(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】被服レコメンドシステム、被服レコメンド方法、および被服レコメンドプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/907 20190101AFI20230802BHJP
G06F 16/906 20190101ALI20230802BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230802BHJP
A41H 3/00 20060101ALI20230802BHJP
A41H 1/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G06F16/907
G06F16/906
G06Q50/10
A41H3/00 C
A41H3/00 D
A41H1/02 Z
(21)【出願番号】P 2019039341
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 厚子
(72)【発明者】
【氏名】川村 敦子
(72)【発明者】
【氏名】岸本 泰蔵
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0218876(US,A1)
【文献】特開2009-030194(JP,A)
【文献】特開2002-074095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
A41H 1/02
A41H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
ユーザの身体の
アンダーバスト横径およびアンダーバスト厚径の組合せを含む測定値を取得し、
前記測定値以外の前記ユーザの付加情報を取得し、
前記ユーザの被服サイズを取得するか、または、人の身体の測定値と被服サイズとの対応関係を規定する被服サイズ情報を記憶するデータベースを参照して前記取得された測定値から前記ユーザの前記被服サイズを判定し、
人の身体の測定値と該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、
前記アンダーバスト横径と前記アンダーバスト厚径との比であるボディ・オーバルから前記ユーザの前記体型特徴を判定し、
被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を
さらに記憶する
前記データベースを参照して、前記ユーザの
前記被服サイズと、前記判定された体型特徴と、前記取得された付加情報とに対応する被服を検索し、
前記検索された被服を示すレコメンド情報を出力する、
被服レコメンドシステム。
【請求項2】
前記被服が、カップ部を有する衣服である、
請求項1に記載の被服レコメンドシステム。
【請求項3】
前記測定値が
、チェスト横径および前記アンダーバスト横径の組合せと、バストの容量であるバスト・ボリュームと、バストの底面の幅であるバージス間隔と、左右のバストの間隔であるバスト・ピッチとのうちの少なくとも一つを
さらに含み、
前記少なくとも一つのプロセッサが
、前記チェスト横径と前記アンダーバスト横径との比であるトップ・テーパと、前記バスト・ボリュームと、前記バージス間隔と、前記バスト・ピッチとのうちの少なくとも一つに
さらに基づいて前記ユーザの体型特徴を判定する、
請求項2に記載の被服レコメンドシステム。
【請求項4】
少なくとも一つのプロセッサを備える被服レコメンドシステムにより実行される被服レコメンド方法であって、
ユーザの身体の
アンダーバスト横径およびアンダーバスト厚径の組合せを含む測定値を取得するステップと、
前記測定値以外の前記ユーザの付加情報を取得するステップと、
前記ユーザの被服サイズを取得するか、または、人の身体の測定値と被服サイズとの対応関係を規定する被服サイズ情報を記憶するデータベースを参照して前記取得された測定値から前記ユーザの前記被服サイズを判定するステップと、
人の身体の測定値と該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、
前記アンダーバスト横径と前記アンダーバスト厚径との比であるボディ・オーバルから前記ユーザの前記体型特徴を判定するステップと、
被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を
さらに記憶する
前記データベースを参照して、前記ユーザの
前記被服サイズと、前記判定された体型特徴と、前記取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、
前記検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップと
を含む被服レコメンド方法。
【請求項5】
ユーザの身体の
アンダーバスト横径およびアンダーバスト厚径の組合せを含む測定値を取得するステップと、
前記測定値以外の前記ユーザの付加情報を取得するステップと、
