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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】シートユニット
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20230802BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20230802BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20230802BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20230802BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20230802BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20230802BHJP
【FI】
B60N2/02
B60N3/06
A47C7/50 A
A47C7/14 B
A47C7/72
B60N2/90
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018084216
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2018188137
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2017090297
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(72)【発明者】
【氏名】大島 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 勇貴
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020558(JP,A)
【文献】特開2011-000219(JP,A)
【文献】特開2002-240616(JP,A)
【文献】特開昭61-155034(JP,A)
【文献】特開2006-143122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を支持する乗員支持部と、
前記乗員支持部を構成する複数の部分をそれぞれ移動させる複数の可動機構と、
前記複数の可動機構のそれぞれの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させる際、前記複数の可動機構ごとにそれぞれ現在状態から目標状態に移行する移動量を算出し、前記移動量から前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させるための所要時間を計算し、
前記複数の可動機構は、移行に要する前記所要時間が最も長い第1可動機構を有し、
前記制御部は、
前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させるための前記所要時間に基づいて、前記複数の可動機構のうち前記第1可動機構以外の他の可動機構の移動開始タイミング前記第1可動機構の移動開始タイミングよりも後になり、且つ、前記第1可動機構の移行が完了するまでに移行が完了するように、前記複数の可動機構のそれぞれの移行開始タイミングを設定し、前記第1可動機構が現在状態から目標状態に移行が完了するまでに、前記複数の可動機構のうち前記第1可動機構以外の他の可動機構の移行を完了させることを特徴とするシートユニット。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の可動機構をそれぞれ現在状態から目標状態に移行を完了させるタイミングを略同じとすることを特徴とする請求項1に記載のシートユニット。
【請求項3】
前記複数の可動機構が、前記乗員支持部をスライド移動させるスライド機構を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシートユニット。
【請求項4】
前記乗員支持部は、シートバックと、オットマンと、をさらに備え、
前記複数の可動機構は、前記シートバックを移動させるバック可動機構と、前記オットマンを移動させるオットマン可動機構と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシートユニット。
【請求項5】
前記オットマンと、他の部材との距離を検出する距離センサをさらに備え、
前記制御部は、前記距離センサによる検出結果に基づいて、前記オットマンが他の部材と干渉しないように、前記オットマン可動機構を制御することを特徴とする請求項に記載のシートユニット。
【請求項6】
前記乗員支持部は、回転移動可能なシートクッションをさらに備え、
前記制御部は、前記シートクッションが回転移動する際に、前記距離センサによる検出結果に基づいて、前記オットマンが他の部材に干渉しないように、前記オットマン可動機構を制御することを特徴とする請求項5に記載のシートユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記シートクッションが回転移動する際に、前記シートクッションの前端が後端よりも高くなるように前記シートクッションのチルト角を制御することを特徴とする請求項に記載のシートユニット。
【請求項8】
前記乗員支持部は、サイドサポートをさらに備え、
前記サイドサポートは、前記シートバックの回動動作の際に、乗員の体を支えるよう突出することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載のシートユニット。
【請求項9】
乗員から音声入力を受け付ける音声入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記音声入力部により受け付けた音声入力に応じて前記可動機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシートユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを構成する複数の部分をそれぞれ移動させる複数の可動機構を備えるシートユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のシートには、シートバック、シートクッション、オットマンを備えたものが知られている(特許文献1を参照)。こうした車両用シートにおいては、シートバック、シートクッション、オットマンの姿勢(位置や向き)が調整可能となっている。
【0003】
また、特許文献1に記載の発明では、車両への乗降を容易に行えるようにするために、シートバックの前倒しと、シートクッションの側部に設けられたサイドサポート部や前部を上下動させるチルト部の格納動作を連動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-58811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乗物用シートに着座者が乗ったまま、乗物用シートのシートバックを後傾させて着座者をリラックスさせるようにシートを変形させる場合もある。これに対し、特許文献1に記載の発明では、サイドサポート部やチルト部の格納動作が完了した後にシートバックの移動が完了するようにシートの各部を移動(回動)させており、シートの変形が完了するまでに要する時間が長かった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートを構成する複数の可動部を現在の状態から目標の状態に移行完了させるまでに要する時間を短縮できるシートユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明に係るシートユニットによれば、乗員を支持する乗員支持部と、前記乗員支持部を構成する複数の部分をそれぞれ移動させる複数の可動機構と、前記複数の可動機構のそれぞれの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させる際、前記複数の可動機構ごとにそれぞれ現在状態から目標状態に移行する移動量を算出し、前記移動量から前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させるための所要時間を計算し、前記複数の可動機構は、移行に要する前記所要時間が最も長い第1可動機構を有し、前記制御部は、前記複数の可動機構のそれぞれを現在状態から目標状態に移行させるための前記所要時間に基づいて、前記複数の可動機構のうち前記第1可動機構以外の他の可動機構の移動開始タイミング前記第1可動機構の移動開始タイミングよりも後になり、且つ、前記第1可動機構の移行が完了するまでに移行が完了するように、前記複数の可動機構のそれぞれの移行開始タイミングを設定し、前記第1可動機構が現在状態から目標状態に移行が完了するまでに、前記複数の可動機構のうち前記第1可動機構以外の他の可動機構の移行を完了させることにより解決される。
