IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井化学株式会社の特許一覧

特許7323724イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体
<>
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図1
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図2
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図3
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図4
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図5
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図6
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図7
  • 特許-イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体
(51)【国際特許分類】
   C07C 263/10 20060101AFI20230801BHJP
   C07C 265/14 20060101ALI20230801BHJP
   C25B 1/26 20060101ALI20230801BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20230801BHJP
   C25B 15/023 20210101ALI20230801BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
C07C263/10
C07C265/14
C25B1/26 A
C25B1/02
C25B15/023
C25B15/08 302
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022580992
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2022031260
(87)【国際公開番号】W WO2023022203
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021134198
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022043980
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐明
(72)【発明者】
【氏名】前場 功之
(72)【発明者】
【氏名】栗原 康幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 国博
(72)【発明者】
【氏名】森岡 翼
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099605(JP,A)
【文献】特開2019-142029(JP,A)
【文献】特開2004-123666(JP,A)
【文献】特表2014-520086(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060260(WO,A1)
【文献】特開2006-248998(JP,A)
【文献】特開2007-023034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 263/
C07C 265/
C25B 1/
C25B 15/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート製造システムであって、
前記イソシアネート製造システムで使用されるエネルギーを製造するバイオマスボイラーを含む第1製造装置、
バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノールを少なくとも含むメタノールから一酸化炭素及び水素を製造する第2製造装置、
リサイクルオイル又はバイオマスオイルを少なくとも含むオイルから一酸化炭素及び水素を製造する第3製造装置、及び、
バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料からポリアミン化合物を製造する第4製造装置からなる群から選択される少なくとも1つの装置と、
一酸化炭素と塩素とからホスゲンを製造する第5製造装置と、
ポリアミン化合物と前記第5製造装置が製造した前記ホスゲンとからイソシアネート化合物を製造する第6製造装置と、
前記イソシアネート製造システムを制御する制御装置と、
を備え、
前記第5製造装置で使用される前記一酸化炭素、及び前記第6製造装置で使用される前記ポリアミン化合物のうち少なくとも1つは、前記選択される少なくとも1つの装置で製造されたものであり、
前記制御装置は、
前記選択される少なくとも1つの装置において、前記第1製造装置で製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記メタノール、前記第3製造装置が用いる前記オイル、及び前記第4製造装置が用いる前記ポリアミン化合物原料に由来する、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記バイオマスボイラーで製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノール、前記第3製造装置が用いる前記リサイクルオイル又は前記バイオマスオイル、及び前記第4製造装置が用いる前記バイオマス原料に由来する化合物を選択する選択部を含む、
イソシアネート製造システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記バイオマスボイラーで製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノール、前記第3製造装置が用いる前記リサイクルオイル又は前記バイオマスオイル、及び前記第4製造装置が用いる前記バイオマス原料に由来する化合物の使用比率を選択する、請求項1に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記目標値を満たすための運転条件を前記第1製造装置~前記第6製造装置に通知する通知部をさらに含む、請求項2に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項4】
前記環境負荷値は、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットである、請求項1~3のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項5】
前記環境負荷値は、ライフサイクルアセスメントによって前記イソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値である、請求項1~4のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項6】
前記環境負荷値は、イソシアネート化合物のバイオマスプラスチック度又はバイオマス度である、請求項1~5のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項7】
前記バイオマス原料は、バイオマストルエン、バイオマスベンゼン、バイオマスキシレン、バイオマスナフタレン、及びバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項8】
前記バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料から製造される前記ポリアミン化合物は、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ナフタレンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項9】
前記イソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ナフタレンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項10】
イソシアネート製造システムであって、
エネルギー及び二酸化炭素の少なくともいずれかを製造し、環境負荷値がそれぞれ異なる複数の第11製造装置と、
前記第11製造装置が製造したエネルギーの少なくとも一部及び再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの少なくともいずれかを用いて、塩化ナトリウムを電気分解して水素及び塩素を製造する第12製造装置と、
前記第11製造装置が製造した前記二酸化炭素と、前記第12製造装置が製造した前記水素と、を用いてアルコールを製造する第13製造装置と、
前記第13製造装置が製造した前記アルコールから一酸化炭素及び水素を製造する第14製造装置と、
オイルから一酸化炭素及び水素を製造する第17製造装置と、
前記第14製造装置及び前記第17製造装置が製造した前記一酸化炭素と、前記第12製造装置が製造した前記塩素と、からホスゲンを製造する第15製造装置と、
前記第15製造装置が製造した前記ホスゲンからイソシアネート化合物を製造する第16製造装置と、
前記イソシアネート製造システムを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
複数の前記第11製造装置で製造されたエネルギー又は二酸化炭素、及び前記第12製造装置が用いるエネルギーに由来する、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記第11製造装置及び第12製造装置が用いるエネルギーを選択する選択部を含む、
イソシアネート製造システム。
【請求項11】
