IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロビジョン,インク.の特許一覧

特許73237382つのライダー測定装置を有するライダー測定システム
<>
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図1
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図2
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図3
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図4
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図5
  • 特許-2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】2つのライダー測定装置を有するライダー測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/87 20200101AFI20230802BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230802BHJP
【FI】
G01S17/87
G01S17/931
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022503884
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020067233
(87)【国際公開番号】W WO2021023423
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】102019211739.2
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505472816
【氏名又は名称】マイクロビジョン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ボイシェル
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-502974(JP,A)
【文献】特表2019-518200(JP,A)
【文献】特表2018-537680(JP,A)
【文献】特表2017-520134(JP,A)
【文献】特開2007-139594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0107221(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0111812(US,A1)
【文献】特開2004-205398(JP,A)
【文献】特開2006-170961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)の環境(16)における物体(14)を検出するためのライダー測定システム(12)であって、
第1の垂直解像度で第1の視野(18)を走査するように構成された第1のライダー測定装置(22)と、
第2の垂直解像度で第2の視野(20)を走査するように構成された第2のライダー測定装置(24)と、
を有し、
前記第2の視野は、前記第1の視野内の鉛直方向にあり、前記車両の前方の道路(15)の領域を含み、
前記第2の垂直解像度は、前記第1の垂直解像度よりも高く、
前記第2のライダー測定装置(24)は、焦点面アレイ構成において、受信ユニット(42)を備え、
前記第2のライダー測定装置(24)は、前記道路(15)の位置についての情報を有する入力信号に基づいて受信ユニット(42)のアクティブな行(Z1、Z2、Z3)を選択するように構成され、
前記第2のライダー測定装置(24)は、前記入力信号に基づいて水平線を決定するとともに、前記水平線に基づいて前記第2の視野(20)を調整するように構成された、ライダー測定システム(12)。
【請求項2】
前記第1のライダー測定装置(22)は、2Dスキャナユニット(38)を有する走査ライダー測定装置として構成された、請求項1に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項3】
前記ライダー測定システムに関して、前記入力信号を受信するための入力インターフェース(26)を有し、前記第2のライダー測定装置(24)は、前記入力信号に基づいて、前記第2の視野(20)を調整するように構成された、請求項1に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項4】