上記のシートユニットによれば、複数の可動機構のうち最も移行の所要時間の長い第1可動機構による状態移行が完了するまでに他の可動機構の移行を完了させることができる。これにより、シートを構成する複数の可動部を現在の状態から目標の状態に移行完了させるまでに要する時間を短縮できる。
また、こうすることで、複数の可動機構の移行開始のタイミングを精度良く設定できる。
【0008】
上記のシートユニットにおいて、前記制御部は、前記複数の可動機構をそれぞれ現在状態から目標状態に移行を完了させるタイミングを略同じとするとよい。
こうすることで、シートの変形が完了したことを着座者に分かりやすく伝えることができる。
【0010】
上記のシートユニットにおいて、前記複数の可動機構が、前記乗員支持部をスライド移動させるスライド機構を有するとよい。
こうすることで、乗員支持部をスライド移動させるスライド機構による状態移行の完了タイミングを適切に制御することができる。
【0011】
上記のシートユニットにおいて、前記乗員支持部は、シートバックと、オットマンと、をさらに備え、前記複数の可動機構は、前記シートバックを移動させるバック可動機構と、前記オットマンを移動させるオットマン可動機構と、を有するとよい。
こうすることで、シートバック、オットマンの状態移行の完了タイミングを適切に制御することができる。
【0012】
上記のシートユニットにおいて、前記オットマンと、他の部材との距離を検出する距離センサをさらに備え、前記制御部は、前記距離センサによる検出結果に基づいて、前記オットマンが他の部材と干渉しないように、前記オットマン可動機構を制御するとよい。
こうすることで、オットマンが他の部材にぶつからないように制御することができる。
【0013】
上記のシートユニットにおいて、前記乗員支持部は、回転移動可能なシートクッションをさらに備え、前記制御部は、前記シートクッションが回転移動する際に、前記距離センサによる検出結果に基づいて、前記オットマンが他の部材に干渉しないように、前記オットマン可動機構を制御するとよい。
こうすることで、シートクッションが回動する際に、オットマンが他の部材にぶつからないように制御することができる。
【0014】
上記のシートユニットにおいて、前記制御部は、前記シートクッションが回転移動する際に、前記シートクッションの前端が後端よりも高くなるように前記シートクッションのチルト角を制御するとよい。
こうすることで、シートクッションが回動する際に、シートクッションから乗員が移動しやすいように乗員をサポートできる。
【0015】
上記のシートユニットにおいて、前記乗員支持部は、サイドサポートをさらに備え、前記サイドサポートは、前記シートバックの回動動作の際に、乗員の体を支えるよう突出するとよい。
こうすることで、シートバックが回動する際に、乗員の体が安定するように支持できる。
【0016】
上記のシートユニットにおいて、乗員から音声入力を受け付ける音声入力部をさらに備え、前記制御部は、前記音声入力部により受け付けた音声入力に応じて前記可動機構を動作させるとよい。
こうすることで、乗員が可動機構を操作する労力を軽減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートを構成する複数の可動部を現在の状態から目標の状態に移行完了させるまでに要する時間を短縮できる。
本発明によれば、シートの変形が完了したことを着座者に分かりやすく伝えることができる。
本発明によれば、複数の可動機構の移行開始のタイミングを精度良く設定できる。
本発明によれば、シートをスライド移動させるスライド機構による状態移行が完了するまでに他の可動機構の移行を完了させることができる。
本発明によれば、シートバック、オットマンの状態移行の完了タイミングを適切に制御することができる。
本発明によれば、オットマンが他の部材にぶつからないように制御することができる。
本発明によれば、シートクッションが回動する際に、オットマンが他の部材にぶつからないように制御することができる。
本発明によれば、シートクッションが回動する際に、シートクッションから乗員が移動しやすいように乗員をサポートできる。
本発明によれば、シートバックが回動する際に、乗員の体が安定するように支持できる。
本発明によれば、乗員が可動機構を操作する労力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る車両用シートユニットの斜視図である。
図2】車両用シートユニットの構成を模式的に示す側面図である。
図3】ECUの制御対象を示す図である。
図4】車両用シートユニットを搭載した車両の車内空間を模式的に示す図である。
図5】車両の三列目シートを畳んだ状態を示す図である。
図6】二列目の車両用シートユニットを倒れ姿勢に変形した状態を示す図である。
図7】車両用シートユニットの起立姿勢を示す図である。
図8】車両用シートユニットの変形途中の状態を示す図である。
図9】車両用シートユニットの変形途中の状態を示す図である。
図10】車両用シートユニットの変形途中の状態を示す図である。
図11】シートの姿勢変形時のスライド機構、バック可動機構、クッション可動機構、オットマン可動機構の動作のタイミングチャートである。
図12】変形例に係る車両用シートユニットを示す図である。
図13】変形例に係る車両用シートユニットを示す図である。
図14】変形例に係るヘッドレストを示す図である。
図15】変形例に係るヘッドレストを示す図である。
図16】変形例に係るヘッドレストを示す図である。
図17A】回転前の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図17B】回転前の車両用シートユニットの側面を模式的に示す図である。
図18A】回転後の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図18B】回転後の車両用シートユニットの側面を模式的に示す図である。
図19A】回転前の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図19B】回転前の車両用シートユニットの側面を模式的に示す図である。
図20A】回転後の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図20B】回転後の車両用シートユニットの側面を模式的に示す図である。
図21A】回転前の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図21B】回転後の車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図22】車両用シートユニットのオットマンとインストルメントパネルとの干渉を防止する動作を説明する図である。
図23A】起立姿勢のときの車両用シートユニットに対するモニタ装置の位置を模式的に示す図である。
図23B】倒れ姿勢のときの車両用シートユニットに対するモニタ装置の位置を模式的に示す図である。
図24A】起立姿勢のときの車両用シートユニットに対するシートベルトのアンカーの位置を模式的に示す図である。
図24B】倒れ姿勢のときの車両用シートユニットに対するシートベルトのアンカーの位置を模式的に示す図である。
図25A】左右に並ぶ車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図25B】側面衝突時の左右に並ぶ車両用シートユニットの上面を模式的に示す図である。