複数の前記第11製造装置は、化石燃料を使用する第1ボイラーと、少なくとも一部が植物由来の原料を含んだ燃料を使用する少なくとも一つの第2ボイラーと、を含む、請求項10に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項12】
前記選択部は、前記環境負荷値が所定の値以下となるよう前記第1ボイラーと前記第2ボイラーとの使用比率を決定することで前記第11製造装置を選択する、請求項11に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項13】
前記選択部は、前記環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの、前記第12製造装置における使用比率を決定する、請求項10に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項14】
前記第12製造装置において使用される、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーは、太陽光発電装置で製造されたエネルギーである、請求項13に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項15】
前記選択部は、気象に関する情報を用いて前記第11製造装置を選択する、請求項14に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項16】
前記選択部は、気象に関する情報を用いて、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの、前記第12製造装置における使用比率を選択する、請求項13に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項17】
前記第17製造装置は、前記オイルの少なくとも一部に、リサイクルオイルを使用することで一酸化炭素及び水素を製造する、請求項10に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項18】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるように、前記第17製造装置でのリサイクルオイルの使用比率を決定する、請求項15に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項19】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの使用比率を選択する、請求項1016のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項20】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記第11製造装置を選択する、請求項1016のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項21】
前記制御装置は、前記目標値に関するパラメータに基づいて前記目標値を算出する目標値算出部をさらに含む、請求項19又は20に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項22】
前記パラメータは、気象に関する情報である、請求項21に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項23】
前記パラメータは、製造する前記ホスゲンの目標製造量である、請求項21に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項24】
前記パラメータは、製造する前記イソシアネート化合物の目標製造量である、請求項21に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項25】
前記制御装置は、前記目標値を満たすための運転条件を前記第11製造装置~前記第16製造装置に通知する通知部をさらに含む、請求項1924のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項26】
前記環境負荷値は、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットである、請求項1025のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項27】
前記環境負荷値は、ライフサイクルアセスメントによって前記イソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値である、請求項1025のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項28】
前記環境負荷値は、イソシアネート化合物のバイオマスプラスチック度である、請求項1025のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項29】
前記第12製造装置は、前記第16製造装置がイソシアネート化合物を製造する際に生成した塩化水素を電気分解して水素及び塩素を製造する、請求項1028のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項30】
前記第13製造装置は、前記第14製造装置又は第17製造装置が製造した水素も用いてアルコールを製造する、請求項1029のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【請求項31】
前記イソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項1030のいずれか1項に記載のイソシアネート製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン、ポリ尿素などの原料として用いられる汎用イソシアネートとして、トリレンジイソシアネートが、広く知られている。トリレンジイソシアネートは、ジアミノトルエンとホスゲンとの反応(ホスゲン法)から工業的に製造されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-248998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物の製造過程においてはエネルギーが必要になり、エネルギーの生成のために化石燃料を使用すると二酸化炭素を排出する。二酸化炭素は、地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスとして知られており、二酸化炭素の排出量を削減することで環境への負荷を抑えたイソシアネート化合物の製造が求められる。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、イソシアネート化合物の製造過程において二酸化炭素の排出量の削減に寄与するイソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、イソシアネート製造システムであって、前記イソシアネート製造システムで使用されるエネルギーを製造するバイオマスボイラーを含む第1製造装置、バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノールを少なくとも含むメタノールから一酸化炭素及び水素を製造する第2製造装置、リサイクルオイル又はバイオマスオイルを少なくとも含むオイルから一酸化炭素及び水素を製造する第3製造装置、及び、バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料からポリアミン化合物を製造する第4製造装置からなる群から選択される少なくとも1つの装置と、一酸化炭素と塩素とからホスゲンを製造する第5製造装置と、ポリアミン化合物と前記第5製造装置が製造した前記ホスゲンとからイソシアネート化合物を製造する第6製造装置と、前記イソシアネート製造システムを制御する制御装置と、を備え、前記第5製造装置で使用される前記一酸化炭素、及び前記第6製造装置で使用される前記ポリアミン化合物のうち少なくとも1つは、前記選択される少なくとも1つの装置で製造されたものであり、前記制御装置は、前記選択される少なくとも1つの装置において、前記第1製造装置で製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記メタノール、前記第3製造装置が用いる前記オイル、及び前記第4製造装置が用いる前記ポリアミン化合物原料に由来する、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記バイオマスボイラーで製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノール、前記第3製造装置が用いる前記リサイクルオイル又は前記バイオマスオイル、及び前記第4製造装置が用いる前記バイオマス原料に由来する化合物を選択する選択部を含む、イソシアネート製造システムが提供される。
【0007】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記バイオマスボイラーで製造されたエネルギー、前記第2製造装置が用いる前記バイオマスメタノール又はカーボンリサイクルメタノール、前記第3製造装置が用いる前記リサイクルオイル又は前記バイオマスオイル、及び前記第4製造装置が用いる前記バイオマス原料に由来する化合物の使用比率を選択してもよい。
【0008】
前記制御装置は、前記目標値を満たすための運転条件を前記第1製造装置~前記第6製造装置に通知する通知部をさらに含んでもよい。
【0009】
前記環境負荷値は、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットであってもよい。
【0010】
前記環境負荷値は、ライフサイクルアセスメントによって前記イソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値であってもよい。
【0011】