入力インターフェース(26)は、
前記入力信号として環境センサ(30)の環境センサ信号を受信するように構成され、
前記入力信号として位置センサ(28)の位置センサ信号を受信するように構成され、
前記入力信号としてマップデータベース(32)のマップデータを受信するように構成され、及び/又は
前記入力信号として前記第1のライダー測定装置(22)の出力信号を受信するように構成された、請求項1または請求項2に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項5】
第2のライダー測定ユニット(24)は、前記入力信号に基づいて、前記第2の視野(20)の鉛直方向の拡張を調整するように構成された、請求項1、請求項3または請求項4のいずれか一項に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項6】
前記第1の視野(18)は20°~30°の間、好ましくは25°の鉛直角を含み、前記第1の垂直解像度が0.2°~0.8°の間、好ましくは最大で0.4°であり、及び/又は
前記第2の視野(20)は1°~15°の間、好ましくは5°から8°の鉛直角を含み、前記第2の垂直解像度が0.05°~0.15°の間、好ましくは0.1°である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項7】
前記第1のライダー測定装置(22)の第1の走査速度が、前記第2のライダー測定装置(24)の第2の走査速度よりも小さく、
前記第1の走査速度が10Hz~15Hzの間、好ましくは12.5Hzであり、前記第2の走査速度が20Hz~70Hzの間、好ましくは25Hz~50Hzの間にある、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項8】
前記第2の視野は、少なくとも20行~100行の間、好ましくは50行~80行を含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載のライダー測定システム(12)。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のライダー測定システム(12)を有する車両(10)。
【請求項10】
車両(10)の環境(16)における物体(14)を検出する方法であって、
第1の垂直解像度の第1のライダー測定装置(22)で第1の視野(18)を走査するステップ(S10)と、
第2の垂直解像度の第2のライダー測定装置(24)で第2の視野(20)を走査するステップ(S12)と
を備え、
前記第2の視野は、前記第1の視野内の鉛直方向にあり、前記車両の前方の道路(15)の領域を含み、
前記第2の垂直解像度は、前記第1の垂直解像度よりも高く、
前記第2のライダー測定装置(24)は、焦点面アレイ構成において、受信ユニット(42)を備え、
前記第2のライダー測定装置(24)は、前記道路(15)の位置についての情報を有する入力信号に基づいて受信ユニット(42)のアクティブな行(Z1、Z2、Z3)を選択するように構成され、
前記第2のライダー測定装置(24)は、前記入力信号に基づいて水平線を決定するとともに、前記水平線に基づいて前記第2の視野(20)を調整するように構成された、方法。
【請求項11】
プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコードをコンピュータで実行する際に、請求項10に記載の方法のステップを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の環境における物体を検出するためのライダー測定システムに関する。本発明はさらに、ライダー測定システムを有する車両、及び車両の環境における物体を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両(自動車、運搬装置、トラック、オートバイなど)は、運転手に情報を提供するとともに部分的に又は完全に自動化された態様で車両の個々の機能を制御する複数のセンサを有する。車両の環境及び他の道路使用者は、センサを介して取得される。取得データに基づいて、車両環境のモデルが生成可能となり、この車両環境の変化に対して反応可能となる。
【0003】