図26】変形例に係る車両用シートユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1乃至図26を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る車両用シートユニット1について説明する。車両用シートユニット1は、本発明のシートユニットを車両用のシートに適用したものであるが、シートユニットは車両に限らず、他の乗物用のシートに対しても適用可能である。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートユニット1の着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。
「シート幅方向」とは、車両用シートユニット1の横幅方向を意味し、車両用シートユニット1の着座者から見たときの左右方向と一致する。
また、「上下方向」とは、車両用シートユニット1の高さ方向を意味し、車両用シートユニット1を正面から見たときの上下方向と一致する。
【0021】
<<車両用シートユニット1の構成>>
まず、図1乃至図3を参照しながら、車両用シートユニット1の構成について説明する。
車両用シートユニット1は、自動車に搭載される、乗員が着座可能なシートである。なお、本実施形態においては、車の3列目シートにおける第1列目のシート(フロントシート)や、第2列目のシート(ミドルシート)に本発明に係る乗物用シートユニットを適用した例として説明する。
そして、本実施形態に係る車両用シートユニット1は、シートバック10が起立した起立姿勢から、シートバック10が後傾した倒れ姿勢の少なくとも二つの状態に変形可能である。なお、車両用シートユニット1が起立姿勢にある状態では、乗員は車両用シートユニット1に対して通常の立位姿勢(例えば運転姿勢)をとる。一方で、車両用シートユニット1が倒れ姿勢にある状態では、乗員は車両用シートユニット1に対して中立姿勢をとる。
【0022】
図1乃至図3に示されるように、車両用シートユニット1は、乗員が着座する車両用シートとしてのシート本体Sと、シート本体Sの各部の動作を制御する制御部としてのECU40(Electronic Control Unit)と、各種センサと、を備える。
なお、図1は、車両用シートユニット1が倒れ姿勢である状態の斜視図を示し、図2は、車両用シートユニット1が起立姿勢である状態の側面図を模式的に示したものである。
【0023】
シート本体Sは、乗員支持部S1と複数の可動機構とを備える。具体的には、乗員支持部S1は、シートバック10、シートクッション11、オットマン12、ヘッドレスト13、ネックレスト14、支持部材32、及びアームレスト33を備える。
また、複数の可動機構は、乗員支持部S1を構成する複数の部分を動かす機構であり、具体的には、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17、ヘッドレスト可動機構18、ネックレスト可動機構19、スライド機構20を備える。
【0024】
シートバック10は、乗員の背を後方から支持し、不図示のフレームにクッション材を支持させて当該クッション材を表皮で覆うことで構成されている。
【0025】
なお、本実施形態に係るシートバック10は、上下二分割されており、シートバック上部10a及びシートバック下部10bを有する。シートバック上部10aは、乗員の背のうち、胸部と同じ高さに位置する部分を支持する。シートバック下部10bは、乗員の背のうち、腹部から腰部に亘る部分を支持する。
また、シートバック10は、バック可動機構15により、シートクッション11に対して後傾するように移動(厳密には回動)することが可能である。
【0026】
バック可動機構15は、シートバック10の倒れ角度が変わるようにシートバック10を移動(回動)させる機構であり、例えば、モータ駆動の電動リクライニング機構によって構成されている。バック可動機構15が動作することでシートバック10とシートクッション11を連結する軸部材を中心として、シートバック10が回動する。
【0027】
シートクッション11は、乗員の臀部を下方から支持し、不図示のフレームにクッション材を載せて当該クッション材を表皮で覆うことで構成されている。シートクッション11の後端部は、シート幅方向に沿って延びた軸を介して、シートバック10の下端部(厳密には、シートバック下部10bの下端部)と連結している。
【0028】
また、本実施形態に係るシートクッション11は、クッション可動機構16により、その前端部が上下方向に昇降するように回動することが可能である。
【0029】
クッション可動機構16は、シートクッション11の前端部が昇降するようにオットマン12を移動(回動)させる機構であり、例えば、ジャッキ型の電動リフト機構によって構成されている。クッション可動機構16が動作することでシートクッション11の前端が、シートクッション11の後端に対して回動する。
【0030】
オットマン12は、乗員の下腿部を下方から支持し、不図示のフレームボードにクッション材を載せて当該クッション材を表皮で覆うことで構成されている。オットマン12は、シート幅方向に沿って延出した回動軸を介して、シートクッション11の前端部に支持されている。すなわち、オットマン12は、上記の回動軸周りに回動可能である。
【0031】
そして、オットマン12は、回動することにより展開位置と収納位置との間を移動する。収納位置とは、オットマン12の不使用時の位置であり、オットマン12が垂下しておりオットマン12の先端部(自由端部)がシートクッション11に最も近接しているときの位置である。展開位置とは、オットマン12が使用される位置(分かり易くは、乗員の下腿部を支持可能な位置)であり、シートクッション11の前端よりも前側にオットマン12が張り出しているときの位置である。
【0032】
なお、オットマン12については、シートクッション11に支持されている基端部から自由端部である先端部までの長さ(以下、全長)が伸縮可能であってもよい。つまり、オットマン12は、収納位置にあるときに全長が最も短くなり、展開位置に近付くにつれて全長が徐々に長くなるように構成されていてもよい。
【0033】
そして、オットマン可動機構17は、オットマン12が収納位置から展開位置へ、あるいは展開位置から収納位置へ向かうようにオットマン12を移動(回動)させる機構であり、例えば、揺動アーム型の電動アクチュエータによって構成される。オットマン12は、オットマン可動機構17が動作することで、オットマン12の前端が、オットマン12の後端に対して回動する。
【0034】
ヘッドレスト13は、乗員の頭部を後方から支持し、不図示のフレームの周りに発泡材やクッション材を配置し、その周りを表皮材で覆うことで構成されている。また、ネックレスト14の下端から、支柱であるピラーが下方に延出している。このピラーは、シートバック10の上端部に差し込まれている。したがって、車両用シートユニット1の姿勢が起立姿勢であるときに、ヘッドレスト13は、シートバック10より上方に位置することになる。
【0035】
また、本実施形態において、ヘッドレスト13は、ヘッドレスト可動機構18により、シートバック10に対して上下に移動することが可能である。つまり、本実施形態では、ヘッドレスト可動機構18によるヘッドレスト13の移動に応じて、乗員の頭部を支持する位置を変更することが可能である。
【0036】
ヘッドレスト可動機構18は、シートバック10の延出方向に沿ってヘッドレスト13をシートバック10に対して移動(上下動)させる機構である。ヘッドレスト可動機構18は、シートバック10内において不図示のシートバックフレームに固定されており、ヘッドレスト13のピラーと係合している。
具体的には、ヘッドレスト可動機構18は、モータに連結されたピニオン(不図示)を備えている。このピニオンは、ヘッドレスト13のピラーに形成されたラック(不図示)と係合している。以上のように構成されたヘッドレスト可動機構18が動作すると、ピニオンとラックとの係合位置が動き、これに伴ってピラーを含むヘッドレスト13が、シートバック10の延出方向に移動するようになる。
【0037】
ネックレスト14は、乗員の頸部を後方から支持し、不図示のクッション材を所定形状に成形し、その周りを表皮材で覆うことで構成されている。
また、ネックレスト14には不図示の貫通孔が設けられている。ネックレスト14は、この貫通孔にヘッドレスト13のピラーが挿通されることでピラーに支持されている。なお、ピラーのうち、ネックレスト14の貫通孔から突出した部分がシートバック10の上端部に差し込まれている。したがって、車両用シートユニット1が起立姿勢であるときに、ネックレスト14は、ヘッドレスト13よりも下方に位置し、且つシートバック10より上方に位置することになる。