前記環境負荷値は、イソシアネート化合物のバイオマスプラスチック度又はバイオマス度であってもよい。
【0012】
前記バイオマス原料は、バイオマストルエン、バイオマスベンゼン、バイオマスキシレン、バイオマスナフタレン、及びバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0013】
前記バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料から製造される前記ポリアミン化合物は、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ナフタレンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0014】
前記イソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ナフタレンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、バイオマス原料に由来するイソシアネート化合物を含む、イソシアネート組成物が提供される。
【0016】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、バイオマス度が0.1%以上である、イソシアネート化合物を含む、イソシアネート組成物が提供される。
【0017】
前記バイオマス原料が、バイオマストルエン、バイオマスベンゼン、バイオマスキシレン、バイオマスナフタレン、及びバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0018】
前記バイオマス原料が、バイオマスナフサ原料に由来していてもよい。
【0019】
前記バイオマス原料に由来するイソシアネート化合物は、バイオマス原料に由来するトリレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するジフェニルメタンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するキシリレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、バイオマス原料に由来するナフタレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来する2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及びバイオマス原料に由来する2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0020】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、バイオマス度が0.1%以上であるイソシアネート化合物を含む、イソシアネート組成物が提供される。
【0021】
上記イソシアネート化合物における14Cの含有量は、1×10-13%以上であってもよい。
【0022】
上記イソシアネート化合物は、RPFボイラーから発生するCO、バイオマスボイラーから発生するCO、バイオマスメタノール、カーボンリサイクルメタノール、バイオマスオイル、リサイクルオイル、及びバイオマスナフサからなる群から選択される少なくとも1種の化合物に由来する14Cを含んでもよい。
【0023】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、上記イソシアネート組成物、及び、上記イソシアネート組成物が変性された変性体組成物の少なくとも一方を含む、重合性組成物が提供される。
【0024】
上記重合性組成物は、更に、活性水素化合物を含んでもよい。
【0025】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、上記重合性組成物の硬化物である樹脂が提供される。
【0026】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、上記樹脂を含む成形体が提供される。
【0027】
上記課題を解決するために、本開示の別の観点に係るイソシアネート製造システムは、エネルギー及び二酸化炭素の少なくともいずれかを製造し、環境負荷値がそれぞれ異なる複数の第11製造装置と、前記第11製造装置が製造したエネルギーの少なくとも一部及び再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの少なくともいずれかを用いて、塩化ナトリウムを電気分解して水素及び塩素を製造する第12製造装置と、前記第11製造装置が製造した前記二酸化炭素と、前記第12製造装置が製造した前記水素と、を用いてアルコールを製造する第13製造装置と、前記第13製造装置が製造した前記アルコールから一酸化炭素及び水素を製造する第14製造装置と、オイルから一酸化炭素及び水素を製造する第17製造装置と、前記第14製造装置及び前記第17製造装置が製造した前記一酸化炭素と、前記第12製造装置が製造した前記塩素と、からホスゲンを製造する第15製造装置と、前記第15製造装置が製造した前記ホスゲンからイソシアネート化合物を製造する第16製造装置と、前記イソシアネート製造システムを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の前記第11製造装置で製造されたエネルギー又は二酸化炭素、及び前記第12製造装置が用いるエネルギーに由来する、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記第11製造装置及び第12製造装置が用いるエネルギーを選択する選択部を含む。
【0028】
複数の前記第11製造装置は、化石燃料を使用する第1ボイラーと、少なくとも一部が植物由来の原料を含んだ燃料を使用する少なくとも一つの第2ボイラーと、を含んでもよい。
【0029】
前記選択部は、前記環境負荷値が所定の値以下となるよう前記第1ボイラーと前記第2ボイラーとの使用比率を決定することで前記第11製造装置を選択してもよい。
【0030】
前記選択部は、前記環境負荷値が所定の値以下となるよう、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの、前記第12製造装置における使用比率を決定してもよい。
【0031】
前記第12製造装置において使用される、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーは、太陽光発電装置で製造されたエネルギーであってもよい。
【0032】
前記選択部は、気象に関する情報を用いて前記第11製造装置を選択してもよい。
【0033】
前記選択部は、気象に関する情報を用いて、前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの、前記第12製造装置における使用比率を選択してもよい。
【0034】
前記第17製造装置は、前記オイルの少なくとも一部に、リサイクルオイルを使用することで一酸化炭素及び水素を製造してもよい。そして、前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるように、前記第17製造装置でのリサイクルオイルの使用比率を決定してもよい。
【0035】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの使用比率を選択してもよい。
【0036】
前記選択部は、前記イソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するよう前記第11製造装置を選択してもよい。
【0037】
前記制御装置は、前記目標値に関するパラメータに基づいて前記目標値を算出する目標値算出部をさらに含んでもよい。
【0038】
前記パラメータは、気象に関する情報であってもよい。
【0039】
前記パラメータは、製造する前記ホスゲンの目標製造量であってもよい。
【0040】
前記パラメータは、製造する前記イソシアネート化合物の目標製造量であってもよい。
【0041】
前記制御装置は、前記目標値を満たすための運転条件を前記第11製造装置~前記第16製造装置に通知する通知部をさらに含んでもよい。
【0042】
前記環境負荷値は、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットであってもよい。
【0043】
前記環境負荷値は、ライフサイクルアセスメントによって前記イソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値であってもよい。
【0044】
前記環境負荷値は、イソシアネート化合物のバイオマスプラスチック度であってもよい。
【0045】
前記第12製造装置は、前記第16製造装置がイソシアネート化合物を製造する際に生成した塩化水素を電気分解して水素及び塩素を製造してもよい。
【0046】
前記第13製造装置は、前記第14製造装置又は前記第17製造装置が製造した水素も用いてアルコールを製造してもよい。
【0047】
前記イソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートであってもよい。
【発明の効果】
【0048】
本開示によれば、イソシアネート化合物の製造過程において二酸化炭素の排出量の削減に寄与するイソシアネート製造システム、イソシアネート組成物、重合性組成物、樹脂、及び成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】開示の技術の第1実施形態に係るイソシアネート製造システムの概略構成を示す図である。
図2】イソシアネート製造設備の構成例を示す図である。
図3】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図5】開示の技術の第2実施形態に係るイソシアネート製造システムの概略構成を示す図である。
図6】イソシアネート製造設備の構成例を示す図である。
図7】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0051】
(第1実施形態)
〔イソシアネート製造システム〕