ここで、環境の検出のために重要なセンサの原理は、ライダー技術(LIDAR:light detection and ranging、光検出と測距)、である。ライダーセンサは、光信号の送信及び反射光の検出に基づく。反射の位置までの距離は、ランタイム測定によって計算可能となる。さらに、相対速度が決定可能となる。非変調パルス及び周波数変調信号(チャープ)の両方が、ここでは使用され得る。対象物は、受信反射光を評価することによって検出可能となる。ライダーセンサの技術的実現の観点で、走査系と非走査系との間で区別がなされる。ここで、走査系はマイクロミラーに基づくものが最も多く、光スポットを用いて環境を走査するものであり、送信光パルス及び受信光パルスが同じマイクロミラーを介して偏向される場合、同軸系を参照する。非走査系では、複数の送信素子及び受信素子が相互に隣接して固定配置される(特に、いわゆる焦点面アレイ構成)。
【0004】
これに関連して、特許文献1は、物体を検出及び分類するためのライダーシステム及び方法を開示している。一実施例では、ライダーシステムは、反射信号における1又は複数の時間歪みに基づき、物体の1又は複数の表面角度を検出し得る。更なる実施形態において、ライダーシステムは、反射光フィンガープリント、表面角度フィンガープリント又は他の測定された性質に基づいて、物体を特定することができる。他の測定される性質は、ここでは物体の表面組成、環境光、複数回の走査間の検出差分及び複数の検出特性の信頼値を含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/127789号
【発明の概要】
【0006】
ライダーシステムの領域における1つの課題は、より小さく、より暗く、及び/又は遠く離れた物体の検出にあり、特に路上の物体に関連がある。例えば、タイヤ、動物の死骸又は紛失した荷物の一部は、好ましくは100m以上の距離で既に取得されている必要がある。水平方向及び鉛直方向にそれぞれの0.1°の解像度又はスポット距離を有する走査ライダーセンサは、解像度が基本的には十分であるにもかかわらず、50mの距離で路上のタイヤの検出が既に難しいことが多い。これは、一方では黒い物体は非常に低い反射性を有し、他方では路上の物体は、ほとんどの場合、鉛直方向に比較的わずかな拡張しか有さないという事実に起因している。タイヤが検出グリッドのギャップ、すなわち光スポットの2行の間のギャップに入る場合、確実な検出が保証されないことがある。
【0007】
取得されたデータがさらに十分に高いスピードでは処理可能ではないため、より高い解像度を用いる手法は走査系に厳格な要求を課し、不十分なリフレッシュレートをもたらすことが多い。他の手法は、より大きなスポットの使用を伴う。しかしながら、これに対する不利な点は、信号対ノイズ比が、明るい環境(太陽光、昼の光)でこそ低くなり、確実な物体検出がより難しくなることである。
【0008】
以上のことから、本発明の課題は、障害物の向上した検出に向けた手法を提供することである。特に、目標は、より高い信頼性で車両の前方の領域の路上の物体を取得可能とすることである。遠く、暗く及び/又は平らな物体であっても可能な限り確実に取得されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を達成するために、本発明の第1の態様は、車両の環境における物体を検出するためのライダー測定システムに関し、ライダー測定システムは、第1の垂直解像度で第1の視野を走査するように構成された第1のライダー測定装置と、第2の垂直解像度で第2の視野を走査するように構成された第2のライダー測定装置と、を有し、第2の視野は第1の視野内の鉛直方向にあり、車両の前方の道路の領域を含み、第2の垂直解像度は第1の垂直解像度よりも高い。
【0010】
他の態様では、本発明は、上記のようなライダー測定システムを有する車両に関する。
【0011】
本発明の更なる態様は、ライダー測定システムによって構成された方法、及びコンピュータでプログラムコードを実行すると、その方法のステップを実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品に関する。さらに、本発明の態様は、コンピュータで稼働すると、ここに記載される方法を実行させるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【0012】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に記載される。上記の特徴及び以下でさらに説明する特徴は、本発明の枠組みから逸脱することなく、それぞれ指示された組合せだけでなく他の組合せ又は単独でも使用可能であることを理解されたい。特に、車両、方法及びコンピュータプログラム製品は、従属請求項におけるライダー測定システムについて記載された実施形態に応じて構成され得る。
【0013】