【0038】
また、本実施形態において、ネックレスト可動機構19により、ネックレスト14は、シートバック10の延出方向に沿ってヘッドレスト13に対して移動することが可能である。具体的には、ネックレスト14は、ヘッドレスト13のピラー及びシートバック10内のステーの各々に沿って摺動(スライド移動)することが可能である。つまり、本実施形態では、ネックレスト14の移動を変えることで、乗員の頸部を支持する位置を延出方向において変更することが可能である。例えば、ヘッドレスト13を移動させて頭部の支持位置を変更した場合には、これに対応させるように、ネックレスト14を移動させて頸部の支持位置を変更することになる。
【0039】
なお、ネックレスト14がシートバック10の延出方向に沿って移動する際、ネックレスト14は、単独で移動する。すなわち、本実施形態に係るネックレスト14は、ヘッドレスト13と分離された状態で移動することが可能である。換言すると、本実施形態では、ヘッドレスト13及びネックレスト14の各々を独立して移動させることが可能である。
【0040】
支持部材32は、シート本体Sを下方から支持する部材であり、シートクッション11の下部に取り付けられる。具体的には、支持部材32は、シート本体Sとスライド機構20を連結するフレーム部材を、カバー部材で覆って構成される。なお、支持部材32の内部には、車両用シートユニット1の各部を制御する制御部としてのECU40が収容されることとする。もちろん、ECU40は、支持部材32に限られず、シートバック10、シートクッション11等の内部に収容されてもよいし、シート本体Sに対して外付けされてもよい。
【0041】
スライド機構20は、車体フロアFに対してシート本体Sを前後方向にスライドさせるための機構である。スライド機構20は、アッパーレール21、ロアレール22、及びアッパーレール21をロアレール22に対しスライドさせるためのスライド用モータを備える。
アッパーレール21は、支持部材32を介してシート本体Sに固定され、ロアレール22は、車体フロアFに固定される。ここで、上記のスライド用モータを動作させて、アッパーレール21をロアレール22に対して前後にスライドさせることで、シート本体S、すなわちシートバック10、シートクッション11及びオットマン12を一体として車体フロアFに対して前後に移動させることができる。
【0042】
アームレスト33は、シートバック10の両サイドに設けられた腕置き部である。アームレスト33は、シートバック10に対して軸部33aを中心に回動可能に取り付けられている。なお、アームレスト33の回動は図示しない回動用モータにより電動で実行するようにしてもよい。
【0043】
また、車両用シートユニット1は、上記の構成以外にも各種センサ、各種デバイスを備える。例えば、図2及び図3に示されるように、本実施形態では、車両用シートユニット1は、乗員検知センサ23、温度調整部24、ランバーサポート機構25、圧力センサ26、振動モータ27、第1距離センサ28、第2距離センサ29、照度センサ30、及び操作スイッチ31を備える。
【0044】
乗員検知センサ23は、シートクッション11の内部に設けられ、シートバック10に乗員が着座していることを検知するセンサであり、例えば、シートベルトリマインダー用のセンサ(圧力センサ)によって構成されている。
【0045】
温度調整部24は、シートクッション11の表皮とクッションの間に設けられ、シートクッション11の座面部の温度を調整するデバイスである。例えば、温度調整部24は、温度センサ(例えばサーミスタ)と、座面を温めるための加温素子(例えばヒーター)と、座面を冷やすための冷却素子(例えばペルチェ素子)を備える。そして、温度調整部24は、温度センサで検出した温度と予め設定された目標温度とに応じて、加温素子と冷却素子のON/OFFを切り替えて、シートクッション11の座面の温度を予め設定された目標値に近付けるように動作する。
【0046】
ランバーサポート機構25は、シートクッション11内において背凭れ面の直ぐ後ろに配置された膨縮自在な袋体(いわゆるエアランバー)によって構成されている。そして、ランバーサポート機構25が膨張すると、シートバック上部10aが乗員に近づくように変位し、ランバーサポート機構25が収縮すると、シートバック上部10aが乗員から離れるように変位する。
【0047】
圧力センサ26は、ネックレスト14の支持面に乗員の頸部が接していることを検知するセンサである。例えば、圧力センサ26が所定の圧力を検知するまで、ネックレスト可動機構19によりネックレスト14を上下にスライドさせることとしてもよい。
【0048】
振動モータ27は、ネックレスト14の内部に設けられ、車両用シートユニット1に着座する乗員の後背部に振動刺激を付与する機器である。例えば、振動モータ27は、車両用シートユニット1に着座する乗員に対しマッサージを行うために用いてもよいし、乗員が低覚醒状態であることを検出した場合に、乗員に対して振動刺激を付与して覚醒状態に戻すために用いてもよい。
【0049】
第1距離センサ28は、ヘッドレスト13に設けられ、ヘッドレスト13の所定位置と、乗員の頭部までの距離を検出するセンサである。
例えば、第1距離センサ28により検出される距離のデータに基づいて、ヘッドレスト可動機構18がヘッドレスト13を上下方向にスライドさせることとしてよい。
具体的には、第1距離センサ28による検出される距離が所定値となるように、ヘッドレスト可動機構18によりヘッドレスト13を移動し、その後、圧力センサ26により検知する圧力が所定値となるように、ネックレスト可動機構19によりネックレスト14を移動させることとする。
【0050】
第2距離センサ29は、ヘッドレスト13に設けられ、ヘッドレスト13と前方の物体との距離を検出するセンサである。例えば、オットマン可動機構17により、オットマン12を上部方向に回動して展開している際に、第2距離センサ29により検出される距離が所定値以下となった場合には、オットマン可動機構17による回動、伸長を停止させるようにしてもよい。
【0051】
照度センサ30は、車両用シートユニット1の周囲の明るさ、すなわち車両用シートユニット1を搭載した車両Vの内部の明るさを検出するためのセンサであり、例えばネックレスト14の上部に設けられる。例えば、照度センサ30により検出された明るさに応じて、車両Vに設けられる照明システム50の照度を制御するようにしてよい。
【0052】
操作スイッチ31は、車両用シートユニット1のシートクッション11の側部に設けられ、車両用シートユニット1の姿勢変形を指示するための操作部である。例えば、操作スイッチ31は、車両用シートユニット1を起立姿勢から倒れ姿勢に変形させるための第1スイッチ、車両用シートユニット1を倒れ姿勢から起立姿勢に変形させるための第2スイッチを含むこととしてよい。
【0053】
ECU40は、上述した各センサからの出力信号を受信し、当該受信信号に基づいて各駆動機構を制御する制御部である。
図3に示されるように、ECU40は、プロセッサ41、メモリ42、入出力インターフェース43を備える。
【0054】
プロセッサ41は、メモリ42に記憶されるプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を実行するとともに、車両用シートユニット1の各部を制御する中央処理装置である。
メモリ42は、例えば半導体メモリであり、各種のプログラムやデータを記憶するほか、プロセッサ41のワークメモリとしても機能する。
入出力インターフェース43は、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17、ヘッドレスト可動機構18、ネックレスト可動機構19、スライド機構20、乗員検知センサ23、温度調整部24、ランバーサポート機構25、圧力センサ26、振動モータ27、第1距離センサ28、第2距離センサ29、照度センサ30、操作スイッチ31、照明システム50と接続し、各デバイスと通信する。
そして、プロセッサ41は、入出力インターフェース43を介して接続される各デバイスから受信した信号に基づいて、各種演算処理を実行するとともに、各デバイスを制御する。
【0055】
具体的には、ECU40は、乗員検知センサ23からの出力信号に基づいて、ヘッドレスト13及びネックレスト14の位置合わせを実行する。すなわち、ECU40は、ヘッドレスト13の第1距離センサ28からの出力信号に基づいて、ヘッドレスト可動機構18及びネックレスト可動機構19を動作させる。これに伴ってヘッドレスト13及びネックレスト14がシートバック10の延出方向に沿って移動するようになる。
