(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-31
(45)【発行日】2023-08-08
(54)【発明の名称】熱処理装置及び熱処理方法
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20230801BHJP
C01B 32/205 20170101ALI20230801BHJP
【FI】
H05B6/10 371
C01B32/205
(21)【出願番号】P 2023520293
(86)(22)【出願日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2023010671
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2022051160
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198329
【氏名又は名称】株式会社IHI機械システム
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】金子 達人
(72)【発明者】
【氏名】松田 至康
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慎司
(72)【発明者】
【氏名】久保 祥記
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0079544(KR,A)
【文献】特開昭61-158808(JP,A)
【文献】中国実用新案第205408201(CN,U)
【文献】特表2005-521855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
C01B 32/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を含み、前記処理対象物を加熱する発熱体を少なくとも備えた被搬送体と、 前記被搬送体を搬送する搬送装置と、
前記被搬送体に対して進退自在に移動する加熱コイルを備え、前記被搬送体に磁界を作用させることで前記発熱体を発熱させる誘導加熱装置とを備え
、
前記被搬送体は、冷却ガスが流通する冷却管を備える熱処理装置。
【請求項2】
処理対象物を含み、前記処理対象物を加熱する発熱体を少なくとも備えた被搬送体と、前記被搬送体を搬送する搬送装置と、
前記被搬送体に対して進退自在に移動する加熱コイルを備え、前記被搬送体に磁界を作用させることで前記発熱体を発熱させる誘導加熱装置とを備え、
前記被搬送体は、前記発熱体の熱を前記処理対象物の内部に伝導させる伝熱板を備える熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱処理装置及び熱処理方法に関する。
本願は、2022年03月28日に、日本に出願された特願2022-051160号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炭素源である粉末を連続的に熱処理して黒鉛を得る黒鉛化炉及び黒鉛を製造する方法が開示されている。この黒鉛化炉及び黒鉛を製造する方法では、加熱用電極として機能する導電性物質からなる坩堝に導電性を有する粉末を収容してチャンバ内に投入し、チャンバ内において粉末に別途設けた電極を埋め込むとともに坩堝をチャンバの一端から他端に向けて搬送する。これにより、粉末を通電加熱して黒鉛を連続的に得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術では、黒鉛を連続的に得られるものの、装置のメンテナンス性に改善の余地が残されている。すなわち、炭素の粉末から黒鉛を得るためには、空気を遮断した状態で粉末を3000℃近い高温に加熱する必要があるので、坩堝や電極、坩堝の周囲に設けられる断熱材等、粉末とともに加熱される部材(被加熱部材)の劣化が進む。
【0005】
しかしながら、背景技術は被加熱部材のメンテナンス性を考慮したものではないので、被加熱部材をメンテナンスするためには装置の運転を停止させる必要がある。すなわち、背景技術にはメンテナンス性に改善の余地がある。
【0006】
本開示は、被加熱部材のメンテナンス性を従来よりも向上させることが可能な熱処理装置及び熱処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様の熱処理装置は、処理対象物を含み、当該処理対象物を加熱する発熱体を少なくとも備えた被搬送体と、前記被搬送体を搬送する搬送装置と、前記被搬送体に対して進退自在に移動する加熱コイルを備え、前記被搬送体に磁界を作用させることで前記発熱体を発熱させる誘導加熱装置とを備える、という手段を採用する。