図1は、本実施形態に係るイソシアネート製造システムの概略構成を示す図である。
【0052】
図1に示したイソシアネート製造システム1は、制御装置10と、イソシアネート製造設備100と、で構成される。制御装置10は、イソシアネート製造設備100を制御する装置である。イソシアネート製造設備100は、イソシアネートを製造するための複数の設備及び装置で構成される。
【0053】
本実施形態に係るイソシアネート製造システムによって製造するイソシアネート化合物は、好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含み、更に好ましくは、トリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種を含み、更に好ましくは、トリレンジイソシアネートを含む。
【0054】
以下、本実施形態に係るイソシアネート製造システムについて、代表的なイソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを製造する場合を中心に説明する。
【0055】
トリレンジイソシアネートの製造過程においてはエネルギーが必要になるが、エネルギーの生成過程で二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスとして知られており、二酸化炭素の排出量を削減することで環境への負荷を抑えたトリレンジイソシアネートの製造が求められる。そこで、本実施形態に係る制御装置10は、トリレンジイソシアネートの製造過程において二酸化炭素の排出量の削減に寄与するイソシアネート製造設備100において、環境への負荷を抑えたトリレンジイソシアネートの製造を可能とする。環境負荷値とは、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットであってもよい。また、環境負荷値とは、ライフサイクルアセスメントによってイソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値であってもよい。また、環境負荷値とは、グリーン係数であってもよく、トリレンジイソシアネートのバイオマスプラスチック度又はバイオマス度であってもよい。
【0056】
図2は、イソシアネート製造設備100の構成例を示す図である。
【0057】
イソシアネート製造設備100は、太陽光発電装置110A、商用電源110B、又はボイラー群130からの電力を受けて動作する電気分解装置120、ボイラー群130、ポリアミン製造装置140、メタノール分解装置150、一酸化炭素生成装置160、ホスゲン製造装置170、イソシアネート製造装置180を含んで構成される。
【0058】
電気分解装置120は、塩化ナトリウム(NaCl)を電気分解して、塩素(Cl)と水素(H)とを製造する装置である。電気分解装置120は、上述したように太陽光発電装置110A、商用電源110B又はボイラー群130からの電力を受けて動作する。
【0059】
ボイラー群130は、環境負荷値が異なる複数のボイラーで構成される。環境負荷値が異なるとは、使用する燃料の違いにより、自然環境に与える影響の度合いが異なることをいう。図2では、ボイラー群130として、石炭ボイラー131、重油ボイラー132、RPFボイラー133、バイオマスボイラー134を示している。それぞれのボイラーは、本開示の第1製造装置の一例である。石炭ボイラー131は、石炭を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。重油ボイラー132は、重油、軽油、燃料油等の少なくとも1つを燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。RPFボイラー133は、RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel、主に産業廃棄物のうち、リサイクルが困難な古紙及びプラスチック類を原料とした固形燃料)を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。バイオマスボイラー134は、バイオマス燃料を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。それぞれのボイラーは、エネルギーとして電力又は蒸気を生成する。
【0060】
本実施形態では、環境負荷値が最も高いのが石炭ボイラー131、次に高いのが重油ボイラー132、その次がRPFボイラー133、最も低いのがバイオマスボイラー134である。
【0061】
ポリアミン製造装置140は、バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料からポリアミン化合物を製造する。ポリアミン製造装置140は、バイオマス原料を含まないポリアミン化合物原料からバイオマス原料を含まないポリアミン化合物を製造してもよい。つまり、ポリアミン製造装置140は、化石燃料である石油からポリアミン化合物原料を製造し、続いてポリアミン化合物を製造してもよい。ポリアミン製造装置140は、本開示の第4製造装置の一例である。
【0062】
バイオマス原料としては特に限定はされないが、例えば、バイオマストルエン、バイオマスベンゼン、バイオマスキシレン、バイオマスナフタレン、及びバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含むバイオマス原料が用いられる。
【0063】
バイオマス原料としては、バイオマスナフサから製造されるバイオマス原料(以下、バイオマスナフサ原料に由来するバイオマス原料」ともいう)が好ましい。
バイオマスナフサから製造されるバイオマス原料は、バイオマスナフサから製造されるバイオマストルエン、バイオマスナフサから製造されるバイオマスベンゼン、バイオマスナフサから製造されるバイオマスキシレン、バイオマスナフサから製造されるバイオマスナフタレン、及びバイオマスナフサから製造されるバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0064】
バイオマス原料を含むポリアミン化合物原料から製造されるポリアミン化合物は、例えば、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ナフタレンジアミン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及び2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0065】
メタノール分解装置150は、メタノールの分解及び/又は改質を行って、メタノールから一酸化炭素及び水素を生成する装置である。メタノール分解装置150は、本開示の第2製造装置の一例である。
メタノール分解装置150が分解するメタノールは、例えば、一酸化炭素及び水素から生成するメタノールであるカーボンリサイクルメタノール、及び/又は、バイオマス原料から製造されるメタノールであるバイオマスメタノールを含む。メタノール分解装置150が分解するメタノールは、カーボンリサイクルメタノール又はバイオマスメタノールの他に、石油や天然ガス由来のメタノールを含んでもよい。また、メタノール分解装置150が分解するメタノールは、上記で例示した各種メタノールの少なくとも1種でもよく、複数の各種メタノールを混合したものでもあってもよい。
メタノール分解装置150が生成した一酸化炭素は、ホスゲン製造装置170におけるホスゲンの製造に用いられる。
【0066】
一酸化炭素生成装置160は、オイル、酸素、蒸気を高温反応させて、一酸化炭素及び水素を生成する装置である。一酸化炭素生成装置160は、本開示の第3製造装置の一例である。
一酸化炭素生成装置160で用いられるオイルは、例えば、リサイクルオイル、及び/又は、バイオマスマス原料から製造されるオイルであるバイオマスオイルを含む。
一酸化炭素生成装置160で用いられるオイルとして、リサイクルオイル及びバイオマスオイルの他に、原油、重油、軽油、燃料油の少なくとも一つであってもよい。
一酸化炭素生成装置160で用いられるオイルは、上記で例示した複数の各種オイルを混合したものでもあってもよい。
リサイクルオイルとしては、廃食用油、廃エンジンオイル、廃潤滑油、廃グリセリン、再生重油、再生バイオディーゼル油、廃プラスチックの熱分解油及び廃ゴム由来の熱分解油などがある。電気分解装置120、メタノール分解装置150及び一酸化炭素生成装置160で生成された水素は、他のプラント、又はポリアミン製造装置140において利用される。
【0067】
ホスゲン製造装置170は、メタノール分解/改質装置150及び/または一酸化炭素生成装置160が生成した一酸化炭素と、電気分解装置120が生成した塩素と、を用いてホスゲン(COCl)を製造する装置である。ホスゲン製造装置170は、本開示の第5製造装置の一例である。
【0068】
イソシアネート製造装置180は、ホスゲン製造装置170が製造したホスゲンを用いてトリレンジイソシアネートを製造する。トリレンジイソシアネートはトリレンジアミンとホスゲンを反応させることにより生成される。イソシアネート製造装置180は、本開示の第6製造装置の一例である。ホスゲン製造装置170で使用される一酸化炭素又は塩素、及びイソシアネート製造装置180で使用されるポリアミン化合物のうち少なくとも1つは、ボイラー群130の各ボイラー、電気分解装置120、ポリアミン製造装置140、メタノール分解装置150、一酸化炭素生成装置160、塩素製造装置190からなる群から選択される少なくとも1つの装置で製造されたものである。
【0069】
イソシアネート製造設備100は、塩素製造装置190を含んでもよい。塩素製造装置190は、イソシアネート製造装置180によるトリレンジイソシアネートの製造過程で生成される塩化水素(HCl)を酸化して塩素を製造する装置である。塩素製造装置190が製造する塩素は、ホスゲン製造装置170におけるホスゲンの製造に用いられてもよい。
【0070】
また、太陽光発電装置110Aの他に、又は太陽光発電装置110Aに替えて、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電装置が用いられてもよい。
【0071】
