカントなどが利用されうる。
【0031】
前記化粧料組成物の剤形が、界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用されうる。
【0032】
前記化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチド、及び担体成分以外に、化粧料組成物に一般的に利用される成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような一般的な補助剤を含んでもよい。
【0033】
さらに他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む化粧料組成物を個体の皮膚に塗布する段階を含む、皮膚状態を改善する方法を提供する。
【0034】
前記化粧料組成物に係わる説明で言及された用語または要素のうち、すでに言及されたところと同一のところは、前述の通りである。
【0035】
本明細書で使用される用語「適用する」、「投与する」及び「塗布する」は、相互交換的に使用され、一実施例による組成物を、所望する部位への少なくとも部分的局所化をもたらすこと、または投与経路により、個体内に、一実施例による組成物を配置することを意味しうる。
【0036】
さらに他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む炎症性皮膚疾患の予防用または治療用の薬剤学的組成物を提供する。
【0037】
前記ペプチドに係わる説明で言及された用語または要素のうち、すでに言及されたところと同一のところは、前述の通りである。
【0038】
本明細書において用語「予防」は、前記組成物の投与により、疾病の発病を抑制または遅延させる全ての行為を意味する。
【0039】
本明細書において用語「治療」は、疾病を病んでいるか、あるいは疾病が発病する危険がある個体に、前記個体の状態(例えば、1以上の症状)の改善、疾病進行の遅延、症状発生の遅延、または症状進行の鈍化などを含む効果を提供する任意の形態の治療を意味する。従って、前述の「治療」及び「予防」は、症状の治癒、または完全な除去を意味するように意図されるものではない。
【0040】
前記「個体」は、疾病の治療を必要とする対象を意味し、さらに具体的には、ヒト、または非ヒトである霊長類、マウス・犬・猫・馬及び牛などの哺乳類を意味する。
【0041】
前記薬剤学的組成物による予防または治療の対象疾病である、「炎症性皮膚疾患」は、炎症を主病変とする皮膚疾患を総称するものでもあり、例えば、にきび、アトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、紅斑性ループスまたは丘疹状じんま疹でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0042】
一実施例によれば、前記ペプチドは、紫外線によって増大されたマトリックスメタロプロテアーゼの発現または活性上昇効果、紫外線によって低下された線維芽細胞及び角質形成細胞の活性回復効果、及び紫外線によって増大された炎症性因子発現阻害効果を示した。従って、前記ペプチドは、炎症性皮膚疾患の予防用または治療用の薬剤学的組成物の有効成分としても活用される。
【0043】
前記薬剤学的組成物は、前記ペプチドの薬剤学的有効量(pharmaceutically effective amount)、及び/または薬剤学的に許容される担体を含むものでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0044】
本明細書で使用される用語「薬剤学的有効量」は、前記薬剤学的組成物の炎症性皮膚疾患の予防効能または治療効能を達成するのに十分な量を意味しうる。
【0045】
前記ペプチド、及び前記薬剤学的に許容される担体の重量比は、例えば、500:1ないし1:500でもあり、一例として、前記重量比は、450:1ないし1:450、400:1ないし1:400、350:1ないし1:350、300:1ないし1:300、250:1ないし1:250、200:1ないし1:200、150:1ないし1:150、100:1ないし1:100、80:1ないし1:80、60:1ないし1:60、40:1ないし1:40、20:1ないし1:20、10:1ないし1:10、8:1ないし1:8、6:1ないし1:6、4:1ないし1:4、または2:1ないし1:2でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0046】
前記薬剤学的に許容される担体は、製剤時に一般的に利用されるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、それらに限定されるものではない。適する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0047】
前記薬剤学的組成物は、前記成分以外に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁液剤、保存剤などを追加して含んでもよいが、それらに制限されるものではない。
【0048】
前記薬剤学的組成物は、経口または非経口、望ましくは非経口によって投与することができ、非経口投与である場合には、筋肉注入、静脈内注入、皮下注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などで投与することができるが、それらに限定されるものではない。
【0049】
前記薬剤学的組成物の投与量は、1日当たり、0.0001ないし1,000μg、0.001ないし1,000μg、0.01ないし1,000μg、0.1ないし1,000μg、または1.0ないし1,000μgでもあるが、それらに制限されるものではなく、製剤化方法、投与方式、患者の年齢・体重・性・病的状態、飲食物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によっても多様に処方される。
