(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】新規の8-リポキシゲナーゼおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20230802BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20230802BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230802BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230802BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230802BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230802BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230802BHJP
C12P 7/6409 20220101ALI20230802BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N9/02
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P7/6409
(21)【出願番号】P 2020503591
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2019007659
(87)【国際公開番号】W WO2019168060
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2018035760
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391007356
【氏名又は名称】備前化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390025793
【氏名又は名称】岩手県
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】結城 彩花
(72)【発明者】
【氏名】矢野 明
(72)【発明者】
【氏名】馬場 直道
(72)【発明者】
【氏名】対馬 忠広
(72)【発明者】
【氏名】三澤 嘉久
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】Sci. Rep.,2017年,7:9944
【文献】PLoS ONE,2014年,Vol.9, Issue 3,e93452
【文献】“Alox8”, [online], 2017.3.13公開, [2019.5.21検索], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20170313173320/http://www.informatics.jax.org/marker/MGI:1098228/>,'Gene Ontology (GO) Classifications'の'Cellular Component'
【文献】J. Biol. Chem.,1989年,Vol.264, No.27,pp.15790-15795
【文献】Blood,1998年,Vol.91, No.1,pp.64-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/00-9/99
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなるポリペプチド
;
(c)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド
;ならびに、
(d)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド
;
からなる群から選択されるポリペプチドであって、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有する、ポリペプチド。
【請求項2】
以下:
(a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
(
c)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;
からなる群から選択される、請求項
1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のポリペプチドを高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体に作用させて、酸化物を生成する方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の方法であって、ここで:
・前記高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸であるか;あるいは、
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサペンタエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサペンタエン酸である;
方法。
【請求項5】
請求項1
または2に記載のポリペプチドを含有する、高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体から高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体の酸化物を生成するための組成物。
【請求項6】
請求項
5に記載の組成物であって、ここで:
・前記高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸であるか;あるいは、
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸である;
組成物。
【請求項7】
以下:
(
e)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸
;
(f)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸;
(g)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸;
ならびに、
(
h)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核
酸
からなる群から選択される核酸であって、該核酸は、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有するポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項8】
以下:
(
e)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸;
(
g)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸;
からなる群から選択される、請求項
7に記載の核酸。
【請求項9】
請求項
7または
8に記載の核酸を含む組み換えベクター。
【請求項10】
請求項
9に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
【請求項11】
8-リポキシゲナーゼの製造方法であって、以下:
請求項1
0に記載の形質転換体を培養する工程;
培養物中に請求項1
または2に記載のポリペプチドを生成蓄積させる工程;および
生成蓄積された
ポリペプチドを回収する工程
を包含する、8-リポキシゲナーゼの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の8-リポキシゲナーゼおよびこれをコードする核酸、ならびに、その使用法に関する。また本発明は、新規の8-リポキシゲナーゼを使用する高度不飽和脂肪酸の酸化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度不飽和脂肪酸の代謝物の生理的機能が注目されている。例えば、8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(8-HEPE)はエイコサペンタエン酸(EPA)の8位炭素の酸化(ヒドロキシル化)によって生成される誘導体であるが、8-HEPEはEPAよりも高いペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)活性化作用を有しており、肥満や糖尿病など代謝疾患の予防・改善効果が見込まれる化合物である(非特許文献1)。
【0003】
8-HEPEは天然において多くは存在せず、例えば、イサダ(ツノナシオキアミ)は8-HEPEをわずか数10ppm含有する(非特許文献2)。
【0004】
現在、イサダから8-HEPE濃縮素材を作製し、機能性食品素材としての実用化に取り組んでいるが、上記のとおりイサダから得られる8-HEPEは微量である。イサダには8-HEPE以外にもアラキドン酸の8位に水酸基が導入された8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(8-HETE)やドコサヘキサエン酸(DHA)の10位に水酸基の導入された10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(10-HDoHE)が数ppm含有されているが、これらの誘導体もまた、新規機能性成分や医薬品としての活用が期待されている(非特許文献3および非特許文献4)。
【0005】
しかしながら、イサダにおけるこれら誘導体の含有量が少ないことから、これらの誘導体を新規機能性成分や医薬品とすることは、困難であった。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Yamada Hら、Journal of Lipid Research,55,895-904,2014
【文献】Yamada Hら、Scientific Reports,7,9944,2017
【文献】Klawitter Jら、J Lipid Res.2014Jun;55(6):1139-49.