図3は、制御装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0072】
図3に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0073】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、イソシアネート製造設備100を制御する制御プログラムが格納されている。
【0074】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0075】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0076】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0077】
通信インタフェース17は、イソシアネート製造設備100等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0078】
上記の制御プログラムを実行する際に、制御装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。制御装置10が実現する機能構成について説明する。
【0079】
図4は、制御装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0080】
図4に示すように、制御装置10は、機能構成として、選択部201、目標値算出部202および通知部203を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された制御プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0081】
選択部201は、ボイラー群130の各ボイラーで製造された二酸化炭素及び電気分解装置120が用いるエネルギーに由来する、イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、ボイラー群130の各ボイラーを選択する。また、選択部201は、ポリアミン製造装置140がポリアミン化合物を製造する際に用いるバイオマス原料に由来する化合物を選択する。また、選択部201は、メタノール分解装置150が分解するメタノールの中のバイオマスメタノールの比率を決定する。また、選択部201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、一酸化炭素生成装置160が使用するオイルの中のリサイクルオイル又はバイオマスオイルの比率を決定する。さらに、選択部201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、太陽光発電装置110A又は商用電源110Bの使用比率を決定してもよい。
【0082】
選択部201は、定められたイソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するようボイラー群130の各ボイラー、ポリアミン製造装置140がポリアミン化合物を製造する際に用いるバイオマス原料に由来する化合物、メタノール分解装置150が分解するメタノールの中のバイオマスメタノールの比率、及び一酸化炭素生成装置160が使用するオイルの中のリサイクルオイル又はバイオマスオイルの比率を選択してもよい。
【0083】
目標値算出部202は、上記目標値に関するパラメータに基づいて、上記目標値を算出する。例えば、目標値算出部202は、パラメータとして製造するイソシアネート化合物の目標製造量の情報を用いてもよい。イソシアネート化合物の目標製造量が多ければ、目標値算出部202は、環境負荷値の目標値を上げる方向に算出してもよい。また例えば、目標値算出部202は、パラメータとして製造するホスゲンの目標製造量に関する情報を用いてもよい。ホスゲンの目標製造量が多ければ、目標値算出部202は、環境負荷値の目標値を上げる方向に算出してもよい。
【0084】
通知部203は、上記目標値を満たすための運転条件を、イソシアネート製造設備100の各装置に通知する。イソシアネート製造設備100の各装置は、通知部203から通知された運転条件に基づいて運転することで、製造するイソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成することが可能となる。
【0085】
制御装置10は、図4に示した機能構成を有することで、エネルギーの生成過程で生じる二酸化炭素を有効活用し、環境への負荷を抑えたイソシアネート製造設備100を制御することができる。
【0086】
上述した本実施形態に係るイソシアネート製造システムは、イソシアネート化合物の製造に特に制限無く用いられる。好ましいイソシアネート化合物の例については前述のとおりである。
【0087】
また、上述した本実施形態に係るイソシアネート製造システムは、以下に示す本実施形態に係るイソシアネート組成物の製造にも好適に用いられる。
【0088】
〔イソシアネート組成物〕
本実施形態に係るイソシアネート組成物は、以下の第1態様又は第2態様のイソシアネート組成物である。
【0089】
<第1態様のイソシアネート組成物>
第1態様のイソシアネート組成物は、バイオマス原料に由来するイソシアネート化合物を含む。
【0090】
第1態様のイソシアネート組成物は、後述する第2態様のイソシアネート組成物の特徴及び/又は好ましい特徴を備えていてもよい。
【0091】
第1態様のイソシアネート組成物において、バイオマス原料は、バイオマストルエン、バイオマスベンゼン、バイオマスキシレン、バイオマスナフタレン、及びバイオマスジシクロペンタジエンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0092】
第1態様のイソシアネート組成物において、バイオマス原料は、バイオマスナフサ原料に由来するバイオマス原料であることが好ましい。また第1態様のイソシアネート組成物において、バイオマス原料は、一酸化炭素であってもよい。この場合、一酸化炭素は、上記カーボンリサイクルメタノール又は上記バイオマスメタノールを分解して得られた一酸化炭素であってもよい。当該一酸化炭素と前記塩素を用いてバイオマス原料由来のホスゲン(COCl)が製造され、バイオマス原料由来ではないポリアミン化合物と反応させることにより、バイオマス原料に由来するイソシアネート化合物が製造されてもよい。
【0093】
第1態様のイソシアネート組成物において、バイオマス原料に由来するイソシアネート化合物は、バイオマス原料に由来するトリレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するジフェニルメタンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するキシリレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来するビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、バイオマス原料に由来するナフタレンジイソシアネート、バイオマス原料に由来する2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、及びバイオマス原料に由来する2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0094】
<第2態様のイソシアネート組成物>
第2態様のイソシアネート組成物は、バイオマス度が0.1%以上であるイソシアネート化合物を含む。
第2態様のイソシアネート組成物に含まれるイソシアネート化合物のバイオマス度は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上である。
【0095】
第2態様のイソシアネート組成物は、前述の第1態様のイソシアネート組成物の特徴及び/又は好ましい特徴を備えていてもよい。
【0096】
本開示において、バイオマス度は炭素基準の算定方法で求められ、以下の式に基づいて算出される値である。
バイオマス度(%)={(植物由来炭素数)/(植物由来炭素数+石油由来炭素数)}×100
例えば、トリレンジアミンからホスゲンを用いてトリレンジイソシアネートを合成した場合、トリレンジイソシアネートのバイオマス度は、以下の式に基づいて算出することができる。
【0097】
トリレンジイソシアネートのバイオマス度(%)={[(トリレンジアミンの炭素数×トリレンジアミンのバイオマス度)+(ホスゲンの炭素数×ホスゲンのバイオマス度)]/(トリレンジアミンの炭素数+ホスゲンの炭素数)}×100
【0098】
本開示において、バイオマス度(%)は、ASTM(米国標準検査法) D6866(Standard Test Method for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis)の試験方法に準拠し、測定サンプルを燃焼させて生成するCOから加速器質量分析(AMS)により放射性炭素(14C)含有量の基準値差を測定して算出できる。
【0099】
第2態様のイソシアネート組成物おけるイソシアネート化合物において、14C(放射性炭素)の含有量は、1×10-13%以上であることが好ましく、5×10-13%以上であることがより好ましく、1×10-12%以上であることが更に好ましい。14C(放射性炭素)の含有量は、通常、1×10-10%以下である。
【0100】
ここで、14Cの含有量(%)は、イソシアネート化合物に含まれる全て炭素原子(即ち、12C及び14C)の個数を100%とした場合の14Cの割合(個数%)、即ち、下記式で表される値を意味する。
14C含有量(%)=14Cの個数/(14Cの数+12Cの個数)×100
【0101】
14Cの含有量(%)については、Netsu Sokutei 39(4),143-150(2012)(以下、文献Aとする)を参照することができる。
文献Aに記載されているように、イソシアネート化合物における全てのCが植物由来である場合、14C含有量(%)は1×10-10(%)となる。
一方、イソシアネート化合物における全てのCが、石油や石炭など化石燃料由来のCである場合、14Cの個数が0であるので、14C含有量(%)は0%となる。