【0008】
本開示の第2態様では、上記第1態様において、前記被搬送体は、前記発熱体周囲に設けられる断熱材をさらに備えていてもよい。
【0009】
本開示の第3態様では、上記第1または第2態様において、前記被搬送体は、冷却ガスが流通する冷却管さらに備えていてもよい。
【0010】
本開示の第4態様では、上記第1~第3態様のいずれかにおいて、前記被搬送体は、前記発熱体の熱を前記処理対象物の内部に伝導させる伝熱板を備えていてもよい。
【0011】
本開示の第5態様では、上記第1~第4態様のいずれかにおいて、前記被搬送体は、前記発熱体及び前記処理対象物を脱気雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気に予め保持するように構成されていてもよい。
【0012】
本開示の第6態様の熱処理方法は、処理対象物を熱処理する熱処理方法であって、前記処理対象物とともに加熱される被加熱部材を前記処理対象物とともに搬送する。
【0013】
本開示の第7態様では、上記第6態様において、熱処理の前工程において、前記処理対象物を脱気雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気に保持してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、被加熱部材のメンテナンス性を従来よりも向上させることが可能な熱処理装置及び熱処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る連続黒鉛化装置の全体構成を示す正面図である。
【
図2A】本開示の第1実施形態における被搬送体の構成を示す縦断面図である。
【
図2B】本開示の第1実施形態における被搬送体の構成を示す横断面図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る連続黒鉛化装置の全体構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、
図1、
図2A、及び
図2Bを参照して本開示の第1実施形態について説明する。第1実施形態に係る連続黒鉛化装置Aは、炭素からなる処理対象粉末Wを2500~3000℃程の高温に加熱することにより黒鉛(グラファイトあるいは石墨とも言う)を製造する黒鉛製造装置である。
【0017】
処理対象粉末Wは、不純物を含むとともに非晶質の粉末であり、2500~3000℃程の高温に加熱されることにより、不純物が除去されて結晶構造が六方晶の黒鉛となる。処理対象粉末Wは、第1実施形態における処理対象物である。
【0018】
連続黒鉛化装置Aは、処理対象粉末Wが充填された被搬送体Mを搬送しつつ加熱処理及び冷却処理を施す。連続黒鉛化装置Aは、
図1に示すように、搬送装置1、加熱チャンバ2、第1冷却チャンバ3、第2冷却チャンバ4、第1区画壁5、第2区画壁6、第3区画壁7、第4区画壁8、加熱コイル9、電源10、ガス置換装置11、第1冷却装置12及び第2冷却装置13を構成要素として備えている。
【0019】
ここで、加熱チャンバ2、第1区画壁5、第2区画壁6、加熱コイル9、電源10及びガス置換装置11は、図示するように加熱室R1を構成している。また、第1冷却チャンバ3、第2区画壁6、第3区画壁7及び第1冷却装置12は、第1冷却室R2を構成している。さらに、第2冷却チャンバ4、第3区画壁7、第4区画壁8及び第2冷却装置13は、第2冷却室R3を構成している。
【0020】
搬送装置1は、水平方向に直線状に延在するとともに所定間隔を空けて平行対峙する一対のレール1aを備える。搬送装置1は、一対のレール1a上に載置された被搬送体Mを延在方向に搬送する設備である。なお、搬送装置1については、被搬送体Mを水平方向に搬送可能なものであれば、他の構造を備えるものでも良く、例えば一対のレール1aを備えない構造のものであってもよい。
【0021】
加熱チャンバ2は、一対のレール1aの途中に設けられた略密閉状の収納容器である。加熱チャンバ2は、一対のレール1aが通過するとともにレール1aの延在方向において互いに対向する一対の開口(入口及び出口)を備えている。加熱チャンバ2は、一対のレール1aに沿って入口から搬入された被搬送体Mを略密閉状で収容する。加熱チャンバ2に収容された被搬送体Mは、搬送装置1によって出口から第1冷却チャンバ3に搬出される。
【0022】