【文献】Hashimoto Mら、Biochim Biophys Acta.2015Feb;1851(2):203-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、新規機能性成分や医薬品として活用するために8-HEPEの大量生産技術、例えば、酵素的産生技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、イサダにはエイコサペンタエン酸(EPA)の8位炭素の酸化(ヒドロキシル化)によって生成される誘導体である8-HEPE以外にもアラキドン酸の8位に水酸基が導入された8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(8-HETE)やドコサヘキサエン酸(DHA)の10位に水酸基の導入された10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(10-HDoHE)が数ppm含有されている点、ならびに、実際に、イサダのタンパク質とEPAを20℃でインキュベートすると、8-HEPEが産生されることに着目し、イサダからリポキシゲナーゼ遺伝子を単離・同定し、エイコサペンタエン酸(EPA)を8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(8-HEPE)に変換する酵素を同定することによって、本発明を完成した。
【0010】
発明者らは、次世代シークエンサー解析とバイオインフォマティックス解析を組み合わせた手法を採用し、イサダ(ツノナシオキアミ;Euphausia pacifica Pacific krill)のリポキシゲナーゼ遺伝子配列を同定するためにイサダのde novo RNA Sequence解析を行い、Blast検索でリポキシゲナーゼ遺伝子候補配列を絞りこみ、イサダのリポキシゲナーゼ候補遺伝子であるPacific krill Lipoxigenaseクローン1、2を得た。そのうちリポキシゲナーゼドメインがコードされていたのはクローン1であったので、これをPK LOX1と称した。PK LOX2クローンは部分配列であると考えられたので、Rapid amplification of cDNA ends(RACE)法による完全長cDNA配列解析を行ない、完全長cDNA配列を得た。PK LOX1およびPK LOX2について、昆虫細胞でのタンパク質発現を行い、70~80kDaのタンパク質発現とリポキシゲナーゼ活性を試験した。そのようにしてエイコサペンタエン酸(EPA)の8位炭素を酸化して8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(8-HEPE)、アラキドン酸(ARA)の8位炭素を酸化して8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(8-HETE)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の10位炭素を酸化して10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(10-HDoHE)を生成する酵素を見出し、上記課題を解決した。
本発明において初めて同定されたイサダの8-リポキシゲナーゼと同様の効果を有するリポキシゲナーゼは、イサダのみならず軟甲網(Malacostraca)に属する他の生物、例えば、オキアミ目(Euphausiacea)に属する他の生物または十脚目(Decapoda)に属する他の生物においても存在し、そして、膜タンパク質として単離・調製することが可能であることが予測される。
【0011】
例えば、本発明によって以下が提供される。
(項目1)
軟甲網(Malacostraca)に由来する8-リポキシゲナーゼであって、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有する、8-リポキシゲナーゼ。
(項目2)
前記8-リポキシゲナーゼが、オキアミ目(Euphausiacea)に由来する8-リポキシゲナーゼまたは十脚目(Decapoda)に由来する8-リポキシゲナーゼである、項目1に記載の8-リポキシゲナーゼ。
(項目3)
以下:
(a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(c)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列において1または数個の変異、置換、挿入または欠失を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(d)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;
(e)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸の相補鎖と高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチド;
(f)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;
(g)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列において1または数個の変異、置換、挿入または欠失を含む核酸配列を有する核酸配列によってコードされるポリペプチド;
からなる群から選択されるポリペプチドであって、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有する、ポリペプチド。
(項目4)
以下:
(a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
(d)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;
からなる群から選択される、項目3に記載のポリペプチド。
(項目5)
項目1~4のいずれか一項に記載のポリペプチドを高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体に作用させて、酸化物を生成する方法。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、ここで:
・前記高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸であるか;あるいは、
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサペンタエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサペンタエン酸である;
方法。
(項目7)
項目1~4のいずれか一項に記載のポリペプチドを含有する、高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体から高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体の酸化物を生成するための組成物。
(項目8)
項目7に記載の組成物であって、ここで:
・前記高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸であるか;あるいは、
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸である;
組成物。
(項目9)
軟甲網(Malacostraca)に由来する8-リポキシゲナーゼをコードする核酸であって、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有する8-リポキシゲナーゼをコードする核酸。
(項目10)
前記8-リポキシゲナーゼが、オキアミ目(Euphausiacea)に由来する8-リポキシゲナーゼまたは十脚目(Decapoda)に由来する8-リポキシゲナーゼである、項目9に記載の核酸。
(項目11)
以下:
(h)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸;
(i)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸の相補鎖と高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸;
(j)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列と少なくとも90%同一である配列を含む核酸;
(k)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列において1または数個の変異、置換、挿入または欠失を含む核酸配列を有する核酸配列;
(l)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸;
(m)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸;ならびに、
