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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】エアレスポンプ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230802BHJP
   B05B 11/00 20230101ALN20230802BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019121983
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008284
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出口 治
(72)【発明者】
【氏名】上澤 駿
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6364284(JP,B2)
【文献】特開2016-049494(JP,A)
【文献】特許第4790077(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0255073(US,A1)
【文献】特開2000-070775(JP,A)
【文献】米国特許第06533482(US,B1)
【文献】特公昭48-020042(JP,B1)
【文献】特開2001-088856(JP,A)
【文献】特開2001-179139(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第0367711(KR,Y1)
【文献】特開2008-136947(JP,A)
【文献】実開平05-051787(JP,U)
【文献】実開平05-072754(JP,U)
【文献】実開平03-038174(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
F16K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から液体を吐出するエアレスポンプであって、
液体を収容する容器と、
該容器に取着されて該液体に浸漬され、該液体に浸漬される側の端部で該液体中に開口する開口部を備える中空筒状のシリンダと、
該シリンダの内壁に沿って摺動自在の中空筒状のピストンと、
該ピストンに設けられ該ピストンの内部と該シリンダの内部とを連通又は遮断する弁機構と、
側面に設けられた吐出口と、該吐出口と該ピストンの内部とを連通する導液路とを備え、該ピストンを該シリンダ方向に押圧するアクチュエーターと、
該シリンダ内に配設され、該弁機構を介して該ピストンと該アクチュエーターとを該シリンダから離間する方向に付勢する第1のスプリングと、
該シリンダ内で該シリンダの該開口部を開閉するボール弁と、
該シリンダ内に配設され、該ボール弁を該開口部方向に付勢する第2のスプリングとを備え、
該第2のスプリングの基端部は、シリンダの径が変化する箇所であるテーパ状部分と、第1のスプリングの基部との間に挟持されていることを特徴とするエアレスポンプ。
【請求項2】
請求項1記載のエアレスポンプにおいて、前記ピストンは一方の端部が前記アクチュエーターに取着された第1のピストンと、一方の端部が該第1のピストンの内壁に摺接し、所定の間隔を存して第1のピストンに接続される第2のピストンとを備え、
前記弁機構は、該第2のピストンと、一方の端部が該第1のピストンに当接され、他方の端部が該第2のピストンの内部に配設される中実の円柱状部材とからなり、該円柱状部材は前記第1のスプリングの付勢力により該シリンダから離間する方向に移動されたときに該第2のピストンの内壁に当接されて該第2のピストンの内部と該シリンダの内部とを遮断し、該第1のスプリングの付勢力に抗して該シリンダ方向に移動されたときに該第2のピストンの内壁から離間して該第2のピストンの内部と該シリンダの内部とを連通することを特徴とするエアレスポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に収容された化粧品やシャンプー等の液体を該容器から吐出するエアレスポンプが知られている。
【0003】
従来のエアレスポンプは、例えば、液体を収容する容器に取着された中空筒状のシリンダと、該シリンダの内壁に沿って摺動自在の中空筒状のピストンと、該ピストンに設けられ該ピストンの内部と該シリンダの内部とを連通又は遮断する弁機構と、該ピストンを該シリンダ方向に押圧するアクチュエーターと、該シリンダ内に配設され、該弁機構を介して該ピストンと該アクチュエーターとを該シリンダから離間する方向に付勢するスプリングとを備えている。前記シリンダは、一方の端部が前記液体に浸漬され、該液体に浸漬される側の端部で該液体中に開口する開口部と、該開口部を開閉するボール弁とを備えている。また、前記アクチュエーターは、側面に前記液体を吐出する吐出口を備える一方、該吐出口と前記ピストンの内部とを連通する導液路を備えている。