第1冷却チャンバ3は、加熱チャンバ2に隣接して一対のレール1aの途中に設けられた略密閉状の収納容器である。第1冷却チャンバ3は、一対のレール1aが通過するとともにレール1aの延在方向において互いに対向する一対の開口(入口及び出口)を備えている。第1冷却チャンバ3は、一対のレール1aに沿って入口から搬入された被搬送体Mを略密閉状で収容する。第1冷却チャンバ3に収容された被搬送体Mは、搬送装置1によって出口から第2冷却チャンバ4に搬出される。
【0023】
第2冷却チャンバ4は、第1冷却チャンバ3に隣接して一対のレール1aの途中に設けられた略密閉状の収納容器である。第2冷却チャンバ4は、一対のレール1aが通過するとともにレール1aの延在方向において互いに対向する一対の開口(入口及び出口)を備えている。第2冷却チャンバ4は、一対のレール1aに沿って入口から搬入された被搬送体Mを略密閉状で収容する。第2冷却チャンバ4に収容された被搬送体Mは、搬送装置1によって出口から外部に搬出される。
【0024】
すなわち、第1実施形態における被搬送体Mは、一対のレール1aを備える搬送装置1によって、加熱チャンバ2→第1冷却チャンバ3→第2冷却チャンバ4の順で直線状に搬送される。
なお、一対のレール1aは、円形状であってもよい。すなわち、一対のレール1aは、径が異なる円形状の第1レール及び第2レールにより構成されていてもよい。第1レールと第2レールとは、同心状に配置される。被搬送体Mは、円形状の一対のレール1aに沿って、加熱チャンバ2→第1冷却チャンバ3→第2冷却チャンバ4の順で搬送され、その後、再び加熱チャンバ2に戻される。
【0025】
第1区画壁5は、加熱チャンバ2の入口側に設けられた壁体である。第1区画壁5は、加熱チャンバ2の入口を開閉する入口扉5aを備えている。入口扉5aは、被搬送体Mを加熱チャンバ2に収容させる際に開放され、被搬送体Mの収容が完了すると閉鎖される。
【0026】
第2区画壁6は、加熱チャンバ2と第1冷却チャンバ3との間に設けられた壁体である。第2区画壁6は、加熱チャンバ2の出口つまり第1冷却チャンバ3の入口を開閉する第1中間扉6aを備えている。第1中間扉6aは、被搬送体Mを加熱チャンバ2から第1冷却チャンバ3に移動させる際に開放され、被搬送体Mの第1冷却チャンバ3への移動が完了すると閉鎖される。
【0027】
第3区画壁7は、第1冷却チャンバ3と第2冷却チャンバ4との間に設けられた壁体である。第3区画壁7は、第1冷却チャンバ3の出口つまり第2冷却チャンバ4の入口を開閉する第2中間扉7aを備えている。第2中間扉7aは、被搬送体Mを第1冷却チャンバ3から第2冷却チャンバ4に移動させる際に開放され、被搬送体Mの第2冷却チャンバ4への移動が完了すると閉鎖される。
【0028】
第4区画壁8は、第2冷却チャンバ4の出口側に設けられた壁体である。第4区画壁8は、第2冷却チャンバ4の出口を開閉する出口扉8aを備えている。出口扉8aは、被搬送体Mを第2冷却チャンバ4から外部に排出する際に開放され、被搬送体Mの外部への搬出が完了すると閉鎖される。
【0029】
加熱コイル9は、加熱チャンバ2内に昇降自在に設けられた中空円筒状の誘導コイルである。加熱コイル9は、軸心が垂直方向となる姿勢かつ加熱チャンバ2の天井から吊るされた状態で設けられている。加熱コイル9は、付帯的に設けられた昇降装置が作動することによって上昇あるいは降下する。
【0030】
加熱コイル9は、内部に被搬送体Mを収容可能なように内径が被搬送体Mの外径を超える大きさに設定されている。加熱コイル9は、被搬送体Mを加熱チャンバ2に収容させる際に昇降装置が作動して待機位置(上昇位置)に位置設定され、被搬送体Mを加熱する際には昇降装置が作動して被搬送体Mを取り囲む稼働位置(降下位置)に位置設定される。
【0031】
すなわち、加熱コイル9は、被搬送体Mに対して進退自在に移動し、被搬送体Mに対して磁界を作用させる。加熱コイル9は、入口扉5aよりも上方の待機位置に設定されることにより、被搬送体Mの加熱チャンバ2への収容を可能とする。また、加熱コイル9は、被搬送体Mを取り囲む稼働位置に設定され、電源10からの通電に基づいて被搬送体Mに対して高周波磁界を作用させる。
【0032】
なお、加熱コイル9は、電源10からの通電によって、周囲に高周波磁界を発生させるとともに不可避的に発熱する。発熱による加熱コイル9の高温化を抑制するために、加熱コイル9には水冷機構が設けられている。
【0033】
電源10は、加熱用の高周波電力を発生させる。電源10は、高周波電力を加熱コイル9に供給することにより、加熱コイル9の周囲に加熱用磁界を発生させる。加熱用磁界が被搬送体Mの内部に作用することにより、サセプタ17(後述)及び処理対象粉末W(原料)が加熱される。なお、加熱コイル9と電源10とは、誘導加熱装置を構成している。