(n)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列において1または数個の変異、置換、挿入または欠失を含むアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする核酸;
からなる群から選択される核酸であって、該核酸は、以下:
(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性;
(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性;および
(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性
からなる群から選択される活性を有するポリペプチドをコードする、核酸。
(項目12)
以下:
(h)配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を含む核酸;
(l)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸;
からなる群から選択される、項目11に記載の核酸。
(項目13)
項目11または12に記載の核酸を含む組み換えベクター。
(項目14)
項目13に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
(項目15)
8-リポキシゲナーゼの製造方法であって、以下:
項目14に記載の形質転換体を培養する工程;
培養物中に項目1~4のいずれか一項に記載の8-リポキシゲナーゼを生成蓄積させる工程;および
生成蓄積された8-リポキシゲナーゼを回収する工程
を包含する、8-リポキシゲナーゼの製造方法。
(項目16)
軟甲網(Malacostraca)に属する生物の膜タンパク質を含む、リポキシゲナーゼ反応を行うための組成物。
(項目17)
前記膜タンパク質が、オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物の膜タンパク質または十脚目(Decapoda)に属する生物の膜タンパク質である、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記膜タンパク質が、イサダの膜タンパク質である、項目16に記載の組成物。
(項目19)
項目16~18のいずれか一項に記載の、高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体から高度不飽和脂肪酸または高度不飽和脂肪酸の誘導体の酸化物を生成するための組成物。
(項目20)
項目19に記載の組成物であって、ここで:
・前記高度不飽和脂肪酸がアラキドン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸であるか;
・前記高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸であり、前記酸化物が8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸であるか;あるいは、
・前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸であり、前記酸化物が10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸である;
組成物。
【0012】
本発明においては、配列番号1または配列番号3と相同な核酸配列を有するポリヌクレオチド、あるいは、配列番号2または配列番号4と相同なアミノ酸配列を有するポリペプチドを使用することができる。本発明においてはまた、Euphausia属に属する細胞から単離されたポリペプチドであって、(1)アラキドン酸の8位炭素を酸化する活性、(2)エイコサペンタエン酸の8位炭素を酸化する活性、および、(3)ドコサヘキサエン酸の10位炭素を酸化する活性からなる群から選択される活性を有するポリペプチド、あるいは、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、利用可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって提供されるリポキシゲナーゼ(8-リポキシゲナーゼ)によって、アラキドン酸からの8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸の高効率生成、エイコサペンタエン酸からの8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸の高効率生成、および、ドコサヘキサエン酸からの10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸の高効率生成が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ遺伝子(PK LOX1)の核酸配列(配列番号1)を示す。
【
図2】
図2は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ(PK LOX1)のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【
図3】
図3は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ遺伝子(PK LOX2)の核酸配列(配列番号3)を示す。
【
図4】
図4は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ(PK LOX2)のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【
図5】
図5は、ヒスチジンタグを付加した本発明のPK LOX1タンパク質およびPK LOX2タンパク質を昆虫細胞を用いて発現させSDS PAGEにて分離し、抗ヒスチジン抗体を用いて検出した結果を示す。
【
図6】
図6は、本発明のPK LOX1によるエイコサペンタエン酸の8-HEPEへの変換を示す結果である。
【
図7】
図7は、本発明のPK LOX2によるエイコサペンタエン酸の8-HEPEへの変換を示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0016】
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
【0017】
本明細書において使用される用語「不飽和脂肪酸」とは、1つ以上の不飽和の炭素結合を持つ脂肪酸をいう。不飽和炭素結合とは炭素分子鎖における炭素同士の不飽和結合、すなわち炭素二重結合または三重結合のことである。天然に見られる不飽和脂肪酸は1つ以上の二重結合を有しており、脂肪中の飽和脂肪酸と置き換わることで、融点や流動性など脂肪の特性に変化を与えている。
【0018】
本明細書において使用される用語「高度不飽和脂肪酸」とは、炭素数が16以上、かつ分子内に二重結合を2個以上有した不飽和脂肪酸を意味し、例えば、ドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)、エイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)、アラキドン酸(C20:4、AA)、ドコサペンタエン酸(C22:5、DPA)、ステアリドン酸(C18:4)、リノレン酸(C18:3)、リノール酸(C18:2)、テトラコサヘキサエン酸(C24:6)、エイコサテトラエン酸(C20:4、ETA)、および、エイコサトリエン酸(C20:3)等が挙げられるがこれらに限定されない。高度不飽和脂肪酸は遊離型脂肪酸であってもよい。本発明の取得方法で得られる高度不飽和脂肪酸の誘導体としては、脂肪酸が遊離型でないものおよび遊離型であるものをいい、例えば、高度不飽和脂肪酸、高度不飽和脂肪酸を結合するリン脂質、高度不飽和脂肪酸を結合するトリグリセリド、ならびに、高度不飽和脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル等のエステル型誘導体、エチルアミド、メチルアミド等のアミド型誘導体、脂肪アルコール型誘導体、トリグリセライド、ジグリセライド、および、モノグリセライド等が挙げられるがこれらに限定されない。不飽和脂肪酸誘導体、例えば、高度不飽和脂肪酸誘導体もまた、基質として利用可能である。高度不飽和脂肪酸の誘導体としては、例えば、高度不飽和脂肪酸のエチルエステル、高度不飽和脂肪酸を含むトリグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むジグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むモノグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むリン脂質、高度不飽和脂肪酸を含むリゾリン脂質、高度不飽和脂肪酸を含むスフィンゴ脂質、および、高度不飽和脂肪酸を含む糖脂質、ならびに、高度不飽和脂肪酸のアミド型誘導体(例えば、高度不飽和脂肪酸のエタノールアミドのような脂肪酸アミド)が挙げられるがこれらに限定されない。高度不飽和脂肪酸の誘導体はまた、高度不飽和脂肪酸のエステルを包含する。不飽和脂肪酸エステル(例えば、不飽和脂肪酸エチルエステル)、特に、高度不飽和脂肪酸エステル(例えば、高度不飽和脂肪酸エチルエステル)もまた、酵素反応の基質として利用可能である。
