(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ベルトコンベア乗継装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/18 20060101AFI20230802BHJP
B65G 47/44 20060101ALI20230802BHJP
B65G 11/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B65G47/18
B65G47/44
B65G11/00 B
(21)【出願番号】P 2019112084
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直行
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-74905(JP,U)
【文献】実開昭53-91180(JP,U)
【文献】実開平06-087315(JP,U)
【文献】実開昭60-180217(JP,U)
【文献】実開平02-137311(JP,U)
【文献】実開昭64-043008(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/18
B65G 47/44
B65G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒製鉄原料が上流ベルトコンベアから下流ベルトコンベアに乗継ぐ乗継部を囲う構造枠体を備えるベルトコンベア乗継装置において、該構造枠体の、下流ベルトコンベアに平行で、かつ、下流ベルトコンベアの内側で、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料に対向する枠板に、前記落下する粉粒製鉄原料に衝突し、前記枠板との間に、粉粒製鉄原料の堆積体を形成する金属プレートが
、前記構造枠体から突出して配置されて
おり、前記金属プレートは、前記金属プレートの前記構造枠体からの突出長さが可変になるよう配置されていることを特徴とするベルトコンベア乗継装置。
【請求項2】
前記金属プレートと枠板が形成する堆積体の斜面が、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を下流ベルトコンベアの幅方向中央部に誘導するシュートとして機能することを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベア乗継装置。
【請求項3】
前記金属プレートの下流ベルトコンベアに平行な方向の幅が、上流ベルトコンベアの幅×0.6以上であることを特徴とする請求項1
又は2に記載のベルトコンベア乗継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鉱石、石炭、コークス、焼結鉱等の粉粒製鉄原料をベルトコンベアで搬送する際、粉粒製鉄原料のベルトコンベア乗継部で用いるベルトコンベア乗継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鉱石、石炭、コークス、焼結鉱等の粉粒製鉄原料(以下「粉粒製鉄原料」ということがある。)をベルトコンベアで搬送する際、粉粒製鉄原料が左右に偏り、ベルトコンベアが蛇行したり、また、偏って走行する場合がある。
【0003】
粉粒製鉄原料を、上流のベルトコンベア(以下「上流ベルトコンベア」という。)から下流のベルトコンベア(以下「下流ベルトコンベア」という。)に乗継させる場合、上流ベルトコンベアが蛇行又は偏り走行していると、上流ベルトコンベアから下流ベルトコンベアに落下する粉粒製鉄原料は、下流ベルトコンベアの幅方向中央部に落下せず、下流ベルトコンベアが蛇行又は偏り走行する原因となる。
【0004】
下流ベルトコンベアが蛇行又は偏り走行すると、粉粒製鉄原料が下流ベルトコンベアから落下したり、また、上流ベルトコンベアの粉粒製鉄原料が、下流ベルトコンベアに乗継がず、そのまま落下することがある。
【0005】
それ故、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を、下流ベルトコンベアの幅方向中央部に誘導するため、ベルトコンベア乗継部に、乗継シュートを配置することが周知であり、これまで、多くの乗継シュートや乗継装置が提案されている(例えば、特許文献1~8、参照)。