前記ユーザの被服サイズを取得するか、または、人の身体の測定値と被服サイズとの対応関係を規定する被服サイズ情報を記憶するデータベースを参照して前記取得された測定値から前記ユーザの前記被服サイズを判定するステップと、
人の身体の測定値と該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、
前記アンダーバスト横径と前記アンダーバスト厚径との比であるボディ・オーバルから前記ユーザの前記体型特徴を判定するステップと、
被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を
さらに記憶する
前記データベースを参照して、前記ユーザの
前記被服サイズと、前記判定された体型特徴と、前記取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、
前記検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップと
をコンピュータに実行させる被服レコメンドプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、被服レコメンドシステム、被服レコメンド方法、および被服レコメンドプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
体型に合った被服をユーザに推薦するためのコンピュータシステムが知られている。例えば、特許文献1には、予め設定された複数の体型パターンの各サイズに応じたそれぞれの形状を有する被服群と、ユーザの体型の所定部位を測定したデータに基づいて、各体型パターンの各サイズのうちいずれの体型パターン及びサイズに対応するかを案内するガイド手段とを備え、ガイド手段により案内された体型パターン及びサイズに応じた形状を有する被服を被服群の中から提供する被服販売システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被服に関する要望は様々であり、且つ人の体型は一人一人異なるので、個人が好む被服を提供することは簡単ではない。そこで、効率的にユーザに被服を推薦する仕組みが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る被服レコメンドシステムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、ユーザの身体の測定値を取得し、測定値以外のユーザの付加情報を取得し、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定し、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索し、検索された被服を示すレコメンド情報を出力する。
【0006】
本開示の一側面に係る被服レコメンド方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える被服レコメンドシステムにより実行される。被服レコメンド方法は、ユーザの身体の測定値を取得するステップと、測定値以外のユーザの付加情報を取得するステップと、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定するステップと、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップとを含む。
【0007】
本開示の一側面に係る被服レコメンドプログラムは、ユーザの身体の測定値を取得するステップと、測定値以外のユーザの付加情報を取得するステップと、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定するステップと、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップとをコンピュータに実行させる。
【0008】
このような側面においては、ユーザの被服サイズと、該ユーザの身体の測定値から判定される該ユーザの体型特徴と、該ユーザの付加情報とに基づいて被服が検索され、その検索結果が出力される。これら3種類の情報を用いて被服を検索することで、効率的にユーザに被服を推薦することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、効率的にユーザに被服を推薦することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る被服レコメンドシステムの機能構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る被服レコメンドシステムとして機能し得るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態における体型特徴の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る被服レコメンドシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[システムの構成]