この際、ECU40は、ヘッドレスト13の第1距離センサ28及びネックレスト14の圧力センサ26からの出力信号に基づいてヘッドレスト可動機構18及びネックレスト可動機構19の変位量を制御する。
【0056】
また、上述したように、車両用シートユニット1には姿勢切り替え用の操作スイッチ31が設けられている。操作スイッチ31は、車両のドアやアームレストに設けられた押しボタン型のスイッチであり、車両用シートユニット1に着座している乗員がシートバック10の姿勢を切り替える際に操作される。
【0057】
操作スイッチ31が操作されると、その操作内容に応じた信号が操作スイッチ31から出力され、照度センサ30は、操作スイッチ31からの出力信号に基づいて各駆動機構を制御する。具体的に説明すると、起立姿勢にあるシートバック10の姿勢を倒れ姿勢へ切り替えるように操作スイッチ31が操作されると、ECU40は、車両用シートユニット1の前後位置、シートバック10、シートクッション11、オットマン12の各々を倒れ姿勢時の位置に移動するようにスライド機構20、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17を制御する。
【0058】
<<車両用シートユニット1の変形時の動作について>>
以下、図4乃至図11を参照しながら、車両用シートユニット1の起立姿勢から倒れ姿勢への変形時の動作の詳細について説明する。
【0059】
なお、以降の説明では、車両用シートユニット1が起立姿勢にあるときのシートバック10の位置を「第1起立位置」、車両用シートユニット1が倒れ姿勢にあるときのシートバック10の位置を「倒れ位置」(第1状態に相当)とする。
また、車両用シートユニット1が起立姿勢にあるときのシートクッション11の位置を「第2起立位置」、車両用シートユニット1が倒れ姿勢にあるときのシートクッション11の位置を「立ち上げ位置」(第2状態に相当)とする。
また、車両用シートユニット1が起立姿勢にあるときのオットマン12の位置を「第3起立位置」、車両用シートユニット1が倒れ姿勢にあるときのオットマン12の位置を「展開位置」(第3状態に相当)とする。
【0060】
以下に説明する例においては、車両Vは3列のシートを有し、フロントシート(車両用シートユニット1A)と、ミドルシート(車両用シートユニット1B)には、本実施形態に係る車両用シートユニット1を用いている。そして、以下においては、ミドルシートである車両用シートユニット1Bの動作を図4に示す起立姿勢から、図6に示す倒れ姿勢に変形させることとする。
【0061】
なお、「倒れ姿勢」とは、シートバック10が後傾し、シートクッション11の前端がやや上昇し、オットマン12が展開位置にあるときの姿勢である。そして、乗員が倒れ姿勢にある車両用シートユニット1に着座しているとき、乗員の姿勢は、いわゆる中立姿勢となる。中立姿勢とは、シート着座者にとって最も負担が少なく疲れ難い姿勢である。
具体的には、図6に示すようにシートバック10とシートクッション11のなす角度をθ1、シートクッション11とオットマン12のなす角度をθ2とすると、車両用シートユニット1が倒れ姿勢である場合において、θ1の一例としては128度、θ2の一例としては133度となる。もちろん、θ1とθ2の数値は上記の例に限られるものではない。一例としては、θ1は121度~135度、θ2は125度~141度としてよい。
【0062】
図4には、車両用シートユニット1Bが、起立姿勢である状態を示している。この状態において、乗員により操作スイッチ31により起立姿勢への切り替え操作が入力されると、ECU40は、起立姿勢への移行処理を開始する。
すなわち、ECU40は、乗員が車両用シートユニット1を倒れ姿勢へ切り替えるための操作を行うと、操作スイッチ31がその操作を受け付けて操作内容に応じた信号を出力する。ECU40は、操作スイッチ31からの出力信号を受信すると、これをトリガーとして倒れ姿勢移行フローの処理を実行する。
【0063】
具体的に説明すると、ECU40は、操作スイッチ31からの出力信号を受信すると、図5に示すように、三列目シート2の折畳み処理を実行する。
例えば、三列目シート2は、シートクッション2A、シートバック2B、リンク機構2Cを備え、リンク機構2Cを前方に回動させることにより、三列目シート2のシートクッション2A及びシートバック2Bを重ね合わせた折畳み状態に変化させる。
【0064】
次に、ECU40は、倒れ姿勢への移行に必要なシートバック10、シートクッション11、オットマン12及びアッパーレール21の移動量を演算する。
【0065】
詳しく説明すると、ECU40は、先ず、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17及びスライド機構20を構成するアクチュエータのホールICからシートバック10、シートクッション11、オットマン12及びアッパーレール21の各々の現在位置を特定する。
次いで、ECU40は、シートバック10、シートクッション11、オットマン12及びアッパーレール21の各々について、上記特定した現在位置(現在状態)から倒れ姿勢における目標位置(目標状態)までの移動量を算出する。ここで、倒れ姿勢における目標位置としては、シートバック10については「倒れ位置」、シートクッション11については「立ち上げ位置」、オットマン12については「展開位置」が該当する。また、アッパーレール21の目標位置は、予め定められた前後方向における位置(例えばアッパーレール21が移動可能な最大の後方位置)であることとする。
【0066】
次に、ECU40は、シートバック10、シートクッション11、オットマン12及びアッパーレール21の各々の移動量を算出した後に、それらの移動量をバック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17及びスライド機構20により実現するための所用時間を計算する。ここでは、バック可動機構15の所用時間を第1動作時間、クッション可動機構16の所用時間を第2動作時間、オットマン可動機構17の所要時間を第3動作時間、スライド機構20の所要時間を第4動作時間とする。
【0067】
具体的には、第1動作時間から第3動作時間に関しては、第1動作時間が最も長く、次に第3動作時間が長く、第2動作時間が最も短くなる。これは、車両用シートユニット1を起立姿勢から倒れ姿勢に切り替える際、シートバック10の移動量が最も大きく、次いでオットマン12の移動量が大きく、シートクッション11の移動量が最も小さいことを反映している。
【0068】
次に、ECU40は、上記の第1動作時間から第3動作時間に基づいて、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17によるシートバック10、シートクッション11及びオットマン12の各々の移動開始時点(移行開始タイミング)を設定(決定)する。具体的には、ECU40は、シートバック10、シートクッション11及びオットマン12の各々が移動し終わるタイミングが揃うように、それぞれの移動開始時点を設定する。
【0069】
移動開始時点の設定手順については、図11を参照しながら説明する。
図11に示すタイミングチャートにおいては、スライド機構20の動作時間が最も長いこととし、ECU40は、操作スイッチ31の操作入力を受け付けた時点から所定時間後(t0)に、スライド機構20を動作させることとする。そして、スライド機構20の動作終了時点(t5)の終了前に、シートバック10、シートクッション11及びオットマン12の各々の共通の移動終了時点(t4)を設定する。もちろん、t4とt5のタイミングは同時であってもよいし、t4がt5の後であってもよい。
【0070】
次に、第1動作時間をT1、第2動作時間をT2、第3動作時間をT3とすると、T1,T2,T3は、T1>T2>T3の関係にある。
そして、ECU40は、バック可動機構15の動作の開始タイミングである第1開始タイミング(t1)を、移動終了時点(t4)に対しT1だけ前の時点に設定する。
また、ECU40は、クッション可動機構16の動作の開始タイミングである第2開始タイミング(t2)を、移動終了時点(t4)に対しT2だけ前の時点に設定する。
また、ECU40は、オットマン可動機構17の動作の開始タイミングである第3開始タイミング(t3)を、移動終了時点(t4)に対しT3だけ前の時点に設定する。
