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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ピラゾロピリミジン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/22 20060101AFI20230802BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230802BHJP
   A61K 31/527 20060101ALI20230802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
C07D498/22 CSP
A61K31/519
A61K31/527
A61P43/00 111
A61P35/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020545277
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2019076251
(87)【国際公開番号】W WO2019165967
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】201810167756.3
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811095822.7
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910015376.2
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523257934
【氏名又は名称】ナンジン ザイミン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジァンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】スン ジークイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ ウェンユァン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】リ ジァン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シューフイ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530142(JP,A)
【文献】特表2017-538766(JP,A)
【文献】特表2010-524911(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050989(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
「ただし、
、T、T、T、T、及びTは、れぞれ独立してCR及びNから選ばれ;
WはCR及びNから選ばれ;
とXはそれぞれ独立してCRから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意に1、2又は3つのRaで置換されたC1-6アルキルから選ばれ;
は、H、及び任意に1、2又は3つのRで置換されたC1-6アルキルから選ばれ;
とRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
とRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH及びC1-6アルキルから選ばれ;
は、-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-及び-4~6員のヘテロシクロアルキル-から選ばれ、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-及び-4~6員のヘテロシクロアルキル-は、任意に1、2又は3つのRで置換され;
は、-C1-3アルキル-、-C1-3アルキル-O-、-N(R)-、-C1-3アルキル-N(R)-及び-O-から選ばれ;
は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、C1-3アルキル及びC1-3アルキル-C=O-から選ばれ、前記C1-3アルキル及びC1-3アルキル-C=O-は、任意に1、2又は3つのRで置換され;
は、H及びC1-3アルキルから選ばれ;
Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
「*」が付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)の単一のエナンチオマー、又は1つのエナンチオマーに富む形で存在し;
前記4~6員のヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選ばれる1、2、3又は4つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。」
【請求項2】
前記Rは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN及びCHから選ばれる、請求項1に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記Rは、H及びCHから選ばれる、請求項1に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記R及びRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH及びCHから選ばれる、請求項1に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCH及びCHC(=O)から選ばれ、前記CH、CHCH及びCHC(=O)は、任意に1、2又は3つのRで置換される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHF、CHF、CF、CHCH及びCHC(=O)から選ばれる、請求項5に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記Lは、-CH-、-CHCH-、-シクロプロピル-、-シクロブチル-、-シクロペンチル-、-オキセタニル-、-テトラヒドロフラニル-、-テトラヒドロピラニル-、-ピロリジニル-及び-ピペリジニル-から選ばれ、前記-CH-、-CHCH-、-シクロプロピル-、-シクロブチル-、-シクロペンチル-、-オキセタニル-、-テトラヒドロフラニル-、-テトラヒドロピラニル-、-ピロリジニル-及び-ピペリジニル-は、任意に1、2又は3つのRで置換される、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記Lは、-CH-、-CH(CH)-、C(CH-、-CHCH-、
【化2】
から選ばれる、請求項7に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記Lは、-CH-、-CHCH-、CH(CH )-、-C(CH-、
【化3】
から選ばれる、請求項8に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記Lは、-CH-、-CHCH-、-CHCHO-、-CH(CH)O-、-O-、-NH-、-CHNH-及び-CHO-から選ばれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記構造フラグメント
【化4】
は、
【化5】
から選ばれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記構造フラグメント
【化6】
は、
【化7】
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記構造単位
【化8】

【化9】
である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
下記の式である請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化10】
「ただし、
W、R、R、L及びLは、請求項1~10のいずれか1項に定義されたとおりである。」
【請求項15】
下記から選ばれる請求項14に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化11】
「ただし、
nは0と1から選ばれ;
W、R、R及びLは、請求項1~10のいずれか1項に定義されたとおりである。」
【請求項16】
記式の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化12】
【請求項17】
下記の式である請求項16に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化13】
【請求項18】
有効成分として治療有効量の請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項19】
Trk、ALK及びRos1キナーゼに関連する疾患を治療するための医薬の調製における、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、もしくは請求項18に記載の組成物の使用。
【請求項20】
前記医薬は、固形腫瘍を治療するための医薬であることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[優先権主張]
本発明は、下記の優先権を主張する。
CN201810167756.3、出願日2018-02-28
CN201811095822.7、出願日2018-09-19
CN201910015376.2、出願日2019-01-07
[発明の詳細な説明]
[技術分野]
本発明は、様々な発癌性融合キナーゼ阻害剤、その使用及び合成方法に関し、具体的には、固形腫瘍関連疾患を治療するための関連医薬の調製における、式(II)で表される化合物、その互変異性体又はその薬学的に許容できる塩の使用に関する。
【0002】
[背景技術]
プロテインキナーゼは、細胞増殖、分化、代謝、及びアポトーシスなどと密接に関連している。プロテインキナーゼの発癌性形態は、多くの異なるヒト腫瘍タイプで豊富に発現され、特定のキナーゼ阻害剤に高度に応答する。中でも、未分化リンパ腫キナーゼ(Anaplastic lymphoma kinase,ALK)は、インスリン受容体スーパーファミリーに属する受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、主に中枢神経系及び末梢神経系に発現し、神経系の正常な発達及び機能に役割を果たし、多数の前臨床及び臨床研究で広く研究されてきた。ALKは、未分化大細胞型リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma,ALCL)の一種で、染色体転座による継続的に活性化される発癌性の形態として最初に発見され、それは正常に発現されたヌクレオフォスミNPMのN末端とALKキナーゼドメイン間の融合によって融合タンパク質NPM-ALKはが形成された。現在、さまざまなALK融合タンパク質が同定されており、一部の腫瘍(炎症性筋線維芽細胞腫など)の強力な発がん性駆動因子であると考えられているため、ALK融合タンパク質もがん治療介入の重要なターゲットとなっている。現在、さまざまなALK阻害剤が臨床試験に入り、市販が認可された。ただし、クリゾチニブ(Crizotinib)は、ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の治療のために2011年に認可された。2014年、セリチニブはALK陽性転移性NSCLC患者の治療に承認された。ALK阻害剤は最初の臨床試験で有効であることが証明されているが、治療を受けた患者では再発が観察され、ALK獲得性薬剤耐性変異が発見された。その中、脳転移腫瘍の出現は、Crizotinibで治療された患者における疾患の再発の明らかな原因である。
【0003】
トロポミオシン関連キナーゼ(Trk)は、神経細胞で高度に発現される神経成長因子受容体(NGF)の一種である。Trkファミリーは、相同性の高いトロポミオシン関連キナーゼA(TrkA)、トロポミオシン関連キナーゼB(TrkB)、及びトロポミオシン関連キナーゼC(TrkC)から構成され、それぞれNTRK1、NTRK2及びNTRK3をコードし、NGF、BDNF、NT-4及びNT-3などの4つのリガンドに関し、PI3K-AKT、RAS-RAF-ERK、PLCγ-PKCなどの主要な信号経路を調節することにより、細胞の増殖、分化、生存、ニューロン成長などの重要な生理学的活動に広く関与している。継続的に活性化された発癌性形態のTrkは、発癌性融合遺伝子(TPM3-NTRK1)として最初に結腸直腸癌で発見された。発癌性Trk遺伝子融合は、リガンド活性化を必要とせずに、癌細胞の増殖を促進し、ERKやAKTなどの癌関連下流シグナル伝達経路に影響を与える。Entrectinib(RXDX-101)やLarotrectinib(LOXO-101)などのTRK遺伝子融合を標的とする薬物も、最初の臨床試験で有効であることが証明された。しかしながら、持続的作用下では、治療を受けた患者で獲得性薬剤耐性突然変異も生じた。TPX-0005やLOXO-195などのTRK遺伝子融合を標的とする新薬は、薬剤耐性変異の問題を部分的に解決した。
【0004】