【0050】
前記薬剤学的組成物は、当該発明が属する技術分野において、当業者が容易に実施することができる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位用量形態に製造されるか、あるいは多用量容器内に内入させても製造される。
【0051】
前記剤形は、油性媒質中または水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であるか、あるいはエキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態でもあり、分散剤及び/または安定化剤を追加して含んでもよい。
【0052】
さらに他の態様は、治療学的有効量の配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む薬剤学的組成物を個体に投与する段階を含む、炎症性皮膚疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0053】
前記薬剤学的組成物に係わる説明で言及された用語または要素のうち、すでに言及されたところと同一のところは、前述の通りである。
【0054】
さらに他の態様は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用食品組成物を提供する。
【0055】
前記ペプチドに係わる説明で言及された用語または要素のうち、すでに言及されたところと同一のところは、前述の通りである。
【0056】
前記食品組成物に含有された有効成分としてのペプチドの含量は、食品の形態、所望する用途などにより、適切に非制限的にも選択され、例えば、全体食品重量の0.01ないし15重量%で添加することができる。また、例えば、健康飲料組成物は、100mlを基準に、0.02ないし10g、望ましくは、0.3ないし1gの比率で添加することができる。
【発明の効果】
【0057】
一態様によるペプチドによれば、線維芽細胞の細胞活性を増大させ、コラーゲンの合成を促進させることにより、しわ改善、皮膚弾力改善、傷再生、皮膚老化抑制などを含む皮膚状態改善に適用することができる。
【0058】
一態様によるペプチドによれば、線維芽細胞及び角質形成細胞の阻害された活性を回復させ、炎症性サトカインの発現を抑制することにより、皮膚の炎症反応を緩和または改善するのに適用することができる。
【0059】
従って、一態様によるペプチドは、皮膚状態改善用化粧料組成物、または炎症性皮膚疾患の予防用または治療用の薬剤学的組成物の有効成分としても活用される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを線維芽細胞に添加した後、プロコラーゲン1αの発現増大を確認した結果である。
【
図2】ペプチドを線維芽細胞に添加した後、PPAR-γ、PPAR-δ及びPGC-1αの発現増大を確認した結果である。
【
図3】前記ペプチドを線維芽細胞に添加した後、紫外線の照射によって増大されたcleaved caspase-3の発現低減を確認した結果である。
【
図4】前記ペプチドを角質形成細胞に添加した後、紫外線の照射によって増大されたcleaved PARP-1及びcleaved caspase-3の発現低減を確認した結果である。
【
図5】ペプチドを線維芽細胞に添加した後、紫外線の照射によって増大されたMMP-1の発現低減、及びMMP-2の活性低下を確認した結果である。
【
図6】ペプチドを線維芽細胞に添加した後、紫外線の照射によって低減されたCol1a1、フィブロネクチン及びエラスチンの発現増大を確認した結果である。
【
図7】ペプチドを角質形成細胞に添加した後、紫外線の照射によって低減されたSIRT1及びAQP3の発現増大を確認した結果である。
【
図8】ペプチドを角質形成細胞に添加した後、紫外線の照射によって増大されたTNF-α、COX-2、IL-1β及びIL-6の発現低減を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
実施例1.ペプチドの合成
自動ペプチド合成器(Milligen 9050,Millipore、米国)を利用し、下記[表1]に記載された配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドを合成し、C18逆相高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)(Waters Associates、米国)を利用し、それら合成されたペプチドを純水分離した。カラムは、ACQUITY UPLC BEH300 C18(2.1mmX100mm、1.7μm,Waters Co.、米国)を利用した。
【0063】
【0064】
実施例2.プロコラーゲン1αの発現増大効果確認
マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞を、6ウェルプレートに、5×103細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地(serum-free media)に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを24時間培養した。その後、プロコラーゲン1α ELISA kit(US Biological Lifescience、米国)を使用し、培地内プロコラーゲン1αの含量を測定した。一方、対照群として、未処理群(Con)を使用し、陽性対照群としては、100nMのbFGFを添加した群、及び5ng/mlのTGF-β1を添加した群を使用した。