【0004】
前記エアレスポンプを使用するときには、前記シリンダの内部が前記容器に収容されている液体により満たされている状態において、前記アクチュエーターを前記スプリングの付勢力に抗して前記シリンダ方向に押圧する。前記アクチュエーターを前記シリンダ方向に押圧すると、前記ピストンが該シリンダ内に圧入される一方、前記弁機構が開弁して該ピストンの内部と該シリンダの内部とが連通される。
【0005】
ここで、前記容器が前記エアレスポンプを上方に向けた正立又は正立に近い状態とされているときには、前記ボール弁が重力により前記シリンダの開口部を閉塞しているので、該シリンダの内部を満たしている前記液体が該シリンダ内に圧入される前記ピストンにより圧縮され、前記弁機構を介して該ピストンの内部に流入し、さらに前記導液路を経て前記吐出口から外部に吐出される。
【0006】
また、前記液体が吐出された後、前記アクチュエーターの押圧を解除すると、前記ピストンと該アクチュエーターが前記スプリングの付勢力により前記シリンダから離間する方向に付勢され、前記弁機構が閉弁して該ピストンの内部と該シリンダの内部とを遮断する一方、該ピストンと該アクチュエーターが押圧される前の位置に復帰する。このようにすると、前記シリンダの内部は、前記容器の内部に対して、吐出された前記液体の容積分だけ負圧になるので、前記ボール弁が該シリンダの内に吸引されて前記開口部が開放され、該容器に収容されている前記液体が該開口部から該シリンダ内に流入する。そして、前記容器内の圧力と前記シリンダ内の圧力とが等しくなると、再び前記ボール弁が重力により前記開口部を閉塞し、次回の液体の吐出が準備される。
【0007】
しかし、前記従来のエアレスポンプでは、前記ボール弁が重力により前記開口部を閉塞するので、前記容器が倒立又は倒立に近い状態とされていると、前記ボール弁が前記開口部を閉塞することができず、前記アクチュエーターを押圧しても前記液体を十分に吐出することができないという問題がある。前記問題は、容器がチューブ状であってそれ自体自立性を備えていない場合に著しい。
【0008】
そこで、前記問題を解決するために、前記ピストンと前記アクチュエーターとを前記シリンダから離間する方向に付勢するスプリングを第1のスプリングとする一方、前記ボール弁を前記開口部方向に付勢する第2のスプリングを備えるエアレスポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6364284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1記載のエアレスポンプによれば、前記第2のスプリングに付勢された前記ボール弁により前記開口部が閉塞されるので、前記容器がどのような姿勢であっても前記アクチュエーターを押圧することにより前記液体を吐出することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献1記載のエアレスポンプでは、前記第2のスプリングの基部を前記シリンダ内に保持するための保持部材が必要であり、部品点数が多くなるという不都合がある。
【0012】
本発明は、かかる不都合を解消して、前記容器がどのような姿勢であっても前記アクチュエーターを押圧することにより前記液体を吐出することができ、しかも部品点数を低減することができるエアレスポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明のエアレスポンプは、容器から液体を吐出するエアレスポンプであって、液体を収容する容器と、該容器に取着されて該液体に浸漬され、該液体に浸漬される側の端部で該液体中に開口する開口部を備える中空筒状のシリンダと、該シリンダの内壁に沿って摺動自在の中空筒状のピストンと、該ピストンに設けられ該ピストンの内部と該シリンダの内部とを連通又は遮断する弁機構と、側面に設けられた吐出口と、該吐出口と該ピストンの内部とを連通する導液路とを備え、該ピストンを該シリンダ方向に押圧するアクチュエーターと、該シリンダ内に配設され、該弁機構を介して該ピストンと該アクチュエーターとを該シリンダから離間する方向に付勢する第1のスプリングと、該シリンダ内で該シリンダの該開口部を開閉するボール弁と、該シリンダ内に配設され、該ボール弁を該開口部方向に付勢する第2のスプリングとを備え、該第2のスプリングの基端部は、シリンダの径が変化する箇所であるテーパ状部分と、第1のスプリングの基部との間に挟持されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のエアレスポンプでは、前記シリンダの内部が前記容器に収容されている液体により満たされている状態において、前記アクチュエーターを前記スプリングの付勢力に抗して前記シリンダ方向に押圧すると、前記ピストンが該シリンダ内に圧入される一方、前記弁機構が開弁して該ピストンの内部と該シリンダの内部とが連通される。