Ros1キナーゼは受容体チロシンキナーゼの一種であり、正常な生理機能に重要な影響を与える。継続的に活性化される発癌性形態のRos1融合タンパク質は、神経膠芽腫、非小細胞肺癌、及び結腸直腸癌を含む、さまざまなヒトの癌で見られる。CrizotinibなどのRos1融合タンパク質を標的とするさまざまな薬剤が臨床的に効果的であることが証明されたが、投与し続けた後、患者の中で獲得性薬剤耐性突然変異も見られた。
【0005】
したがって、いくつかの癌の臨床治療では、様々な発癌性融合キナーゼ及びその突然変異に対する阻害効果を有する化合物が必要になった。
【0006】
【化1】
【0007】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、式(II)で表される化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】
ただし、
、T、T、T、T及びTは、ぞれぞれ独立してCR及びNから選ばれ;
WはCR及びNから選ばれ;
とXはそれぞれ独立してCRから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意に1、2又は3つのRaで置換されたC1-6アルキルから選ばれ;
は、H、及び任意に1、2又は3つのRで置換されたC1-6アルキルから選ばれ;
とRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
とRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH及びC1-6アルキルから選ばれ;
は、-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-及び-4~6員のヘテロシクロアルキル-から選ばれ、前記-C1-3アルキル-、-C3-6シクロアルキル-及び-4~6員のヘテロシクロアルキル-は、任意に1、2又は3つのRで置換され;
は、-C1-3アルキル-、-C1-3アルキル-O-、-N(R)-、-C1-3アルキル-N(R)-及び-O-から選ばれ;
は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、C1-3アルキル及びC1-3アルキル-C=O-から選ばれ、前記C1-3アルキル及びC1-3アルキル-C=O-は、任意に1、2又は3つのRで置換され;
は、H及びC1-3アルキルから選ばれ;
Rは、それぞれ独立してF、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
「*」が付いた炭素原子はキラル炭素原子であり、(R)又は(S)の単一のエナンチオマー、又は1つのエナンチオマーに富む形で存在し;
前記4~6員のヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して-NH-、-O-、-S-及びNから選ばれる1、2、3又は4つのヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む。
【0010】
本発明の一部の形態において、上記Rは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN及びCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記Rは、H及びCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0011】
本発明の一部の形態において、上記R及びRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH及びCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCH及びCHC(=O)から選ばれ、前記CH、CHCH及びCHC(=O)は、任意に1、2又は3つのRで置換され、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0012】
本発明の一部の形態において、上記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHF、CHF、CF、CHCH及びCHC(=O)から選ばれ、他の変数は、本発明で定義されたとおりである。
【0013】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CHCH-、-シクロプロピル-、-シクロブチル-、-シクロペンチル-、-オキサブチル-、-テトラヒドロフラニル-、-テトラヒドロピラニル-、-ピロリジニル-及び-ピペリジニル-から選ばれる、前記-CH-、-CHCH-、-シクロプロピル-、-シクロブチル-、-シクロペンチル-、-オキサブチル-、-テトラヒドロフラニル-、-テトラヒドロピラニル-、-ピロリジニル-及び-ピペリジニル-は、任意に1、2又は3つのRで置換され、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0014】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CH(CH)-、C(CH-、-CHCH-、
【0015】
【化3】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0016】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CHCH-、C(CH-、-CH(CH)-、
【0017】
【化4】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CHCH-、-CH(CH)-、
【0019】
【化5】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0020】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CHCH-、-CHCHO-、-CH(CH)O-、-O-、-NH-、-CHNH-及び-CHO-から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0021】
本発明の一部の形態において、上記構造フラグメント
【0022】
【化6】
は、
【0023】
【化7】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0024】
本発明の一部の形態において、上記構造フラグメント
【0025】
【化8】
は、
【0026】
【化9】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0027】
本発明の一部の形態において、上記構造フラグメント
【0028】
【化10】
は、
【0029】
【化11】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0030】
本発明の一部の形態において、上記構造フラグメント
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
から選ばれ、他の変数は、本発明で定義されたとおりである。
【0033】
本発明はまた、式(I)で表される化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
【化14】
【0035】
ただし、
Tは、CH及びNから選ばれ;
は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、及び任意に1、2又は3つのRaで置換されたC1-6アルキルから選ばれ;
は、H、及び任意に1、2、又は3つのRで置換されたC1-6アルキルから選ばれ; Lは、-C(R)(R)-から選ばれ;
は、-(CH-及び-(CH-O-から選ばれ;
mは、1、2及び3から選ばれ;
nは、それぞれ独立して1、2及び3から選ばれ;
は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
は、H、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれ;
とRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN及び任意に1、2又は3つのRで置換されたC1-3アルキルから選ばれ、
又は、RとRは、一緒に連結して、任意に1、2又は3つのRで置換されたC3-6シクロアルキルを形成し;
Rは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNHから選ばれる。
【0036】
本発明の一部の形態において、上記Rは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN及びCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記Rは、H及びCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0037】
本発明の一部の形態において、上記RとRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN及び任意に1、2又は3つのRで置換されたCH、及びCHCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0038】
本発明の一部の形態において、上記RとRは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHF、CHF、CF及びCHCHから選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0039】
本発明の一部の形態において、上記RとRは一緒に結合して、任意に1、2又は3つのRで置換されたシクロプロピルを形成し、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記Lは-CH-、
【0040】
【化15】
から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
【0041】
本発明の一部の形態において、上記Lは、-CH-、-CHCH-、-CHCH-O-及び-CH-O-から選ばれ、他の変数は本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態は、上記変数の任意の組み合わせからなるものである。
【0042】
本発明の一部の形態において、上記化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる:
【0043】
【化16】
【0044】
ただし、
、R、L及びLは、本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる:
【0045】
【化17】
【0046】
ただし、
、R、W、L及びLは、本発明で定義されたとおりである。
本発明の一部の形態において、上記化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる:
【0047】
【化18】
【0048】
ただし、
nは0と1から選ばれ;
W、R、R、L及びLは、本発明で定義されたとおりである。
【0049】
本発明はまた、下記から選ばれる下記式の化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0050】
【化19】
【0051】
本発明の一部の形態において、上記化合物、その異性体又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる。
【0052】
【化20】
【0053】
本発明はまた、有効成分として治療有効量の上記化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明はまた、Trk、ALK及びRos1キナーゼに関連する疾患を治療するための医薬の調製における、上記化合物又はその薬学的に許容される塩もしくは組成物の使用を提供する。
【0054】
本発明の一部の形態において、上記医薬は、固形腫瘍を治療するための医薬である。
[技術効果]
本発明の化合物は、酵素及び細胞レベルの試験において有意な細胞増殖阻害効果を示し、対応する動物のインビボでの薬効試験において有意な腫瘍阻害効果を示した。
【0055】
[定義と説明]
特に説明しない限り、本願明細書で使用される以下の用語及び連語は、以下の意味を有する。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。
【0056】
本願明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指する。本願明細書で用いられる「薬学的に許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学的判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0057】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物の中性の形態と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アンモニア又はマグネシウムの塩あるいは類似の塩を含む。本発明の化合物に比較的に塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物の中性の形態と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(たとえばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、前記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、前記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、ベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。また、アルギニンなどのアミノ酸の塩やグルクロン酸などの有機酸の塩も含まれる。本発明の一部の特定の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0058】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0059】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、すべてのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物ならびにほかの混合物、たとえばエナンチオマー又はジアステレオマーを多く含有する混合物を含み、すべてのこれらの混合物を本発明の範囲内に含まれる。