この場合、第1開始タイミング(t1)、第3開始タイミング(t3)、第2開始タイミング(t2)の順になる。
【0071】
ECU40は、上記の処理により設定された第1開始タイミングでバック可動機構15の動作を開始し、第2開始タイミングでクッション可動機構16の動作を開始し、第3開始タイミングでオットマン可動機構17の動作を開始する。
【0072】
ECU40によるバック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17の動作開始タイミングについて図7乃至図10を参照しながら、より具体的に説明する。
【0073】
図7は、移動開始時点の状態(起立姿勢)に対応する。図8は、第1開始タイミングから第3開始タイミングの間の状態に対応する。図9は、第3開始タイミングから第2開始タイミングの間の状態に対応する。そして、図10は、第2開始タイミングから移動終了時点の間の状態(倒れ姿勢)に対応する。
【0074】
ECU40は、先ず、操作スイッチ31の操作時点から所定時間が経過した後に、スライド機構20の動作を開始して、シート本体Sの後方への移動を開始する。
次に、図8に示されるように、ECU40は、第1開始タイミングが到来すると、バック可動機構15の動作を開始して、シートバック10の後傾を開始する。
【0075】
その後、図9に示されるように、ECU40は、第3開始タイミングが到来すると、オットマン可動機構17の動作を開始して、オットマン12の展開を開始する。
【0076】
次に、図10に示されるように、ECU40は、第2開始タイミングが到来すると、クッション可動機構16の動作を開始して、シートクッション11の前端部の回動を開始する。
そして、ECU40は、シートバック10、シートクッション11、オットマン12の移動終了時点(t4)が到来すると、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17の動作を停止させる。
最後に、ECU40は、スライド機構20の動作終了時点(t5)が到来すると、スライド機構20の動作を停止させて、車両用シートユニット1の倒れ姿勢への移行を完了する。
【0077】
なお、本実施形態では、シートバック10、シートクッション11、及びオットマン12の各々の移動終了時点が一致することになっている。換言すると、本実施形態では、シートバック10が倒れ位置に、シートクッション11が立ち上げ位置に、オットマン12が展開位置に、いずれも略同じタイミングで到達する。このようにシート各部の移動が同じタイミングで終了することで、車両用シートユニット1に着座している乗員は、シートの姿勢変形の終了時点を感覚的に認識できるようになる。また、乗員は、姿勢切り替え中も車両用シートユニット1に着座しているため、シート各部の動作の終了が順番に訪れる場合に比べて、シート各部の動きが同時に終了する方が乗員にとって心地良く感じるようになる。
【0078】
また、車両用シートユニット1では、起立姿勢から倒れ姿勢に移行する際に、スライド機構20により車両用シートユニット1を後方にスライドさせている間にシートバック10、シートクッション11、オットマン12の移動を行うようにしたことで、スライドの前後にシートバック10、シートクッション11、オットマン12の移動を実行する場合に比べて、起立姿勢から倒れ姿勢に移行完了するまでの時間を短縮できる。
【0079】
<<その他の実施形態>>
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に係るシートユニットは、車両用シートへの適用に限定されるものではなく、乗員が内部に乗り込む他の乗物のシート(例えば、鉄道を含む自動車以外の車両、若しくは航空機や船舶)や病院や歯科医院等の診察用シートに対しても適用可能である。
【0080】
また、車両用シートユニット1のバック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17、スライド機構20の制御は、起立姿勢から倒れ姿勢に変形する場合に限らず、倒れ姿勢から起立姿勢に変形する場合や、その他の第1の姿勢から第2の姿勢に変形する処理一般に適用可能である。
【0081】
また、車両用シートユニット1において、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17、スライド機構20に加えて、ヘッドレスト可動機構18、ネックレスト可動機構19を動作させることにより、車両用シートユニット1のシートバック10、シートクッション11、オットマン12、ヘッドレスト13、ネックレスト14、車両用シートユニット1の前後位置を目標の姿勢に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0082】
また、フロントシートの位置に配される車両用シートユニット1Aにおいて、オットマン12に設けられた第2距離センサ29により検出される、オットマン12とインストルメントパネル3との距離(検出結果)に応じて、オットマン12の回動角度、伸長量を規制してもよい。
【0083】
また、車両用シートユニット1Aが運転席に配される場合と、助手席に配される場合とにおいて、起立姿勢や、倒れ姿勢におけるシートバック10、シートクッション11、オットマン12の目標位置等を各々異なるように設定してもよい。
【0084】
また、車両用シートユニット1において、例えば所定の時間間隔ごとにランバーサポート機構25を動作させて、乗員の腰部を押圧するようにしてもよい。
【0085】
また、車両用シートユニット1において、乗員検知センサ23、圧力センサ26、又はその他の心拍センサにより、乗員の心拍リズムを検出し、検出した心拍リズムに合わせて照明システム50の点灯を制御してもよい。
【0086】
また、第1可動機構は、スライド機構20に限られるものではなく、バック可動機構15、クッション可動機構16、オットマン可動機構17、ヘッドレスト可動機構18、ネックレスト可動機構19のうちいずれであってもよい。その他の可動機構であってもよい。
【0087】
また、上記の車両用シートユニット1は、シート本体Sの着座者を側部から支持するサイドサポート機構をさらに備えていてもよい。
具体的には、図12に示すように、シートバック上部10aの側部に突出状態と収納状態とを切り替え可能なサイドサポート部10asを設け、シートバック下部10bの側部に突出状態と収納状態とを切り替え可能なサイドサポート部10bsを設けるようにしてよい。また、シートクッション11の側部に突出状態と収納状態とを切り替え可能なサイドサポート部11Sを設け、オットマン12の側部に突出状態と収納状態とを切り替え可能なサイドサポート部12Sを設けることとしてよい。
【0088】
この場合に、車両用シートユニット1が起立姿勢から倒れ姿勢に移行する際に、サイドサポートが閉じて乗員をしっかりと支えるようにし、倒れ姿勢に移行完了後にサイドサポートを開くようにしてもよい。こうすることで、オットマン12を上方に移動させた時に、サイドサポートで着座者を支持し、着座の不安定感を抑制することができる。
また、車両用シートユニット1が起立姿勢から倒れ姿勢に移動する際に、サイドサポートが開くようにしてもよい。こうすることで、着座者は姿勢を正しやすくなる。
また、ECU40は、車速やカーブ等の車両の状態に応じてサイドサポートを可動させてもよい。例えば、カーブ等で乗員の体が左右いずれかに傾いた際に、傾いた側のサイドサポートが閉じると、よりしっかりと乗員の体を支えることができる。
サイドサポート部を設ける箇所は、シートバック10、シートクッション11、オットマン12のうち少なくとも1つとしてよい。サイドサポート部をシートバック10、シートクッション11、オットマン12の全てに設ける場合には、乗員の上半身に加えて下半身をしっかりと支持することができる。
【0089】
また、車両用シートユニット1において、倒れ姿勢に移行する際に、ランバーサポート機構25の袋体を萎ませてもよい。こうすることで、姿勢の移行中に着座者が不安定な姿勢になるのを抑制できる。
また、車両用シートユニット1では、起立姿勢から倒れ姿勢に移行完了した後に、ランバーサポート機構25の袋体を膨張と収縮を繰り返して、着座者の腰部をマッサージするようにしてもよい。
また、車両用シートユニット1において、起立姿勢から倒れ姿勢への移行開始と同時に、ランバーサポート機構25の袋体を膨張開始し、膨張の終了を倒れ姿勢の移行完了のタイミングに合わせることとしてもよい。こうすることで、倒れ姿勢の移行完了のタイミングを着座者に容易に伝えることができる。