以上のことより、ASTM B6866の試験方法にて、イソシアネート化合物中の14Cの個数を求めることで、イソシアネート化合物における14C含有量(%)を求めることができる。
【0102】
14Cの含有量(%)が上記の好ましい範囲であるイソシアネート化合物は、前述の本実施形態に係るイソシアネート製造システムによって製造され得る。
なお、市販のイソシアネート化合物(即ち、バイオマス原料に由来しないイソシアネート化合物)における14Cの含有量(%)は、実質的に0%(最大でも1×10-13%未満である(例えば、ウレタン総合サイト「PU Portal」(https://pu-portal.com/blog/1294/)参照)。
【0103】
第2態様のイソシアネート組成物おけるイソシアネート化合物は、RPFボイラーから発生するCO、バイオマスボイラーから発生するCO、バイオマスメタノール、カーボンリサイクルメタノール、バイオマスオイル、リサイクルオイル、及びバイオマスナフサからなる群から選択される少なくとも2種の化合物に由来する14Cを含むことが好ましい。
ここで、RPFボイラーにおける「RPF」とは、JIS Z7311:2010に規定される、「廃棄物由来の紙、プラスチックなど固形化燃料」(Refuse derived paper and plastics densified fuel)を意味する。
【0104】
〔重合性組成物〕
本実施形態に係る重合性組成物は、上述した本実施形態に係るイソシアネート組成物、及び、上記イソシアネート組成物が変性されたイソシアネート変性体組成物の少なくとも一方を含む。
【0105】
上記イソシアネート変性体組成物は、上述した本実施形態に係るイソシアネート組成物を変性することにより製造される組成物である。
上記イソシアネート変性体組成物は、下記(a)~(i)の官能基を少なくとも1種含有する。
(a)イソシアヌレート基、
(b)アロファネート基、
(c)ビウレット基、
(d)ウレタン基、
(e)ウレア基、
(f)カルボジイミド基、
(g)イミノオキサジアジンジオン基
(h)ウレトジオン基、
(i)ウレトンイミン基。
【0106】
イソシアネート変性体組成物は、上記(a)~(i)の官能基を少なくとも1種含有していればよく、2種以上含有することもできる。
イソシアネート変性体組成物は、単独使用または2種以上併用することができる。
イソシアネート変性体組成物は、上述した本実施形態に係るイソシアネート組成物(即ち、変性前の組成物)と併用されてもよい。
【0107】
本実施形態に係る重合性組成物は、更に、活性水素化合物を含むことが好ましい。
活性水素化合物としては、例えば、
ポリオール(即ち、2つ以上の水酸基を有する化合物)、
ポリチオール(即ち、2つ以上のメルカプト基(即ち、チオール基)を有する化合物)、
ポリアミン(即ち、2つ以上のアミノを有する化合物)、
等が挙げられる。
本実施形態に係る重合性組成物は、活性水素化合物を、1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
【0108】
活性水素化合物は、バイオマス原料由来の活性水素化合物であってもよいし、バイオマス原料由来ではない活性水素化合物であってもよい。
また、活性水素化合物は、バイオマス原料由来の活性水素化合物及びバイオマス原料由来でない活性水素化合物のいずれか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
また、活性水素化合物は、公知のモノオール、公知のモノチオール、公知のモノアミン等を含んでいてもよい。
【0109】
〔樹脂、成形体〕
本実施形態に係る樹脂は、上述した本実施形態に係る重合性組成物の硬化物である。
本実施形態に係る樹脂は、本実施形態に係る重合性組成物を硬化させることによって得られる。
本実施形態に係る成形体は、上述した本実施形態に係る樹脂を含む。
【0110】
本実施形態に係る樹脂は、好ましくは、
上述した本実施形態に係るイソシアネート組成物及び上述したイソシアネート変性体組成物の少なくとも一方と、
上述した活性水素化合物と、
の反応生成物である。
【0111】
本実施形態に係る樹脂(又は成形体)は、ポリ(チオ)ウレタン樹脂が用いられる全ての用途に利用できる。
ここで、ポリ(チオ)ウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂又はポリチオウレタン樹脂を意味する。
【0112】
本実施形態に係る樹脂(又は成形体)の用途としては、例えば、インキ、転写箔、粘着剤、バインダー、ゲル、エラストマー、フォーム、一液硬化型シーリング材、RIM成形品、微発泡ポリウレタン、各種マイクロカプセル、光学材料、水性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー硬化性樹脂、人工又は合成皮革、スラッシュパウダー、ロボット部材、モビリティー部材、ヘルスケア材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の基材樹脂、透明性ゴム、透明性硬質、防水材、フィルム、シート、チューブ、ブレード、スピーカー、センサー類、有機EL部材、太陽光発電部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、シャンデリア、外灯、パッキン、防振・制震・免震部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車の内外装部品、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、自己修復材料、健康器具、等が挙げられる。
【0113】
本実施形態に係る樹脂(又は成形体)の用途については、例えば、国際公開第2018/190290号の段落0277~0373の記載を適宜参照してもよい。
【0114】
以下、本実施形態に係る樹脂(又は成形体)の用途の一例である、光学材料、フォーム、及びエラストマーのそれぞれについて詳述する。
【0115】
<光学材料>
光学材料としては、例えば;
透明レンズ、サングラスレンズ、偏光レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズなどの光学レンズ;
車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機EL、LEDなどの光学部品;
看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、防護メガネ、フード、防御用盾、自動車保安部品、照明部品、スマートフォン、タブレット等の光学製品;
等が挙げられる。
【0116】
光学材料の中でも、光学レンズが好ましい。
光学材料(好ましくは光学レンズ)は、好ましくは、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としてのポリチオールと、の反応生成物を含む。
光学材料(好ましくは光学レンズ)の製造に用いられる上記ポリチオールは、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
光学材料(好ましくは光学レンズ)の製造に用いられるポリチオールは、バイオマス原料由来のポリチオール及びバイオマス原料由来でないポリチオールのいずれか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
【0117】
ポリチオールとしては、例えば、メルカプト基中の硫黄原子以外の硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオールが挙げられる。
このような脂肪族ポリチオールとして、例えば、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、および、これらの混合物が挙げられる。
【0118】
光学材料の製造方法として、例えば、ワンショット法が挙げられる。
【0119】
光学材料は、前述のとおり、好ましくは、本実施形態に係るポリイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としてのポリチオール化合物と、を原料として製造される。
光学材料の製造過程では、上記原料以外のその他の成分が配合されてもよい。
その他の成分としては、例えば、ウレタン化触媒、内部離型剤(例えば、リン酸エステル系離型剤、アルキルリン酸塩系離型剤、脂肪酸エステル系離型剤など)、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール化合物、フォルムアミジン系化合物など)、ブルーイング剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、等が挙げられる。
【0120】
<フォーム>
フォームとしては、例えば、軟質フォーム、硬質フォームなどが挙げられる。
軟質フォームの硬度(25%CLD)は、例えば、40.6N/100cm未満であり、硬質フォームの硬度(25%CLD)は、例えば、40.6N/100cm以上である。
【0121】
フォームは、好ましくは、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としての高分子量ポリオールと、発泡剤と、の反応生成物を含む。上記高分子量ポリオール化合物及び上記発泡剤は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0122】
高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0123】
光学材料(好ましくは光学レンズ)の製造に用いられる高分子量ポリオールは、バイオマス原料由来の高分子量ポリオール及びバイオマス原料由来でない高分子量ポリオールのいずれか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
【0124】
発泡剤として、例えば、化学発泡剤(例えば、水)及び物理発泡剤(例えば、メチレンクロライド類、クロロフルオロカーボン類、ヒドロキシクロロフルオロカーボン類、炭酸ガス、有機発泡剤、無機発泡剤など)が挙げられる。
【0125】