【0015】
ここで、本発明のエアレスポンプでは、前記ボール弁が前記第2のスプリングにより前記シリンダの開口部方向に付勢され、該開口部を閉塞しているので、前記容器がどのような姿勢であっても、該シリンダの内部を満たしている前記液体が該シリンダ内に圧入される前記ピストンにより圧縮され、前記弁機構を介して該ピストンの内部に流入し、さらに前記導液路を介して前記吐出口から外部に吐出される。
【0016】
また、前記液体が吐出された後、前記アクチュエーターの押圧を解除すると、前記ピストンと該アクチュエーターが前記スプリングの付勢力により前記シリンダから離間する方向に付勢され、前記弁機構が閉弁して該ピストンの内部と該シリンダの内部とを遮断する一方、該ピストンと該アクチュエーターが押圧される前の位置に復帰する。このようにすると、前記シリンダの内部は、前記容器の内部に対して、吐出された前記液体の容積分だけ負圧になるので、前記ボール弁が該シリンダの内に吸引されて前記開口部が開放され、該容器に収容されている前記液体が該開口部から該シリンダ内に流入する。そして、前記シリンダが前記液体で満たされ、前記容器内の圧力と前記シリンダ内の圧力とが等しくなると、再び前記ボール弁が前記第2のスプリングにより前記シリンダの開口部方向に付勢されて該開口部を閉塞し、次回の液体の吐出が準備される。
【0017】
このとき、本発明のエアレスポンプによれば、前記第2のスプリングの基端部は、前記シリンダの径が変化する箇所であるテーパ状部分と、前記第1のスプリングの基部との間に挟持されており、該第2のスプリングの基部を該シリンダ内に保持するための保持部材を必要としないので、部品点数を低減することができる。
【0018】
本発明のエアレスポンプにおいて、前記弁機構は前記ピストンに設けられ該ピストンの内部と前記シリンダの内部とを連通又は遮断することができるものであればどのようなものであってもよいが、例えば、前記ピストンは一方の端部が前記アクチュエーターに取着された第1のピストンと、一方の端部が該第1のピストンの内壁に摺接し、所定の間隔を存して第1のピストンに接続される第2のピストンとを備え、該弁機構は、該第2のピストンと、一方の端部が該第1のピストンに当接され、他方の端部が該第2のピストンの内部に配設される中実の円柱状部材とからなり、該円柱状部材は前記第1のスプリングの付勢力により該シリンダから離間する方向に移動されたときに該第2のピストンの内壁に当接されて該第2のピストンの内部と該シリンダの内部とを遮断し、該第1のスプリングの付勢力に抗して該シリンダ方向に移動されたときに該第2のピストンの内壁から離間して該第2のピストンの内部と該シリンダの内部とを連通することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のエアレスポンプの一構成例を示す説明的断面図。
図2】Aは図1に示すエアレスポンプにおける円柱状部材の構成を示す斜視図、BはAのIIB-IIB線断面図。
図3図1に示すエアレスポンプにおいて、アクチュエーターが押圧された状態を示す説明的断面図。
図4図1に示すエアレスポンプにおいて、アクチュエーターがさらに押圧された状態を示す説明的断面図。
図5図1に示すエアレスポンプにおいて、液体の吐出後にアクチュエーターの押圧が解除された状態を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のエアレスポンプは、液体を収容する容器1に取着された中空筒状のシリンダ2と、中空筒状の第1のピストン3と、一方の端部が第1のピストン3の内壁に摺接し、所定の間隔S1,S2を存して第1のピストン3に接続される第2のピストン4と、一方の端部が第1のピストン3の内壁に当接され、他方の端部が第2のピストン4の内部に配設される中実の円柱状部材5と、第1のピストン3をシリンダ2方向に押圧するアクチュエーター6と、シリンダ2内に配設され、円柱状部材5を介して第1のピストン3、第2のピストン4及びアクチュエーター6をシリンダ2から離間する方向に付勢する第1のスプリング7とを備えている。
【0022】
シリンダ2は、一方の端部が容器1に収容された前記液体に浸漬され、該液体に浸漬される側の端部で該液体中に開口する開口部2aと、開口部2aを開閉するボール弁8と、シリンダ2内に配設され、ボール弁8を開口部2a方向に付勢する第2のスプリング9とを備える。第2のスプリング9の基端部9aは、シリンダ2の径が変化する箇所であるテーパ状部分と第1のスプリング7の基部7aとの間に挟持されている。