【0034】
ガス置換装置11は、加熱チャンバ2内を不活性ガス雰囲気とする装置である。ガス置換装置11は、加熱チャンバ2内の空気を加熱チャンバ2から外部に排出するとともに窒素ガス等の不活性ガスを加熱チャンバ2内に供給することによって、加熱チャンバ2内を不活性ガス雰囲気とする。
【0035】
例えば、加熱チャンバ2には加熱チャンバ2内の酸素濃度を計測する酸素濃度計が設けられている。ガス置換装置11は、酸素濃度計が示す酸素濃度が予め設定された濃度しきい値以下となるように、加熱チャンバ2内の空気を不活性ガスと置換する。
【0036】
第1冷却装置12は、第1冷却チャンバ3内の被搬送体Mを冷却する装置である。第1冷却装置12は、第1冷却チャンバ3内に付帯的に設けられた一対の接続配管を介して被搬送体Mに冷却ガスを供給するとともに被搬送体Mから冷却ガスを回収する。
【0037】
すなわち、第1冷却装置12は、第1冷却チャンバ3内の下部に設けられた一方の接続配管を介して被搬送体Mに冷却ガスを供給する。また、第1冷却装置12は、第1冷却チャンバ3内の上部に設けられた他方の接続配管を介して被搬送体Mから冷却ガスを回収する。第1冷却装置12は、冷却ガスの供給及び回収によって、冷却ガスを、被搬送体M内を下方から上方に流通させる。
【0038】
第2冷却装置13は、第2冷却チャンバ4内の被搬送体Mを冷却する装置である。第2冷却装置13は、第2冷却チャンバ4内に付帯的に設けられた一対の接続配管を介して被搬送体Mに冷却ガスを供給するとともに被搬送体Mから冷却ガスを回収する。
【0039】
すなわち、第2冷却装置13は、第2冷却チャンバ4内の下部に設けられた一方の接続配管を介して被搬送体Mに冷却ガスを供給する。また、第2冷却装置13は、第2冷却チャンバ4内の上部に設けられた他方の接続配管を介して被搬送体Mから冷却ガスを回収する。第2冷却装置13は、冷却ガスの供給及び回収によって、冷却ガスを、被搬送体M内を下方から上方に流通させる。
【0040】
続いて、
図2A及び2Bを参照して第1実施形態における被搬送体Mの詳細構成について説明する。被搬送体Mは、処理対象粉末Wを収容する部材であり、図示するように炉殻15、炉蓋16、サセプタ17、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21を備えている。
【0041】
これら被搬送体Mの構成要素のうち、処理対象粉末Wを除く炉殻15、炉蓋16、サセプタ17、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21は、加熱コイル9によって処理対象粉末W(処理対象物)とともに加熱される被加熱部材である。
【0042】
炉殻15は、有底円筒状の容器である。炉殻15の円柱状の内部空間は、サセプタ17、伝熱板18、冷却管19、断熱層20、成形断熱材21及び処理対象粉末Wの収容空間である。炉殻15は、加熱コイル9が発生する高周波磁界の影響を受けないように、炭化ケイ素(SiC)等の非磁性かつ非導電性の材料によって形成されている。炉殻15は、図示するように、底部が下側、開放部が上側となる姿勢で搬送装置1における一対のレール1a上に載置される。
【0043】
炉蓋16は、直径が炉殻15の直径と略同等な円板状部材である。炉蓋16は、炉殻15と同様に炭化ケイ素(SiC)等の非磁性かつ非導電性の材料によって形成されている。炉蓋16は、炉殻15の上部開口に固定され、上部開口を閉鎖する。すなわち、炉蓋16は、サセプタ17の上側に配置された成形断熱材21の上から炉殻15内を密閉する。
【0044】
サセプタ17は、外形が炉殻15よりも小さな有底円筒状の容器である。サセプタ17の内部には、処理対象粉末W(原料)が収容される。すなわち、サセプタ17は、円環状の周部と、周部の下端を塞ぐ底部と、周部の上端を塞ぐ天部とを備えている。サセプタ17の円柱状の内部空間には、処理対象粉末Wが収容される。なお、天部は、周部に対して着脱自在である。処理対象粉末Wは、天部が周部から外された状態でサセプタ17内に収容される。
【0045】
サセプタ17は、導電性かつ耐熱性を有する材料から形成されており、加熱コイル9が発生する高周波磁界が作用することにより高周波電流(渦電流)が誘起される発熱体である。サセプタ17は、高周波電流が流れることによって発熱し、この結果として処理対象粉末W(原料)を加熱する。
【0046】
伝熱板18は、
図2Bに示すように、サセプタ17内に十文字状に設けられた板状部材である。伝熱板18は、伝熱性に優れ、かつ耐熱性に優れた材料から形成されている。伝熱板18は、4つの外周端がサセプタ17の内周面に接触しており、サセプタ17の熱を良好に伝熱させる。