フォームは、例えば、公知の発泡方法により製造できる。
【0126】
具体的には、イソシアネート組成物及びイソシアネート変性体組成物以外の成分(例えば、高分子量ポリオール及び発泡剤)を、予め配合して、レジンプレミックスを調製する。次いで、イソシアネート組成物及び/又はイソシアネート変性体組成物と、レジンプレミックスと、を配合して、発泡成形してフォームを製造する。
【0127】
発泡成形には、例えば、スラブ発泡成形法やモールド発泡成形法などの公知の方法が用いられる。また、メカニカルフロス発泡成形法により発泡することもできる。
【0128】
フォームは、前述のとおり、好ましくは、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としての高分子量ポリオールと、発泡剤と、を原料として製造される。
フォームの製造過程では、上記原料以外のその他の成分が配合されてもよい。
その他の成分としては、例えば、ウレタン化触媒、架橋剤、整泡剤、耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐光安定剤、多機能安定剤、等が挙げられる。
【0129】
<エラストマー>
エラストマーとして、例えば、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)などが挙げられる。
エラストマーは、例えば、コーティング剤又は接着剤中の成分として用いられ得る。
【0130】
エラストマーは、例えば、ソフトセグメントとハードセグメントとを含む。
ソフトセグメントは、例えば、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としての高分子量ポリオールと、の反応生成物を含む。
ハードセグメントは、例えば、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としての低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンと、の反応生成物を含む。
【0131】
高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトンポリオール、アジペート系ポリエステルポリオール(多塩基酸としてアジピン酸が用いられるポリエステルポリオール))、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)が挙げられ、好ましくは、アジペート系ポリエステルポリオールである。
低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、1,4-ブチレングリコールなどが挙げられ、好ましくは、1,4-ブチレングリコールが挙げられる。
【0132】
エラストマーは、例えば、ワンショット法またはプレポリマー法などの公知の方法により製造できる。
【0133】
ワンショット法では、例えば、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、高分子量ポリオールと、低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンと、を一度に反応させて、エラストマーを製造する。
【0134】
プレポリマー法では、例えば、まず、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と高分子量ポリオールとを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端プレポリマーを合成する。次いで、得られたイソシアネート基末端プレポリマーと、低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンと、を反応させて、エラストマーを製造する。
【0135】
なお、エラストマーの製造方法として、例えば、バルク重合法や溶液重合法などを適用することができる。
【0136】
エラストマーは、前述のとおり、好ましくは、本実施形態に係るイソシアネート組成物及び/又は上記イソシアネート変性体組成物と、活性水素化合物としての高分子量ポリオールと、活性水素化合物としての低分子量ポリオール及び/又は低分子量ポリアミンと、を原料として製造される。
エラストマーの製造過程では、上記原料以外のその他の成分が配合されてもよい。
その他の成分としては、例えば、ウレタン化触媒、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、NOx黄変防止剤、酸化防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、造核剤、フィラー、加水分解防止剤、等が挙げられる。
【0137】
(第2実施形態)
図5は、本実施形態に係るイソシアネート製造システムの概略構成を示す図である。
【0138】
図5に示したイソシアネート製造システム1001は、制御装置1010と、イソシアネート製造設備1100と、で構成される。制御装置1010は、イソシアネート製造設備1100を制御する装置である。イソシアネート製造設備1100は、イソシアネートを製造するための複数の設備及び装置で構成される。製造するイソシアネート化合物としては、好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンであり、より好ましくは、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートである。本実施形態では、代表的なイソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートを製造するイソシアネート製造設備1100を示す。
【0139】
トリレンジイソシアネートの製造過程においてはエネルギーが必要になるが、エネルギーの生成過程で二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスとして知られており、二酸化炭素を有効活用することで環境への負荷を抑えたトリレンジイソシアネートの製造が求められる。そこで、本実施形態に係る制御装置1010は、トリレンジイソシアネートの製造過程において、環境負荷値の異なる複数のボイラーから生じる二酸化炭素を有効に活用することで、イソシアネート製造設備1100において、環境への負荷を抑えたトリレンジイソシアネートの製造を可能とする。環境負荷値とは、二酸化炭素の削減量に応じて認証される二酸化炭素削減クレジットであってもよい。また、環境負荷値とは、ライフサイクルアセスメントによってイソシアネート化合物の製造による二酸化炭素の排出量を評価した評価値であってもよい。また、環境負荷値とは、グリーン係数であってもよく、トリレンジイソシアネートのバイオマスプラスチック度であってもよい。
【0140】
図6は、イソシアネート製造設備1100の構成例を示す図である。
【0141】
イソシアネート製造設備1100は、太陽光発電装置1110A、商用電源1110B、又はボイラー群1130からの電力を受けて動作する電気分解装置1120、ボイラー群1130、メタノール生成装置1140、メタノール分解装置1150、一酸化炭素生成装置1160、ホスゲン製造装置1170、イソシアネート製造装置1180を含んで構成される。
【0142】
電気分解装置1120は、塩化ナトリウム(NaCl)を電気分解して、塩素(Cl)と水素(H)とを製造する装置である。電気分解装置1120は、本開示の第12製造装置の一例である。電気分解装置120は、上述したように太陽光発電装置1110A、商用電源1110B又はボイラー群1130からの電力を受けて動作する。
【0143】
ボイラー群1130は、環境負荷値が異なる複数のボイラーで構成される。環境負荷値が異なるとは、使用する燃料の違いにより、自然環境に与える影響の度合いが異なることをいう。図6では、ボイラー群1130として、石炭ボイラー1131、重油ボイラー1132、RPFボイラー1133、バイオマスボイラー1134を示している。それぞれのボイラーは、本開示の第11製造装置の一例である。石炭ボイラー1131は、石炭を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。重油ボイラー1132は、重油、軽油、燃料油等の少なくとも1つを燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。RPFボイラー1133は、RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel、主に産業廃棄物のうち、リサイクルが困難な古紙及びプラスチック類を原料とした固形燃料)を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。バイオマスボイラー1134は、バイオマス燃料を燃焼させてエネルギーを生成するボイラーである。
【0144】
本実施形態では、環境負荷値が最も高いのが石炭ボイラー1131、次に高いのが重油ボイラー1132、その次がRPFボイラー1133、最も低いのがバイオマスボイラー1134である。
【0145】
メタノール生成装置1140は、水素及び二酸化炭素からメタノール(CHOH)を生成する装置である。メタノール生成装置1140は、本開示の第13製造装置の一例である。メタノール生成装置1140は、電気分解装置1120が製造した水素と、ボイラー群1130の各ボイラーから排出された二酸化炭素と、を使用してメタノールを生成する。メタノール生成装置140は、触媒を用いた化学的固定化プロセスによって水素及び二酸化炭素からメタノールを製造する。例えば、メタノール生成装置1140は、国際公開第2011/136345号、国際公開第2012/067222号等で開示されている技術を用いてメタノールを製造する。メタノール生成装置1140は、電気分解装置1120が製造した水素に加え、メタノール分解装置1150が生成した水素を使用してメタノールを生成してもよい。
【0146】