また、倒れ姿勢への移行開始と同時に、ランバーサポート機構25の袋体の膨張を開始させ、その後に袋体を収縮させるようにしてもよい。この際、袋体の収縮の終了を倒れ姿勢の移行完了のタイミングに合わせるようにしてもよい。こうすることで、倒れ姿勢の移行完了のタイミングを着座者に対して分かりやすく伝えることができる。
【0090】
また、上記の車両用シートユニット1において、照明システム50にはシート本体Sの肩口やヘッドレスト13又はネックレスト14に設けられた照明を含むこととしてよい。
具体的には、図13に示されるように、車両用シートユニット1は、ヘッドレスト13、ネックレスト14の付近に設けられた可動式照明ユニット51を有することとしてよい。
可動式照明ユニット51は、照明部51Aと、可動部51Bとを備える。照明部51Aには、LED等の発光装置が備えられる。そして、可動部51Bは、照明部51Aと、車両用シートユニット1とを連結する変形可能な部材であり、可動部51Bを変形させることで、照明部51Aを乗員の所望の位置に移動させることができる。
そして、バック可動機構15によりシートバック10の傾きを変えたときに照明の角度を変えるようにしてもよい。具体的には、蛇腹構造等を備えて、手動で向きを変えられるものや、可動機構及びECU等を備え、シートバック10の傾きに連動して自動的に、上下左右方向に回転可能し角度を変更な構造のもの等が考えられるが、これらに限定されない。
【0091】
また例えば、図14に示されるように、ヘッドレスト13に回転可動式照明ユニット52を設けるようにしてもよい。図14に示すヘッドレスト13は、中央部13Bの側部に前後方向に可動する可動部13Aを備え、可動部13Aの後方に、回転可動式照明ユニット52を設けている。
回転可動式照明ユニット52は、照明部52Aを有し、回転可動式照明ユニット52を回転させてヘッドレスト13の外側に引き出した状態のときに、照明部52Aを点灯させることとしてよい。また、回転可動式照明ユニット52をヘッドレスト13の内側に収納した状態のときに、照明部52Aを消灯させることとしてよい。
【0092】
また、車両用シートユニット1において、バック可動機構15におりシートバック10の傾きを変えたときに、アームレスト33が例えば水平を保つようにアームレスト33の角度を制御してもよい。
また、シートバック10の傾きに応じて、ヘッドレスト可動機構18及びネックレスト可動機構19によりヘッドレスト13及びネックレスト14の位置を変えてもよい。
例えば、ヘッドレスト13が左右に可動部を備える場合に、倒れ姿勢のときに着座者の頭部を包むように左右の可動部を閉じるようにしてもよい。
また、車両用シートユニット1において、シート本体Sにスピーカーを備えるようにしてもよい。
具体的には、図15に示されるように、ヘッドレスト13の左右の可動部13Aの外側から突出するようにスピーカー53を備えることとしてよい。スピーカーは、ヘッドレスト13の外側に配置すれば、乗員の頭部との干渉を避けられる。
また、図16に示されるように、ヘッドレスト13の内側にスピーカー53を配置する構成とすれば、ヘッドレスト13の大型化を避けることができる。
そして、スピーカーからの音量は、着座者にしか聞こえない程度に設定することとしてもよい。
【0093】
また、車両用シートユニット1において、シート本体Sを回転させる回転機構を設けることとしてもよい。ここで、図17A図17B図18A及び図18Bに示されるように、車両用シートユニット1を回転させる際にクッション可動機構16によりシートクッション11のチルト角を上げるようにしてもよい。
なお、図17A及び図17Bは、車両ドアDに近接して配される車両用シートユニット1の回転前の状態に対応する。そして、図18A及び図18Bは、車両用シートユニット1の回転後の状態に対応する。
図17A図17B図18A及び図18Bに示されるように、車両用シートユニット1を車両ドアDに対して内側に回転させた状態で、シートクッション11の前方が上がるように、シートクッション11のチルト角を制御するようにする。
このように、チルト角を上げることで乗員の足がシートクッション側に近づき易くなり、特に乗員が着座状態のままシートが回転する場合に、隣席や、隣席の着座者あるいは車室内の他部材(例えば、コンソールボックスやドアライニング等が考えられるがこれらに限定されない)と、干渉しにくくなる。
【0094】
また、回転機構により車両用シートユニット1を回転させる際に、シートバック10を一旦起立させるようにしてもよい。これにより、シートバック10と車両ドアとの干渉を抑制できる。
また、図19A図19B図20A及び図20Bに示されるように、シートバック10が中折れ機構を有する場合に、回転機構により車両用シートユニット1を車両ドアDに対して回転させる際に、シートバック10の中折れ機構を前倒れ状態とすることとしてよい。こうすることで、車両ドアDとシートバック10との干渉を抑制できる。
なお、図19A及び図19Bは、車両ドアDに近接して配される車両用シートユニット1の回転前の状態に対応する。そして、図20A及び図20Bは、車両用シートユニット1の回転後の状態に対応する。
また、車両用シートユニット1の回転移動後に、シートバック10の中折れ機構をリラックス姿勢に変化させることとしてもよい。すなわち、図20A及び図20Bに示される状態から、図19A及び図19Bに示される状態に移行可能としてよい。
【0095】
また、図21A及び図21Bに示されるように、車両用シートユニット1を回転させる際に、オットマン12を収納するようにしてもよい。なお、図21A及び図21Bは、車両用シートユニット1の上面を模式的に示している。具体的には、図21A及び図21Bに示されるように、車両ドアDに対して遠い側に配される車両用シートユニット1Lを、車両ドアDに対して近い側に配される車両用シートユニット1Rに向けて回転させる際に、車両用シートユニット1Lのオットマン12を下方に折り畳んで収納することとしてよい。こうすることで、車両用シートユニット1Lのオットマン12と、車両用シートユニット1Rや他の部材との干渉を抑制できる。オットマン12に伸縮機能を設けてもよい。車両用シートユニット1を回転させる際に、長さが短くなることで車両用シートユニット1Rや他の部材との干渉を抑制できる。
また、シート本体Sを回転させる際に、アームレスト33を下げるようにしてもよい。こうすることで、アームレスト33と、前席及び車両ドアとの干渉を抑制できる。
【0096】
また、車両用シートユニット1が三列シートのミッド席である場合に、前席との距離を検出して、駆動装置を備え、オットマン12と他の部材が干渉しないようにオットマン12の動きを制御してもよい。
また、前席を倒れ姿勢に移行する際に、ミッド席を後方にスライド移動させるようにしてもよい。この構成とすれば、フロント席との干渉をより避けやすくなる。
また、ミッド席を倒れ姿勢に移行する際に、リア席のシートバック10を先に前倒れさせるようにしてもよい。この構成とすれば、倒れ姿勢に移行する際に、リア席との干渉を避けやすくすることができる。
また、ミッド席を倒れ姿勢に移行する際に、リア席のシートバック10が前倒れした状態から、起立状態に復帰させないようにしてもよい。この構成とすれば、リア席との予期せぬ干渉を避けやすくすることができる。
また、ミッド席が倒れ姿勢から復帰する際に、復帰に一番時間がかかる部分と、オットマン12との状態移行を同時に開始するようにしてもよい。これにより、フロント席とミッド席との干渉を回避することができる。
また、図22に示されるように、フロント座席として設けられる車両用シートユニット1を倒れ姿勢に移行する際に、オットマン12とインストルメントパネル3との干渉を抑制するようにオットマン12及びスライド機構20を制御することとしてよい。この際、車両用シートユニット1は、駆動装置を備え、フロント座席として設けられる車両用シートユニット1の前後位置を自動的に調整し、インストルメントパネル3やミッド席との干渉を避ける構成としてもよい。具体的には、オットマン12がインストルメントパネル3に干渉しない位置まで、スライド機構20により車両用シートユニット1を後方にスライドさせた後に、オットマン12を上方に回動させることとする。
【0097】
また、車両用シートユニット1は自動運転車両に搭載することもできる。この場合、自動運転に切り替える際に、車両用シートユニット1を起立姿勢から倒れ姿勢に移行させることとしてもよい。