【0047】
図2Bには示されていないが、伝熱板18は、サセプタ17の軸線方向(高さ方向)の略全領域に設けられている。すなわち、伝熱板18は、下端がサセプタ17の内底面(すなわち、底部の上面)に当接し、上端がサセプタ17の内天面(すなわち、天部の下面)に接触するように上下方向の長さが設定されている。伝熱板18は、サセプタ17が発生した熱つまり処理対象粉末W(原料)の外周側で発生した熱を処理対象粉末Wの内部側に伝導させる。
【0048】
冷却管19は、被搬送体Mの軸線方向(高さ方向)に延在するとともに被搬送体Mの半径方向に所定の間隔を空けた状態で設けられた複数の配管である。すなわち、冷却管19は、炉殻15、炉蓋16、サセプタ17、断熱層20、成形断熱材21及び処理対象粉末Wを上下方向に貫くように設けられている。
【0049】
より詳細には、
図2Bに示すように、合計5本の冷却管19が設けられている。合計5本の冷却管19のうち、1本は、サセプタ17の軸中心つまり被搬送体Mの軸中心に設けられている。合計5本の冷却管19のうち、残りの4本は、十文字状の伝熱板18において半径方向の途中部位に設けられている。
【0050】
冷却管19は、第1冷却チャンバ3内の基準位置に設定されることにより、下端(一端)が第1冷却装置12に接続される。また、冷却管19は、第2冷却チャンバ4内の基準位置に設定されることにより、下端(一端)が第2冷却装置13に接続される。なお、冷却管19の上端(他端)は開放端である。また、冷却管19は、冷却ガスが循環可能に構成される。
【0051】
冷却管19には、処理対象粉末Wの加熱後の冷却工程において、第1冷却装置12あるいは第2冷却装置13から供給される冷却ガスが下方から上方に向けて順次流通する。冷却工程の前工程である加熱工程で2500~3000℃程の高温に加熱された処理対象粉末Wは、冷却管19を介した冷却ガスとの熱交換によって冷却される。
【0052】
断熱層20は、炉殻15内に収容される粉体状の断熱材である。図示するように円筒状の炉殻15内には円筒状のサセプタ17が同心状に収容されるが、断熱層20は、炉殻15とサセプタ17の間の空間を埋めるようにサセプタ17の周囲に設けられている。すなわち、断熱層20は、炉殻15の内周面とサセプタ17の外周面との間及び炉殻15の内底面とサセプタ17の外底面との間に設けられている。
【0053】
成形断熱材21は、サセプタ17の天部上に配置される層状断熱材である。成形断熱材21は、複数枚の板状の断熱材を重ねて形成される。成形断熱材21は、サセプタ17の天部上への配置つまり炉殻15内への収納が可能なように、炉殻15の内周に合致した直径を有する円柱形状に設定されている。
【0054】
被搬送体Mは、処理対象粉末W及び当該処理対象粉末Wを加熱するサセプタ17に加え、炉殻15、炉蓋16、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21を備える。すなわち、被搬送体Mは、処理対象粉末Wを含み、処理対象粉末Wを加熱するサセプタ17を少なくとも備える。
【0055】
次に、このように構成された連続黒鉛化装置Aの動作について詳しく説明する。
第1実施形態に係る連続黒鉛化装置Aでは、最初に被搬送体Mの準備工程が行われる。この準備工程では、
図2A及び2Bに示したように処理対象粉末Wがサセプタ17内に自動または手動にて充填され、サセプタ17上に成形断熱材21が載置された状態で炉蓋16が炉殻15に装着される。なお、サセプタ17内に黒鉛製の坩堝が装着され、坩堝内に処理対象粉末Wを充填してもよい。
【0056】
準備工程を経た被搬送体Mは、
図1に示すように搬送装置1上に移載され、加熱工程が行われる。すなわち、被搬送体Mは、搬送装置1のレール1a上において、第1区画壁5に設けられた入口扉5aの前(外)に配置される。そして、被搬送体Mは、搬送装置1が作動することによって入口から加熱チャンバ2内に搬送される。
【0057】
そして、入口扉5a及び第1中間扉6aが閉じた状態でガス置換装置11が作動することにより、加熱チャンバ2内の空気が脱気されるとともに不活性ガスに置換され、加熱チャンバ2内が不活性ガス雰囲気に環境設定される。すなわち、加熱チャンバ2の内部は、酸素濃度が極めて低い状態に環境設定される。
【0058】
そして、加熱コイル9に付帯的に設けられた昇降装置が作動することによって、加熱コイル9が待機位置(上昇位置)から降下して被搬送体Mを取り囲む稼働位置(降下位置)に位置設定される。そして、稼働位置の加熱コイル9に対して電源10が作動することによって高周波電流が給電される。
【0059】