メタノール分解装置1150は、メタノール生成装置1140が生成したメタノールの分解及び、又は改質を行って、メタノールから一酸化炭素及び水素を生成する装置である。メタノール分解装置1150は、本開示の第14製造装置の一例である。メタノール分解装置150が生成した一酸化炭素は、ホスゲン製造装置1170におけるホスゲンの製造に用いられる。また、メタノール分解装置1150が生成した水素は、メタノール生成装置1140におけるメタノールの生成に用いられてもよい。
【0147】
一酸化炭素生成装置1160は、オイル、酸素、蒸気を高温反応させて、一酸化炭素及び水素を生成する装置である。ここで用いられるオイルとしては、原油、重油、軽油、燃料油、リサイクルオイルの少なくとも一つであってもよく、又は複数を混合したものであってもよい。リサイクルオイルとしては、廃食用油、廃エンジンオイル、廃潤滑油、廃グリセリン、再生重油、再生バイオディーゼル油、廃プラスチックの熱分解油及び廃ゴム由来の熱分解油などがある。一酸化炭素生成装置1160は、本開示の第17製造装置の一例である。また、一酸化炭素生成装置1160が生成した水素は、メタノール生成装置1140におけるメタノールの生成に用いられてもよい。
【0148】
ホスゲン製造装置1170は、メタノール分解/改質装置1150及び/又は一酸化炭素生成装置1160が生成した一酸化炭素と、電気分解装置1120が生成した塩素と、を用いてホスゲン(COCl)を製造する装置である。ホスゲン製造装置1170は、本開示の第15製造装置の一例である。
【0149】
イソシアネート製造装置1180は、ホスゲン製造装置1170が製造したホスゲンを用いてトリレンジイソシアネートを製造する。イソシアネート製造装置1180は、本開示の第16製造装置の一例である。トリレンジイソシアネートはトリレンジアミンとホスゲンを反応させることにより生成される。
【0150】
イソシアネート製造設備1100は、塩素製造装置1190を含んでもよい。塩素製造装置1190は、イソシアネート製造装置1180によるトリレンジイソシアネートの製造過程で生成される塩化水素(HCl)を酸化して塩素を製造する装置である。塩素製造装置1190が製造する塩素は、ホスゲン製造装置1170におけるホスゲンの製造に用いられてもよい。
【0151】
また、太陽光発電装置1110Aの他に、又は太陽光発電装置1110Aに替えて、太陽光以外の再生可能エネルギーによる発電装置が用いられてもよい。
【0152】
図7は、制御装置1010のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0153】
図7に示すように、制御装置1010は、CPU(Central Processing Unit)1011、ROM(Read Only Memory)1012、RAM(Random Access Memory)1013、ストレージ1014、入力部1015、表示部1016及び通信インタフェース(I/F)1017を有する。各構成は、バス1019を介して相互に通信可能に接続されている。
【0154】
CPU1011は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU1011は、ROM1012またはストレージ1014からプログラムを読み出し、RAM1013を作業領域としてプログラムを実行する。CPU1011は、ROM1012またはストレージ1014に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM1012またはストレージ1014には、イソシアネート製造設備1100を制御する制御プログラムが格納されている。
【0155】
ROM1012は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM1013は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ1014は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0156】
入力部1015は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0157】
表示部1016は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部1016は、タッチパネル方式を採用して、入力部1015として機能しても良い。
【0158】
通信インタフェース1017は、イソシアネート製造設備1100等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0159】
上記の制御プログラムを実行する際に、制御装置1010は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。制御装置1010が実現する機能構成について説明する。
【0160】
図8は、制御装置1010の機能構成の例を示すブロック図である。
【0161】
図8に示すように、制御装置1010は、機能構成として、選択部1201、目標値算出部1202および通知部1203を有する。各機能構成は、CPU1011がROM1012またはストレージ1014に記憶された制御プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0162】
選択部1201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、太陽光発電装置1110A又は商用電源1110Bの使用比率を決定する。また、選択部1201は、ボイラー群1130の各ボイラーで製造された二酸化炭素及び電気分解装置1120が用いるエネルギーに由来する、イソシアネート化合物の環境負荷値が所定の値以下となるよう、ボイラー群1130の各ボイラーを選択する。
【0163】
選択部1201は、環境負荷値が所定の値以下となるようボイラー群1130の各ボイラーの使用比率を決定することで、ボイラー群1130の各ボイラーを選択してもよい。例えば、石炭ボイラー1131の環境負荷値をA、重油ボイラー1132の環境負荷値をB、RPFボイラー1133の環境負荷値をC、バイオマスボイラー1134の環境負荷値をDとする。選択部1201は、それぞれの環境負荷値の合計が所定の値以下となるようボイラー群1130の各ボイラーの使用比率を決定することで、ボイラー群1130の各ボイラーを選択してもよい。また、選択部1201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、一酸化炭素製造装置1160が使用するオイルの中のリサイクルオイルの比率を決定してもよい。
【0164】
また、選択部1201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、再生可能エネルギーを利用して製造されたエネルギーの、電気分解装置1120での使用比率を決定してもよい。即ち、選択部1201は、環境負荷値が所定の値以下となるよう、電気分解装置1120における太陽光発電装置1110A又は商用電源1110Bの使用比率を決定してもよい。
【0165】
また、選択部1201は、気象に関する情報を用いて太陽光発電装置1110A又は商用電源1110Bの使用比率を決定することで、太陽光発電装置1110A又は商用電源110Bを選択してもよい。例えば、晴天の日が続くことで太陽光発電装置1110Aによる発電量が安定することが見込まれる場合は、選択部1201は、環境負荷値を下げるために太陽光発電装置1110Aの使用比率を上げてもよい。そして選択部1201は、環境負荷値を下げるために太陽光発電装置1110Aの使用比率を上げた場合は、石炭ボイラー1131に由来するエネルギー及び二酸化炭素を多く使用するため、石炭ボイラー1131の使用比率を上げてもよい。
【0166】
選択部1201は、定められたイソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成するようボイラー群1130の各ボイラー、一酸化炭素製造装置1160が使用するリサイクルオイルの比率、又は太陽光発電装置1110Aもしくは商用電源1110Bを選択してもよい。
【0167】
目標値算出部1202は、上記目標値に関するパラメータに基づいて、上記目標値を算出する。例えば、目標値算出部1202は、パラメータとして気象に関する情報を用いてもよい。気象に関する情報として、将来の所定の期間における天気予報が用いられてもよい。所定の期間において晴れの日が所定の比率以上であれば、目標値算出部1202は環境負荷値の目標値を下げる方向に算出してもよい。また例えば、目標値算出部1202は、パラメータとして製造するイソシアネート化合物の目標製造量の情報を用いてもよい。イソシアネート化合物の目標製造量が多ければ、目標値算出部1202は、環境負荷値の目標値を上げる方向に算出してもよい。また例えば、目標値算出部1202は、パラメータとして製造するホスゲンの目標製造量に関する情報を用いてもよい。ホスゲンの目標製造量が多ければ、目標値算出部1202は、環境負荷値の目標値を上げる方向に算出してもよい。
【0168】
通知部1203は、上記目標値を満たすための運転条件を、イソシアネート製造設備1100の各装置に通知する。イソシアネート製造設備1100の各装置は、通知部1203から通知された運転条件に基づいて運転することで、製造するイソシアネート化合物の環境負荷値の目標値を達成することが可能となる。
【0169】
制御装置1010は、図8に示した機能構成を有することで、エネルギーの生成過程で生じる二酸化炭素を有効活用し、環境への負荷を抑えたイソシアネート製造設備1100を制御することができる。
【0170】
なお、上記各実施形態でCPUが実行する制御プログラムを、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、制御プログラムを、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0171】
また、上記各実施形態では、制御プログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0172】
2021年8月19日に出願された日本国特許出願2021-134198号及び2022年3月18日に出願された日本国特許出願2022-043980号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8