【0019】
本明細書において使用される、不飽和脂肪酸の「酸化」とは、不飽和脂肪酸の官能基(例えば、炭素)が酸化される反応、特に、水素原子がヒドロキシル基に変換される反応をいう。
【0020】
本明細書において使用される場合、「キット」とは、複数の容器、および製造業者の指示書を含み、そして各々の容器が、本発明の核酸および/またはポリペプチドを含む製品をいう。
【0021】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖形態、二本鎖形態、または他の形態である、リン酸エステルポリマー形態のリボヌクレオチド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、もしくはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオチド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、もしくはデオキシシチジン「DNA分子」)、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ(例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステル)を指し得る。「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」は、「塩基配列」情報を保有する。
【0022】
「ポリヌクレオチド配列」、「塩基配列」、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオシド」とも呼ばれる)の配列であり、任意の鎖またはその相補鎖における2つの以上のヌクレオチドの配列を意味する。本発明の好ましい核酸は、配列番号1および/または配列番号3に示される核酸、ならびにその相補鎖、改変体およびフラグメントを包含する。
【0023】
「相補鎖」とは、ある核酸配列に対して塩基対を形成し得るようなヌクレオチドの鎖を意味する。例えば、二本鎖DNAの各々の鎖は互いに相補的な塩基配列を有し、一方の鎖から見て他方の鎖は相補鎖である。
【0024】
「コード配列」または発現生成物(例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク質、もしくは酵素)を「コードする」配列は、発現された場合にその生成物の生成をもたらすヌクレオチド配列である。
【0025】
「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の連続列を含む。本発明の好ましいペプチドは、配列番号2および/または配列番号4に示されるペプチド、ならびにその改変体およびフラグメントを包含する。
【0026】
「タンパク質配列」、「ペプチド配列」、または「ポリペプチド配列」または「アミノ酸配列」は、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド中にある一連の2つ以上のアミノ酸の配列を指す。
【0027】
本明細書において配列(核酸配列、アミノ酸配列など)の同一性とは、2以上の対比可能な配列の、互いに対する同一の配列(個々の核酸、アミノ酸など)の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が高い同一性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。あるいは、比較するアミノ酸配列間で、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらのアミノ酸配列は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて相同性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、相同性と類似性とは同じ数値を示す。
【0028】
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用い、デフォルトパラメータを用いて算出される。あるいは、アミノ酸配列および塩基配列の同一性は、比較する2つの配列を整列させ、配列全体に対する同一残基の割合を計算することによっても算出することができる。
【0029】
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1~n-1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
【0030】
本明細書において「単離された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子が天然に存在する生物体の細胞内の他の生物学的因子(例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製されたものをいう。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
【0031】
本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。
【0032】
本明細書中で使用される用語「精製された」および「単離された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。
【0033】
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7~1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1~2倍濃度のSSC(saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1~38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0034】
本明細書において「高度にストリンジェントな条件」は、核酸配列において高度の相補性を有するDNA鎖のハイブリダイゼーションを可能にし、そして多数のミスマッチを有意に有するDNAのハイブリダイゼーションを除外するように設計された条件をいう。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドのような変性剤の条件によって決定される。このようなハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する「高度にストリンジェントな条件」の例は、限定されることはないが、代表的には、(1)0.0015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、65~68℃、(2)0.015M 塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム、および50% ホルムアミド、42℃、(3)0.3M塩化ナトリウム、0.03M クエン酸ナトリウム、0.1% SDS、65~68℃、(4)0.15M塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、0.1% SDS、65~68℃、あるいは、(5)0.03M塩化ナトリウム、0.003M クエン酸ナトリウム、0.1% SDS、65~68℃である。このような高度にストリンジェントな条件については、Sambrooket al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(ColdSpring Harbor,N,Y.1989);およびAnderson et al.、Nucleic Acid Hybridization:a Practical approach、IV、IRL Press Limited(Oxford,England).Limited,Oxford,Englandを参照のこと。必要により、よりストリンジェントな条件(例えば、より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、または他の変性剤)を、使用してもよい。他の薬剤が、非特異的なハイブリダイゼーションおよび/またはバックグラウンドのハイブリダイゼーションを減少する目的で、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に含まれ得る。そのような他の薬剤の例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(NaDodSO4またはSDS)、Ficoll、Denhardt溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(または別の非相補的DNA)および硫酸デキストランであるが、他の適切な薬剤もまた、使用され得る。これらの添加物の濃度および型は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更され得る。ハイブリダイゼーション実験は、通常、pH6.8~7.4で実施されるが;代表的なイオン強度条件において、ハイブリダイゼーションの速度は、ほとんどpH独立である。Anderson et al.、NucleicAcid Hybridization:a Practical Approach、第4章、IRL Press Limited(Oxford,England)を参照のこと。