実施形態に係る被服レコメンドシステム10は、体型に合った被服をユーザに推薦するためのコンピュータシステムである。ユーザは被服レコメンドシステム10を利用することで自分の体型に合った被服を知ることができる。被服とは、身体に着用するものをいう。被服レコメンドシステム10により推薦される被服は限定されず、例えば、衣服、履物、またはアクセサリでもよい。衣服はトップス(上半身に着る衣服)でもよいしボトムス(下半身に着る衣服)でもよい。衣服の一例として、カップ部を有する衣服が挙げられ、この具体例として、ブラジャー、カップ付きキャミソール、カップ付きワンピースなどが挙げられる。本実施形態では、被服の例としてブラジャーを示す。
【0013】
図1は、被服レコメンドシステム10の機能構成の一例を示す図である。被服レコメンドシステム10は通信ネットワークを介して端末20、測定システム30、およびデータベース40とデータを送受信することができる。通信ネットワークのそれぞれの構成および種類は何ら限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、通信ネットワークはインターネット、イントラネット、またはこれらの組合せによって構築されてもよい。また、通信ネットワークは有線通信ネットワーク、無線通信ネットワーク、またはこれらの組合せによって構築されてもよい。
【0014】
端末20は、被服の検索条件として用いられる情報を受け付け、その検索条件に合致する被服の情報を表示するコンピュータである。端末20の種類は限定されず、例えば、携帯電話機、高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末、ラップトップコンピュータなどの携帯端末でもよいし、据置型のパーソナルコンピュータでもよい。端末20の所有者および使用者も限定されず、例えば、端末20は被服を販売する店舗により所有または使用されてもよいし、被服を購入する可能性があるユーザにより所有または使用されてもよい。
【0015】
測定システム30は、ユーザの身体(より具体的には、推薦される被服に対応する部位)を測定してその測定値を提供するコンピュータシステムである。測定システム30の具体的な構成は限定されず、任意に設計されてよい。例えば、測定システム30は3次元スキャナ(3Dスキャナ)または各種センサを含んで構成されてもよい。測定システム30は被服レコメンドシステム10と別のコンピュータシステムでもよいし、被服レコメンドシステム10の一構成要素でもよい。測定システム30の構成が限定されないことに対応して、測定値を得る方法も限定されない。例えば、測定システム30は3Dスキャナ、各種センサなどの構成要素から得られるデータに基づいて測定値を算出してもよい。あるいは、測定システム30はその構成要素によって計測または算出された値を測定値として取得してもよい。
【0016】
データベース40は、被服レコメンドシステム10での処理に必要な情報を記憶する装置(記憶部)である。本実施形態では、データベース40は被服に関する被服情報を記憶する。被服情報は個々の被服の属性を示す。被服情報は、有償または無償で取引可能な個々の被服商品の属性を示してもよい。被服の属性とは、被服を特徴付けるデータ項目のことをいい、例えば、形状特徴、寸法特徴、生地特性、部材特性、構造特徴、縫製特徴、衣服圧、または機能のことをいう。被服の属性は被服の画像(製品画像)を含んでもよい。データベース40は、人の身体の測定値と体型特徴との対応関係を規定する体型特徴情報をさらに記憶してもよい。体型特徴とは人の体型の特徴を示す指標のことをいい、例えば、測定値に基づく計算または分類により規定される。データベース40は、人の身体の測定値と被服サイズとの対応関係を規定する被服サイズ情報をさらに記憶してもよい。被服サイズとは被服そのものの大きさを示す値である。
【0017】
被服レコメンドシステム10は機能要素として取得部11、判定部12、検索部13、および送信部14を備える。取得部11は、被服の推薦に必要な情報を取得する機能要素である。より具体的には、取得部11は、ユーザの身体の測定値と、測定値以外の該ユーザの付加情報とを少なくとも取得する。判定部12はその測定値からユーザの体型特徴を判定する機能要素である。検索部13は、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服情報をデータベース40から検索する機能要素である。ユーザの被服サイズとは、ユーザに合うと予想される被服サイズのことをいう。送信部14は、検索された被服を示すレコメンド情報を端末20に送信する機能要素である。この送信は出力の一例である。
【0018】