【0006】
特許文献1には、揺動可能に支持されてコンベアに対する傾斜角を可変にされ、コンベアの搬出側端部を包むように幅方向に湾曲され、かつ表面は、個々に弾性的に支持された分割体が配設されることにより構成されたコンベア用シュートが開示されている。
【0007】
特許文献2には、上段ベルトコンベア2と下段ベルトコンベア3との間に設置するシュートバッファ7の下端にストンボックスライナー13を固定し、シュートバッファ7のストンボックスライナー13側に間隔をおいて、下端にストンボックスライナー13の下方に対向して補助ストンボックスライナー18を設けた補助シュートバッファ17を装着して成るベルトコンベアシュート装置が開示されている。
【0008】
特許文献3には、粉粒体を搬送する上部コンベアと下部コンベアとの乗継ぎ部に設けられる漏斗型のベルトコンベア用乗継ぎシユートにおいて、前記上部コンベアの正面側のシユート本体壁内面に可撓板を垂設し、前記可撓板と上部コンベアの正面側のシユート本体壁との間に、下端に回転自在となしたローラを有しシユート本体に設けた取付け部材を支点として揺動可能な付着物剥離装置の下部を設けたことを特徴とするベルトコンベア用乗継ぎシユートが開示されている。
【0009】
特許文献4には、ベルトコンベアが多段階に配されたベルトコンベア設備の上流側ベルトコンベアと下流側ベルトコンベアの乗継ぎ部に、上流側ベルトコンベアからの搬送物を下流側ベルトコンベアの中心に落下させるための傾斜角度可変式の受渡し位置制御板を有する搬送物受渡し位置制御装置であって、搬送物搬送量、搬送物の嵩密度、搬送物の水分値、前記受渡し位置制御板の角度および下流側ベルトコンベアの蛇行量にそれぞれの補正係数を乗じて受渡し位置制御板の傾斜角度を補正し、この補正された傾斜角度信号を受渡し位置制御板の制御系に出力する角度補正演算装置を備えたことを特徴とするベルトコンベアの搬送物受渡し位置制御装置が開示されている。
【0010】
特許文献5には、粉粒物を搬送する上部コンベヤの搬出端部に対向し、下部コンベヤとの乗継ぎ部に設けられるベルトコンベヤの粉粒物案内シュート装置において、傾斜角度を可変に支持されたシュート本体と、このシュート本体の表面に上部コンベヤから放出される粉粒物が衝突して接触しつつ落下する範囲を被覆するセラミックライナと、前記シュート本体にセラミックライナを被覆した範囲の上方を被覆するバイブレータにより振動する加振ライナとを備えたことを特徴とするベルトコンベヤへの粉粒物の案内シュート装置が開示されている。
【0011】
特許文献6には、上流側ベルトコンベアから下流側ベルトコンベア-ヘの搬出端部に設けられた乗継部シュート内に、上方から複数本のリンクチエーンがシュート出口に向けて支持棒により吊り下げられ、かつ、搬送物の落下放物線状流路を遮るように密に配列されていることを特徴とするベルトコンベア乗継部シュートの粉体付着防止装置が開示されている。
【0012】
特許文献7には、上流側ベルトコンベアの搬出端部に対向し、下流側ベルトコンベアとの乗継ぎ部に設けられる搬送物案内シュート装置において、シュート本体内壁側に上部を支点に前後方向に揺動可能に垂設したセラミックシートと、該セラミックシートの背面側に当該シートの傾斜角度を可変に支持するシート角度調整装置を備え、上流側ベルトコンベアから放出される搬送物が前記セラミックシートに衝突して接触しつつ下流側ベルトコンベア上に落下する構造となしたことを特徴とするベルトコンベア乗継ぎ部における搬送物案内シュート装置が開示されている。
【0013】
特許文献8には、上流側ベルトコンベアと該上流側ベルトコンベアの下方に位置する下流側ベルトコンベアとの相互間に配置され、該上流側ベルトコンベアの出側から放出、送給された搬送物の偏積に由来した下流側ベルトコンベアのコンベアベルトの片寄りを防止するコンベアベルトの片寄り防止装置であって、該上流側ベルトコンベアの出側から放出された搬送物を下流側ベルトコンベアに落下、誘導する経路を形成するための乗継ぎシュートを備え、該乗継ぎシュートは、その上部に、放出直後の搬送物を衝突させてその落下軌跡を変更する整流板を有し、その下部には、該下流側ベルトコンベアのコンベアベルトの幅方向に沿って配置され、その相互間に形成された間口を通して落下軌跡の変更された搬送物を該下流側ベルトコンベアのコンベアベルト上へ案内する一対の案内板を有することを特徴とするベルトコンベアにおけるコンベアベルトの片寄り防止装置が開示されている。