また、自動運転から手動運転に切り替える際に、倒れ姿勢から起立姿勢に移行させることとしてもよい。この際、起立姿勢から倒れ姿勢に移行するまでの第1所要時間と、倒れ姿勢から起立姿勢に移行するまでの第2所要時間との長さを変えてもよい。
例えば、第1所要時間よりも第2所要時間の方を短くしてもよい。こうすることで、速やかに運転操作の実施が可能となる。
また例えば、第1所要時間よりも第2所要時間の方を長くしてもよい。こうすることで、運転前の準備をゆっくりと実施することができる。
また例えば、第1所要時間と第2所要時間とを略同じに設定してもよい。こうすることで、起立姿勢と倒れ姿勢との間の移行時間を容易に把握可能となる。
また、車両が高速道路を走行後に高速から降りる際の倒れ姿勢から起立姿勢に移行する時間よりも、乗員の操作に応じて倒れ姿勢から起立姿勢に移行する時間の方が短いこととしてもよい。
また、車両用シートユニット1において、前後の車、左右の車線を走る車との距離に応じて、倒れ姿勢から起立姿勢に移行してもよい。この場合の移行時間は、例えば高速から降りる場合における姿勢の移行時間よりも短いこととしてよい。
また、車両にナビゲーションシステムを備え、走行する道路の状況を事前に把握し、それに合わせて、各可動部を移動させてもよい。例えば、車両がカーブに差し掛かることが検知又は予測された場合に、乗員の体が傾斜する方向に合わせてサイドサポートを突出させ、乗員の側部を支えるようにしてもよい。また、ナビゲーションシステムのほか、レーダーや車載カメラ等で道路の状況を検出してもよい。
【0098】
また、車両用シートユニット1は着座者の生体情報を検出する生体センサを備え、起立姿勢において着座者がリラックスしている場合には、通常の場合よりも、ゆっくりと姿勢の移行を行うこととしてよい。こうすることで、着座者のリラックス状態を阻害することを防止できる。
また、車両用シートユニット1は、着座センサを備え、シート本体Sへの着座が検出されないときは、倒れ姿勢への移行、起立姿勢への移行に要する時間は、着座が検出されるときよりも短くしてもよい。
また、車両用シートユニット1は、シート本体Sへの着座を検出するまでは起立姿勢とし、着座を検出した場合には、倒れ姿勢に移行することとしてもよい。
また、車両用シートユニット1は、着座センサにより、乗員の立ち上がりを検出した場合には、倒れ姿勢から起立姿勢に移行するようにしてもよい。
また、車両用シートユニット1は、周囲の部材との距離を検出する距離センサを備え、周囲の部材との距離が所定以下になった場合に、姿勢の変化を停止するようにしてもよい。
【0099】
また、車両用シートユニット1は、シートクッション11の高さを調整するハイト機構を備えることとしてもよい。例えば、車両用シートユニット1において起立姿勢から倒れ姿勢に移行するときに、ハイト機構によりシートクッション11の高さを下げるようにしてもよい。こうすることで、車外の光が乗員の目に入りにくくなるため、乗員をよりリラックスさせることができる。
また、車両用シートユニット1には、上下に可動するサンシェードを設け、車両用シートユニット1を起立姿勢から倒れ姿勢に移行するのに従って、サンシェードを可動機構により自動的に上下動させてもよい。
【0100】
また、図23A及び図23Bに示されるように、車両用シートユニット1の姿勢変化に応じて、車両天井Cからモニタ装置Mを下ろして、車両用シートユニット1の前方にモニタ装置Mを配置することとしてもよい。
この際、回転軸部M1を中心にモニタ装置Mを回動可能とし、シートバック10の角度に合わせて、モニタ装置Mの角度を調整してもよい。すなわち、図23A及び図23Bに示されるように、シートバック10の角度に合わせてモニタ装置Mの角度を変えることで、乗員Uがモニタ装置Mを見やすくすることができる。
【0101】
また、図24A及び図24Bに示されるように、車両用シートユニット1が起立姿勢から倒れ姿勢に移行するときに、車両用シートユニット1のシートベルト60のアンカー62を下げるようにしてもよい。具体的には、アンカー62は、車体に設けられた上下方向に延出するレール61に沿ってスライド可能となっている。そして、シートベルト60は、アンカー62及びシートクッション11に設けられたバックル63に固定されている。
そして、図24Bに示すように、車両用シートユニット1を起立姿勢から倒れ姿勢に移行させる際に、アンカー62の位置を下げることで、アンカー62と乗員Uとの距離が離れることを抑制するとともに、シートベルト60が乗員Uの首に引っかかることを抑制できる。なお、アンカー62は、車両用シートユニット1の変化に伴い自動的に上下するようにしてもよいし、手動でアンカー62を上下に移動可能としてもよい。
【0102】
また、図25A及び図25Bに示されるように、車両用シートユニット1R及び車両用シートユニット1Lをそれぞれ前後方向にスライド可能とする前後スライドレール70A及び前後スライドレール70Bと、シート幅方向にスライド可能とする左右スライドレール71と、を設けることとしてもよい。そして、車両に対して側面衝突が生じた場合に、図25Bに示されるように、車両ドアDに近い側の車両用シートユニット1Rを、左右スライドレール71により車両ドアDから遠ざかる方向にスライドさせてもよい。このとき、車両用シートユニット1Rは側部にエアバッグABを有し、横方向へのスライド移動により生じた車両ドアDと車両用シートユニット1Rとの隙間にエアバッグABを展開してもよい。
【0103】
また、図26に示されるように、車両用シートユニット1は、シートバック10の上部及びヘッドレスト13にそれぞれ、音声入力部としてのマイク80A及びマイク80Bを備えるようにしてもよい。そして、車両用シートユニット1は、マイク80A及びマイク80Bを通じて集音した乗員Uの声を認識する音声認識機能を有し、音声入力に応じて車両用シートユニット1を操作可能としてもよい。具体的には、車両用シートユニット1は、音声入力に応じて起立姿勢と倒れ姿勢との切り替えを可能とすることで、倒れ姿勢の時に、操作スイッチ31に手が届きにくい場合でも、起立姿勢への移行の指示を行いやすくなる。また、ヘッドレスト13、ネックレスト14又はシートの肩口等、乗員の頭部の近くに音声認識のためのマイクを備える構造とすれば、乗員の姿勢が、例えば倒れ姿勢等に変わった場合にも音声を拾い易くすることが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A,1B,1L,1R 車両用シートユニット(シートユニット)
2 三列目シート
2A シートクッション
2B シートバック
2C リンク機構
3 インストルメントパネル
10 シートバック
10a シートバック上部
10as サイドサポート部
10b シートバック下部
10bs サイドサポート部
11 シートクッション
11S サイドサポート部
12 オットマン
12S サイドサポート部
13 ヘッドレスト
13A 可動部
13B 中央部
14 ネックレスト
15 バック可動機構
16 クッション可動機構
17 オットマン可動機構
18 ヘッドレスト可動機構
19 ネックレスト可動機構
20 スライド機構
21 アッパーレール
22 ロアレール
23 乗員検知センサ
24 温度調整部
25 ランバーサポート機構
26 圧力センサ
27 振動モータ
28 第1距離センサ
29 第2距離センサ
30 照度センサ
31 操作スイッチ
32 支持部材
33 アームレスト
33a 軸部
40 ECU(制御部)
41 プロセッサ
42 メモリ
43 入出力インターフェース
50 照明システム
51 可動式照明ユニット
51A 照明部
51B 可動部
52 回転可動式照明ユニット
52A 照明部
53 スピーカー
60 シートベルト
61 レール
62 アンカー
63 バックル
70A 前後スライドレール
70B 前後スライドレール
71 左右スライドレール
80A マイク(音声入力部)
80B マイク(音声入力部)
AB エアバッグ
C 車両天井
D 車両ドア
F 車体フロア
M モニタ装置
M1 回転軸部
S シート本体
S1 乗員支持部
U 乗員
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
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図23B
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図24B
図25A
図25B
図26