【0035】
DNA二重鎖の安定性に影響を与える因子としては、塩基の組成、長さおよび塩基対不一致の程度が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者によって調整され得、これらの変数を適用させ、そして異なる配列関連性のDNAがハイブリッドを形成するのを可能にする。完全に一致したDNA二重鎖の融解温度は、以下の式によって概算され得る。
Tm(℃)=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(%G+C)-600/N-0.72(%ホルムアミド)
ここで、Nは、形成される二重鎖の長さであり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション溶液または洗浄溶液中のナトリウムイオンのモル濃度であり、%G+Cは、ハイブリッド中の(グアニン+シトシン)塩基のパーセンテージである。不完全に一致したハイブリッドに関して、融解温度は、各1%不一致(ミスマッチ)に対して約1℃ずつ減少する。
【0036】
本明細書において「中程度にストリンジェントな条件」とは、「高度にストリンジェントな条件」下で生じ得るよりも高い程度の塩基対不一致を有するDNA二重鎖が、形成し得る条件をいう。代表的な「中程度にストリンジェントな条件」の例は、0.015M塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、50~65℃、または0.015M 塩化ナトリウム、0.0015M クエン酸ナトリウム、および20%ホルムアミド、37~50℃である。例として、0.015Mナトリウムイオン中、50℃の「中程度にストリンジェントな」条件は、約21%の不一致を許容する。
【0037】
約20ヌクレオチドまでのオリゴヌクレオチドプローブについて、1M NaClにおける融解温度の適切な概算は、Tm=(1つのA-T塩基対につき2℃)+(1つのG-C塩基対につき4℃)によって提供される。なお、6×クエン酸ナトリウム塩(SSC)におけるナトリウムイオン濃度は、1Mである(Suggsら、Developmental Biology Using Purified Genes、683頁、BrownおよびFox(編)(1981)を参照のこと)。
【0038】
配列番号2および/または配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその改変体もしくはフラグメントなどのタンパク質をコードする天然の核酸は、例えば、配列番号1および/または配列番号3の核酸配列の一部またはその改変体を含むPCRプライマーおよびハイブリダイゼーションプローブを有するcDNAライブラリーから容易に分離される。配列番号2および/または配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその改変体もしくはフラグメントなどをコードする核酸は、本質的に1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);1mM EDTA;42℃の温度で 7% SDS を含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に2×SSC(600mM NaCl;60mM クエン酸ナトリウム);50℃の0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、さらに好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);500mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA; 7% SDS を含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に50℃の1×SSC(300mM NaCl;30mM クエン酸ナトリウム);1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下、最も好ましくは本質的に50℃の温度での1%ウシ血清アルブミン(BSA);200mM リン酸ナトリウム(NaPO4);15%ホルムアミド;1mM EDTA;7%SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、および本質的に65℃の0.5×SSC(150mM NaCl;15mM クエン酸ナトリウム);0.1% SDSを含む洗浄緩衝液によって定義される低ストリンジェント条件下に配列番号1および/または配列番号3に示す配列またはその一部とハイブリダイズし得る。
【0039】
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444-2448、 Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403-410、Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22(2):4673-4680、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383-402、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403-410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266-272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267-2268、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266-272、Altschul et al.,1997,Nuc.Acids Res.25:3389-3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
【0040】
(1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データベースと比較;
(2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと比較;
(3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換した概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較;
(4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変換したヌクレオチド配列データベースと比較;
(5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較。
【0041】
BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ましくはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検配列との間で、「ハイスコアセグメント対」と呼ばれる類似のセグメントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマトリックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al.,1992,Science 256:1443-1445、Henikoff and Henikoff,1993,Proteins 17:49-61)を使用する。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、Schwartz and Dayhoff,eds.,1978,Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure,Washington: National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267-2268参照のこと)。
【0042】
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
【0043】