図2は、被服レコメンドシステム10として機能し得るコンピュータ100のハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、コンピュータ100はプロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105、および出力装置106を備える。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。主記憶部102は例えばROMおよびRAMで構成される。補助記憶部103は例えばハードディスクまたはフラッシュメモリで構成され、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。補助記憶部103は、少なくとも1台のコンピュータを被服レコメンドシステム10として機能させるためのプログラム110を記憶する。通信制御部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールで構成される。入力装置105は例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどで構成される。出力装置106は例えばモニタおよびスピーカで構成される。
【0019】
被服レコメンドシステム10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上にプログラム110を読み込ませてそのプログラムを実行させることで実現される。プログラム110は、被服レコメンドシステム10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はプログラム110に従って、通信制御部104、入力装置105、または出力装置106を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。この処理により被服レコメンドシステム10の各機能要素が実現される。処理に必要なデータまたはデータベースは主記憶部102または補助記憶部103に格納されてもよい。
【0020】
プログラム110は被服レコメンドプログラムに相当する。プログラム110は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、プログラム110は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0021】
被服レコメンドシステム10は一つまたは複数のコンピュータ(例えばサーバコンピュータ)により構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで被服レコメンドシステム10が構成される。
【0022】
図3は、判定部12によって判定される体型特徴の例を示す図である。本実施形態では、判定部12はボディ・オーバル(body oval)、トップ・テーパ(top taper)、バスト・ボリューム(bust volume)、バージス間隔(Verge’s width)、およびバスト・ピッチ(bust pitch)という5種類の体型特徴のうちの少なくとも一つを判定する。これらの体型特徴はいずれも、ブラジャーなどの、カップ部を有する衣服の着心地に大きく関連する。
【0023】
ボディ・オーバルは胴体の断面形状の特徴を示す指標であり、アンダーバスト横径とアンダーバスト厚径との比で表される。ボディ・オーバルは上半身(胴体)の特徴に関する指標の一種ということができる。アンダーバスト横径とは、バスト(乳房)の最下点(より具体的には、アンダーバストの一番下の位置)における、胴体の左右方向の長さのことをいう。アンダーバスト厚径とは、バストの最下点における胴体の前後方向の長さのことをいう。本実施形態ではボディ・オーバルは式(1)で得られることとする。式(1)は測定値と体型特徴との関係を示すルールの一種である。
(ボディ・オーバル)=(アンダーバスト横径)/(アンダーバスト厚径) …(1)
ボディ・オーバルが小さい場合には、ユーザは丸胴でバストが外向きである傾向があるといえる。ボディ・オーバルが大きい場合には、ユーザは扁平胴でバストが正面を向く傾向があるといえる。
【0024】
トップ・テーパは、上下方向に沿った胴体の特徴を示す指標であり、チェスト横径とアンダーバスト横径との比で表される。トップ・テーパも、上半身(胴体)の特徴に関する指標の一種ということができる。チェスト横径とは、脇下(より具体的には、チェスト囲が測定される位置)における胴体の左右方向の長さのことをいう。本実施形態ではトップ・テーパは式(2)で得られることとする。式(2)も測定値と体型特徴との関係を示すルールの一種である。
(トップ・テーパ)=(チェスト横径)/(アンダーバスト横径) …(2)
トップ・テーパが小さい場合には、ユーザのバスト、アンダーバスト、およびウェストの差が小さく、ブラジャーのバック下辺がくい込み易い傾向があるといえる。トップ・テーパが大きい場合には、ユーザのバスト、アンダーバスト、およびウェストの差が大きく、ブラジャーのバック上辺がくい込み易い傾向があるといえる。
【0025】
バスト・ボリュームはバストの容量であり、ブラジャーのカップの深さに特に関係する。バージス間隔はバストの底面の幅であり、ブラジャーのワイヤの種類に特に関係する。バスト・ピッチは左右のバストの間隔であり、これもブラジャーのワイヤの種類に特に関係する。バスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチはいずれも、バストの特徴に関する指標の一種ということができる。