【0060】
特に説明しない限り、「エナンチオマー」又は「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係にある立体異性体を指する。
特に説明しない限り、「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」という用語は、二重結合又は環形成炭素原子の単結合が自由に回転できないということによって引き起こされる。
【0061】
特に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」は、分子が2つ以上のキラル中心を有し、分子間の関係が非鏡像関係である立体異性体を指する。
特に説明しない限り、「(D)」又は「(+)」は右旋性、「(L)」又は「(-)」は左旋性、「(DL)」又は「(±)」はラセミ体を意味する。
【0062】
特に説明しない限り、くさび形の実線キー(
【0063】
【化21】
)及びくさび形の破線キー(
【0064】
【化22】
)を用いて、ステレオセンターの絶配置を示し、直線の実線キー(
【0065】
【化23】
)及び直線の破線キー(
【0066】
【化24】
)を用いて、ステレオセンターの相対配置を示す。波線(
【0067】
【化25】
)を用いて、くさび形の実線キー(
【0068】
【化26】
)又はくさび形の破線キー(
【0069】
【化27】
)を示すか、波線(
【0070】
【化28】
)を用いて直線の実線キー(
【0071】
【化29】
)と直線の破線キー(
【0072】
【化30】
)を示す。
【0073】
本発明の化合物は、特異的に存在し得る。特に説明しない限り、「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、室温で、異なる官能基の異性体が動的平衡にあり、迅速に互いに変換できることを意味する。互変異性体が可能な場合(例えば、溶液中など)、互変異性体の化学平衡を達成できる。たとえば、プロトン互変異性体(protontautomer)(プロトトロピック互変異性体(prototropictautomer)とも呼ばれる)には、ケト-エノール異性化やイミン-エンアミン異性化などのプロトン移動による相互変換が含まれる。原子価互変異性体(valencetautomer)には、結合形成電子のいくつかの再結合による相互変換が含まれる。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オンの2つの互変異性体間の相互変換である。
【0074】
特に説明しない限り、「1つの異性体に富む」、「異性体に富む」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマーに富む」という用語は、異性体又はエナンチオマーの1つの含有量が100%未満であり、異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は以上99.9%である。
【0075】
特に説明しない限り、「異性体過剰」又は「エナンチオマー過剰」という用語は、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対パーセンテージの間の差を指する。たとえば、一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が90%で、もう一方の異性体又はエナンチオマーの含有量が10%の場合、異性体又はエナンチオマーの過剰(ee値)は80%である。
【0076】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、キラル合成又はキラル試薬又は他の従来の技術により調製することができる。本発明の化合物のエナンチオマーが望まれる場合、キラル合成又はキラル助剤による誘導体化によって調製することができ、その場合、得られるジアステレオマーの混合物を分離し、補助基を開裂して、純粋な所望のエナンチオマーを提供する。あるいは、分子が塩基性官能基(アミノ基など)又は酸性官能基(カルボキシル基など)を含む場合、ジアステレオマーの塩は適切な光学活性酸又は塩基で形成され、その後、当技術分野で既知の従来の方法によりジアステレオマーが分離され、純粋なエナンチオマーが回収される。さらに、通常、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、キラル固定相を使用するクロマトグラフィーを使用して行われ、必要に応じて化学的誘導体化法(アミンからのカルバメートの形成など)と組み合わせる。本発明の化合物は、当該化合物を構成する一つ又は複数の原子には、非天然の比率の原子同位元素が含まれてもよい。たとえば、三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。別の例として、水素を重水素に置き換えて重水素化薬物を形成することができる。重水素と炭素によって形成される結合は、通常の水素と炭素によって形成される結合よりも強力であった。非重水素化薬物と比較すると、重水素化薬物は毒性の副作用が少なく、薬物の安定性が向上し、有効性を強化し、薬物の生物学的半減期を延長するという利点などがある。本発明の化合物のすべての同位元素の構成の変換は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0077】
「任意の」又は「任意に」とは後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合及びその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0078】
用語「置換された」とは、特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基がケトン基(すなわち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケトン置換は、芳香族基に生じない。用語「任意に置換された」とは、置換されてもよく、置換されていなくてもよく、特別に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意にある。
【0079】
変量(たとえばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れる場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0-2個のRで置換された場合、前記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRが独立の選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0080】
連結基の数が0である場合、例えは-(CRR)-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
そのうちの一つの変量が単結合の場合、それで連結している2つの基が直接連結しており、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0081】
置換基が空いている場合は、置換基が存在しないことを意味し、例えば、A-XにおいてXが空いている場合は、実際にはAであることを意味する。また、挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された基に連結するか明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合してもよく、たとえば、ピリジル基は置換基としてピリジン環における炭素原子のいずれかを通して置換された基に結合してもよい。挙げられた連結基に対してその連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意に、たとえば、
【0082】
【化31】
における連結基Lは-M-W-で、この時-M-W-は左から右への読む順と同様の方向で環Aと環Bを連結して
【0083】
【化32】
を構成してもよく、左から右への読む順と反対の方向で環Aと環Bを連結して
【0084】
【化33】
を構成してもよい。前記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせで安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0085】
特別に定義しない限り、環における原子の数は、通常、環の員数と定義され、たとえば「5~7員環」とは環状に並ぶ5~7個の原子を表する。
特別に定義しない限り、「C1-6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を意味する。前記C1-3アルキルには、C1-5、C1-4、C1-3,C1-2、C2-6、C2-4、C及びCアルキル基などが含まれるが、一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-6アルキルの例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチル及びt-ブチルを含む)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル及びネオペンチルを含む)、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
特別に定義しない限り、「C1-3アルキル」という用語は、1~3つの炭素原子からなる、直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を意味する。前記C1-3アルキルには、C1-2アルキル及びC2-3アルキルなどが含まれるが、一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
特別に定義しない限り、「C3-6シクロアルキル」は、単環式及び二環式であり、3-6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を意味する。前記C3-6シクロアルキルには、C3-5、C4-5及びC5-6のシクロアルキルなどが含まれるが、一価、二価又は多価であってもよい。C3-6シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
特別に定義しない限り、「4~6員ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、又は他の用語と組み合わせて、4-6個の環原子からなる飽和環状基を意味する。ここで、1、2、3又は4個の環原子は、独立してO、S及びNなどのヘテロ原子から選ばれ、残りは炭素原子であり、窒素原子は任意に四級化され、窒素及び硫黄のヘテロ原子は任意に酸化される(すなわち、NO及びS(O)、pが1又は2)。それは、単環式及び二環式環系を含み、二環式環系は、スピロ、縮合、及び架橋環を含む。また、「4-6員ヘテロシクロアルキル基」は、ヘテロシクロアルキル基と他の分子との結合位置にヘテロ原子が存在していてもよい。前記4-6員のヘテロシクロアルキルには、5-6、4、5、及び6員のヘテロシクロアルキルなどが含まれる。4-6員のヘテロシクロアルキル基の例としては、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル(テトラヒドロチオフェン-2-イル及びテトラヒドロチオフェン-3-イルなどを含む)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフラン-2-イルなどを含む)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル(1-ピペリジニルを含む、2-ピペリジニル及び3-ピペリジニルなど)、ピペラジニル(1-ピペラジニル及び2-ピペラジニルなどを含む)、モルホリニル(3-モルホリニル及び4-モルホリニルなどを含む)、ジオキサニル、ジチアジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,2-オキサジニル、1,2-チアジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモピペラジニル、又はホモピペラジニルピリジルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