【0014】
このように、乗継シュートにおいては、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を、下流ベルトコンベアの幅方向の中央部に誘導するため、種々の改善・工夫がなされている。
【0015】
しかし、特許文献1~8に開示の乗継シュートに限らず、乗継シュートにおいては、落下する粉粒製鉄原料で摩耗して破穴するという課題や、乗継シュートへの粉粒製鉄原料の付着により、粉粒製鉄原料がシュート面で偏流して、下流ベルトコンベアの蛇行又は偏り走行を助長するという課題が、常に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】実開昭53-091180号公報
【文献】実開昭59-074905号公報
【文献】実開昭64-043008号公報
【文献】特開平06-227640号公報
【文献】実開平06-087314号公報
【文献】特開平10-059530号公報
【文献】特開平10-279061号公報
【文献】特開2017-145068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、従来技術が抱える課題を踏まえ、(a)乗継シュートが、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料で摩耗して破穴することを防止する、及び、(b)上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を、下流ベルトコンベアの幅方向中央部に的確に誘導し、下流ベルトコンベアの蛇行及び偏り走行を防止することを課題とし、該課題を解決するベルトコンベア乗継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、粉粒製鉄原料の乗継部を囲う構造枠体に、粉粒製鉄原料の落下を遮断する位置に金属プレートを配置し、金属プレート上に粉粒製鉄原料の堆積体を形成すれば、該堆積体の斜面がシュート面として機能し、上記課題を解決できることを見いだした。
【0019】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
【0020】
(1)粉粒製鉄原料が上流ベルトコンベアから下流ベルトコンベアに乗継ぐ乗継部を囲う構造枠体を備えるベルトコンベア乗継装置において、該構造枠体の、下流ベルトコンベアに平行で、かつ、下流ベルトコンベアの内側で、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料に対向する枠板に、
上記落下する粉粒製鉄原料に衝突し、上記枠板との間に、粉粒製鉄原料の堆積体を形成する金属プレートが配置されている
ことを特徴とするベルトコンベア乗継装置。
【0021】
(2)前記金属プレートと枠板が形成する堆積体の斜面が、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を下流ベルトコンベアの幅方向中央部に誘導するシュートとして機能することを特徴とする前記(1)に記載のベルトコンベア乗継装置。
【0022】
(3)前記金属プレートが、前記落下する粉粒製鉄原料に対し進退可能に配置されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のベルトコンベア乗継装置。
【0023】
(4)前記金属プレートの下流ベルトコンベアに平行な幅が、上流ベルトコンベアの幅×0.6以上であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載のベルトコンベア乗継装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を、下流ベルトコンベアの幅方向中央部に的確に誘導し乗継させるので、下流ベルトコンベアの蛇行及び偏り走行を防止し、粉粒製鉄原料のベルトコンベア乗継搬送を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のベルトコンベア乗継装置の側断面態様を模式的に示す図である。
【
図2】
図1のA-A断面における矢印方向の平面態様を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のベルトコンベア乗継装置(以下「本発明乗継装置」ということがある。)は、