【0026】
図4は被服情報の一例を示す図である。被服情報は、被服と体型特徴との対応関係を示す情報である。個々の被服の情報は、被服を一意に特定する識別子である被服IDと、被服の属性とを含む。例えば、被服属性は商品名、メーカ名、ブランド名、品番、サイズ、カラー、デザイン、機能、価格、製品画像などを含んでもよく、被服の種類に応じた詳細情報をさらに含んでもよい。ブラジャーの場合には、サイズは「B75」「D65」などのように、カップサイズとアンダーバストとの組合せで表される。また、ブラジャーの場合には、被服属性はワイヤの径、カップ容量、前中心などの詳細情報を含み得る。
【0027】
図4の例では、5種類の体型特徴(ボディ・オーバル、トップ・テーパ、バスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチ)のそれぞれについて、複数の数値範囲に対応する複数のレベルが設定される。ユーザのボディ・オーバルのレベルは、上記の式(1)で得られる値がどの数値範囲に含まれるかによって決まる。ユーザのトップ・テーパのレベルは、上記の式(2)で得られる値がどの数値範囲に含まれるかによって決まる。ユーザのバスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチはいずれも、測定値がどの数値範囲に含まれるかによって決まる。被服情報におけるレベルと数値範囲とのこれらのような関係は、測定値と体型特徴との関係を示すルールの一種である。
図4では、ボディ・オーバルおよびトップ・テーパについて5段階のレベルが設定され、バスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチについて3段階のレベルが設定されている。しかし、個々の体型特徴に設定されるレベルの個数は限定されない。
【0028】
図4の例では、被服属性の少なくとも一部が体型特徴と関連付けられることで、被服と体型特徴との対応関係が示される。しかし、被服と体型特徴との対応関係を表現する方法はこれに限定されない。例えば、体型特徴の個々のレコードに被服IDのリストが直接に関連付けられることでその対応関係が表現されてもよい。
【0029】
被服情報、体型特徴情報、および被服サイズ情報のいずれについても、データ構造は何ら限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、これらの情報は任意に正規化または非正規化されて、一または複数のデータテーブル上に記憶されてよい。
図4の例では、被服情報が、測定値と体型特徴との関係を示すルールを含むが、ルールを示す情報と被服情報とが分けられてもよい。データベース40は複数のデータベースに分割されてもよい。
【0030】
[システムの動作]
図5を参照しながら、被服レコメンドシステム10の動作を説明するとともに本実施形態に係る被服レコメンド方法について説明する。
図5は被服レコメンドシステム10の動作を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS11では、取得部11が被服の検索条件を取得する。この検索条件は、ユーザの身体の測定値と、測定値以外の該ユーザの付加情報とを少なくとも含む。検索条件はユーザの被服サイズをさらに含んでもよい。ユーザの身体の測定値は一つでもよいし複数でもよい。例えば、ボディ・オーバルの判定のためには、アンダーバスト横径およびアンダーバスト厚径が測定値として取得される。ボディ・オーバルおよびトップ・テーパの判定のためには、アンダーバスト横径、アンダーバスト厚径、およびチェスト横径が測定値として取得される。付加情報は、ユーザに関し且つ測定値以外の任意の情報である。一例として、付加情報は、被服に関するユーザの好み(例えば、メーカ名、ブランド名、カラー、デザイン、機能、価格など)と、ユーザ自身の属性(例えば、年齢、職業など)とのうちの少なくとも一つを示してもよい。付加情報を構成するデータ項目は一つでもよいし複数個でもよい。付加情報の少なくとも一部は一または複数の画像(写真またはイラスト)で表現されてもよい。
【0032】
検索条件の送信元は限定されず、また、その送信元は一つでも複数でもよい。これに対応して、取得部11が検索条件を取得する方法も限定されない。例えば、被服サイズおよび付加情報は端末20で入力されて被服レコメンドシステム10に送信されてもよい。ユーザの身体の測定値は測定システム30で取得されて被服レコメンドシステム10に送信されてもよいし、ユーザまたは測定者により端末20で入力されて被服レコメンドシステム10に送信されてもよい。これらの場合には、取得部11は端末20または測定システム30から送られてきたデータを受信する。あるいは、取得部11は測定システム30のデータベースにアクセスすることで測定値を読み出してもよい。
【0033】