2つのライダー測定装置を有するライダー測定システムが、本発明によって提案される。両方のライダー測定装置はそれぞれ視野を走査し、第2の視野は第1の視野内の少なくとも1つの鉛直方向にあり、車両の前方の道路の領域を含む。第2のライダー測定システムは、鉛直方向において第1のライダー測定システムよりも高い解像度を提供する。これに関して、2つのライダー測定装置によって、視野の一部が鉛直方向に走査されることが提案される。特に、車両の前方の道路を含む車両の視野の一部又は環境の一部は、二重に走査される。第2のライダー測定装置による追加の走査は、ここでは第1のライダー測定装置による走査よりも高い解像度で行われる。車両の前方の道路は、環境の残余部分よりも高い解像度で走査される。
【0014】
これにより、路上の平らな物体が、より高い信頼性で検出可能となる。検出された物体の評価に基づいて運転中の車両の安全性が向上し得るように、このような物体を検出するための範囲は増加され得る。路上の物体との衝突が予防され得る。路上の物体によって引き起こされる危険が減少する。
【0015】
第1のライダー測定装置は、ここでは好ましくは2Dスキャナユニットを有する走査ライダー測定装置として構成される。特に、対応する微小電気機械システム(MEMS)によって又は検流計によって動作されるマイクロミラーは、2Dスキャナユニットに使用可能である。マイクロミラーは、視野を1行ごとに走査する。高い解像度は、これによって、高いリフレッシュレートで実現され得る。車両の環境における物体の確実な物体検出が達成される。
【0016】
第2のライダー測定装置は、好ましくは、焦点面アレイ構成に受信ユニットを備える。グリッドに配置された複数の受信素子を介して受信が機能するセンサを用いる。特に、1行ごとに活性化され又は1行ごとに読み出され得る受信ユニットが、ここで使用され得る。このような焦点面アレイの構成によって、高いリフレッシュレート及び高い解像度の実現が可能となる。路上の物体の確実な検出が実現され得る。
【0017】
好適な実施形態では、ライダー測定システムは、ライダー測定システムに関して道路の位置についての情報を有する入力信号を受信するための入力インターフェースを備える。第2のライダー測定装置は、入力信号に基づいて第2の視野を調整するように構成される。言い換えると、第2のライダー測定装置の視野は、車両の前方の道路の進行過程に基づいて調整される。ここで、調整は、特に、鉛直方向の視野のサイズ及びアライメントの調整として理解される。例えば、凹凸のある道路は鉛直方向に拡張された視野が必要となり、又は超過車両貨物とともに道路の傾斜若しくは勾配が調整済みアライメントを必要とし得る。特に、調整は、ここで、動的又は連続的に実行され得る。これに関して、入力信号の使用は、第2の視野の最適化を可能とする。必要なプロセッサの消費電力を最小限に抑え、かつ信頼性を向上させることができる。
【0018】
好適な実施形態では、第2のライダー測定装置は、入力信号に基づいて受信ユニットのアクティブセル[sic]を選択するように構成される。特に、アクティブ行を選択することによって、焦点面アレイ構成における受信ユニットを現在の要求に対して調整することができる。視野のどの部分が関連しているかに依存して、受信ユニットの対応する行が活性化される。関係のある領域に対応するデータだけが評価される。結果として、リフレッシュ周波数が増加し、路上の物体が確実に検出され得る。
【0019】
好適な実施形態では、入力インターフェースは、入力信号として環境センサの環境センサ信号を受信するように構成される。追加的に又は代替的に、入力インターフェースは、入力信号として位置センサの位置センサ信号を受信するように構成される。追加的に又は代替的に、入力インターフェースは、入力信号としてマップデータベースのマップデータを受信するように構成される。さらに、追加的に又は代替的に、入力インターフェースは、入力信号として第1のライダー測定装置の出力信号を受信するように構成される。ライダー測定システムに関連する道路の進行過程についてアサーションを許可する変動パラメータは、入力信号として使用され得る。複数の異なる入力信号も、第2の視野を調整するのに使用され得ることを理解されたい。現在の状況に依存して、この状況について調整され又は最適化された第2の視野が用いられる。路上の物体の確実な検出が実現される。
【0020】
好適な実施形態では、第2のライダー測定ユニットは、入力信号に基づいて第2の鉛直視野の鉛直方向の拡張を調整するように構成される。特に、入力信号から鉛直方向の拡張を変化又は調整することが有利となり得る。例えば、凹凸のある道路は、より大きな鉛直視野を必要とし得る。最適化は、評価対象のデータ又は現在の状況に関して達成される。
【0021】
好適な実施形態では、ライダー測定装置は、入力信号に基づいて水平線を決定するように構成され、その水平線に基づいて第2の視野を調整するように構成される。例えば、カメラの信号に基づいて水平線を検出し、道路が延びる水平線より下の領域を撮像するような態様で、この水平線から第2の視野を配列することができる。水平線は、第1又は第2のライダー測定ユニットを使用して決定され得ることを理解されたい。