粉粒製鉄原料が上流ベルトコンベアから下流ベルトコンベアに乗継ぐ乗継部を囲う構造枠体を備えるベルトコンベア乗継装置において、該構造枠体の、下流ベルトコンベアに平行(特に断りのない限り、「ベルトコンベアに平行」とは、ベルトコンベアの搬送方向に平行であることをいう。)で、かつ、下流ベルトコンベアの内側(特に断りのない限り、「ベルトコンベアの内側」とは、ベルトコンベアの幅方向の両端より内側であることをいう。)で、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料に対向する枠板に、上記落下する粉粒製鉄原料に衝突し、上記枠体との間に、粉粒製鉄原料の堆積体を形成する金属プレートが配置されていることを特徴とする。
【0027】
本発明乗継装置は、前記金属プレートと枠板が形成する堆積体の斜面が、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を下流ベルトコンベアの幅方向中央部に誘導するシュートとして機能することを特徴とする。
【0028】
本発明乗継装置は、前記金属プレートが、前記落下する粉粒製鉄原料に対し進退可能に配置されていることを特徴とする。
【0029】
本発明乗継装置は、前記金属プレートの下流ベルトコンベアに平行な幅が、上流ベルトコンベアの幅×(0.6~0.8)以上であることを特徴とする。
【0030】
以下、本発明乗継装置について、図面に基づいて説明する。
【0031】
図1に、本発明のベルトコンベア乗継装置の側断面態様を模式的に示し、
図2に、
図1のA-A断面における矢印方向の平面態様を模式的に示す。以下図面を基に上流ベルトコンベアと下流ベルトコンベアが概ね直交するように配置された場合を例として説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【0032】
プーリー2と他方のプーリー(図示なし)で回動する上流ベルトコンベア1が搬送する粉粒製鉄原料3を、構造枠体4で囲まれるベルトコンベア乗継部で、下流ベルトコンベア8に乗継がせる。
【0033】
構造枠体4は、下流ベルトコンベア8の内側上部に、下流ベルトコンベア8aに平行な枠体5a及び枠体5bを備えている。枠体5a及び枠体5bの下端部には、該下端部と下流ベルトコンベアの間を閉鎖する防塵板7が取付けられているが、枠体5a及び枠体5bの下端部が、下流ベルトコンベア8に近接して防塵作用をなす場合、防塵板7は不要である。
【0034】
そして、粉粒製鉄原料の乗継部を囲う構造枠体4の、下流ベルトコンベア8に平行で、かつ、下流ベルトコンベア8の内側で、上流ベルトコンベア1から落下する粉粒製鉄原料3に対向する枠板5aに、下流ベルトコンベア8の幅方向中央部8aに向いて突出する金属プレート6が、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料3に衝突する位置に配置されている。この点が、本発明乗継装置における構造の特徴である。
【0035】
上流ベルトコンベア1から落下する粉粒製鉄原料3は、枠板5aと金属プレート6に衝突するので、枠板5aと金属プレート6の間に堆積して、金属プレート6の上に、安息角θの斜面9aを有する堆積体9が形成される。
【0036】
そして、上流ベルトコンベア1から継続して落下する粉粒製鉄原料3は、堆積体9の斜面9aに衝突して滑落し、下流ベルトコンベア8の幅方向中央部8aに誘導されて、下流ベルトコンベア8に乗継ぐことになる。
【0037】
即ち、枠体5aと金属プレート6の間に形成される粉粒製鉄原料3の堆積体9の斜面9a(安息角θ)が、上流ベルトコンベア1から落下する粉粒製鉄原料3を、下流ベルトコンベア8の幅方向中央部8aに誘導するシュートとして機能する。この点が、本発明乗継装置の構造(特徴)に基づく機能の特徴である。
【0038】
このように、粉粒製鉄原料3の堆積体9の斜面9a(安息角θ)は、粉粒製鉄原料3が滑落するセルフライニング構造のシュートとして機能するので、従来の乗継シュートで生じる摩耗や、摩擦による破穴は生じない。
【0039】
また、粉粒製鉄原料3の堆積体9の斜面9a(安息角θ)を滑落した粉粒製鉄原料3は、下流ベルトコンベア8の幅方向中央部8aに向かって落下するので、下流ベルトコンベア8の蛇行又は偏り走行が抑制され、粉粒製鉄原料3の下流ベルトコンベア8からの落下が防止されて、粉粒製鉄原料3の乗継が効率的に進行する。