特別に定義しない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mには、nからn+mの炭素のいずれかが含まれる。たとえば、C1-12には、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、及びC12には、nからn+mまでの任意の範囲も含まれる。たとえば、C1-12には、C1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12などが含まれる。同様に、n員からn+m員は、環の原子数がnからn+mであることを意味する。たとえば、3~12員環には3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、12員環が含まれる。nからn+mの任意の範囲も含まれ、たとえば、3~12員環には、3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環などが含まれる。
【0090】
用語「脱離基」とは別の官能基又は原子で置換反応(たとえば求核置換反応)で置換されてもよい官能基又は原子を指する。たとえば、代表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、塩素、臭素、ヨウ素、たとえばメタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル基、たとえばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基などのアシルオキシ基を含む。
【0091】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素の位置における副反応の防止に適する保護基を指する。代表的なアミノ保護基は、ホルミル基、アルカノイル基(たとえばアセチル基、トリクロロアセチル基又はトリフルオロアセチル基)ようなアシル基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基のようなアルコキシカルボニル基、ベントキシカルボニル(Cbz)基及び9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基のようなアリールメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、トリフェニルメチル(Tr)基、1,1-ビス(4’-メトキシフェニル)メチル基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)基及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応の防止に適する保護基を指する。代表的なヒドロキシ保護基は、メチル基、エチル基及びt-ブチル基のようなアルキル基、アルカノイル基(たとえばアセチル基)ようなようアシル基、ベンジル(Bn)基、p-メトキシベンジル(PMB)基、9-フルオレニルメチル(Fm)基及びジフェニルメチル(DPM)基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)基及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。
【0092】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造するができ、以下挙げられた具体的な実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0093】
本発明に使用される溶媒は市販品として入手可能である。本発明は下記略号を使用する。aqは水を、HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを、EDCはN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を、m-CPBAは3-クロロ過安息香酸を、eqは当量、等量を、CDIはカルボニルジイミダゾールを、DCMはジクロロメタンを、PEは石油エーテルを、DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルを、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを、DMSOはジメチルスルホキシドを、EtOAcは酢酸エチルを、EtOHはエタノールを、MeOHはメタノールを、CBzはアミン保護基のベントキシカルボニル基を、BOCはアミン保護基のt-ブチルカルボニル基を、HOAcは酢酸を、NaCNBHはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを、r.t.は室温を、Rtは保持時間を、O/Nは一晩行うことを、THFはテトラヒドロフランを、BocOはジカルボン酸ジ-t-ブチルを、TFAはトリフルオロ酢酸を、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを、SOCl2は塩化チオニルを、CSは二硫化炭素を、TsOHはp-トルエンスルホン酸を、NFSIはN-フルオロ-N-(ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホニルアミドを、NCSは1-クロロ-2,5-ピロリジンジオンを、n-BuNFはテトラブチルアンモニウムフルオリドを、iPrOHは2-プロパノールを、mpは融点を、LDAはリチウムジイソプロピルアミドを、PPAはポリリン酸を、PPhはトリフェニルホスフィンを、Pd(PPhはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを表する。
【0094】
化合物は人工的に又はChemDraw<登録商標>ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】ヒト結腸癌KM12ヌードマウス異種移植モデルにおける結果を示す図である。p.o. は経口投与を表し、QDは1日1回を表し、BIDは1日2回を示す。
図2】ヒト肺癌LU-01-0414皮下異種移植腫瘍モデルにおける結果を示す図である。POは経口投与を表し、QDは1日1回を表し、BIDは1日2回を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限にもならない。ここで、本発明を詳しく説明し、その具体的な実施例の形態も公開したため、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更や改良を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0097】
実施例1:化合物WX001の合成
【0098】
【化34】
【0099】
工程1:化合物1-2の合成
化合物1-1(15g,96.70mmol,1eq)を酢酸エチル(300mL)に溶解し、2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキサン‐4,6‐ジオン(13.94g,96.70mmol,1eq)、トリエチレンジアミン(1.08g,9.67mmol,1.06mL,0.1eq)及びtert-ブチルN-ヒドロキシカルバメート(12.87g,96.70mmol,1eq)を加えた。得られた反応液を25℃で16時間撹拌した。反応液を水で2回、毎回に200mLで洗浄した後、100mL飽和食塩水で1回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濾液から溶媒を減圧下で除去して粗生成物を得た。粗生成物をカラム(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により精製して、化合物1-2を得た。
【0100】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.98(d,J=2.8Hz,1H),7.52-7.48(m,1H),5.65(dd,J=3.6,10.0Hz,1H),3.95(s,3H),3.33(dd,J=9.6,18.0Hz,1H),2.74(dd,J=3.6,16.0Hz,1H),1.50(s,9H).LCMSm/z=313.3[M+H]
【0101】
工程2:化合物1-3の合成
化合物1-2(21.40g,68.53mmol,1eq)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウム(4.48g,205.58mmol,3eq)をゆっくりと加え、25℃で0.1時間攪拌した。反応液に水200mLを加え、酢酸エチルで2回、1回に50mLで抽出した。合併した有機相を100mLの飽和食塩水で洗浄し、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濾液をスピン乾燥させて、粗化合物1-3を得た。
【0102】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.88(d,J=3.2Hz,1H),7.67-7.64(dd,J=2.8,8.8Hz,1H),5.46-5.42(m,1H),3.91(s,3H),3.86-3.71(m,2H),2.24-2.14(m,1H),2.08-2.00(m,1H),1.41(s,9H).LCMSm/z=317.3[M+H]
工程3:化合物1-4の合成
化合物1-3(14.52g,45.90mmol,1eq)とトリフェニルホスフィン(30.10g,114.76mmol,2.5eq)をテトラヒドロフラン(150mL)に溶解し、得られた反応液を氷水浴で5℃に冷却した。次に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(27.85g,137.71mmol,26.77mL,3eq)を滴下し、滴下後、氷浴を外し、25℃で0.1時間攪拌した。反応液をスピン乾燥し、残留物をカラム(石油エーテル:酢酸エチル=50:1~30:1~10:1~5:1)で精製し、化合物1-4を得た。
【0103】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.88(d,J=3.2Hz,1H),7.52-7.50(m,1H),5.38-5.35(m,1H),4.13-4.03(m,1H),3.94(s,3H),3.89-3.82(m,1H),2.84-2.76(m,1H),2.12-2.03(m,1H),1.50(s,9H).LCMSm/z=299.3[M+H]
工程4:化合物1-5の合成
化合物1-4(3.00g,10.06mmol,1eq)を塩化水素メタノール溶液(4M,12.57mL,5eq)に溶解し、25℃で3時間撹拌した。反応液をスピン乾燥して、化合物1-5を得た。
【0104】
HNMR(400MHz,CDOD)δ:8.17(d,J=2.8Hz,1H),7.81-7.79(m,1H),5.21(t,J=8.0Hz,1H),4.60-4.54(m,1H),4.40-4.32(m,1H),4.04(s,3H),2.96-2.80(m,2H).LCMSm/z=199.3[M+H]
工程5:化合物1-6の合成
長いチューブに、5-クロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(1.92g,8.52mmol,1eq)、化合物1-5(2.20g,9.38mmol,1.1eq)及びn-ブタノール(5mL)を順次に加えた。次いでN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.61g,51.14mmol,8.91mL,6eq)を加え、得られた反応液を90℃で3.5時間撹拌した。反応液を濃縮し、水30mLを加えた後、酢酸エチル30mLで抽出した。有機相を分離し、飽和食塩水20mLで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、ろ液から溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラム(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~10:1~5:1~2:3)で精製して、化合物1-6を得た。
【0105】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:8.48(d,J=7.6Hz,1H),8.39(s,1H),7.92(d,J=3.2Hz,1H),7.58-7.55(m,1H),7.03(d,J=7.6Hz,1H),6.06(dd,J=5.2,8.8Hz,1H),4.33-4.24(m,2H),4.22-4.18(m,1H),4.01(s,3H),3.93-3.87(m,1H),2.94-2.90(m,1H),2.36-2.30(m,1H),1.27(t,J=6.8Hz,3H).LCMSm/z=388.3[M+H]
工程6:化合物1-7の合成
化合物1-6(3.9g,10.07mmol,1eq)をアセトニトリル(100mL)に溶解し、ヨウ化ナトリウム(4.53g,30.20mmol,3eq)を加え、トリメチルクロロシラン(3.28g,30.20mmol,3.83mL,3eq)を攪拌しながら滴下した。滴下した後、得られた反応液を窒素保護下、75℃で0.5時間攪拌還流した。反応液に水50mLを加えて固体を析出させ、濾過し、フィルターケーキを40℃で真空乾燥して、化合物1-7を得た。
【0106】
HNMR(400MHz,CDOD)δ:8.69(d,J=7.6Hz,1H),8.30(s,1H),7.63-7.60(m,1H),7.38(t,J=3.2Hz,1H),7.10(d,J=5.6,1H),5.79-5.75(m,1H),4.26-4.19(m,2H),2.98-2.90(m,1H),2.35-2.29(m,1H),1.25(t,J=7.2Hz,3H).LCMSm/z=374.3[M+H]
工程7:化合物1-8の合成