【0022】
好適な実施形態では、第1の視野は、20°~30°の間、好ましくは25°の鉛直角を含む。第1の垂直解像度は、0.2°~0.8°の間、好ましくは最大で0.4°である。追加的に又は代替的に、第2の視野は、1°~15°の間、好ましくは5°~8°の鉛直角を含む。第2の垂直解像度は、0.05°~0.15°の間、好ましくは、0.1°にある。これに関して、第1の視野は、第2の視野の鉛直角の倍数に対応する鉛直角を含む。この大きな角度は、車両の環境における、関連する可能性のある物体の確実な検出を保証するのに必要である。第2の視野は、道路表面を観察するために十分である非常に小さな鉛直角を含む。ただし、より高い解像度が、この非常に小さな鉛直角内で用いられてもよい。これに関して、車両の前方の異なる領域で調整された解像度の使用が提案される。
【0023】
好適な実施形態では、第1のライダー測定装置の第1の走査速度は、第2のライダー測定装置の第2の走査速度よりも小さい。第1の走査速度は、ここで、10Hz~15Hzの間、好ましくは12.5Hzにある。第2の走査速度は、20Hz~70Hzの間、好ましくは25Hz~50Hzの間にある。特に、第2のライダー測定装置も、より高い解像度に加えてより高い走査速度を使用し得る。これにより、路上の物体のよりよいトラッキングが保証可能となる。物体検出の間の信頼性が向上し、ライダー測定システムに基づく自律的又は部分的に自律的に動作する車両の安全性が、増加する。
【0024】
好適な実施形態では、第2の視野は、少なくとも20行~100行の間、特に50行~80行を含む。特に、1行ごとの動作システムが使用される。少なくとも40行~50行が与えられる場合、十分な信頼性が、路上の物体の検出中に達成され得る。
【0025】
特に、車両の環境は、車両から視認可能な車両の環境における領域を含む。物体は、家、木、又は交通標識などの静的な物体であり得る。物体は、同様に動的な物体、例えば、他の車両又は歩行者であり得る。ライダー測定装置の視覚野又は視野は、ライダー測定装置によって視認可能な領域に対応する。特に、視野は、鉛直方向の角度及び水平方向の角度を示すことによって確立される。鉛直視野又は鉛直視覚野は、車両又はライダー測定装置に関して鉛直方向の角度を示すことによって確立され得る。ライダー測定装置の解像度は、角度範囲あたりのドット又は行及び列の表示に対応する。各ドットは、走査工程ごとに1度読み出される。道路の領域は、特に、道路が延びる視野の一部に対応し、特に、車両の前方の50~150mの間の領域で道路が延びる視野の一部に対応する。道路の位置は、特に、車両固定座標系における道路のアライメントの表示として理解される。例えば、車両の水平面に対する路面の角度は、道路の位置に対応し得る。より包括的な表示も、道路の位置を表示し得ることを理解されたい。
【0026】
添付図面との関連において幾つかの選択された例示的実施形態に基づいて、以下に本発明をより詳細に記載及び説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ライダー測定システムを有する本発明による車両の概略図である。
図2】本発明によるライダー測定システムの概略図である。
図3】ライダー測定システムのさらなる実施形態による車両の概略図である。
図4】2Dスキャナユニットを有する走査ライダー測定装置の概略図である。
図5】焦点面アレイ構成におけるライダー測定装置の受信ユニットの概略図である。
図6】本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、車両10の環境16において物体14を検出するためのライダー測定システム12を有する本発明による車両10を模式的に示す。図は、側部断面図に対応する。図示する例示的実施形態では、ライダー測定システム12は、車両10に一体化される。例えば、ライダー測定システム12は、車両10のバンパーの領域に搭載され、視野内で車両10の前方における物体14を検出するように構成され得る。図では、鉛直方向の視野の拡張が、破線で示される。例えば、車両10の環境16における物体14は、道路15上にある車のタイヤ又は他の障害物であり得る。
【0029】
本発明は、視野を走査する2つのライダー測定装置を備えるライダー測定システム12を規定する。ここで、第1の視野18は第1のライダー測定装置によって走査され、第2の視野20は第2のライダー測定装置によって走査される。第2の視野20は、第1の視野18内の鉛直方向にある。第2の視野20は、車両10の前方の道路15の領域を含む。これに関して、第2のライダー測定装置は、道路15上にある物体14の検出を可能にする。第2の視野20内の第2のライダー測定装置の解像度は、(より大きい)第1の視野内の第1のライダー測定装置の解像度よりも高い。特にここで関連があるのは、垂直解像度、すなわち、鉛直方向の解像度である。特に、鉛直方向の解像度は、角度あたりの行数として理解される。