【0040】
図1と
図2には、上流ベルトコンベア1と下流ベルトコンベア8が直交する場合の乗継態様を示したが、上流ベルトコンベアと下流ベルトコンベアの配置は、金属プレート6が、上流ベルトコンベア1から落下する粉粒製鉄原料3の堆積体9を形成することができる配置であればよいので、特定の配置(例えば、直交)に限定されない。
【0041】
金属プレートは、前述したように、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料に対向する枠板に、落下する粉粒製鉄原料に衝突する位置に配置する。
【0042】
高さ方向の配置位置(
図1中、H[下流ベルトコンベアの中央部からの距離])、及び、枠体からの突出長さ(
図1及び
図2中、L)は、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料の落下軌跡及び落下量(kg/分)を考慮し、粉粒製鉄原料の堆積体の斜面(安息角θ)を滑落する粉粒製鉄原料が下流ベルトコンベアの幅方向中央部に落下するように設定する。
【0043】
操業実績によれば、ベルトコンベアの搬送速度及び搬送量は、粉粒製鉄原料の種類に依らず、ほぼ一定であり、また、安息角θも、30~45°で、ほぼ一定であり、この限りで、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料の落下軌跡及び落下量(搬送量)は、ほぼ同じとしてよいので、金属プレートは、一定の位置(
図1中、H)に、一定の突出長さ(
図2中、L)で、枠体に固定してもよい。
【0044】
ただし、粉粒製鉄原料の種類、ベルトコンベアの搬送速度及び搬送量によっては、金属プレートの枠体からの突出長さを変更する必要がある場合もあるので、金属プレートは、好ましくは、枠体に対し進退可能(金属プレートの枠体からの突出長さを可変)に配置するとよい。金属プレートの枠体からの突出長さを調整することにより、粉粒製鉄原料を下流ベルトコンベアの中央部に誘導することができる。
【0045】
図1及び
図2において、金属プレートは水平に配置されているが、枠体と金属プレートの間に、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料の、安息角θの斜面を有する堆積体が形成される限りにおいて、金属プレートは傾斜していてもよい。
【0046】
金属プレートは、粉粒製鉄原料による摩耗を受けないが、粉粒製鉄原料の堆積体を支え、かつ、粉粒製鉄原料の落下衝撃に耐える強度を必要とするので、該強度を有する所要厚の金属プレートであればよい。粉粒製鉄原料に対する耐食性をも考慮すると、金属プレートは、例えば、ステンレス製のプレートが好ましい。
【0047】
金属プレートの下流ベルトコンベアに平行な方向の幅は、
図2に示すように、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を受け止め、安息角θの斜面を有する堆積体を形成するのに十分な幅(
図2中、W)であればよく、特に、特定の幅に限定されない。
【0048】
通常、粉粒製鉄原料は、ベルトコンベアの中央部に、ベルトコンベアの幅×(0.6~0.8)の幅で載置されて搬送され、ベルトコンベアの乗継部で、そのまま落下するので、金属プレートの幅(
図2中、W)は、上流ベルトコンベアの幅×0.6以上にするとよく、さらには上流ベルトコンベアの幅×0.8以上が好ましい。金属プレートの幅の上限は、ベルトコンベアの乗継部を囲う構造枠体の幅を考慮して設定すればよいので、特に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
前述したように、本発明によれば、上流ベルトコンベアから落下する粉粒製鉄原料を、下流ベルトコンベアの幅方向中央部に的確に誘導し乗継させるので、下流ベルトコンベアの蛇行及び偏り走行を防止し、粉粒製鉄原料のベルトコンベア乗継搬送を効率化することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0050】
1 上流ベルトコンベア
2 プーリー
3 粉粒状粉粒製鉄原料
4 構造枠体
5a、5b 枠板
6 金属プレート
7 防塵板
8 下流ベルトコンベア
8a 幅方向中央部
9 堆積体
9a 斜面
θ 安息角
H 距離
L 突出長さ
W 幅