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プライマーとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、最も好ましくは95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNAStar)を用いて行ってもよい。
【0044】
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
【0045】
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associat ES and Wiley-Interscience;Innis,M.A.(1990).PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications:Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0046】
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
【0047】
本明細書において核酸の存在を確認するには、放射能法、蛍光法、ノーザンブロット法、ドットブロット法、PCR法などの分子生物学的測定方法を含む任意の適切な方法により評価され得る。
【0048】
用語「発現する」および「発現」は、遺伝子、RNA配列もしくはDNA配列中の情報が明らかになるのを可能にすることまたはそれを引き起こすこと(例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによって、タンパク質を生成すること)を意味する。DNA配列は、細胞中でかまたは細胞によって、「発現生成物」(例えば、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質)を形成するように発現される。その発現生成物自体はまた、その細胞によって「発現される」と言われ得る。
【0049】
用語「形質転換」とは、核酸を細胞中に導入することを意味する。導入される遺伝子または配列は、「クローン」と呼ばれ得る。その導入されるDNAまたはRNAを受ける宿主細胞は、「形質転換」されており、これは、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、任意の供給源由来であり得、宿主細胞と同じ属または種の細胞由来であっても、異なる属または種の細胞由来であってもよい。
【0050】
用語「ベクター」は、宿主を形質転換し、必要に応じて導入された配列の発現および/または複製を促進するように、DNA配列またはRNA配列が宿主細胞中に導入され得る媒体(例えば、プラスミド)を包含する。
【0051】
本発明において使用され得るベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNAフラグメント、および宿主ゲノム中への核酸の導入を促進し得る他の媒体が挙げられる。プラスミドは、最も一般的に使用される形態のベクターであるが、同様の機能を提供しかつ当該分野で公知であるかまたは公知となる他のすべての形態のベクターが、本明細書中で野使用のために適切である。例えば、Pouwelsら、Cloning Vectors:A Laboratory Manual,1985 and Supplements,Elsevier,N.Y.およびRodriguezら、(編),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses 1988,Buttersworth,Boston,MAを参照のこと。
【0052】
用語「発現系」とは、適切な条件下で、そのベクターにより保有されて宿主細胞中に導入されるタンパク質または核酸を発現し得る、宿主細胞および適合性ベクターを意味する。一般的な発現系としては、E.coli宿主細胞およびプラスミドベクター、昆虫宿主細胞およびバキュロウイルスベクター、ならびに哺乳動物宿主細胞およびベクターが挙げられる。
【0053】
本発明の配列番号2および/または配列番号4に記載のポリペプチドをコードする核酸の発現は、好ましくは真核生物細胞において従来の方法によって実行され得る。核酸を発現するために適切な宿主細胞としては、高等真核生物が挙げられ、動物細胞(非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞)および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類、および齧歯類)の両方の動物細胞)由来の樹立された組織培養細胞株を包含する。
【0054】
高等真核生物組織培養細胞もまた、本発明の配列番号2および/または配列番号4に記載のポリペプチド(あるいは、その改変体)の組換え生成のために使用され得る。任意の高等真核生物組織培養細胞株(昆虫バキュロウイルス発現系が挙げられる)が使用され得るが、哺乳動物細胞が、好ましい。このような細胞の形質転換、トランスフェクションおよび増殖は、慣用的手順となっている。有用な細胞株の例としては、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、J774細胞、Caco2細胞、ラット乳児腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、鳥類細胞株、およびサル(COS)細胞株が挙げられる。そのような細胞株のための発現ベクターは、通常は、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた、通常は、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適切な発現ベクターは、例えば、アデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、またはサイトメガロウイルスのような供給源に由来するプロモーターを保有する、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。発現ベクターの例としては、pCR(登録商標)3.1、pCDNA1、pCD(Okayamaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136)、pMC1neo Poly-A(Thomasら、(1987)Cell 51:503)、pREP8、pSVSPORTおよびそれらの誘導体、ならびにバキュロウイルスベクター(例えば、pAC373またはpAC610)が挙げられる。
【0055】
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
【0056】
本明細書において、核酸分子を細胞に導入する技術は、どのような技術でもよく、例えば、形質転換、形質導入、トランスフェクションなどが挙げられる。そのような核酸分子の導入技術は、当該分野において周知であり、かつ、慣用されるものであり、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.およびその第三版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載される。遺伝子の導入は、ノーザンブロット、ウェスタンブロット分析のような本明細書に記載される方法または他の周知慣用技術を用いて確認することができる。
【0057】
また、ベクターの導入方法としては、細胞にDNAを導入する上述のような方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換など(例えば、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法など)が挙げられる。
【0058】
(イサダより抽出した膜タンパク質)
本発明においては、イサダより抽出した膜タンパク質(例えば、イサダより抽出した膜タンパク質を含む粗精製物)を、リポキシゲナーゼの供給源、および/または、リポキシゲナーゼを含む組成物として利用することができる。そのような組成物は、基質をリポキシゲナーゼ酵素反応に供するために使用することが可能である。イサダより膜タンパク質を抽出する方法としては、種々の周知の方法を利用することができる。例えば、イサダ(例えば、凍結保存したイサダであっても、冷蔵保存したイサダであってもよい)を緩衝液中で破砕し、遠心分離によって沈殿する膜タンパク質画分を緩衝液に再懸濁し、再懸濁液を再度遠心分離することによって、イサダ由来の膜タンパク質を含む粗精製物を調製することが可能である。