【0030】
図2は、本発明によるライダー測定システム12を模式的に示す。ライダー測定システム12は、第1のライダー測定装置22及び第2のライダー測定装置24を備える。
【0031】
特に、第1のライダー測定装置22は、2Dスキャナユニットを有する走査ライダー測定装置として構成され得る。この種のライダー測定装置によって、高解像度で比較的大きな領域を撮像することが可能となる。しかしながら、物体14の位置が2回の走査の間で変化する場合、送信光信号又はレーザ信号が平らな物体14を見逃し得る。そのため、物体14は、個々の行の間のギャップに必然的に入ってしまうことがある。それとは別に、複数の行及び列を順次走査しつつ、時間的要因によっても同様に、より小さな物体14が見逃されてしまうことがある。例えば、視野の対応する領域が、タイヤなどの小さな物体について、40msの走査フレームで5~10msごとにしかヒットし得ない。光信号が適時に物体14に照準しない可能性が比較的高い。
【0032】
第2のライダー測定装置24は、より高い解像度で道路15を含む視野の領域を走査するのに使用され、それによりそこに位置する物体14の物体取得を向上する。この目的のために、第2のライダー測定装置24は、より小さな第2の鉛直視野を有するが、より高い解像度が実現されるものである。第2のライダー測定装置24は、ここでは、有利なことに焦点面アレイ構成における受信ユニットを備え得る。ここでは、1行ごとの読出しが実行可能であり、それぞれの完全な行は、ある一時点で取得される。結果として、より高い走査周波数が実現可能となる。
【0033】
例えば、鉛直方向の第2の視野20の1つの取り得る開き角は、道路15にわたるライダー測定システム12の設置高さ(例えば、0.5m)の幾何学的検査及びカバーされるべき距離(例えば、10m)の検査に基づいて実行され得る。これらの値から、例えば、第2の視野20の鉛直方向の2.8°の角度が生じる。第2のライダー測定装置24に必要とされる角度解像度は、鉛直方向の物体14の高さ及び物体14の距離から決定され得る。例えば、必要とされる0.11°の角度解像度は、物体高さ20cm及び距離100mで生じる。対応する解像度は、そのような検査及び比較計算から決定され得る。
【0034】
図3は、本発明による車両10の実施形態を模式的に示す。車両10のライダー測定システム12は、ここではより明確にするために右側に拡大図で示される。第1のライダー測定装置22及び第2のライダー測定装置24とは別に、図示する例示的実施形態におけるライダー測定システム12は、ライダー測定システム12に関して道路15の進行過程又は位置についての情報を有する入力信号を受信するように構成された入力インターフェース26を有する。この入力信号から、第2の視野20が調整され得る。特に、第1の視野18と比較して第2の視野20のアライメント及び鉛直方向の第2の視野20のサイズを調整することができる。
【0035】
例えば、車両10内の位置センサ28のセンサ信号が、調整のための入力信号として用いられてもよい。さらに、車両10の環境センサ30の環境センサ信号を用いることができる。例えば、車両10のレーダー、ライダー、超音波又はカメラセンサの信号が用いられてもよい。
【0036】
同様に、ライダー測定システム12又は第1のライダー測定装置22もしくは第2のライダー測定装置24自体の信号が入力信号として使用されることが可能でありかつ有利である。道路15の進行過程又は位置は、そのような環境センサ30の信号に基づいて検出され得る。特に、水平線の位置が、画像評価のアルゴリズムを介して決定され得る。これらに基づいて、その後に第2の視野20をそれに従って調整することができる。入力信号としてマップデータベース32のマップデータをさらに使用可能である。図示する例示的実施形態では、マップデータベース32は、ここでは、例えば、対応するサービスプロバイダのインターネットデータベースとして構成され得るリモートデータベースである。このマップデータベース32と通信するために、図示する例示的実施形態では、車両10は、モバイル通信ユニット33を有する。ただし、マップデータベース32が車両10の内側、例えば、車両10のナビゲーションシステムにも配置され得ることを理解されたい。各種ユニットと通信するために、ライダー測定システム12は、例えば、車両10のバスシステムに接続され得る。
【0037】