加熱コイル9は、電源10からの高周波電流の給電によって高周波磁界(誘導磁界)を周囲に発生させる。この高周波磁界は、被搬送体Mにおいて導電性材料から形成されたサセプタ17に選択的に作用し、誘導電流(渦電流)を発生させる。
【0060】
そして、サセプタ17は、この誘導電流(渦電流)によって発熱して処理対象粉末W(原料)を加熱する。処理対象粉末Wは、誘導電流によるサセプタ17の発熱が所定時間に亘って継続することにより、最終的に2500~3000℃程の高温に加熱される。
【0061】
サセプタ17による処理対象粉末W(原料)の加熱に際して、発熱体であるサセプタ17の内部には十文字状の伝熱板18が設けられている。伝熱板18によって、サセプタ17の発熱が処理対象粉末Wの外周だけではなく処理対象粉末Wの内部まで伝熱する。この結果、処理対象粉末W(原料)は、内部と外部とが比較的均等に加熱されて2500~3000℃程の高温に至り、処理済粉末Wa(黒鉛)となる。
【0062】
このようにして加熱室R1における加熱工程が完了すると、電源10が作動を停止する。そして、昇降装置が作動することにより、加熱コイル9が被搬送体Mを取り囲む稼働位置(降下位置)から待機位置(上昇位置)に移動する。そして、この状態において、第1中間扉6aが開放され、また搬送装置1が作動することによって、被搬送体Mが加熱室R1から第1冷却室R2に搬送され、第1冷却工程が行われる。
【0063】
そして、第1中間扉6a及び第2中間扉7aが閉じることにより、第1冷却チャンバ3内が密閉された状態に環境設定される。そして、この状態において、第1冷却装置12が作動することによって被搬送体Mの冷却管19の下端から冷却ガスが供給されるとともに冷却管19の上端から第1冷却チャンバ3内に排気された冷却ガスが回収される。
【0064】
すなわち、被搬送体Mの冷却管19には、冷却ガスが循環状に順次供給される。被搬送体M内の処理済粉末Wa(黒鉛)は、冷却管19を下方から上方に流通する冷却ガスとの熱交換によって徐々に冷却される。そして、所定の冷却時間が経過すると、第1冷却装置12の作動が停止し、第1冷却工程が完了する。
【0065】
このようにして第1冷却工程が完了すると、第2中間扉7aが開放され、また搬送装置1が作動することによって、被搬送体Mが第1冷却室R2から第2冷却室R3に搬送され、第2冷却工程が行われる。第2冷却工程では、第2中間扉7a及び出口扉8aが閉じることにより、第2冷却チャンバ4内が密閉された状態に環境設定される。
【0066】
そして、この状態において、第2冷却装置13が作動することによって被搬送体Mの冷却管19の下端から冷却ガスが供給されるとともに冷却管19の上端から第2冷却チャンバ4内に排気された冷却ガスが回収される。被搬送体M内の処理済粉末Wa(黒鉛)は、被搬送体Mの冷却管19に冷却ガスが循環状に順次供給されることにより、冷却管19を下方から上方に流通する冷却ガスとの熱交換によって時間経過に従って順次冷却される。
【0067】
そして、所定の冷却時間が経過すると、第2冷却装置13の作動が停止し、第2冷却工程が完了する。被搬送体M内の処理済粉末Wa(黒鉛)は、第1冷却工程及び第2冷却工程を経ることによって所望の温度まで冷却される。このようにして第2冷却工程が完了すると、出口扉8aが開放され、また搬送装置1が作動することによって、被搬送体Mが連続黒鉛化装置Aの外部に自動または手動で排出される。
【0068】
このような本実施形態によれば、処理対象粉末W(原料)とともに加熱される被加熱部材(炉殻15、炉蓋16、サセプタ17、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21)が処理対象粉末W(原料)とともに搬送されるので、被加熱部材のメンテナンス性を従来よりも向上させることが可能な熱処理装置A及び熱処理方法を提供することが可能である。
【0069】
すなわち、炉殻15、炉蓋16、サセプタ17、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21は、加熱コイル9が発する磁界による誘導加熱によって劣化する消耗品である。このような消耗品が加熱チャンバ2内に固定設置されていた場合には、運転を停止させて消耗品のメンテナンスを行う必要がある。しかしながら、本実施形態によれば、このような消耗品を処理対象粉末Wとともに搬送するので、交換や補修等のメンテナンスが容易で、かつ被搬送体Mがメンテナンス中でも操業を中断することなく運転を継続することが可能である。
【0070】