【0023】
シリンダ2は、容器1の首部1aに設けられた容器開口部1bから容器1内に挿入されており、容器開口部1bに設けられたシリンダ保持部材10に保持されている。シリンダ保持部材10は、容器開口部1bを囲む外周壁部10aと、外周壁部10aの内周側に外周壁部10aとの間に所定の間隔を存して連設され、端部が容器開口部1bから容器1内に挿入される内周壁部10bと、外周壁部10aの容器1側の端部から外方に延出されたフランジ部10cとを備える。シリンダ保持部材10はフランジ部10cが、首部1aの端面と、首部1aに外嵌された外筒管11から内方に突出するフランジ押さえ部11aとの間に挟持されることにより、首部1aの端面に固定され、外周壁部10aと内周壁部10bとの間にシリンダ2の容器開口部1bから突出する端部を保持している。
【0024】
第1のピストン3は、アクチュエーター6側に設けられた小径部3aと小径部3aのシリンダ2側に連設された大径部3bとからなり、小径部3aの内部に設けられた第1の空洞部3cと、大径部3bの内部に設けられ第1の空洞部3cに連通する第2の空洞部3dと、大径部3bの内部に設けられ第2の空洞部3dのシリンダ2側に連通する第3の空洞部3eとを備えている。第2の空洞部3dは第1の空洞部3cより大径であり、第3の空洞部3eは第2の空洞部3dよりさらに大径である。
【0025】
第2のピストン4は、第1のピストン3の第3の空洞部3eの内壁に摺接する小径部4aと、小径部4aのシリンダ2側に連設され小径部4aより大径の第1の大径部4bと、第1の大径部4bのシリンダ2側に連設され第1の大径部4bよりさらに大径の第2の大径部4cとを備える。第1の大径部4bはシリンダ保持部材10の内周壁部10bの内壁に摺接し、第2の大径部4cはシリンダ2の内壁に摺接している。
【0026】
また、第2のピストン4は、小径部4aと、第1のピストン3の第2の空洞部3d及び第3の空洞部3eの段差との間に間隙S1を存し、小径部4a及び第1の大径部4bの段差と第1のピストン3の大径部3bとの間に間隙S2を存して、第1のピストン3に接続している。この結果、第1のピストン3と第2のピストン4とにより、シリンダ2の内壁に沿って摺動自在の中空筒状のピストンが形成されている。
【0027】
円柱状部材5は、第1のスプリング7により付勢されることにより、アクチュエーター6側の端部が第1のピストン3の第2の空洞部3dに当接されており、シリンダ2側の端部が第2のピストン4の内部に配設されている。円柱状部材5は、図2Aに示すように、シリンダ2側の端部の外周面から、第2のピストン4の第1の大径部4bの内壁との間に所定の間隙を存して外方に突出するフランジ部5aと、外周面のフランジ部5aよりアクチュエーター6側の部分に長さ方向に沿って形成された複数の溝部5bとを備える。本実施形態では、円柱状部材5は、図2Bに示すように、外周面に等間隔で形成された3本の溝部5を備えている。
【0028】
また、円柱状部材5は、第1のスプリング7の付勢力によりシリンダ2から離間する方向(アクチュエーター6方向)に移動されたときに、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面が第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差に当接されて第2のピストン4の内部とシリンダ2の内部とを遮断する。一方、円柱状部材5は、第1のスプリング7の付勢力に抗してシリンダ2方向に移動されたときに、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面が第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差から離間して第2のピストン4の内部とシリンダ2の内部とを連通する。この結果、第2のピストン4と円柱状部材5とにより、第1のピストン3と第2のピストン4とから形成されるピストンの内部とシリンダ2の内部とを連通又は遮断する弁機構が形成されている。
【0029】
アクチュエーター6は、側面に前記液体を吐出する吐出口6aを備える一方、吐出口6aと第1のピストン3の第1の空洞部3cとを連通する導液路6bを備え、導液路6bは第1のピストン3の小径部3aに外嵌されている。また、アクチュエーター6は、外筒管11とシリンダ保持部材10の外周壁部10aとの間に進退自在とされたスカート部6cを備え、スカート部6cの内周側にはシリンダ保持部材10を収容可能な空洞部6dを備えている。
【0030】
次に、本実施形態のエアレスポンプの作動について説明する。
【0031】
本実施形態のエアレスポンプにより容器1に収容されている液体を吐出するときには、図1に示す初期状態で、まず、アクチュエーター6をシリンダ2方向に押圧する。尚、図1に示す初期状態では、シリンダ2には液体が満たされており、第2のスプリング9に開口部2a方向に付勢されるボール弁8により開口部2aが閉塞されている。