化合物1-7(0.6g,1.61mmol,1eq)とトリエチルアミン(442.34mg,4.37mmol,608.45μL、2.72eq)を無水ジクロロメタン(20mL)に溶解し、氷浴で5℃に冷却して、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.22g,4.31mmol,710.64μL、2.68eq)を滴下した。滴下した後、反応液を自然に25℃に昇温し、窒素保護下で2時間攪拌した。反応系を水20mL,飽和食塩水15mLで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して乾燥剤を除去し、ろ液をスピン乾燥して化合物1-8を得た。
【0107】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:8.53(d,J=7.6Hz,1H),8.43(s,1H),8.14(d,J=2.8Hz,1H),7.87(dd,J=2.8,7.6Hz,1H),7.05(d,J=7.2Hz,1H),6.10(dd,J=5.6,8.8Hz,1H),4.37-4.24(m,3H),3.95-3.88(m,1H),3.12-3.04(m,1H),2.50-2.41(m,1H),1.28(t,J=7.2Hz,3H).LCMSm/z=506.3[M+H]
【0108】
工程8:化合物1-9の合成
化合物1-8(3.00g,5.94mmol,1eq)を水(60mL)とトルエン(120mL)の混合物に溶解し、ジイソプロピルアミン(1.50g,14.84mmol,2.10mL,2.5eq)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(833.28mg,1.19mmol,0.2eq)及びヨウ化第一銅(226.10mg,1.19mmol,0.2eq)を加え、最後に化合物(R)-N-BOC-3-アミノ-1-ブチン(4.02g,23.74mmol,4eq)を加えた。得られた反応液を窒素保護下で100℃で16時間反応させた。反応液をろ過し、フィルターケーキを酢酸エチル20mLで洗浄し、ろ液を集め、有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、ろ液をスピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物をカラム(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~5:1~1:1)で精製し、化合物1-9を得た。
【0109】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:8.52(dJ=7.6Hz,1H),8.38(d,J=3.6Hz1H),8.36-8.33(m,1H),7.65-7.62(m,1H),7.05(t,J=7.6Hz,1H),6.44-6.38(m,1H),5.76-5.54(brs,1H),4.91-4.76(m,1H),4.36-4.24(m,2H),3.93-3.83(m,1H),3.08-3.04(m,1H),2.41-2.29(m,1H),1.60-1.54(m,3H),1.43(s,9H),1.32-1.29(m3H).LCMSm/z=525.5[M+H]
工程9:化合物1-10の合成
化合物1-9(1.1g,2.10mmol,1eq)をエタノール(20mL)に溶解し、パラジウム/炭素(2.10mmol,10%純度、1eq)及び炭酸ナトリウム(444mg,4.19mmol,2eq)を加えた。反応液を水素で置換した後、水素圧15psi、温度25℃で1.5時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ液をスピン乾燥して、712mgの粗生成物を得た。調製プレートにより分離精製(石油エーテル:酢酸エチル=1:1.5)して、化合物1-10を得た。直接に次の反応に使用する。
【0110】
LCMSm/z=529.5[M+H]
工程10:化合物1-11の合成
化合物1-10(10mg,18.92μmol,1eq)をメタノール(1mL)に溶解し、調製した水酸化ナトリウム溶液(3M,37.84μL、6eq)及び水(0.04mL)を加えた。得られた反応液を60℃で1.5時間攪拌した。同じバッチの反応液の8つのポットを合わせ、1mol/Lの希塩酸でpH7に中和し、スピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィーにより分離して、化合物1-11を得た。
【0111】
LCMSm/z=501.2[M+H],401.4[M-100+H]
工程11:化合物1-12の合成
化合物1-11(8.6mg,17.18μmol,1eq)を塩化水素の酢酸エチル溶液(3M,0.6mL,104.76eq)に溶解し、20℃で1時間攪拌した。同じバッチの別のポットからの反応液を組み合わせてスピン乾燥し、化合物1-12を得た。粗生成物を直接に次の反応に使用する。
【0112】
LCMSm/z=401.3[M+H]
工程12:化合物WX001の合成
化合物1-12(13.8mg,34.47μmol,1eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、ペンタフルオロフェニルジフェニルホスファート(19.86mg,51.70μmol,1.5eq)を加え、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(11.14mg,86.16μmol,15.01μL,2.5eq)をさらに加え、25℃で1時間攪拌した。反応液にジクロロメタン30mLを加え、10mL×3の水で溶媒を洗浄した。有機相をスピン乾燥し、130mLのメチルtert-ブチルエーテルに溶解し、10mL×3の水で洗浄した。有機相を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をHPLC(塩酸系)で分離し、化合物WX001の塩酸塩を得た。
【0113】
HNMR(400MHz,CDOD)δ:8.83(s,1H),8.79(d,J=7.2Hz,1H),8.29(s,1H),7.05(d,J=7.2Hz,1H),6.24-6.21(m,1H),4.63(t,J=7.2Hz,1H),4.30-4.25(m,1H),3.96-4.03(m,1H),3.84-3.78(m,1H),3.35-3.30(m,2H),3.20-3.13(m,1H),2.50-2.69(m,2H),2.04-1.99(m,1H),1.44(d,J=6.4Hz,3H).LCMSm/z=385.2[M+H]
【0114】
化合物001の塩酸塩をメタノールに溶解し、撹拌しながら塩基性樹脂(モデル:AmberliteIRA-400)を加えた。0.5時間後、PH計によりアルカリ性が検出され、樹脂を濾別して除去し、濃縮乾固して、化合物WX001を得た。
【0115】
実施例2-4:化合物WX002、WX002A及びWX002Bの合成
【0116】
【化35】
【0117】
工程1-6:実施例1の工程1~工程6を参照して、化合物1-2~化合物1-7を合成する。
工程7:化合物2-8の合成
化合物1-7をメタノール(30mL)に溶解し、調製された水酸化ナトリウム(385.68mg,9.64mmol,4eq)の水(3mL)溶液を加え、得られた反応液を窒素保護下で60℃で攪拌しながら16時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、2M塩酸溶液でpHを約7に調整した後、直接的にスピン乾燥して化合物2-8を得、直接に次の工程に使用する。
【0118】
LCMSm/z=346.2[M+H]
工程8:化合物2-9の合成
化合物2-8をN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、次にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(449.36mg,3.48mmol,605.60μL、3.5eq)とO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,N-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(453.26mg,1.19mmol,1.2eq)を加え、0.5時間攪拌してから、(1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピルアミノ塩酸塩(159.59mg,1.29mmol,1.3eq、HCl)を加えた。反応液を25℃で3時間反応させた後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液80mLに注いだ。その後、ジクロロメタン60mL×3で抽出し、有機相を合併して60mL×3飽和食塩水で洗浄した後、有機相を適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して乾燥剤を除去し、ろ液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に水2mLを加え、凍結乾燥して化合物2-9を得、直接に次の反応に使用する。
【0119】
LCMSm/z=415.3[M+H]
工程9:化合物WX002A及びWX002Bの合成
化合物2-9(200mg,482.64μmol,1eq)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、次にトリ-n-ブチルホスフィン(195.29mg,965.28μmol,238.16μL、2eq)を加え、得られた反応液を0℃に冷却した。その後、アゾジカルボキシジピペリジン(243.55mg,965.28μmol,2eq)を加え、25℃で4時間反応させた。別のバッチと合併した後、反応液を直接吸引して乾燥させた。残留物を順番に、フラッシュシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=0~90%)、分取用プレート(酢酸エチル:メタノール=10:1)で精製し、化合物WX002を得た。WX002はSFCにより分離した(カラム:DAICELCHIRALCELOD-H(250mm*30mm,5μm)、移動相:A(CO)及びB(メタノール、0.1%アンモニア水を含む)、勾配:B%=32%~32%、7.5分、WX002A及びWX002Bを得た。
【0120】
WX002A:HNMR(400MHz,CDCl)δ:9.27(s,1H),8.42(d,J=7.6Hz,1H),8.30(s,1H),7.97(d,J=2.8Hz,1H),7.59-7.57(m,1H),6.79(d,J=8.0Hz,1H),6.11(t,J=8.4Hz,1H),4.88(d,J=10.8Hz,1H),4.53(t,J=8.0Hz,1H),.33.97-3.90(m,1H),3.84(d,J=10.8Hz,1H),3.08-3.01(m,1H),2.60-2.46(m,1H),2.39-2.33(m,1H),1.48-1.42(m,1H),0.95-0.90(m,1H),0.87-0.81(m,1H).LCMSm/z=397.3[M+H]
SFC(カラム:ChiralcelOD-3,3μm,0.46cmid×10cmL;移動相:A(CO)及びB(MeOH、0.05%イソプロピルアミンを含む);勾配:B%=5~40%、5分;流速:4.0mL/min;波長:220nm;圧力:100bar、Rt=2.14min、キラル異性体100%過剰。
【0121】
WX002B:HNMR(400MHz,CDCl)δ:9.27(s,1H),8.41(d,J=7.6Hz,1H),8.30(s,1H),7.97(d,J=2.8Hz,1H),7.59-7.56(m,1H),6.79(d,J=7.6Hz,1H),6.13-6.09(m,,1H),4.88(dd,J=10.8,1.6Hz,1H),4.53(t,J=8.0Hz,1H),3.97-3.90(m,1H),3.84(d,J=10.8Hz,1H),3.08-3.01(m,1H),2.60-2.49(m,1H),2.39-2.33(m,1H),1.48-1.42(m,1H),0.96-0.90(m,1H),0.87-0.81(m,1H).LCMSm/z=397.3[M+H]
SFC(カラム:ChiralcelOD-3,3μm,0.46cmid×10cmL;移動相:A(CO)及びB(MeOH、0.05%イソプロピルアミンを含む);勾配:B%=5-40%、5分;流速:4.0mL/min;波長:220nm;圧力:100bar、Rt=2.49分、キラル異性体の過剰100%。
【0122】
実施例5-6:化合物WX003A、WX003Bの合成
【0123】
【化36】
【0124】
工程1:化合物3-2の合成
化合物3-1(20g,142.74mmol,1eq)とイミダゾール(19.44g,285.49mmol,2eq)をジクロロメタン(250mL)に溶解し、次にtert-ブチルジメチルクロロシラン(25.82g,171.29mmol,20.99mL,1.2eq)のジクロロメタン(30mL)溶液を0℃でゆっくりと滴下した。滴下した後、自然に25℃に上げて15時間反応させた。イミダゾール(9.72g,142.74mmol,1eq)とtert-ブチルジメチルクロロシラン(10.76g,71.37mmol,8.75mL,0.5eq)を追加し、続いて25℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mLに注ぎ、ジクロロメタンで、毎回300mLで抽出した。有機相を合併し、飽和食塩水で3回、毎回に200mLで洗浄した。有機相を分離し、適切な量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して乾燥剤を除去し、そして濾液を濃縮乾燥させて、粗生成物を得た。粗生成物をカラムにより精製して、化合物3-2を得た。
【0125】
HNMR:(400MHz,CDCl)δ:10.39-10.37(m,1H),7.46(dd,J=3.2,8.0Hz,1H),7.20-7.11(m,1H),6.87-6.85(m,H),1.01(s,9H),0.26(dd,J=2.4,3.6Hz,6H).