ステップS12では、判定部12が、取得された測定値から少なくともユーザの体型特徴を判定する。検索条件が被服サイズを含まない場合には、判定部12はデータベース40内の被服サイズ情報を参照して、取得された測定値からユーザの被服サイズをさらに判定する。
【0034】
本実施形態では、判定部12は測定値に基づいて、1以上の体型特徴のそれぞれについて複数のレベルから一つを選択することでユーザの体型特徴を判定する。この判定のために、判定部12はデータベース40内の被服情報を少なくとも参照し、さらに体型特徴情報をさらに参照してもよい。本実施形態では、判定部12はボディ・オーバル、トップ・テーパ、バスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチのうちの少なくとも一つに基づいてユーザの体型特徴のレベルを特定する。
図4の被服情報を前提としてその判定方法を説明する。
【0035】
ボディ・オーバルに基づく判定では、判定部12はアンダーバスト横径をアンダーバスト厚径で除することでボディ・オーバルの値を求める。そして、判定部12はデータベース40を参照して、その値が所与の5段階のレベルのどれに該当するかを特定する。例えば、算出された値がTa3以上Ta4未満であれば、判定部12はボディ・オーバルのレベルが4であると特定する。
【0036】
トップ・テーパに基づく判定では、判定部12はチェスト横径をアンダーバスト横径で除することでトップ・テーパの値を求める。そして、判定部12はデータベース40を参照して、その値が所与の5段階のレベルのどれに該当するかを特定する。例えば、算出された値がTb1以上Tb2未満であれば、判定部12はトップ・テーパのレベルが2であると特定する。
【0037】
バスト・ボリュームに基づく判定では、判定部12はデータベース40を参照して、取得されたバスト・ボリュームの値が所与の3段階のレベルのどれに該当するかを特定する。例えば、算出された値がTc1以上Tc2未満であれば、判定部12はバスト・ボリュームのレベルが2であると特定する。
【0038】
バージス間隔に基づく判定では、判定部12はデータベース40を参照して、取得されたバージス間隔の値が所与の3段階のレベルのどれに該当するかを特定する。例えば、算出された値がTd1未満であれば、判定部12はバージス間隔のレベルが1であると特定する。
【0039】
バスト・ピッチに基づく判定では、判定部12はデータベース40を参照して、取得されたバスト・ピッチの値が所与の3段階のレベルのどれに該当するかを特定する。例えば、算出された値がTe2以上であれば、判定部12はバスト・ピッチのレベルが3であると特定する。
【0040】
ステップS13では、検索部13がデータベース40を参照して、取得または判定された被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索する。複数の体型特徴が用いられる場合には、検索部13はその体型特徴のすべてに合致する被服を検索する。付加情報が複数のデータ項目を含む場合には、検索部13はそのデータ項目のすべてに合致する被服を検索する。付加情報の少なくとも一部が一または複数の画像で示される場合には、検索部13はその画像を用いた画像検索を実行してもよいし、その画像から対応するテキストを特定し、そのテキストを用いて検索を実行してもよい。
【0041】
ステップS14では、検索部13が、検索された被服を示すレコメンド情報を生成する。レコメンド情報は検索された個々の被服の属性を示す。検索部13は検索結果としてデータベース40から読み出された被服情報を用いてレコメンド情報を生成する。検索部13は被服情報以外のデータをさらに用いてレコメンド情報を生成してもよい。
【0042】
ステップS15では、送信部14がレコメンド情報を端末20に送信する。端末20はそのレコメンド情報を受信および表示する。ユーザはこのレコメンド情報を見ることで、自分の体型に合った被服の詳細な情報を得ることができる。レコメンド情報はユーザが被服を購入する際の参考になり得る。
【0043】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係る被服レコメンドシステムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、ユーザの身体の測定値を取得し、測定値以外のユーザの付加情報を取得し、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定し、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索し、検索された被服を示すレコメンド情報を出力する。
【0044】
本開示の一側面に係る被服レコメンド方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える被服レコメンドシステムにより実行される。被服レコメンド方法は、ユーザの身体の測定値を取得するステップと、測定値以外のユーザの付加情報を取得するステップと、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定するステップと、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップとを含む。