【0032】
図1に示す初期状態で、アクチュエーター6をシリンダ2方向に押圧すると、図3に示すように、第1のピストン3の第2の空洞部3d及び第3の空洞部3eの段差が第2のピストン4の小径部4aに当接する一方、第1のピストン3の大径部3bが第2のピストン4の小径部4a及び第1の大径部4bの段差に当接し、間隔S1,S2が解消される。このとき、円柱状部材5はアクチュエーター6側の端部が第1のピストン3の第2の空洞部3dに当接されているので、アクチュエーター6により第1のピストン3を介してシリンダ2方向に押圧される。
【0033】
そこで、円柱状部材5は第1のスプリング7の付勢力に抗してシリンダ2方向に移動し、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面が第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差から離間し、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面と、第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差との間に、間隔S1又は間隔S2に相当する間隙が形成される。この結果、第1のピストン3及び第2のピストン4の内部とシリンダ2の内部とが連通される。
【0034】
次に、アクチュエーター6をシリンダ2方向に押圧し、図4に示すように、スカート部6cが外筒管11とシリンダ保持部材10の外周壁部10aとの間に進入し、フランジ押さえ部11aに当接される。このようにすると、シリンダ保持部材10が空洞部6dに収容される一方、第2のピストン4及び円柱状部材5が、アクチュエーター6の移動した長さに相当する長さで、第1のスプリング7の付勢力に抗してシリンダ2内に圧入される。このとき、シリンダ2ではボール弁8が第2のスプリング9に付勢されて開口部2aを閉塞しているので、シリンダ2内の液体が第2のピストン4及び円柱状部材5により圧縮され、シリンダ2内に圧入された第2のピストン4及び円柱状部材5の容積に相当する量の液体が、フランジ部5aと第2のピストン4の第1の大径部4bの内壁と間隙から、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面と、第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差との間に形成された間隙を介して、円柱状部材5の溝部5bに流入し、さらに第1のピストン2の第2の空洞部3d、第1の空洞部3c、アクチュエーター6の導液路6bを経て、吐出口6aから外部に吐出される。
【0035】
本実施形態のエアレスポンプでは、上述のようにして液体が吐出されたならば、アクチュエーター6の押圧を解除する。このようにすると、図5に示すように、まず、円柱状部材5が第1のスプリング7の付勢力によりシリンダ2から離間する方向(アクチュエーター6方向)に移動され、フランジ部5aのアクチュエーター6側の端面が第2のピストン4の内部の小径部4a及び第1の大径部4bの段差に当接され、第2のピストン4の内部とシリンダ2の内部とを遮断する。次いで、円柱状部材5に押圧された第1のピストン3及び第2のピストン4がシリンダ2から離間する方向に移動され、さらにアクチュエーター6がシリンダ2から離間する方向に移動されて、図1に示す位置に復帰する。
【0036】
このようにすると、シリンダ2の内部は、容器1の内部に対して吐出された液体の容積分だけ負圧になるので、ボール弁8が第2のスプリング9の付勢力に抗してシリンダ2内に吸引され、ボール弁8による開口部2aの閉塞が解除される。ボール弁8による開口部2aの閉塞が解除されると、容器1に収容されている液体が開口部2aからシリンダ2内に流入する。そして、シリンダ2内が液体で満たされ、容器1内の圧力とシリンダ2内の圧力とが等しくなると、再びボール弁8が第2のスプリング9により開口部2a方向に付勢されて開口部2aを閉塞し、図1に示す初期状態に復帰し、次回の液体の吐出が準備される。
【0037】
本実施形態のエアレスポンプは、ボール弁8が第2のスプリング9に付勢されて開口部2aを閉塞するので、容器1がどのような姿勢であっても、液体を吐出することができる。従って、本実施形態のエアレスポンプは、容器1がそれ自体自立性を備えていないチューブ状である場合に特に有利に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…容器、 2…シリンダ、 3…第1のピストン、 4…第2のピストン、 5…円柱状部材、 6…アクチュエーター、 7…第1のスプリング、 8…ボール弁、 9…第2のスプリング。
図1
図2
図3
図4
図5