工程2:化合物3-3の合成
化合物3-2を酢酸エチル(450mL)に溶解し、次に2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(13.48g,93.56mmol,1eq)、N-ヒドロキシカルバミン酸tert-ブチル(12.46g,93.56mmol,1eq)及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1.05g,9.36mmol,1.03mL,0.1eq)を加えた。得られた反応液を窒素保護下、25℃で18時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を水(50mL)及び飽和食塩水(50mL×2)で洗浄した。有機相を適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過して乾燥剤を除去し、濾液を濃縮乾燥して黄色の粗油状物を得た。粗生成物をカラムにより精製して、化合物3-3を得た。
【0126】
HNMR:(400MHz,CDCl)δ:7.16(dd,J=3.2,9.2Hz,1H),6.92-6.87(m,1H),6.77(dd,J=4.8,8.8Hz,1H),5.75(dd,J=3.2,9.6Hz,1H),3.31-3.25(m,1H),2.71(dd,J=3.2,17.6Hz,1H),1.51(s,9H),1..01(s,9H),0.27(d,J=12.4Hz,6H).LCMSm/z=434[M+23],311.9[M-100+H]
工程3:化合物3-4の合成
化合物3-3(2.01g,4.88mmol,1eq)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、水素化ホウ素リチウム(319.18mg,14.65mmol,3eq)を加え、得られた反応液を12℃で0.5時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム10mLをゆっくり加え、反応を停止させた。攪拌を20分間続け、酢酸エチルを加えて抽出した(50mL×3)。有機相を合併し、適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を濃縮乾燥させて、化合物3-4を得た。
【0127】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.50(brs,1H),7.42-7.32(m,1H),6.87-6.77(m,1H),6.76-6.63(m,1H),5.53-5.42(m,1H),3.90-3.71(m,2H),3.25(brs,1H),2.32-2.16(m,1H),2.10-2.01(m,1H),1.44-1.36(m,9H),1.07-0.98(m,9H),0.27(d,J=1.2Hz,6H).LCMSm/z=438.1[M+23],316[M-100+H]
工程4:化合物3-5の合成
化合物3-4(23g,55.35mmol,1eq)とトリフェニルホスフィン(36.29g,138.36mmol,2.5eq)を無水テトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、得られた溶液を0~5℃に冷却した。次に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(33.57g,166.04mmol,32.28mL,3eq)を滴下した。滴下した後、氷浴を外し、25℃で4時間反応させた。反応終了後、濾過して濾液を濃縮乾燥し、黄色の油性液体を得た。120mLの混合溶媒(酢酸エチル/石油エーテル=1:8)をそれに加え、均一に攪拌し、静置して濾過し、フィルターケーキを50mLの混合溶媒(酢酸エチル/石油エーテル=8:1)で洗浄し、濾液を集め、濃縮乾燥して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムにより精製して、化合物3-5を得た。
【0128】
HNMR(400MHz,CDCl)δ:7.17(dd,J=3.2,9.6Hz,1H),6.87-6.75(m,1H),6.74-6.66(m,1H),5.43(dd,J=4.4,8.4Hz,1H),4.08-4.02(m,1H),3.92(q,J=8.0Hz,1H),2.83-2.68(m,1H),2.19-2.08(m,1H),1.47(s,9H),1.03(s,9H),0.26(d,J=10.8Hz,6H).LCMSm/z=420.0[M+23],297.9[M-100+H]
工程5:化合物3-6の合成
化合物3-5(2.03g,5.11mmol,1eq)を酢酸エチル(20mL)に溶解し、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M,7.66mL,6eq)を加え、得られた反応液を14℃で撹拌しながら5時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル/石油エーテル(10:1)(10mL)の混合溶液に完全に分散させ、濾過により固体を収集し、40℃で真空乾燥して、化合物3-6を得た。
【0129】
HNMR:(400MHz,DMSO-d)δ:7.32-7.26(m,1H),7.18-7.05(m,1H),7.00-6.88(m,1H),5.03-4.93(m,1H),4.36-4.26(m,1H),4.15-4.05(m,1H),2.84-2.71(m,1H),2.42-2.29(m,1H),1.00(s,9H),0.27(d,J=3.2Hz,6H).LCMSm/z=297.9[M+H]
【0130】
工程6:化合物3-7の合成
化合物3-6(1.43g,4.28mmol,1eq)と5-クロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(1.06g,4.71mmol,1.1eq)をジメチルスルホキシド(15mL)に加え、次にトリエチルアミン(1.30g,12.85mmol,1.79mL,3eq)を加え、得られた反応液を窒素保護下で75℃で18時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮乾燥した。残留物を酢酸エチル200mLに溶解し、水(30mL×3)、飽和食塩水(30mL)で洗浄した。有機相を適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を濃縮乾燥して、粗製の黄色の固体を得た。粗生成物に、10mLの酢酸エチル及び10mLの石油エーテルを加えてスラリー化し、濾過により固体を収集し、40℃で真空乾燥して、化合物3-7を得た。
【0131】
HNMR:(400MHz,CDCl)δ:8.55(s,1H),8.39(d,J=8.0Hz,1H),8.33(s,1H),7.10-7.01(m,2H),6.95-6.91(m,1H),6.85(d,J=7.6Hz,1H),5.97(t,J=7.2Hz,1H),4.58-4.38(m,3H),4.04-3.93(m,1H),2.97-2.71(m,2H),1.41(t,J=7.2Hz,3H).LCMSm/z=373.0[M+H]
工程7:化合物3-8の合成
化合物3-7(300mg,805.69μmol,1eq)、化合物(1-tert-ブトキシカルボニルアミノ)シクロプロピルメチルメタンスルホネート(277.90mg,1.05mmol,1.3eq)及び炭酸セシウム(525.02mg(1.61mmol,2eq)をN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)に加え、得られた反応液を80℃で5時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、セライトでろ過し、ろ液を水(20mL×3)で洗浄し、有機相を適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して乾燥剤を除去し、ろ液を濃縮乾燥して粗生成物を得た。粗生成物をカラムにより精製して、化合物3-8を得た。
【0132】
HNMR (400MHz,CDCl) δ:8.45(d,J=7.6Hz,1H),8.34(s,1H),7.21(dd,J=2.9,9.2Hz,1H),7.02(d,J=7.6Hz,1H),6.94-6.87(m,1H),6.84-6.78(m,1H),6.30-6.22(m,1H),5.91(brs,1H),4.38-4.25(m,2H),4.19-4.01(m,2H),3.97-3.80(m,1H),2.95-2.82(m,1H),2.48-2.37(m,1H),1..70-1.57(m,14H),1.07-0.78(m,4H).LCMSm/z=542.3[M+H]
工程8:化合物3-9の合成