本実施形態によれば、伝熱板18を備えているので、処理対象粉末W(原料)を均等に加熱することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、処理対象粉末W(原料)の加熱斑を抑制することが可能であり、加熱における無駄なエネルギー投入を抑制することが可能である。
【0071】
本実施形態によれば、冷却管19を備えているので、処理済粉末Wa(黒鉛)を均等かつ効果的に冷却することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、処理済粉末Wa(黒鉛)の冷却に要する時間の短縮や投入エネルギーの抑制を実現することが可能である。
【0072】
本実施形態によれば、ガス置換装置11を備えているので、加熱チャンバ2内の構造物(炉内構造物)の酸化による消耗や二酸化炭素(CO2)の発生を抑制することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、環境負荷が小さい熱処理装置A及び熱処理方法を提供することが可能である。
【0073】
本実施形態によれば、サセプタ17上に被せる断熱材として、断熱層20ではなく成形断熱材21を採用するので、処理済粉末Wa(黒鉛)を取出す際の作業環境をクリーンなものにすることができる。仮に成形断熱材21に代えて断熱層20を採用した場合、断熱層20から処理済粉末Wa(黒鉛)を掘り出す作業が必要となり、断熱層20が粉塵化して作業環境を悪化させる可能性がある。本実施形態では、このような処理済粉末Wa(黒鉛)の掘り出し作業が必要なので、作業環境をクリーンなものにすることができる。
【0074】
〔第2実施形態〕
次に、
図3を参照して本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、処理対象粉末W(原料)の加熱処理の前工程において、処理対象粉末W(原料)を脱気雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気に保持する。
【0075】
すなわち、第2実施形態に係る熱処理装置Bは、第1実施形態の加熱室R1から加熱チャンバ2及びガス置換装置11を削除した加熱室R1aを備える。なお、熱処理装置Bの第1冷却室R2及び第2冷却室R3は、第1実施形態の第1冷却室R2及び第2冷却室R3と同様である。
【0076】
第2実施形態における被搬送体Maでは、内外に連通する給気ポートP1及び排気ポートP2が炉蓋16に設けられている。給気ポートP1及び排気ポートP2には、例えば逆止弁が各々設けられている。被搬送体Maは、加熱室R1aにおける加熱工程の前段階つまり加熱室R1aに搬入される前工程において準備チャンバCに収容される。
【0077】
準備チャンバCには真空ポンプDが接続され、また、被搬送体Maの給気ポートP1にはガス源Eが接続される。そして、真空ポンプDが作動することによって被搬送体Ma内の残存空気及び準備チャンバC内の空気が準備チャンバC外に排気され、ガス源Eが作動することによって被搬送体Ma内に不活性ガスが供給されるとともに準備チャンバC内も不活性ガス雰囲気に設定される。
【0078】
被搬送体Maは、準備チャンバC外に取り出され、搬送装置1の作動によって加熱コイル9及び電源10が備えられた加熱室R1aに収容される。ここで、被搬送体Maにおいて、給気ポートP1及び排気ポートP2に弁が設けられているので、被搬送体Maが準備チャンバC外に取り出されても、被搬送体Maの内部の不活性ガス雰囲気を保持する。
【0079】
被搬送体Maは、搬送装置1の作動によって加熱室R1aから第1冷却室R2に搬送されて一次冷却される。そして、第1冷却室R2における一次冷却が完了すると、第1冷却室R2から第2冷却室R3に搬送されて二次冷却される。そして、第2冷却室R3における二次冷却が完了すると、出口扉8aから外部に搬出される。
【0080】
第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の各種効果に加え、第1実施形態の加熱チャンバ2のような誘導加熱時のローカルヒートを考慮した比較的大容量のチャンバが不要になる。したがって、第2実施形態によれば、第1実施形態に係る熱処理装置Aよりも装置構成が簡単な熱処理装置Bを提供することができる。
【0081】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、本開示を黒鉛の製造装置に適用した場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示における処理対象物は、黒鉛の原料である粉末に限定されず、様々な粉末または粉末以外の物体を包含するものである。例えば、処理対象物は、粉末の他にシート状の物体や粒状の物体であってもよい。