上記の遠心分離を用いる調製法以外にも、フィルター濾過、界面活性剤による沈殿、エタノール等の溶剤による沈殿、並びにそれらの組合せもまた、イサダより膜タンパク質を抽出するために利用可能である。この方法は、イサダの膜タンパク質の調製のみならず、軟甲網(Malacostraca)に属する生物の膜タンパク質、オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物の膜タンパク質、または十脚目(Decapoda)に属する生物の膜タンパク質の調製にも利用可能である。本明細書において使用する軟甲網(Malacostraca)に属する生物としては、例えば、オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物および十脚目(Decapoda)に属する生物が挙げられる。オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物としては、例えば、ツキナシオキアミ属(Euphausia)に属する生物およびMeganyctiphanesに属する生物、例えば、イサダ(ツノナシオキアミ)(Euphausia pacifica Pacific krill)、およびナンキョクオキアミ(Euphausia superba)、キタオキアミ(Meganyctiphanes norvegica)が挙げられるがこれらに限定されない。十脚目(Decapoda)に属する生物としては、例えば、アキアミ属(Acetes)に属する生物、クルマエビ属(Marsupenaeus)に属する生物、ケガニ属(Erimacrus)に属する生物、および、タラバガニ属(Paralithodes)に属する生物、例えば、アキアミ(Acetes japonicus)、クルマエビ(Marsupenaeus japonicus)、毛ガニ(Erimacrus isenbeckii)、および、タラバガニ(Paralithodes camtschaticus)が挙げられるがこれらに限定されない。
(本発明のリポキシゲナーゼを用いる酵素反応)
本発明のリポキシゲナーゼの反応としては、生理条件が挙げられるがこれに限定されない。本発明のリポキシゲナーゼの基質としては、不飽和脂肪酸、特に、高度不飽和脂肪酸が利用可能である。高度不飽和脂肪酸は遊離型脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸誘導体、例えば、高度不飽和脂肪酸誘導体もまた、基質として利用可能である。高度不飽和脂肪酸の誘導体としては、例えば、高度不飽和脂肪酸のエチルエステル、高度不飽和脂肪酸を含むトリグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むジグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むモノグリセリド、高度不飽和脂肪酸を含むリン脂質、高度不飽和脂肪酸を含むリゾリン脂質、高度不飽和脂肪酸を含むスフィンゴ脂質、および、高度不飽和脂肪酸を含む糖脂質、ならびに、高度不飽和脂肪酸のアミド型誘導体(例えば、高度不飽和脂肪酸のエタノールアミドのような脂肪酸アミド)が挙げられるがこれらに限定されない。高度不飽和脂肪酸の誘導体はまた、高度不飽和脂肪酸のエステルを包含する。不飽和脂肪酸エステル(例えば、不飽和脂肪酸エチルエステル)、特に、高度不飽和脂肪酸エステル(例えば、高度不飽和脂肪酸エチルエステル)もまた、酵素反応の基質として利用可能である。高度不飽和脂肪酸としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(C22:6、DHA)、エイコサペンタエン酸(C20:5、EPA)、アラキドン酸(C20:4、AA)、ドコサペンタエン酸(C22:5、DPA)、ステアリドン酸(C18:4)、リノレン酸(C18:3)、リノール酸(C18:2)、テトラコサヘキサエン酸(C24:6)、エイコサテトラエン酸(C20:4、ETA)、および、エイコサトリエン酸(C20:3)が挙げられるがこれらに限定されない。
また、酵素反応を行う場合には、精製タンパク質を用いても、膜タンパク質を含む粗精製物(例えば、イサダ膜タンパク質を含む組成物)を用いても、また、組換え発現したタンパク質を用いてもよい。
【0059】
本発明のリポキシゲナーゼは、8-リポキシゲナーゼであることから、アラキドン酸からの8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸の高効率生成、エイコサペンタエン酸からの8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸の高効率生成、および、ドコサヘキサエン酸からの10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸の高効率生成を可能とする。
【0060】
本明細書において使用する軟甲網(Malacostraca)に属する生物としては、例えば、オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物および十脚目(Decapoda)に属する生物が挙げられる。オキアミ目(Euphausiacea)に属する生物としては、例えば、ツキナシオキアミ属(Euphausia)に属する生物およびMeganyctiphanesに属する生物、例えば、イサダ(ツノナシオキアミ)(Euphausia pacifica Pacific krill)、およびナンキョクオキアミ(Euphausia superba)、キタオキアミ(Meganyctiphanes norvegica)が挙げられるがこれらに限定されない。十脚目(Decapoda)に属する生物としては、例えば、アキアミ属(Acetes)に属する生物、クルマエビ属(Marsupenaeus)に属する生物、ケガニ属(Erimacrus)に属する生物、および、タラバガニ属(Paralithodes)に属する生物、例えば、アキアミ(Acetes japonicus)、クルマエビ(Marsupenaeus japonicus)、毛ガニ(Erimacrus isenbeckii)、および、タラバガニ(Paralithodes camtschaticus)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
以下、本発明のリポキシゲナーゼの単離、同定、および、その使用について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
ツノナシオキアミ(学名:Euphausia pacifica、英名:Pacific krill)からリポキシゲナーゼ遺伝子を単離および同定
ツノナシオキアミ(N=4)からLipid tissue RNA extraction kit (キアゲン社製)を用いて、total RNAを精製した。ツノナシオキアミRNAの配列を次世代シークエンサーで解析するために、ツノナシオキアミRNAを鋳型として、TruSeq RNA Library Prep Kit v2(イルミナ社製)を用いてライブラリーを作製した。イルミナ社製次世代シークエンサー(MiSeq)を用いてライブラリーの塩基配列を解析し、約20Gバイトの塩基配列データを得た。ツノナシオキアミの塩基配列断片データを塩基配列アッセンブルプログラム:Trinity(https://github.com/trinityrnaseq/trinityrnaseq/wiki)にて解析し、42,432のコンティグ配列を得た。得られたコンティグ配列のN50サイズは1,487bであった。
【0063】
コンティグ配列の中から、ツノナシオキアミリポキシゲナーゼ遺伝子(Pacific krill Lipoxigenase, 略してPK LOXと呼ぶ)候補を絞り込むために、Blast(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を用いて、ヒトおよびマウスのarachidonate 5-lipoxygenase, arachidonate 15-lipoxygenase, arachidonate 12-lipoxygenaseと類似のアミノ酸配列をコードするコンティグを検索した。検索の結果、3つのPK LOX候補遺伝子を得、PK LOX1,2,3と名付けた。PK LOX1,2,3がコードするアミノ酸配列についてGENETYX-MAC(https://www.genetyx.co.jp/products/genetyx_mac_19/news.html)を用いて解析し、PK LOX1が691アミノ酸配列からなるリポキシゲナーゼ様タンパク質をコードする遺伝子であることを明らかにした。PK LOX1の塩基配列を配列番号1(
図1)に、アミノ酸配列を配列番号2(
図2)に示す。
【0064】
次世代シークエンサーでの解析結果から得られたPK LOX2およびPK LOX3候補遺伝子のコードするアミノ酸配列が100アミノ酸配列以下と短い断片であったことから、RACE法による完全長cDNA配列の解析とサンガー法によるシークエンスによってPK LOX2およびPK LOX3 DNA配列の解析を行った。再解析の結果得られたPK LOX2遺伝子は686アミノ酸配列からなるリポキシゲナーゼ様タンパク質をコードする2061bpのDNA配列でありPK LOX2として同定した。PK LOX2の塩基配列を配列番号3(
図3)に、アミノ酸配列を配列番号4(
図4)に示す。PK LOX3においては、RACEおよびクローニング解析をおこなっても100アミノ酸以上の長さのタンパク質をコードする塩基配列は確認できなかったため、擬遺伝子であると判断し、実施例2以降の実験からは除外した。
【0065】
(実施例2)
PK LOX1およびPK LOX2の発現