【0045】
本開示の一側面に係る被服レコメンドプログラムは、ユーザの身体の測定値を取得するステップと、測定値以外のユーザの付加情報を取得するステップと、人の身体の測定値と、該人の体型の特徴である体型特徴との関係を示すルールに基づいて、取得された測定値からユーザの体型特徴を判定するステップと、被服と体型特徴との対応関係を示す被服情報を記憶するデータベースを参照して、ユーザの被服サイズと、判定された体型特徴と、取得された付加情報とに対応する被服を検索するステップと、検索された被服を示すレコメンド情報を出力するステップとをコンピュータに実行させる。
【0046】
このような側面においては、ユーザの被服サイズと、該ユーザの身体の測定値から判定される該ユーザの体型特徴と、該ユーザの付加情報とに基づいて被服が検索され、その検索結果が出力される。これら3種類の情報を用いて被服を検索することで、効率的にユーザに被服を推薦することができる。
【0047】
他の側面に係る被服レコメンドシステムでは、被服が、カップ部を有する衣服であってもよい。被服サイズと、ユーザの身体の測定値から判定される該ユーザの体型特徴と、該ユーザの付加情報とに基づいて、カップ部を有する衣服を検索することで、効率的にユーザに該衣服を推薦することができる。
【0048】
他の側面に係る被服レコメンドシステムでは、測定値が、アンダーバスト横径およびアンダーバスト厚径の組合せと、チェスト横径およびアンダーバスト横径の組合せと、バストの容量であるバスト・ボリュームと、バストの底面の幅であるバージス間隔と、左右のバストの間隔であるバスト・ピッチとのうちの少なくとも一つを含んでもよい。少なくとも一つのプロセッサは、アンダーバスト横径とアンダーバスト厚径との比であるボディ・オーバルと、チェスト横径とアンダーバスト横径との比であるトップ・テーパと、バスト・ボリュームと、バージス間隔と、バスト・ピッチとのうちの少なくとも一つに基づいてユーザの体型特徴を判定してもよい。これら5種類の指標はいずれも、カップ部を有する衣服の着心地に大きく関連する。したがって、これらの指標のうちの少なくとも一つを用いることで、カップ部を有する衣服を効率的にユーザに推薦することができる。
【0049】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0050】
上記実施形態では、ボディ・オーバルはアンダーバスト横径をアンダーバスト厚径で除することで得られるが、アンダーバスト厚径をアンダーバスト横径で除した値であってもよい。いずれにしても、ボディ・オーバルはアンダーバスト横径とアンダーバスト厚径との比である。上記実施形態では、トップ・テーパはチェスト横径をアンダーバスト横径で除することで得られるが、アンダーバスト横径をチェスト横径で除した値であってもよい。いずれにしても、トップ・テーパはチェスト横径とアンダーバスト横径との比である。
【0051】
上記実施形態では判定部12がボディ・オーバルおよびトップ・テーパの値を求めるが、この計算は他のコンピュータシステム(例えば測定システム30)で実行されてもよい。この場合には、被服レコメンドシステムはボディ・オーバルまたはトップ・テーパを測定値として取得する。そして、被服レコメンドシステムは、測定値と体型特徴との関係を示すルールに基づいて、その取得された値から、ユーザのボディ・オーバルまたはトップ・テーパに関する体型特徴(例えば、レベル)を判定する。
【0052】
上記実施形態ではそれぞれの体型特徴について複数のレベルが設定されるが、レベルの概念は必須ではない。被服情報はレベルを用いることなく被服と体型特徴との対応関係を定義してもよい。
【0053】
ボディ・オーバル、トップ・テーパ、バスト・ボリューム、バージス間隔、およびバスト・ピッチは、ブラジャー以外の、カップ部を有する衣服を検索するために用いられてもよい。これら5種類の体型特徴は必須ではなく、被服レコメンドシステムは被服の種類に応じて任意の体型特徴を判定してもよい。
【0054】
上記実施形態では被服レコメンドシステム10が端末20と通信ネットワークで接続されるが、被服レコメンドシステム10の構成はこれに限定されない。例えば、被服レコメンドシステム10は端末20の機能を含んで構成されてもよい。この場合には、被服レコメンドシステム10はレコメンド情報をモニタ上に表示する。この表示は出力の一例である。
【0055】
被服レコメンドシステム内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。
【0056】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される被服レコメンド方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…被服レコメンドシステム、11…取得部、12…判定部、13…検索部、14…送信部、20…端末、30…測定システム、40…データベース。