【0065】
その結果、
図1に示されているように、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加により、線維芽細胞のコラーゲン合成と係わる因子であるプロコラーゲン1αの発現が増大されることを確認した。
【0066】
実施例3.線維芽細胞の活性増進効果確認
本実施例においては、ミトコンドリアの生物発生(mitochondrial biogenesis)関連遺伝子であるPPAR-γ、PPAR-δ及びPGC-1αの発現レベルを測定することにより、線維芽細胞の細胞活性に、一実施例によるペプチドが及ぼす影響を確認するものである。具体的には、マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞を、6ウェルプレートに3×105細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを24時間培養した。前記培養された細胞からmRNAを抽出した後、cDNA synthesis kit & PCR pre-mix(Intron、韓国)を使用し、前記抽出されたmRNAを逆転写させることにより、それぞれのcDNAを合成した。その後、前述のcDNAと、PPAR-γ、PPAR-δ及びPGC-1αのプライマーを使用し、重合酵素連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)を遂行した。一方、対照群及び陽性対照群は、実施例2と同一群を使用し、本実施例で使用したプライマーのヌクレオチド配列は、下記表2の通りである。
【0067】
【表2】
その結果、
図2に示されているように、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加により、線維芽細胞の細胞活性と係わる因子である、PPAR-γ、PPAR-δ及びPGC-1αの発現が増大されることを確認した。前記結果を介して、一実施例によるペプチドは、線維芽細胞の細胞活性を増大させ、コラーゲンの合成を促進させることにより、しわ改善、皮膚弾力改善、傷再生などを含む皮膚状態改善に寄与するということが分かった。
【0068】
実施例4.線維芽細胞及び角質形成細胞の死滅抑制効果確認
マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞、またはヒト角質形成細胞であるHaCaT細胞を、6ウェルプレートに、それぞれ3×105細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それらを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを1時間培養した。前記培養された細胞を含むウェルを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、NIH3T3細胞またはHaCaT細胞に、それぞれ6J/cm2または15J/cm2の紫外線を照射することにより、細胞死滅蛋白質の発現増大を誘導した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、それぞれ10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを24時間培養した。前記培養された細胞に、溶解バッファを添加し、細胞溶解物を得た後、cleaved PARP-1及びcleaved caspase-3抗体(Santacruz Biotechnology、米国)を使用し、ウェスタンブロットを遂行した。一方、対照群として、未処理群(Con)を使用し、陰性対照群及び陽性対照群としては、それぞれ紫外線の照射後の未処理群(NC)、及び紫外線の照射後、2.5mMのNaCを添加した群を使用した。
【0069】
その結果、
図3及び
図4に示されているように、紫外線の照射によって増大された、線維芽細胞のcleaved caspase-3発現は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加によって低減され、それと同様に、角質形成細胞のcleaved PARP-1及びcleaved caspase-3の発現も、有意的に低減されるということを確認した。前記結果を介し、一実施例によるペプチドは、皮膚細胞の細胞死滅を抑制させることができるということが分かった。
【0070】
実施例5.紫外線によって増大されたマトリックスメタロプロテアーゼ抑制効果確認
マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞を、6ウェルプレートに、3×105細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを1時間培養した。前記培養された細胞を含むウェルをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、NIH3T3細胞に、それぞれ6J/cm2の紫外線を照射することにより、MMP-1及びMMP-2の発現増大を誘導した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを24時間培養した。その後、前記培養された細胞に溶解バッファを添加し、細胞溶解物を得た後、MMP-1の発現を測定するためにMMP-1抗体(Cell Signaling、米国)を使用し、ウェスタンブロットを遂行した。
【0071】