制限酵素StuI(タカラ社製)にてリニアライズしたpFastBac1プラスミド(インビトロジェン社製)に配列番号5のプライマー((PKLOX1 Forward Primer)(His+PKLOX1)5’-TGTATTTTCAGGGCGCCATGGCGCCAATTAAGGAAAAGAA-3’)および配列番号6のプライマー((PKLOX1 Reverse Primer)5’-agtgagctcgtcgacgtaggctaTACACTGATGGCATTTGGAA-3’)を用いてPCR法にて増幅したPK LOX1塩基配列および配列番号7のプライマー((PKLOX2 Forward Primer)(His+PKLOX2)5’-TGTATTTTCAGGGCGCCATGGTAGCGCTGCGCTGCTTCAA-3’)および配列番号8のプライマー((PKLOX2 Reverse Primer)5’-agtgagctcgtcgacgtaggctaAATACTTATTGCATTTGGAA-3’)を用いて増幅したPK LOX2塩基配列の5’側に配列番号9に示す6xHisおよびTEV認識サイトをコードする塩基配列(ATGTCGTACTACCATCACCATCACCATCACGATTACGATATCCCAACGACCGAAAACCTGTATTTTCAGGGCGCCATG)とともに、DNA相同組み換え酵素のNEBilder(NEB社製)を用いてクローニングした。PK LOX1および2をクローニングしたpFastBac1プラスミドを、bacmidとhelperを有するDH10Bac(インビトロジェン社製)に形質転換し、PK LOX1および2を発現するbacmidを得た。EasyPure,NucleoBond Xtra Midi(MACHEREY-NAGEL社)を用いて精製したbacmidをGrace’s incect medium(インビトロジェン社製)を用いて培養したSf9昆虫細胞(インビトロジェン社製)にCellfectinII Reagentを用いて導入した。導入の一週間後にBacmid導入したSf9昆虫細胞を回収した。この時の培地をP1ウィルスストックとした。回収したSf9昆虫細胞をRIPA bufferを用いて氷上にて1時間溶解し、20,000gで10分間遠心分離後の上澄みをタンパク質溶液とした。得られたタンパク質溶液をSDS pageにて分離し、PVDF膜に転写の後に抗6xHis抗体(アブカム社製)を用いて検出した。PK LOX1では75~85kDaの位置に、PK LOX2では70~75kDaの位置に、タンパク質のバンドが確認された(
図5)。
【0066】
(実施例3)
PK LOX1の活性測定
PK LOX1を発現するbacmidを遺伝子導入したSf9昆虫細胞の培養上清を凍結保存した、P1バキュロウィルスストックをSf9昆虫細胞の培地に添加し、1週間培養した。バキュロウィルス感染細胞の培地中に50μMのアラキドン酸、エイコサペンタエン酸もしくはドコサヘキサエン酸を添加し、4時間培養の後、細胞を遠心分離にて回収した。培地を除いたSf9細胞にアセトニトリルを添加し、ソニケーションした後に、20,000gで10分間遠心分離を行い、上清を抽出溶液とした。5μLの抽出溶液を高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-QTOFMS:アジレント社製)に供し、8-HETE、8-HEPE、10-HDoHEの解析を行なった。PK LOX1を発現したSf9昆虫細胞にEPAを添加し培養した細胞抽出液において、8-HEPEの産生が観察された(
図6A)。PK LOX1発現Sf9細胞抽出液で検出されたm/z=317.22のピークはただ一つであり、8-HEPE標準品とカラム保持時間が完全に一致していること(
図6A)、MS/MS解析で得られるイオンのパターンも8-HEPE標準物質と一致している(
図6B)ことから、PK LOX1がEPAの8位特異的酸化を触媒していることがわかる。コントロールに用いたEGFP発現Sf9昆虫細胞の抽出液と比較して、PK LOX1を発現したSf9昆虫細胞抽出液において、アラキドン酸添加時には8-HETE、エイコサペンタエン酸添加時には8-HEPE、ドコサヘキサエン酸添加時には10-HDoHEの含有量が高くなっており、PK LOX1発現によって8-HETE,8-HEPEおよび10-HDoHEの産生が誘導されていることが確認された(
図6C)。
図6Cにおいて実証されたリポキシゲナーゼの比活性は、最大でおよそ2.5μg/mg(8-HEPE/PK LOX1発現Sf9細胞タンパク質)であり、従来技術において公知のリポキシゲナーゼの比活性よりも際立って強い活性であった。
【0067】
(実施例4)
PK LOX2の活性測定
実施例3のPK LOX1と同様の方法で得たPK LOX2を発現するバキュロウィルスのストックを作製し、Sf9細胞に感染させた。感染2日後のSf9細胞をPBSで洗浄、1500gにて遠心分離後、PBSを取り除いて-80℃で凍結した。氷上で解凍したPK LOX2発現Sf9細胞ペレットに50μMの濃度でEPAを添加した200mM Tris-HCl(pH7.4)を50μL添加して、27℃で4時間インキュベートした。インキュベート後の溶液に150μLのアセトニトリル(1%ギ酸含有)を添加、ボルテックス後、20,000g、4℃にて10分間遠心分離を行い上清を回収し、5μLをLC-QTOFMSに供し、8-HEPEの解析を行なった。PK LOX2発現Sf9細胞において8-HEPE産生が確認された(
図7)。
図7において実証されたリポキシゲナーゼの比活性は、最大でおよそ3.2ng/mg(8-HEPE/PK LOX2発現Sf9細胞タンパク質)であり、従来技術において公知のリポキシゲナーゼの比活性よりも際立って強い活性であった。
【0068】
(実施例5)
イサダ膜タンパク質を利用した8-HEPE産生
-50℃で凍結保存したイサダ2gを乳鉢と乳棒で潰し、100mgを2mLチューブに分注しNP-40 Lysis Buffer(150mM NaCl、1% NP-40、50mM Tris-HCl(pH8.0))を1mLを加え、ダウンス型ホモジェナイザーを用いて破砕した。その後氷上に30分間静置した後に、20,000g、4℃にて10分間遠心分離を行なった。沈殿した膜タンパク質画分を200mM Tris-HCl 1mLに再懸濁し、200μL(20mg)ずつ分注し、20,000g、4℃にて10分間遠心分離した。沈殿として得られたイサダ膜タンパク質を-80℃に保存した。イサダ膜タンパク質20mgに1mMのEPAを含有する200mM Tris-HClを25μL添加し、氷上で3時間反応させた。反応後の溶液に1%ギ酸を含有するアセトニトリルを75μL添加し、ボルテックス後、20,000g、4℃にて10分間遠心分離した。遠心分離後の上清5μLをLC-QTOFMSに供し、8-HEPEの解析を実施した。イサダ膜タンパク質20mgを73μgのEPAと氷上で3時間反応させることによって、42ngの8-HEPE産生が確認された。このようにして調製されたイサダ膜タンパク質は、リポキシゲナーゼ含有組成物として利用可能である。このリポキシゲナーゼの比活性は、最大でおよそ2.1ng/mg(8-HEPE/イサダ膜タンパク質)であり、従来技術において公知のリポキシゲナーゼの比活性よりも際立って強い活性であった。
【0069】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によって提供されるリポキシゲナーゼによって、アラキドン酸からの8-ヒドロキシエイコサテトラエン酸の高効率生成、エイコサペンタエン酸からの8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸の高効率生成、および、ドコサヘキサエン酸からの10-ヒドロキシドコサヘキサエン酸の高効率生成が可能となった。
【配列表フリーテキスト】
【0071】
配列番号1は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ遺伝子(PK LOX1)の核酸配列である。
【0072】
配列番号2は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ(PK LOX1)のアミノ酸配列である。
【0073】
配列番号3は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ遺伝子(PK LOX2)の核酸配列である。
【0074】
配列番号4は、ツノナシオキアミから単離されたリポキシゲナーゼ(PK LOX2)のアミノ酸配列である。
【0075】
配列番号5は、PK LOX1を増幅するためのフォワードプライマーの核酸配列である。
【0076】
配列番号6は、PK LOX1を増幅するためのリバースプライマーの核酸配列である。
【0077】
配列番号7は、PK LOX2を増幅するためのフォワードプライマーの核酸配列である。
【0078】
配列番号8は、PK LOX2を増幅するためのリバースプライマーの核酸配列である。
【0079】
配列番号9は、6xHisおよびTEV認識サイトをコードする核酸配列である。
【0080】
配列番号10は、配列番号9によってコードされるアミノ酸配列である。
【配列表】