【0082】
(2)上記実施形態では、被搬送体M、Maを炉殻15、炉蓋16、サセプタ17(発熱体)、伝熱板18、冷却管19、断熱層20及び成形断熱材21を含むものとして構成した。しかし、被搬送体Mの構成はこれに限定されない。
【0083】
被搬送体M、Maは、処理対象粉末Wを含み、サセプタ17(発熱体)を少なくとも備えるものであり、よってサセプタ17(発熱体)及び処理対象粉末W以外の構成要素は必要に応じて設けられるものである。例えば、被搬送体M、Maをサセプタ17(発熱体)とサセプタ17に付帯する断熱層20及び成形断熱材21のみから構成してもよい。
【0084】
(3)上記実施形態では、処理対象粉末Wを誘導加熱する連続黒鉛化装置A、Bについて説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示は、通電加熱タイプの連続黒鉛化装置や、抵抗加熱タイプの連続黒鉛化装置にも適用可能である。
【0085】
すなわち、通電加熱タイプの連続黒鉛化装置の場合、発熱体としてのサセプタ17に代えて導電性容器に処理対象粉末Wを収容し、処理対象粉末Wに埋設した対向電極と導電性容器とによって処理対象粉末Wに加熱用電流を通電する。この場合、導電性容器、対向電極及び導電性容器の周囲に配置されている断熱材等は、処理対象粉末Wとともに加熱される被加熱部材である。
【0086】
通電加熱タイプの連続黒鉛化装置では、導電性容器、対向電極及び断熱材等の被加熱部材を処理対象粉末Wともに搬送する。これによって、被加熱部材のメンテナンス性を従来よりも向上させることが可能である。
【0087】
(4)上記実施形態では、搬送装置1におけるレール1aの敷設レイアウトの詳細を説明しなかったが、処理対象粉末の処理効率を考慮した様々なレール1aの敷設レイアウトつまり被搬送体M、Maの搬送経路が考えられる。
【0088】
(5)上記実施形態では、加熱室R1、第1冷却室R2及び第2冷却室R3からなる3室、または加熱室R1a、第1冷却室R2及び第2冷却室R3からなる3室によって連続黒鉛化装置A、Bを構成したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、連続黒鉛化装置A、Bの室数つまり被搬送体M、Maの搬送における停止位置の数(位置数)は、3以外であってもよい。
【0089】
(6)上記実施形態における加熱工程では、処理対象粉末W等に含まれる不純物が揮発する場合がある。この揮発ガスを被搬送体M、Maの外部及び加熱チャンバ2の外部に排気するガス排気配管を設けてもよい。
【0090】
(7)上記第2実施形態では、第1冷却チャンバ3及び第2冷却チャンバ4を用いた処理済粉末Wa(黒鉛)の冷却を行ったが、本開示はこれに限定されない。第2実施形態の被搬送体Maには給気ポートP1及び排気ポートP2が設けられているので、これら給気ポートP1及び排気ポートP2に第1冷却装置12または第2冷却装置13を直接接続することにより被搬送体Ma内の処理済粉末Wa(黒鉛)を冷却してもよい。
【0091】
すなわち、この変形例では、第1冷却装置12または第2冷却装置13から給気ポートP1に冷却ガスを供給するとともに、排気ポートP2から熱交換によって加熱された冷却ガスを第1冷却装置12または第2冷却装置13に回収する。これによって、処理済粉末Wa(黒鉛)は、冷却ガスによって循環冷却される。このような冷却方式によれば、第1冷却チャンバ3及び第2冷却チャンバ4が不要となるので、熱処理装置の装置構成をさらに簡単化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示によれば、被加熱部材のメンテナンス性を従来よりも向上させることが可能な熱処理装置及び熱処理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0093】
A、B 連続黒鉛化装置(熱処理装置)
M、Ma 被搬送体
W 処理対象粉末(処理対象物)
1 搬送装置
2 加熱チャンバ
3 第1冷却チャンバ
4 第2冷却チャンバ
5 第1区画壁
6 第2区画壁
7 第3区画壁
8 第4区画壁
9 加熱コイル
10 電源
11 ガス置換装置
12 第1冷却装置
13 第2冷却装置
15 炉殻
16 炉蓋
17 サセプタ(発熱体)
18 伝熱板
19 冷却管
20 断熱層
21 成形断熱材
【要約】
熱処理装置は、処理対象物を含み、処理対象物を加熱する発熱体を少なくとも備えた被搬送体と、被搬送体を搬送する搬送装置と、被搬送体に対して進退自在に移動する加熱コイルを備え、被搬送体に磁界を作用させることで発熱体を発熱させる誘導加熱装置と、を備える。