一方、MMP-2の活性を測定するために、前記細胞溶解物を対象に、ゼラチンザイモグラフィを遂行した。具体的には、2mg/mlのゼラチンが含まれた基質を使用し、蛋白質電気泳動(SDS-PAGE)を実施した後、2.5%のトライトンX-100(Triton X-100)を30分間処理した後、そこに、50mM Tris-HCl、0.2M NaCl、5mM CaCl2及び1% トライトンX-100を含む緩衝剤を、37℃で24時間処理した。その後、クマシーブリリアントブルー(Coomassie brilliant blue)R250(Sigma)でゲルを染色し、そこに、5%メタノール、7.5%酢酸、蒸溜水を含む脱色バッファを添加した後、ゼラチンの加水分解によって示されるバンドを肉眼で観察した。一方、対照群、陰性対照群及び陽性対照群は、実施例4と同一群を使用した。
【0072】
その結果、
図5に示されているように、紫外線の照射によって増大された、線維芽細胞のMMP-1発現及びMMP-2活性は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加によって低下されるということを確認した。
【0073】
実施例6.紫外線によって阻害された線維芽細胞及び角質形成細胞の活性回復効果確認
本実施例においては、真皮の構成成分と知られたCol1a1、フィブロネクチン及びエラスチンの発現を介し、線維芽細胞の活性変化を評価し、抗老化遺伝子であるSIRT1、及び皮膚障壁構成遺伝子であるAQP3の発現を介し、角質形成細胞の活性変化を評価することにより、前記細胞の活性回復に、一実施例によるペプチドが及ぼす影響を確認するものである。具体的には、マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞、またはヒト角質形成細胞であるHaCaT細胞を、6ウェルプレートに、それぞれ3×105細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それらを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを1時間培養した。前記培養された細胞を含むウェルをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、NIH3T3細胞またはHaCaT細胞に、それぞれ6J/cm2または20J/cm2の紫外線を照射することにより、細胞活性の阻害を誘導した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを6時間培養した。前記培養された細胞からmRNAを抽出した後、cDNA synthesis kit & PCR pre-mix(Intron、韓国)を使用し、前記抽出されたmRNAを逆転写させることにより、それぞれのcDNAを合成した。その後、線維芽細胞由来cDNA、及びCol1a1、フィブロネクチン及びエラスチンのプライマー、並びに角質形成細胞由来cDNA、及びSIRT1及びAQP3のプライマーを使用し、重合酵素連鎖反応を遂行した。一方、対照群、陰性対照群及び陽性対照群は、実施例4と同一群を使用し、本実施例で使用したプライマーのヌクレオチド配列は、下記表3及び表4の通りである。
【0074】
【0075】
【0076】
その結果、
図6及び
図7に示されているように、紫外線の照射によって阻害された線維芽細胞のCol1a1、フィブロネクチン及びエラスチンの発現は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加により、さらに正常レベルに回復し、それと同様に、角質形成細胞が低減されたSIRT1及びAQP3の発現も回復するということを確認した。前記結果を介し、一実施例によるペプチドは、損傷された皮膚細胞の活性を回復させることにより、真皮層緻密度低減及び皮膚障壁低減などを含む皮膚の病理学的環境を改善させるのに寄与することができるということが分かった。
【0077】
実施例7.紫外線によって増大された炎症性因子発現阻害効果確認
ヒト角質形成細胞であるHaCaT細胞を、6ウェルプレートに、3×105細胞/ウェルの密度でシーディングした後、それを16時間培養した。その後、培養培地を無血清培地に替えた後、そこに、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを、10μM、50μMまたは100μMで添加し、それらを1時間培養した。前記培養された細胞を含むウェルをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、HaCaT細胞に、15mJ/cm2の紫外線を照射することにより、炎症性因子、すなわち、炎症性サトカインの発現増大を誘導した。前記培養された細胞からmRNAを抽出した後、cDNA synthesis kit & PCR pre-mix(Intron、韓国)を使用し、前記抽出されたmRNAを逆転写させることにより、それぞれのcDNAを合成した。その後、前記cDNA、並びにTNF-α、COX-2、IL-1β及びIL-6のプライマーを使用し、重合酵素連鎖反応を遂行した。一方、対照群及び陽性対照群は、実施例4と同一群を使用し、本実施例で使用したプライマーのヌクレオチド配列は、下記表5の通りである。
【0078】
【0079】
その結果、
図8に示されているように、紫外線の照射によって増大された、角質形成細胞のTNF-α、COX-2、IL-1β及びIL-6の発現は、配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドの添加によって低減された。前記結果を介し、一実施例によるペプチドは、皮膚の炎症反応を緩和または改善させることができるということが分かった。
【0080】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の当業者であるならば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならない。
【配列表】