図4は、第1のライダー測定装置22についての例を模式的に示す。第1のライダー測定装置22は、光信号を送信するためのトランスミッタ34及び物体14で反射された後の光信号を受信するためのレシーバ36を備える。特に、トランスミッタ34は、レーザ源として構成される。一方では、パルス状の信号を用いることができる。他方では、周波数変調信号(チャープ信号)も使用され得る。特に、レシーバ36は、物体14で反射された後の光信号を受信するように構成された光検出器に対応し、それにより物体14の検出が可能となる。
【0038】
第1のライダー測定装置22は、第1のライダー測定装置22の視野を走査するように2Dスキャナユニット38をさらに備える。特に、2Dスキャナユニット38は、微小電気機械システム(MEMS)として構成され得る。同様に、検流計を用いることができる。マイクロミラーは、光信号を異なる位置に送信するように、かつ対応して異なる位置の検出を受信するように作動される。特に、第1のライダー測定装置22の第1の視野18は、ここでは1行ごとに走査される。これに関して、水平速軸及び鉛直遅軸があり、そのそれぞれが付随するアクチュエータによって作動可能となる。特に、2Dスキャナユニット38は、ミラーの垂直及び水平移動が作動され得るように、対応する制御インターフェースを提供する。特に、2行間又は2列間のいずれの角度が使用されることになるかは、軸に対して決定され得る。例えば、第1の解像度は、水平及び鉛直方向で0.1°×0.1°であり得る。これに関して、行距離は、角度表示に対応する。
【0039】
第1のライダー測定装置22は、合成ユニット40をさらに備える。図示する例示的実施形態では、合成ユニット40は、サーキュレータとして構成される。同様に、合成ユニット40は、ビームスプリッタに対応可能である。ビームスプリッタを使用する不利な点は、信号の一部が失われることである。一方、有利な点が、反応速度に対して及び製造コストに関して生じる。
【0040】
同一のパスが2Dスキャナユニット38と合成ユニット40との間で送信光信号及び受信光信号に使用されるので、図示する第1のライダー測定装置22を、同軸ライダー測定装置又は同軸設計を有するライダー測定装置ともいう。
【0041】
図5に、第2のライダー測定装置24の受信ユニット42を模式的に示す。受信ユニット42は、焦点面アレイ構成で構成され、複数の行Z1、Z2、Z3において対応するチップ上の1つの面に本質的に配置される複数の独立した受信素子44を備える。第1のライダー測定装置22は、対応して構成された送信ユニットを備え、それは同様に焦点面アレイ構成で構成され得ることを理解されたい。1行ごとの読出しが可能である。さらに、行を部分的にのみ活性化し又は読み出すことによって、第2の視野20を調整することができる。
【0042】
図6に、車両の環境における物体を検出するための本発明による方法を模式的に示す。方法は、第1の視野18を走査するステップS10及び第2の視野20を走査するステップS12を備える。例えば、方法は、車両制御装置又はライダー測定システム12のマイクロプロセッサ上で動作するソフトウェアで実行され得る。特に、方法は、ライダー測定システム12の制御ソフトウェアとして使用され得る。
【0043】
本発明を図面及び明細書に基づいて包括的に記載及び説明した。明細書及び説明は、例として解釈されるべきであり、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。他の実施形態又は変形例が、本発明の使用中に並びに図面、開示及び以降の特許請求の範囲の正確な分析中に熟練者において生じる。
【0044】
特許請求の範囲において、文言「備える/含む」及び「有する」は、更なる要素/素子又はステップの存在を排除しない。不定冠詞「a」又は「an」は、複数の存在を排除しない。単一の要素/素子又は単一のユニット/部は、特許請求の範囲において言及された幾つかのユニット/部の機能を実行することができる。要素/素子、ユニット/部、インターフェース、装置及びシステムは、ハードウェア及び/又はソフトウェアに部分的又は完全に変換可能である。幾つかの異なる従属請求項における一部の対策の単なる言及は、それらの対策の組合せが同様に有利には使用できないことを意味するものと理解されるべきではない。特許請求の範囲における符号は、限定的なものとして理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0045】
10 車両
12 ライダー測定システム
14 物体
15 道路
16 環境
18 第1の視野
20 第2の視野
22 第1のライダー測定装置
24 第2のライダー測定装置
26 入力インターフェース
28 位置センサ
30 環境センサ
32 マップデータベース
33 モバイル通信ユニット
34 トランスミッタ
36 レシーバ
38 2Dスキャナユニット
40 合成ユニット
42 受信ユニット
44 受信素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6