化合物3-8(150mg,276.97μmol,1eq)をメタノール(3mL)に溶解し、水酸化ナトリウム溶液(2M,830.92μL、6eq)を加え、得られた反応液を60℃で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮乾燥し、残留物に水(5mL)を加えて十分に攪拌して溶解させた後、1M塩酸でpH=4~5に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合併し、適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去した。濾液を濃縮乾燥して、粗化合物3-9を得た。
【0133】
LCMSm/z=514.1[M+H]
工程9:化合物3-10の合成
化合物3-9(143mg,278.47μmol,1eq)を酢酸エチル(3mL)に溶解した後、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M,69.62μL,1eq)を加え、得られた反応液を13℃で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮乾燥して、生成物3-10を得た。
【0134】
LCMSm/z=414.1[M+H]
工程10:化合物3-11の合成
化合物3-10(128mg,309.63μmol,1eq)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(200.09mg,1.55mmol,269.66μL,5eq)を混合溶媒のジクロロメタン(20mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に加え、次にペンタフルオロフェニルジフェニルホスファート(154.66mg,402.51μmol,1.3eq)を加え、得られた反応液を25℃で4時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液に3M炭酸ナトリウム水溶液(3mL)を加えて5分間攪拌した後、酢酸エチル(100mL)を加えて抽出した。水層を分離し、有機相を飽和食塩水(15mL×3)で洗浄し、適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して乾燥剤を除去し、ろ液を濃縮乾燥させて、コーヒー色の油性液体を得た。粗生成物をカラム(酢酸エチル/石油エーテル=0~45%)により精製して、化合物3-11を得た。
【0135】
LCMSm/z=396.1[M+H]
工程11:化合物WX003A及びWX003Bの合成
化合物3-11(180mg,455.25μmol,1eq)を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により分離して(カラム:Phenomenex-Amylose-1(250mm×30mm,5μm);移動相:A(CO)及びB(エタノール、0.1%アンモニア水を含む);勾配:B%=40%~40%、10分)、化合物WX003A及びWX003Bを得た。
【0136】
WX003A:HNMR(400MHz,CDCl)δ:9.51(s,1H),8.40(d,J=7.2Hz,1H),8.30(s,1H),7.21(dd,J=3.2,9.2Hz,1H),6.99-6.93(m,1H),6.83-6.75(m,2H),6.37-6.30(m,1H),4.53(t,J=7.6Hz,1H),4.41(dd,J=2.0,9.2Hz,1H),3.93-3.85(m,1H),3.73(d,J=9.2Hz,1H),3.08-2.97(m,1H),2.65-2.53(m,2H),1.32-1.28(m,1H),0.93-0.82(m,2H).LCMSm/z=396.2[M+H]
SFC(カラム:ChiralpakAD-3150×4.6mmI.D.,3μm,移動相:A(CO)及びB(エタノール、0.05%ジエチルアミンを含む);勾配:B%=40%、6分、流速:2.5mL/min;カラム温度:35℃)、Rt=3.689min、異性体過剰100%。
【0137】
WX003B:1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:9.51(s,1H),8.40(d,J=7.2Hz,1H),8.30(s,1H),7.21(dd,J=3.2,9.2Hz,1H),6.99-6.93(m,1H),6.83-6.75(m,2H),6.37-6.30(m,1H),4.53(t,J=7.6Hz,1H),4.41(dd,J=2.0,9.2Hz,1H),3.93-3.85(m,1H),3.73(d,J=9.2Hz,1H),3.08-2.97(m,1H),2.65-2.53(m,2H),1.32-1.28(m,1H),0.93-0.82(m,2H).LCMSm/z=396.2[M+H]+.
SFC(カラム:ChiralpakAD-3150×4.6mmI.D.,3μm;移動相:A(CO)及びB(エタノール、0.05%ジエチルアミンを含む);勾配:B%=40%、6min;流速:2.5mL/min;カラム温度:35℃)、Rt=4.561min、異性体過剰99.74%。
【0138】
実施例2の工程1~9の合成方法を参照して、下記表の各実施例を合成した。下記表の各実施例のSFC条件は、イソキサゾリル基のキラル炭素の分離条件であり、構造式中、残りのキラル炭素は、合成プロセスにおいて対応する原料から直接に導入されたものである。
【0139】
【表1】
【0140】
実施例3の工程1~11の合成方法を参考にして、下記表の各実施例を合成した。
【0141】
【表2】
【0142】
実験例1:TrkA、TrkC、ALK、Ros1などのキナーゼに対する化合物の阻害活性
TrkA、TrkC、ALK、Ros1などのキナーゼに対する化合物の阻害活性試験は、ReactionBiologyCorp.社によって行われた。反応バッファー(20mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM NaVO、2mM DTT、1%DMSO)中に、特定の濃度の基質、補酵素因子、キナーゼ及び試験化合物(10個用量、3倍連続希釈、2%DMSO最終濃度)を順次に加えて混合し、混合物を室温で20分間インキュベートし、特定の濃度の33P-ATPを反応液に追加して、反応を開始させ、室温で120分間インキュベートした。最後に、反応物の放射能を濾過-結合の方法により検出した。最終的なキナーゼ活性は、DMSO対照群のキナーゼ活性に占める試料中の残りのキナーゼ活性の割合で表される。線量効果曲線をGraphPadソフトウェアでフィッティングして、IC50を計算した。結果を表1に示した。
【0143】
【表3】
【0144】
結果は、本発明の化合物は、多種類のキナーゼ及びそれらの突然変異体において高いキナーゼ阻害活性を示し、多種類のキナーゼにおいてゲートキーパー領域の突然変異(gatekeeper)と溶媒先端領域の突然変異(solvent front mutation)とDFG領域の突然変異に対する強い阻害活性を示した。
【0145】
実験例2:細胞増殖に対する化合物の阻害活性
アデノシン三リン酸(AdenosineTri-Phosphate,ATP)は、自然界のさまざまな生命活動に共有されるエネルギー担体であり、エネルギーの貯蔵と転移の最小単位である。CellTiter-GloTM生細胞検出キットは検出物質としてルシフェラーゼを使用していた。ルシフェラーゼは発光の過程でATPの関与を必要とする。CellTiter-GloTM試薬を細胞培養培地に添加して、発光値を測定し、光信号は体系内のATPの量に比例しているが、ATPは生細胞の数に正相関した。したがって、CellTiter-Gloキットを使用してATP含有量を検出することにより、細胞の増殖を検出できる。本試験では、細胞株がBa/F3 LMNA-NTRK1-WTの安定したトランスフェクト細胞株で、5000細胞/ウェルである。
【0146】
IC50測定過程:
1.細胞培養と播種
a)対数増殖期にある細胞を採取し、血小板カウンターを使用して細胞をカウントした。トリパンブルー排除法を使用して細胞生存率を検出し、細胞生存率が90%を超えていることを確認した。
【0147】
b)細胞濃度を調整した。それぞれ細胞懸濁液90μLを96ウェルプレートに加えた。
c)96ウェルプレート中の細胞を37℃、5%CO、湿度95%で置き、一晩培養した。
【0148】
2.薬物の希釈と投与
a)10倍濃度の薬物溶液を準備し、最高濃度は10μM,9つ濃度、3倍希釈(付録Iを参照)、細胞が播種された96ウェルプレートの各ウェルに10μLの薬物溶液を追加し、各薬物濃度ごとに3つの穴を設けた。
【0149】
b)薬剤を添加した96ウェルプレート中の細胞を37℃、5%CO、湿度95%の条件で72時間培養し続き、その後CTG(細胞増殖状況)分析を行った。
3.終点の読み取り
a)CellTiter-GloTM試薬を解凍し、細胞プレートを室温で30分間平衡化した。
【0150】
b)各ウェルに等体積のCellTiter-GloTM試薬を加えた。
c)定軌道振とう台で5分間振動させ、細胞を分解させた。
d)細胞プレートを室温で20分間置き、発光シグナルを安定させた。
【0151】
e)発光値を読み取った。
4.データ処理
GraphPadPrism5.0ソフトウェアを使用してデータを分析し、非線形Sカーブ回帰を使用してデータをフィッティングし、線量効果曲線を取得し、これからIC50値を計算した。データを表2に示した。
【0152】
【表4】
【0153】
結果は、本発明の化合物は、Ba/F3LMNA-NTRK1-WTの安定したトランスフェクト細胞株に対して高い細胞増殖阻害活性を示している。同時に、Ba/F3 LMNA-NTRK1-F589L、Ba/F3 LMNA-NTRK1-G595R、BaF3 ETV6-NTRK3-G623R、Ba/F3 SLC34A2-ROS1-WT、及びBa/F3 SLC34A2-ROS1-G2032Rの安定したトランスフェクト細胞株株では、高い細胞増殖阻害活性を示している。
【0154】
実験例3:化合物のマウスのインビボでのcassette薬物動態試験
実験目的:試験動物として7~9週齢の雄CD-1マウスを使用し、LC/MS/MS法を使用して、単回静脈内注射(IV)及び胃内(PO)cassetteで、WX002A、TPX0005、Entrectinib(RXDX-101)及びLarotrectinib(LOXO-101)を投与した後、各時点での血漿及び特定の組織におけるWX002A、TPX0005、Entrectinib(RXDX-101)及びLarotrectinib(LOXO-101)の薬物濃度を測定して、本発明の化合物のマウスのインビボでの薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特性を評価した。
【0155】
薬物調製:IV(静脈内注射)群及びPO(経口投与)群への投与のために、5%DMSO+10%solutol+85%水を溶媒として、WX002A、TPX0005、Entrectinib(RXDX-101)、及びLarotrectinib(LOXO-101)を透明な溶液とした。各化合物の投与量はIV 1mg/kgであり、投与体積は2mL/kgであり;PO投与量は3mg/kgであり,投与体積は3mL/kgであった。
【0156】
薬物動態学的パラメータの結果を表3に示した。
【0157】
【表5】
【0158】
結果は、WX002Aは、マウスでの薬物動態学的特性が優れていることを示している。TPX0005、Entrectinib(RXDX-101)及びLarotrectinib(LOXO-101)と比較して、同じ投与量での経口投与後のWX002Aの総暴露量としては、投与した0.5時間後と2時間後に脳内と脳脊髄液のCSFにおける暴露量はいずれもTPX0005、Entrectinib(RXDX-101)、及びLarotrectinib(LOXO-101)の対応する暴露量より著しく高いことを示している。
【0159】
実験例4:化合物のマウスのインビボでの薬物動態試験
実験の目的:試験動物として7~9週齢の雄CD-1マウスを使用し、LC/MS/MS法を使用して、単回静脈内注射(IV)及び経口投与(PO)で、化合物を投与した後、各時点での血漿における化合物の薬物濃度を測定して、本発明の化合物のマウスのインビボでの薬物動態学的挙動を研究し、その薬物動態学的特性を評価した。
【0160】
薬物調製:IV(静脈内注射)群及びPO(経口投与)群への投与のために、5%DMSO+10%solutol+85%水を溶媒として、化合物を透明な溶液と調製した。各化合物の投与量はIV 3mg/kgであり;PO投与量は10mg/kgであった。
【0161】
薬物動態学的パラメータの結果を表4に示した。
【0162】
【表6】
【0163】
結果は、経口投与後の本発明の複数の化合物の総暴露量、ピーク濃度、及びバイオアベイラビリティが、同じ投与量でのLarotrectinib(LOXO-101)及びLOXO-195より著しく優れており、優れた薬物動態学的特性を示している。
【0164】
実験例5:化合物のマウスのインビボでの薬効試験
実験の目的:BALB/Cマウスモデルにおけるヒト結腸癌細胞株KM12細胞皮下異種移植腫瘍におけるWX002Aなどの試験薬物のインビボでの薬効を評価する。
【0165】
薬物調製:PO(経口投与)群への投与のために、5%DMSO+10%solutol+85%水を溶媒として、化合物を透明な溶液とした。
腫瘍の測定:週に2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5A×bであり、ここで、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を表する。化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)によって評価された。TGI(%)は、腫瘍成長阻害率を反映する。TGI(%)=[(1-(特定の治療群での投与終了時の平均腫瘍体積-該治療群での投与開始時の平均腫瘍体積))/(溶媒対照群での治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群での治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。結果を図1に示した。
【0166】
統計分析:統計分析は、試験終了時の相対腫瘍体積と腫瘍重量に基づいてSPSSソフトウェアを使用して分析した。一元配置分散分析(one-wayANOVA)を使用して、複数の群間の比較を分析した。分散が均一である(F値が有意差がない)場合は、Tukeyの方法を使用して分析した。分散が均一でない(F値が有意な差がある)場合は、Games-Howell法を使用して検定した。P<0.05は有意な差があると見なされた。
【0167】
実験結果:ヒト結腸癌KM12ヌードマウス異種移植モデルでは、試験物質WX002Aは3mg/kgの低用量で有意な抗腫瘍効果を示し、抗腫瘍効果は、用量効果依存傾向(低用量群に対して高用量群P<0.05)を示した。3mg/kgの用量でのWX002Aの抗腫瘍効果(T/C=33.18%、TGI=71.23%)は、化合物LOXO-101の高用量群(60mg/kg)の抗腫瘍効果(T/C=34.20%、TGI=69.73%)に相当した(P>0.05)。15mg/kg(T/C=15.63%、TGI=88.61%)の用量でのWX002Aの抗腫瘍効果は、LOXO-101高用量群(60mg/kg)(T/C=34.20%、TGI=69.73%)よりも優れており、化合物TPX-0005の高用量群(3mg/kg)の抗腫瘍効果(T/C=16.80%、TGI=87.46%)に相当した(P>0.05)。
【0168】
実験例6:化合物のマウスのインビボでの薬効試験
実験の目的:BALB/Cマウスモデルにおけるヒト肺癌LU-01-0414皮下異種移植腫瘍におけるWX002Aなどの試験薬のインビボでの薬効を評価する。
【0169】
薬物の調製:PO(経口投与)群への投与のために、5%DMSO+10%solutol+85%水を溶媒として、化合物すべてを透明な溶液とした。
腫瘍の測定:週に2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5A×bであり、ここで、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を示す。化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)によって評価された。TGI(%)は、腫瘍成長阻害率を反映する。TGI(%)=[(1-(特定の治療群での投与終了時の平均腫瘍体積-該治療群での投与開始時の平均腫瘍体積))/(溶媒対照群での治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群での治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%。結果を図2に示した。
【0170】
統計分析:統計分析は、試験終了時の相対腫瘍体積と腫瘍重量に基づいてSPSSソフトウェアを使用して分析した。one-wayANOVAを使用して、複数の群間の比較を分析した。分散が均一である(F値が有意差がない)場合は、Tukeyの方法を使用して分析した。分散が均一でない(F値が有意な差がある)場合は、Games-Howell法を使用して検定した。P<0.05は有意差があると見なされた。
【0171】
実験結果:ヒト肺癌LU-01-0414皮下異種移植腫瘍に14日間投与した後、WX002Aは、3、15、30mg/kgBIDなどの3つの濃度では、いずれも腫瘍成長阻害効果を示しており、T/Cはそれぞれ9.57%、3.07%及び1.87%であり、TGIはそれぞれ118.02%、126.88%及び128.36%であり、溶媒対照群と比較して、すべてP<0.0001であった。Crizotinibは、30及び50mg/kg QD投与群でT/C=10.32%、4.89%、TGI=117.67%、124.09%であった。溶媒対照群と比較して、Crizotinibも有意な抗腫瘍効果を有した。上記結果は、ヌードマウスのヒトLU-01-0414肺癌異種移植腫瘍モデルにおいて、WX002Aが3mg/kgの低用量でも有意な抗腫瘍効果を示し、WX002Aが3mg/kgの用量で、30mg/kgでのCrizotinibの抗腫瘍効果に相当することを示した(p>0.05)。
図1
図2